静電容量式接触検知装置
【課題】キーレスエントリーシステムを搭載した車両において、ドアハンドル上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知するのを防止することができる静電容量式接触検知装置の提供。
【解決手段】車両外側のドアハンドルの表面にユーザが接触するとその接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、ドアハンドルに設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される静電容量センサと、静電容量センサにおける静電容量変化に基づき、ユーザがドアハンドルの表面に接触したことを検知する検知部とを備え、静電容量センサは、センサ電極のドアパネルに近い部分における接触検知感度が、センサ電極のドアパネルから遠い部分における接触検知感度よりも低いことを特徴とする。
【解決手段】車両外側のドアハンドルの表面にユーザが接触するとその接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、ドアハンドルに設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される静電容量センサと、静電容量センサにおける静電容量変化に基づき、ユーザがドアハンドルの表面に接触したことを検知する検知部とを備え、静電容量センサは、センサ電極のドアパネルに近い部分における接触検知感度が、センサ電極のドアパネルから遠い部分における接触検知感度よりも低いことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式接触検知装置に関し、より詳しくは、キーレスエントリーシステムを搭載した車両において、ドアハンドル上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知するのを防止することができる静電容量式接触検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、キーレスエントリーシステムを搭載した車両における、従来のドアハンドルについて図面を参照しつつ説明する。
図11は、従来のドアハンドルを示す斜視図である。
【0003】
近年、自動車のドアの施錠開錠をキー操作なしで行うことができるキーレスエントリーシステムが自動車に装備されることが多くなっている。キーレスエントリーシステムは、車内に設けられた認証部と、ユーザが所持する携帯機と、車両外側のドアハンドル100に設けられユーザがドアハンドル100に接触するとその接触を検知する静電容量式タッチセンサと、ドアの施錠を行う施錠部と、ドアの開錠を行う開錠部とを備えている。図11において、符号104は、ドアパネル外面に形成された凹部である。
【0004】
静電容量式タッチセンサは、図11に示されるように、施錠用センサ電極101と、開錠用センサ電極103と、検知部(図示せず)とを含む。検知部は、施錠用センサ電極101からの信号に基づき、施錠のためにユーザがドアハンドル100の上面に接触したことを検知する。また、検知部は、開錠用センサ電極103からの信号に基づき、開錠のためにユーザがドアハンドル100の握り部105の裏側側面に接触したことを検知する。施錠用センサ電極101は、ドアハンドル100の上側部分に内蔵されている。また、開錠用センサ電極103は、ドアハンドル100の握り部105の裏側側部に内蔵されている。
【0005】
このシステムの動作について説明する。まず、開錠時の動作について図11を参照しつつ説明する。携帯機を所持するユーザが車両に接近すると、認証部が携帯機と通信を行い、ユーザの認証を行う。認証部がユーザを正当なユーザであると認証し、かつ、ユーザがドアハンドル100の握り部105を握ってその裏側側面に接触したことを検知部が検知すると、開錠部がドアの開錠を行う。
【0006】
次に、施錠時の動作について説明する。携帯機を所持するユーザが車外に出ると、認証部が携帯機と通信を行い、ユーザの認証を行う。認証部がユーザを正当なユーザであると認証し、かつ、ユーザがドアを閉めた後ドアハンドル100の上面にユーザが接触したことを検知部が検知すると、施錠部がドアの施錠を行う。
【0007】
このように、キーレスエントリーシステムは、ユーザがキー操作しなくても、ユーザがドアハンドル100に触れるだけでドアの開錠及び施錠を行うので、ドアの開錠及び施錠が容易になる。
【0008】
しかしながら、上記したキーレスエントリーシステムには、以下のような問題があった。すなわち、雨が降ると雨水がドアハンドル100の上面とドアパネルの境界部分に溜まることがある。雨水がドアハンドル100の上面とドアパネルの境界部分に溜まると、導体である雨水が施錠用センサ電極101の相手側電極となって施錠用センサ電極101付近の静電容量が増加し、検知部はユーザがドアハンドル100の上面に接触したと誤検知することがあった。そうすると、ユーザがドアハンドル100に接触していないにも拘わらず、ユーザの意に反してドアが施錠されてしまうという問題があった。
【0009】
特許文献1に記載のドア用タッチセンサは、ドアハンドルの側部に施錠用センサ電極を設けたものであるが、この施錠用センサ電極をドアハンドルの上側部分に設けると、図11に示した場合と同様の問題が生じる可能性があった。
【特許文献1】特開2005−139634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、キーレスエントリーシステムを搭載した車両において、ドアハンドル上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知するのを防止することができる静電容量式接触検知装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る静電容量式接触検知装置は、
車両外側のドアハンドルの表面にユーザが接触するとその接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
上記ドアハンドルに設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される静電容量センサと、
上記静電容量センサにおける静電容量変化に基づき、ユーザが上記ドアハンドルの表面に接触したことを検知する検知部とを備え、
上記静電容量センサは、上記センサ電極のドアパネルに近い部分における接触検知感度が、上記センサ電極のドアパネルから遠い部分における接触検知感度よりも低いことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、静電容量センサは、センサ電極のドアパネルに近い部分における接触検知感度が、センサ電極のドアパネルから遠い部分における接触検知感度よりも低い。雨水は、ドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に溜まり易い。従って、本発明は、ドアパネルに近い部分における接触検知感度を低くすることにより、ドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知するのを防止することができる。
また、本発明は、センサ電極のドアパネルから遠い部分における接触検知感度は高いままであるので、ユーザがドアハンドルに接触したときにはその接触を高感度で検知することができる。なお、センサ電極のドアパネルから遠い部分は、ドアハンドルにおいてユーザが接触しやすい部分に対応する位置にある。
【0013】
本発明においては、
上記センサ電極は、上記ドアパネルに近い部分に切欠部が形成されていることが好ましい。
【0014】
導体である雨水がドアハンドルとドアパネルの境界部分に付着すると、雨水はセンサ電極の相手側電極となる。センサ電極のドアパネルに近い部分に切欠部が形成されている場合、センサ電極は、ドアパネルに近い部分において、相手側電極(すなわち雨水)と対向する面積が小さくなる。よって、ドアパネルに近い部分において、静電容量の式:C=ε・(S/d)における面積Sが小さくなり、静電容量変化ΔCも小さくなる。これにより、静電容量センサの接触検知感度がドアパネルに近い部分において低下する。よって、本発明は、ドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知するのを防止することができる。
なお、切欠部の数は特に限定されないが、複数個の切欠部がセンサ電極のドアパネルに近い部分に満遍なく形成されていることが好ましい。また、切欠部の形状は特に限定されないが、例えば、スリット状、丸形貫通孔、四角形貫通孔とすることができる。複数本のスリットを互いに平行に形成する場合には、ドアパネルに近い部分が櫛歯状となる。
【0015】
本発明においては、
上記センサ電極は、上記ドアハンドルの筐体内に収容されており、
上記筐体は、上記センサ電極付近において、上記ドアパネルに近い部分の厚みが、上記ドアパネルから遠い部分の厚みよりも大きいことが好ましい。
【0016】
導体である雨水がドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に付着すると、雨水はセンサ電極の相手側電極となる。筐体のドアパネルに近い部分の厚みが、筐体のドアパネルから遠い部分の厚みよりも大きい場合、センサ電極のドアパネルに近い部分と相手側電極(すなわち雨水)との距離は、センサ電極のドアパネルから遠い部分と相手側電極(すなわち雨水)との距離に比べて大きくなる。よって、センサ電極のドアパネルに近い部分において、静電容量の式:C=ε・(S/d)における距離dが大きくなり、静電容量変化ΔCが小さくなる。これにより、静電容量センサの接触検知感度がドアパネルに近い部分において低下する。よって、本発明は、ドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知するのを防止することができる。
【0017】
本発明においては、
上記センサ電極は、上記ドアハンドルの筐体内に収容されており、
上記筐体は、上記センサ電極付近において、上記ドアパネルに近い部分の誘電率が、上記ドアパネルから遠い部分の誘電率よりも小さいことが好ましい。
【0018】
導体である雨水がドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に付着すると、雨水がセンサ電極の相手側電極となる。筐体のドアパネルに近い部分の誘電率が、筐体のドアパネルから遠い部分の誘電率よりも小さい場合、筐体のドアパネルに近い部分において、静電容量の式:C=ε・(S/d)における誘電率εが小さくなり、静電容量変化ΔCが小さくなる。これにより、静電容量センサの接触検知感度がセンサ電極のドアパネルに近い部分において低下する。よって、本発明は、ドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知するのを防止することができる。
【0019】
本発明に係る静電容量式接触検知装置は、
車両外側のドアハンドルの表面にユーザが接触するとその接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
上記ドアハンドルのドアパネルに近い部分に設けられた第1のセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される第1の静電容量センサと、
上記ドアハンドルのドアパネルから遠い部分に設けられた第2のセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される第2の静電容量センサと、
以下の式(1)から求まる総静電容量変化ΔCに基づき、ユーザが上記ドアハンドルの表面に接触したことを検知する検知部とを備え、
式(1) ΔC=w1×ΔC1+w2×ΔC2
ΔC1は上記第1の静電容量センサにおける静電容量変化、ΔC2は上記第2の静電容量センサにおける静電容量変化であり、
w1はΔC1の重み係数、w2はΔC2の重み係数であり、
w1はw2よりも小さな値に設定されることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、総静電容量変化ΔCは、ΔC=w1×ΔC1+w2×ΔC2で表される。雨水は、ドアパネルの上面とドアハンドルの境界部分に溜まり易い。導体である雨水がドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に付着すると、雨水がセンサ電極の相手側電極となり、第1の静電容量センサの静電容量変化ΔC1が大きくなる。しかしながら、ΔC1の重み係数w1は、ΔC2の重み係数w2よりも小さい。よって、雨水がドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に溜まったとき、その雨水が総静電容量変化ΔCに与える影響は小さく、ΔCは小さい。従って、本発明は、ドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知するのを防止することができる。
また、第2の静電容量センサの静電容量変化ΔC2の重み係数w2は大きいので、ΔC2が総静電容量変化ΔCに与える影響は大きく、第2の静電容量センサにおける接触検知感度は高い。第2のセンサ電極は、ドアハンドルのユーザが接触しやすい部分に対応する位置にある。よって、本発明は、ユーザがドアハンドルに接触したときにはその接触を高感度で検知することができる。
【発明の効果】
【0021】
キーレスエントリーシステムを搭載した車両において、ドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知するのを防止することができる静電容量式接触検知装置の提供を目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す斜視図である。図2は、第1実施形態におけるドアハンドルのセンサ電極付近を抽出して示す図であり、図1におけるA−A線断面を矢印B方向から見た図である。図3は、第1実施形態におけるセンサ電極の一例を示す平面図(図1のC方向矢視図)である。図4は、第1実施形態におけるセンサ電極の他の例を示す平面図である。
【0023】
第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置1は、車両外側のドアハンドル2の表面にユーザが接触するとその接触を検知するものである。
【0024】
静電容量式接触検知装置1は、静電容量センサ3と、検知部4とを備えている。
【0025】
静電容量式接触検知装置1は、認証部28、開錠部29及び施錠部30を含むキーレスエントリーシステム用ECU(図示せず)に電気的に接続されている。静電容量式接触検知装置1の出力に応じてドアの施錠等が行われる。認証部28、開錠部29及び施錠部30の構成は静電容量式接触検知装置1の本質ではないので、その説明を省略する。
【0026】
静電容量センサ3は、ドアハンドル2に設けられたセンサ電極5が当該センサ電極5付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される。センサ電極5は、通常、ドアハンドル2の筐体9内に収容されているが、ドアハンドル2の表面に露出していてもよい。
雨が降っていないときには、主として金属製のドアパネル6(図2参照)が上記の導体に相当し、センサ電極5と協働してコンデンサを形成する。しかしながら、雨が降って雨水がドアハンドル2の上面とドアパネル6の境界部分に付着すると、水も導体の一種であることから、雨水がセンサ電極5と協働してコンデンサを形成する。つまり、雨水がセンサ電極5の相手側電極となる。
【0027】
静電容量センサ3は、センサ電極5のドアパネル6に近い部分における接触検知感度が、センサ電極5のドアパネル6から遠い部分における接触検知感度よりも低い。
【0028】
センサ電極5のドアパネル6に近い部分における接触検知感度を、センサ電極5のドアパネル6から遠い部分における接触検知感度よりも低く設定する方法は特に限定されないが、例えば、図3に示されるように、センサ電極5のドアパネル6に近い部分に切欠部8を形成することでそのような設定が可能となる。
【0029】
切欠部8を形成することにより上記設定が可能となる理由を説明する。
導体である雨水がドアハンドル2とドアパネル6の境界部分に付着すると、上記したように、雨水はセンサ電極5の相手側電極となる。センサ電極5のドアパネル6に近い部分に切欠部8が形成されている場合、センサ電極5は、ドアパネル6に近い部分において、相手側電極(すなわち雨水)と対向する面積が小さくなる。よって、ドアパネル6に近い部分において、静電容量の式:C=ε・(S/d)における面積Sが小さくなり、静電容量変化ΔCも小さくなる。これにより、静電容量センサ3の接触検知感度がドアパネル6に近い部分において低下する。
【0030】
なお、切欠部8の数は特に限定されないが、複数個の切欠部8がセンサ電極5のドアパネル6に近い部分に満遍なく形成されていることが好ましい。また、切欠部の形状は特に限定されないが、例えば、スリット状(図3の切欠部8参照)、丸形貫通孔(図4の切欠部81参照)、四角形貫通孔とすることができる。図3に示されるように複数本のスリットを互いに平行に形成する場合には、センサ電極5はドアパネル6に近い部分が櫛歯状となる。
【0031】
検知部4は、センサ電極5と電気的に接続されている。検知部4は、静電容量センサ3における静電容量変化に基づき、ユーザがドアハンドル2の表面に接触したことを検知する。静電容量変化に基づくユーザ接触検知方法は特に限定されないが、例えば、検知部4を以下の構成とすることができる。すなわち、検知部4は、静電容量センサ3よりも大きな静電容量を有する基準容量コンデンサと、この基準容量コンデンサを充電する電源回路と、基準容量コンデンサに溜まった電荷を静電容量センサ3がフル充電されるまでセンサ電極5に放電させフル充電された時点で静電容量センサ3に溜まった電荷を外部に放電させる半導体スイッチと、基準容量コンデンサの蓄積電荷が半分になるまでに基準容量コンデンサから何回放電が行われたかをカウントするカウント手段と、そのカウント値が所定回数未満となったときにユーザによる接触があったと判断する判別手段とを備えた構成とすることができる。この例で示した検知部4によれば、ユーザの接触によって静電容量センサ3の静電容量が大きくなると、一回で放電される電荷の量が増えるから、放電回数のカウント値は小さくなる。よって、放電回数のカウント値を監視することで、ユーザの接触の有無を検知することができる。
【0032】
第1実施形態では、ユーザ接触検知を他の方法で行ってもよい。例えば、検知部4は、共振回路と、この共振回路に電圧を供給する電源回路とを備え、共振回路は、静電容量センサ3の容量変化に応じて出力電圧の振幅を変化させ、その振幅変化に基づいてユーザの接触を検知する判別手段を備えた構成であってもよい。
【0033】
静電容量センサ3における静電容量は、ユーザがドアハンドル2の表面に接触することにより大きくなり、雨水がドアハンドル2の上面とドアパネル6の境界部分に溜まったときにも大きくなる。しかしながら、本実施形態では、以下に説明するように、雨水が溜まることによる接触の誤検知を防止することができる。
【0034】
次に、静電容量式接触検知装置1の動作について説明する。なお、ユーザ認証及びドアの施錠は本実施形態の特徴ではないので、その説明を省略する。
【0035】
まず、雨が降っていないときの動作について説明する。
例えば、ここでは、上記した放電回数カウント方法を用いることとする。ユーザが、ドアハンドル2のセンサ電極5付近に接触すると、静電容量センサ3の静電容量が増加し、基準容量コンデンサからの放電回数が所定回数(閾値)より少なくなる。よって、静電容量式接触検知装置1は、放電回数が所定回数未満となったと判断することにより、ユーザがドアハンドル2に接触したことを検知することができる。
【0036】
次に、雨が降っているときに動作について説明する。
ここでも、上記した放電回数カウント方法を用いることとする。ユーザが、ドアハンドル2に接触した場合の動作は、雨が降っていないときと同様である。
【0037】
一方、雨は降っているがユーザがドアハンドル2に接触していない場合には、雨水はドアハンドル2の上面とドアパネル6の境界部分に溜まりやすい。この境界部分に雨水が溜まると、雨水がセンサ電極5と協働してコンデンサを形成する。しかしながら、図3に示される例では、センサ電極5のドアパネル6に近い部分に切欠部8が形成されている。これにより、静電容量センサ3は、センサ電極5のドアパネル6に近い部分における接触検知感度が、センサ電極5のドアパネル6から遠い部分における接触検知感度よりも低くなっている。よって、静電容量式接触検知装置1は、ドアハンドル2の上面とドアパネル6の境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドル2に接触したと誤検知するのを防止することができる。
【0038】
また、静電容量式接触検知装置1は、センサ電極5のドアパネル6から遠い部分における接触検知感度は高いままであるので、ユーザがドアハンドル2に接触したときにはその接触を高感度で検知することができる。
【0039】
なお、図4に示されるように切欠部81として複数の貫通孔を形成したセンサ電極51を用いても、図3に示す例と同様の効果を奏することができる。
【0040】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0041】
図5は、第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す斜視図である。図6は、第2実施形態におけるドアハンドルのセンサ電極付近を抽出して示す図であり、図5のA−A線断面をB方向から見た図である。
【0042】
なお、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同様の符号を付してその説明を省略する。
【0043】
第1実施形態では、センサ電極5のドアパネル6に近い部分における接触検知感度をセンサ電極5のドアパネル6から遠い部分における接触検知感度よりも低くするために、図2に例示されるようにセンサ電極5の形状に工夫を施したが、第2実施形態では、これに代えて、ドアハンドル2の筐体32の厚みに工夫を施す。
【0044】
第2実施形態では、図6に示されるように、センサ電極10は、ドアハンドル11の筐体32内に収容されている。筐体32は、センサ電極10付近において、ドアパネル6に近い部分の厚みが、ドアパネル6から遠い部分の厚みよりも大きい。
【0045】
導体である雨水がドアハンドル11の上面とドアパネル6の境界部分に付着すると、雨水はセンサ電極10の相手側電極となる。筐体32のドアパネル6に近い部分の厚みが、筐体32のドアパネル6から遠い部分の厚みよりも大きい場合、センサ電極10のドアパネル6に近い部分と相手側電極(すなわち雨水)との距離は、センサ電極10のドアパネル6から遠い部分と相手側電極(すなわち雨水)との距離に比べて大きくなる。よって、センサ電極10のドアパネル6に近い部分において、静電容量の式:C=ε・(S/d)における距離dが大きくなり、静電容量の変化量ΔCが小さくなる。これにより、静電容量センサ12の接触検知感度がドアパネル6に近い部分において低下する。よって、第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置13は、ドアハンドル11の上面とドアパネル6の境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドル11に接触したと誤検知するのを防止することができる。
【0046】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る静電容量式接触検知装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0047】
図7は、第3実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す斜視図である。図8は、第3実施形態におけるドアハンドルの筐体のセンサ電極付近を抽出して示す図であり、図7のA−A線断面をB方向から見た図である。
【0048】
なお、第2実施形態と同様の構成については、第2実施形態と同様の符号を付してその説明を省略する。
【0049】
上記第2実施形態との相違点について説明する。上記第2実施形態では、図6に例示されるようにドアハンドル11の筐体32の厚みに工夫を施した。第3実施形態では、これに代えて、ドアハンドル14の筐体15の誘電率に工夫を施す。
【0050】
センサ電極10は、図8に示されるように、ドアハンドル14の筐体15内に収容されている。
筐体15は、センサ電極10付近において、ドアパネル6に近い部分の誘電率が、ドアパネル6から遠い部分の誘電率よりも小さい。
【0051】
導体である雨水がドアハンドル14の上面とドアパネル6の境界部分に付着すると、雨水がセンサ電極10の相手側電極となる。筐体15のドアパネル6に近い部分の誘電率が、筐体15のドアパネル6から遠い部分の誘電率よりも小さい場合、筐体15のドアパネル6に近い部分において、静電容量の式:C=ε・(S/d)における誘電率εが小さくなり、静電容量の変化量ΔCが小さくなる。これにより、静電容量センサ17の接触検知感度がセンサ電極10のドアパネル6に近い部分において低下する。よって、第3実施形態に係る静電容量式接触検知装置18は、ドアハンドル14の上面とドアパネル6の境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドル14に接触したと誤検知するのを防止することができる。
【0052】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る静電容量式接触検知装置について、図面を参照しつつ説明する。図9は、第4実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す斜視図である。図10は、第4実施形態におけるドアハンドルの筐体のセンサ電極付近を抽出して示す図であり、図9のA−A線断面をB方向から見た図である。
【0053】
なお、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同様の符号を付してその説明を省略する。
【0054】
上記第1実施形態では、図3に例示されるようにセンサ電極5の形状を工夫することでユーザ接触の誤検知を防止していたが、第4実施形態では、検知部24における演算処理を工夫することでユーザ接触の誤検知を防止する。
【0055】
第4実施形態に係る静電容量式接触検知装置21は、第1の静電容量センサ22と、第2の静電容量センサ23と、検知部24とを備えている。
【0056】
第1の静電容量センサ22は、ドアハンドル2のドアパネル6に近い部分に設けられた第1のセンサ電極20が当該センサ電極20付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される。第1のセンサ電極20は、図10に示される例では、ドアハンドル2の筐体9内に収容されている。
【0057】
第2の静電容量センサ23は、ドアハンドル2のドアパネル6から遠い部分に設けられた第2のセンサ電極26が当該センサ電極26付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される。第2のセンサ電極26は、図10に示される例では、ドアハンドル2の筐体9内に収容されている。
【0058】
検知部24は、第1のセンサ電極20及び第2のセンサ電極26と電気的に接続されている。検知部24は、以下の式(1)から求まる総静電容量変化ΔCに基づき、ユーザがドアハンドル2の表面に接触したことを検知する。
【0059】
式(1) ΔC=w1×ΔC1+w2×ΔC2
【0060】
ΔC1は第1の静電容量センサ22における静電容量変化、ΔC2は第2の静電容量センサ23における静電容量変化である。w1はΔC1の重み係数、w2はΔC2の重み係数である。w1はw2よりも小さな値に設定される。
【0061】
静電容量式接触検知装置21において、総静電容量変化ΔCは、ΔC=w1×ΔC1+w2×ΔC2で表される。雨水は、ドアパネル6の上面とドアハンドル2の境界部分に溜まり易い。導体である雨水がドアハンドル2の上面とドアパネル6の境界部分に付着すると、雨水がセンサ電極の相手側電極となり、第1の静電容量センサ22の静電容量変化ΔC1が大きくなる。しかしながら、ΔC1の重み係数w1は、ΔC2の重み係数w2よりも小さい。よって、雨水がドアハンドル2の上面とドアパネル6の境界部分に溜まったとき、その雨水が総静電容量変化ΔCに与える影響は小さく、ΔCは小さい。従って、静電容量式接触検知装置21は、ドアハンドル2の上面とドアパネル6の境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドル2に接触したと誤検知するのを防止することができる。
【0062】
また、第2の静電容量センサ23の静電容量変化ΔC2の重み係数w2は大きいので、ΔC2が総静電容量変化ΔCに与える影響は大きく、第2の静電容量センサ23における接触検知感度は高い。第2のセンサ電極26は、ドアハンドル2のユーザが接触しやすい部分に対応する位置にある。よって、静電容量式接触検知装置21は、ユーザがドアハンドル2に接触したときにはその接触を高感度で検知することができる。
【0063】
ここで、静電容量式接触検知装置21の動作例について説明する。
ΔC1の重み係数w1を0.5とし、ΔC2の重み係数w2を1.0に設定したとする。次いで、ユーザがドアハンドル2の表面に接触することにより、ΔC1が0.5pFとなり、ΔC2が1.5pFになったとする。この場合、総静電容量変化ΔCは、
ΔC=0.5×0.5+1.0×1.5=1.75(pF) となる。
【0064】
検知部24において、ユーザがドアハンドル2に接触したと判断するΔCの閾値が1.5pFに設定され、ΔCの計測値がこの閾値以上である場合にユーザがドアハンドル2に接触したと判断する設定がなされていたとする。
【0065】
この場合、ΔCの計測値1.75pFはΔCの閾値1.5pFより大きいので、検知部24は、ユーザがドアハンドル2に接触したと判断する。
【0066】
これに対し、雨水がドアハンドル2の上面に溜まっているがユーザがドアハンドル2に接触していない場合に、ΔC1が1.5pFとなり、ΔC2が0.5pFになったとする。この場合、総静電容量変化ΔCは、
ΔC=0.5×1.5+1.0×0.5=1.25(pF) となる。
【0067】
この場合、ΔCの計測値1.25pFはΔCの閾値1.5pFより小さいので、検知部24は、ユーザがドアハンドル2に接触したと誤判断しない。
【0068】
なお、上記各実施形態では、静電容量式接触検知装置を施錠のための接触検知装置に適用した場合について説明したが、静電容量式接触検知装置を開錠のための接触検知装置に適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、キーレスエントリーシステムを搭載した車両において、ドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知しない静電容量式接触検知装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す斜視図
【図2】第1実施形態におけるドアハンドルのセンサ電極付近を抽出して示す図であり、図1におけるA−A線断面を矢印B方向から見た図
【図3】第1実施形態におけるセンサ電極の一例を示す平面図(図1のC方向矢視図)
【図4】第1実施形態におけるセンサ電極の他の例を示す平面図
【図5】第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す斜視図
【図6】第2実施形態におけるドアハンドルのセンサ電極付近を抽出して示す図であり、図5のA−A線断面をB方向から見た図
【図7】第3実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す斜視図
【図8】第3実施形態におけるドアハンドルの筐体のセンサ電極付近を抽出して示す図であり、図7のA−A線断面をB方向から見た図
【図9】第4実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す斜視図
【図10】第4実施形態におけるドアハンドルの筐体のセンサ電極付近を抽出して示す図であり、図9のA−A線断面をB方向から見た図
【図11】従来のドアハンドルを示す斜視図
【符号の説明】
【0071】
1、13、18、21 静電容量式接触検知装置
2、11、14 ドアハンドル
3、12、17 静電容量センサ
4、24 検知部
5、10、16 センサ電極
6 ドアパネル
8、81 切欠部
9、15 筐体
20 第1のセンサ電極
22 第1の静電容量センサ
23 第2の静電容量センサ
26 第2のセンサ電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式接触検知装置に関し、より詳しくは、キーレスエントリーシステムを搭載した車両において、ドアハンドル上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知するのを防止することができる静電容量式接触検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、キーレスエントリーシステムを搭載した車両における、従来のドアハンドルについて図面を参照しつつ説明する。
図11は、従来のドアハンドルを示す斜視図である。
【0003】
近年、自動車のドアの施錠開錠をキー操作なしで行うことができるキーレスエントリーシステムが自動車に装備されることが多くなっている。キーレスエントリーシステムは、車内に設けられた認証部と、ユーザが所持する携帯機と、車両外側のドアハンドル100に設けられユーザがドアハンドル100に接触するとその接触を検知する静電容量式タッチセンサと、ドアの施錠を行う施錠部と、ドアの開錠を行う開錠部とを備えている。図11において、符号104は、ドアパネル外面に形成された凹部である。
【0004】
静電容量式タッチセンサは、図11に示されるように、施錠用センサ電極101と、開錠用センサ電極103と、検知部(図示せず)とを含む。検知部は、施錠用センサ電極101からの信号に基づき、施錠のためにユーザがドアハンドル100の上面に接触したことを検知する。また、検知部は、開錠用センサ電極103からの信号に基づき、開錠のためにユーザがドアハンドル100の握り部105の裏側側面に接触したことを検知する。施錠用センサ電極101は、ドアハンドル100の上側部分に内蔵されている。また、開錠用センサ電極103は、ドアハンドル100の握り部105の裏側側部に内蔵されている。
【0005】
このシステムの動作について説明する。まず、開錠時の動作について図11を参照しつつ説明する。携帯機を所持するユーザが車両に接近すると、認証部が携帯機と通信を行い、ユーザの認証を行う。認証部がユーザを正当なユーザであると認証し、かつ、ユーザがドアハンドル100の握り部105を握ってその裏側側面に接触したことを検知部が検知すると、開錠部がドアの開錠を行う。
【0006】
次に、施錠時の動作について説明する。携帯機を所持するユーザが車外に出ると、認証部が携帯機と通信を行い、ユーザの認証を行う。認証部がユーザを正当なユーザであると認証し、かつ、ユーザがドアを閉めた後ドアハンドル100の上面にユーザが接触したことを検知部が検知すると、施錠部がドアの施錠を行う。
【0007】
このように、キーレスエントリーシステムは、ユーザがキー操作しなくても、ユーザがドアハンドル100に触れるだけでドアの開錠及び施錠を行うので、ドアの開錠及び施錠が容易になる。
【0008】
しかしながら、上記したキーレスエントリーシステムには、以下のような問題があった。すなわち、雨が降ると雨水がドアハンドル100の上面とドアパネルの境界部分に溜まることがある。雨水がドアハンドル100の上面とドアパネルの境界部分に溜まると、導体である雨水が施錠用センサ電極101の相手側電極となって施錠用センサ電極101付近の静電容量が増加し、検知部はユーザがドアハンドル100の上面に接触したと誤検知することがあった。そうすると、ユーザがドアハンドル100に接触していないにも拘わらず、ユーザの意に反してドアが施錠されてしまうという問題があった。
【0009】
特許文献1に記載のドア用タッチセンサは、ドアハンドルの側部に施錠用センサ電極を設けたものであるが、この施錠用センサ電極をドアハンドルの上側部分に設けると、図11に示した場合と同様の問題が生じる可能性があった。
【特許文献1】特開2005−139634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、キーレスエントリーシステムを搭載した車両において、ドアハンドル上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知するのを防止することができる静電容量式接触検知装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る静電容量式接触検知装置は、
車両外側のドアハンドルの表面にユーザが接触するとその接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
上記ドアハンドルに設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される静電容量センサと、
上記静電容量センサにおける静電容量変化に基づき、ユーザが上記ドアハンドルの表面に接触したことを検知する検知部とを備え、
上記静電容量センサは、上記センサ電極のドアパネルに近い部分における接触検知感度が、上記センサ電極のドアパネルから遠い部分における接触検知感度よりも低いことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、静電容量センサは、センサ電極のドアパネルに近い部分における接触検知感度が、センサ電極のドアパネルから遠い部分における接触検知感度よりも低い。雨水は、ドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に溜まり易い。従って、本発明は、ドアパネルに近い部分における接触検知感度を低くすることにより、ドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知するのを防止することができる。
また、本発明は、センサ電極のドアパネルから遠い部分における接触検知感度は高いままであるので、ユーザがドアハンドルに接触したときにはその接触を高感度で検知することができる。なお、センサ電極のドアパネルから遠い部分は、ドアハンドルにおいてユーザが接触しやすい部分に対応する位置にある。
【0013】
本発明においては、
上記センサ電極は、上記ドアパネルに近い部分に切欠部が形成されていることが好ましい。
【0014】
導体である雨水がドアハンドルとドアパネルの境界部分に付着すると、雨水はセンサ電極の相手側電極となる。センサ電極のドアパネルに近い部分に切欠部が形成されている場合、センサ電極は、ドアパネルに近い部分において、相手側電極(すなわち雨水)と対向する面積が小さくなる。よって、ドアパネルに近い部分において、静電容量の式:C=ε・(S/d)における面積Sが小さくなり、静電容量変化ΔCも小さくなる。これにより、静電容量センサの接触検知感度がドアパネルに近い部分において低下する。よって、本発明は、ドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知するのを防止することができる。
なお、切欠部の数は特に限定されないが、複数個の切欠部がセンサ電極のドアパネルに近い部分に満遍なく形成されていることが好ましい。また、切欠部の形状は特に限定されないが、例えば、スリット状、丸形貫通孔、四角形貫通孔とすることができる。複数本のスリットを互いに平行に形成する場合には、ドアパネルに近い部分が櫛歯状となる。
【0015】
本発明においては、
上記センサ電極は、上記ドアハンドルの筐体内に収容されており、
上記筐体は、上記センサ電極付近において、上記ドアパネルに近い部分の厚みが、上記ドアパネルから遠い部分の厚みよりも大きいことが好ましい。
【0016】
導体である雨水がドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に付着すると、雨水はセンサ電極の相手側電極となる。筐体のドアパネルに近い部分の厚みが、筐体のドアパネルから遠い部分の厚みよりも大きい場合、センサ電極のドアパネルに近い部分と相手側電極(すなわち雨水)との距離は、センサ電極のドアパネルから遠い部分と相手側電極(すなわち雨水)との距離に比べて大きくなる。よって、センサ電極のドアパネルに近い部分において、静電容量の式:C=ε・(S/d)における距離dが大きくなり、静電容量変化ΔCが小さくなる。これにより、静電容量センサの接触検知感度がドアパネルに近い部分において低下する。よって、本発明は、ドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知するのを防止することができる。
【0017】
本発明においては、
上記センサ電極は、上記ドアハンドルの筐体内に収容されており、
上記筐体は、上記センサ電極付近において、上記ドアパネルに近い部分の誘電率が、上記ドアパネルから遠い部分の誘電率よりも小さいことが好ましい。
【0018】
導体である雨水がドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に付着すると、雨水がセンサ電極の相手側電極となる。筐体のドアパネルに近い部分の誘電率が、筐体のドアパネルから遠い部分の誘電率よりも小さい場合、筐体のドアパネルに近い部分において、静電容量の式:C=ε・(S/d)における誘電率εが小さくなり、静電容量変化ΔCが小さくなる。これにより、静電容量センサの接触検知感度がセンサ電極のドアパネルに近い部分において低下する。よって、本発明は、ドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知するのを防止することができる。
【0019】
本発明に係る静電容量式接触検知装置は、
車両外側のドアハンドルの表面にユーザが接触するとその接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
上記ドアハンドルのドアパネルに近い部分に設けられた第1のセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される第1の静電容量センサと、
上記ドアハンドルのドアパネルから遠い部分に設けられた第2のセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される第2の静電容量センサと、
以下の式(1)から求まる総静電容量変化ΔCに基づき、ユーザが上記ドアハンドルの表面に接触したことを検知する検知部とを備え、
式(1) ΔC=w1×ΔC1+w2×ΔC2
ΔC1は上記第1の静電容量センサにおける静電容量変化、ΔC2は上記第2の静電容量センサにおける静電容量変化であり、
w1はΔC1の重み係数、w2はΔC2の重み係数であり、
w1はw2よりも小さな値に設定されることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、総静電容量変化ΔCは、ΔC=w1×ΔC1+w2×ΔC2で表される。雨水は、ドアパネルの上面とドアハンドルの境界部分に溜まり易い。導体である雨水がドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に付着すると、雨水がセンサ電極の相手側電極となり、第1の静電容量センサの静電容量変化ΔC1が大きくなる。しかしながら、ΔC1の重み係数w1は、ΔC2の重み係数w2よりも小さい。よって、雨水がドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に溜まったとき、その雨水が総静電容量変化ΔCに与える影響は小さく、ΔCは小さい。従って、本発明は、ドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知するのを防止することができる。
また、第2の静電容量センサの静電容量変化ΔC2の重み係数w2は大きいので、ΔC2が総静電容量変化ΔCに与える影響は大きく、第2の静電容量センサにおける接触検知感度は高い。第2のセンサ電極は、ドアハンドルのユーザが接触しやすい部分に対応する位置にある。よって、本発明は、ユーザがドアハンドルに接触したときにはその接触を高感度で検知することができる。
【発明の効果】
【0021】
キーレスエントリーシステムを搭載した車両において、ドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知するのを防止することができる静電容量式接触検知装置の提供を目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す斜視図である。図2は、第1実施形態におけるドアハンドルのセンサ電極付近を抽出して示す図であり、図1におけるA−A線断面を矢印B方向から見た図である。図3は、第1実施形態におけるセンサ電極の一例を示す平面図(図1のC方向矢視図)である。図4は、第1実施形態におけるセンサ電極の他の例を示す平面図である。
【0023】
第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置1は、車両外側のドアハンドル2の表面にユーザが接触するとその接触を検知するものである。
【0024】
静電容量式接触検知装置1は、静電容量センサ3と、検知部4とを備えている。
【0025】
静電容量式接触検知装置1は、認証部28、開錠部29及び施錠部30を含むキーレスエントリーシステム用ECU(図示せず)に電気的に接続されている。静電容量式接触検知装置1の出力に応じてドアの施錠等が行われる。認証部28、開錠部29及び施錠部30の構成は静電容量式接触検知装置1の本質ではないので、その説明を省略する。
【0026】
静電容量センサ3は、ドアハンドル2に設けられたセンサ電極5が当該センサ電極5付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される。センサ電極5は、通常、ドアハンドル2の筐体9内に収容されているが、ドアハンドル2の表面に露出していてもよい。
雨が降っていないときには、主として金属製のドアパネル6(図2参照)が上記の導体に相当し、センサ電極5と協働してコンデンサを形成する。しかしながら、雨が降って雨水がドアハンドル2の上面とドアパネル6の境界部分に付着すると、水も導体の一種であることから、雨水がセンサ電極5と協働してコンデンサを形成する。つまり、雨水がセンサ電極5の相手側電極となる。
【0027】
静電容量センサ3は、センサ電極5のドアパネル6に近い部分における接触検知感度が、センサ電極5のドアパネル6から遠い部分における接触検知感度よりも低い。
【0028】
センサ電極5のドアパネル6に近い部分における接触検知感度を、センサ電極5のドアパネル6から遠い部分における接触検知感度よりも低く設定する方法は特に限定されないが、例えば、図3に示されるように、センサ電極5のドアパネル6に近い部分に切欠部8を形成することでそのような設定が可能となる。
【0029】
切欠部8を形成することにより上記設定が可能となる理由を説明する。
導体である雨水がドアハンドル2とドアパネル6の境界部分に付着すると、上記したように、雨水はセンサ電極5の相手側電極となる。センサ電極5のドアパネル6に近い部分に切欠部8が形成されている場合、センサ電極5は、ドアパネル6に近い部分において、相手側電極(すなわち雨水)と対向する面積が小さくなる。よって、ドアパネル6に近い部分において、静電容量の式:C=ε・(S/d)における面積Sが小さくなり、静電容量変化ΔCも小さくなる。これにより、静電容量センサ3の接触検知感度がドアパネル6に近い部分において低下する。
【0030】
なお、切欠部8の数は特に限定されないが、複数個の切欠部8がセンサ電極5のドアパネル6に近い部分に満遍なく形成されていることが好ましい。また、切欠部の形状は特に限定されないが、例えば、スリット状(図3の切欠部8参照)、丸形貫通孔(図4の切欠部81参照)、四角形貫通孔とすることができる。図3に示されるように複数本のスリットを互いに平行に形成する場合には、センサ電極5はドアパネル6に近い部分が櫛歯状となる。
【0031】
検知部4は、センサ電極5と電気的に接続されている。検知部4は、静電容量センサ3における静電容量変化に基づき、ユーザがドアハンドル2の表面に接触したことを検知する。静電容量変化に基づくユーザ接触検知方法は特に限定されないが、例えば、検知部4を以下の構成とすることができる。すなわち、検知部4は、静電容量センサ3よりも大きな静電容量を有する基準容量コンデンサと、この基準容量コンデンサを充電する電源回路と、基準容量コンデンサに溜まった電荷を静電容量センサ3がフル充電されるまでセンサ電極5に放電させフル充電された時点で静電容量センサ3に溜まった電荷を外部に放電させる半導体スイッチと、基準容量コンデンサの蓄積電荷が半分になるまでに基準容量コンデンサから何回放電が行われたかをカウントするカウント手段と、そのカウント値が所定回数未満となったときにユーザによる接触があったと判断する判別手段とを備えた構成とすることができる。この例で示した検知部4によれば、ユーザの接触によって静電容量センサ3の静電容量が大きくなると、一回で放電される電荷の量が増えるから、放電回数のカウント値は小さくなる。よって、放電回数のカウント値を監視することで、ユーザの接触の有無を検知することができる。
【0032】
第1実施形態では、ユーザ接触検知を他の方法で行ってもよい。例えば、検知部4は、共振回路と、この共振回路に電圧を供給する電源回路とを備え、共振回路は、静電容量センサ3の容量変化に応じて出力電圧の振幅を変化させ、その振幅変化に基づいてユーザの接触を検知する判別手段を備えた構成であってもよい。
【0033】
静電容量センサ3における静電容量は、ユーザがドアハンドル2の表面に接触することにより大きくなり、雨水がドアハンドル2の上面とドアパネル6の境界部分に溜まったときにも大きくなる。しかしながら、本実施形態では、以下に説明するように、雨水が溜まることによる接触の誤検知を防止することができる。
【0034】
次に、静電容量式接触検知装置1の動作について説明する。なお、ユーザ認証及びドアの施錠は本実施形態の特徴ではないので、その説明を省略する。
【0035】
まず、雨が降っていないときの動作について説明する。
例えば、ここでは、上記した放電回数カウント方法を用いることとする。ユーザが、ドアハンドル2のセンサ電極5付近に接触すると、静電容量センサ3の静電容量が増加し、基準容量コンデンサからの放電回数が所定回数(閾値)より少なくなる。よって、静電容量式接触検知装置1は、放電回数が所定回数未満となったと判断することにより、ユーザがドアハンドル2に接触したことを検知することができる。
【0036】
次に、雨が降っているときに動作について説明する。
ここでも、上記した放電回数カウント方法を用いることとする。ユーザが、ドアハンドル2に接触した場合の動作は、雨が降っていないときと同様である。
【0037】
一方、雨は降っているがユーザがドアハンドル2に接触していない場合には、雨水はドアハンドル2の上面とドアパネル6の境界部分に溜まりやすい。この境界部分に雨水が溜まると、雨水がセンサ電極5と協働してコンデンサを形成する。しかしながら、図3に示される例では、センサ電極5のドアパネル6に近い部分に切欠部8が形成されている。これにより、静電容量センサ3は、センサ電極5のドアパネル6に近い部分における接触検知感度が、センサ電極5のドアパネル6から遠い部分における接触検知感度よりも低くなっている。よって、静電容量式接触検知装置1は、ドアハンドル2の上面とドアパネル6の境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドル2に接触したと誤検知するのを防止することができる。
【0038】
また、静電容量式接触検知装置1は、センサ電極5のドアパネル6から遠い部分における接触検知感度は高いままであるので、ユーザがドアハンドル2に接触したときにはその接触を高感度で検知することができる。
【0039】
なお、図4に示されるように切欠部81として複数の貫通孔を形成したセンサ電極51を用いても、図3に示す例と同様の効果を奏することができる。
【0040】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0041】
図5は、第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す斜視図である。図6は、第2実施形態におけるドアハンドルのセンサ電極付近を抽出して示す図であり、図5のA−A線断面をB方向から見た図である。
【0042】
なお、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同様の符号を付してその説明を省略する。
【0043】
第1実施形態では、センサ電極5のドアパネル6に近い部分における接触検知感度をセンサ電極5のドアパネル6から遠い部分における接触検知感度よりも低くするために、図2に例示されるようにセンサ電極5の形状に工夫を施したが、第2実施形態では、これに代えて、ドアハンドル2の筐体32の厚みに工夫を施す。
【0044】
第2実施形態では、図6に示されるように、センサ電極10は、ドアハンドル11の筐体32内に収容されている。筐体32は、センサ電極10付近において、ドアパネル6に近い部分の厚みが、ドアパネル6から遠い部分の厚みよりも大きい。
【0045】
導体である雨水がドアハンドル11の上面とドアパネル6の境界部分に付着すると、雨水はセンサ電極10の相手側電極となる。筐体32のドアパネル6に近い部分の厚みが、筐体32のドアパネル6から遠い部分の厚みよりも大きい場合、センサ電極10のドアパネル6に近い部分と相手側電極(すなわち雨水)との距離は、センサ電極10のドアパネル6から遠い部分と相手側電極(すなわち雨水)との距離に比べて大きくなる。よって、センサ電極10のドアパネル6に近い部分において、静電容量の式:C=ε・(S/d)における距離dが大きくなり、静電容量の変化量ΔCが小さくなる。これにより、静電容量センサ12の接触検知感度がドアパネル6に近い部分において低下する。よって、第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置13は、ドアハンドル11の上面とドアパネル6の境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドル11に接触したと誤検知するのを防止することができる。
【0046】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る静電容量式接触検知装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0047】
図7は、第3実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す斜視図である。図8は、第3実施形態におけるドアハンドルの筐体のセンサ電極付近を抽出して示す図であり、図7のA−A線断面をB方向から見た図である。
【0048】
なお、第2実施形態と同様の構成については、第2実施形態と同様の符号を付してその説明を省略する。
【0049】
上記第2実施形態との相違点について説明する。上記第2実施形態では、図6に例示されるようにドアハンドル11の筐体32の厚みに工夫を施した。第3実施形態では、これに代えて、ドアハンドル14の筐体15の誘電率に工夫を施す。
【0050】
センサ電極10は、図8に示されるように、ドアハンドル14の筐体15内に収容されている。
筐体15は、センサ電極10付近において、ドアパネル6に近い部分の誘電率が、ドアパネル6から遠い部分の誘電率よりも小さい。
【0051】
導体である雨水がドアハンドル14の上面とドアパネル6の境界部分に付着すると、雨水がセンサ電極10の相手側電極となる。筐体15のドアパネル6に近い部分の誘電率が、筐体15のドアパネル6から遠い部分の誘電率よりも小さい場合、筐体15のドアパネル6に近い部分において、静電容量の式:C=ε・(S/d)における誘電率εが小さくなり、静電容量の変化量ΔCが小さくなる。これにより、静電容量センサ17の接触検知感度がセンサ電極10のドアパネル6に近い部分において低下する。よって、第3実施形態に係る静電容量式接触検知装置18は、ドアハンドル14の上面とドアパネル6の境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドル14に接触したと誤検知するのを防止することができる。
【0052】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る静電容量式接触検知装置について、図面を参照しつつ説明する。図9は、第4実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す斜視図である。図10は、第4実施形態におけるドアハンドルの筐体のセンサ電極付近を抽出して示す図であり、図9のA−A線断面をB方向から見た図である。
【0053】
なお、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同様の符号を付してその説明を省略する。
【0054】
上記第1実施形態では、図3に例示されるようにセンサ電極5の形状を工夫することでユーザ接触の誤検知を防止していたが、第4実施形態では、検知部24における演算処理を工夫することでユーザ接触の誤検知を防止する。
【0055】
第4実施形態に係る静電容量式接触検知装置21は、第1の静電容量センサ22と、第2の静電容量センサ23と、検知部24とを備えている。
【0056】
第1の静電容量センサ22は、ドアハンドル2のドアパネル6に近い部分に設けられた第1のセンサ電極20が当該センサ電極20付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される。第1のセンサ電極20は、図10に示される例では、ドアハンドル2の筐体9内に収容されている。
【0057】
第2の静電容量センサ23は、ドアハンドル2のドアパネル6から遠い部分に設けられた第2のセンサ電極26が当該センサ電極26付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される。第2のセンサ電極26は、図10に示される例では、ドアハンドル2の筐体9内に収容されている。
【0058】
検知部24は、第1のセンサ電極20及び第2のセンサ電極26と電気的に接続されている。検知部24は、以下の式(1)から求まる総静電容量変化ΔCに基づき、ユーザがドアハンドル2の表面に接触したことを検知する。
【0059】
式(1) ΔC=w1×ΔC1+w2×ΔC2
【0060】
ΔC1は第1の静電容量センサ22における静電容量変化、ΔC2は第2の静電容量センサ23における静電容量変化である。w1はΔC1の重み係数、w2はΔC2の重み係数である。w1はw2よりも小さな値に設定される。
【0061】
静電容量式接触検知装置21において、総静電容量変化ΔCは、ΔC=w1×ΔC1+w2×ΔC2で表される。雨水は、ドアパネル6の上面とドアハンドル2の境界部分に溜まり易い。導体である雨水がドアハンドル2の上面とドアパネル6の境界部分に付着すると、雨水がセンサ電極の相手側電極となり、第1の静電容量センサ22の静電容量変化ΔC1が大きくなる。しかしながら、ΔC1の重み係数w1は、ΔC2の重み係数w2よりも小さい。よって、雨水がドアハンドル2の上面とドアパネル6の境界部分に溜まったとき、その雨水が総静電容量変化ΔCに与える影響は小さく、ΔCは小さい。従って、静電容量式接触検知装置21は、ドアハンドル2の上面とドアパネル6の境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドル2に接触したと誤検知するのを防止することができる。
【0062】
また、第2の静電容量センサ23の静電容量変化ΔC2の重み係数w2は大きいので、ΔC2が総静電容量変化ΔCに与える影響は大きく、第2の静電容量センサ23における接触検知感度は高い。第2のセンサ電極26は、ドアハンドル2のユーザが接触しやすい部分に対応する位置にある。よって、静電容量式接触検知装置21は、ユーザがドアハンドル2に接触したときにはその接触を高感度で検知することができる。
【0063】
ここで、静電容量式接触検知装置21の動作例について説明する。
ΔC1の重み係数w1を0.5とし、ΔC2の重み係数w2を1.0に設定したとする。次いで、ユーザがドアハンドル2の表面に接触することにより、ΔC1が0.5pFとなり、ΔC2が1.5pFになったとする。この場合、総静電容量変化ΔCは、
ΔC=0.5×0.5+1.0×1.5=1.75(pF) となる。
【0064】
検知部24において、ユーザがドアハンドル2に接触したと判断するΔCの閾値が1.5pFに設定され、ΔCの計測値がこの閾値以上である場合にユーザがドアハンドル2に接触したと判断する設定がなされていたとする。
【0065】
この場合、ΔCの計測値1.75pFはΔCの閾値1.5pFより大きいので、検知部24は、ユーザがドアハンドル2に接触したと判断する。
【0066】
これに対し、雨水がドアハンドル2の上面に溜まっているがユーザがドアハンドル2に接触していない場合に、ΔC1が1.5pFとなり、ΔC2が0.5pFになったとする。この場合、総静電容量変化ΔCは、
ΔC=0.5×1.5+1.0×0.5=1.25(pF) となる。
【0067】
この場合、ΔCの計測値1.25pFはΔCの閾値1.5pFより小さいので、検知部24は、ユーザがドアハンドル2に接触したと誤判断しない。
【0068】
なお、上記各実施形態では、静電容量式接触検知装置を施錠のための接触検知装置に適用した場合について説明したが、静電容量式接触検知装置を開錠のための接触検知装置に適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、キーレスエントリーシステムを搭載した車両において、ドアハンドルの上面とドアパネルの境界部分に雨水が溜まったときにユーザがドアハンドルに接触したと誤検知しない静電容量式接触検知装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す斜視図
【図2】第1実施形態におけるドアハンドルのセンサ電極付近を抽出して示す図であり、図1におけるA−A線断面を矢印B方向から見た図
【図3】第1実施形態におけるセンサ電極の一例を示す平面図(図1のC方向矢視図)
【図4】第1実施形態におけるセンサ電極の他の例を示す平面図
【図5】第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す斜視図
【図6】第2実施形態におけるドアハンドルのセンサ電極付近を抽出して示す図であり、図5のA−A線断面をB方向から見た図
【図7】第3実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す斜視図
【図8】第3実施形態におけるドアハンドルの筐体のセンサ電極付近を抽出して示す図であり、図7のA−A線断面をB方向から見た図
【図9】第4実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す斜視図
【図10】第4実施形態におけるドアハンドルの筐体のセンサ電極付近を抽出して示す図であり、図9のA−A線断面をB方向から見た図
【図11】従来のドアハンドルを示す斜視図
【符号の説明】
【0071】
1、13、18、21 静電容量式接触検知装置
2、11、14 ドアハンドル
3、12、17 静電容量センサ
4、24 検知部
5、10、16 センサ電極
6 ドアパネル
8、81 切欠部
9、15 筐体
20 第1のセンサ電極
22 第1の静電容量センサ
23 第2の静電容量センサ
26 第2のセンサ電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外側のドアハンドルの表面にユーザが接触するとその接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
前記ドアハンドルに設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される静電容量センサと、
前記静電容量センサにおける静電容量変化に基づき、ユーザが前記ドアハンドルの表面に接触したことを検知する検知部とを備え、
前記静電容量センサは、前記センサ電極のドアパネルに近い部分における接触検知感度が、前記センサ電極のドアパネルから遠い部分における接触検知感度よりも低いことを特徴とする静電容量式接触検知装置。
【請求項2】
前記センサ電極は、前記ドアパネルに近い部分に切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項3】
前記センサ電極は、前記ドアハンドルの筐体内に収容されており、
前記筐体は、前記センサ電極付近において、前記ドアパネルに近い部分の厚みが、前記ドアパネルから遠い部分の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項4】
前記センサ電極は、前記ドアハンドルの筐体内に収容されており、
前記筐体は、前記センサ電極付近において、前記ドアパネルに近い部分の誘電率が、前記ドアパネルから遠い部分の誘電率よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項5】
車両外側のドアハンドルの表面にユーザが接触するとその接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
前記ドアハンドルのドアパネルに近い部分に設けられた第1のセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される第1の静電容量センサと、
前記ドアハンドルのドアパネルから遠い部分に設けられた第2のセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される第2の静電容量センサと、
以下の式(1)から求まる総静電容量変化ΔCに基づき、ユーザが前記ドアハンドルの表面に接触したことを検知する検知部とを備え、
式(1) ΔC=w1×ΔC1+w2×ΔC2
ΔC1は前記第1の静電容量センサにおける静電容量変化、ΔC2は前記第2の静電容量センサにおける静電容量変化であり、
w1はΔC1の重み係数、w2はΔC2の重み係数であり、
w1はw2よりも小さな値に設定されることを特徴とする静電容量式接触検知装置。
【請求項1】
車両外側のドアハンドルの表面にユーザが接触するとその接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
前記ドアハンドルに設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される静電容量センサと、
前記静電容量センサにおける静電容量変化に基づき、ユーザが前記ドアハンドルの表面に接触したことを検知する検知部とを備え、
前記静電容量センサは、前記センサ電極のドアパネルに近い部分における接触検知感度が、前記センサ電極のドアパネルから遠い部分における接触検知感度よりも低いことを特徴とする静電容量式接触検知装置。
【請求項2】
前記センサ電極は、前記ドアパネルに近い部分に切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項3】
前記センサ電極は、前記ドアハンドルの筐体内に収容されており、
前記筐体は、前記センサ電極付近において、前記ドアパネルに近い部分の厚みが、前記ドアパネルから遠い部分の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項4】
前記センサ電極は、前記ドアハンドルの筐体内に収容されており、
前記筐体は、前記センサ電極付近において、前記ドアパネルに近い部分の誘電率が、前記ドアパネルから遠い部分の誘電率よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項5】
車両外側のドアハンドルの表面にユーザが接触するとその接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
前記ドアハンドルのドアパネルに近い部分に設けられた第1のセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される第1の静電容量センサと、
前記ドアハンドルのドアパネルから遠い部分に設けられた第2のセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される第2の静電容量センサと、
以下の式(1)から求まる総静電容量変化ΔCに基づき、ユーザが前記ドアハンドルの表面に接触したことを検知する検知部とを備え、
式(1) ΔC=w1×ΔC1+w2×ΔC2
ΔC1は前記第1の静電容量センサにおける静電容量変化、ΔC2は前記第2の静電容量センサにおける静電容量変化であり、
w1はΔC1の重み係数、w2はΔC2の重み係数であり、
w1はw2よりも小さな値に設定されることを特徴とする静電容量式接触検知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−133777(P2009−133777A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311338(P2007−311338)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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