説明

静電容量型スイッチ装置

【課題】静電容量型スイッチ部の入力検出時以外はパワーダウンモードに移行することにより、消費電力を抑える。
【解決手段】静電容量型スイッチ部2aの下にオン・オフスイッチ部7aを設けるか、ITO膜またはポリマ等の透明電極に用いたPETフィルムを第1電極とし、その下部にITO膜またはポリマ等の透明な第2電極を設け、その第1電極と第2電極でオン・オフスイッチ部を構成し、該スイッチ部7aのオン信号により割り込み信号を発生し、該割り込み信号を受けてCPUがパワーダウンモードから起動復帰する。起動復帰したCPUは、静電容量スイッチ部2aの検出動作の開始と同時にタイマーを起動し、予め定めた時間内に入力が検出されない場合はパワーダウンモードに移行する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の操作パネルに使用される静電容量方式を採用した静電容量型スイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機器を操作するための操作ボタンは、機械的なスイッチから平面型のメンブレンスイッチ等が多用されてきたが、デザイン面からLEDの光で直接操作ボタンを光らせることが可能な、透明電極を使用した静電方式のスイッチが使われ始めている。
【0003】
また、携帯端末等では液晶画面上に静電方式のタッチパネルが搭載され、抵抗膜方式では実用化されなかったマルチタッチ入力が実用化されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デザイン面が優先される電子機器の操作パネルは、従来のオン・オフスイッチから、高級感が感じられる静電型スイッチが主流になりつつある。しかし、従来のオン・オフスイッチと異なり、常に検出回路が動作状態にあり携帯端末の操作パネルでは電力消費が問題となり、従来の電源スイッチと兼用しなければならず、デザイン上問題となっていた。また、デザインを優先すると常時検出回路が動作しているため、無駄な電力消費を無くすことができなかった。
【0005】
また、近年では電力消費を抑えるためスイッチの検出周期を遅らせて電力消費を軽減させる方法も実用化されているが、検出周期が長いため速いタッチの場合には検出ができない等の問題が指摘されている。
【0006】
従って、本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、静電容量スイッチ装置において入力の無い場合は、検出回路をパワーダウンモードに移行し電力消費を抑え、検出時は検出周期を遅らせることなく常に最適な周期でスイッチ入力を検出することができる静電容量スイッチ装置を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の静電容量スイッチ装置は、静電容量型スイッチ部の下にオン・オフ型のスイッチ部を設けるか、ITO膜またはポリマ等の透明電極を用いたPETフィルムを第1電極とし、その下部にITO膜またはポリマ等の透明な第2電極を設け、その第1電極と第2電極でオン・オフスイッチ部を構成し、該スイッチ部のオン信号により駆動回路部を起動し、静電容量スイッチ部の検出動作の開始と同時にタイマーを起動し、予め定めた時間内に入力が検出されない場合はパワーダウンモードに移行することを特徴とした静電容量型スイッチ装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、静電容量スイッチ装置はオン・オフスイッチまたは、第1電極と第2電極から構成されるオン・オフスイッチのオン信号による割り込み信号をCPUに与えることによりパワーダウンモードから起動復帰する。起動復帰したCOUは静電容量型スイッチ部の第1電極の入力検出動作を予め定めた周期と回数で開始する。同時にタイマーをスタートする。予め定めた時間内に静電容量スイッチ部の入力が検出されない場合はタイマーのタイムアウト信号により再びパワーダウンモードに移行する。
【0009】
このように静電容量型スイッチ部の他にオン・オフスイッチを設けることで、パワーダウンモードからの起動復帰が可能となり、静電容量型スイッチ部の入力検出時以外はパワーダウンモードに移行することにより無駄な電力消費を抑えることができる。また、静電容量スイッチ部の入力検出以外はパワーダウンモードにあるため、ノイズによる誤検出を軽減する効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の静電容量スイッチの第1の構成図である。
【図2】本発明の静電容量スイッチの第2の構成図である。
【図3】従来の静電容量スイッチの構成図である。
【図4】本発明の静電容量スイッチ部13aと駆動回路部20のブロック図である。
【図5】本発明の静電容量スイッチ部13bと駆動回路部20のブロック図である。
【図6】本発明の静電容量スイッチ部13bと駆動回路部20の他のブロック図である。
【図7】本発明の静電容量スイッチ部13cと駆動回路部20のブロック図である。
【図8】本発明のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
図3は従来の静電容量型スイッチ装置で、成型品、アクリルまたはガラス等の誘電体の裏面に印刷あるいはアルミ蒸着等で化粧をしたパネル1cと、ポリマの印刷またはITO膜を蒸着した第1電極2c及びその電極を引き出す銀ペーストの配線を印刷した第1電極シート5cと、スイッチ操作のオン・オフにより電極エリアを照光するLED3cを具備するLEDシート6cから構成される。
【0012】
パネルおよび各シートは透明な両面テープや印刷糊等で接着される。また、LED等のように高さ調整が必要な部品はPETフィルム等の第1スペーサ4cで調整する。
【0013】
図1は本発明の一実施例で、図3の実施例の下にオン・オフスイッチ7aとそのオン・オフスイッチ7aの配線を印刷したスイッチシート8aで、オン・オフスイッチ7aの高さ調整およびスイッチ動作を補助する柔らかな第2スペーサ9aを設けた構成である。
【0014】
図2は、本発明の他の実施例で図1の構成を簡略化したもので、図1のオン・オフスイッチ7aの替わりに静電容量電極とオン・オフスイッチを兼用する第1電極2bと第2電極10b間でオン・オフスイッチを構成したもので、第3電極シート12bに印刷された第1電極2bと第2電極10bを対面になるよう曲げることにより、オン・オフスイッチを簡単に構成することができる。また、第3スペーサ11bによりオン・オフのストロークを調整することができる。
【0015】
図4は、図1の構成による静電容量型スイッチパネル部13aと駆動回路部20が、コネクタ33を通して接続された図である。
【0016】
駆動回路部20は電源のオンによるリセット後、初期化モードに移行する。メモリ等の初期化終了後、セットアップモードに移行し、I/O25を通して抵抗アレー27と接続された第1電極2bを予め定められた周期と回数でスキャンを始め、無入力時の静電容量の時定数をFlashRAM23に記憶する。一般に複数回スキャンすることで、その平均値を計算したものを記憶する。
【0017】
FlashuRAM23のデータ更新が終了すると入力待ちとなり、第1電極2aを予め定められた周期と回数でスキャンを開始し、入力が検知された場合は入力情報処理を規定回数に達するまで行い、その入力情報を情報処理した後OUT25を通して外部回路に出力するとともにタイマー24をリセットする。
【0022】
タイマー24のリセット後、第1電極2bを予め定めた周期と回数でI/O26を通してスキャンを開始し再度タイマー24をスタートさせる。タイマー24に設定された予め定めた時間が経過しても入力が検知されない場合は、パワーダウンモードに移行する。
【0018】
図5、図6は、本発明の図1、図2の構成による一実施例で、静電容量型スイッチパネル部13bと駆動回路部20のブロック図が、コネクタ33を通して接続されたもので、この図5、図6の動作を図8のフローチャートで説明する。
【0019】
電源がオンされると駆動回路20はリセット後、初期化モードに移行する。メモリ等の初期化終了後、セットアップモードに移行し、I/O25を通して抵抗アレー27と接続された第1電極2bを予め定められた周期と回数でスキャンを始め、無入力時の静電容量の時定数をFlashRAM23に記憶する。
【0020】
FlashuRAM23のデータ更新が終了すると、入力検知モードに移行し電子スイッチ素子32をオープンにする。この電子スイッチ素子のオープンは静電容量検出に第2電極10bの影響を少なくするためである。
【0021】
次にタイマー24をスタートさせ、第1電極2bを予め定められた周期と回数でスキャンを開始し、入力が検知された場合は入力情報処理を規定回数に達するまで行い、その入力情報処理された情報をOUT25を通して出力するとともにタイマー24をリセットする。
【0022】
タイマー24のリセット後、再度タイマー24をスタートさせ、第1電極2bを予め定めた周期と回数でI/O26を通してスキャンを開始する。予め定めた時間が経過しても入力が検知されない場合は、電子スイッチ素子32をクローズに切り替え後、パワーダウンモードに移行する。
【0023】
パワーダウンモードに移行したCPU21は、第1電極2bと第2電極10bがオンすることで、抵抗アレー28と抵抗30で分圧された電圧が電子スイッチ素子32を通してインバータ31に入力される。インバータ31の出力が割り込み検出回路INT27に入力されることでCPU21への割り込みが発生する。
【0024】
割り込み信号を受けたCPU21は起動復帰すると、入力検知モードに移行しI/O25を通して電子スイッチ素子32をオープンにする。このオープンにより第2電極10bは浮遊状態となり、第1電極2bへの影響を小さくすることができる。それでも、この第2電極10cの影響が大きい場合は図6に示すように、第2電極10cを各々コネクタ33に引き出し、電子スイッチ素子32を各引き出し線に接続することで、影響をさらに小さくすることもできる。
【0025】
その後、CPU21はタイマー24をスタートさせるとともに、予め定めた周期と回数で入力検知のスキャンを開始し、予め定めた時間内に入力が検知されない場合は、電子スイッチ素子32をクローズに切り替えた後、再びパワーダウンモードに移行する。
【0026】
以上、本発明を実施例により説明したが、被検知物体の検出方法として、その発振周波数を測定する方法、R C充放電回路を構成してその充電時間あるいは放電時間を計測する方法等も本発明の主旨の範囲内であり、これらを本発明から排除するものではない。
【符号の説明】
【0027】
1 パネル
2 第1電極
3 LED
4 第1スペーサ
5 第1電極シート
6 LEDシート
7 オン・オフスイッチ
8 スイッチシート
9 第2スペーサ
10 第2電極
11 第3スペーサ
12 第3電極シート
13 静電容量型スイッチパネル部
20 駆動回路部
21 CPU
22 RAM
23 Flash RAM
24 タイマー
25 OUT
26 I/O
27 INT
28 抵抗アレー1
29 抵抗アレー2
30 分圧抵抗
31 インバータ素子
32 スイッチ素子
33 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルに成型品、アクリルまたはガラスを使用し、ITO膜またはポリマ等の透明電極を用いたPETフィルムとその下部に照光用LEDを具備した静電容量型スイッチ部と、該静電容量型スイッチ部の容量変化を検出するための検出手段を具備した静電容量型スイッチ装置において、該静電容量型スイッチ部の下部にオン・オフのスイッチ部を設けたことを特徴とした静電容量型スイッチ装置。
【請求項2】
上記、請求項1の静電容量型スイッチ装置において、パネル操作によるオン・オフ型スイッチのオンによりパワーダウンモードから起動復帰する手段と、起動復帰後タイマーをスタートさせ、予め定めた時間内に静電容量スイッチ部の入力検出ができない場合は、パワーダウンモードに移行することを特徴とした静電容量型スイッチ装置。
【請求項3】
パネルに成型品、アクリルまたはガラスを使用し、ITO膜またはポリマ等の透明電極に用いたPETフィルムを第1電極とし、該第1電極の容量変化を検出するための検出手段を具備した静電容量型スイッチ部において、その第1電極の下部にITO膜またはポリマ等の透明な第2電極を設け、その第1電極と第2電極でオン・オフスイッチを構成し、第1電極と第2電極の下部に照光用LEDを具備したことを特徴とした静電容量型スイッチ装置。
【請求項4】
上記、請求項3の静電容量型スイッチ装置において、パネル操作による第1電極と第2電極のスイッチオンによりパワーダウンモードから起動復帰する手段と、起動復帰後第2電極を浮遊状態に移行させるとともに、タイマーをスタートさせ、予め定めた時間内に静電容量スイッチ部の入力検出ができない場合は、パワーダウンモードに移行することを特徴とした静電容量型スイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−221939(P2012−221939A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97616(P2011−97616)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(510112176)株式会社三興ネーム (3)
【Fターム(参考)】