説明

露光装置および露光方法

【課題】オートフォーカス機能を用いることなく、表面平坦性の悪い基板の露光面に所望の像を精度良く結像させる。
【解決手段】基板1は基板支持部材2の上に支持される。投影光学系3と基板1との間には、剛性の光透過性部材4が配置される。光透過性部材4は、基板1の露光面1aに対向する平面4aを有する。平面4aは、投影光学系3の結像面と一致するように位置付けられる。光透過性部材4の平面4aに対して露光面1aを密着および離反させるべく、基板支持部材2を移動させるための駆動機構5が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光層を有する基板の露光面に光を照射して露光面にパターンを形成するための、投影露光方式の露光装置および露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パターンが描かれたフォトマスクを利用する露光方式には、フォトマスクと基板とを密着させて露光を行う真空密着露光方式と、密着させない投影露光方式とがある。
投影露光方式は、真空密着露光方式と比べて次のようなメリットがある。
(1)フォトマスクと基板とが接触しないので、フォトマスクへのダメージが無い。したがって、フォトマスクを半永久的に使用することができる。
(2)フォトマスクと基板とを互いに位置合わせした後に、両者を互いに密着させることに起因する位置ずれが生じない。したがって、位置合わせ精度が優れている。
【0003】
一方、投影露光方式には次のようなデメリットもある。
(3)表面平坦性の悪い基板の露光面の全領域にわたって精度良く結像させるのが難しい。したがって、オートフォーカス機能を備えた光学系を用いた作業が必要となる。これにより、装置が高価になるとともに、生産性が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、上記デメリットをなくし、安価で生産性の良い投影露光方式を確立することにある。
本発明の露光装置および露光方法は、フォトマスクを利用しない直接描画露光にも適用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明によれば、
感光層を有する基板の露光面に光を照射して前記露光面にパターンを形成するための露光装置であって、
前記基板を支持するための基板支持部材と、
光源と、
前記光源からの光を前記露光面に照射するための投影光学系と、
剛性の光透過性部材にして、前記露光面に対向する平面を有し、前記平面が前記投影光学系の結像面と一致するようにして配置された光透過性部材と、
前記光透過性部材の前記平面に対して前記露光面を密着および離反させるべく、前記基板支持部材を移動させるための駆動機構と、
を備える露光装置が提供される。
【0006】
前記駆動機構は、前記光透過性部材の前記平面と前記基板の前記露光面との間に形成される空間を周辺空間よりも減圧された状態にするための減圧機構を備えることができる。
前記光源と前記投影光学系との間に、前記光源からの光を選択的に前記投影光学系へ導くための複数の光学変調素子を規則的に配列し、前記光学変調素子および前記投影光学系と前記基板とを、前記光透過性部材の前記平面と前記投影光学系の前記結像面との一致性を維持しつつ相対的に移動させながら、前記光学変調素子を制御することにより、前記露光面に所定のパターンを露光するようにしてもよい。
【0007】
あるいはまた、前記光源と前記投影光学系との間に、ポリゴンミラーを配置し、前記ポリゴンミラーおよび前記投影光学系と前記基板とを、前記光透過性部材の前記平面と前記投影光学系の前記結像面との一致性を維持しつつ相対的に移動させながら、前記光源のオン・オフを制御することにより、前記露光面に所定のパターンを露光するようにしてもよい。
【0008】
前記光源と前記投影光学系との間に、前記露光面に形成すべきパターンが描かれたフォトマスクを配置し、該フォトマスクを通して前記露光面を露光することにより、前記パターンを前記露光面に転写するようにしてもよい。
【0009】
前記露光面を複数の分割領域毎に露光するため、前記光透過性部材の前記平面と前記投影光学系の前記結像面との一致性を維持しつつ、前記基板、前記基板支持部材および前記光透過性部材を一体として移動させるためのスライド機構を備えることもできる。
【0010】
前記フォトマスクと前記基板との互いに対応する位置にそれぞれ設けられた位置合わせ用マークどうしを位置合わせするため、前記位置合わせ用マークをマーク検出手段によって検出し、検出したデータに基づいて、前記光透過性部材の前記平面と前記投影光学系の前記結像面との一致性を維持し且つ前記基板、前記基板支持部材および前記光透過性部材を一体とした状態で前記フォトマスクおよび前記基板の一方を他方に対してX、Y、θ方向に相対移動させる位置合わせ機構をさらに備えることもできる。
【0011】
本発明によればさらに、
光源から発して投影光学系を経た光を、感光層を有する基板の露光面に照射して、前記露光面にパターンを形成する露光方法であって、
前記露光面に対向する平面を有する剛性の光透過性部材を、前記平面が前記投影光学系の結像面と一致するように配置し、
前記露光面が前記平面に密着するように前記基板を移動させ、
前記基板を前記光透過性部材に押しつけた状態で露光を行う、
露光方法も提供される。
【0012】
前記露光面を前記平面に密着させる際に、前記平面と前記露光面との間に形成される空間を周辺空間よりも減圧するようにしてもよい。
前記光源からの光を、前記光源と前記投影光学系との間において規則的に配列した複数の光学変調素子を通して、前記投影光学系へと選択的に導き、前記光学変調素子および前記投影光学系と前記基板とを、前記光透過性部材の前記平面と前記投影光学系の前記結像面との一致性を維持しつつ相対的に移動させながら、前記光学変調素子を制御することにより、前記露光面に所定のパターンを露光するようにしてもよい。
【0013】
あるいはまた、前記光源からの光を、前記光源と前記投影光学系との間において配置したポリゴンミラーを通して、前記投影光学系へと導き、前記ポリゴンミラーおよび前記投影光学系と前記基板とを、前記光透過性部材の前記平面と前記投影光学系の前記結像面との一致性を維持しつつ相対的に移動させながら、前記光源のオン・オフを制御することにより、前記露光面に所定のパターンを露光するようにしてもよい。
【0014】
前記光源と前記投影光学系との間に配置したフォトマスクであって前記露光面に形成すべきパターンが描かれたフォトマスクを通して前記露光面を露光することにより、前記パターンを前記露光面に転写する方法をとることもできる。
【0015】
前記光透過性部材の前記平面と前記投影光学系の前記結像面との一致性を維持しつつ、前記基板および前記光透過性部材を一体としてスライド移動させることにより、前記露光面を複数の分割領域毎に露光するようにしてもよい。
【0016】
露光前に、前記フォトマスクと前記基板との互いに対応する位置にそれぞれ設けられた位置合わせ用マークどうしを、前記光透過性部材の前記平面と前記投影光学系の前記結像面との一致性を維持し且つ前記基板および前記光透過性部材を一体とした状態で位置合わせすることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の露光装置および露光方法によれば、投影光学系の結像面と一致する平面を有する光透過性部材の該平面に、平坦性の悪い基板の露光面を密着させることにより、該露光面を平坦に矯正し且つその平坦性を維持することができる。しかも、平坦とされた露光面は、投影光学系の結像面との一致性も維持される。したがって、その後は、フォーカスを合わせる作業をすることなく、露光面全体にわたって高い解像度で露光を行うことができる。
【0018】
本発明の露光装置および露光方法によれば、オートフォーカス機能を有する設備を必要としないので、装置を安価に製造できる。
また、フォーカスを合わせる作業が不要になるので、作業効率および生産効率が向上する。
【0019】
基板とフォトマスクとを密着させることはないので、投影露光方式のメリットは維持される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による露光装置の一実施形態を示す図であり、(A)は側面図、(B)は(A)におけるA−A矢視図。
【図2】基板を光透過性部材に密着させる工程を順に説明する図。
【図3】露光面を分割露光するときの各部の動きを示す図。
【図4】本発明を、フォトマスクを利用しない直接描画露光装置に適用した場合の露光装置の一実施形態を示す側面図。
【図5】図4の露光装置の変形例を示す側面図。
【図6】別形態の直接描画露光装置の光学系を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1(A)は、本発明の一実施形態による露光装置の概略側面図、図1(B)は同じく上面図である。露光装置は、基板1を支持する基板支持部材2と、投影レンズ3の形態をした投影光学系と、剛性の光透過性部材を構成するガラス板4と、基板支持部材2を移動させるための駆動機構5とを備える。基板1を載せる剛性の基板支持部材2の上面は、平坦とされている。露光装置はさらに光源を備えるが、光源は図1において図示省略されている。
【0022】
図1の実施形態においては、露光装置はさらにフォトマスク6と、基板1とフォトマスク6との位置合わせを行うための位置合わせ機構7とを備える。フォトマスク6は、光源と投影レンズ3との間に位置づけられている。位置合わせ機構7は、ガラス板支持部材7aと移動機構7bとから構成されている。ガラス板支持部材7aは、ガラス板4の周縁を把持する枠状の部材である。移動機構7bは、ガラス板4を取り巻くように複数配置されている。各移動機構7bは、ガラス板支持部材7aとベース部材8との間を連結している。それぞれの移動機構7bは互いに協働してガラス板4をX、Y、θ方向に移動させる。
【0023】
基板1の露光面1a(図1(A)において上面)には感光層が形成されている。フォトマスク6には、基板1の露光面1aに形成すべきパターンが描かれている。図1(A)にてフォトマスク6の上方に位置する光源から、フォトマスク6、投影レンズ3およびガラス板4を通して基板1の露光面1aへと光を照射することにより、露光面1aにパターンを転写することができる。例えば、パターンとして電気回路をフォトマスク6に描くことができる。
【0024】
ガラス板4は、基板1の露光面1aに対向する平面4a(図1(A)において下面)を有している。ガラス板4は、平面4aが投影レンズ3の結像面と一致するようにして、配置されている。ガラス板4は、上述したように位置合わせ機構7によって平面内で移動されることがあるが、ガラス板4の平面4aと投影レンズ3の結像面との一致性は、常に維持される。
【0025】
駆動機構5は、ガラス板4の平面4aに対して基板1の露光面1aを密着させるように、また、離反させるように、基板支持部材2を移動させる。駆動機構5は、基板支持部材2に接触して該基板支持部材2を移動させるシリンダ機構9と、基板支持部材2に接触せずに該基板支持部材2を移動させる減圧機構とからなる。
【0026】
シリンダ機構9は、ベース部材8の中央に取り付けられ、基板支持部材2に支持された基板1をガラス板4に近づけるよう基板支持部材2の下面を押すことができる。基板支持部材2の上面周囲には環状の弾性シール部材11が取り付けられている。シール部材11の高さは、シール部材11の頂部が基板1の露光面1aよりも高い位置になるように設計されている。シリンダ機構9によって基板1および基板支持部材2が持ち上げられ、シール部材11の頂部がガラス板4の下面に接すると、ガラス板4と基板1および基板支持部材2とシール部材11とによって密閉空間Sが形成される。
【0027】
減圧機構は、外部の真空源(図示せず)と、該真空源と密閉空間Sとを連通する導管(図示せず)とを備えている。導管の一端は真空源に接続し、他端は、例えばガラス板4に設けた孔(空間Sに連通している)に接続してもよい。減圧機構は、密閉空間S内を減圧することにより、基板1および基板支持部材2をガラス板4の下面に向けて移動させることができる。
【0028】
変形しているかも知れない基板1の露光面1aを、駆動機構5によってガラス板4の平面4aに密着させて平坦にする工程を、図2を参照しながら説明する。露光前の基板1を乗せた基板支持部材2は、搬送機構10によって、ガラス板4とシリンダ機構9との間に搬入される(図2(A))。搬送機構10は、基板支持部材2の互いに対向する2つの縁部を下面から支持したまま紙面に対して前進および後退可能な2本のバーとして図示されている。
【0029】
シリンダ機構9を伸長させると、ガラス板4の下方に搬送されてきた基板支持部材2にシリンダ機構9の上面が接触する。シリンダ機構9をさらに伸長させると、基板支持部材2は搬送機構(バー)10から持ち上げられ、ガラス面4に向かって移動する。搬送機構10は、ガラス板4の下方から退避する。シール部材11の頂部がガラス板4の平面(下面)4aに接触した時点で、シリンダ機構9の伸長は停止される(図2(B))。ガラス板4と基板1と基板支持部材2とシール部材11とによって、密閉空間Sが形成される。
次に、密閉空間Sを上記外部の真空源(図示せず)に接続し、空間S内を減圧する。周辺の大気圧と、空間S内の減少された圧力との間の差圧の力により、基板1を載せた基板支持部材2は、シリンダ機構9の上面から離れてガラス板4の平面4aに近づく。このとき弾性シール部材11は、潰れるように変形し、封止作用を維持しつつ、基板支持部材2の上方移動を許容する。
【0030】
このようにして、基板1の露光面1aは、剛性のガラス板4の平面4aに密着する(図2(C))。基板1の露光面1aが波打つように変形していたとしても、基板1の露光面1aがガラス板4の平面4aに密着することにより、露光面1aの変形は矯正されて平坦となる。この平坦性は、露光面1aが平面4aに密着しているかぎり、維持される。
ここで、ガラス板4は平面4aが投影レンズ3の結像面と一致するように配置されていることに注目すべきである。露光面1aが平面4aとの密着状態を維持されている間に露光を行うことにより、平坦化された露光面1aには、フォトマスク6に描かれたパターンが高い解像度で転写される。高い解像度は、オートフォーカス技術を用いることなく、露光面1aの領域全体にわたって得ることができる。
【0031】
露光作業の前には、基板1とフォトマスク6との間の位置合わせ作業が行われる。基板1とフォトマスク6とのそれぞれには、互いに対応する位置に位置合わせ用マーク(図示せず)が設けられている。これらの位置合わせ用マークを、CCDカメラのようなマーク検出手段によって検出する。検出したデータに基づき、フォトマスク6および基板1のうちの一方を他方に対してX、Y、θ方向に相対移動させて位置合わせを行う。図1および図2に示した実施態様においては、基板1側をフォトマスク6に対して移動させている。フォトマスク6側を基板1に対して移動させてもよい。いずれにしろ、これらの位置合わせ作業は、ガラス板4の平面4aと投影レンズ3の結像面との一致性を維持した状態で行われるので、後の露光における解像度に悪影響を与えることはない。
【0032】
図1および図2に示した実施態様における位置合わせについて、もう少し詳しく説明する。図2(C)に示すように、露光面1aと平面4aとが密着を維持されていることにより、基板1とガラス板4と基板支持部材2とは一体として移動させることができる。前述したように、位置合わせ機構7を構成するガラス板支持部材7aは、ガラス板4の縁部を把持している。ガラス板支持部材7aとベース部材8との間を連結するそれぞれの移動機構7bが互いに協働してガラス板4をX、Y、θ方向に移動させることにより、ガラス板4に密着された基板1も基板支持部材2とともに同じように移動する。これによって、フォトマスク6に設けた位置合わせ用マークと基板1に設けた位置合わせ用マークとを位置合わせすることができる。
【0033】
位置合わせ作業に続く露光作業は、基板1がガラス板4に押しつけられた状態で行われる。光源からの光が、フォトマスク6と投影レンズ3とガラス板4とを通して、基板1の平坦な露光面1aへと照射される。フォトマスク6に描かれたパターンは、露光面1aに転写される。
【0034】
基板1を露光する場合、露光面1aの全領域を一回で露光せず、分割して露光することもできる。このような分割露光のために用いられるのが、スライド機構12である。スライド機構12は、下方ベース板13の上面に取り付けられた一対の平行な下方ガイドレール14にして、図1(A)の紙面に対して前後に真っ直ぐに延びている下方ガイドレール14と、中間ベース板15の下面に取り付けられ、下方ガイドレール14をスライド可能に受け入れる下方ガイドレール受け部材16と、中間ベース板15の上面に取り付けられた一対の平行な上方ガイドレール17にして、図1(A)の紙面に対して平行に延びている上方ガイドレール17と、ベース部材8の下面に取り付けられ、上方ガイドレール17をスライド可能に受け入れる上方ガイドレール受け部材18とを備えている。下方ガイドレール14と上方ガイドレール17とは、互いに直交するように延びている。スライド機構12にはさらに、中間ベース板15およびベース部材8をそれぞれ下方ベース板13および中間ベース板15に対して移動させるための駆動機構(図示せず)が含まれる。
【0035】
図3(A)ないし図3(D)に示すように、基板1の露光面1aを、4つの分割露光面1a−1,1a−2,1a−3および1a−4に区分することができる。基板1の露光面1aとガラス板4の平面4aとが密着状態を維持されたまま、スライド機構12を適宜作動させることにより、基板1と基板支持部材2とガラス板4とは一体としてスライド移動し、これらの分割露光面の各々を順番に投影レンズ3の下方位置へと移動させることができる。図1は、4つの分割露光面1a−1ないし1a−4のうちの一つが投影レンズ3の下方に位置づけられた状態を示している。スライド機構12の作動は、ガラス板4の平面4aと投影レンズ3の結像面との一致性を維持した状態で行われる。したがって、分割露光が露光における解像度に悪影響を与えることはない。
【0036】
本発明の露光装置および露光方法は、フォトマスクを用いない直接描画露光にも適用することができる。図4に直接描画露光装置の一例を示す。図4の露光装置は、光源19と、レンズ(例えば偏光レンズ)20と、ミラーを有する光学変調素子21と、投影レンズ22とを備える。さらに露光装置は、図1ないし図4に示した露光装置と同様に、基板1を支持する基板支持部材2と、光透過性部材としてのガラス板(図示省略)と、ガラス板の平面に対して基板1の露光面1aを密着および離反させるべく基板支持部材2を移動させるための駆動機構(図示省略)と、位置合わせ機構7とを備えている。光源19、レンズ20、光学変調素子21および投影レンズ22は、それぞれ複数設けられており、個々が互いに対応している。投影レンズ22は、投影光学系として作用する。複数の光学変調素子21は、光源19と投影レンズ22との間において規則的に配列されている。光学変調素子21は、オン・オフ機能を有しており、光源19からの光を選択的に投影レンズ22へと導く。
【0037】
図4の露光装置においては、光学変調素子21および投影レンズ22は、光源19およびレンズ20とともに、基板1との間で相対移動が可能とされている。図1ないし図3の露光装置における場合と同様に、この相対移動は、ガラス板の平面と投影レンズ22の結像面との一致性を維持しながら行われる。この相対移動時に光学変調素子21のオン・オフを制御することにより、基板1の露光面1aに所定のパターンを描画して露光することができる。
【0038】
図4の露光装置においては、光源19、レンズ20、光学変調素子21および投影レンズ22は固定されており、基板1側が移動するようになされている。基板1の移動は、図1ないし図4の露光装置に関して説明したスライド機構12と同等のスライド機構23を利用して行われる。基板1側を固定し、光源19、レンズ20、光学変調素子21および投影レンズ22側を移動させるようにしてもよい。
【0039】
図5は、図4の露光装置の変形例を示す。図4の露光装置と異なる点は、光源(図示せず)およびレンズ20がそれぞれ単一であるということである。その他の点は、図4の露光装置と同じである。
【0040】
図6は、別形態の直線描画露光装置の光学系を示す。(A)は側面図、(B)は上面図である。好ましくは半導体レーザとされる光源(図示せず)からの光は、平行光レンズユニット24、シリンドリカルレンズ26および反射ミラー27を経てポリゴンミラー28へと送られ、そこからFθレンズユニット29へと入る。光は、Fθレンズユニット29から反射ミラー30を経てシリンドリカルレンズ31へと入る。反射ミラー30およびシリンドリカルレンズ31は、本発明における投影光学系を構成する。シリンドリカルレンズ31を出た光は、基板へと向かう。光学系以外の構成については、図4および図5の露光装置と図6の露光装置は同じである。
【符号の説明】
【0041】
1 基板、1a 露光面、1a−1,1a−2,1a−3,1a−4 分割露光面、2 基板支持部材、3 投影レンズ(投影光学系)、4 ガラス板(光透過性部材)、4a ガラス板の平面、5 駆動機構、6 フォトマスク、7 位置合わせ機構、7a ガラス板支持部材、7b 移動機構、8 ベース部材、9 シリンダ機構、10 搬送機構、11 シール部材、12 スライド機構、13 下方ベース板、14 下方ガイドレール、15 中間ベース板、16 下方ガイドレール受け部材、17 上方ガイドレール、18 上方ガイドレール受け部材、19 光源、20 レンズ、21 光学変調素子、22 投影レンズ、23 スライド機構、24 平行光レンズユニット、26 シリンドリカルレンズ、27 反射ミラー、28 ポリゴンミラー、29 Fθレンズユニット、30 反射ミラー、31 シリンドリカルレンズ、S 密閉空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光層を有する基板の露光面に光を照射して前記露光面にパターンを形成するための露光装置であって、
前記基板を支持するための基板支持部材と、
光源と、
前記光源からの光を前記露光面に照射するための投影光学系と、
剛性の光透過性部材にして、前記露光面に対向する平面を有し、前記平面が前記投影光学系の結像面と一致するようにして配置された光透過性部材と、
前記光透過性部材の前記平面に対して前記露光面を密着および離反させるべく、前記基板支持部材を移動させるための駆動機構と、
を備える露光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の露光装置において、
前記駆動機構が、前記光透過性部材の前記平面と前記基板の前記露光面との間に形成される空間を周辺空間よりも減圧された状態にするための減圧機構を備える、露光装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の露光装置において、
前記光源と前記投影光学系との間に、前記光源からの光を選択的に前記投影光学系へ導くための複数の光学変調素子が規則的に配列されており、前記光学変調素子および前記投影光学系と前記基板とを、前記光透過性部材の前記平面と前記投影光学系の前記結像面との一致性を維持しつつ相対的に移動させながら、前記光学変調素子を制御することにより、前記露光面に所定のパターンを露光するようになされている、露光装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の露光装置において、
前記光源と前記投影光学系との間に、ポリゴンミラーが配置されており、前記ポリゴンミラーおよび前記投影光学系と前記基板とを、前記光透過性部材の前記平面と前記投影光学系の前記結像面との一致性を維持しつつ相対的に移動させながら、前記光源のオン・オフを制御することにより、前記露光面に所定のパターンを露光するようになされている、露光装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の露光装置において、
前記光源と前記投影光学系との間に、前記露光面に形成すべきパターンが描かれたフォトマスクが配置されており、該フォトマスクを通して前記露光面を露光することにより、前記パターンを前記露光面に転写するようになされている、露光装置。
【請求項6】
請求項5に記載の露光装置において、
前記露光面を複数の分割領域毎に露光するため、前記光透過性部材の前記平面と前記投影光学系の前記結像面との一致性を維持しつつ、前記基板、前記基板支持部材および前記光透過性部材を一体として移動させるためのスライド機構を備える、露光装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の露光装置において、
前記フォトマスクと前記基板との互いに対応する位置にそれぞれ設けられた位置合わせ用マークどうしを位置合わせするため、前記位置合わせ用マークをマーク検出手段によって検出し、検出したデータに基づいて、前記光透過性部材の前記平面と前記投影光学系の前記結像面との一致性を維持し且つ前記基板、前記基板支持部材および前記光透過性部材を一体とした状態で前記フォトマスクおよび前記基板の一方を他方に対してX、Y、θ方向に相対移動させる位置合わせ機構をさらに備える、露光装置。
【請求項8】
光源から発して投影光学系を経た光を、感光層を有する基板の露光面に照射して、前記露光面にパターンを形成する露光方法であって、
前記露光面に対向する平面を有する剛性の光透過性部材を、前記平面が前記投影光学系の結像面と一致するように配置し、
前記露光面が前記平面に密着するように前記基板を移動させ、
前記基板を前記光透過性部材に押しつけた状態で露光を行う、
露光方法。
【請求項9】
請求項8に記載の露光方法において、
前記露光面を前記平面に密着させる際に、前記平面と前記露光面との間に形成される空間を周辺空間よりも減圧する、露光方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の露光方法において、
前記光源からの光を、前記光源と前記投影光学系との間において規則的に配列した複数の光学変調素子を通して、前記投影光学系へと選択的に導き、前記光学変調素子および前記投影光学系と前記基板とを、前記光透過性部材の前記平面と前記投影光学系の前記結像面との一致性を維持しつつ相対的に移動させながら、前記光学変調素子を制御することにより、前記露光面に所定のパターンを露光する、露光方法。
【請求項11】
請求項8または9に記載の露光方法において、
前記光源からの光を、前記光源と前記投影光学系との間において配置したポリゴンミラーを通して、前記投影光学系へと導き、前記ポリゴンミラーおよび前記投影光学系と前記基板とを、前記光透過性部材の前記平面と前記投影光学系の前記結像面との一致性を維持しつつ相対的に移動させながら、前記光源のオン・オフを制御することにより、前記露光面に所定のパターンを露光する、露光方法。
【請求項12】
請求項8または9に記載の露光方法において、
前記光源と前記投影光学系との間に配置したフォトマスクであって前記露光面に形成すべきパターンが描かれたフォトマスクを通して前記露光面を露光することにより、前記パターンを前記露光面に転写する、露光方法。
【請求項13】
請求項12に記載の露光方法において、
前記光透過性部材の前記平面と前記投影光学系の前記結像面との一致性を維持しつつ、前記基板および前記光透過性部材を一体としてスライド移動させることにより、前記露光面を複数の分割領域毎に露光する、露光方法。
【請求項14】
請求項12に記載の露光方法において、
露光前に、前記フォトマスクと前記基板との互いに対応する位置にそれぞれ設けられた位置合わせ用マークどうしを、前記光透過性部材の前記平面と前記投影光学系の前記結像面との一致性を維持し且つ前記基板および前記光透過性部材を一体とした状態で位置合わせする、露光方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−81317(P2011−81317A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235508(P2009−235508)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000106162)サンエー技研株式会社 (19)
【Fターム(参考)】