説明

電解装置用コンタクトストリップの製造方法

特に電解装置(膜セル)用のコンタクトストリップの製造方法において、その目的は、このようなコンタクトストリップを高い電気通率にて製造するための、低コストであるだけでなく極めて効率的である方法をもたらすことを可能にする解決策を提供することである。この目的は、ロール接合法を使用して、銅ストリップをチタンストリップに貼り付けることによって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に電解装置(膜セル)用のコンタクトストリップを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような電解セルは、例えば国際公開番号WO98/15675A1に開示されている。コンタクトストリップは、隣接した電解装置間の電気接触を確立する(establish)
のに特に必要とされる。このようなコンタクトストリップを製造するには、そしてコンタクトストリップをセル壁に取り付けるには種々の方法を利用することができる。
【0003】
出願人の国際公開番号WO01/85388A1も、このようなコンタクトストリップの製造を開示している。このケースでは、良好な導電性を有する材料のコンタクトストリップをチタンシートストリップに溶着するのにレーザー加圧溶着法が使用されている。
【0004】
シートストリップを異種材料の物品に接合する場合、周知のやり方では、爆着法(explosion-bonding methods)が使用される。爆着法は、2種の材料間にグリッドタイプの金
属接合が得られるよう、爆発性物質に点火することによってキャリヤーベース材料に高速で接合される材料を使用する。しかしながら、この方法は比較的複雑で且つコストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開番号WO98/15675A1
【特許文献2】国際公開番号WO01/85388A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、こうしたコンタクトストリップの製造を高い電気効率にて可能にする、低コストで且つ極めて効率的な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、上記したタイプの方法を実施することによって、そしてこれにより、ロール接合法を使用して銅ストリップをチタンストリップに貼り付けることによって達成される。
【0008】
驚くべきことに、本発明にて推奨の方法を使用することで、チタンストリップの一方の側を銅ストリップの他方の側に貼り付けることが容易に実現可能となり、ローラーによって金属の接触面に及ぼされる高い圧力により酸化物層が破壊もしくは除去され、導電性が改良される、ということが見出された。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明に従って製造したコンタクトストリップの単純化した断面図である。
【図2】図2は、本発明に従って製造したコンタクトストリップの単純化した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施態様がサブクレーム中に記載されており、このケースにおいて達成可能な利点は、ロール接合法の最初の工程における冷間成形率が60〜80%であるという点である。
【0011】
本発明の方法のさらなる実施態様は、未処理のチタンストリップと清浄Cuストリップ(特に清浄SeCuストリップ)との組み合わせ物をロール接合法において使用すること
を提供する。この目的に対しては、一般的な半仕上がり品であるチタンストリップ〔例えば、Messers.Krupp社製の“TIKRUTAN”(登録商標)〕が適している。
【0012】
チタンストリップ及び/又は銅ストリップをマシンに送る前に、チタンストリップ及び/又は銅ストリップを接合側に関してブラシ掛けする、という仕方でさらなる実施態様を行うことができる。本発明のさらなる実施態様は、圧延操作に対して縦方向にて個々のストリップをブラシ掛けすることを提供する。
【0013】
本発明ではさらに、ロール接合法を実行するときに、長さxymmで幅200mmにつき780トンのロール圧力が加えられる。
【0014】
さらに、銅ストリップはニッケルとチタンとの間の中間層として作用することができ、これにより本発明に従って3種の金属からなるストリップを作製できる(すなわち、ニッケルストリップが、前記ロール接合法によって銅ストリップに貼り付けられ、この銅ストリップがさらに、3つのストリップの同時接合を可能にする)、ということが見出された。
【0015】
本発明のさらなる特徴、特性、および利点を、以下に図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1と図2は、本発明に従って製造したコンタクトストリップの単純化した断面図である。
【0017】
図1の場合においては、コンタクトストリップ1が、チタンストリップ2と銅ストリップ3(ロール接合法によってチタンストリップ2に貼り付けられている)からなる。
【0018】
2つのコンタクトウェブ3aと3bを作製するために、例えば機械加工によって、特に銅ストリップの中央部分を、縦方向の溝4が作製されるような仕方で取り除くことができる。
【0019】
図2は、コンタクトストリップ1aが、銅ストリップ3を、チタンストリップ2とニッケルストリップ5との間の中間層として備えるものとして供給できることを示している(ニッケルストリップは、構造物に追加的に貼り付けられる)。このケースでは、縦方向の中央溝4aも設けられる。
【0020】
一般的なコンタクトストリップの製造について、下記にてより詳細に説明する。
【実施例】
【0021】
材料: TIKRUTAN RT12チタンストリップ、寸法200×3.5mm;清浄化した(cleaned)銅ストリップSeCu、寸法200×2.88mm、40%の成形率
(forming rate)にて予備圧延。得られたシート厚さは、マシン供給側が6.38mmであった。チタン材料と銅材料をマシンに送る前に、チタン材料と銅材料を、圧延操作に対して縦方向にて接合側に関してブラシ掛けした。
【0022】
マシンパラメーター: 前進速度が3m/分、ロール圧力が約780トン。
【0023】
2.05mmのロール接合クラッド構造物が得られ、冷間成形率(cold forming rate)
は約68%であった。1.60mmの想定(envisaged)バイメタル強度を、1回のパスに
て最終仕上げすることができた。引き続き7.0mm幅にてカットして曲げ試験を行った。曲げ試験において、複合金属構造物であるロール接合ストリップの離層は全く起こらな
かった。
【0024】
ねじり試験(前後に対するねじり比1:8x、一方向に対するねじり比2:8x)において、構成成分の視認可能な離層は全く起こらなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール接合によって銅ストリップをチタンストリップに貼り付けることを含む、膜電解装置用コンタクトストリップの製造方法。
【請求項2】
前記ロール接合法の最初の工程において60〜80%の冷間成形率が達成される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記チタンストリップが未処理のチタンストリップであって、前記銅ストリップが清浄化された銅ストリップである、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記チタンストリップ及び/又は前記銅ストリップを前記ロール接合にて処理する前に、前記チタンストリップ及び/又は前記銅ストリップの接合側にブラシ掛けを施す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ブラシ掛けが、圧延操作に対して縦方向にて行われる、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ロール接合が、長さxymmで幅200mmにつき780トンのロール圧力を加えることによって達成される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
ニッケルストリップが、中間層としての前記銅ストリップにロール接合される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−517780(P2010−517780A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547689(P2009−547689)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051158
【国際公開番号】WO2008/092914
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(502043101)ウデノラ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (14)
【Fターム(参考)】