説明

非同期センサ情報に基づく測定値予測を使用して抄紙機または他の機械を制御する装置および方法

方法は、
プロセス(204)を制御するために、コントローラ(202)によって使用される測定値または状態を予測することを含む。予測される測定値または状態は、プロセス(204)のモデルを使用して生成される。方法は、また、予測される測定値または状態をコントローラ(202)に提供することであって、それにより、コントローラ(202)は、予測される測定値または状態をコントローラ(202)のサンプリングレートで使用する、提供することを含む。さらに、方法は、センサからのアイテムの特性に関連する測定値を使用して、予測される測定値または状態の少なくとも一部を更新することを含む。モデルは、離散時間モデル(304)を表してもよく、方法は、また、プロセス(204)の連続時間モデル(302)を使用して離散時間モデル(304)を生成することを含んでもよい。測定値は、複数のセンサ(122、124)から受信されることができ、センサのうち少なくとも2つは、異なるサンプリング時間を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、制御システムに関し、より具体的には、非同期センサ情報に基づく測定値予測を使用して抄紙機または他の機械を制御する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々のシステムが、紙シートおよび紙製品を製造するために利用可能であり、使用される。製造される紙シートは、乾燥重量、水分、およびキャリパ(厚さ)などの、製造プロセス中に監視され、制御される複数の特性を有することが多い。シート作製機械における、これらの、また、他のシート特性の制御は、通常、ターゲットまたは所望値のできる限り近くにシート特性を維持することに関連する。
【0003】
シート作製機械においてシート特性を制御するのに使用される、2つの異なるタイプのアクチュエータが存在することが多い。第1に、通常、シート特性の横方向平均だけに影響を及ぼす縦方向(MD)アクチュエータが存在する。MDアクチュエータは、しばしば、シート特性に対して異なる動的応答を有することができる。第2に、シートにわたって横方向に通常配列される横方向(CD)アクチュエータが存在する。CDアクチュエータの各アレイは、通常、シート特性の平均とシート特性の横方向形状の両方に影響を及ぼすことがある。CDアクチュエータは、しばしばシート特性に対して異なる動的応答および異なる空間応答を有することができる。
【0004】
シート特性は、通常、スキャナによってCD方向にシートにわたって走査されるセンサのセットによって測定される。シート特性は、また、固定したセンサアレイによって測定される。多くのシート作製機械は、異なるロケーションに複数のスキャナを有し、各スキャナは、通常、それ自身のセンサのセットを有する。スキャナは、同期化されないことが多く、非常に異なるスキャン時間を有する可能性がある。従来のCD制御システムでは、各CDコントローラが、1つのセットのセンサによって測定される1つのシート特性を制御することに関連しているだけであったため、センサの同期化は必要なかった。従来のCDコントローラは、通常、1つのCDアクチュエータが、複数のシート特性に影響を及ぼす可能性があることを無視した。しかし、複数のシート特性の協調制御を実施する多変量CDコントローラの場合、シート特性の測定が同期化されることが必要とされることが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、非同期センサ情報に基づく測定値予測を使用して抄紙機または他の機械を制御する装置および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の実施形態では、方法は、プロセスを制御するために、コントローラによって使用される測定値または状態を予測することを含む。予測される測定値または状態は、プロセスのモデルを使用して生成される。方法は、また、予測される測定値または状態をコントローラのサンプリングレートで使用するように予測される測定値または状態をコントローラに提供することを含む。コントローラは、さらに、方法は、センサからのアイテムの特性に関連する測定値を使用して、予測される測定値または状態の少なくとも一部を更新することを含む。
【0007】
特定の実施形態では、モデルは、離散時間モデルを表し、方法は、また、プロセスの連続時間モデルを使用して離散時間モデルを生成することを含む。他の特定の実施形態では、測定値は、複数のセンサから受信され、センサのうち少なくとも2つは、異なるサンプリング時間を有する。なお他の特定の実施形態では、センサによって出力される測定値間の時間間隔が、コントローラの出力間の時間間隔の整数倍ではない、かつ/または、プロセスに関連する時間遅延が、コントローラの出力間の時間間隔の整数倍ではない。
【0008】
第2の実施形態では、装置は、コントローラによって制御されるプロセスを表すモデルを記憶するよう動作する少なくとも1つのメモリを含む。装置は、またプロセスを制御するために、コントローラによって使用される測定値または状態を予測するよう動作する少なくとも1つのプロセッサを含み、予測される測定値または状態は、プロセスのモデルを使用して生成される。少なくとも1つのプロセッサは、また、コントローラが予測される測定値または状態をコントローラのサンプリングレートで使用するように、予測される測定値または状態をコントローラに提供するよう動作する。さらに、少なくとも1つのプロセッサは、センサからのアイテムの特性に関連する測定値を使用して、予測される測定値または状態の少なくとも一部を更新するよう動作する。
【0009】
第3の実施形態では、コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能媒体上で具現化され、かつ、プロセッサによって実行されるよう動作する。コンピュータプログラムは、プロセスを制御するために、コントローラによって使用される測定値または状態を予測するコンピュータ読み取り可能プログラムコードを含み、予測される測定値または状態は、プロセスのモデルを使用して生成される。コンピュータプログラムは、また、コントローラが予測される測定値または状態をコントローラのサンプリングレートで使用するように、予測される測定値または状態をコントローラに提供するコンピュータ読み取り可能プログラムコードを含む。さらに、コンピュータプログラムは、センサからのアイテムの特性に関連する測定値を使用して、予測される測定値または状態の少なくとも一部を更新するコンピュータ読み取り可能プログラムコードを含む。
【0010】
他の技術的な特徴は、以下の図、説明、および添付の特許請求の範囲から当業者に容易に明らかになってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本開示のより完全な理解のために、添付図面と共に考えられる以下の説明がここで参照される。
図1は、本開示の一実施形態による例示的な紙生産システム100を示す。図1に示す紙生産システム100の実施形態は、例証だけのためのものである。紙生産システム100の他の実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく使用されてもよい。
【0012】
この実施例では、紙生産システム100は、抄紙機102、制御システム104、およびネットワーク105を含む。抄紙機102は、紙製品を生産するのに使用される種々のコンポーネントを含む。この実施例では、リール108において収集された紙シート106を生産するために、種々のコンポーネントが使用されてもよい。制御システム104は、抄紙機102の動作を監視し、制御する。これは、抄紙機102によって生産される紙シート106の品質を維持するか、または、向上させるのに役立つ場合がある。
【0013】
図1に示すように、抄紙機102は、連続移動式ワイヤスクリーンまたはメッシュ上で、機械にわたって均一にパルプ懸濁液を分散させるヘッドボックス110を含む。ヘッドボックス110に入るパルプ懸濁液は、たとえば、0.2〜3%木材繊維および/または他の固体を含有してもよく、懸濁液の残りは水である。ヘッドボックス110は、シートにわたって希釈水をパルプ懸濁液に分散させる希釈アクチュエータ112のアレイを含んでもよい。希釈水を使用して、得られる紙シート106が、シートにわたって横方向(CD)におけるより均一な坪量を有することを確保するのに役立つ場合がある。ヘッドボックス110は、また、スライスリップ・アクチュエータ114のアレイを含んでもよく、スライスリップ・アクチュエータ114は、パルプ懸濁液が、そこからヘッドボックス110を出て移動式ワイヤスクリーンまたはメッシュ上に入る、機械にわたるスライス開口を制御する。スライスリップ・アクチュエータ114のアレイは、同様に、紙シート106のCD坪量を制御するのに使用されてもよい。
【0014】
蒸気アクチュエータ116のアレイは、熱蒸気を生成し、熱蒸気は、紙シート106に浸透し、蒸気内の潜熱を紙シート106内に放出し、それにより、シートにわたって断面において紙シート106の温度を増加させる。温度の増加は、紙シート106からの水の容易な横方向除去を可能にし得る。再湿潤化シャワアクチュエータ118のアレイは、紙シート106の表面上に水の小滴(霧化されてもよい)を付加する。再湿潤化シャワアクチュエータ118のアレイを使用して、紙シート106の水分CDプロファイルを制御するか、紙シート106の過剰乾燥を減らす、または、防止するか、あるいは、紙シート106内のドライストリークを補正してもよい。紙シート106は、しばしば、逆回転ロールのいくつかのニップを通過する。誘導加熱アクチュエータ120のアレイは、機械にわたって鉄ロールのシェル表面を加熱する。ロール表面が局所的に熱くなると、ロール直径は、局所的に拡張し、そのためニップ圧を増加させ、次に、紙シート106を局所的に圧迫する。したがって、誘導加熱アクチュエータ120のアレイを使用して、紙シート106のキャリパ(厚さ)CDプロファイルを制御してもよい。紙シートの厚さ、平滑度、および光沢を改善するために、スーパカレンダなどのさらなるコンポーネントを使用して、紙シート106をさらに処理することができる。
【0015】
これは、紙製品を生産するのに使用されてもよい、1つのタイプの抄紙機102の簡潔な説明を示す。このタイプの抄紙機102に関するさらなる詳細は、当技術分野でよく知られており、本開示の理解のために必要とされない。同様に、これは、システム100で使用されてもよい、1つの特定のタイプの抄紙機102を示す。紙製品を生産する任意の他のまたはさらなるコンポーネントを含む、他の機械またはデバイスが使用されることができる。さらに、本開示は、紙製品を生産するシステムで使用に限定されず、プラスチック、織物、金属箔、またはシートなどの、他のアイテムまたは材料、あるいは、他のまたはさらなる材料を生産するシステムで使用されることができる。
【0016】
紙作製プロセスを制御するために、紙シート106の特性が、絶えず、または、繰り返して測定され、抄紙機102が、シート品質を確保するために調整されることができる。このコントロールは、製造プロセスの種々の段階でシート特性を測定することによって達成されることができる。その後、この情報を使用して、抄紙機102内の種々のアクチュエータ112〜120を調整し、それにより、所望の目標からのシート特性の変動が補償されることができる。
【0017】
図1に示すように、抄紙機102は、それぞれ、センサのセットを含んでもよい2つのスキャナ122、124を含む。スキャナ122、124は、紙シート106を走査し、紙シート106の1つまたは複数の特性を測定することが可能である。たとえば、スキャナ122、124は、紙シート106の重量、水分、キャリパ(厚さ)、光沢、平滑度、あるいは、任意の他のまたはさらなる特性を測定するセンサを保持することができる。スキャナ122、124はそれぞれ、センサのセットまたはセンサのアレイなどの、紙シート106の1つまたは複数の特性を測定するか、または、検出する任意の適した1つまたは複数の構造を含む。センサの走査型セットは、シート特性を測定する1つの特定の実施形態を表す。他の実施形態は、センサの固定型セットまたはアレイの使用を含むことができる。これらの実施形態はそれぞれ、CDプロファイルを表す測定値の1つまたは複数のアレイを生成することができる。システム100における横方向(CD)は、通常、システム100の縦方向(MD)に垂直である。
【0018】
制御システム104は、スキャナ122、124に結合される。制御システム104は、スキャナ122、124によって取得された測定値に基づいて抄紙機102の動作を変更することが可能である。たとえば、制御システム104は、アクチュエータ112〜120の動作を調整して、所望のまたは指定された特性を有する紙シート106などの、所望の結果を達成することができる。制御システム104は、抄紙機102の動作を制御するための、任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または、その組合せを含む。制御システム104の1つの例示的な実施形態は、以下に述べられる図2に示される。
【0019】
とりわけ、スキャナ122、124は、制御システム104に同期化されなくてもよい。たとえば、制御システム104は、固定であることができるサンプリングレートで動作してもよい。これらの実施形態では、制御システム104は、制御システム104のサンプリングレートに同期する推定された測定値を提供する測定値予測器を含む。たとえば、測定値予測器は、制御システム104のサンプリングインスタンス(測定データがサンプリングされる時間)において、スキャナ122、124の1つまたは複数からの測定データを予測すること。特定の実施例として、測定値予測器は、プロセスモデル(抄紙機の動作のモデルなど)および履歴データ(制御システム104によって生成される以前の制御信号など)を使用して、コントローラのサンプリングインスタンスにおいて、センサからの測定値がどのようなものであるかが推定されてもよい。後で、センサが、制御システム104に実際の測定データを提供するときに、測定値予測器は、新しい測定データを使用して、以前の予測された測定値を更新してもよい。制御システム104は、推定され、更新された測定値を使用して動作してもよい。こうして、制御システム104は、センサの複数のセットを使用して動作してもよく、センサのセットは、非同期であってもよい(制御システム104に同期化されなくてもよい)。さらに、制御システム104は、サンプルが、固定サンプリングレートで作られようと、可変サンプリングレートで作られようと、同期方式で、推定され、更新された測定値を使用することができる。
【0020】
ネットワーク105は、制御システム104、アクチュエータ112〜120、およびスキャナ122、124に結合される。ネットワーク105は、システム100のコンポーネント間の通信を容易にする。たとえば、ネットワーク105は、ネットワークアドレス間で、インターネットプロトコル(IP)パケット、フレームリレーのフレーム、非同期転送モード(ATM)セル、または他の適した情報を通信してもよい。ネットワーク105は、1つまたは複数のローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネットなどのグローバルネットワークの全てまたは一部、あるいは、1つまたは複数のロケーションにおける任意の他の1つまたは複数の通信システムを含んでもよい。ネットワーク105は、また、イーサネット、IP、X.25、フレームリレー、または任意の他のパケットデータプロトコルなどの任意の適切なタイプの1つまたは複数のプロトコルに従って動作してもよい。
【0021】
図1は、紙生産システム100の一実施例を示すが、図1に対して種々の変更が行われてもよい。たとえば、他のシステムを使用して、紙製品または他の製品を生産することができる。同様に、センサの2つのセットを含むもの(スキャナ122、124)として示されるが、生産システム100は、センサの3つ以上のセットを含むことができる(走査型であれ、固定型であれ)。さらに、センサは、システム100内の任意の適したロケーションに位置することができる。
【0022】
図2は、本開示の一実施形態による、紙生産システム内の例示的な制御システム104を示す。図2に示す制御システム104は、例証だけのためのものである。制御システム104の他の実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく使用されてもよい。同様に、説明を容易にするために、制御システム104は、図1の紙生産システム100に関して述べられる。制御システム104は、任意の他の適したデバイスまたはシステムに関して使用されることができる。
【0023】
図2に示すように、制御システム104は、コントローラ202を含む。コントローラ202は、プロセス204の動作(抄紙機102によって実施されるプロセスなど)を制御することが可能である。たとえば、コントローラ202は、変数の現在の値(紙シート106の特性など)を識別する入力を受信してもよい。入力に基づいて、コントローラ202は、変数が、指定された設定値(YSP)に、または、その近くに留まるように、プロセス204の動作を調整してもよい。コントローラ202は、コントローラ202が予測された状態/測定値を使用し、指定されたサンプリングレートで対応する出力を生成するときなどに、これらのアクションを特定のレートで実施してもよい。このレートは、「制御間隔」と呼ばれてもよい時間間隔を規定する。コントローラ202は、プロセスの1つまたは複数の態様を制御するための、任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または、その組合せを含む。コントローラ202は、たとえば、出力フィードバックコントローラまたは状態フィードバックコントローラを表すことができる。特定の実施例として、コントローラ202は、多変量モデル予測コントローラ(多変量横方向モデル予測コントローラなど)、比例積分−微分コントローラ、または、H−インフィニティコントローラを表すことができる。
【0024】
コントローラ202の出力は、プロセス204に提供される。一般に、プロセス204は、コントローラ202の出力を使用して動作するプロセスを表し、プロセス204の動作は、コントローラの出力に基づいて変化する。この実施例では、プロセス204は、紙生産システム100の抄紙機102を表し、コントローラ202は、抄紙機102の1つまたは複数のコンポーネントの動作を調整して、紙シート106の生産を変更する。
【0025】
スキャナ122、124は、そのとき実行しているプロセス204に基づいて測定データを生成し、提供する。たとえば、スキャナ122、124は、抄紙機102によって生成されている紙シート106の種々の特性を測定するセンサのセットを表してもよい。測定データは、同期データまたは非同期データを表すことができる。たとえば、スキャナ122、124は、異なる走査時間を使用して動作することができ、スキャナ122、124が、測定データを生成するのに異なる時間量を必要とすることを意味する。別の実施例として、スキャナ122、124は、同一であるが不整合の走査時間を使用して動作することができ、スキャナ122、124が、測定データを生成するのに同じ時間量を必要とするが、時間間隔が整合されないことを意味する。スキャナ122、124はそれぞれ、測定間で10〜30秒の間隔などの、任意の適した走査時間を使用して動作してもよい。
【0026】
これらの、または、他の状況では、スキャナ122、124の1つまたは複数によって出力される測定データは、コントローラ202の制御間隔に整合されない、すなわち、同期化されなくてもよい。制御システム104内の測定値予測器206を使用して、スキャナ122、124のいずれの非同期挙動も補償される。たとえば、測定値予測器206は、コントローラ202のサンプリングレートに同期化されてもよい。プロセス204のモデルおよびコントローラ202からの履歴出力などの情報を使用して、測定値予測器206は、スキャナ122、124内のセンサのセットなどの1つまたは複数のセンサからの測定データを予測してもよい。この推定された測定データは、その後、使用のためにコントローラ202に提供されてもよい。センサが実際の測定データを測定値予測器206に提供すると、測定値予測器206は、センサからの新しい測定データを使用して、以前の予測された測定データを更新してもよい。こうして、測定値予測器206は、1つまたは複数の非同期センサからの測定データが、コントローラ202に提供され、コントローラ202によって使用されることを可能にする。
【0027】
測定値予測器206は、1つまたは複数のセンサによって行われる測定値の少なくとも一部を予測するための、任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または、その組合せを含む。測定値予測器206は、たとえば、1つまたは複数のプロセッサ208およびプロセッサ(複数可)208によって使用される情報および命令を記憶することができる1つまたは複数のメモリ210を含むことができる。測定値予測器206の1つの例示的な実施形態は、以下に述べられる図3に示される。
【0028】
図2は、紙生産システム内の制御システム104の一実施例を示すが、図2に対して種々の変更が行われてもよい。たとえば、制御システム104は、任意の数のコントローラ202、プロセス204、スキャナ122、124、および測定値予測器206を含むことができる。
【0029】
図3は、本開示の一実施形態による、制御システム内の例示的な測定値予測器206を示す。図3に示す測定値予測器206の実施形態は、例証だけのためのものである。測定値予測器206の他の実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく使用されることができる。同様に、説明を容易にするために、図3の測定値予測器206は、図1の紙生産システム100において図2のコントロールシステム104内で動作するものとして述べられる。測定値予測器206は、任意の他の適したデバイスまたはシステム内で使用されることができる。
【0030】
図3に示すように、測定値予測器206は、連続時間モデル302を含む。連続時間モデル302は、プロセス204の数学的モデル(図1の抄紙機102によって実施されるプロセスを表してもよい)を表す。連続時間モデル302は、たとえば、連続時間領域内でモデル化された伝達関数を使用してプロセス204を数学的に表してもよい。
【0031】
連続時間モデル302を使用して、非同期サンプリング間隔に基づく離散時間状態空間モデル304が規定される。離散時間状態空間モデル304は、プロセス204の別の数学的モデルを表す。たとえば、離散時間状態空間モデル304は、時間領域内の伝達関数モデルを使用してプロセス204を数学的に表してもよい。
【0032】
測定値予測器206は、また、推定/補正ユニット306を含む。推定/補正ユニット306を使用して、スキャナ122、124内のセンサのセットなどの1つまたは複数のセンサからの測定データが推定されてもよい。推定/補正ユニット306は、また、サンサから受信した実際の測定データを使用して以前の推定された測定データを更新するか、または、補正してもよい。この実施例では、推定/補正ユニット306は、離散時間状態空間モデル304、および、プロセス204を制御するために、コントローラ202によって出力された以前の制御信号を表す履歴コントローラ値Uを使用してセンサからの測定データを推定してもよい。履歴コントローラ値Uは、たとえば、測定値予測器206に付随するバッファに記憶されることができる。一部の実施形態では、これらの値は、離散時間状態空間モデル304と共に使用されて、1つまたは複数のセンサからの1つまたは複数の測定値
【0033】
【数1】

【0034】
が推定される、または、予測される。予測された測定値は、その後、(コントローラ202が出力フィードバックコントローラであるときなどに)コントローラ202に提供される。他の実施形態では、離散時間状態空間モデル304を使用して、(コントローラ202が状態フィードバックコントローラであるときなどに)コントローラ202に提供される、1つまたは複数の状態
【0035】
【数2】

【0036】
が推定される。センサからの測定データが受信されると、測定値予測器206は、そのセンサについての以前に推定された測定値または状態を更新してもよい。これは、コントローラ202が、プロセス204を制御するときに、適切な測定値または状態を使用することを可能にする。
【0037】
特定の実施形態では、モデル302〜304は、メモリ210に記憶され、測定値予測器206のプロセッサ208によって操作されることができる。同様に、推定/補正ユニット306は、測定値予測器206のプロセッサ208によって実行されることができる。測定値予測器206の動作に関するさらなる詳細は、以下でより詳細に述べられる図4、5A、および5Bに示される。
【0038】
図3は、制御システム内の測定値予測器206の一実施例を示すが、図3に対して種々の変更が行われてもよい。たとえば、測定値予測器206を形成するために、他の、または、付加的なコンポーネントが、測定値予測器206内で使用されることができる。
【0039】
図4は、本開示の一実施形態による、非同期センサ情報に基づく測定値予測値を使用して抄紙機または他の機械を制御する例示的な方法400を示す。説明を容易にするために、方法400は、図1の生産システム100内で動作する図2の制御システム104内の測定値予測器206に関して述べられる。方法400は、任意の他の適したデバイスによって、また、任意の他の適したシステムにおいて使用されることができる。
【0040】
測定値予測器206は、ステップ402にて、イベントが起こるのを待つ。これは、たとえば、測定値予測器206が測定イベント(センサまたはセンサのセットからの測定データの受信など)を待つこと、または、コントローラ実行イベント(コントローラによる測定データの使用)を待つことを含んでもよい。ステップ404にて、イベントが起こる。これは、たとえば、測定値予測器206がセンサまたはセンサのセットから測定データを受信することを含んでもよい。
【0041】
測定値予測器206は、ステップ406にて、センサ(複数可)のそのときのサンプリング時間を更新し、ステップ408にて、離散時間モデルを更新する。これは、たとえば、測定値予測器206が連続時間モデル302を使用して、離散時間状態空間モデル304を生成することを含んでもよい。
【0042】
起こるイベントが、ステップ410にて、測定イベントである場合、ステップ412にて、測定値予測器206は、補正ユニットを使用して、以前の推定された測定値または状態を実際の測定データを使用して更新する。これは、たとえば、推定/補正ユニット306が、センサからの実際の測定データを使用して、以前の推定された測定値または状態を補正することを含んでもよい。測定値予測器206は、その後、ステップ402に戻ってもよい。他の実施形態では、ステップ416〜418にて、測定イベントがコントローラ実行イベントに一致する場合、測定値予測器206は、補正された測定データをコントローラに出力する。コントローラ202は、その後、プロセス204を制御するために、補正された測定データを使用して動作してもよい。
【0043】
起こるイベントが、ステップ410にて、測定イベントでない場合、ステップ414にて、測定値予測器206は、推定ユニットを使用して、測定値または状態を推定する。これは、たとえば、推定/補正ユニット306が、更新された離散時間状態空間モデル304および履歴コントローラ値Uを使用して、センサ(複数可)からの測定データがどんなものであるかを予測することを含んでもよい。イベントが、ステップ416にて、コントローラ実行イベントである場合、測定値予測器206は、ステップ418にて、予測された測定値データをコントローラに出力する。コントローラ202は、その後、プロセス204を制御するために、予測された測定データを使用して動作してもよい。
【0044】
起こるイベントが、ステップ410にて、測定イベントである場合、ステップ414にて、測定値予測器206は、補正ユニットを使用して、ステップ414にて、以前の推定された測定値または状態を実際の測定データを使用して更新する。これは、たとえば、推定/補正ユニット306が、センサからの実際の測定データを使用して、以前の推定された測定値または状態を補正することを含んでもよい。ステップ416にて、測定イベントがコントローラ実行イベントに一致する場合、測定値予測器206は、補正された測定データをコントローラに出力する。コントローラ202は、その後、プロセス204を制御するために、補正された測定データを使用して動作してもよい。
【0045】
こうして、測定値予測器206は、推定されかつ更新された測定データを、必要に応じてコントローラ202に提供してもよい。この柔軟性は、スキャナ122、124がコントローラ202に対して非同期であっても、測定値予測器206が、スキャナ122、124からの測定データをコントローラ202に提供することを可能にする。
【0046】
図4は、非同期センサ情報に基づく測定値予測を使用して抄紙機または他の機械を制御する例示的な方法400の一実施例を示すが、図4に対して種々の変更が行われてもよい。たとえば、測定値予測器206は、図4の方法400を使用して、任意の数のスキャナまたはセンサからのデータを処理してもよい。
【0047】
図3に戻ると、図4の方法400に従って動作する測定値予測器206の1つの特定に実施態様に関するさらなる詳細を以下に示す。次に続くさらなる詳細は、例証および説明だけのためのものである。測定値予測器206の他の実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく使用されることができる。
【0048】
特定の実施形態では、連続時間領域における以下の伝達関数モデルは、連続時間モデル302として使用されてもよい。
【0049】
【数3】

【0050】
この特定のモデル302では、
【0051】
【数4】

【0052】
および
【0053】
【数5】

【0054】
は、それぞれ、測定プロファイル、アクチュエータプロファイル、および擾乱プロファイルを表す。測定プロファイルは、センサのセットからの測定データの現在のまたはそのときの値を表す。アクチュエータプロファイルは、プロセス204内のアクチュエータアレイ(抄紙機102内のコンポーネント110〜120など)に対してコントローラ202によって出力された制御信号の現在のまたはそのときの値を表す。擾乱プロファイルは、プロセス204内の擾乱の現在のまたはそのときの値を表し、プロセス204内の予測できないまたはランダムな変動を表す。同様に、NおよびNは、それぞれ、センサによって測定された特性の数およびアクチュエータアレイの数を表す。さらに、mはセンサの分解能を表し、nは、j番目のアクチュエータアレイのアクチュエータの数を表す。異なるセンサ(異なる販売業者からのスキャナなど)は、異なる分解能を有してもよいが、全てのセンサが共通の分解能を有するように、測定値をアップサンプリングまたはダウンサンプリングすることが通常可能である。共通の分解能は、たとえば、全てのアクチュエータアレイ内のアクチュエータの最大数の少なくとも3倍であることができる。それを越えると、
【0055】
【数6】

【0056】
(式中、i=1,…,Nおよびj=1,…,N)は、ij番目のサブプラントの空間マトリクス応答を表し、サブプラントは、1つまたは複数のセンサアレイによって監視されるプロセス204の一部分を表す。さらに、hij(s)は、ij番目のサブプラントの動的応答を表し、
【0057】
【数7】

【0058】
として規定されてもよい。この動的応答において、TdijおよびTpijは、それぞれ、ij番目のサブプラントの時間遅延および時定数(秒単位)である。サブプラントの動特性は、式(2)に示す次数と異なる次数であってよい。
【0059】
式(2)に基づいて、ij番目のサブプラントの伝達関数は、状態空間フォーマット
【0060】
【数8】

【0061】
で表現されることができる。式中、
【0062】
【数9】

【0063】
である。この特定の伝達関数において、i=1,…,N、j=1,…,N、およびIm×mは、m×m単位行列を表す。行列
【0064】
【数10】

【0065】
および
【0066】
【数11】

【0067】
内のcの値は、連続時間領域内の状態空間を指し、時間遅延Tdijは、秒単位である。サブプラントの動特性が、式(2)に示す実施例と異なるとき、行列
【0068】
【数12】

【0069】
および
【0070】
【数13】

【0071】
は、異なる形態をとってもよい。
離散時間状態空間モデル304が、固定制御間隔T(センサの走査/サンプリング時間Tの整数倍に等しい)に基づく場合、離散時間状態空間モデル304は、
ij(k+1)=Aijij(k)+Bij(k−tdij)および (8)
【0072】
【数14】

【0073】
として規定されることができる。式中、
【0074】
【数15】

【0075】
ij=Im×m、および (12)
【0076】
【数16】

【0077】
であり、式中、関数floor(x)は、(xの値を、マイナスインフィニティに対して直近の整数に四捨五入するMATLABコマンドを使用することによるなどで)xの整数部を返す。この離散時間表現は、離散時間状態空間モデル304が、非整数時間遅延システム(非同期センサを有するシステムなど)について測定値または状態を正確に予測することを可能にする。
【0078】
これらのモデルおよびセンサ122、124からの測定値が与えられたとすると、測定値予測器206は、センサからの実際の(real)測定値に基づいて1つまたは複数のセンサについて測定値プロファイルを正確に予測するように動作する。さらに、測定値予測器206は、コントローラ202に対して必要とされる変更を減少させる、または、最小にするように実施されることができ、旧式の制御システム内で測定値予測器206を使用することに伴うコストを低減するのに役立つ場合がある。
【0079】
以下は、複数の非同期センサについてのサポートが、測定値予測器206を使用して制御システム104内にどのように組み込まれることができるかを述べる。以下に述べる解決策は、3つの章に分割される。第1は、単一入力、単一出力システム(1つのセンサと1つのアクチュエータを制御するコントローラを有するシステム)について離散時間領域内で測定値を正確に予測する方法を述べる。第2は、推定/補正ユニット306が、測定値予測器206内で使用されることができる方法を述べる。第3は、上記技法を多次元システム(複数のセンサアレイを有するシステム)に拡張する方法を述べる。
【0080】
一般に、時間遅延Tが任意の正数であるため、予想される測定値は、式(3)および(4)から連続モデルに基づいて正確に得られることができる。しかし、離散時間領域において、商T/Tは、非整数値であることが多く、測定値は、システムの次数を増加させなくては、式(8)の固定サンプリング状態空間モデルに基づいて正確に予測されることができないことが多い。たとえば、図5Aは、システムにおける固定制御間隔Tおよび時間遅延Tの使用を示す。ここで、T=pT+Tであり、pは
商T/Tの非負整数部を表し、Tは、商T/Tの分数部を表す。図5Aに関連するシステムは、単一入力、単一出力システムである。ここで、
【0081】
【数17】

【0082】
中、u(t−T)は、階段状一定コントローラ信号であり、Kは、プロセス利得である。
図5Aは、分数時間遅延を扱う方法を示す。図5Aに示す実施例では、時間遅延Tは、固定制御間隔Tより大きい。より具体的には、時間遅延Tは、1つの完全な固定制御間隔Tと別の固定制御間隔の分数Tの和を表す。この実施例では、関数u(t)は、u(t)=u(t+pT)が時間遅延Tの整数部を表すものと規定することによって、また、仮想入力v(t)=u(t+T)が時間遅延Tの分数部を表すものと規定することによって修正されることができる。仮想入力を使用することによって、出力y(t)と仮想入力v(t)との間の遅延が存在せず、
【0083】
【数18】

【0084】
を意味する。
連続時間領域内の状態空間モデル
【0085】
【数19】

【0086】
y(t)=CX(t)+d(t) (15)
を使用して、図5Aに示すシステムの動的応答を表現することが可能である。式中、
【0087】
【数20】

【0088】
=1 (18)
および
=pT+T (19)
である。時間t(t=n×T、n=1,2,…)における測定値y(t)は、以下のように正確に予測されることができる。連続時間領域内の式(14)および(15)は、サンプリング時間Tによって離散時間領域に変換される。状態は、その後、t=nT+T(n=0,1,2,…)において
x(t)=ad1x(t−T)+bd1u(nT−pT−T) (20)
のように計算されることができる。式中、
【0089】
【数21】

【0090】
および
【0091】
【数22】

【0092】
である。センサが可変サンプリング時間であるため、連続時間tが離散時間kの代わりに使用される。式(14)および(15)は、異なるサンプリング時間(T−T)によって再び離散時間領域に変換され、測定値y(t)は、時間t=n×Tにおいて推定される。たとえば、これは、形態
x(t)=ad2x(t−T+T)+bd2u(t−pT−T) (21)
および、t=n×T(n=1,2,…)において
y(t)=cd2x(t)+d(t) (22)
をとってもよい。式中、
【0093】
【数23】

【0094】
であり、cd2=1である。この実施例では、離散時間領域内の行列ad1、ad2、bd1、およびbd2は、式(10)および(11)に示すようにサンプリング時間の関数である。同様に、式(20)を使用して、時間t=n×Tから時間t=n×T+Tまで状態を伝播させ、式(21)を使用して、時間t=n×T+Tから時間t=(n+1)×Tまで状態を伝播させる。特定の実施形態では、システムが連続時間領域内でモデル化される場合、可変サンプリング時間を伴う離散時間領域内のシステムの状態空間モデルが決定されることができ、その離散出力は、誤差無しで正確に予測されることができる。
【0095】
図5Aに示される単一入力、単一出力システムは、複数入力、複数出力システムに拡張されることができる。たとえば、複数入力、複数出力システム内の各サブプラントについての状態は、別々に更新されることができ、全てのサブプラントは、制御アクション時間で更新されることができるであろう。換言すれば、状態および測定値は、可変サンプリング時間T(TまたはT−Tに等しい)を使用して更新され、t=n×T(n=1,2,…)において
【0096】
【数24】

【0097】
である。
これは、単一入力、単一出力システムについて離散時間領域内で測定値を正確に予測する方法を述べた。以下は、推定/補正ユニット306が、測定値予測器206内で使用されることができる方法を述べる。先に述べたように、スキャナ122、124の1つまたは複数は、コントローラ202に同期化されなくてもよく、また、測定値予測器206は、スキャナ122、124の出力を予測し、予測された値をコントローラ202に提供してもよい。推定/補正ユニット306は、その後、スキャナ122、124からの実際の測定値が受信されると、予測される値を更新する、または、補正する。図5Bは、図5Aに示す技法が、制御アクションがセンサ出力に同期化されない状況を扱うように拡張される方法を示す。
【0098】
図5Bに示すように、固定制御間隔T中に、いくつかの異なる事が起こる可能性がある。仮想入力(各サブプラントについて特定の時間遅延だけ遅延したコントローラ出力であり、仮想入力イベントとコントローラアクションイベントとの間の期間はサブプラントの分数時間遅延である)および1つまたは複数のセンサ出力が受信される可能性がある。特定の実施形態では、複数のセンサ出力が受信されることができるが、最新の、または、最近のセンサ出力だけが関連性がある。仮想入力は、センサ出力より早期か、センサ出力と同時か、または、センサ出力後に起こる可能性がある。図5Bに示すように、各固定制御間隔Tは、仮想入力とセンサ出力が起こるときに応じて、2つまたは3つの部分に分割される。これらの時間は、可変サンプリング時間として、および、上述した状態および測定値を予測するために使用される。しかし、センサ出力が生じると、状態は、新しい測定値を使用して推定/補正ユニット306によって補正されてもよい。たとえば、推定/補正ユニット306は、
【0099】
【数25】

【0100】
を実施するように動作してもよい。式中、
【0101】
【数26】

【0102】
は、センサからの測定値yim(t)に基づく補正後の状態を表し、Lは、補正ユニット利得(1/Nに等しくてもよい)を表し、
【0103】
【数27】

【0104】
および
【0105】
【数28】

【0106】
は、予想される状態および測定値を表す。式(25)の補正は、センサからの出力が、推定/補正ユニット306によって受信されたときに(図5Bの時間T、T、およびTの終わりなどで)起こってもよい。同様に、状態
【0107】
【数29】

【0108】
は、(図5Bの時間T、T、およびT10の始まりなどで)補正された状態
【0109】
【数30】

【0110】
によって置換られてもよい。特定の実施形態では、予想される測定値は、制御アクションイベントが起こるときに更新されてもよいだけである。
特定の実施例では、時間t=Tにおける測定値は、以下のように予測されてもよい。式(14)および(15)は、サンプリング時間Tによって連続時間領域から離散時間領域へ変換される。時間t=Tにおける測定値は、
x(t)=ad1x(t−T)+bd1u(t−pT−T) (26)
および
y(t)=cd1x(t)+d(t) (27)
(式中、t=Tである)として予測されることができる。状態は、その後、式(25)を使用して補正される。式(14)および(15)は、
x(t)=ad2x(t−T)+bd2u(t−pT−T) (28)
(式中、t=T+Tである)のように、サンプリング時間Tによって連続時間領域から離散時間領域へ変換される。式(14)および(15)は、
x(t)=ad3x(t−T)+bd3u(t−pT−T) (29)
および
y(t)=cd3x(t)+d(t) (30)
(式中、t=Tである)のように、サンプリング時間Tによって連続時間領域から離散時間領域へ再び変換される。最後に、t=Tにおける予想される状態/測定値は、コントローラ22に出力される。同様なプロセスを使用して、時間t=2T、3T、…における測定値を予測することができる。同様なプロセスは、また、複数の非同期センサを有する複数入力、複数出力システムにで使用されることができる。
【0111】
最後に、上記技法は、複数のセンサアレイを有する多次元システムで使用するために拡張されてもよい。たとえば、スカラー入力uおよびスカラー出力yは、それぞれ、ベクトル入力Uおよびベクトル出力Yに置換えられてもよい。時間t=Tにおいて測定値を正確に予測することは、以下のように起こる可能性がある。式(3)および(4)は、サンプリング時間Tによって連続時間領域から離散時間領域へ変換される。時間t=Tにおける測定値は、t=Tにおいて
【0112】
【数31】

【0113】
として予測されることができる。式中、
【0114】
【数32】

【0115】
である。状態は、時間t=Tにおいて補正され、更新されるため、
【0116】
【数33】

【0117】
となる。式(3)は、t=T+Tにおいて
【0118】
【数34】

【0119】
のように、サンプリング時間Tによって連続時間領域から離散時間領域へ再び変換される。式中、
【0120】
【数35】

【0121】
である。式(3)および(4)は、サンプリング時間Tによって連続時間領域から離散時間領域へさらに再び変換される。時間t=Tにおける測定値は、t=Tにおいて
【0122】
【数36】

【0123】
として予測されることができる。式中、
【0124】
【数37】

【0125】
である。こうして、上述した技法は、そのうちの少なくとも1つが(コントローラ202の制御間隔と比較して)非同期である複数のセンサアレイを有するシステムにおいて使用されることができる。
【0126】
先の説明は、図1の抄紙機102で動作する図2の制御システム104内の測定値予測器206の1つの特定の実施態様を述べた。測定値予測器206および制御システム104の他の実施形態が、本開示の範囲から逸脱することなく、他のまたはさらなる方法で動作することができる。同様に、測定値予測器206は、抄紙機102の代わりに、または、抄紙機102に加えて他のデバイスを制御するように動作することができる。
【0127】
一部の実施形態では、上述した種々の機能は、コンピュータ読み取り可能プログラムコードから形成され、かつ、コンピュータ読み取り可能媒体において具現化されるコンピュータプログラムによって実施される、または、サポートされる。句「コンピュータ読み取り可能プログラムコード」は、ソースコード、オブジェクトコード、および実行可能コードを含む任意のタイプのコンピュータコードを含む。句「コンピュータ読み取り可能媒体」は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、または任意の他のタイプのメモリなどの、コンピュータによってアクセスされることが可能な任意のタイプの媒体を含む。
【0128】
本特許文書を通して使用されるいくつかの語および句の定義を述べることが有利である場合がある。用語「結合する」および派生語は、2つ以上の要素間の直接的なまたは間接的な任意のつながり(これらの要素が互いに物理的に接触してもしなくても)を指す。用語「含む」および「備える」ならびにその派生語は、制限の無い包含を意味する。用語「または」は、包含的であり、および/または、を意味する。句「関連する」および「それに関連する」ならびにその派生語は、含む、内部に含まれる、相互接続する、収容する、内部に収容される、に、または、と接続する、に、または、と結合する、つながることができる、協働する、インタリーブする、並置する、近接する、に、または、と接合する、有する、特性を有する、または、同様なものを意味してもよい。用語「コントローラ」は、少なくとも1つの動作を制御する任意のデバイス、システム、またはその一部を意味する。コントローラは、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、または、それらの少なくとも2つのある組合せで実施されてもよい。任意特定のコントローラに関連する機能は、ローカルであろうが遠隔であろうが、集中化されてもよく、または、分散されてもよい。
【0129】
本開示は、いくつかの実施形態および一般に関連する方法を述べたが、これらの実施形態および方法の修正および置換は、当業者に明らかであろう。それに応じて、例示的な実施形態の上記説明は、本開示を規定または制限しない。添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の変更、置換、および修正も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本開示の一実施形態による例示的な紙生産システムを示す図である。
【図2】本開示の一実施形態による紙生産システム内の例示的な制御システムを示す図である。
【図3】本開示の一実施形態による制御システム内の例示的な測定値予測器を示す図である。
【図4】本開示の一実施形態による非同期センサ情報に基づく測定値予測を使用して抄紙機または他の機械を制御する例示的な方法を示す図である。
【図5A】本開示の一実施形態による測定値予測器の例示的な動作を示す図である。
【図5B】本開示の一実施形態による測定値予測器の例示的な動作を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス(204)を制御するために、コントローラ(202)によって使用される測定値または状態を予測するステップと、前記予測される測定値または状態は、前記プロセス(204)のモデルを使用して生成され、
前記予測される測定値または状態を前記コントローラ(202)に提供するステップと、それにより、前記コントローラ(202)は、前記コントローラ(202)のサンプリングレートで前記予測される測定値または状態を使用し、
センサからのアイテムの特性に関連する測定値を使用して、前記予測される測定値または状態の少なくとも一部を更新するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記モデルは、離散時間モデル(304)を含み、
前記プロセス(204)の連続時間モデル(302)を使用して前記離散時間モデル(304)を生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記測定値は、複数のセンサ(122、124)から受信され、前記センサ(122、124)のうち少なくとも2つは、測定値を生成するために異なるサンプリング時間を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記予測される測定値または状態を前記コントローラ(202)においてサンプリングするステップと、
前記サンプリングされた測定値または状態を使用して、前記プロセス(204)を制御するための制御信号を生成するステップとを含み、
前記測定値または状態を予測するステップは、前記モデルおよび制御信号の少なくとも一部を使用して、前記予測される測定値または状態の少なくとも一部を生成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのプロセッサ(208)は、前記モデルおよび前記制御信号の少なくとも一部を使用して、前記予測される測定値または状態の少なくとも一部を生成することによって、前記測定値または状態を予測するよう動作する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記センサによって出力される測定値間の時間間隔は、前記コントローラ(202)の出力間の時間間隔の整数倍ではないこと、および、
前記プロセス(204)に関連する時間遅延が、前記コントローラ(202)の出力間の時間間隔の整数倍ではないこと
の少なくとも一方である、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
コンピュータ読み取り可能媒体上で具現化され、かつ、プロセッサによって実行されるよう動作するコンピュータプログラムであって、
プロセス(204)を制御するために、コントローラ(202)によって使用される測定値または状態を予測するステップと、前記予測される測定値または状態は、前記プロセス(204)のモデルを使用して生成され、
前記予測される測定値または状態を前記コントローラ(202)に提供するステップと、それにより、前記コントローラ(202)は、前記コントローラ(202)のサンプリングレートで前記予測される測定値または状態を使用し、
センサからのアイテムの特性に関連する測定値を使用して、前記予測される測定値または状態の少なくとも一部を更新するステップと、
をコンピュータ読み取り可能プログラムコードに含むコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−535684(P2009−535684A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507192(P2009−507192)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【国際出願番号】PCT/IB2007/001168
【国際公開番号】WO2008/041067
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(508322831)ハネウェル・アスカ・インコーポレーテッド (11)
【Fターム(参考)】