説明

電磁波シールドフィルムの製造方法、電磁波シールドフィルム及びプラズマディスプレイパネル

【課題】支持体の上に感光性層を有する感光材料を使用し、所定のパターンを有するマスクを介して連続して露光し、現像処理を経て、帯状支持体の上に連続した金属パターンを形成した、異物付着がなく、安定した導電性を有する電磁波シールドフィルムの製造方法と電磁波シールドフィルム及びこの電磁波シールドフィルムを使用したプラズマディスプレイパネルの提供。
【解決手段】支持体の上に感光性層を有する感光材料を露光した後、少なくとも化学現像処理工程、定着処理工程、物理現像処理工程をこの順で有する製造装置を用いて、導電性金属部と光透過性部とを有する光透過性電磁波シールドフィルムの製造方法において、前記化学現像処理工程から少なくとも前記物理現像処理工程までを乾燥させることなく処理することを特徴とする光透過性電磁波シールドフィルムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電磁波シールドフィルムの製造方法、電磁波シールドフィルム及びプラズマディスプレイパネルに関するものであり、詳しくは携帯電話、電子レンジ、CRT、及びプラズマディスプレイ(以下、PDPとも言う)等の電子機器から発生する電磁波を遮断する電磁波シールドフィルムの製造方法、電磁波シールドフィルム及びプラズマディスプレイパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やパソコン、TVなどに用いられるディスプレイ装置等に代表されるような電子機器の使用する機会の増加している。これらの電子機器からは一般に電磁波が放出され、それにより、電子、電気機器の誤動作、障害あるいは人体に対しても害を与える可能性がある等、所謂電磁波障害(Electro−Magnetic Interference:EMI)が急増し、電子機器では、この様なEMIを低減する必要性が高まっており、欧米を中心に電磁波放出の強さに関する規格又は規制が設けられ、最近の電子機器にはこれらの基準を満たすことが求められている。
【0003】
電磁波を遮断する方法として、金属の電磁波を貫通させない性質を利用すればよい。例えば、筐体を金属体又は高導電体にする方法や、回路基板間に金属板を挿入する、ケーブルを金属箔で覆う方法などである。しかし、これらの材料は、一般的に不透明であるため、CRTやPDP、あるいは窓ガラスのように視認性を必要とする機材には用いることが出来ず、その用途は限られていた。CRT、PDP等では観察者が画面に表示される文字等を認識する必要があり、透光性が要求されている。特に、PDPは、CRT等と比較すると多量の電磁波を発生し強い電磁波シールド性能が求められるため、PDP用の透光性電磁波シールド材料では極めて高い導電性が要求されている。又、透明性に関する要求レベルとしても透過率が70%以上、PDP用として透過率が80%以上と言う高い透明性が望まれている。
【0004】
電磁波シールド性能と、透明性を両立させる手段として、これまでに多くの検討がなされてきた。例えば、特開2004−179405号公報には、銀などの導電性材料の薄膜をスパッタ法などにより透明基材上に形成する方法が記載されている。特開2003−23290号公報には、金属薄膜のフォトリソグラフィー法を利用したエッチング加工により、透明基体上に金属薄膜のメッシュを形成する方法が記載されている。
【0005】
しかし、上記の作製方法は煩雑であり、大量生産するための連続生産性と言う観点からは技術が不十分であること、PDP用の透光性電磁波シールド材料に要求される高い導電性、高い透明性を同時に満たすことが十分でない問題点を有していた。
【0006】
これらの問題点を改良する方法として、透明支持体の上にハロゲン化銀及びバインダーを含有する感光性層を有するハロゲン化銀感光材料を使用し、パターン露光、化学現像処理、定着処理工程、物理現像処理及び/又はメッキ処理を行うことで導電性メッシュを作製する方法が検討されてきた。例えば、透明基材上に設けられた銀塩含有層を露光し、現像処理することにより金属銀部と光透過性部とを形成し、更に金属銀部を物理現像及び/又はメッキ処理することにより金属銀部に導電性金属を担持させる光透過性電磁波シールドフィルムの製造方法が知られている(特許文献1参照、特許文献2参照。)。
【0007】
特許文献1、特許文献2に記載の方法で、光透過性電磁波シールドフィルムに求められてきた高い導電性と高い透明性に対してはかなりの改良が認められるのであるが、懸念点として製造ロット毎及び製造ロット内で導電性が安定しないことが挙げられる。
【0008】
この様な状況から、支持体の上に感光性層を有する感光材料を使用し、所定のパターンを有するマスクを介して連続して露光し、現像処理を経て、帯状支持体の上に連続した金属パターンを形成する高い透明性と安定した高い導電性を有する電磁波シールドフィルムの製造方法と電磁波シールドフィルム及びこの電磁波シールドフィルムを使用したプラズマディスプレイパネルの開発が望まれている。
【特許文献1】特開2007−88218号公報
【特許文献2】特開2006−352073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記状況を鑑みなされたものであり、その目的は、支持体の上に感光性層を有する感光材料を使用し、所定のパターンを有するマスクを介して連続して露光し、現像処理を経て、帯状支持体の上に連続した金属パターンを形成した、異物付着がなく、安定した導電性を有する電磁波シールドフィルムの製造方法と電磁波シールドフィルム及びこの電磁波シールドフィルムを使用したプラズマディスプレイパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
【0011】
1.支持体の上にハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有する感光性層を有する感光材料を露光した後、少なくとも化学現像処理工程、定着処理工程、物理現像処理工程をこの順で有する製造装置を用いて、導電性金属部と光透過性部とを有する光透過性電磁波シールドフィルムを製造する光透過性電磁波シールドフィルムの製造方法において、前記化学現像処理工程から少なくとも前記物理現像処理工程までを乾燥させることなく処理することを特徴とする光透過性電磁波シールドフィルムの製造方法。
【0012】
2.前記物理現像処理工程の後にメッキ処理工程を有する製造装置を用いて、該物理現像処理工程で物理現像処理した後にメッキ処理工程でメッキ処理を行うことを特徴とする前記1に記載の光透過性電磁波シールドフィルムの製造方法。
【0013】
3.前記定着処理工程の後の物理現像処理工程の前に行う水洗処理は、比抵抗値が0.1MΩ・cm〜18.2MΩ・cmの水を用いて行うことを特徴とする前記1又は2に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
【0014】
4.前記物理現像処理工程の後に、第1水洗処理工程、第2水洗処理工程をこの順で設け、該第1水洗処理工程での第1水洗処理を比抵抗値が0.1〜18.2MΩ・cmの水を用いて行い、該第2水洗処理工程での第2水洗処理を比抵抗値が0.1MΩ・cm〜0.0001MΩ・cmの水を用いて行い、且つ、該第1水洗処理の後、乾燥させずに、引き続き該第2水洗処理を行うことを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
【0015】
5.前記1〜4の何れか1項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法にて製造されたことを特徴とする電磁波シールドフィルム。
【0016】
6.前記5に記載の電磁波シールドフィルムを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【発明の効果】
【0017】
支持体の上に感光性層を有する感光材料を使用し、所定のパターンを有するマスクを介して連続して露光し、現像処理を経て、帯状支持体の上に連続した金属パターンを形成した、異物付着がなく、安定した導電性を有する電磁波シールドフィルムの製造方法と電磁波シールドフィルム及びこの電磁波シールドフィルムを使用したプラズマディスプレイパネルを提供することが出来、安定した性能の電磁波シールドフィルムの大量生産と安定した性能の電子機器の生産が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態を図1〜図4を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
図1は電磁波シールドフィルムの製造装置の模式図である。図1(a)は感光性層を有するハロゲン化銀感光材料を露光した後、化学現像処理、定着処理、物理現像処理を経て電磁波シールドフィルムを製造する製造装置の模式図である。図1(b)は感光性層を有するハロゲン化銀感光材料を露光した後、化学現像処理、定着処理、物理現像処理、メッキ処理を経て電磁波シールドフィルムを製造する製造装置の模式図である。
【0020】
図1(a)に示される製造装置に付き説明する。
【0021】
図中、1aは製造装置を示す。製造装置1aは供給工程2と、露光工程3と、化学現像処理工程4と定着処理工程5と、物理現像処理工程6と、回収工程7とを有している。
【0022】
供給工程2では、供給装置(不図示)から支持体上にハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有する感光性層を有する感光材料201が供給される。
【0023】
尚、本図では別工程で製造された感光材料201が供給される場合を示しているが、支持体の供給工程と塗布工程と乾燥工程を配設し、塗布工程で支持体の上にハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有する感光性層形成用塗布液を塗布し、乾燥部で塗布された感光性層形成用塗布液を乾燥し、感光性層を有する感光材料201を連続して工程に供給する様にすることも可能である。
【0024】
露光工程3は露光装置3aとアキュームレータ3bとを有している。露光装置3aは、感光材料201にパターンを有するマスクを介して光を照射し、パターンの露光を行うことが可能となっている。露光装置3aに関しては図2で説明する。アキュームレータ3bは露光装置3aでの露光速度と感光材料201の搬送速度を調整するために配設されている。露光の方法は特に限定はなく、例えば連続露光、間欠露光が挙げられ必要に応じて選択することが可能である。尚、アキュームレータ3bは必要に応じて配設することが可能となっている。
【0025】
化学現像処理工程4は化学現像処理装置4aとアキュームレータ4bとを有している。化学現像処理装置4aで、パターンが露光された感光材料201が現像処理されることでパターンの露光に対応した金属パターンが形成される。アキュームレータ4bは露光装置3aでの露光速度と化学現像処理装置4aとの速度を調整するために配設されている。尚、アキュームレータ4bは必要に応じて配設することが可能となっている。
【0026】
定着処理工程5は定着処理装置5aと水洗処理装置5bとを有している。化学現像処理工程4でパターンが露光された感光材料201で未露光部分に存在するハロゲン化銀粒子が除去されることで光透過性部とパターンの露光に対応した金属パターンが形成される。化学現像処理装置4aと定着処理装置5aとの間、及び定着処理装置5aと水洗処理装置5bとの間にはアキュームレータを必要に応じて配設することが可能となっている。
【0027】
物理現像処理工程6は物理現像処理装置6aと第1水洗処理装置6bと第2水洗処理装置6cと乾燥処理装置6dとを有している。物理現像処理工程4では化学現像処理工程4と定着処理工程5とを経て形成された金属パターンの上に導電性を付与するために導電性金属が担持される。
【0028】
本発明における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、可溶性金属塩含有溶液中の銀イオン等の金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることを言う。この物理現像は、インスタントB&Wフィルム、インスタントスライドフィルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることが出来る。
【0029】
物理現像処理装置6aでの処理が終了した後、第1水洗処理装置6bで第1水洗処理し、引き続き第2水洗処理装置6cで第2水洗処理し、乾燥処理装置6dで乾燥することで導電性金属部と光透過性部とを有する光透過性電磁波シールドフィルムが製造される。第2水洗処理装置6cは必要に応じて設置することが可能である。第2水洗処理装置6cを配置した場合、第1水洗処理装置6bで第1水洗処理後、乾燥することなく第2水洗処理装置6cで第2水洗処理することが好ましい。乾燥することなく第2水洗処理装置6cで第2水洗処理することにより、処理後の導電性向上の他、第1水洗処理で除去された表面の異物の再付着防止の効果が得られる。
【0030】
尚、定着処理工程5の水洗処理装置5bと物理現像処理装置6aとの間、物理現像処理装置6aと第1水洗処理装置6bとの間、第1水洗処理装置6bと第2水洗処理装置6cとの間、第2水洗処理装置6cと乾燥処理装置6dとの間にはアキュームレータを必要に応じて配設することが可能となっている。
【0031】
回収工程7は物理現像処理工程6を経て製造された光透過性電磁波シールドフィルム202をロール状に巻き取る回収装置7aとアキュームレータ7bとを有している。アキュームレータ7bは乾燥処理装置6cでの乾燥速度と回収装置7aとの巻き取り速度とを調整するために配設されている。尚、アキュームレータ7bは必要に応じて配設することが可能となっている。
【0032】
尚、本図に示す製造装置1aは物理現像処理工程6で終了しているが、物理現像処理工程6の後に電磁波シールドフィルム202の性能を上げるために表面に反射防止機能を付与する反射防止付与工程を配設することも可能である。
【0033】
本図は支持体の上にハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有する感光性層を有するロール状の感光材料を使用し、光透過性電磁波シールドフィルムをロール状に巻き取り回収する、所謂ロールトゥーロール方式の場合を示したが、搬送方法を変えることで枚葉の感光材料に対しても対応は可能である。
【0034】
本発明は、本図に示す様に、化学現像処理工程4から物理現像処理工程6の物理現像処理装置6aまでの処理が終了する間、乾燥することなく順次処理を行い、物理現像処理装置6aでの処理が終了し、水洗処理装置6bでの水洗処理が終了した後に乾燥することを特徴としている。本図に示す製造装置での光透過性電磁波シールドフィルムの製造方法により、各工程で発生する汚れ成分の付着防止(異物付着防止)が可能となり、安定した高い導電性と光透過性とを有する光透過性電磁波シールドフィルムの製造が可能となる。
【0035】
本図に示される製造装置1aを使用した製造方法で製造された光透過性電磁波シールドフィルムは比較的電磁波の放出が低い、携帯電話やパソコン、TVなどに用いられるディスプレイ装置への使用が可能である。
【0036】
図1(b)に示される製造装置に付き説明する。
【0037】
図中、1bは製造装置を示す。製造装置1bは供給工程2と、露光工程3と、化学現像処理工程4と定着処理工程5と、物理現像処理工程6と、メッキ処理工程8と、回収工程9とを有している。図1(a)に示される製造装置との違いは物理現像処理工程6の後に
メッキ処理工程8を有していることであ。物理現像処理工程6までは全て図1(a)に示される製造装置の工程と同じである。
【0038】
メッキ処理工程8はメッキ処理装置8aと、水洗処理装置8bと、乾燥処理装置8cとを有している。メッキ処理装置8aでは物理現像処理工程6で金属パターンの上に導電性を付与するために担持された導電性金属の上に更に導電性を高めるために導電性金属が積層される。メッキ処理装置8aでの処理が終了した後、水洗処理装置8bで水洗処理し、乾燥処理装置8cで乾燥することで導電性金属部と光透過性部とを有する光透過性電磁波シールドフィルムが製造される。尚、物理現像処理工程6の第2水洗処理装置6cとメッキ処理装置8aとの間、メッキ処理装置8aと水洗処理装置8bとの間、水洗処理装置8bと乾燥処理装置8cとの間にはアキュームレータを必要に応じて配設することが可能となっている。
【0039】
回収工程9はメッキ処理工程8を経て製造された光透過性電磁波シールドフィルム202をロール状に巻き取る回収装置9aとアキュームレータ9bとを有している。アキュームレータ9bは乾燥処理装置8cでの乾燥速度と回収装置9aとの巻き取り速度とを調整するために配設されている。尚、アキュームレータ9bは必要に応じて配設することが可能となっている。他の符号は図1(a)と同義である。
【0040】
図1(a)、図1(b)に示される製造装置で、定着処理工程後の物理現像処理工程の前に行う水洗処理に使用する水は、水洗後の微量イオン成分の表面付着による物理現像核生成の防止等を考慮し、比抵抗が0.1MΩ・cm〜18.2MΩ・cmであることが好ましい。
【0041】
図1(a)、図1(b)に示される製造装置で、物理現像処理後の第1水洗処理に使用する水は、物理現像処理による表面への異物付着物の除去の効率等を考慮し、比抵抗が0.1MΩ・cm〜0.0001MΩ・cmであることが好ましい。第2水洗処理に使用する水は、水洗後の微量イオン成分の表面付着による物理現像核生成の防止等を考慮し、比抵抗が0.1MΩ・cm〜18.2MΩ・cmであることが好ましい。
【0042】
水の比抵抗は、HORIBA(株)製HE−960RWを使用し、測定した値を示す。
【0043】
尚、本図に示す製造装置1bはメッキ処理工程8で終了しているが、メッキ処理工程8の後に電磁波シールドフィルム202の性能を上げるために表面に反射防止機能を付与する反射防止付与工程を配設することも可能である。
【0044】
本図は支持体の上にハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有する感光性層を有するロール状の感光材料を使用し、光透過性電磁波シールドフィルムをロール状に巻き取り回収する、所謂ロールトゥーロール方式の場合を示したが、搬送方法を変えることで枚葉の感光材料に対しても対応は可能である。
【0045】
本発明は、本図に示す様に、化学現像処理工程4からメッキ処理工程8のメッキ処理装置8aまでの処理が終了する間、乾燥することなく順次処理を行い、メッキ処理装置8aでの処理が終了し、水洗処理装置8bでの水洗処理が終了した後に乾燥することを特徴としている。尚、図1(a)に示される製造装置1aと同様に物理現像処理装置6aでの処理が終了するまでは乾燥することなく行い、物理現像処理後に乾燥処理を行い、一時保管した後、メッキ処理を行う方法も可能である。本図に示す製造装置での光透過性電磁波シールドフィルムの製造方法により、各工程で発生する汚れ成分の付着防止(異物付着防止)が可能となり、メッキ処理を行っても異物付着が少なく、高い導電性を有する光透過性電磁波シールドフィルムの製造が可能となる。
【0046】
物理像処理の後にメッキ処理を行う場合、乾燥することなくメッキ処理を行うか、一旦乾燥し保管した後メッキ処理を行うかは選択が可能であるが、好ましくは乾燥することなくメッキ処理を行う方法である。
【0047】
本図に示される製造装置1bを使用した製造方法で製造された光透過性電磁波シールドフィルムは電磁波の放出が高いとされるPDPへの使用が可能である。
【0048】
図2は図1(a)のRで示される部分の拡大概略斜視図である。
【0049】
図中、3aは露光装置を示す。露光装置3aは、マスク3a1と駆動ローラ3a2と、保持ローラ3a3と、保持ローラ3a4とを有している。マスク3a1は外周面3a111に連続したパターンを有する回動可能で透明な円筒型基体3a11を有している。外周面3a111は、両端の非パターン形成部3a112と、感光材料201のスリップ防止手段(不図示)と、パターン形成部3a113とを有している。
【0050】
円筒型基体3a11は2本の保持ローラ3a4の上に載置されており、駆動ローラ3a2により回動する様になっている。駆動ローラ3a2は円筒型基体3a11の両端の非パターン形成部3a112に接する様に配設されており、露光装置3aのフレーム(不図示)に取り付けられた駆動部(不図示)により回動し円筒型基体3a11を回動可能としている。尚、円筒型基体3a11を回動する方式は特に限定はなく、例えば円筒型基体3a11の片側に軸を取り付け軸を駆動部に繋げることで回転させる方式、円筒型基体3a11の両端にベルトを取り付けプーリーを介して回転させる方式等が挙げられる。
【0051】
保持ローラ3a3は感光材料201の感光層201aを円筒型基体3a11の外周面3a111に密着させ巻き回す様に円筒型基体3a11の両側の位置に配設されている。
【0052】
保持ローラ3a4は円筒型基体3a11を回動可能に保持するため、円筒型基体3a11の両側の位置に配設されており、露光装置3aのフレーム(不図示)に取り付けられている。
【0053】
感光材料201にマスク3a1を介して露光する時、マスク3a1のパターンの鮮鋭性を上げるため、円筒型基体3a11の周速度と、感光材料201の搬送速度とを同じになるようにすることが好ましい。
【0054】
円筒型基体3a11の内部には、円筒型基体3a11の外周面に設けられたパターンに合わせ幅方向に光源(不図示)が円筒型基体3a11の中心近傍配設されている。又、円筒型基体3a11と感光材料201と接触している範囲で露光が行われるので、感光材料201と接触していない筒型基体3a11の部分からの漏光を防止するため円筒型基体3a11の内部の光源の上部に反射板(不図示)が配設されている。
【0055】
反射板としては内面に、例えばアルミ板に硫酸バリウムを塗設した材料、一般の照明器具に使用している反射板、アルミ板にチタン、シリコンの酸化物を蒸着した材料等が挙げられる。使用する光源の波長としては、使用する感光材料の感光波長に合わせ適宜変更することが可能である。
【0056】
図3は図2のSに示される部分の拡大概略平面図である。
【0057】
マスク3a1(図2参照)の外周面3a111(図2参照)に設けられている連続したパターンの一例を示す。本図に置いては、クロ塗り部分は光を遮蔽するシールド部分Uを示し、シールド部分Uを囲む部分は光を透過する透過部分Tを示す。即ち、外周面3a111(図2参照)に設けられているパターンは、透過部分Tと、シールド部分Uとから形成されており、このパターンが連続的に外周面3a111(図2参照)に設けられている。尚、連続的とは、切れ目及び繋ぎ目がないことを言う。本図に示す如きパターンを有するマスクを介して感光材料に露光し、現像処理することで、シールド部分Uが光透過性部となり、透過部分Tが導電性金属部分となる。
【0058】
外周面3a111(図2参照)に設けられている連続したパターンの形状は特に限定はなく、例えば、(a)は遮蔽する部分の形状が矩形の場合、(b)は菱形、(c)は三角形、(d)は6角形の場合を示している。この他の形状としては、正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形などの(正)n角形、円、楕円、星形などを組み合わせた幾何学図形が挙げられる。EMIシールド性の観点からは三角形の形状が最も有効であるが、可視光透過性の観点からは同一のライン幅なら(正)n角形のn数が大きいほど開口率が上がり可視光透過性が大きくなるので有利である。
【0059】
透過部分T(露光後の現像で導電性金属部となる部分)の幅は、パターンの隠蔽効果、アース接続性等を考慮し、5μm〜20μmが好ましい。幅は(株)キーエンス製 光学顕微鏡VE8800を使用し200倍で測定した値を示す。
【0060】
シールド部分Uのシールド率は、現像処理後の可視光透過面積、出来上がった電磁波遮蔽フィルムの画像視認性、アース適性等を考慮し、85%〜97%が好ましい。シールド率とは、光をシールドする部分Uの一定面積に占める割合を示す。例えば、透過部分Tの幅が10μm、光をシールドする部分Uの面積が84100μm2の時、シールド率は93.5%である。
【0061】
パターンの円筒型基体3a11(図2参照)の外周面3a111(図2参照)からの厚さは、露光時の感光材料の密着性、感光材料の平面性を考慮し、200nm〜2μmであることが好ましい。厚さは、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製 蛍光X線膜厚計 SFT9455で測定した値を示す。
【0062】
本図に示す如きパターンは、オフセット印刷、インクジェット法等の塗布法、蒸着法等で形成することが可能である。これらの方法の中で、厚さの均一性、生産性の点から蒸着法が好ましい。蒸着させる材料としては、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)等が挙げられる。
【0063】
図4は図3に示されるマスクを使用し図1に示される電磁波シールドフィルムの製造装置で製造した電磁波シールドフィルムの電磁波シールドパターンの概略図である。
【0064】
図中、U′は光透過部を示す。光透過部U′は、マスク3a1(図2参照)を使用し感光材料201(図1参照)に露光し、化学現像処理と定着処理とをすることで外周面3a111(図2参照)に設けられているパターンのシールド部分U(図3参照)のハロゲン化銀粒子が除去された部分である。T′は導電性金属部を示す。導電性金属部T′はマスク3a1(図2参照)を使用し感光材料201(図1参照)に露光し、化学現像処理することで外周面3a111(図2参照)に設けられている連続したパターンの透過部分T(図3参照)のハロゲン化銀粒子が現像された部分である。
【0065】
光透過部U′の透過率は、基材の光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、更に好ましくは97%以上であり、更により好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上であることが好ましい。導電性金属部T′の幅はアース接続性等を考慮し、5μm〜20μmが好ましい。
【0066】
次に本発明に係わる光透過性電磁波シールドフィルムの作製に使用する材料に付き説明する。
【0067】
(支持体)
支持体としては、フィルムにした時に可視光の透過率が、80%以上を有していれば特に限定はなく、取り扱い性の面から可撓性樹脂から作製した樹脂フィルムが好ましい。これらの可撓性樹脂としては例えば、セルロースジアセテート樹脂、セルローストリアセテート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂等のセルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、セロファン、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、シンジオタクティックポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ナイロン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリル樹脂等を挙げることが出来る。
【0068】
支持体としては、これらの可撓性樹脂から製造された厚さ25μm〜250μmの透明樹脂フィルムを用いることが出来る。これらの基材は、感光性形層成用塗布液を塗設するための公知の親水性下引き層を有してもよい。又、支持体の上に感光性形層を形成する際に、支持体の裏面にハレーション防止層を設けてもよい。ハレーション防止層は、感光性形層を透過し支持体を透過した光の反射抑える層であり、露光による光の滲みを抑え形成される金属パターンの鮮鋭度を上げることが出来る。
【0069】
(ハロゲン化銀粒子)
ハロゲン化銀粒子としては、例えば銅、クロム等の重金属塩、感光性銀塩等が挙げられ、感光性であれば何れの金属も用いることが出来るが、感光性銀塩微粒子、中でもハロゲン化銀微粒子が好ましく、写真用ハロゲン化銀乳剤が好ましく用いられる。
【0070】
(感光性銀塩)
本発明で用いられる感光性銀塩としては、ハロゲン化銀などの無機銀塩及び酢酸銀などの有機銀塩が挙げられるが、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
【0071】
本発明では、ハロゲン化銀を光センサーとして機能させるために使用するが、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられるハロゲン化銀に関する技術は、本発明においてそのまま用いることが出来る。
【0072】
ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素の何れであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、AgCl、AgBr、AgIを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、更にAgBrを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。
【0073】
ここで、「AgBr(臭化銀)を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀を言う。このAgBrを主体としたハロゲン化銀粒子は、臭化物イオンの他に沃化物イオン、塩化物イオンを含有していてもよい。
【0074】
ハロゲン化銀は固体粒子状であるため、露光、現像処理後に形成されるメッシュパターン状金属銀層の品質の観点からは、ハロゲン化銀の平均粒子サイズは、球相当径で0.1〜1000nm(1μm)であることが好ましく、1nm〜100nmであることがより好ましく、10nm〜100nmであることが更に好ましい。尚、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径である。
【0075】
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、三角形平板状、4角形平板状など)、八面体状、14面体状など様々な形状であることが出来る。
【0076】
ハロゲン化銀は、更に他の元素を含有していてもよく、例えば、写真乳剤において、硬調な乳剤を得るために用いられる金属イオンをドープすることも有用である。特にロジウムイオンやイリジウムイオンなどの遷移金属イオンは、金属銀像の生成の際に露光部と未露光部の差が明確に生じやすくなるため好ましく用いられる。ロジウムイオン、イリジウムイオンに代表される遷移金属イオンは、各種の配位子を有する化合物であることも出来る。そのような配位子としては、例えば、シアン化物イオンやハロゲンイオン、チオシアナートイオン、ニトロシルイオン、水、水酸化物イオンなどを挙げることが出来る。具体的な化合物の例としては、K3Rh2Br9及びK2IrCl6などが挙げられる。
【0077】
本発明において、ハロゲン化銀に含有されるロジウム化合物及び/又はイリジウム化合物の含有率は、好ましくは、ハロゲン化銀の銀のモル数に対して、10-10〜10-2モル/モルAgであり、10-9〜10-3モル/モルAgであることが更に好ましい。
【0078】
その他、Pd(II)イオン及び/又はPd金属を含有するハロゲン化銀も好ましく用いることが出来る。この様なハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化銀粒子を形成する過程においてPdを添加することにより作製することが出来。又Pd(II)イオンを後熟時に添加するなどの方法でハロゲン化銀表層に存在させることも好ましい。
【0079】
Pdは、無電解メッキ触媒としてよく知られて用いられており、このPdの含有によって、物理現像や無電解メッキの速度を速め、所望の電磁波遮蔽材料の生産効率を上げ、生産コストの低減に寄与する。
【0080】
ハロゲン化銀に含まれるPdイオン及び/又はPd金属の含有率は、ハロゲン化銀の銀のモル数に対して10-8〜10-4モル/モルAgであることが好ましく、10-6〜10-5モル/モルAgであることが更に好ましい。
【0081】
又、ゼラチンとの結合を抑制しAgXへより効率的に配位させるために、Pd(SCN)2錯体やパラジウムグリシネートとして添加することが好ましい。
【0082】
Pd化合物の例としては、PdCl4やNa2PdCl4等が挙げられる。
【0083】
ハロゲン化銀は、更に光センサーとしての感度を向上させるため、ハロゲン化銀写真乳剤で行われる化学増感を施すことが出来る。化学増感としては、例えば、金増感などの貴金属増感、イオウ増感などのカルコゲン増感、還元増感等を利用することが出来る。
【0084】
本発明で使用出来る乳剤としては、例えば、特開平11−305396号公報、特開2000−321698号公報、特開平13−281815号公報、特開2002−72429号公報の実施例に記載されたカラーネガフィルム用乳剤、特開2002−214731号公報に記載されたカラーリバーサルフィルム用乳剤、特開2002−107865号公報に記載されたカラー印画紙用乳剤などを好適に用いることが出来る。
【0085】
(バインダー)
本発明の銀塩微粒子(含有)層において、バインダーは、銀塩粒子を均一に分散させ、かつ銀塩含有層と支持体との密着を補助する目的で用いることが出来、本発明においては、非水溶性ポリマー及び水溶性ポリマーの何れもバインダーとして用いることが出来るが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
【0086】
バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体等が挙げられる。ゼラチンが特に好ましい。
【0087】
本発明のハロゲン化銀塩粒子含有層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することが出来る。ハロゲン化銀塩粒子含有層中のバインダーの含有量は、Ag/バインダー体積比で0.1〜3.0であることが好ましく、0.1〜1.0であることが更に好ましい。0.2〜0.8であることが最も好ましい。ハロゲン化銀塩粒子含有層中にバインダーをAg/バインダー体積比で1/4以上含有すれば、物理現像及び/又はメッキ処理工程において金属粒子同士が互いに接触しやすく、高い導電性を得ることが可能であるため好ましい。
【0088】
又、本発明のハロゲン化銀塩粒子含有層中には、ハロゲン化銀塩粒子のほか、活性剤、硬膜剤等各種の添加剤を含んでもよい。
【0089】
本発明のハロゲン化銀塩粒子含有層で用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、酢酸エチルなどのエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることが出来る。ハロゲン化銀ゼラチン乳剤を用いるには水を主体とすることが好ましい。
【0090】
(塗布装置)
上記のハロゲン化銀塩粒子含有層の塗設は上記各成分を含有する例えばハロゲン化銀乳剤の水性の塗布液を被塗布物上に塗布液を塗布する方式としては、一つは必要な塗布液膜を形成する量だけ塗布液を吐出させて被塗布物上に塗布液を塗布する前計量型塗布方式、もう一つは予め必要な塗布液膜形成量よりも余剰な塗布液を被塗布物上に吐出させ、その後なんらかの掻き取り手段で余剰分を取り除く後計量型塗布方式である。後計量型塗布方式としては、ブレード型塗布方式、エアーナイフ型塗布方式、ワイヤーバー型塗布方式などが挙げられる。又、前計量型塗布方式としては、スロット型(エクストルージョン型とも言う)塗布方式、カーテン型塗布方式、スライド型塗布方式などが挙げられる。
【0091】
一般的には、前計量方式では装置構成等は複雑であるが高精度な塗布液膜が得られることから本発明に係わる塗布方式として向いている。
【0092】
こうした前計量方式の塗布方式における塗布装置とは、スロット型(エクストルージョン型とも言う)塗布方式にはエクストルージョン型塗布装置、カーテン型塗布方式、にはカーテン型塗布装置、スライド型塗布方式にはスライド型塗布装置が使用されており、必要に応じて選択し使用することが可能である。
【0093】
本発明に係わる感光材料の感光性金属塩微粒子にハロゲン化銀微粒子を使用した場合、塗布量は、効率的な物理現像の触媒核の量等を考慮し、金属銀換算で0.3g/m2〜3.0g/m2であることが好ましい。又、感光性層の膜厚は、金属膜の密着性、膜厚起因の干渉色による着色等を考慮し、0.03μm〜0.3μmであることが好ましい。
【0094】
次に、図2に示す露光装置で図3に示すマスクを使用してパターン露光を行った後、電磁波シールドフィルムが得られるまでの処理に付き説明する。
【0095】
(化学現像処理)
本発明では、感光材料を露光した後、化学現像処理(白黒現像)が行われる。化学現像処理は、発色現像主薬を含有しない、所謂黒白現像処理である。化学現像処理液としては、現像主薬としてハイドロキノン、ハイドロキノンスルホン酸ナトリウム、クロルハイドロキノン等のハイドロキノン類の他に、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドン等のピラゾリドン類及びN−メチルパラアミノフェノール硫酸塩等の超加成性現像主薬と併用することが出来る。又、ハイドロキノンを使用しないでアスコルビン酸やイソアスコルビン酸等レダクトン類化合物を上記超加成性現像主薬と併用することが好ましい。
【0096】
又、化学現像処理液には保恒剤として亜硫酸ナトリウム塩や亜硫酸カリウム塩、緩衝剤として炭酸ナトリウム塩や炭酸カリウム塩、現像促進剤としてジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノプロパンジオール等を適宜使用出来る。
【0097】
化学現像処理で用いられる化学現像処理液は、画質を向上させる目的で、画質向上剤を含有することが出来る。画質向上剤としては、例えば、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、5−メチルベンゾトリアゾール等の含窒素ヘテロ環化合物を挙げることが出来る。
【0098】
本発明においては、露光後に行われる化学現像処理が、定着前物理現像を含んでいることが好ましい。ここで言う定着前物理現像とは、後述の定着処理を行う前に、露光により潜像を有するハロゲン化銀微粒子の内部以外から金属イオンを供給し、現像金属を補強するプロセスのことを示す。化学現像処理液から金属イオンを供給するための具体的な方法としては、ハロゲン化銀感光材料を使用した場合、例えば予め化学現像処理液中に硝酸銀等を溶解しておき銀イオンを溶かしておく方法、あるいは化学現像液中に、チオ硫酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム等のようなハロゲン化銀溶剤を溶解しておき、化学現像時に未露光部のハロゲン化銀を溶解させ、潜像を有するハロゲン化銀粒子の現像を補力する方法等が挙げられる。
【0099】
本発明においては、現像液中に予めハロゲン化銀溶剤を溶解しておく処方を用いた方が、未露光部でのカブリ発生による、フィルムの透過率低下を抑制出来るため好ましい。
【0100】
なお、本発明においては、額縁部を金属格子よりも導電性を高くするために、ハロゲン化銀感光材料の現像処理に際して、額縁部相当領域の現像処理反応を促進することが出来る。具体的には、現像処理液中において、額縁部相当領域付近の液温度を高めたり、額縁部相当領域付近の液攪拌を高めることによって達成される。言うまでもなく、現像処理反応が促進された部分では、銀現像率が高まって現像銀が金属格子よりも多く形成され、線幅や厚さの大きい額縁格子を形成することが出来る。
【0101】
前記、化学現像処理に用いる化学現像液が一般式(1)/(2)に記載の銀スラッジ防止剤を含むことを特徴とした請求項1に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
【0102】
【化1】

【0103】
〔式中、R1は水素原子、ヒドロキシ基またはカルボキシ基を表し、R2、R3、R4,R5及びR6は各々、水素原子または1価の有機基を表し、Aは2価基を表すが、R3及びR4が両方ともエチル基を表わす場合、R1はヒドロキシ基でない。またR3とR5は互いに結合し、2個の窒素原子及びAと共に複素環を形成してもよく、更にR3とR5及びR4とR6が互いに結合し、2個の窒素原子及びAと共に複素架橋環を形成してもよい。〕
以下に一般式〔1〕及び〔2〕で表されるアミノ化合物の代表的具体例を示すが、本発明はこれによって限定されるものではない。
(I−1)ジイソプロピルアミノエタノール
(I−2)2−ジエチルアミノ−1−ブタノール
(I−3)3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール
(I−4)3−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール
(I−5)N−ブチルジエタノールアミン
(I−6)ジメチルアミノデカン−N−アンモニウムプロミド
(I−7)6−アミノヘキサン酸
(I−8)3−ジエチルアミノ−1−プロパンノール
(I−9)トリエタノールアミン
(I−10)3−ジブロピアルアミノ−1,2−プロバンジオール
(I−11)2−ジオクチルアミノ−1−エタノール
(I−12)3−ドデシルアミノ−1,2−プロバンジオール
(I−13)3−ドデシルアミノ−1−プロパノール
(I−14)3−アミノ−1,2−プロパンジオール
(I−15)1−ジエチルアミノ−2−プロパノール
(I−16)グリシン
(I−17)ベンジルアミン
(I−18)ジエチルアミン
(I−19)トリエチルアミン
(I−20)トリエチレンジアミン
(I−21)1−(3−アミノプロピル)ピペラジン
(I−22)1−(2−ヒドロキシエチル−4−(2−メルカプトエチル))−ピペラジン
(I−23)11−イミノウンデカン酸
(I−24)o−アミノベンジルアルコール
(I−25)m−フェニレンジアミン
(I−26)m−アミノフェノール
(I−27)H2N−CH2−O−CH2−NH2
(I−28)H2N−CH2−CH2−O−CH2−NH2
(I−29)H2N−CH(CH3)−CH2−O−CH2−NH2
(I−30)H2N−CH2−(O−CH22−NH2
(I−31)H2N−CH2−CH2−(O−CH2−CH23−NH2
(I−32)H2N−C(CH3)=CH−(O−CH25−NH2
(I−33)H2N−CH(CH3)−CH2−(O−CH2−CH22−NH2
(I−34)H2N−CH(CH3)−CH2−[O−CH2−CH(CH3)]3−NH2
(I−35)H2N−CH(CH3)−CH(CH3)−(O−CH(CH3)−CH(CH3))2−NH2
(I−36)CH3−NH−CH2−(O−CH24−NH−CH3
(I−37)CH3−NH−CH2−CH2−(O−CH2−CH22−NH−CH3
(I−38)CH3−NH−CH(CH3)−CH2−(O−CH2−CH(CH3))4−NH−CH3
(I−39)(CH32N−CH2−(O−CH2−CH22−N(CH32
(I−40)(CH32N−C(CH32−CH2−O−CH2−C(CH3)−N(CH32
(I−41)(CH32N−CH(CH3)−CH2−(O−CH2−CH(CH3))2−N(CH32
これらの化合物のうち(I−27)〜(I−41)はTexaco Chemical Companyより入手可能である。これらの化合物の含有量は含有させる対象、化合物の種類等によって異なるが、通常現像液1L当り、0.1〜100gの範囲であり、好ましくは0.5〜20gの範囲である。
【0104】
(定着処理)
化学現像処理終了後に、未露光部分のハロゲン化銀粒子を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を行う。定着処理は、ハロゲン化銀粒子を用いた写真フィルムや印画紙等で用いられる定着液処方を用いることが出来る。定着処理で使用する定着液は、定着剤としてチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム等を使用することが出来る。定着時の硬膜剤として硫酸アルミウム、硫酸クロミウム等を使用することが出来る。定着剤の保恒剤としては、現像処理液で述べた亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸等を使用することが出来、その他にクエン酸、蓚酸等を使用することが出来る。
【0105】
水洗水
水洗水には、防黴剤としてN−メチル−イソチアゾール−3−オン、N−メチル−イソチアゾール−5−クロロ−3−オン、N−メチル−イソチアゾール−4,5−ジクロロ−3−オン、2−ニトロ−2−ブロム−3−ヒドロキシプロパノール、2−メチル−4−クロロフェノール、過酸化水素等を使用することが出来る。
【0106】
尚、上記の防黴剤は物理現像処理及びメッキ処理後の水洗水にも使用することが可能である。
【0107】
(導電性付与処理)
本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法においは、現像工程の後、更に、金属銀の導電性を高めるための導電性付与工程を設ける。導電性付与工程は、具体的には、物理現像及び/又はメッキ処理で、これにより導電性金属粒子を金属銀部に担持させることからなる。
【0108】
本発明では、露光及び現像処理により形成された金属銀部に導電性金属粒子を担持させ更に導電性を付与する目的で、金属銀部に物理現像及び/又はメッキ処理を行う。本発明では物理現像又はメッキ処理のみで導電性金属粒子を金属性部に担持させることが可能であるが、更に物理現像とメッキ処理を組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させることも出来る。
【0109】
又、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
【0110】
(物理現像処理)
ハロゲン化銀感光材料をパターン露光後、化学現像を行った後、物理現像して導電性を上げる方法に用いられる物理現像液は、pH2〜4の範囲の酸性領域であることが好ましい。酸性に保つことで、より選択性よく金属格子の導電性を増幅させ、液の寿命を保つことが出来る。酸性下で、硝酸銀(銀化合物)とハイドロキノン(還元剤)の還元反応を現像銀存在下で行う(物理現像処理)と、現像銀付近で反応速度が選択的に速くなり、反応で発生した銀粒子が現像銀に早く付着することが可能となる。そのため、パターン露光後、白黒の化学現像により現像銀パターンを作製した場合、物理現像処理により導電性パターンを作製することが可能である。銀を付着させて導電性を確保するため、少ない付着量で高い導電性を得ることが出来る。銀は、非常に導電性、延性が高い金属であり、少ない付着量で高い導電性を確保出来ると共に、屈曲等にも強い。又、白黒現像でパターンを作製出来るため、非常に微細なパターンが作製可能である。物理現像処理処理液中には化学現像処理液に用いたと同じ一般式(1)/(2)で表されるスラッジ防止剤を使用することが好ましい。
【0111】
《物理現像液》
ハロゲン化銀感光材料をパターン露光後、化学現像を行った後、物理現像して導電性を上げる方法に用いられる物理現像液は、pH2〜4の範囲の酸性領域であることが好ましい。酸性下で、硝酸銀(銀化合物)とハイドロキノン(還元剤)の還元反応を現像銀存在下で行う(物理現像処理)と、現像銀付近で反応速度が選択的に速くなり、反応で発生した銀粒子が現像銀に早く付着することが可能となる。そのため、パターン露光後、白黒の化学現像により現像銀パターンを作製した場合、物理現像処理により導電性パターンを作製することが可能である。銀を付着させて導電性を確保するため、少ない付着量で高い導電性を得ることが出来る。銀は、非常に導電性、延性が高い金属であり、少ない付着量で高い導電性を確保出来ると共に、屈曲等にも強い。又、白黒現像でパターンを作製出来るため、非常に微細なパターンが作製可能である。
【0112】
(緩衝剤)
物理現像液を用いた還元反応は、非常に短時間で反応が進むため、液の寿命が短いことが問題となるが、物理現像時の還元反応では硝酸が発生し、更に酸性側に動くため、安定な反応を達成するため、クエン酸塩、リン酸水素塩、アンモニウム塩等の緩衝剤の存在下に行うことが好ましい。
【0113】
(還元剤)
本発明の物理現像液の還元剤としては、メトール、ハイドロキノン、クロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸塩、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、エリソルビン酸等が挙げられるが、メトール、ハイドロキノン、フェニドン、アスコルビン酸が好ましい。
【0114】
(銀化合物)
本発明の物理現像液の還元剤としては、硝酸銀が好ましい。
【0115】
(還元剤/銀化合物)
本発明の物理現像液の還元剤/銀化合物比率は5.1/5〜1/20当量とすることで、飛躍的に物理現像液寿命が延長する。又、ハイドロキノンが非常に過剰な反応系であるため、硝酸銀を更に添加することで、更に反応寿命を延長することが出来る。
【0116】
メッキ処理
本発明の電磁波遮蔽材料の製造方法においは、物理現像処理の後、更に、導電性を高めるために金属銀部に担持された導電性金属粒子の上に、メッキ処理で導電性金属粒子を担持することが可能となっている。
【0117】
本発明において、メッキ処理は、無電解メッキ(化学還元メッキや置換メッキ)、電解メッキ、又は無電解メッキと電解メッキの両方を用いることが出来る。
【0118】
本発明における無電解メッキは、公知の無電解メッキ技術を用いることが出来、例えば、プリント配線板などで用いられている無電解メッキ技術を用いることが出来、無電解メッキは無電解銅メッキであることが好ましい。
【0119】
無電解銅メッキ液に含まれる化学種としては、硫酸銅や塩化銅、還元剤としてホルマリンやグリオキシル酸、銅の配位子としてEDTAやトリエタノールアミン等、その他、浴の安定化やメッキ皮膜の平滑性を向上させるための添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジン等が挙げられる。電解銅メッキ浴としては、硫酸銅浴やピロリン酸銅浴が挙げられる。
【0120】
本発明におけるメッキ処理時のメッキ速度は、緩やかな条件で行うことが出来、更に5μm/hr以上の高速メッキも可能である。メッキ処理において、メッキ液の安定性を高める観点からは、例えば、EDTAなどの配位子など種々の添加剤を用いることが出来る。例えばメッキ処理液としては、硫酸銅0.06モル/L、ホルマリン0.22モル/L、トリエタノールアミン0.12モル/L、及びポリエチレングリコール100ppm、黄血塩50ppm、α、α′−ビピリジン20ppmを含有する、pH=12.5の無電解Cuメッキ液等が具体例として挙げられ、例えば、該メッキ液を用いて45℃にて無電解銅メッキ処理を行った後、10ppm程度のFe(III)イオンを含有する水溶液で酸化処理を行う。
【0121】
金属部に担持させる導電性金属粒子としては、上述した銀(物理現像の場合)のほか、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、コバルト、スズ、ステンレス、タングステン、クロム、チタン、パラジウム、白金、マンガン、亜鉛、ロジウムなどの金属、又はこれらを組み合わせた合金の粒子を挙げることが出来る。導電性、価格等の観点から導電性金属粒子は、銅、アルミニウム又はニッケルの粒子であることが好ましい。又、磁場遮蔽性を付与する場合、導電性金属粒子として常磁性金属粒子を用いることが好ましい。
【0122】
導電性金属部において、コントラストを高くし、かつ導電性金属部が経時的に酸化され退色されるのを防止する観点からは、導電性金属部に含まれる導電性金属粒子は銅粒子であることが好ましい。
【0123】
(酸化処理)
本発明では、物理現像及び/又はメッキ処理後に形成される導電性金属部には、好ましくは酸化処理が行われる。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、沈着している金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることが出来る。
【0124】
酸化処理としては、例えば、Fe(III)イオン処理など、種々の酸化剤を用いた公知の方法が挙げられる。酸化処理は、銀塩含有層の露光及び現像処理後、あるいは物理現像又はメッキ処理後に行うことが出来、更に現像処理後と物理現像又はメッキ処理後のそれぞれで行ってもよい。
【0125】
本発明では、物理現像又は無電解メッキ速度を促進させるために、化学現像処理後の金属銀部を、Pdを含有する溶液で処理することが好ましい。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。
【0126】
導電性金属部は、導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して、銀を50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することが更に好ましい。銀を50質量%以上含有すれば、物理現像及び/又はメッキ処理に要する時間を短縮し、生産性を向上させ、かつ低コストとすることが出来る。
【0127】
更に、導電性金属部を形成する導電性金属粒子として銅及びパラジウムが用いられる場合、銀、銅及びパラジウムの合計の質量が導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
【0128】
本発明における導電性金属部は、導電性金属粒子を担持するため良好な導電性が得られる。このため、本発明の透光性電磁波遮蔽膜(導電性金属部)の表面抵抗値は、103Ω/□以下であることが好ましく、102Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることが更に好ましく、0.1Ω/□以下であることが最も好ましい。
【0129】
(黒化処理)
本発明においては、電磁波シールドフィルム表面での外光反射を防止するという観点から、金属格子表面に黒化処理を施すことが好ましい。この様な黒化処理を施した透明電磁波シールドフィルムを、例えばPDPのディスプレイに用いた場合、外光反射によるコントラストの低下を軽減出来るとともに、非使用時の画面の色調を黒く高品位に保つことが出来好ましい。黒化処理の方法としては、特に制限はなく、既知の手法を適宜、単独あるいは組み合わせて用いることが出来る。例えば導電性パターンの最表面が金属銅からなる場合には、亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウムを含む水溶液に浸漬して酸化処理する方法、あるいはピロリン酸銅、ピロリン酸カリウム、アンモニアを含む水溶液に浸漬し、電解メッキを行うことにより、黒化処理する方法、等を好ましく用いることが出来る。又、導電性パターンの最表層がニッケル−リン合金被膜から成る場合は、塩化銅(II)又は硫酸銅(II)、塩化ニッケル又は硫酸ニッケル、及び塩酸を含有する酸性黒化処理液中に浸漬する方法を好ましく用いることが出来る。
【0130】
又、上述の方法以外にも、表面を微粗面化する方法によっても黒化処理が可能であるが、高い導電性を維持するという観点からは、表面の微粗面化よりも、酸化による黒化処理の方法が好ましい。
【0131】
(近赤外線吸収層)
本発明の電磁波シールドフィルムを、例えば、プラズマディスプレイパネル用の光学フィルタと組み合わせて使う場合には、感光性層の下に近赤外吸収染料を含む層である近赤外線吸収層を設けることも好ましい。場合によっては近赤外線吸収層を支持体に対して、感光性層のある側の反対側に設けることも出来るし、感光性層側と反対側の両方に設けてもよい。ハロゲン化銀を含む感光性層と支持体との間に近赤外線吸収層を設けること、あるいは、感光性層から見て支持体の反対側に近赤外線吸収層を設けることが出来るが、支持体の一方側にすると同時に塗布が出来るので前者の方が好ましい。
【0132】
近赤外線吸収染料の具体例としては、ポリメチン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、金属錯体系、アミニウム系、イモニウム系、ジイモニウム系、アンスラキノン系、ジチオール金属錯体系、ナフトキノン系、インドールフェノール系、アゾ系、トリアリルメタン系の化合物等が挙げられる。プラズマディスプレイパネル用光学フィルタで近赤外線吸収能が要求されるのは、主として熱線吸収や電子機器のノイズ防止である。このためには、最大吸収波長が750〜1100nmである近赤外線吸収能を有する色素が好ましく、金属錯体系、アミニウム系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、ジイモニウム系、スクワリウム化合物系が特に好ましい。
【0133】
近赤外線吸収染料としては、ジイモニウム化合物は、IRG−022、IRG−040(以上、日本化薬株式会社製)、ニッケルジチオール錯体化合物は、SIR−128、SIR−130、SIR−132、SIR−159、SIR−152、SIR−162(以上、三井化学株式会社製)、フタロシアニン系化合物は、IR−10,IR−12(以上、日本触媒株式会社)等の市販品を利用することが出来る。
【0134】
本発明の電磁波シールドフィルムを、例えば、プラズマディスプレイパネル用の光学フィルタと組み合わせて使う場合には、プラズマディスプレイパネルに用いられるネオンガスの輝線発光行による色再現性の低下を防ぐために595nm付近の光を吸収する色素を含有することが好ましい。この様な特定波長を吸収する色素としては、具体的には例えば、アゾ系、縮合アゾ系、フタロシアニン系、アンスラキノン系、インジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジン系、キナクリドン系、メチン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、ピロール系、チオインジゴ系、金属錯体系等の周知の有機顔料及び有機染料、無機顔料が挙げられる。これらの中でも、耐候性が良好であることから、フタロシアニン系、アンスラキノン系色素が特に好ましく用いられる。
【0135】
(紫外線吸収層)
本発明においては、電磁波シールドフィルムの紫外線による劣化を避けるために、極大吸収波長350nm未満の紫外線吸収剤を使用することが好ましい。
【0136】
紫外線吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤、例えばサリチル酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、S−トリアジン系化合物、環状イミノエステル系化合物等を好ましく使用することが出来る。これらの中、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、環状イミノエステル系化合物が好ましい。ポリエステルに配合するものとしては、特に環状イミノエステル系化合物が好ましい。これら紫外線吸収剤の添加層については特に制限はないが、ハロゲン化銀感光性層(格子パターン層)に用いられるバインダーの紫外線による劣化を防止するという観点から、ハロゲン化銀感光性層への添加、あるいは該層よりも光源側に設けることが好ましい。
【0137】
好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、例えば特開平1−250944号公報記載の一般式[III−3]で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式[III]で示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式[I]で示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物等が好ましく用いられる。
【0138】
これらの紫外線吸収剤は、例えばジオクチルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類等に代表される高沸点有機溶媒に分散して添加することが好ましい。又、これらの紫外線吸収剤を支持体中に直接添加することも好ましく用いられ、この場合、例えば特表2004−531611号に記載の態様も好ましく用いることが出来る。
【0139】
(反射防止層)
本発明の電電磁波シールドフィルムを、ディスプレイ画面の保護等を目的として用いる場合には、反射防止層を設けることが好ましい。
【0140】
反射防止層は、屈折率の異なる複数の光透過性層からなることが好ましく、無機微粒子を含有した高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層から構成されることがより好ましい。屈折率の異なる層はそれぞれに含有される無機微粒子の種類、粒径、添加量、樹脂バインダーの種類等によって調整される。高屈折率層の屈折率は1.55〜2.30であることが好ましく、1.57〜2.20であることが更に好ましい。中屈折率層の屈折率は、基材フィルムの屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は1.55〜1.80であることが好ましい。低屈折率層の屈折率は1.46以下が好ましく、特に1.3〜1.45であることが望ましい。
【0141】
反射防止層としては、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物等の無機物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法等で単層あるいは多層に薄膜積層させる方法、アクリル樹脂、フッ素樹脂等の屈折率の異なる樹脂を単層あるいは多層に薄膜積層させる方法等を用いることが出来る。
【0142】
本発明の透明電磁波シールドフィルムにおいて、導電性パターンを有する層に対して該電磁波シールドフィルムの支持体を挟んだ反対側に反射防止層を形成する場合には、最初に反射防止層を形成した後に、プロテクトフィルムを貼合せ、その後導電性パターン層を形成することが好ましい。導電性パターンを先に形成した後に反射防止層を形成する場合、反射防止層と支持体の接着性を向上させるために行うプラズマ処理やコロナ処理の効率が低下しやすい傾向にあるため、反射防止層を最初に形成することが好ましい。又、反射防止層を先に形成した場合、該層が現像及びメッキ処理等により劣化することを防止するという観点から、予めプロテクトフィルムを貼合せた後、導電性パターン層を形成することが好ましい。
【0143】
本発明において用いられるプロテクトフィルムは、一般的に市販されているプロテクトフィルムを用いることが出来るが、導電性パターン形成のための感光性層を塗工しやすくするという観点から、フィルムの厚さは10〜100μmが好ましく、特に好ましくは20〜60μmである。10μm未満の場合、フィルムの剛性が著しく低下するためプロテクトフィルムの貼合せの作業効率が低下しやすく、又100μmより厚い場合、フィルムの巻き取り時に巻き取り皺等の故障が発生しやすくなるためである。
【0144】
プロテクトフィルムに用いられる粘着剤の種類には特に制限はないが、反射防止フィルムを変質させることなく、又剥離時に反射防止フィルムにダメージを与えないものが好ましく用いられる。この様な観点から、アクリル系、又はシリコーン系の粘着剤が好ましく用いられる。又、その粘着力としては、0.08〜0.6N/25mmであるものが好ましく用いられる。
【実施例】
【0145】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施態様における各種条件は、本発明の特徴や趣旨を逸脱しない限り適宜変更することが出来、本発明の範囲は以下の実施例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0146】
実施例1
〔感光材料の作製〕
(支持体の準備)
下引き処理された厚みが100μm、幅320mm、長さ200mのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)フィルムを準備した。
【0147】
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
反応容器内で下記溶液Aを34℃に保ち、特開昭62−160128号公報記載の混合撹拌装置を用いて高速に撹拌しながら、硝酸(6%)を用いてpHを2.95に調整した。引き続き、ダブルジェット法を用いて下記溶液Bと下記溶液Cを一定の流量で8分6秒間かけて添加した。添加終了後に、炭酸ナトリウム(5%)を用いてpHを5.90に調整し、続いて下記溶液Dと溶液Eを添加した。
【0148】
(溶液A)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 18.7g
塩化ナトリウム 0.31g
溶液I 1.59ml
純水 1246ml
(溶液B)
硝酸銀 169.9g
硝酸(濃度6%) 5.89ml
純水にて317.1mlに仕上げる
(溶液C)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 5.66g
塩化ナトリウム 58.8g
臭化カリウム 13.3g
溶液I 0.85ml
溶液II 2.72ml
純水にて317.1mlに仕上げる
(溶液D)
2−メチル−4ヒドロキシ−1,3,3a,7−テトラアザインデン 0.56g
純水 112.1ml
(溶液E)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 3.96g
溶液I 0.40ml
純水 128.5ml
(溶液I)
界面活性剤:ポリイソプロピレンポリエチレンオキシジコハク酸エステルナトリウム塩の10%メタノール溶液
(溶液II)
六塩化ロジウム錯体の10%水溶液
上記操作終了後に、常法に従い40℃にてフロキュレーション法を用いて脱塩及び水洗処理を施し、溶液Fと防黴剤を加えて60℃でよく分散し、40℃にてpHを5.90に調整して、最終的に臭化銀を10モル%含む平均粒子径0.09μm、変動係数10%の塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。
【0149】
(溶液F)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 16.5g
純水 139.8ml
次に上記のハロゲン化銀乳剤を60℃にした後に、分光増感色素SD−1の所定量を、固体微粒子状の分散物として添加した後に、アデニン、チオシアン酸アンモニウム、塩化金酸及びチオ硫酸ナトリウムの混合水溶液及びトリフェニルフォスフィンセレナイドの分散液を加え、更に60分後に沃化銀微粒子乳剤を加え、総計2時間の熟成を施した。熟成終了時に安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン(TAI)の所定量を添加した。
【0150】
なお、上記の添加剤とその添加量(AgX1モル当たり)を下記に示す。
【0151】
5,5′−ジクロロ−9−エチル−3,3′−ジ−(スルホプロピル)
−オキサカルボシアニンナトリウム塩無水物 2.0mg
5,5′−ジ−(ブトキシカルボニル)−3,3′−ジ−(4−スルホブチル)−ベンゾイミダゾロカルボシアニンナトリウム塩無水和物 120mg
アデニン 15mg
チオシアン酸カリウム 95mg
塩化金酸 2.5mg
チオ硫酸ナトリウム 2.0mg
トリフェニルフォスフィンセレナイド 0.4mg
沃化銀微粒子 280mg
4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン(TAI)
500mg
分光増感色素の固体微粒子状分散物は以下の方法によって調製した。即ち、分光増感色素の所定量を予め27℃に調温した水に加え高速撹拌機(ディゾルバー)で3,500rpmにて30〜120分間にわたって撹拌することによって得た。
【0152】
上記のセレン増感剤の分散液は次のように調製した。即ち、トリフェニルフォスフィンセレナイド120gを50℃の酢酸エチル30kg中に添加、撹拌し、完全に溶解した。他方で写真用ゼラチン3.8kgを純水38kgに溶解し、これにドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム25%水溶液93gを添加した。次いでこれらの2液を混合して直径10cmのディゾルバーを有する高速撹拌型分散機により50℃下において分散翼周速40m/秒で30分間分散を行った。その後速やかに減圧下で、酢酸エチルの残留濃度が0.3質量%以下になるまで撹拌を行いつつ、酢酸エチルを除去した。その後、この分散液を純水で希釈して80kgに仕上げた。この様にして得られた分散液の一部を分取して上記実験に使用した。
【0153】
尚、上記の沃化銀微粒子の添加によりハロゲン化銀粒子乳剤中に含有されるハロゲン化銀粒子の最表面の平均ヨード含有率は約4モル%であった。
【0154】
次に、この様にして増感を施した乳剤に下記添加剤を加え感光性層用塗布液とした。又同時に保護層用塗布液も調製した。
【0155】
【化2】

【0156】
(塗布)
エクストルージョン型塗布装置を用いて、準備した支持体の片面に、感光性層用塗布液(塗布銀量が1.0g/m2)と保護層用塗布液(乾燥後の厚さ50μm)を同時重層塗布、乾燥し、感光層の有効幅が300mm、感光波長域350nm〜520nmの感光材料を準備した。感光材料を得た。
【0157】
(感光性層用塗布液)
上記で得た乳剤に下記の各種添加剤を加えた。
【0158】
2,6−ビス(ヒドロキシアミノ)−4−ジエチルアミノ−1,3,5−トリアジン
5mg/m2
t−ブチル−カテコール 130mg/m2
ポリビニルピロリドン(分子量10,000) 35mg/m2
スチレン−無水マレイン酸共重合体 80mg/m2
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 80mg/m2
トリメチロールプロパン 350mg/m2
ジエチレングリコール 50mg/m2
ニトロフェニル−トリフェニル−ホスホニウムクロリド 20mg/m2
1,3−ジヒドロキシベンゼン−4−スルホン酸アンモニウム 500mg/m2
2−メルカプトベンツイミダゾール−5−スルホン酸ナトリウム 5mg/m2
n−C49OCH2CH(OH)CH2N(CH2COOH)2 350mg/m2
コロイダルシリカ 0.5g/m2
デキストリン(平均分子量1000) 0.2g/m2
ただし、ゼラチンとしては1.0g/m2になるように調整した。
【0159】
(保護層用塗布液)
ゼラチン 0.8g/m2
ポリメチルメタクリレートからなるマット剤(面積平均粒径7.0μm)
50mg/m2
ホルムアルデヒド 20mg/m2
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウム塩
10mg/m2
ビス−ビニルスルホニルメチルエーテル 36mg/m2
ポリアクリルアミド(平均分子量10,000) 0.1g/m2
ポリアクリル酸ナトリウム 30mg/m2
ポリシロキサン 20mg/m2
919−O−(CH2CH2O)11−H 3mg/m2
817SO2N(C37)−(CH2CH2O)15−H 2mg/m2
817SO2N(C37)−(CH2CH2O)4−(CH24SO3Na
1mg/m2
〈光透過性電磁波シールドフィルムの作製〉
〔露光〕
準備した感光材料に、図2に示す露光装置を使用し、図3(a)に示した格子状のフォトマスク(格子間距離250μm、線幅5μm)を介して露光した。尚、露光装置の光源は、点光源のタングステン光源(可視光光源)を50mm間隔で幅550mmにわたって配置し線光源をマスクに対して左右対称となるように配置して使用した。
【0160】
[露光装置の準備]
(マスクの準備)
中空円筒状基体の準備
厚さ7mm、透過率99%、直径200mm、幅600mmのガラス製の中空円筒状基体を準備し以下に示すマスクを作製した。厚さはノギスで測定した値を示す。透過率は中空円筒状基体と同一製法で作製されたサンプルの小片を(株)日立ハイテクノロジーズ製 日立分光硬度計 U−3010で測定し、可視光領域の平均透過率で示した。
【0161】
(マスクの作製)
準備した中空円筒状基体の周全面、幅手の中央に、図2に示される様に感光材料の有効幅より狭い280mmで図3(a)に示されるパターンを蒸着法にて連続して形成した。
【0162】
透過部分の幅は10μmとした。遮蔽部分の厚さは300nmであった。厚さは、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製 蛍光X線膜厚計 SFT9455で測定した値を示す。形成したパターンの表面は、MgF2とSiO2の多層膜でコーティングし反射防止層を形成した。最小反射波長は400nm、最小反射率は1%、反射防止層表面の鉛筆硬度は4Hであった。
【0163】
(光源)
準備したマスクの中空円筒状基体の内部に、点光源のタングステン光源(可視光光源)を50mm間隔で幅550mmにわたって配置し線状連続光源とした。マスクの感光材料と非接触の部分の外周面にはマスクから感光材料が離れる箇所に長さ30mm、厚さ1mmで表面に黒色ツヤ消し塗装した金属製の遮蔽部材を配設した。
【0164】
(露光)
露光条件として、感光材料の張力を100N、感光材料の搬送速度を3m/min、マスクの周速度を3m/minとして行った。
【0165】
(処理)
図1(a)に示す製造装置を使用し、物理現像処理が終わるまで乾燥することなく化学現像処理、定着処理、水洗処理、物理現像処理、第1水洗処理、第2水洗処理、乾燥処理を行いロール状に巻き取り図4(a)に示すパターンを有する光透過性電磁波シールドフィルムを作製し試料No.101とした。尚、比較試料として、定着処理、水洗処理を行った後に、温度65℃で乾燥処理を行った他は試料No.101と同じ処理を行い光透過性電磁波シールドフィルムを作製し試料No.102とした。
【0166】
〔化学現像処理〕
露光した感光材料を、下記化学現像液を用いて20±0.3℃で10分現像した。
【0167】
(化学現像処理液)
水 750ml
メトール 2g
無水亜硫酸ナトリウム 100g
ハイドロキノン 5g
ほう砂 2g
銀スラッジ防止剤(I−21) 2g
水を加えて総量を1000mlに仕上げる
[定着処理]
次に下記定着液を用いて20±1.0℃で10分定着した。
【0168】
(定着処理液)
水 600ml
チオ硫酸ナトリウム 240g
亜硫酸ナトリウム 15g
酢酸(28%) 48ml
ほう酸 7.5g
粉末カリミョウバン 15g
水を加えて総量を1000mlに仕上げ、アンモニア水又は氷酢酸を用いてpH4.3に調整する。
【0169】
[定着処理後の水洗処理]
比抵抗値が10.0MΩ・cmの水で温度25℃、5分間、流量20ml/minで水洗処理した。尚、比抵抗値はELGA製PURELAB UFを使用し、添加量により調整した。比抵抗値はHORIBA(株)製HE−960RWで測定した値を示す。
【0170】
〔物理現像処理〕
下記に示す物理現像処理液を調製し、これを用いて30±0.3℃で10分物理現像処理を行った。
【0171】
(物理現像処理液)
水 900ml
クエン酸 10g
リン酸水素二ナトリウム 25g
アンモニア水(28%) 3ml
ハイドロキノン 2.3g
硝酸銀 0.23g
銀スラッジ防止剤(I−21) 2g
水を加えて総量を1000mlに仕上げる。
【0172】
[物理現像処理後の第1水洗処理]
比抵抗値が0.001MΩ・cmの水で温度25℃、5.0分間、流量20ml/minで水洗処理した。尚、比抵抗値はELGA製PURELAB UFを使用し調整した。比抵抗値はHORIBA(株)製HE−960RWで測定した値を示す。
【0173】
[物理現像処理後の第2水洗処理]
比抵抗値が10.0MΩ・cmの水で温度25℃、5.0分間、流量20ml/minで水洗処理した。尚、比抵抗値はELGA製PURELAB UFを使用し調整した。比抵抗値はHORIBA(株)製HE−960RWで測定した値を示す。
【0174】
(乾燥処理)
温度65℃で乾燥処理を行った。
【0175】
評価
作製した試料No.101、102に付き、点状故障個数、導電性を以下の方法で測定した結果を表1に示す。
【0176】
点状故障個数の測定方法
端尾から10mの箇所から100mを切り出し、ランダムに10cm×10cmを10箇所で50μ以上の点状故障の数を目視で測定し平均した。
【0177】
表面抵抗値の測定方法
ダイアインスツルメンツ(株)製 ロレスターGP MCP−T610を使用し、ロレスターの4端子法で測定した。
【0178】
【表1】

【0179】
本発明の有効性が確認された。
【0180】
実施例2
〔感光材料の作製〕
実施例1と同じ感光材料を準備した。
【0181】
〈光透過性電磁波シールドフィルムの作製〉
〔露光〕
実施例1と同じ方法でパターン露光を行った。
【0182】
(処理)
図1(b)に示す製造装置を使用し、メッキ処理が終わるまで乾燥することなく化学現像処理、定着処理、物理現像処理、水洗処理、メッキ処理、第1水洗処理、第2水洗処理、乾燥処理を行いロール状に巻き取り図4(a)に示すパターンを有する光透過性電磁波シールドフィルムを作製し試料No.201とした。又、図1(b)に示す製造装置を使用し、物理現像処理が終了した後、温度65℃で乾燥処理を行い巻き取り、温度25℃、湿度55%RHで4日間保管した。この後、メッキ処理、第1水洗処理、第2水洗処理、乾燥処理を行いロール状に巻き取り図4(a)に示すパターンを有する光透過性電磁波シールドフィルムを作製し試料No.202とした。尚、比較試料として、定着処理、水洗処理を行った後に、温度65℃で乾燥処理を行った他は試料No.201と同じ処理を行い光透過性電磁波シールドフィルムを作製し試料No.203とした。
【0183】
〔化学現像処理〕
実施例1と同じ化学現像処理液を使用し、実施例1と同じ条件で化学現像処理を行った。
【0184】
[定着処理]
実施例1と同じ定着処理液を使用し、実施例1と同じ条件で定着処理を行った。
【0185】
[定着処理後の水洗処理]
実施例1と同じ条件で水洗処理を行った。
【0186】
〔物理現像処理〕
実施例1と同じ物理現像処理液を使用し、実施例1と同じ条件で物理現像処理を行った。
【0187】
[物理現像処理後の第1水洗処理]
実施例1と同じ条件で水洗処理を行った。
【0188】
[物理現像処理後の第2水洗処理]
実施例1と同じ条件で水洗処理を行った。
【0189】
[メッキ処理理]
下記に示すメッキ処理液を調製し、これを用いて25±1.0℃で10分間メッキ処理を行った。
【0190】
(メッキ処理液)
硫酸銅 0.04モル
ホルムアルデヒド(37%) 0.08モル
水酸化ナトリウム 0.10モル
トリエタノールアミン 0.05モル
ポリエチレングリコール 100ppm
水を加えて全量を1リットルとする。
【0191】
(乾燥処理)
温度65℃で乾燥処理を行った。
【0192】
評価
作製した試料No.201〜203に付き、点状故障個数、導電性を実施例1と同じ方法で測定した結果を表2に示す。
【0193】
【表2】

【0194】
本発明の有効性が確認された。
【0195】
実施例3
〔感光材料の作製〕
実施例1と同じ感光材料を準備した。
【0196】
〈光透過性電磁波シールドフィルムの作製〉
〔露光〕
実施例1と同じ方法でパターン露光を行った。
【0197】
(処理)
図1(a)に示す製造装置を使用し、表3に示す様に定着処理後の水洗処理の比抵抗値を変え物理現像処理が終わるまで乾燥することなく化学現像処理、定着処理、水洗処理、物理現像処理、水洗処理、乾燥処理を行いロール状に巻き取り図4(a)に示すパターンを有する光透過性電磁波シールドフィルムを作製し試料No.301〜308とした。尚、水洗水の比抵抗値は塩化カルシウムを添加することで調整した。比抵抗は実施例1と同じ方法で測定した値を示す。
【0198】
〔化学現像処理〕
実施例1と同じ化学現像処理液を使用し、実施例1と同じ条件で化学現像処理を行った。
【0199】
[定着処理]
実施例1と同じ定着処理液を使用し、実施例1と同じ条件で定着処理を行った。
【0200】
[定着処理後の水洗処理]
表3に示した比抵抗が異なる水を使用し、実施例1と同じ条件で水洗処理を行った。
【0201】
〔物理現像処理〕
実施例1と同じ物理現像処理液を使用し、実施例1と同じ条件で物理現像処理を行った。
【0202】
[物理現像処理後の第1水洗処理]
実施例1と同じ条件で水洗処理を行った。
【0203】
[物理現像処理後の第2水洗処理]
実施例1と同じ条件で水洗処理を行った。
【0204】
(乾燥処理)
温度65℃で乾燥処理を行った。
【0205】
評価
作製した試料No.301〜308に付き、点状故障個数を実施例1と同じ方法で測定した結果を表3に示す。
【0206】
【表3】

【0207】
本発明の有効性が確認された。
【0208】
実施例4
〔感光材料の作製〕
実施例1と同じ感光材料を準備した。
【0209】
〈光透過性電磁波シールドフィルムの作製〉
〔露光〕
実施例1と同じ方法でパターン露光を行った。
【0210】
(処理)
図1(a)に示す製造装置を使用し、表4に示す様に物理現像処理後の第1水洗処理及び第2水洗処理の水の比抵抗値を変え第2水洗処理が終わるまで乾燥することなく化学現像処理、定着処理、水洗処理、物理現像処理、第1水洗処理、第2水洗処理、乾燥処理を行いロール状に巻き取り図4(a)に示すパターンを有する光透過性電磁波シールドフィルムを作製し試料No.401〜416とした。
【0211】
尚、水洗水の比抵抗値は塩化カルシウムを添加することで調整した。比抵抗は実施例1と同じ方法で測定した値を示す。
【0212】
〔化学現像処理〕
実施例1と同じ化学現像処理液を使用し、実施例1と同じ条件で化学現像処理を行った。
【0213】
[定着処理]
実施例1と同じ定着処理液を使用し、実施例1と同じ条件で定着処理を行った。
【0214】
[定着処理後の水洗処理]
表3に示した比抵抗が異なる水を使用し、実施例1と同じ条件で水洗処理を行った。
【0215】
〔物理現像処理〕
実施例1と同じ物理現像処理液を使用し、実施例1と同じ条件で物理現像処理を行った。
【0216】
[物理現像処理後の第1水洗処理]
表4に示す比抵抗を変えた水を使用し、実施例1と同じ条件で水洗処理を行った。
【0217】
[物理現像処理後の第2水洗処理]
表4に示す比抵抗を変えた水を使用し、実施例1と同じ条件で水洗処理を行った。
【0218】
(乾燥処理)
温度65℃で乾燥処理を行った。
【0219】
評価
作製した試料No.401〜416に付き、点状故障個数、導電性を実施例1と同じ方法で測定した結果を表3に示す。
【0220】
【表4】

【0221】
本発明の有効性が確認された。
【0222】
実施例5
〔感光材料の作製〕
実施例1と同じ感光材料を準備した。
【0223】
〈光透過性電磁波シールドフィルムの作製〉
〔露光〕
実施例1と同じ方法でパターン露光を行った。
【0224】
(処理)
(化学現像処理液の準備)
実施例1に示す化学現像処理液に表5に示す銀スラッジ防止剤を添加した化学現像処理液を調製しNo.5−1〜5−6とした。
【0225】
【表5】

【0226】
(物理現像処理液の準備)
実施例1に示す物理現像処理液に表6に示す一般式(1)、(2)で示される銀スラッジ防止剤を添加した化学現像処理液を調製しNo.5−a〜5−fとした。
【0227】
【表6】

【0228】
図1(b)に示す製造装置を使用し、準備した化学現像処理No.5−1〜5−6、物理現像処理液No.5−a〜5−fを使用し、メッキ処理が終わるまで乾燥することなく化学現像処理、定着処理、物理現像処理、水洗処理、メッキ処理、第1水洗処理、第2水洗処理、乾燥処理を行いロール状に巻き取り図4(a)に示すパターンを有する光透過性電磁波シールドフィルムを作製し試料No.501〜513とした。
【0229】
〔化学現像処理〕
表5に示す化学現像処理液No.5−1〜5−6を使用し、実施例1と同じ条件で化学現像処理を行った。
【0230】
[定着処理]
実施例1と同じ定着処理液を使用し、実施例1と同じ条件で定着処理を行った。
【0231】
[定着処理後の水洗処理]
実施例1と同じ条件で水洗処理を行った。
【0232】
〔物理現像処理〕
表6に示す物理現像処理液No.5−a〜5−fを使用し、実施例1と同じ物理現像処理液を使用し、実施例1と同じ条件で物理現像処理を行った。
【0233】
[物理現像処理後の第1水洗処理]
実施例1と同じ条件で水洗処理を行った。
【0234】
[物理現像処理後の第2水洗処理]
実施例1と同じ条件で水洗処理を行った。
【0235】
[メッキ処理理]
実施例2と同じメッキ処理液を使用し、実施例2と同じ条件でメッキ処理を行った。
【0236】
(乾燥処理)
温度65℃で乾燥処理を行った。
【0237】
評価
作製した試料No.501〜513に付き、点状故障個数を実施例1と同じ方法で測定した結果を表7に示す。
【0238】
【表7】

【0239】
本発明の有効性が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0240】
【図1】電磁波シールドフィルムの製造装置の模式図である。
【図2】図1(a)のRで示される部分の拡大概略斜視図である。
【図3】図2のSに示される部分の拡大概略平面図である。
【図4】図3に示されるマスクを使用し図1に示される電磁波シールドフィルムの製造装置で製造した電磁波シールドフィルムの電磁波シールドパターンの概略図である。
【符号の説明】
【0241】
1a、1b 製造装置
2 供給工程
201 感光材料
202 電磁波シールドフィルム
3 露光工程
3a 露光装置
3a1 マスク
3a11 円筒型基体
4 化学現像処理工程
4a 化学現像処理装置
5 定着処理工程
5a 定着処理装置
5b 水洗処理装置
6 物理現像処理工程
6a 物理現像処理装置
6b 第1水洗処理装置
6c 第2水洗処理装置
6d、8c 乾燥処理装置
7、9 回収工程
8 メッキ処理工程
8a メッキ処理装置
8b 水洗処理装置
U シールド部分
T 透過部分
U′ 光透過部
T′ 導電性金属部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の上にハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有する感光性層を有する感光材料を露光した後、少なくとも化学現像処理工程、定着処理工程、物理現像処理工程をこの順で有する製造装置を用いて、導電性金属部と光透過性部とを有する光透過性電磁波シールドフィルムを製造する光透過性電磁波シールドフィルムの製造方法において、
前記化学現像処理工程から少なくとも前記物理現像処理工程までを乾燥させることなく処理することを特徴とする光透過性電磁波シールドフィルムの製造方法。
【請求項2】
前記物理現像処理工程の後にメッキ処理工程を有する製造装置を用いて、該物理現像処理工程で物理現像処理した後にメッキ処理工程でメッキ処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の光透過性電磁波シールドフィルムの製造方法。
【請求項3】
前記定着処理工程の後の物理現像処理工程の前に行う水洗処理は、比抵抗値が0.1MΩ・cm〜18.2MΩ・cmの水を用いて行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
【請求項4】
前記物理現像処理工程の後に、第1水洗処理工程、第2水洗処理工程をこの順で設け、該第1水洗処理工程での第1水洗処理を比抵抗値が0.1〜18.2MΩ・cmの水を用いて行い、該第2水洗処理工程での第2水洗処理を比抵抗値が0.1MΩ・cm〜0.0001MΩ・cmの水を用いて行い、且つ、該第1水洗処理の後、乾燥させずに、引き続き該第2水洗処理を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法にて製造されたことを特徴とする電磁波シールドフィルム。
【請求項6】
請求項5に記載の電磁波シールドフィルムを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−81245(P2009−81245A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248812(P2007−248812)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】