説明

電解液及び電気化学素子

【課題】 煩雑なデバイスの製造作業が不要で、かつ従来よりも改善された電気伝導度を有する電解液を得ることを課題とする。
【解決手段】 微粒子(A)の表面が導電性高分子(B)で被覆されている導電性複合微粒子(C)が、電解質(D)を溶媒(E)中に溶解した電解質溶液(F)中に分散されており、導電性複合微粒子(C)の比重cと、電解質溶液(F)の比重fの比(c/f)が、0.80〜1.20であることを特徴とする電解液(G)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解液に関する。詳しくは導電性複合微粒子が電解質溶液に分散した電解液に関する。
【背景技術】
【0002】
電解液は、通常、酸及び塩基からなる電解質塩を有機溶媒及び/または水に溶解した組成からなる。これらのうち有機溶媒系の電解液は高温での使用環境下で信頼性が必要とされるアルミ電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ及び色素増感太陽電池等の電気化学デバイスの分野で広く使用されている。
これらの電気化学デバイスのうちのアルミ電解コンデンサ又は電気二重層キャパシタが使用される電子機器においては、電子機器の高周波化、小型化又は高性能化が進められており、従来以上に電気伝導度が高い電解液の開発が望まれている。
また、色素増感太陽電池では、エネルギー変換効率の向上の為に、同様に電解液の高電気伝導度化が望まれている。
電解液の電気伝導度は、電解質の濃度、電解質の解離度及び電解質イオンの移動度に支配されることが分っており、有機溶媒中への電解質塩の溶解度及び解離度が高い電解質カチオンとしてアミジン骨格を有する電解質カチオンが提案されている(例えば、特許文献1参照)が、電気伝導度はまだ十分とは言えない。
また、電解コンデンサの製造において、電解液のイオン伝導に導電性高分子等の電子伝導を組み合わせることで、高電気伝導度化を図る試みも提案されている(例えば、特許文献2参照)が、デバイス素子の電極間で導電性高分子を重合させる作業の煩雑さ、及び電解コンデンサの製造コストが高いという課題を有している。
【特許文献1】国際公開第95/15572号パンフレット
【特許文献2】特開平01−090517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は煩雑なデバイスの製造作業が不要で、かつ従来よりも改善された電気伝導度を有する電解液を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、微粒子(A)の表面が導電性高分子(B)で被覆されている導電性複合微粒子(C)が、電解質(D)を溶媒(E)中に溶解した電解質溶液(F)中に分散されており、導電性複合微粒子(C)の比重cと、電解質溶液(F)の比重fの比(c/f)が、0.80〜1.20であることを特徴とする電解液(G)、並びに該電解液を用いた電気化学素子である。
【発明の効果】
【0005】
煩雑なデバイスの製造作業を伴うこと無しに、電解液のイオン伝導性に導電性高分子の電子伝導性が組み合わされた、従来にない高い電気伝導度を発現する電解液を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の電解液(G)は、微粒子(A)の表面が導電性高分子(B)で被覆されている導電性複合微粒子(C)の比重cと、電解質(D)を溶媒(E)中に溶解した電解質溶液(F)の比重fの比(c/f)が、0.80〜1.20で制御されていることで、導電性複合微粒子(C)が電解質溶液(F)中に安定に分散される。
導電性複合微粒子(C)の比重cと電解質溶液(F)の比重fの比(c/f)が0.80以下では、導電性複合微粒子(C)が電解質溶液(F)と比して軽すぎるため、導電性複合微粒子(C)は電解質溶液(F)に浮いてしまい、分散されない。一方、比重の比(c/f)が1.20以上では、導電性複合微粒子(C)が電解質溶液(F)と比して重すぎるため、導電性複合微粒子(C)は電解質溶液(F)中に沈んでしまい、分散されない。
導電性複合微粒子(C)が電解質溶液(F)に均一に分散されない場合、電解質溶液(F)中での導電性複合微粒子(C)の濃度勾配が起こり、期待される電気伝導度が発現しないといった不具合が生じるため、好ましくない。
導電性複合微粒子(C)の比重cと電解質溶液(F)の比重fの比(c/f)は、分散性の経時的安定性の観点から、好ましくは0.85〜1.15、更に好ましくは0.90〜1.10、特に好ましくは0.95〜1.05がよい。
【0007】
本発明の電解液(G)は、電解質溶液(F)中に導電性複合微粒子(C)を安定に分散させるために、導電性複合微粒子(C)の比重の調整が必要になってくる。調整の方法としては以下の方法が挙げられる。
【0008】
(1)使用する電解質溶液(F)の比重fが一定の値であって、比(c/f)が1.20を超える場合;
(1−1):微粒子(A)の組成を低比重のものにする。
(1−2):微粒子(A)を中空にする。
(1−3):導電性高分子(B)の組成を低比重のものにする。
などの方法により導電性複合微粒子(C)の比重を小さくすることができる。
【0009】
(2)使用する電解質溶液(F)の比重fが一定の値であって、比(c/f)が0.80未満である場合;
(2−1):微粒子(A)の組成を高比重のものにする。
(2−2):導電性高分子(B)の組成を高比重のものにする。
などの方法により導電性複合微粒子(C)の比重cを大きくすることができる。
【0010】
(3)使用する導電性複合微粒子(C)の比重cが一定の値であって、比(c/f)が1.20を超える場合;
(3−1):電解質(D)の組成を高比重のものにする。
(3−2):電解質の濃度を高くする。
(3−3):溶媒(E)の組成を高比重のものにする。
などの方法により電解質溶液(F)の比重fを大きくすることができる。
【0011】
(4)使用する導電性複合微粒子(C)の比重cが一定の値であって、比(c/f)が0.80未満である場合;
(4−1):電解質(D)の組成を低比重のものにする。
(3−2):電解質の濃度を低くする。
(3−3):溶媒(E)の組成を低比重のものにする。
などの方法により電解質溶液(F)の比重fを小さくすることができる。
【0012】
本発明における導電性複合微粒子(C)の組成および性状について説明する。
【0013】
導電性複合微粒子(C)を構成する微粒子(A)としては無機微粒子および有機微粒子が挙げられる。
【0014】
無機微粒子としては、酸化チタン微粒子、酸化ケイ素微粒子、酸化スズ微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化タングステン微粒子、酸化ニオブ微粒子、酸化インジウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子、酸化タンタル微粒子、酸化ランタン微粒子、酸化イットリウム微粒子、酸化ホルミウム微粒子、酸化アルミニウム微粒子等が挙げられる。
無機微粒子のうち好ましいのは、その表面を導電性高分子(B)で被覆しやすいという観点から、酸化チタン微粒子および酸化ケイ素微粒子のうちの少なくとも1種である。
【0015】
有機微粒子としては、有機化合物の微粒子であれば特に限定されないが、微粒子を形成しやすいという観点から、好ましいのは有機高分子である。
有機高分子としては、付加重合系樹脂、重付加系樹脂、縮合系樹脂および開環重合系樹脂などが使用できる。
上記の付加重合系樹脂としてはビニル重合系樹脂、重付加系樹脂としてはポリウレタ樹脂、縮合系樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂および尿素樹脂など開環重合系樹脂としてはポリエーテル系樹脂、ポリアセタール系樹脂およびエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0016】
微粒子を構成する有機高分子のうち好ましいのは、その表面を導電性高分子(B)で被覆しやすいという観点から付加重合系樹脂および重付加系樹脂であり、特にビニル重合系樹脂およびポリウレタン樹脂である。
ビニル重合系樹脂としては、以下のビニル系モノマーの1種以上を構成単位としてなる数平均分子量1,000〜1,000,000の樹脂が挙げられる。
【0017】
(m1)アニオン性基含有モノマー
(m11)カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩:
炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸ならびにその無水物およびそのモノアルキル(炭素数1〜24)エステル、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマー。
【0018】
(m12)スルホン基もしくは硫酸エステル基含有ビニル系モノマー及びこれらの塩:
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸、例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸;およびその炭素数2〜24のアルキル誘導体、例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド、例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等]、及びポリオキシエチレン多環フェニルエーテ
【0019】
(m13)燐酸基含有ビニル系モノマー及びその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)燐酸モノエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)ホスホン酸類、例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸。
【0020】
(m2)非イオン性モノマー
(m21)ビニル系炭化水素:
脂肪族ビニル系炭化水素:
アルケン類、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン等;アルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン。
脂環式ビニル系炭化水素:
モノ−もしくはジ−シクロアルケンおよびアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等。
芳香族ビニル系炭化水素:
スチレンおよびその炭化水素(アルキル、シクロアルキル、アラルキルおよび/またはアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエンジビニルベンゼン、ジビニルトルエン。
【0021】
(m22)含窒素ビニル系モノマー:
アミノ基含有ビニル系モノマー:
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4ービニルピリジン、2ービニルピリジン。
【0022】
(m23)アミド基含有ビニル系モノマー:
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン等。
【0023】
(m24)ニトリル基含有ビニル系モノマー:
(メタ)アクリロニトリル等。
【0024】
(m25)4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマー:
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドまたはジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等。
【0025】
(m26)水酸基含有ビニル系モノマー:
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(アルキレン基としてはエチレンおよびプロピレン基:アルキレン基の数は2〜24)など。
【0026】
(m27)(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ビニルモノマー:
炭素数1〜24のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(メタクリル酸メチル、アクリル酸エチルおよびアクリル酸ブチルなど)および炭素数1〜12のアルキレン基を有するアルキレンジ(メタ)アクリレート(エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレートなど)。
【0027】
ビニル重合系樹脂のうち好ましいのは、アニオン性基含有モノマー(m1)を必須構成単量体とする樹脂であり、さらに好ましいのはカルボキシル基含有ビニル系モノマー、スルホン基含有モノマー、硫酸エステル基含有ビニル系モノマーおよびこれらの塩を必須構成単量体とする樹脂であり、特に好ましいのはスチレンスルホン酸及び(メタ)アクリル酸を必須構成単量体とするビニル重合系樹脂である。
また、アニオン性基含有モノマー(m1)と共重合できるモノマーとして好ましいのは、上記の非イオン性モノマー(m2)から適宜選択される1種以上のモノマーである。
(m1)/(m2)のモル比は、表面の被覆しやすさの観点から、好ましくは2〜100/0〜98、さらに好ましくは10〜80/20〜90である。
【0028】
ビニル重合系樹脂のうちの好ましいものの例としては、例えば(メタ)アクリル酸−アクリロニトリル系共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレンスルホン酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレンスルホン酸−無水マレイン酸共重合体、スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0029】
微粒子を構成する樹脂のうちのポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネートと活性水素基含有化合物{水、ポリオール[ジオールおよび3価以上のポリオールなど]等}との重付加物などが挙げられる。
【0030】
ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネートおよびこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物など)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
好ましいものは炭素数6〜15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ポリイソシアネート、および炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートであり、とくに好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI、およびIPDIである。
【0031】
ポリエポキシドの例としては、芳香族系ポリエポキシ化合物、複素環系ポリエポキシ化合物、脂環族系ポリエポキシ化合物あるいは脂肪族系ポリエポキシ化合物が挙げられる。
芳香族系ポリエポキシ化合物としては、多価フェノール類のグリシジルエーテル体およびグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン、並びに、アミノフェノールのグリシジル化物等が挙げられる。
多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、フェノールまたはクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、リモネンフェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル体、また、脂環族系としては、前記芳香族系ポリエポキシド化合物の核水添化物も含む;脂肪族系ポリエポキシ化合物としては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体、また、本発明において脂肪族系としては、ジグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体も含む。これらのうち、好ましいのは、脂肪族系ポリエポキシ化合物および芳香族系ポリエポキシ化合物である。本発明のポリエポキシドは、2種以上併用しても差し支えない。
【0032】
微粒子(A)を構成する樹脂のうちのポリアミド樹脂としては、ジカルボン酸とポリアミンの重縮合物、またはジカルボン酸ジハロゲン化物とポリアミンの重縮合物などが挙げられる。
【0033】
微粒子(A)の平均粒子径は、導電性複合微粒子(C)の分散性の観点から、好ましくは10nm〜100μm、更に好ましくは50nm〜10μm、特に好ましくは100nm〜1μmが好ましい。
なお、本発明における平均粒子径は、いずれも体積平均粒子径であり、トルエンを溶媒にしてレーザー散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所(株)製)で測定したものである。
【0034】
微粒子(A)が無機微粒子の場合は、市販品をそのまま使用してもよく、必要により好ましい平均粒子径になるまで粉砕してもよい。
市販品としては、酸化チタン微粒子(AEROXIDE P25、日本アエロジル製)、酸化ケイ素微粒子(AEROSIL 200、日本アエロジル製)などが挙げられる。
微粒子(A)が有機微粒子の場合であって、有機高分子である場合は、公知のラジカル重合方法、縮合重合方法および開環重合方法で得られた樹脂を、好ましい平均粒子径になるまで粉砕する方法、並びに公知の縣濁重合、乳化重合またはパール重合等の方法により製造することができる。
【0035】
微粒子(A)としては、導電性複合微粒子(C)の比重調整のしやすさの観点から、中空微粒子であることが好ましい。
【0036】
無機の中空微粒子としては、酸化ケイ素中空微粒子(セノライトM−732C、平均粒子径45μm、比重0.15、巴工業製)などの市販品が挙げられる。
【0037】
有機高分子の中空微粒子を得る製造方法としては
(1)樹脂にペンタン等の低沸点溶剤を封入しておき、後にこの低沸点溶剤をガス化膨脹させる方法(特許文献3)、
(2)ポリマー粒子の内部にアルカリ膨潤性の物質を含有させておき、このポリマー粒子 にアルカリ性液体を浸透させてアルカリ膨潤性の物質を膨脹させる方法(特許文献4)、(3)2種類以上の樹脂を用い相溶性の違いと硬化収縮を利用する方法(特許文献5)、(4)水が分散したポリマー前駆体をさらに水に分散することで得られたW/O/Wエマルション中の該ポリマー前駆体を重合することにより得られたポリマーからなる樹脂粒子を加熱する方法(特許文献6)、などが挙げられる。
特許文献3:国際公開WO99/43758号パンフレット
特許文献4:特開平11−349839号公報
特許文献5:特開平05−125127号公報
特許文献6:特開2006−96971号公報
【0038】
微粒子(A)の表面を被覆する導電性高分子(B)としては、共役π電子を有する有機高分子が挙げられ、該有機高分子は、例えば下記の(1)〜(4)のモノマーの1種または2種以上を必須構成モノマーとする重合物である。
(1)脂肪族系三重結合含有化合物;アセチレン及び1,6−ヘプタジイン等;
(2)芳香族共役化合物;ベンゼン、ナフタレン及びアントラセン等;
(3)含ヘテロ原子共役化合物;ピロール、チオフェン、フラン及びエチレンジオキシチオフェン等の複素環式化合物、並びにアニリン、スルホン化アニリン及びジフェニルスルフィド等の非複素環式化合物。
(4)前記(1)〜(3)の水素原子が、炭素数1〜20のアルキル基(例えばメチル、エチル、ラウリル及びステアリル基等)又はアリール基(フェニル及びナフチル基等)等で置換された化合物。
これらのモノマーは一種または二種以上を用いてもよい。これらのうち好ましいのは(3)の含ヘテロ原子共役化合物であり、さらに好ましいものは複素環式化合物及びアニリンであり、特に好ましいものはピロール、チオフェン、エチレンジオキシチオフェン及びアニリンである。
導電性高分子(B)の好ましい例としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン及びポリアニリンからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0039】
本発明における導電性複合微粒子(C)における導電性高分子(B)の被膜の厚さは、比重および分散性の観点から、好ましくは10nm〜100μm、さらに好ましくは50nm〜10μmである。
また、微粒子(A)に対する導電性高分子(B)の重量比[(B)/(A)]は、比重および分散性の観点から、好ましくは0.001〜1,000、さらに好ましくは0.01〜100である。
また、導電性複合微粒子(C)の平均粒子径は、分散性の観点から、好ましくは10nm〜300μm、さらに好ましくは50nm〜100μmである。
【0040】
本発明における導電性複合微粒子(C)は、通常は、アニリンやピロール等の共役π電子を有するモノマーが、微粒子の表面にあるアニオン性部位をドーパントとして取り込みながら重合することで合成される。例えば以下の方法で製造される。
無機微粒子(例えば酸化ケイ素微粒子)をアニリン塩酸塩の水溶液に懸濁させる。その懸濁溶液に開始剤として過硫酸アンモニウムを滴下して、室温で酸化重合させると、無機微粒子がポリアニリンで覆われた導電性複合微粒子が生成する。生成した導電性複合微粒子をろ過により回収し、超純水及びメタノールで洗浄した後、乾燥炉内で乾燥させる方法(参考文献1)で、所望の導電性複合微粒子を製造する。
参考文献1:POLYMER、Volume32、Number13、2325(
1991)
【0041】
導電性複合微粒子(C)の比重は好ましくは0.50〜1.50、さらに好ましくは0.07〜1.30である。この範囲であれば後述の電解質溶液(F)の比重との差が少なくなりやすい。
導電性複合微粒子(C)の比重は、ルシャトリエ比重びん法(JISR5201)等の方法で測定できる。
【0042】
本発明の電解液(G)は、上記の導電性複合微粒子(C)を電解質溶液(F)に分散したものである。
本発明の電解液(G)は、導電性複合微粒子(C)を、電解質を含有しない溶媒のみに分散させた電解液と比して、高い電気伝導度が得られる。
この理由は定かではないが、導電性複合微粒子(C)を溶媒のみに分散させた電解液では、導電性複合微粒子(C)の電子移動が起こらない溶媒層が絶縁層となるため、電解液の電気伝導度が発現し難いが、導電性複合微粒子(C)を電解質溶液(F)に分散させた電解液では、溶媒層でも電解質のイオン伝導が起こるため溶媒層が導電層となり、電解液の高い電気伝導度が発現しているものと想定される。
【0043】
本発明における電解質溶液(F)に用いられる電解質は、通常用いられる電解質でよく、電解質を構成するカチオンとしては、具体的に以下の(1)〜(4)のアンモニウムカチオンや(5)〜(8)のアミジニウムカチオンが挙げられる。
【0044】
(1)4級モノアンモニウム類(テトラアルキルモノアンモニウム;C4〜C32)(以下においてCは炭素数を表す)
テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、モノメチルトリエチルアンモニウムなど。
【0045】
(2)3級モノアンモニウム類(トリアルキルモノアンモニウム;C3〜C24)
トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、N,N−ジメチルエチルアンモニウム、N,N−ジメチルプロピルアンモニウム、N,N−ジメチルイソプロピルアンモニウム、N,N−ジエチルメチルアンモニウム、N,N,N−メチルエチルプロピルアンモニウム、N,N,N−メチルエチルイソプロピルアンモニウム、N,N−ジプロピルメチルアンモニウム、N,N−ジイソプロピルメチルアンモニウム、N,N−ジメチルメトキシメチルアンモニウム、N,N−ジメチルメトキシエチルアンモニウム、N,N−ジエチルメトキシメチルアンモニウム、N,N−ジメチルアセチルメチルアンモニウム、N,N−ジメチルヒドロキシメチルアンモニウム、N,N−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、N,N−ジエチルヒドロキシメチルアンモニウム、N,N−ジエチルヒドロキシエチルアンモニウムなど。
【0046】
(3)2級モノアンモニウム類(ジアルキルモノアンモニウム;C2〜C16)
ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、メチルエチルアンモニウム、メチルプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、メチルホルミルメチルアンモニウム、メチルヒドロキシメチルアンモニウムなど。
【0047】
(4)1級モノアンモニウム類(モノアルキルアンモニウム;C1〜C8)
メチルアンモニウム、エチルアンモニウム、プロピルアンモニム、イソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウムなど。
【0048】
(5)イミダゾリニウム類
1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、1−メチル−2,3,4−トリエチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メチルカルボオキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メチルカルボオキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウムなど。
【0049】
(6)イミダゾリウム類
1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−エチル−イミダゾリウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−フェニルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−ベンジルイミダゾリウム、1−ベンジル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−イミダゾリウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−メチルカルボオキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−メチルカルボオキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリウムなど。
【0050】
(7)テトラヒドロピリミジニウム類
1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウム、5−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−メチルカルボオキシメチル−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−メチルカルボオキシメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムなど。
【0051】
(8)ジヒドロピリミジニウム類
1,3−ジメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウム、[これらを1,3−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウムと表記し、以下同様の表現を用いる。]1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3,5−テトラメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7,9(10)−ウンデカジエニウム、5−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5,7(8)−ノナジエニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−メチルカルボオキシメチル−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−メチルカルボオキシメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチル−1,4(6)−ヒドロピリミジニウムなど。
【0052】
上記アンモニウムカチオンおよびアミジニウムカチオンは、一種または二種以上を併用してもよい。
【0053】
アンモニウムカチオンとして好ましいものは、4級モノアンモニウム及び3級モノアンモニウム類であり、特に好ましいものはテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム及びトリメチルアンモニウムである。
アミジニウムカチオンとして好ましいものは、イミダゾリニウム類及びイミダゾリウム類であり、特に好ましいものは、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及び1,2−ジメチル−3−エチル−イミダゾリウムである。
【0054】
本発明における電解質溶液(F)に用いられる電解質を構成するアニオンとしては、以下の有機スルホン酸、フルオロカルボン酸、ホウ素錯体、ハロゲン化無機酸、有機カルボン酸、モノおよびジアルキルリン酸エステル、フェノール類、並びにトリアゾールもしくはテトラゾール骨格を有する化合物から誘導されるアニオンが挙げられる。
【0055】
有機スルホン酸としては下記の化合物が挙げられる。
(1)炭素数1〜30またはそれ以上の飽和および不飽和脂肪族スルホン酸:[1価の飽和脂肪族スルホン酸(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、イソプロピルスルホン酸、ブタンスルホン酸、イソブチルスルホン酸、t−ブチルスルホン酸、ペンタンスルホン酸、イソペンチルスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ノナンスルホン酸、デカンスルホン酸、ウンデカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、トリデカンスルホン酸、テトラデカンスルホン酸、n−オクチルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、セチルスルホン酸など)、1価の不飽和脂肪族スルホン酸(エチレンスルホン酸、1−プロペン−1−スルホン酸、ベンジルスルホン酸、フェニルエタンスルホン酸など)、2価以上の脂肪族スルホン酸(メチオン酸、1,1−エタンジスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、1,1−プロパンジスルホン酸、1,3−プロパンジスルホン酸、ポリビニルスルホン酸など)、オキシ脂肪族スルホン酸(イセチオン酸、3−オキシ−プロパンスルホン酸など)、スルホ脂肪族カルボン酸(スルホ酢酸、スルホコハク酸など)、スルホ脂肪族カルボン酸エステル(ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸など)]
【0056】
(2)フルオロスルホン酸RfSO3H、(Rfは炭素数1〜30のフルオロアルキル基):(トリフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロエタンスルホン酸、パーフルオロプロパンスルホン酸、パーフルオロイソプロピルスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロイソブチルスルホン酸、パーフルオロt−ブチルスルホン酸、パーフルオロペンタンスルホン酸、パーフルオロイソペンチルスルホン酸、パーフルオロヘキサンスルホン酸、パーフルオロノナンスルホン酸、パーフルオロデカンスルホン酸、パーフルオロウンデカンスルホン酸、パーフルオロドデカンスルホン酸、パーフルオロトリデカンスルホン酸、パーフルオロテトラデカンスルホン酸、パーフルオロn−オクチルスルホン酸、パーフルオロドデシルスルホン酸、パーフルオロセチルスルホン酸など)
【0057】
(3)炭素数6〜30またはそれ以上の芳香族スルホン酸:[1価の芳香族スルホン酸(ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、o−キシレン−4−スルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、4−エチルベンゼンスルホン酸、4−プロピルベンゼンスルホン酸、4−ブチルベンゼンスルホン酸、4−ドデシルベンゼンスルホン酸、4−オクチルベンゼンスルホン酸、2−メチル−5−イソプロピルベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、t−ブチルナフタレンスルホン酸、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸など)、2価以上の芳香族スルホン酸(m−ベンゼンジスルホン酸、1,4−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、1,6−ナフタレンジスルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、2,7−ナフタレンジスルホン酸、1,3,6−ナフタレンスルホン酸、スルホン化ポリスチレンなど)、オキシ芳香族スルホン酸(フェノール−2−スルホン酸、フェノール−3−スルホン酸、フェノール−4−スルホン酸、アニソール−o−スルホン酸、アニソール−m−スルホン酸、フェネトール−o−スルホン酸、フェネトール−m−スルホン酸、フェノール−2,4−ジスルホン酸、フェノール−2,4,6−トリスルホン酸、アニソール−2,4−ジスルホン酸、フェネトール−2,5−ジスルホン酸、2−オキシトルエン−4−スルホン酸、ピロカテキン−4−スルホン酸、ベラトール−4−スルホン酸、レゾルシン−4−スルホン酸、2−オキシ−1−メトキシベンゼン−4−スルホン酸、1,2−ジオキシベンゼン−3,5−ジスルホン酸、レゾルシン−4,6−ジスルホン酸、ヒドロキノンスルホン酸、ヒドロキノン−2,5−ジスルホン酸、1,2,3−トリオキシベンゼン−4−スルホン酸など)、スルホ芳香族カルボン酸(o−スルホ安息香酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、2,4−ジスルホ安息香酸、3−スルホフタル酸、3,5−ジスルホフタル酸、4−スルホイソフタル酸、2−スルホテレフタル酸、2−メチル−4−スルホ安息香酸、2−メチル−3、5−ジスルホ安息香酸、4−プロピル−3−スルホ安息香酸、2,4,6−トリメチル−3−スルホ安息香酸、2−メチル−5−スルホテレフタル酸、5−スルホサリチル酸、3−オキシ−4−スルホ安息香酸等)、チオ芳香族スルホン酸(チオフェノールスルホン酸、チオアニソール−4−スルホン酸、チオフェネトール−4−スルホン酸等)、その他官能基を有する芳香族スルホン酸(ベンズアルデヒド−o−スルホン酸、ベンズアルデヒド−2,4−ジスルホン酸、アセトフェノン−o−スルホン酸、アセトフェノン−2,4−ジスルホン酸、ベンゾフェノン−o−スルホン酸、ベンゾフェノン−3,3'−ジスルホン酸、4−アミノフェノール−3−スルホン酸、アントラキノン−1−スルホン酸、アントラキノン−1,5−ジスルホン酸、アントラキノン−1,8−ジスルホン酸、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸、2−メチルアントラキノン−1−スルホン酸等)]
【0058】
フルオロカルボン酸としては下記の化合物が挙げられる。
フルオロカルボン酸RfCOOH、(Rfは炭素数1〜30のフルオロアルキル基):(トリフルオロ酢酸、パーフルオロプロピオン酸、パーフルオロイソプロピオン酸、パーフルオロ酪酸、パーフルオロ吉草酸、パーフルオロカプロン酸、パーフルオロペラルゴン酸、パーフルオロカプリン酸、パーフルオロウンデシル酸、パーフルオロラウリル酸、パーフルオロトリデカン酸、パーフルオロテトラデカン酸、パーフルオロn−オクタン酸、パーフルオロラウリン酸、パーフルオロパルミチン酸など)
【0059】
ホウ素錯体としては下記の化合物が挙げられる。
(1)ホウ酸のアルコール性水酸基含有化合物錯体;
ホウ酸エチレングリコール錯体、ホウ酸トリメチレングリコール錯体等;
(2)ホウ酸のカルボキシル基含有化合物エステル錯体;
ボロジシュウ酸エステル錯体、ボロジグリコール酸エステル錯体;
(3)ホウ酸のリン酸および/またはリン酸エステル錯体;
ホウ酸メチルホスフェート錯体、ホウ酸エチルホスフェート錯体等;
ホウ素錯体の詳細としては特許2966451号公報に記載してあるものが使用できる。
【0060】
ハロゲン化無機酸としては下記の化合物が挙げられる。
HF、HPF、HBF、HAsF、HSbF6、HAlF、HTaF、HNbF、HSiF、HCl、HPCl、HBCl、HAsCl、HSbCl、HAlCl、HTaCl、HNbCl、HSiCl、HBr、HPBr、HBBr、HAsBr、HSbBr、HAlBr、HTaBr、HNbBr、HSiBr、HPO、HBO3、HClO、HCN、HIなど。
【0061】
有機カルボン酸としては下記の化合物が挙げられる。
(1)炭素数2〜15の2〜4価のポリカルボン酸:脂肪族ポリカルボン酸[飽和ポリカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ウンデンカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、プロピルマロン酸、ブチルマロン酸、ペンチルマロン酸、ヘキシルマロン酸、ジメチルマロン酸、ジエチルマロン酸、メチルプロピルマロン酸、メチルブチルマロン酸、エチルプロピルマロン酸、ジプロピルマロン酸、メチルコハク酸、エチルコハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、3−メチル−3−エチルグルタル酸、3,3−ジエチルグルタル酸、メチルコハク酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3−メチルアジピン酸など)、不飽和ポリカルボン酸(マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸など)]、芳香族ポリカルボン酸[フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸など]、S含有ポリカルボン酸[チオジブロピオン酸など]
【0062】
(2)炭素数2〜20のオキシカルボン酸:脂肪族オキシカルボン酸[グリコール酸、乳酸、酒酪酸、ひまし油脂肪酸など];芳香族オキシカルボン酸[サリチル酸、マンデル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸など];
・炭素数1〜30のモノカルボン酸:脂肪族モノカルボン酸[飽和モノカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウラリル酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデンカン酸など)、不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸など)];芳香族モノカルボン酸[安息香酸、ケイ皮酸、ナフトエ酸、トルイル酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、イソプロピル安息香酸、ブチル安息香酸、イソブチル安息香酸、第2ブチル安息香酸、第3ブチル安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、エトキシ安息香酸、プロポキシ安息香酸、イソプロポキシ安息香酸、ブトキシ安息香酸、イソブトキシ安息香酸、第2ブトキシ安息香酸、第3ブトキシ安息香酸、アミノ安息香酸、N−メチルアミノ安息香酸、N−エチルアミノ安息香酸、N−プロピルアミノ安息香酸、N−イソプロピルアミノ安息香酸、N−ブチルアミノ安息香酸、N−イソブチルアミノ安息香酸、N−第2ブチルアミノ安息香酸、N−第3ブチルアミノ安息香酸、N,N−ジメチルアミノ安息香酸、N,N−ジエチルアミノ安息香酸、ニトロ安息香酸、フロロ安息香酸など]
【0063】
モノおよびジアルキルリン酸エステルとしては、下記の一般式(1)で示されるモノおよびジアルキルリン酸エステルが挙げられる。R及びRは水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、かつ少なくとも1つはアルキル基である。R及びRの炭素数はインピーダンス特性と耐電圧特性の観点から1〜10が好ましい。さらに好ましくは3〜8である。
【0064】
【化1】

【0065】
具体的な例としては、モノメチルリン酸エステル、ジメチルリン酸エステル、モノエチルリン酸エステル、ジエチルリン酸エステル、モノプロピルリン酸エステル、ジプロピルリン酸エステル、モノイソプロピルリン酸エステル、ジイソプロピルリン酸エステル、モノブチルリン酸エステル、ジブチルリン酸エステル、モノペンチルリン酸エステル、ジペンチルリン酸エステル、モノヘキシルリン酸エステル、ジヘキシルリン酸エステル、モノヘプチルリン酸エステル、ジヘプチルリン酸エステル、モノオクチルリン酸エステル、ジオクチルリン酸エステル、モノ−2−エチルヘキシルリン酸エステル、ジ−2−エチルヘキシルリン酸エステル、モノノニルリン酸エステル、ジノニルリン酸エステル、モノデシルリン酸エステル、ジデシルリン酸エステル、モノイソデシルリン酸エステル、ジイソデシルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0066】
フェノールとしては下記の化合物が挙げられる。
・1価フェノール(フェノール類、ナフトール類を含む):フェノール、アルキル(炭素数1〜15)フェノール類(クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、n−もしくはイソプロピルフェノール、イソドデシルフェノールなど)、メトキシフェノール類(オイゲノール、グアヤコールなど)、α−ナフトール、β−ナフトール、シクロヘキシルフェノールなど;
・多価フェノール:カテコール、レゾルシン、ピロガロール、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど。
【0067】
トリアゾール、テトラゾール骨格を有する化合物としては下記の化合物が挙げられる。
【0068】
1−H−1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸、3−メルカプト−5−メチル−1,2,4−トリアゾール、1,2,3,4−テトラゾールなど。
【0069】
これらのうち、好ましいのは、酸の酸強度及び電解液の電気伝導度の観点から、有機スルホン酸、フルオロカルボン酸、ホウ素錯体およびハロゲン化無機酸であり、さらに好ましいのは、メタンスルホン酸、t−ブチルスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、4−エチルベンゼンスルホン酸、4−ブチルベンゼンスルホン酸、4−オクチルベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、アントラキノン−2−スルホン酸、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、o−スルホ安息香酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロペンタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、パーフルオロ酪酸、ボロジシュウ酸エステル錯体、ボロジグリコール酸エステル錯体、HBF4、HAlF4、HBCl4、HBBr4およびHIであり、特に好ましいのは、t−ブチルスルホン酸、ペンタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、4−ブチルベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、アントラキノン−2−スルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロペンタンスルホン酸、芳香族モノカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸、脂肪族不飽和ポリカルボン酸、HBF4、HAlF4およびHIであり、特に好ましいのは、フタル酸、p−トルエンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸およびHIである。
【0070】
なお、アニオンは1種または2種以上を用いてもよい。
【0071】
本発明における電解質(D)を溶解させる溶媒(E)としては、水および以下に記載の有機溶媒が挙げられる。
【0072】
(1)アルコール類
1価アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール、アミノアルコール、フルフリルアルコールなど)、2価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコールなど)、3価アルコール(グリセリンなど)、4価以上のアルコール(ヘキシトールなど)など;
(2)エーテル類
モノエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフランなど)、ジエーテル(エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなど)など;
(3)アミド類
ホルムアミド類(N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなど)、アセトアミド類(N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなど)、プロピオンアミド類(N,N−ジメチルプロピオンアミドなど)、ピロリドン類(N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなど)、ヘキサメチルホスホリルアミドなど;
【0073】
(4)オキサゾリジノン類
N−メチル−2−オキサゾリジノン、3,5−ジメチル−2−オキサゾリジノンなど;
【0074】
(5)ラクトン類
γ−ブチロラクトン(以下、GBLと記す。)、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンなど;
【0075】
(6)ニトリル類
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、ベンゾニトリルなど;
【0076】
(7)カーボネート類
エチレンカーボネート、プロピオンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど;
【0077】
(8)スルホキシド類
ジメチルスルホキシド、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホランなど;
【0078】
(9)その他の有機溶剤
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリドン、芳香族系溶剤(トルエン、キシレンなど)パラフィン系溶剤(ノルマルパラフィン、イソパラフィンなど)など;
【0079】
溶媒(E)のうち、熱に対する安定性の観点から好ましいのは有機溶媒であり、有機溶媒のうち好ましいものは、GBL、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、N−メチル−2−オキサゾリジノン、アセトニトリル、エチレンカーボネート、プロピオンカーボネート、エチレングリコールおよびN,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0080】
本発明の電解質溶液(F)における、電解質(D)の濃度は、電解質(D)の溶解性及び電気電導度の観点から好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは20〜50重量%である。電解質(D)の濃度が10重量%以上であれば電解液の電気電導度が大きくなりやすく、80重量%以下であれば溶媒(E)への溶解性がさらに良好である。
【0081】
電解質溶液(F)の製造方法は特に限定されないが、例えば、溶媒(E)中に、電解質(D)を室温で攪拌しながら徐々に添加して透明で均一になるまで攪拌する方法が挙げられる。
【0082】
本発明の電解液(G)は、電解質溶液(F)に導電性複合微粒子(C)を分散させることで得られる。分散の方法としては、製造スケールにも依るが、例えば、通常の櫂型攪拌羽根を用いて、室温で、容器中で均一に分散するまで攪拌する方法などが挙げられる。強い剪断力がかかる分散機は、導電性複合微粒子(C)の表面が壊れやすいので好ましくはない。
【0083】
電解液(G)中の導電性複合微粒子(C)の含有量は、電解液(G)の電導度の観点、及び導電性複合微粒子(C)の分散性の観点から、好ましくは5〜80重量%、更に好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは20〜60重量%がよい。含有量が5重量%以上であれば電解液(G)の電導度がさらに高くなる傾向にあり、80重量%以下であれば導電性複合微粒子(C)が沈降することなくさらに分散しやすい。
【0084】
本発明の電解液(G)は、必要により、本発明の効果が損なわれない範囲において、他の添加剤(H)を含有していてもよい。
電解液(G)をアルミ電解コンデンサ用電解液として使用する場合、他の添加剤(H)としては、リン酸誘導体(例えば、リン酸、リン酸エステルなど)、ホウ酸誘導体(例えば、ホウ酸、ホウ酸と多糖類〔マンニット、ソルビットなど〕との錯化合物、ホウ酸と多価アルコール〔エチレングリコール、グリセリンなど〕との錯化合物など)、ニトロ化合物(例えば、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール、p−ニトロフェノールなど)などを挙げることができる。
電解液(G)を電気二重層キャパシタ用電解液として使用する場合、他の添加剤(H)としては、リン酸誘導体、ホウ酸誘導体およびニトロ化合物などを挙げることができる。
電解液(G)を色素増感太陽電池用電解液として使用する場合、他の添加剤(H)としては、酸化還元対として、ヨウ素/ヨウ化物イオン、臭素/臭化物イオンなどのペアを挙げることができる。
他の添加剤(H)の添加量は、電解液(G)の重量に基づいて、それぞれ好ましくは0〜20重量%、さらに好ましくは0〜10重量%である。
【0085】
本発明の電解液(G)は、室温で、通常は液状分散体であり、その粘度は25℃で0.3〜30cPである。
【0086】
本発明の電解液(G)は、従来の電解液よりも優れた電気伝導度を示す。従って、各種の電気化学素子用の電解液として利用できる。
【0087】
本発明の電解液(G)を用いて構成された電気化学素子としては、アルミ電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ又は色素増感太陽電池等が挙げられる。
アルミ電解コンデンサは、アルミニウム箔に粗面化のためのエッチング処理及び誘電体皮膜形成のための化成処理を施して得られた陽極化成箔と、対向アルミニウム陰極箔とをセパレータを介して巻き取ることにより形成した巻回型のコンデンサ素子に、電解液(G)を含浸し、封口ゴムで密閉することで製造される。
電気二重層キャパシタは、電極、集電体、セパレータを備えるとともに、電気二重層コンデンサに通常用いられるケース、ガスケット等を任意に備え、電極のうち正極と負極の少なくとも一方は分極性電極であり炭素質物質を主成分とする素子のうち、電極及びセパレータに電解液(G)を含浸することで製造される。
色素増感太陽電池は、酸化チタン電極表面に、色素を吸着させたものを形成したFTOガラス基盤上に、対極として白金電極を重ね、電極間の隙間に、ヨウ素加えた電解液(G)を含浸させ、電解液が漏れないように電極間の隙間をエポキシ樹脂で固めることで製造される。
【0088】
本発明の電気化学素子は、従来の電気化学素子よりも優れた電気伝導度を示す。
また、本発明の電気化学素子は、特許文献2に記載のような素子の電極間で導電性高分子を重合させたりする作業が不要であり、簡単な作業、かつ低コストで製造できる。
【0089】
次に本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
導電性複合微粒子(C)の比重(c)の測定法は、ルシャトリエ比重びん法(JIS R5201)である。
導電性複合微粒子(C)の平均粒子径の測定法は、トルエンを溶媒にしてレーザー散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所(株)製)で測定したものである。
電解質溶液(F)の比重(f)の測定法は、浮きばかり法(JIS K0061)である。
【0090】
実施例1
(1)導電性複合微粒子(C−1)の合成
酸化ケイ素中空微粒子(セノライトM−732C、平均粒子径45μm、比重0.15、巴工業製)1gをアニリン塩酸塩0.2Mの水溶液100gに懸濁させ、開始剤として過硫酸アンモニウム20mmolを加えて、25℃で2時間攪拌することで、微粒子表面上にポリアニリンを酸化重合させた。反応後、表面が被覆された微粒子をろ過で取り出した後、1.2Mの塩酸水溶液で洗浄した。洗浄後、95℃の乾燥機で90分乾燥させることで、ポリアニリンで被覆された中空の導電性複合微粒子(C−1)を得た。
導電性複合微粒子(C−1)の比重および平均粒子径の測定結果を表1に示す。(以下の実施例2以下についても同様に表1に示した。)
(2)電解質溶液(F−1)の合成
ジメチルカーボネート(0.2mol)のメタノール溶液(74%)に2,4−ジメチルイミダゾリン(0.1mol)を滴下して、120℃で15時間攪拌することで、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルカーボネート塩を生成した。フタル酸(0.1mol)を1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムメチルカーボネート塩(0.1mol)溶液に加えることで塩交換反応を行い、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・フタル酸塩溶液を得た。上記溶液を1.0kPa以下の減圧度、110℃で加熱蒸留し、溶媒のメタノールを除去することで、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・フタル酸塩を得た。収率は99%であった。
25gの1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・フタル酸塩を75gのGBLで溶解させることで電解質溶液(F−1)を得た。
電解質溶液(F−1)の25℃における比重の測定結果を表1に示す。(以下の実施例2以下についても同様に表1に示した。)
(3)電解液(G−1)の作製
電解質溶液(F−1)100gに、導電性複合微粒子(C−1)を10g加えて攪拌して分散させることで、電解液(G−1)を作製した。
導電性複合微粒子(C−1)の比重cと、電解質溶液(F−1)の比重fの比(c/f)を表1に示す。(以下の実施例2以下についても同様に表1に示した。)
【0091】
実施例2
(1)導電性複合微粒子(C−2)の合成
酸化チタンナノ微粒子(P−25、平均粒子径21nm、日本アエロジル製)1gをアニリン塩酸塩0.3Mの水溶液100gに懸濁させ、開始剤として過硫酸アンモニウム30mmolを加えて、25℃で2時間攪拌することで、微粒子表面上にポリアニリンを酸化重合させた。反応後、表面が被覆された微粒子をろ過で取り出した後、1.2Mの塩酸水溶液で洗浄した。洗浄後、95℃の乾燥機で90分乾燥させることで、導電性複合微粒子(C−2)を得た。
(2)電解質溶液(F−2)の合成
上記実施例1(2)と同様の手法で、電解質溶液(F−2)を得た。
(3)電解液(G−2)の作製
上記実施例1(3)と同様の手法で、導電性複合微粒子(C−2)を分散させた電解液(G−2)を得た。
【0092】
実施例3
(1)導電性複合微粒子(C−3)の合成
中空のアクリル樹脂微粒子の製造
(1−1)油相の調整
アクリロニトリル80g、ヒドロキシエチルメタクリレート0.8g、エチレングリコールジメタクリレート1.5g、メタクリル酸20g、水40gおよびアゾビスイソブチロニトリル0.5gを混合してホモミキサーを用いて4000rpm×1分の条件で攪拌し水を分散させ、これを油相とする。
(1−2)水相の調整
イオン交換水340gにコロイダルシリカ20重量%水溶液25g、ペンタエリスリトールモノラウレート10重量%水溶液10gおよび塩化ナトリウム110gを記載順に加え、均一に混合してこれを水相とする。
(1−3)懸濁液の調整と懸濁重合
調整した水相と油相を混合し、ホモミキサーで4000rpmにて1分間撹拌し、油相/水相の懸濁液を得る。この懸濁液を60℃にて20時間かけて加熱攪拌し重合を行った。
(1−4)中空樹脂微粒子の精製
反応終了後、得られた球状体の樹脂を濾紙濾過にて水中より取り出し、80℃の循風乾燥機にて10時間乾燥した。本球状体を音波式分級機により解砕して篩い分け、中空のアクリル樹脂微粒子100gを得た。
中空のアクリル樹脂微粒子の体積平均粒径は、トルエンを溶媒にしてレーザー散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所(株)製)で測定し、3.9μmであった。
中空のアクリル樹脂微粒子の真比重は、ルシャトリエ比重びん法(JISR5201)を用いて測定し、0.35であった。
(1−5)導電性複合微粒子(C−3)の作製
中空のアクリル樹脂微粒子1gを、アニリン塩酸塩0.2Mの水溶液100gに懸濁させ、開始剤として過硫酸アンモニウム20mmolを加えて、25℃で2時間攪拌することで、微粒子表面上にポリアニリンを酸化重合させた。反応後、表面が被覆された微粒子をろ過で取り出した後、1.2Mの塩酸水溶液で洗浄した。洗浄後、95℃の乾燥機で90分乾燥させることで、中空の導電性複合微粒子(C−3)を得た。
(2)電解質溶液(F−3)の合成
上記実施例1(2)と同様の手法で、電解質溶液(F−3)を得た。
(3)電解液(G−3)の作製
上記実施例1(3)と同様の手法で、導電性複合微粒子(C−3)を分散させた電解液(G−3)を得た。
【0093】
実施例4
(1)導電性複合微粒子(C−4)の合成
酸化ケイ素中空微粒子(セノライトM−732C、平均粒子径45μm、比重0.15、巴工業製)1gをアニリン塩酸塩0.1Mの水溶液100gに懸濁させ、開始剤として過硫酸アンモニウム10mmolを加えて、25℃で2時間攪拌することで、微粒子表面上にポリアニリンを酸化重合させた。反応後、表面が被覆された微粒子をろ過で取り出した後、1.2Mの塩酸水溶液で洗浄した。洗浄後、95℃の乾燥機で90分乾燥させることで、中空の導電性複合微粒子(C−4)を得た。
(2)電解質溶液(F−4)の合成
1−メチルイミダゾール(0.1mol)のアセトン溶液(70%)に、ヨウ化エチル(0.2mol)を加えて、140℃で3時間反応させることによって、1−メチル−3−エチルイミダゾリウム・ヨウ素塩のアセトン溶液を得た。上記溶液を1.0kPa以下の減圧度、110℃で加熱蒸留し、溶媒のアセトンと未反応のヨウ化エチルを除去することで、1−メチル−3−エチルイミダゾリウム・ヨウ素塩を得た。収率は96%であった。
25gの1−メチル−3−エチルイミダゾリウム・ヨウ素塩を75gのアセトニトリルで溶解させることで電解質溶液(F−4)を得た。
(3)電解液(G−4)の作製
電解質溶液(F−4)100gに、導電性複合微粒子(C−4)を10g加えて攪拌して分散させることで、導電性複合微粒子(C−4)を分散させた電解液(G−4)を作製した。
【0094】
実施例5
(1)導電性複合微粒子(C−5)の合成
酸化チタンナノ微粒子(P−25、平均粒子径21nm、日本アエロジル製)1gをアニリン塩酸塩0.15Mの水溶液100gに懸濁させ、開始剤として過硫酸アンモニウム15mmolを加えて、25℃で2時間攪拌することで、微粒子表面上にポリアニリンを酸化重合させた。反応後、表面が被覆された微粒子をろ過で取り出した後、1.2Mの塩酸水溶液で洗浄した。洗浄後、95℃の乾燥機で90分乾燥させることで、導電性複合微粒子(C−5)を得た。
(2)電解質溶液(F−5)の合成
上記実施例4(2)と同様の手法で、電解質溶液(F−5)を得た。
(3)電解液(G−5)の作製
上記実施例4(3)と同様の手法で、導電性複合微粒子(C−5)を分散させた電解液(G−5)を得た。
【0095】
実施例6
(1)導電性複合微粒子(C−6)の合成
上記実施例3(1−4)と同様の手法で、比重0.35の中空のアクリル樹脂微粒子を得た。
上記中空のアクリル樹脂微粒子1gを、アニリン塩酸塩0.12Mの水溶液100gに懸濁させ、開始剤として過硫酸アンモニウム12mmolを加えて、25℃で2時間攪拌することで、微粒子表面上にポリアニリンを酸化重合させた。反応後、表面が被覆された微粒子をろ過で取り出した後、1.2Mの塩酸水溶液で洗浄した。洗浄後、95℃の乾燥機で90分乾燥させることで、中空の導電性複合微粒子(C−6)を得た。
(2)電解質溶液(F−6)の合成
上記実施例4(2)と同様の手法で、電解質溶液(F−6)を得た。
(3)電解液(G−6)の作製
上記実施例4(3)と同様の手法で、導電性複合微粒子(C−6)を分散させた電解液(G−6)を得た。
【0096】
比較例1
(1)導電性複合微粒子(C−4)の合成
上記実施例4(1)と同様の手法で、導電性複合微粒子(C−4)を得た。
(2)電解質溶液(F−1)の合成
上記実施例1(2)と同様の手法で、電解質溶液(F−1)を得た。
(3)電解液(G’−1)の作製
上記実施例1(3)と同様の手法で、導電性複合微粒子(C−4)を分散させた電解液(G’−1)を得た。
【0097】
比較例2
(1)導電性複合微粒子(C’−1)の合成
酸化ケイ素中空微粒子(セノライトM−732C、平均粒子径45μm、比重0.15、巴工業製)1gをアニリン塩酸塩0.4Mの水溶液100gに懸濁させ、開始剤として過硫酸アンモニウム40mmolを加えて、25℃で2時間攪拌することで、微粒子表面上にポリアニリンを酸化重合させた。反応後、表面が被覆された微粒子をろ過で取り出した後、1.2Mの塩酸水溶液で洗浄した。洗浄後、95℃の乾燥機で90分乾燥させることで、中空の導電性複合微粒子(C’−1)を得た。
(2)電解質溶液(F−1)の合成
上記実施例1(2)と同様の手法で、電解質溶液(F−1)を得た。
(3)電解液(G’−2)の作製
上記実施例1(3)と同様の手法で、導電性複合微粒子(C’−1)を分散させた電解液(G’−2)を得た。
【0098】
比較例3
(1)導電性複合微粒子(C−3)の合成
上記実施例3(1)と同様の手法で、導電性複合微粒子(C−3)を得た。
(2)電解質溶液(F−4)の合成
上記実施例4(2)と同様の手法で、電解質溶液(F−4)を得た。
(3)電解液(G’−3)の作製
上記実施例4(3)と同様の手法で、導電性複合微粒子(C−3)を分散させた電解液(G’3)を得た。
【0099】
比較例4
(1)導電性複合微粒子(C’−2)の合成
酸化ケイ素中空微粒子(セノライトM−732C、平均粒子径45μm、比重0.15、巴工業製)1gをアニリン塩酸塩0.05Mの水溶液100gに懸濁させ、開始剤として過硫酸アンモニウム5mmolを加えて、25℃で2時間攪拌することで、微粒子表面上にポリアニリンを酸化重合させた。反応後、表面が被覆された微粒子をろ過で取り出した後、1.2Mの塩酸水溶液で洗浄した。洗浄後、95℃の乾燥機で90分乾燥させることで、中空の導電性複合微粒子(C’−2)を得た。
(2)電解質溶液(F−4)の合成
上記実施例4(2)と同様の手法で、電解質溶液(F−4)を得た。
(3)電解液(G’−4)の作製
上記実施例4(3)と同様の手法で、導電性複合微粒子(C’−2)を分散させた電解液(G’−4)を得た。
【0100】
以上、実施例1〜6、および比較例1〜4で得られた電解液について、以下の方法で測定した電導度を表1に示す。
<電導度測定>
FREQUENCY RESPONSE ANALYZER(Solartron1255B)とELECTROCHEMICAL INTERFACE(Solartron1287)を用い、交流インピーダンス法で測定した。
【0101】
【表1】

【0102】
<電気化学素子の作製>
アルミ電解コンデンサ
実施例7
アルミニウム箔に粗面化のためのエッチング処理及び誘電体皮膜形成のための化成処理を施して得られた陽極化成箔と、対向アルミニウム陰極箔とをセパレータを介して巻き取ることにより形成した巻回型のコンデンサ素子に、実施例1の電解液(G−1)を含浸して面実装タイプのアルミ電解コンデンサ(定格電圧10V−静電容量470μF、サイズ;φ10mm・L10.5mm)を作製した。封口ゴムには、過酸化物加硫のブチルゴムを使用した。
このコンデンサのESR(等価直列抵抗)を測定した結果、11.2mΩであった。
<ESRの測定方法>
HEWLETT PACKARD製の「PRECISION LCR METER 4284A」で測定し、測定回路は交流ブリッジ法を用いた。また、測定条件は、周波数100kH・電圧0.5Vrmsである。
【0103】
実施例8
実施例1の電解液の代わりに、実施例2の電解液(G−2)を用いた以外は、上記実施例7と同様の手法で、アルミ電解コンデンサを作製した。
このコンデンサのESRを測定した結果、12.8mΩであった。
【0104】
実施例9
実施例1の電解液の代わりに、実施例3の電解液(G−3)を用いた以外は、上記実施例7と同様の手法で、アルミ電解コンデンサを作成した。
このコンデンサのESRを測定した結果、10.7mΩであった。
【0105】
比較例5
実施例1の電解液の代わりに、比較例1の電解液(G’−1)を用いた以外は、上記実施例7と同様の手法で、アルミ電解コンデンサを作成した。
このコンデンサのESRを測定した結果、69.3mΩであった。
【0106】
比較例6
実施例1の電解液の代わりに、比較例2の電解液(G’−2)を用いた以外は、上記実施例7と同様の手法で、アルミ電解コンデンサを作成した。
このコンデンサのESRを測定した結果、65.8mΩであった。
【0107】
色素増感太陽電池
実施例10
20μm厚のチタニアペースト(Ti−Nanoxide T、Soralonix社製)膜に、ルテニウム色素(RuL2(NCS)2:L=4,4’−dicarboxy−2,2’−dipyridine、Soralonix社製)を吸着させたものを形成したFTOガラス(旭硝子ファブリテック社製)基盤上に、対極として白金電極を重ねた。電極間の隙間に、ヨウ素0.15mol/Lを加えた実施例4の電解液(G−4)を含浸させ、電解液が漏れないように電極間の隙間をエポキシ樹脂で固めることで色素増感太陽電池を作製した。この電池の変換効率を測定した結果、変換効率は8.4%であった。
変換効率の測定方法は、上記で作製した太陽電池セルに、ソーラシミュレータ(ESS−150、英弘精機)で擬似太陽光(AM1.5、100mW/cm2)を照射し、I−Vカープトレーサー(MP−160、英弘精機)で光電流密度と電圧の特性曲線を測定することにより行った。(以下、同様の測定法)
【0108】
実施例11
電解液として実施例5の電解液(G−5)を使用したこと以外は実施例10と同様にして色素増感太陽電池を作製した。変換効率は8.1%であった。
【0109】
実施例12
電解液として実施例6の電解液(G−6)を使用したこと以外は実施例10と同様にして色素増感太陽電池を作製した。変換効率は8.7%であった。
【0110】
比較例7
電解液として比較例3の電解液(G’−3)を使用したこと以外は実施例10と同様にして色素増感太陽電池を作成した。変換効率は5.2%であった。
【0111】
比較例8
電解液として比較例4の電解液(G’−4)を使用したこと以外は実施例10と同様にして色素増感太陽電池を作成した。変換効率は5.5%であった。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明によれば、導電性複合微粒子を電解液中に分散させることで、デバイス素子に導電性高分子を重合させる煩雑さを伴わずに、高い電気電導度を発現することができる。
したがって、本発明の電解液は、アルミ電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、色素増感太陽電池等のエネルギーデバイスの高性能化のために利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子(A)の表面が導電性高分子(B)で被覆されている導電性複合微粒子(C)が、電解質(D)を溶媒(E)中に溶解した電解質溶液(F)中に分散されており、導電性複合微粒子(C)の比重cと、電解質溶液(F)の比重fの比(c/f)が、0.80〜1.20であることを特徴とする電解液(G)。
【請求項2】
微粒子(A)が中空微粒子である請求項1に記載の電解液。
【請求項3】
微粒子(A)が酸化チタン及び酸化ケイ素のうちの少なくとも一種である請求項1又は2に記載の電解液。
【請求項4】
微粒子(A)が有機高分子である請求項1又は2に記載の電解液。
【請求項5】
溶媒(E)が有機溶媒である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解液。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解液を用いて構成された電気化学素子。

【公開番号】特開2008−34257(P2008−34257A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206789(P2006−206789)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】