説明

電磁振動型ダイヤフラムポンプ

【課題】圧縮室内の圧力が高くなっても、ダイヤフラムの振動の振幅を大きくしてポンプ効率を高くすることができる電磁振動型ダイヤフラムポンプを提供する。
【解決手段】磁石11a、11bを有する振動子1の両端部にダイヤフラム2が固定されている。振動子1の磁石11a、11bと対向して交流駆動される電磁石が設けられている。ダイヤフラム2の外周と固着されたフレーム4により、電磁石側が被覆され、反対側がポンプケーシング5により被覆されている。ポンプケーシング5は、ダイヤフラム2と接する圧縮室51と、圧縮室51と吸入弁を介して連結される吸入室と、圧縮室51と吐出弁53aを介して接続される吐出室53とを有し、この吸入室または吐出室53が、フレーム4とが連通孔6を介して接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁石を有する振動子を電磁石の交流駆動により振動させて、振動子の両端に固定されたダイヤフラムを振動させることにより、エアーなどの流体を吸入し、吐出する電磁振動型ダイヤフラムポンプに関する。さらに詳しくは、吸入する気体が、たとえば可燃ガスで圧力が加えられる場合などで、ダイヤフラムと隣接するポンプケーシングの圧縮室の圧力が高い場合でも、ダイヤフラムの振動を効率よく行うことができ、ポンプ能力を低下させることのない電磁振動型ダイヤフラムポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁振動型ダイヤフラムポンプは、たとえば両側にダイヤフラムを有するダイヤフラムポンプの概略図が図5に示されるように、永久磁石などからなる2個の磁石111a、111bが支持部材112に固定された振動子110の両端にゴムなどからなるダイヤフラム120が固定され、磁石111a、111bと対向するように2個の電磁石130a、130bが設けられている。そして、ダイヤフラム120の外周に固定され、電磁石130a、130bの部分を覆うように電磁石ケーシング140が設けられると共に、ダイヤフラム120の外側は、圧縮室151と、吸入室152と、吐出室153とを有するポンプケーシング150により被覆されている。圧縮室151と吸入室152との間には、吸入弁152aが設けられ、圧縮室151の圧力が低くなったら、吸入室152からエアーが注入され、また、圧縮室151と吐出室153との間には、吐出弁153aが設けられ、圧縮室151の圧力が高くなったら、吐出弁153aが開いてエアーが吐出室153に吐出されるようになっている。(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
この構造の電磁振動型ダイヤフラムポンプでは、2個の磁石111a、111bが図に示されるような極性で振動子110に設けられている場合、図で上側の電磁石130aのE型鉄心131の中心部にS極が、E型鉄心の両側にN極が発生するように励磁コイル132に電流が流れると、磁石111a、111bのN極およびS極の吸引、反発により、振動子110は左側に振れる。そして、交流電源の位相が反転して、電流の向きが逆になると、図に示される電磁石130a、130bのS極とN極が逆転し、今度は右側に振れる。その結果、交流電源の位相変化に伴って、振動子110が振動する。なお、図で下側の電磁石130bも上側の電磁石と同様の作用をし、励磁コイルを巻回する向きを逆向きにするか、印加する交流電源の位相を上側の電磁石130aと180度異ならせるなど、電流の向きを逆向きにすることにより、図5に示されるようにE型鉄心131の中心部の極性を変えている。
【0004】
この振動子110の振動に伴って、たとえば図の右側のポンプケーシング150に注目すると、振動子110が図中左側に振れると、ダイヤフラム120も左側に引っ張られるため、圧縮室151の容積が大きくなり、吸入弁152aが開いて吸入室152から気体が圧縮室151に流れ込む。つぎに振動子110が右側に振れると、ダイヤフラム120も右側に押されるため、圧縮室の容積が小さくなり、吸入弁152aは閉じて吐出弁153aが開き、圧縮室の気体が吐出室153に押し出される。この動作を繰り返すことにより、ポンプ動作が行われ、気体などを一定の量で吐出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−150959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、電磁振動型ダイヤフラムポンプは、交流電源の駆動による振動子、すなわちダイヤフラムの振動により、圧縮室の膨張、収縮を引き起こし、エアーなどの気体を連続的に吐出している。しかし、この種のダイヤフラムポンプは、通常の観賞用水槽などにエアーを送る大気圧中の気体を送り出すだけではなく、たとえば可燃ガスなどのように一定の圧力がかけられた気体を吸引して吐出させるような使用がなされる場合もある。
【0007】
このような場合、吸入室のみならず、圧縮室内部の圧力も高くなる。そうすると、フレーム内の圧力は一般的には大気圧であるため、ダイヤフラムを挟んで、フレーム側と圧縮室側とで圧力差が生じる。この圧力差が大きくなると、ダイヤフラムが圧縮室側に振れようとするとき、圧縮室内の圧力により阻まれ、十分な圧縮が出来ず流体を吐出することができなくなる。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、圧縮室内の圧力が高くなっても、ダイヤフラムを挟んだ両側の圧力差を小さくすることにより、ダイヤフラムの振動の振幅を大きくしてポンプ効率を高く維持することができる電磁振動型ダイヤフラムポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電磁振動型ダイヤフラムポンプは、磁石が固定された振動子と、該振動子の少なくとも一端部に設けられるダイヤフラムと、前記振動子の磁石と対向して設けられる交流駆動の電磁石と、前記ダイヤフラムの外周部に固着され前記電磁石側を被覆するフレームと、前記ダイヤフラムの前記電磁石と反対側の空間を被覆するポンプケーシングとを有し、前記ポンプケーシングが、前記ダイヤフラムと接する圧縮室と、該圧縮室と吸入弁を介して連結される吸入室と、前記圧縮室と吐出弁を介して接続される吐出室とを有し、前記吸入室および/または前記吐出室が、前記ポンプケーシングおよび前記フレームの側壁に形成される連通孔を介して前記フレーム内と接続される構造に形成されている。
【0010】
前記フレームの周壁に、前記吸入室または前記吐出室の気体の圧力を保持することができる機密性を有するシールが施されていることが、吸入室や吐出室の圧力を維持しながら、ダイヤフラムを挟んだ両側、すなわちフレーム内と圧縮室との圧力がほぼ同じになるため、ダイヤフラムの振動に支障をきたすことなく、大きな振幅を保ちながら振動させることができて好ましい。その結果、圧力の高い吐出量を多くすることができ、非常に性能の優れた電磁振動型ダイヤフラムポンプになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、吸入室または吐出室が、ポンプケーシングおよびフレームの側壁に形成される連通孔を介してフレーム内と連通する構造に形成されているため、たとえば可燃性ガスを圧縮して供給する場合のように、吸入室に吸入される気体に高い圧力が印加される場合でも、吸入室または吐出室とフレームとが各ケーシングに形成された連通孔を介して接続されているため、吸入室または吐出室の圧力、すなわち圧縮室の圧力とほぼ同じ圧力がダイヤフラムのフレーム側にもかかり、ダイヤフラムを挟んだ両側の圧力差は、殆ど無くなる。その結果、ダイヤフラムの振動による振幅は、入力側および出力側が共に大気圧の場合と同様に、大きな振幅で振動させることができ、強い吐出力で気体を吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の電磁振動型ダイヤフラムポンプの一実施形態の断面説明図である。
【図2】図1のII−II線断面説明図である。
【図3】本発明の効果を確認するための流量測定系の説明図である。
【図4】本発明による吐出室とフレームとの間に連通孔を設けた場合の、吸入室側と吐出室側の圧力差に対する流量の関係を従来構造と対比して示した図である。
【図5】従来の電磁振動型ダイヤフラムポンプの概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
つぎに、本発明の電磁振動型ダイヤフラムポンプについて、横断面図である図1およびその図1のII−II線断面の従断面図である図2を参照しながら説明する。なお、図2では電磁石などは省略してある。本発明による電磁振動型ダイヤフラムポンプは、永久磁石などの磁石11a、11bが板状体の非磁性体からなる支持部材12に固定されることにより振動子1が形成されている。この振動子1の少なくとも一端部(図1および図2に示される例では両端部)にダイヤフラム2が固定されている。そして、振動子1の磁石11a、11bと対向して交流駆動される電磁石3a、3bが設けられている。振動子1の両端のダイヤフラム2の外周部と固着されたフレーム4により、電磁石3a、3b側が被覆され、電磁石3a、3bと反対側の空間がポンプケーシング5により被覆されている。このポンプケーシング5は、ダイヤフラム2と接する圧縮室51と、圧縮室51と吸入弁52aを介して連結される吸入室52と、圧縮室51と吐出弁53aを介して接続される吐出室53とを有している。本発明では、この吸入室52または吐出室53が、フレーム4およびポンプケーシング5の側壁に形成される連通孔6を介してフレーム4内と連通される構造に形成されている。
【0014】
振動子1は、たとえば非磁性体材料からなる板状体により形成された支持部材12に、永久磁石などからなる磁石11a、11bが固定されることにより形成されている。図1および図2に示される例では、磁石11a、11bは、それぞれ支持部材12を貫通して一面側にS極、他面側にN極を呈するように固定されているが、支持部材12の両面に、それぞれ2個ずつ設けることもできる。また、両面に設けられないで、一面だけで、電磁石3a、3bも片方だけにすることもできる。
【0015】
この磁石11a、11bと対向するように電磁石3a、3bが設けられている。電磁石3a、3bは、E型鉄心31の中心のコアの周りに電線が巻回されることにより励磁コイル32が形成されており、交流電流がその励磁コイル32に流されることにより、E型鉄心31の中心コアに現れる極性が交流電流の位相により変化する。図1に示される例では、図の上側の電磁石3aと、下側に示される電磁石3bとは、電流を励磁コイル32に供給する励磁コイルの端部を逆方向にするか、巻き線の巻き方向を変えるか、励磁コイルに印加する交流電流の位相を180度ずらして印加することなどにより、下側の電磁石3bの中心コアの先端は、上側電磁石3aの極性とは異なる極性のN極になっている。これは、磁石11a、11bの極性が図1の上下で異なる極性になっているためである。
【0016】
この振動子1の両端には、たとえばポリエチレンプロピレンゴム(EPDM)やフッ素ゴムなどにより形成されたダイヤフラム2が取り付けられている。このダイヤフラム2は、中心部に貫通孔が形成され、その貫通孔内に、内側(磁石11a、11b側)センタープレート21と、外側(ポンプケーシング5側)センタープレート22とが挿入されて挟持され、支持部材12の中心部の端部に形成された取付けネジ部により支持部材12と固定されている。ダイヤフラム2の外周部は、フレーム4およびポンプケーシング5と固定され、フレーム4の内部には、前述の振動子1や電磁石3a、3bが内蔵されるように形成されている。
【0017】
このフレーム4の内部は、たとえばアルミニウム薄膜で内面を覆ったり、またはケーシングの隙間をシールしたりすることにより、内部を気密にできる状態にされている。すなわち、吸入室52および/または吐出室53とフレーム4の内部とが連通されているが、この吸入室52または吐出室53の圧力を維持できる程度の気密にシールされている。
【0018】
また、ダイヤフラム2の電磁石3a、3bと反対側は、ポンプケーシング5により覆われている。このポンプケーシング5は、図1に示されるように、ダイヤフラム2と接する圧縮室51と、その圧縮室51と吸入弁52aを介して接続される吸入室52と、圧縮室51と吐出弁53aを介して接続される吐出室53とからなっている。また、吐出室53には、吐出管54が設けられており、タンクに送り込まれるか、またはホースなどを直接接続し得るようにされている。
【0019】
吸入弁52aは、圧縮室51の圧力が低くなった場合に「開」となり、吸入室52から気体を流入できるように形成され、逆に圧縮室51の圧力が高くなったら、「閉」となって気体が吸入室52側に流れないように形成されている。また、吐出弁53aは、圧縮室51の圧力が高くなった場合に、「開」となって圧縮室51内の気体が吐出室53に吐出され、逆に圧縮室51の圧力が低くなった場合は「閉」となって吐出室53から圧縮室51に気体が流れないようになっている。
【0020】
本発明では、この吸入室52または吐出室53が、フレーム4およびポンプケーシング5の隔壁に形成された連通孔6を介して連通されている。図1および図2に示される例では、図2に示されるように、吐出室53とフレーム4とを連通する連通孔6が形成されている。この連通孔6の大きさは、フレーム4内が気密にシールされているため、大きくても小さくても構わず、何らの制約もない。そのため、たとえばフレーム4およびポンプケーシング5の隔壁に切り欠きを形成することにより連通させる構造でも構わない。
【0021】
図2に示される例では、吐出室53と、フレーム4とを連通させる例であったが、加圧気体を吸入室52に供給しているため、吸入室52内の圧力も高く、吸入室52とフレーム4とが連通するように連通孔が形成されれば、ダイヤフラムを挟んだ圧力差を緩和させることができる。
【0022】
つぎに、この電磁振動型ダイヤフラムポンプの動作について説明をする。振動子1に固定される磁石11a、11bの極性を図1に示されるような極性で固定した場合で、電磁石3a、3bに交流電流を流し、図で上側の電磁石3aと下側の電磁石3bとで、逆方向の極性が現れるように両電磁石3a、3bが形成されている。この逆方向の極性になるようにするには、たとえば励磁コイルへの電源の供給を2つの電磁石の励磁コイルで逆方向から供給するようにしたり、励磁コイルの巻き方を逆回転にしたり、印加電流の位相を180度ずらして2つの励磁コイルに印加したりすることなどにより達成できる。
【0023】
このような電磁石3a、3bに交流電流を印加すると、交流電流の位相に応じてE型鉄心31の中心コアの先端にS極およびN極が交互に現れ、図で下側の電磁石3bには、その逆の極性N極およびS極が交互に現れる。図1に示されるように、電磁石3aの中心コアの先端の極性がS極の場合、振動子1の磁石11aのS極が反発し、磁石11bのN極が吸引されるため、振動子1が図の左側に動く。そうすると、図1の右側のポンプケーシング5に注目すると、ダイヤフラム2は、振動子1に固定されているため、同様に左側に動き、圧縮室51が広がる。その結果、圧縮室51の圧力が下がり、吸入弁52aが「開」となり、吸入室52から気体が圧縮室51に流入する。
【0024】
交流電流の位相が180度変って電流の向きが逆方向になると、図で上側の電磁石3aの中心コア先端の極性がN極となる。そうすると、磁石11aのS極が吸引され、磁石11bのN極が反発されるため、振動子1は右側に移動する。その結果、図の右側のポンプケーシング5側のダイヤフラム2は右側に移動し、圧縮室51の容積が小さくなる。その結果、圧縮室51内の圧力が高くなり、吐出弁53aが「開」となり、圧縮室51内の気体が吐出室53に吐出される。この一連の動作が交流電源の1サイクルで行われ、交流電源の周波数に応じてエアーの吐出が行われる。なお、図で右側のポンプケーシング5のみについて説明したが、左側のポンプケーシング50は、ダイヤフラム2が右側のダイヤフラム2と同じように振れるため、圧縮室51の膨張、収縮が右側の圧縮室51の動作と逆になるが、同様の動作をする。さらに、電磁石3aに関しても、図で上側の電磁石3aについてのみ説明したが、下の電磁石3bも前述のように上の電磁石3aと同期して逆極性を呈するように構成されているので、永久磁石11a、11bの極性も上側と逆になっていることから、同じ振動子1の動作を行う。
【0025】
この電磁振動型ダイヤフラムポンプで、たとえば吸入室52に加圧気体が供給される場合には、必然的に圧縮室51の圧力も高くなる。そうすると、フレーム4内の圧力が大気圧であると、ダイヤフラム2のフレーム4側と、圧縮室51側とで圧力差が大きくなる。その場合、たとえば図で右側のポンプケーシング5に注目すると、振動子1が右側に移動して、圧縮室51内の容積を小さくする動作をする場合に、ダイヤフラム2を高圧側に押す必要があるため、充分にダイヤフラム2を移動させることができなくなる。そうすると、ダイヤフラム2の振幅が小さくなり、充分なポンプ性能を発揮することができなくなる。しかし、本発明では、吐出室53とフレーム4とを連通させているため、電磁石ケーシング4内の圧力が吐出室53の圧力、すなわち圧縮室51の圧力とほぼ同じ圧力になり、ダイヤフラムの両側での圧力差が小さいため、ダイヤフラム2の振動の振幅を、加圧気体を取り扱わない場合とほぼ同じ振幅で振動させることができる。
【0026】
本発明の連通孔6を形成した電磁振動型ダイヤフラムポンプと、従来の連通孔6を設けない構造の電磁振動型ダイヤフラムポンプとで、流量を比較することによりその効果を調べた。この効果を調べる測定系は、図3に示されるように、電磁振動型ダイヤフラムポンプ70の吸入室に供給されるエアーを、圧力計72が取り付けられた5L(リットル)の容量を有するタンク71から、所望の圧力で供給するようにし、ポンプ70の吐出室から吐出されるエアーを1000ccの容量を有する計測用タンク73に溜め、ニードルバルブ75を経てマスフローメータ76でその流量を測定する構成になっている。この計測用タンク73にも圧力計74が取り付けられ、送り出されるエアーの圧力も測定できるようになっている。なお、マスフローメータ76としては、(株)山武製のCMS00200を用いた。
【0027】
本発明の図2に示される連通孔6により吐出室53と電磁石ケーシング4とを連通した電磁振動型ダイヤフラムポンプの、吸入室への供給エアーの圧力(加圧分)が0の場合と、約30kPa(G)の場合で、吐出側の圧力(ニードルバルブ75により調整した出力の圧力)を変えたときの流量(NL(ノルマル(normal)リットル)/分)、そのときの電磁石に印加する電圧、電流、消費電力も測定して、それぞれ表1(吸入エアーの加圧圧力が0)および表2(吸入エアーの加圧圧力が約30kPa(G))の場合)に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
この表の、吸入側加圧圧力と吐出側圧力との圧力差(dp)に対する流量の関係を吸入側加圧圧力が0の場合(A)と、吸入側加圧圧力が約30kPa(G)の場合(B)を図4(a)に示す。
【0031】
さらに、比較例として、連通孔を設けない従来構造の電磁振動型ダイヤフラムポンプの場合の吸入側加圧圧力が0の場合(表3)と、吸入側加圧圧力が30kPa(G)の場合(表4)で、同様の測定を行った。また、本発明と同様に、そのときの圧力差に対する流量の変化を同様に、図4(b)に示した。
【0032】
【表3】

【0033】
【表4】

【0034】
図4(a)および(b)から明らかなように、吸入室側加圧圧力が30kPa(G)の場合、本発明によるポンプでは、吸入側での加圧圧力が0の場合に比べて大幅に流量が増加して改善している(図4(a)のB)のに対して、従来品で加圧圧力が30kPaの場合には、加圧圧力が0の場合に比べて遥かにその能力が落ちていることが分る。また、吸入室側の加圧圧力が0の場合で、吐出側圧力が30kPa(G)以上で、従来構造のものは能力が低下することが明らかであり、本発明の効果が現れている。したがって、吸入室に供給する気体に加圧気体を用いる場合には、非常に顕著に本発明の効果が現れ、加圧気体を供給しない場合でも、吐出側の圧力が高くなる場合には、本発明の構造にすることにより、効果が現れる。
【符号の説明】
【0035】
1 振動子
2 ダイヤフラム
3a、3b 電磁石
4 フレーム
5 ポンプケーシング
6 連通孔
11a、11b 磁石
12 支持部材
31 E型鉄心
32 励磁コイル
51 圧縮室
52 吸入室
52a 吸入弁
53 吐出室
53a 吐出弁
54 吐出管
70 電磁型ダイヤフラムポンプ
71 タンク
72 圧力計
73 計測用タンク
74 圧力計
75 ニードルバルブ
76 マスフローメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石が固定された振動子と、該振動子の少なくとも一端部に設けられるダイヤフラムと、前記振動子の磁石と対向して設けられる交流駆動の電磁石と、前記ダイヤフラムの外周部と固着され前記電磁石側を被覆するフレームと、前記ダイヤフラムの前記電磁石と反対側の空間を被覆するポンプケーシングとを有し、
前記ポンプケーシングが、前記ダイヤフラムと接する圧縮室と、該圧縮室と吸入弁を介して連結される吸入室と、前記圧縮室と吐出弁を介して接続される吐出室とを有し、前記吸入室および/または前記吐出室が、前記ポンプケーシングおよび前記フレームの側壁に形成される連通孔を介して前記フレーム内と連通される構造の電磁振動型ダイヤフラムポンプ。
【請求項2】
前記フレームの周壁が、前記吐出室から吐出する気体の圧力を保持できる機密性を有するシールが施されてなる請求項1記載の電磁振動型ダイヤフラムポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−225200(P2012−225200A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91462(P2011−91462)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構・新エネルギーベンチャー技術革新事業/安全性と耐久性に優れた燃料電池用水素循環ブロワの技術開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(390006286)株式会社テクノ高槻 (17)
【Fターム(参考)】