露光装置および露光方法
【課題】露光量のきめ細かな監視および調整を可能にする。
【解決手段】実施形態の露光装置は、EUV光を発光し、パターンが作成された第1の基板に照射する光源と、光学素子を有し、前記第1の基板から発せられる光束を縮小して第2の基板に照射することにより前記パターンを前記第2の基板に転写する縮小光学系と、前記EUV光の照射により前記光学素子から発生する光電子を検出する光電子検出手段と、前記光電子検出手段の検出信号と前記光学素子表面の座標情報とから前記光学素子表面の状態分布を表す面内分布情報を作成する面内分布情報作成部と、を持つ。
【解決手段】実施形態の露光装置は、EUV光を発光し、パターンが作成された第1の基板に照射する光源と、光学素子を有し、前記第1の基板から発せられる光束を縮小して第2の基板に照射することにより前記パターンを前記第2の基板に転写する縮小光学系と、前記EUV光の照射により前記光学素子から発生する光電子を検出する光電子検出手段と、前記光電子検出手段の検出信号と前記光学素子表面の座標情報とから前記光学素子表面の状態分布を表す面内分布情報を作成する面内分布情報作成部と、を持つ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、露光装置および露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の微細化に伴い、回路パターンの線幅をさらに縮小する要求が高まっている。このような縮小化要求に対してリソグラフィ技術では、レジストの露光に用いる光の波長をより短波長にすることで対応している。パターン幅45nmの世代からは、極短紫外光(EUV:Extreme Ultra Violet)と呼ばれる、13.5nmを中心とした波長領域の露光光(「極端紫外光」とも呼ばれる)を用いることが検討されている。EUVを用いれば、従来は達成できなかったパターン幅・パターンピッチの縮小化にも対応可能と考えられている。
【0003】
ここで、微細パターン露光においては、露光量のきめ細かな監視および調整が必須となっている。
【0004】
露光量の調整には、露光量を安定化させることが重要である。安定化の鍵となる露光パラメータには、例えば光源強度、露光装置内の減衰、光学素子の反射率などが含まれる。
【0005】
この一方、ウェーハの露光によってレジストの反応生成物が発生し、これがコンタミネーションとしてウェーハ近傍の露光装置構成部品に付着することがある。特に、EUV光を反射させる光学素子の表面に反応生成物が付着すると、EUV露光の反射率が低下するおそれがある。光学素子の反射率が低下すると、露光量のきめ細かな監視および調整が不能となるため、パターン寸法が変動し、その結果、デバイス歩留まりの低下を招くという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−157981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、露光量のきめ細かな監視および調整を可能にする露光装置および露光方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の露光装置は、EUV光を発光し、パターンが作成された第1の基板に照射する光源と、光学素子を有し、前記第1の基板から発せられる光束を縮小して第2の基板に照射することにより前記パターンを前記第2の基板に転写する縮小光学系と、前記EUV光の照射により前記光学素子から発生する光電子を検出する光電子検出手段と、前記光電子検出手段の検出信号と前記光学素子表面の座標情報とから前記光学素子表面の状態分布を表す面内分布情報を作成する面内分布情報作成部と、を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態による露光装置の概略構成を示すブロック図。
【図2A】図1に示す光電子検出器の第1例の第1配置例を示す図。
【図2B】図1に示す光電子検出器の第1例の第2配置例を示す図。
【図3】第1例の光電子検出器の操作方法の説明図。
【図4A】図1に示す光電子検出器の第2例の第1配置例を示す図。
【図4B】図1に示す光電子検出器の第2例の第2配置例を示す図。
【図5】第2例の光電子検出器の操作方法の説明図。
【図6】第2の実施の形態による露光装置の概略構成を示すブロック図。
【図7】図6に示す洗浄機構の一例の主要部を示す正面図。
【図8】従来の技術による洗浄結果の説明図。
【図9】図6に示す露光装置による洗浄結果の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態のいくつかについて図面を参照しながら説明する。なお、以下の図において、同一の部分には同一の参照番号を付し、その重複説明は必要な場合に限り行う。また、図面は説明を容易にするため、必ずしも正確な縮尺で描かれていない点に留意されたい。
【0011】
(1)第1の実施の形態
図1は、第1の実施の形態による露光装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態の露光装置は、反射型露光ユニット80の他、主制御部1、光電子検出器10、光電子検出器駆動ユニット20、検出信号処理部32、メモリMR1〜MR3、表面状態分布作成部34および露光パラメータ調整部36を備える。図1において、X、Y、Zは、互いに直交する方向を示す。この点は図6についても同様である。
【0012】
露光ユニット80は、反射型マスク87が配置されるマスクステージSと、レジスト(被照射材)が塗布されたウェーハ(被加工材)Wが配置されるウェーハステージ(被加工材ステージ)Sと、露光光Lを出射する露光用光源5と、露光用光源5からの露光光Lを反射型マスク87に照射する照明光学系7と、反射型マスク87で反射した露光光LをマスクステージS上に投影する投影光学系8と、マスクステージSを駆動するマスクステージ駆動部9と、ウェーハステージSを駆動するウェーハステージ駆動部110と、を含む。
【0013】
本実施の形態の露光光Lは、後述するように波長13.5nmを中心とする波長5〜20nmの極短紫外光を用いる。極短紫外光は、大気雰囲気中では大気分子に衝突して散乱してしまう性質を有するため、少なくとも露光用光源5、照明光学系7、反射型マスク87、投影光学系8及びウェーハWを真空雰囲気内に配置している。
【0014】
マスクステージSは、X方向及びY方向に移動可能に構成されており、マスクステージSには、反射型マスク87をX方向及びY方向に移動させるマスクステージ駆動部9が接続されている。また、マスクステージSは、上記反射型マスク87を静電吸着により固定できるように構成されている。
【0015】
ウェーハステージSは、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能に構成されており、ウェーハステージSには、ウェーハWをX方向、Y方向及びZ方向に移動させるウェーハステージ駆動部110が接続されている。また、ウェーハステージSは、ウェーハWを静電吸着により固定できるように構成されている。ウェーハWは、本実施形態において例えば第2の基板に対応する。
【0016】
主制御部12は、反射型マスク87及びウェーハWを、投影光学系8の縮小倍率に比例した速度比(例えば4:1)で同期してX及びY方向に走査するようにマスクステージ駆動部9及びウェーハステージ駆動部110を制御する。
【0017】
露光用光源5は、例えば、波長5〜20nm(より好ましくは波長13.5nm)の極短紫外光の露光光Lを出射するEUV光源を用いる。EUV光源として、例えば、レーザ光でプラズマを励起するレーザ励起型プラズマ光源や、放電によりプラズマを励起する放電型プラズマ光源等を用いることができる。本実施の形態は、放電型プラズマ光源よりもパワーの大きいレーザ励起型プラズマ光源を用いる。波長5〜20nm程度のEUV光源を用いることにより、50nm以下の微細加工が可能になる。
【0018】
露光用光源5から出射した露光光Lは、照明光学系7を介して反射型マスク87の表面に垂直な方向に対して傾斜した角度(例えば6°)で入射し、反射型マスク87で反射した後、投影光学系8からウェーハWに垂直に入射するように構成されている。
【0019】
反射型マスク87には、アライメントマーク21が形成され、このアライメントマーク21を基準にパターンが形成されている。また、反射型マスク87は、石英ガラス等からなる基板と、この基板上に屈折率の異なる薄膜が交互に積層されて構成され、露光光Lを反射する反射多層膜と、この反射多層膜上の一部に形成され、露光光Lを吸収する吸収体層とを備え、吸収体層の有無によってパターン及びアライメントマーク21が形成されている。反射多層膜は、例えば、Mo/Si、Mo/Be等を用いることができる。吸収体層は、例えば、Ni、Al、Ta、Cr等を用いることができる。本実施形態において、反射型マスク87は例えば第1の基板に対応する。
【0020】
照明光学系7は、露光用光源5の光軸5a上に配置されたフィルタ(第2の光学素子)70と、第1乃至第4のミラー71A〜71Dと、を含む。
【0021】
フィルタ70は、露光光Lの波長を含む所定の波長帯域(例えば5〜20nm)を透過させ、それ以外の波長をカットする特性を有する。なお、フィルタ70は、露光用光源5に内蔵してもよい。ここで、フィルタ70のかわりに選択的に光を反射するミラー(第2の光学素子)を用いても良い。すなわち、露光光Lの波長を含む特定の波長の光に対する反射率を高め、一方で、その他の波長の光に対する反射率を低くするミラーを用いることができる。このミラーで反射した光は、反射型マスク87へと導かれる。さらには、フィルタとミラーを混在させた素子(第2の光学素子)を用いて、露光光Lの波長を含む特定の波長の光を選択的に反射型マスク87に導入することも可能である。
【0022】
第1及び第2のミラー71A,71Bの反射面は、同図では平坦面であるが、凹面、凸面、非球面等の他の形状でもよい。第3及び第4のミラー71C,71Dの反射面は、同図では凹面であるが、平坦面、凸面、非球面等の他の形状でもよい。また、ミラー71A〜71Dの数は、同図では4枚であるが、6枚等でもよい。
【0023】
投影光学系8は、第1乃至第7のミラーM1〜M7を備える。第1乃至第7のミラーM1〜M7の反射面は、同図では凹面であるが、平坦面、凸面、非球面等の他の形状でもよい。ミラーM1〜M7の数は、同図では7枚であるが、4枚、8枚等でもよい。ミラーの枚数が少ない程、光の利用効率を高くすることができ、ミラーの枚数が多い程、NA(開口数)を大きくすることができる。本実施の形態の投影光学系8のNAは、例えば0.25、縮小倍率は、例えば1/4である。
【0024】
光電子検出器10は、投影光学系8内でウェーハWに近接する光学素子にEUV光Lが照射することにより発生する光電子を検出する。光電子検出器駆動ユニット20は、光電子検出器10が光学素子の面に沿った複数箇所で光電子を検出するよう光電子検出器10を走査する。光電子検出器10および光電子検出器駆動ユニット20の具体的構成については後に詳述する。
【0025】
検出信号処理部32は、光電子検出器10からの検出信号を処理して主制御部1に送る。本実施形態において、光電子検出器10、光電子検出器駆動ユニット20および検出信号処理部32は、例えば光電子検出手段に対応する。
【0026】
記憶装置MR1には、後述する実施形態の露光方法の手順が記述されたレシピファイルが格納され、主制御部1は、このレシピファイルを読み込んで露光を実行する。記憶装置MR2には、光学素子の座標情報が格納され、主制御部1は、光電子検出器10から送られた検出信号に座標情報を付加して面内光電子量分布データを作成し、表面状態分布作成部34に送る。表面状態分布作成部34は、記憶装置MR3に接続され、記憶装置MR3には光電子量と、光学素子に付着するコンタミネーションの厚さとの関係を記述したテーブルが格納される。
【0027】
表面状態分布作成部34は、記憶装置MR1内のテーブルを参照することにより、主制御部1から送られた面内光電子量分布データから光学素子表面におけるコンタミネーションの分布量を表す表面状態分布データを作成する。本実施形態において、主制御部1、記憶装置MR1〜MR3、および表面状態分布作成部34は、例えば面内分布情報作成手段に対応する。
【0028】
露光パラメータ調整部36は、本実施形態において例えば露光パラメータ調整手段に対応し、表面状態分布データを、ロット毎、または週もしくは月に一度など定期的に評価してコンタミネーション分布量が所定の閾値を上回る場合に、例えば光源5の強度を上昇させるよう指令信号を生成して露光ユニット80に送る。
【0029】
光電子検出器10の具体的構成について図2Aおよび図2Bを参照して説明する。図2Aにおいて、光電子検出器101は2つのミラーM2,M3とミラーM1との間に配置される。検出信号のS/Nを考慮すると、光電子検出器10は測定対象である光学素子の近傍に配置することが望ましい。しかしながら、例えばミラーM2,M3とミラーM1との間のクリアランスが狭い場合などは、図2Bに示すように、ミラーM2,M3とレジストLSとの間、即ち、ウェーハWの表面近傍に光電子検出器101を配置しても測定可能である。また、ダミーウェーハを使用する場合は、その表面に配置してもよい。
【0030】
光学素子の表面、図2Aに示す例ではミラーM1の表面に、カーボン系のレジスト脱離物質などでなるコンタミネーションが存在すると、ミラーM1表面の仕事関数が変化し、これにより、EUV光照射によって発生する光電子の数量が多くなる。このため、光電子検出器10での検出量も増加する。逆に、ミラーM1の表面内でコンタミネーションの付着が無い部分では光電子の検出量は少ない。図2Aに示す光電子検出器101は、位置分解能を有していない。そこで、光電子検出器10をミラーM1の表面に沿って走査することにより、ミラーM1表面の光電子量面内分布を測定することができる。なお、図2Aおよび図2Bは説明を容易にするため図1の紙面垂直方向において反対側(裏面側)から描画した図となっている。この点は、図4Aおよび図4Bにおいて同様である。
【0031】
図3は、光電子検出器駆動ユニット20による光電子検出器101の走査方法の一例を示す説明図である。光電子検出器駆動ユニット20は、主制御部1から駆動信号を送られて、図示しないアクチュエータにより、X方向リニアガイドLGXおよびY方向リニアガイドLGYに沿って光電子検出器101を移動させることにより、例えば図3の符号AR1に示す軌道を辿るように電子検出器101を走査する。
【0032】
図4Aは、位置分解能を有する光電子検出器103を配置した例である。光電子検出器103は、二次元方向にアレイ状に配設された光電子検出素子(図5参照)を有する。理論上は測定対象の光学素子の表面全てをカバーするよう光電子検出素子を配設すれば走査することなく一度で光電子を検出することが可能である。
【0033】
しかしながら、そのような大掛かりな検出器は露光装置の他の構成部材との配置関係から現実的ではなく、実際には図5に示すように、例えばY方向で3個分、X方向で4個分程度の走査が必要になる。この場合でも、上述した光電子検出器101と比較して測定時間を大幅に短縮することができる。また、二次元方向のみならず、例えばX方向に一列に配設するなどの一次元のライン検出器を使用しても測定時間の短縮が可能である。
【0034】
なお、特に図示しないが、Z方向のリニアガイドをさらに設けてZ方向にも移動可能な構成にすれば、例えば図4Bに示すように、ミラーM2,M3とレジストLSとの間、即ち、ウェーハWの表面近傍に光電子検出器103を移動させて測定することが可能である。この点は前述した光電子検出器101についても同様である。
【0035】
このように、本実施形態によれば、光電子検出器10により光学素子の光電子を検出して表面の面内光電子量分布データを作成し、さらに該面内光電子量分布データから光学素子表面におけるコンタミネーションの分布量を表す表面状態分布データを作成するので、露光量をきめ細かく監視しかつ、調整することができる。これにより、パターン寸法変動を抑制することができ、その結果、デバイスの歩留まりを向上させることができる。
【0036】
なお、上記実施形態では、表面状態分布データを評価する露光パラメータ調整部36を備え、評価結果に応じて露光ユニット80の露光パラメータをレシピファイルに従って調整する形態を取り挙げて説明したが、レシピファイルおよび露光パラメータ調整部36を備えることは特に必須の要件ではなく、例えばオペレータが表面状態分布データを評価して手動で露光パラメータを調整することとしてもよい。
【0037】
(2)第2の実施の形態
図6は、第2の実施の形態による露光装置の概略構成を示すブロック図である。図1との対比により明らかなように、本実施形態の露光装置は、図1の露光装置の構成に加えて、洗浄プロセス決定部38、洗浄制御部40、洗浄駆動機構42、洗浄機構50および記憶装置MR4をさらに備える。これらの洗浄プロセスE決定部38、洗浄制御部40、洗浄駆動機構42、洗浄機構50および記憶装置MR4は、本実施形態において、例えば洗浄手段に対応する。
【0038】
図7は、洗浄機構50の一例の主要部を示す正面図である。通常露光時には投影光学系8の外部に配置されている洗浄機構50が光学素子等の洗浄時に洗浄機構駆動ユニット42により光学素子のコンタミネーション付着領域の前、図7に示す例ではミラーM1のコンタミネーションCT1に吹出口P1〜P10が対向するように駆動されて移動する。
【0039】
記憶装置MR4は、光学素子の表面におけるコンタミネーションの量と洗浄ガスの濃度との関係、および、該コンタミネーション量と洗浄ガスの供給時間との関係を記述したテーブルを格納する。洗浄プロセス決定部38は、表面状態分布作成部34から表面状態分布データを送られて記憶装置MR4内のテーブルを参照することにより、洗浄プロセスを決定して洗浄制御部40に送る。洗浄プロセスには、洗浄のタイミングの他、洗浄ガスの供給時間やガス濃度がガス吹出口毎に決定される。
【0040】
洗浄制御部40は、送られた洗浄プロセスに規定された洗浄タイミングが到来すると、制御信号を生成して洗浄機構駆動ユニット42を制御して洗浄機構50を、洗浄対象である光学素子の近傍へ搬送する。洗浄制御部40はさらに、(図示しない)ガスボンベを選択してその供給弁を調整することにより、洗浄機構50の吹出口毎にガス濃度およいガス供給量を調整し、コンタミネーションの分布に応じた洗浄プロセスを実行する。
【0041】
図8は、従来の技術による洗浄プロセスを用いた場合の洗浄結果を説明する図である。従来は、ミラーM1上におけるコンタミネーションCTの分布状態に関係なく一律に洗浄ガスを吹き付けていたために、コンタミネーションCTが付着する領域と共に、コンタミネーションCTが付着していない領域についても洗浄プロセスに曝されてしまい、その結果、ミラーの表面を削ってしまう恐れがあった。
【0042】
図9は、本実施形態による洗浄プロセスとその結果の一例を説明する図である。図9の矢印の太さに示すように、本実施形態では、コンタミネーションCTの分布状態に応じてガス濃度または供給時間を変え、コンタミネーションCTの多い領域ではガス供給時間を長くし(もしくは吹き付け量を多くし)またはガス濃度を濃くすることによって洗浄を進める一方、コンタミネーションCTの少ない部分はガス供給量を減らし、またはガス濃度を薄くした。
【0043】
これにより、光学素子表面の劣化などを解消しつつ、コンタミネーション部分を確実に洗浄することができた。
【0044】
以上、実施の形態のいくつかについて説明したが、上記形態に限ることなく、種々変形して適用可能であることは勿論である。例えば、上述した実施形態では、光源の強度を調整することにより露光量を調整する場合を取り挙げたが、これに限ることなく、例えば反射率の異なる光学素子を複数用意し、レボルバー(図示せず)等を用いて回転させることにより、光学素子を交換することとしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1:主制御部
5:光源
7:照明光学系
8:投影光学系
10,101,103:光電子検出器
20:光電子検出器駆動ユニット
32:検出信号処理部
34:表面状態分布作成部
36:露光パラメータ調整部
38:洗浄プロセス決定部
40:洗浄制御部
42:洗浄機構駆動ユニット
50:洗浄機構
80:露光ユニット
87:反射型マスク
M1〜M7,71A〜71D:ミラー
MR1〜MR4:記憶装置
P1〜P10:洗浄ガス吹出口
W:ウェーハ
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、露光装置および露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の微細化に伴い、回路パターンの線幅をさらに縮小する要求が高まっている。このような縮小化要求に対してリソグラフィ技術では、レジストの露光に用いる光の波長をより短波長にすることで対応している。パターン幅45nmの世代からは、極短紫外光(EUV:Extreme Ultra Violet)と呼ばれる、13.5nmを中心とした波長領域の露光光(「極端紫外光」とも呼ばれる)を用いることが検討されている。EUVを用いれば、従来は達成できなかったパターン幅・パターンピッチの縮小化にも対応可能と考えられている。
【0003】
ここで、微細パターン露光においては、露光量のきめ細かな監視および調整が必須となっている。
【0004】
露光量の調整には、露光量を安定化させることが重要である。安定化の鍵となる露光パラメータには、例えば光源強度、露光装置内の減衰、光学素子の反射率などが含まれる。
【0005】
この一方、ウェーハの露光によってレジストの反応生成物が発生し、これがコンタミネーションとしてウェーハ近傍の露光装置構成部品に付着することがある。特に、EUV光を反射させる光学素子の表面に反応生成物が付着すると、EUV露光の反射率が低下するおそれがある。光学素子の反射率が低下すると、露光量のきめ細かな監視および調整が不能となるため、パターン寸法が変動し、その結果、デバイス歩留まりの低下を招くという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−157981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、露光量のきめ細かな監視および調整を可能にする露光装置および露光方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の露光装置は、EUV光を発光し、パターンが作成された第1の基板に照射する光源と、光学素子を有し、前記第1の基板から発せられる光束を縮小して第2の基板に照射することにより前記パターンを前記第2の基板に転写する縮小光学系と、前記EUV光の照射により前記光学素子から発生する光電子を検出する光電子検出手段と、前記光電子検出手段の検出信号と前記光学素子表面の座標情報とから前記光学素子表面の状態分布を表す面内分布情報を作成する面内分布情報作成部と、を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態による露光装置の概略構成を示すブロック図。
【図2A】図1に示す光電子検出器の第1例の第1配置例を示す図。
【図2B】図1に示す光電子検出器の第1例の第2配置例を示す図。
【図3】第1例の光電子検出器の操作方法の説明図。
【図4A】図1に示す光電子検出器の第2例の第1配置例を示す図。
【図4B】図1に示す光電子検出器の第2例の第2配置例を示す図。
【図5】第2例の光電子検出器の操作方法の説明図。
【図6】第2の実施の形態による露光装置の概略構成を示すブロック図。
【図7】図6に示す洗浄機構の一例の主要部を示す正面図。
【図8】従来の技術による洗浄結果の説明図。
【図9】図6に示す露光装置による洗浄結果の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態のいくつかについて図面を参照しながら説明する。なお、以下の図において、同一の部分には同一の参照番号を付し、その重複説明は必要な場合に限り行う。また、図面は説明を容易にするため、必ずしも正確な縮尺で描かれていない点に留意されたい。
【0011】
(1)第1の実施の形態
図1は、第1の実施の形態による露光装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態の露光装置は、反射型露光ユニット80の他、主制御部1、光電子検出器10、光電子検出器駆動ユニット20、検出信号処理部32、メモリMR1〜MR3、表面状態分布作成部34および露光パラメータ調整部36を備える。図1において、X、Y、Zは、互いに直交する方向を示す。この点は図6についても同様である。
【0012】
露光ユニット80は、反射型マスク87が配置されるマスクステージSと、レジスト(被照射材)が塗布されたウェーハ(被加工材)Wが配置されるウェーハステージ(被加工材ステージ)Sと、露光光Lを出射する露光用光源5と、露光用光源5からの露光光Lを反射型マスク87に照射する照明光学系7と、反射型マスク87で反射した露光光LをマスクステージS上に投影する投影光学系8と、マスクステージSを駆動するマスクステージ駆動部9と、ウェーハステージSを駆動するウェーハステージ駆動部110と、を含む。
【0013】
本実施の形態の露光光Lは、後述するように波長13.5nmを中心とする波長5〜20nmの極短紫外光を用いる。極短紫外光は、大気雰囲気中では大気分子に衝突して散乱してしまう性質を有するため、少なくとも露光用光源5、照明光学系7、反射型マスク87、投影光学系8及びウェーハWを真空雰囲気内に配置している。
【0014】
マスクステージSは、X方向及びY方向に移動可能に構成されており、マスクステージSには、反射型マスク87をX方向及びY方向に移動させるマスクステージ駆動部9が接続されている。また、マスクステージSは、上記反射型マスク87を静電吸着により固定できるように構成されている。
【0015】
ウェーハステージSは、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能に構成されており、ウェーハステージSには、ウェーハWをX方向、Y方向及びZ方向に移動させるウェーハステージ駆動部110が接続されている。また、ウェーハステージSは、ウェーハWを静電吸着により固定できるように構成されている。ウェーハWは、本実施形態において例えば第2の基板に対応する。
【0016】
主制御部12は、反射型マスク87及びウェーハWを、投影光学系8の縮小倍率に比例した速度比(例えば4:1)で同期してX及びY方向に走査するようにマスクステージ駆動部9及びウェーハステージ駆動部110を制御する。
【0017】
露光用光源5は、例えば、波長5〜20nm(より好ましくは波長13.5nm)の極短紫外光の露光光Lを出射するEUV光源を用いる。EUV光源として、例えば、レーザ光でプラズマを励起するレーザ励起型プラズマ光源や、放電によりプラズマを励起する放電型プラズマ光源等を用いることができる。本実施の形態は、放電型プラズマ光源よりもパワーの大きいレーザ励起型プラズマ光源を用いる。波長5〜20nm程度のEUV光源を用いることにより、50nm以下の微細加工が可能になる。
【0018】
露光用光源5から出射した露光光Lは、照明光学系7を介して反射型マスク87の表面に垂直な方向に対して傾斜した角度(例えば6°)で入射し、反射型マスク87で反射した後、投影光学系8からウェーハWに垂直に入射するように構成されている。
【0019】
反射型マスク87には、アライメントマーク21が形成され、このアライメントマーク21を基準にパターンが形成されている。また、反射型マスク87は、石英ガラス等からなる基板と、この基板上に屈折率の異なる薄膜が交互に積層されて構成され、露光光Lを反射する反射多層膜と、この反射多層膜上の一部に形成され、露光光Lを吸収する吸収体層とを備え、吸収体層の有無によってパターン及びアライメントマーク21が形成されている。反射多層膜は、例えば、Mo/Si、Mo/Be等を用いることができる。吸収体層は、例えば、Ni、Al、Ta、Cr等を用いることができる。本実施形態において、反射型マスク87は例えば第1の基板に対応する。
【0020】
照明光学系7は、露光用光源5の光軸5a上に配置されたフィルタ(第2の光学素子)70と、第1乃至第4のミラー71A〜71Dと、を含む。
【0021】
フィルタ70は、露光光Lの波長を含む所定の波長帯域(例えば5〜20nm)を透過させ、それ以外の波長をカットする特性を有する。なお、フィルタ70は、露光用光源5に内蔵してもよい。ここで、フィルタ70のかわりに選択的に光を反射するミラー(第2の光学素子)を用いても良い。すなわち、露光光Lの波長を含む特定の波長の光に対する反射率を高め、一方で、その他の波長の光に対する反射率を低くするミラーを用いることができる。このミラーで反射した光は、反射型マスク87へと導かれる。さらには、フィルタとミラーを混在させた素子(第2の光学素子)を用いて、露光光Lの波長を含む特定の波長の光を選択的に反射型マスク87に導入することも可能である。
【0022】
第1及び第2のミラー71A,71Bの反射面は、同図では平坦面であるが、凹面、凸面、非球面等の他の形状でもよい。第3及び第4のミラー71C,71Dの反射面は、同図では凹面であるが、平坦面、凸面、非球面等の他の形状でもよい。また、ミラー71A〜71Dの数は、同図では4枚であるが、6枚等でもよい。
【0023】
投影光学系8は、第1乃至第7のミラーM1〜M7を備える。第1乃至第7のミラーM1〜M7の反射面は、同図では凹面であるが、平坦面、凸面、非球面等の他の形状でもよい。ミラーM1〜M7の数は、同図では7枚であるが、4枚、8枚等でもよい。ミラーの枚数が少ない程、光の利用効率を高くすることができ、ミラーの枚数が多い程、NA(開口数)を大きくすることができる。本実施の形態の投影光学系8のNAは、例えば0.25、縮小倍率は、例えば1/4である。
【0024】
光電子検出器10は、投影光学系8内でウェーハWに近接する光学素子にEUV光Lが照射することにより発生する光電子を検出する。光電子検出器駆動ユニット20は、光電子検出器10が光学素子の面に沿った複数箇所で光電子を検出するよう光電子検出器10を走査する。光電子検出器10および光電子検出器駆動ユニット20の具体的構成については後に詳述する。
【0025】
検出信号処理部32は、光電子検出器10からの検出信号を処理して主制御部1に送る。本実施形態において、光電子検出器10、光電子検出器駆動ユニット20および検出信号処理部32は、例えば光電子検出手段に対応する。
【0026】
記憶装置MR1には、後述する実施形態の露光方法の手順が記述されたレシピファイルが格納され、主制御部1は、このレシピファイルを読み込んで露光を実行する。記憶装置MR2には、光学素子の座標情報が格納され、主制御部1は、光電子検出器10から送られた検出信号に座標情報を付加して面内光電子量分布データを作成し、表面状態分布作成部34に送る。表面状態分布作成部34は、記憶装置MR3に接続され、記憶装置MR3には光電子量と、光学素子に付着するコンタミネーションの厚さとの関係を記述したテーブルが格納される。
【0027】
表面状態分布作成部34は、記憶装置MR1内のテーブルを参照することにより、主制御部1から送られた面内光電子量分布データから光学素子表面におけるコンタミネーションの分布量を表す表面状態分布データを作成する。本実施形態において、主制御部1、記憶装置MR1〜MR3、および表面状態分布作成部34は、例えば面内分布情報作成手段に対応する。
【0028】
露光パラメータ調整部36は、本実施形態において例えば露光パラメータ調整手段に対応し、表面状態分布データを、ロット毎、または週もしくは月に一度など定期的に評価してコンタミネーション分布量が所定の閾値を上回る場合に、例えば光源5の強度を上昇させるよう指令信号を生成して露光ユニット80に送る。
【0029】
光電子検出器10の具体的構成について図2Aおよび図2Bを参照して説明する。図2Aにおいて、光電子検出器101は2つのミラーM2,M3とミラーM1との間に配置される。検出信号のS/Nを考慮すると、光電子検出器10は測定対象である光学素子の近傍に配置することが望ましい。しかしながら、例えばミラーM2,M3とミラーM1との間のクリアランスが狭い場合などは、図2Bに示すように、ミラーM2,M3とレジストLSとの間、即ち、ウェーハWの表面近傍に光電子検出器101を配置しても測定可能である。また、ダミーウェーハを使用する場合は、その表面に配置してもよい。
【0030】
光学素子の表面、図2Aに示す例ではミラーM1の表面に、カーボン系のレジスト脱離物質などでなるコンタミネーションが存在すると、ミラーM1表面の仕事関数が変化し、これにより、EUV光照射によって発生する光電子の数量が多くなる。このため、光電子検出器10での検出量も増加する。逆に、ミラーM1の表面内でコンタミネーションの付着が無い部分では光電子の検出量は少ない。図2Aに示す光電子検出器101は、位置分解能を有していない。そこで、光電子検出器10をミラーM1の表面に沿って走査することにより、ミラーM1表面の光電子量面内分布を測定することができる。なお、図2Aおよび図2Bは説明を容易にするため図1の紙面垂直方向において反対側(裏面側)から描画した図となっている。この点は、図4Aおよび図4Bにおいて同様である。
【0031】
図3は、光電子検出器駆動ユニット20による光電子検出器101の走査方法の一例を示す説明図である。光電子検出器駆動ユニット20は、主制御部1から駆動信号を送られて、図示しないアクチュエータにより、X方向リニアガイドLGXおよびY方向リニアガイドLGYに沿って光電子検出器101を移動させることにより、例えば図3の符号AR1に示す軌道を辿るように電子検出器101を走査する。
【0032】
図4Aは、位置分解能を有する光電子検出器103を配置した例である。光電子検出器103は、二次元方向にアレイ状に配設された光電子検出素子(図5参照)を有する。理論上は測定対象の光学素子の表面全てをカバーするよう光電子検出素子を配設すれば走査することなく一度で光電子を検出することが可能である。
【0033】
しかしながら、そのような大掛かりな検出器は露光装置の他の構成部材との配置関係から現実的ではなく、実際には図5に示すように、例えばY方向で3個分、X方向で4個分程度の走査が必要になる。この場合でも、上述した光電子検出器101と比較して測定時間を大幅に短縮することができる。また、二次元方向のみならず、例えばX方向に一列に配設するなどの一次元のライン検出器を使用しても測定時間の短縮が可能である。
【0034】
なお、特に図示しないが、Z方向のリニアガイドをさらに設けてZ方向にも移動可能な構成にすれば、例えば図4Bに示すように、ミラーM2,M3とレジストLSとの間、即ち、ウェーハWの表面近傍に光電子検出器103を移動させて測定することが可能である。この点は前述した光電子検出器101についても同様である。
【0035】
このように、本実施形態によれば、光電子検出器10により光学素子の光電子を検出して表面の面内光電子量分布データを作成し、さらに該面内光電子量分布データから光学素子表面におけるコンタミネーションの分布量を表す表面状態分布データを作成するので、露光量をきめ細かく監視しかつ、調整することができる。これにより、パターン寸法変動を抑制することができ、その結果、デバイスの歩留まりを向上させることができる。
【0036】
なお、上記実施形態では、表面状態分布データを評価する露光パラメータ調整部36を備え、評価結果に応じて露光ユニット80の露光パラメータをレシピファイルに従って調整する形態を取り挙げて説明したが、レシピファイルおよび露光パラメータ調整部36を備えることは特に必須の要件ではなく、例えばオペレータが表面状態分布データを評価して手動で露光パラメータを調整することとしてもよい。
【0037】
(2)第2の実施の形態
図6は、第2の実施の形態による露光装置の概略構成を示すブロック図である。図1との対比により明らかなように、本実施形態の露光装置は、図1の露光装置の構成に加えて、洗浄プロセス決定部38、洗浄制御部40、洗浄駆動機構42、洗浄機構50および記憶装置MR4をさらに備える。これらの洗浄プロセスE決定部38、洗浄制御部40、洗浄駆動機構42、洗浄機構50および記憶装置MR4は、本実施形態において、例えば洗浄手段に対応する。
【0038】
図7は、洗浄機構50の一例の主要部を示す正面図である。通常露光時には投影光学系8の外部に配置されている洗浄機構50が光学素子等の洗浄時に洗浄機構駆動ユニット42により光学素子のコンタミネーション付着領域の前、図7に示す例ではミラーM1のコンタミネーションCT1に吹出口P1〜P10が対向するように駆動されて移動する。
【0039】
記憶装置MR4は、光学素子の表面におけるコンタミネーションの量と洗浄ガスの濃度との関係、および、該コンタミネーション量と洗浄ガスの供給時間との関係を記述したテーブルを格納する。洗浄プロセス決定部38は、表面状態分布作成部34から表面状態分布データを送られて記憶装置MR4内のテーブルを参照することにより、洗浄プロセスを決定して洗浄制御部40に送る。洗浄プロセスには、洗浄のタイミングの他、洗浄ガスの供給時間やガス濃度がガス吹出口毎に決定される。
【0040】
洗浄制御部40は、送られた洗浄プロセスに規定された洗浄タイミングが到来すると、制御信号を生成して洗浄機構駆動ユニット42を制御して洗浄機構50を、洗浄対象である光学素子の近傍へ搬送する。洗浄制御部40はさらに、(図示しない)ガスボンベを選択してその供給弁を調整することにより、洗浄機構50の吹出口毎にガス濃度およいガス供給量を調整し、コンタミネーションの分布に応じた洗浄プロセスを実行する。
【0041】
図8は、従来の技術による洗浄プロセスを用いた場合の洗浄結果を説明する図である。従来は、ミラーM1上におけるコンタミネーションCTの分布状態に関係なく一律に洗浄ガスを吹き付けていたために、コンタミネーションCTが付着する領域と共に、コンタミネーションCTが付着していない領域についても洗浄プロセスに曝されてしまい、その結果、ミラーの表面を削ってしまう恐れがあった。
【0042】
図9は、本実施形態による洗浄プロセスとその結果の一例を説明する図である。図9の矢印の太さに示すように、本実施形態では、コンタミネーションCTの分布状態に応じてガス濃度または供給時間を変え、コンタミネーションCTの多い領域ではガス供給時間を長くし(もしくは吹き付け量を多くし)またはガス濃度を濃くすることによって洗浄を進める一方、コンタミネーションCTの少ない部分はガス供給量を減らし、またはガス濃度を薄くした。
【0043】
これにより、光学素子表面の劣化などを解消しつつ、コンタミネーション部分を確実に洗浄することができた。
【0044】
以上、実施の形態のいくつかについて説明したが、上記形態に限ることなく、種々変形して適用可能であることは勿論である。例えば、上述した実施形態では、光源の強度を調整することにより露光量を調整する場合を取り挙げたが、これに限ることなく、例えば反射率の異なる光学素子を複数用意し、レボルバー(図示せず)等を用いて回転させることにより、光学素子を交換することとしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1:主制御部
5:光源
7:照明光学系
8:投影光学系
10,101,103:光電子検出器
20:光電子検出器駆動ユニット
32:検出信号処理部
34:表面状態分布作成部
36:露光パラメータ調整部
38:洗浄プロセス決定部
40:洗浄制御部
42:洗浄機構駆動ユニット
50:洗浄機構
80:露光ユニット
87:反射型マスク
M1〜M7,71A〜71D:ミラー
MR1〜MR4:記憶装置
P1〜P10:洗浄ガス吹出口
W:ウェーハ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
EUV(Extreme Ultra Violet)光を発光し、パターンが作成された第1の基板に照射する光源と、
光学素子を有し、前記第1の基板から発せられる光束を縮小して第2の基板に照射することにより前記パターンを前記第2の基板に転写する縮小光学系と、
前記EUV光の照射により前記光学素子から発生する光電子を検出する光電子検出手段と、
前記光電子検出手段の検出信号と前記光学素子表面の座標情報とから前記光学素子表面の状態分布を表す面内分布情報を作成する面内分布情報作成部と、
を備える露光装置。
【請求項2】
前記面内分布情報を評価し、該評価結果から露光パラメータを調整する露光パラメータ調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記光学素子を洗浄する洗浄手段と、
前記面内分布情報を評価し、該評価結果から前記洗浄手段による前記光学素子の洗浄プロセスを決定する洗浄プロセス決定手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記洗浄手段は、前記光学素子の表面に向けてガスを吹き付ける複数のガス吹出口を有し、
前記洗浄プロセス決定手段は、前記面内分布情報に応じてガス吹出口毎に前記ガスの供給時間を設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の露光装置。
【請求項5】
前記洗浄手段は、前記光学素子の表面に向けてガスを吹き付ける複数のガス吹出口を有し、
前記洗浄プロセス決定手段は、前記面内分布情報に応じてガス吹出口毎に前記ガスの濃度を設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の露光装置。
【請求項6】
光源からのEUV(Extreme Ultra Violet)光をパターンが作成された第1の基板に照射し、前記第1の基板から発せられる光束を、光学素子を有する縮小光学系を通過させて縮小させ、第2の基板に照射することにより前記パターンを前記第2の基板に転写する露光装置を用いた露光方法であって、
前記EUV光の照射により前記光学素子から発生する光電子を前記光学素子の表面に沿った複数の箇所で検出する工程と、
検出された光電子と前記光学素子表面の座標情報とから前記光学素子表面の状態分布を表す面内分布情報を作成する工程と、
を備える露光方法。
【請求項7】
前記面内分布情報を評価し、該評価結果から露光パラメータを調整する工程をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の露光方法。
【請求項8】
前記露光装置は、前記光学素子を洗浄する洗浄手段を含み、
前記面内分布情報を評価し、該評価結果から前記光学素子の洗浄プロセスを決定する工程と、をさらに備えることを特徴とする請求項6または7に記載の露光方法。
【請求項9】
前記洗浄手段は、前記光学素子の表面に向けてガスを吹き付ける複数のガス吹出口を有し、
前記洗浄プロセスを決定する工程は、前記面内分布情報に応じてガス吹出口毎に前記ガスの供給時間を設定する工程を含むことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の露光方法。
【請求項10】
前記洗浄手段は、前記光学素子の表面に向けてガスを吹き付ける複数のガス吹出口を有し、
前記洗浄プロセスを決定する工程は、前記面内分布情報に応じてガス吹出口毎に前記ガスの濃度を設定する工程を含むことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の露光方法。
【請求項1】
EUV(Extreme Ultra Violet)光を発光し、パターンが作成された第1の基板に照射する光源と、
光学素子を有し、前記第1の基板から発せられる光束を縮小して第2の基板に照射することにより前記パターンを前記第2の基板に転写する縮小光学系と、
前記EUV光の照射により前記光学素子から発生する光電子を検出する光電子検出手段と、
前記光電子検出手段の検出信号と前記光学素子表面の座標情報とから前記光学素子表面の状態分布を表す面内分布情報を作成する面内分布情報作成部と、
を備える露光装置。
【請求項2】
前記面内分布情報を評価し、該評価結果から露光パラメータを調整する露光パラメータ調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記光学素子を洗浄する洗浄手段と、
前記面内分布情報を評価し、該評価結果から前記洗浄手段による前記光学素子の洗浄プロセスを決定する洗浄プロセス決定手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記洗浄手段は、前記光学素子の表面に向けてガスを吹き付ける複数のガス吹出口を有し、
前記洗浄プロセス決定手段は、前記面内分布情報に応じてガス吹出口毎に前記ガスの供給時間を設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の露光装置。
【請求項5】
前記洗浄手段は、前記光学素子の表面に向けてガスを吹き付ける複数のガス吹出口を有し、
前記洗浄プロセス決定手段は、前記面内分布情報に応じてガス吹出口毎に前記ガスの濃度を設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の露光装置。
【請求項6】
光源からのEUV(Extreme Ultra Violet)光をパターンが作成された第1の基板に照射し、前記第1の基板から発せられる光束を、光学素子を有する縮小光学系を通過させて縮小させ、第2の基板に照射することにより前記パターンを前記第2の基板に転写する露光装置を用いた露光方法であって、
前記EUV光の照射により前記光学素子から発生する光電子を前記光学素子の表面に沿った複数の箇所で検出する工程と、
検出された光電子と前記光学素子表面の座標情報とから前記光学素子表面の状態分布を表す面内分布情報を作成する工程と、
を備える露光方法。
【請求項7】
前記面内分布情報を評価し、該評価結果から露光パラメータを調整する工程をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の露光方法。
【請求項8】
前記露光装置は、前記光学素子を洗浄する洗浄手段を含み、
前記面内分布情報を評価し、該評価結果から前記光学素子の洗浄プロセスを決定する工程と、をさらに備えることを特徴とする請求項6または7に記載の露光方法。
【請求項9】
前記洗浄手段は、前記光学素子の表面に向けてガスを吹き付ける複数のガス吹出口を有し、
前記洗浄プロセスを決定する工程は、前記面内分布情報に応じてガス吹出口毎に前記ガスの供給時間を設定する工程を含むことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の露光方法。
【請求項10】
前記洗浄手段は、前記光学素子の表面に向けてガスを吹き付ける複数のガス吹出口を有し、
前記洗浄プロセスを決定する工程は、前記面内分布情報に応じてガス吹出口毎に前記ガスの濃度を設定する工程を含むことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の露光方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−64768(P2012−64768A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207988(P2010−207988)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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