説明

非接触リーダライタ

本発明の目的は、異なる周波数の搬送波を用いた複数の送信信号を送信する送信部と、前記送信部により送信した複数の送信信号に対する返信である複数の返信信号を受信する受信部と、前記返信信号に基づく返信信号の位相データを算出する位相算出部と、前記位相算出部からの位相データに基づいて前記返信信号を返信した物体との距離を算出する距離算出部および/または前記受信信号から得られたベースバンド信号に基づいて、前記ベースバンド信号の周波数成分を算出し、前記周波数成分に基づいて前記返信信号を返信した物体の速度を算出する速度算出部と、前記送信部から送信する送信信号の送信方向を制御する制御部とを備えた非接触リーダライタを提供することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグや無線カード等の非接触式情報記録担体と通信を行う非接触リーダライタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
非接触式情報記録担体である無線タグや無線カードと、非接触リーダライタとの通信の際に、非接触式情報記録担体の位置、速度、個数、その周囲の障害物の配置といった通信環境は、一様ではない場合がある。よって、通信環境に応じて、リアルタイムに非接触リーダライタにおける送受信部の各パラメータ、通信手順、通信するエリアといった非接触リーダライタのシステム全体を最適化することができれば、理想的な通信品質を得ることができる。
【0003】
これを実現する第一歩として、まずリアルタイムに非接触式情報記録担体の位置、速度、個数、その周囲の障害物の配置といった詳細な通信環境を把握することが必要となる。
これまでには、特表2002−525640号公報のように、非接触式情報記録担体と非接触リーダライタ間の距離が検出可能な非接触リーダライタが知られている。
【0004】
従来の一般的な非接触リーダライタの構成図を図20に示す。図20において、81は非接触式情報記録担体の一例である無線タグである。また、82は無線タグ81と無線通信を行う非接触リーダライタである。83は送信データの出力や受信子一タの処理などを行うCPU(Central Processing Unit)である。84はCPU83から入力された送信データを加工して電波として出力する送信部である。85はアンテナ部86により受信した電波を加工して受信データをCPU83へ出力する受信部である。86は送信部84から入力された送信信号を電波として出力し、また、無線タグ81から受信した電波を受信信号として受信部85に出力するアンテナ部である。
【0005】
上記のような非接触リーダライタ82は、距離検出のための新たな送受信回路を設けず、非接触式情報記録担体との通信の際に得られる非接触式情報記録担体からの応答時間や受信電力にもとづいてCPU83にて簡易的に無線タグ81の距離を測定していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の非接触リーダライタによる距離測定において、非接触式情報記録担体からの応答時間による算出では分解能が悪い、2次エコーが発生するといった問題があり、また、非接触式情報記録担体からの受信電力による算出では、非接触式情報記録担体の姿勢変動などにより受信電力は変動するため、受信電力と距離が必ずしも対応しないなどの問題があった。
【0007】
また、非接触式情報記録担体までの距離は検出できても、その方位、速度、個数、その周囲の障害物の配置といった詳細な通信環境まで把握することができなかった。そのため、通信環境に応じてリアルタイムに最適化するシステムはこれまで存在しなかった。
【0008】
本発明は、非接触式情報記録担体の位置、速度、個数、その周囲の障害物の配置等を検出可能な非接触リーダライタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の非接触リーダライタは、異なる周波数の搬送波を用いた複数の送信信号を送信する送信部と、前記送信部により送信した複数の送信信号に対する返信である複数の返信信号を受信する受信部と、前記返信信号に基づいて返信信号の位相データを算出する位相算出部と、前記位相算出部からの位相データに基づいて、前記返信信号を返信した物体との距離を計算する距離計算部とを備えている。
【0010】
また、本発明の非接触リーダライタは、異なる周波数の搬送波を用いた複数の送信信号を送信する送信部と、前記送信部により送信した複数の送信信号に対する返信である複数の返信信号を受信する受信部と、受信信号から得られたベースバンド信号から、前記ベースバンド信号の周波数成分を算出し、前記周波数成分に基づいて前記返信信号を返信した物体の移動速度を算出する速度算出部とを備えている。
【0011】
また、本発明の非接触リーダライタは、異なる周波数の搬送波を用いた複数の送信信号を送信する送信部と、前記送信部により送信した複数の送信信号に対する返信である複数の返信信号を受信する受信部と、前記返信信号に基づいて返信信号の位相データを算出する位相算出部と、前記位相算出部からの位相データに基づいて、前記返信信号を返信した物体との距離を計算する距離計算部とを有し、前記返信信号にデータが含まれているかどうかで前記物体を無線タグか障害物か判別するものである。
【0012】
また、本発明の非接触リーダライタは、異なる周波数の搬送波を用いた複数の送信信号を送信する送信部と、前記送信部により送信した複数の送信信号に対する返信である複数の返信信号を受信する受信部と、前記返信信号に基づいて返信信号の位相データを算出する位相算出部と、受信信号から得られたベースバンド信号から、前記ベースバンド信号の周波数成分を算出し、前記周波数成分に基づいて前記返信信号を返信した物体の移動速度を算出する速度算出部とを有し、前記返信信号にデータが含まれているかどうかで前記物体を無線タグか障害物か判別するものである。
【0013】
また、本発明の非接触リーダライタは、異なる周波数の搬送波を用いた複数の送信信号を送信する送信部と、前記送信部により送信した複数の送信信号に対する返信である複数の返信信号を受信する受信部と、前記複数の受信信号から各々位相成分を分離する位相分離部と、前記位相分離部で分離した複数の受信信号の位相成分に基づいて前記返信信号を返信した物体との距離を算出する距離算出部とを備えている。
【0014】
また、本発明の非接触リーダライタは、異なる周波数の搬送波を用いた複数の送信信号を送信する送信部と、前記送信部により送信した複数の送信信号に対する返信である複数の返信信号を受信する受信部と、前記複数の受信信号から各々位相成分を分離する位相分離部と、受信信号から得られたベースバンド信号から、前記ベースバンド信号の周波数成分を算出し、前記周波数成分に基づいて前記返信信号を返信した物体の移動速度を算出する速度算出部とを備えている。
【0015】
また、本発明の非接触リーダライタは、異なる周波数の搬送波を用いた複数の送信信号を送信する送信部と、前記送信部により送信した複数の送信信号に対する返信である複数の返信信号を受信する受信部と、前記複数の受信信号から各々位相成分を分離する位相算出部と、前記位相算出部の出力を受信するデータ抽出部と、前記位相算出部の出力デ一タと前記データ抽出部から出力される位相検出信号とから前記返信信号を返信した物体との距離を算出する距離算出部とを備えている。
【0016】
また、本発明の非接触リーダライタは、異なる周波数の搬送波を用いた複数の送信信号を送信する送信部と、前記送信部により送信した複数の送信信号に対する返信である複数の返信信号を受信する受信部と、前記複数の受信信号から各々位相成分を分離する位相算出部と、前記位相算出部の出力を受信するデータ抽出部と、受信信号から得られたベースバンド信号から、前記ベースバンド信号の周波数成分を算出し、前記周波数成分に基づいて前記返信信号を返信した物体の移動速度を算出する速度算出部とを備えている。
【0017】
また、本発明の非接触リーダライタは、搬送周波数を連続的に時間変化させた1の送信信号を送信する送信部と、前記送信部により送信した送信信号に対する返信である返信信号を受信する受信部と、受信信号から得られたベースバンド信号から、前記ベースバンド信号の周波数成分を算出し、前記周波数成分に基づいて送信信号の周波数と受信信号の周波数との差分周波数を算出し、前記差分周波数成分に基づいて前記返信信号を返信した物体との距離を算出する距離算出部とを備えている。
【0018】
また、本発明の非接触リーダライタは、搬送周波数を連続的に時間変化させた1の送信信号を送信する送信部と、前記送信部により送信した送信信号に対する返信である返信信号を受信する受信部と、受信信号から得られたベースバンド信号から、前記ベースバンド信号の周波数成分を算出し、前記周波数成分に基づいて送信信号の周波数と受信信号の周波数との差分周波数を算出し、前記差分前記周波数成分に基づいて前記返信信号を返信した物体の移動速度を算出する速度算出部とを備えている。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の非接触リーダライタは、位相分離部や距離算出部あるいは速度算出部を設けることで、対象物の位置や速度を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施の形態1)
図1は、無線タグ1とこの無線タグ1と通信を行う非接触リーダライタ3とからなる通信システムの概略構成を示す図である。図1において、1は非接触式情報記録担体の一例である無線タグであり、2は無線タグ1の周囲に存在する障害物であり、図1には1つしか記載していないが、通信対象である無線タグ1を除くその他の物体全てを示す。また、3は無線タグ1と無線通信を行う非接触リーダライタである。
【0021】
以下、この非接触リーダライタ3の構成について説明する。
【0022】
4は無線タグ1等に送信する送信データの出力や無線タグ1等からの受信データの処理を行い、また、後述する送受信部5の動作制御などを行うCPU(Central Processing Unit)である。5はCPU4から入力された送信データを加工して電波として出力し、また、無線タグ1等から受信した電波を加工してこの受信データをCPU4へ出力する送受信部である。6は後述する送受信部5内に設けられた位相分離部22から出力されるデータやミキサ19、ミキサ20から出力されるベースバンド信号に基づいて、無線タグ1や障害物2の距離や速度を算出し、CPU4へ出力するレーダー部である。なお、このレーダー部6は、無線タグ1や障害物2との距離を算出する距離算出部23や、無線タグ1や障害物2の移動速度を算出する速度算出部24を備えている。
【0023】
次に、非接触リーダライタ3内の送受信部5の構成について説明する。
【0024】
7はCPU4から人力された送信データを符号化してパケット化部8に出力する符号化部である。8は符号化部7から入力された符号化データをパケット化して変調部9に出力するパケット化部である。9はパケット化部8から入力されたパケット化データを変調してこの変調信号を送信増幅器10に出力する変調部であり、ミキサ17を備えている。なお、このミキサ17を2つ設けて直交変調器としてもよい。
【0025】
10は変調部9から入力された変調信号を増幅して送信信号としてアンテナ部11に出力する送信増幅器である。11は送信増幅器10から入力された送信信号を電波として無線タグ1や障害物2等に出力し、また、無線タグ1や障害物2から受信した電波を受信信号として受信増幅器12に出力するアンテナ部である。12はアンテナ部11から入力された受信信号を増幅して復調部13に出力する受信増幅器である。13は受信増幅器12から入力された受信信号を直交検波して復調し、位相データをデータ抽出部14へ、位相変化成分、ベースバンド信号をレーダー部6へ出力する復調部である。なお、この復調部13は、移相器18とミキサ19、20と、位相算出部21と、位相分離部22を備えている。
【0026】
14は復調部13から入力された位相データからパケットヘッダを除去してデータを抽出して復号化部15へ出力するデータ抽出部である。15はデータ抽出部14から入力されたデータを復号化し、復号化したデータを受信データとしてCPU4へ出力する復号化部である。
【0027】
また、16はCPU4から指定された周波数の搬送波信号を変調部9および復調部13に出力する発振器である。
【0028】
次に、変調部9の構成について詳述する。変調部9に設けられたミキサ17は、パケット化部8から入力されたパケット化データと、発振器16から入力された搬送波信号とを乗算することでパケット化データをパスバンドに周波数変換して送信増幅器10へ出力するものである。
【0029】
次に、復調部13の構成について詳述する。移相器18は、発振器16から入力された搬送波信号をπ/2ラジアンだけ位相シフトするものである。ミキサ19は、受信増幅器12から入力された受信信号と発振器16から入力された搬送波信号を乗算することで受信信号をベースバンドに周波数変換して位相算出部21、速度算出部24に出力するものである。また、ミキサ20は、受信増幅器12から入力された受信信号と移相器18から入力されたπ/2ラジアン位相シフトされた搬送波信号を乗算することで受信信号をベースバンドに周波数変換して位相算出部21、速度算出部24に出力するものである。位相算出部2lは、ミキサ19とミキサ20とから出力されるベースバンド信号の同相成分や直交成分からベースバンド信号の位相を算出して位相データをデータ抽出部14、位相分離部22へ出力するものである。位相分離部22は位相算出部21から入力される位相データから位相変化成分を抽出して、レ一ダ一部6にある距離算出部23へ出力するものである。
【0030】
次に、レーダー部6について詳述する。距離算出部23は、送受信部5内の位相公離部22から出力される位相変化成分に基づいて、非接触リーダライタ3から無線タグ1や障害物2までの距離を算出するものである。また、速度算出部24は、ミキサ19とミキサ20とから出力されるベースバンド信号に基づいて無線タグ1や障害物2の移動速度を算出するものである。
【0031】
以上のように構成された無線タグの通信システムについて、その動作を説明する。
【0032】
非接触リーダライタ3は、それぞれ異なる周波数の搬送波を用いた2つの送信信号をアンテナ部11から出力する。なお、これら2つの送信信号は、同時ではなくそれぞれ異なる時間に出力する。これは、無線タグ1が同時に複数の信号を受信すると干渉が生じ、非接触リーダライタ3へ正常な信号を返信できない可能性があるためである。
【0033】
無線タグ1への送信のために、CPU4から出力された送信データは、符号化部7により符号化され、パケット化部8により符号化データがパケット化され、変調部9によりパスバンド変調される。変調部9でパスバンド変調した2つの信号E1、E2は、信号E1の振幅をASl、位相をS1、搬送波角周波数をω1、信号E2の振幅をAS2、位相をS2、搬送波角周波数をω2とすると、(数1)と(数2)のように表される。2つの信号は異なる搬送波角周波数によって変調されている。また、無線タグ1へ送りたい信号情報は、振幅変調の場合ASl、AS2、位相変調、周波数変調の場合Sl、S2に含まれる。
【0034】
【数1】

【数2】

【0035】
この2つの信号E1、E2は送信増幅器10で増幅され、アンテナ部11から放射される。アンテナ部11から放射された信号は、無線タグ1もしくは障害物2に反射され、その反射信号をアンテナ部11で受信する。そして、アンテナ部11によって受信された信号は受信増幅器12で増幅される。
【0036】
ここで、まず、無線タグ1に反射された場合について説明する。
【0037】
非接触リーダライタ3と無線タグ1間の電波の往復距離をZ、無線タグ1の運動によって生じるドップラー角周波数をωd、無線タグ1によって変調された2つの信号E1、E2をそれぞれ、信号E1の振幅をASl´、位相をS1´、伝搬定数をkl、信号E2の振幅をAS2´、位相をS2´、伝搬定数をk2とおくと、無線タグ1によって反射された受信信号は(数3)と(数4)のように表される。無線タグ1の変調方式は、位相変調もしくは周波数変調とする。
【0038】
【数3】

【数4】

【0039】
ここで、搬送波角周波数ω1とω2の値が非常に近い場合、それぞれのドップラー角周波数もほぼ等しくなるので、(数3)、(数4)ともドップラー角周波数をωdとした。受信増幅器12で増幅された受信信号を復調部13によって直交検波し、ベースバンドヘ周波数変換した信号は、E1の同相成分をE1I、直交成分をE1Q、E2の同相成分を
E2Q、直交成分をE2Qとすると(数5)、(数6)、(数7)、(数8)のように表
される。
【0040】
【数5】

【数6】

【数7】

【数8】

【0041】
また、伝搬定数kは、位相定数をα、減衰定数をβとおくと、(数9)のようになる。
【0042】
【数9】

【0043】
ここで簡単化のために、減衰定数の項を無視する。信号E1の位相定数をα1、信号E2の位相定数をα2とおくと(数5)、(数6)、(数7)、(数8)は次のようになる。
【0044】
【数10】

【数11】

【数12】

【数13】

【0045】
ベースバンド信号(数10)、(数11)、(数12)、(数13)を位相算出部21へ出力する。位相算出部21は、ベースバンド信号を極座標変換することで位相を算出する。信号E1の位相データθ1は、(数14)、信号E2の位相データθ2は、(数15)となる。
【0046】
【数14】

【数15】

【0047】
この(数14)、(数15)から、受信信号が無線タグ1のドップラー効果と電波伝搬によって(数16)、(数17)の位相変化成分が発生していることがわかる。
【0048】
【数16】

【数17】

【0049】
位相算出部21は、算出した位相データをデータ抽出部14へ出力する。データ抽出部14は、位相データθ1、θ2から位相データの信号成分S1´、S2´を抽出し、これを無線タグ1の識別情報などが含まれる位相データとしてデータ抽出し、復号化部15へ出力する。復号化部15は入力されたデータを復号化し、復号化したデータを受信データとしてCPU4へ出力する。
【0050】
また、位相算出部21は、算出した位相データθ1、θ2を位相分離部22へ出力する。データ抽出部14は、位相データの信号成分S1´、S2´を位相分離部22へ出力する。位相分離部22は位相データθ1、θ2から位相データの信号成分S1´、S2´をひくことで位相変化成分θ1´、θ2´を算出し、レーダー部6内の距離算出部23へ出力する。
【0051】
距離算出部23は、入力された2つの位相の差を算出する。位相差は(数18)のようになる。
【0052】
【数18】

【0053】
ここで、位相定数は、搬送波角周波数をω、電波の速度をCとすると、(数19)のように表すことができる。
【0054】
【数19】

【0055】
よって、(数18)は(数20)のように変形できる。
【0056】
【数20】

【0057】
よって、非接触リーダライタ3と無線タグ1との間の電波の往復距離Zは、(数21)のようになる。
【0058】
【数21】

【0059】
距離算出部23は、位相差(数18)から(数21)を用いて、距離を算出する。また、 速度算出部24は、ベースバンド信号(数10)、(数11)、(数12)、(数13)から、高速フーリエ変換などを用いてドップラー周波数fdを算出する。
【0060】
搬送波の波長をλとすると、無線タグ1と非接触リーダライタ3との相対速度Vは(数22)のようになる。
【0061】
【数22】

【0062】
速度算出部24は、非接触リーダライタ3自身の速度とドップラー周波数fdから無線タグ1の速度を算出する。
【0063】
次に、非接触リーダライタ3から放射された送信信号が障害物2に反射された場合は、無線タグ1に反射された場合を表す(数3)、(数4)が(数23)、(数24)のようになる。
【0064】
【数23】

【数24】

【0065】
なお、距離や速度、受信データの算出手順は無線タグ1の場合と同様に行う。
【0066】
ここで、例えば、搬送波周波数が950MHz、二つの位相変化成分がπ/4ラジアン、2つの搬送波の周波数差が1MHz、ドップラー周波数が100Hzの場合、距離は37.5m、速度は15.7m/sとなる。
【0067】
また、非接触リーダライタ3が受信した反射信号が、無線タグ1によるものであるのか障害物2によるものであるかの判断は、CPU4へ入力される受信データが送信データと同じであるかどうかをCPU4で確認し、同じであれば障害物2であると判別する。すなねち、無線タグ1による受信信号である場合は、反射信号に無線タグ1の識別情報などが含まれるため、無線タグ1による反射信号は、送信信号とは異なるものとなるため、送信信号と反射信号とが異なる場合は無線タグ1による反射信号であると判断でき、送信信号と反射信号が同じ場合は無線タグ1ではなく障害物2による反射信号であると判断できる。
【0068】
なお、それぞれ異なる周波数の搬送波を用いた2つの信号を送受信するタイミングのずれは、小さいほど無線タグ1や障害物2といった目標の移動距離が小さくなるため、距離算出の精度は向上する。
【0069】
以上のように、無線タグ1の変調方式が位相変調もしくは周波数変調に対応している時、一般的な非接触リーダライタに、位相分離部22、距離算出部23、速度算出部24を追加するのみで、無線タグ1等を検知するためのレーダー専用の特別なアンテナや送受信回路を新たに設けることなく、無線タグ1や障害物2との距離や、無線タグ1や障害物2の移動速度を算出することができる非接触リーダライタ3を実現することができる。
【0070】
また、無線タグ1と非接触リーダライタ3との通信に使われる信号を使用するため、通常の無線タグ1との通信を行いながら、無線タグ1や障害物2との距離と、無線タグ1や障害物2の移動速度を算出することができる。
【0071】
また、本実施の形態において、それぞれ異なる周波数の搬送波を用いた2つの信号を用いたが、2つに限ることなく、2つ以上の信号を用いるようにしてもよい。
【0072】
(実施の形態2)
本実施の形態の説明において、実施の形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態1と異なるのは、位相分離部22を不要とした点である。
【0073】
本実施の形態について、図2を用いて、実施の形態1と異なる点を説明する。位相算出部21は、算出した位相データθl、θ2をレーダー部6内の距離算出部23へ出力する。データ抽出部14は、位相データθ1、θ2から抽出した位相データの信号成分S1´、S2´がある固定の値、例えばπラジアンをとったとき、位相検出信号をレーダー部6内の距離算出部23へ出力する。
【0074】
距離算出部23は、位相検出信号が入力されたタイミングにて、位相算出部21より入力される位相データθ1、θ2を保持し、その差を算出する。このとき、位相データθ1、θ2内にある位相データの信号成分S1´、S2´が等しいため、位相差は(数25)のようになる。
【0075】
【数25】

【0076】
これは(数18)と同じ結果である。なお、位相差から距離を算出する手順は実施の形態1と同様に行う。
【0077】
速度、受信データの算出手順は実施の形態1と同様に行う。障害物2の距離や速度、受信データの算出手順は無線タグ1の場合と同様に行う。
【0078】
以上のように、無線タグ1の変調方式が位相変調もしくは周波数変調に対応している時、一般的な非接触リーダライタに、距離算出部23、速度算出部24を追加するのみで、無線タグ1等を検知するためのレーダー専用の特別なアンテナや送受信回路を新たに設けることなく、無線タグ1や障害物2との距離や、無線タグ1や障害物2の移動速度を算出することができる非接触リーダライタ3を実現することができる。
【0079】
また、無線タグ1と非接触リーダライタ3との通信に使われる信号を使用するため、通常の無線タグ1との通信を行いながら、無線タグ1や障害物2との距離と、無線タグ1や障害物2の移動速度を算出することができる。
【0080】
また、本実施の形態において、それぞれ異なる周波数の搬送波を用いた2つの信号を用いたが、2つに限ることなく、2つ以上の信号を用いるようにしてもよい。
【0081】
(実施の形態3)
本実施の形態の説明において、実施の形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態1と異なるのは、無線タグ1の変調方式を振幅変調とした点、位相分離部22を不要とした点、位相算出部21のかわりに、振幅・位相算出部25を設けた点である。
【0082】
本実施の形態について、図3を用いて、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0083】
振幅・位相算出部25は、ミキサ19とミキサ20とから出力されるベースバンド信号の同相成分や直交成分からベースバンド信号の振幅、位相を算出して振幅データをデータ抽出部14へ、位相データを距離算出部23へ出力するものである。
【0084】
以上のように構成された無線タグの通信システムについて、その動作を説明する。
【0085】
非接触リーダライタ3と無線タグ1間の電波の往復距離をZ、無線タグ1の運動によって生じるドップラー角周波数をωd、無線タグ1によって変調された2つの信号E1、E2をそれぞれ、信号E1の振幅をAS1´、伝搬定数をk1、信号E2の振幅をAS2´、伝搬定数をk2とおくと、無線タグ1によって反射された受信信号は(数26)と(数27)のように表される。無線タグ1の変調方式は、振幅変調とする。
【0086】
【数26】

【数27】

【0087】
ここで、搬送波角周波数ω1とω2の値が非常に近い場合、それぞれのドップラー角周波数もほぼ等しくなるので、(数26)、(数27)ともドップラー角周波数をωdとした。
【0088】
受信増幅器12で増幅された受信信号を復調部13によって直交検波し、ベースバンドヘ周波数変換した信号は、Elの同相成分をE1I、直交成分をE1Q、E2の同相成分
をE2I、直交成分をE2Qとすると(数28)、(数29)、(数30)、(数31)
のように表される。
【0089】
【数28】

【数29】

【数30】

【数31】

【0090】
また、伝搬定数kは、位相定数をα、減衰定数をβとおくと、(数32)のようになる。
【0091】
【数32】

【0092】
ここで簡単化のために、減衰定数の項を無視すると、信号E1の位相定数をα1、信号E2の位相定数をα2とおくと(数28)、(数29)、(数30)、(数31)は次のようになる。
【0093】
【数33】

【数34】

【数35】

【数36】

【0094】
ベースバンド信号(数33)、(数34)、(数35)、(数36)を振幅・位相算出部25へ出力する。振幅・位相算出部25は、ベースバンド信号を極座標変換することで振幅、位相を算出する。信号E1の振幅は、AS1´、信号E2の振幅は、AS2´となる。信号E1の位相θ1は、(数37)、信号E2の位相θ2は、(数38)となる。
【0095】
【数37】

【数38】

【0096】
振幅・位相算出部25は、算出した振幅データをデータ抽出部14へ出力する。データ抽出部14は、入力された振幅データAS1´、AS2´を無線タグ1の識別情報などが含まれる振幅データとしてデータ抽出し、復号化部15へ出力する。復号化部15は入力されたデータを復号化し、復号化したデータを受信データとしてCPU4へ出力する。
【0097】
また、振幅・位相算出部25は、算出した位相データをレーダー部6内の距離算出部23へ出力する。
【0098】
距離算出部23は、入力された2つの位相の差を算出する。位相差は(数39)のようになる。
【0099】
【数39】

【0100】
(数18)と同じ値が得られる。なお、位相差から距離を算出する手順は実施の形態1と同様に行う。
【0101】
速度の算出手順は実施の形態1と同様に行う。障害物2の距離や速度、受信データの算出手順は無線タグ1の場合と同様に行う。
【0102】
以上のように、無線タグ1の変調方式が振幅変調に対応している時、一般的な非接触リーダライタに、距離算出部23、速度算出部24を追加するのみで、無線タグ1等を検知するためのレーダー専用の特別なアンテナや送受信回路を新たに設けることなく、無線タグ1や障害物2との距離や、無線タグ1や障害物2の移動速度を算出することができる非接触リーダライタ3を実現することができる。
【0103】
また、無線タグ1と非接触リーダライタ3との通信に使われる信号を使用するため、通常の無線タグ1との通信を行いながら、無線タグ1や障害物2との距離と、無線タグ1や障害物2の移動速度を算出することができる。
【0104】
また、本実施の形態において、それぞれ異なる周波数の搬送波を用いた2つの信号を用いたが、2つに限ることなく、2つ以上の信号を用いるようにしてもよい。
【0105】
(実施の形態4)
本実施の形態の説明において、実施の形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態1と異なるのは、無線タグ1の変調方式を振幅変調とした点、搬送波周波数を連続的に時間変化させた1つの送信信号を用いて、非接触リーダライタ3と無線タグ1や障害物2との距離や、無線タグ1や障害物2の移動速度を算出するようにした点、位相分離部22を不要とした点、位相算出部21のかわりに、振幅算出部26を設けた点である。
【0106】
本実施の形態について、図4を用いて説明する。
【0107】
図4に、時間と、送信信号と受信信号の搬送波周波数、ビート周波数(送信信号と受信信号の周波数差)との関係の一例を示す。図4のように送信信号の搬送波周波数を連続的に時間変化させると、無線タグ1もしくは障害物2から反射されて受信される信号の搬送波周波数は、図4の点線のようになる。また、送信信号の周波数から受信信号の周波数を引いたビート周波数は、図4のようになる。
【0108】
非接触リーダライタ3と無線タグ1もしくは障害物2との間の電波の往復距離をZ、無線タグ1の運動によって生じるドップラー周波数をfd、電波の速度をC、変調時間をT、周波数偏移幅をΔf、搬送波周波数増加時のビート周波数をfup、搬送波周波数減少時のビート周波数をfdownとすると、ビート周波数は(数40)、(数41)のようになる。
【0109】
【数40】

【数41】

【0110】
ビート周波数(数40)、(数41)の差をとることで、(数40)、(数41)の第2項が消え、非接触リーダライタ3と無線タグ1もしくは障害物2との間の電波の往復距離Zは(数42)のように得られる。
【0111】
【数42】

【0112】
また、ビート周波数(数40)、(数41)の和をとることで、(数40)、(数41)の第1項が消え、(数22)から無線タグ1と非接触リーダライタ3との相対速度Vは(数43)のように得られる。
【0113】
【数43】

【0114】
つまり、送信信号の搬送波周波数を連続的に時間変化させると、非接触リーダライタ3と無線タグ1や障害物2との距離や、無線タグ1や障害物2の移動速度を算出することができる。
【0115】
本実施の形態について、図5を用いて、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0116】
振幅算出部26は、ミキサ19とミキサ20とから出力されるベースバンド信号の同相成分や直交成分からベースバンド信号の振幅を算出して振幅データをデータ抽出部14へ出力するものである。
【0117】
以上のように構成された無線タグの通信システムについて、その動作を説明する。
【0118】
無線タグ1への送信のために、CPU4から出力された送信データは、符号化部7により符号化され、パケット化部8により符号化データがパケット化され、変調部9によりパスバンド変調される。変調部9でパスバンド変調した信号Eは、振幅をAS、搬送波周波数をfctとすると、(数44)のように表される。
【0119】
【数44】

【0120】
CPU4から発振器16に搬送波周波数情報を出力し、搬送波周波数fctを連続的に時間変化させる。また、変調方式は振幅変調であり、無線タグ1へ送りたい信号情報は、ASに含まれる。位相変調、周波数変調は、搬送波周波数が時間変化するため、対応できない。
【0121】
信号は送信増幅器10で増幅され、アンテナ部11から放射される。アンテナ部11から放射された信号は、無線タグ1もしくは障害物2に反射され、その反射信号をアンテナ部11で受信する。そして、アンテナ部11によって受信された信号は受信塔幅器12で増幅される。
【0122】
ここで、まず、無線タグ1に反射された場合について説明する。
【0123】
非接触リーダライタ3と無線タグ1間の電波の往復距離をZ、無線タグ1の運動によって生じるドップラー周波数をfd、無線タグ1によって変調された信号Eの振幅をAS1´、伝搬定数をk、搬送波周波数をfcrとおくと、無線タグ1によって反射された受信信号は(数45)のように表される。無線タグ1の変調方式は、振幅変調とする。
【0124】
【数45】

【0125】
受信増幅器12で増幅された受信信号を復調部13によって直交検波しベースバンドへ周波数変換した信号は、Eの同相成分をEI、直交成分をEQとすると(数46)、(数
47)のように表される。このベースバンド信号は振幅算出部26、レーダー部6にある距離算出部23、速度算出部24へ出力される。
【0126】
【数46】

【数47】

【0127】
振幅算出部26は、ベースバンド信号を極座標変換することで振幅データAS´を算出する。振幅算出部26は、算出した振幅データをデータ抽出部14へ出力する。データ抽出部14は、入力された振幅データAS´を無線タグ1の識別情報などが含まれる振幅データとしてデータ抽出し、復号化部15へ出力する。
【0128】
復号化部15は入力されたデータを復号化し、復号化したデータを受信データとしてCPU4へ出力する。
【0129】
また、レーダー部6にある距離算出部23、速度算出部24は、ベースバンド信号(数46)、(数47)から、高速フーリエ変換などを用いて周波数成分(数48)を抽出する。
【0130】
【数48】

【0131】
(数48)は、受信信号の周波数から送信信号の周波数を引いたビート周波数となるため、これに−1をかけて、ビート周波数fup、fdownを算出する。
【0132】
距離算出部23は、ビート周波数fup、fdownをもちいて、(数42)より距離Zを算出する。
【0133】
速度算出部24は、ビート周波数fup、fdownをもちいて、非接触リーダライタ3自身の速度と(数43)から無線タグ1の速度を算出する。
【0134】
また、非接触リーダライタ3から放射された送信信号が障害物2に反射された場合は、無線タグ1に反射された場合を表す(数45)が(数49)のようになる。
【0135】
【数49】

【0136】
なお、距離や速度、受信データの算出手順は無線タグ1の場合と同様に行う。
【0137】
また、非接触リーダライタ3が受信した反射信号が、無線タグ1によるものであるのか障害物2によるものであるかの判断は、CPU4へ入力される受信データが送信デ一タと同じであるかどうかをCPU4で確認し、同じであれば障害物2であると判別する。すなねち、無線タグ1により変調されていない受信信号である場合は、無線タグ1ではなく障害物2による反射信号であると判断する。
【0138】
以上のように、無線タグ1の変調方式が振幅変調に対応している時、一般的な非接触リーダライタに、距離算出部23、速度算出部24を追加するのみで、無線タグ1等を検知するためのレーダー専用の特別なアンテナや送受信回路を新たに設けることなく無線タグ1や障害物2との距離や、無線タグ1や障害物2の移動速度を算出することができる非接触リーダライタ3を実現することができる。
【0139】
また、無線タグ1と非接触リーダライタ3との通信に使われる信号を使用するため、通常の無線タグ1との通信を行いながら、無線タグ1や障害物2との距離と、無線タグ1や障害物2の移動速度を算出することができる。
【0140】
(実施の形態5)
本実施の形態の説明において、実施の形態1から4と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態1と異なるのは、アンテナ部11を放射電波(主ビーム)を電子的に走査できるアレーアンテナとし、CPU4からアンテナ部11に方位情報を出力させることで検知物の方位を検出するようにした点である。なお、アレーアンテナとは、複数個のアンテナ素子を配列し、各々の素子の励振の振幅及び位相を独立に制御できるようにしたものである。図6にアレーアンテナの一例を示す。
【0141】
図6において、31は導体からなるアンテナ素子を複数個並べたアレーアンテナである。32はCPU4から指定された方位情報に基づいて、各アンテナ素子の信号に重み付けを行う重み制御部である。33は各アンテナ素子の信号に重み制御部32から出力される重み成分を乗算する乗算器である。34は送信信号をアンテナ素子へ出力し、アンテナからの入力信号を加算器35へ出力するサーキュレータである。35は各アンテナ素子からの入力信号を加算して受信信号として受信増幅器12に出力する加算器である。
【0142】
以上のように構成されたアレーアンテナについて、その動作を説明する。
【0143】
距離と速度を測定したい方位に基づいて、方位情報をCPU4がアンテナ部11に出力する。放射電波の方位がCPU4から指定された方位となるように、重み制御部32から出力される重み成分を、乗算器33により各アンテナ素子を流れる信号の振幅や位相に乗算することで各アンテナ素子に重み付けを行い、放射電波を電子的に走査する。なお、重み付けは、各アンテナ素子の指向性を合成してアレーアンテナ31として所定の方向に放射電波を形成する方法や、指向性の鋭いアンテナを切り替える方法などがある。
【0144】
そして、以上のようにして放射電波の放射方向を変えて走査を行うことにより、走査範囲内に存在する無線タグ1や障害物2などを検出することができる。
【0145】
以上のように、アンテナ部11に放射電波を電子的に走査できるアレーアンテナ31を使用することで、無線タグ1や障害物2の距離や速度だけでなく方位まで算出することが可能となり、距離と方位から位置を特定することができる。
【0146】
(実施の形態6)
本実施の形態の説明において、実施の形態1から4と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態1と異なるのは、アンテナ部11を送信方向が可変である駆動型アンテナとし、CPU4からアンテナ部11に方位情報を出力させることで検知物の方位を検出するようにした点である。図7に駆動型アンテナの一例を示す。
【0147】
図7において、41は導体からなるアンテナ素子であり、指向性を持つものである。42はCPU4から指定された方位情報に基づいて、アンテナ素子41を移動させることで、放射電波の方向や仰角を機械的に制御するアンテナ駆動部である。
【0148】
以上のように構成された駆動型アンテナについて、その動作を説明する。
【0149】
距離と速度を測定したい方位に基づいて方位情報をCPU4がアンテナ駆動部42に出力する。アンテナ駆動部42は、CPU4からの信号に基づいて放射電波の方位がCPU4から指定された方位となるようにアンテナ素子41を動かすことで放射電波を機械的に走査する。
【0150】
そして、以上のようにして放射電波の放射方向を変えて走査を行うことにより、走査範囲内に存在する無線タグ1や障害物2などを検出することができる。
以上のように、アンテナ部11としてアンテナ素子41とそのアンテナ素子41を移動させるアンテナ駆動部42を用いることで、放射電波を機械的に走査でき、無線タグ1や障害物2の距離や速度だけでなく方位まで算出することが可能となり、距離と方位から位置を特定することができる。
【0151】
(実施の形態7)
本実施の形態の説明において、実施の形態1から4と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態1から4と異なるのは、無線タグ1を検知してから所定の間その無線タグ1の追尾を行うようにした点である。
【0152】
図8に、本実施の形態の無線タグの通信システムの概略構成を示す。図8において、51は無線タグ1が貼り付けられた荷物であり、52は荷物51を移動させるベルトコンベアである。また、53は実施の形態5または実施の形態6で示したような、電波の放射方向を変更できる非接触リーダライタである。
【0153】
以上のように構成された無線タグの通信システムについて、その動作を説明する。
【0154】
非接触リーダライタ53が無線タグ1を検出した場合、無線タグ1と非接触リーダライタ53が行う予定の通信が全て完了するまでの間、移動する無線タグ1の方向に常に放射電波が向くようにアンテナ部11を制御して無線タグ1を後述する方法で追尾する。
【0155】
追尾方法は、無線タグ1の位置を検出した際に、その無線タグ1の方位とアンテナ部11が放射している放射電波の放射方向との角度差が略0になるように、つまり、無線タグ1と放射電波の方位が略一致するように随時アンテナ部11の放射電波の方位を変えることで無線タグ1の追尾が可能となる。また、移動する無線タグ1の速度情報を取得し、放射電波の方位を変えながら無線タグ1を検出することで、移動している無線タグ1の位置を予想することができ、無線タグ1の追尾の追従性を向上させることもできる。
【0156】
以上のように、検知した無線タグ1の移動にあわせてアンテナ部11の向きを変えるなどして電波の放射方向を変え、無線タグ1に対して電波が放射されるように制御することで、非接触リーダライタ53は、無線タグ1が移動している場合でも通信が途切れることなく安定した通信を行うことができる。
【0157】
(実施の形態8)
本実施の形態の説明において、実施の形態1から4と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態1と異なるのは、無線タグ1との距離を算出した後にその距離に応じて送信出力を最適化する点である。
【0158】
本実施の形態の無線タグの通信システムについて、図9を用いてその動作を説明する。
【0159】
図9(a)に、無線タグ1と非接触リーダライタ3との間の距離と、無線タグ1からの受信信号電力との関係の一例を示す。図9(a)に示すように、無線タグ1と非接触リーダライタ3間の距離の増大にともない、非接触リーダライタ3が無線タグ1から受信する受信信号電力は減少する。
【0160】
CPU4は、レーダー部6から得られる無線タグ1と非接触リーダライタ3間の距離をもとに、無線タグ1からの受信信号電力を後述するように推定し、図9(b)の無線タグ1と非接触リーダライタ3との距離と送信増幅器の利得特性に示すように、図9(a)とは逆の特性を描くように送信増幅器10の利得を制御する。具体的には、CPU4から送信増幅器10に送信利得情報を出力し、送信増幅器10はその送信利得情報を元に利得を変える。そして、図9(c)に示すように、無線タグ1からの受信信号電力を一定に維持する。なお、受信信号電力の推定は、下記のように行う。
【0161】
非接触リーダライタ3の送信電力をPi、非接触リーダライタ3の受信電力をPr、無線タグ1の反射係数をγ、無線タグ1と非接触リーダライタ3間の距離をd、距離dにおける伝搬損失をPL(d)、非接触リーダライタ3の送信アンテナ絶対利得をGrw_t、非接触リーダライタ3の受信アンテナ絶対利得をGrw_r、無線タグ1の送信アンテナ絶対利得Gtag_t、無線タグ1の受信アンテナ絶対利得Gtag_rとすると、非接触リーダライタ3の受信電力は、(数50)のようになる。
【0162】
【数50】

【0163】
伝搬損失の値は、事前に使用環境で無線タグ1と非接触リーダライタ3間の距離と伝搬損失の関係を測定しておき、そのデータを参照する方法や、反射物など電波伝搬の障害になるものがなにもない理想空間にて電波を伝搬させた場合の伝搬損失の理論値を算出する自由空間の伝搬損失の理論値算出式(数51)を用いる方法や、ビルのある場所、平野など環境によって変わる損失値を経験値をもとに推定する、例えば、奥村モデルに代表される推定式を用いる方法など、どのような方法でもよい。
【0164】
自由空間の伝搬損失の理論値算出式の一部の定数を変化させることにより、ビルのある場所、平野など理想空間でない環境の損失値の推定もできる。そして、(数50)を用いて受信電力を推定する。
【0165】
【数51】

【0166】
以上のように、無線タグ1との通信距離に応じて非接触リーダライタ3の送信出力を最適化することで、無線タグ1と非接触リーダライタ3間の距離にかかわらず、安定した通信が可能となる。
【0167】
なお、従来の非接触リーダライタでは、通信可能範囲を伸ばす目的で送信出力を高めに設定した場合、近距離では受信信号電力が飽和して通信できないという問題があったが、本実施の形態の非接触リーダライタ3は無線タグ1との通信距離に応じて送信出力を変更するので、このような問題を解決することができる。
【0168】
(実施の形態9)
本実施の形態の説明において、実施の形態1から6と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。これらの実施の形態と異なるのは、無線タグ1と非接触リーダライタ3間の周囲に反射物が存在する場合に、無線タグ1や障害物2の位置に応じて送信出力を最適化する点である。
【0169】
図10(a)は、無線タグ1と非接触リーダライタ3間の距離と、無線タグ1からの受信信号電力との関係の一例を示す図である。無線タグ1と非接触リーダライタ3間の周囲に障害物2としての反射物が存在する場合、図10(a)に示すようなフェージングが生じる。フェージングピッチは、障害物2の配置によって異なるが、波長と比例の関係がある。例えば、電波の送信方向に反射物が存在する場合、フェージングピッチは波長の0.5倍となる。
【0170】
CPU4は、レーダー部6などの算出結果からもとめた無線タグ1と障害物2の位置をもとに、無線タグ1からの受信信号電力を後述する電磁界シミュレーションにて推定し、図10(b)のように図10(a)とは逆の特性を描くように、送信増幅器10の利得を制御する。そして、図10(c)のように無線タグ1からの受信信号電力を一定に維持する。なお、受信信号電力の推定は以下のように行う。
【0171】
受信信号電力の推定に使用する電磁界シミュレーションの方法は、有限要素法、FDTD法、モーメント法、レイトレース法などがあるが、どのような方法を用いてもよい。
【0172】
また、障害物2の反射係数などの情報は、あらかじめ使用する環境がわかっている場合には、その空間で使われている障害物2の材料情報を使用する。そうでない場合には、無線タグの通信システムが最も利用される可能性が高い建物の基本モデルを決定し、そこで使用される障害物2の材料情報を使用する。
【0173】
また、非接触リーダライタ3内のCPU4の演算能力が、電磁界シュミレーションに必要な演算能力を満たさない場合は、非接触リーダライタ3に計算機を接続して、計算機内で受信信号電力の推定を行ってもよい。
【0174】
以上のように、無線タグ1や障害物2の位置に応じて送信出力を最適化することで、フェージングがある通信環境においても安定した通信が可能となる。
【0175】
(実施の形態10)
本実施の形態の説明において、実施の形態9と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態9と異なるのは、無線タグ1や障害物2の位置に応じて送信信号の搬送波の波長を最適化する点である。具体的には、CPU4から発振器16に搬送波周波数情報を出力し、発振器16はCPU4から指定された周波数の搬送波を変調部9へ出力する。
【0176】
以上のように構成された無線タグの通信システムについて、その動作を説明する。
【0177】
実施の形態9において示したように、無線タグ1と非接触リーダライタ3間の周囲に障害物2として反射物が存在する場合にはフェージングが生じ、フェージングピッチは、波長と比例の関係がある。図11(a)は、無線タグ1と非接触リーダライタ3間の距離と、無線タグ1からの受信信号電力との関係の一例を示す図である。信号Aと信号Bは、波長の異なる搬送波で変調された2つの信号である。
【0178】
CPU4は、レーダー部6などの算出結果からもとめた無線タグ1と障害物2の位置をもとに、無線タグ1からの受信信号電力を電磁界シュミレーションにて推定し、無線タグ1や障害物2の位置に応じて搬送波の波長を最も受信信号電力の高い波長に切り替える。すなわち、本実施の形態においては、信号A、信号Bのうち適した信号のほうを用いるように切り替えていくのである。これにより、図11(b)に示すような特性図となり、無線タグ1からの受信信号電力の急激な低下を防ぐことができる。なお、受信信号電力の推定は、実施の形態9と同様の方法で行う。
【0179】
以上のように、無線タグ1や障害物2の位置に応じて搬送波の波長を最適化することで、フェージングがある通信環境においても受信電力の急激な低下による受信性能の劣化を防ぐことが可能となる。
【0180】
(実施の形態11)
本実施の形態の説明において、実施の形態9または10と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態9または10と異なるのは、無線タグ1や障害物2の位置に応じて送信信号の変調方式を最適化する点である。具体的には、CPU4から変調部9に変調方式情報を出力し、変調部9はCPU4から指定された変調方式にて変調を行う。
【0181】
以上のように構成された無線タグの通信システムについて、その動作を説明する。
【0182】
変調方式は種類によって一長一短があり、通信環境によって最適な変調方式は異なる。一例として、図12に多相PSK(Phase Shift Keying)のビット誤り率を示す。2相、4相、8相と、多相化すればするほど伝送速度を向上できるが、ビット誤り率が劣化する。
【0183】
CPU4は、レーダー部6の算出結果などから得られる無線タグ1や障害物2の位置や速度情報をもとに通信環境を把握し、変調部9で行う変調の方式を切り替える。また、変調方式の変化にあわせて復調部13の検波方式も切り替える。具体的には、無線タグ1の移動速度が高速でありビット誤り率特性が悪化する場合や、無線タグ1と非接触リーダライタ3間の通信距離が長く受信信号電力が低下してビット誤り率が悪化する場合など、通信環境が悪い場合には、ビット誤り率特性の高い変調方式に切り替えていき、伝送速度を犠牲にしてビット誤り率の向上を図る。なお、通信環境が良好な場合は、伝送速度の高い変調方式を採用して伝送速度の向上を図る。図13に、無線タグ1の速度と変調方式の対応表の一例を示す。実験などを通じて、事前にこのような対応表を作成しておき、これを基にCPU4が変調方式を決定するようにしてもよい。
【0184】
以上のように、無線タグ1や障害物2の位置や速度情報をもとに通信環境を把握し、変調方式を最適化することで、伝送速度の最適化やビット誤り率の向上が可能となる。
【0185】
(実施の形態12)
本実施の形態の説明において、実施の形態9から11と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態9から11と異なるのは、無線タグ1や障害物2の位置に応じて送信信号のパケットサイズを最適化する点である。具体的には、CPU4からパケット化部8にパケットサイズ情報を出力し、パケット化部8はCPU4から指定されたパケットサイズにて変調を行う。
【0186】
以上のように構成された無線タグの通信システムについて、その動作を説明する。
【0187】
パケット誤り率PERは、パケットの総ビット数をnとすると、ビット誤り率BERを用いて以下の(数52)で表すことができる。
【0188】
【数52】

【0189】
つまり、パケットの総ビット数が増加するとスループットは向上するが、パケット誤り率は増加する。逆にパケットの総ビット数が減少するとスループットは低下するが、パケット誤り率は向上する。
【0190】
CPU4は、レーダー部6の算出結果などから得られる無線タグ1や障害物2の位置や速度情報をもとに通信環境を把握し、パケット化部8で行うパケット化のパケットサイズを切り替える。具体的には、無線タグ1の速度が高速でビット誤り率特性が悪化する場合や、無線タグ1と非接触リーダライタ3間の通信距離が長くて受信信号電力が低下してビット誤り率が悪化する場合など、通信環境が悪い場合は、パケット化のパケットサイズを小さくし、スループットを犠牲にしてパケット誤り率の向上を図る。なお、通信環境が良好な場合は、パケット化のパケットサイズを大きくしてスループットの向上を図る。
【0191】
図14は、無線タグ1の移動速度とパケットサイズの対応表の一例である。実験などを通じて、事前にこのような対応表を作成しておき、これをもとにCPU4がパケットサイズを決定するようにしてもよい。
【0192】
以上のように、無線タグ1や障害物2の位置や速度情報をもとに通信環境を把握してパケット化のパケットサイズを最適化することで、伝送速度の最適化パケット誤り率の向上が可能となる。
【0193】
(実施の形態13)
本実施の形態の説明において、実施の形態9から12と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態9から12と異なるのは、無線タグ1や障害物2の位置に応じて符号化方式を最適化する点である。具体的には、CPU4から符号化部7に符号化方式情報を出力し、符号化部7はそのCPU4から指定された符号化方式で符号化を行う。
【0194】
以上のように構成された無線タグの通信システムについて、その動作を説明する。
【0195】
図15にPSKのビット誤り率と、PSKに誤り訂正符号化を施したときのビット誤り率を示す。図15より、誤り訂正符号化した場合、ビット誤り率が改善されていることがわかる。また、符号化方式によって符号化利得は異なることがわかる。一般的に符号化利得が高い符号化方式ほど計算量が増大するため、処理速度の低下や消費電力の増大などを引き起こす。例えば、BCH(Boss Chaudhuri Hocquenghem)符号などのようなブロック符号に比べ、Viterbi復号は畳み込み演算を要するため計算量が増大する。
【0196】
CPU4は、レーダー部6の算出結果などから得られる無線タグ1や障害物2の位置や速度情報をもとに通信環境を把握し、符号化部7で行う符号化方式を切り替える。具体的には、無線タグ1の速度が高速でありビット誤り率特性が悪化する場合や、無綿タグ1と非接触リーダライタ3間の通信距離が長くて受信信号電力が低下してビット誤り率が悪化する場合など、通信環境が悪い場合には符号化利得の高い符号化方式を採用し、処理速度の低下や消費電力の増大を犠牲にしてビット誤り率の向上を図る、例えばBCHをViterbiに切り替える。なお、通信環境が良好な場合には、符号化利得の低い符号化方式を採用し、処理速度の向上や消費電力の低下を図る。
【0197】
以上のように、無線タグ1や障害物2の位置や速度情報をもとに通信環境を把握し、符号化方式を最適化することで、処理速度や消費電力の最適化、ビット誤り率の向上が可能となる。
【0198】
(実施の形態14)
本実施の形態の説明において、実施の形態5または6と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態5または6と異なるのは、非接触リーダライタ64が非接触リーダライタ64の通信範囲にある複数の無線タグや障害物の位置を検出し、その後所望の範囲に存在する無線タグと通信を行うようにした点である。
【0199】
図16において、61a、61b、6lcはベルトコンベア65に載置されておりこのベルトコンベア65により移動される無線タグが貼り付けられた荷物である。62a、62bは、無線タグが貼り付けられた荷物である。63a、63bは、無線タグの通信システムの周囲に存在する障害物であり、例えば、無線タグの通信システムが利用される建物の壁や建物内に存在する設備などである。また、64は実施の形態5および6で示した非接触リーダライタと同様に無線タグと無線通信を行う非接触リーダライタである。65は荷物61a、61b、61cを移動させるべルトコンベアである。なお、図16において、荷物62a、62bおよびべルトコンベア65に移動速度が記載されているが、本実施の形態においてはこれらは移動していないものとして説明する。
【0200】
以上のように構成された無線タグの通信システムについて、その動作を説明する。
【0201】
一例としてベルトコンベア65に載置されている荷物61a、61b、61cの3つとだけ通信したい場合について説明する。まず、非接触リーダライタ64は上記実施の形態で説明したような方法により非接触リーダライタ64の周囲に存在する全ての無線タグの位置情報を検出する。なお、非接触リーダライタ64の検出範囲は、非接触リーダライタ64の通信可能距離によって決まる。
【0202】
そして、レーダー部6によってべルトコンベア65が存在する範囲で検出された荷物61a、61b、61cの方位情報をCPU4はアンテナ部11へ出力し、アンテナ部11はその方位に放射電波を向ける。放射電波を荷物61a、61b、61cが存在する範囲に向けることで、それ以外の範囲の荷物62とは通信しないようにする。例えば、所定の範囲に存在する無線タグに対して情報を書き込みたい場合等に有効である。
以上のようにすることで、無線タグとの通信をエリアで制御することが可能となり、通信したくないエリアの無線タグと誤って通信してしまうということを防ぐことができる。
【0203】
また、非接触リーダライタ64の周囲に存在する全ての無線タグの位置情報を検出し、所定のエリアに存在する無線タグの情報のみ有効とする、有効としては例えば無線タグの識別情報を取得して処理などを行う場合には、これら以外の無線タグの情報を無効とし、無効としては具体的には情報の廃棄を行うことで、所望の無線タグの情報のみ取得し、これら必要な所望の無線タグの情報のみ、例えば外部機器に送信するなどの処理を行うことができる。
【0204】
(実施の形態15)
本実施の形態の説明において、実施の形態14と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態14と異なるのは、非接触リーダライタ64が非接触リーダライタ64の通信範囲にある複数の無線タグや障害物の位置を検出し、所望の通信範囲内に無線タグが存在しない場合には非接触リーダライタ64の通信を停止するようにした点である。
【0205】
一例として、ベルトコンベア65で移動される荷物61a、61b、61cの3つとだけ通信したい場合について説明する。まず、非接触リーダライタ64の周囲に存在する全ての無線タグの位置情報を、非接触リーダライタ64内部にあるレーダー部6により検出する。なお、非接触リーダライタ64検出範囲は、非接触リーダライタ64の通信可能距離によって決まる。
【0206】
そして、レーダー部6によって検出した検出結果に基づいて、ベルトコンベア65が存在するエリアに無線タグが検出されなかった場合には、CPU4は送受信部5に対して動作停止信号を出力し、送受信部5で行う送受信動作を停止することで消費電力削減を図る。
【0207】
以上のように、通信したいエリアに無線タグが存在しない場合には非接触リーダライタ64の通信を停止し、消費電力の改善が可能となる。
【0208】
(実施の形態16)
本実施の形態の説明において、実施の形態14や15と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態14や15と異なるのは、非接触リーダライタ64が非接触リーダライタ64の通信範囲にある複数の無線タグの位置や速度を検出し、所望の通信速度で移動している無線タグとのみ通信するようにした点である。
【0209】
図16において、荷物61a、61b、61cはべルトコンベア65に載置されており、ベルトコンベア65の移動速度10m/sで移動している。また、荷物62a、62bは各々5m/s、5m/sの速度で移動している。
【0210】
以上のように構成された無線タグの通信システムについて、その動作を説明する。
【0211】
一例として、移動速度10m/sで移動している荷物の無線タグとだけ通信したい場合について説明する。まず、非接触リーダライタ64の周囲に存在する全ての無線タグの速度情報を非接触リーダライタ64内にあるレーダー部6により検出する。なお、検出範囲は、非接触リーダライタ64の通信可能距離によって決まる。
【0212】
そして、この場合、ベルトコンベア65に載置されている荷物61a、61b、61cの移動速度が10m/sであるので、CPU4は荷物61a、61b、61cの方位情報をアンテナ部11へ出力し、アンテナ部11はその方位に放射電波を向ける。放射電波を荷物61a、61b、61cの存在する範囲に向けることで、それ以外の範囲に存在する例えは荷物62a、62b等とは通信しないようにする。例えば、所定の移動速度である無線タグに対して情報を書き込みたい場合等に有効である。
以上のようにすることで、無線タグとの通信を無線タグの速度で制御することが可能となり、速度が規定の範囲にない無線タグと誤って通信してしまうということを防ぐことができる。
【0213】
また、非接触リーダライタ64の周囲に存在する全ての無線タグの位置情報を検出し、所定の速度で移動する無線タグの情報のみ有効とする、有効の例としては、例えば無線タグの識別情報を取得して処理などを行うとする場合には、これら以外の無線タグの情報を無効とし、無効としては具体的には情報の廃棄を行うことで、所望の無線タグの情報のみ取得し、これら必要な所望の無線タグの情報のみ、例えば外部機器に送信するなどの処理を行うことができる。
【0214】
(実施の形態17)
本実施の形態の説明において、実施の形態16と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態16と異なるのは、非接触リーダライタ64が非接触リーダライタ64の通信範囲にある複数の無線タグの位置や速度を検出し、所望の通信速度で移動している無線タグが存在しない場合には非接触リーダライタ64の通信を停止するようにした点である。
【0215】
図16において、荷物61a、6,1b、61cは、ベルトコンベア65の移動速度10m/sで移動しており、荷物62a、62bは各々5m/s、5m/sの速度で移動している。
【0216】
以上のように構成された無線タグの通信システムについて、その動作を説明する。
【0217】
一例として、移動速度20m/sで移動している荷物の無線タグとだけ通信したい場合について説明する。まず、非接触リーダライタ64の周囲に存在する全ての無線タグの速度情報を非接触リーダライタ64内にあるレーダー部6により検出する。なお、非接触リーダライタ64の検出範囲は、非接触リーダライタ64の通信可能距離によって決まる。
【0218】
そして、レーダー部6によって移動速度20m/sで移動している無線タグが検出されなかった場合には、CPU4は送受信部5に対して動作停止信号を出力し、送受信部5はその信号に基づいて送受信動作を停止する。これにより非接触リーダライタ64の消費電力削減を図ることができる。
【0219】
上記実施の形態において、速度が規定の範囲にある無線タグが存在しない場合、通信を停止し、消費電力の改善が可能となる。
【0220】
(実施の形態18)
本実施の形態の説明において、実施の形態14または16と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態14または16と異なるのは、非接触リーダライタ64が非接触リーダライタ64の通信範囲にある複数の無線タグの位置や速度を検出し、所望の範囲に存在し、かつ、所望の通信速度で移動している無線タグとだけ通信するようにした点である。
【0221】
図16において、荷物61a、61b、61cは、ベルトコンベア65の移動速度10m/sで移動しており、荷物62a、62bは各々5m/s、5m/sの速度で移動している。
【0222】
以上のように構成された無線タグの通信システムについて、その動作を説明する。
一例として、所望の範囲をベルトコンベア65上とし、移動速度が10m/sの荷物の無線タグとだけ通信したい場合について説明する。まず、非接触リーダライタ64の周囲に存在する全ての無線タグの位置や速度情報を、非接触リーダライタ64内にあるレーダー部6により検出する。なお、非接触リーダライタ64の検出範囲は、非接触リーダライタ64の通信可能距離によって決まる。
【0223】
そして、荷物61a、61b、61cはベルトコンベア65に載置されており、かつ、移動速度が10m/sであるので、CPU4は荷物61a、61b、61cの方位情報をアンテナ部11へ出力し、アンテナ部11はその方位に放射電波を向ける。放射電波をベルトコンベア65上で、かつ、移動速度が10m/sである荷物61a、61b、61cの存在する範囲に向けることで、それ以外の範囲に存在する例えは荷物62a、62b等とは通信しないようにする。例えば、所定の移動速度でかつ所定の範囲に存在する無線タグに対して情報を書き込みたい場合等に有効である。
【0224】
以上のようにすることで、無線タグとの通信を無線タグの速度および範囲で制御することが可能となり、速度および範囲が規定のものでない無線タグと誤って通信してしまうということを防ぐことができる。
【0225】
また、非接触リーダライタ64の周囲に存在する全ての無線タグの位豊情報を検出し、所定の速度で移動しかつ所定の範囲にある無線タグの情報のみ有効とする、有効の例としては、例えば無線タグの識別情報を取得して処理などを行うとする場合には、これら以外の無線タグの情報を無効とし、無効としては具体的には廃棄を行うことで、所望の無線タグの情報のみ取得し、これら必要な所望の無線タグの情報のみ、例えば外部機器に送信するなどの処理を行うことができる。
【0226】
以上により、無線タグとの通信を、所望の通信範囲と無線タグの速度で制御することが可能となり、例えば、ベルトコンベア65が故障して動かなくなった場合などの異常時には、無線タグとの通信を行わないなど、状況により非接触リーダライタ64の通信を停止する実施の形態14、16に示した無線タグとの通信の制御をより確実に行うことができる。
【0227】
(実施の形態19)
本実施の形態の説明において、実施の形態15または17と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態15または17と異なるのは、非接触リーダライタ64が非接触リーダライタ64の通信範囲にある複数の無線タグの位置や速度を検出し、無線タグが所望の範囲に存在しない、あるいは、所望の通信速度で移動している無線タグが存在しない場合に、非接触リーダライタ64の通信を停止するようにした点である。
【0228】
図16において、荷物61a、61b、61cは、ベルトコンベア65の移動速度10m/sで移動しており、荷物62a、62bは各々5m/s、5m/sの速度で移動している。
【0229】
以上のように構成された無線タグの通信システムについて、その動作を説明する。
【0230】
一例として、ベルトコンベア65上に存在し移動速度が20m/sである荷物の無線タグとのみ通信したい場合について説明する。まず、非接触リーダライタ64の周囲に存在する全ての無線タグの位置や速度情報を非接触リーダライタ64内部にあるレーダー部6により検出する。なお、非接触リーダライタ64の検出範囲は、非接触リーダライタ64の通信可能距離によって決まる。
【0231】
そして、レーダー部6によってベルトコンベア65が存在するエリアに無線タグが検出されなかった場合、または、移動速度20m/sと同じ速度で移動している無線タグが検出されなかった場合には、CPU4は送受信部5に対して動作停止信号を出力し、送受信部5が送受信動作を停止することで非接触リーダライタ64の消費電力削減を図る。
【0232】
以上のようにすることで、通信したいエリアに無線タグが存在しない場合や無線タグの移動速度が規定の範囲にない場合には、非接触リーダライタ64の通信を停止し、実施の形態15、17よりさらに消費電力の改善が可能となる。
【0233】
(実施の形態20)
本実施の形態の説明において、実施の形態14と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態14と異なるのは、通信する複数の無線タグの通信順序を決めて通信するようにした点である。
【0234】
図16において、荷物61a、61b、61cはベルトコンベア65の上に載置されており、各々異なる位置に存在する。
【0235】
以上のように構成された無線タグの通信システムについて、その動作を説明する。
【0236】
一例としてベルトコンベア65で移動される荷物61a、61b、61cと通信する場合について説明する。
【0237】
まず、ベルトコンベア65に存在する荷物61a、61b、61cに各々取り付けられている無線タグの位置情報を、非接触リーダライタ64内にあるレーダー部6により検出する。なお、非接触リーダライタ64の検出範囲は非接触リーダライタ64の通信可能距離によって決まる。
【0238】
そして、検出された荷物61a、61b、61cの位置情報から、CPU4はどの荷物から通信するかといった通信を行う順番を決定する。例えば、非接触リーダライタ64に最も近い荷物61aから最も遠い荷物61cの順に通信を行うことで、電波の距離減衰が小さい無線タグから確実に通信を行いたい場合、まず非接触リーダライタ64に最も近い荷物61aの方位情報をCPU4がアンテナ部11へ出力し、アンテナ部11はその方位に放射電波を向けて通信を行う。そして、最も近い荷物61aとの通信が完了すると、非接触リーダライタ64に2番目に近い荷物61bの方位情報をCPU4がアンテナ部11へ出力し、アンテナ部11はその方位に放射電波を向けて通信を行う。そして全ての荷物61との通信が終えるまで、以下同様の処理を繰り返す。そして、2番目に近い荷物61bとの通信が完了するとアンテナ部11から最も遠い荷物61cの方位情報を非接触リーダライタのCPU4がアンテナ部11へ出力し、アンテナ部11はその方位に放射電波を向けて通信を行う。
【0239】
以上のようにすることで、従来は複数の無線タグのうち最初に通信できたものから順に処理していたが、無線タグの位置に応じて通信の順番を制御することが可能となり、より確実に通信を行うことができる。
【0240】
(実施の形態21)
本実施の形態の説明において、実施の形態1から6と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態1から6と異なるのは、非接触リーダライタ3で算出した無線タグ1や障害物2の位置や速度等の情報を表示する表示装置71を設けた点である。
【0241】
図17は本実施の形態の無線タグの通信システムの概略構成を示す図である。図17において、71はCPU4から出力された無線タグ1や障害物2の位置情報や速度情報などを表示する表示装置である。
【0242】
以上のように構成された無線タグの通信システムについて、その動作を説明する。まず、非接触リーダライタ3の周囲に存在する無線タグ1や障害物2の位置や速度情報を非接触リーダライタ内にあるレーダー部6により検出する。
【0243】
CPU4は、レーダー部6によって得られる無線タグ1や障害物2の位置情報や速度情報を非接触リーダライタに接続された表示装置71に出力し、表示装置71はその情報を表示する。
【0244】
図18に表示装置71による表示の一例を示す。なお、図18においては、位置情報をレーダーチャートにプロットし、移動速度情報を数値で示している。
【0245】
以上のように、無線タグ1や障害物2の位置情報や速度情報等を表示装置71に表示させることで、操作者などに視覚的に知らせることができ、また、通信環境を一目で把握することができる。
【0246】
なお、この表示装置71は、非接触リーダライタ3に組み込んでも良いし、非接触リーダライタ3と接続される外部機器としてもよい。
【0247】
また、表示装置71の例としては、液晶ディスプレイなどが挙げられる。
【0248】
(実施の形態22)
本実施の形態の説明において、実施の形態1から6と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態1から6と異なるのは、非接触リーダライタ3で算出した無線タグ1や障害物2の位置や速度等の情報を音声として出力するスピーカ72を設けた点である。
【0249】
図19は本実施の形態の無線タグの通信システムの概略構成を示す図である。図19において、72はCPU4から得た情報を音声として出力するスピーカである。
【0250】
以上のように構成された無線タグの通信システムについて、その動作を説明する。まず、非接触リーダライタ3の周囲に存在する無線タグ1や障害物2の位置情報や速度情報を非接触リーダライタ3内にあるレーダー部6により検出する。
【0251】
CPU4は、レーダー部6によってえられる無線タグ1や障害物2の位置情報や速度情報を非接触リーダライタ3に接続されたスピーカ72により音声信号として出力する。
【0252】
例えば、通信エリア内に障害物2が検出され、無線タグ1との通信の障害になることが予想される場合、警告音をスピーカ72から出力する。
【0253】
以上のように、無線タグ1や障害物2の位置情報を聴覚的に知らせることで現場から離れていても音声で通信環境を知ることが可能となる。
【0254】
なお、このスピーカ72は、非接触リーダライタ3に組み込んでも良いし、非接触リーダライタ3と接続される外部機器としてもよい。
【0255】
なお、上記した所定の範囲あるいは距離に存在する無線タグ1と通信を行うようにすることにより、例えば、電車等の改札機に応用すれば、改札機に対して所定の位置にある切符あるいは定期券機能を有する無線タグ1と通信を行うので、それ以外の無線タグ1との通信の混同を防ぐことができる。また、無線タグ1はカード型やコイン型など使用に適した形状をしていればよい。
【0256】
本出願は、ここに参照として盛り込まれた2004年4月22日に提出された日本特許出願番号2004−126588にもとづく。
【産業上の利用可能性】
【0257】
本発明の非接触式情報記録担体のリーダライタは、リアルタイムにシステムを最適化することができ、非接触式情報記録担体のリーダライタなどに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0258】
【図1】本発明の実施の形態1における無線タグの通信システムの概略構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態2における無線タグの通信システムの概略構成を示すフロック図
【図3】本発明の実施の形態3における無線タゲの通信システムの概略構成を示すブロック図
【図4】本発明の第4の実施の形態におけるビート周波数を説明するための波形図
【図5】本発明の実施の形態4における無線タグの通信システムの概略構成を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態5におけるアレーアンテナの一例を示す図
【図7】本発明の実施の形態6におけるアレーアンテナの一例を示す図
【図8】本発明の実施の形態7における無線タグの通信システムの概略構成を示す図
【図9】(a)は、本発明の実施の形態8における無線タグと非接触リーダライタ間の距離と無線タグからの受信信号電力の関係を示す図、(b)は、本発明の実施の形態8における無線タグと非接触リーダライ夕間の距離と送信増幅器の利得の関係を示す図、(c)は、本発明の実施の形態8における無線タグと非接触リーダライタ間の距離と最適化後の無線タグからの受信信号電力の関係を示す図
【図10】(a)は、本発明の実施の形態9における無線タグと非接触リーダライタ間の距離と無線タグからの受信信号電力の関係を示す図、(b)は、本発明の実施の形態9における無線タグと非接触リーダライタ間の距離と送信増幅器の利得の関係を示す図、(c)は、本発明の実施の形態9における無線タグと非接触リーダライタ間の距離と最適化後の無線タグからの受信信号電力の関係を示す図
【図11】(a)は、本発明の実施の形態10における無線タグと非接触リーダライタ間の距離と無線タグからの受信信号電力の関係を示す図、(b)は、本発明の実施の形態10における無線タグと非接触リーダライタ間の距離と最適化後の無線タグからの受信信号電力の関係を示す図
【図12】本発明の実施の形態11における多相PSKのビット誤り率を示す図
【図13】本発明の実施の形態11における無線タグの速度と変調方式との対応の一例を示す図
【図14】本発明の実施の形態12における無線タグの速度とパケットサイズとの対応の一例を示す図
【図15】本発明の実施の形態13におけるPSKのビット誤り率とPSKに誤り訂正符号化を施したときのビット誤り率を示す図
【図16】本発明の実施の形態14から20における無線タグの通信システムの概略構成を示す図
【図17】本発明の実施の形態21における無線タグの通信システムの概略構成を示す構成図
【図18】本発明の実施の形態21における表示装置の表示の一例を示す図、
【図19】本発明の実施の形態22における無線タグの通信システムの概略構成を示す構成図
【図20】従来の一般的な非接触の構成図
【符号の説明】
【0259】
1 無線タグ
2 障害物
3 非接触リーダライタ
4 CPU
5 送受信部
6 レーダー部
7 符号化部
8 パケット化部
9 変調部
10 送信増幅器
11 アンテナ部
12 受信増幅器
13 復調部
14 データ抽出部
15 復号化部
16 発振器
17 ミキサ
18 移相器
19 ミキサ
20 ミキサ
21 位相算出部
22 位相分離部
23 距離算出部
24 速度算出部
25 振幅・位相算出部
26 振幅算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる周波数の搬送波を用いた複数の送信信号を送信する送信部と、
前記送信部により送信した複数の送信信号に対する返信である複数の返信信号を受信する受信部と、
前記複数の返信信号に基づいて返信信号の位相デ一タを算出する位相算出部と、
前記位相算出部からの位相データに基づいて、前記返信信号を返信した物体との距離を計算する距離計算部と、
を備える非接触リーダライタ。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触リーダライタであって、
前記返信信号にデータが含まれているかどうかで前記物体を無線タグか障害物か判別する非接触リーダライタ。
【請求項3】
請求項1に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信部はアレイアンテナである非接触リーダライタ。
【請求項4】
請求項1に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信部は、指向性を有するアンテナ部と前記アンテナ部を移動させるアンテナ駆動部とからなる非接触リーダライタ。
【請求項5】
請求項1に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信部から送信する送信信号の送信方向を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記送信方向と前記距離算出部の算出結果とから物体の位置を算出し、算出した物体の位置と前記送信部による送信信号の送信方向とに基づいて、前記送信部による送信信号の送信方向を物体の位置に向ける非接触リーダライタ。
【請求項6】
請求項1に記載の非接触リーダライタであって、
前記距離算出部の算出結果に基づいて前記送信部から送信される送信信号の利得制御を行う制御部を更に備える非接触リーダライタ。
【請求項7】
請求項1に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信部から送信する送信信号の送信方向を制御する制御部を更に備え、
前記送信方向と前記距離算出部の算出結果とから前記複数の物体の位置を算出し、前記複数の物体の位置に基づいて前記送信部から送信される送信信号の利得制御を行う非接触リーダライタ。
【請求項8】
請求項1に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信部から送信する送信信号の送信方向を制御する制御部を更に備え、
前記送信方向と前記距離算出部の算出結果とから前記複数の物体の位置を算出し、前記複数の物体の位置に基づいて前記送信部から送信される送信信号の波長制御を行う非接触リーダライタ。
【請求項9】
請求項1に記載の非接触リーダライタであって、
物体の位置情報および/または速度情報を表示する表示部を更に備える非接触リーダライタ。
【請求項10】
請求項1に記載の非接触リーダライタであって、
物体の位置情報および/または速度情報を音声で出力する音声出力部を備える非接触リーダライタ。
【請求項11】
異なる周波数の搬送波を用いた複数の送信信号を送信する送信部と、
前記送信部により送信した複数の送信信号に対する返信である複数の返信信号を受信する受信部と、
前記複数の返信信号に基づいて返信信号の位相データを算出する位相算出部と、
前記受信信号から得られたベースバンド信号に基づいてベースバンド信号の周波数成分を算出し、当該周波数成分に基づき前記返信信号を返信した物体の移動速度を算出する速度算出部と、
を備える非接触リーダライタ。
【請求項12】
請求項11に記載の非接触リーダライタであって、
前記返信信号にデータが含まれているかどうかで前記物体を無線タグか障害物か判別する非接触リーダライタ。
【請求項13】
請求項11に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信部はアレイアンテナである非接触リーダライタ。
【請求項14】
請求項11に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信部は、指向性を有するアンテナ部と前記アンテナ部を移動させるアンテナ駆動部とからなる非接触リーダライタ。
【請求項15】
請求項11に記載の非接触リーダライタであって、
物体の位置情報および/または速度情報を表示する表示部を備える非接触リーダライタ。
【請求項16】
請求項11に記載の非接触リーダライタであって、
物体の位置情報および/または速度情報を音声で出力する音声出力部を備える非接触リーダライタ。
【請求項17】
異なる周波数の搬送波を用いた複数の送信信号を送信する送信部と、
前記送信部により送信した複数の送信信号に対する返信である複数の返信信号を受信する受信部と、
前記複数の返信信号に基づいて返信信号の位相データを算出する位相算出部と、
前記位相算出部からの位相データに基づいて、前記返信信号を返信した物体との距離を計算する距離計算部および/または前記受信信号から得られたベースバンド信号に基づいてベースバンド信号の周波数成分を算出し、当該周波数成分に基づき前記返信信号を返信した物体の移動速度を算出する速度算出部と、
前記送信部から送信する送信信号の送信方向を制御する制御部と、
を備える非接触リーダライタ。
【請求項18】
請求項17に記載の非接触リーダライタであって、
前記制御部は、前記送信方向と前記距離算出部および/または速度算出部の算出結果に基づいて物体の位置を算出する非接触リーダライタ。
【請求項19】
請求項17に記載の非接触リーダライタであって、
送信部はアレイアンテナである非接触リーダライタ。
【請求項20】
請求項17に記載の非接触リーダライタであって、
送信部は、指向性を有するアンテナ部と前記アンテナ部を移動させるアンテナ駆動部とからなる非接触リーダライタ。
【請求項21】
請求項17に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信方向と前記距離算出部の算出結果とから複数の物体の位置を算出し、前記複数の物体の位置および/または前記複数の物体の速度に基づいて前記送信部から送信される送信信号の変調方式を変更する非接触リーダライタ。
【請求項22】
請求項17に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信方向と前記距離算出部の算出結果とから複数の物体の位置を算出し、前記複数の物体の位置および/または前記複数の物体の速度に基づいて前記送信部から送信される送信信号のパケットサイズを変更する非接触リーダライタ。
【請求項23】
請求項17に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信方向と前記距離算出部の算出結果とから複数の物体の位置を算出し、前記複数の物体の位置および/または前記複数の物体の速度に基づいて前記送信部から送信される送信信号の符号化方式を変更する非接触リーダライタ。
【請求項24】
請求項17に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信方向と前記距離算出部の算出結果とから複数の物体の位置を算出し、その後所望の物体に送信信号を送信してその物体と通信を行う非接触リーダライタ。
【請求項25】
請求項17に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信方向と前記距離算出部の算出結果とから複数の物体の位置を算出し、所望の位置にある物体からの返信信号を有効とする非接触リーダライタ。
【請求項26】
請求項17に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信方向と前記距離算出部の算出結果とから複数の物体の位置を算出し、所望の範囲に物体が存在しない場合には物体との通信を停止する非接触リーダライタ。
【請求項27】
請求項17に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信方向と前記距離算出部の算出結果とから複数の物体の位置を算出し、所望の速度で移動している物体に送信信号を送信して通信を行う非接触リーダライタ。
【請求項28】
請求項17に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信方向と前記距離算出部の算出結果とから複数の物体の位置を算出し、所望の速度で移動している物体からの返信信号を有効とする非接触リーダライタ。
【請求項29】
請求項17に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信方向と前記距離算出部の算出結果とから複数の物体の位置を算出し、所望の速度で移動している物体が存在しない場合には通信を停止する非接触リーダライタ。
【請求項30】
請求項17に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信方向と前記距離離算出部の算出結果とから複数の物体の位置を算出し、所望の範囲に存在し、かつ、所望の速度で移動している物体とだけ通信を行う非接触リーダライタ。
【請求項31】
請求項17に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信方向と前記距離算出部の算出結果とから複数の物体の位置を算出し、所望の範囲に存在し、かつ、所望の速度で移動している物体からの返信信号を有効とする非接触リーダライタ。
【請求項32】
請求項17に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信方向と前記距離算出部の算出結果とから複数の物体の位置を算出し、所望の範囲に物体が存在しない、あるいは、所望の速度で移動している物体が存在しない場合には通信を停止する非接触リーダライタ。
【請求項33】
請求項17に記載の非接触リーダライタであって、
前記送信方向と前記距離算出部の算出結果とから複数の物体の位置を算出し、前記複数の物体のうち距離の近いものから順に通信を行う、あるいは距離が遠いものから順に通信を行う非接触リーダライタ。
【請求項34】
請求項17に記載の非接触リーダライタであって、
物体の位置情報および/または速度情報を表示する表示部を更に備える非接触リーダライタ。
【請求項35】
請求項17に記載の非接触リーダライタであって、
物体の位置情報および/または速度情報を音声で出力する音声出力部を更に備える非接触リーダライタ。
【請求項36】
異なる周波数の搬送波を用いた複数の送信信号を送信する送信部と、
前記送信部により送信した複数の送信信号に対する返信である複数の返信信号を受信する受信部と、
前記複数の受信信号各々から位相成分を分離する位相分離部と、
前記位相分離部で分離した複数の受信信号の位相成分に基づいて前記返信信号を返信した物体との距離を算出する距離算出部と、
を備える非接触リーダライタ。
【請求項37】
異なる周波数の搬送波を用いた複数の送信信号を送信する送信部と、
前記送信部により送信した複数の送信信号に対する返信である複数の返信信号を受信する受信部と、
前記複数の受信信号各々から位相成分を分離する位相分離部と、
前記受信信号から得られたベースバンド信号から、前記ベースバンド信号の周波数成分を算出し、前記周波数成分に基づいて前記返信信号を返信した物体との距離を算出する速度算出部と、
を備える非接触リーダライタ。
【請求項38】
異なる周波数の搬送波を用いた複数の送信信号を送信する送信部と、
前記送信部により送信した複数の送信信号に対する返信である複数の返信信号を受信する受信部と、
前記複数の返信信号に基づいて当該返信信号の位相データを算出する位相算出部と、
前記位相算出部の出力を受信するデータ抽出部と、
前記位相算出部の出力データと前記データ抽出部から出力される位相検出信号とから前記返信信号を返信した物体との距離を算出する距離算出部と、
を備える非接触リーダライタ。
【請求項39】
異なる周波数の搬送波を用いた複数の送信信号を送信する送信部と、
前記送信部により送信した複数の送信信号に対する返信である複数の返信信号を受信する受信部と、
前記複数の返信信号に基づいて当該返信信号の位相データを算出する位相算出部と、
前記位相算出部の出力を受信するデータ抽出部と、
受信信号から得られたベースバンド信号からベースバンド信号の周波数成分を算出し、周波数成分によって前記返信信号を返信した物体の移動速度を算出する速度算出部と、
を備える非接触リーダライタ。
【請求項40】
搬送周波数を連続的に時間変化させた1の送信信号を送信する送信部と、
前記送信部により送信した送信信号に対する返信である返信信号を受信する受信部と、
受信信号から得られたベースバンド信号から、前記ベースバンド信号の周波数成分を算出し、前記周波数成分に基づいて送信信号の周波数と受信信号の周波数との差分周波数を算出し、前記差分周波数成分に基づいて前記返信信号を返信した物体との距離を算出する距離算出部と、
を備える非接触リーダライタ。
【請求項41】
搬送周波数を連続的に時間変化させた1の送信信号を送信する送信部と、
前記送信部により送信した送信信号に対する返信である返信信号を受信する受信部と、
前記受信信号から得られたベースバンド信号から、前記ベースバンド信号の周波数成分を算出し、前記周波数成分に基づいて送信信号の周波数と受信信号の周波数との差分周波数を算出し、前記差分前記周波数成分に基づいて前記返信信号を返信した物体の移動速度を算出する速度算出部と、
を備える非接触リーダライタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2007−533976(P2007−533976A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538582(P2006−538582)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【国際出願番号】PCT/JP2005/008101
【国際公開番号】WO2005/103755
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】