説明

電話機システム、ボイスメールの格納方法、電話機システムの主装置

【課題】移動端末キャリア等の留守番電話サービスを利用せずにメッセージ等を残せる電話機システム、ボイスメールの格納方法、電話機システムの主装置を提供すること
【解決手段】本発明にかかる電話機システムは、主装置1と、主装置1に内線回線3を介して接続される第1の電話2と、主装置1に公衆回線4を介して接続される第2の電話6と、第1の電話2の第2の電話6宛の通信情報が転送され第1の電話2のユーザーが第2の電話6のユーザー宛に残したボイスメールが格納されるボイスメール部7と、を備えている。主装置1は、第2の電話6が第1の電話2からの発信に対して応答不可能であると判定すると、第1の電話2の第2の電話6への接続処理を中止し、第1の電話2のユーザーが第2の電話6のユーザー宛に残したボイスメールをボイスメール部7に格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電話機システム、ボイスメールの格納方法、電話機システムの主装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等のユーザーが圏外や通話中等の事情で着信に応答を返せない場合のサービスに関する技術が、これまでに進んできた。例えば、特許文献1においては、着信を受けた携帯電話のユーザーが応答できないとき、発信側の無線基地局で代理応答を行う技術が開示されている。
【0003】
また、電話機システムにおいて、内線として収容された無線端末等が内線で圏外にある場合に、無線端末等にかかる着信を公衆網に転送を行う仕組みや、自システム内のボイスメールボックスに転送する仕組み等の技術もある。特許文献2においては、内線電話機に外線電話機のユーザーからの着信があったとき、内線電話機の電話交換機にボイスメールを格納し、内線電話機のユーザーが後でボイスメールを確認する技術が開示されている。
【0004】
ところで、企業においては通信費のコスト削減を図る動きが出ている。最近では、FMC(Fixed Mobile Convergence)を導入する企業が増加してきている。これは携帯電話を構内では固定電話の子機として使えるといった、移動体通信と有線通信を融合した通信サービスである。このようなサービスを利用することで、企業はコスト削減に力を入れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−069558号公報
【特許文献2】特許第3947874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば構外にある携帯電話が公衆網で圏外等の場合に、内線電話機のユーザーが携帯電話のユーザーにメッセージ等を残す方法としては、携帯キャリアが提供する留守番電話サービス等を利用することが多い。その場合、発信元である企業側に通話料金が発生し、それによるコストが企業のネックとなる。FMC等のサービスでも、外線において携帯電話を固定電話の子機として扱うことができない場合には、同様のコストが生じてしまう。そのような場合に、無駄に通話料を発生させない仕組みが必要であった。
【0007】
本発明はこの課題を解決するものであり、移動端末キャリア等の留守番電話サービスを利用せずにメッセージ等を残せる電話機システム、ボイスメールの格納方法、電話機システムの主装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる電話機システムは、主装置と、前記主装置に内線回線を介して接続される第1の電話と、前記主装置に公衆回線を介して接続される第2の電話と、ボイスメール部と、を備えている。前記ボイスメール部には、前記第1の電話の前記第2の電話宛の通信情報が転送され、前記第1の電話のユーザーが前記第2の電話のユーザー宛に残したボイスメールが格納される。前記主装置は、前記第2の電話が前記第1の電話からの発信に対して応答不可能であると判定すると、前記第1の電話の前記第2の電話への接続処理を中止し、前記第1の電話のユーザーが前記第2の電話のユーザー宛に残したボイスメールを前記ボイスメール部に格納する。
【0009】
また、本発明にかかるボイスメールの格納方法は、内線電話である第1の電話から外線電話である第2の電話に発信を行うステップと、前記発信に対して前記第2の電話が応答可能か否かの判定を行うステップと、前記発信に対して前記第2の電話が応答不可能であると判定すると前記第1の電話の前記第2の電話への接続処理を中止するステップと、前記第1の電話の前記第2の電話宛の通信情報を転送して前記第1の電話のユーザーが前記第2の電話のユーザー宛に残したボイスメールをボイスメール部に格納するステップと、を備える。
【0010】
また、本発明にかかる電話機システムの主装置は、主装置と、前記主装置に内線回線を介して接続される第1の電話と、前記主装置に公衆回線を介して接続される第2の電話と、前記第1の電話の前記第2の電話宛の通信情報が転送され前記第1の電話のユーザーが前記第2の電話宛に残したボイスメールが格納されるボイスメール部と、を備える電話システムに用いる主装置である。主装置は、前記第2の電話が前記第1の電話からの発信に対して応答不可能であると判定すると、前記第1の電話の前記第2の電話への接続処理を中止し、前記第1の電話のユーザーが前記第2の電話のユーザー宛に残したボイスメールを前記ボイスメール部に格納する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、移動端末キャリア等の留守番電話サービスを利用せずにメッセージ等を残せる電話機システム、ボイスメールの格納方法、電話機システムの主装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1、2および3にかかる全体の構成図である。
【図2】実施の形態1にかかる主装置の詳細図である。
【図3】実施の形態2にかかる主装置の詳細図である。
【図4】実施の形態2にかかるシーケンス図である。
【図5】実施の形態2にかかる、電話番号の記憶情報に関する形式の図である。
【図6】実施の形態2における、呼制御部の処理を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態2にかかる、Q931情報要素の形式図である。
【図8】実施の形態2にかかる、転送設定に関する情報を示す説明図である。
【図9】実施の形態3にかかる、主装置の詳細図である。
【図10】実施の形態3にかかる、転送設定の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本発明の実施の形態1にかかる全体の構成図は図1になる。主装置1には、第1の電話2が内線回線3を介して接続されている。主装置1は、第1の電話2を公衆回線に接続する中継装置であり、例えばPBX(Private Branch eXchange)やボタン電話になる。第1の電話2は、例えばPBX等に接続された固定電話、PHS(Personal Handy-phone System)等の内線電話になる。第1の電話2は、一般的な電話と同様、送受話部、ダイヤル部、回路部等を少なくとも備え、第2の電話6との通信情報の送受信が可能であれば構わない。また、主装置1や第1の電話2は1台だけでなく、複数存在しても構わない。内線回線3は、主装置1と第1の電話2とを接続できるものならば、任意の有線もしくは無線の回線を用いて差し支えない。
【0014】
また主装置1は、公衆回線4およびキャリア網5を介して、第2の電話6に通信情報の送信、および第2の電話6からの通信情報の受信が可能である。ここで公衆回線4は、アナログ回線、ISDN(Integrated Services Digital Network)回線、IP(Internet Protocol)回線などである。キャリア網5は、例えば第2の電話6のキャリアが持っている通信網である。第2の電話6は例えば移動端末であり、携帯電話やPHSが例として挙げられる。但し、第2の電話6は、一般的な固定電話でもよい。また、第2の電話6は1台だけでなく、複数存在しても構わない。
【0015】
主装置1の詳細は、図2を用いて説明する。図2の通り、主装置1はボイスメール部7、呼制御部10、外線I/F部11、内線I/F部12を備えている。主装置1は、第1の電話2から第2の電話6宛の通信情報を、ボイスメール部7に転送する。ボイスメール部7は、例えば予め登録された第2の電話6毎にボイスメールボックスが割り当てられている。これらのボイスメールボックス毎に、聞き取り用電話番号が与えられている。これにより、転送された通信情報に含まれるユーザー情報である、第1の電話2のユーザーが所望の第2の電話6のユーザー宛に残したボイスメールのメッセージを、所定のメールボックスに格納することができる。
【0016】
呼制御部10は、第1の電話2と第2の電話6との呼制御を行う。つまり、呼制御部10は、第1の電話2またはキャリア網5からの通信情報に含まれる制御情報(発呼情報や応答情報など)を検知でき、それに応じた処理を行う。外線I/F部11は、公衆回線4と主装置1とを接続するインターフェース部である。内線I/F部分12は、内線回線3と主装置1とを接続するインターフェース部である。
【0017】
なお、ボイスメール部7は、主装置1の内部にある構成として図2では描かれているが、主装置1の外部にある構成にしてもよい。また、図1では1つの転送先(ボイスメール部7)しか記していないが、転送先が複数ある電話機システムの構成でも差し支えない。
【0018】
いま、第1の電話2から主装置1を経由して、第2の電話6に対して電話を掛ける場合を考える。このとき、呼制御部10は、第1の電話2の発呼情報を検知する。呼制御部10は、発呼情報に応じて、第2の電話6への接続を試みるべく、キャリア網5との接続を成立させる。以後、呼制御部10は、キャリア網5からの応答に応じて、第2の電話6が発信に対して応答可能な状態にあるか、不可能な状態にあるかを判定する。第2の電話6が応答可能な状態にあると判定した場合、呼制御部10は第2の電話6に対する呼出処理を行う。
【0019】
第2の電話6が応答不可能な状態にあると判定した場合、呼制御部10は第1の電話2からの通信情報をボイスメール部7に転送すると共に、第2の電話6への接続処理を中止する。つまり、呼制御部10は、キャリア網5との接続を切断する。このとき、第2の電話6への接続処理を中止する処理は、第2の電話6の留守番電話サービスに第2の電話6宛の通信情報が転送されないうちに、速やかに行う必要がある。これらの処理方法の具体的な例は、以下の実施の形態にて説明する。
【0020】
呼制御部10は、第1の電話2のユーザーにボイスメールのメッセージの入力を促すために、例えば音声ガイダンスに関する情報を第1の電話2に出力する。第1の電話2は、当該音声ガイダンスを出力する。第1の電話2のユーザーは、当該音声ガイダンスに倣って、第1の電話2からボイスメールのメッセージを入力する。第1の電話2は、入力されたボイスメールのメッセージに関する情報を主装置1の呼制御部10に出力する。呼制御部10は、ボイスメールのメッセージに関する情報をボイスメール部7のボイスメールボックスに格納する。これにより、ボイスメール部7のボイスメールボックスに、第1の電話2のユーザーが第2の電話6のユーザー宛に残したメッセージを格納することができる。
【0021】
第2の電話6のユーザーが、ボイスメールボックスに格納されたメッセージを聞き取る際には、第2の電話6毎に与えられたボイスメールボックスの読み取り用電話番号を第2の電話6を介して入力する。これにより、第2の電話6は、主装置1の呼制御部10を介して、ボイスメール部7の所定のボイスメールボックスに接続され、当該ボイスメールボックスに格納されたメッセージを聞き取ることができる。但し、本実施の形態1では、第2の電話6のユーザーが当該第2の電話6を用いて、ボイスメールボックスに格納されたメッセージを聞き取ったが、聞き取る電話は特に限定されない。
【0022】
以上から、第1の電話のユーザーは第2の電話6の留守番電話サービスを受けることなく、ボイスメール部7にメッセージを残すことができる。つまり、本発明の実施の形態1から、移動端末キャリア等の留守番電話サービスを利用せずにメッセージ等を残せる電話機システム、ボイスメールの格納方法および主装置を提供することができる。これにより、留守番電話サービスを使用することで生じていたコストの削減を図ることができる。
【0023】
実施の形態2
次に本発明の実施の形態2について説明する。但し、実施の形態1と重複する説明は省略する。
【0024】
実施の形態2にかかる全体の構成図は図1になる。本実施の形態2においては、主装置1はPBX、第1の電話2は構内の内線電話機、公衆回線4はISDN回線、キャリア網5は携帯キャリア、第2の電話6は携帯電話機とする。実施の形態2の説明においては、主装置1は1台のみあるとして説明する。第1の電話2は、内線電話機としてN台(Nは任意の数字)の電話が備えられ、第2の電話6は外線電話機としてN台の電話が備えられているとする。もちろん、第1の電話2の台数と第2の電話6の台数とが異なっていても構わない。また、第2の電話6は、携帯キャリアの留守番電話サービスに加入しているとする。つまり、電話の着信先である第2の電話6が圏外や話中等の場合、キャリア網5は第2の電話6宛の通信情報を留守番電話サービスに転送することを行う。なお、実施の形態2におけるISDNの通信規格として、TTC標準JT−Q931で提唱される規格Q931を用いている。
【0025】
主装置1の詳細図は、図3で示す。主装置1は図2と同様に、ボイスメール部7、呼制御部10、外線I/F部11、内線I/F部分12を備え、更に記憶部13を備えている。ここで、呼制御部10は、ワークメモリ(図示略)を備えており、第1の電話2の発信に関する情報を保存することができる。この第1の電話2の発信に関する情報については、後述する。記憶部13は、第1の電話2から第2の電話6の発信において第2の電話6が圏外もしくは話中などの場合に、第2の電話6宛の通信情報をボイスメール部7に転送するか否かの設定を記憶する部分である。この設定の詳細に関しても、後述する。
【0026】
ここから、実施の形態2の電話機システムの具体的な動作について説明する。図3において、内線電話機である第1の電話2が主装置1、公衆回線4を経由して圏外時の第2の電話6に発信し、第2の電話6が応答しない場合を考える。その場合に呼制御部10は、第2の電話6が応答不可能な状態にあると判定する処理と、第2の電話6宛の通信情報をボイスメール部7へ転送する処理と、第1の電話2から第2の電話6への接続を切断する処理と、を実施の形態1と同様に行う。
【0027】
これらの処理を、図4のシーケンス図で具体的に説明する。まず、第1の電話2のユーザーが、第2の電話6の電話番号をダイヤルし、発信操作を行う。これにより、第1の電話2は呼制御部10に発呼情報(S101)を出力する。発呼情報が入力された呼制御部10は、着信先の電話番号を呼制御部10内のワークメモリに一時的に記憶する。図5は、その際にワークメモリに記憶される、着信先の電話番号の記憶情報40を示したものである。これは1〜N番までの内線の番号401に対して、各々の着信先である第2の電話6の電話番号402を1つ保持できる仕組みになっている。なお、本実施の形態2においては、第1の電話2が内線1番から第2の電話宛(電話番号は09012341111)に通信情報が送信されるものとする。電話番号の記憶情報40が保存される場所は呼制御部10内のワークメモリとしたが、記憶部13としても構わない。
【0028】
呼制御部10は、規格Q931に準拠した呼設定(SETUP)のメッセージ(情報)を公衆回線4に送信する(図4のS102)。このとき、呼設定と、電話番号の記憶情報40のワークメモリへの記憶処理は、呼設定が先でもよいし、記憶処理が先でもよい。また、呼設定とワークメモリへの記憶処理を同時に呼制御部10が行ってもよい。呼設定の後、呼制御部10は公衆回線4を経由して、キャリア網5より呼設定受付(CALL PROCEEDING)のメッセージを受信する(S103)。ここで、第2の電話6から応答がある場合には、呼設定受付の後、公衆回線4を経由してキャリア網5から、応答のメッセージが呼制御部10に送信される。呼制御部10は、当該応答のメッセージを検知し、第1の電話2と第2の電話6との接続を成立させる。
【0029】
第2の電話6が圏外、話中等であり当該第2の電話6からの応答がない場合には、呼制御部10はキャリア網5から切断(DISCONNECT)のメッセージを受信する(S104)。第2の電話6との切断のメッセージを受信した場合に呼制御部10が行う処理を、図6〜図8を用いて説明する。なお、呼設定受付および切断のメッセージも、ここでは規格Q931に準拠した形式とする。
【0030】
図6は、主装置1が切断のメッセージを受信した場合に、呼制御部10が行う処理のフローチャートである。以下、呼制御部10の処理について、図6を用いて説明する。まず、キャリア網5からのメッセージを、外線I/F部11を経由して呼制御部10が受信する(S201、図4のS104)。呼制御部10は、受信したメッセージが切断のメッセージであるか否かを、そのメッセージの内容から確認する(S202)。ここでは、呼制御部10は、メッセージの規格であるQ931の情報要素を用いて、メッセージの内容を確認する。本実施の形態2では、Q931の情報要素50は図7のような形式であり、要素501〜510で構成されている。要素501はプロトコル識別子、要素502は呼番号長、要素503は呼番号、要素504はメッセージ種別、要素505は経過識別子である。また、要素506は表示、要素507はシグナル、要素508は固定シフト、要素509は料金通知、要素510は汎用通知である。ここでは、受信したメッセージをS202で呼制御部10が識別するために、要素504であるメッセージ種別を用いる。メッセージ種別から、受信したメッセージが切断のメッセージでないと呼制御部10が判定すれば、呼制御部10は処理を終了する。例えば、第2の電話6の呼出が可能な状態であれば、呼設定受付(図4のS103)のメッセージの後、呼出(ALERTING)のメッセージがキャリア網5から呼制御部10に通知される。その場合には、呼制御部10は第2の電話2が呼出可能な状態にあると見なし、図6の処理を終了する。このとき、第1の電話2は、リングバックトーンを聴取して呼出状態となる。
【0031】
キャリア網5から受信したメッセージが切断のメッセージであると呼制御部10が判定すれば、呼制御部10は次の処理を行う。これは、呼出のメッセージを、切断のメッセージの受信前に呼制御部10が受信しているか否かを判定する処理になる(S203)。なお、呼出のメッセージも規格Q931に準拠した形式とする。
【0032】
もし、呼出のメッセージを受信していると呼制御部10がS203で判定した場合は、第2の電話6は圏内にあると呼制御部10は判定する。ここで、呼制御部10の図6での処理は終了となる。つまり、第2の電話6のユーザーが何らかの理由で呼出に応答しなかった場合であり、例えば第2の電話6が備える伝言サービスに第1の電話2のユーザーはボイスメールを残すことができる状態となる。
【0033】
S203にて、呼出のメッセージを受信せずに切断のメッセージを受信したと呼制御部10が判定した場合は、S201で受信したメッセージ中に経過識別子505が存在するか否かを呼制御部10は確認する(S204)。経過識別子505は、呼の生存している間に生じたイベントを通知するため、規格Q931にて使用される。経過識別子505が存在しなければ、呼制御部10は図6での処理を終了する。経過識別子505が存在すれば、第2の電話6が圏外等の状態であると呼制御部10は判定し、第2の電話6が転送設定されているか否かを参照する(S205、図4のS105)。
【0034】
ここで転送設定の状態を、図8を用いて説明する。図8の転送設定に関する情報60は、第2の電話6の番号1〜Nまでのテーブル601の各々において、第2の電話6毎の電話番号602のボイスメール転送設定の有無603の情報を示している。テーブル601は第2の電話6の台数に応じたものであり、第2の電話6の台数に応じて変更が可能である。テーブル601毎に、予め第2の電話6毎の電話番号602とボイスメール転送設定の有無603とを設定することができる。この転送設定に関する情報60は、記憶部13に保持されている。
【0035】
以上で説明した転送設定に関する情報60は、S205(S105、S106)において呼制御部10が記憶部13に対し出力要求を行い、記憶部13が当該情報60を出力することで、呼制御部10が参照する。ここで呼制御部10は、図5に示した着信先の電話番号の記憶情報40と、転送設定に関する情報60と、を照合することで、現在の着信先である第2の電話6が転送設定されているか否かを判定する。現在の着信先である第2の電話6が転送設定されているならば、呼制御部10はボイスメール部7へ、第2の電話宛の通信情報を転送する(S107、S206)。本実施の形態2の場合、第1の電話2の内線1番の着信先の番号09012341111は、情報60でボイスメール転送設定がなされていることが図8から確認できる。ここから、発信元の第1の電話2の内線1番とボイスメール部7とが接続され(S108)、第1の電話2の内線1番のユーザーが第2の電話6のユーザー宛に残したメッセージに関する情報がボイスメール部7に格納される。これにより、第2の電話6のユーザー宛のメッセージを、第1の電話2のユーザーがボイスメール部7に残すことができる。また、呼制御部10は公衆回線4に対して解放(RELEASE)のメッセージの送信を行い、回線を解放(即ち空き状態)とする(S109)。なお、呼制御部10が行うボイスメールへの転送指示と解放は、同時もしくは略同時に行う。但し解放は、第1の電話2が第2の電話6の留守番電話サービスに接続する前に、速やかに行う必要がある。また、もしボイスメール転送設定がされていない場合には、呼制御部10はボイスメール部7への転送を行わず、公衆回線4への解放のメッセージの送信のみを行う。この解放のメッセージも、規格Q931に準拠したものになる。
【0036】
以上のようにして、呼制御部10は第2の電話6の留守番電話サービスを利用することなく、第1の電話2から第2の電話6宛の通信をボイスメール部7に転送させることができる。この格納されたボイスメールを聞くには、第2の電話6のユーザーが当該第2の電話6用のボイスメールボックスに与えられた読み取り用電話番号を入力し、主装置1の呼制御部10を介して、第2の電話6とボイスメール部7のボイスメールボックスとの接続を成立させる。但し、第2の電話6のユーザーは、他の電話から確認の電話をしてもよい。当該ボイスメールボックスは第2の電話6からの接続に応じて、第2の電話6のユーザー宛のボイスメールが格納されているか否か検索する。もしボイスメールがあれば、ボイスメールボックスは、呼制御部10を介して、第2の電話6に当該ボイスメールのメッセージに関する情報を出力する。ボイスメールがなければ、ボイスメールボックスは、呼制御部10を介して、第2の電話6にボイスメールがない旨に関する情報を出力する。第2の電話6は、ボイスメールがない旨のメッセージを出力する。
【0037】
ここでボイスメールの有無の確認を行う場合に、パスワード入力等のセキュリティチェックを呼制御部10が行うようにしてもよい。また、予めメッセージの聴取が可能な電話番号を記憶部13に登録しておき、当該電話番号から主装置1に着信があった場合のみ、ボイスメールを送信するような呼制御部10の処理方法も考えられる。または、第2の電話6に着信もしくはメールで、ボイスメールがあることを通知してもよい。この場合、第2の電話6がメール機能を有することが必要になる。これらの処理は、呼制御部10が行ってもよいし、ボイスメール部7が行ってもよい。第2の電話6のユーザーが第2の電話6以外の別の端末を持っている場合は、その端末にこれらの連絡を入れてもよい。
【0038】
まとめると、実施の形態2は、公衆網にある携帯電話機が内線電話機からの発信の際に圏外等の状態にある場合に、携帯キャリアの留守番電話サービスを使わず、当該発信をボイスメールに転送する電話機システムである。つまり、本発明の実施の形態2から、移動端末キャリア等の留守番電話サービスを利用せずにメッセージ等を残せる電話機システム、ボイスメールの格納方法および主装置を提供することができる。なお、主装置1等に接続することで、携帯電話機のユーザーはボイスメールのメッセージを聴取可能とすることができる。また、携帯キャリアの留守番電話サービスを使わないことで、録音サービスに際して発信元の通話料金が加算されない効果が得られる。
【0039】
実施の形態2では、ISDN回線におけるQ931の規格を例として述べたが、他の規格に準拠した方法で呼制御部10での判定を行ってもよい。また、Q931の規格の中のメッセージ種別503や経過識別子504といった要素を用いて、呼制御部10が転送を行う判定のプロセスを述べたが、それ以外でも判定に適する構成要素があれば、それを用いても差し支えない。
【0040】
また、実施の形態2では、公衆回線4がISDN回線の場合を取り上げて電話機システムの具体的な動作を記したが、公衆回線4がSIP(Session Initiation Protocol)プロトコルを利用したIP回線の場合でも同様の処理が実現可能である。つまり、Q931の規格の代わりに、SIPの規格を用いたメッセージで、呼制御部10は実施の形態2と同様の判定を行えばよい。SIPプロトコルでなく、他のH.323プロトコル等でも、実施の形態に記したような本発明の実施は可能である。規格の種類は異なっても、通信に関わる処理は類似の内容を行うからである。
【0041】
実施の形態3
公衆回線4がアナログ回線の場合にも、本発明を実施することができる。その場合の実施の形態を実施の形態3として、図1、図9および図10を用いて以下で説明を行う。実施の形態3における電話機システム全体の構成は図1の通りであり、実施の形態1、2で述べたものと同様である。図9で表される主装置1は、図3の構成にタイマー14を新たに備えたものになる。ここで、第1の電話2から第2の電話6に発信を行う場合を想定する。実施の形態2で述べた通り、発信の際に、呼制御部10は着信先の電話番号を呼制御部10内のワークメモリもしくは記憶部13に記憶する(図5を参照)。そして、呼制御部10はアナログ回線である公衆回線4からの極性反転の有無および記憶部13の情報から、第2の電話6が応答可能な状態にあるか否かを判定する。記憶部13に格納されている情報については、以下で詳しく述べる。
【0042】
具体的な判定のプロセスは、次のようになる。まず、記憶部13においては、図10に示すような、第2の電話6毎の応答可否判定時間(本実施の形態では圏外判定時間)の情報が予め記憶されている。この圏外判定時間は、第2の電話6毎が圏外にあると判定される時間である。具体的には、第2の電話6宛の通信情報が留守番電話サービスに転送されるまでに経過する時間といえる。これは圏外でなく、第2の電話6が通話中であることを判定する時間といった設定でも差し支えない。
【0043】
第1の電話2から第2の電話6宛の制御情報が主装置1の呼制御部10で受信されると、呼制御部10はタイマー14を起動させ、呼制御部10が制御情報を受信した時からの経過時間を計測する。第2の電話6からの応答を、設定された圏外判定時間と略同一の時間内に呼制御部10が検知した場合は、呼制御部10は第2の電話6が応答可能な状態であると判定する。応答を検知する方法は、第2の電話6の応答に伴う極性反転を、主装置1の呼制御部10が検知することである。なお、一般に、「あなたのおかけになった電話番号は圏外か電源が入っていないためかかりません」等のナーストーキーが流れる場合には、発信側の極性反転は起こっていない。
【0044】
第2の電話6からの応答(極性反転)が、設定された圏外判定時間と略同一の時間が経過しても検知できなかった場合、呼制御部10は第2の電話6が応答不可能な状態にあると判定する。その判定から、呼制御部10は、実施の形態1、2と同様に、第2の電話6宛の通信情報をボイスメール部7に転送して、第1の電話2と第2の電話6との接続処理を中止する。
【0045】
例えば、本実施の形態3において、第1の電話2の内線1番から、番号09012341111の携帯電話機に発信する場合を考える。図10から、この携帯電話機の圏外判定時間は30秒であることが分かる。なお、この携帯電話機はキャリアの留守番電話サービスに自動接続されるとする。呼制御部10は記憶部13に格納されている圏外判定時間に関する情報を参照し、略同一の時間にタイマー14を設定する。そして、第1の電話2の内線1番から当該携帯電話宛の発呼情報を主装置1の呼制御部10に送信する。呼制御部10は、携帯電話機側の応答を待つ。タイマー14の設定時間は、ここでは28秒とする(30秒マイナスαの時間とした)。つまり、第1の電話2の内線1番から携帯電話機宛の発呼情報を送信した時から28秒以内に携帯電話機からの応答を呼制御部10が検知しなければ、携帯電話機は圏外等の状態にあると呼制御部10は判定する。その時点で、呼制御部10は、第1の電話2がオンフックされているか否かを判定する。第1の電話2がオンフックされていないと判定すれば、呼制御部10はボイスメール部7に通信情報を転送し、第1の電話2の内線1番のユーザーが第2の電話6のユーザー宛に残したメッセージに関する情報がボイスメール部7に格納される。これにより、第2の電話6のユーザー宛のメッセージを、第1の電話2のユーザーがボイスメール部7に残すことができる。また、呼制御部10は第1の電話2の内線1番と携帯電話機との接続処理を中止する。以上、本発明の実施の形態3から、移動端末キャリア等の留守番電話サービスを利用せずにメッセージ等を残せる電話機システム、ボイスメールの格納方法および主装置を提供することができる。なお、設定時間を圏外判定時間未満にすることで、呼制御部10はキャリアの留守番電話サービスを利用せずに転送処理を行うことができる。
【0046】
タイマー14の設定時間として、圏外判定時間に若干の時間をマイナスしたものを例に出したが、設定時間は圏外判定時間と同じ時間でもよい。また、着信を受ける携帯電話機がキャリアの留守番電話サービスへの自動接続をオフにしている場合には、設定時間を圏外判定時間よりも長く設定してもよい。更に、図10で示したような圏外判定時間は、第2の電話6の各々について予め記憶させるのではなく、第2の電話6の電話番号から判定するような形式にしてもよい。携帯電話機やPHSにおいては、電話番号に基づいてそのキャリアを予測することができる。そのため、図5に示すような発信番号の情報を基にして、着信先のキャリアおよびその圏外判定時間を予測することが可能になる。具体的な処理としては、携帯電話機やPHSの各キャリアに割り当てられた電話番号およびそれに対応した圏外判定時間を、記憶部13に予め記憶しておく。その上で、第1の電話2から第2の電話6宛に発呼信号の送信があった場合、着信先の電話番号(図5)と予め記憶された情報を照合することで、着信先の携帯電話機やPHSの圏外判定時間が呼制御部10で予測できる。それにより、タイマー14の設定時間を設定すればよい。あるいは、各キャリアの平均圏外判定時間、最小圏外判定時間を目安にして、タイマー14の設定時間を一律に決めるようにしてもよい。どのような圏外判定時間の設定を行うにせよ、着信先の移動端末のキャリアの留守番電話サービスに繋がる前に移動端末との接続を切断することができる電話機システムの構成であれば十分である。
【0047】
また、公衆回線4がISDN回線やIP回線等の場合には、呼制御部10は、携帯電話機等への発信の後、キャリア網5から当該携帯電話機等の応答を受信するまでの時間を計測することで、携帯電話機等が応答可能か否かを判定することも可能である。そのような電話機システムの例として、実施の形態3と同様の電話機システムが挙げられる。主装置1はタイマー14を備える構成であり、記憶部13には圏外判定時間に関する情報が保持されている。公衆回線4はISDN回線とする。圏外判定時間については、実施の形態3で記載した通りである。第1の電話2から第2の電話6宛に発呼情報を送信した際、タイマー14は第1の電話2から第2の電話6宛に発呼情報を送信した時からの経過時間を計測する。圏外判定時間以内に切断のメッセージをキャリア網5から受信しなかった場合には、呼制御部10は第2の電話6が応答可能であると判定し、呼制御に関わる処理をする。一方、圏外判定時間以内に呼制御部10がキャリア網5から呼出のメッセージを受信せず、切断のメッセージを受信した場合には、呼制御部10は第2の電話6が応答不可能であると判定する。そして呼制御部10は、第2の電話6宛の通信情報をボイスメール部7に転送すると共に、第1の電話2と第2の電話6との接続処理を中止する。以上のような方法でも、呼制御部10は、着信先の携帯電話機等のユーザーが応答可能な状態にいるかどうかの判定を行うことが可能である。
【0048】
なお、切断のメッセージの受信前に呼出のメッセージを受信した場合でも、圏外判定時間以内に携帯電話からの応答がない場合が想定される。実施の形態2で切断のメッセージの受信前に呼出のメッセージを受信した場合、呼制御部10は第2の電話6が圏内にあると判定した。そして、例として、第2の電話6の伝言サービスに第1の電話2のユーザーがボイスメールを残すとした。しかし、圏外判定時間以内に携帯電話からの応答がない場合、呼制御部10は第2の電話6が応答不可能であると判定してもよい。その際に呼制御部10は、第2の電話6宛の通信情報をボイスメール部7に転送すると共に、第1の電話2と第2の電話6との接続処理を中止する。
【0049】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、転送先をボイスメール部のみならず、他の内線電話に指定するといったこともできる。
【0050】
また、実施の形態2、3において、転送設定の情報60は予め設定されているものとしたが、主装置1を操作することによって、いつでも変更できる構成としてもよい。また主装置1からだけでなく、第1の電話2(内線電話)や第2の電話6(移動端末)から主装置1の記憶部13内にアクセスを行い、転送設定に関する情報を変更させることが可能としてもよい。更に、電話番号の記憶情報40は一時的なものとしたが、履歴として記憶部13内に保存されるとしてもよい。
【0051】
また、実施の形態3で第2の電話6からの応答を検知する方法として、極性反転を検知する方法を記載したが、リングバックトーンを検知する方法を用いてもよい。圏外判定時間は、実施の形態3で記載したものと同様である。いま、第1の電話2の内線1番から携帯電話機に電話をする。その際に、呼制御部10が圏外判定時間内にRBTを検知すれば、呼制御部10は携帯電話機が応答可能な状態にあると判定する。この場合、携帯電話機からの応答がなければ、第1の電話2のユーザーは携帯電話機の伝言サービスにボイスメールを残すといったことを行う。
【0052】
逆に、圏外判定時間内にRBTを呼制御部10が検知しなければ、呼制御部10は携帯電話機が応答不可能な状態にあると判定する。呼制御部10はその判定をした場合、実施の形態1〜3と同様に携帯電話宛の通信情報をボイスメール部7に転送して、第1の電話2と携帯電話機との接続処理を中止する。
【符号の説明】
【0053】
1 主装置
2 第1の電話
3 内線回線
4 公衆回線
5 キャリア網
6 第2の電話
7 ボイスメール部
10 呼制御部
11 外線I/F部
12 内線I/F部
13 記憶部
14 タイマー
40 電話番号の記憶情報
50 Q931情報要素
60 転送設定に関する情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主装置と、
前記主装置に内線回線を介して接続される第1の電話と、
前記主装置に公衆回線を介して接続される第2の電話と、
前記第1の電話の前記第2の電話宛の通信情報が転送され、前記第1の電話のユーザーが前記第2の電話のユーザー宛に残したボイスメールが格納されるボイスメール部と、
を備え、
前記主装置は、前記第2の電話が前記第1の電話からの発信に対して応答不可能であると判定すると、前記第1の電話の前記第2の電話への接続処理を中止し、前記第1の電話のユーザーが前記第2の電話のユーザー宛に残したボイスメールを前記ボイスメール部に格納する、
電話機システム。
【請求項2】
前記主装置は、前記第2の電話への発信時から前記第2の電話におけるキャリアが設定する留守番電話サービス発生時までの時間を前記第2の電話の応答可否判定時間としており、
前記第1の電話から前記第2の電話への発信に対し、前記第2の電話が応答せずに経過する時間が前記応答可否判定時間と略同一の時間を超過したか否かを判定し、
前記第2の電話が応答せずに経過する時間が前記応答可否判定時間と略同一の時間を超過したと判定すると、前記第2の電話が当該発信に対して応答不可能であると判定する、
請求項1に記載の電話機システム。
【請求項3】
前記主装置には、ボイスメールを格納するか否かを示す情報が前記第2の電話毎に格納されており、
前記主装置は、前記ボイスメールを格納するか否かを示す情報に基づいて、前記第2の電話毎に前記ボイスメールを前記ボイスメール部に格納するか否かを判定する、
請求項1又は2に記載の電話機システム。
【請求項4】
内線電話である第1の電話から外線電話である第2の電話に発信を行うステップと、
前記発信に対して前記第2の電話が応答可能か否かの判定を行うステップと、
前記発信に対して前記第2の電話が応答不可能であると判定すると、前記第1の電話の前記第2の電話への接続処理を中止するステップと、
前記第1の電話の前記第2の電話宛の通信情報を転送し、前記第1の電話のユーザーが前記第2の電話のユーザー宛に残したボイスメールを、ボイスメール部に格納するステップと、
を備えるボイスメールの格納方法。
【請求項5】
主装置と、
前記主装置に内線回線を介して接続される第1の電話と、
前記主装置に公衆回線を介して接続される第2の電話と、
前記第1の電話の前記第2の電話宛の通信情報が転送され、前記第1の電話のユーザーが前記第2の電話宛に残したボイスメールが格納されるボイスメール部と、
を備える電話システムに用いる主装置であって、
前記第2の電話が前記第1の電話からの発信に対して応答不可能であると判定すると、前記第1の電話の前記第2の電話への接続処理を中止し、前記第1の電話のユーザーが前記第2の電話のユーザー宛に残したボイスメールを前記ボイスメール部に格納する、
主装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−33995(P2012−33995A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169178(P2010−169178)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】