説明

非接触型IC媒体処理装置

【課題】 構造の簡素化および装置の小型化を図る。
【解決手段】 媒体投入口11と媒体返却口13との間に、円板状の媒体Zが径方向に転動する媒体搬送通路12が設けられている。媒体搬送通路12の媒体投入口11の近傍には第1の情報処理部14が設けられ、媒体搬送通路12の媒体返却口13の近傍には第2の情報処理部15が設けられられている。第1の情報処理部14によって処理された媒体Z1の金額情報が、第2の情報処理部15に移行され、媒体Z2に移し替えられる。金額情報が移し替えられ残額が「0」となった媒体Z1は媒体搬送通路12内に蓄積される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型IC媒体の情報を読み書きして処理するとともに、非接触型IC媒体の発行処理を行う非接触型IC媒体処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の非接触型IC媒体装置は、円板状に形成され周面に4つの投入放出口を有し、時計・反時計方向に90°ずつ回動する保持ディスクからなる搬送プール部と、保持ディスクの投入放出口との間でICコインの補充およびICコインを戻す第2のプール部とを備えたものもある。この装置においては、利用者がICコインを投入放出口に投入すると、保持ディスクを時計方向へ90°だけ回動させてICコインを装置内に取込み、ICコインの価値情報の書き換えを行った後に再び保持ディスクを反時計方向へ90°だけ回動させ利用者に返却する。また、ICコインを発行する場合には、第2のプール部から保持ディスクの投入放出口にICコインを補充し、搬送プール部に使用済みのICコインを回収する場合には、保持ディスクの投入放出口から第2のプール部にICコインを戻す(例えば、特許文献1参照)。なお、本出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に密接に関連する先行技術文献を出願時までに見付け出すことはできなかった。
【特許文献1】特開2001−327747号公報(段落「0035」、「0039」、「0044」、図8、図13、図14)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の非接触型IC媒体処理装置においては、ICコインの不足分を補うために第2のプール部を備え、この第2のプール部から搬送プール部へICコインを補充したり、余剰のICコインを搬送プール部から第2のプール部へ戻したりするというように、搬送プール部と第2のプール部との間でICコインの授受を行う構造としている。このように、搬送プール部と第2のプール部との間でICコインが往復する構造であるために、構造が複雑になるというばかりではなく、搬送プール部と第2のプール部との間でICコイン詰まりが発生するいう問題があった。また、搬送プール部へICコインを補充するためには搬送ベルトとこれを駆動するモータを必要とするため、部品点数が増加するとともに構造が複雑となり、かつ装置が大型化するという問題もあった。
【0004】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、構造の簡素化および装置の小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、非接触型IC媒体を投入する媒体投入口と、この媒体投入口から投入された非接触型IC媒体が搬送される媒体搬送通路と、この媒体搬送通路の終端に設けられ非接触型IC媒体を返却する媒体返却口と、前記媒体搬送通路の前記媒体投入口近傍に設けられ非接触型IC媒体の情報を処理する第1の情報処理部と、前記媒体搬送通路の前記媒体返却口近傍に設けられ非接触型IC媒体の情報を処理する第2の情報処理部と、この第2の情報処理部に前記第1の情報処理部で処理した情報を移行させる情報移行手段とを備えたものである。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記非接触型IC媒体を円板状に形成し、前記媒体投入口から投入された非接触型IC媒体が自重によって径方向に転動する前記媒体搬送通路を設けたものである。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記媒体搬送通路に非接触型IC媒体を径方向に蓄積する媒体蓄積部を設けたものである。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明において、貨幣を識別する貨幣識別機を備え、この貨幣識別機によって識別された貨幣の額面情報を前記第2の情報処理部に入力する入金処理手段を設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、媒体投入口から投入された非接触型IC媒体の情報を、情報移行手段を介して予め媒体搬送通路内に蓄積された非接触型IC媒体に移し替えることができるため、媒体搬送通路内に蓄積された非接触型IC媒体を使用して非接触型IC媒体の発行と消費との両方を行うことができる。また、媒体投入口から投入され情報を移し替えられた非接触型IC媒体を媒体搬送通路内に蓄積することができるため、非接触型IC媒体を発行するための専用の蓄積通路を設ける必要がないから装置の小型化と簡素化を図ることができる。また、媒体投入口から投入された非接触型IC媒体を媒体搬送通路中を往復させることなく一方向に搬送させる構造であるため、非接触型IC媒体の詰まりを防止することができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、非接触型IC媒体の自重によって媒体搬送通路中を搬送させるため、搬送用の駆動手段が不要になるため部品点数の削減と構造の簡素化を図ることができる。また、非接触型IC媒体を径方向に転動させるようにしたことにより装置の幅方向を薄型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係る非接触型IC媒体処理装置を示し、同図(A)は概略の構成を示す側面図、同図(B)は正面図、図2は同じくブロック図、図3ないし図6は同じく処理動作を説明するためのフローチャートであって、図3は媒体の残高情報を移行させる処理動作を示し、図4は消費処理の発生にともない媒体に対する消費処理動作を示し、図5は媒体の発行/返却処理動作を示し、図6は媒体への入金処理動作を示す。
【0012】
図1に全体を符号1で示す遊技台用台間機は、紙幣挿入口2から挿入された紙幣の真贋を識別し、真札の場合には収納する紙幣識別機3と、本発明に係る非接触型IC媒体処理装置(以下、媒体処理装置という)4とが備えられている。媒体処理装置4は、円板状(コイン状)に形成された非接触型IC媒体(以下、媒体という)Zを投入する媒体投入口11と、この媒体投入口11から投入された媒体Zが搬送される媒体搬送通路12と、この媒体搬送通路12の終端に設けられ媒体Zを返却する第1の媒体返却口13と、媒体搬送通路12の媒体投入口11の近傍に設けられ媒体Zの情報を処理する第1の情報処理部14と、媒体搬送通路12の第1の媒体返却口13の近傍に設けられ媒体Zの情報を処理する第2の情報処理部15とによって概略構成されている。第1および第2の情報処理部14,15には、媒体Zに内蔵されたアンテナ部との間を無線を介して通信を行うアンテナ基板(いずれも図示せず)が設けられており、第1および第2の情報処理部14,15は、媒体Zに記録されている金額情報の読取りまたは書込みといった情報処理を行う。
【0013】
媒体搬送通路12は、媒体投入口11に連通し図中左下がりに傾斜した第1の傾斜通路16と、この第1の傾斜通路16と連通し上下方向に延在する鉛直通路17と、この鉛直通路17と連通して図中右下がりに傾斜し第1の媒体返却口13に連通する第2の傾斜通路18とによって形成されている。21は媒体投入口11の近傍に設けられピン状に形成された第1のシャッタであって、後述するシャッタ制御部35によって図示を省略したソレノイドが作動することにより第1の傾斜通路16内に対して進退し、第1の傾斜通路16内に進出することにより、媒体投入口11から第1の傾斜通路16内への媒体Zの投入を規制する。
【0014】
第1の傾斜通路16の略中央部に対応して第1の情報処理部14が設けられ、第2の傾斜通路18の略中央部に対応して第2の情報処理部15が設けられている。第1の傾斜通路16の第1の情報処理部14が設けられた部位の底面に開口が設けられており、この開口に連通し図中右下がりに傾斜した媒体返却通路19が備えられ、この媒体返却通路19の右端には第2の媒体返却口20が設けられている。22は第1の傾斜通路16と媒体返却通路19との間に設けられた第2のシャッタであって、シャッタ制御部35によって図示を省略したソレノイドが作動することにより第1の傾斜通路16内を進退し進出することにより、媒体Zの第1の傾斜通路16から返却通路19への転動を規制する。
【0015】
23は第1の傾斜通路16の略中央部に設けられた第3のシャッタであって、シャッタ制御部35によって図示を省略したソレノイドが作動することにより第1の傾斜通路16内を進退する。そして、この第3のシャッタ23が第1の傾斜通路16内に進出することにより、媒体投入口11から投入された媒体Zの第1の傾斜通路16内の転動を規制し、転動を規制された媒体Zは第1の情報処理部14と対向する。
【0016】
24は第2の傾斜通路18の左側に設けられた第4のシャッタであって、シャッタ制御部35によって図示を省略したソレノイドが作動することにより第2の傾斜通路18内に対して進退し、第2の傾斜通路18内に進出することにより、第2の傾斜通路18内における媒体Zの転動を規制する。この第4のシャッタ24によって転動が規制された媒体Zは、鉛直通路17内に径方向に蓄積され、この鉛直通路17は媒体蓄積部を形成している。25は第2の傾斜通路18の中央部に設けられた第5のシャッタであって、シャッタ制御部によって図示を省略したソレノイドが作動することにより第2の傾斜通路18内を進退する。そして、この第5のシャッタ25が第2の傾斜通路18内に進出することにより、第2の傾斜通路18内における媒体Zの転動を規制し、転動を規制された媒体Zは第2の情報処理部15と対向する。
【0017】
26は第1の傾斜通路16の第1のシャッタ21よりも媒体転動方向下流側に設けられた第1のセンサであって、この第1のセンサ26によって媒体Zが通過したことが検出されると、この検出情報がセンサ制御部34からCPU36に入力される。CPU36では、シャッタ制御部35によって図示を省略したソレノイドが作動することにより第1のシャッタ21が第1の傾斜通路18内に進出し、次の媒体Zの第1の傾斜通路16内への投入が規制される。
【0018】
27は第1の傾斜通路16の左側に設けられた第2のセンサであって、第1の情報処理部14によって残額が「0」に処理された媒体Zが通過したことを検出する。また、この第2のセンサ27では、媒体搬送路12内に蓄積された媒体Zが満杯状態であることも検出し、満杯状態であることが検出されるとセンサ制御部34によってCPU36に検出信号が入力される。CPU36では表示パネル制御部32を起動させ図示を省略した表示パネルに満杯であることを表示する。28は第2の傾斜通路18の左端側に設けられた第3のセンサであって、第4のシャッタ24に係止される媒体Zが無い状態、すなわち、媒体搬送路12内に媒体が蓄積されていない状態を検知する。そして、第4のシャッタ24に媒体Zが係止されていない状態がこの第3のセンサ28によって検出されると、センサ制御部34によってCPU36に検出信号が入力される。CPU36では表示パネル制御部32を起動させ図示を省略した表示パネルに、第2の情報処理部15によって情報処理する媒体Zが無いことを表示する。29は第2の傾斜通路18の中央部に設けられた第4のセンサであって、第5のシャッタ25によって係止されている媒体Zの有無を検出する。
【0019】
図2において、31は紙幣識別機制御部であって、紙幣識別機2内に挿入された紙幣を識別した結果、真札でない場合に紙幣挿入口2から返却するように制御し、真札である場合に紙幣の額面情報をCPU36に入力し、入力された額面情報はメモリ部33に記憶される。32は表示パネル制御部であって、媒体投入口11から投入された媒体Zが保有する金額情報や媒体Zの処理状況等をCPU36に入力し、入力されたこれらの情報は遊技台用台間機1が取り付けられる遊技台に設けられた表示パネル(いずれも図示せず)に表示される。
【0020】
メモリ部33には、媒体投入口11から投入された媒体Zに記録され第1の情報処理部14によって読み取られた金額情報が格納され、このメモリ部33に格納された金額情報は、CPU36によって第2の情報処理部15に移行される。したがって、このメモリ部33とCPU36とが、第1の情報処理部14によって媒体Zを処理した情報を第2の情報処理部15に移行させる情報移行手段を形成している。また、紙幣識別機3において識別された紙幣の額面情報はメモリ部33に格納され、CPU36を介して第2の情報処理部15に入力され、この第2の情報処理部15によって額面情報が媒体Zに書き込まれる。したがって、メモリ部33とCPU36が紙幣識別機3とによって、識別された紙幣の額面情報を第2の情報処理部15に入力する入金処理手段を形成している。
【0021】
次に、主に図3ないし図6を用いて媒体の処理動作を説明する。先ず、既に利用者が媒体Zを保有しており、この保有している媒体Zを使用して遊技台を使用する場合を説明する。図1において、予め第1のシャッタ21が第1の傾斜通路16から退避し、第2のシャッタ22および第3のシャッタ23が第1の傾斜通路16内に進出している。また、第4のシャッタ24が第2の傾斜通路18内に進出し、鉛直通路17内に複数枚の媒体Zが蓄積されており、第5のシャッタ25が第2の傾斜通路18内に進出し、この第5のシャッタ25に1枚の媒体Z2が係止されている。
【0022】
この状態で、媒体投入口11から媒体Z1が投入されると(S1)、投入された媒体Z1は第1の傾斜通路16内を径方向に転動し、第1のセンサ26を通過すると、第1のシャッタ21が第1の傾斜通路16内に進出するため、媒体投入口11から第1の傾斜通路16内への次の媒体Zの投入が規制される。投入された媒体Z1は第2のシャッタ22と第3のシャッタ23とによって係止され、この投入された媒体Z1を第1の情報処理部14によって確認する(S2)。
【0023】
S3において、第1の情報処理部14による媒体Z1の確認の結果、媒体Z1が第1の情報処理部14によって処理不能である不良媒体である場合は、第2のシャッタ22が第1の傾斜通路16から退避し、媒体Z1は媒体返却通路19を転動し第2の媒体返却口20から返却される(S4)。S5において、第1のシャッタ21が第1の傾斜通路16から退避し、第2のシャッタ22が第1の傾斜通路16内に進出し、次の媒体Zを媒体投入口11から投入可能な状態となるとともに、第2のシャッタ22が第1の傾斜通路16内に進出する。
【0024】
一方、S3において、第1の情報処理部14による媒体Z1の確認の結果、媒体Z1が正常な媒体であることが確認されると、S6において媒体Z1の残高の確認を実施する。S7において残高の確認の結果、残高が無しと判定された場合は第3のシャッタ23が第1の傾斜通路16から退避し、媒体Z1は第1の傾斜通路16内を径方向に転動し鉛直通路17内に蓄積される(S8)。S5において、第1のシャッタ21が第1の傾斜通路16から退避し、第2のシャッタ22が第1の傾斜通路16内に進出し、次の媒体Zを媒体投入口11から投入可能な状態となる。
【0025】
S7において残高の確認の結果、残高が有りと判定されると、S9においてZ1の残高情報を第5のシャッタ25によって係止されている媒体Z2へ移し替える。すなわち、媒体Z1に記録された残高情報が第1の情報処理部14によって読み取られメモリ部33に格納され、このメモリ部33に格納された残高情報は、CPU36によって第2の情報処理部15に移行される。
【0026】
S10において、移行処理の結果、媒体Z2に残高情報が移行できなかった場合は、表示パネル制御部32が作動し、図示を省略した表示パネルにエラーが表示される(S11)。一方、S10において、移行処理の結果、媒体Z2に残高情報が移行できた場合は、表示パネル制御部32が作動し、図示を省略した表示パネルに正常に移行したことが表示され(S11)、S12において媒体残高移行処理が終了する。
【0027】
この状態で、利用者が遊技台を使用することにより媒体Z2の消費処理が発生する場合は(S15)、第2の情報処理部15によって消費に応じた媒体Z2の減額処理を行い(S16)、S17において消費処理を実施した結果、消費額処理が正常に行われなかった場合は、表示パネル制御部32が作動し、図示を省略した表示パネルにエラー表示をする(S18)。一方、S17において消費処理を実施した結果、消費処理が正常に行われた場合は、表示パネル制御部32が作動し、図示を省略した表示パネルに消費が正常に処理されたことを表示し(S19)、S20において消費処理が終了する。
【0028】
ここで、利用者が媒体Z2の残高を増加させるために入金処理を行う場合は、図6において、紙幣挿入口2から紙幣を紙幣識別機3に挿入し、紙幣識別機制御部31では紙幣の真贋を識別し、真札である場合は入金処理が発生し(S35)、紙幣の額面情報が制御部36に入力され、入力された額面情報はメモリ部33に格納される。S36において、メモリ部33に記憶された額面情報が第2の情報処理部15によって、第5のシャッタ25によって係止されている媒体Z2に書込む入金処理が行われる。
【0029】
S37において入金処理を実施した結果、入金処理が正常に行われなかった場合は、表示パネル制御部32が作動し、図示を省略した表示パネルにエラー表示をする(S38)。一方、S37において入金処理を実施した結果、入金処理が正常に行われた場合は、表示パネル制御部32が作動し、図示を省略した表示パネルに入金処理が正常に行われたことを表示し(S39)、S40において、入金処理が終了する。
【0030】
この状態で、再び利用者が遊技台を使用することにより媒体Z2の消費処理が発生する場合は(S15)、第2の情報処理部15によって消費に応じた媒体Z2の消費処理を行い(S16)、S17において消費処理を実施した結果、消費処理が正常に行われなかった場合は、表示パネル制御部32が作動し、図示を省略した表示パネルにエラー表示をする(S18)。一方、S17において消費処理を実施した結果、消費処理が正常に行われた場合は、表示パネル制御部32が作動し、図示を省略した表示パネルに減額が正常に処理されたことを表示し(S19)、S20において、消費処理が終了する。
【0031】
この状態で、利用者が遊技台の使用を終了し、媒体Z2の返却処理が発生(S25)する場合は、S26において媒体Z2の残額を第2の情報処理部15によって読取り、その残額に応じて返却処理を決定する(S26)。すなわち、第2の情報処理部15によって読み取った結果、S27において残額が無しと判定された場合は、第5のシャッタ25によって媒体Z2は係止されたままの状態を保ち、媒体返却口13には返却されない。
【0032】
一方、第2の情報処理部15によって読み取った結果、S27において残額が有りと判定された場合は、第5のシャッタ25が第2の傾斜通路18から退避し、媒体Z2は第2の傾斜通路18内を径方向に転動し、媒体返却口13から返却される(S28)。S29において媒体Z2の返却処理が正常に行われなかった場合は、表示パネル制御部32が作動し、図示を省略した表示パネルにエラーが表示される(S30)。
【0033】
S29において媒体Z2の返却処理が正常に行われた場合は、S31において、第5のシャッタ25を第2の傾斜通路18内に進出させ、第4のシャッタ24を第2の傾斜通路18から退避および進出させる。これにより鉛直通路17に蓄積されている複数の媒体Zの内、最下方の媒体Z3が第2の傾斜通路18内を径方向に転動し第5のシャッタ25に係止するとともに、第1のシャッタ21を第1の傾斜通路16から退避させ、媒体投入口11から媒体Zの投入を可能にし、返却処理が終了する(S32)。
【0034】
次に、図5および図6を用いて、媒体に入金処理をした上で媒体を発行するための処理動作を説明する。図6において、紙幣挿入口2から紙幣が紙幣識別機3に挿入されると、紙幣識別機制御部31では紙幣の真贋を識別し、真札である場合は入金処理が発生し(S35)、紙幣の額面情報が制御部36に入力され、入力された額面情報はメモリ部33に格納される。S36において、メモリ部33に記憶された額面情報が第2の情報処理部15によって、第5のシャッタ25によって係止されている媒体Z2に書込む入金処理が行われる。
【0035】
S37において入金処理を実施した結果、入金処理が正常に行われなかった場合は、表示パネル制御部32が作動し、図示を省略した表示パネルにエラー表示をする(S38)。一方、S37において入金処理を実施した結果、入金処理が正常に行われた場合は、表示パネル制御部32が作動し、図示を省略した表示パネルに入金処理が正常に行われたことを表示し(S39)、S40において、入金処理が終了する。
【0036】
次いで、S25において媒体Z2の発行処理が発生し、S26において媒体Z2の残額を第2の情報処理部15によって読取り、その残額に応じて発行処理を決定する(S26)。すなわち、第2の情報処理部15によって読み取った結果、S27において残額が無しと判定された場合は、第5のシャッタ25によって媒体Z2は係止されたままの状態を保ち、媒体返却口13から発行されない。
【0037】
一方、第2の情報処理部15によって読み取った結果、S27において残額が有りと判定された場合は、第5のシャッタ25が第2の傾斜通路18から退避し、媒体Z2は第2の傾斜通路18内を径方向に転動し、媒体返却口13から発行される(S28)。S29において媒体Z2の発行処理が正常に行われなかった場合は、表示パネル制御部32が作動し、図示を省略した表示パネルにエラーが表示される(S30)。
【0038】
S29において媒体Z2の発行処理が正常に行われた場合は、S31において、第5のシャッタ25を第2の傾斜通路18内に進出させ、第4のシャッタ24を第2の傾斜通路18から退避および進出させる。これにより鉛直通路17に蓄積されている複数の媒体Zの内、最下方の媒体Z3が第2の傾斜通路18内を径方向に転動し第5のシャッタ25に係止するとともに、第1のシャッタ21を第1の傾斜通路16から退避させ、媒体投入口11から媒体Zの投入を可能にし、発行処理が終了する(S32)。
【0039】
このように、媒体投入口11から投入された媒体Z1の情報を、情報移行手段を介して予め媒体搬送通路12内に蓄積された媒体Z2に移し替えることができるため、媒体搬送通路12内に蓄積された媒体Zを使用して媒体Zの発行と消費との両方を行うことができる。また、媒体投入口11から投入され情報が移し替えられた非接触型IC媒体Z1を媒体搬送通路12内に蓄積することができるため、媒体を発行するための専用の蓄積通路を設ける必要がないから装置の小型化と簡素化を図ることができる。また、媒体投入口11から投入された媒体Zを媒体搬送通路12中を往復させることなく第1の媒体返却口13へ一方向に搬送させる構造であるため、媒体Zの詰まりを防止することができる。また、媒体Zの自重によって媒体搬送通路12中を搬送させるため、搬送用の駆動手段が不要になるため部品点数の削減と構造の簡素化を図ることができる。また、媒体Zを径方向に転動させるようにしたことにより装置の幅方向を薄型化を図ることができる。
【0040】
なお、本実施の形態においては、媒体搬送通路12内を媒体Zの自重によって媒体Zを径方向に転動させるようにしたが、媒体投入口11と第1の媒体返却口13との間を、モータを駆動源として走行するベルト等の搬送手段によって媒体Zを搬送させるようにしてもよく、その場合には媒体Zを必ずしも円板状を呈するものではなくカード状を呈するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る非接触型IC媒体処理装置を示し、同図(A)は概略の構成を示す側面図、同図(B)は正面図である。
【図2】本発明に係る非接触型IC媒体処理装置のブロック図である。
【図3】本発明に係る非接触型IC媒体処理装置において、媒体の残高情報を移行させる処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明に係る非接触型IC媒体処理装置処理動において、消費処理の発生にともない媒体に対する消費処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明に係る非接触型IC媒体処理装置において、媒体の発行/返却処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明に係る非接触型IC媒体処理装置において、媒体への入金処理動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
1…遊技台用台間機、3…紙幣識別機、4…非接触型IC媒体処理装置、11…媒体投入口、12…媒体搬送通路、13…第1の媒体返却口、14…第1の情報処理部、15…第2の情報処理部、16…第1の傾斜通路、17…鉛直通路(媒体蓄積部)、18…第2の傾斜通路、19…媒体返却通路、20…第2の媒体返却口、21…第1のシャッタ、22…第2のシャッタ、23…第3のシャッタ、24…第4のシャッタ、25…第5のシャッタ、26…第1のセンサ、27…第2のセンサ、28…第3のセンサ、29…第4のセンサ、31…紙幣識別機制御部、33…メモリ部、36…CPU、Z,Z1,Z2,Z3…非接触型IC媒体。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型IC媒体を投入する媒体投入口と、この媒体投入口から投入された非接触型IC媒体が搬送される媒体搬送通路と、この媒体搬送通路の終端に設けられ非接触型IC媒体を返却する媒体返却口と、前記媒体搬送通路の前記媒体投入口近傍に設けられ非接触型IC媒体の情報を処理する第1の情報処理部と、前記媒体搬送通路の前記媒体返却口近傍に設けられ非接触型IC媒体の情報を処理する第2の情報処理部と、この第2の情報処理部に前記第1の情報処理部で処理した情報を移行させる情報移行手段とを備えたことを特徴とする非接触型IC媒体処理装置
【請求項2】
請求項1記載の非接触型IC媒体処理装置において、
前記非接触型IC媒体を円板状に形成し、前記媒体投入口から投入された非接触型IC媒体が自重によって径方向に転動する前記媒体搬送通路を設けたことを特徴とする非接触型IC媒体処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の非接触型IC媒体処理装置において、
前記媒体搬送通路に非接触型IC媒体を径方向に蓄積する媒体蓄積部を設けたことを特徴とする非接触型IC媒体処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の非接触型IC媒体処理装置において、
貨幣を識別する貨幣識別機を備え、この貨幣識別機によって識別された貨幣の額面情報を前記第2の情報処理部に入力する入金処理手段を設けたことを特徴とする非接触型IC媒体処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−92453(P2006−92453A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−279858(P2004−279858)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】