説明

非水性液体コーティング組成物

少なくとも1種のエポキシ官能性結合剤Aおよび少なくとも1種のカルボキシル官能性架橋樹脂Bを含有する非水性液体コーティング組成物であって、前記少なくとも1種の架橋樹脂Bが40〜180℃の溶融温度を有する粒子として存在する非水性液体コーティング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ官能性成分およびカルボキシル官能性架橋剤を含有する新規非水性液体コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ官能性成分およびカルボキシル官能性架橋剤に基づく非水性液体コーティング組成物は、例えば、米国特許第5,686,532号明細書、米国特許第6,555,176B1号明細書、米国特許第6,743,867B1号明細書およびProgress in Organic Coatings、43(2001)、頁123〜130から知られている。
【0003】
エポキシ官能性成分およびカルボキシル官能性架橋剤に基づくそれ自体既知の非水性液体コーティング組成物が今までの従来のカルボキシル官能性架橋剤に加えてまたは前記架橋剤の代わりに、カルボキシル基を有する特定の種類の樹脂を含有する場合、前記組成物が改善され得ることが今見出された。このようにして、例えば、(同じかまたは若干より高い塗布粘度でさえ)コーティング組成物のより高い固体含有率、(高温でさえ)改善されたサッギング特性およびコーティング組成物により製造されたコーティング層の改善された技術特性、特に良好な耐石衝撃性および良好な耐引掻性を達成することが可能である。特に、コーティング組成物の傑出した貯蔵安定性を達成することが可能である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のエポキシ官能性結合剤Aおよび唯一のカルボキシル官能性架橋成分として少なくとも1種のカルボキシル官能性架橋樹脂B(以降明細書中、および請求項内における簡略のための「樹脂B」も同様)を含有する非水性液体コーティング組成物であって、前記少なくとも1種の架橋樹脂Bが40〜180℃、特に60〜160℃の溶融温度を有する粒子として存在する非水性液体コーティング組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の第2の実施形態において、上述したコーティング組成物、すなわち、本発明の第1の実施形態に対応するコーティング組成物は、室温で固体ではない、および/または溶解形態で存在する少なくとも1種のカルボキシル官能性架橋剤Cを更に含有する。従って、第2の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のエポキシ官能性結合剤A、少なくとも1種のカルボキシル官能性架橋樹脂Bおよび少なくとも1種のカルボキシル官能性架橋剤Cを含有する非水性液体コーティング組成物であって、少なくとも1種の架橋樹脂Bが40〜180℃、特に60〜160℃の溶融温度を有する粒子として存在し、少なくとも1種の架橋剤Cが室温で固体ではない、および/または溶解形態で存在する非水性液体コーティング組成物に関する。
【0006】
本発明によるコーティング組成物は液体であり、有機溶媒を含有するとともに、例えば40〜85重量%、好ましくは45〜75重量%の固体含有率を有する。
【0007】
コーティング組成物の固体分は、樹脂固体分および任意選択の成分:顔料、充填剤(増量剤)および不揮発性添加剤からなる。
【0008】
本発明の第1の実施形態に対応するコーティング組成物の樹脂固体分は、少なくとも1種のエポキシ官能性結合剤Aを含む結合剤固体分と少なくとも1種のカルボキシル官能性架橋樹脂Bとを含む。特に、コーティング組成物の樹脂固体分は、30〜80、好ましくは50〜80重量%の少なくとも1種のエポキシ官能性結合剤A、20〜70、好ましくは20〜50重量%の少なくとも1種の架橋樹脂Bおよび0〜30重量%の1種以上の成分Dからなり、ここで、重量%は合計して100重量%になる。樹脂固体分が成分Dを全く含まず、樹脂固体分が、1種以上の結合剤Aからなる30〜80、好ましくは50〜80重量%の結合剤固体分および20〜70、好ましくは20〜50重量%の少なくとも1種の架橋樹脂Bからなることが好ましい。ここで、重量%は合計して100重量%になる。
【0009】
本発明の第2の実施形態に対応するコーティング組成物の樹脂固体分は、少なくとも1種のエポキシ官能性結合剤Aと、各々がカルボキシル基を有する成分BおよびCからなるカルボキシル成分とを含む結合剤固体分を含む。特に、コーティング組成物の樹脂固体分は、30〜80、好ましくは50〜80重量%の少なくとも1種の結合剤Aと、20〜70、好ましくは20〜50重量%の成分BおよびCからなるカルボキシル成分と、0〜30重量%の1種以上の成分Dとからなる。ここで、重量%は合計して100重量%になる。樹脂固体分が成分Dを全く含まず、樹脂固体分が、30〜80、好ましくは50〜80重量%の1種以上の結合剤Aからなる結合剤固体分と、20〜70、好ましくは20〜50重量%の成分BおよびCからなるカルボキシル成分とからなることが好ましい。ここで、重量%は合計して100重量%になる。
【0010】
コーティング組成物の第2の実施形態によるカルボキシル成分は、10〜100重量%未満、好ましくは20〜60重量%の少なくとも1種のカルボキシル官能性架橋樹脂Bおよび官能性架橋樹脂C0超〜90重量%、好ましくは40〜80重量%の少なくとも1種のカルボキシルからなる。ここで、重量%は合計して100重量%になる。本発明の第2の実施形態に対応するコーティング組成物中の少なくとも1種のカルボキシル官能性架橋樹脂Cからのカルボキシル基と少なくとも1種の架橋樹脂Bからのカルボキシル基との間のモル比は、例えば、20:1〜0.1:1である。
【0011】
本発明によるコーティング組成物は少なくとも1種のエポキシ官能性成分Aを含有する。エポキシ官能性成分Aは室温で固体ではなくて、例えば、液体、および/または有機溶媒(混合物)に可溶性である。有機溶媒(混合物)に可溶性であるエポキシ官能性成分Aは、有機溶媒を含有するコーティング組成物中で溶解形態で存在する。エポキシ官能性成分Aは、分子当たり少なくとも2個のエポキシ基および例えば、200〜700、好ましくは250〜500、特に300〜400の計算エポキシ当量を有する化合物を含む。
【0012】
エポキシ官能性成分Aの例は、従来のジエポキシドまたはポリエポキシド、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAまたはグリセロールのトリグリシジルエーテルに基づくポリグリシジルエーテルである。ジエポキシドまたはポリエポキシドの更なる例は、ジグリシジルエステルまたはポリグリシジルエステルに基づくものである。これらの例は、フタル酸ビス(2,3−エポキシプロピルエステル)またはテレフタル酸ビス(2,3−エポキシプロピルエステル)を形成させるために1−ヒドロキシ−2,3−エポキシプロパンとフタル酸またはテレフタル酸から調製された反応生成物、または例えば500〜2000の数平均分子量を有するポリエステルを形成させるビスフェノールAと無水トリメリット酸のジグリシジルエーテルである。
【0013】
本説明および請求の範囲の中で記載されたすべての数平均分子量データは、ゲル透過グロマトグラフィ(GPC;不動層としてジビニルベンゼン架橋ポリスチレン、液相としてテトラヒドロフラン、ポリスチレン標準)によって決定されたか、または決定されるべき数平均分子量である。
【0014】
好ましいエポキシ官能性成分Aは、分岐または非分岐の分子構造を有する従来のエポキシ官能性(メタ)アクリルコポリマー、特にグリシジル(メタ)アクリレートコポリマーである。こうしたエポキシ官能性(メタ)アクリルコポリマーは、例えば、米国特許第6,555,176B1号明細書において好ましい成分B1)として、および米国特許第6,743,867B1号明細書において成分B)としてより詳しく記載されている。
【0015】
本発明の第1の実施形態および第2の実施形態に対応するコーティング組成物中に含まれる少なくとも1種のカルボキシル官能性架橋樹脂Bは、本発明の第2の実施形態に対応するコーティング組成物中にのみ含まれる少なくとも1種のカルボキシ官能性架橋剤Cとは異なり、従って、互いに混同されるべきではない。
【0016】
少なくとも1種の樹脂Bは、特に非球形状を有する粒子として組成物中に存在し、40〜180℃、特に60〜160℃の溶融温度を有する。溶融温度は一般的な明確な融点ではなく、むしろ例えば30〜150℃の幅を有する溶融範囲の上端である。溶融範囲および従って溶融温度は、10K/分の加熱速度で例えばDSC(示差走査熱分析)によって決定してもよい。少なくとも1種の樹脂Bのカルボキシル基から由来する酸価は、例えば、KOH/gの50〜350mgの範囲内である。
【0017】
樹脂Bはコーティング組成物に不溶性または実質的に不溶性であり、粒子としてコーティング組成物中に存在する。樹脂Bはコーティング中で従来の有機溶媒に可溶性であったとしても非常にごく僅かのみである。溶解度は、20℃で例えば10未満、特に5g/リットル酢酸ブチル未満になる。
【0018】
カルボキシル官能性架橋剤Bは、例えば、対応するポリエステル樹脂Bまたは好ましくは対応するポリウレタン樹脂Bを含んでもよい。
【0019】
好ましいカルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bを製造する方法は当業者に知られている。カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bは、例えば、ポリイソシアネートとポリオールと、例えば、アミノカルボン酸および特にヒドロキシカルボン酸などのイソシアネートにより付加できる少なくとも1つの基を有するカルボン酸とを反応させることにより製造してもよい。ジメチルプロピオン酸またはジメチロール酪酸などのイソシアネートにより付加できる2つ以上の基を有するカルボン酸を用いる場合、側方カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂Bが製造され得る。
【0020】
末端カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂Bは特に好ましい。こうしたポリウレタン樹脂Bは、ポリオールを過剰のポリイソシアネートと反応させ、そして過剰の遊離イソシアネート基を、例えば、モノアミノカルボン酸および特にモノヒドロキシカルボン酸などのイソシアネートにより付加できる1つの基を有する1種以上のカルボン酸と反応させることにより製造してもよい。
【0021】
末端カルボキシル基を有する特に好ましいポリウレタン樹脂Bを製造する更なる方法は、例えば、ポリイソシアネートを過剰のポリオールと反応させ、そして過剰のヒドロキシル基を環式無水カルボン酸と反応させることである。
【0022】
カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bを製造するために適するポリオールは、経験的構造式によって規定された低分子量化合物の形を取ったポリオールのみでなく、例えば、800以下の数平均分子量を有する低分子量ポリオールまたは高分子ポリオール、例えば、対応するヒドロキシル官能性ポリエーテル、ヒドロキシル官能性ポリエステルまたはヒドロキシル官能性ポリカーボネートでもある。しかし、経験的構造式によって規定された低分子量ポリオールは好ましい。当業者は、上述した溶融温度および上述した溶解度挙動を有するポリウレタン樹脂Bを得るような方式でカルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bを製造するためのポリイソシアネート、ポリオールおよびイソシアネートまたはポリイソシアネートにより付加できる少なくとも1つの基を有するカルボン酸、ポリオールおよび環式無水カルボン酸の性質および比率を選択する。
【0023】
カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bは、適する有機溶媒(混合物)の存在下で製造してもよい。しかし、有機溶媒は、この方式で得られたポリウレタン樹脂Bを分離することを必要にするか、またはポリウレタン樹脂Bから溶媒を除去することを必要にする。しかし、好ましくは、ポリウレタン樹脂Bの製造は、溶媒なしで且つ後続の精製操作なしで行われる。
【0024】
カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bおよびその製造の好ましい変形を以下でより詳細に記載する。
【0025】
第1の好ましい変形において、カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bは、1,6−ヘキサンジイソシアネートをジオール成分と、およびイソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸とモル比x:(x−1):2(xは2〜6、好ましくは2〜4の任意の所望の値を意味する)で反応させることによって調製可能な末端カルボキシル基を有する線状ポリウレタンである。ここで、ジオール成分は、62〜600の範囲内の分子量を有する1つの単一ジオール、特に1つの単一(シクロ)脂肪族ジオール、またはジオールの組み合わせ、好ましくは2〜4種の組み合わせ、特に2または3種のジオールの組み合わせであり、ここでジオール組み合わせの場合、ジオールの各々は、好ましくは、ジオール成分のジオールの少なくとも10モル%を構成する。ジオール組み合わせの場合、ジオールの少なくとも70モル%、特に100モル%が62〜600の範囲内の分子量を各々が有する(シクロ)脂肪族ジオールであることが好ましい。
【0026】
本説明および請求の範囲で用いられた「(シクロ)脂肪族」という用語は、脂環式、線状脂肪族、分岐脂肪族および脂肪族残基を有する脂環式を包含する。従って、(シクロ)脂肪族ジオールとは異なるジオールは、芳香族的におよび/または脂肪族的に結合されたヒドロキシル基を有する芳香族ジオールまたはアラ脂肪族(araliphatic)ジオールを含む。1つの例はビスフェノールAである。(シクロ)脂肪族ジオールとは異なるジオールは、例えば800以下の数平均分子量を有する低分子ジオールまたは高分子ジオール、例えば、対応するポリエーテルジオール、ポリエステルジオールまたはポリカーボネートジオールを更に含んでもよい。
【0027】
1,6−ヘキサンジイソシアネート、ジオール成分およびイソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸は、モル比xモルの1,6−ヘキサンジイソシアネート、x−1モルのジオールおよび2モルの、イソシアネートにより付加できる1つの基を有するカルボン酸で互いに化学量論的に反応する(xは2〜6、好ましくは2〜4の所望のいずれかの値を意味する)。
【0028】
62〜600の範囲内の分子量を有する1つの単一ジオール、特に1つの単一(シクロ)脂肪族ジオールはジオール成分として用いられる。ジオールの組み合わせ、好ましくは2種〜4種、特に2種または3種のジオールの組み合わせを用いることも可能である。ここで、ジオールの各々は、好ましくは、ジオール成分のジオールの少なくとも10モル%を構成し、ジオールの少なくとも70モル%、特に100モル%が、62〜600の範囲内の分子量を各々が有する(シクロ)脂肪族ジオールであることが更に好ましい。
【0029】
ジオールの組み合わせの場合、ジオール成分は、その成分ジオールの混合物として導入してもよいか、またはジオール成分を構成するジオールは個々に合成に導入してもよい。混合物としてジオールの一部を導入することも、純ジオールの形態を取った残りの部分を導入することも可能である。
【0030】
ジオール成分の1つの単一ジオールとして可能であるジオールの例は、エチレングリコール、異性体のプロパンジオールおよびブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAおよび二量体脂肪アルコールである。
【0031】
ジオール成分の構成成分として可能であるジオールの例は、低分子ジオールまたは高分子ジオールの代表として例えば800以下の数平均分子量を各々が有するテレケリック(メタ)アクリルポリマージオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、経験的構造式によって規定された低分子量非(シクロ)脂肪族ジオールの代表としてのビスフェノールA、およびエチレングリコール、異性体のプロパンジオールおよびブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、異性体のシクロヘキサンジオール、異性体のシクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、トリシクロデカンジメタノール、ならびに62〜600の範囲内の低分子量を有する経験的構造式によって規定された(シクロ)脂肪族ジオールの代表としての二量体脂肪アルコールである。
【0032】
好ましくは、イソシアネートにより付加できる1つの基を有する唯一のカルボン酸が用いられる。イソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸の例は、例えば、グリコール酸(ヒドロキシ酢酸)、マレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、またはモノエポキシ化合物とジカルボン酸の1:1付加体、例えば、ジカルボン酸を有するグリシジルバーサテートなどのグリシジルエーテルまたはグリシジルエステルの対応する付加体などの特にモノヒドロキシカルボン酸である。
【0033】
1,6−ヘキサンジイソシアネート、ジオール成分のジオールおよびイソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸は、好ましくは、溶媒の存在しない状態で互いに反応する。反応物は、同時にまたは2つ以上の合成段ですべてここで互いに反応させてもよい。合成を多段で行う時、最も異なる順序で、例えば連続方式でまたは交互方式で反応物を添加してもよい。例えば、イソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸と1,6−ヘキサンジイソシアネートを初期的に反応させ、その後、ジオール成分のジオールと反応させてもよいか、またはジオール成分のジオールと初期的に反応させ、その後、イソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸と反応させてもよい。しかし、ジオール成分を例えば、2つ以上の部分に分割し、例えば、個々のジオールに分割し、1,6−ヘキサンジイソシアネートをジオール成分の部分と初期的に反応させた後、イソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸と更に反応させ、最後にジオール成分の残りの部分と反応させるようにしてもよい。個々の反応物は各場合全体的にまたは2つ以上の分割で添加してもよい。反応は発熱であり、反応混合物の溶融温度より高い温度で進行する。反応温度は、例えば、60〜200℃である。従って、添加の速度または添加された反応物の量は発熱度に基づいて決定され、液体(溶融)反応混合物を加熱または冷却によって所望の温度範囲内で維持してもよい。
【0034】
溶媒の存在しない状態で行われた反応が一旦完了し、反応混合物が冷えてしまうと、末端カルボキシル基を有する固体線状ポリウレタンが得られる。末端カルボキシル基を有する線状ポリウレタンの合成のために経験的構造式によって規定された低分子量ジオールを用いる時、用いられた唯一のモノヒドロキシカルボン酸として12−ヒドロキシステアリン酸の例で計算された低分子量ジオールの分子量は、998以上、例えば、2500以下の範囲内である。
【0035】
末端カルボキシ基を有する線状ポリウレタンは、分子量分布を示す混合物の形態を取る。しかし、こうした線状ポリウレタンは手を加えることを必要とせず、カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bとして直接用いてもよい。
【0036】
第2の好ましい変形において、カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bは、ジイソシアネート成分と、ジオール成分と、イソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸とをモル比x:(x−1):2(xは2〜6、好ましくは2〜4の任意の所望の値を意味する)で反応させることにより調製可能な末端カルボキシル基を有する線状ポリウレタンである。ここで、ジイソシアネート成分の50〜80モル%は1,6−ヘキサンジイソシアネートによって形成され、20〜50モル%は、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネートおよびテトラメチレンキシリレンジイソシアネートからなる群から選択される1種または2種のジイソシアネート(各々はジイソシアネート成分の少なくとも10モル%を形成する)によって形成され、ここで、それぞれのジイソシアネートのモル%が合計して100モル%であり、また、ジオール成分の20〜100モル%は少なくとも1つの線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールによって形成され、0〜80モル%は、線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールとは異なる少なくとも1種のジオールによって形成され、ジオール成分の各ジオールは、好ましくはジオール成分内で少なくとも10モル%を形成し、ここで、それぞれのジオールのモル%が合計して100モル%である。
【0037】
ジイソシアネート成分、ジオール成分およびイソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸は、モル比xモルのジイソシアネート、x−1モルのジオールおよび2モルの、イソシアネートにより付加できる1つの基を有するカルボン酸で互いに化学量論的に反応する(xは2〜6、好ましくは2〜4のいずれかの値を表す)。
【0038】
ジイソシアネート成分の50〜80モル%は1,6−ヘキサンジイソシアネートによって形成され、20〜50モル%は、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネートおよびテトラメチレンキシリレンジイソシアネートからなる群から選択される1種または2種のジイソシアネートによって形成される。ここで、2種のジイソシアネートが選択される場合、各ジイソシアネートはジイソシアネート成分のジイソシアネートの少なくとも10モル%を形成する。好ましくは、ジイソシアネートまたはジイソシアネート成分の合計で20〜50モル%を形成させる2種のジイソシアネートは、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネートおよびテトラメチレンキシリレンジイソシアネートから選択される。
【0039】
ジオール成分は、20〜100モル%の範囲の少なくとも1種の線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールおよび0〜80モル%の範囲の、線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールとは異なる少なくとも1種のジオールからなる。ジオール成分は、好ましくは、4種以下の異なるジオール、特に1〜3種のジオールからのみなる。唯一のジオールの場合、ジオールは、従って、線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールを含む。2種、3種または4種のジオールの組み合わせの場合、ジオール成分は、20〜100モル%の範囲、好ましくは80〜100%の範囲の少なくとも1種の線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールおよび0〜80モル%の範囲、好ましくは0〜20モル%の範囲の、線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールとは異なる、好ましくは、12個を上回る炭素原子を有するアルファ,オメガ−ジオールとも異なる少なくとも1種のジオールからなる。線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールおよび好ましくは12個を上回る炭素原子を有するアルファ,オメガ−ジオールとも異なる少なくとも1種のジオールは、経験的構造式によって規定されるとともに76〜600の低い分子量を有する特に(シクロ)脂肪族ジオールを含む。可能な非(シクロ)脂肪族ジオールの割合は、好ましくはジオール成分のジオールの30モル%以下になる。ジオールの組み合わせの場合、各ジオールは、好ましくは、ジオール成分の少なくとも10モル%を構成する。
【0040】
好ましくは、ジオール成分は非(シクロ)脂肪族ジオールを全く含まない。最も好ましくは、ジオール成分は、線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールとは異なるジオールを全く含まないが、むしろ、1種〜4種、好ましくは1種〜3種、特に唯一の線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールからなる。
【0041】
ジオールの組み合わせの場合、ジオール成分は、その成分ジオールの混合物として導入してもよいか、またはジオール成分を構成するジオールは個々に合成に導入してもよい。混合物としてジオールの一部を導入することも、純ジオールの形態を取った残りの部分を導入することも可能である。
【0042】
1種の単一ジオールまたはジオール成分の構成成分として用いてもよい線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールの例は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12ドデカンジオールである。
【0043】
線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールとは異なるとともにジオール成分中で用いてもよいジオールの例は、低分子ジオールまたは高分子ジオールの代表として例えば、800以下の数平均分子量を各々が有するテレケリック(メタ)アクリルポリマージオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール;、経験的構造式によって規定された低分子量非(シクロ)脂肪族ジオールの代表としてのビスフェノールA、および先のパラグラフで指定されたプロパンジオールおよびブタンジオールの異性体とは異なるプロパンジオールおよびブタンジオールの異性体、ならびにネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、異性体のシクロヘキサンジオール、異性体のシクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、トリシクロデカンジメタノールおよび76〜600の範囲内の低分子量を有する経験的構造式によって規定された(シクロ)脂肪族ジオールの代表としての二量体脂肪アルコールである。
【0044】
好ましくは、イソシアネートにより付加できる1つの基を有する唯一のカルボン酸が用いられる。イソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸の例は、カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bの第1の好ましい変形において例として上で記載されたのと同じである。
【0045】
ジイソシアネート成分のジイソシアネート、ジオール成分のジオールおよびイソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸は、好ましくは溶媒の存在しない状態で互いに反応する。反応物は、同時にまたは2つ以上の合成段ですべてここで互いに反応させてもよい。合成を多段で行う時、最も異なる順序で、例えば連続方式でもまたは交互方式でも反応物を添加してもよい。例えば、イソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸とジイソシアネート成分のジイソシアネートを初期的に反応させ、その後、ジオール成分のジオールと反応させてもよいか、またはジオール成分のジオールと初期的に反応させ、その後、イソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸と反応させてもよい。しかし、ジオール成分を例えば、2つ以上の部分に分割し、例えば、個々のジオールに分割し、例えば、ジイソシアネート成分のジイソシアネートをジオール成分の部分と初期的に反応させた後、イソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸と更に反応させ、最後にジオール成分の残りの部分と反応させるようにしてもよい。しかし、非常に似た方式で、ジイソシアネート成分も例えば、2つ以上の部分、例えば、個々のジイソシアネートに分割して、例えば、ジオール成分およびイソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸を初期的にジイソシアネート成分の部分と、最後にジイソシアネート成分の残りの部分と反応させるようにしてもよい。個々の反応物は各場合全体的にまたは2つ以上の分割で添加してもよい。反応は発熱であり、反応混合物の溶融温度より高い温度で進行する。反応温度は、例えば60〜200℃である。従って、添加の速度または添加された反応物の量は発熱度に基づいて決定され、液体(溶融)反応混合物を加熱または冷却によって所望の温度範囲内で維持してもよい。
【0046】
一旦溶媒の存在しない状態で行われた反応が完了し、反応混合物が冷えてしまうと、末端カルボキシル基を有する固体線状ポリウレタンが得られる。末端カルボキシル基を有する線状ポリウレタンの合成のために経験的構造式によって規定された低分子量ジオールを用いる時、用いられた唯一のモノヒドロキシカルボン酸として12−ヒドロキシステアリン酸の例で計算された低分子量ジオールの分子量は、996以上、例えば、2500以下の範囲内である。
【0047】
末端カルボキシ基を有する線状ポリウレタンは、分子量分布を示す混合物の形態を取る。しかし、こうした線状ポリウレタンは手を加えることを必要とせず、カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bとして直接用いてもよい。
【0048】
第3の好ましい変形において、カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bは、(シクロ)脂肪族ジイソシアネートの三量体と、1,6−ヘキサンジイソシアネートと、ジオール成分と、イソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸とをモル比1:x:x:3(xは1〜6、好ましくは1〜3の任意の所望の値を意味する)で反応させることにより調製可能な末端カルボキシル基を有する線状ポリウレタンである。ここで、ジオール成分は1つの単一線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールまたは2種〜4種、好ましくは2種〜3種の(シクロ脂肪族)ジオールの組み合わせである。ジオールの組み合わせの場合、ジオールの各々は、ジオールの組み合わせのジオールの少なくとも10モル%を構成し、ジオールの組み合わせは、少なくとも1種の線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールの少なくとも80%からなる。
【0049】
(シクロ)脂肪族ジイソシアネートの三量体、1,6−ヘキサンジイソシアネート、ジオール成分およびイソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸は、モル比1モルの(シクロ)脂肪族ジイソシアネートの三量体、xモルの1,6−ヘキサンジイソシアネート、xモルのジオール、3モルの、イソシアネートにより付加できる1つの基を有するのカルボン酸で互いに化学量論的に反応する。xは1〜6、好ましくは1〜3のいずれかの値を表す。
【0050】
(シクロ)脂肪族ジイソシアネートの三量体は、(シクロ)脂肪族ジイソシアネートの三量体化によって調製されるイソシアヌレートタイプのポリイソシアネートである。例えば、1,4−シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、特にイソホロンジイソシアネート、より特に1,6−ヘキサンジイソシアネートから誘導された適切な三量体化製品は適する。工業的に得ることができるイソシアヌレートポリイソシアネートは、一般に、純三量体、すなわち、3個のジイソシアネート分子から構成され3個のNCO官能基を含むイソシアヌレートに加えて、比較的高い分子量を有するイソシアネート官能性二次製品を含有する。好ましくは、可能な最高の純度を有する製品が用いられる。各場合、工業品質で得ることができる(シクロ)脂肪族ジイソシアネートの三量体は、モル比1モルの(シクロ)脂肪族ジイソシアネートの三量体、xモルの1,6−ヘキサンジイソシアネート、xモルのジオール、3モルの、イソシアネートにより付加できる1つの基を有するのカルボン酸を基準にして前記イソシアネート官能性二次製品の三量体含有率に無関係に純三量体とみなされる。
【0051】
1つの単一線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールまたは2種〜4種、好ましくは2種〜3種の(シクロ脂肪族)ジオールの組み合わせは、ジオール成分として用いられる。ジオールの組み合わせは、好ましくは、2種〜4種、特に2種〜3種の線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールからなる。
【0052】
ジオールの組み合わせ内で用いることが可能である1つの単一線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールまたは線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールの例は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオールである。
【0053】
ジオールの組み合わせの少なくとも80モル%を構成する少なくとも1種の線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールに加えてジオールの組み合わせ内で用いることが可能である(シクロ)脂肪族ジオールの例は、先のパラグラフで列挙したプロパンジオールおよびブタンジオールの異性体とは異なるプロパンジオールおよびブタンジオールの更なる異性体、およびネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、異性体のシクロヘキサンジオール、異性体のシクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAおよびトリシクロデカンジメタノールである。
【0054】
ジオールの組み合わせの場合、組み合わせを構成するジオールの混合物を合成プロセスで用いることが可能であるか、またはジオールの組み合わせを構成するジオールは、それぞれ個々に合成において用いられる。混合物としてのジオールの一部および純ジオールの形態を取った残りの部分を用いることも可能である。
【0055】
ジオールの組み合わせの場合、各場合に合計で100モルになる好ましいジオールの組み合わせは、10〜90モル%の1,3−プロパンジオールと90〜10モル%の1,5−ペンタンジオール、10〜90モル%の1,3−ペンタンジオールと90〜10モル%の1,6−ヘキサンジオールおよび10〜90モル%の1,5−ペンタンジオールと90〜10モル%の1.6−ヘキサンジオールである。
【0056】
好ましくは、イソシアネートにより付加できる1つの基を有する唯一のカルボン酸が用いられる。イソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸の例は、カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bの第1の好ましい変形における例として上で記載したのと同じである。
【0057】
(シクロ)脂肪族ジイソシアネートの三量体、1,6−ヘキサンジイソシアネート、ジオール成分およびイソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸は、好ましくは溶媒の存在しない状態で互いに反応する。反応物は、同時にまたは2つ以上の合成段ですべてここで互いに反応させてもよい。イソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸またはジオール成分および(シクロ)脂肪族ジイソシアネートの三量体だけを互いに反応させる合成手順は、好ましくは回避する。合成を多段で行う時、最も異なる順序で、例えば連続方式でまたは交互方式で反応物を添加してもよい。例えば、イソシアネートにより付加できる1つの基を有するカルボン酸とジオールの混合物と1,6−ヘキサンジイソシアネートを初期的に反応させ、その後、(シクロ)脂肪族ジイソシアネートの三量体と反応させるか、またはイソシアネート官能性成分の混合物をジオール成分およびイソシアネートにより付加できる1つの基を有するカルボン酸と反応させるか、またはイソシアネート官能性成分の混合物をイソシアネートにより付加できる1つの基を有するカルボン酸と初期的に反応させ、その後、ジオール成分と反応させてもよい。ジオールの組み合わせの場合、ジオール成分を例えば、2つ以上の部分にも分割し、例えば、個々の(シクロ)脂肪族ジオールにも分割してもよい。個々の反応物は各場合全体的にまたは2つ以上の分割で添加してもよい。反応は発熱であり、反応混合物の溶融温度より高い温度で進行する。反応温度は、例えば、60〜200℃である。従って、添加の速度または添加された反応物の量は発熱度に基づいて決定され、液体(溶融)反応混合物を加熱または冷却によって所望の温度範囲内で維持してもよい。
【0058】
溶媒の存在しない状態で行われる反応が一旦完了し、反応混合物が冷えてしまうと、末端カルボキシル基を有するとともに1,500〜4,000の範囲内の数平均分子量を有する固体ポリウレタンを得る。固体ポリウレタンは手を加えることを必要とせず、カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bとして直接用いてもよい。
【0059】
第4の好ましい変形において、カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bは、1,6−ヘキサンジイソシアネートをジオール成分とモル比x:(x+1)(xは1〜6、好ましくは2〜4の任意の所望の値を意味する)で反応させることにより調製可能なポリウレタンジカルボン酸であり、ジオール成分は、62〜600の範囲内の分子量を有する1つの単一ジオール、特に1つの単一(シクロ)脂肪族ジオールまたは好ましくは2種〜4種、特に2種または3種のジオールの組み合わせである。ここで、ジオールの組み合わせの場合、ジオールの各々は、好ましくは、ジオール成分のジオールの少なくとも10モル%を構成する。ここで、得られたポリウレタンジオールのヒドロキシル基は、その後、環式無水カルボン酸の1分子とそれぞれ反応する。
【0060】
ジオールの組み合わせの場合、ジオールの少なくとも70モル%、特に100モル%が、62〜600の範囲内の分子量を各々が有する(シクロ)脂肪族ジオールであることが好ましい。
【0061】
1,6−ヘキサンジイソシアネートおよびジオール成分は、モル比xモルの1,6−ヘキサンジイソシアネート、(x+1)モルのジオールで互いに化学量論的に反応する。ここで、xは1〜6、好ましくは2〜4の所望のいずれかの値を意味する。
【0062】
ジオール成分の性質および使用に関して、および構成成分として可能なジオールに関して、繰り返しを避けるために、カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bの第1の好ましい変形に関してなされた言明について述べる。
【0063】
1,6−ヘキサンジイソシアネートおよびジオール成分は、好ましくは、溶媒の存在しない状態で互いに反応する。反応物は、同時にまたは2つ以上の合成段ですべてここで互いに反応させてもよい。合成を多段で行う時、最も異なる順序で、例えば連続方式でまたは交互方式で反応物を添加してもよい。ジオール成分を例えば、2つ以上の部分に分割し、例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネートをジオール成分の部分と初期的に反応させた後、ジオール成分の残りの部分と更に反応させるようにする。個々の反応物は各場合全体的にまたは2つ以上の分割で添加してもよい。反応は発熱であり、反応混合物の溶融温度より高い温度で進行する。反応温度は、例えば60〜200℃である。従って、添加の速度または添加された反応物の量は発熱度に基づいて決定され、液体(溶融)反応混合物を加熱または冷却によって所望の温度範囲内で維持してもよい。
【0064】
溶媒なしで行われる反応が一旦完了すると、得られたポリウレタンジオールはヒドロキシル基当たり1分子の環式無水カルボン酸と反応し、前記無水物は開環される。
【0065】
好ましくは、唯一の環式無水カルボン酸が用いられる。使用可能な環式無水カルボン酸の例は、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水トリメリット酸および無水ピロメリット酸である。反応中、ポリウレタンジオールの末端ヒドロキシル基はエステル化され、ポリウレタンジカルボン酸の末端カルボキシル基が形成される。環式無水カルボン酸の付加および反応は90〜140℃の温度範囲で一般に進行し、酸価を決定することにより反応の過程を監視することが可能である。理論酸価に達した時に反応は完了する。行われた反応が一旦完了すると、反応混合物は冷え、固体ポリウレタンジカルボン酸が得られる。経験的構造式によって規定された低分子量ジオールがポリウレタンジカルボン酸の合成のために用いられる時、用いられる唯一の環式無水カルボン酸として無水ヘキサヒドロフタル酸の例で計算された低分子量ジオールの分子量は、600以上、例えば、2500以下の範囲内である。
【0066】
ポリウレタンジカルボン酸は分子量分布を示す混合物の形態を取る。しかし、ポリウレタンジカルボン酸は、手を加えることを必要とせず、カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bとして直接用いてもよい。
【0067】
第5の好ましい変形において、カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bは、ジイソシアネート成分とジオール成分とをモル比x:(x−1)(xは1〜6、好ましくは2〜4の任意の所望の値を意味する)で反応させることにより調製可能なポリウレタンジカルボン酸である。ここで、ジイソシアネート成分の50〜80モル%は1,6−ヘキサンジイソシアネートによって形成され、20〜50モル%は、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネートおよびテトラメチレンキシリレンジイソシアネートからなる群から選択される1種または2種のジイソシアネート(各々はジイソシアネート成分の少なくとも10モル%を形成する)によって形成され、ここで、それぞれのジイソシアネートのモル%が合計して100モル%であり、また、ジオール成分の20〜100モル%は少なくとも1つの線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールによって形成され、0〜80モル%は、線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールとは異なる少なくとも1種のジオールによって形成され、ここで、ジオール成分の各ジオールは、好ましくはジオール成分内で少なくとも10モル%を形成し、それぞれのジオールのモル%が合計して100モル%である。ここで、得られたポリウレタンジオールのヒドロキシル基は次にそれぞれ環式無水カルボン酸の1つの分子と反応する。
【0068】
ジイソシアネート成分およびジオール成分は、モル比xモルのジイソシアネート、x+1モルのジオールで互いに化学量論的に反応する(xは1〜6、好ましくは2〜4のいずれかの値を表す)。
【0069】
ジイソシアネート成分、ジオール成分の性質および使用に関して、および構成成分として可能なジオールに関して、繰り返しを避けるために、カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bの第2の好ましい変形に関してなされた言明について述べる。
【0070】
ジイソシアネート成分のジイソシアネートおよびジオール成分のジオールは、好ましくは、溶媒の存在しない状態で互いに反応する。反応物は、同時にまたは2つ以上の合成段ですべてここで互いに反応させてもよい。合成を多段で行う時、最も異なる順序で、例えば連続方式でまたは交互方式で反応物を添加してもよい。ジオール成分を例えば、2つ以上の部分に、または個々のジオールに分割し、例えば、ジイソシアネートをジオール成分の部分と初期的に反応させた後、ジオール成分の残りの部分と更に反応させるようにする。しかし、同様に、ジイソシアネート成分を2つ以上の部分に分割するか、または個々のジオールに分割し、例えば、ヒドロキシル成分をジイソシアネート成分の部分と初期的に反応させ、最後にジイソシアネート成分の残りの部分と更に反応させるようにしてもよい。個々の反応物は各場合全体的にまたは2つ以上の分割で添加してもよい。反応は発熱であり、反応混合物の溶融温度より高い温度で進行する。反応温度は、例えば60〜200℃である。従って、添加の速度または添加された反応物の量は発熱度に基づいて決定され、液体(溶融)反応混合物を加熱または冷却によって所望の温度範囲内で維持してもよい。
【0071】
溶媒なしで行われる反応が一旦完了すると、得られたポリウレタンジオールは、カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bの第4の好ましい変形において既に記載された方式に似た方式で環式無水カルボン酸と反応する。好ましくは、唯一の環式無水カルボン酸が用いられる。挙げてもよい使用可能な環式無水カルボン酸の例は、カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bの第4の好ましい変形において記載されたのと同じである。行われた反応が一旦完了し、反応混合物が冷えると、固体ポリウレタンジカルボン酸が得られる。経験的構造式によって規定された低分子量ジオールがポリウレタンジカルボン酸の合成のために用いられる時、用いられる唯一の環式無水カルボン酸として無水ヘキサヒドロフタル酸の例で計算された低分子量ジオールの分子量は、598以上、例えば、2500以下の範囲内である。
【0072】
ポリウレタンジカルボン酸は分子量分布を示す混合物の形態を取る。しかし、ポリウレタンジカルボン酸は、手を加えることを必要とせず、カルボキシル官能性ポリウレタン樹脂Bとして直接用いてもよい。
【0073】
個々の場合に、ポリウレタン樹脂Bの第4および第5の好ましい変形の文脈の中で上述したポリウレタンジオール中間体の合成のために用いられるジオール成分の割合を少なくとも1種のトリオールを含むトリオール成分にで置き換える場合、それぞれのポリウレタンジカルボン酸と比べて、分岐されているおよび/またはより高くカルボキシル官能性であるポリウレタン樹脂Bが得られる。こうしたポリウレタン樹脂Bによる実施形態は、それ自体更に好ましい変形である。例えば、モルに関してジオール成分のジオールの70%以下をトリオール成分のトリオールによって取り替えてもよい。対応するトリオール成分の構成成分として使用可能なトリオールの例は、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンおよび/またはグリセロールである。グリセロールは、好ましくはトリオール成分として単独で用いられる。
【0074】
少なくとも1種の樹脂Bは、コーティング組成物中で粒子状形態、特に非球形状を有する粒子の形態で存在する。レーザ回折によって測定される樹脂B粒子の平均粒子サイズ(平均粒径)は、例えば1〜100μmである。樹脂B粒子は、固体樹脂Bの粉砕(微粉砕)によって形成させてもよい。例えば、従来の粉末コーティング製造技術を当該目的のために用いてもよい。樹脂B粒子は攪拌するか、または粉砕粉末として液体コーティング組成物または液体コーティング組成物の液体構成成分に混合してもよい。ここで、例えば、得られた懸濁液中でビードミルによって樹脂B粒子の追加の湿式粉砕または分散を後で行うことが可能である。
【0075】
樹脂Bを形成させるための更なる方法は、溶解媒体に少なくとも1種の樹脂Bを高温溶解させ、それに続く冷却中および/または冷却後に樹脂B粒子を形成させることを含む。本発明の第2の実施形態の場合、少なくとも1種の樹脂Bの溶解は、溶融温度以上に、例えば、40〜180℃を上回る温度に加熱することによりカルボキシル官能性架橋剤Cの特に一部または全体の中で行ってもよい。加熱すると、樹脂B粒子は後続の冷却中および/または後続の冷却後に生じ得る。少なくとも1種の架橋剤Bのための溶解媒体として用いられる架橋剤Cは、それ自体液体として、または有機溶媒(混合物)中の溶液として存在してもよい。完全な混合または攪拌は、好ましくは冷却中に行われる。少なくとも1種の樹脂Bの溶解は、有機溶媒(混合物)中で加熱を伴って行ってもよい。ここで、後続の冷却中および/または後続の冷却後に進行する樹脂B粒子の形成は溶媒自体の中で進行してもよい。ここで、本発明の第2の実施形態の場合、まだ未冷却の得られた溶液とカルボキシル官能性架橋剤Cの混合後に樹脂B粒子の形成を可能にすることも可能である。高温溶解および冷却中および/または冷却後の後続の樹脂B粒子の形成の方法を用いることによって、例えば、1〜50μm、特に1〜30μmの範囲内の平均粒子サイズの範囲の下方端で平均粒子サイズを有する樹脂B粒子を製造することが特に可能である。
【0076】
既に述べたように、本発明の第2の実施形態によるコーティング組成物は、少なくとも1種のカルボキシル官能性架橋剤Cを含有する。カルボキシル官能性架橋剤Cは室温で固体ではなくて、むしろ例えば液体である、および/またはカルボキシル官能性架橋剤Cは有機溶媒(混合物)に可溶性である。有機溶媒(混合物)に可溶性のカルボキシル官能性架橋剤Cは、有機溶媒を含有するコーティング組成物中に溶解形態を取って存在する。カルボキシル官能性架橋剤Cは、ポリカルボン酸、例えば、二量体脂肪酸;、カルボキシル官能性オリゴマーまたはポリマー、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオールまたはヒドロキシル官能性(メタ)アクリルコポリマーと環式無水カルボン酸の反応によって製造された半エステル部分によってポリマーに連結されたカルボキシル基を有する対応するポリエーテル、ポリエステル、(メタ)アクリルコポリマーまたはポリマーなどの分子当たり少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物を含む。特に適するカルボキシル官能性架橋剤Cは、例えば、米国特許第6,555,176B1号明細書および米国特許第6,743,867B1号明細書に例えばカルボキシル官能性成分A)として記載されたような15〜300mgのKOH/gのカルボキシル基から由来する酸価を各場合に有するカルボキシル官能性(メタ)アクリルコポリマーおよびカルボキシル官能性ポリエステルである。
【0077】
本発明によるコーティング組成物の硬化は、カルボン酸エステル結合およびヒドロキシル基を形成させるためにAのエポキシ基上にBおよび任意選択的にCのカルボキシル基を付加することに基づいている。コーティング組成物中のエポキシ基対カルボキシル基の比は、例えば2:1〜0.8:1である。
【0078】
本発明によるコーティング組成物は、樹脂固体含有率に向けて寄与する1種以上の成分Dを含有してもよい。「成分D」という用語は、エポキシ基フリーでカルボキシル基もフリーの成分を包含する。これらは、特に、対応する樹脂および/または架橋剤を含む。タイプD樹脂の例は、物理乾燥樹脂またはエポキシ基上にカルボキシル基を付加することによる以外の反応によって化学的に硬化されていてもよい樹脂である。タイプD架橋剤の例は、特に、例えば、エステル交換架橋剤;、メラミンホルムアルデヒド樹脂などのアミノ樹脂架橋剤、自由または遮断ポリイソシアネート架橋剤、トリアルコキシカルボニルアミノトリアジン架橋剤などの、ヒドロキシル官能性結合剤に基づくコーティング系のために当業者に知られている特に従来の架橋剤である。こうした架橋剤Dは、Aのエポキシ基上にBおよび任意選択的にCのカルボキシル基を付加ししだいコーティング組成物の硬化中に形成されるヒドロキシル基との反応によって追加の架橋を可能にする。
【0079】
成分A、B、CおよびDの1つ、一部または各々はラジカル重合性オレフィン二重結合を含有してもよい。それゆえに、コーティング組成物は、Aのエポキシ基上にBおよび任意選択的にCのカルボキシル基を付加することによってのみでなく、オレフィン二重結合のラジカル重合によって、特に光化学誘導ラジカル重合によって更に、硬化され得る。こうした組成物は「二重硬化」コーティング組成物としても知られている。
【0080】
本発明によるコーティング組成物は有機溶媒を含有し、そしてコーティング組成物は例えば40〜85重量%、好ましくは45〜75重量%の固体含有率を有する。有機溶媒含有率は例えば15〜60重量%、好ましくは20〜55重量%である。固体含有率および有機溶媒含有率の重量%の合計は、ここで例えば、90〜100重量%(100重量%の合計に至らしめるために0超〜10重量%の対応する範囲内の起きうるいかなる差も、一般に揮発性添加剤によって形成される)である。有機溶媒は、特に従来のコーティング溶媒、例えば、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル、エチルグリコールアセテート、ブチルグリコールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、メトキシプロピルアセテートなどのグリコールエーテルエステル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミルなどのエステル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、N−メチルピロリドンなどのN−アルキルピロリドン、キシレン、Solvesso(登録商標)100(155℃〜185℃の沸騰範囲を有する芳香族炭化水素の混合物)、Solvesso(登録商標)150(182℃〜202℃の沸騰範囲を有する芳香族炭化水素の混合物)などの芳香族炭化水素および脂肪族炭化水素である。
【0081】
溶媒に加えて、コーティング組成物は更なる従来のコーティング添加剤、例えば、抑制剤、触媒、均染剤、湿潤剤、凹み防止剤、酸化防止剤および/または光安定剤を含有してもよい。添加剤は、当業者に知られている従来の量で用いられる。二重硬化コーティング組成物の場合、一般に用いられる光抑制剤は前記コーティング組成物に含有されている。
【0082】
コーティング組成物は、透明顔料および例えば、0:1〜2:1の範囲内の顔料+充填剤:樹脂固体分の重量比に対応する色付与性および/または特殊効果付与性の顔料および/または充填剤も含有してよい。適する色付与性顔料は、有機的または無機的な性質の従来のあらゆるコーティング顔料である。無機または有機の色付与性顔料の例は、二酸化チタン、酸化鉄顔料、カーボンブラック、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料およびピロロピロール顔料である。特殊効果顔料の例は、例えば、アルミニウム、銅または他の金属の金属顔料、例えば、金属酸化物−被覆金属顔料、例えば、酸化鉄−被覆アルミニウムなどの干渉顔料、例えば、二酸化チタン被覆マイカなどの被覆マイカ、グラファイト効果付与性顔料、フレーク形態を取った酸化鉄、液晶顔料、被覆酸化アルミニウム顔料および被覆二酸化珪素顔料である。充填剤の例は、二酸化珪素、珪酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよびタルクである。
【0083】
本発明によるコーティング組成物は、エポキシ官能性成分およびカルボキシル官能性架橋剤に基づく今まで既知の従来のコーティング組成物と比べて、顕著に長い貯蔵安定性によって特に区別される。
【0084】
コーティング組成物は、単一層コーティングの製造のために、または自動車の車体または自動車の車体部品のいずれかの上の特に自動車用多層コーティングなどの多層コーティング内の1層以上のコーティング層の製造のために用いてもよい。これは、元来のコーティング用途と補修コーティング用途の両方に関連してもよい。コーティング組成物は、プライマ表面層の製造のために顔料入り形態を取って、または多層コーティングの外部トップコート層または透明シール層の製造のために顔料フリーの形態を取って特に用いてもよい。コーティング組成物は、例えば、前に被着された色付与性および/または特殊効果付与性の予備乾燥済みベースコート層上のクリアトップコート層の製造のために用いてもよい。
【0085】
コーティング組成物は、従来の塗布方法によって、特に、例えば金属またはプラスチックの所望のいずれかの非被覆基材または予備被覆基材上に噴霧することによって被着させてもよい。コーティング組成物は比較的高い樹脂固体含有率で低い塗布粘度を示す場合がある。これは、噴霧塗布の場合に有利である。例えば、それなら、工業コーティング設備において液体コーティングの塗布のために用いられるような従来の噴霧塗布装置を用いることが可能であるからである。
【0086】
一旦被着させると、コーティング組成物の層は、例えば、20〜80℃で1〜5分にわたり初期的にフラッシュオフして溶媒を除去してもよい。その後、熱硬化は、例えば焼成によって、40〜200℃、好ましくは80〜180℃で例えば5〜30分にわたり対応するコーティング組成物に含まれた架橋樹脂Bの溶融温度より高い対象温度で進行する。溶融温度と実硬化温度との間の差が大幅に大きい場合、硬化温度への温度の更なる増加中、および/または更なる増加後、実際の架橋が後で進行する前に、樹脂B粒子の溶融のみまたは実質的に溶融のみを遂行することが初期的に可能である。樹脂B粒子を溶融させる間および/または樹脂B粒子を溶融させた後、樹脂Bは樹脂マトリックスに導入されることになってもよい。
【0087】
本発明によるコーティング組成物が二重硬化コーティング組成物である場合、熱硬化は、高エネルギー放射線、特にUV線による照射によって誘発されたオレフィン二重結合のラジカル重合による硬化と組み合わされる。熱硬化および放射線硬化は、ここで同時にまたは所望のいずれかの順序で進行する。しかし、樹脂B粒子の溶融は硬化の前に確保されなければならない。
【実施例】
【0088】
実施例1a〜1e(ポリウレタンジカルボン酸の調製)
HDI(1,6−ヘキサンジイソシアネート)またはHDIとDCMDI(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)の混合物を1種以上のジオールと反応させることによりポリウレタンジカルボン酸を製造し、その後、得られたポリウレタンジオールを以下の一般合成方法により無水コハク酸(OHモル当たり1モルの無水コハク酸)の化学量論量と第2の工程で反応させた。
【0089】
スターラー、温度計およびカラムを備え付けた2リットルの四口フラスコに1種のジオールまたはジオールの混合物を初期的に導入し、初期的に導入されたジオール量を基準にして0.01重量%のジブチル錫ジラウレートを添加した。混合物を80℃に加熱した。その後、HDIまたはHDI/DCMDI混合物を配分し、高温反応混合物が固化しないように温度を維持した。遊離イソシアネートを検出できなくなるまで(NCO含有率<0.1%)反応混合物を攪拌した。その後、コハク酸の化学量論量を配分し、高温反応混合物が固化しないように温度を維持した。理論酸価に達するまで反応を行った。その後、高温溶融物を排出し、放置して冷却および固化させた。
【0090】
得られたポリウレタンジカルボン酸の溶融挙動をDSC(示差走査熱分析、加熱速度10K/分)によって調べた。
【0091】
実施例1a〜1eを表1に示している。表は、どの反応物をどのモル比で互いに反応させたかを記載し、DSCによって測定された溶融プロセスの最終温度を℃で記載している。
【0092】
表1

FT:溶融プロセスの最終温度
HEX:1,6−ヘキサンジオール
PENT:1,5−ペンタンジオール
PROP:1,3−プロパンジオール
SA:無水コハク酸
【0093】
実施例2a〜2c(カルボキシル官能性ポリウレタンの調製)
HDIをGLY(グリセロール)と1種以上のジオールの混合物と反応させることによりカルボキシル官能性ポリウレタンを製造し、その後、得られたポリウレタンポリオールを以下の一般合成方法により無水コハク酸(OHモル当たり1モルの無水コハク酸)の化学量論量と第2の工程で反応させた。
【0094】
スターラー、温度計およびカラムを備え付けた2リットルの四口フラスコにポリオールを初期的に導入し、初期的に導入されたポリオール量を基準にして0.01重量%のジブチル錫ジラウレートを添加した。混合物を80℃に加熱した。その後、HDIを配分し、高温反応混合物が固化しないように温度を維持した。遊離イソシアネートを検出できなくなるまで(NCO含有率<0.1%)反応混合物を攪拌した。その後、コハク酸の化学量論量を配分し、高温反応混合物が固化しないように温度を維持した。理論酸価に達するまで反応を行った。その後、高温溶融物を排出し、放置して冷却および固化させた。
【0095】
得られたカルボキシル官能性ポリウレタンの溶融挙動をDSC(示差走査熱分析、加熱速度10K/分)によって調べた。
【0096】
実施例2a〜2cを表2に示している。表は、どの反応物をどのモル比で互いに反応させたかを記載し、DSCによって測定された溶融プロセスの最終温度を℃で記載している。
【0097】
表2

略語に関しては表1を参照すること。
【0098】
実施例3(比較目的でのクリアコート組成物と多層コーティングの外部クリアコート層の製造)
a)分岐エポキシ官能性メタクリルコポリマーの調製
1963gのキシレンの投入材料を調製し、攪拌しつつ加熱して還流させた。327.6gのブチルアクリレート、168.0gのブチルメタクリレート、260.4gのスチレン、1239.8gのグリシジルメタクリレート、20.2gのアクリル酸および84.0gの第三ブチルパーベンゾエートの混合物を5時間以内に滴下した。その後、混合物を168gのキシレンで再びリンスした。その後、混合物を還流下で6時間にわたりポスト重合した。
b)工程a)で得られた55.6pbw(重量部)の樹脂溶液、キシレン/ブタノール(1:1)中のカルボキシル官能性ポリエステル(215mg KOH/gの酸価を有するトリメチロールプロパン/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸/カプロラクトンのエステル化製品)の40.0pbwの70重量%溶液、1pbwのCiba製のTinuvin(登録商標)1130(UV吸収剤)、1.1pbwのCiba製のTinuvin(登録商標)144(光保護剤)、1pbwのブチルグリコールアセテート、5pbwのブタノールおよび5ppwのSolvesso(登録商標)100を混合することによりクリアコートを調製した。
【0099】
40℃でのクリアコートの貯蔵安定性を次の通り決定した。20℃でのDIN4カップによりDIN EN ISO2431に準拠した初期流動時間を決定した(30秒)。その後、クリアコート組成物を40℃で2週間にわたり貯蔵し、流動時間を再び測定した(78秒)。
【0100】
金属パネルに被着させるとともに焼成された電気泳動プライマおよび厚さ35μmのヒドロプライマ表面層を与えられた金属パネルを15μmの乾燥層厚さで黒色水性ベースコートで噴霧被覆し、70℃で5分にわたりフラッシュオフし、その後、10μm〜70μm乾燥層厚さの層厚さ傾斜を有する楔形状を取って垂直位置でクリアコートにより噴霧被覆し、室温で10分のフラッシュオフ後、焼成を140℃(対象温度)で30分にわたり行った。クリアコートのサグ限界を目視で決定した。
【0101】
金属パネルに被着させるとともに焼成された電気泳動プライマおよび厚さ35μmのヒドロプライマ表面層を与えられた金属パネルを15μmの乾燥層厚さで黒色水性ベースコートで噴霧被覆し、70℃で5分にわたりフラッシュオフし、その後、40μm乾燥層厚さでクリアコートにより噴霧被覆し、室温で10分のフラッシュオフ後、焼成を140℃(対象温度)で30分にわたり行った。耐洗浄引掻性を%のリフロー(多層コーティングの初期光沢対洗浄引掻後の光沢の比、各場合20度の照明角度で光沢を測定、リフローは引掻かれたパネルを実験室炉内で60℃の対象温度に1時間にわたりさらすことを意味する)前後の残留光沢の測定によって決定した。実験室規模のAmtec Kistlerカーウォッシュを用いて引掻きを行った(Th.Klimmasch and Th.Engbert,Development of a uniform laboratory test method for assessing the car−wash scratch resistance of automotive top coats,in DFO Proceedings 32,page 59 to 66,Technology−Tage,Proceedings of the seminar on April 29 and 30,1997 in Cologne,published by Deutsche Forschungsgesellschaft fuer Oberflaechenbehandlung e.V.,Adersstrasse 94,40215 Duesseldorf.参照)。
【0102】
実施例4a〜4h(本発明によるクリアコート組成物および多層コーティングの外側クリアコート層の製造)
実施例1および2の固体カルボキシル官能性ポリウレタンを各場合に微粉砕し、粉砕し、粉末コーティングの製造のための従来の粉砕篩粉法によって篩い、50μmの平均粒子サイズ(レーザ回折によって測定した)を有する結合剤粉末にこの方式で変換した。
【0103】
実施例3を数回繰り返した。この場合、カルボキシル官能性ポリエステルの溶液の一部または全部を先のパラグラフに記載された手順により調製された微粉状カルボキシル官能性ポリウレタンに取り替えた。各場合にCOOHの10モル%置換によりカルボキシル官能性ポリエステルの溶液の代わりに、第2のシリーズにおいて各場合にCOOHの20モル%置換によりカルボキシル官能性ポリエステルの溶液の代わりに、そして第3のシリーズにおいて各場合にCOOHの100モル%置換によりカルボキシル官能性ポリエステルの溶液の代わりに、微粉状カルボキシル官能性ポリウレタンを用いることにより取り替えを行った。必要な場合、初期流動時間を実施例3と同じ値に調節した。
【0104】
貯蔵安定性、サグ限界および耐洗浄引掻性を実施例3と同じ条件下で決定した。
【0105】
表3は、10モル%COOH置換、20モル%COOH置換または100モル%COOH置換に関して各場合に実施例3および4a〜4hに関して、貯蔵安定性、測定されたサグ限界(単位:μm)および耐洗浄引掻性を示している。ここで各場合に第1の指定値は、10モル%置換に関連し、第2の値は20モル%置換に関連し、第3の値は100モル%置換に関連する。
【0106】
表3


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のエポキシ官能性結合剤Aおよび唯一のカルボキシル官能性架橋成分として少なくとも1種のカルボキシル官能性架橋樹脂Bを含有する非水性液体コーティング組成物であって、前記少なくとも1種の架橋樹脂Bが40〜180℃の溶融温度を有する粒子として存在する、非水性液体コーティング組成物。
【請求項2】
前記コーティング組成物の樹脂固体分が、30〜80重量%の少なくとも1種のエポキシ官能性結合剤A、20〜70重量%の少なくとも1種の架橋樹脂Bおよび0〜30重量%の1種以上の成分Dからなり、前記重量%は合計して100重量%になる、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
室温で固体ではない、および/または溶解形態で存在する少なくとも1種のカルボキシル官能性架橋剤Cを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記コーティング組成物の樹脂固体分が、30〜80重量%の少なくとも1種の結合剤A、20〜70重量%の成分BおよびCからなるカルボキシル成分および0〜30重量%の1種以上の成分Dからなり、前記重量%は合計して100重量%になる、請求項3に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記カルボキシル成分が、10〜100重量%未満の前記少なくとも1種のカルボキシル官能性架橋剤樹脂Bおよび0超〜90重量%の前記少なくとも1種のカルボキシル官能性架橋剤Cからなり、前記重量%は合計して100重量%になる、請求項4に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
固体含有率が45〜85重量%であり、有機溶媒含有率が15〜60重量%であり、前記固体含有率および前記有機溶媒含有率の重量%の合計が90〜100重量%であり、前記固体含有分が樹脂固体含有分および任意選択の成分:顔料、充填剤および不揮発性添加剤からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の樹脂Bの溶融温度が30〜150℃広溶融範囲の上端である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の樹脂Bの溶解度が、20℃における酢酸ブチル1リットル当たり10g未満である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
レーザ回折によって測定される前記樹脂B粒子の平均粒子サイズが1〜100μmである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の固体樹脂Bの粉砕によって、または溶解媒体中での前記少なくとも1種の樹脂Bの高温溶解、それに続く冷却中および/または冷却後の樹脂B粒子の形成によって前記樹脂B粒子が形成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種の樹脂Bが、ポリエステル樹脂Bおよびポリウレタン樹脂Bからなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種の樹脂Bがポリウレタン樹脂Bである、請求項11に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
前記ポリウレタン樹脂Bが、1,6−ヘキサンジイソシアネートを、1種の単一ジオールまたはジオールの組み合わせであるジオール成分と、およびイソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸と、モル比x:(x−1):2(xは2〜6の任意の所望の値を意味する)で反応させることによって調製可能な末端カルボキシル基を有する線状ポリウレタンである、請求項12に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
前記ポリウレタン樹脂Bが、ジイソシアネート成分と、ジオール成分と、イソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸とを、モル比x:(x−1):2(xは2〜6の任意の所望の値を意味する)で反応させることによって調製可能な末端カルボキシル基を有する線状ポリウレタンであり、前記ジイソシアネート成分の50〜80モル%が1,6−ヘキサンジイソシアネートによって形成され、20〜50モル%が、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネートおよびテトラメチレンキシリレンジイソシアネートからなる群から選択されかつ各々が前記ジイソシアネート成分の少なくとも10モル%を形成する1種または2種のジイソシアネートによって形成され、ここで各ジイソシアネートのモル%は合計して100モル%になり、また、前記ジオール成分の20〜100モル%が少なくとも1種の線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールによって形成され、0〜80モル%が線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールとは異なる少なくとも1種のジオールによって形成され、ここで各ジオールのモル%は合計して100モル%になる、請求項12に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
前記ポリウレタン樹脂Bが、(シクロ)脂肪族ジイソシアネートの三量体と、1,6−ヘキサンジイソシアネートと、ジオール成分とイソシアネートにより付加できる1つの基を有する少なくとも1種のカルボン酸とをモル比1:x:x:3(xは1〜6の任意の所望の値を意味する)で反応させることによって調製可能な末端カルボキシル基を有するポリウレタンであり、前記ジオール成分が1種の単一線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールまたは2〜4種の(シクロ)脂肪族ジオールの組み合わせであり、ジオールの組み合わせの場合、ジオールの各々がジオールの組み合わせのジオールの少なくとも10モル%を構成し、前記ジオールの組み合わせが少なくとも80モル%の少なくとも1種の線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールからなる、請求項12に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
前記ポリウレタン樹脂Bが、1,6−ヘキサンジイソシアネートをジオール成分とモル比x:(x+1)(xは1〜6の任意の所望の値を意味する)で反応させることにより調製可能なポリウレタンジカルボン酸であり、前記ジオール成分は1種の単一ジオールまたはジオールの組み合わせであり、得られたポリウレタンジオールのヒドロキシル基が次にそれぞれ環式無水カルボン酸の1個の分子と反応する、請求項12に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
前記ポリウレタン樹脂Bが、ジイソシアネート成分とジオール成分とをモル比x:(x+1)(xは1〜6の任意の所望の値を意味する)で反応させることによって調製可能なポリウレタンジカルボン酸であり、前記ジイソシアネート成分の50〜80モル%が1,6−ヘキサンジイソシアネートによって形成され、20〜50モル%が、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネートおよびテトラメチレンキシリレンジイソシアネートからなる群から選択されかつ各々がジイソシアネート成分の少なくとも10モル%を形成する1種または2種のジイソシアネートによって形成され、ここでジイソシアネートのモル%が合計して100モル%であり、また、ジオール成分の20〜100モル%が少なくとも1種の線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールによって形成され、0〜80モル%が線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールとは異なる少なくとも1種のジオールによって形成され、ここで、ジオールのモル%が合計して100モル%であり、その後、得られたポリウレタンジオールのヒドロキシル基が次にそれぞれ環式無水カルボン酸の1個の分子と反応する、請求項12に記載のコーティング組成物。
【請求項18】
前記ジオール成分の割合を少なくとも1種のトリオールを含むトリオール成分で置き換える、請求項16または17に記載のコーティング組成物。
【請求項19】
コーティング層を製造する方法であって、
1)請求項1〜18のいずれか1項に記載のコーティング組成物からのコーティング層を被着させる工程と、
2)任意選択的に、前記被着させたコーティング層をフラッシュオフして溶媒を除去する工程と、
3)少なくとも1種の樹脂Bの溶融温度より高い対象温度で前記コーティング層を熱硬化させる工程と
の連続工程を含む方法。
【請求項20】
前記コーティング層が単一層コーティングおよび多層コーティング内のコーティング層からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記多層コーティング内のコーティング層が、自動車の車体および自動車の車体部品からなる群から選択された基材上の自動車用多層コーティングである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記コーティング層が、プライマ表面層、外部クリアトップコート層および透明シール層からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。

【公表番号】特表2009−525384(P2009−525384A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553275(P2008−553275)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/002266
【国際公開番号】WO2007/089643
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】