説明

電磁波シールド部材

【課題】従来の黒化処理された金属と透明フィルムを接着剤で積層し、その後エッチングにより金属メッシュを作る方法に比べ、電磁波シールド層の透明性に優れ、歩留まりが良好で経済性にも優れ、接地(アース)のための外部導電部と接続が容易な電磁波シールド性光透過部材の提供を目的とする。
【解決手段】2枚の支持フィルム間に、粘着剤と電磁波シールド層を含有することを特徴とする電磁波シールド性光透過部材であって、該電磁波シールド性光透過部材の端部の電磁波シールド層の少なくとも一部が2枚の支持フィルム間から突出しており、かつ少なくとも一方の支持フィルムが剥離性支持フィルムであることを特徴とする電磁波シールド性光透過部材とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ及びその他のディスプレイから輻射される電磁波を遮断する前面フィルタや、病院のように電磁波シールドを必要とする建築物の建築材料として有用な電磁波シールド性光透過部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、普及しつつあるプラズマディスプレイ等のディスプレイは、それらから発生される電磁波が他の機器への誤作動を招く問題があった。
各種ディスプレイの前面から発生する電磁波を遮蔽するためには、電磁波シールド性と透明性とを併せ持つ電磁波遮蔽構成体を各種ディスプレイに取り付け、該電磁波遮蔽構成体を接地のための外部電極と接続することが行われている。
【0003】
このような電磁波遮蔽構成体は、電磁波シールド性フィルムとプラスチック板を重ねて加圧してなるものである。電磁波シールド性フィルムは、プラスチックフィルムと、該プラスチックフィルム上に設けた接着剤層と、該接着剤層の上に接着した導電性材料の金属箔から描かれた幾何学図形とからなる電磁波シールド層で構成される。前記導電性材料の金属箔は、前記接着剤層への貼合せ面が粗化されており、前記幾何学図形は、前記金属箔をケミカルエッチングプロセスで描かれたもので、前記幾何学図形の外周に該幾何学図形と電気的に接続した導電性の額縁部を設けており、前記接着剤層は、加熱又は加圧により流動するものであり、かつ前記金属箔との接着により粗化形状が転写されて粗化された面を有しており、さらに、前記幾何学図形及び前記接着剤層の粗化された面の上に加熱又は加圧により接着した透明層を設けたものが知られている。
【0004】
しかしながら、接着剤層への貼合せ面が粗化された金属箔と接着剤層を貼合せてから金属箔をケミカルエッチングして製造される従来の電磁波シールド性フィルムは、粗化された金属の凹凸面が接着剤層に転写され、凹凸を有する接着剤層を介して画像を見ることになるので、必ずしも画像が鮮明に見えない。
この課題を克服する為に、特許第3480898号公報において、粗化された金属の凹凸面が転写した接着剤層を透明化したディスプレイ用電磁波シールド性フィルム、具体的には粗化された金属の凹凸面が転写した接着剤層の上に、加熱又は加圧により接着した透明層を設け、接着剤層の凹凸面を濡らすことにより透明化を図ったものが提案されている。
【特許文献1】特許第3480898号公報
【特許文献2】特開2000―323890号公報
【特許文献3】特開2000−323891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許第3480898号公報に開示されているディスプレイ用電磁波シールド性フィルムでは、接着剤層の凹凸面に微小な空気が残りやすく、その残った空気部はディスプレイとしては欠陥部となってしまう。また、いくら透明層を加熱又は加圧により接着したとしても、接着剤層と屈折率が異なる透明層を設けた場合、完全な透明にはならず、透明性がやや低くなる。
さらに、電磁波シールド層の幾何学図形(以下メッシュとする)は金属層をエッチングすることで形成されるため、接着剤層を介して金属層を接着しているプラスチックフィルムは、エッチング液等の各種薬液に曝され、かつ製造ラインを通過することで送りロール等の様々なロールを通過する。
【0006】
それらによってプラスチックフィルムには薬液での劣化やロールでの細かな傷つきが発生してしまう。このため、透明性や平滑性が低下してディスプレイとしての品質が低下する問題があった。
また、ディスプレイとしてのコントラストを高めるために金属層表面は黒化処理されている。黒化処理とはプリント配線板分野で一般的に行われている方法をいう。黒化処理によって金属層表面に酸化膜を形成するが、同時に微細な針状結晶も生成する。その針状結晶が電磁波シールド層の被エッチング部(メッシュ部以外の金属層の開口部)へ付着すると、ディスプレイの欠陥になり歩留まりが低下する。
先のプラスチックフィルムの傷つきによる欠陥及び針状結晶等の異物付着による歩留まり低下が発生すると経済性も劣ることとなる。
【0007】
本発明は、従来の黒化処理された金属と透明フィルムを接着剤で積層し、その後エッチングにより金属メッシュを作る方法に比べ、電磁波シールド層の透明性に優れ、歩留まりが良好で経済性にも優れ、接地(アース)のための外部導電部と接続が容易な電磁波シールド性光透過部材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、2枚の支持フィルム間に、粘着剤と電磁波シールド層を含有することを特徴とする電磁波シールド性光透過部材であって、該電磁波シールド性光透過部材の端部の電磁波シールド層の少なくとも一部が2枚の支持フィルム間から突出しており、かつ少なくとも一方の支持フィルムが剥離性支持フィルムであることを特徴とする電磁波シールド性光透過部材である。
【0009】
請求項2の発明は、前記2枚の支持フィルムがいずれも剥離性支持フィルムであることを特徴とする請求項1記載の電磁波シールド性光透過部材である。
【0010】
請求項3の発明は、前記電磁波シールド層の突出部が外部導電部と接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波シールド性光透過部材である。
【0011】
請求項4の発明は、下記の工程を含み、かつ電磁波シールド性光透過部材の端部の電磁波シールド層の少なくとも一部が2枚の支持フィルム間から突出しており、少なくとも一方の支持フィルムが剥離性支持フィルムであることを特徴とする電磁波シールド性光透過部材の製造方法である。
(1)金属箔と基材フィルムとを、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を介して貼付する工程、
(2)前記金属箔の選択的エッチングによって金属メッシュを形成する工程、
(3)金属メッシュに黒化処理を施す工程、
(4)基材フィルム、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤、金属メッシュからなる積層体の金属メッシュ面と、支持フィルム上に粘着剤を塗布した積層体の粘着剤面とを、貼付する工程、
(5)前記金属メッシュと前記基材フィルムとを貼付する前記粘着力消失型粘着剤の粘着力を、活性エネルギー線照射で低下させることにより、前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離する工程、
(6)前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離した剥離面と、新たな支持フィルムとを、貼付する工程、及び
(7)露出したメッシュを粘着剤中へ埋め込む工程
【0012】
請求項5の発明は、下記の工程を含み、かつ電磁波シールド性光透過部材の端部の電磁波シールド層の少なくとも一部が2枚の支持フィルム間から突出しており、少なくとも一方の支持フィルムが剥離性支持フィルムであることを特徴とする電磁波シールド性光透過部材の製造方法である。
(1)金属箔と基材フィルムとを、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を介して貼付する工程、
(2)前記金属箔の選択的エッチングによって金属メッシュを形成する工程、
(3)金属メッシュに黒化処理を行う工程、
(4)基材フィルム、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤、金属メッシュからなる積層体の金属メッシュ面と、支持フィルム上に粘着剤を塗布した積層体の粘着剤面とを、貼付する工程、
(5)前記金属メッシュと前記基材フィルムとを貼付する前記粘着力消失型粘着剤の粘着力を、活性エネルギー線照射で低下させることにより、前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離する工程、
(6)前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離した剥離面と、新たな支持フィルム上に粘着剤を塗布した積層体の粘着剤面とを、貼付する工程、及び
(7)露出したメッシュを粘着剤中へ埋め込む工程
【0013】
請求項6の発明は、前記2枚の支持フィルムがいずれも剥離性支持フィルムであることを特徴とする請求項4または5に記載の電磁波シールド性光透過部材の製造方法である。
【0014】
請求項7の発明は、前記電磁波シールド層の突出部が外部導電部と接続されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の電磁波シールド性光透過部材である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、電磁波シールド部材製造中に発生する基材フィルムへの傷や透明性の低下を無くすことができる。また、黒化処理による微細な結晶付着に起因するディスプレイ欠陥を無くし、歩留まりが良好で経済的に優れた電磁波シールド部材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の電磁波シールド部材について説明する。
本発明の支持フィルムは、可とう性を有し、活性エネルギー線を透過できる、プラスチックフィルムであることが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル類、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂等のフィルムが挙げられるが、価格や取り扱い性の面からPETフィルムを用いることが好ましい。
【0017】
また、本発明の2枚の支持フィルムのうち少なくとも一つは剥離性支持フィルムを用いる。剥離性支持フィルムは、プラスチックフィルム上にシリコンやフッ素等によって公知の剥離処理を施したフィルムをいう。剥離処理を施したことにより、剥離フィルムを基材などに貼付した場合でも、任意の方法で簡便に引き剥がすことが可能となる。剥離フィルムは単なる透明プラスチックフィルム等と区別して用いられる。市販されている剥離フィルムを用いることもできる。例えば、東洋紡製E7002、パナック社製再剥離フィルムNTなどである。
また、本発明の剥離性支持フィルムとして、プラスチックフィルムなどの基材フィルムに後述する活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を塗布したものを用いることもできる。ただし、プラスチックフィルム上にシリコンやフッ素等によって公知の剥離処理を施したフィルムを用いることが好ましい。
【0018】
前記プラスチックフィルムは、具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル類、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂等のフィルムが挙げられるが、価格や取り扱い性の面からPETフィルムを用いることが好ましい。これらのプラスチックフィルムは本発明の基材フィルムとして用いることができる。
【0019】
前記支持フィルムは、透明であることが好ましく、具体的には可視光域の光線透過率が50%以上好ましくは80%以上であり、また濁度(Haze)が10以下であることが好ましい。また、プラズマディスプレイなどのディスプレイ用とに用いる場合、耐衝撃性あるいはガラス飛散防止性を有することが好ましい。
【0020】
本発明の電磁波シールド部材は、少なくとも一つが剥離性である2枚の支持フィルムの間に粘着剤と電磁波シールド層を含有することとなる。
2枚の支持フィルムが両方剥離性であってもよく、両方剥離性であれば、電磁波シールド層のみを他の部材に転写して使用することができる。
2つの支持フィルムの位置関係は、平行であっても良いし、平行でなくとも良い。なお、2つの支持フィルムの位置関係は平行であることが好ましい。
【0021】
本発明において2枚の支持フィルムの間に、電磁波シールド層を設けることによって、シールド製造工程における傷の発生を防止し、シールドの透明性を向上させることができる。また、従来のシールド製造方法に比べて、少なくとも1層分のプラスチックフィルムを省くことができるため経済性も良い。さらに、ディスプレイ、全面フィルタ及び電磁波シールド性建材等の薄型化に寄与することとなる。
電磁波シールド性光透過部材の両面に支持フィルムを使わない場合には、製造工程においてメッシュ開口部に異物が付着するため、シールドが傷つき、透明性も低下する。また、薬液による損傷も増す。
【0022】
また、支持フィルムのうち、一方のみを剥離性にする場合は、もう一方の支持フィルムに、予めハードコート機能、帯電防止機能、近赤外線吸収機能、紫外線吸収機能、色補正機能、防眩機能のいずれか一つ以上の機能を有する機能層を設けても良い。
【0023】
本発明の電磁波シールド層とは、導電性金属箔にケミカルエッチング等のフォトリソグラフ法や印刷法により幾何学図形のメッシュを形成した導電性金属層およびこれに類する金属層をいう。
導電性金属箔としては、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、クロム、チタン等の金属、あるいはそれらの2種以上を組み合わせた合金が挙げられる。なかでも、導電性や回路加工の容易さ、価格の面から銅、ニッケル、アルミニウム及びそれらの合金が好ましく、銅及び銅合金が更に好ましい。
【0024】
金属箔の厚みは、0.5〜40μmが好ましく、更に1〜30μmが好ましい。40μmを越えると、細かいラインの形成が困難になるだけでなく、視野角も狭くなる。また、厚さ0.5μm未満では表面抵抗が大きくなり、電磁波シールド効果が劣る傾向にある。
【0025】
メッシュの形状は、メッシュを構成する単位形状として、正三角形や二等辺三角形、直角三角形等の三角形、正方形、長方形、ひし形、平行四辺形、台形等の四角形、六角形、八角形、十二角形、二十角形等のn角形(nは正数)、円、だ円、星形等が挙げられる。
メッシュの形状は、前記単位形状の1種または2種以上の組合せからなる。メッシュを構成する単位形状は、電磁波シールド性の観点からは、三角形が最も有効であるが、可視光線透過率の観点からはn角形のnが大きいものが好ましい。前記メッシュの外周に該メッシュと電気的に接続した導電性の額縁部を設けることが望ましい。
【0026】
メッシュを構成するラインの幅は40μm以下、ラインの間隔は100μm以上、ラインの厚みは40μm以下の範囲にすることが好ましい。また、メッシュの非視認性の観点から、ライン幅は25μm以下、可視光線透過率の点からライン間隔は120μm以上、ライン厚みは18μm以下が更に好ましい。ライン幅は40μm以下、特に25μm以下が好ましく、あまりに小さく、細くなると表面抵抗が大きくなりすぎてシールド効果に劣るので、1μm以上が好ましい。ラインの厚みは40μm以下が好ましく、あまりに厚みが薄いと表面抵抗が大きくなりすぎて、シールド効果に劣るので、0.5μm以上が好ましく、1μm以上が更に好ましい。ライン間隔は、大きいほど開口率が向上し、可視光線透過率は向上する。前述のようにディスプレイ前面に使用する場合、開口率は50%以上が好ましいが、60%以上が更に好ましく、更に80%以上が好ましい。ライン間隔が大きくなりすぎると、電磁波シールド性が低下する為、ライン間隔は1000μm(1mm)以下とすることが好ましい。ここで開口率とは、電磁波シールド性フィルムの有効面積に対する、有効面積から金属メッシュの面積を引いた面積の比の百分率である。
【0027】
導電性金属箔を用いてメッシュを形成する方法としては、金属箔にマイクロリソグラフ法を用いてメッシュを形成する方法が、加工の精度及び加工の効率の面から好ましい。マイクロリソグラフ法では、金属箔上へのレジスト層の形成、エッチングによるレジストハターンの形成、金属箔のエッチング、レジスト層の剥離、中和、黒化処理が順次行われる。レジストパターンは、スクリーン印刷法、凸版オフセット印刷法によりエッチング工程を経ないで作成することもできる。マイクロリソグラフ法としては、フォトリソグラフ法、X線リソグラフ法、電子線リソグラフ法、イオンビームリソグラフ法などがある。これらの中でも、その簡便性、量産性の点からフォトリソグラフ法が最も効率がよい。なかでもケミカルエッチングを用いたフォトリソグラフ法は、その簡便性、経済性、金属メッシュ加工精度などの点から最も好ましい。
メッシュ形成に使用される薬液は、具体的にはエッチング液として塩化鉄、塩化銅等の水溶液が好ましい。レジスト剥離液はカセイソーダ水溶液が好ましい。中和は塩酸、硫酸、シュウ酸等の酸性溶液が好ましい。黒化処理液は市販の黒化処理液、特には酸化性黒化液を用いることが好ましい。これらのエッチング液等の各種薬液や使用される条件は限定されず、公知のプリント配線板製造方法を用いることができる。
【0028】
本発明の電磁波シールド層は、電磁波シールド性光透過部材の端部において、少なくとも一部が2枚の支持フィルム間から突出していることが必要である。この突出している部分から外部導電部と接続し、設置する(アースする)。この突出している部分は外部導電部と接続するのに必要な幅でよい。
具体的には、電磁波シールド性光透過部材の一辺、二辺、または四辺の端部において、電磁波シールド層が2枚の支持フィルム間から突出していればよい。また、突出している部分は、メッシュ形状でも良いし、メッシュではなくベタ形状でも良い。ベタ形状であれば十分なアース効果が得られ好ましい。
このようにすることで、片面又は両面の剥離性である支持フィルムを剥離し、他の部材に貼り合わせて使用する際、粘着剤で覆われていない部分が存在するため、粘着剤除去などの工程なく簡便にアースすることができる。
さらに、アースの取り方として、突出した部分の表裏やその端部断面から接続し、アースを取ってもよい。
なお、本発明でいう2枚の支持フィルムから突出とは、図2の(a)に示すように、2枚の支持フィルムの両方からはみ出していても良いし、(b)に示すように一方の支持フィルムからはみ出している形状でもかまわない。(a)のような形状であれば、突出部の両面からアースを取ることができ、好ましい。
突出部がベタ形状である場合の電磁波シールド性光透過部材の一例を上からみた平面図を図5に示し、その際の電磁波シールド層の平面形状を図6に示す。また、突出部がメッシュ形状である場合の電磁波シールド性光透過部材の一例を上からみた平面図を図7に示す。
突出部がベタ形状である場合は、前述のメッシュ形成時に、突出部にくる部分を考慮し、ベタ形状のまま残すようにパターンエッチングを行い、メッシュ形状を形成すればよい。
【0029】
従来の電磁波シールド材を作製する基材フィルムと金属箔とを接着剤で貼り合わせた後、ケミカルエッチングを用いたフォトリソグラフ法では、基材フィルムと金属箔の大きさが同じであり、本発明のように突出部を作製しようと金属箔を大きく貼り合わせようとすると、端部を残しながら貼り合わすことは困難である。また、その端面を維持しながら各工程を実施することも困難である。
【0030】
さらに、例え上記の貼り合わせが可能であったとしても、貼り合わせ後のケミカルエッチング工程を含む各工程において、特にエッチング工程では、表面はレジストで保護できても、エッチング液の裏面からの回り込みがあり、突出部を上手く維持形成することは困難である。
【0031】
本発明の粘着剤は、分子中にカルボキシル基、水酸基、アミド基、グリシジル基、アミノ基の少なくとも1種類以上の反応性官能基を有するアクリル系ポリマー、及び前記反応性官能基と反応しうる硬化剤からなる。
【0032】
アクリル系ポリマーは、反応性官能基を有するモノマーと、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの共重合体または、反応性官能基を有するモノマーと、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、前記モノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体を用いることができる。アクリル系ポリマーは公知の方法により合成される。アクリル系ポリマーは、粘着性を付与するために、ガラス転移点が−20℃以下であることが好ましい。また、アクリル系ポリマーの重量平均分子量は粘着力と凝集力のバランスの面から20万〜200万が好ましく、更に40〜150万が好ましい。以下にモノマーを挙げるがそれらには限定されず公知のモノマーを使用できる。ポリマーの重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものである。
【0033】
反応性官能基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリルアミド、グリシジルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等を挙げることができる。
他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソブロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジメチルアミノエトチル等を挙げることができる。
前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとしては、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、ビニルトルエン等を挙げることができる。
【0034】
硬化剤は、反応性官能基を有するアクリル系ポリマーと反応して粘着剤に凝集力を付与するものであり、反応性官能基に対して反応性を持つイソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジニル系化合物等の公知の多官能化合物が使用できる。硬化剤の使用量は、アクリルモノマーの種類や粘着力を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、アクリル樹脂100重量部に対して0.1〜15重量部を添加することが好ましく、0.1〜10重量部がさらに好ましい。0.1重量部未満だと架橋度が低下し、凝集力が不十分となり、15重量部を超えると被着体に対する接着力が小さくなりやすいので好ましくない。
【0035】
イソシアネート系化合物としては、トリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネートや、それらのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体等が挙げられる。
【0036】
エポキシ化合物としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンジルグリコールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、メタキシレンジアミンテトラグリシジルエーテル、及びその水添化物等が挙げられる。
【0037】
アジリジニル系化合物としては、N,N‘−ジフェニルメタン−4,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオナート、テトラメチロールメタンートリ−β−−アジリジニルプロピオナート、N,N‘−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
【0038】
粘着剤は、他に粘着付与剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収材料、濡れ剤、充填剤、顔料、染料、希釈剤、防錆剤、硬化促進剤等の公知の各種添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜用いてもよい。また、添加剤の添加量は、目的とする物性が得られる量とすればよく、特に限定されるものではない。
【0039】
本発明の粘着剤として、活性エネルギー線硬化型粘着剤を用いることもできる。活性エネルギー線硬化型粘着剤は、活性エネルギー線照射により硬化(3次元架橋)が起こり、凝集力が高まることで粘着力が発現する粘着剤を意味する。
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤とは、アクリル系ポリマー、活性エネルギー線反応性化合物、光重合開始剤、重合禁止剤及びその他添加剤から構成される。
活性エネルギー線硬化型粘着剤は一般的な粘着剤と違い硬化剤を含まない、あるいは硬化剤を含むときは極少量であるため、粘着剤の流動性が非常に高く、メッシュの埋め込みが容易である。さらにメッシュを転写シートへ埋め込み後に活性エネルギー線を照射して硬化を行うため、均一な粘着層が生成して比較的高い粘着力が発現する。
【0040】
アクリル系ポリマーは(メタ)アクリル酸エステルモノマー、反応性官能基を有するモノマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合可能なビニルモノマーから選択された2種類以上のモノマーを共重合することにより得られ、粘着性面から反応性官能基を有するモノマーのうち水酸基またはカルボキシル基含有モノマーのうち少なくともどちらか一方を共重合することが好ましい。アクリル系ポリマーは公知の方法で合成することができる。
【0041】
アクリル系ポリマーは凝集力保持のため重量平均分子量は90〜200万が好ましく、更に110万〜200万が好ましく。更に130万〜200万が好ましい。
また、アクリル系ポリマーのガラス転移点は−60℃〜−5℃であることが好ましく、更に−50〜−10℃が好ましい。−60℃未満のときは凝集力が不足し、−5℃を超えるときは粘着性が不足が生じる恐れがある。
アクリル系ポリマー合成に用いるモノマーを以下に挙げるがそれらには限定されず公知のモノマーを使用できる。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソブロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジメチルアミノエトチル等を挙げることができる。
反応性官能基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリルアミド、グリシジルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとしては、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、ビニルトルエン等を挙げることができる。
【0042】
活性エネルギー線反応性化合物としては、活性エネルギー線照射により3次元架橋する公知のモノマーやオリゴマーが挙げられる。これらは分子内に2個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するものである。活性エネルギー線反応性化合物はアクリル系ポリマー100重量部に対して0.1〜200重量部配合することが好ましく、更に0.1〜50重量部が好ましく、更に0.1〜30重量部が好ましい。0.1重量部未満のときは、活性エネルギー線照射により3次元架橋が不足して必要な凝集力が得られず、200重量部を超えるときは、活性エネルギー線照射により3次元架橋が過剰になり必要な粘着力が得られない恐れがある。
上記モノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のモノマーを挙げることができるが特に限定はしない。
粘性や架橋密度等を調整するために、分子内に1個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するモノマーを含んでも良い。
上記オリゴマーとしては、公知のウレタンアクリレートオリゴマーを用いることができるが、特に限定はしない。粘着剤として使用された際の経時黄変を防ぐために、原料としてトリレンジイソシアネートを含まない無黄変型のウレタンアクリレートオリゴマーを用いることが好ましい。
【0043】
重合禁止剤として公知の化合物が挙げられるが、具体的にヒドロキノン、メトキノン、メチルヒドロキノン、パラベンゾキノン、トルキノン、t−ブチルヒドロキノン、t−ブチルベンゾキノン、2,5−ジフェニル−パラベンゾキノン等のヒドロキノン系化合物、フェノチアジン系化合物、ニトロソアミン系化合物が挙げられるが、特に限定しない。
【0044】
本発明においては、2枚の支持フィルム間に電磁波シールド層と粘着剤が含まれていればよい。電磁波シールド層と粘着剤層が多層的に含まれていても良いし、電磁波シールド層が粘着剤層に埋め込まれていても良い。特に、電磁波シールド層が粘着剤に覆われている場合や電磁波シールド層の一部が粘着剤から露出している場合が好ましい。
電磁波シールド層の一部が粘着剤から露出している場合とは、金属メッシュの埋め込み時に粘着剤が流動することにより、金属メッシュの一部が露出することをいう。具体的には、黒化処理されている面の一部又は全面が露出する場合、黒化処理されていない面(以下、非黒化面という。)の一部又は全面が露出する場合、黒化処理されている面と非黒化面の一部が露出する場合などである。
【0045】
本発明では、粘着剤に近赤外線吸収機能、色補正機能、紫外線吸収機能などの機能を有する材料を含有することができる。
【0046】
近赤外線吸収機能を有する層としては、400〜800nmまでの波長領域の透過率が高く、800〜1200nm波長領域の透過率が低いものであればよい。
近赤外線吸収層としては、例えば、樹脂バインダに近赤外線吸収性の色素又は顔料を混入させたものや、In−Sn複合酸化物などの近赤外線吸収性薄膜を用いることができる。
このような近赤外線吸収剤としては、ジイモニウム系、フタロシアニン系、ジチオール金属錯体系、シアニン系、金属錯体系、金属微粉、金属酸化物微粉が挙げられ、樹脂も含めた組み合わせは自在であるが、拮抗作用、相乗作用を見極めて、適宜使用するとよい。
【0047】
ジイモニウム系化合物としては、例えば下記式(1)で表わされるを選ぶことができる。
前記の式(1)で表わされるジイモニウム系化合物は、近赤外域の遮断が大きく、遮断域も広く、可視域の透過率も高い。
【0048】
【化1】

【0049】
前記式(1)中のR1〜R8の具体例としては、同一または異なって、水素原子、置換もしくは未置換の、アルキル基、ハロゲンアルキル基、シアノアルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、フェニル基、フェニルアルキレン基であり、環A及び環Bは置換基を有していても良い。
ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素が、アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基などが、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが、アリール基としてはフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ジエチルアミノフェニル、ナフチル基などが、アラルキル基としては、ベンジル基、p−フルオロベンジル基、p−クロロフェニル基、フェニルプロピル基、ナフチルエチル基などが、アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等が挙げられる。
X−は、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸塩イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、下記式(2)で表わされるテトラフェニルホウ酸イオン(環Cは置換基を有していても良い)、または下記式(3)で表わされるスルホンイミド(R13及びR14はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、それぞれフルオロアルキル基を示すかそれらが一緒になって形成するフルオロアルキレン基)などが挙げられる。ただし、本発明では上記で挙げたものに限定されるものではない。これらの一部は市販品として入手可能であり、例えば日本化薬社製KayasorbIRG−068、日本カーリット社製CIR−RL等を好適に用いることができる。
【0050】
【化2】

【0051】
【化3】

【0052】
ジチオ−ル系化合物としては、下記式(4)で表わされる化合物などが好適に用いることができる。
【0053】
【化4】

【0054】
前記の式(4)中のR9〜R12の具体例としては、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、フェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ジエチルアミノフェニル、ナフチル基などのアリール基、ベンジル基、p−フルオロベンジル基、p−クロロフェニル基、フェニルプロピル基、ナフチルエチル基などのアラルキル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基などのアミノ基が挙げられる。
また、市販品として、みどり化学社製MIR‐101等が好適に用いることができる。
上記近赤外線遮断剤は一例であり、これらに限定されるものではない。
【0055】
また、フタロシアニン系化合物としては、例えば、日本触媒社製Excolor IR−1、IR−2、IR−3、IR−4、TXEX−805K、TXEX−809K、TXEX−810K、TXEX−811K、TXEX−812Kなどを好適に用いることができる。上記近赤外線遮断剤は一例であり、これらに限定されるものではない。
【0056】
また、シアニン系化合物としては、例えば、日本化薬社製CY17、住友精化社製SD50、林原生物化学研究所社製NK−5706などを好適に用いることができる。上記近赤外線遮断剤は一例であり、これらに限定されるものではない。
【0057】
また、樹脂バインダとしては、アクリル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリスチレン系、シクロオレフィン系、ポリアリレート系、ポリサルホン系などの樹脂を用いることができる。
形成方法はこれらの材料を含む塗液を塗布することにより形成することができる。塗工方法としては、公知の方法を用いることができ、例えばロッド、ワイヤーバーを用いた方法や、マイクログラビア、グラビア、ダイ、カーテン、リップ、スロットなどの各種コーティング方法やカレンダー法、キャスト法を用いることができる。
また、近赤外線吸収剤を前記ハードコート層、防眩層、帯電防止層などに混入して用いても構わない。
【0058】
紫外線吸収機能を有する層としては、400nm以下の波長の紫外線を効率よく吸収できるものであり、350nmの波長を80%以上吸収できるものが好ましい。紫外線吸収層としては、紫外線吸収剤を樹脂バインダー中に混入したものなどが挙げられる。
樹脂バインダーとしては、アクリル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリスチレン系、シクロオレフィン系、ポリアリレート系、ポリサルホン系などを使用できる。
紫外線吸収剤としては、無機系あるいは有機系のいずれも使用できるが、有機系の紫外線吸収剤が実用的である。有機系の紫外線吸収剤としては、300〜400nmの間に極大吸収を有し、その領域の光を効率よく吸収ものであり、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、アクリレート系紫外線吸収剤、オギザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいが、数種類組み合わせて用いることがより好ましい。また、上記紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤、あるいは酸化防止剤をブレンドすることで安定化が向上できる。また、紫外線吸収剤を含有する(練り込み等)プラスチックフィルムを基材として使用することで、紫外線吸収剤層の代替とすることもできる。
形成方法はこれらの材料を含む塗液を塗布することにより形成することができる。塗工方法としては、公知の方法を用いることができ、例えばロッド、ワイヤーバーを用いた方法や、マイクログラビア、グラビア、ダイ、カーテン、リップ、スロットなどの各種コーティング方法やカレンダー法、キャスト法を用いることができる。
また、紫外線吸収剤を前記ハードコート層、防眩層、帯電防止層などに混入して用いても構わない。また、近赤外線吸収剤と紫外線吸収剤を両方混入させても良い。
【0059】
色補正機能を有する層は、表示色の色バランスを補正するためのものであり、例えばプラズマディスプレイにおける、ネオン等からでる波長580〜610nmのオレンジ光をカットするものなどが挙げられる。
樹脂バインダーとしては、アクリル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリスチレン系、シクロオレフィン系、ポリアリレート系、ポリサルホン系などを使用できる。
色補正用色素としては、用途によって様々なものを用いることができるが、シアニン(ポリメチン)系、キノン系、アゾ系、インジゴ系、ポリエン系、スピロ系、ポルフィリン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、シアニン系等の色素が挙げられるがこれに限られたものではない。また、プラズマディスプレイにおける、ネオン等からでる波長580〜610nmのオレンジ光をカットする目的であれば、シアニン系、ポルフィリン系、ピロメテン系などを用いることができる。
形成方法はこれらの材料を含む塗液を塗布することにより形成することができる。塗工方法としては、公知の方法を用いることができ、例えばロッド、ワイヤーバーを用いた方法や、マイクログラビア、グラビア、ダイ、カーテン、リップ、スロットなどの各種コーティング方法やカレンダー法、キャスト法を用いることができる。
【0060】
本発明の電磁波シールド性光透過部材の製造方法は、下記の工程を含むことを特徴とする。
(1)金属箔と基材フィルムとを、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を介して貼付する工程、
(2)前記金属箔の選択的エッチングによって金属メッシュを形成する工程、
(3)金属メッシュに黒化処理を施す工程、
(4)基材フィルム、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤、金属メッシュからなる積層体の金属メッシュ面と、支持フィルムあるいは支持フィルム上に粘着剤を塗布した積層体の粘着剤面とを、貼付する工程、
(5)前記金属メッシュと前記基材フィルムとを貼付する前記粘着力消失型粘着剤の粘着力を、活性エネルギー線照射で低下させることにより、前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離する工程、
(6)前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離した剥離面と、新たな支持フィルム又は新たな剥離フィルム上に粘着剤を塗布した積層体の粘着剤面とを、貼付する工程、及び
(7)露出したメッシュを粘着剤中へ埋め込む工程
【0061】
(1)の工程は、具体的には、金属箔と基材フィルムとを、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を介して貼付したもの(以下、メッシュ形成シートという。)を作製する工程である。
【0062】
基材フィルムとしては、特に限定はしないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル類、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂等のフィルムが挙げられるが、価格や取り扱い性の面からPETフィルムを用いることが好ましい。
【0063】
(1)の工程における活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤は、活性エネルギー線を照射することにより粘着力が低下するものである。活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を介して圧力をかけることにより、金属箔と基材フィルムとを接着させる。活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤としては、反応性官能基を有する弾性重合体、活性エネルギー線反応線化合物、光重合開始剤及び硬化剤を含むものが好適に用いられる。
【0064】
活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤には、公知の粘着付与樹脂(例えば、ロジンエステル)、無機微粒子化合物(例えば、平均粒子系20μm以下のシリカ化合物)、重合禁止剤(例えば、ヒドロキノン)、防錆剤、可塑剤、紫外線吸収剤を配合することができる。
反応性官能基を有する弾性重合体としては、アクリル系ポリマーとウレタン系ポリマーが好ましく、反応性官能基としては、カルボキシル基、水酸基、アミド基、グリシジル基、イソシアネート基等が挙げられる。
アクリル系ポリマーとしては、反応性官能基を有するモノマーと、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの共重合体、反応性官能基を有するモノマーと、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、前記モノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体を用いることができる。アクリル系ポリマーは公知の方法により合成される。アクリル系ポリマーは、粘着性を付与するために、ガラス転移点が−20℃以下であることが好ましい。また、アクリル系ポリマーの重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレンの検量線を用いて測定した。以下同様とする。)は粘着力と凝集力のバランスの点から20万〜200万が好ましく、更に40〜150万が好ましい。
【0065】
反応性官能基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−4ヒドロキシブチル、アクリルアミド、グリシジルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等を挙げることができる。
他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソブロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジメチルアミノエトチル等を挙げることができる。
前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとしては、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、ビニルトルエン等を挙げることができる。
【0066】
ウレタン系ポリマーとしては、ポリオールと有機ポリイソシアネートを反応させて得られる末端水酸基のポリウレタンポリオールに、有機ポリイソシアネートを反応させて得られるポリマーを用いることができる。
上記ポリオールとしては、公知のポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールが挙げられる。ポリエステルポリオールの酸成分してはテレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等が挙げられ、グリコール成分としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、ポリオール成分としてはグリセリン、トチメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の官能基数が2以上のものが用いられる。ポリエステルポリオール及びポリエステルポリオールの重量平均分子量は1000〜5000が好ましく、更に2500〜3500が好ましい。重量平均分子量が1000以下のポリエステルポリオール及びポリエステルポリオールでは反応が早くゲル化しやすくなり、5000以上のポリエステルポリオール及びポリエステルポリオールは反応性が低くなり凝集力も低くなる。ポリオールと有機ポリイソシアネートを反応させる際には、多価アミン類を併用できる。
【0067】
上記有機ポリイソシアネートとしては、公知の芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイシシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω,ω‘−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω‘−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω‘−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン等が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしてはイソフォロンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
上記有機ポリイソシアネートには、上記有機ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体等も併用することができる。
ウレタン系ポリマー重量平均分子量は、粘着力と凝集力のバランスの点から5,000〜300,000が好ましく、更に10,000〜200,000が好ましい。
【0068】
活性エネルギー線反応線化合物としては、活性エネルギー線照射により3次元架橋するモノマーやオリゴマーが挙げられる。これらは分子内に2個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するものであることが好ましい。
上記モノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を挙げることができるがこれには限定されず公知のモノマーが使用できる。
上記オリゴマーとしては、ウレタンアクリレートオリゴマーが挙げられる。ウレタンアクリレートオリゴマーとしては、ポリオール例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等と有機ポリイソシアネート、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4−ジイソシアネート等や、それらの変性物や重合物を反応させて得られる末端イソシアネートプレポリマーに、水酸基を有するアクリレートあるいはメタクリレート、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等を反応させて得られるものを使用できる。また末端イソシアネートプレポリマーにトリメチロールプロパンやペンタエリスリトール等の3〜4官能水酸基含有化合物とを反応させて末端水酸基を増やしたのち水酸基を有するアクリレートあるいはメタクリレートを反応させる法も挙げられるが、これらの方法には限定されず公知の方法で合成されたウレタンオリゴマーが使用できる。ウレタンアクリレートオリゴマーの重量平均分子量は500〜30,000が好ましく、更に600〜20,000が好ましい。ウレタンアクリレートオリゴマーは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を2〜15個有することが好ましく、更に4〜15個有することが好ましく、特に6〜15個有することが好ましい。
【0069】
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、2,4−ジエチルオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、ビスイミダゾール、β−クロールアントラキノンが挙げられるがこれらには限定させず公知の光重合開始剤を使用できる。
また高分子量化光重合開始剤を用いて、光重合開始剤に対してエッチング液やアルカリ溶液等の薬液への耐溶出性を持たせることも好ましい。
光重合開始剤は、重量平均分子量1,000〜200万、より好ましくは3,000〜200万、さらに好ましくは5,000〜200万、特に好ましくは1万〜200万の高分子量化光重合開始剤であることが好ましい。重量平均分子量1,000〜200万の高分子量化光重合開始剤は、分子量が大きいため、薬液への溶出がない。重量平均分子量1,000未満のときは、薬液への光重合開始剤の溶出が生じる恐れがあり、200万を超えるときは粘度の面から合成が難しい。
【0070】
高分子量化光重合開始剤は、反応性官能基を有する光重合開始剤を、前記反応性官能基とこれと反応可能な官能基との反応を介してオリゴマーやポリマーへ化学的に結合させる、反応性官能基を有する光重合開始剤を前記反応性官能基とこれと反応可能な官能基との反応を介して結合させたモノマーを重合するなどして高分子量化したものである。
【0071】
反応性官能基を有する光重合開始剤中の反応性官能基としては、水酸基、カルボキシル基が挙げられる。
水酸基を有する光重合開始剤としては、例えば1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンや、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等が挙げられる。カルボキシル基を有する光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン−2−カルボン酸等が挙げられる。反応性官能基を有する光重合開始剤の中では、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンが好ましい。
【0072】
高分子量化光重合開始剤の合成方法としては、例えば水酸基を有する光重合開始剤の水酸基を多塩基酸無水物(例えば、無水ピロメリット酸)の2つの酸無水環と反応させ、残存する2つのカルボキシル基をさらにビスフェノールAの両末端のグリシジル基と反応させて、多段階で高分子量化する方法が挙げられる。
また、2個の水酸基または2個のカルホキシル基を有する光重合開始剤に対して、前者へは2官能の有機酸(例えば、アジピン酸)、後者へは2官能のポリオール(例えば、エチレングリコール)を反応させて、ポリエステルを合成することでポリマー主鎖へ光重合開始剤を組み込む方法も挙げられる。
【0073】
また、他の合成方法として、予め水酸基を有する光重合開始剤の水酸基を炭素−炭素二重結合とイソシアネート基を有する化合物(例えば、2−メタクリロイルオキシイソシアネート)のイソシアネート基と反応させて光重合開始剤含有モノマーを合成し、それを他のモノマーと共重合して高分子量化光重合開始剤を合成する方法、炭素−炭素二重結合を有する酸無水物(例えば、無水マレイン酸やイタコン酸無水物等)の酸無水環と水酸基を有する光重合開始剤を反応させてから他のモノマーと共重合する方法、炭素−炭素二重結合とカルボキシル基を有する化合物(例えば、アクリル酸やメタクリル酸等)と水酸基を有する光重合開始剤を反応させてから他のモノマーと共重合する方法が挙げられる。また、カルボキシル基を有する光重合開始剤を炭素−炭素二重結合を有するエポキシ化合物(例えば、グリシジルメタクリレート)と反応させてから他のモノマーと共重合する方法が挙げられる。
【0074】
高分子量化光重合開始剤としては、反応性官能基を有する光重合開始剤と、前記反応性官能基と反応可能な官能基を有する重量平均分子量3,000〜200万の高分子量化合物とを反応させてなるもの、つまり光重合開始剤を高分子量化合物へグラフトしたものがエッチング液等の薬液への溶出が少ないため好ましい。
【0075】
光重合開始剤を高分子量化合物へグラフトする方法としては、例えばイソフォロンジイソシアネートの一方のイソシアネート基と水酸基を有する光重合開始剤を反応させてからもう一つのイソシアネート基を高分子量化合物側の水酸基と反応させる方法、水酸基を有する光重合開始剤と高分子量化合物側のイソシアネート基と反応させる方法、水酸基を有する光重合開始剤と高分子量化合物側の酸無水環と反応させる方法、カルボキシル基を有する光重合開始剤と高分子量化合物側のグリシジル基と反応させる方法、カルボキシル基を有する光重合開始剤と高分子量化合物側の水酸基と反応させる方法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
光重合開始剤をグラフトする高分子量化合物は、重量平均分子量が3,000〜200万であることが好ましく、アクリル系ポリマーまたはウレタン系ポリマーであることが好ましい。アクリル系ポリマーは重量平均分子量3,000〜200万であることが好ましい。重量平均分子量3,000未満のときは合成時の分子量制御が難しく、200万を超えるときは粘度の面から合成が難しい。ウレタン系ポリマーは重量平均分子量2,000〜20万であることが好ましい。重量平均分子量が2,000未満のときは合成時の分子量制御が難しく、20万を超えるときは粘度の面から合成が難しい。
【0077】
光重合開始剤と増感剤を併用することも好ましい。増感剤としては例えばトリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N‘N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルモルホリンなどが挙げられるが特に限定せず公知の増感剤を使用できる。
【0078】
メッシュ形成シートの製造方法として、例えば、基材フィルム、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤、剥離フィルムからなる積層体(以下、粘着シートという。)を作製し、この粘着シートから剥離フィルムを剥がし、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤層面と金属箔とを貼り合わせる方法がある。
これは、粘着シートを作成した後に金属箔と貼り合わせる方法であり、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤に使用される硬化剤の架橋が終了した後に金属箔と貼り合わせることとなる。
【0079】
粘着シートの作製方法として、例えば以下の2つの方法がある。
1つ目は、基材フィルムに直接、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を塗布して剥離フィルムを貼り合わせる方法である。
2つ目は、剥離フィルム上に活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を塗布し、基材フィルムと貼り合わせる方法である。
【0080】
メッシュ形成シートの製造方法としては、前記方法に加えて、基材フィルムの片面に活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を塗布してさらに金属箔を貼り合わせる方法(塗工時金属箔ラミネート法)が挙げられる。
塗工時金属箔ラミネート法は剥離フィルムを使用せず、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤に使用される硬化剤の架橋開始直後に金属箔を貼り合わせるため、粘着剤の流動性が高く、金属箔との密着性が前述の方法と比較して非常に高い。そのためマイクロリソグラフ法によるメッシュ形成工程中において、エッチング液やレジスト剥離液等の薬液が粘着剤と金属箔との界面に液浸入することで生じる金属箔の剥がれが起こりにくい。したがって、後工程におけるラミネートが不要となり、工程の簡略化や低コスト化、及び剥離フィルム未使用による低コストが図られる。
塗工時金属箔ラミネート法においては、金属箔と粘着剤層が充分な密着を得るために必要に応じて加温、加圧、又は真空のような条件を単独若しくは2種類以上併用してラミネートしても良い。
その他のメッシュ形成シートの製造方法として、平板プレス法を用いることもできる。
【0081】
活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤の塗布方法としては、コンマコート、リップコート、カーテンコート、ブレードコート、グラビアコート、キスコート、リバースコート及びマイクログラビアコート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤の厚みは、0.5μm〜50μm程度であることが好ましい。粘着剤の厚みが0.5μm未満であると十分な接着性が得られず、また50μmを越えると経済的に不利である。
【0082】
(2)の工程は、具体的にはメッシュ形成シートの金属箔にフォトリソグラフ法などによってメッシュを形成し、レジストの剥離・中和を行う工程である。
メッシュ形成シートの金属箔に幾何学図形等のメッシュを形成する方法は前述した通りである。
【0083】
(3)の工程は、金属メッシュに黒化処理を施す工程である。黒化処理は、プリント配線板分野で行われている方法により、黒化処理液を用いて行うことができる。(3)の工程では、金属メッシュの上面および横面を黒化処理する。結果的に金属メッシュには黒化処理された面と非黒化面が生じる。
黒化処理液は市販の黒化処理液を用いることが好ましい。処理液の使用される条件は限定されず、公知のプリント配線板製造方法を用いることができる。
【0084】
(4)の工程は、支持フィルムに粘着剤を介して剥離フィルムを貼付したもの(以下、転写シートという。)の剥離フィルムを剥がし、メッシュ形成シートの金属メッシュ面とを貼り合わせる工程である。なお、支持フィルムが剥離性のものであればどちらかの剥離フィルムを剥がせばよい。
図1で示した転写シートは、支持フィルムまたは剥離フィルムに粘着剤を塗布し、当該粘着剤面に新たな剥離フィルムまたは支持フィルムを貼付することで作製できる。剥離フィルムまたは支持フィルム上に粘着剤を塗布する方法としては、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を塗布する方法と同様に公知の方法を用いることができる。
また、粘着剤は前述した通り、分子中にカルボキシル基、水酸基、アミド基、グリシジル基、アミノ基の少なくとも1種類以上の反応性官能基を有するアクリル系ポリマー、及び前記反応性官能基と反応しうる硬化剤からなり、活性エネルギー線硬化型粘着剤を用いることもできる。
転写シートとメッシュ形成シートとの貼り合わせは、転写シートの一方の剥離フィルムを剥がし、露出した粘着面をメッシュ形成シートのメッシュに貼り合わせることで行われる。なお、貼り合わせにはラミネーターを用いることが好ましい。
【0085】
(5)の工程は、メッシュ形成シートの基材フィルム側から活性エネルギー線を照射することで、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤の粘着力を弱め、基材フィルムを金属メッシュから剥離する工程である。
メッシュ形成シート側から活性エネルギー線照射が行われ、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤の粘着力が低下する。
活性エネルギー線はエネルギーを有する電磁波を意味し、電子線、紫外線、放射線等が含まれる。そのなかでも、装置の安価さやランニングコストから紫外線が好ましい。
紫外線照射装置としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、無電極ランプ、キセノンランプ、半導体レーザー、Arレーザー、パルスUVランプ等が挙げられる。
【0086】
活性エネルギー線照射は(1)〜(4)工程のどの段階で行っても良く、好ましくは(2)工程のエッチング以降の工程で照射を行うことであり、(4)工程と連動して行い、転写シートとメッシュ形成シートを貼り合わせる前又は貼り合わせと同時に、メッシュ形成シートの基材フィルム側から活性エネルギー線の照射を行うことや、転写シートとメッシュ形成シートを貼り合わせた後に活性エネルギー線の照射を行うことも好ましい。また、(1)の工程後、(2)の工程のエッチング前に照射しても良い。
さらに、活性エネルギー線照射は工程の各段階や、転写シート貼り合せの前、同時又は後の各工程で複数回の照射を行うこともできる。また、活性エネルギー線は基材フィルム側からの照射が必須であるが、メッシュ側から照射を行うこともできる。
【0087】
紫外線を用いるときの照射量は、20mJ/cm〜3,000mJ/cmが好ましく、50mJ/cm〜3,000mJ/cmが更に好ましく、100mJ/cm〜3,000mJ/cmが更に好ましい。20mJ/cm未満であると粘着剤の硬化が不足して十分な粘着力の低下が生じない恐れがあり、3,000mJ/cmを越えると照射に時間が掛かり経済性も低下する。
【0088】
活性エネルギー線照射によって活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤の粘着力が十分に低下していれば、電磁波シールド層から基材フィルムを容易に剥がすことができる。その際、金属メッシュの幾何学図形形状の外周に設けた導電性の額縁部を基準にして基材フィルムを剥離する。
【0089】
(6)の工程は、基材フィルムを金属メッシュから剥離した剥離面と、新たな支持フィルム又は新たな支持フィルム上に粘着剤を塗布した積層体の粘着剤面とを、貼付する工程である。
(6)の工程によって、基材フィルムを剥離した金属メッシュ面側に新たな剥離フィルムを貼り合わせることとなり、2枚の支持フィルム間に電磁波シールド層が挟まれる。
基材フィルムを金属メッシュから剥離する剥離面と、新たな支持フィルムとを、貼り合わせる場合(以下、一層埋め込み法という。)または基材フィルムを金属メッシュから剥離する剥離面と、新たな支持フィルム上に粘着剤を塗布した積層体の粘着剤面とを、貼り合わせる場合(以下、二層埋め込み法という。)を使い分けることで、(7)の工程における埋め込みの程度を調整することができる。
二層埋め込み法における新たな支持フィルム上に粘着剤を塗布した積層体は、支持フィルム上に粘着剤を塗工したものでもよいし、転写シートの片面の剥離フィルムを剥がしたものでもよい。
一層埋め込み法又は二層埋め込み法における貼り合わせには、前述した任意の貼り合せ法を用いることができる。例えば、加熱・加圧による方法、平板プレス法、ラミネーターなどである。
【0090】
(7)の工程は、2枚の支持フィルム間の金属メッシュを粘着剤層に埋め込む工程である。メッシュを粘着剤中へ埋め込む方法としては、前記の一層埋め込み法および二層埋め込み法などがある。一層埋め込み法の実施の形態を図2に、二層埋め込み法の実施の形態を図3に示した。
【0091】
一層埋め込み法では、メッシュを転写した転写シートの金属メッシュ面に新たな支持フィルム(第2支持フィルム)を貼り合わせ(図3(a))、更にラミネーターで加熱、加圧を行い転写シート側の粘着剤中へメッシュを埋め込む(図3(b))。メッシュを埋め込む際の条件はメッシュへ粘着剤を流動させる必要から加熱は20〜150℃が好ましく、更に40〜130℃が好ましい。加熱が20℃未満のときは粘着剤の流動性が悪く、150℃を超えると粘着剤の変質や過剰流動による液だれの懸念が生じる。加圧は1〜50kg/cmが好ましく、更に1〜30kg/cmが好ましく、更に1〜20kg/cmが好ましい。加圧が1kg/cm未満のとき粘着剤の流動性が悪く、50kg/cmを超えるとメッシュ変形の恐れが生じる。
メッシュを埋め込んだ際には、メッシュの一方の面が粘着剤層へ埋め込まれていても、露出していても良い。用いる転写シートの粘着剤層の厚さはメッシュの厚みより厚くなければならない。メッシュを形成する金属箔の厚さが0.5〜40μmであるため、粘着剤は好ましくは1〜300μm、更に好ましくは5〜200μ、更に好ましくは5〜100μmの厚さに塗布すればよい。厚さが5μm未満のとき埋め込み性が悪く、300μmを超えると経済的に不利である。
【0092】
二層埋め込み法では、メッシュを転写した一層目の転写シートの金属メッシュ面に、剥離フィルム上へ粘着剤が塗布された二層目の粘着シートの粘着面を貼り合わせる(図4(a))。その際ラミネーターで加熱、加圧を行うことが好ましい(図4(b))。本方法に用いる転写シートの粘着剤の厚みは一層目と二層目の粘着層厚みの合計がメッシュを作成した金属箔の厚みより厚いことが好ましい。厚みの合計は好ましくは1〜300μm、更に好ましくは5〜200μ、更に好ましくは5〜100μmの厚さに塗布すればよい。本方法ではメッシュは粘着剤中へ完全に埋め込まれる。
【0093】
その他の方法として、一層埋め込み法の後に、第2支持フィルムを剥がし、更に支持フィルム上に粘着剤が塗布された粘着シートの粘着面を貼り合わせる方法ある。この方法によれば、電磁波シールド層の金属メッシュが粘着剤へ更に埋め込まれる。なお、この場合、第2支持フィルムは剥離性のものであることが必要である。
【0094】
一層埋め込み法と二層埋め込み法のいずれを用いるかによって、粘着剤を使い分けることもできる。一層埋め込み法においては、活性エネルギー線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。また、二層埋め込み法においては、一層目の剥離フィルムに塗工する粘着剤として前述した任意の粘着剤を用いることができるが、二層目の剥離フィルム上に塗工する粘着剤として活性エネルギー線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。
【0095】
(7)の工程による電磁波シールド層の埋め込みの程度によって、粘着剤による電磁波シールド層の被覆状態が異なる。電磁波シールド層が粘着剤に覆われている状態や電磁波シールド層の一部が粘着剤から露出している状態となる。いずれの状態であっても本発明の効果を発揮することができる。
【0096】
(1)から(7)の工程によって、本発明の電磁波シールド性光透過部材を製造することができる。製造された電磁波シールド性光透過部材は、2枚の支持フィルム間に、粘着剤と電磁波シールド層を含有することとなる。
【実施例】
【0097】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」とは「重量部」を意味する。
【0098】
<実施例1>
アクリル酸ブチル85.3重量部、アクリル酸メチル15重量部、アクリル酸4重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.7重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.03重量部、アセトン190部、トルエン110重量部からなる原料用いて、窒素雰囲気下で加熱還流して8時間反応させて、重量平均分子量110万の反応性官能基を有するアクリル系ポリマーの溶液(不揮発分25重量%)を得た。合成した反応性官能基を有する弾性重合体溶液100重量部に、トリレンジイソシアネートのアダクト体(住化バイエルウレタン製硬化剤「スミジュールL−75」)0.7重量部、2−メチル−1(4−メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製光重合開始剤「イルガキュア907」)0.75重量部を配合して、6官能のウレタンアクリレートオリゴマー(ダイセルUCB製「Ebecryl1290K」、重量平均分子量1,000)15重量部を配合して活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を得た。
次に、基材として厚さ100μmのPETフィルム(東洋紡績製:E−5100)を用い、このPETフィルムの片面に得られた活性エネルギー線粘着力消失型感圧接着剤を乾燥後の厚さが10μmになるように塗布し、厚さ10μmの電解銅箔(三井金属製・NS−VLP)をラミネーターにより温度80℃、圧力0.4MPa/cm、貼りあわせ速度5m/minでラミネートして、メッシュ形成シートを得た。
銅箔ラミネート体にフォトリソグラフ法によってアース取り用周辺ベタ部およびメッシュを形成した後、黒化処理を施し、ライン幅10μm、ラインピッチ300μmのメッシュを形成した。
【0099】
このメッシュ形成シートについて、基材PETフィルム側より、紫外線(UV)を照射し、貼り合わせ粘着剤の粘着性を消失(減少)させた。UV照射は、高圧水銀ランプにて、500mJ/cm照射した。
【0100】
次に粘着剤としてアクリル酸ブチル90重量部、アクリル酸メチル10重量部、メタクリル酸2ヒドロキシエチル5重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.04重量部、酢酸エチル186重量部の原料を用い窒素雰囲気下で加熱還流して7時間反応させて、重量平均分子量55万の反応性官能基を有するアクリル系ポリマーの溶液(不揮発分35重量%)を得た。
得られた反応性官能基を有するアクリル系ポリマーの溶液100重量部に「スミジュールL−75」0.9重量部を配合して剥離性支持フィルム(厚み15μmのPETフィルム)に乾燥後の厚さが15μmになるように塗布して、さらに剥離フィルムを貼り合わせて転写シートを得た。
【0101】
上記のUV照射済みのメッシュ形成ートと剥離フィルムを剥離した転写シートを、ロール状態にて貼り合わせた。その時の条件は、ラミネート速度10m/min、ラミ圧力0.2MPa、温度:35℃にて実施した。
【0102】
その後、上記貼合せたシートのメッシュ形成シートの基材とUV消失粘着剤を剥離し、転写シート側に金属メッシュを転写させた。
さらに、その後、別の剥離性フィルムを用い、加熱加圧を行い、転写させたメッシュを粘着剤に押し込んだ。
【0103】
次に、粘着剤としてアクリル酸ブチル79重量部、アクリル酸メチル20重量部、アクリル酸2ヒドロキシエチル1.0重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.02重量部、アセトン190部、トルエン210重量部からなる原料用いて、窒素雰囲気下で加熱還流して8時間反応させて、重量平均分子量150万のアクリル系ポリマーの溶液(不揮発分20重量%)を得て、新たな剥離性支持フィルムに乾燥後の厚さが50μmになるように塗布して、さらに剥離フィルムを貼り合わせた。
【0104】
上記金属メッシュを転写した転写シートと剥離フィルムを剥離した新たな剥離性支持フィルムを、加熱加圧条件下で貼り合わせ、両面剥離支持フィルムの電磁波シールド性光透過部材を作製した。
なお、各ラミネート、張り合わせ工程は、ロールトゥロール方式で行い、アース取り用周辺ベタ部は2枚の支持フィルムから幅方向における端部の2面突出するようにし、また突出する幅は30μmとした。
【0105】
<実施例2>
アクリル酸ブチル85.3重量部、アクリル酸メチル15重量部、アクリル酸4重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.7重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.03重量部、アセトン190部、トルエン110重量部からなる原料用いて、窒素雰囲気下で加熱還流して8時間反応させて、重量平均分子量110万の反応性官能基を有するアクリル系ポリマーの溶液(不揮発分25重量%)を得た。合成した反応性官能基を有する弾性重合体溶液100重量部に、トリレンジイソシアネートのアダクト体(住化バイエルウレタン製硬化剤「スミジュールL−75」)0.7重量部、2−メチル−1(4−メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製光重合開始剤「イルガキュア907」)0.75重量部を配合して、6官能のウレタンアクリレートオリゴマー(ダイセルUCB製「Ebecryl1290K」、重量平均分子量1,000)15重量部を配合して活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を得た。
次に、基材として厚さ100μmのPETフィルム(東洋紡績製:E−5100)を用い、このPETフィルムの片面に得られた活性エネルギー線粘着力消失型感圧接着剤を乾燥後の厚さが10μmになるように塗布し、厚さ10μmの電解銅箔(三井金属製・NS−VLP)をラミネーターにより温度80℃、圧力0.4MPa/cm、貼りあわせ速度5m/minでラミネートして、メッシュ形成シートを得た。
銅箔ラミネート体にフォトリソグラフ法によってアース取り用周辺ベタ部およびメッシュを形成した後、黒化処理を施し、ライン幅10μm、ラインピッチ300μmのメッシュを形成した。
【0106】
このメッシュ形成シートについて、基材PETフィルム側より、紫外線(UV)を照射し、貼り合わせ粘着剤の粘着性を消失(減少)させた。UV照射は、高圧水銀ランプにて、500mJ/cm照射した。
【0107】
次に粘着剤としてアクリル酸ブチル90重量部、アクリル酸メチル10重量部、メタクリル酸2ヒドロキシエチル5重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.04重量部、酢酸エチル186重量部の原料を用い窒素雰囲気下で加熱還流して7時間反応させて、重量平均分子量55万の反応性官能基を有するアクリル系ポリマーの溶液(不揮発分35重量%)を得た。
得られた反応性官能基を有するアクリル系ポリマーの溶液100重量部に「スミジュールL−75」0.9重量部を配合して剥離性支持フィルム(厚み15μmのPETフィルム)に乾燥後の厚さが15μmになるように塗布して、さらに剥離フィルムを貼り合わせて転写シートを得た。
【0108】
上記のUV照射済みのメッシュ形成ートと剥離フィルムを剥離した転写シートを、ロール状態にて貼り合わせた。その時の条件は、ラミネート速度10m/min、ラミ圧力0.2MPa、温度:35℃にて実施した。
【0109】
その後、上記貼合せたシートのメッシュ形成シートの基材とUV消失粘着剤を剥離し、転写シート側に金属メッシュを転写させた。
さらに、その後、別の剥離性フィルムを用い、加熱加圧を行い、転写させたメッシュを粘着剤に押し込んだ。
【0110】
次に、粘着剤としてアクリル酸ブチル79重量部、アクリル酸メチル20重量部、アクリル酸2ヒドロキシエチル1.0重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.02重量部、アセトン190部、トルエン210重量部からなる原料用いて、窒素雰囲気下で加熱還流して8時間反応させて、重量平均分子量150万のアクリル系ポリマーの溶液(不揮発分20重量%)を得て、間欠式コート方式により金属メッシュのメッシュ部のみに乾燥後の厚さが50μmになるように塗布乾燥させ、新たな剥離性支持フィルムを、加熱加圧条件下で貼り合わせ、両面剥離支持フィルムの電磁波シールド性光透過部材を作製した。
なお、各ラミネート、貼り合わせ工程は、枚葉方式で行い、アース取り用周辺ベタ部は2枚の支持フィルム端部の4面から突出するようにし、また突出する幅は30μmとした。
【0111】
<比較例1>
基材として厚さ100μmのPETフィルム(東洋紡績製:E−5100)を用い、熱硬化型の接着剤、AD76−P1(東洋モートン(株)製)とCAT−RT85(東洋モートン(株)製)を10:1の比で混合し、ケトン系およびエステル系溶剤を用い希釈し、それを接着剤として、厚さ10μmの電解銅箔(三井金属製・NS−VLP)をラミネーターにより温度80℃、圧力0.4MPa/cm、貼りあわせ速度5m/minでラミネートした。その後、40℃、1週間養生させた。その後、実施例1と同様にエッチング、黒化処理等を行い、メッシュ状態を得た。
【0112】
<評価>
(電磁波シールド部材の透明性(濁度))
剥離できる剥離材は剥離し、スライドガラスに貼りつけ、他面も剥離フィルムの場合は、光学用PETフィルム(コスモシャイン:A4100、50μ:東洋紡績(株)製)を貼り合わせ、濁度測定機(日本電飾工業(株)製 NDH2000)にて、Haze値を測定し、部材の濁度を測定した。
但し、転写、剥離フィルムのない(できない)比較例1のサンプルについては、透明性の高い光学用粘着シート(日立化成(株)製:50μm厚)を用いてその基材フィルム側と上記ガラスを貼り合わせた。
(全光線透過率)
濁度の評価と同様にして、同上の装置にて、全光線透過率を測定した。
(アースの取り合い(表裏))
表裏でアース取りが可能か判断した。
(歩留まり)
開口部への黒化粉の粉落ちによる不良を抜き取り、良品率を計算した。
【0113】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0114】
2枚の支持フィルム間に、粘着剤と電磁波シールド層を含有することを特徴とする電磁波シールド性光透過部材によって、透明性が高く、欠陥の少ない電磁波シールドを提供できるため、ディスプレイの前面フィルタや病院のような電磁波シールドを必要とする建築物の建築材料などの家庭用、工業用の種々の分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】転写シートの形態を示す断面図である。
【図2】本発明の電磁波シールド性光透過部材の一例を示す断面図である。
【図3】一層埋め込み法の実施の形態を示す断面図である。
【図4】二層埋め込み法の実施の形態を示す断面図である。
【図5】本発明の電磁波シールド性光透過部材の一例を上からみた平面図である。
【図6】図4における電磁波シールド層を示す平面図である。
【図7】本発明の電磁波遮蔽材の一例を上からみた平面図である。
【符号の説明】
【0116】
1 支持フィルム(剥離性支持フィルム)
2 粘着剤層
3 電磁波シールド層
3’ 電磁波シールド層の2枚の支持フィルムから突出した部分
4 剥離フィルム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の支持フィルム間に、粘着剤と電磁波シールド層を含有することを特徴とする電磁波シールド性光透過部材であって、該電磁波シールド性光透過部材の端部の電磁波シールド層の少なくとも一部が2枚の支持フィルム間から突出しており、かつ少なくとも一方の支持フィルムが剥離性支持フィルムであることを特徴とする電磁波シールド性光透過部材。
【請求項2】
前記2枚の支持フィルムがいずれも剥離性支持フィルムであることを特徴とする請求項1記載の電磁波シールド性光透過部材。
【請求項3】
前記電磁波シールド層の突出部が外部導電部と接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波シールド性光透過部材。
【請求項4】
下記の工程を含み、かつ電磁波シールド性光透過部材の端部の電磁波シールド層の少なくとも一部が2枚の支持フィルム間から突出しており、少なくとも一方の支持フィルムが剥離性支持フィルムであることを特徴とする電磁波シールド性光透過部材の製造方法。
(1)金属箔と基材フィルムとを、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を介して貼付する工程、
(2)前記金属箔の選択的エッチングによって金属メッシュを形成する工程、
(3)金属メッシュに黒化処理を施す工程、
(4)基材フィルム、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤、金属メッシュからなる積層体の金属メッシュ面と、支持フィルム上に粘着剤を塗布した積層体の粘着剤面とを、貼付する工程、
(5)前記金属メッシュと前記基材フィルムとを貼付する前記粘着力消失型粘着剤の粘着力を、活性エネルギー線照射で低下させることにより、前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離する工程、
(6)前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離した剥離面と、新たな支持フィルムとを、貼付する工程、及び
(7)露出したメッシュを粘着剤中へ埋め込む工程
【請求項5】
下記の工程を含み、かつ電磁波シールド性光透過部材の端部の電磁波シールド層の少なくとも一部が2枚の支持フィルム間から突出しており、少なくとも一方の支持フィルムが剥離性支持フィルムであることを特徴とする電磁波シールド性光透過部材の製造方法。
(1)金属箔と基材フィルムとを、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を介して貼付する工程、
(2)前記金属箔の選択的エッチングによって金属メッシュを形成する工程、
(3)金属メッシュに黒化処理を行う工程、
(4)基材フィルム、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤、金属メッシュからなる積層体の金属メッシュ面と、支持フィルム上に粘着剤を塗布した積層体の粘着剤面とを、貼付する工程、
(5)前記金属メッシュと前記基材フィルムとを貼付する前記粘着力消失型粘着剤の粘着力を、活性エネルギー線照射で低下させることにより、前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離する工程、
(6)前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離した剥離面と、新たな支持フィルム上に粘着剤を塗布した積層体の粘着剤面とを、貼付する工程、及び
(7)露出したメッシュを粘着剤中へ埋め込む工程
【請求項6】
前記2枚の支持フィルムがいずれも剥離性支持フィルムであることを特徴とする請求項4または5に記載の電磁波シールド性光透過部材の製造方法。
【請求項7】
前記電磁波シールド層の突出部が外部導電部と接続されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の電磁波シールド性光透過部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−95870(P2007−95870A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−281279(P2005−281279)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】