電磁連結装置及びこれを備える画像形成装置
【課題】回転速度が早くても、定回転時に戻すことができ、ギヤとロータとが連れまわりせずに一定の回転で止まる電磁連結装置及びこれを備える画像形成装置を提供することにある。
【解決手段】嵌合部分を有するヨーク104とロータ105とが嵌合する電磁連結装置において、前記ヨーク104が凹溝114を有し、かつ前記ロータ105が凸爪115を有し、前記ヨーク104と前記ロータ105との嵌合部分に勾配部113を有する電磁連結装置。
【解決手段】嵌合部分を有するヨーク104とロータ105とが嵌合する電磁連結装置において、前記ヨーク104が凹溝114を有し、かつ前記ロータ105が凸爪115を有し、前記ヨーク104と前記ロータ105との嵌合部分に勾配部113を有する電磁連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁連結装置及びこの電磁連結装置を備えるデジタルPPC(普通複写機)、レーザプリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、画像形成装置に用いられる従来の電磁連結装置は、シャフト、このシャフトのまわりに配置されるギヤ、ロータ、ヨーク、アーマチュア等の部品から構成されている。この電磁連結装置の機能として、ヨーク構体(ヨークAssy)が励磁されることでアーマチュアが吸引される。
アーマチュアが吸引されると、このアーマチュアの3つの爪がロータを押し上げる(励磁前は、ヨーク構体は凹溝となっており、ロータは凸爪の構成で、セットされている状態になっている)。数十ms励磁(電源オン)によりロータが押し上がり、ヨーク構体の凹溝とロータの凸爪が外れ、ウェーブワッシャを介してギヤと噛み合い連結し伝達される仕組みになっている。
定回転ギヤ装置は、その伝達時に、ウェーブワッシャの応力により、ロータがヨーク構体上面を押しながら、定回転(一回転)になった時に、ヨーク構体の凹溝へ、ロータの凸爪が戻され(嵌合され)、ギヤはフリーとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この構成では、ウェーブワッシャの戻し力が弱い場合及び回転速度により、所定の位置(例えば、一回転後)でヨーク構体の凹溝とロータの凸爪がセットされず、ロータがギヤとそのまま連れまわりしてしまう不都合があった。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、回転速度が早くても、定回転時に戻すことができ、ギヤとロータとが連れまわりせずに一定の回転で止まる電磁連結装置及びこれを備える画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、同一軸上に配置される円筒体からなるロータと該ロータ内に収容される筒状のヨークとを有し、前記ロータの軸方向内面に突起をかつ前記ヨークの前記ロータの前記突起に対応する部分に凹溝を有し、前記突起が前記凹溝に嵌合する電磁連結装置において、前記ロータの前記突起と前記ヨークの前記凹溝との嵌合部分に勾配部を有する電磁連結装置を特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記勾配部を前記ヨークの前記凹溝に設ける請求項1記載の電磁連結装置を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記勾配部を前記ロータの前記突起に設ける請求項1記載の電磁連結装置を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記ロータの内周面に非磁性体の突起を設けかつ、前記ヨークの、前記非磁性体の突起に対向する側面側に、磁性体の突起を取り付けかつ該磁性体の突起と連動するスプリングを前記ヨーク内に設ける請求項1乃至3のいずれか1項記載の電磁連結装置を特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記ロータの前記内周面に前記非磁性体の突起を設けかつ、前記ヨークの前記側面側に磁性体でかつ弾性力を有する突起を設ける請求項1乃至3のいずれか1項記載の電磁連結装置を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、感光体ドラム上に形成された静電画像をトナー現像し、転写材に転写して複写を行う画像形成装置において、前記転写材を搬送するローラ部に請求項1乃至5のいずれか1項記載の電磁連結装置を備えている画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ヨーク凹溝にロータ突起が嵌合する構成において、嵌合部分を形成するヨーク凹溝及びロータ突起のいずれかに勾配部を設けているので、従来技術の構成で発生していた、高速回転時に戻し力が弱く、そのため、ギヤとロータとの連れまわりが発生するという不都合を回避することができる。
また、ヨーク凹溝の、ロータ突起に対向するヨーク面を滑る回転方向の辺(嵌合する時の凹溝側)に勾配部を設けたので、回転速度が早くても、定回転時に戻す、すなわち、ロータ突起とヨーク凹溝とを嵌合することができ、従来技術の構成で発生していた、高速回転時で戻し力が弱く、そのため、ギヤとロータとの連れまわりが発生してしまう不都合を回避可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は一般的な定回転ギヤ装置の励磁状態を示す断面図である。図2は図1の定回転ギヤ装置の非励磁状態を示す断面図である。図3は図1の定回転ギヤ装置の一回転後のギヤ開放状態を示す断面図である。
図1乃至図3において、この定回転ギヤ装置(電磁連結装置)には、歯部102aを有するギヤ102がウェーブワッシャ103を挟んでロータ105の歯部105aと対向して軸101上に配置されている(回転部A)。ロータ105は歯部105aとは反対側に延びる円筒体で構成され、この円筒体の歯部105aを有する基部の円筒体内面には突起105bが設けられている。
ロータ105の内部にはボビン120に巻かれたコイル121を内包する円筒状のヨーク104が軸101上にロータ105と同軸に配置され、このヨーク104にはロータ105の突起105bに対応する個所に開口104aが設けられ、この開口104aに突起105bが嵌合する。
ヨーク104の開口104aと反対側の端部にはロータ105の円筒体端面を押し上げるフランジ付きのアーマチュア106が配置され、また、アーマチュア106の外側にはワッシャ107、さらにワッシャ107の外側には止め輪108が配置されて軸101上にヨーク104、アーマチュア106およびワッシャ107を軸101上に固定している。
【0007】
上述した構成の一般的な定回転ギヤ装置(電磁連結装置)では、この定回転ギヤ装置が励磁されると、アーマチュア106が吸引されて、ロータ105が図1の左方に押され、ギヤ102の歯部102aとロータ105の歯部105aとが噛み合う。
図2の非励磁状態になると、アーマチュア106は開放され、ロータ105はヨーク104の開口104a側面をスベリ回転する。一回転後、図3に示すように、ウェーブワッシャ103によってロータ105の突起105bがヨーク104の開口104aに嵌合し、ギヤ102の歯部102aをロータ105の歯部105aから開放する。
上述した定回転ギヤ装置では、ギヤ102が一回転しても、ロータ105の突起105bがヨーク104の開口104aに入らず、ギヤ102とロータ105がそのまま回転してしまう、すなわち、連れまわりする場合がある。
【0008】
図4は本発明による電磁連結装置に使用するロータ及びヨークの第1の実施の形態を図1のギヤ側を上にした状態でロータ及びヨークを簡略化して示す概略図である。図5は図4のヨークの勾配を設けた凹溝を示す斜視図である。図6は図4のロータの勾配を設けた突起を示す概略図である。
電磁連結装置の全体構成としては図1乃至図3の全体構成を採ることができるが、ここでは、本発明の要部である、ロータ105とヨーク104について説明する。図4乃至図6には図1乃至図3の軸101上のロータ105とヨーク104の上半分のみを簡略化して示している。
ヨーク104は図4に示すごとくロータ105の突起115と対向する部分にこの突起115が嵌合する凹溝114を有し、この凹溝114には図5に示すように勾配部113が設けられている。図5には図4のヨーク104の凹溝114を拡大してこの凹溝114内の勾配部113を示している。
ヨーク104の凹溝114内の勾配部113はロータ105の突起115が凹溝114内に嵌合し易くするために設けられる。図5の勾配部113は図4の凹溝114内で軸101側から見た状態の斜視図であり、図4の凹溝114内では図示のような勾配部113の勾配面を終える端面を(図5に示した線b−b’の断面状態)113aとして表すことができる。
【0009】
ロータ105はヨーク104の凹溝114に対向する内面位置に突起115を有し、この突起115には、図6に示すように、勾配部115aが設けられている。この勾配部115aはヨーク104の凹溝114への嵌合をし易くするために設けられる。図4の突起115では点線からヨーク104の凹溝114に向かう下方部分に紙面裏側で勾配部115aを形成している。
ロータ105の突起115が係合するヨーク104の凹溝114内に勾配部113を設けている構造の電磁連結装置においては、ヨーク104の凹溝114の勾配部113の角度は、高速回転時にロータ105の突起115と凹溝114とが嵌合するタイミングに合わせて調整可能である。
このように、電磁連結装置の構成において、ヨーク104の凹溝114の、ロータ105の突起115が係合する部分に勾配部113を有することによって、ロータ105の突起115とヨーク104の凹溝114との嵌合が容易になるのでロータ105とヨーク104とを高速回転動作させる効果がある。
図4乃至図6には、ヨーク104の凹溝114内に勾配部113を設ける構造及びロータ105の突起115に勾配部115aを設ける構造を示しているが、ロータ105とヨーク104との嵌合を容易にする機能が達成されれば、これらの勾配部113及び勾配部115aはヨーク104の凹溝114にのみ、又はロータ105の突起115にのみ、又はヨーク104の凹溝114及びロータ105の突起115の両方に設けてもよい。
【0010】
図7は図4の線a−a’に沿ってヨークの勾配部とロータの勾配部との当接状態を示す概略断面図である。図4では実際にはこれらは当接してないが、ロータ105の突起115に設けた勾配部115aはヨーク104の凹溝114の勾配部113に図7に示すごとくに当接(嵌合)する。
この実施の形態ではヨーク104の凹溝114に勾配部113、そしてロータ105の突起115にも勾配部115aを設けて示している。もちろん、ヨーク104及びロータ105の双方に勾配部113及び勾配部115aを設ければ当接嵌合には好都合であるが、この当接嵌合にはヨーク104及びロータ105のいずれかに勾配部が設けられればその目的は達成されるので、以下の実施の形態では、ヨーク104の凹溝114に勾配部113を設けたのみの例で説明する。
【0011】
図8は本発明による電磁連結装置に使用するロータ及びヨークの第2の実施の形態を図1のギヤ側を上にした状態でロータ及びヨークを簡略化して示す概略図である。図9は図8の磁性体ヨーク突起の状態を示す概略図である。図10は電磁連結装置の一回転時のロータの突起がヨークの凹溝に嵌合された状態を示す概略図である。図11は図10のロータの突起がヨークの凹溝に嵌合されている状態を示す概略断面図である。
図8乃至図11に示す電磁連結装置の第2の実施の形態において、円筒体からなるロータ105の軸方向内周面に非磁性体、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、POM(ポリオオキシメチレン)等のプラスチック材料からなる突起物109を適宜な手段で固定して設けている。
【0012】
図8乃至図10には図1乃至図3の軸101上のロータ105とヨーク104の上半分のみを簡略化して示しており、この実施の形態ではロータ105の突起105aには勾配部を設けていない。符号113aは図5に示した勾配部113の断面部を示している。図11には、図10の状態から離れる前の、ロータ105の突起115がヨーク104の凹溝114に嵌合されている状態を示している。
ロータ105の円筒体内に収容され、図8では簡略化してロータ105の円筒体に対応する形状で、かつSPCC(冷間圧延鋼板)等の鉄系材料からなるヨーク104は、その円筒体側面のロータ105の円筒体内周面の突起物109と対向する位置に適宜の手段で配置された磁性体の突起110及びこの突起110と連結されている、例えば、円筒状の収容部111aに収容されたコイルスプリング111を設けている。
この場合、ロータ105の内周面に非磁性体からなる突起物109、鉄系材料からなるヨーク104の円筒側面側に磁性体の突起110及びコイルスプリング111が、それぞれ適宜な手段によって取り付けられている。
【0013】
この第2の実施の形態の電磁連結装置によれば、励磁時にコイル(図示せず)に流れた電流により磁界が発生し、その磁力により、図9に示すように、ヨーク104の円筒側面の板金である磁性体の突起110がヨーク104側面に引き寄せられ(格納され)、ロータ105が開放され、ギヤ(図示せず)と連結し回転を始める。
コイルスプリング111の弾性が磁力より弱い時、又は、無励磁の時には、図10に示すように、磁性体の突起110がコイルスプリング111によりヨーク104側面より押し出され、一回転する寸前にロータ105の内周面に設けられた突起109に当たり回転の進行とともに突起110が突起109から離間するように動く。これによりヨーク104の凹溝114にロータ105の突起115が近づく方向に応力が作用する。
ヨーク104側面の磁性体の突起110とロータ105の内周面に設けられた突起109との位置関係は、無励磁の時、ロータ105がヨーク104を滑り回転し始め、そのロータ105の内周面に設けられた突起109は描く回転軌跡の近傍にヨーク104側面の磁性体の突起110が位置することになる。
【0014】
このような構成において、ロータ105の内周面に非磁性体の突起109を設けかつ、ヨーク104の円筒側面側に磁性体の突起110及びこの突起110と連結されているコイルスプリング111をヨーク104内に設けることで、所定位置精度、すなわち、第1の実施の形態に関連して記載された凹溝114及び突起115の勾配の分、早く嵌合し易いかもしれないという懸念に対して、高速回転においても嵌合部分(ヨーク104の凹溝114とロータ105の突起115との嵌合)へ360°精度よく凹溝114に突起115を嵌合させる効果がある。
この場合、凹溝114に突起115を360°精度良く嵌合させることができず、360°−αの嵌合部分で嵌合すると、例えば、後述する画像形成装置での実使用上、記録媒体である紙を送る場合は、後端が完全に送り切れないことがある。すなわち、搬送が不十分となる。
【0015】
図12は本発明による電磁連結装置に使用するロータ及びヨークの第3の実施の形態を図1のギヤ側を上にした状態でロータ及びヨークを簡略化して示す概略図である。図13は図12の磁性体ヨーク突起と非磁性体ロータの突起との状態を示す概略図である。図14は電磁連結装置の一回転時の磁性体ヨーク突起と非磁性体ロータの突起との状態を示す概略図である。図15は図14のロータの突起がヨークの凹溝に嵌合されている状態を示す概略断面図である。
図12乃至図14には図1乃至図3の軸101上のロータ105とヨーク104の上半分のみを簡略化して示しており、この実施の形態ではロータ105の突起105aには勾配部を設けていない。符号113aは図5に示した勾配部113の断面部を示している。図15には、図14の状態から離れる前の、ロータ105の突起115がヨーク104の凹溝114に嵌合されている状態を示している。
【0016】
図12乃至図14に示す電磁連結装置の第3の実施の形態において、円筒体であるロータ105の内周面に非磁性体の突起物109を適宜の手段で固定して設けかつ、ロータ105内に収容されるヨーク104の、ロータ105の突起物109に対向する側面側に板ばね、例えば、弾性力のあるリン青銅板からなる突起112を適宜な方法で設けている。
かかる構造を有する電磁連結装置より、上述した第2の実施の形態におけるスプリングが無くても、ヨーク104の側面側の磁性体にばね性(板ばね112など)を持たせることで第2の実施の形態と同様の動作が可能となる。
このように、ロータ105の内周面に非磁性体の突起109を設けかつ、ヨーク104の側面側に磁性体で弾性力を持っている突起112を設けることによって、第2の実施の形態におけるスプリングの削除ができ、部品点数の削減ができる効果がある。
【0017】
図16は本発明の電磁連結装置を備えることができる画像形成装置である複写機の全体構成を示す概略図である。図16において、複写機Aは、おおまかに、複写機本体1、この複写機本体1を載せる給紙テーブル2、複写機本体1上に取り付けるスキャナ3、このスキャナ3の上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)4を含んでいる。
複写機Aを簡単に説明すると、複写機本体1には、中間転写ベルト、3つの支持ローラに掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。また、3つの支持ローラのうちの、第1の支持ローラと第2の支持ローラ間に張り渡した中間転写ベルト上にはその搬送方向に沿って、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロの4つの画像形成手段を横に並べて配置し、タンデム画像形成装置20を構成している。
このタンデム画像形成装置20の上には、図16に示すように、さらに露光装置21を設けている。一方、中間転写ベルトを挟んでタンデム画像形成装置20と反対の側には、2次転写装置を備えている。この2次転写装置には、画像転写後の転写材を定着装置へと搬送する転写材搬送機能も備えてなる。
【0018】
さて、いまこのカラー複写機を用いてコピーをとる時は、原稿自動搬送装置4の原稿台上に原稿をセットする。又は、原稿自動搬送装置4を開いてスキャナのコンタクトガラス上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置4を閉じてそれで原稿を押さえる。
そして、図示してないスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置4に原稿をセットした時は、原稿を搬送してコンタクトガラス上へと移動して後、他方、コンタクトガラス上に原稿をセットした時は、直ちにスキャナ3を駆動し、第1走行体及び第2走行体を走行する。
そして、第1走行体で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体に向け、第2走行体のミラーで反射して結像レンズを通して読み取りセンサに入れ、原稿内容を読み取る。
また、図示してないスタートスイッチを押すと、同じく図示してない駆動モータで支持ローラの1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写ベルトを回転搬送する。
同時に、個々の画像形成手段でその感光体ドラムを回転して各感光体ドラム40上にそれぞれ、ブラック、イエロ、マゼンタ、シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写ベルトの搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト上に合成カラー画像を形成する。
【0019】
一方、図示してないスタートスイッチを押すと、給紙テーブル2の給紙ローラの1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセットの1つから転写材を繰り出し、分離ローラ45と45aで1枚ずつ分離して給紙路に入れ、搬送ローラ47と47aで搬送して複写機本体1内の給紙路に導き、レジストローラ49と49aに突き当てて止める。
又は、給紙ローラを回転して手差しトレイ51上の転写材を繰り出し、分離ローラ52と52aで1枚ずつ分離して手差し給紙路に入れ、同じくレジストローラ49と49aに突き当てて止める。
そして、中間転写ベルト上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49と49aを回転し、中間転写ベルトと2次転写装置との間のニップに転写材を送り込み、2次転写装置で転写して転写材上にカラー画像を記録する。
画像転写後の転写材は、2次転写装置で搬送して定着装置へと送り込み、この定着装置で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切り換え爪で切り換えることによって排出ローラ56と56aで排出し、排紙トレイ57上にスタックする。
【0020】
一方、画像転写後の中間転写ベルトは中間転写体クリーニング装置において、画像転写後に中間転写ベルト上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
複写機Aには転写材を搬送するのにローラ間に転写材を挟んで搬送する。これらのローラは、図16では、駆動ローラと従動ローラとで構成される、例えば、分離ローラ45と45a、搬送ローラ47と47a、レジストローラ49と49a、分離ローラ52と52a、排出ローラ56と56a等である。
このような各種のローラの従動ローラ、例えば、搬送ローラの従動ローラ47aに本発明による電磁連結装置の回転部A(図1)の軸101を連結し、この従動ローラ47aの回転を妨げるような力を付与することによって転写材の搬送速度を制御する。その際、電磁連結装置は回転が円滑になるため、従動ローラ47aの回転も精度よく制御できる。従って、通紙時(手差し等含め)の回転数の高い使用条件でも使用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一般的な定回転ギヤ装置の励磁状態を示す断面図である。
【図2】図1の定回転ギヤ装置の非励磁状態を示す断面図である。
【図3】図1の定回転ギヤ装置の一回転後のギヤ開放状態を示す断面図である。
【図4】本発明による電磁連結装置に使用するロータ及びヨークの第1の実施の形態を図1のギヤ側を上にした状態でロータ及びヨークを簡略化して示す概略図である。
【図5】図4のヨークの勾配を設けた凹溝を示す斜視図である。
【図6】図4のロータの勾配を設けた突起を示す概略図である。
【図7】図7は図4の線a−a’に沿ってヨークの勾配部とロータの勾配部との当接状態を示す概略断面図である。
【図8】本発明による電磁連結装置に使用するロータ及びヨークの第2の実施の形態を図1のギヤ側を上にした状態でロータ及びヨークを簡略化して示す概略図である。
【図9】図8の磁性体ヨーク突起の状態を示す概略図である。
【図10】電磁連結装置の一回転時のロータの突起がヨークの凹溝に嵌合された状態を示す概略図である。
【図11】図10のロータの突起がヨークの凹溝に嵌合されている状態を示す概略断面図である。
【図12】本発明による電磁連結装置に使用するロータ及びヨークの第3の実施の形態を図1のギヤ側を上にした状態でロータ及びヨークを簡略化して示す概略図である。
【図13】図12の磁性体ヨーク突起と非磁性体ロータの突起との状態を示す概略図である。
【図14】電磁連結装置の一回転時の磁性体ヨーク突起と非磁性体ロータの突起との状態を示す概略図である。
【図15】図15は図14のロータの突起がヨークの凹溝に嵌合されている状態を示す概略断面図である。
【図16】本発明の電磁連結装置を備えることができる画像形成装置である複写機の全体構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0022】
A 画像形成装置、40 感光体ドラム、47 搬送ローラ(駆動ローラ)、47a 搬送ローラ(従動ローラ)、101 軸、102 ギヤ、102a 歯部、104 ヨーク、105 ロータ、105a 歯部、109 非磁性体ロータの突起、110 磁性体ヨークの突起、111 スプリング(コイルスプリング)、112 板ばねからなるヨークの突起、113 凹溝に設けた勾配部、113a 勾配部の断面部、114 ヨークの凹溝、115 ロータの突起、115a 勾配部を設けた突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁連結装置及びこの電磁連結装置を備えるデジタルPPC(普通複写機)、レーザプリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、画像形成装置に用いられる従来の電磁連結装置は、シャフト、このシャフトのまわりに配置されるギヤ、ロータ、ヨーク、アーマチュア等の部品から構成されている。この電磁連結装置の機能として、ヨーク構体(ヨークAssy)が励磁されることでアーマチュアが吸引される。
アーマチュアが吸引されると、このアーマチュアの3つの爪がロータを押し上げる(励磁前は、ヨーク構体は凹溝となっており、ロータは凸爪の構成で、セットされている状態になっている)。数十ms励磁(電源オン)によりロータが押し上がり、ヨーク構体の凹溝とロータの凸爪が外れ、ウェーブワッシャを介してギヤと噛み合い連結し伝達される仕組みになっている。
定回転ギヤ装置は、その伝達時に、ウェーブワッシャの応力により、ロータがヨーク構体上面を押しながら、定回転(一回転)になった時に、ヨーク構体の凹溝へ、ロータの凸爪が戻され(嵌合され)、ギヤはフリーとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この構成では、ウェーブワッシャの戻し力が弱い場合及び回転速度により、所定の位置(例えば、一回転後)でヨーク構体の凹溝とロータの凸爪がセットされず、ロータがギヤとそのまま連れまわりしてしまう不都合があった。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、回転速度が早くても、定回転時に戻すことができ、ギヤとロータとが連れまわりせずに一定の回転で止まる電磁連結装置及びこれを備える画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、同一軸上に配置される円筒体からなるロータと該ロータ内に収容される筒状のヨークとを有し、前記ロータの軸方向内面に突起をかつ前記ヨークの前記ロータの前記突起に対応する部分に凹溝を有し、前記突起が前記凹溝に嵌合する電磁連結装置において、前記ロータの前記突起と前記ヨークの前記凹溝との嵌合部分に勾配部を有する電磁連結装置を特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記勾配部を前記ヨークの前記凹溝に設ける請求項1記載の電磁連結装置を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記勾配部を前記ロータの前記突起に設ける請求項1記載の電磁連結装置を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記ロータの内周面に非磁性体の突起を設けかつ、前記ヨークの、前記非磁性体の突起に対向する側面側に、磁性体の突起を取り付けかつ該磁性体の突起と連動するスプリングを前記ヨーク内に設ける請求項1乃至3のいずれか1項記載の電磁連結装置を特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記ロータの前記内周面に前記非磁性体の突起を設けかつ、前記ヨークの前記側面側に磁性体でかつ弾性力を有する突起を設ける請求項1乃至3のいずれか1項記載の電磁連結装置を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、感光体ドラム上に形成された静電画像をトナー現像し、転写材に転写して複写を行う画像形成装置において、前記転写材を搬送するローラ部に請求項1乃至5のいずれか1項記載の電磁連結装置を備えている画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ヨーク凹溝にロータ突起が嵌合する構成において、嵌合部分を形成するヨーク凹溝及びロータ突起のいずれかに勾配部を設けているので、従来技術の構成で発生していた、高速回転時に戻し力が弱く、そのため、ギヤとロータとの連れまわりが発生するという不都合を回避することができる。
また、ヨーク凹溝の、ロータ突起に対向するヨーク面を滑る回転方向の辺(嵌合する時の凹溝側)に勾配部を設けたので、回転速度が早くても、定回転時に戻す、すなわち、ロータ突起とヨーク凹溝とを嵌合することができ、従来技術の構成で発生していた、高速回転時で戻し力が弱く、そのため、ギヤとロータとの連れまわりが発生してしまう不都合を回避可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は一般的な定回転ギヤ装置の励磁状態を示す断面図である。図2は図1の定回転ギヤ装置の非励磁状態を示す断面図である。図3は図1の定回転ギヤ装置の一回転後のギヤ開放状態を示す断面図である。
図1乃至図3において、この定回転ギヤ装置(電磁連結装置)には、歯部102aを有するギヤ102がウェーブワッシャ103を挟んでロータ105の歯部105aと対向して軸101上に配置されている(回転部A)。ロータ105は歯部105aとは反対側に延びる円筒体で構成され、この円筒体の歯部105aを有する基部の円筒体内面には突起105bが設けられている。
ロータ105の内部にはボビン120に巻かれたコイル121を内包する円筒状のヨーク104が軸101上にロータ105と同軸に配置され、このヨーク104にはロータ105の突起105bに対応する個所に開口104aが設けられ、この開口104aに突起105bが嵌合する。
ヨーク104の開口104aと反対側の端部にはロータ105の円筒体端面を押し上げるフランジ付きのアーマチュア106が配置され、また、アーマチュア106の外側にはワッシャ107、さらにワッシャ107の外側には止め輪108が配置されて軸101上にヨーク104、アーマチュア106およびワッシャ107を軸101上に固定している。
【0007】
上述した構成の一般的な定回転ギヤ装置(電磁連結装置)では、この定回転ギヤ装置が励磁されると、アーマチュア106が吸引されて、ロータ105が図1の左方に押され、ギヤ102の歯部102aとロータ105の歯部105aとが噛み合う。
図2の非励磁状態になると、アーマチュア106は開放され、ロータ105はヨーク104の開口104a側面をスベリ回転する。一回転後、図3に示すように、ウェーブワッシャ103によってロータ105の突起105bがヨーク104の開口104aに嵌合し、ギヤ102の歯部102aをロータ105の歯部105aから開放する。
上述した定回転ギヤ装置では、ギヤ102が一回転しても、ロータ105の突起105bがヨーク104の開口104aに入らず、ギヤ102とロータ105がそのまま回転してしまう、すなわち、連れまわりする場合がある。
【0008】
図4は本発明による電磁連結装置に使用するロータ及びヨークの第1の実施の形態を図1のギヤ側を上にした状態でロータ及びヨークを簡略化して示す概略図である。図5は図4のヨークの勾配を設けた凹溝を示す斜視図である。図6は図4のロータの勾配を設けた突起を示す概略図である。
電磁連結装置の全体構成としては図1乃至図3の全体構成を採ることができるが、ここでは、本発明の要部である、ロータ105とヨーク104について説明する。図4乃至図6には図1乃至図3の軸101上のロータ105とヨーク104の上半分のみを簡略化して示している。
ヨーク104は図4に示すごとくロータ105の突起115と対向する部分にこの突起115が嵌合する凹溝114を有し、この凹溝114には図5に示すように勾配部113が設けられている。図5には図4のヨーク104の凹溝114を拡大してこの凹溝114内の勾配部113を示している。
ヨーク104の凹溝114内の勾配部113はロータ105の突起115が凹溝114内に嵌合し易くするために設けられる。図5の勾配部113は図4の凹溝114内で軸101側から見た状態の斜視図であり、図4の凹溝114内では図示のような勾配部113の勾配面を終える端面を(図5に示した線b−b’の断面状態)113aとして表すことができる。
【0009】
ロータ105はヨーク104の凹溝114に対向する内面位置に突起115を有し、この突起115には、図6に示すように、勾配部115aが設けられている。この勾配部115aはヨーク104の凹溝114への嵌合をし易くするために設けられる。図4の突起115では点線からヨーク104の凹溝114に向かう下方部分に紙面裏側で勾配部115aを形成している。
ロータ105の突起115が係合するヨーク104の凹溝114内に勾配部113を設けている構造の電磁連結装置においては、ヨーク104の凹溝114の勾配部113の角度は、高速回転時にロータ105の突起115と凹溝114とが嵌合するタイミングに合わせて調整可能である。
このように、電磁連結装置の構成において、ヨーク104の凹溝114の、ロータ105の突起115が係合する部分に勾配部113を有することによって、ロータ105の突起115とヨーク104の凹溝114との嵌合が容易になるのでロータ105とヨーク104とを高速回転動作させる効果がある。
図4乃至図6には、ヨーク104の凹溝114内に勾配部113を設ける構造及びロータ105の突起115に勾配部115aを設ける構造を示しているが、ロータ105とヨーク104との嵌合を容易にする機能が達成されれば、これらの勾配部113及び勾配部115aはヨーク104の凹溝114にのみ、又はロータ105の突起115にのみ、又はヨーク104の凹溝114及びロータ105の突起115の両方に設けてもよい。
【0010】
図7は図4の線a−a’に沿ってヨークの勾配部とロータの勾配部との当接状態を示す概略断面図である。図4では実際にはこれらは当接してないが、ロータ105の突起115に設けた勾配部115aはヨーク104の凹溝114の勾配部113に図7に示すごとくに当接(嵌合)する。
この実施の形態ではヨーク104の凹溝114に勾配部113、そしてロータ105の突起115にも勾配部115aを設けて示している。もちろん、ヨーク104及びロータ105の双方に勾配部113及び勾配部115aを設ければ当接嵌合には好都合であるが、この当接嵌合にはヨーク104及びロータ105のいずれかに勾配部が設けられればその目的は達成されるので、以下の実施の形態では、ヨーク104の凹溝114に勾配部113を設けたのみの例で説明する。
【0011】
図8は本発明による電磁連結装置に使用するロータ及びヨークの第2の実施の形態を図1のギヤ側を上にした状態でロータ及びヨークを簡略化して示す概略図である。図9は図8の磁性体ヨーク突起の状態を示す概略図である。図10は電磁連結装置の一回転時のロータの突起がヨークの凹溝に嵌合された状態を示す概略図である。図11は図10のロータの突起がヨークの凹溝に嵌合されている状態を示す概略断面図である。
図8乃至図11に示す電磁連結装置の第2の実施の形態において、円筒体からなるロータ105の軸方向内周面に非磁性体、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、POM(ポリオオキシメチレン)等のプラスチック材料からなる突起物109を適宜な手段で固定して設けている。
【0012】
図8乃至図10には図1乃至図3の軸101上のロータ105とヨーク104の上半分のみを簡略化して示しており、この実施の形態ではロータ105の突起105aには勾配部を設けていない。符号113aは図5に示した勾配部113の断面部を示している。図11には、図10の状態から離れる前の、ロータ105の突起115がヨーク104の凹溝114に嵌合されている状態を示している。
ロータ105の円筒体内に収容され、図8では簡略化してロータ105の円筒体に対応する形状で、かつSPCC(冷間圧延鋼板)等の鉄系材料からなるヨーク104は、その円筒体側面のロータ105の円筒体内周面の突起物109と対向する位置に適宜の手段で配置された磁性体の突起110及びこの突起110と連結されている、例えば、円筒状の収容部111aに収容されたコイルスプリング111を設けている。
この場合、ロータ105の内周面に非磁性体からなる突起物109、鉄系材料からなるヨーク104の円筒側面側に磁性体の突起110及びコイルスプリング111が、それぞれ適宜な手段によって取り付けられている。
【0013】
この第2の実施の形態の電磁連結装置によれば、励磁時にコイル(図示せず)に流れた電流により磁界が発生し、その磁力により、図9に示すように、ヨーク104の円筒側面の板金である磁性体の突起110がヨーク104側面に引き寄せられ(格納され)、ロータ105が開放され、ギヤ(図示せず)と連結し回転を始める。
コイルスプリング111の弾性が磁力より弱い時、又は、無励磁の時には、図10に示すように、磁性体の突起110がコイルスプリング111によりヨーク104側面より押し出され、一回転する寸前にロータ105の内周面に設けられた突起109に当たり回転の進行とともに突起110が突起109から離間するように動く。これによりヨーク104の凹溝114にロータ105の突起115が近づく方向に応力が作用する。
ヨーク104側面の磁性体の突起110とロータ105の内周面に設けられた突起109との位置関係は、無励磁の時、ロータ105がヨーク104を滑り回転し始め、そのロータ105の内周面に設けられた突起109は描く回転軌跡の近傍にヨーク104側面の磁性体の突起110が位置することになる。
【0014】
このような構成において、ロータ105の内周面に非磁性体の突起109を設けかつ、ヨーク104の円筒側面側に磁性体の突起110及びこの突起110と連結されているコイルスプリング111をヨーク104内に設けることで、所定位置精度、すなわち、第1の実施の形態に関連して記載された凹溝114及び突起115の勾配の分、早く嵌合し易いかもしれないという懸念に対して、高速回転においても嵌合部分(ヨーク104の凹溝114とロータ105の突起115との嵌合)へ360°精度よく凹溝114に突起115を嵌合させる効果がある。
この場合、凹溝114に突起115を360°精度良く嵌合させることができず、360°−αの嵌合部分で嵌合すると、例えば、後述する画像形成装置での実使用上、記録媒体である紙を送る場合は、後端が完全に送り切れないことがある。すなわち、搬送が不十分となる。
【0015】
図12は本発明による電磁連結装置に使用するロータ及びヨークの第3の実施の形態を図1のギヤ側を上にした状態でロータ及びヨークを簡略化して示す概略図である。図13は図12の磁性体ヨーク突起と非磁性体ロータの突起との状態を示す概略図である。図14は電磁連結装置の一回転時の磁性体ヨーク突起と非磁性体ロータの突起との状態を示す概略図である。図15は図14のロータの突起がヨークの凹溝に嵌合されている状態を示す概略断面図である。
図12乃至図14には図1乃至図3の軸101上のロータ105とヨーク104の上半分のみを簡略化して示しており、この実施の形態ではロータ105の突起105aには勾配部を設けていない。符号113aは図5に示した勾配部113の断面部を示している。図15には、図14の状態から離れる前の、ロータ105の突起115がヨーク104の凹溝114に嵌合されている状態を示している。
【0016】
図12乃至図14に示す電磁連結装置の第3の実施の形態において、円筒体であるロータ105の内周面に非磁性体の突起物109を適宜の手段で固定して設けかつ、ロータ105内に収容されるヨーク104の、ロータ105の突起物109に対向する側面側に板ばね、例えば、弾性力のあるリン青銅板からなる突起112を適宜な方法で設けている。
かかる構造を有する電磁連結装置より、上述した第2の実施の形態におけるスプリングが無くても、ヨーク104の側面側の磁性体にばね性(板ばね112など)を持たせることで第2の実施の形態と同様の動作が可能となる。
このように、ロータ105の内周面に非磁性体の突起109を設けかつ、ヨーク104の側面側に磁性体で弾性力を持っている突起112を設けることによって、第2の実施の形態におけるスプリングの削除ができ、部品点数の削減ができる効果がある。
【0017】
図16は本発明の電磁連結装置を備えることができる画像形成装置である複写機の全体構成を示す概略図である。図16において、複写機Aは、おおまかに、複写機本体1、この複写機本体1を載せる給紙テーブル2、複写機本体1上に取り付けるスキャナ3、このスキャナ3の上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)4を含んでいる。
複写機Aを簡単に説明すると、複写機本体1には、中間転写ベルト、3つの支持ローラに掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。また、3つの支持ローラのうちの、第1の支持ローラと第2の支持ローラ間に張り渡した中間転写ベルト上にはその搬送方向に沿って、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロの4つの画像形成手段を横に並べて配置し、タンデム画像形成装置20を構成している。
このタンデム画像形成装置20の上には、図16に示すように、さらに露光装置21を設けている。一方、中間転写ベルトを挟んでタンデム画像形成装置20と反対の側には、2次転写装置を備えている。この2次転写装置には、画像転写後の転写材を定着装置へと搬送する転写材搬送機能も備えてなる。
【0018】
さて、いまこのカラー複写機を用いてコピーをとる時は、原稿自動搬送装置4の原稿台上に原稿をセットする。又は、原稿自動搬送装置4を開いてスキャナのコンタクトガラス上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置4を閉じてそれで原稿を押さえる。
そして、図示してないスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置4に原稿をセットした時は、原稿を搬送してコンタクトガラス上へと移動して後、他方、コンタクトガラス上に原稿をセットした時は、直ちにスキャナ3を駆動し、第1走行体及び第2走行体を走行する。
そして、第1走行体で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体に向け、第2走行体のミラーで反射して結像レンズを通して読み取りセンサに入れ、原稿内容を読み取る。
また、図示してないスタートスイッチを押すと、同じく図示してない駆動モータで支持ローラの1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写ベルトを回転搬送する。
同時に、個々の画像形成手段でその感光体ドラムを回転して各感光体ドラム40上にそれぞれ、ブラック、イエロ、マゼンタ、シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写ベルトの搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト上に合成カラー画像を形成する。
【0019】
一方、図示してないスタートスイッチを押すと、給紙テーブル2の給紙ローラの1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセットの1つから転写材を繰り出し、分離ローラ45と45aで1枚ずつ分離して給紙路に入れ、搬送ローラ47と47aで搬送して複写機本体1内の給紙路に導き、レジストローラ49と49aに突き当てて止める。
又は、給紙ローラを回転して手差しトレイ51上の転写材を繰り出し、分離ローラ52と52aで1枚ずつ分離して手差し給紙路に入れ、同じくレジストローラ49と49aに突き当てて止める。
そして、中間転写ベルト上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49と49aを回転し、中間転写ベルトと2次転写装置との間のニップに転写材を送り込み、2次転写装置で転写して転写材上にカラー画像を記録する。
画像転写後の転写材は、2次転写装置で搬送して定着装置へと送り込み、この定着装置で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切り換え爪で切り換えることによって排出ローラ56と56aで排出し、排紙トレイ57上にスタックする。
【0020】
一方、画像転写後の中間転写ベルトは中間転写体クリーニング装置において、画像転写後に中間転写ベルト上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
複写機Aには転写材を搬送するのにローラ間に転写材を挟んで搬送する。これらのローラは、図16では、駆動ローラと従動ローラとで構成される、例えば、分離ローラ45と45a、搬送ローラ47と47a、レジストローラ49と49a、分離ローラ52と52a、排出ローラ56と56a等である。
このような各種のローラの従動ローラ、例えば、搬送ローラの従動ローラ47aに本発明による電磁連結装置の回転部A(図1)の軸101を連結し、この従動ローラ47aの回転を妨げるような力を付与することによって転写材の搬送速度を制御する。その際、電磁連結装置は回転が円滑になるため、従動ローラ47aの回転も精度よく制御できる。従って、通紙時(手差し等含め)の回転数の高い使用条件でも使用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一般的な定回転ギヤ装置の励磁状態を示す断面図である。
【図2】図1の定回転ギヤ装置の非励磁状態を示す断面図である。
【図3】図1の定回転ギヤ装置の一回転後のギヤ開放状態を示す断面図である。
【図4】本発明による電磁連結装置に使用するロータ及びヨークの第1の実施の形態を図1のギヤ側を上にした状態でロータ及びヨークを簡略化して示す概略図である。
【図5】図4のヨークの勾配を設けた凹溝を示す斜視図である。
【図6】図4のロータの勾配を設けた突起を示す概略図である。
【図7】図7は図4の線a−a’に沿ってヨークの勾配部とロータの勾配部との当接状態を示す概略断面図である。
【図8】本発明による電磁連結装置に使用するロータ及びヨークの第2の実施の形態を図1のギヤ側を上にした状態でロータ及びヨークを簡略化して示す概略図である。
【図9】図8の磁性体ヨーク突起の状態を示す概略図である。
【図10】電磁連結装置の一回転時のロータの突起がヨークの凹溝に嵌合された状態を示す概略図である。
【図11】図10のロータの突起がヨークの凹溝に嵌合されている状態を示す概略断面図である。
【図12】本発明による電磁連結装置に使用するロータ及びヨークの第3の実施の形態を図1のギヤ側を上にした状態でロータ及びヨークを簡略化して示す概略図である。
【図13】図12の磁性体ヨーク突起と非磁性体ロータの突起との状態を示す概略図である。
【図14】電磁連結装置の一回転時の磁性体ヨーク突起と非磁性体ロータの突起との状態を示す概略図である。
【図15】図15は図14のロータの突起がヨークの凹溝に嵌合されている状態を示す概略断面図である。
【図16】本発明の電磁連結装置を備えることができる画像形成装置である複写機の全体構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0022】
A 画像形成装置、40 感光体ドラム、47 搬送ローラ(駆動ローラ)、47a 搬送ローラ(従動ローラ)、101 軸、102 ギヤ、102a 歯部、104 ヨーク、105 ロータ、105a 歯部、109 非磁性体ロータの突起、110 磁性体ヨークの突起、111 スプリング(コイルスプリング)、112 板ばねからなるヨークの突起、113 凹溝に設けた勾配部、113a 勾配部の断面部、114 ヨークの凹溝、115 ロータの突起、115a 勾配部を設けた突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一軸上に配置される円筒体からなるロータと該ロータ内に収容される筒状のヨークとを有し、前記ロータの軸方向内面に突起をかつ前記ヨークの前記ロータの前記突起に対応する部分に凹溝を有し、前記突起が前記凹溝に嵌合する電磁連結装置において、前記ロータの前記突起と前記ヨークの前記凹溝との当接部分のいずれかに勾配部を有することを特徴とする電磁連結装置。
【請求項2】
前記勾配部を前記ヨークの前記凹溝に設けることを特徴とする請求項1記載の電磁連結装置。
【請求項3】
前記勾配部を前記ロータの前記突起に設けることを特徴とする請求項1記載の電磁連結装置。
【請求項4】
前記ロータの内周面に非磁性体の突起を設けかつ、前記ヨークの、前記非磁性体の突起に対向する側面側に、磁性体の突起を取り付けかつ該磁性体の突起と連動するスプリングを前記ヨーク内に設けることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の電磁連結装置。
【請求項5】
前記ロータの前記内周面に前記非磁性体の突起を設けかつ、前記ヨークの前記側面側に磁性体でかつ弾性力を有する突起を設けることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の電磁連結装置。
【請求項6】
感光体ドラム上に形成された静電画像をトナー現像し、転写材に転写して複写を行う画像形成装置において、前記転写材を搬送するローラ部に請求項1乃至5のいずれか1項記載の電磁連結装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
同一軸上に配置される円筒体からなるロータと該ロータ内に収容される筒状のヨークとを有し、前記ロータの軸方向内面に突起をかつ前記ヨークの前記ロータの前記突起に対応する部分に凹溝を有し、前記突起が前記凹溝に嵌合する電磁連結装置において、前記ロータの前記突起と前記ヨークの前記凹溝との当接部分のいずれかに勾配部を有することを特徴とする電磁連結装置。
【請求項2】
前記勾配部を前記ヨークの前記凹溝に設けることを特徴とする請求項1記載の電磁連結装置。
【請求項3】
前記勾配部を前記ロータの前記突起に設けることを特徴とする請求項1記載の電磁連結装置。
【請求項4】
前記ロータの内周面に非磁性体の突起を設けかつ、前記ヨークの、前記非磁性体の突起に対向する側面側に、磁性体の突起を取り付けかつ該磁性体の突起と連動するスプリングを前記ヨーク内に設けることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の電磁連結装置。
【請求項5】
前記ロータの前記内周面に前記非磁性体の突起を設けかつ、前記ヨークの前記側面側に磁性体でかつ弾性力を有する突起を設けることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の電磁連結装置。
【請求項6】
感光体ドラム上に形成された静電画像をトナー現像し、転写材に転写して複写を行う画像形成装置において、前記転写材を搬送するローラ部に請求項1乃至5のいずれか1項記載の電磁連結装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−19338(P2010−19338A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180226(P2008−180226)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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