説明

非水系顔料分散組成物

【課題】加熱工程の際に顔料の結晶析出のない高耐熱性でかつ微細化された非水系顔料分散組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、顔料(A)、非水系溶媒(B)、並びに下記の主鎖とグラフト鎖とを有するポリマー(C)を含有する非水系顔料分散組成物である。
主鎖:溶解度パラメーター〔SP値(cal/cm31/2〕が10.0以下であるモノマー由来の構成単位(c3)を含むポリマー鎖
グラフト鎖:窒素原子を含有する重合体由来の構成単位(c1)を含むポリマー鎖、及び窒素原子を含有しない重合体由来の構成単位(c2)を含むポリマー鎖

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水系顔料分散組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顔料を非水系溶媒中に分散させるためにポリマー材料が有用であることが知られており、溶剤系ペイント組成物を調合するための顔料分散組成物を形成するために、ポリマー材料が使用されてきた。顔料分散組成物は、例えば自動車外装用の溶剤ペイントや、カラー液晶ディスプレイのカラーフィルター用インキとして広く使用されている。
カラーフィルターは、顔料分散液と感光組成物を混合し、塗工後、露光することで透明基板上に着色パターンを形成させるものである。カラーフィルターの分野においては、カラー液晶ディスプレイの高品質化のため高い彩度、明度が求められ、カラーフィルター中の顔料にも微細化及び顔料の高濃度化が要望されている。
【0003】
顔料分散剤として用いられるポリマーとしては、特にグラフトポリマーが良好な性能を有することが知られている。
例えば、特許文献1には、エチレン性不飽和二重結合を有するオリゴマーと、窒素原子含有基及びエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーの共重合体を含む顔料分散組成物が開示されている。また、特許文献2には、主鎖に顔料固定基としてアミド官能基を有するグラフトポリマーを含む顔料分散組成物が開示されている。しかしながら、特許文献1及び2の顔料分散組成物は、顔料を微細化すると色材としての性能が不十分であった。
【0004】
【特許文献1】特開平10−339949号公報
【特許文献2】特表2003−517063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、非水系顔料分散組成物の特性向上において、顔料の微細化に伴い、加熱工程で顔料の結晶析出が問題であることを見出した。
本発明は、加熱工程の際に顔料の結晶析出のない高耐熱性でかつ微細化された非水系顔料分散組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、顔料(A)、非水系溶媒(B)、並びに下記の主鎖とグラフト鎖とを有するポリマー(C)を含有する非水系顔料分散組成物を提供する。
主鎖:溶解度パラメーター〔SP値(cal/cm31/2〕が10.0以下であるモノマー由来の構成単位(c3)、及び好ましくは溶解度パラメーターが10.5以上であるモノマー由来の構成単位(c4)を更に含むポリマー鎖
グラフト鎖:窒素原子を含有する重合体由来の構成単位(c1)を含むポリマー鎖、及び窒素原子を含有しない重合体由来の構成単位(c2)を含むポリマー鎖
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、顔料が微細化されても加熱処理の際に顔料の結晶析出を抑制することができる非水系顔料分散組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の非水系顔料分散組成物は、顔料(A)、非水系溶媒(B)、並びに上記の主鎖とグラフト鎖とを有するポリマー(C)を含有することを特徴とする。以下、これらの各成分について説明する。
【0009】
[顔料(A)]
本発明に用いられる顔料としては、無機顔料及び有機顔料いずれであってもよい。また必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えばカーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム及びタルク等が挙げられる。有機顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、縮合多環顔料、レーキ顔料が挙げられる。
アゾ顔料としてはC.I.ピグメントレッド3等の不溶性アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド48:1等の溶性アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド144等の縮合アゾ顔料が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:6等の銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
縮合多環顔料としては、C.I.ピグメントレッド177等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド123等のペリレン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ43等のペリノン系顔料、C.I.ピグメントレッド122等のキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントバイオレット23等のジオキサジン系顔料、C.I.ピグメントイエロー109等のイソインドリノン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ66等のイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントイエロー138等のキノフタロン系顔料、C.I.ピグメントレッド88等のインジゴ系顔料、C.I.ピグメントグリーン8等の金属錯体顔料、C.I.ピグメントレッド254、同255、同264、同270、同272、C.I.ピグメントオレンジ71、同73等のジケトピロロピロール系顔料が挙げられる。
【0010】
これらの中では、下記一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料が好ましい。
【0011】
【化1】

【0012】
式(1)中、X1及びX2は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を示し、Y1及びY2は、それぞれ独立して、水素原子、−SO3H基又は−CN基を示す。
ジケトピロロピロール系顔料の中では、特に、C.I.ピグメントレッド254が好ましく、その市販品としては、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、商品名「Irgaphor RED BT−CF」、「Irgaphor RED B−CF」、「Irgazin DPP Red BO」、「Irgazin Red 2030」、「Irgazin DPP Red BOX」、「Irgazin Red BTR」、「Cromophtal DPP Red BP」、「Cromophtal DPP Red BOC」、「Microlith DPP Red B−K/KP」、「Microlith DPP Red B−WA」、「Microlen Red2028−MC」、「Microlen Red2030−MC」等が挙げられる。
上記顔料(A)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
[非水系溶媒(B)]
本発明に用いられる非水系溶媒(B)としては、特に限定はされないが、特にカラーフィルター用の油性インクとして用いる場合、沸点が100℃以上の高沸点の有機溶媒を用いることが好ましい。
このような非水系溶媒(B)としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールアルキルエーテル類(セロソルブ類)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル類(カルビトール類)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等のアルカンジイルグリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類等が挙げられる。
これらの非水系溶媒(B)の中では、アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテート類が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)が特に好ましい。
【0014】
[ポリマー(C)]
本発明に用いられるポリマー(C)は、下記の主鎖とグラフト鎖とを有する。
主鎖:溶解度パラメーター〔SP値(cal/cm31/2〕が10.0以下であるモノマー由来の構成単位(c3)、及び好ましくは溶解度パラメーターが10.5以上であるモノマー由来の構成単位(c4)を更に含むポリマー鎖
グラフト鎖:窒素原子を含有する重合体由来の構成単位(c1)を含むポリマー鎖、及び窒素原子を含有しない重合体由来の構成単位(c2)を含むポリマー鎖
以下、これらの各構成単位について説明する。
【0015】
[構成単位(c1)]
構成単位(c1)は、窒素原子を含有する重合体由来の構成単位であり、好ましくは、片末端にエチレン性不飽和二重結合を有し、更に窒素原子を含有する重合性マクロモノマー(以下「含窒素マクロモノマー(c1)」ということがある)由来の構成単位である。構成単位(c1)は、ポリマー(C)を顔料(A)に吸着させる機能を有すると考えられる。
含窒素マクロモノマー(c1)としては、片末端に(メタ)アクリロイル基やスチリル基を有する窒素原子含有重合性マクロモノマーが好ましい。かかる含窒素マクロモノマー(c1)としては、エチレン性不飽和二重結合と窒素原子を有するモノマーの重合体、片末端にエチレン性不飽和二重結合を有するポリ(N−アシルアルカンジイルイミン)が挙げられる。
【0016】
エチレン性不飽和二重結合と窒素原子を有するモノマーとしては、ビニルピリジン類、含窒素スチレン系モノマー、(メタ)アクリルアミド類、含窒素(メタ)アクリル酸エステル;N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
ビニルピリジン類としては、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が挙げられ、含窒素スチレン系モノマーとしては、p−スチレンスルホンアミド、p−アミノスチレン、アミノメチルスチレン等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を有するN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を有するN−アルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を有するN,N−ジアルキルアミノアルキル(アルキル基の好ましい炭素数1〜6)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド2−メチルプロピルスルホン酸、モルホリノ(メタ)アクリルアミド、ピペリジノ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−2−ピロリジル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルフェニル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
含窒素(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を有するN,N−ジアルキルアミノアルキル(アルキル基の好ましい炭素数1〜6)(メタ)アクリレート、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を有する1−(N,N−ジアルキルアミノ)−1,1−ジメチルメチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、ピペリジノエチル(メタ)アクリレート、1−ピロリジノエチル(メタ)アクリレート、N,N−メチル−2−ピロリジルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−メチルフェニルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素(メタ)アクリル酸エステル;N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
【0017】
片末端にエチレン性不飽和二重結合を有するポリ(N−アシルアルカンジイルイミン)としては、片末端に(メタ)アクリロイル基やスチリル基を有し、一般式(2)で表される構造単位を持つポリ(N−アシルアルカンジイルイミン)が挙げられる。
【0018】
【化2】

【0019】
式(2)中、R1は炭素数1〜22、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基又はアリール基を示し、nは2又は3の整数を示す。
かかるポリ(N−アシルアルカンジイルイミン)としては、例えば特許第2643403号明細書に記載されているように、2−アルキルオキサゾリンや2−アルキルオキサジンのカチオン開環重合により得られるものが挙げられる。
【0020】
これらの含窒素マクロモノマー(c1)の中では、片末端(メタ)アクリロイル型の窒素原子含有重合性マクロモノマーが好ましい。その具体例としては、片末端(メタ)アクリロイル型のポリ(N−アシル(アシル基の炭素数2〜9)アルカンジイル(アルカンジイル基の炭素数2〜3)イミン)、ポリ(N−アルキル(アルキル基の炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミド)、ポリ(N,N−ジアルキル(アルキル基の炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミド)、ポリ(N−ビニルピロリドン)が挙げられる。
これらの中では、片末端(メタ)アクリロイル型のポリ(N−アシル(アシル基の炭素数2〜4)アルカンジイル(アルカンジイル基の炭素数2〜3)イミン)、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N−ビニルピロリドン)がより好ましく、片末端メタクリロイル型のポリ(N−アシル(アシル基の炭素数2〜4)アルカンジイル(アルカンジイル基の炭素数2〜3)イミン)が更に好ましく、片末端メタクリロイル型のポリ(2−エチルオキサゾリン)が特に好ましい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイルとはアクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
含窒素マクロモノマー(c1)の重量平均分子量は、300〜30,000が好ましく、400〜20,000がより好ましく、500〜10,000が特に好ましい。
【0021】
[構成単位(c2)]
構成単位(c2)は、窒素原子を含有しない重合体由来の構成単位であり、好ましくは、片末端にエチレン性不飽和二重結合を有し、窒素原子を含有しない重合性マクロモノマー(以下「マクロモノマー(c2)」ということがある)由来の構成単位である。構成単位(c2)は、非水系溶媒(B)中で、ポリマー(C)を安定に分散させる機能を有すると考えられる。
マクロモノマー(c2)としては、片末端に(メタ)アクリロイル基又はスチリル基を有するマクロモノマーが好ましい。その好適例としては、ポリスチレンや、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸n−ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸i−ブチル等のポリ(メタ)アクリル酸アルキル(アルキル基の炭素数1〜4)の分子の片末端に(メタ)アクリロイル基が結合したマクロモノマーを挙げることができる。
マクロモノマー(c2)の重量平均分子量は、500〜30,000が好ましく、500〜20,000がより好ましく、500〜15,000が特に好ましい。
このような重合性マクロモノマーの市販品としては、片末端メタクリロイル型ポリスチレン(数平均分子量6,000、商品名AS−6、東亜合成株式会社製)、片末端メタクリロイル型ポリメタクリル酸メチル(数平均分子量6,000、重量平均分子量12,000、商品名AA−6、東亜合成株式会社製)、及び片末端メタクリロイル型ポリアクリル酸n−ブチル(数平均分子量6,000、商品名AB−6、東亜合成株式会社製)を挙げることができる。
【0022】
[構成単位(c3)]
構成単位(c3)は、溶解度パラメーター〔SP値(cal/cm31/2〕が10.0以下であるモノマー由来の構成単位であり、好ましくは、含窒素マクロモノマー(c1)及びマクロモノマー(c2)と共重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーであって、該モノマーの溶解度パラメーター〔SP値(cal/cm31/2〕が10.0以下のモノマー(以下「モノマー(c3)」ということがある)由来の構成単位である。構成単位(c3)は、顔料の溶解を抑制する機能を有すると考えられる。構成単位(c3)は、ポリマー(C)中の基幹ユニットであり、一方に構成単位(c1)を結合し、他方に構成単位(c2)を結合していると考えられる。
ここで溶解度パラメーター(SP値)とは、下記式で示すように、凝集エネルギー密度と分子容の比の平方根で表されるものである。
SP値((cal/cm31/2)=(△E/△V)1/2
上式において、△Eは凝集エネルギー密度を表し、△Vは分子容を表す。その値は、Fedorsの方法〔Robert F.Fedors, Polymer Engineering and Science, 14, 147-154 (1974)〕により計算することができる。
モノマー(c3)の溶解度パラメーター〔SP値(cal/cm31/2〕は、好ましくは9.0以下であり、より好ましくは8.8以下であり、更に好ましくは8.0以下である。
【0023】
モノマー(c3)は、疎水基を有することが好ましく、かかる疎水基としては、フッ素含有アルキル基、炭素数4以上、好ましくは炭素数6以上のアルキル基、及びアルキルシロキシ基が挙げられる。
フッ素含有アルキル基を有するモノマーとしては、フルオロ(メタ)アクリレート、パーフルオロ(メタ)アクリレート等が挙げられる。より具体的には、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(SP値7.44)が特に好ましい。
炭素数4以上のアルキル基を有するモノマーとしては、炭素数4以上のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。より具体的には、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に、気液界面への配向性が低く、顔料結晶が析出するのを抑制する効果が大きいステアリルメタクリレート(SP値8.67)が特に好ましい。
アルキルシロキシ基を有するモノマーとしては、ジメチルシロキシ基、トリメチルシロキシ基を有するモノマー等が挙げられ、具体例としては、下記の一般式(3)〜(6)で表わされるシリコーンマクロモノマー等が挙げられる。
【0024】
【化3】

【0025】
上記式(3)〜(6)中、R2は水素原子又はメチル基を示し、R3〜R11はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。nは1〜100、好ましくは1〜50、より好ましくは1〜20の数である。
これらの中では、一般式(6)で表わされるシリコーンマクロモノマーが好ましく、(3−メタクリロキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン(SP値7.84)が特に好ましい。
【0026】
[構成単位(c4)]
構成単位(c4)は、モノマー(c3)と共重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーであって、該モノマーの溶解度パラメーターが10.5以上であるモノマー(以下「モノマー(c4)」ということがある)由来の構成単位である。構成単位(c4)は、ポリマー(C)が顔料(A)に吸着した後に、顔料(A)の表面からポリマー(C)が脱離することを抑制する機能を有すると考えられる。構成単位(c4)は、構成単位(c3)の間に存在し、構成単位(c3)と相まってポリマー(C)中の基幹ユニットを形成すると考えられる。
モノマー(c4)の溶解度パラメーター〔SP値(cal/cm31/2〕は、好ましくは11.0以上であり、より好ましくは12.0以上であり、更に好ましくは13.0以上である。
また、モノマー(c4)とモノマー(c3)の溶解度パラメーター〔SP値(cal/cm31/2〕の差は、好ましくは1.0以上であり、より好ましくは2.0以上であり、更に好ましくは3.0以上であり、特に好ましくは4.0以上である。
モノマー(c4)は、極性基を有することが好ましく、かかる極性基としては、カルボキシル基、アミド基、及びアルコール性水酸基が好ましい。具体的には(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリル酸アミド類、及びアルコール性水酸基を有する(メタ)アクリル酸類が挙げられ、アルコール性水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。かかる極性基は、モノマー(c4)あたり2個以上存在することが好ましい。
モノマー(c4)の具体例としては、例えば、非水系溶媒(B)としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、SP値8.73)を用いる場合には、メタクリル酸(SP値10.73)、アクリル酸(SP値11.08)、ジメチルアクリルアミド(SP値10.59)、アクリルアミド(SP値10.64)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(SP値12.45)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(SP値12.06)、グリセリンモノメタクリレート(SP値13.30)等が挙げられる。特に、ポリマーが顔料表面から脱離するのを抑制する効果が大きい、グリセリンモノメタクリレート、及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。
【0027】
本発明に用いられるポリマー(C)は、上記構成単位(c3)、好ましくは更に構成単位(c4)を含むポリマー鎖を主鎖とし、前記構成単位(c1)を含むポリマー鎖、及び前記構成単位(c2)を含むポリマー鎖をグラフト鎖とするものであり、更に他の構成単位を含むグラフト鎖を有することができる。
ポリマー(C)は、例えば、含窒素マクロモノマー(c1)、マクロモノマー(c2)、モノマー(c3)、及びモノマー(c4)を含むモノマー混合物を共重合して得ることができる。
ポリマー(C)の製造方法としては、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等が挙げられるが、その中でも特に溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族化合物、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
【0028】
ポリマー(C)中の全構成単位に対する構成単位(c1)の割合は、顔料への吸着性を高め、良好な顔料の分散安定性を得る観点から、2〜50重量%が好ましく、3〜45重量%がより好ましく、4〜40重量%が更に好ましい。
ポリマー(C)中の全構成単位に対する構成単位(c2)の割合は、非水系溶媒(B)への分散性を高める観点から、20〜90重量%が好ましく、30〜85重量%がより好ましく、40〜80重量%が更に好ましい。
ポリマー(C)中の全構成単位に対する構成単位(c3)の割合は、ポリマー(C)の顔料表面への固定化を促進させる観点から、3〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましく、7〜35重量%が更に好ましい。
ポリマー(C)中の全構成単位に対する構成単位(c4)の割合は、ポリマー(C)が顔料表面から脱離するのを抑制させる観点から、2〜50重量%が好ましく、3〜45重量%がより好ましく、4〜40重量%が更に好ましい。
ポリマー(C)の重量平均分子量は、5,000〜100,000が好ましく、10,000〜70,000がより好ましい。
なお、含窒素マクロモノマー(c1)、ポリマー(C)の重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
【0029】
[非水系顔料分散組成物]
本発明の非水系顔料分散組成物は、顔料(A)、非水系溶媒(B)、及びポリマー(C)を含有し、それらの割合は次のとおりである。
顔料分散組成物中の顔料(A)の割合は、良好な着色性及び粘度を得る観点から、1〜30重量%が好ましく、2〜20重量%がより好ましい。
非水系溶媒(B)の割合は、着色性及び粘度の観点から、顔料(A)に対して、0.3〜30重量倍が好ましく、1〜20重量倍がより好ましい。
また、ポリマー(C)の割合は、良好な粘度及び塗膜物性を得る観点から、顔料(A)に対して、5〜200重量%が好ましく、10〜100重量%がより好ましい。
【0030】
本発明の非水系顔料分散組成物は、上記成分以外にバインダー、多官能モノマー、光重合開始剤等を含有することもできる。
バインダーとしては、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体とアルコール類との反応物等を挙げることができる。その重量平均分子量は、5,000〜200,000が好ましい。本発明の非水系顔料分散組成物中のバインダーの含有量は、全固形分に対して20〜80重量%が好ましい。
多官能モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有する(メタ)アクリル酸エステル、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、アリル化合物、ビニルエステル等を挙げることができる。本発明の顔料分散組成物中の多官能モノマーの含有量は、全固形分に対して10〜60重量%が好ましい。
光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、ロフィン2量体、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ポリハロゲン類を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。特に4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の組み合わせ、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン]が好ましい。本発明の非水系顔料分散組成物中の光重合開始剤の含有量は、全固形分に対し、0.2〜10重量%が好ましい。
【0031】
[非水系顔料分散組成物の製造法]
本発明に用いられる非水系顔料分散組成物の製造方法に特に制限はなく、顔料(A)、非水系溶媒(B)及びポリマー(C)を含む混合物を公知の分散機、混練機等を用いて分散させて配合する方法が挙げられる。例えば、ニーダー、ロールミル、ペイントシェーカー、ビーズミル、サンドミル、アトライタ、スーパーミル、ディゾルバ、エクストルーダ、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー等により、前記(A)〜(C)成分を湿式分散させることにより得ることができる。
これらの中では、サンドミル等のメディア式分散機が好ましい。メディア式分散機は、分散室(ミル)内にメディア粒子を滞留させ、そこを流通する顔料の予備分散体にメディア粒子による粉砕、剪断、衝突という分散エネルギーを与えながら分散を行い、必要に応じて、メディア粒子と分散処理物とを遠心分離等により分離し、分散処理物のみを分散室外に流出させるものである。サンドミルとしては、連続式が好ましく、ローラミルタイプ、ニーダータイプ、ピンミキサータイプ等を用いることができる。
【0032】
メディア式分散機に用いるメディア粒子の材質としては、例えば、ガラス、スチール、クロム合金等の高硬度金属、アルミナ、ジルコニア、ジルコン、チタニア等の高硬度セラミックス、超高分子量ポリエチレン、ナイロン等の高分子材料等が挙げられる。メディア粒子の粒径(直径)は、有機顔料の分散性向上の観点から、通常30〜500μm、好ましくは30〜300μmである。
顔料(A)を含有する顔料分散組成物中の顔料(A)の体積中位粒径D50は、カラーフィルター用色材とした際に良好なコントラストを得るために、100nm以下とする。D50は、20〜100nmがより好ましく、25〜90nmが更に好ましく、30〜85nmが特に好ましい。
なお、本発明において体積中位粒径D50とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。本発明における体積中位粒径D50の値は、後記の実施例記載の方法により行った。
【実施例】
【0033】
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り、「重量部」及び「重量%」である。
製造例1〔片末端メタクリロイル型ポリ(2−エチルオキサゾリン)の合成〕
ナスフラスコ中に脱水酢酸エチル300gと2−エチルオキサゾリン132gを仕込み、更に合成ゼオライト系吸着剤(東ソー株式会社製、商品名「ゼオラムA−4」)65gを入れ、室温で4時間撹拌後、濾過して前記吸着剤を除去し、脱水2−エチルオキサゾリン溶液を得た。
次に、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口フラスコに、調製した脱水2−エチルオキサゾリン溶液380g、ジエチル硫酸17.9gを仕込み、乾燥窒素にて置換した後、80℃で12時間撹拌した。反応液を40℃以下まで冷却した後に、予め前記吸着剤により脱水しておいたメタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルを加え、室温で4時間撹拌後、大量のヘキサンにて再沈、回収し、片末端メタクリロイル型ポリ(2−エチルオキサゾリン)を得た。このマクロモノマーのGPC(溶媒:クロロホルム)法により求めた重量平均分子量(Mw)は1,000であった。
【0034】
製造例2〔片末端メタクリロイル型ポリメタクリル酸メチルの合成〕
還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管及び撹拌装置を取り付けた2Lセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチルモノマー200g、3−メルカプトプロピオン酸7.07g、トルエン100gを仕込み、乾燥窒素にて置換を行った。
次に、窒素導入管をメタクリル酸メチル800g、3−メルカプトプロピオン酸28g、トルエン400g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製、商品名「V−65」)8gを仕込んだ滴下ロートに付け替えた後、75℃で撹拌しながら、モノマー溶液を3時間かけて滴下した。更に1時間、75℃で撹拌後、3−メルカプトプロピオン酸3.6g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8g、トルエン200gを加えた。更に2時間、75℃で撹拌後、冷却した。
次に、空気バブリング下、テトラブチルアンモニウムブロミド18.2g、p−メトキシフェノール1.87gを添加し、110℃に昇温し、メタクリル酸グリシジル53.6gを添加し、8時間撹拌した。撹拌後、冷却し、大量のヘキサンにて再沈、回収し、片末端メタクリロイル型ポリメタクリル酸メチルを得た。このポリマーのGPC(溶媒:ジメチルホルムアミド)法により求めた重量平均分子量(Mw)は5,000(ポリスチレン換算)であった。
【0035】
製造例3〔ポリマー(C−1)の製造〕
ビーカーに、製造例1で合成した片末端メタクリロイル型ポリ(2−エチルオキサゾリン)5gと、製造例2で合成した片末端メタクリロイル型ポリメタクリル酸メチル35g、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(FMA、クラリアントジャパン社製)10g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1gとトルエン38.3gを均一に混合、溶解し、モノマー溶液を得た。
次に、還流冷却器、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに上記モノマー溶液8.9gを仕込み、窒素置換を行った。窒素導入管を上記モノマー溶液80.4gを仕込んだ滴下ロートに付け替えたあと、70℃で撹拌しながら、モノマー溶液を1時間かけて滴下した。更に1時間、70℃で撹拌後、75℃に加熱し、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1gとトルエン5gを加えた。更に75℃で3時間撹拌した後、冷却し、大量のヘキサンにて再沈、回収し、ポリ(2(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート−g−(2−エチルオキサゾリン)−g−メタクリル酸メチル)を得た。このポリマー(C−1)のGPC(溶媒:クロロホルム)法により求めた重量平均分子量(Mw)は59,000(ポリスチレン換算)であった。
【0036】
製造例4〔ポリマー(C−2)の製造〕
製造例3において、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレートの代りにステアリルメタクリレート(SMA、新中村化学株式会社社製)を用い、トルエンの代りにメチルエチルケトンを用いた以外は製造例3と同様の操作を行い、ポリ(ステアリルメタクリレート−g−(2−エチルオキサゾリン)−g−メタクリル酸メチル)を得た。このポリマー(C−2)のGPC(溶媒:クロロホルム)法により求めた重量平均分子量(Mw)は37,000(ポリスチレン換算)であった。
【0037】
製造例5〔ポリマー(C−3)の製造〕
ビーカーに、N,N−ジメチルアクリルアミド23.4g、片末端メタクリロイル化ポリメタクリル酸メチル(PMMA、東亜合成株式会社製、商品名AA−6、重量平均分子量12,000)のマクロモノマー45%トルエン溶液165.9g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2gとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)67.1gを均一に混合、溶解し、モノマー溶液を得た。
次に、還流冷却器、温度計、窒素導入管、攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに上記モノマー溶液25.8gを仕込み、窒素置換を行った。窒素導入管を上記モノマー溶液232.6gを仕込んだ滴下ロートに付け替えたあと、80℃で攪拌しながら、モノマー溶液を3時間かけて滴下した。続いて、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2gとPGMEA20gを加え、更に80℃で2時間攪拌し、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド−g−メタクリル酸メチル)の40%溶液を得た。このポリマー(C−3)のGPC(溶媒:ジメチルホルムアミド)法により求めた重量平均分子量(Mw)は51000(ポリスチレン換算)であった。
【0038】
製造例6〔ポリマー(C−4)の製造〕
ビーカーに、製造例1で合成した片末端メタクリロイル型ポリ(2−エチルオキサゾリン)2.5gと、製造例2で合成した片末端メタクリロイル型ポリメタクリル酸メチル42.5g、グリセリンモノメタクリレート(GLMA、日本油脂株式会社社製、商品名ブレンマーGLM)2.5g、ステアリルメタクリレート(SMA、新中村化学株式会社社製)2.5g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1gとメチルエチルケトン/イソプロパノール=1/1(重量比)混合液38.3gを均一に混合、溶解し、モノマー溶液を得た。
次に、還流冷却器、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに上記モノマー溶液8.9gを仕込み、窒素置換を行った。窒素導入管を上記モノマー溶液80.4gを仕込んだ滴下ロートに付け替えたあと、70℃で撹拌しながら、モノマー溶液を1時間30分かけて滴下した。更に1時間、70℃で撹拌後、75℃に加熱し、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1gとメチルエチルケトン/イソプロパノール=1/1(重量比)混合液5gを加えた。更に75℃で3時間撹拌した後、冷却し、大量のヘキサンにて再沈、回収し、ポリ(グリセリンモノメタクリレート−co−ステアリルメタクリレート−g−(2−エチルオキサゾリン)−g−メタクリル酸メチル)を得た。このポリマー(C−4)のGPC(溶媒:ジメチルホルムアミド)法により求めた重量平均分子量(Mw)は60000(ポリスチレン換算)であった。
【0039】
製造例7〔ポリマー(C−5)の製造〕
製造例6において、製造例2で合成した片末端メタクリロイル型ポリメタクリル酸メチルを40.0g、グリセリンモノメタクリレート(GLMA)を5.0g用いた以外は、製造例6と同様の操作を行い、ポリ(グリセリンモノメタクリレート−co−ステアリルメタクリレート−g−(2−エチルオキサゾリン)−g−メタクリル酸メチル)を得た。このポリマー(C−5)のGPC(溶媒:ジメチルホルムアミド)法により求めた重量平均分子量(Mw)は108000(ポリスチレン換算)であった。
製造例8〔ポリマー(C−6)の製造〕
製造例6において、製造例2で合成した片末端メタクリロイル型ポリメタクリル酸メチルを41.25g、グリセリンモノメタクリレート(GLMA)を3.75g用いた以外は、製造例6と同様の操作を行い、ポリ(グリセリンモノメタクリレート−co−ステアリルメタクリレート−g−(2−エチルオキサゾリン)−g−メタクリル酸メチル)を得た。このポリマー(C−6)のGPC(溶媒:ジメチルホルムアミド)法により求めた重量平均分子量(Mw)は81000(ポリスチレン換算)であった。
【0040】
【表1】

【0041】
実施例1
ジケトピロロピロール系顔料(A)(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、C.I.ピグメントレッド254、商品名「IRGAPHOR BT−CF」、平均一次粒径30nm(カタログ値))10部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)80部、製造例3で合成されたポリマー(分散剤)10部、0.3mmジルコニアビーズ200部をポリビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカーにて3時間振とうし、次いでその分散液80部と粒径50μmのジルコニアビーズ160部をポリビンに入れ、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて4時間振とうし、ジケトピロロピロール系顔料(A)のD50が73nmの顔料分散組成物を得た。
得られた顔料分散組成物の顔料濃度を5%に調整したものを2.00部、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(モル比:30/70、重量平均分子量:14000、固形分40重量%のPGMEA溶液)0.15部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、DPHA)0.046部、2−メチル−4'−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン(和光純薬工業株式会社製)0.035部、PGMEA0.15部を均一になるまで混合し、非水系顔料分散組成物を得た。結果を表2に示す。
【0042】
実施例2
実施例1において、製造例3のポリマー添加量10部を4部に変更し、PGMEA添加量80部を86部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ジケトピロロピロール系顔料(A)のD50が73nmの顔料分散組成物を得た。
得られた顔料分散組成物の顔料濃度を5%に調整したものを用いて、実施例1と同様にして非水系顔料分散組成物を得た。
実施例3
実施例1において、製造例3のポリマーの代わりに製造例4のポリマー10部を用いた以外は、実施例1と同様にして、ジケトピロロピロール系顔料(A)のD50が80nmの顔料分散組成物を得た。
得られた顔料分散組成物の顔料濃度を5%に調整したものを用いて、実施例1と同様にして非水系顔料分散組成物を得た。
【0043】
実施例4及び5
実施例2において、製造例3のポリマーの代わりに製造例6のポリマーを表2に示す所定量用い、PGMEA添加量をそれぞれ86部、84部とした以外は、実施例2と同様にして、顔料分散組成物及び非水系顔料分散組成物を得た。
実施例6及び7
実施例2において、製造例3のポリマーの代わりに製造例7のポリマーを表2に示す所定量用い、PGMEA添加量をそれぞれ86部、84部とした以外は、実施例2と同様にして、顔料分散組成物及び非水系顔料分散組成物を得た。
実施例8
実施例7において、粒径50μmのジルコニアビーズによる解砕時間を4時間から12時間に変更した以外は、実施例7と同様にして、顔料分散組成物及び非水系顔料分散組成物を得た。
実施例9及び10
実施例2において、製造例3のポリマーの代わりに製造例8のポリマーを表2に示す所定量用い、PGMEA添加量をそれぞれ86部、84部とした以外は、実施例2と同様にして、顔料分散組成物及び非水系顔料分散組成物を得た。
【0044】
比較例1
実施例1で用いたジケトピロロピロール系顔料(A)10部、PGMEA86部、アジスパーPB−822(味の素株式会社社製)4部、0.3mmジルコニアビーズ200部をポリビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカーにて3時間振とうし、次いでその分散液80部と粒径50μmのジルコニアビーズ160部をポリビンに入れ、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて12時間振とうし、ジケトピロロピロール系顔料(A)のD50が75nmの顔料分散組成物を得た。
得られた顔料分散組成物の顔料濃度を5%に調整したものを用いて、実施例1と同様にして非水系顔料分散組成物を得た。
【0045】
比較例2
実施例1で用いたジケトピロロピロール系顔料(A)10部、製造例5の40%ポリマー溶液25部、PGMEA65部を0.3mmジルコニアビーズ200部をポリビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカーにて3時間振とうし、次いでその分散液80部と粒径50μmのジルコニアビーズ160部をポリビンに入れ、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて4時間振とうし、ジケトピロロピロール系顔料(A)のD50が86nmの顔料分散組成物を得た。
得られた顔料分散組成物の顔料濃度を5%に調整したものを用いて、実施例1と同様にして非水系顔料分散組成物を得た。
【0046】
実施例1〜10及び比較例1〜2で得られた非水系顔料分散組成物について、下記方法によりD50及び結晶析出数を測定した。結果を表2に示す。
<顔料分散組成物のD50>
製造直後の顔料分散組成物をPGMEAで300倍に希釈し、粒度分析計(HONEYWELL社製、Microtrac UPA MODEL:9340−UPA)を用いてD50(体積中位粒径)を測定した。測定条件として、ジケトピロロピロール系顔料粒子屈折率:1.51、ジケトピロロピロール系顔料密度:1.45g/cm3、PGMEA屈折率:1.40、PGMEA粘度:1.081cPを入力した。
【0047】
<結晶析出数>
ガラス基板上に顔料分散組成物をスピンコーターで塗布した後、水平台にて6分間静置し、80℃で3分間ホットプレートにより乾燥した。次いで、得られた塗膜に紫外線ファイバースポット照射装置(モリテックス社製、MUV−202U)を用いて60mJ/cm2まで紫外線を照射した。次いで、260℃のクリーンオーブン内で30分間加熱(ポストベイク)を行い硬化膜を作製した。
得られた硬化膜を1000倍のデジタルマイクロスコープVHX−500(キーエンス社製)で観察し、0.1×0.1mmの視野で確認される長さ1μm以上の結晶析出数を計数した。
【0048】
【表2】

【0049】
表2において、実施例1〜10と比較例1〜2の対比から明らかなように、実施例により得られた非水系顔料分散組成物の硬化膜は、顔料が微細化されているにも拘わらず、比較例により得られた硬化膜に比べて、結晶析出数が明らかに少ないことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の非水系顔料分散組成物は、カラー液晶ディスプレイ等に用いられるカラーフィルターの色材等として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料(A)、非水系溶媒(B)、並びに下記の主鎖とグラフト鎖とを有するポリマー(C)を含有する非水系顔料分散組成物。
主鎖:溶解度パラメーター〔SP値(cal/cm31/2〕が10.0以下であるモノマー由来の構成単位(c3)を含むポリマー鎖
グラフト鎖:窒素原子を含有する重合体由来の構成単位(c1)を含むポリマー鎖、及び窒素原子を含有しない重合体由来の構成単位(c2)を含むポリマー鎖
【請求項2】
ポリマー(C)中の全構成単位に対する構成単位(c3)の割合が、3〜50重量%である、請求項1に記載の非水系顔料分散組成物。
【請求項3】
構成単位(c1)が、片末端(メタ)アクリロイル型の窒素原子含有重合性マクロモノマー由来の構成単位である、請求項1又は2に記載の非水系顔料分散組成物。
【請求項4】
構成単位(c2)が、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー由来の構成単位である、請求項1〜3のいずれかに記載の非水系顔料分散組成物。
【請求項5】
構成単位(c3)が、フッ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位である、請求項1〜4のいずれかに記載の非水系顔料分散組成物。
【請求項6】
主鎖に、溶解度パラメーターが10.5以上であるモノマー由来の構成単位(c4)を更に含む、請求項1〜5のいずれかに記載の非水系顔料分散組成物。
【請求項7】
非水系溶媒(B)がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである、請求項1〜6のいずれかに記載の非水系顔料分散組成物。
【請求項8】
顔料(A)がジケトピロロピロール系顔料である、請求項1〜7のいずれかに記載の非水系顔料分散組成物。
【請求項9】
ポリマー(C)が顔料(A)の表面に固定化されている、請求項1〜8のいずれかに記載の非水系顔料分散組成物。

【公開番号】特開2008−179750(P2008−179750A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−36200(P2007−36200)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】