説明

非接触型データキャリアのアクセスシステム

【課題】リーダライタが通信相手の誤認を生ずることがないようにする。
【解決手段】非接触型ICカードのメモリに事前確認情報を記憶させると共に、ICカードの表面に事前確認情報と同じ情報を表示したQRコードを印刷しておく。リーダライタ3はCCDエリアセンサ9によりQRコードを読み取って解読すると共に、ICカードと通信してそのメモリから事前確認情報を読み出す。そして、ICカードのメモリから読み出した事前確認情報をICカードに送信する。ICカードはリーダライタ3から送信された事前確認情報がメモリに記憶された事前確認情報と一致したとき、リーダライタ3からのコマンドにより読み書きの処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非接触型データキャリアのアクセスシステムに係り、特に端末機器がデータを読み取りおよび/または書込みの対象とするデータキャリアを間違えないようにすることができるようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、磁気カードに比べて記憶容量の大きな非接触型のICカード(データキャリア)が各種用途の情報記録媒体として採用されてきている。この非接触型のICカードは、リーダライタ(端末機器)より送信される特定周波数の電波から電力を取得してリーダライタとの間でデータを送受するように構成されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−197418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
非接触式のICカードは電波によりリーダライタと通信する構成であるため、リーダライタから発せられる電波の受信範囲内にデータを送受しようとするICカードとは別のICカードが存在していた場合、リーダライタは別のICカードと通信(通信相手の誤認)してしまうことがある。
このような通信相手の誤認は厳に避けなければならない。特に、ICカードが電子マネーの決済用として使用されていた場合、通信相手の誤認を生ずると、使用者の知らないうちに、電子マネーの残高が減らされているという重大な問題を生ずる。
【0004】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、リーダライタが通信相手の誤認を生ずることなく、正規のデータキャリアと通信することができる非接触型データキャリアのアクセスシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明では、非接触型データキャリアは、端末機器と通信する通信手段の他に、事前確認情報を記憶したメモリ、事前確認情報と一致する情報を光学的に読み取り可能な形態で表示した光学的情報表示部を有する。一方、端末機器は、データキャリアの前記通信手段と非接触で通信する通信手段、データキャリアの光学的情報表示部を光学的に読み取る光学的情報読取手段を有する。
【0006】
そして、請求項1の発明では、データキャリアは端末機器から送信された事前確認情報がメモリに記憶された事前確認情報と一致するとき、端末機器からのコマンドによって読み取りおよび/または書込みのための処理を行うので、データキャリアからアクセス許可信号を送信せずとも済み、処理時間を短縮することができる。ちなみに、端末機器からのコマンドは事前確認情報を指定して送信されるので、他のデータキャリアが端末機器からのコマンドを実行してしまう恐れはない。
【0007】
請求項2の発明では、トリガースイッチを操作しないと、通信手段、光学的情報読取手段による事前確認情報の読み取りを行わないので、端末機器の消費電力を極力抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
[第1の参考例]
以下、本発明の第1の参考例を図1ないし図5に基づいて説明する。
図4はデータキャリアとしてのICカード1を示すもので、このICカード1は複数枚のプラスチック薄板を積層して構成され、その表面には、情報コード(光学的情報表示部)として二次元コードの一種であるQRコード2が印刷により設けられている。QRコード1はラベルに印刷したものをICカード1に貼り付けるものであっても良い。このICカード1と電波により通信してコマンド、データを送受する端末機器としてのリーダライタ3は図2に示されている。このリーダライタ3は、本実施例では携帯型として構成され、QRコード2の画像を取り込んで解読する機能と、ICカード1と電波により通信してデータの読み書きを行う機能とを有している。
【0009】
上記リーダライタ3は、手持ち可能なケース4を主体とするもので、そのケース4には、握り部を構成する操作部5、液晶表示器6などが設けられている。操作部5には、多数のキースイッチ7が設けられ、これらキースイッチ7によって動作内容などを指示するようになっている。リーダライタ3のケース4内には、プリント配線基板8が設けられており、このプリント配線基板8の一方の面に前記液晶表示器6およびキースイッチ群7が配設され、他方の面に光学的読取手段としてCCDエリアセンサ9および結像レンズ10が配設されている。
【0010】
ケース4の前端開口は読取口4aとされ、ここに別のプリント配線基板11が設けられている。このプリント配線基板11の前面側には、中央に形成された孔11aの周囲に位置して照明用光源としてのLED(発光ダイオード)12が搭載されていると共に、このLED12に対向する照明用レンズ13が配設されている。また、ケース4内において、読取口4aと結像レンズ10との間には、反射ミラー14が配設されている。
【0011】
QRコード2の読み取りは、読取口4aをICカード1にほぼ接触させた状態で行う。そして、LED12の発する光は照明用レンズ13により拡散されてICカード1を照明し、その反射光は読取口4aから入射され、途中で反射ミラー14により曲げられて結像レンズ10によってCCDエリアセンサ9に結像されるようになっている。
【0012】
一方、読取口4aのプリント配線基板11の表裏両側にはボビン15および16が設けられており、表側のボビン15に送信アンテナコイル17が巻装され、裏側のボビン16に受信アンテナコイル18が巻装されている。なお、送信アンテナコイル17および受信アンテナコイル18は、1個のアンテナコイルで共用する構成であっても良い。
【0013】
図1はリーダライタ3の電気的構成を示しており、上述した液晶表示器6、キースイッチ群7、CCDエリアセンサ9、LED12、通信手段としての送信アンテナコイル17、同じく通信手段としての受信アンテナコイル18の他に、制御手段としての制御回路19、増幅回路20、A/D変換回路21、同期パルス発生回路22、アドレス発生回路23、画像メモリ24、通信I/F回路25、復調部26、変調部27などを備えている。
【0014】
制御回路19は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えたマイクロコンピュータタシステムとして構成され、ROMに記憶されているプログラムに従って動作する。また、制御回路19には、液晶表示器6、キースイッチ群7、通信I/F回路25などが接続されている。
【0015】
CCDエリアセンサ9は受光素子であるCCDを二次元的に配列して有し、LED12の反射光を結像してその二次元画像を水平方向の走査線信号として増幅回路20に与えられる。増幅回路20は、制御回路19からのゲインコントロール電圧に対応する増幅率でCCDエリアセンサ9から出力された走査線信号を増幅し、A/D変換回路21に出力する。そして、A/D変換回路21は、アナログの走査線信号をデジタル信号に変換する。このA/D変換回路21でデジタル信号に変換されたデータは多値データであり、この多値データは画像メモリ24に記憶される。そして、制御回路19が画像メモリ24に記憶された多値データに基づいて二次元コードを解読し、一時記憶手段としてのRAMに記憶させる。なお、この多値データは、各画素が8ビット(0〜255)の階調値を有するものとなっている。
【0016】
同期パルス発生回路22は、CCDエリアセンサ9から出力される二次元画像データのパルスより十分細かい同期パルスを出力する。アドレス発生回路23は、この同期パルス発生回路22から与えられる同期パルスをカウントして画像メモリ24に対するアドレスを発生させる。そして、デジタル信号に変換された多値の画像データはアドレス毎に8ビット単位で画像メモリ24に書き込まれる。なお、液晶表示器6は例えば2階調の液晶として構成されており、画像メモリ24に書き込まれた画像データを表示するためなどに用いられる。
【0017】
通信I/F回路25は、ホストコンピュータなどの外部装置との間で通信を行うものであり、例えば図示しない通信用発光素子を介して外部装置に送信したり、図示しない通信用受光素子を介して外部装置からの信号を受信したりする。
【0018】
送信アンテナコイル17、受信アンテナコイル18、復調部26、変調部27は、ICカード1と通信を行うためのもので、変調部27はICカード1との通信時に、まず基準信号を変調して電力用電波信号として送信アンテナコイル17から送信し、その後、送信すべきデータを電力用電波信号に重畳して送信アンテナコイル17から送信する。また、復調部26は、受信アンテナコイル18により受信した電波信号を復調し、データとして取り出す。
【0019】
一方、ICカード1は、図3に示すように、電波信号を送受信するための通信手段としてのアンテナコイル28と、共振コンデンサ29と、制御用IC30と、平滑部31とを備えている。これらアンテナコイル28、共振コンデンサ29、制御用IC30、平滑部31は、ICカード1を構成する複数枚のプラスチック薄板の間に介装されている(図4には、アンテナコイル28と制御用IC30のみ図示した。)。
【0020】
制御用IC30は、制御手段としてのCPU32の他、整流部33、変復調部34、識別情報および管理情報などのメモリ手段としてのメモリ部35などを構成する半導体素子をワンチップ化したものである。この場合、メモリ部35は、動作プログラムなどを記憶したROM36と、一時記憶用として消去可能な不揮発性メモリ、例えばEEPROM37とを有している。
【0021】
メモリであるEEPROM37には、事前確認情報としての例えばパスワードが記憶されている。このEEPROM37に記憶されたパスワードは、前述したICカード1の表面に付されたQRコード2中にもQRコード化されて表示されている。なお、共振コンデンサ29は、制御用IC30に設けても良いし、場合によってはなくとも良い。
【0022】
上記アンテナコイル28は、共振コンデンサ29と並列に接続されて共振回路を構成し、リーダライタ3の送信アンテナコイル17から所定の高周波数の電力用電波信号が送信されてくると、これを受信して整流部33に供給する。整流部33は、平滑部31と共に動作用電源回路を構成するもので、共振回路から送信されてきた電力用電波信号を整流し、平滑部31により平滑化し且つ一定電圧の直流電力(動作用電力)にしてCPU32などに供給する。
【0023】
電力用電波信号に重畳して送信されるコマンド信号やデータ信号は、変復調部34により復調されてCPU32に与えられる。CPU32は、メモリ部35のROM36に記憶された動作プログラムに従って動作するもので、変復調部34から入力される信号に応じた処理を実行し、受信したデータをメモリ部35のEEPROM37などに書き込んだり、EEPROM37からデータを読み出して変復調部34により変調し、アンテナコイル28から電波信号として送信したりする。
【0024】
次にリーダライタ3がICカード1と通信する場合の作用を図5のフローチャートをも参照しながら説明する。
ICカード1の上にリーダライタ3の読取口4aを宛がい、この状態でキースイッチ群7の中から所定のキースイッチを操作してスタートさせる。すると、制御回路19は、まず、LED12を点灯させてQRコード2部分を照明する。これにより、その反射光が結像レンズ10によってCCDエリアセンサ9に結像される。このCCDエリアセンサ9に結像されたQRコード2の画像は多値のデジタルデータとして画像メモリ24に取り込まれる。そして、制御回路19は、画像メモリ24に取り込まれたQRコード2の画像をコード解読プログラムに従って解読する(以上、ステップS1;解読手段)。この場合、QRコード2はICカード1のパスワードを表しているので、制御回路19はQRコート2の解読によってICカード1のパスワードを取得する。
【0025】
次に、制御回路19は、送信アンテナコイル17から電力用電波信号を送信してICカード1と通信し、パスワード読み取りコマンドを送信する。すると、ICカード1のCPU32はEEPROM37からパスワードを読み取り、これをアンテナコイル28から電波信号として送信する。このICカード1から送信された電波信号はリーダライタ3の受信アンテナコイル18により受信され、復調部26により復調されて制御回路19に与えられる。これにより、リーダライタ3の制御回路19はICカード1から電波信号によってパスワードを取得する(以上、ステップS2)。
【0026】
このようにしてICカード1のQRコード2とEEPROM37との双方から情報を取得すると、次に制御回路19は取得した2つの情報を比較し、一致しているか否かを判断する(ステップS3;判断手段)。そして、2つの情報が一致していなかった場合(ステップS3で「NO」)、制御回路19は、電波による通信で取得したパスワードは、読み書きの対象としているICカードではなく、リーダライタ3から送信される電波の受信範囲内にある別のICカードから取得したものとして警報処理、例えば液晶表示器6にその旨を文字などによって表示する(ステップS5)。なお、警報処理としては、ブザーを鳴動させるものであっても良い。
【0027】
2つの情報が一致していた場合(ステップS3で「YES」)、制御回路19は、電波による通信で取得したパスワードは、読み書きの対象としているICカードのものである、つまりCCDエリアセンサ10から読み込んだQRコード2を有するICカード2のものであるとして読み書き処理(EEPROM37の記憶データを読み出したり、EEPROM37にデータを書き込んだりする処理)を実行する(ステップS4)。この場合の読み書き処理は、ICカード2が電子マネーのICカードであれば、EEPROM37に記憶されている残高を読み出し、その残高から今回の取引額を差し引いて決済し、決済後の額を新たな残高としてICカード1に送信してEEPROM37の記憶する残高を書き換えるというものである。
【0028】
このように本参考例によれば、リーダライタ3は読取口4aが宛がわれたICカード1のQRコード2から情報を取得し、この情報が電波による通信によりEEPROM37から取得した事前確認情報と一致するか否かを判断し、一致しているときにだけ読み書き処理を実行するので、読み書きすべきICカード2とは別のICカードに対して読み書きしてしまう恐れがない。このため、電子マネーのICカードとして利用した場合、使用者の知らないうちに残高が減らされているといった不具合を生ずる恐れがない。
【0029】
[第2の参考例]
図6は本発明の第2の参考例を示す。ICカードおよびリーダライタの構成は上述の第1の参考例と同様であるので、上述の第1の参考例で使用した名称および符号を使用して図6を参照しながら説明する。
【0030】
ICカード1の上にリーダライタ3の読取口4aを宛がい、この状態でキースイッチ群7の中から所定のキースイッチを操作してスタートさせる。すると、制御回路19は、前述の一実施例の場合と同様にして、QRコード2を取り込み(ステップA1)、ICカード1のパスワードを取得する(ステップA2)。
【0031】
次に、制御回路19は、送信アンテナコイル17から電力用電波信号を送信してICカード1と通信し、解読したパスワードを送信する(ステップA3)。すると、ICカード1のCPU32は、EEPROM37からパスワードを読み取り、これをリーダライタ3から送信されてきた情報と比較し、両者が一致しているか否かを判断する(ステップA4;判断手段)。
【0032】
そして、CPU32は、EEPROM37から読み取ったパスワードとリーダライタ3から送信されてきた情報とが一致していなかった場合(ステップA4で「NO」)、アクセス不許可の信号をアンテナコイル28から送信する(ステップA6)。また、両者が一致していた場合(ステップA4で「YES」)、CPU32は、アクセス許可の信号をアンテナコイル28から送信する(ステップA5)。
【0033】
このICカード1から送信された信号はリーダライタ3によって受信される。そして、制御回路19は、受信した信号がアクセス許可の信号であるか否かを判断し(ステップA7)、アクセス不許可の信号であった場合(ステップA7で「NO」)、警報処理、例えば液晶表示器6にその旨を文字などによって表示する(ステップA9)。受信した信号がアクセス許可の信号であった場合、制御回路19は、読み書き処理を実行する(ステップS4)。
【0034】
このように本参考例によれば、ICカード1はリーダライタ3から送信された情報が自身のパスワードであった場合、つまりリーダライタ3が宛がわれてQRコード2を読み取られたICカードである場合、アクセス許可を送信するが、リーダライタ3から送信された情報が自身のパスワードでなかった場合には、リーダライタ3が宛がわれてQRコード2を読み取られたICカードではないから、アクセス不許可を送信する。このため、リーダライタ3が読み書きをするべきICカード以外のICカードと通信する恐れがない。
【0035】
なお、ICカード1からのアクセス許可信号の送信は省略することができる。この場合には、バスワードと共に、読み書きのためのコマンドをICカード1に送信するので、他のICカード1がリーダライタ3からのコマンドを実行する恐れはない。
【0036】
[実施例]
図7および図8は、本発明の一実施例を示す。
この実施例は、データキャリアをICカードではなく、RFIDタグ38(図7参照)としたもので、その電気的構成は図3と同一である。また、RFIDタグ38には、QRコード2(図示はないが、先の実施例と同一の符号を使用する。)が設けられている。このQRコード2には、事前確認情報として識別(ID)情報が表示されている他、コマンドおよびコマンドに関する情報が表示されている。コマンドおよびコマンドに関する情報とは、この実施例では、読み取りコマンドと書込みコマンド、書込みコマンドに関する情報として、その書込みは端末機器3から送信される現在時刻を書き込むという情報である。
【0037】
端末機器3の電気的構成は、図7に示すように、基本的には図1と同様で、異なるところは、キースイッチからなるトリガースイッチ39、マーカー用LED40、ブザー41、表示用の緑色LED42、赤色LED43および時計部44を設けたところが相違する。トリガースイッチ39は、二段押し込み型のもので、一段押しすると、マーカー用LED40が点灯し、二段押しすると、照明用LED12が点灯するようになっている。
【0038】
本実施例は、図8のフローチャートに示すように、端末機器3が読み取ったQRコード2の識別情報をRFIDタグ38に送信する際に、併せてQRコード2から読み取ったコマンドを併せて送信するようにしたことを特徴としている。即ち、端末機器3の読取口4aを、読み取り対象となっているRFIDタグ38のQRコード2に宛て、そしてトリガースイッチ39を一段押しする(ステップB1)。すると、端末装置3の制御回路19は、マーカー用LED40を点灯(ステップB2)させて読み取り範囲を表示するので、QRコード2が読み取り範囲内にあることを確認した上で、トリガースイッチ39をもう一段押し込む(二段目押し込み)。これにより、照明用のLED12が点灯してQRコード2部分を照明すると共に、CCDエリアセンサ9がQRコード2の画像を取り込み、制御回路19がそのQRコード画像を解読する(ステップB3)。
【0039】
次に制御回路19は、解読が正常に読み込まれたか否かを判断し(ステップB4)、正常でなかった場合、赤色LED43を点灯させてその旨を報知し(ステップB4で「NO」、ステップB9)、エンドとなる。解読が正常であった場合(ステップB4で「YES」)、制御回路19は、QRコード2から読み取った識別情報と共に、読み取りコマンドと書込みコマンド、その書込みは端末機器3から送信される現在時刻を書き込むという情報、時計部44から取得した現在時刻情報を送信する(ステップB5)。
【0040】
端末機器3からの情報を受信したRFIDタグ38のCPU32は、受信した識別情報がROM36に記憶されている識別情報と一致している場合には、応答情報を送信する。端末機器3の制御回路19は、RFIDタグ38からの応答情報を受信した場合(ステップB6で「YES」)、RFIDタグ38の情報を読み書きする(ステップB7)。
【0041】
このステップB7では、端末機器3の制御回路19は、まず、RFIDタグ38に読み書き開始のコマンドを送信する。すると、RFIDタグ38のCPU32が、EEPROM37に記憶されている書き換え可能な全情報を端末機器3に送信すると共に、端末機器3から送信されてきた時刻を読み書きコマンドの実施時刻としてEEPROM37に書き込む。そして、端末機器3は、RFIDタグ38から送信されてきた情報を記憶する。以上がステップB7の動作である。なお、上記のステップB6とステップB7とは、場合によっては、前後逆であっても良い。
【0042】
ステップB7の実行後に、端末機器3の制御回路37は、ブザー41を鳴動させると共に、緑色LED42を点灯させて正常に動作したことを報知し(ステップB8)、エンドとなる。なお、先の実施例では、端末機器3の制御回路19の動作内容を示すフローチャート中に、ICカード1の動作を表示したが、図8ではRFIDタグ38の動作の表示は省略した。
【0043】
このように本実施例によれば、端末機器3は、QRコード2から識別情報を読み取った後、RFIDタグタグ38にその識別情報を送信する際、同時にコマンドおよびそのコマンドに関連する情報を送信するようにしたので、RFIDタグ38の特殊性に応じた読み書きを行うことができる。つまり、本実施例に例示したように、RFIDタグ38が端末機器3に情報を送信したとき、その時刻をEEPROM37に書き込むことを必要とするものであった場合、端末機器3は、QRコード2の識別情報を読み取ったときにそのようなことを必要とするRFIDタグであることが分かるので、それに応じたコマンドおよびそのコマンドに応じた情報を送信することができる。
【0044】
特に、本実施例のように、QRコード2に識別情報の他に、コマンドおよびそのコマンドに応じた情報を表示するようにしておけば、端末機器3が識別情報からそのRFIDタグに応じたコマンドなどを選択するという動作を行う必要がなくなり、処理時間の短縮化を図ることができる。
【0045】
また、本実施例では、トリガースイッチ39を操作した後に端末機器3がRFIDタグ38のQRコード2およびROM36の読み取り動作を実行するようにしたので、端末機器3の電源である電池(図示せず)の消費電力を極力抑制することができる。即ち、端末機器3の電源スイッチを投入した直後から読み取り動作を実行するとすれば、電波信号の発信、照明用のLED12やマーカー用LED40の点灯が行われてしまい、無駄に電力を消費してしまうが、本実施例ではこのような不具合を解消することができる。
【0046】
なお、RFIDタグ38が応答情報を送信する際に、EEPROM37に記載された全情報を送信すると共に、その実施時刻をEEPROM37に書込み、そして端末機器3は、RFIDタグ38から送信されてきた情報を受信し、制御回路19が有する図示しないメモリに記憶することで読み取り動作終了とする構成であっても良い。
【0047】
[その他の実施例]
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、以下のような拡張或は変形が可能である。
データキャリアとしてはICカードに限られず、RFタグなどであっても良い等、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができる。
事前確認情報としては、数字や文字や記号でも、それらの組み合わせでも、何であっても良い。
事前確認情報はROM36に記憶しても良い。
光学的情報表示部としては、QRコードに限られず、他の二次元コード、バーコードなどの一次元コードでも良く、数字、文字であっても良い。
トリガースイッチ39が操作された後のICカード1のQRコード2の読み取りと、ICカード1との通信は、どちらが先であっても良い。
第5実施例の端末機器3の通信可能な範囲に存在するデータキャリアが1つしかなかった場合に、光学的情報表示部の読み取りを省略する構成は、第1ないし第4の各実施例においても同様に行う構成としても良い。
端末機器がデータキャリアから情報を読み取りおよびデータキャリアに情報を書き込む場合、データキャリアから情報を読み取るだけの場合、データキャリアに情報を書き込むだけの場合に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の参考例を示す端末機器(リーダライタ)のブロック図
【図2】端末機器(リーダライタ)の断面図
【図3】データキャリア(ICカード)のブロック図
【図4】データキャリア(ICカード)の正面図
【図5】フローチャート
【図6】本発明の第2の参考例を示す図5相当図
【図7】本発明の一実施例を示す図1相当図
【図8】図5相当図
【符号の説明】
【0049】
図面中、1はICカード(データキャリア)、2はQRコード(光学的情報表示部)、3はリーダライタ(端末機器)、9はCCDエリアセンサ(光学的情報読取手段)、17は送信アンテナコイル(通信手段)、18は受信アンテナコイル(通信手段)、19は制御回路、28はアンテナコイル(通信手段)、30は制御用IC、32はCPU(判断手段)、35はメモリ部(メモリ手段)、37はEEPROM(メモリ)、38はRFIDタグ(データキャリア)、39はトリガースイッチである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信手段、事前確認情報を記憶したメモリ、前記事前確認情報と一致する情報を光学的に読み取り可能な形態で表示した光学的情報表示部を有する非接触型のデータキャリアと、
このデータキャリアの前記通信手段と非接触で通信する通信手段、前記データキャリアの前記光学的情報表示部を光学的に読み取る光学的情報読取手段を有する端末機器とを備え、
前記端末機器は、前記光学的情報読取手段により前記光学的情報表示部を光学的に読み取り、その光学的情報表示部から読み取った前記事前確認情報を前記通信手段により前記データキャリアに送信し、
前記データキャリアは、前記端末機器から送信された前記事前確認情報が前記メモリに記憶された事前確認情報と一致したとき、前記端末機器からのコマンドによって読み取りおよび/または書込みのための処理を行うことを特徴とする非接触型データキャリアのアクセスシステム。
【請求項2】
請求項1記載の非接触型データキャリアのアクセスシステムにおいて、
前記端末機器は、トリガースイッチを備え、このトリガースイッチが操作された後に、前記光学的情報読取手段により前記事前確認情報を読み取る動作を行うことを特徴とする非接触型データキャリアのアクセスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−282402(P2008−282402A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123362(P2008−123362)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【分割の表示】特願2004−218746(P2004−218746)の分割
【原出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】