非接触光書き込み装置
【課題】レーザビームのパワーを有効利用して感熱記録媒体に対する感熱記録時のパワー不足を解消し、かつ記録スピードの高速化を実現すること。
【解決手段】第1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ1、2から出力された各シングルモードレーザビームL1、L2をダイクロイックプリズム12により重ね合せ、この重ね合わせたレーザビームLaとマルチモード半導体レーザ2から出力されたマルチモードレーザビームL2とをλ/4反射板14を設けた偏光ビームスプリッタ13によって合成し、この合成のレーザビームLbを偏向走査機構17によって感熱記録媒体16面上にマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査する。
【解決手段】第1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ1、2から出力された各シングルモードレーザビームL1、L2をダイクロイックプリズム12により重ね合せ、この重ね合わせたレーザビームLaとマルチモード半導体レーザ2から出力されたマルチモードレーザビームL2とをλ/4反射板14を設けた偏光ビームスプリッタ13によって合成し、この合成のレーザビームLbを偏向走査機構17によって感熱記録媒体16面上にマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばサーマルヘッド等の加熱装置を直接接触することなく、非接触で感熱記録、感熱消去を可能とするリライタブルな感熱記録媒体に対して非接触で情報記録を行う非接触光書き込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロイコ染料系、ジアゾ化合物系感熱材料を利用した感熱記録方式や、特定温度で発色と消色とを繰り返すことを可能とする可逆性の感熱記録紙等が存在する。この感熱記録紙は、例えばサーマルヘッド等の加熱装置を用いて加熱されて発色、消色される。このような感熱記録紙に対する記録方式には、例えばサーマルヘッド等の記録ヘッドを直接接触させる方式がある。この方式では、記録ヘッドを直接感熱記録紙に接触させるため、記録ヘッドの磨耗、汚れ等が生じ易く、かつ感熱記録紙の印字面が擦れて汚れたり、付着物によるショートや過剰な電力供給等による記録ヘッドの寿命を縮めることを引き起こす。
【0003】
一方、感熱記録紙を用いた情報記録の技術としては、例えば特許文献1、2がある。特許文献1は、可逆性の感熱材料を非接触で顕色、消色する方法に関し、基板上に、赤外線を吸収し発熱する赤外線吸収層と感熱記録層とを順次積層した情報記録媒体を開示する。このうち感熱記録層は、感熱発色層又は金属薄膜層から成り、赤外線吸収層の熱によって発色又は変色或いは溶融除去される。又、特許文献1は、赤外線レーザの照射により情報記録媒体における赤外線吸収層を発熱させ、この熱により感熱記録層を発色又は変色或いは溶融除去させる情報記録媒体の記録方法を開示する。
【0004】
特許文献2は、pn接合面に対して垂直方向に広がった断面楕円形状のレーザビームを射出する第1及び第2の半導体レーザと、これら半導体レーザから射出されたレーザビームを合成する偏向ビームスプリッタと、この偏向ビームスプリッタによって合成されたレーザビームを走査する走査光学系とを備え、ヒートモード記録材料に画像記録を行うレーザビーム記録装置において、第1の半導体レーザから射出されたレーザビームと第2の半導体レーザから射出されたレーザビームとを合成し、かつこの合成したレーザビームの中心が何れか一方のレーザビームの断面形状における長軸方向の一端側にずれるように半導体レーザを配置すると共に、何れか一方のレーザビームの断面形状における長軸方向に沿い、かつ合成したレーザビームの中心が進行方向に沿って後方側に位置する状態で、走査光学系によって主走査するレーザビーム記録装置について開示する。
【特許文献1】特許第3266922号公報
【特許文献2】特許第2561098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、赤外線レーザを出力する光源として高出力のレーザが必要である。このため、特許文献1において小型で比較的安価な半導体レーザを適用としても、この半導体レーザでは、数Wクラスが限界で、ライン型のサーマルヘッドクラスの記録スピードを実現できないのが現実である。数十W以上の出力を有する例えばYAGレーザ等を用いる方法がある。しかしながら、YAGレーザ等を用いると、半導体レーザに比べて高価でかつ装置が大型化してしまう。
【0006】
特許文献2では、ヒートモード記録材料の記録面において第1と第2の半導体レーザからそれぞれ射出される各レーザビームの形状が楕円形状でかつ互いに長軸方向で直交している。このため、レーザビームの主走査方向に長軸を有する一方の半導体レーザのパワーは、熱記録用に用いられるが、副走査方向に長軸を有する他方の半導体レーザのパワーは、一方の半導体レーザと重なり合っている部分以外では熱記録用に有効利用されない。さらに、特許文献2では、偏向ビームスプリッタにより半導体レーザから射出されたレーザビームを合成するので、合成する半導体レーザは、2つまでが限界である。
【0007】
本発明の目的は、レーザビームのパワーを有効利用して感熱記録媒体に対する感熱記録時のパワー不足を解消し、かつ記録スピードの高速化を実現できる非接触光書き込み装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主要な局面に係る非接触光書き込み装置は、少なくとも感熱記録を可能とするリライタブルな感熱記録媒体に対して非接触で情報記録を行う非接触光書き込み装置において、活性層の接合面が形成され、それぞれ半導体レーザ光を出力する複数の第1のレーザ発光部を有し、これら第1のレーザ発光部を接合面方向に等間隔で配置して成る少なくとも1つの半導体レーザアレイと、第1のレーザ発光部の接合面方向と同一方向に配置した活性層の接合面が形成された第2のレーザ発光部を有し、この第2のレーザ発光部から半導体レーザビームを出力する半導体レーザと、半導体レーザアレイから出力された複数の半導体レーザ光を反射又は透過すると共に、半導体レーザから出力された半導体レーザビームを透過又は反射し、半導体レーザビームのビームプロファイル内に複数の半導体レーザ光のうち少なくとも一部を等間隔で合成して出力する偏光部材と、複数の半導体レーザ光の偏光方向又は半導体レーザビームの偏光方向に対して平行で、かつ半導体レーザビームの偏光方向又は複数の半導体レーザ光の偏光方向に対して垂直な方向に回転軸を有し、偏光ビームスプリッタから出力された合成の半導体レーザビームを感熱記録媒体上に走査する偏向走査機構とを具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レーザビームのパワーを有効利用して感熱記録媒体に対する感熱記録時のパワー不足を解消し、かつ記録スピードの高速化を実現できる非接触光書き込み装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は非接触光書き込み装置の構成図を示す。本装置は、2つのシングルモード半導体レーザアレイ1、2と、マルチモード半導体レーザ3とを有する。これらシングルモード半導体レーザアレイ1、2とマルチモード半導体レーザ3とは、それぞれ近赤外領域、例えば750nm〜1000nmに発光波長を有し、かつ数Wの高出力を有する。これらシングルモード半導体レーザアレイ1、2とマルチモード半導体レーザ3とは、例えばレーザプリンタ、レーザポインタ、DVDプレーヤ等に既に多数使用されている半導体レーザ(レーザダイオード:LD)と同じような特性、すなわち広がり角度、出力−電流特性、温度特性を有する。これらシングルモード半導体レーザアレイ1、2とマルチモード半導体レーザ3とは、数Wの高出力を有し、供給電流量がアンペアクラスに大きく、発熱量が大きくなるために冷却が必須である。従って、これらシングルモード半導体レーザアレイ1、2とマルチモード半導体レーザ3とは、それぞれ放熱板に固定し、かつ放熱板を強制冷却する。
【0011】
第1のシングルモード半導体レーザアレイ1は、例えば波長λ1(980nm)でS偏光のシングルモードレーザビームL1を出力する。この第1のシングルモード半導体レーザアレイ1は、図2に示すように複数、例えば12個の第1のレーザ発光部(レーザチップ)4を有する。これら第1のレーザ発光部4は、それぞれ活性層の接合面としてのpn接合面5から成り、第1の半導体レーザ光としてのS偏光の複数のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12を出力する。これら第1のレーザ発光部4は、pn接合面5の方向と同一方向にピッチqの等間隔で配置されている。これら第1のレーザ発光部4のピッチqは、例えば125μmである。従って、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されるシングルモードレーザビームL1は、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ出力される1群のシングルモードレーザ光、すなわち複数のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12から成る。
【0012】
シングルモードレーザビームL1のS偏光の偏向方向s1は、pn接合面5の接合面方向と同一方向である。このシングルモードレーザビームL1は、pn接合面5の接合面方向に対して垂直方向の横長形状のビームプロファイルP1を有する。このビームプロファイルP1は、ガウス分布を有する。第1のレーザ発光部4における発光領域は、図2に示すように例えばpn接合面5の接合面方向の長さrと、pn接合面5の方向に対して垂直な方向の幅tとにおいてそれぞれ数μm程度を有する。具体的に第1のレーザ発光部4の発光領域は、pn接合面5の接合面方向の長さrが3μm程度であり、幅tが1μm程度である。
【0013】
第2のシングルモード半導体レーザアレイ2は、例えば波長λ2(830nm)でS偏光のシングルモードレーザビームL2を出力する。この第2のシングルモード半導体レーザアレイ2は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と同様に、図2に示すような複数、例えば12個の第1のレーザ発光部(レーザチップ)4を有する。これら第1のレーザ発光部4は、シングルモード半導体レーザアレイ1における第1のレーザ発光部4と同一構成を有し、それぞれ第1の半導体レーザ光としてのS偏光の複数のシングルモードレーザ光k2−1〜k2−12を出力する。従って、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されるシングルモードレーザビームL2は、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ出力される1群のシングルモードレーザ光、すなわち複数のシングルモードレーザ光k2−1〜k2−12から成る。なお、シングルモードレーザビームL2のS偏光の偏向方向s2は、pn接合面5の接合面方向と同一方向である。このシングルモードレーザビームL2は、pn接合面5の接合面方向に対して垂直方向の横長形状でビームプロファイルP2を有する。
【0014】
マルチモード半導体レーザ3は、例えばλ3(=λ2=波長830nm)でP偏光のマルチモードレーザビームL3を出力する。このマルチモード半導体レーザ3は、図3に示すように1つの第2のレーザ発光部6を有する。この第2のレーザ発光部6は、活性層の接合面としてのpn接合面7から成り、第2の半導体レーザビームとしての単独のP偏光のマルチモードレーザビームL3を出力する。このpn接合面7は、第1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ1、2における各pn接合面5の接合面方向と同一方向に配置される。このマルチモードレーザビームL3のP偏光の偏向方向s3は、pn接合面7の接合面方向と同一方向である。このマルチモードレーザビームL3は、pn接合面7の接合面方向に対して垂直方向の横長形状のビームプロファイルP3を有する。このビームプロファイルP3は、きれいなガウス分布を有しない。レーザ発光部6における発光領域は、図3に示すように例えばpn接合面7の接合面方向の長さuと、この接合面方向の長さuに対して垂直な方向の幅vとにおいてそれぞれ長さを異にする。具体的にレーザ発光部6の発光領域は、接合面の長さuが50〜200μm程度であり、幅vが1μm程度である。なお、マルチモード半導体レーザ3は、マウント8に設けられている。
【0015】
第1のコリメータレンズ(第1の結像レンズ)9が第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されるシングルモードレーザビームL1の進行光路上に設けられている。この第1のコリメータレンズ9は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されたシングルモードレーザビームL1を略平行光速に変換する。
第2のコリメータレンズ(第2の結像レンズ)10が第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されるシングルモードレーザビームL2の進行光路上に設けられている。この第1のコリメータレンズ10は、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されたシングルモードレーザビームL2を略平行光速に変換する。
第3のコリメータレンズ11がマルチモード半導体レーザ3から出力されるマルチモードレーザビームL3の進行光路上に設けられている。この第3のコリメータレンズ11は、マルチモード半導体レーザ3から出力されたマルチモードレーザビームL3を略平行光速に変換する。
【0016】
ダイクロイックプリズム12は、重ね合せ光学系であり、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されるシングルモードレーザビームL1の進行光路上と第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されるシングルモードレーザビームL2の進行光路上との交差位置上に設けられている。このダイクロイックプリズム12は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力される波長λ1(=980nm)のシングルモードレーザビームL1の進行方向を角度90度変えて反射すると共に、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力される波長λ2(=830nm)のシングルモードレーザビームL2を透過し、これらシングルモードレーザビームL1とシングルモードレーザビームL2とを重ね合わせたレーザビームLaを出射する。すなわち、ダイクロイックプリズム12は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されるシングルモードレーザビームL1の各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12と第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されるシングルモードレーザビームL2の各シングルモードレーザ光k2−1〜k2−12とのうちシングルモードレーザ光k1−1とシングルモードレーザ光k2−1とを重ね合せ、シングルモードレーザ光k1−2とシングルモードレーザ光k2−2とを重ね合せ、シングルモードレーザ光k1−3とシングルモードレーザ光k2−3とを重ね合せ、以下同様に、シングルモードレーザ光k1−12とシングルモードレーザ光k2−12とをそれぞれ重ね合わせてレーザビームLaを出射する。
【0017】
偏光ビームスプリッタ13は、偏光部材であり、ダイクロイックプリズム12から出射される重ね合わせのレーザビームLaとマルチモード半導体レーザ3から出力されるマルチモードレーザビームL3との各進行光路の交差位置上に設けられている。この偏光ビームスプリッタ13には、偏光部材としてのλ/4反射板14が設けられている。偏光ビームスプリッタ13には、ダイクロイックプリズム12から出射される重ね合わせのレーザビームLaとマルチモード半導体レーザ3から出力されるマルチモードレーザビームL3とが入射する。この偏光ビームスプリッタ13は、ダイクロイックプリズム12から出射される重ね合わせのレーザビームLaを透過すると共に、マルチモード半導体レーザ3から出力されるマルチモードレーザビームL3を透過し、λ/4反射板14により90度位相回転されて再び入射したマルチモードレーザビームL3を反射し、これにより、マルチモードレーザビームL3のビームプロファイル内及びこのビームプロファイルの両外側に、このビームプロファイルの長手方向に沿って重ね合わせのレーザビームLaを合成する。 具体的にマルチモードレーザビームL3と重ね合わせのレーザビームLaとの合成について説明する。λ/4反射板14は、図4に示すように偏光ビームスプリッタ13におけるマルチモード半導体レーザ3からの単独のマルチモードレーザビームL3が入射する面と対向する面に設けられている。このλ/4反射板14の外側には、反射ミラー15が設けられている。従って、単独のマルチモードレーザビームL3は、偏光ビームスプリッタ13に入射すると、偏光ビームスプリッタ13、λ/4反射板14を透過して反射ミラー15で反射し、再び、λ/4反射板14、偏光ビームスプリッタ13を透過する。これにより、単独のマルチモードレーザビームL3は、λ/4反射板14を2度透過するので、その位相は、90度回転する。そして、偏光ビームスプリッタ13は、90度位相の回転した単独のマルチモードレーザビームL3を反射すると共に、ダイクロイックプリズム12から出射される重ね合わせのレーザビームLaを透過する。この重ね合わせのレーザビームLaは、上記の通りシングルモードレーザビームL1の各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12とシングルモードレーザビームL2の各シングルモードレーザ光k2−1〜k2−12とをそれぞれ重ね合わせて成る。
【0018】
このとき、偏光ビームスプリッタ13は、重ね合わせのレーザビームLaを透過することにより当該レーザビームLaを形成する各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12をそれぞれ円形のビームプロファイルを有する複数のビームスポットに形成する。これと共に、偏光ビームスプリッタ13は、λ/4反射板14により90度位相回転されて戻ってきた単独のマルチモードレーザビームL3を反射することにより横長形状のビームプロファイルに形成する。これにより、偏光ビームスプリッタ13は、単独のマルチモードレーザビームL3のビームプロファイル内にレーザビームLaの各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12を等ピッチで合成し、この合成されたレーザビームLbを出射する。
【0019】
図5はマルチモードレーザビームL3と重ね合わせのレーザビームLaとを合成したビームプロファイルを示す。マルチモードレーザビームL3は、横長形状のビームプロファイルに形成されている。一方、重ね合わせのレーザビームLaは、波長λ1(=980nm)のシングルモードレーザビームL1の各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12と波長λ2(=830nm)のシングルモードレーザビームL2の各シングルモードレーザ光k2−1〜k2−12とをそれぞれ重ね合わせた複数のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12から成る。これらシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12は、それぞれ円形のビームプロファイルに形成されている。そして、各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12のうち例えばシングルモードレーザ光k1−4〜k1−9、k2−4〜k2−9がマルチモードレーザビームL3の横長形状のビームプロファイル内に合成されている。なお、これらシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12は、例えば感熱記録媒体16面上において等ピッチjで合成される。
【0020】
なお、各シングルモード半導体レーザ1、2は、各pn接合面5に平行、垂直のいずれの方向にも数μm程度の複数のレーザ発光部4を有し、各シングルモードレーザビームL1、L2を絞るのが容易であり、例えば略円形状に100μm(1/e2)程度に絞ることができる。一方、マルチモード半導体レーザ3は、pn接合面7に平行な方向にレーザ発光部6の長さが長く、マルチモードレーザビームL3を絞り難い。従って、マルチモード半導体レーザ3は、図1に示すようにマルチモードレーザビームL3の横長形状ビームプロファイルF3の横長方向が熱記録媒体16上での主走査方向Smと一致するようにpn接合面7の方向が配置される。
【0021】
偏向走査機構17は、偏向機として例えばガルバノミラー18と、このガルバノミラー18に対して回転軸19を介して連結され、ガルバノミラー18を矢印g方向に往復繰り返して回転させる回転駆動部20とを有する。この偏向走査機構17は、ガルバノミラー18の矢印g方向への回転により偏光ビームスプリッタ13から出力された合成のレーザビームLbを感熱記録媒体16上に主走査する。ガルバノミラー18の回転軸19は、円形ビームスポットに形成された各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12の偏向方向s1、s2に対して垂直で、かつ90度位相回転されたマルチモードレーザビームL3の偏光方向s3に対して平行な方向に設けられている。これにより、偏向走査機構17は、マルチモードレーザビームL3の偏光方向s3と同一方向、すなわち横長形状ビームプロファイルを有するマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に合成レーザビームLbを主走査する。 走査レンズ21が偏向走査機構17による合成レーザビームLbの主走査方向Smに設けられている。この走査レンズ21は、偏向走査機構17により主走査された合成レーザビームLbを感熱記録媒体16面上に結像する。
【0022】
感熱記録媒体16は、特定温度の加熱制御により発色と消色とを繰り返し、感熱記録、感熱消去を可能とするリライタブルな可逆性の媒体である。この感熱記録媒体16は、図6に示すように融点180℃以上をかけると印字層中に存在する染料と顕色剤とが溶け合った状態になり、この状態から急冷することにより染料と顕色剤とが混ざり合ったまま結晶化して発色する。一方、感熱記録媒体16は、ゆっくり冷却すると、染料と顕色剤とがそれぞれ結晶化するので、発色状態を保てず、消去状態になる。さらに、感熱記録媒体16は、染料と顕色剤との融点以下でもある一定時間の加熱により染料と顕色剤とが徐々に分離して結晶化し、消去状態となる温度域、例えば約130℃〜170℃程度もある。
【0023】
図7は各シングルモードレーザビームL1、L2及びマルチモードレーザビームL3を感熱記録媒体16に照射したときの媒体温度と発色・消色等の関係を示す。感熱記録媒体16は、室温Tr(例えば25℃)から温度T1を超えて加熱し、冷却すると消去するモード(消去領域)となり、温度T1以上の温度T2を超えて加熱し、急冷すると発色する。なお、感熱記録媒体16は、温度T1以下であれば変化しない。
【0024】
しかるに、各シングルモードレーザビームL1、L2は、それぞれ単独で、感熱記録媒体16に照射することにより感熱記録媒体16に対する消去レベル以下のパワー及びビーム径を有する。これにより、各シングルモードレーザビームL1、L2をそれぞれ単独で感熱記録媒体16に照射したときの温度上昇は、温度T1以下であり、感熱記録媒体16に変化はない。
【0025】
一方、マルチモードレーザビームL3は、単独で、感熱記録媒体16に照射することにより感熱記録媒体16に対する記録を不能とし、かつ消去レベルのパワー及びビーム径を有する。これにより、マルチモードレーザビームL3を単独で感熱記録媒体16に照射したときの温度上昇は、温度T1以上でかつ温度T2以下であり、感熱記録媒体16に対する記録を不能とするものの消去領域に温度上昇する。
【0026】
なお、以上の発色、消色の作用は、任意の感熱記録媒体16の搬送スピードにおいて生じる。感熱記録媒体16の搬送スピードが遅くなると、感熱記録媒体16上の単位面積当たりのエネルギー、すなわちレーザビームのパワーと照射時間との積が大きくなるので、例えば各シングルモード半導体レーザ1、2のいずれかのみでも感熱記録媒体16への記録が可能である。
【0027】
各シングルモードレーザビームL1、L2とマルチモードレーザビームL3とを合成した合成レーザビームLbは、感熱記録媒体16に照射することにより感熱記録媒体16の温度上昇を温度T2以上とし、感熱記録媒体16に対する記録を可能とする。
搬送機構22は、感熱記録媒体16を副走査方向Ssに例えば一定の搬送速度で搬送する。副走査方向Ssは、主走査方向Smに対して垂直方向である。
【0028】
ここで、図8を参照して第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されるシングルモードレーザビームL1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されるシングルモードレーザビームL2との重ね合わせの条件について説明する。
第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と第1のコリメータレンズ9との間の距離をa1、第1のコリメータレンズ9とダイクロイックミラー12との間の距離をb1、ダイクロイックミラー12とガルバノミラー18の反射面との間の距離をb2、ガルバノミラー18の反射面と感熱記録媒体16上の結像面との間の距離をb3、第1のコリメータレンズ9の焦点距離をf1としたとき、次式
1/f1=1/a1+1/(b1+b2+b3) …(1)
を満たす。
又、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2と第2のコリメータレンズ10との間の距離をa1’、第2のコリメータレンズ10とダイクロイックミラー12との間の距離をb1’、第2のコリメータレンズ10の焦点距離をf1’としたとき、次式
1/f1’=1/a1’+1/(b1’+b2+b3) …(2)
を満たす。感熱記録媒体16上の結像面上での第1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ1、2の各ピッチqが等しくないと、ダイクロイックミラー12により重ね合わせたレーザビームLaの重ね合せの効果が部分的になるので、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されるシングルモードレーザビームL1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されるシングルモードレーザビームL2が一致して重ね合わさるには、以下の条件に設定する必要がある。
a1=a1’、b1=b1’、f1=f1’ …(3)
次に、上記の如く構成された装置による記録動作について説明する。
第1のシングルモード半導体レーザアレイ1は、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ例えば波長λ1(980nm)でS偏光の複数のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12を出力する。これにより、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1は、複数のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12から成るシングルモードレーザビームL1を出力する。このシングルモードレーザビームL1の各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12は、等ピッチq(=例えば125μm)で、例えば12本出力される。これらシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12のS偏光の偏向方向s1は、それぞれpn接合面5の接合面方向と同一方向で、pn接合面5の接合面方向に対して垂直方向の横長形状のビームプロファイルP1を有する。この第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されたシングルモードレーザビームL1は、第1のコリメータレンズ9を通してダイクロイックミラー12に入射する。
【0029】
第2のシングルモード半導体レーザアレイ2は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と同様に、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ例えば波長λ2(830nm)でS偏光の複数のシングルモードレーザビーム光k2−1〜k2−12を出力する。これにより、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2は、複数のシングルモードレーザ光k2−1〜k2−12から成るシングルモードレーザビームL2を出力する。このとき、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ2とは、略同一タイミングでそれぞれシングルモードレーザビームL1を出力すると共に、シングルモードレーザビームL2を出力する。
【0030】
第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されたシングルモードレーザビームL2の各シングルモードレーザ光k2−1〜k2−12は、等ピッチq(=例えば125μm)で、例えば12本出力される。これらシングルモードレーザ光k2−1〜k2−12のS偏光の偏向方向s2は、pn接合面5の接合面方向と同一方向で、pn接合面5の接合面方向に対して垂直方向の横長形状のビームプロファイルP2を有する。この第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されたシングルモードレーザビームL2は、第2のコリメータレンズ10を通してダイクロイックミラー12に入射する。
【0031】
一方、マルチモード半導体レーザ3は、1つの第2のレーザ発光部6から例えばλ3(=λ2=波長830nm)でP偏光の単独のマルチモードレーザビームL3を出力する。このマルチモードレーザビームL3のP偏光の偏向方向s3は、pn接合面7の接合面方向と同一方向である。このマルチモードレーザビームL3は、pn接合面7の接合面方向に対して垂直方向の横長形状のビームプロファイルP3を有する。このマルチモードレーザビームL3は、第3のコリメータレンズ11を通して偏光ビームスプリッタ13に入射する。
【0032】
ダイクロイックプリズム12は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力される波長λ1(=980nm)のシングルモードレーザビームL1の進行方向を角度90度変えて反射すると共に、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力される波長λ2(=830nm)のシングルモードレーザビームL2を透過し、これらマルチモードレーザビームL1とシングルモードレーザビームL2とを重ね合わせたレーザビームLaを出射する。この場合、ダイクロイックプリズム12は、図2に示すように第1のシングルモード半導体レーザアレイ1における各第1のレーザ発光部4からそれぞれ出力される複数のシングルモードレーザビーム光k1−1〜k1−12と、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2における各第1のレーザ発光部4からそれぞれ出力される複数のシングルモードレーザビーム光k2−1〜k2−12との同士を重ね合わせる。この重ね合わせのレーザビームLaは、図5に示すように各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12から成る。この重ね合わせのレーザビームLaは、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
【0033】
この偏光ビームスプリッタ13において、マルチモードレーザビームL3は、偏光ビームスプリッタ13に入射すると、偏光ビームスプリッタ13、λ/4反射板14を透過して反射ミラー15で反射し、再び、λ/4反射板14、偏光ビームスプリッタ13を透過する。これにより、マルチモードレーザビームL3は、λ/4反射板14を2度透過するので、その位相は、90度回転する。偏光ビームスプリッタ13は、90度位相の回転したマルチモードレーザビームL3を反射すると共に、重ね合わせのレーザビームLaを透過する。
【0034】
このとき、偏光ビームスプリッタ13は、図5に示すように重ね合わせのレーザビームLaを透過することにより当該レーザビームLaを形成する各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12をそれぞれ円形のビームプロファイルを有する複数のビームスポットに形成する。これと共に、偏光ビームスプリッタ13は、λ/4反射板14により90度位相回転されて戻ってきた単独のマルチモードレーザビームL3を反射することにより横長形状のビームプロファイルに形成する。これにより、偏光ビームスプリッタ13は、単独のマルチモードレーザビームL3のビームプロファイル内にレーザビームLaの各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12を等ピッチqで合成し、この合成のレーザビームLbを出射する。
【0035】
なお、マルチモードレーザビームL3の横長形状のビームプロファイル内には、例えば12本のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12のうち例えば6本のレーザビームk1−4〜k1−9、k2−4〜k2−9が重ね合わされ、残りの6本のレーザビームk1−1〜k1−3、k2−1〜k2−3と、k1−10〜k1−12、k2−10〜k2−12とがビームプロファイルの横軸方向に沿ってビームプロファイルの両外側にそれぞれ3本ずつある。マルチモードレーザビームL3の横長形状のビームプロファイルと12本の円形のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12との位置関係は、例えば偏光ビームスプリッタ13を12本のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12の進行方向に沿って移動されることにより変えることが可能である。
【0036】
偏向走査機構17は、回転駆動部20の駆動により回転軸19を介してガルバノミラー18を矢印g方向に連続して往復回転させる。これにより、偏光ビームスプリッタ13から出力された合成レーザビームLbは、感熱記録媒体16上において主走査方向Smに主走査される。この場合、ガルバノミラー18の回転軸19は、円形のビームプロファイルに形成された各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12のS偏光の偏向方向s1、s2に対して垂直で、かつ横長形状ビームプロファイルに形成されたP偏光のマルチモードレーザビームL3の偏光方向s3に対して平行な方向に設けられている。しかるに、合成レーザビームLbは、偏向走査機構17によって各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12のS偏光の偏向方向s1、s2と同一方向、すなわち横長形状ビームプロファイルに形成されたマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査される。
【0037】
偏向走査機構17により主走査された合成レーザビームLbは、走査レンズ21によって感熱記録媒体16面上に結像される。ここで、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と第1のコリメータレンズ9との間の距離a1と、第1のコリメータレンズ9とダイクロイックミラー12との間の距離b1と、第1のコリメータレンズ9の焦点距離f1と、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2と第2のコリメータレンズ10との間の距離a1’と、第2のコリメータレンズ10とダイクロイックミラー12との間の距離b1’と、第2のコリメータレンズ10の焦点距離f1’とは、上記式(3)に示す条件に設定されているので、感熱記録媒体16上の結像面上において、感熱記録媒体16上の結像面上での第1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ1、2の各ピッチqが等しくなり、これら第1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ1、2とは、一致して重ね合わされる。
【0038】
偏向走査機構17により主走査された合成レーザビームLbは、感熱記録媒体16面上に、横長形状ビームプロファイルに形成されたマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査される。これにより、感熱記録媒体16には、先ず、図5に示すように主走査方向に従って重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−12〜k1−10、k2−12〜k2−10が単独で順次感熱記録媒体16面上の同一部分に照射される。重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−12〜k1−10、k2−12〜k2−10が単独で感熱記録媒体16に照射されたときの温度上昇は、図7に示すように温度T1以上でかつ温度T2以下であり、感熱記録媒体16に対する記録を不能とするものの消去領域に温度上昇する。
【0039】
次に、感熱記録媒体16面上には、重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−9〜k1−4、k2−9〜k2−4とマルチモードレーザビームL3との合成された部分が照射される。このうち各シングルモードレーザ光k1−9〜k1−4、k2−9〜k2−4は、単独で順次感熱記録媒体16面上の同一部分に照射される。これらシングルモードレーザ光k1−9〜k1−4、k2−9〜k2−4とマルチモードレーザビームL3との合成された部分が感熱記録媒体16に照射されたときの温度上昇は、温度T2以上となり、感熱記録媒体16に対する記録を可能とする。従って、各シングルモード半導体レーザ1、2は、例えば文字や記号、絵柄等の情報に応じて各シングルモードレーザビームL1、L2の出力を同期してオン・オフすれば、感熱記録媒体16に例えば文字や記号、絵柄等の情報の記録が可能になる。
【0040】
次に、感熱記録媒体16面上には、再び、重ね合わされた各シングルモードレーザビームk1−3〜k1−1、k2−3〜k2−1が単独で順次感熱記録媒体16面上の同一部分に照射される。この結果、感熱記録媒体16面上は、温度T1以上の温度T2を超えて加熱し、急冷することになるので、感熱記録媒体16は、例えば黒色等に発色する。感熱記録媒体16は、黒色に限らず、染色材料によって任意の色に発色可能である。
【0041】
しかるに、偏向走査機構17は、合成レーザビームLbを横長形状ビームプロファイルに形成されたマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査し、かつ搬送機構22は、感熱記録媒体16を副走査方向Ssに例えば一定の搬送速度で搬送するので、感熱記録媒体16の全面に例えば文字や記号、絵柄等の情報が記録される。
【0042】
このように上記第1の実施の形態によれば、第1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ1、2から出力された各シングルモードレーザビームL1、L2をダイクロイックプリズム12により重ね合せ、この重ね合わせのレーザビームLaとマルチモード半導体レーザ2から出力されたマルチモードレーザビームL2とをλ/4反射板14を設けた偏光ビームスプリッタ13によって合成し、この合成レーザビームLbを偏向走査機構17によって感熱記録媒体16面上にマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査する。
【0043】
これにより、リライタブルな感熱記録媒体16に対して各シングルモード半導体レーザ1、2とマルチモード半導体レーザ3とを用いて非接触で熱を与え、1個のマルチモード半導体レーザ3では感熱記録媒体16の消去領域までしか温度を上昇することができない条件であり、かつ他の2個のシングルモード半導体レーザ1、2でもパワーが小さくて単独で感熱記録媒体16に記録できない条件であっても、これらシングルモード半導体レーザ1、2のシングルモードレーザビームL1、L2とマルチモード半導体レーザ3のマルチモードレーザビームL3とを合成することにより感熱記録媒体16上の単位面積当たりのエネルギーを大きくし、感熱記録媒体16に照射したときの温度上昇を感熱記録媒体16に対する記録を可能とする温度に上昇でき、感熱記録媒体16に対する情報の記録ができる。
【0044】
すなわち、感熱記録媒体16には、先ず、図5に示すように各シングルモードレーザ光k1−12〜k1−10、k2−12〜k2−10が単独で順次照射されて感熱記録媒体16に対する記録を不能とするものの消去領域に温度上昇させ、次に、感熱記録媒体16面上に各シングルモードレーザ光k1−9〜k1−4、k2−9〜k2−4とマルチモードレーザビームL3との合成された部分を照射して感熱記録媒体16の温度を記録可能とし、再び、各シングルモードレーザビームk1−3〜k1−1、k2−3〜k2−1を単独で照射することにより感熱記録媒体16面上を温度T1以上の温度T2を超えて加熱、急冷し、感熱記録媒体16を例えば黒色等に発色する。これにより、感熱記録媒体16への高解像度の記録が可能になる。
各シングルモードレーザビームL1、L2を重ね合せることによりレーザビームのパワーを有効利用して感熱記録媒体16に対する感熱記録時のパワー不足を解消し、かつ記録スピードを例えばサーマルヘッドを用いた印刷装置と同程度の印刷スピードに確保でき、記録スピードの高速化を実現できる。
特に、図5に示すように重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12を主走査方向Smに僅かな時間をおいて順次感熱記録媒体16面上の同一部分に照射するので、例えば各シングルモード半導体レーザ1、2の各第1のレーザ発光部(レーザチップ)4の数倍のレーザパワーを活用することができる。これにより、記録スピードの高速化を実現できる。
【0045】
各シングルモード半導体レーザ1、2は、各pn接合面5に平行、垂直のいずれの方向にも数μm程度の複数のレーザ発光部4を有するので、これらレーザ発光部4から出力される各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12を絞るのが容易であるという特徴を有し、情報の記録に用いることができる。一方、マルチモード半導体レーザ3は、pn接合面7に平行な方向の長さが100μm程度の長く、このpn接合面7に平行な方向に走査面上でマルチモードレーザビームL3を絞り難いが、感熱記録媒体16上での主走査方向Smに横長形状ビームプロファイルとして消去用、予熱用として用いることができる。従って、各シングルモード半導体レーザ1、2とマルチモード半導体レーザ3との各特長を有効に利用して感熱記録媒体16に対する情報の記録ができる。
【0046】
又、各シングルモード半導体レーザ1、2とマルチモード半導体レーザ3とを同時にオン・オフ(ON/OFF)することで、オフの領域で感熱記録媒体16に元々記録されていた情報を消去せずに、オンの領域のみ情報の書き換えを可能とする情報記録が可能になる。
第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力される波長λ1(980nm)のシングルモードレーザビームL1と、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力される波長λ2(830nm)のシングルモードレーザビームL2と、マルチモード半導体レーザ3から出力される波長λ3(830nm)のマルチモードレーザビームL3とのように偏光方向や波長の違いを利用して各レーザビームL1、L2、L3を重ね合せるので、感熱記録媒体16に対する感熱記録時のパワー不足を解消でき、単独の波長のレーザビームでは記録できない条件であっても感熱記録媒体16への記録が可能である。
【0047】
以上の結果、感熱記録媒体16に対する非接触による情報記録により感熱記録媒体16の寿命を大幅に長くすることができ、従来のような記録時にサーマルヘッドが感熱記録媒体16に接触することによる記録品質の劣化を無くすことができる。又、レーザ書き込み型方式による従来の問題点であったレーザビームのエネルギー不足を解消できる。
【0048】
一方、上記第1の実施の形態の装置を複数設け、図5に示すような合成レーザビームLbを複数作成する。そして、これら複数の合成のレーザビームLbをマルチモードレーザビームL3の横長形状のビームプロファイルの長手方向に沿って1列に並べ、これら複数の合成レーザビームLbを主走査方向Smに走査する。これにより、感熱記録媒体16上には、複数の合成レーザビームLbが短時間の間隔で走査されるので、感熱記録媒体16上への情報記録のスピード化をさらにアップできる。なお、複数の合成レーザビームLbは、マルチモードレーザビームL3の横長形状のビームプロファイルの長手方向に沿って1列に並べるに限らず、同方向に複数列、例えば2列に並べてもよい。これにより、走査ラインが2本となって情報記録のスピード化が実現できる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図9は非接触光書き込み装置の構成図を示す。本装置は、上記第1の実施の形態に対して第3のシングルモード半導体レーザアレイ30を追加し、4波を合成する。この第3のシングルモード半導体レーザアレイ30は、例えば波長λ4(905nm)でS偏光のシングルモードレーザビームL4を出力する。この第3のシングルモード半導体レーザアレイ30は、上記図2と同様に、複数、例えば12個の第1のレーザ発光部4を有する。これら第1のレーザ発光部4は、それぞれ活性層の接合面としてのpn接合面5から成り、第3の半導体レーザビームとしてのS偏光の複数のシングルモードレーザ光k4−1〜k4−12を出力する。これら第1のレーザ発光部4は、pn接合面5の方向と同一方向にピッチqの等間隔で配置されている。これら第1のレーザ発光部4のピッチqは、例えば125μmである。従って、第3のシングルモード半導体レーザアレイ30から出力されるシングルモードレーザビームL4は、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ出力される複数のシングルモードレーザ光k4−1〜k4−12から成る。
【0050】
第3のシングルモードレーザビームL4のS偏光の偏向方向s4は、pn接合面5の接合面方向と同一方向である。この第3のシングルモードレーザビームL4は、pn接合面5の接合面方向に対して垂直方向の横長形状のビームプロファイルP4を有する。このビームプロファイルP4は、ガウス分布を有する。第1のレーザ発光部4における発光領域は、上記図2と同様に、例えばpn接合面5の接合面方向の長さrと、pn接合面5の方向に対して垂直な方向の幅tとにおいてそれぞれ数μm程度を有する。具体的に第1のレーザ発光部4の発光領域は、pn接合面5の接合面方向の長さrが3μm程度であり、幅tが1μm程度である。
【0051】
第4のコリメータレンズ(第4の結像レンズ)30が第3のシングルモード半導体レーザアレイ30から出力される第3のシングルモードレーザビームL4の進行光路上に設けられている。この第4のコリメータレンズ30は、第3のシングルモード半導体レーザ30から出力された第3のシングルモードレーザビームL4を略平行光速に変換する。
【0052】
第2のダイクロイックプリズム32は、ダイクロイックプリズム12から出力される波長λ1(=980nm)と波長λ2(=830nm)との各シングルモードレーザビームL1、L2の重ね合わせのレーザビームLaを入射すると共に、第3のシングルモード半導体レーザアレイ30から出力される波長λ4(905nm)のシングルモードレーザビームL4を入射する。この第2のダイクロイックプリズム32は、重ね合わせのレーザビームLaを透過すると共に、第3のシングルモードレーザビームL4の進行方向を角度90度変えて反射し、これら重ね合わせのレーザビームLaと第3のシングルモードレーザビームL4とを重ね合わせたレーザビームLcを出力する。なお、ダイクロイックプリズム12を以下第1のダイクロイックプリズム12と称する。
【0053】
ここで、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1における第1のレーザ発光部4のピッチqを例えばq11とし、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2における第1のレーザ発光部4のピッチqを例えばq12とし、第3のシングルモード半導体レーザアレイ30における第1のレーザ発光部4のピッチqを例えばq14とする。又、第1のコリメータレンズ9の焦点距離をf1、第2のコリメータレンズ10の焦点距離をf1’、第4のコリメータレンズ30の焦点距離をf1”とする。これら第1のコリメータレンズ9の焦点距離f1と、第2のコリメータレンズ10の焦点距離f1’と、第4のコリメータレンズ30の焦点距離f1”とは、等しく取り、
f1=f1’=f1” …(4)
とする。さらに、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1における第1のレーザ発光部4のピッチq11と、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2における第1のレーザ発光部4のピッチq12と、第3のシングルモード半導体レーザアレイ30における第1のレーザ発光部4のピッチq14との関係を
q11=q12=q14 …(5)
とする。
【0054】
これにより、感熱記録媒体16上の結像面における第1と第2と第3のシングルモード半導体レーザアレイ1、2、30から出力される各シングルモードレーザビームL1、L2、L4における各シングルモードレーザ光の各ピッチjが等しくなる。なお、これを実現するために簡単化した調整は、例えばf1=f1’=f1”、q11=q12=q14に調整することである。
【0055】
次に、上記の如く構成された装置による記録動作について説明する。
第1のシングルモード半導体レーザアレイ1は、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ例えば波長λ1(980nm)でS偏光の複数のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12を等ピッチq(=例えば125μm)で、例えば12本出力する。これにより、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1は、複数のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12から成るシングルモードレーザビームL1を出力する。このシングルモードレーザビームL1のS偏光の偏向方向s1は、pn接合面5の接合面方向と同一方向で、pn接合面5の接合面方向に対して垂直方向の横長形状のビームプロファイルP1を有する。このシングルモードレーザビームL1は、第1のコリメータレンズ9を通して第1のダイクロイックミラー12に入射する。
【0056】
第2のシングルモード半導体レーザアレイ2は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と同様に、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ例えば波長λ2(830nm)でS偏光の複数のシングルモードレーザ光k2−1〜k2−12を出力する。これにより、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2は、複数のシングルモードレーザ光k2−1〜k2−12から成るシングルモードレーザビームL2を出力する。このシングルモードレーザビームL2は、第2のコリメータレンズ10を通して第1のダイクロイックミラー12に入射する。
このとき、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ2とは、略同一タイミングでそれぞれ複数のシングルモードレーザビームL1を出力すると共に、複数のシングルモードレーザビームL2を出力する。
【0057】
第3のシングルモード半導体レーザアレイ30は、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ例えば波長λ1(905nm)でS偏光の複数のシングルモードレーザ光k4−1〜k4−12を等ピッチq(=例えば125μm)で、例えば12本出力する。これにより、第3のシングルモード半導体レーザアレイ30は、複数のシングルモードレーザ光k4−1〜k4−12から成るシングルモードレーザビームL4を出力する。このシングルモードレーザビームL4のS偏光の偏向方向s4は、pn接合面5の接合面方向と同一方向で、pn接合面5の接合面方向に対して垂直方向の横長形状のビームプロファイルP4を有する。このシングルモードレーザビームL4は、第4のコリメータレンズ31を通してダイクロイックミラー32に入射する。この第3のシングルモード半導体レーザアレイ30も第1及び第2のシングルモード半導体レーザアレイ1、2と略同一タイミングで複数のシングルモードレーザビームL4を出力する。
【0058】
一方、マルチモード半導体レーザ3は、1つの第2のレーザ発光部6から例えばλ3(=λ2=波長830nm)でP偏光のマルチモードレーザビームL3を出力する。このマルチモードレーザビームL3は、第3のコリメータレンズ11を通して偏光ビームスプリッタ13に入射する。
第1のダイクロイックプリズム12は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力される波長λ1(=980nm)のシングルモードレーザビームL1の進行方向を角度90度変えて反射すると共に、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力される波長λ2(=830nm)のシングルモードレーザビームL2を透過し、これらマルチモードレーザビームL1とシングルモードレーザビームL2とを重ね合わせたレーザビームLaを出射する。この重ね合わせのレーザビームLaは、第2のダイクロイックプリズム32に入射する。
【0059】
この第2のダイクロイックプリズム32は、第1のダイクロイックプリズム12から出力される波長λ1(=980nm)と波長λ2(=830nm)とのシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12を重ね合わせたレーザビームLaを入射すると共に、第3のシングルモード半導体レーザアレイ30から出力される波長λ4(905nm)の複数のシングルモードレーザ光k4−1〜k4−12から成るシングルモードレーザビームL4を入射する。この第2のダイクロイックプリズム32は、重ね合わせのレーザビームLaを透過すると共に、第3のシングルモードレーザビームL4の進行方向を角度90度変えて反射し、これら重ね合わせのレーザビームLaと第3のシングルモードレーザビームL4とを重ね合わせたレーザビームLcを出力する。この重ね合わせのレーザビームLcは、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
【0060】
この偏光ビームスプリッタ13において、マルチモードレーザビームL3は、上記同様に、偏光ビームスプリッタ13に入射すると、偏光ビームスプリッタ13、λ/4反射板14を透過して反射ミラー15で反射し、再び、λ/4反射板14、偏光ビームスプリッタ13を透過する。これにより、マルチモードレーザビームL3は、λ/4反射板14を2度透過するので、その位相は、90度回転する。偏光ビームスプリッタ13は、90度位相の回転したマルチモードレーザビームL3を反射すると共に、重ね合わせのレーザビームLcを透過する。
【0061】
このとき、偏光ビームスプリッタ13は、図10に示すように重ね合わせのレーザビームLcを透過することにより当該レーザビームLcを形成する各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12、k4−1〜k4−12をそれぞれ円形のビームプロファイルを有する複数のビームスポットに形成する。これと共に、偏光ビームスプリッタ13は、λ/4反射板14により90度位相回転されて戻ってきた単独のマルチモードレーザビームL3を反射することにより横長形状のビームプロファイルに形成する。これにより、偏光ビームスプリッタ13は、単独のマルチモードレーザビームL3のビームプロファイルに対してレーザビームLcの各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12、k4−1〜k4−12を等ピッチjで合成し、この合成のレーザビームLdを出射する。
【0062】
偏向走査機構17は、回転駆動部20の駆動により回転軸19を介してガルバノミラー18を矢印g方向に連続して往復回転させる。これにより、偏光ビームスプリッタ13から出力された合成レーザビームLcは、感熱記録媒体16上において主走査方向Smに主走査される。この合成レーザビームLcは、偏向走査機構17によって各シングルモードレーザビームL1、L2、L4のS偏光の偏向方向s1、s2、s4と同一方向、すなわち横長形状ビームプロファイルに形成されたマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査される。この合成レーザビームLcは、走査レンズ21によって感熱記録媒体16面上に結像される。
【0063】
これにより、感熱記録媒体16には、先ず、図10に示すように主走査方向に従って重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−12〜k1−10、k2−12〜k2−10、k4−12〜k4−10が単独で順次感熱記録媒体16面上の同一部分に照射される。重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−12〜k1−10、k2−12〜k2−10、k4−12〜k4−10が単独で感熱記録媒体16に照射されたときの温度上昇は、図7に示すように温度T1以上でかつ温度T2以下であり、感熱記録媒体16に対する記録を不能とするものの消去領域に温度上昇する。
【0064】
次に、感熱記録媒体16面上には、重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−9〜k1−4、k2−9〜k2−4、k4−9〜k4−4とマルチモードレーザビームL3との合成された部分が照射される。このうち各シングルモードレーザ光k1−9〜k1−4、k2−9〜k2−4、k4−9〜k4−4は、感熱記録媒体16面上の同一部分に照射される。これらシングルモードレーザ光k1−9〜k1−4、k2−9〜k2−4、k4−9〜k4−4とマルチモードレーザビームL3との合成された部分が感熱記録媒体16に照射されたときの温度上昇は、温度T2以上となり、感熱記録媒体16に対する記録を可能とする。従って、各シングルモード半導体レーザ1、2は、例えば文字や記号、絵柄等の情報に応じて各シングルモードレーザビームL1、L2の出力を同期してオン・オフすれば、感熱記録媒体16に例えば文字や記号、絵柄等の情報の記録が可能になる。
【0065】
次に、感熱記録媒体16面上には、再び、重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−3、k2−1〜k2−3、k4−1〜k4−3が単独で順次感熱記録媒体16面上の同一部分に照射される。この結果、感熱記録媒体16面上は、温度T1以上の温度T2を超えて加熱し、急冷することになるので、感熱記録媒体16は、例えば黒色等に発色する。感熱記録媒体16は、黒色に限らず、染色材料によって任意の色に発色可能である。
【0066】
しかるに、偏向走査機構17は、合成レーザビームLcを横長形状ビームプロファイルに形成されたマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査し、かつ搬送機構22は、感熱記録媒体16を副走査方向Ssに例えば一定の搬送速度で搬送するので、感熱記録媒体16の全面に例えば文字や記号、絵柄等の情報が記録される。
【0067】
このように上記第2の実施の形態によれば、第1と第2と第4のシングルモード半導体レーザアレイ1、2、30から出力された各シングルモードレーザビームL1、L2、L4を第1及び第2のダイクロイックプリズム12、32を用いて重ね合せ、この重ね合わせたレーザビームLcとマルチモード半導体レーザ2から出力されたマルチモードレーザビームL2とをλ/4反射板14を設けた偏光ビームスプリッタ13によって合成し、この合成レーザビームLdを偏向走査機構17によって感熱記録媒体16面上にマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査する。これにより、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができると共に、第1と第2と第4のシングルモード半導体レーザアレイ1、2、30から出力される各シングルモードレーザビームL1、L2、L4の個々のエネルギーが小さくても、感熱記録媒体16に情報を記録するためのエネルギーを満足できる。
【0068】
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図9と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
ここでは、図9に示す装置において、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されるシングルモードレーザビームL1と、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されるシングルモードレーザビームL2と、第4のシングルモード半導体レーザアレイ30から出力されるシングルモードレーザビームL4との重ね合わせの条件について図11を参照して説明する。
【0069】
ここで、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と第1のコリメータレンズ9との間の距離をa1、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2と第2のコリメータレンズ10との間の距離をa1’、第3のシングルモード半導体レーザアレイ30と第3のコリメータレンズ31との間の距離をa1”、とする。又、第1のコリメータレンズ9の焦点距離をf1、第2のコリメータレンズ10の焦点距離をf1’、第3のコリメータレンズ31の焦点距離をf1”とする。
第1のシングルモード半導体レーザアレイ1における第1のレーザ発光部4のピッチqを例えばq11とし、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2における第1のレーザ発光部4のピッチqを例えばq12とし、第3のシングルモード半導体レーザアレイ30における第1のレーザ発光部4のピッチqを例えばq14とする。
【0070】
又、第1のコリメータレンズ9とダイクロイックミラー12との間の距離をb1、第2のコリメータレンズ10と第1のダイクロイックミラー12との間の距離をb1’、第3のコリメータレンズ31と第1のダイクロイックミラー32との間の距離をb1”とする。
第1のダイクロイックミラー12とガルバノミラー18の反射面との間の距離をb2、第2のダイクロイックミラー32とガルバノミラー18の反射面との間の距離をb2”、ガルバノミラー18の反射面と感熱記録媒体16上の結像面との間の距離をb3とする。
【0071】
第1乃至第3のコリメータレンズ9、10、31の各焦点距離をf1、f1’、f1”と、第1乃至第3のシングルモード半導体レーザアレイ1、2、30と第1乃至第3のコリメータレンズ9、10、31との間の各距離a1、a1’、a1”、と、第1乃至第3のコリメータレンズ9、10、31と感熱記録媒体16上の結像面との間の各距離(b1+b2+b3)、(b1’+b2+b3)、(b1”+b2”+b3)との間には、以下の関係が成り立つ。
1/f=1/a1+1/(b1+b2+b3) …(6)
1/f’=1/a1’+1/(b1’+b2+b3) …(7)
1/f”=1/a1”+1/(b1”+b2”+b3) …(8)
ここで、重要なのは、感熱記録媒体16上の結像面上で第1乃至第3のシングルモード半導体レーザアレイ1、2、30における複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ出力された各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12、k4−1〜k4−12がそれぞれ互いに重なり合うことである。
【0072】
このためには、第1乃至第3のシングルモード半導体レーザアレイ1、2、30の発光点の各ピッチq11、q12、q14を揃え、次に、第1乃至第3のコリメータレンズ9、10、31の各焦点距離f1、f1’、f1”を揃え、第1乃至第3のシングルモード半導体レーザアレイ1、2、30と第1乃至第3のコリメータレンズ9、10、31との間の各距離a1、a1’、a1”、を揃え、第1乃至第3のコリメータレンズ9、10、31と感熱記録媒体16上の結像面との間の各距離(b1+b2+b3)、(b1’+b2+b3)、(b1”+b2”+b3)を揃え、各倍率m1=a1/(b1+b2+b3)、m2=a1’/(b1’+b2+b3)、m3=a1”/(b1”+b2”+b3)を揃える。すなわち、
q11=q12=q14
f1=f1’=f1”
a1=a1’=a1”
(b1+b2+b3)=(b1’+b2+b3)=(b1”+b2”+b3)
m1=a1/(b1+b2+b3) = m2=a1’/(b1’+b2+b3)
=m3=a1”/(b1”+b2”+b3)
である。これにより、q11=q12=q14にすることができる。第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されるシングルモードレーザビームL1と、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されるシングルモードレーザビームL2と、第4のシングルモード半導体レーザアレイ30から出力されるシングルモードレーザビームL4とを重ね合わせることができる。
【0073】
次に、本発明の第4の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図12は非接触光書き込み装置の構成図を示す。ビーム位置調整機構40は、例えばシングルモード半導体レーザアレイ1の配置位置を当該シングルモード半導体レーザアレイ1に形成されている複数の第1のレーザ発光部4の配列方向、すなわちシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されるシングルモードレーザビームL1のS偏光の偏向方向s1と同一方向(矢印H方向)にシフトする。このシングルモード半導体レーザアレイ1のシフト距離は、感熱記録媒体16上に照射されるシングルモードレーザビームL1を形成する各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12が当該各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12の各ピッチjの2分の1移動する距離に対応する。
【0074】
図13はビーム位置調整機構40によりシングルモード半導体レーザアレイ1を移動したときの各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12の感熱記録媒体16上での移動例を示す。各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12は、主走査方向Smと同一方向に各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12間の各ピッチjの2分の1シフトする。ここで、各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12の円形のビームスポット径がピッチjと同一であれば、各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12は、各シングルモードレーザ光k2−1〜k2−12間にそれぞれシフトし、各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12の各ピッチj間の隙間が埋まる。
【0075】
なお、ビーム位置調整機構40は、シングルモード半導体レーザアレイ1を移動するに限らず、シングルモード半導体レーザアレイ2の配置位置を当該シングルモード半導体レーザアレイ2に形成されている複数の第1のレーザ発光部4の配列方向すなわちシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されるシングルモードレーザビームL2のS偏光の偏向方向s2と同一方向に移動してもよい。
【0076】
次に、上記の如く構成された装置による記録動作について説明する。
ビーム位置調整機構40は、感熱記録媒体16上に照射されるシングルモードレーザビームL1を形成する各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12が主走査方向Smと同一方向に当該各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12の各ピッチjの2分の1シフトするように例えばシングルモード半導体レーザアレイ1の配置位置をシングルモードレーザビームL1のS偏光の偏向方向s1と同一方向(矢印H方向)に移動する。
【0077】
この状態で、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1は、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ発光される例えば波長λ1(980nm)でS偏光の複数のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12から成るシングルモードレーザビームL1を出力する。このシングルモードレーザビームL1は、第1のコリメータレンズ9を通して第1のダイクロイックミラー12に入射する。
第2のシングルモード半導体レーザアレイ2は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と同様に、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ発光される例えば波長λ2(830nm)でS偏光の複数のシングルモードレーザ光k2−1〜k2−12から成るシングルモードレーザビームL2を出力する。このシングルモードレーザビームL2は、第2のコリメータレンズ10を通して第1のダイクロイックミラー12に入射する。
このとき、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ2とは、略同一タイミングでそれぞれ複数のシングルモードレーザビームL1を出力すると共に、複数のシングルモードレーザビームL2を出力する。
【0078】
一方、マルチモード半導体レーザ3は、1つの第2のレーザ発光部6から例えばλ3(=λ2=波長830nm)でP偏光の単独のマルチモードレーザビームL3を出力する。このマルチモードレーザビームL3は、第3のコリメータレンズ11を通して偏光ビームスプリッタ13に入射する。
【0079】
ダイクロイックプリズム12は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1における各第1のレーザ発光部4からそれぞれ出力される複数のシングルモードレーザビーム光k1−1〜k1−12と、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2における各第1のレーザ発光部4からそれぞれ出力される複数のシングルモードレーザビーム光k2−1〜k2−12とを重ね合わせ、この重ね合わせたレーザビームLaを出射する。この重ね合わせのレーザビームLaは、偏光ビームスプリッタ13に入射する。これらシングルモードレーザビーム光k1−1〜k1−12と各シングルモードレーザビーム光k2−1〜k2−12とを重ね合わせるとき、シングルモード半導体レーザアレイ1の配置位置は、感熱記録媒体16上に照射される各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12が当該各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12の各ピッチjの2分の1シフトする距離に対応する距離だけ各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12のS偏光の偏向方向s1と同一方向(矢印H方向)に移動しているので、各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12は、各シングルモードレーザ光k2−1〜k2−12間にそれぞれシフトする。すなわち、各シングルモードレーザ光は、k2−1、k1−1、k2−2、k1−2、…、k2−12、k1−12に配列される。
【0080】
偏光ビームスプリッタ13は、上記同様に、マルチモードレーザビームL3の位相を90度回転し、この90度位相の回転したマルチモードレーザビームL3を反射すると共に、重ね合わせのレーザビームLaを透過する。このとき、偏光ビームスプリッタ13は、重ね合わせのレーザビームLaを透過することにより当該レーザビームLaを形成する各シングルモードレーザ光k2−1、k1−1、k2−2、k1−2、…、k2−12、k1−12をそれぞれ円形のビームプロファイルを有する複数のビームスポットに形成すると共に、90度位相回転されて戻ってきた単独のマルチモードレーザビームL3を反射することにより横長形状のビームプロファイルに形成する。
【0081】
これにより、偏光ビームスプリッタ13は、単独のマルチモードレーザビームL3のビームプロファイル内にレーザビームLaの各シングルモードレーザ光k2−1、k1−1、k2−2、k1−2、…、k2−12、k1−12を等ピッチq/2で合成し、この合成のレーザビームLbを出射する。なお、マルチモードレーザビームL3の横長形状のビームプロファイル内には、例えば11本のレーザビームk2−4、k1−4、k2−5、…、k1−8、k2−9が重ね合わされ、残りの13本のレーザビームk2−1、k1−1、k2−2、…、k1−3と、k1−9、k2−10、k1−10、…、k1−12とがビームプロファイルの横軸方向に沿ってビームプロファイルの両外側にそれぞれ存在する。
【0082】
偏向走査機構17は、ガルバノミラー18を矢印g方向に連続して往復回転させ、偏光ビームスプリッタ13から出力された合成レーザビームLbを感熱記録媒体16上において主走査方向Smに主走査する。これにより、感熱記録媒体16には、先ず、図13に示すように主走査方向に従って重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−12、k2−12、k1−11…、k1−9が単独で順次感熱記録媒体16面上の同一部分に照射される。これら各シングルモードレーザ光k1−12、k2−12、k1−11…、k1−9が単独で感熱記録媒体16に照射されたときの温度上昇は、図7に示すように温度T1以上でかつ温度T2以下であり、感熱記録媒体16に対する記録を不能とするものの消去領域に温度上昇する。
【0083】
次に、感熱記録媒体16面上には、各シングルモードレーザ光k2−9、k1−8、k2−8、…、k2−4とマルチモードレーザビームL3との合成された部分が照射される。これらシングルモードレーザ光k2−9、k1−8、k2−8、…、k2−4とマルチモードレーザビームL3との合成された部分が感熱記録媒体16に照射されたときの温度上昇は、温度T2以上となり、感熱記録媒体16に対する記録を可能とする。従って、各シングルモード半導体レーザ1、2は、例えば文字や記号、絵柄等の情報に応じて各シングルモードレーザビームL1、L2の出力を同期してオン・オフすれば、感熱記録媒体16に例えば文字や記号、絵柄等の情報の記録が可能になる。
【0084】
次に、感熱記録媒体16面上には、再び、各シングルモードレーザビームk1−3、k2−3、k1−2、…、k2−1が単独で順次感熱記録媒体16面上の同一部分に照射される。この結果、感熱記録媒体16面上は、温度T1以上の温度T2を超えて加熱し、急冷することになるので、感熱記録媒体16は、例えば黒色等に発色する。感熱記録媒体16は、黒色に限らず、染色材料によって任意の色に発色可能である。
【0085】
しかるに、偏向走査機構17は、合成レーザビームLbを横長形状ビームプロファイルに形成されたマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査し、かつ搬送機構22は、感熱記録媒体16を副走査方向Ssに例えば一定の搬送速度で搬送するので、感熱記録媒体16の全面に例えば文字や記号、絵柄等の情報が記録される。
【0086】
このように上記第4の実施の形態によれば、シングルモード半導体レーザアレイ1の配置位置をシングルモードレーザビームL1のS偏光の偏向方向s1と同一方向(矢印H方向)に移動することにより、各シングルモードレーザ光k2−1、k1−1、k2−2、k1−2、…、k2−12、k1−12に配列された重ね合わせのレーザビームLaを形成し、この重ね合わせのレーザビームLaとマルチモード半導体レーザ2から出力されたマルチモードレーザビームL2とをλ/4反射板14を設けた偏光ビームスプリッタ13によって合成し、この合成レーザビームLbを偏向走査機構17によって感熱記録媒体16面上にマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査するので、上記第1の実施の形態の効果と同様の効果を奏することができる。
【0087】
なお、上記第4の実施の形態は、次のように変形してもよい。第1のシングルモード半導体レーザアレイ1は、波長λ1(980nm)のシングルモードレーザビームL1を出力し、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2は、波長λ2(830nm)のシングルモードレーザビームL2を出力しているが、これに限らず、第1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ1、2は、それぞれ同一波長、例えば980nm、830nm又は905nmであってもよいし、又はこれら波長980nm、830nm又は905nmのうち2波長を組み合わせてもよい。さらに、第1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ1、2は、他の任意の波長を用いてもよい。
【0088】
又、シングルモードレーザビームL1とシングルモードレーザビームL2との重ね合わせは、ダイクロイックプリズム12を用いているが、これに限らず、例えば図14に示すように偏光ビームスプリッタ41を用いてもよい。この偏光ビームスプリッタ41には、λ/4反射板42が設けられている。このλ/4反射板42は、偏光ビームスプリッタ13における第1のシングルモード半導体レーザアレイ1からのシングルモードレーザビームL1が入射する面と対向する面に設けられている。このλ/4反射板42の外側には、反射ミラー43が設けられている。
従って、シングルモードレーザビームL1は、偏光ビームスプリッタ41に入射すると、この偏光ビームスプリッタ41、λ/4反射板42を透過して反射ミラー43で反射し、再び、λ/4反射板42、偏光ビームスプリッタ41を透過する。これにより、シングルモードレーザビームL1は、λ/4反射板42を2度透過するので、その位相は、90度回転する。そして、偏光ビームスプリッタ41は、90度位相の回転したシングルモードレーザビームL1を反射すると共に、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2からのシングルモードレーザビームL1を透過する。
【0089】
このとき、シングルモード半導体レーザアレイ1の配置位置は、感熱記録媒体16上に照射される各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12が当該各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12の各ピッチjの2分の1シフトする距離に対応する距離だけ各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12のS偏光の偏向方向s1と同一方向(矢印H方向)に移動していれば、各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12は、各シングルモードレーザ光k2−1〜k2−12間にそれぞれシフトし、各シングルモードレーザ光は、k2−1、k1−1、k2−2、k1−2、…、k2−12、k1−12に配列された重ね合わせのレーザビームLaが形成される。
【0090】
又、各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12は、感熱記録媒体16上において各ピッチjの2分の1シフトさせているが、これに限らず、任意の距離、例えば各ピッチjの3分の1、4分の1等だけシフトさせてもよい。これにより、各シングルモードレーザビーム光k1−1〜k1−12と各シングルモードレーザビーム光k2−1〜k2−12とは、それぞれその一部分が重なり合う。
【0091】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
上記第1乃至第4の実施の形態では、2つ又は3つのシングルモードレーザビームL1、L2、L4と、1つのマルチモードレーザビームL3とを用いているが、これに限らず、1つのシングルモードレーザビームL1と1つのマルチモードレーザビームL3とを用いたり、4以上のシングルモードレーザビームLnと1つのマルチモードレーザビームL3とを用いてもよい。
第1乃至第4のシングルモード半導体レーザアレイ1、2、30は、それぞれマルチモード半導体レーザアレイとし、マルチモード半導体レーザ3は、シングルモード半導体レーザとしてもよい。
合成のレーザビームLb、Ldは、それぞれ図1及び図9に示すように横長形状ビームプロファイルF3の横長方向と同一方向に主走査されるが、これに限らず、横長形状ビームプロファイルF3の横長方向に対して垂直方向に走査してもよい。
【0092】
又、例えば、重ね合わせのレーザビームLaとマルチモードレーザビームL2とをλ/4反射板14を設けた偏光ビームスプリッタ13によって合成する場合、重ね合わせのレーザビームLaを形成する例えば各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12は、これらシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12の全てをマルチモードレーザビームL3の横長形状のビームプロファイル内に合成してもよい。
又、各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12とマルチモードレーザビームL3との合成位置は、例えば重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−12〜k1−7、k2−12〜k2−7を単独にし、各シングルモードレーザ光k1−6〜k1−1、k2−6〜k2−1をマルチモードレーザビームL3上に合成してもよい。これにより、感熱記録媒体16には、先ず、主走査方向に従って重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−12〜k1−7、k2−12〜k2−7が単独で順次感熱記録媒体16面上の同一部分に照射される。これら重ね合わされたシングルモードレーザ光k1−12〜k1−7、k2−12〜k2−7が単独で感熱記録媒体16に照射されたときの温度上昇は、図7に示すように温度T1以上でかつ温度T2以下であり、感熱記録媒体16に対する記録を不能とするものの消去領域に温度上昇する。
【0093】
次に、感熱記録媒体16面上には、重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−6〜k1−1、k2−6〜k2−1とマルチモードレーザビームL3との合成された部分が照射される。これにより、各シングルモードレーザ光k1−6〜k1−1、k2−6〜k2−1とマルチモードレーザビームL3との合成された部分が感熱記録媒体16に照射されたときの温度上昇は、温度T2以上となり、感熱記録媒体16に対する記録が可能になる。
【0094】
各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12は、ビーム位置調整機構40によりシングルモード半導体レーザアレイ1を移動させて当該各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12のS偏光の偏向方向s1と同一方向(矢印H方向)にシフトしているが、これに限らず、例えばミラー等の光学部材を用いてシフトさせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明に係る非接触光書き込み装置の第1の実施の形態を示す構成図。
【図2】同装置における第1と第2のシングルモード半導体レーザアレイにおける複数のレーザ発光部のpn接合面を示す図。
【図3】同装置におけるマルチモード半導体レーザのレーザ発光部のpn接合面を示す図。
【図4】同装置におけるλ/4反射板を設けた偏光ビームスプリッタによるマルチモードレーザビームのビームプロファイル内への複数の重ね合わせのシングルモードレーザビームの合成作用を示す図。
【図5】同装置におけるマルチモードレーザビームの横長形状のビームプロファイル内に複数の重ね合わせのレーザビームの円形ビームスポットを合成したビームプロファイルを示す図。
【図6】同装置に用いられる感熱記録媒体の特性図。
【図7】同装置に用いられる感熱記録媒体シングルモードレーザビーム及びマルチモードレーザビームを照射したときの媒体温度と発色・消色等の関係を示す図。
【図8】同装置における各シングルモードレーザビームとの重ね合わせの条件を説明するための図。
【図9】本発明に係る非接触光書き込み装置の第2の実施の形態を示す構成図。
【図10】同装置におけるマルチモードレーザビームの横長形状のビームプロファイル内に複数の重ね合わせのレーザビームの円形ビームスポットを合成したビームプロファイルを示す図。
【図11】本発明に係る非接触光書き込み装置の第3の実施の形態における各シングルモードレーザビームとの重ね合わせの条件を説明するための図。
【図12】本発明に係る非接触光書き込み装置の第4の実施の形態を示す構成図。
【図13】同装置におけるビーム位置調整機構によるシングルモード半導体レーザアレイを移動したときの各シングルモードレーザ光の移動例を示す図。
【図14】同装置における各シングルモードレーザビームの重ね合わせの変形例を示す構成図。
【符号の説明】
【0096】
1,2:シングルモード半導体レーザアレイ、3:マルチモード半導体レーザ、4:第1のレーザ発光部、5:pn接合面、6:第2のレーザ発光部、7:pn接合面、8:マウント、9:第1のコリメータレンズ(第1の結像レンズ)、10:第2のコリメータレンズ(第2の結像レンズ)、11:第3のコリメータレンズ、12:ダイクロイックプリズム、13:偏光ビームスプリッタ、14:λ/4反射板、15:反射ミラー、16:熱記録媒体、17:偏向走査機構、18:ガルバノミラー、19:回転軸、20:回転駆動部、21:走査レンズ、22:搬送機構、30:第3のシングルモード半導体レーザアレイ、31:第4のコリメータレンズ(第4の結像レンズ)、32:ダイクロイックプリズム、40:ビーム位置調整機構、41:偏光ビームスプリッタ、42:λ/4反射板、43:反射ミラー。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばサーマルヘッド等の加熱装置を直接接触することなく、非接触で感熱記録、感熱消去を可能とするリライタブルな感熱記録媒体に対して非接触で情報記録を行う非接触光書き込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロイコ染料系、ジアゾ化合物系感熱材料を利用した感熱記録方式や、特定温度で発色と消色とを繰り返すことを可能とする可逆性の感熱記録紙等が存在する。この感熱記録紙は、例えばサーマルヘッド等の加熱装置を用いて加熱されて発色、消色される。このような感熱記録紙に対する記録方式には、例えばサーマルヘッド等の記録ヘッドを直接接触させる方式がある。この方式では、記録ヘッドを直接感熱記録紙に接触させるため、記録ヘッドの磨耗、汚れ等が生じ易く、かつ感熱記録紙の印字面が擦れて汚れたり、付着物によるショートや過剰な電力供給等による記録ヘッドの寿命を縮めることを引き起こす。
【0003】
一方、感熱記録紙を用いた情報記録の技術としては、例えば特許文献1、2がある。特許文献1は、可逆性の感熱材料を非接触で顕色、消色する方法に関し、基板上に、赤外線を吸収し発熱する赤外線吸収層と感熱記録層とを順次積層した情報記録媒体を開示する。このうち感熱記録層は、感熱発色層又は金属薄膜層から成り、赤外線吸収層の熱によって発色又は変色或いは溶融除去される。又、特許文献1は、赤外線レーザの照射により情報記録媒体における赤外線吸収層を発熱させ、この熱により感熱記録層を発色又は変色或いは溶融除去させる情報記録媒体の記録方法を開示する。
【0004】
特許文献2は、pn接合面に対して垂直方向に広がった断面楕円形状のレーザビームを射出する第1及び第2の半導体レーザと、これら半導体レーザから射出されたレーザビームを合成する偏向ビームスプリッタと、この偏向ビームスプリッタによって合成されたレーザビームを走査する走査光学系とを備え、ヒートモード記録材料に画像記録を行うレーザビーム記録装置において、第1の半導体レーザから射出されたレーザビームと第2の半導体レーザから射出されたレーザビームとを合成し、かつこの合成したレーザビームの中心が何れか一方のレーザビームの断面形状における長軸方向の一端側にずれるように半導体レーザを配置すると共に、何れか一方のレーザビームの断面形状における長軸方向に沿い、かつ合成したレーザビームの中心が進行方向に沿って後方側に位置する状態で、走査光学系によって主走査するレーザビーム記録装置について開示する。
【特許文献1】特許第3266922号公報
【特許文献2】特許第2561098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、赤外線レーザを出力する光源として高出力のレーザが必要である。このため、特許文献1において小型で比較的安価な半導体レーザを適用としても、この半導体レーザでは、数Wクラスが限界で、ライン型のサーマルヘッドクラスの記録スピードを実現できないのが現実である。数十W以上の出力を有する例えばYAGレーザ等を用いる方法がある。しかしながら、YAGレーザ等を用いると、半導体レーザに比べて高価でかつ装置が大型化してしまう。
【0006】
特許文献2では、ヒートモード記録材料の記録面において第1と第2の半導体レーザからそれぞれ射出される各レーザビームの形状が楕円形状でかつ互いに長軸方向で直交している。このため、レーザビームの主走査方向に長軸を有する一方の半導体レーザのパワーは、熱記録用に用いられるが、副走査方向に長軸を有する他方の半導体レーザのパワーは、一方の半導体レーザと重なり合っている部分以外では熱記録用に有効利用されない。さらに、特許文献2では、偏向ビームスプリッタにより半導体レーザから射出されたレーザビームを合成するので、合成する半導体レーザは、2つまでが限界である。
【0007】
本発明の目的は、レーザビームのパワーを有効利用して感熱記録媒体に対する感熱記録時のパワー不足を解消し、かつ記録スピードの高速化を実現できる非接触光書き込み装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主要な局面に係る非接触光書き込み装置は、少なくとも感熱記録を可能とするリライタブルな感熱記録媒体に対して非接触で情報記録を行う非接触光書き込み装置において、活性層の接合面が形成され、それぞれ半導体レーザ光を出力する複数の第1のレーザ発光部を有し、これら第1のレーザ発光部を接合面方向に等間隔で配置して成る少なくとも1つの半導体レーザアレイと、第1のレーザ発光部の接合面方向と同一方向に配置した活性層の接合面が形成された第2のレーザ発光部を有し、この第2のレーザ発光部から半導体レーザビームを出力する半導体レーザと、半導体レーザアレイから出力された複数の半導体レーザ光を反射又は透過すると共に、半導体レーザから出力された半導体レーザビームを透過又は反射し、半導体レーザビームのビームプロファイル内に複数の半導体レーザ光のうち少なくとも一部を等間隔で合成して出力する偏光部材と、複数の半導体レーザ光の偏光方向又は半導体レーザビームの偏光方向に対して平行で、かつ半導体レーザビームの偏光方向又は複数の半導体レーザ光の偏光方向に対して垂直な方向に回転軸を有し、偏光ビームスプリッタから出力された合成の半導体レーザビームを感熱記録媒体上に走査する偏向走査機構とを具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レーザビームのパワーを有効利用して感熱記録媒体に対する感熱記録時のパワー不足を解消し、かつ記録スピードの高速化を実現できる非接触光書き込み装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は非接触光書き込み装置の構成図を示す。本装置は、2つのシングルモード半導体レーザアレイ1、2と、マルチモード半導体レーザ3とを有する。これらシングルモード半導体レーザアレイ1、2とマルチモード半導体レーザ3とは、それぞれ近赤外領域、例えば750nm〜1000nmに発光波長を有し、かつ数Wの高出力を有する。これらシングルモード半導体レーザアレイ1、2とマルチモード半導体レーザ3とは、例えばレーザプリンタ、レーザポインタ、DVDプレーヤ等に既に多数使用されている半導体レーザ(レーザダイオード:LD)と同じような特性、すなわち広がり角度、出力−電流特性、温度特性を有する。これらシングルモード半導体レーザアレイ1、2とマルチモード半導体レーザ3とは、数Wの高出力を有し、供給電流量がアンペアクラスに大きく、発熱量が大きくなるために冷却が必須である。従って、これらシングルモード半導体レーザアレイ1、2とマルチモード半導体レーザ3とは、それぞれ放熱板に固定し、かつ放熱板を強制冷却する。
【0011】
第1のシングルモード半導体レーザアレイ1は、例えば波長λ1(980nm)でS偏光のシングルモードレーザビームL1を出力する。この第1のシングルモード半導体レーザアレイ1は、図2に示すように複数、例えば12個の第1のレーザ発光部(レーザチップ)4を有する。これら第1のレーザ発光部4は、それぞれ活性層の接合面としてのpn接合面5から成り、第1の半導体レーザ光としてのS偏光の複数のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12を出力する。これら第1のレーザ発光部4は、pn接合面5の方向と同一方向にピッチqの等間隔で配置されている。これら第1のレーザ発光部4のピッチqは、例えば125μmである。従って、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されるシングルモードレーザビームL1は、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ出力される1群のシングルモードレーザ光、すなわち複数のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12から成る。
【0012】
シングルモードレーザビームL1のS偏光の偏向方向s1は、pn接合面5の接合面方向と同一方向である。このシングルモードレーザビームL1は、pn接合面5の接合面方向に対して垂直方向の横長形状のビームプロファイルP1を有する。このビームプロファイルP1は、ガウス分布を有する。第1のレーザ発光部4における発光領域は、図2に示すように例えばpn接合面5の接合面方向の長さrと、pn接合面5の方向に対して垂直な方向の幅tとにおいてそれぞれ数μm程度を有する。具体的に第1のレーザ発光部4の発光領域は、pn接合面5の接合面方向の長さrが3μm程度であり、幅tが1μm程度である。
【0013】
第2のシングルモード半導体レーザアレイ2は、例えば波長λ2(830nm)でS偏光のシングルモードレーザビームL2を出力する。この第2のシングルモード半導体レーザアレイ2は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と同様に、図2に示すような複数、例えば12個の第1のレーザ発光部(レーザチップ)4を有する。これら第1のレーザ発光部4は、シングルモード半導体レーザアレイ1における第1のレーザ発光部4と同一構成を有し、それぞれ第1の半導体レーザ光としてのS偏光の複数のシングルモードレーザ光k2−1〜k2−12を出力する。従って、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されるシングルモードレーザビームL2は、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ出力される1群のシングルモードレーザ光、すなわち複数のシングルモードレーザ光k2−1〜k2−12から成る。なお、シングルモードレーザビームL2のS偏光の偏向方向s2は、pn接合面5の接合面方向と同一方向である。このシングルモードレーザビームL2は、pn接合面5の接合面方向に対して垂直方向の横長形状でビームプロファイルP2を有する。
【0014】
マルチモード半導体レーザ3は、例えばλ3(=λ2=波長830nm)でP偏光のマルチモードレーザビームL3を出力する。このマルチモード半導体レーザ3は、図3に示すように1つの第2のレーザ発光部6を有する。この第2のレーザ発光部6は、活性層の接合面としてのpn接合面7から成り、第2の半導体レーザビームとしての単独のP偏光のマルチモードレーザビームL3を出力する。このpn接合面7は、第1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ1、2における各pn接合面5の接合面方向と同一方向に配置される。このマルチモードレーザビームL3のP偏光の偏向方向s3は、pn接合面7の接合面方向と同一方向である。このマルチモードレーザビームL3は、pn接合面7の接合面方向に対して垂直方向の横長形状のビームプロファイルP3を有する。このビームプロファイルP3は、きれいなガウス分布を有しない。レーザ発光部6における発光領域は、図3に示すように例えばpn接合面7の接合面方向の長さuと、この接合面方向の長さuに対して垂直な方向の幅vとにおいてそれぞれ長さを異にする。具体的にレーザ発光部6の発光領域は、接合面の長さuが50〜200μm程度であり、幅vが1μm程度である。なお、マルチモード半導体レーザ3は、マウント8に設けられている。
【0015】
第1のコリメータレンズ(第1の結像レンズ)9が第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されるシングルモードレーザビームL1の進行光路上に設けられている。この第1のコリメータレンズ9は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されたシングルモードレーザビームL1を略平行光速に変換する。
第2のコリメータレンズ(第2の結像レンズ)10が第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されるシングルモードレーザビームL2の進行光路上に設けられている。この第1のコリメータレンズ10は、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されたシングルモードレーザビームL2を略平行光速に変換する。
第3のコリメータレンズ11がマルチモード半導体レーザ3から出力されるマルチモードレーザビームL3の進行光路上に設けられている。この第3のコリメータレンズ11は、マルチモード半導体レーザ3から出力されたマルチモードレーザビームL3を略平行光速に変換する。
【0016】
ダイクロイックプリズム12は、重ね合せ光学系であり、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されるシングルモードレーザビームL1の進行光路上と第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されるシングルモードレーザビームL2の進行光路上との交差位置上に設けられている。このダイクロイックプリズム12は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力される波長λ1(=980nm)のシングルモードレーザビームL1の進行方向を角度90度変えて反射すると共に、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力される波長λ2(=830nm)のシングルモードレーザビームL2を透過し、これらシングルモードレーザビームL1とシングルモードレーザビームL2とを重ね合わせたレーザビームLaを出射する。すなわち、ダイクロイックプリズム12は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されるシングルモードレーザビームL1の各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12と第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されるシングルモードレーザビームL2の各シングルモードレーザ光k2−1〜k2−12とのうちシングルモードレーザ光k1−1とシングルモードレーザ光k2−1とを重ね合せ、シングルモードレーザ光k1−2とシングルモードレーザ光k2−2とを重ね合せ、シングルモードレーザ光k1−3とシングルモードレーザ光k2−3とを重ね合せ、以下同様に、シングルモードレーザ光k1−12とシングルモードレーザ光k2−12とをそれぞれ重ね合わせてレーザビームLaを出射する。
【0017】
偏光ビームスプリッタ13は、偏光部材であり、ダイクロイックプリズム12から出射される重ね合わせのレーザビームLaとマルチモード半導体レーザ3から出力されるマルチモードレーザビームL3との各進行光路の交差位置上に設けられている。この偏光ビームスプリッタ13には、偏光部材としてのλ/4反射板14が設けられている。偏光ビームスプリッタ13には、ダイクロイックプリズム12から出射される重ね合わせのレーザビームLaとマルチモード半導体レーザ3から出力されるマルチモードレーザビームL3とが入射する。この偏光ビームスプリッタ13は、ダイクロイックプリズム12から出射される重ね合わせのレーザビームLaを透過すると共に、マルチモード半導体レーザ3から出力されるマルチモードレーザビームL3を透過し、λ/4反射板14により90度位相回転されて再び入射したマルチモードレーザビームL3を反射し、これにより、マルチモードレーザビームL3のビームプロファイル内及びこのビームプロファイルの両外側に、このビームプロファイルの長手方向に沿って重ね合わせのレーザビームLaを合成する。 具体的にマルチモードレーザビームL3と重ね合わせのレーザビームLaとの合成について説明する。λ/4反射板14は、図4に示すように偏光ビームスプリッタ13におけるマルチモード半導体レーザ3からの単独のマルチモードレーザビームL3が入射する面と対向する面に設けられている。このλ/4反射板14の外側には、反射ミラー15が設けられている。従って、単独のマルチモードレーザビームL3は、偏光ビームスプリッタ13に入射すると、偏光ビームスプリッタ13、λ/4反射板14を透過して反射ミラー15で反射し、再び、λ/4反射板14、偏光ビームスプリッタ13を透過する。これにより、単独のマルチモードレーザビームL3は、λ/4反射板14を2度透過するので、その位相は、90度回転する。そして、偏光ビームスプリッタ13は、90度位相の回転した単独のマルチモードレーザビームL3を反射すると共に、ダイクロイックプリズム12から出射される重ね合わせのレーザビームLaを透過する。この重ね合わせのレーザビームLaは、上記の通りシングルモードレーザビームL1の各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12とシングルモードレーザビームL2の各シングルモードレーザ光k2−1〜k2−12とをそれぞれ重ね合わせて成る。
【0018】
このとき、偏光ビームスプリッタ13は、重ね合わせのレーザビームLaを透過することにより当該レーザビームLaを形成する各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12をそれぞれ円形のビームプロファイルを有する複数のビームスポットに形成する。これと共に、偏光ビームスプリッタ13は、λ/4反射板14により90度位相回転されて戻ってきた単独のマルチモードレーザビームL3を反射することにより横長形状のビームプロファイルに形成する。これにより、偏光ビームスプリッタ13は、単独のマルチモードレーザビームL3のビームプロファイル内にレーザビームLaの各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12を等ピッチで合成し、この合成されたレーザビームLbを出射する。
【0019】
図5はマルチモードレーザビームL3と重ね合わせのレーザビームLaとを合成したビームプロファイルを示す。マルチモードレーザビームL3は、横長形状のビームプロファイルに形成されている。一方、重ね合わせのレーザビームLaは、波長λ1(=980nm)のシングルモードレーザビームL1の各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12と波長λ2(=830nm)のシングルモードレーザビームL2の各シングルモードレーザ光k2−1〜k2−12とをそれぞれ重ね合わせた複数のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12から成る。これらシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12は、それぞれ円形のビームプロファイルに形成されている。そして、各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12のうち例えばシングルモードレーザ光k1−4〜k1−9、k2−4〜k2−9がマルチモードレーザビームL3の横長形状のビームプロファイル内に合成されている。なお、これらシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12は、例えば感熱記録媒体16面上において等ピッチjで合成される。
【0020】
なお、各シングルモード半導体レーザ1、2は、各pn接合面5に平行、垂直のいずれの方向にも数μm程度の複数のレーザ発光部4を有し、各シングルモードレーザビームL1、L2を絞るのが容易であり、例えば略円形状に100μm(1/e2)程度に絞ることができる。一方、マルチモード半導体レーザ3は、pn接合面7に平行な方向にレーザ発光部6の長さが長く、マルチモードレーザビームL3を絞り難い。従って、マルチモード半導体レーザ3は、図1に示すようにマルチモードレーザビームL3の横長形状ビームプロファイルF3の横長方向が熱記録媒体16上での主走査方向Smと一致するようにpn接合面7の方向が配置される。
【0021】
偏向走査機構17は、偏向機として例えばガルバノミラー18と、このガルバノミラー18に対して回転軸19を介して連結され、ガルバノミラー18を矢印g方向に往復繰り返して回転させる回転駆動部20とを有する。この偏向走査機構17は、ガルバノミラー18の矢印g方向への回転により偏光ビームスプリッタ13から出力された合成のレーザビームLbを感熱記録媒体16上に主走査する。ガルバノミラー18の回転軸19は、円形ビームスポットに形成された各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12の偏向方向s1、s2に対して垂直で、かつ90度位相回転されたマルチモードレーザビームL3の偏光方向s3に対して平行な方向に設けられている。これにより、偏向走査機構17は、マルチモードレーザビームL3の偏光方向s3と同一方向、すなわち横長形状ビームプロファイルを有するマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に合成レーザビームLbを主走査する。 走査レンズ21が偏向走査機構17による合成レーザビームLbの主走査方向Smに設けられている。この走査レンズ21は、偏向走査機構17により主走査された合成レーザビームLbを感熱記録媒体16面上に結像する。
【0022】
感熱記録媒体16は、特定温度の加熱制御により発色と消色とを繰り返し、感熱記録、感熱消去を可能とするリライタブルな可逆性の媒体である。この感熱記録媒体16は、図6に示すように融点180℃以上をかけると印字層中に存在する染料と顕色剤とが溶け合った状態になり、この状態から急冷することにより染料と顕色剤とが混ざり合ったまま結晶化して発色する。一方、感熱記録媒体16は、ゆっくり冷却すると、染料と顕色剤とがそれぞれ結晶化するので、発色状態を保てず、消去状態になる。さらに、感熱記録媒体16は、染料と顕色剤との融点以下でもある一定時間の加熱により染料と顕色剤とが徐々に分離して結晶化し、消去状態となる温度域、例えば約130℃〜170℃程度もある。
【0023】
図7は各シングルモードレーザビームL1、L2及びマルチモードレーザビームL3を感熱記録媒体16に照射したときの媒体温度と発色・消色等の関係を示す。感熱記録媒体16は、室温Tr(例えば25℃)から温度T1を超えて加熱し、冷却すると消去するモード(消去領域)となり、温度T1以上の温度T2を超えて加熱し、急冷すると発色する。なお、感熱記録媒体16は、温度T1以下であれば変化しない。
【0024】
しかるに、各シングルモードレーザビームL1、L2は、それぞれ単独で、感熱記録媒体16に照射することにより感熱記録媒体16に対する消去レベル以下のパワー及びビーム径を有する。これにより、各シングルモードレーザビームL1、L2をそれぞれ単独で感熱記録媒体16に照射したときの温度上昇は、温度T1以下であり、感熱記録媒体16に変化はない。
【0025】
一方、マルチモードレーザビームL3は、単独で、感熱記録媒体16に照射することにより感熱記録媒体16に対する記録を不能とし、かつ消去レベルのパワー及びビーム径を有する。これにより、マルチモードレーザビームL3を単独で感熱記録媒体16に照射したときの温度上昇は、温度T1以上でかつ温度T2以下であり、感熱記録媒体16に対する記録を不能とするものの消去領域に温度上昇する。
【0026】
なお、以上の発色、消色の作用は、任意の感熱記録媒体16の搬送スピードにおいて生じる。感熱記録媒体16の搬送スピードが遅くなると、感熱記録媒体16上の単位面積当たりのエネルギー、すなわちレーザビームのパワーと照射時間との積が大きくなるので、例えば各シングルモード半導体レーザ1、2のいずれかのみでも感熱記録媒体16への記録が可能である。
【0027】
各シングルモードレーザビームL1、L2とマルチモードレーザビームL3とを合成した合成レーザビームLbは、感熱記録媒体16に照射することにより感熱記録媒体16の温度上昇を温度T2以上とし、感熱記録媒体16に対する記録を可能とする。
搬送機構22は、感熱記録媒体16を副走査方向Ssに例えば一定の搬送速度で搬送する。副走査方向Ssは、主走査方向Smに対して垂直方向である。
【0028】
ここで、図8を参照して第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されるシングルモードレーザビームL1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されるシングルモードレーザビームL2との重ね合わせの条件について説明する。
第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と第1のコリメータレンズ9との間の距離をa1、第1のコリメータレンズ9とダイクロイックミラー12との間の距離をb1、ダイクロイックミラー12とガルバノミラー18の反射面との間の距離をb2、ガルバノミラー18の反射面と感熱記録媒体16上の結像面との間の距離をb3、第1のコリメータレンズ9の焦点距離をf1としたとき、次式
1/f1=1/a1+1/(b1+b2+b3) …(1)
を満たす。
又、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2と第2のコリメータレンズ10との間の距離をa1’、第2のコリメータレンズ10とダイクロイックミラー12との間の距離をb1’、第2のコリメータレンズ10の焦点距離をf1’としたとき、次式
1/f1’=1/a1’+1/(b1’+b2+b3) …(2)
を満たす。感熱記録媒体16上の結像面上での第1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ1、2の各ピッチqが等しくないと、ダイクロイックミラー12により重ね合わせたレーザビームLaの重ね合せの効果が部分的になるので、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されるシングルモードレーザビームL1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されるシングルモードレーザビームL2が一致して重ね合わさるには、以下の条件に設定する必要がある。
a1=a1’、b1=b1’、f1=f1’ …(3)
次に、上記の如く構成された装置による記録動作について説明する。
第1のシングルモード半導体レーザアレイ1は、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ例えば波長λ1(980nm)でS偏光の複数のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12を出力する。これにより、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1は、複数のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12から成るシングルモードレーザビームL1を出力する。このシングルモードレーザビームL1の各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12は、等ピッチq(=例えば125μm)で、例えば12本出力される。これらシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12のS偏光の偏向方向s1は、それぞれpn接合面5の接合面方向と同一方向で、pn接合面5の接合面方向に対して垂直方向の横長形状のビームプロファイルP1を有する。この第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されたシングルモードレーザビームL1は、第1のコリメータレンズ9を通してダイクロイックミラー12に入射する。
【0029】
第2のシングルモード半導体レーザアレイ2は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と同様に、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ例えば波長λ2(830nm)でS偏光の複数のシングルモードレーザビーム光k2−1〜k2−12を出力する。これにより、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2は、複数のシングルモードレーザ光k2−1〜k2−12から成るシングルモードレーザビームL2を出力する。このとき、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ2とは、略同一タイミングでそれぞれシングルモードレーザビームL1を出力すると共に、シングルモードレーザビームL2を出力する。
【0030】
第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されたシングルモードレーザビームL2の各シングルモードレーザ光k2−1〜k2−12は、等ピッチq(=例えば125μm)で、例えば12本出力される。これらシングルモードレーザ光k2−1〜k2−12のS偏光の偏向方向s2は、pn接合面5の接合面方向と同一方向で、pn接合面5の接合面方向に対して垂直方向の横長形状のビームプロファイルP2を有する。この第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されたシングルモードレーザビームL2は、第2のコリメータレンズ10を通してダイクロイックミラー12に入射する。
【0031】
一方、マルチモード半導体レーザ3は、1つの第2のレーザ発光部6から例えばλ3(=λ2=波長830nm)でP偏光の単独のマルチモードレーザビームL3を出力する。このマルチモードレーザビームL3のP偏光の偏向方向s3は、pn接合面7の接合面方向と同一方向である。このマルチモードレーザビームL3は、pn接合面7の接合面方向に対して垂直方向の横長形状のビームプロファイルP3を有する。このマルチモードレーザビームL3は、第3のコリメータレンズ11を通して偏光ビームスプリッタ13に入射する。
【0032】
ダイクロイックプリズム12は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力される波長λ1(=980nm)のシングルモードレーザビームL1の進行方向を角度90度変えて反射すると共に、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力される波長λ2(=830nm)のシングルモードレーザビームL2を透過し、これらマルチモードレーザビームL1とシングルモードレーザビームL2とを重ね合わせたレーザビームLaを出射する。この場合、ダイクロイックプリズム12は、図2に示すように第1のシングルモード半導体レーザアレイ1における各第1のレーザ発光部4からそれぞれ出力される複数のシングルモードレーザビーム光k1−1〜k1−12と、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2における各第1のレーザ発光部4からそれぞれ出力される複数のシングルモードレーザビーム光k2−1〜k2−12との同士を重ね合わせる。この重ね合わせのレーザビームLaは、図5に示すように各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12から成る。この重ね合わせのレーザビームLaは、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
【0033】
この偏光ビームスプリッタ13において、マルチモードレーザビームL3は、偏光ビームスプリッタ13に入射すると、偏光ビームスプリッタ13、λ/4反射板14を透過して反射ミラー15で反射し、再び、λ/4反射板14、偏光ビームスプリッタ13を透過する。これにより、マルチモードレーザビームL3は、λ/4反射板14を2度透過するので、その位相は、90度回転する。偏光ビームスプリッタ13は、90度位相の回転したマルチモードレーザビームL3を反射すると共に、重ね合わせのレーザビームLaを透過する。
【0034】
このとき、偏光ビームスプリッタ13は、図5に示すように重ね合わせのレーザビームLaを透過することにより当該レーザビームLaを形成する各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12をそれぞれ円形のビームプロファイルを有する複数のビームスポットに形成する。これと共に、偏光ビームスプリッタ13は、λ/4反射板14により90度位相回転されて戻ってきた単独のマルチモードレーザビームL3を反射することにより横長形状のビームプロファイルに形成する。これにより、偏光ビームスプリッタ13は、単独のマルチモードレーザビームL3のビームプロファイル内にレーザビームLaの各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12を等ピッチqで合成し、この合成のレーザビームLbを出射する。
【0035】
なお、マルチモードレーザビームL3の横長形状のビームプロファイル内には、例えば12本のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12のうち例えば6本のレーザビームk1−4〜k1−9、k2−4〜k2−9が重ね合わされ、残りの6本のレーザビームk1−1〜k1−3、k2−1〜k2−3と、k1−10〜k1−12、k2−10〜k2−12とがビームプロファイルの横軸方向に沿ってビームプロファイルの両外側にそれぞれ3本ずつある。マルチモードレーザビームL3の横長形状のビームプロファイルと12本の円形のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12との位置関係は、例えば偏光ビームスプリッタ13を12本のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12の進行方向に沿って移動されることにより変えることが可能である。
【0036】
偏向走査機構17は、回転駆動部20の駆動により回転軸19を介してガルバノミラー18を矢印g方向に連続して往復回転させる。これにより、偏光ビームスプリッタ13から出力された合成レーザビームLbは、感熱記録媒体16上において主走査方向Smに主走査される。この場合、ガルバノミラー18の回転軸19は、円形のビームプロファイルに形成された各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12のS偏光の偏向方向s1、s2に対して垂直で、かつ横長形状ビームプロファイルに形成されたP偏光のマルチモードレーザビームL3の偏光方向s3に対して平行な方向に設けられている。しかるに、合成レーザビームLbは、偏向走査機構17によって各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12のS偏光の偏向方向s1、s2と同一方向、すなわち横長形状ビームプロファイルに形成されたマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査される。
【0037】
偏向走査機構17により主走査された合成レーザビームLbは、走査レンズ21によって感熱記録媒体16面上に結像される。ここで、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と第1のコリメータレンズ9との間の距離a1と、第1のコリメータレンズ9とダイクロイックミラー12との間の距離b1と、第1のコリメータレンズ9の焦点距離f1と、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2と第2のコリメータレンズ10との間の距離a1’と、第2のコリメータレンズ10とダイクロイックミラー12との間の距離b1’と、第2のコリメータレンズ10の焦点距離f1’とは、上記式(3)に示す条件に設定されているので、感熱記録媒体16上の結像面上において、感熱記録媒体16上の結像面上での第1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ1、2の各ピッチqが等しくなり、これら第1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ1、2とは、一致して重ね合わされる。
【0038】
偏向走査機構17により主走査された合成レーザビームLbは、感熱記録媒体16面上に、横長形状ビームプロファイルに形成されたマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査される。これにより、感熱記録媒体16には、先ず、図5に示すように主走査方向に従って重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−12〜k1−10、k2−12〜k2−10が単独で順次感熱記録媒体16面上の同一部分に照射される。重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−12〜k1−10、k2−12〜k2−10が単独で感熱記録媒体16に照射されたときの温度上昇は、図7に示すように温度T1以上でかつ温度T2以下であり、感熱記録媒体16に対する記録を不能とするものの消去領域に温度上昇する。
【0039】
次に、感熱記録媒体16面上には、重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−9〜k1−4、k2−9〜k2−4とマルチモードレーザビームL3との合成された部分が照射される。このうち各シングルモードレーザ光k1−9〜k1−4、k2−9〜k2−4は、単独で順次感熱記録媒体16面上の同一部分に照射される。これらシングルモードレーザ光k1−9〜k1−4、k2−9〜k2−4とマルチモードレーザビームL3との合成された部分が感熱記録媒体16に照射されたときの温度上昇は、温度T2以上となり、感熱記録媒体16に対する記録を可能とする。従って、各シングルモード半導体レーザ1、2は、例えば文字や記号、絵柄等の情報に応じて各シングルモードレーザビームL1、L2の出力を同期してオン・オフすれば、感熱記録媒体16に例えば文字や記号、絵柄等の情報の記録が可能になる。
【0040】
次に、感熱記録媒体16面上には、再び、重ね合わされた各シングルモードレーザビームk1−3〜k1−1、k2−3〜k2−1が単独で順次感熱記録媒体16面上の同一部分に照射される。この結果、感熱記録媒体16面上は、温度T1以上の温度T2を超えて加熱し、急冷することになるので、感熱記録媒体16は、例えば黒色等に発色する。感熱記録媒体16は、黒色に限らず、染色材料によって任意の色に発色可能である。
【0041】
しかるに、偏向走査機構17は、合成レーザビームLbを横長形状ビームプロファイルに形成されたマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査し、かつ搬送機構22は、感熱記録媒体16を副走査方向Ssに例えば一定の搬送速度で搬送するので、感熱記録媒体16の全面に例えば文字や記号、絵柄等の情報が記録される。
【0042】
このように上記第1の実施の形態によれば、第1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ1、2から出力された各シングルモードレーザビームL1、L2をダイクロイックプリズム12により重ね合せ、この重ね合わせのレーザビームLaとマルチモード半導体レーザ2から出力されたマルチモードレーザビームL2とをλ/4反射板14を設けた偏光ビームスプリッタ13によって合成し、この合成レーザビームLbを偏向走査機構17によって感熱記録媒体16面上にマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査する。
【0043】
これにより、リライタブルな感熱記録媒体16に対して各シングルモード半導体レーザ1、2とマルチモード半導体レーザ3とを用いて非接触で熱を与え、1個のマルチモード半導体レーザ3では感熱記録媒体16の消去領域までしか温度を上昇することができない条件であり、かつ他の2個のシングルモード半導体レーザ1、2でもパワーが小さくて単独で感熱記録媒体16に記録できない条件であっても、これらシングルモード半導体レーザ1、2のシングルモードレーザビームL1、L2とマルチモード半導体レーザ3のマルチモードレーザビームL3とを合成することにより感熱記録媒体16上の単位面積当たりのエネルギーを大きくし、感熱記録媒体16に照射したときの温度上昇を感熱記録媒体16に対する記録を可能とする温度に上昇でき、感熱記録媒体16に対する情報の記録ができる。
【0044】
すなわち、感熱記録媒体16には、先ず、図5に示すように各シングルモードレーザ光k1−12〜k1−10、k2−12〜k2−10が単独で順次照射されて感熱記録媒体16に対する記録を不能とするものの消去領域に温度上昇させ、次に、感熱記録媒体16面上に各シングルモードレーザ光k1−9〜k1−4、k2−9〜k2−4とマルチモードレーザビームL3との合成された部分を照射して感熱記録媒体16の温度を記録可能とし、再び、各シングルモードレーザビームk1−3〜k1−1、k2−3〜k2−1を単独で照射することにより感熱記録媒体16面上を温度T1以上の温度T2を超えて加熱、急冷し、感熱記録媒体16を例えば黒色等に発色する。これにより、感熱記録媒体16への高解像度の記録が可能になる。
各シングルモードレーザビームL1、L2を重ね合せることによりレーザビームのパワーを有効利用して感熱記録媒体16に対する感熱記録時のパワー不足を解消し、かつ記録スピードを例えばサーマルヘッドを用いた印刷装置と同程度の印刷スピードに確保でき、記録スピードの高速化を実現できる。
特に、図5に示すように重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12を主走査方向Smに僅かな時間をおいて順次感熱記録媒体16面上の同一部分に照射するので、例えば各シングルモード半導体レーザ1、2の各第1のレーザ発光部(レーザチップ)4の数倍のレーザパワーを活用することができる。これにより、記録スピードの高速化を実現できる。
【0045】
各シングルモード半導体レーザ1、2は、各pn接合面5に平行、垂直のいずれの方向にも数μm程度の複数のレーザ発光部4を有するので、これらレーザ発光部4から出力される各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12を絞るのが容易であるという特徴を有し、情報の記録に用いることができる。一方、マルチモード半導体レーザ3は、pn接合面7に平行な方向の長さが100μm程度の長く、このpn接合面7に平行な方向に走査面上でマルチモードレーザビームL3を絞り難いが、感熱記録媒体16上での主走査方向Smに横長形状ビームプロファイルとして消去用、予熱用として用いることができる。従って、各シングルモード半導体レーザ1、2とマルチモード半導体レーザ3との各特長を有効に利用して感熱記録媒体16に対する情報の記録ができる。
【0046】
又、各シングルモード半導体レーザ1、2とマルチモード半導体レーザ3とを同時にオン・オフ(ON/OFF)することで、オフの領域で感熱記録媒体16に元々記録されていた情報を消去せずに、オンの領域のみ情報の書き換えを可能とする情報記録が可能になる。
第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力される波長λ1(980nm)のシングルモードレーザビームL1と、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力される波長λ2(830nm)のシングルモードレーザビームL2と、マルチモード半導体レーザ3から出力される波長λ3(830nm)のマルチモードレーザビームL3とのように偏光方向や波長の違いを利用して各レーザビームL1、L2、L3を重ね合せるので、感熱記録媒体16に対する感熱記録時のパワー不足を解消でき、単独の波長のレーザビームでは記録できない条件であっても感熱記録媒体16への記録が可能である。
【0047】
以上の結果、感熱記録媒体16に対する非接触による情報記録により感熱記録媒体16の寿命を大幅に長くすることができ、従来のような記録時にサーマルヘッドが感熱記録媒体16に接触することによる記録品質の劣化を無くすことができる。又、レーザ書き込み型方式による従来の問題点であったレーザビームのエネルギー不足を解消できる。
【0048】
一方、上記第1の実施の形態の装置を複数設け、図5に示すような合成レーザビームLbを複数作成する。そして、これら複数の合成のレーザビームLbをマルチモードレーザビームL3の横長形状のビームプロファイルの長手方向に沿って1列に並べ、これら複数の合成レーザビームLbを主走査方向Smに走査する。これにより、感熱記録媒体16上には、複数の合成レーザビームLbが短時間の間隔で走査されるので、感熱記録媒体16上への情報記録のスピード化をさらにアップできる。なお、複数の合成レーザビームLbは、マルチモードレーザビームL3の横長形状のビームプロファイルの長手方向に沿って1列に並べるに限らず、同方向に複数列、例えば2列に並べてもよい。これにより、走査ラインが2本となって情報記録のスピード化が実現できる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図9は非接触光書き込み装置の構成図を示す。本装置は、上記第1の実施の形態に対して第3のシングルモード半導体レーザアレイ30を追加し、4波を合成する。この第3のシングルモード半導体レーザアレイ30は、例えば波長λ4(905nm)でS偏光のシングルモードレーザビームL4を出力する。この第3のシングルモード半導体レーザアレイ30は、上記図2と同様に、複数、例えば12個の第1のレーザ発光部4を有する。これら第1のレーザ発光部4は、それぞれ活性層の接合面としてのpn接合面5から成り、第3の半導体レーザビームとしてのS偏光の複数のシングルモードレーザ光k4−1〜k4−12を出力する。これら第1のレーザ発光部4は、pn接合面5の方向と同一方向にピッチqの等間隔で配置されている。これら第1のレーザ発光部4のピッチqは、例えば125μmである。従って、第3のシングルモード半導体レーザアレイ30から出力されるシングルモードレーザビームL4は、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ出力される複数のシングルモードレーザ光k4−1〜k4−12から成る。
【0050】
第3のシングルモードレーザビームL4のS偏光の偏向方向s4は、pn接合面5の接合面方向と同一方向である。この第3のシングルモードレーザビームL4は、pn接合面5の接合面方向に対して垂直方向の横長形状のビームプロファイルP4を有する。このビームプロファイルP4は、ガウス分布を有する。第1のレーザ発光部4における発光領域は、上記図2と同様に、例えばpn接合面5の接合面方向の長さrと、pn接合面5の方向に対して垂直な方向の幅tとにおいてそれぞれ数μm程度を有する。具体的に第1のレーザ発光部4の発光領域は、pn接合面5の接合面方向の長さrが3μm程度であり、幅tが1μm程度である。
【0051】
第4のコリメータレンズ(第4の結像レンズ)30が第3のシングルモード半導体レーザアレイ30から出力される第3のシングルモードレーザビームL4の進行光路上に設けられている。この第4のコリメータレンズ30は、第3のシングルモード半導体レーザ30から出力された第3のシングルモードレーザビームL4を略平行光速に変換する。
【0052】
第2のダイクロイックプリズム32は、ダイクロイックプリズム12から出力される波長λ1(=980nm)と波長λ2(=830nm)との各シングルモードレーザビームL1、L2の重ね合わせのレーザビームLaを入射すると共に、第3のシングルモード半導体レーザアレイ30から出力される波長λ4(905nm)のシングルモードレーザビームL4を入射する。この第2のダイクロイックプリズム32は、重ね合わせのレーザビームLaを透過すると共に、第3のシングルモードレーザビームL4の進行方向を角度90度変えて反射し、これら重ね合わせのレーザビームLaと第3のシングルモードレーザビームL4とを重ね合わせたレーザビームLcを出力する。なお、ダイクロイックプリズム12を以下第1のダイクロイックプリズム12と称する。
【0053】
ここで、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1における第1のレーザ発光部4のピッチqを例えばq11とし、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2における第1のレーザ発光部4のピッチqを例えばq12とし、第3のシングルモード半導体レーザアレイ30における第1のレーザ発光部4のピッチqを例えばq14とする。又、第1のコリメータレンズ9の焦点距離をf1、第2のコリメータレンズ10の焦点距離をf1’、第4のコリメータレンズ30の焦点距離をf1”とする。これら第1のコリメータレンズ9の焦点距離f1と、第2のコリメータレンズ10の焦点距離f1’と、第4のコリメータレンズ30の焦点距離f1”とは、等しく取り、
f1=f1’=f1” …(4)
とする。さらに、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1における第1のレーザ発光部4のピッチq11と、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2における第1のレーザ発光部4のピッチq12と、第3のシングルモード半導体レーザアレイ30における第1のレーザ発光部4のピッチq14との関係を
q11=q12=q14 …(5)
とする。
【0054】
これにより、感熱記録媒体16上の結像面における第1と第2と第3のシングルモード半導体レーザアレイ1、2、30から出力される各シングルモードレーザビームL1、L2、L4における各シングルモードレーザ光の各ピッチjが等しくなる。なお、これを実現するために簡単化した調整は、例えばf1=f1’=f1”、q11=q12=q14に調整することである。
【0055】
次に、上記の如く構成された装置による記録動作について説明する。
第1のシングルモード半導体レーザアレイ1は、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ例えば波長λ1(980nm)でS偏光の複数のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12を等ピッチq(=例えば125μm)で、例えば12本出力する。これにより、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1は、複数のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12から成るシングルモードレーザビームL1を出力する。このシングルモードレーザビームL1のS偏光の偏向方向s1は、pn接合面5の接合面方向と同一方向で、pn接合面5の接合面方向に対して垂直方向の横長形状のビームプロファイルP1を有する。このシングルモードレーザビームL1は、第1のコリメータレンズ9を通して第1のダイクロイックミラー12に入射する。
【0056】
第2のシングルモード半導体レーザアレイ2は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と同様に、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ例えば波長λ2(830nm)でS偏光の複数のシングルモードレーザ光k2−1〜k2−12を出力する。これにより、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2は、複数のシングルモードレーザ光k2−1〜k2−12から成るシングルモードレーザビームL2を出力する。このシングルモードレーザビームL2は、第2のコリメータレンズ10を通して第1のダイクロイックミラー12に入射する。
このとき、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ2とは、略同一タイミングでそれぞれ複数のシングルモードレーザビームL1を出力すると共に、複数のシングルモードレーザビームL2を出力する。
【0057】
第3のシングルモード半導体レーザアレイ30は、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ例えば波長λ1(905nm)でS偏光の複数のシングルモードレーザ光k4−1〜k4−12を等ピッチq(=例えば125μm)で、例えば12本出力する。これにより、第3のシングルモード半導体レーザアレイ30は、複数のシングルモードレーザ光k4−1〜k4−12から成るシングルモードレーザビームL4を出力する。このシングルモードレーザビームL4のS偏光の偏向方向s4は、pn接合面5の接合面方向と同一方向で、pn接合面5の接合面方向に対して垂直方向の横長形状のビームプロファイルP4を有する。このシングルモードレーザビームL4は、第4のコリメータレンズ31を通してダイクロイックミラー32に入射する。この第3のシングルモード半導体レーザアレイ30も第1及び第2のシングルモード半導体レーザアレイ1、2と略同一タイミングで複数のシングルモードレーザビームL4を出力する。
【0058】
一方、マルチモード半導体レーザ3は、1つの第2のレーザ発光部6から例えばλ3(=λ2=波長830nm)でP偏光のマルチモードレーザビームL3を出力する。このマルチモードレーザビームL3は、第3のコリメータレンズ11を通して偏光ビームスプリッタ13に入射する。
第1のダイクロイックプリズム12は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力される波長λ1(=980nm)のシングルモードレーザビームL1の進行方向を角度90度変えて反射すると共に、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力される波長λ2(=830nm)のシングルモードレーザビームL2を透過し、これらマルチモードレーザビームL1とシングルモードレーザビームL2とを重ね合わせたレーザビームLaを出射する。この重ね合わせのレーザビームLaは、第2のダイクロイックプリズム32に入射する。
【0059】
この第2のダイクロイックプリズム32は、第1のダイクロイックプリズム12から出力される波長λ1(=980nm)と波長λ2(=830nm)とのシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12を重ね合わせたレーザビームLaを入射すると共に、第3のシングルモード半導体レーザアレイ30から出力される波長λ4(905nm)の複数のシングルモードレーザ光k4−1〜k4−12から成るシングルモードレーザビームL4を入射する。この第2のダイクロイックプリズム32は、重ね合わせのレーザビームLaを透過すると共に、第3のシングルモードレーザビームL4の進行方向を角度90度変えて反射し、これら重ね合わせのレーザビームLaと第3のシングルモードレーザビームL4とを重ね合わせたレーザビームLcを出力する。この重ね合わせのレーザビームLcは、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
【0060】
この偏光ビームスプリッタ13において、マルチモードレーザビームL3は、上記同様に、偏光ビームスプリッタ13に入射すると、偏光ビームスプリッタ13、λ/4反射板14を透過して反射ミラー15で反射し、再び、λ/4反射板14、偏光ビームスプリッタ13を透過する。これにより、マルチモードレーザビームL3は、λ/4反射板14を2度透過するので、その位相は、90度回転する。偏光ビームスプリッタ13は、90度位相の回転したマルチモードレーザビームL3を反射すると共に、重ね合わせのレーザビームLcを透過する。
【0061】
このとき、偏光ビームスプリッタ13は、図10に示すように重ね合わせのレーザビームLcを透過することにより当該レーザビームLcを形成する各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12、k4−1〜k4−12をそれぞれ円形のビームプロファイルを有する複数のビームスポットに形成する。これと共に、偏光ビームスプリッタ13は、λ/4反射板14により90度位相回転されて戻ってきた単独のマルチモードレーザビームL3を反射することにより横長形状のビームプロファイルに形成する。これにより、偏光ビームスプリッタ13は、単独のマルチモードレーザビームL3のビームプロファイルに対してレーザビームLcの各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12、k4−1〜k4−12を等ピッチjで合成し、この合成のレーザビームLdを出射する。
【0062】
偏向走査機構17は、回転駆動部20の駆動により回転軸19を介してガルバノミラー18を矢印g方向に連続して往復回転させる。これにより、偏光ビームスプリッタ13から出力された合成レーザビームLcは、感熱記録媒体16上において主走査方向Smに主走査される。この合成レーザビームLcは、偏向走査機構17によって各シングルモードレーザビームL1、L2、L4のS偏光の偏向方向s1、s2、s4と同一方向、すなわち横長形状ビームプロファイルに形成されたマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査される。この合成レーザビームLcは、走査レンズ21によって感熱記録媒体16面上に結像される。
【0063】
これにより、感熱記録媒体16には、先ず、図10に示すように主走査方向に従って重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−12〜k1−10、k2−12〜k2−10、k4−12〜k4−10が単独で順次感熱記録媒体16面上の同一部分に照射される。重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−12〜k1−10、k2−12〜k2−10、k4−12〜k4−10が単独で感熱記録媒体16に照射されたときの温度上昇は、図7に示すように温度T1以上でかつ温度T2以下であり、感熱記録媒体16に対する記録を不能とするものの消去領域に温度上昇する。
【0064】
次に、感熱記録媒体16面上には、重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−9〜k1−4、k2−9〜k2−4、k4−9〜k4−4とマルチモードレーザビームL3との合成された部分が照射される。このうち各シングルモードレーザ光k1−9〜k1−4、k2−9〜k2−4、k4−9〜k4−4は、感熱記録媒体16面上の同一部分に照射される。これらシングルモードレーザ光k1−9〜k1−4、k2−9〜k2−4、k4−9〜k4−4とマルチモードレーザビームL3との合成された部分が感熱記録媒体16に照射されたときの温度上昇は、温度T2以上となり、感熱記録媒体16に対する記録を可能とする。従って、各シングルモード半導体レーザ1、2は、例えば文字や記号、絵柄等の情報に応じて各シングルモードレーザビームL1、L2の出力を同期してオン・オフすれば、感熱記録媒体16に例えば文字や記号、絵柄等の情報の記録が可能になる。
【0065】
次に、感熱記録媒体16面上には、再び、重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−3、k2−1〜k2−3、k4−1〜k4−3が単独で順次感熱記録媒体16面上の同一部分に照射される。この結果、感熱記録媒体16面上は、温度T1以上の温度T2を超えて加熱し、急冷することになるので、感熱記録媒体16は、例えば黒色等に発色する。感熱記録媒体16は、黒色に限らず、染色材料によって任意の色に発色可能である。
【0066】
しかるに、偏向走査機構17は、合成レーザビームLcを横長形状ビームプロファイルに形成されたマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査し、かつ搬送機構22は、感熱記録媒体16を副走査方向Ssに例えば一定の搬送速度で搬送するので、感熱記録媒体16の全面に例えば文字や記号、絵柄等の情報が記録される。
【0067】
このように上記第2の実施の形態によれば、第1と第2と第4のシングルモード半導体レーザアレイ1、2、30から出力された各シングルモードレーザビームL1、L2、L4を第1及び第2のダイクロイックプリズム12、32を用いて重ね合せ、この重ね合わせたレーザビームLcとマルチモード半導体レーザ2から出力されたマルチモードレーザビームL2とをλ/4反射板14を設けた偏光ビームスプリッタ13によって合成し、この合成レーザビームLdを偏向走査機構17によって感熱記録媒体16面上にマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査する。これにより、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができると共に、第1と第2と第4のシングルモード半導体レーザアレイ1、2、30から出力される各シングルモードレーザビームL1、L2、L4の個々のエネルギーが小さくても、感熱記録媒体16に情報を記録するためのエネルギーを満足できる。
【0068】
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図9と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
ここでは、図9に示す装置において、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されるシングルモードレーザビームL1と、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されるシングルモードレーザビームL2と、第4のシングルモード半導体レーザアレイ30から出力されるシングルモードレーザビームL4との重ね合わせの条件について図11を参照して説明する。
【0069】
ここで、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と第1のコリメータレンズ9との間の距離をa1、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2と第2のコリメータレンズ10との間の距離をa1’、第3のシングルモード半導体レーザアレイ30と第3のコリメータレンズ31との間の距離をa1”、とする。又、第1のコリメータレンズ9の焦点距離をf1、第2のコリメータレンズ10の焦点距離をf1’、第3のコリメータレンズ31の焦点距離をf1”とする。
第1のシングルモード半導体レーザアレイ1における第1のレーザ発光部4のピッチqを例えばq11とし、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2における第1のレーザ発光部4のピッチqを例えばq12とし、第3のシングルモード半導体レーザアレイ30における第1のレーザ発光部4のピッチqを例えばq14とする。
【0070】
又、第1のコリメータレンズ9とダイクロイックミラー12との間の距離をb1、第2のコリメータレンズ10と第1のダイクロイックミラー12との間の距離をb1’、第3のコリメータレンズ31と第1のダイクロイックミラー32との間の距離をb1”とする。
第1のダイクロイックミラー12とガルバノミラー18の反射面との間の距離をb2、第2のダイクロイックミラー32とガルバノミラー18の反射面との間の距離をb2”、ガルバノミラー18の反射面と感熱記録媒体16上の結像面との間の距離をb3とする。
【0071】
第1乃至第3のコリメータレンズ9、10、31の各焦点距離をf1、f1’、f1”と、第1乃至第3のシングルモード半導体レーザアレイ1、2、30と第1乃至第3のコリメータレンズ9、10、31との間の各距離a1、a1’、a1”、と、第1乃至第3のコリメータレンズ9、10、31と感熱記録媒体16上の結像面との間の各距離(b1+b2+b3)、(b1’+b2+b3)、(b1”+b2”+b3)との間には、以下の関係が成り立つ。
1/f=1/a1+1/(b1+b2+b3) …(6)
1/f’=1/a1’+1/(b1’+b2+b3) …(7)
1/f”=1/a1”+1/(b1”+b2”+b3) …(8)
ここで、重要なのは、感熱記録媒体16上の結像面上で第1乃至第3のシングルモード半導体レーザアレイ1、2、30における複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ出力された各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12、k4−1〜k4−12がそれぞれ互いに重なり合うことである。
【0072】
このためには、第1乃至第3のシングルモード半導体レーザアレイ1、2、30の発光点の各ピッチq11、q12、q14を揃え、次に、第1乃至第3のコリメータレンズ9、10、31の各焦点距離f1、f1’、f1”を揃え、第1乃至第3のシングルモード半導体レーザアレイ1、2、30と第1乃至第3のコリメータレンズ9、10、31との間の各距離a1、a1’、a1”、を揃え、第1乃至第3のコリメータレンズ9、10、31と感熱記録媒体16上の結像面との間の各距離(b1+b2+b3)、(b1’+b2+b3)、(b1”+b2”+b3)を揃え、各倍率m1=a1/(b1+b2+b3)、m2=a1’/(b1’+b2+b3)、m3=a1”/(b1”+b2”+b3)を揃える。すなわち、
q11=q12=q14
f1=f1’=f1”
a1=a1’=a1”
(b1+b2+b3)=(b1’+b2+b3)=(b1”+b2”+b3)
m1=a1/(b1+b2+b3) = m2=a1’/(b1’+b2+b3)
=m3=a1”/(b1”+b2”+b3)
である。これにより、q11=q12=q14にすることができる。第1のシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されるシングルモードレーザビームL1と、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されるシングルモードレーザビームL2と、第4のシングルモード半導体レーザアレイ30から出力されるシングルモードレーザビームL4とを重ね合わせることができる。
【0073】
次に、本発明の第4の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図12は非接触光書き込み装置の構成図を示す。ビーム位置調整機構40は、例えばシングルモード半導体レーザアレイ1の配置位置を当該シングルモード半導体レーザアレイ1に形成されている複数の第1のレーザ発光部4の配列方向、すなわちシングルモード半導体レーザアレイ1から出力されるシングルモードレーザビームL1のS偏光の偏向方向s1と同一方向(矢印H方向)にシフトする。このシングルモード半導体レーザアレイ1のシフト距離は、感熱記録媒体16上に照射されるシングルモードレーザビームL1を形成する各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12が当該各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12の各ピッチjの2分の1移動する距離に対応する。
【0074】
図13はビーム位置調整機構40によりシングルモード半導体レーザアレイ1を移動したときの各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12の感熱記録媒体16上での移動例を示す。各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12は、主走査方向Smと同一方向に各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12間の各ピッチjの2分の1シフトする。ここで、各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12の円形のビームスポット径がピッチjと同一であれば、各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12は、各シングルモードレーザ光k2−1〜k2−12間にそれぞれシフトし、各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12の各ピッチj間の隙間が埋まる。
【0075】
なお、ビーム位置調整機構40は、シングルモード半導体レーザアレイ1を移動するに限らず、シングルモード半導体レーザアレイ2の配置位置を当該シングルモード半導体レーザアレイ2に形成されている複数の第1のレーザ発光部4の配列方向すなわちシングルモード半導体レーザアレイ2から出力されるシングルモードレーザビームL2のS偏光の偏向方向s2と同一方向に移動してもよい。
【0076】
次に、上記の如く構成された装置による記録動作について説明する。
ビーム位置調整機構40は、感熱記録媒体16上に照射されるシングルモードレーザビームL1を形成する各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12が主走査方向Smと同一方向に当該各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12の各ピッチjの2分の1シフトするように例えばシングルモード半導体レーザアレイ1の配置位置をシングルモードレーザビームL1のS偏光の偏向方向s1と同一方向(矢印H方向)に移動する。
【0077】
この状態で、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1は、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ発光される例えば波長λ1(980nm)でS偏光の複数のシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12から成るシングルモードレーザビームL1を出力する。このシングルモードレーザビームL1は、第1のコリメータレンズ9を通して第1のダイクロイックミラー12に入射する。
第2のシングルモード半導体レーザアレイ2は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と同様に、複数の第1のレーザ発光部4からそれぞれ発光される例えば波長λ2(830nm)でS偏光の複数のシングルモードレーザ光k2−1〜k2−12から成るシングルモードレーザビームL2を出力する。このシングルモードレーザビームL2は、第2のコリメータレンズ10を通して第1のダイクロイックミラー12に入射する。
このとき、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ2とは、略同一タイミングでそれぞれ複数のシングルモードレーザビームL1を出力すると共に、複数のシングルモードレーザビームL2を出力する。
【0078】
一方、マルチモード半導体レーザ3は、1つの第2のレーザ発光部6から例えばλ3(=λ2=波長830nm)でP偏光の単独のマルチモードレーザビームL3を出力する。このマルチモードレーザビームL3は、第3のコリメータレンズ11を通して偏光ビームスプリッタ13に入射する。
【0079】
ダイクロイックプリズム12は、第1のシングルモード半導体レーザアレイ1における各第1のレーザ発光部4からそれぞれ出力される複数のシングルモードレーザビーム光k1−1〜k1−12と、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2における各第1のレーザ発光部4からそれぞれ出力される複数のシングルモードレーザビーム光k2−1〜k2−12とを重ね合わせ、この重ね合わせたレーザビームLaを出射する。この重ね合わせのレーザビームLaは、偏光ビームスプリッタ13に入射する。これらシングルモードレーザビーム光k1−1〜k1−12と各シングルモードレーザビーム光k2−1〜k2−12とを重ね合わせるとき、シングルモード半導体レーザアレイ1の配置位置は、感熱記録媒体16上に照射される各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12が当該各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12の各ピッチjの2分の1シフトする距離に対応する距離だけ各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12のS偏光の偏向方向s1と同一方向(矢印H方向)に移動しているので、各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12は、各シングルモードレーザ光k2−1〜k2−12間にそれぞれシフトする。すなわち、各シングルモードレーザ光は、k2−1、k1−1、k2−2、k1−2、…、k2−12、k1−12に配列される。
【0080】
偏光ビームスプリッタ13は、上記同様に、マルチモードレーザビームL3の位相を90度回転し、この90度位相の回転したマルチモードレーザビームL3を反射すると共に、重ね合わせのレーザビームLaを透過する。このとき、偏光ビームスプリッタ13は、重ね合わせのレーザビームLaを透過することにより当該レーザビームLaを形成する各シングルモードレーザ光k2−1、k1−1、k2−2、k1−2、…、k2−12、k1−12をそれぞれ円形のビームプロファイルを有する複数のビームスポットに形成すると共に、90度位相回転されて戻ってきた単独のマルチモードレーザビームL3を反射することにより横長形状のビームプロファイルに形成する。
【0081】
これにより、偏光ビームスプリッタ13は、単独のマルチモードレーザビームL3のビームプロファイル内にレーザビームLaの各シングルモードレーザ光k2−1、k1−1、k2−2、k1−2、…、k2−12、k1−12を等ピッチq/2で合成し、この合成のレーザビームLbを出射する。なお、マルチモードレーザビームL3の横長形状のビームプロファイル内には、例えば11本のレーザビームk2−4、k1−4、k2−5、…、k1−8、k2−9が重ね合わされ、残りの13本のレーザビームk2−1、k1−1、k2−2、…、k1−3と、k1−9、k2−10、k1−10、…、k1−12とがビームプロファイルの横軸方向に沿ってビームプロファイルの両外側にそれぞれ存在する。
【0082】
偏向走査機構17は、ガルバノミラー18を矢印g方向に連続して往復回転させ、偏光ビームスプリッタ13から出力された合成レーザビームLbを感熱記録媒体16上において主走査方向Smに主走査する。これにより、感熱記録媒体16には、先ず、図13に示すように主走査方向に従って重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−12、k2−12、k1−11…、k1−9が単独で順次感熱記録媒体16面上の同一部分に照射される。これら各シングルモードレーザ光k1−12、k2−12、k1−11…、k1−9が単独で感熱記録媒体16に照射されたときの温度上昇は、図7に示すように温度T1以上でかつ温度T2以下であり、感熱記録媒体16に対する記録を不能とするものの消去領域に温度上昇する。
【0083】
次に、感熱記録媒体16面上には、各シングルモードレーザ光k2−9、k1−8、k2−8、…、k2−4とマルチモードレーザビームL3との合成された部分が照射される。これらシングルモードレーザ光k2−9、k1−8、k2−8、…、k2−4とマルチモードレーザビームL3との合成された部分が感熱記録媒体16に照射されたときの温度上昇は、温度T2以上となり、感熱記録媒体16に対する記録を可能とする。従って、各シングルモード半導体レーザ1、2は、例えば文字や記号、絵柄等の情報に応じて各シングルモードレーザビームL1、L2の出力を同期してオン・オフすれば、感熱記録媒体16に例えば文字や記号、絵柄等の情報の記録が可能になる。
【0084】
次に、感熱記録媒体16面上には、再び、各シングルモードレーザビームk1−3、k2−3、k1−2、…、k2−1が単独で順次感熱記録媒体16面上の同一部分に照射される。この結果、感熱記録媒体16面上は、温度T1以上の温度T2を超えて加熱し、急冷することになるので、感熱記録媒体16は、例えば黒色等に発色する。感熱記録媒体16は、黒色に限らず、染色材料によって任意の色に発色可能である。
【0085】
しかるに、偏向走査機構17は、合成レーザビームLbを横長形状ビームプロファイルに形成されたマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査し、かつ搬送機構22は、感熱記録媒体16を副走査方向Ssに例えば一定の搬送速度で搬送するので、感熱記録媒体16の全面に例えば文字や記号、絵柄等の情報が記録される。
【0086】
このように上記第4の実施の形態によれば、シングルモード半導体レーザアレイ1の配置位置をシングルモードレーザビームL1のS偏光の偏向方向s1と同一方向(矢印H方向)に移動することにより、各シングルモードレーザ光k2−1、k1−1、k2−2、k1−2、…、k2−12、k1−12に配列された重ね合わせのレーザビームLaを形成し、この重ね合わせのレーザビームLaとマルチモード半導体レーザ2から出力されたマルチモードレーザビームL2とをλ/4反射板14を設けた偏光ビームスプリッタ13によって合成し、この合成レーザビームLbを偏向走査機構17によって感熱記録媒体16面上にマルチモードレーザビームL3の横長方向と同一方向に主走査するので、上記第1の実施の形態の効果と同様の効果を奏することができる。
【0087】
なお、上記第4の実施の形態は、次のように変形してもよい。第1のシングルモード半導体レーザアレイ1は、波長λ1(980nm)のシングルモードレーザビームL1を出力し、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2は、波長λ2(830nm)のシングルモードレーザビームL2を出力しているが、これに限らず、第1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ1、2は、それぞれ同一波長、例えば980nm、830nm又は905nmであってもよいし、又はこれら波長980nm、830nm又は905nmのうち2波長を組み合わせてもよい。さらに、第1と第2のシングルモード半導体レーザアレイ1、2は、他の任意の波長を用いてもよい。
【0088】
又、シングルモードレーザビームL1とシングルモードレーザビームL2との重ね合わせは、ダイクロイックプリズム12を用いているが、これに限らず、例えば図14に示すように偏光ビームスプリッタ41を用いてもよい。この偏光ビームスプリッタ41には、λ/4反射板42が設けられている。このλ/4反射板42は、偏光ビームスプリッタ13における第1のシングルモード半導体レーザアレイ1からのシングルモードレーザビームL1が入射する面と対向する面に設けられている。このλ/4反射板42の外側には、反射ミラー43が設けられている。
従って、シングルモードレーザビームL1は、偏光ビームスプリッタ41に入射すると、この偏光ビームスプリッタ41、λ/4反射板42を透過して反射ミラー43で反射し、再び、λ/4反射板42、偏光ビームスプリッタ41を透過する。これにより、シングルモードレーザビームL1は、λ/4反射板42を2度透過するので、その位相は、90度回転する。そして、偏光ビームスプリッタ41は、90度位相の回転したシングルモードレーザビームL1を反射すると共に、第2のシングルモード半導体レーザアレイ2からのシングルモードレーザビームL1を透過する。
【0089】
このとき、シングルモード半導体レーザアレイ1の配置位置は、感熱記録媒体16上に照射される各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12が当該各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12の各ピッチjの2分の1シフトする距離に対応する距離だけ各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12のS偏光の偏向方向s1と同一方向(矢印H方向)に移動していれば、各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12は、各シングルモードレーザ光k2−1〜k2−12間にそれぞれシフトし、各シングルモードレーザ光は、k2−1、k1−1、k2−2、k1−2、…、k2−12、k1−12に配列された重ね合わせのレーザビームLaが形成される。
【0090】
又、各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12は、感熱記録媒体16上において各ピッチjの2分の1シフトさせているが、これに限らず、任意の距離、例えば各ピッチjの3分の1、4分の1等だけシフトさせてもよい。これにより、各シングルモードレーザビーム光k1−1〜k1−12と各シングルモードレーザビーム光k2−1〜k2−12とは、それぞれその一部分が重なり合う。
【0091】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
上記第1乃至第4の実施の形態では、2つ又は3つのシングルモードレーザビームL1、L2、L4と、1つのマルチモードレーザビームL3とを用いているが、これに限らず、1つのシングルモードレーザビームL1と1つのマルチモードレーザビームL3とを用いたり、4以上のシングルモードレーザビームLnと1つのマルチモードレーザビームL3とを用いてもよい。
第1乃至第4のシングルモード半導体レーザアレイ1、2、30は、それぞれマルチモード半導体レーザアレイとし、マルチモード半導体レーザ3は、シングルモード半導体レーザとしてもよい。
合成のレーザビームLb、Ldは、それぞれ図1及び図9に示すように横長形状ビームプロファイルF3の横長方向と同一方向に主走査されるが、これに限らず、横長形状ビームプロファイルF3の横長方向に対して垂直方向に走査してもよい。
【0092】
又、例えば、重ね合わせのレーザビームLaとマルチモードレーザビームL2とをλ/4反射板14を設けた偏光ビームスプリッタ13によって合成する場合、重ね合わせのレーザビームLaを形成する例えば各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12は、これらシングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12の全てをマルチモードレーザビームL3の横長形状のビームプロファイル内に合成してもよい。
又、各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12、k2−1〜k2−12とマルチモードレーザビームL3との合成位置は、例えば重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−12〜k1−7、k2−12〜k2−7を単独にし、各シングルモードレーザ光k1−6〜k1−1、k2−6〜k2−1をマルチモードレーザビームL3上に合成してもよい。これにより、感熱記録媒体16には、先ず、主走査方向に従って重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−12〜k1−7、k2−12〜k2−7が単独で順次感熱記録媒体16面上の同一部分に照射される。これら重ね合わされたシングルモードレーザ光k1−12〜k1−7、k2−12〜k2−7が単独で感熱記録媒体16に照射されたときの温度上昇は、図7に示すように温度T1以上でかつ温度T2以下であり、感熱記録媒体16に対する記録を不能とするものの消去領域に温度上昇する。
【0093】
次に、感熱記録媒体16面上には、重ね合わされた各シングルモードレーザ光k1−6〜k1−1、k2−6〜k2−1とマルチモードレーザビームL3との合成された部分が照射される。これにより、各シングルモードレーザ光k1−6〜k1−1、k2−6〜k2−1とマルチモードレーザビームL3との合成された部分が感熱記録媒体16に照射されたときの温度上昇は、温度T2以上となり、感熱記録媒体16に対する記録が可能になる。
【0094】
各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12は、ビーム位置調整機構40によりシングルモード半導体レーザアレイ1を移動させて当該各シングルモードレーザ光k1−1〜k1−12のS偏光の偏向方向s1と同一方向(矢印H方向)にシフトしているが、これに限らず、例えばミラー等の光学部材を用いてシフトさせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明に係る非接触光書き込み装置の第1の実施の形態を示す構成図。
【図2】同装置における第1と第2のシングルモード半導体レーザアレイにおける複数のレーザ発光部のpn接合面を示す図。
【図3】同装置におけるマルチモード半導体レーザのレーザ発光部のpn接合面を示す図。
【図4】同装置におけるλ/4反射板を設けた偏光ビームスプリッタによるマルチモードレーザビームのビームプロファイル内への複数の重ね合わせのシングルモードレーザビームの合成作用を示す図。
【図5】同装置におけるマルチモードレーザビームの横長形状のビームプロファイル内に複数の重ね合わせのレーザビームの円形ビームスポットを合成したビームプロファイルを示す図。
【図6】同装置に用いられる感熱記録媒体の特性図。
【図7】同装置に用いられる感熱記録媒体シングルモードレーザビーム及びマルチモードレーザビームを照射したときの媒体温度と発色・消色等の関係を示す図。
【図8】同装置における各シングルモードレーザビームとの重ね合わせの条件を説明するための図。
【図9】本発明に係る非接触光書き込み装置の第2の実施の形態を示す構成図。
【図10】同装置におけるマルチモードレーザビームの横長形状のビームプロファイル内に複数の重ね合わせのレーザビームの円形ビームスポットを合成したビームプロファイルを示す図。
【図11】本発明に係る非接触光書き込み装置の第3の実施の形態における各シングルモードレーザビームとの重ね合わせの条件を説明するための図。
【図12】本発明に係る非接触光書き込み装置の第4の実施の形態を示す構成図。
【図13】同装置におけるビーム位置調整機構によるシングルモード半導体レーザアレイを移動したときの各シングルモードレーザ光の移動例を示す図。
【図14】同装置における各シングルモードレーザビームの重ね合わせの変形例を示す構成図。
【符号の説明】
【0096】
1,2:シングルモード半導体レーザアレイ、3:マルチモード半導体レーザ、4:第1のレーザ発光部、5:pn接合面、6:第2のレーザ発光部、7:pn接合面、8:マウント、9:第1のコリメータレンズ(第1の結像レンズ)、10:第2のコリメータレンズ(第2の結像レンズ)、11:第3のコリメータレンズ、12:ダイクロイックプリズム、13:偏光ビームスプリッタ、14:λ/4反射板、15:反射ミラー、16:熱記録媒体、17:偏向走査機構、18:ガルバノミラー、19:回転軸、20:回転駆動部、21:走査レンズ、22:搬送機構、30:第3のシングルモード半導体レーザアレイ、31:第4のコリメータレンズ(第4の結像レンズ)、32:ダイクロイックプリズム、40:ビーム位置調整機構、41:偏光ビームスプリッタ、42:λ/4反射板、43:反射ミラー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも感熱記録を可能とするリライタブルな感熱記録媒体に対して非接触で情報記録を行う非接触光書き込み装置において、
活性層の接合面が形成され、それぞれ半導体レーザ光を出力する複数の第1のレーザ発光部を有し、これら第1のレーザ発光部を前記接合面方向に等間隔で配置して成る少なくとも1つの半導体レーザアレイと、
前記第1のレーザ発光部の前記接合面方向と同一方向に配置した活性層の接合面が形成された第2のレーザ発光部を有し、この第2のレーザ発光部から半導体レーザビームを出力する半導体レーザと、
前記半導体レーザアレイから出力された前記複数の半導体レーザ光を反射又は透過すると共に、前記半導体レーザから出力された前記半導体レーザビームを透過又は反射し、前記半導体レーザビームのビームプロファイル内に前記複数の半導体レーザ光のうち少なくとも一部を等間隔で合成して出力する偏光部材と、
前記複数の半導体レーザ光の偏光方向又は前記半導体レーザビームの偏光方向に対して平行で、かつ前記半導体レーザビームの偏光方向又は前記複数の半導体レーザ光の偏光方向に対して垂直な方向に回転軸を有し、前記偏光ビームスプリッタから出力された前記合成の半導体レーザビームを前記感熱記録媒体上に走査する偏向走査機構と、
を具備することを特徴とする非接触光書き込み装置。
【請求項2】
前記半導体レーザアレイは、前記複数の第1のレーザ発光部としてシングルモード半導体レーザを配列して成り、
前記半導体レーザは、マルチモード半導体レーザである、
ことを特徴とする請求項1記載の非接触光書き込み装置。
【請求項3】
複数の前記半導体レーザアレイを設け、
前記複数の半導体レーザアレイからそれぞれ出力された複数群の前記半導体レーザ光同士を重ね合わせる重ね合せ光学系を設ける、
ことを特徴とする請求項1記載の非接触光書き込み装置。
【請求項4】
前記重ね合せ光学系は、ダイクロイックミラーから成ることを特徴とする請求項3記載の非接触光書き込み装置。
【請求項5】
前記重ね合せ光学系は、偏光ビームスプリッタと、λ/4反射板とから成ることを特徴とする請求項3記載の非接触光書き込み装置。
【請求項6】
前記複数の半導体レーザアレイは、それぞれ同一ピッチで前記複数のレーザ発光部を配置して成ることを特徴とする請求項3記載の非接触光書き込み装置。
【請求項7】
前記複数の半導体レーザアレイからそれぞれ出力される前記複数群の半導体レーザ光は、前記複数の半導体レーザアレイ毎に波長が異なることを特徴とする請求項3記載の非接触光書き込み装置。
【請求項8】
前記複数の半導体レーザアレイは、略同一タイミングでそれぞれ前記複数群の半導体レーザ光を出力することを特徴とする請求項3記載の非接触光書き込み装置。
【請求項9】
前記半導体レーザアレイを複数設け、かつ前記複数の半導体レーザアレイから出力された前記複数群の第1の半導体レーザ光をそれぞれ結像する複数の結像レンズを備え、
前記複数の半導体レーザアレイにおける前記複数の第1のレーザ発光部の配列方向の各ピッチを等しく設定し、かつ前記複数の結像レンズの各焦点距離を等しく設定することを特徴とする請求項1記載の非接触光書き込み装置。
【請求項10】
前記半導体レーザアレイを第1と第2の半導体レーザアレイとして2つ設け、
前記第1の半導体レーザアレイから出力された前記複数の半導体レーザ光を結像する第1の結像レンズと、
前記第2の半導体レーザアレイから出力された前記複数の半導体レーザ光を結像する第2の結像レンズと、
前記第1の結像レンズにより結像された前記複数の半導体レーザ光と前記第2の結像レンズにより結像された前記複数の半導体レーザ光とを重ね合わせるダイクロイックミラーと、
を有し、
前記第1の半導体レーザアレイと前記第1の結像レンズとの間の距離をa1、前記第1の結像レンズと前記ダイクロイックミラーとの間の距離をb1、前記第1の結像レンズの焦点距離をf1とし、
前記第2の半導体レーザアレイと前記第2の結像レンズとの間の距離をa1’、前記第2の結像レンズと前記ダイクロイックミラーとの間の距離をb1’、前記第2の結像レンズの焦点距離をf1’とすると、
a1=a1’、b1=b1’、f1=f1’の関係に設定し、
前記第1と前記第2の前記半導体アレイから出力される前記複数の半導体レーザ光同士を重ね合わせる、
ことを特徴とする請求項1記載の非接触光書き込み装置。
【請求項11】
前記偏光部材は、偏光ビームスプリッタと、λ/4反射板とから成り、
前記偏光ビームスプリッタにおける前記半導体レーザビームが入射する面と対向する面に前記λ/4反射板が設けられ、
前記λ/4反射板は、前記偏光ビームスプリッタを透過した前記半導体レーザビームを90度位相回転させて前記偏光ビームスプリッタに戻し、
前記偏光ビームスプリッタは、前記複数の半導体レーザ光を入射すると共に、前記λ/4反射板から戻ってきた前記半導体レーザビームを反射して前記半導体レーザビームの前記ビームプロファイル内に前記複数の半導体レーザ光を等間隔で重ね合わせる、
ことを特徴とする請求項1記載の非接触光書き込み装置。
【請求項12】
前記偏光部材は、前記半導体レーザビームを楕円形状のビームプロファイルに形成すると共に、この半導体レーザビームの前記ビームプロファイル内の長軸方向に前記複数の半導体レーザ光を等間隔で合成することを特徴とする請求項1記載の非接触光書き込み装置。
【請求項13】
前記半導体レーザアレイにおける前記活性層の前記接合面方向を前記偏向走査機構の前記回転軸の方向と平行方向に配置して、前記半導体レーザアレイから出力されて前記偏光ビームスプリッタに入射する前記複数の半導体レーザ光をP偏光とし、
前記半導体レーザから出力されたP偏光の前記半導体レーザビームを前記偏光ビームスプリッタに透過し、前記λ/4反射板を通ることにより位相を90度回転させてS偏光とし、
前記偏光ビームスプリッタは、前記90度位相の回転された前記S偏光の前記半導体レーザビームのプロファイル内に前記P偏光の前記複数の半導体レーザ光を重ね合わせる、
ことを特徴とする請求項11記載の非接触光書き込み装置。
【請求項14】
前記半導体レーザアレイを第1乃至第3の半導体レーザアレイとして3つ設け、
前記第1の半導体レーザアレイから出力された前記複数の半導体レーザ光を結像する第1の結像レンズと、
前記第2の半導体レーザアレイから出力された前記複数の半導体レーザ光を結像する第2の結像レンズと、
前記第3の半導体レーザアレイから出力された前記複数の半導体レーザ光を結像する第3の結像レンズと、
を有し、
前記第1の半導体レーザアレイと前記第1の結像レンズとの間の距離をa1、前記第2の半導体レーザアレイと前記第2の結像レンズとの間の距離をa1’、前記第3の半導体レーザアレイと前記第3の結像レンズとの間の距離をa1”、とし、前記第1の結像レンズの焦点距離をf1、前記第2の結像レンズの焦点距離をf1’、前記第3の結像レンズの焦点距離をf1”とし、前記第1の半導体レーザアレイにおける前記各半導体レーザ光の配列方向の各ピッチq11、前記第2の半導体レーザアレイにおける前記各半導体レーザ光の配列方向の各ピッチq12、前記第3の半導体レーザアレイにおける前記各半導体レーザ光の配列方向の各ピッチq13とすると、
前記第1乃至第3の半導体レーザアレイにおける前記各半導体レーザ光の配列方向の各ピッチq1、q2、q3を等しく設定し、
前記第1乃至第3の結像レンズの焦点距離f1、f1’、f1”を等しく設定し、
前記第1乃至第3の半導体レーザアレイと前記第1乃至第3の結像レンズとの間の各距離をa1、a1’、a1”を等しく設定し、
前記第1乃至第3の結像レンズと前記感熱記録媒体との間の各距離を等しく設定し、
前記第1乃至第3の結像レンズの各倍率を等しく設定する、
ことを特徴とする請求項1記載の非接触光書き込み装置。
【請求項15】
前記複数の半導体レーザ光は、前記感熱記録媒体に照射することにより前記感熱記録媒体に対する消去レベル以下のパワーを有し、
前記半導体レーザビームは、前記感熱記録媒体に照射することにより前記感熱記録媒体に対する記録を不能とし、かつ消去レベルのパワーを有し、
前記半導体レーザビームのビームプロファイル内に前記複数の半導体レーザ光を等間隔で合成した前記重ね合せの半導体レーザビームは、前記感熱記録媒体に対する記録レベルのパワーを有する、
ことを特徴とする請求項1記載の非接触光書き込み装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの半導体レーザアレイから出力される前記複数の半導体レーザ光をシフトし、前記各半導体レーザアレイから出力される前記複数の半導体レーザ光の重なる位置を調整するビーム位置調整部、
を有することを特徴とする請求項1記載の非接触光書き込み装置。
【請求項17】
前記ビーム位置調整部は、前記少なくとも1つの半導体レーザアレイを当該半導体レーザアレイから出力される前記半導体レーザ光のS偏光の偏向方向と同一方向に移動することを特徴とする請求項16記載の非接触光書き込み装置。
【請求項18】
前記ビーム位置調整部は、前記少なくとも1つの半導体レーザアレイから出力された前記複数の半導体レーザ光をシフトし、前記感熱記録媒体上において他の前記半導体レーザアレイから出力された前記複数の半導体レーザ光の各間にそれぞれ前記少なくとも1つの半導体レーザアレイから出力された前記複数の半導体レーザ光を配置することを特徴とする請求項16記載の非接触光書き込み装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの半導体レーザアレイから出力される前記複数の半導体レーザ光が等ピッチであれば、
前記ビーム位置調整部は、前記少なくとも1つの半導体レーザアレイから出力される前記複数の半導体レーザ光の各ピッチの2分の1のピッチで前記S偏光の前記偏向方向と同一方向に前記前記複数の半導体レーザ光をシフトすることを特徴とする請求項17記載の非接触光書き込み装置。
【請求項1】
少なくとも感熱記録を可能とするリライタブルな感熱記録媒体に対して非接触で情報記録を行う非接触光書き込み装置において、
活性層の接合面が形成され、それぞれ半導体レーザ光を出力する複数の第1のレーザ発光部を有し、これら第1のレーザ発光部を前記接合面方向に等間隔で配置して成る少なくとも1つの半導体レーザアレイと、
前記第1のレーザ発光部の前記接合面方向と同一方向に配置した活性層の接合面が形成された第2のレーザ発光部を有し、この第2のレーザ発光部から半導体レーザビームを出力する半導体レーザと、
前記半導体レーザアレイから出力された前記複数の半導体レーザ光を反射又は透過すると共に、前記半導体レーザから出力された前記半導体レーザビームを透過又は反射し、前記半導体レーザビームのビームプロファイル内に前記複数の半導体レーザ光のうち少なくとも一部を等間隔で合成して出力する偏光部材と、
前記複数の半導体レーザ光の偏光方向又は前記半導体レーザビームの偏光方向に対して平行で、かつ前記半導体レーザビームの偏光方向又は前記複数の半導体レーザ光の偏光方向に対して垂直な方向に回転軸を有し、前記偏光ビームスプリッタから出力された前記合成の半導体レーザビームを前記感熱記録媒体上に走査する偏向走査機構と、
を具備することを特徴とする非接触光書き込み装置。
【請求項2】
前記半導体レーザアレイは、前記複数の第1のレーザ発光部としてシングルモード半導体レーザを配列して成り、
前記半導体レーザは、マルチモード半導体レーザである、
ことを特徴とする請求項1記載の非接触光書き込み装置。
【請求項3】
複数の前記半導体レーザアレイを設け、
前記複数の半導体レーザアレイからそれぞれ出力された複数群の前記半導体レーザ光同士を重ね合わせる重ね合せ光学系を設ける、
ことを特徴とする請求項1記載の非接触光書き込み装置。
【請求項4】
前記重ね合せ光学系は、ダイクロイックミラーから成ることを特徴とする請求項3記載の非接触光書き込み装置。
【請求項5】
前記重ね合せ光学系は、偏光ビームスプリッタと、λ/4反射板とから成ることを特徴とする請求項3記載の非接触光書き込み装置。
【請求項6】
前記複数の半導体レーザアレイは、それぞれ同一ピッチで前記複数のレーザ発光部を配置して成ることを特徴とする請求項3記載の非接触光書き込み装置。
【請求項7】
前記複数の半導体レーザアレイからそれぞれ出力される前記複数群の半導体レーザ光は、前記複数の半導体レーザアレイ毎に波長が異なることを特徴とする請求項3記載の非接触光書き込み装置。
【請求項8】
前記複数の半導体レーザアレイは、略同一タイミングでそれぞれ前記複数群の半導体レーザ光を出力することを特徴とする請求項3記載の非接触光書き込み装置。
【請求項9】
前記半導体レーザアレイを複数設け、かつ前記複数の半導体レーザアレイから出力された前記複数群の第1の半導体レーザ光をそれぞれ結像する複数の結像レンズを備え、
前記複数の半導体レーザアレイにおける前記複数の第1のレーザ発光部の配列方向の各ピッチを等しく設定し、かつ前記複数の結像レンズの各焦点距離を等しく設定することを特徴とする請求項1記載の非接触光書き込み装置。
【請求項10】
前記半導体レーザアレイを第1と第2の半導体レーザアレイとして2つ設け、
前記第1の半導体レーザアレイから出力された前記複数の半導体レーザ光を結像する第1の結像レンズと、
前記第2の半導体レーザアレイから出力された前記複数の半導体レーザ光を結像する第2の結像レンズと、
前記第1の結像レンズにより結像された前記複数の半導体レーザ光と前記第2の結像レンズにより結像された前記複数の半導体レーザ光とを重ね合わせるダイクロイックミラーと、
を有し、
前記第1の半導体レーザアレイと前記第1の結像レンズとの間の距離をa1、前記第1の結像レンズと前記ダイクロイックミラーとの間の距離をb1、前記第1の結像レンズの焦点距離をf1とし、
前記第2の半導体レーザアレイと前記第2の結像レンズとの間の距離をa1’、前記第2の結像レンズと前記ダイクロイックミラーとの間の距離をb1’、前記第2の結像レンズの焦点距離をf1’とすると、
a1=a1’、b1=b1’、f1=f1’の関係に設定し、
前記第1と前記第2の前記半導体アレイから出力される前記複数の半導体レーザ光同士を重ね合わせる、
ことを特徴とする請求項1記載の非接触光書き込み装置。
【請求項11】
前記偏光部材は、偏光ビームスプリッタと、λ/4反射板とから成り、
前記偏光ビームスプリッタにおける前記半導体レーザビームが入射する面と対向する面に前記λ/4反射板が設けられ、
前記λ/4反射板は、前記偏光ビームスプリッタを透過した前記半導体レーザビームを90度位相回転させて前記偏光ビームスプリッタに戻し、
前記偏光ビームスプリッタは、前記複数の半導体レーザ光を入射すると共に、前記λ/4反射板から戻ってきた前記半導体レーザビームを反射して前記半導体レーザビームの前記ビームプロファイル内に前記複数の半導体レーザ光を等間隔で重ね合わせる、
ことを特徴とする請求項1記載の非接触光書き込み装置。
【請求項12】
前記偏光部材は、前記半導体レーザビームを楕円形状のビームプロファイルに形成すると共に、この半導体レーザビームの前記ビームプロファイル内の長軸方向に前記複数の半導体レーザ光を等間隔で合成することを特徴とする請求項1記載の非接触光書き込み装置。
【請求項13】
前記半導体レーザアレイにおける前記活性層の前記接合面方向を前記偏向走査機構の前記回転軸の方向と平行方向に配置して、前記半導体レーザアレイから出力されて前記偏光ビームスプリッタに入射する前記複数の半導体レーザ光をP偏光とし、
前記半導体レーザから出力されたP偏光の前記半導体レーザビームを前記偏光ビームスプリッタに透過し、前記λ/4反射板を通ることにより位相を90度回転させてS偏光とし、
前記偏光ビームスプリッタは、前記90度位相の回転された前記S偏光の前記半導体レーザビームのプロファイル内に前記P偏光の前記複数の半導体レーザ光を重ね合わせる、
ことを特徴とする請求項11記載の非接触光書き込み装置。
【請求項14】
前記半導体レーザアレイを第1乃至第3の半導体レーザアレイとして3つ設け、
前記第1の半導体レーザアレイから出力された前記複数の半導体レーザ光を結像する第1の結像レンズと、
前記第2の半導体レーザアレイから出力された前記複数の半導体レーザ光を結像する第2の結像レンズと、
前記第3の半導体レーザアレイから出力された前記複数の半導体レーザ光を結像する第3の結像レンズと、
を有し、
前記第1の半導体レーザアレイと前記第1の結像レンズとの間の距離をa1、前記第2の半導体レーザアレイと前記第2の結像レンズとの間の距離をa1’、前記第3の半導体レーザアレイと前記第3の結像レンズとの間の距離をa1”、とし、前記第1の結像レンズの焦点距離をf1、前記第2の結像レンズの焦点距離をf1’、前記第3の結像レンズの焦点距離をf1”とし、前記第1の半導体レーザアレイにおける前記各半導体レーザ光の配列方向の各ピッチq11、前記第2の半導体レーザアレイにおける前記各半導体レーザ光の配列方向の各ピッチq12、前記第3の半導体レーザアレイにおける前記各半導体レーザ光の配列方向の各ピッチq13とすると、
前記第1乃至第3の半導体レーザアレイにおける前記各半導体レーザ光の配列方向の各ピッチq1、q2、q3を等しく設定し、
前記第1乃至第3の結像レンズの焦点距離f1、f1’、f1”を等しく設定し、
前記第1乃至第3の半導体レーザアレイと前記第1乃至第3の結像レンズとの間の各距離をa1、a1’、a1”を等しく設定し、
前記第1乃至第3の結像レンズと前記感熱記録媒体との間の各距離を等しく設定し、
前記第1乃至第3の結像レンズの各倍率を等しく設定する、
ことを特徴とする請求項1記載の非接触光書き込み装置。
【請求項15】
前記複数の半導体レーザ光は、前記感熱記録媒体に照射することにより前記感熱記録媒体に対する消去レベル以下のパワーを有し、
前記半導体レーザビームは、前記感熱記録媒体に照射することにより前記感熱記録媒体に対する記録を不能とし、かつ消去レベルのパワーを有し、
前記半導体レーザビームのビームプロファイル内に前記複数の半導体レーザ光を等間隔で合成した前記重ね合せの半導体レーザビームは、前記感熱記録媒体に対する記録レベルのパワーを有する、
ことを特徴とする請求項1記載の非接触光書き込み装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの半導体レーザアレイから出力される前記複数の半導体レーザ光をシフトし、前記各半導体レーザアレイから出力される前記複数の半導体レーザ光の重なる位置を調整するビーム位置調整部、
を有することを特徴とする請求項1記載の非接触光書き込み装置。
【請求項17】
前記ビーム位置調整部は、前記少なくとも1つの半導体レーザアレイを当該半導体レーザアレイから出力される前記半導体レーザ光のS偏光の偏向方向と同一方向に移動することを特徴とする請求項16記載の非接触光書き込み装置。
【請求項18】
前記ビーム位置調整部は、前記少なくとも1つの半導体レーザアレイから出力された前記複数の半導体レーザ光をシフトし、前記感熱記録媒体上において他の前記半導体レーザアレイから出力された前記複数の半導体レーザ光の各間にそれぞれ前記少なくとも1つの半導体レーザアレイから出力された前記複数の半導体レーザ光を配置することを特徴とする請求項16記載の非接触光書き込み装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの半導体レーザアレイから出力される前記複数の半導体レーザ光が等ピッチであれば、
前記ビーム位置調整部は、前記少なくとも1つの半導体レーザアレイから出力される前記複数の半導体レーザ光の各ピッチの2分の1のピッチで前記S偏光の前記偏向方向と同一方向に前記前記複数の半導体レーザ光をシフトすることを特徴とする請求項17記載の非接触光書き込み装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−949(P2009−949A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165588(P2007−165588)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]