説明

電磁線による溶着法

2つの互いに直接に溶着不可能な成形部材AとBは、フィルムCの第1の表面の材料が成形部材Aの材料と相容性であり、該フィルムの第2の表面の材料が成形部材Bの材料と相容性である場合およびフィルムCまたは該フィルムCと接触する表面領域が電磁線を吸収する場合には、フィルムCにより互いに溶着されることができる。この溶着は、フィルムCの第1の表面を成形部材Aと接触させ、フィルムCの第2の表面を成形部材Bと接触させ、電磁線を入射することにより実施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、単層または多層であってよいフィルムを用いて電磁線により成形部材を溶着する方法である。
【0002】
プラスチック成形部材は、多種多様のプラスチック溶着方法により、例えば高周波溶着、熱インパルス溶着、熱接触溶着、加熱コイル溶着によってかまたは電磁線、例えばレーザー光、IRまたはマイクロ波照射により互いに結合させることができる。レーザー透過溶着法の場合には、通常、レーザー透過性の接合部材およびレーザー吸収性の接合部材が使用される。レーザービームは、透過性物体を透過し、隣接する吸収性成形体上に衝突し、この成形体は、局部的な加熱によって溶融される。しかし、透過性接合部材を透過するレーザービームは、接合の場合には極度に深く吸収性の接合部材に侵入せず、既に表面領域内で吸収性成形体の溶融を生じる。この場合には、熱時に接合体域内でレーザービームの有利な局所的変換を生じる。膨張する溶融液は、透過性接合部材と接触し、この透過性接合部材を同様に局所的に溶融する。この場合、押付圧力は、接合結合の実現を支持する。熱は、意図的に導入され、早期には外向きに逃出することができない。充填されていない状態での熱可塑性樹脂は、レーザー光に対して、通常レーザー透過溶着法に使用される波長で十分に透過性である。別の溶着法と異なる1つの利点は、結合部の外観を極めて良好に目視できること、および接合帯域の加熱が局所的に制限されることにある。同様のことは、IR線または別の電磁線による溶着法にも言えることである。
【0003】
レーザー透過性である2個の成形部材を介在するレーザー吸収性フィルムにより互いに溶着することができることは、既に公知である(WO 00/20157;WO 02/38677;F. Krause et al., "Mehr Freiheiten bei der Farbwahl", Kunststoffe 10/2003, 第196〜199頁)。しかし、非相容性のために直接に互いに溶着することができない、2個の成形材を使用するような方法は、公知ではない。
【0004】
更に、2つのプラスチック成形部材AとBがもう1つの成形部材Cにより互いに溶着されるような、レーザー溶着された複合体成形部材を製造する方法は、公知であり、この場合この最後の成形部材Cは、レーザービーム透過性材料層C1およびレーザービーム吸収性材料層C2を含む。層C2は、成形部材AおよびBと重なり合い、重なり領域内で前記成形部材AおよびBと結合される。しかし、この方法では、本発明による望ましい幾何学的寸法の複合部材を得ることができない。
【0005】
本発明の基礎となる課題は、2つの互いに非相容性の成形部材からなる複合部材を電磁線により製造することであった。
【0006】
この課題は、次の工程:
a)成形部材Aを準備し、
b)材料が成形部材Aの材料と非相容性である成形部材Bを準備し、この場合成形部材AおよびBの少なくとも1つは、電磁線に対して透過性であり、
c)第1の表面の材料が成形部材Aの材料と相容性であり、第2の表面の材料が成形部材Bの材料と相容性であるフィルムCを準備し、この場合フィルムCまたはこのフィルムCと接触する表面領域は、電磁線を吸収し、
d)フィルムCの第1の表面を成形部材Aと接触させ、フィルムCの第2の表面を成形部材Bと接触させ、
e)フィルムCを溶融しながら電磁線を入射し、および
f)溶融された領域を冷却させることを含む方法によって解決された。
【0007】
本発明の可能な実施態様において、工程d)は、フィルムCが成形部材AとBとの間に介在するように実施される。更に、工程e)において、AとCとの間での溶着ならびにBとCとの間での溶着は、同時に実施される。
【0008】
本発明のもう1つの可能な実施態様において、工程d)は、フィルムCが成形部材AとBの1つと、例えば貼合せによって予め結合されるように実施される。この特殊な場合には、当該成形部材は、フィルムと接触した際に初めて形成される。これは、金型内に装入されたフィルムを溶融された成形材料で後方から噴射することによって、成形部材の形成下および同時にフィルムとの複合体形成下に行なうことができる。引続き、この複合体部材は、別の成形部材と接触される。
【0009】
本発明の別の可能な実施態様は、例えば次の通りである:
成形部材AおよびBの1つまたはフィルムCに使用される波長範囲内の電磁線を、添加剤を必要とすることなく吸収させ、
電磁線の吸収を吸収性添加剤の添加によって生じさせ、
電磁線を吸収する添加剤が成形部材AおよびBの1つの成形部材中に、全成形部材を越えて表面層中または直接に表面上に存在する。例えば、前記の成形部材は、完全にかまたは表面領域内で、例えばカーボンブラックで充填された成形材料からなることができる。更に、フィルムCは、場合によっては添加剤を僅かだけ含有するかまたは添加剤を全く含有せず、
電磁線を吸収する添加剤は、フィルム中に存在する。前記の実施態様は、好ましい。それというのも、この場合には、上記の実施態様と比較してなおいっそう良好に、溶着の際にフィルムの固体の化合物が2つの成形部材を生じることを保証しているからである。
【0010】
フィルムは、単層であり;この場合、このフィルムは、2つの成形部材の材料と堅固な付着を生じる材料からなる。
【0011】
フィルムは、二層であり;1つの層の材料は、成形部材Aに向かう付着力に対して最適化されており、他方、別の層の材料は、成形部材Bに向かう付着力に対して最適化されている。この場合、2つのフィルム層は、互いに堅固に付着し;
フィルムは、三層であり、この場合第1の外層の材料は、成形部材Aに向かう付着力に対して最適化されており、場合によっては成形部材Aの材料に類似しているかまたは成形部材Aの材料と同一であり;第2の外層の材料および成形部材Bに対しても意味内容的に同じことが言える。2つの外層は、互いに付着補助層によって結合している。こうして、対の材料の場合には、十分に構成の自由が得られる。必要な場合には、フィルムは、4つまたはそれ以上の層を含むことができるが;しかし、その際には製造費が上昇する。また、照射の際に全厚に亘って溶融するために、フィルムが厚くなりすぎないことが保証されなければならず;電磁線を吸収する添加剤は、全てのフィルム層中に存在する。即ち、例えば二層のフィルムまたは三層のフィルムの場合には、それぞれの層が前記種類の添加剤を含有する成形材料から形成されることが考えられるが、しかし、このことは不要である。場合によっては、異なる領域内で、異なる波長範囲で吸収する異なる添加剤が存在する。これは、殊に1つの側からこちらの側へ異なる深さで存在する領域が互いに溶着される場合に有利である。
【0012】
電磁線を吸収する添加剤は、フィルムCの1つの層内に存在するかまたは場合によってはフィルムCの複数の層内に存在するが、しかし、フィルムCの全ての層内に存在する訳ではない。厚すぎないフィルムの場合には、照射の際にフィルムを厚さの全範囲に亘って溶融するために、唯一の吸収層で十分である。それに応じて、三層のフィルムの場合には、添加剤は、外層の1つまたは中間層または例えば外層の1つならびに中間層に存在することができる。
【0013】
複合部材は、最も簡単な場合に構造A/C/Bを有する。AならびにBが電磁線に対して十分に透過性である場合には、入射は、選択的にAまたはBを通じて行なうことができる。
【0014】
複合部材は、1つを上廻る成形部材A、1つを上廻る成形部材Bおよび/または1つを上廻るフィルムCを含む。この場合、成形部材Aまたは成形部材BまたはフィルムCは、形状、構造および組成の点で異なっていてよい。例えば、構造A/C/B/C/AまたはA1/C1/B/C2/A2の本発明による複合部材を製造することができる。この場合には、両側からの入射によって2回の溶着が実施される。
【0015】
前記の考えられる実施態様および別の考えられる実施態様は、有効である限り、互いに組み合わせてよい。
【0016】
成形部材AおよびBとしては、フィルムおよび半製品(板、管、プレート、棒等)を含めて、なかんずく射出成形されたか、押出されたか、吹込成形されたか、または原型技術または変形技術の他の方法(圧縮、型押し、焼結、注型)によって製造された成形部材がこれに該当する。この成形部材は、公知方法により製造されてよい。成形部材は、多成分で、例えば多層で形成されていてもよい。前記成形部材の少なくとも1つは、レーザー透過性でなければならない。
【0017】
成形部材は、通常、熱可塑性ポリマーから形成されているが、しかし、熱硬化性樹脂から形成されていてもよい。
【0018】
熱可塑性ポリマーとして、当業者に公知の全ての熱可塑性樹脂がこれに該当する。適当な熱可塑性ポリマーは、例えばKunststoff-Taschenbuch, Saechtling編, 第25版, Hanser-Verlag, Muenchen, 1992、殊に第4章ならびにその中で引用された刊行物、およびKunststoff-Handbuch, G. BeckerおよびD. Braun, 第1〜11巻, Hanser-Verlag, Muenchen, 1966〜1996、に記載されている。
【0019】
例示的に適当な熱可塑性樹脂として次のものが挙げられる:ポリオキシアルキレン、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)またはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン、例えばポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアミド、ビニル芳香族(共)重合体、例えばポリスチレン、耐衝撃性に変性されたポリスチレン、例えばHI−PS、またはASA−、ABS−またはAES−ポリマー、ポリアリーレンエーテル、例えばポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリラクチド、ハロゲン含有ポリマー、イミド基含有ポリマー、セルロースエステル、シリコーンポリマーおよび熱可塑性エラストマー。異なる熱可塑性樹脂の混合物は、プラスチック成形部材のための材料として使用されてもよい。この混合物は、単相または多相のポリマーブレンドであることができる。
【0020】
互いに結合することができる成形部材は、同一かまたは異なる熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂配合物からなることができる。
【0021】
ポリオキシアルキレン単独重合体またはポリオキシアルキレン共重合体、殊に(コ)ポリオキシメチレン(POM)およびその製造法は、当業者に自体公知であり、刊行物中に記載されている。適当な材料は、市場で、例えばUltraform(登録商標)(BASF AG)の商品名で入手することができる。一般に、前記ポリマーは、ポリマー主鎖中に繰返し単位−CH2O−を少なくとも50モル%有する。単独重合体は、一般にホルムアルデヒドまたはトリオキサンを、例えば適当な触媒の存在下で重合させることによって製造される。好ましいのは、ポリオキシメチレン共重合体およびポリオキシメチレン三元重合体である。好ましいポリオキシメチレン(共)重合体は、少なくとも150℃の融点および5000〜200000、特に7000〜150000g/molの範囲内の分子量(質量平均)Mwを有する。鎖端部にC−C結合を有する、末端基が安定化されたポリオキシメチレン重合体は、特に有利である。
【0022】
適当なポリカーボネートは、自体公知であり、例えばドイツ連邦共和国特許出願公告第1300266号明細書の記載によれば、界面重縮合によって得ることができ、或いはドイツ連邦共和国特許出願公開第1495730号明細書の記載によれば、ビフェニルカーボネートをビスフェノールと反応させることによって得ることができる。好ましいビスフェノールは、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパンであり、一般にビスフェノールAと呼称される。適当なポリカーボネートは、市場でLexan(登録商標)(GE Plastics B.V., Holland)の商品名で入手することができる。
【0023】
適当なポリエステルは、同様に自体公知であり、刊行物中に記載されている。このポリエステルは、芳香族ジカルボン酸に由来する芳香環を主鎖中に含有する。芳香環は、例えばハロゲン、例えば塩素または臭素によって置換されていてもよいし、C1〜C4−アルキル基、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基またはn−プロピル基、またはn−ブチル基、イソブチル基または第三ブチル基によって置換されていてもよい。ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸、そのエステルまたは該ジカルボン酸の別のエステル形成誘導体を、脂肪族ジヒドロキシカルボン酸と反応させることによって自体公知の方法で製造されることができる。好ましいジカルボン酸としては、ナフタリンジカルボン酸、テレフタル酸およびイソフタル酸またはこれらの混合物を挙げることができる。芳香族ジカルボン酸30モル%までを、脂肪族ジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸およびシクロヘキサンジカルボン酸によって代替することができる。脂肪族ジヒドロキシ化合物の中で、2〜6個の炭素原子を有するジオール、殊に1,2−エタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメチロールおよびネオペンチルグリコールまたはこれらの混合物が有利である。特に好ましいポリエステルとしては、2〜6個のC原子を有するアルカンジオールに由来するポリアルキレンテレフタレートを挙げることができる。前記のポリエステルの中で、殊にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートおよびポリブチレンテレフタレート(PBT)が好ましい。
【0024】
適当なポリオレフィンは、第1にポリエチレンおよびポリプロピレンならびにエチレンまたはプロピレンを基礎とし、場合によっては高級α−オレフィンを有する共重合体である。また、ポリオレフィンは、エチレン−プロピレンエラストマーおよびエチレン−プロピレンターポリマーでもある。
【0025】
ポリ(メタ)アクリレートは、殊にポリメチルメタクリレート(PMMA)ならびに他の共重合可能なモノマー、例えばn−ブチルアクリレート、第三ブチルアクリレートまたは2−エチルヘキシルアクリレートを40質量%まで有するメチルメタクリレートを基礎とする共重合体を挙げることができ、例えばこの共重合体は、例えばLucryl(登録商標)(BASF AG)またはPlexiglas(登録商標)(Roehm GmbH)の商品名で得ることができる。これは、本発明の範囲内で耐衝撃性に変性されたポリ(メタ)アクリレートならびにポリアクリレートゴムで耐衝撃性に変性されている、ポリ(メタ)アクリレートとSAN−ポリマーとの混合物(例えば、BASF AGの市販製品Terlux(登録商標)参照)である理解することができる。
【0026】
本発明の範囲内でポリアミドは、ポリエーテルアミドおよびポリエーテルブロックアミドを含めて全ての公知のポリアミドである。このための例は、7〜13個の環員を有するラクタムに由来するポリアミド、例えばポリカプロラクタム、ポリカプリルラクタムおよびポリラウリンラクタムならびにジカルボン酸をジアミンと反応させることによって得ることができるポリアミドである。ポリアミドは、全芳香族であってもよいし、部分芳香族であってもよく;この部分芳香族は、通常、PPAと呼称される。
【0027】
ジカルボン酸としては、6〜14個、殊に6〜12個の炭素原子を有するアルカンジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸を使用することができる。この場合には、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸(=デカンジカルボン酸)およびテレフタル酸および/またはイソフタル酸が酸として挙げられる。
【0028】
ジアミンとしては、特に6〜12個、殊に6〜8個の炭素原子を有するアルカンジアミンならびにm−キシリレンジアミン、ジ−(4−アミノフェニル)メタン、ジ−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ジ−(4−アミノフェニル)−プロパンまたは2,2−ジ−(4−アミノシクロヘキシル)プロパンが適当である。
【0029】
好ましいポリアミドは、ポリヘキサメチレンアジピン酸アミド(PA66)、ポリヘキサメチレンセバシン酸アミド(PA610)、ポリヘキサメチレンデカンジカルボン酸アミド(PA612)、ポリカプロラクタム(PA6)、コポリアミド6/66、殊にカプロラクタム単位5〜95質量%の含量を有するコポリアミド6/66ならびにポリラウリンラクタム(PA12)およびPA11であり、さらにカプロラクタム、テレフタル酸およびヘキサメチレンジアミンを基礎とするかまたはテレフタル酸、アジピン酸およびヘキサメチレンジアミンを基礎とするコポリアミドでもある。
【0030】
更に、例えば1,4−ジアミノブタンをアジピン酸と高められた温度で縮合させることによって得ることができるポリアミドも挙げられる(PA46)。この構造のポリアミドのための製造方法は、例えば欧州特許出願公開第0038094号明細書、欧州特許出願公開第0038582号明細書および欧州特許出願公開第0039524号明細書中に記載されている。
【0031】
他の例は、2つ以上の前記モノマーを共重合することによって得られるポリアミドまたは多数のポリアミドの混合物であり、この場合混合比は、任意である。
【0032】
次の最終的でない設定は、本発明の範囲内で記載されたポリアミドならびに他のポリアミドを含む(括弧内には、モノマーが記載されている):PA46(テトラメチレンジアミン、アジピン酸)、PA66(ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸)、PA69(ヘキサメチレンジアミン、アゼライン酸)、PA610(ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸)、PA612(ヘキサメチレンジアミン、デカンジカルボン酸)、PA613(ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンジカルボン酸)、PA614(ヘキサメチレンジアミン、ドデカンジカルボン酸)、PA1212(1,12−ドデカンジアミン、デカンジカルボン酸)、PA1313(1,13−ジアミノトリデカン、ウンデカンジカルボン酸)、PA MXD6(m−キシリレンジアミン、アジピン酸)、PA TMDT(トリメチルヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸)、PA4(ピロリドン)、PA6(ε−カプロラクタム)、PA7(エタノールラクタム)、PA8(カプリルラクタム)、PA9(9−アミノペラルゴン酸)、PA11(11−アミノウンデカン酸)、PA12(ラウリンラクタム)。このポリアミドおよびその製造は、公知である。この製造の詳細は、当業者にとってUllmanns Encykopaedie der Technischen Chemie, 第4版, 第19,第39-54頁, Verlag Chemie, Weinheim 1980,ならびにUllmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第A21巻, 第179-206頁, VCH Verlag, Weinheim 1992,ならびにStoeckhert, Kunststofflexikon,第8版,第425-428, Hanser Verlag Muenchen 1992(キーワード"ポリアミド"およびそれ以降)中に見出される。
【0033】
更に、適当な熱可塑性材料は、ビニル芳香族(共)重合体である。この自体公知でありかつ市場で入手できるポリマーの分子量は、一般に1500〜2000000g/molの範囲内、特に70000〜1000000g/molの範囲内にある。
【0034】
この場合、代替物としては、スチレンとクロロスチレンとα−メチルスチレンとp−メチルスチレンとからなるビニル芳香族(共)重合体が挙げられ;二次的含量(特に20質量%以下、殊に8質量%以下)でコモノマー、例えば(メタ)アクリルニトリルまたは(メタ)アクリル酸エステルは、構造に関与していてもよい。特に好ましいビニル芳香族(共)重合体は、ポリスチレン、スチレン−アクリルニトリル共重合体(SAN)および耐衝撃性に変性されたポリスチレン(HIPS=High Impact Polystyrene高衝撃性ポリスチレン)である。前記ポリマーの混合物を使用してもよいことは、自明のことである。製造は、欧州特許出願公開第0302485号明細書に記載された方法により行なうことができる。
【0035】
更に、ASAポリマー、ABSポリマーおよびAESポリマー(ASA=アクリルニトリル−スチレン−アクリルエステル、ABS=アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン、AES=アクリルニトリル−EPDMゴム−スチレン)は、特に好ましい。この耐衝撃性のビニル芳香族ポリマーは、少なくとも1つのゴム弾性グラフトポリマーおよび熱可塑性ポリマー(マトリックスポリマー)を含有する。マトリックス材料としては、一般にスチレン/アクリルニトリルポリマー(SAN)が使用される。好ましくは、ゴムとしてジエン、例えばブタジエンまたはイソプレンを基礎とするジエンゴム(ABS)、アクリル酸のアルキルエステル、例えばn−ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートを基礎とするアルキルアクリレートゴム、エチレン、プロピレンおよびジエンを基礎とするEPDMゴムまたは前記ゴムの混合物、またはゴムモノマーを含有するグラフトポリマーが使用される。
【0036】
適当なABSポリマーの製造は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10026858号明細書またはドイツ連邦共和国特許出願公開第19728629号明細書中に詳細に記載されている。ASAポリマーの製造に関しては、例えば欧州特許出願公開第0099532号明細書の記載に帰因しうる。AESポリマーの製造に関する記載は、例えば米国特許第3055859号明細書または米国特許第4224419号明細書中に開示されている。
【0037】
ポリアリーレンエーテルは、有利にポリアリーレンエーテルそれ自体、ポリアリーレンエーテルスルフィド、ポリアリーレンエーテルスルホンまたはポリアリーレンエーテルケトンであることができる。前記ポリアリーレンエーテルのアリーレン基は、同一でも異なっていてもよく、互いに無関係に6〜18個のC原子を有する芳香族基を意味する。適当なアリーレン基の例は、フェニレン、ビフェニレン、テルフェニレン、1,5−ナフチレン、1,6−ナフチレン、1,5−アントリレン、9,10−アントリレンまたは2,6−アントリレンである。その中で、1,4−フェニレンおよび4,4′−ビフェニレンが好ましい。有利には、前記芳香族基は、置換されていない。しかし、この芳香族基は、1個以上の置換基を有することができる。適当なポリフェニレンエーテルは、Noryl(登録商標)(GE Plastics B.V., Holland)の商品名で商業的に入手することができる。
【0038】
ポリアリーレンエーテルは、自体公知であるかまたは自体公知の方法により製造されてよい。
【0039】
ポリアリーレンエーテルスルホンまたはポリアリーレンエーテルケトンを合成するための好ましい処理条件は、例えば欧州特許出願公開第0113112号明細書および欧州特許出願公開第0135130号明細書中に記載されている。適当なポリフェニレンエーテルスルホンは、例えばUltrason(登録商標)(BASF AG)の商品名で入手することができ、適当なポリフェニレンエーテルケトンは、Victrex(登録商標)の商品名で市場で入手することができる。
【0040】
更に、ポリウレタン、ポリイソシアヌレートおよびポリ尿素は、プラスチック成形部材を製造するのに適した材料である。軟質、半硬質または硬質の熱可塑性かまたは架橋されたポリイソシアネート重付加生成物、例えばポリウレタン、ポリイソシアヌレートおよび/またはポリ尿素は、一般に公知である。前記のポリイソシアネート重付加生成物の製造は、しばしば記載されており、通常イソシアネートをイソシアネートと比較して反応性の化合物と、一般に公知の条件下で反応させることによって行なわれる。好ましくは、この反応は、触媒および/または助剤の存在下で実施される。
【0041】
イソシアネートとしては、自体公知の芳香族、アリール脂肪族、脂肪族および/または環状脂肪族の有機イソシアネート、有利にジイソシアネートがこれに該当する。
【0042】
イソシアネートと比較して反応性の化合物として、例えば60〜10000g/molの分子量および1〜8、有利に2〜6のイソシアネートに対する官能価を有する一般に公知の化合物(熱可塑性ポリウレタンの場合には、約2の官能価)、例えば500〜10000g/molの分子量をするポリオール、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリエステルポリオールおよび/または500g/mol未満の分子量を有するジオール、トリオールおよび/またはポリオールを使用することができる。
【0043】
ポリラクチド、即ち乳酸のポリマーは、自体公知であり、自体公知の方法により製造されてよい。
【0044】
ポリラクチドと共に、乳酸および他のモノマーを基礎とする共重合体またはブロック共重合体が使用されてもよい。多くの場合には、線状ポリラクチドが使用される。しかし、枝分れ乳酸ポリマーが使用されてもよい。分枝剤としては、例えば多価の酸またはアルコールを使用することができる。
【0045】
適当なハロゲン含有ポリマーとして、例えば塩化ビニルのポリマー、殊にポリ塩化ビニル(PVC)、例えば硬質PVCおよび軟質PVCならびに塩化ビニルの共重合体、例えばPVC−U成形材料を挙げることができる。
【0046】
更に、弗素含有ポリマー、殊にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリ弗化ビニリデン(PVDF)、ポリ弗化ビニル(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)およびエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)が当てはまる。
【0047】
イミド基含有ポリマーは、殊にポリイミド、ポリエーテルイミドおよびポリアミドイミドである。
【0048】
適当なセルロースエステルは、例えばセルロースアセテート、セルロースアセトブチレートおよびセルロースプロピオネートである。
【0049】
それと共に、シリコーンポリマーも熱可塑性樹脂としてこれに該当する。適当なのは、殊にシリコーンゴムである。これは、通常、架橋反応することができる基を有するポリオルガノシロキサンである。この種のポリマーは、例えばRoempp Chemie Lexikon, CD-ROMバージョン1.0, Thieme Verlag Stuttgart 1995中に記載されている。
【0050】
最後に、熱可塑性エラストマー(TPE)の化合物種が使用されてもよい。TPEは、熱可塑性樹脂と同様に加工することができるが、しかし、ゴム弾性の性質を有する。適当なのは、TPEブロック共重合体、TPEグラフト共重合体および2個以上のモノマー構成単位からなるセグメント化されたTPE共重合体である。特に適当なTPEは、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPE−UまたはTPU)、スチレン−オリゴブロック共重合体(TPE−S)、例えばSBS(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)およびSEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、SBSの水素化によって得られる)、熱可塑性ポリオレフィン−エラストマー(TPE−O)、熱可塑性ポリエステル−エラストマー(TPE−E)、熱可塑性ポリアミド−エラストマー(TPE−A)および殊に熱可塑性加硫物(TPE−V)である。TPEの詳細は、当業者にはG. Holden et al., Thermoplastic Elastomers, 第2版, Hanser Verlag, Muenchen 1996中に見出せる。
【0051】
更に、成形部材AおよびBは、通常の添加剤および加工助剤を含有することができる。
【0052】
適当な添加剤および加工助剤は、例えば滑剤または離型剤、ゴム、酸化防止剤、光の作用に対する安定剤、静電防止剤、難燃剤、または繊維状または粉末状の充填剤または強化剤ならびに別の添加剤またはこれらの混合物である。
【0053】
適当な滑剤および離型剤は、例えばステアリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸エステルまたはステアリン酸アミド、シリコーン油、金属ステアレート、モンタンワックスおよびポリエチレンとポリプロピレンを基礎とするワックスである。
【0054】
適当な酸化防止剤(熱安定剤)は、例えば立体障害フェノール、ヒドロキノン、アリールアミン、ホスファイト、これらの群の種々に置換された代表例ならびにこれらの混合物である。
【0055】
適当な、光の作用に対する安定剤は、例えば種々に置換されたレゾルシノール、サリチレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンおよびHALS(Hindered Amine Light Stabilizersヒンダードアミン光安定剤)である。
【0056】
適当な静電防止剤は、例えばアミン誘導体、例えばN,N−ビス(ヒドロキシアルキル)アルキルアミンまたはN,N−ビス(ヒドロキシアルキル)アルキレンアミン、ポリエチレングリコールエステルまたはグリセリンものステアレートおよびグリセリンジステアレートならびにこれらの混合物である。
【0057】
適当な難燃剤は、例えば当業者に公知のハロゲン含有化合物単独であるか三酸化アンチモンと一緒にであり、或いは燐含有化合物、水酸化マグネシウム、赤燐ならびに別の常用の化合物またはこれらの混合物である。それらの中には、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第19632675号明細書またはEncyclopedia of Chemical Technology, R. Kirk およびD. Othmer編, 第10巻,第3版, Wiley, New York, 1980,第340〜420頁中に開示された燐化合物、例えばホスフェート、例えばトリアリールホスフェート、例えばトリスクレシルホスフェート、ホスファイト、例えばトリアリールホスファイトまたはホスホナイトが含まれる。ホスホナイトとしては、一般にビス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)−フェニルホスホナイト、トリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)−ホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−第三ブチル−6−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニリレン−ジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジメチルフェニル)−1,4−フェニリレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)−1,6−ヘキシリレンジホスホナイトおよび/またはテトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−4,4′−ビスフェニリレン−ジホスホナイトまたはテトラキス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−4,4′−ビスフェニリレン−ジホスホナイトが使用される。
【0058】
更に、殊にマグネシウムの水酸化物または炭酸塩を基礎とする無機難燃剤、無機ホウ素化合物および有機ホウ素化合物、硼酸ナトリウム、酸化ホウ素、ナトリウムテトラフェニルボレートおよびトリベンジルボレート、窒素含有難燃剤、例えばイミノホスホラン、メラミンシアヌレートおよびアンモニウムポリホスフェートならびにメラミンホスフェートが適している(上掲Encyclopedia of Chemical Technology, 同所も参照せよ)。更に、難燃剤として滴下防止剤(Antitropfmitteln)、例えばテフロンまたは高分子量ポリスチレンとの混合物もこれに該当する。
【0059】
繊維状または粉末状の充填剤および強化剤のための例としては、炭素繊維またはガラス織物、ガラスマットまたはガラスロービングの形のガラス繊維、カットガラスおよびガラス玉、特に有利にガラス繊維が挙げられる。使用されるガラス繊維は、Eガラス、AガラスまたはCガラスからなるものであってよく、特に例えばエポキシ樹脂、シラン樹脂、アミノシラン樹脂またはポリウレタンを基礎とするサイズ剤および官能化されたシランを基礎とする付着助剤を備えている。ガラス繊維の加工は、ガラス短繊維の形ならびにエンドレスストランド(ロービング)の形で行なうことができる。
【0060】
粒子状の充填剤として、例えば無定形の珪酸、ホイスカー、酸化アルミニウム繊維、炭酸マグネシウム(白亜)、粉末状石英、雲母、マイカ、ベントナイト、タルク、長石または殊に珪酸カルシウム、例えば珪灰石およびカオリンが適している。
【0061】
繊維状、粉末状または粒子状の充填剤および強化剤は、通常、成形部材に対して1〜60質量%、有利に10〜50質量%の量で使用される。
【0062】
更に、成形部材AまたはBは、着色剤を含有することができる。それによれば、成形部材AおよびBは、同じ色であってもよいし、異なる色であってもよい。
【0063】
ポリマー成形材料、添加剤、加工助剤および/または着色剤からなる成形部材の製造は、自体工程の混合法により、例えば押出機、バンバリーミキサー、混練機、ロールミキサー(Walzenstuhl)またはカレンダー中での溶融下に行なうことができる。しかし、前記成分は、"冷時に"使用されてもよく、粉末状の混合物または顆粒からなる混合物は、加工の際に初めて溶融され、均一化される。
【0064】
好ましくは、前記成分は、場合によっては前記の添加剤、加工助剤および/または着色剤と一緒に押出機または別の混合装置中で100〜320℃の温度で熱可塑性ポリマーの溶融下に混合され、搬出される。押出機、殊に同旋回転型の密接にコーミングする(dichtkaemmenden)二軸押出機の使用は、特に有利である。
【0065】
このために他の選択可能な方法で2つの成形部材の1つは、プラスチックでない1つの材料、例えば木材、金属(例えば、アルミニウム、マグネシウム、鋼)、セラミックまたは岩石からなることができる。更に、別の成形部材は、電磁線に対して透過性である。
【0066】
成形部材Aの材料は、成形部材Bの材料と非相容性である。これは、2つの成形部材が直接に溶着され得ないという結果を生じる。それというのも、付着は達成されないかまたは付着は十分でないからである。
【0067】
更に、電磁線に対して透過性である成形部材Aと電磁線の作用量を吸収する添加剤を含有する成形部材Bとを当業者が溶着する際に電磁線の入射によって、破断時に溶着に必要とされる引張応力(DIN EN ISO527による引張試験で測定した)が2N/mm2未満、有利に最大1.5N/mm2、特に有利に最大1N/mm2であるような成形部材が得られる場合に達成可能な付着力では、不十分である。
【0068】
フィルムCのための材料の場合には、原則的に前記の熱可塑性樹脂または成形材料を使用することができる。材料の選択に関連して、当業者であれば、幅広い範囲内で相容性として公知である対の材料を使用することができる。
【0069】
一般にフィルムは、最大500μm、最大400μm、最大300μm、最大250μm、最大200μmの厚さであり、他方、最小の厚さは、10μm、15μm、20μm、25μmまたは30μmである。
【0070】
適当な材料の組合せのための典型的な例は、次の通りである:
a)市販のポリアミド成形材料(例えば、PA6、PA66、PA610、PA612、PA1010、PA11、PA12または他の上記ポリアミドの中の1つを基礎とする)からなる成形部材Aは、例えば無水マレイン酸でグラフトされたポリプロピレンを基礎とする成形材料(例えば、Admer(登録商標)QB 520E)からなり、例えば添加剤としてカーボンブラックが添加されているフィルムを介して、市販のポリプロピレン成形材料からなる成形部材Bと結合される。意図される付着力は、受け入れ可能である。
【0071】
b)項目a)に記載された成形部材AおよびBのよりいっそう堅固な結合は、成形部材Aに隣接した層が例えば添加剤としてのカーボンブラックが添加されたポリアミド成形材料からなり(最善で成形部材Aと同じポリアミドを基礎とする)、他方で成形部材Bに隣接した層が無水マレイン酸でグラフトされたポリプロピレンを基礎とする成形材料(例えば、Admer(登録商標)QB 520E)からなる介在する二層フィルムが使用される場合に成功する。
【0072】
c)付加的な強度の獲得は、項目b)から出発して、成形部材Aに隣接した層がポリアミド成形材料からなり(最善で成形部材Aと同じポリアミドを基礎とする)、他方、成形部材Bに隣接した層が市販のポリプロピレン成形材料からなる介在する三層フィルムが使用される場合に達成され;2つの層は、無水マレイン酸でグラフトされたポリプロピレンを基礎とする介在する付着助剤層(例えば、Admer(登録商標)QB 520E)によって結合される。添加剤、例えばカーボンブラックは、選択的にポリアミド層中、付着助剤層中および/またはポリプロピレン層中に含有されていてよい。
【0073】
三層フィルムは、項目b)で使用される二層フィルムと全く同様に、公知方法、例えば同時押出によって製造されてよい。
【0074】
d)もう1つの例は、PBT成形部材に隣接した層(厚さ例えば50μm)がPA12、PBTおよび相容性助剤(例えば、欧州特許出願公開第0509211号明細書または欧州特許出願公開第1065048号明細書の記載参照)からなり、かつPA12成形部材に隣接した層(厚さ例えば50μm)がPA12成形材料からなるような介在した二層フィルムを用いる、PA12成形材料からなる成形部材、例えば蓋とPBT成形材料からなる成形部材、例えばケーシングとの溶着である。添加剤、例えばカーボンブラックは、選択的に1つの層または別の層中に含有されていてよい。
【0075】
電磁線を吸収する添加剤は、カーボンブラックであることができる。他の適当な吸収性添加剤は、骨炭、黒鉛、別の炭素粒子、銅ヒドロキシドホスフェート(KHP)、着色剤、顔料または金属粉末である。また、例えば欧州特許出願公開第0797511号明細書中に記載されているような干渉顔料も好適であり;相応する製品は、Iriodinの商品名で販売されている。また、WO 00/20157およびWO 02/38677(例えば、ClearWeld(登録商標))に記載の添加剤は、同様に好適である。
【0076】
それと共に、次のものも同様に好適である:雲母もしくは雲母顔料、二酸化チタン、カオリン、酸化アンチモン(III)、金属顔料、オキシ塩化ビスマスを基礎とする顔料(例えば、Merck社のシリーズバイフレアBiflar、高光沢顔料)、酸化インジウム錫(Nanogate Technologie GmbH社のNano ITO-PulverまたはDegussa社のAdNanotm ITO)、AdNanotm酸化亜鉛(Degussa社)、ランタンヘキサクロリドならびに商業的に入手可能な、メラミンシアヌレートまたは燐、有利にホスフェート、ホスファイト、ホスホナイトまたは元素の(赤)燐を有する難燃剤。
【0077】
固有色に対する妨害を回避する場合には、吸収剤は、有利に干渉顔料、特に有利にメルク社(Merck)のイリオジンIriodin LS−シリーズまたはクリアウェルドClearweld(登録商標)から成る干渉顔料を有している。
【0078】
カーボンブラックは、ファーネスカーボン法、ガスカーボン法またはフレームカーボン法、特にファーネスカーボン法により製造されることができる。一次粒度は、10〜100nm、有利に20〜60nmであり、粒度分布は、狭くともよいし、広くともよい。DIN 53601によるBET表面積は、10〜600m2/g、有利に70〜400m2/gである。カーボンブラック粒子は、表面機能性の調節のために酸化的に後処理されていてよい。前記カーボンブラック粒子は、疎水性(例えば、Degussa社のPrintex 55またはFlammruss 101)または親水性(例えば、Degussa社のFarbruss FW20またはPrintex150T)に調節されていてよい。前記カーボンブラック粒子は、高ストラクチャまたは低ストラクチャに形成されていてよく;それによって一次粒子の凝集度が記載される。特殊な導電性カーボンブラックを使用することにより、本発明による粉末から製造された構造部材の導電率は、調節されることができる。パール光沢付与されたカーボンブラックの使用により、湿式混合法の場合にも乾式混合法の場合にも、一層良好な分散可能性を利用することができる。カーボンブラック分散液の使用も有利になり得る。
【0079】
骨炭は、元素の炭素を含有する鉱物質の黒色顔料である。骨炭は、70〜90%が燐酸カルシウムから成り、30〜10%が炭素から成っている。密度は典型的には2.3〜2.8g/mlである。
【0080】
吸収剤は、それぞれ100〜3000nmの波長で吸収しないかまたは劣悪に吸収するが、しかし、組合せ物で十分に良好に使用のために本発明による方法で搬入された電磁エネルギーを吸収する、有機顔料および/または無機顔料、難燃剤または別の着色剤を含有していてもよい。
【0081】
フィルム中またはフィルム層中での吸収性添加剤の濃度は、通常、0.05〜20質量%、有利に0.1〜5質量%、特に有利に0.2〜1.5質量%である。
【0082】
電磁線の入射下での溶着は、公知技術水準に相応して推奨に値する方法で押付圧力下で実施される。
【0083】
電磁線は、周波数範囲に関連して制限されていない。例えば、マイクロ波ビーム、IR線または有利にレーザービームが重要である。
【0084】
本発明による方法で使用されるレーザービームは、一般に150〜11000nmの範囲内、有利に700〜2000nmの範囲内、特に有利に800〜1100nmの範囲内の波長を有する。
【0085】
原理的に全ての通常のレーザー、例えばガスレーザーおよび固体レーザーが適している。ガスレーザーは、例えば次の通りである(括弧内には、放出されたビームの典型的な波長が記載されている):CO2レーザー(10600nm)、アルゴンガスレーザー(488nmおよび514.5nm)、ヘリウム−ネオンガスレーザー(543nm、632.8nm、1150nm)、クリプトンガスレーザー(330〜360nm、420〜800nm)、水素ガスレーザー(2600〜3000nm)、窒素ガスレーザー(337nm);固体レーザーは、例えば次の通りである(括弧内には、放出されたビームの典型的な波長が記載されている):Nd:YAGレーザー(Nd3+:Y3Al512)(1064nm)、高出力ダイオードレーザー(800〜1000nm)、ルビンレーザー(694nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、KrClエキシマレーザー(222nm)、KrFエキシマレーザー(248nm)、XeClエキシマレーザー(308nm)、XeFエキシマレーザー(351nm)ならびに532nm(周波数の2倍増)、355nm(周波数の3倍増)または266nm(周波数の4倍増)の周波数を有する、周波数が何倍にも倍増されたNd:YAGレーザー。
【0086】
使用されるレーザーは、通常、1〜200ワット、有利に5〜100ワット、殊に10〜50ワットの出力で動作される。
【0087】
使用されるレーザーのエネルギー密度は、刊行物中に所謂"区間エネルギー(Streckenenergien)"として記載され、本発明の場合には、一般に0.1〜50J/mm2の範囲内にある。実際のエネルギー密度は、導入された出力/形成された溶着面積として定義される。この値は、区間エネルギー/形成された溶着継目の幅の比と同一視される。使用されるレーザーの実際のエネルギー密度は、通常、0.001〜25J/mm2である。
【0088】
選択すべきエネルギー密度は、透過性物体等の反射特性と共に、結合すべきプラスチック成形部材が充填剤または強化剤を含有するかまたは別の強レーザー吸収剤または強レーザー散乱剤を含有するかに依存する。僅かな反射率を有しかつ充填剤または強化剤を含有しないポリマーに関しては、エネルギー密度は、通常、1〜20J/mm2、殊に3〜10J/mm2である。
【0089】
充填剤または強化剤を含有するポリマーに関しては、エネルギー密度は、通常、3〜50J/mm2、殊に5〜20J/mm2である。
【0090】
本発明による方法において使用されてよい、相応するレーザーは、商業的に入手可能である。
【0091】
特に好ましいレーザーは、短波長の赤外領域内で放射する。このような特に好ましいレーザーは、固体レーザー、殊にNd:YAGレーザー(1064nm)および高出力ダイオードレーザー(800〜1000nm)である。
【0092】
レーザービームは、定置(不動)であってよく、結合すべき成形部材は、レーザー源の脇を通り過ぎて移動することができる。同様に、成形部材は、定置(静置)であってよく、レーザー源は、成形部材の脇を通り過ぎて移動することができる。
【0093】
この場合、レーザー源は、レーザーが全体として、レーザーヘッドだけ、またはレーザーから出るレーザービームだけが光学的装置または光学機械的装置により可動することにより可動されることができる。このような装置は、例えばレンズ、ミラー、光伝導性ケーブル、殊にガラス繊維ケーブルおよびレーザー技術的に常用の別の装置、ならびに記載された装置の組合せであることができる。レーザー源ならびに成形部材が可動することも可能である。
【0094】
レーザー源と成形部材との相対的運動速度(以下、略して"速度")は、例えば輪郭溶着の場合に、通常、1〜10000mm/秒、有利に5〜50000mm/秒、殊に50〜1000mm/秒である。
【0095】
レーザー出力および速度に関連して、記載される上限および下限は、特に高すぎるレーザー出力または低すぎる速度の場合にポリマー材料が成形部材の結合すべき位置で分解し(熱的損傷)、低すぎるレーザー出力または高すぎる速度の場合に定性的に高い価値(即ち持続的に堅固で緻密)の溶着継目がもはや不可能であることによってもたらされる。それというのも、溶着に必要とされる拡散工程は、一定の温度作用時間を必要とするからである。
【0096】
多くの場合に、結合すべき成形部材をレーザー溶着前に乾燥させることは、溶着継目欠陥を蒸発する水によって回避させるために有利であることが判明した。
【0097】
レーザー透過溶着は、種々の実施態様で実施されることができる。最も重要なことは、例示的に次のことが挙げられる:輪郭溶着は、レーザービームが自由にプログラミング可能な継目輪郭に沿って実施されるかまたは構造部材が堅固に取り付けられたレーザーと相対的に移動するようなシーケンシャルな溶着工程である。溶着継目の幅は、レーザー型、光学系およびレーザー透過性の成形部材の散乱に応じて強く変動することができ、典型的には、0.6〜5mmの範囲内にある。
【0098】
同時溶着:この場合、個々の高出力ダイオードの線状に放出されるビームは、溶着すべき継目輪郭に沿って配置される。従って、全輪郭の溶融および溶着は、同時(simultan)に行なわれる。
【0099】
ほとんど同時の溶着または走査(Abtast)溶着:これらは、輪郭溶着と同時溶着との組合せである。レーザービームは、電流測定的ミラー(スキャナー)により高い速度で溶着継目の輪郭に沿って往復で導かれる。それによって、結合すべき範囲は、徐々に加熱され、かつ完全に溶融される。
【0100】
マスク溶着:この場合、線状のレーザービームは、結合すべき部材に亘って横方向に移動する。レーザーと構造部材との間に存在するマスクによって、ビームは、意図的に暗くなり、溶着すべき場所でのみ構造部材に衝突する。マスク中の最も微細な構造は、高度な溶解および10μmだけの溶着継目の幅を許容する。
【0101】
本発明による方法により得られる複合体成形部材は、殊に例えば家庭用機器および電化製品または自動車、航空機または船舶の内部範囲および外部範囲のためのケーシング、容器、例えば燃料タンク、包装品、日用品、構造部材、固定部材等である。
【0102】
複合部材は、特に溶着継目が液体不透過性およびガス不透過性であることを示す。
【0103】
本発明による方法は、殊に他の構造部材を含む組み立てられた成形部材の製造に適している。このような他の構造部材は、例えば金属、ガラス、セラミック、ポリマー、ゴムまたは別の材料からなる機械的(ファインメカニカルを含めて)、電気的、電子的、光学的、音響学的または他の構造部材であってよい。
【0104】
本発明により製造された複合部材は、同様に本発明の対象である。
【0105】
意図された溶着強さは、DIN EN ISO527に記載の引張試験により、直接に成形部材に対してかまたは該部材の部分に対して測定することができる。破断時に溶着に必要とされる引張応力は、特に少なくとも2N/mm2、有利に少なくとも3N/mm2、少なくとも4N/mm2、少なくとも5N/mm2、少なくとも6N/mm2、少なくとも7N/mm2、少なくとも8N/mm2、少なくとも9N/mm2または少なくとも10N/mm2である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの互いに直接に溶着不可能な成形部材からなる複合部材の製造法であって、次の工程:
a)成形部材Aを準備し、
b)材料が成形部材Aの材料と非相容性である成形部材Bを準備し、
c)第1の表面の材料が成形部材Aの材料と相容性であり、第2の表面の材料が成形部材Bの材料と相容性であるフィルムCを準備し、この場合フィルムCまたはこのフィルムCと接触する表面領域は、電磁線を吸収し、
d)フィルムCの第1の表面を成形部材Aと接触させ、フィルムCの第2の表面を成形部材Bと接触させ、
e)フィルムCを溶融しながら電磁線を入射し、および
f)溶融された領域を冷却させることを含む少なくとも2つの互いに直接に溶着不可能な成形部材からなる複合部材の製造法。
【請求項2】
工程d)でフィルムを成形部材AとBとの間に介在させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程d)でフィルムCを第1の段階で成形部材AとBの一方と結合させる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
フィルムCが2つ、3つ、4つまたはそれ以上の層からなる、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
フィルムCまたはこのフィルムCと接触する表面領域は、電磁線を吸収する添加剤を含有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
電磁線を吸収する添加剤は、2つ、3つ、4つまたはそれ以上の層からなるフィルムCの1つの層だけの中に存在する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
複合部材は、1つを上廻る成形部材A、1つを上廻り成形部材Bおよび/または1つを上廻るフィルムCを含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
フィルムCの厚さは、10〜500μmである、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
電磁線としてマイクロ波ビーム、IR線またはレーザービームを使用する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項の記載により製造された複合部材。

【公表番号】特表2009−517240(P2009−517240A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541664(P2008−541664)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065253
【国際公開番号】WO2007/060032
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】