説明

電磁装置及びそれを用いた操作規制装置

【課題】装置全体の小型化及び消費電力コストの低廉化を図ることができる電磁装置及びそれを用いた操作規制装置を提供する。
【解決手段】ベース部20と、このベース部20に固定され、通電により磁束を発生させるコイル部22と、ベース部20に対して移動可能に支持され、コイル部22の通電により磁化されるコア部24と、コイル部22の通電によりコア部24に吸着され、コア部24と一体的に移動可能な吸着部26と、コア部24と吸着部26とを離間させる方向に弾性力を付与する第1バネ28と、コア部24と吸着部26とを当接させる方向に弾性力を付与する第2バネ30と、を有して電磁装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁装置及びそれを用いた操作規制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用キーの電気的な信号(IDコード:Identificationコード)によりその照合を行う電子キーシステムが提案されている。車両用キーからの送信信号に含まれるIDコードと車両の送受信装置に予め登録されたIDコードとが一致すると、イグニッションスイッチの操作ノブ(スイッチ切替部材)の操作が可能となる。これにより、乗員がスイッチ切替部材を回転させることにより、車両のエンジン等を始動することができる。
【0003】
従来、この種の電子キーシステムが採用された車両のイグニッションスイッチの操作規制装置として、電磁装置としてソレノイドを使用して、車両用キーの非照合によりスイッチ切替部材の「LOCK(ロック)」位置から「ACC(アクセサリ)」位置への切り替え操作を阻止するロック機構(ノブロック機構)を備えたものがある(特許文献1)。
【0004】
このロック機構は、ソレノイドの非通電によってスイッチ切替部材の「LOCK」位置から「ACC」位置への切り替え操作を阻止する状態とし、またソレノイドの通電によってスイッチ切替部材の「LOCK」位置から「ACC」位置への切り替え操作を可能な状態とする。ソレノイドは、その通電によって吸引方向に移動するプランジャ、及びこのプランジャに吸引方向と反対の方向の弾性力を付与するスプリングを有する吸引型ソレノイドからなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−295089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記示したロック機構は、電磁装置として吸引型ソレノイドを使用し、装置全体が大型化するばかりか、消費電力コストが嵩むという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、装置全体の小型化及び消費電力コストの低廉化を図ることができる電磁装置及びそれを用いた操作規制装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明は、ベース部と、前記ベース部に固定され、通電により磁束を発生させるコイル部と、前記ベース部に対して移動可能に支持され、前記コイル部の通電により磁化されるコア部と、前記コイル部の通電によりコア部に吸着され、前記コア部と一体的に移動可能な吸着部と、前記コア部と前記吸着部とを離間させる方向に弾性力を付与する第1の弾性体と、前記コア部と前記吸着部とを当接させる方向に弾性力を付与する第2の弾性体と、を有することを特徴とする電磁装置を提供する。
【0009】
[2]前記コイル部へ通電して前記コイル部が磁束を発生した状態に移行した場合に、前記吸着部は、離間した状態の前記コア部によっては吸着されないことを特徴とする上記[1]に記載の電磁装置であってもよい。
【0010】
[3]また、前記コイル部への通電又は非通電のそれぞれの状態において、前記コア部または前記吸着部に駆動力が作用することを特徴とする上記[1]または[2]に記載の電磁装置であってもよい。
【0011】
[4]また、上記[1]から[3]のいずれかの電磁装置と、前記吸着部と前記離間または前記当接方向に離間可能で、前記吸着部を前記コア部に当接させる方向に押圧操作可能であり、離間した状態で前記吸着部から独立して回転可能な操作ノブとを有し、前記第2の弾性体は、押圧力の解除時から遅延して弾性力が発生する遅延装置で構成されることを特徴とする操作規制装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、装置全体の小型化及び消費電力コストの低廉化を図ることができる電磁装置及びそれを用いた操作規制装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電磁装置としての初期状態でのソレノイド10の構成を示すものであり、(a)は、ソレノイド10の縦断面図、(b)は、(a)におけるA方向から見た側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る電磁装置の移動後の一状態を示す縦断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る電磁装置の移動後の一状態を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る操作規制装置の構成を示すものであり、(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る電磁装置を車両の操作規制装置に適用した場合の縦断面図、(b)は、(a)におけるB方向に見た側面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る操作規制装置で使用する遅延装置の構成例を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る操作規制装置で使用する電子キーシステムを説明するために示すブロック図である。
【図7】図7(a)は、ノブ、磁性ディスク、及びコア部が一体となって遅延装置の復元力に抗してB方向へ移動したソレノイド10の縦断面図、図7(b)は、ノブへの押し込み力を解除して、第1バネの付勢力によりノブのみが先に戻ったソレノイド10の縦断面図、図7(c)は、ノブへの押し込み力を解除して、第1バネの付勢力によりノブと磁性ディスクが一緒に戻ったソレノイド10の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
(電磁装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電磁装置としての初期状態でのソレノイド10の構成を示すものであり、(a)は、ソレノイド10の縦断面図、(b)は、(a)におけるA方向から見た側面図である。
【0015】
電磁装置としてのソレノイド10は、ベース部20、コイル部22、コア部24、吸着部26、第1バネ28、第2バネ30から概略構成される。
【0016】
ベース部20は、コイル部22が固定される底部20aと、この底部20aの両端からそれぞれ略垂直に立ち上げられて設けられ、コア部24および吸着部26の移動を規制する規制部20b、20cを有する。ベース部20は、例えば、本実施の形態では、図1に示すように一体で形成され、コイル部22で発生する磁束へ影響を与えないように、例えば銅系材料等の非磁性材料で形成されるのが好ましい。
【0017】
コイル部22は、筒状に導体が巻回されてコイル状に構成され、その中心をコア部24が貫通するように構成されて、ベース部20の底部20aに固定されている。導体への通電により磁界が発生し、その中心を貫通するコア部24に磁束を発生させる。
【0018】
コア部24は、本実施の形態では、図1に示すように、U字形状に形成され、棒状部24bがコイル部22を貫通すると共に、両端部24aは吸着部26と当接可能とされている。このコア部24は、コイル部22で発生する磁界により内部に磁束が形成されるように、軟鉄または軟磁性体により形成される。コア部24は、棒状部24bがコイル部22を貫通した状態で、図1(a)の左右方向へ移動可能とされ、ベース部20またはベース部20が装着される部材によりスライド移動可能に支持されている。尚、棒状部24bには、後述する第1バネ28からの弾性力による反力を受ける鍔部32が2箇所に固定されて設けられている。
【0019】
吸着部26は、コア部24の両端部24aと当接可能な板状部材であって、コア部24と同様に軟鉄または軟磁性体により形成されている。また、コア部24と同様に、図1(a)の左右方向へ移動可能とされ、ベース部20またはベース部20が装着される部材によりスライド移動可能に支持されている。
【0020】
第1バネ28は、コア部24と吸着部26との間にコイルバネとしてそれぞれ設けられている。コア部24の鍔部32と吸着部26との間に、初期状態では圧縮された状態で配置され、コア部24と吸着部26とを離間させる方向に付勢している。
【0021】
第2バネ30は、コア部24とベース部20(20c)との間にコイルバネとしてそれぞれ設けられている。コア部24とベース部20(20c)との間に、初期状態では圧縮された状態で配置されている。第2バネ30は、コア部24とベース部20(20c)とを離間させる方向に付勢することにより、コア部24と吸着部26が当接するように付勢する。第2バネ30による付勢力を第1バネ28による付勢力よりも大きく設定しておくことにより、図1(a)に示すように、初期荷重を付加することによりコア部24と吸着部26が当接した初期状態となる。尚、第2バネ30は、ベース部20の規制部20cに形成された突起部20dに嵌装された状態でコア部24と規制部20c間に配置されている。
【0022】
(ソレノイド10の動作)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る電磁装置としてのソレノイド10の移動後の一状態を示す縦断面図である。すなわち、コア部24のみが図2で示すB方向へ移動し、吸着部26はベース部20の規制部20bの内側面20fに当接した状態を示している。この移動状態は、コイル部22は非通電状態であり、コア部24が図2で示すB方向へ駆動された場合である。
【0023】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る電磁装置としてのソレノイド10の移動後の一状態を示す縦断面図である。すなわち、コア部24と吸着部26が一体的に図2で示すB方向へ移動した状態を示している。この移動状態は、(1)コイル部22が非通電状態であり、吸着部26が図2で示すB方向へ駆動されてコア部24と共にB方向へ移動した場合と、(2)コイル部22が通電状態であり、コア部24と吸着部26が吸着した状態でコア部24または吸着部26が図2で示すB方向へ移動した場合である。
【0024】
(通電時の動作)
図1に示したソレノイド10は、初期状態において、コア部24と吸着部26は当接し、また、吸着部26は、ベース部20の規制部20bの内側面20fに当接した状態で停止している。この状態で、コイル部22に所定の電圧で電流を供給すると磁界が発生し、コア部24に磁束を発生させる。この磁束により、コア部24と吸着部26は閉磁路を形成して吸着部26はコア部24の両端部24aに吸着して一体として移動可能な状態となる。
【0025】
(非通電時の動作)
ソレノイド10の非通電時において、コア部24を第2バネ30に抗して図2で示すB方向へ移動させると、コア部24のみが移動して突起部20dの先端部20eに当接するまで移動可能である。吸着部26は、第1バネ28により規制部20bの内側面20fに当接した状態のままであり、吸着部26とコア部24は離間する。
【0026】
また、吸着部26を第2バネ30に抗して図3で示すB方向へ押圧すると、コア部24が吸着部26に押圧されながら一体で移動してコア部24が突起部20dの先端部20eに当接するまで移動可能である。吸着部26の押圧をやめるとコア部24と吸着部26は一体でC方向に移動して初期状態に戻る。
【0027】
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態によれば、プランジャを有する従来のタイプの吸引タイプのソレノイドではなく、電磁石(コイル)で発生する磁界によるコア部と吸着部の吸着を利用した保持タイプのソレノイドである。保持タイプは、コイル部への通電でコイル部が磁束を発生した状態に移行した場合に、吸着部が離間した状態のコア部によっては吸着されないものである。このソレノイドは、コイル部を固定してコア部と吸着部を共に可動式にして、コイル部への通電、非通電によりコア部と吸着部の吸着状態を制御することにより、可動するコードを必要としない保持タイプの電磁装置が可能となる。これにより、装置全体の小型化及び消費電力コストの低廉化を図ることができる。また、コイル部への通電、非通電と、コア部と吸着部への作用力を組み合せることにより、多様な構成でソレノイドとして使用できる。この多様な構成のうちの一つとして、次に第2の実施の形態を示す。
【0028】
(第2の実施の形態)
(操作規制装置の構成)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る操作規制装置の構成を示すものであり、(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る電磁装置を車両の操作規制装置に適用した場合の縦断面図、(b)は、(a)におけるB方向に見た側面図である。
【0029】
操作規制装置100は、電磁装置としてのソレノイド110、装置ベース120、回転操作を行なうためのノブ140、ノブ140の回転により回転駆動されるロータ150、ロータ150の回転に連動して回転するイグニッションスイッチ160、および遅延装置170から概略構成されている。
【0030】
図4(a)において、第1の実施の形態に係るソレノイド10と同等の構成であるソレノイド110は、そのベース部20が操作規制装置100の装置ベース120に固定されて載置されている。ここで、第1の実施の形態で示した吸着部26を円盤形状である磁性ディスク130としている。磁性ディスク130は同様に軟鉄または軟磁性体により形成されている。この磁性ディスク130は、回転中心Dに対しては回転不能で、B方向に移動可能な状態でベース部20(装置ベース120)に支持されている。尚、第1の実施の形態と同じ構成部材には同じ符号を付している。また、第1の実施の形態で示した第2バネ30の替わりに、ダンパ機能を備え遅延して弾性力を発生する遅延装置170を装着している。
【0031】
ソレノイド110のコア部24は、図4(a)の回転中心Dに対して回転可能、かつ、B方向、C方向に移動可能な状態でベース部20(装置ベース120)に支持されている。尚、B方向への移動は遅延装置170、C方向への移動は磁性ディスク130により制限されている。
【0032】
ノブ140は、図4(a)に示す回転中心Dに対して回転可能、かつ、B方向へ移動可能な状態で装置ベース120に支持されている。ノブ140は、ノブ140に立設されたピン141と磁性ディスク130に形成された穴部130aが間隙を有して嵌合している。ピン141が穴部130aに嵌合している状態では、ノブ140と磁性ディスク130は一体となっており、回転不能な磁性ディスク130によりノブ140も回転操作ができない状態となっている(ロック状態)。また、磁性ディスク130はノブ140からB方向へ離間可能であり、ピン141との嵌合が解除された状態では、ノブ140は磁性ディスク130から独立して回転可能な状態となる(ロック解除状態)。
【0033】
上記のロック解除状態では、ノブ140は、図4(b)に示すLOCK位置から、ACC位置、ON位置、START位置に回転可能で、車両のイグニッションスイッチ160を操作することができる。尚、ノブ140は、装置ベース120側に設けられたバネ142によりC方向に押圧されていると共に、例えばLOCK位置で磁性ディスク130とピン141を介して嵌合するように所定の回転位置に復帰するよう構成されている。
【0034】
コア部24は、回転中心Dに対して回転可能、かつ、B方向へ移動可能な状態で、ベース部20に支持されている。他のコイル部22、第1バネ28、鍔部32は第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0035】
ロータ150は、回転中心Dに対して回転可能な状態で装置ベース120に支持されている。このロータ150は、ノブ140の回転に連動して回転する構成とされ、この回転は連結されたイグニッションスイッチ160を回転操作する。イグニッションスイッチ160は、停車時のLOCK位置から、順次ACC位置、エンジンON位置、エンジンSTART位置にスイッチ動作可能な回転スイッチである。
【0036】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る操作規制装置で使用する遅延装置の構成例を示す縦断面図である。遅延装置170は、第1の実施の形態で示した第2バネ30と同様にコア部24に弾性力を付与するが、さらにダンパ機能を備え遅延して弾性力を発生するものである。
【0037】
遅延装置170は、容器172と、その内部にオイル等の粘性流体180が封入され、その粘性流体180に抵抗を受けながら移動する移動部176と、移動部176に連結されて容器の外部で移動する荷重部174と、荷重部174と容器172間に付勢力を付与する付勢バネ178から構成されている。付勢バネ178により荷重部174が容器172から離間した状態が初期状態である。荷重部174に荷重が作用すると付勢バネ178は圧縮され、荷重部174は容器172の方向に移動する。この荷重が取り除かれると付勢バネ178の復元力により荷重部174は容器172から離間する方向に移動するが、この移動は移動部176が粘性流体180の抵抗を受けながらであるので、付勢バネ178のみによる復元よりも遅延する。
【0038】
遅延装置170は、図4(a)に示すように、例えば、ロータ150とコア部24との間に装着され、同図に示す初期状態では付勢バネ178が少し圧縮された状態である。また、第1の実施の形態と同様に、遅延装置170による付勢力を第1バネ28による付勢力よりも大きく設定しておくことにより、図4(a)に示すように、初期荷重を付加することによりコア部24と磁性ディスク130が当接した初期状態となる。
【0039】
(電子キーシステムの構成)
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る操作規制装置で使用する電子キーシステムを説明するために示すブロック図である。電子キーシステム50では、ユーザに携帯される携帯機60と、自動車に搭載される車載機70とを備え、携帯機60と車載機70との間で双方向通信が行われる。
【0040】
(携帯機60の構成)
携帯機60は、携帯機ECU(Electronic Control Unit:ECU)200,受信部202,送信部204及び電池206を備えている。
【0041】
携帯機ECU200は、携帯機60の識別番号コードであるIDコードを記憶するメモリ201を有し、携帯機60の統括制御を行う。
【0042】
受信部202は携帯機ECU200及びアンテナ203に接続されている。そして、受信部202は、車載機70から送信された信号を受信して復号化し、携帯機ECU200に出力するように構成されている。
【0043】
送信部204は携帯機ECU200及びアンテナ205に接続されている。そして、送信部204は、携帯機ECU200からのIDコードを暗号化し、これを含む高周波域の信号を発信するように構成されている。
【0044】
電池206は、携帯機ECU200に接続され、携帯機60の電源となる。電池切れの場合には電池の交換が可能である。
【0045】
また、携帯機60は、電池206が切れて交換用の電池が無い場合やエンジン610を始動する場合に、車載機70側の室内外照合部500に接近することにより通信可能となるイモビライザーとして機能するトランスポンダ207を有する。
【0046】
トランスポンダ207は、蓄電回路及び電解コンデンサ(共に図示せず)を有し、室内外照合部500(磁束発生回路506)からの磁束により蓄電回路を介して電解コンデンサに所定以上の電力が蓄積されると、その電力を電源にしてメモリ201のIDコードを含む信号を発信するように構成されている。
【0047】
(車載機70の構成)
車載機70はメインECU400及び室内外照合部500等を備えている。
【0048】
メインECU400は、室内外照合部500及びエンジンECU600に接続され、車載機70の統括制御を行う。そして、メインECU400は、ソレノイド110の通電,非通電によってノブ140の回転、イグニッションスイッチ160の切り替えを許可又は規制する。
【0049】
メインECU400にはシフトポジションセンサ(図示せず)が接続されている。シフトポジションセンサは、シフトレバーがドライブ(D位置),パーキング位置(P位置)等のうち何れの位置に存在するかを検出する。メインECU400は、シフトポジションセンサを通じてシフトレバーの位置を認識することができる。
【0050】
室内外照合部500は、認証ECU504,室内用送受信部503A,室外用送受信部503B及び磁束発生回路506を有し、メインECU400に接続されている。
【0051】
認証ECU504は、自動車の識別番号コードであるIDコードを記憶するメモリ505を有し、携帯機60から送信された信号に含まれるIDコードとメモリ505に記憶されたIDコードとの認証(照合)を行う。
【0052】
室内用送受信部503Aは室内用のアンテナ502A及び室外用送受信部503Bに接続されている。そして、室内用送受信部503Aは、携帯機60から送信された信号を受信して復号化し、認証ECU504に出力するように構成されている。
【0053】
室外用送受信部503Bは室外用のアンテナ502B,認証ECU504及びメインECU400に接続されている。そして、室外用送受信部503Bは、携帯機60から送信された信号を受信して復号化し、認証ECU504に出力するように構成されている。
【0054】
磁束発生回路506は、電池切れ等の非常時に電力信号を携帯機60へ供給するための磁束を発生する。これにより、磁束発生回路506から電力信号が携帯機60に供給される。
【0055】
(操作規制装置の動作)
操作規制装置100は、図4(a)に示す初期状態では、ノブ140は図4(b)に示すように、LOCK位置にある。この状態では、ノブ140と磁性ディスク130はピン141で結合しており、回転不能な磁性ディスク130によりノブ140も回転操作ができない状態となっている。
【0056】
(ID認証が成立しない場合の動作)
ユーザは、エンジン610を始動させるにあたり、先ずノブ140を把持する。このとき、自動車は駐車されているため、シフトレバーはP位置に存在し、ノブ140、イグニッションスイッチ160はLOCK位置に存在する。ここで、ユーザが正規の携帯機60を仮に所有しない場合には、通信によるID認証が成立しないため、ソレノイド110には通電されない。
【0057】
ソレノイド110の非通電状態においては、コイル部22には磁界が発生せず、磁性ディスク130はコア部24に吸着しない。この状態でノブ140をB方向に押し込むと、図7(a)に示すように、ノブ140、磁性ディスク130、コア部24が一体となって遅延装置170の復元力に抗してB方向へ移動する。この状態からノブ140への押し込み力を解除すると、磁性ディスク130はコア部24に吸着していないために第1バネ28の付勢力によりノブ140と一緒に戻ってくる。一方、コア部24は、遅延装置170から付勢される遅延した復元力により、ゆっくり戻ってくるので図7(c)に示すような状態となる。
【0058】
上記示した動作から、ソレノイド110の非通電状態においては、ノブ140と磁性ディスク130は常に一体となっており、回転不能な磁性ディスク130によりノブ140も回転操作ができない状態となっている。よって、ノブ140の回転操作はできず、LOCK位置からACC位置への回転操作ができずノブロックされた状態である。
【0059】
(ID認証が成立した場合の動作)
ユーザは、エンジン610を始動させるにあたり、先ずノブ140を把持する。このとき、自動車は駐車されているため、シフトレバーはP位置に存在し、ノブ140、イグニッションスイッチ160はLOCK位置に存在する。ここで、ユーザが正規の携帯機60を所有している場合には、通信によるID認証が成立し、ソレノイド110に通電される。
【0060】
ソレノイド110の通電状態においては、コイル部22に磁界が発生するので、磁性ディスク130はコア部24に吸着する。この状態でノブ140をB方向に押し込むと、図7(a)に示すように、ノブ140、磁性ディスク130、コア部24が一体となって遅延装置170の復元力に抗してB方向へ移動する。この状態からノブ140への押し込み力を解除すると、磁性ディスク130はコア部24に吸着しているために第1バネ28の付勢力によりノブ140のみが先に戻り、図7(b)に示すような状態となる。一方、コア部24と吸着した磁性ディスク130は、遅延装置170から付勢される遅延した復元力により、ゆっくりC方向へ戻ってくる。
【0061】
上記示した動作から、ソレノイド110の通電状態においては、図7(b)に示す状態、すなわち、ノブ140と磁性ディスク130が離間した状態では、ノブ140は磁性ディスク130から独立して回転可能な状態となる。よって、ノブ140の回転操作が可能となり、ノブロックが解除された状態となってLOCK位置からACC位置への回転操作ができる。さらに、ACC位置からON位置、START位置への操作等もでき、イグニッションスイッチ160のスイッチ動作により車両の電源オン、エンジン始動等が可能となる。
【0062】
(第2の実施の形態の効果)
第2の実施の形態は、第1の実施の形態で示したソレノイドを操作規制装置に適用したものである。コイル部を固定してコア部と磁性ディスクを共に可動式にして、コイル部への通電、非通電によりコア部と磁性ディスクの吸着状態を制御することにより、可動するコードを必要としない保持タイプのソレノイドを使用した操作規制装置が可能となる。これにより、装置全体の小型化及び消費電力コストの低廉化を図ることができる。この操作規制装置は、イグニッションスイッチを回転操作するノブの回転操作を規制することができ、いわゆるノブロック装置として使用できる。また、ACC位置からLOCK位置へノブを逆に回転させる操作を制限するインターロック装置として使用することもでき、一つの電磁装置により、ノブロック装置とインターロック装置を実現することもでき、小型化及び消費電力コストの低廉化が可能な操作規制装置を可能にできる。
【0063】
本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。例えば、自動車に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、他の機器等にも広く適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
10…ソレノイド、20…ベース部、20a…底部、20b…規制部、20c…規制部、20d…突起部、20e…先端部、20f…内側面、22…コイル部、24…コア部、24a…両端部、24b…棒状部、26…吸着部、28…第1バネ、30…第2バネ、32…鍔部、50…電子キーシステム、60…携帯機、70…車載機、100…操作規制装置、110…ソレノイド、120…装置ベース、130…磁性ディスク、130a…穴部、140…ノブ、141…ピン、142…バネ、150…ロータ、160…イグニッションスイッチ、170…遅延装置、172…容器、174…荷重部、176…移動部、178…付勢バネ、180…粘性流体、201…メモリ、202…受信部、203…アンテナ、204…送信部、205…アンテナ、206…電池、207…トランスポンダ、500…室内外照合部、502A…アンテナ、502B…アンテナ、503A…室内用送受信部、503B…室外用送受信部、505…メモリ、506…磁束発生回路、610…エンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、
前記ベース部に固定され、通電により磁束を発生させるコイル部と、
前記ベース部に対して移動可能に支持され、前記コイル部の通電により磁化されるコア部と、
前記コイル部の通電によりコア部に吸着され、前記コア部と一体的に移動可能な吸着部と、
前記コア部と前記吸着部とを離間させる方向に弾性力を付与する第1の弾性体と、
前記コア部と前記吸着部とを当接させる方向に弾性力を付与する第2の弾性体と、
を有することを特徴とする電磁装置。
【請求項2】
前記コイル部へ通電して前記コイル部が磁束を発生した状態に移行した場合に、前記吸着部は、離間した状態の前記コア部によっては吸着されないことを特徴とする請求項1に記載の電磁装置。
【請求項3】
前記コイル部への通電又は非通電のそれぞれの状態において、前記コア部または前記吸着部に駆動力が作用することを特徴とする請求項1または2に記載の電磁装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの電磁装置と、
前記吸着部と前記離間または前記当接方向に離間可能で、前記吸着部を前記コア部に当接させる方向に押圧操作可能であり、離間した状態で前記吸着部から独立して回転可能な操作ノブとを有し、
前記第2の弾性体は、押圧力の解除時から遅延して弾性力が発生する遅延装置で構成されることを特徴とする操作規制装置。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−41711(P2012−41711A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182968(P2010−182968)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】