説明

露光装置

【課題】マスクの大きさが基板上の露光対象領域に比して小さい露光装置において、基板の全面を均一に露光でき、隣接する露光領域間における継ぎムラの発生を防止できる露光装置を提供する。
【解決手段】光源4から出射された露光光をマスク2に導く光学系として、光源4からの出射光を平行光にするコンデンサレンズ6とこれを透過した露光光をマスク面にて入射光と同倍率で結像させるオフナー光学系8とが設けられている。コンデンサレンズ6からの結像面には可変ブラインド7が配置され、結像面において露光光内に介在するシャッタ72,73を有し、シャッタ72,73によりマスク面露光領域におけるスキャン方向に直交する方向の少なくとも一方の端縁をスキャン方向に傾斜するように整形する。そして、2回のスキャン露光にて、マスク面露光領域における傾斜した端縁が重なるように、露光光の整形を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の製造コストの低減及び高精度の露光を実現するためにマスクサイズを小型化した露光装置において、基板の全面を均一に露光でき、隣接する露光領域間における継ぎムラの発生を防止できる露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話及び携帯型情報端末等の機器に搭載される液晶表示装置は、テレビジョン等の大型の液晶表示装置と異なり、パネルが小型になると共に、パネルはより高精細であることが要求される。
【0003】
このような携帯型機器の液晶表示パネルを製造する際に使用される露光装置は、従来、高精細の露光のために、半導体装置の露光に使用されているステッパが使用されている。
【0004】
従来、ステッパにより携帯機器用の小型の液晶表示パネルを露光する際には、マスクのパターンを透過した光を、縮小光学系に透過された後、基板に照射する。この際、露光対象の基板は、例えば1.5m角の大型の基板であり、露光の際には、1又は複数枚の個別基板となる領域ごとに複数回露光される。そして、複数回の露光により個別基板となる領域の全てが露光された基板は、分割されて、複数枚のガラス基板が製造される。
【0005】
しかしながら、このステッパにおいては、1個の対物レンズにより露光される領域の大きさが決まっているため、1枚のガラス基板上に複数枚のパネルを作製する際、その対物レンズの露光領域の境界が、パネルの内部に位置する場合が生じる。そうすると、そのパネルにおいては、露光領域の境界を挟んで両側の領域が別のショットで露光されることになり、境界において、配線等の位置がずれてしまうという問題点がある。このため、この境界においては、配線パターンを太くしたり、端部を傾斜して形成してその傾斜部で重ねあわせる等の所謂「つぎ」の処理を行う必要がある。また、この「つぎ」の処理を施しても、この「つぎ」を施した部分が直線上に連なって、縞が生じてしまうことがあり、そうすると、この縞が生じたパネルについては、製品とならず、廃棄せざるを得ない。更に、露光パターンがこの「つぎ」の処理が困難なパターンの場合にも、露光領域の境界のパネルについては、製品とせずに廃棄することが必要になる。
【0006】
而して、マイクロレンズアレイを使用したスキャン露光装置も提案されている(特許文献1及び2)。マイクロレンズアレイは、複数個のマイクロレンズが2次元的に配置されたものであり、マスクと基板との間に配置される。このマイクロレンズアレイは、各マイクロレンズの焦点位置がマスク及び基板の位置となるように調節されているため、マスクに形成されたパターンの正立等倍像を基板に結像させることができ、露光光及びマイクロレンズアレイをマスク及び基板に対して相対的に1方向にスキャンすることにより、マスクに形成されたパターンを基板に帯状に転写していくことができる。しかしながら、従来のマイクロレンズアレイを使用した露光装置は、テレビジョン等の大型液晶表示装置用のパネルを露光するものであり、それをそのまま、携帯機器用の液晶表示装置に適用すると、携帯機器用の液晶表示パネルの場合は、パネルが小さく、また種々の大きさがあるため、製造効率が悪いという問題点がある。
【0007】
また、特許文献3の露光装置においては、マスクと基板との間に、凹面鏡及び凸面鏡からなるオフナー光学系を配置し、このオフナー光学系により、マスクのパターンが基板上に等倍で転写されるようになっている。
【0008】
特許文献4には、基板上の露光すべき領域を複数回に分けて各回異なるマスクで露光する露光装置が開示されており、隣接する露光領域同士は重ね合わせ露光することが開示されている。そして、この重ね合わせ露光する領域に照射される露光光の光量を他の領域と等しくするために、特許文献4の露光装置においては、露光光をマスクに導く光学系の光路上に絞りを設け、この絞りにより、基板に照射する露光光の光量を調節している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−102149号公報
【特許文献2】特開2008−197226号公報
【特許文献3】特開2008−263092号公報
【特許文献4】特開2000−321784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、携帯機器用の液晶表示パネルのように、高精細が要求されると共に、小型のパネルの場合、従来のステッパを使用すると、露光パターンの「つぎ」が必要となり、マイクロレンズアレイを使用すると、製造効率が悪いという問題点がある。
【0011】
図5は、マスクの大きさが基板上の露光対象領域に比して小さい従来の露光装置において、複数回の露光を行う工程を示す図である。従来の露光装置においては、マスク2の大きさに対応させたマイクロレンズアレイ(図示せず)を使用し、図5(a)に示すように、露光光及びマイクロレンズアレイをマスク2及び基板1に対して相対的に1方向(図5におけるスキャン方向21)にスキャンすることにより、マスク2のパターンを基板に転写している。そして、基板1に対するスキャン方向21への露光光のスキャンが終了したら、マスク2をシフト方向22にシフトするか、又はマスク2を他のパターンが設けられたものに取り換え、図5(b)に示すように、1回目のスキャンにより形成された露光領域1aに隣接する領域を露光することが行われている。
【0012】
このような露光装置においては、マスク2の取り付け精度不良又は移動後のマスク位置精度の不良等により、図5(b)に示すような未露光の領域1c又は過露光の領域が発生する継ぎムラが発生しやすいという問題点がある。
【0013】
特許文献4においては、露光対象領域を4個に分割し、各分割領域について1工程で露光し、4個の露光領域をつなぎ合わせて所定の露光対象領域の全域に露光パターンを形成している。そして、分割対象領域同士の境界部は重ね露光するようになっており、各露光工程においては、露光しつつ、その露光光量を絞りにより調節して、境界部の露光光量を低減することにより、境界部と内部との光量の均一化を図っている。このため、特許文献4においては、露光光の光量を制御する機構が複雑になるという問題点がある。なお、特許文献3に開示された露光装置においては、マイクロレンズアレイの代わりにオフナー光学系を使用しているが、この特許文献3においては、露光対象領域を分割した場合の隣接する露光領域間の継ぎムラの発生を防止できるものではない。
【0014】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、マスクの大きさが基板上の露光対象領域に比して小さい露光装置において、基板の全面を均一に露光でき、隣接する露光領域間における継ぎムラの発生を防止できる露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る露光装置は、露光光を出射する光源と、基板に露光すべきパターンが形成されたマスクと、前記光源から出射された露光光を前記マスクに導く光学系と、前記マスクと前記基板との間に配置され前記マスクの透過光が入射されることにより前記パターンの正立等倍像を前記基板上に結像させるマイクロレンズアレイと、前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記マスク及び前記基板に対して相対的に水平の第1方向及びこれに直交する第2方向に移動させる第1駆動装置と、を有し、前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記マスク及び前記基板に対して相対的に前記第1方向に移動させることにより、この第1方向に沿って前記パターンを前記基板上に転写する露光装置において、
前記光学系は、前記光源から出射された露光光を平行光にする第1光学系と、前記第1光学系からの露光光を前記マスク上に導きマスク面にて入射光と同倍率で結像させる第2光学系とを有し、
更に、
前記第1光学系からの露光光の結像面に配置され、前記結像面において前記露光光内に介在するシャッタを有し、このシャッタにより前記マスク面のマスク面露光領域における前記第2方向の少なくとも一方の端縁をその少なくとも一部が前記第1方向に対して傾斜するように整形する整形部材と、
前記シャッタを移動させて、前記マスク面露光領域における前記端縁の傾斜を変更する第2駆動装置と、
前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置を制御する制御装置と、
を有し、
前記制御装置は、
前記整形部材を所定位置に配置した後、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記マスク及び前記基板に対して相対的に前記第1方向に移動させて、マスクパターンを前記基板上にて第1のスキャン露光を行い、前記第2駆動装置により前記シャッタを移動させてマスク面露光領域における端縁の傾斜を変更し、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記第2方向に相対的に移動させた後、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記第1方向又はその逆方向に相対的に移動させて前記マスクパターンを前記基板上にて第2のスキャン露光を行い、
前記第1のスキャン露光と前記第2のスキャン露光にて、前記マスク面露光領域における傾斜した端縁の部分の露光が重なるように、前記整形部材による前記露光光の整形を制御することを特徴とする。なお、本発明における結像面とは、第1光学系の焦点位置である。そして、整形部材の位置における像は、第2光学系によりマスク面のマスク面露光領域に再結像する。
【0016】
本発明において、例えば前記整形部材の前記シャッタは、前記露光光の光軸に平行な軸の周りに回転可能であり、前記第2駆動装置は、前記シャッタを回転させて、前記シャッタによる前記マスク面露光領域の端縁の傾斜を変更するように構成することができる。また、例えば前記シャッタは、前記マスク面露光領域における前記第2方向の両端縁を整形するために、前記結像面に2組設けられており、前記第2駆動装置は、前記2組のシャッタを移動させてその位置を変更することができる。
【0017】
本発明において、例えば前記制御装置は、更に、前記第2のスキャン露光の後に、前記第2駆動装置により前記シャッタを移動させてマスク面露光領域における端縁の傾斜を変更し、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記第2方向に相対的に移動させた後、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記第1方向又はその逆方向に相対的に移動させて前記マスクパターンを前記基板上にて第3のスキャン露光を行うというようにして、スキャン露光を3回以上繰り返し、基板上の露光領域を3個以上の領域に分割して、各領域を個別にスキャン露光して、露光パターンを傾斜した前記端縁の部分でつなぎ合わせる。
【0018】
本発明に係る他の露光装置は、露光光を出射する光源と、基板に露光すべきパターンが形成されたマスクと、前記光源から出射された露光光を前記マスクに導く光学系と、前記マスクと前記基板との間に配置され前記マスクの透過光が入射されることにより前記パターンの正立等倍像を前記基板上に結像させるマイクロレンズアレイと、前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記マスク及び前記基板に対して相対的に水平の第1方向及びこれに直交する第2方向に移動させる第1駆動装置と、を有し、前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記マスク及び前記基板に対して相対的に前記第1方向に移動させることにより、この第1方向に沿って前記パターンを前記基板上に転写する露光装置において、
前記光学系は、前記光源から出射された露光光を平行光にする第1光学系と、前記第1光学系からの露光光を前記マスク上に導きマスク面にて入射光と同倍率で結像させる第2光学系とを有し、
更に、
前記第1光学系からの露光光の結像面に配置され、前記結像面において前記露光光内に介在するシャッタを有し、このシャッタにより前記マスク面のマスク面露光領域における前記第2方向の両端縁をその少なくとも一部が前記第1方向に対して傾斜するように整形する整形部材と、
前記第1駆動装置を制御する制御装置と、
を有し、
前記制御装置は、
前記整形部材を所定位置に配置した後、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記マスク及び前記基板に対して相対的に前記第1方向に移動させて、マスクパターンを前記基板上にて第1のスキャン露光を行い、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記第2方向に相対的に移動させた後、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記第1方向又はその逆方向に相対的に移動させて前記マスクパターンを前記基板上にて第2のスキャン露光を行い、
前記第1のスキャン露光と前記第2のスキャン露光にて、前記マスク面露光領域における傾斜した端縁の部分の露光が重なるように、前記整形部材による前記露光光の整形を制御することを特徴とする。
【0019】
この場合に、例えば前記制御装置は、更に、前記第2のスキャン露光の後に、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記第2方向に相対的に移動させた後、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記第1方向又はその逆方向に相対的に移動させて前記マスクパターンを前記基板上にて第3のスキャン露光を行うというようにして、スキャン露光を3回以上繰り返し、基板上の露光領域を3個以上の領域に分割して、各領域を個別にスキャン露光して、露光パターンを傾斜した前記端縁の部分でつなぎ合わせる。
【0020】
本発明に係る露光装置において、例えば、前記第1光学系は、前記光源から出射された露光光をその光軸に垂直な面内で均一化するフライアイレンズと、このフライアイレンズを透過した露光光を平行光にするコンデンサレンズにより構成されている。また、例えば、前記第2光学系は、2枚の凹面鏡及び1枚の凸面鏡からなるオフナー光学系を構成しており、前記整形部材により整形された露光光が、前記マスク上で、等倍で結像する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の露光装置は、光源から出射された露光光をマスクに導く光学系が、露光光を平行にする第1光学系と、第1光学系からの露光光をマスク上に導きマスク面にて入射光と同倍率で結像させる第2光学系とを有している。また、露光装置は、更に、第1光学系からの露光光の結像面において露光光内に介在するシャッタを有し、シャッタによりマスク面のマスク面露光領域における第2方向の少なくとも一方の端縁をその少なくとも一部がスキャン方向の第1方向に対して傾斜するように整形する整形部材と、シャッタを移動させて、マスク面露光領域における端縁の傾斜を変更する第2駆動装置と、を有している。そして、制御装置は、整形部材を所定位置に配置した後、第1駆動装置により光学系及び前記マイクロレンズアレイをマスク及び基板に対して相対的に第1方向に移動させて、マスクパターンを基板上にて第1のスキャン露光を行い、第2駆動装置によりシャッタを移動させてマスク面露光領域における端縁の傾斜を変更し、第1駆動装置により光学系及びマイクロレンズアレイを第2方向に相対的に移動させた後、第1駆動装置により光学系及びマイクロレンズアレイを第1方向又はその逆方向に相対的に移動させてマスクパターンを基板上にて第2のスキャン露光を行い、第1のスキャン露光と第2のスキャン露光にて、マスク面露光領域における傾斜した端縁の部分の露光が重なるように、整形部材による露光光の整形を制御する。即ち、本発明においては、基板上におけるマスク面露光領域の第1方向に対して傾斜した端縁に対応する部分は、第1のスキャン露光と第2のスキャン露光により、2回露光され、マスク面露光領域における傾斜した部分の露光が重なるように露光されることにより、この重ね合わせ露光される領域に照射される露光光の光量の総計は、マスク面露光領域のその他の領域に対応する領域に照射される露光光の光量と等しくなり、基板の全面を均一に露光できる。また、マスク面露光領域は、シャッタにより傾斜した端縁の部分が重なるように整形部材による露光光の整形が制御されるため、第1方向にスキャン露光することにより、基板上の隣接する露光領域間に継ぎムラが発生することを防止できる。
【0022】
本発明に係る他の露光装置は、上記整形部材がシャッタによりマスク面のマスク面露光領域における両端縁をその少なくとも一部がスキャン方向の第1方向に対して傾斜するように整形し、また、第2駆動装置は設けられていない。この露光装置において、制御装置は、整形部材を所定位置に配置した後、第1駆動装置により光学系及びマイクロレンズアレイをマスク及び前記基板に対して相対的に第1方向に移動させて、マスクパターンを基板上にて第1のスキャン露光を行い、第1駆動装置により光学系及びマイクロレンズアレイを第2方向に相対的に移動させた後、第1駆動装置により光学系及びマイクロレンズアレイを第1方向又はその逆方向に相対的に移動させてマスクパターンを基板上にて第2のスキャン露光を行い、第1のスキャン露光と第2のスキャン露光にて、マスク面露光領域における傾斜した端縁の部分の露光が重なるように、整形部材による露光光の整形を制御する。よって、上記と同様に、基板上におけるマスク面露光領域の第1方向に対して傾斜した端縁に対応する部分は、第1のスキャン露光と第2のスキャン露光により、2回露光され、マスク面露光領域における傾斜した部分の露光が重なるように露光されることにより、この重ね合わせ露光される領域に照射される露光光の光量の総計は、マスク面露光領域のその他の領域に対応する領域に照射される露光光の光量と等しくなり、基板の全面を均一に露光できる。また、マスク面露光領域は、シャッタにより傾斜した端縁の部分が重なるように整形部材による露光光の整形が制御されるため、第1方向にスキャン露光することにより、基板上の隣接する露光領域間に継ぎムラが発生することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係る露光装置を示す図、(b)は第1実施形態に係る可変ブラインドの構成を示す斜視図である。
【図2】(a),(b)は第1実施形態に係る可変ブラインドを使用した露光をその工程順に示す図である。
【図3】(a)乃至(c)は図2に比して基板の大きさが大きい場合の露光をその工程順に示す図である。
【図4】(a)は第2実施形態に係る可変ブラインドを示す平面図、(b),(c)は第2実施形態に係る可変ブラインドを使用した露光をその工程順に示す図である。
【図5】マスクの大きさが基板上の露光対象領域に比して小さい従来の露光装置において、複数回の露光を行う工程を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る可変ブラインドの変形例を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る可変ブラインドの変形例を示す平面図である。
【図8】(a),(b)は、本発明の実施形態に係る露光装置において、シャッタ部材の形状を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1(a)は本発明の実施形態に係る露光装置を示す図、図1(b)は第1実施形態に係る可変ブラインドの構成を示す斜視図、図2(a)及び図2(b)は第1実施形態に係る可変ブラインドを使用した露光をその工程順に示す図である。本実施形態に係る露光装置は、図1(a)に示すように、従来の露光装置と同様に、光源4から出射した露光光を、光学系によりマスク2へと導き、マスク2に形成されたパターンに透過させ、このマスク2の透過光をマイクロレンズアレイ3を介して基板1に照射することにより、マスク2に形成されたパターンの正立等倍像を基板1上に結像させる。
【0025】
マイクロレンズアレイ3は、複数個のマイクロレンズが2次元的に配置されたものであり、マスク2と基板1との間に配置されている。マイクロレンズアレイ3は、各マイクロレンズの焦点位置がマスク2及び基板1の位置になるように調節されているため、マスク2に形成されたパターンの正立等倍像を基板1に結像させることができ、露光光及びマイクロレンズアレイ3をマスク2及び基板1に対して相対的に1方向にスキャンすることにより、マスク2に形成されたパターンを基板1に帯状に転写していくことができる。
【0026】
本実施形態におけるマスク2は、基板1に対する大きさが小さく、1回のスキャン露光で基板1の全面を露光できない。本実施形態においては、光学系及びマイクロレンズアレイをマスク及び基板に対して相対的にスキャン方向(第1方向)及びこれに直交する第2方向に移動させる第1駆動装置(図示せず)が設けられ、後述する第2駆動装置76と共に、図示しない制御装置により制御されており、1回のスキャン露光が完了した後、第1駆動装置により光学系及びマイクロレンズアレイ3を、マスク2及び基板1に対して相対的にスキャン方向(第1方向)に直交する(第2)方向にシフトさせた後、再度、第1方向へのスキャン露光を行う。
【0027】
本発明においては、露光光をマスク2へと導く光学系は、光源4から出射された露光光を平行光にする第1光学系と、第1光学系からの露光光をマスク2上に導きマスク面にて入射光と同倍率で結像させる第2光学系とを有している。即ち、図1(a)に示すように、第1光学系は、例えば1枚のフライアイレンズ5及び2枚のコンデンサレンズ6により構成されており、フライアイレンズ5により、光源4から出射された露光光は、その光軸に垂直な面内で均一化され、2枚のコンデンサレンズ61,62により、フライアイレンズ5を透過した露光光は平行光となる。また、第2光学系は、例えば2枚の凹面鏡81,83及び1枚の凸面鏡82からなるオフナー光学系8を構成している。
【0028】
本実施形態においては、第1光学系からの露光光の結像面(第1光学系の焦点位置)に可変ブラインド7が配置されている。この可変ブラインド7が配置された第1光学系の焦点位置は、光軸に垂直な面内における露光光の強度分布が最も均一化された位置である。よって、この可変ブラインド7の透過光をオフナー光学系8により、マスク面露光領域に同倍率で結像させることにより、マスクへの入射光は、その強度分布が最も均一化された状態となる。
【0029】
図1(b)に示すように、可変ブラインド7は、枠体70の中央に光透過領域71が形成されており、その両端には、例えば露光光の光軸に平行な軸のまわりに回転可能なシャッタ72,73が設けられている。シャッタ72,73は、夫々、第2駆動装置76により回転駆動され、シャッタ72,73を回転させることにより、光透過領域71の端縁の一部が整形され、マスク面露光領域の端縁の傾斜が変更される。
【0030】
よって、図2(a)に示すように、シャッタ73(及びシャッタ72)を回転させることにより、マスク面露光領域の端縁がスキャン方向21に対して傾斜し、スキャン露光により、マスク面露光領域の傾斜した端縁に対応して基板上に照射される露光光の光量は、スキャン方向21に直交する第2方向に線形的に変化する。即ち、スキャン方向21に関して台形状の光透過領域71の端部の三角形部分を透過する露光光の光量は、隣接する矩形部分から三角形部分の先端にかけて線形的に減少する一方、矩形部分を透過する露光光の光量は均一となる。
【0031】
本実施形態においては、制御装置は、第2駆動装置76により、シャッタ72,73を回転させると共に、第1駆動装置により光学系及びマイクロレンズアレイ3を第2方向22に移動させることにより、複数回のスキャン露光にて、マスク面露光領域における傾斜した端縁の部分の露光が重なるように、可変ブラインド7による露光光の整形を制御する。
【0032】
次に、上述の如く構成された露光装置の動作について説明する。先ず、マスク2の下方の所定の露光光照射予定位置に露光対象の基板1が配置される。次に、制御装置は、第2駆動装置76により、シャッタをその回転軸周りに回転させて、マスク面露光領域における端縁の傾斜を変更する。本実施形態においては、マスク面露光領域の一方の端縁がスキャン方向21に平行となり、マスク面露光領域の他方の端縁がスキャン方向21に対して傾斜するように、制御装置は、第2駆動装置76を制御することにより、シャッタ72及びシャッタ73を所定の位置に配置する。
【0033】
この状態で、光源4から露光光を出射させる。光源4から出射された露光光は、先ず、フライアイレンズ5に入射する。そして、露光光は、碁盤の目状に配置されたフライアイレンズ5の複数個のレンズを透過することにより、光軸に垂直な面内で、その強度が均一化される。フライアイレンズ5の透過光は、2枚のコンデンサレンズ61,62に入射し、その透過光が平行光となる。
【0034】
コンデンサレンズ61,62の透過光は、第1光学系の焦点位置に配置された可変ブラインド7へと向かう。そして、シャッタ72,73により整形されなかった露光光が、光透過領域71を透過する。この可変ブラインド7が配置された第1光学系の焦点位置は、光軸に垂直な面内における露光光の強度分布が最も均一化された位置である。よって、可変ブラインド7を透過する露光光は、強度分布が最も均一化されている。
【0035】
その後、可変ブラインド7を透過した露光光は、2枚の凹面鏡81,83及び1枚の凸面鏡82からなるオフナー光学系8により反射され、マスク2上のマスク面露光領域に、可変ブラインド7の透過光が同倍率で結像される。よって、この結像された露光光の強度分布も、強度分布が最も好ましい状態である。
【0036】
本実施形態においては、シャッタ72,73により、マスク面露光領域の端縁の一方が、スキャン方向21に対して傾斜している。即ち、マスク面には、光軸に垂直の面における照射領域(光透過領域71)がシャッタ72,73により台形に整形された露光光が照射される。よって、この露光光とマイクロレンズアレイ3が基板1及びマスク2に対して相対的にスキャン方向21にスキャンしたとき、台形状の光透過領域71をスキャン方向21に垂直の方向に関して矩形領域と三角形領域とに分割したとき、矩形領域を透過した光は、基板1上において、露光の光量が均一になる一方、三角形部分を透過した光は、露光光のスキャンにより光透過領域71の三角形先端まで露光されるものの、その光量は、矩形部分から三角形部分の先端にかけて線形的に減少する。なお、図2(a)において、基板上の露光領域のうち、露光光量が均一な領域を光量均一領域1a、露光光量がスキャン方向21に直交する方向に連続的に変化する領域を光量変化領域1bとする。
【0037】
スキャン方向21に1回の露光が完了したら、第2駆動装置76は、シャッタ72,73を図2(a)の矢印方向に回転させることにより、マスク面露光領域における端縁の傾斜を変更する。即ち、第2駆動装置76は、シャッタ72の傾斜角度を1回目のスキャン露光におけるシャッタ73の傾斜角度と同一とし、シャッタ73に対応するマスク面露光領域の端縁をスキャン方向21に平行にする。
【0038】
その後、制御装置は、第1駆動装置により、光学系及びマイクロレンズアレイ3を基板1及びマスク2に対して第2方向に相対的に移動させる。このとき、第1駆動装置は、マスク面露光領域における傾斜した端縁の部分(三角形部分)の露光が重なるように、光学系及びマイクロレンズアレイ3をシフト方向22に移動させる。そして、再度、第1駆動装置により光学系及びマイクロレンズアレイ3をスキャン方向21又はその逆方向に相対的に移動させてマスクパターンを基板1上にて第2のスキャン露光を行う。これにより、第1のスキャン露光にて第2方向に露光の度合いが線形に分布していた光量変化領域1bにおいては、第2のスキャン露光により照射される露光光の光量の変化が、第1のスキャン露光の際とは逆になる光量変化領域として露光光が重ねて照射される。よって、図2(b)に示すように、この光量変化領域1bにおいても、光量均一領域1aと同様に光量が均一となり、基板1の全面が均一に露光される。
【0039】
このように、本実施形態においては、マスク面露光領域における傾斜した部分の露光が重なるように露光されることにより、シャッタ72,73により整形されてマスク面露光領域におけるスキャン方向21に対して傾斜した端縁の部分(三角形部分)に対応する基板1上の光量変化領域1bは、第1のスキャン露光と第2のスキャン露光により、2回露光され、この重ね合わせ露光される領域に照射される露光光の光量の総計は、シャッタ72,73により整形されないマスク面露光領域の矩形部分に対応する基板1上の光量均一領域1aに照射される露光光の光量と等しくなり、基板1の全面を均一に露光できる。また、マスク面露光領域は、シャッタにより傾斜した端縁の部分が重なるように整形部材による露光光の整形が制御されるため、スキャン方向21にスキャン露光することにより、隣接する露光領域間に継ぎムラが発生することを防止できる。
【0040】
なお、本実施形態においては、シャッタ72,73は、露光光の光軸に平行な軸の周りに回転可能に構成されているが、可変ブラインド7は、シャッタを移動させることにより、マスク面露光領域における第2方向の少なくとも一方の端縁をその少なくとも一部がスキャン方向に対して傾斜するように整形するように構成されていればよい。例えば、図6に黒矢印で示すように、シャッタ72,73は、夫々、アクチュエータ等により、露光光の光軸に垂直な面内でスライド可能に構成されている。即ち、シャッタ72,73が、アクチュエータ等により、図6における上下方向及び/又は左右方向にスライドされて、光透過領域71の端部におけるシャッタ72,73の位置が調節されることにより、光透過領域71の形状が矩形、5角形及び6角形等に成形され、マスク面には、この光透過領域の形状に対応するマスク面露光領域が形成される。また、例えば、本実施形態においては、2枚のシャッタ72,73により、マスク面露光領域の端縁を第1方向に対して傾斜させているが、2回のスキャン露光により基板の全面を露光できる場合においては、シャッタを1枚だけ設け、これを移動させることにより、マスク面露光領域の端縁をスキャン方向に対して傾斜するように整形してもよい。
【0041】
また、基板の大きさが大きい場合においては、図3(a)乃至(c)に示すように、3回以上の露光を繰り返すことにより、基板1の全面を露光することができる。即ち、図3(a)に示すように、スキャン方向21へのスキャン露光が完了したら、第2駆動装置76により、シャッタ72を図3(a)の矢印方向又はその反対側に回転させると共に、光源及びマイクロレンズアレイ3を基板1及びマスク2に対して相対的に第2方向に移動させ、また、必要に応じてマスク2を交換し、図3(b)に示すように、第2のスキャン露光を行う。即ち、第2のスキャン露光時においては、マスク面露光領域の形状は、平行四辺形となり、平行四辺形状の光透過領域71をスキャン方向21に垂直の方向に関して中央の矩形領域とその両端部の三角形領域とに分割したときに、第1駆動装置は、光学系及びマイクロレンズアレイ3を基板1及びマスク2に対して相対的にシフト方向22に移動させる際に、第1のスキャン露光時におけるマスク面露光領域の三角形部分による露光と第2のスキャン露光時におけるマスク面露光領域の一方の三角形部分による露光とが重なるように、光学系及びマイクロレンズアレイ3をシフト方向22に移動させる。第2のスキャン露光が完了したら、同様に、第2駆動装置76により、シャッタ73を図3(b)の矢印方向又はその反対側に回転させると共に、第1駆動装置により、光源及びマイクロレンズアレイ3を基板1及びマスク2に対して相対的に第2方向に移動させ、また、必要に応じてマスク2を交換し、図3(c)に示すように、第3のスキャン露光を行う。基板が更に大きい場合には、同様の工程を繰り返し行う。
【0042】
次に、本発明の第2実施形態に係る露光装置について説明する。図4(a)は第2実施形態に係る可変ブラインドを示す平面図、図4(b),図4(c)は第2実施形態に係る可変ブラインドを使用した露光をその工程順に示す図である。図4(a)に示すように、本実施形態においては、可変ブラインド7Aの両端部には、夫々、2枚のシャッタ(夫々シャッタ72及び74,シャッタ73及び75)が設けられており、夫々、第2駆動装置76に接続され、制御装置によりその回転角度が制御されている。この可変ブラインド7Aを使用した露光装置においては、可変ブラインド7Aの端部に設けられた2枚のシャッタにより、マスク面露光領域の第2方向の端部は、第1方向に対して、最大で2方向に傾斜した形状となるように構成されている。本実施形態においては、図4(a)に示すように、マスク面には、光軸に垂直の面における照射領域(光透過領域71)がシャッタ72,73により六角形に整形された露光光が照射される。よって、この露光光とマイクロレンズアレイ3が基板1及びマスク2に対して相対的にスキャン方向21にスキャンしたとき、六角形の光透過領域71をスキャン方向21に垂直の方向に関して中央の矩形領域とその両端部の三角形領域とに分割したとき、矩形領域を透過した光は、基板1上において、露光の光量が均一になる一方、三角形部分を透過した光は、露光光のスキャンにより光透過領域71の三角形先端まで露光されるものの、その光量は、矩形部分から三角形部分の先端にかけて線形的に減少する。
【0043】
このような露光装置においても、図4(b)、図4(c)に示すように、制御装置により、複数回のスキャン露光において、マスク面露光領域における傾斜した端縁の部分(三角形部分)の露光が重なるように、可変ブラインド7Aによる露光光の整形及び第1駆動装置によるシフト方向22へのシフトを制御することにより、第1実施形態と同様の高精度の露光を実現できる。即ち、シャッタ72及び74,シャッタ73及び75により整形されてマスク面露光領域におけるスキャン方向21に対して傾斜した端縁の部分(三角形部分)に対応する基板1上の光量変化領域1bは、第1のスキャン露光と第2のスキャン露光により、2回露光され、この重ね合わせ露光される領域に照射される露光光の光量の総計は、シャッタ72,73により整形されないマスク面露光領域の矩形部分に対応する基板1上の光量均一領域1aに照射される露光光の光量と等しくなり、基板1の全面を均一に露光できる。また、マスク面露光領域は、シャッタにより傾斜した端縁の部分が重なるように整形部材による露光光の整形が制御されるため、スキャン方向21にスキャン露光することにより、隣接する露光領域間に継ぎムラが発生することを防止できる。
【0044】
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様の変形を適用することができる。例えば、図7に黒矢印で示すように、シャッタ72,73,74,75は、夫々、アクチュエータ等により、露光光の光軸に垂直な面内でスライド可能に構成されている。即ち、シャッタ72,73等は、アクチュエータ等により、図7における上下方向及び/又は左右方向にスライドされて、光透過領域71の端部におけるシャッタ72,73等の位置が調節されることにより、光透過領域71の形状が矩形、5角形及び6角形等に成形され、マスク面には、この光透過領域の形状に対応するマスク面露光領域が形成される。
【0045】
以上説明した実施形態に係る露光装置において、露光光の光路上に介在し、露光光の形状を整形する可変ブラインド7,7Aは、シャッタの縁部が光軸方向に傾斜していることが好ましい。図8(a)は、図2(a)に示す可変ブラインド7を示すA−A断面図である。図8(a)に部分Bで示すように、このシャッタ72,73は、露光光側の縁部が最も幅広に設けられており、光軸方向にシャッタの幅が徐々に狭くなるように設けられている。シャッタをこのような形状で設けることにより、平行光で可変ブラインド7に入射した露光光は、シャッタにより整形された後、直進性を損なうことなく、平行光として透過されやすくなる。また、第2実施形態のように、シャッタを2枚ずつ設ける場合においては、図8(b)に部分Cで示すように、露光光側のシャッタ74,75は、露光光側を最も幅狭に設け、光軸方向にシャッタの幅を徐々に広く設けることにより、平行光で可変ブラインド7に入射した露光光は、シャッタにより整形された後、直進性を損なうことなく、平行光として透過されやすくなる。
【符号の説明】
【0046】
1:基板、2:マスク、3:マイクロレンズアレイ、4:光源、5:フライアイレンズ、6:コンデンサレンズ、7,7A:可変ブラインド、8:オフナー光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光光を出射する光源と、基板に露光すべきパターンが形成されたマスクと、前記光源から出射された露光光を前記マスクに導く光学系と、前記マスクと前記基板との間に配置され前記マスクの透過光が入射されることにより前記パターンの正立等倍像を前記基板上に結像させるマイクロレンズアレイと、前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記マスク及び前記基板に対して相対的に水平の第1方向及びこれに直交する第2方向に移動させる第1駆動装置と、を有し、前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記マスク及び前記基板に対して相対的に前記第1方向に移動させることにより、この第1方向に沿って前記パターンを前記基板上に転写する露光装置において、
前記光学系は、前記光源から出射された露光光を平行光にする第1光学系と、前記第1光学系からの露光光を前記マスク上に導きマスク面にて入射光と同倍率で結像させる第2光学系とを有し、
更に、
前記第1光学系からの露光光の結像面に配置され、前記結像面において前記露光光内に介在するシャッタを有し、このシャッタにより前記マスク面のマスク面露光領域における前記第2方向の少なくとも一方の端縁をその少なくとも一部が前記第1方向に対して傾斜するように整形する整形部材と、
前記シャッタを移動させて、前記マスク面露光領域における前記端縁の傾斜を変更する第2駆動装置と、
前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置を制御する制御装置と、
を有し、
前記制御装置は、
前記整形部材を所定位置に配置した後、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記マスク及び前記基板に対して相対的に前記第1方向に移動させて、マスクパターンを前記基板上にて第1のスキャン露光を行い、前記第2駆動装置により前記シャッタを移動させてマスク面露光領域における端縁の傾斜を変更し、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記第2方向に相対的に移動させた後、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記第1方向又はその逆方向に相対的に移動させて前記マスクパターンを前記基板上にて第2のスキャン露光を行い、
前記第1のスキャン露光と前記第2のスキャン露光にて、前記マスク面露光領域における傾斜した端縁の部分の露光が重なるように、前記整形部材による前記露光光の整形を制御することを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記整形部材の前記シャッタは、前記露光光の光軸に平行な軸の周りに回転可能であり、前記第2駆動装置は、前記シャッタを回転させて、前記シャッタによる前記マスク面露光領域の端縁の傾斜を変更することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記シャッタは、前記マスク面露光領域における前記第2方向の両端縁を整形するために、前記結像面に2組設けられており、前記第2駆動装置は、前記2組のシャッタを移動させてその位置を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記制御装置は、更に、前記第2のスキャン露光の後に、前記第2駆動装置により前記シャッタを移動させてマスク面露光領域における端縁の傾斜を変更し、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記第2方向に相対的に移動させた後、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記第1方向又はその逆方向に相対的に移動させて前記マスクパターンを前記基板上にて第3のスキャン露光を行うというようにして、スキャン露光を3回以上繰り返し、基板上の露光領域を3個以上の領域に分割して、各領域を個別にスキャン露光して、露光パターンを傾斜した前記端縁の部分でつなぎ合わせることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項5】
露光光を出射する光源と、基板に露光すべきパターンが形成されたマスクと、前記光源から出射された露光光を前記マスクに導く光学系と、前記マスクと前記基板との間に配置され前記マスクの透過光が入射されることにより前記パターンの正立等倍像を前記基板上に結像させるマイクロレンズアレイと、前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記マスク及び前記基板に対して相対的に水平の第1方向及びこれに直交する第2方向に移動させる第1駆動装置と、を有し、前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記マスク及び前記基板に対して相対的に前記第1方向に移動させることにより、この第1方向に沿って前記パターンを前記基板上に転写する露光装置において、
前記光学系は、前記光源から出射された露光光を平行光にする第1光学系と、前記第1光学系からの露光光を前記マスク上に導きマスク面にて入射光と同倍率で結像させる第2光学系とを有し、
更に、
前記第1光学系からの露光光の結像面に配置され、前記結像面において前記露光光内に介在するシャッタを有し、このシャッタにより前記マスク面のマスク面露光領域における前記第2方向の両端縁をその少なくとも一部が前記第1方向に対して傾斜するように整形する整形部材と、
前記第1駆動装置を制御する制御装置と、
を有し、
前記制御装置は、
前記整形部材を所定位置に配置した後、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記マスク及び前記基板に対して相対的に前記第1方向に移動させて、マスクパターンを前記基板上にて第1のスキャン露光を行い、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記第2方向に相対的に移動させた後、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記第1方向又はその逆方向に相対的に移動させて前記マスクパターンを前記基板上にて第2のスキャン露光を行い、
前記第1のスキャン露光と前記第2のスキャン露光にて、前記マスク面露光領域における傾斜した端縁の部分の露光が重なるように、前記整形部材による前記露光光の整形を制御することを特徴とする露光装置。
【請求項6】
前記制御装置は、更に、前記第2のスキャン露光の後に、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記第2方向に相対的に移動させた後、前記第1駆動装置により前記光学系及び前記マイクロレンズアレイを前記第1方向又はその逆方向に相対的に移動させて前記マスクパターンを前記基板上にて第3のスキャン露光を行うというようにして、スキャン露光を3回以上繰り返し、基板上の露光領域を3個以上の領域に分割して、各領域を個別にスキャン露光して、露光パターンを傾斜した前記端縁の部分でつなぎ合わせることを特徴とする請求項5に記載の露光装置。
【請求項7】
前記第1光学系は、前記光源から出射された露光光をその光軸に垂直な面内で均一化するフライアイレンズと、このフライアイレンズを透過した露光光を平行光にするコンデンサレンズにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項8】
前記第2光学系は、2枚の凹面鏡及び1枚の凸面鏡からなるオフナー光学系を構成しており、前記整形部材により整形された露光光が、前記マスク上で、等倍で結像することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−54315(P2013−54315A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194298(P2011−194298)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)
【Fターム(参考)】