説明

非水電解液電池およびその製造方法

【課題】負極表面に、組織および厚みが均一で、厚みが100μm以下のカーボン層を形成し、電池容量の低下がなく、電池特性が安定し、高エネルギー密度、高容量および高出力の非水電解液電池を得る。
【解決手段】正極10、負極11、セパレータ12、正極ケース13、負極ケース14、絶縁パッキング15および図示しない非水電解液を含む非水電解液電池1において、負極11の正極対向面11aにカーボン層を形成する際に、負極11の正極対向面11aにカーボンブラックを載置し、カーボンブラックに振動と圧力とを同時に付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解液電池およびその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、主に、非水電解液電池における負極の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
非水電解液電池はエネルギー密度が高く、保存性、耐漏液性などの信頼性に優れ、また、小型化、軽量化が可能なことから、各種電子機器の主電源、メモリーバックアップ用電源などとして用いられ、その需要は増加の一途を辿っている。非水電解液電池の中でも、正極、リチウムまたはリチウム合金を負極活物質として含有する負極およびセパレータを含む非水電解液リチウム電池(以下単に「リチウム電池」とする)が汎用されている。最近では、非水電解液電池を自動車、産業機器などのより厳しい環境下で使用することが要望され、それと共に、さらなる高性能化のための改良が進められている。
【0003】
たとえば、リチウム電池においては、リチウムのデンドライト、その他のリチウム化合物のような電気化学的に不活性な化合物が負極表面に付着し、電池容量を低下させるという問題がある。電気化学的に不活性な化合物の負極への付着を防止するために、負極表面に炭素質粉末の層を設けることが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1では、負極表面に食い込んだ状態の炭素質粉末層が形成される。しかしながら、特許文献1の炭素質粉末層は、後記するように、加圧のみにより形成されるので、負極表面からの脱落などを起こし易く、その付着防止効果は十分満足できる水準にはない。なお、特許文献1には、炭素質粉末層の厚み、負極表面の面積に対する炭素質粉末層表面の面積の比などについて、具体的な記載はない。
【0004】
また、特許文献1の炭素質粉末層は、被覆工程および加圧工程を含む製造方法により形成される。被覆工程では、金属リチウム箔表面に炭素質粉末を被覆する。この工程は、表面に炭素質粉末を担持しかつ電圧が印加されたコーティングローラと金属リチウム箔とを接触させることにより行われる。加圧工程では、炭素質粉末が被覆された金属リチウム箔を加圧し、炭素質粉末を金属リチウム箔に食い込ませて炭素質粉末層を形成する。この工程は、炭素質粉末が被覆された金属リチウム箔を、圧接状態にある一対のローラの圧接ニップ部に通過させることにより行われる。
【0005】
特許文献1において、炭素質粉末として電気化学的に不活性な化合物の付着を防止する効果が得られるカーボンブラックを用いると、カーボンブラックの特性に起因する不都合が生じ易い。すなわち、カーボンブラックは一次粒子が0.1μm以下と極めて小さい材料であり、凝集して二次粒子を形成し易いという特性を示す。二次粒子が存在しても付着防止効果は得られるものの、二次粒子の大きさは不均一であり、かつ、特許文献1に記載の方法では二次粒子の大きさによって負極表面への食い込み易さが変化する。その結果、放電電圧などの電池特性にばらつきが生じる恐れがある。したがって、特許文献1に記載の方法は、量産には適していない。
【0006】
また、正極、負極、セパレータおよび有機電解液を含み、負極のセパレータを介して正極に対向する面に、該面の面積の10〜50%にカーボンブラックが埋め込まれたリチウム一次電池が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2のリチウム一次電池は、初期特性および高温保存後の特性に優れた実用性の高い電池である。しかしながら、カーボンブラックの埋め込み面積が、負極面の面積の10〜50%であるため、電気化学的に不活性な化合物の付着防止効果の点で改良の余地が残されている。
【0007】
また、特許文献2には、カーボンブラックを負極表面に埋め込む方法として、たとえば、加圧冶具を用いる方法、ローラプレス機を用いる方法、溶媒を用いる方法などが挙げられている。加圧冶具を用いる方法は、加圧冶具の端面にカーボンブラックを付着させ、この端面を負極表面に当接し、加圧する方法である。ローラプレス機を用いる方法は、リチウムまたはリチウム合金のフープ上にカーボンブラックを分散させた後、ポリエチレンシートを被せ、ポリエチレンシートの上からローラプレス機にて加圧する方法である。溶剤を用いる方法は、カーボンブラックを低沸点溶剤に分散してなる分散液を負極表面に塗布または転写した後、油圧プレス機などで加圧する方法である。
【0008】
加圧冶具を用いる方法およびローラプレス機を用いる方法では、カーボンブラックが凝集して二次粒子を形成し易いという特性に基づいて、負極表面へのカーボンブラックの食い込みが不均一になるという問題は十分には解消されていない。また、溶剤を用いる方法では、溶剤の存在によって圧力が分散し、カーボンブラックを負極表面に均一に圧接させることができない。したがって、製品化に際しては、製品ごとに電池性能にばらつきが生じるおそれが皆無ではない。このように、特許文献2に記載の方法も、量産面では改良の余地が残されている。
【0009】
電池容量の低下がなく、高出力および高容量のリチウム電池を得るには、負極表面のほぼ全面をカーボン層で被覆し、カーボン層の組織が均一で、かつカーボン層の厚さを出来るだけ薄くすることが肝要である。一方、従来技術では、上記のように負極表面にカーボンブラックを圧接することにより、カーボン層を形成するのが一般的である。カーボンブラックがその凝集性などにより扱い難い材料であることは既に述べたとおりである。それと同時に、負極を構成するリチウムまたはその合金も禁水性材料であり、金属としては柔らかい部類に属し、かつ耐熱性も低い。このような取り扱い性の悪い2つの材料を従来技術により圧接する場合には、負極面に対するカーボン層の被覆率が不十分になり、カーボン層の組織が不均一になり易い。さらに、カーボン層の厚さにばらつきがなく、かつ厚さをたとえば100μm以下にすることは、実質的には不可能である。
【特許文献1】特開平11−135116号公報
【特許文献2】特開2006−339046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、表面にカーボン層が均一に形成された負極を含み、電池容量の低下がなく、電池特性が安定し、高エネルギー密度、高容量および高出力の非水電解液電池を提供することである。
また、本発明の他の目的は、電池特性にばらつきのない非水電解液電池を効率良く製造でき、量産性に優れた非水電解液電池の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カーボンブラックを負極表面に載置し、振動を付与しながら加圧することによって、組織および厚みが均一で、厚みが100μm以下であり、負極との接合性に優れたカーボン層を、負極表面のほぼ全面に形成できることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち本発明は、正極活物質を含有する正極、リチウムまたはリチウム合金を負極活物質として含有する負極およびセパレータを含む非水電解液電池であって、
負極のセパレータを介して正極に対向する面に、厚さ100μm以下のカーボン層が形成されている非水電解液電池に係る。
カーボン層の厚さは、1μm〜100μmであることが好ましい。
負極のセパレータを介して正極に対向する面の面積に対する、カーボン層表面の面積の割合は、80%〜100%であることが好ましい。
カーボン層は、負極のセパレータを介して正極に対向する面にカーボンブラックを載せ、振動の付与下に加圧することにより形成されていることが好ましい。
【0013】
また本発明は、正極活物質を含有する正極、セパレータおよびリチウムまたはリチウム合金を負極活物質として含有しかつセパレータを介して正極に対向する面にカーボン層が形成される負極を含む電極群を備える非水電解液電池の製造方法であって、
負極のセパレータを介して正極に対向する面にカーボンブラックを載せ、振動の付与下に加圧して、カーボン層を形成する非水電解液電池の製造方法に係る。
振動は、振動子により付与されることが好ましい。
振動子は、カーボンブラックが載せられた負極面に振動および圧力を付与する接触面を有し、該接触面は平坦面でありかつ該接触面の面積が負極面の面積と同じかまたは負極面の面積よりも大きいことが好ましい。
振動は、振幅5μm〜100μmの微振動であることが好ましい。
加圧力は、0.01kN〜5kNであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の非水電解液電池は、電池容量の低下がなく、パルス放電特性などの電池特性が高水準で安定した非水電解液電池の提供が可能となる。さらに、保存性、耐漏液性などの信頼性に優れ、小型化および軽量化が容易であることから、本発明の非水電解液電池は、たとえば、各種電子機器、輸送機器、産業機器などの主電源、メモリーバックアップ用電源などとして有用である。
また、本発明の非水電解液電池の製造方法によれば、カーボンブラックおよびリチウムまたはリチウム合金が示す特性に関係なく、組織構造および厚さが均一で、厚さ100μm以下のカーボン層を負極表面のほぼ全面に圧接できる。したがって、電池容量の低下を抑制し、電池特性の安定化に寄与し得る負極を安定的に作製できる。また、本発明の製造方法は、工業的規模へのスケールアップが容易であり、電池容量および電池特性が安定した非水電解液電池を効率良く量産できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の非水電解液電池は、正極、負極、セパレータおよび有機電解液を含み、負極が負極活物質としてリチウムまたはリチウム合金を含有し、かつ負極のセパレータを介して正極に対向する面に、厚さ100μm以下のカーボン層が形成されていることを特徴とする。すなわち、本発明の非水電解液電池は、正極との対向面に厚さ100μm以下のカーボン層が形成された負極を含むことを特徴とし、それ以外は従来の非水電解液電池と同様の構成を有している。
図1は、本発明の実施形態の一つである非水電解液電池1の構成を模式的に示す縦断面図である。非水電解液電池1は、正極10、負極11、セパレータ12、正極ケース13、負極ケース14、絶縁パッキング15および図示しない非水電解液を含む、コイン形状の非水電解液リチウム一次電池である。正極10、セパレータ12および負極11は、この順番に積層されて電極群を形成する。
【0016】
正極10は、正極活物質、導電材および結着材を含み、セパレータ12を介して負極11に対向するように設けられる。
正極活物質としてはリチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、その中でも、フッ化黒鉛、金属酸化物などが好ましい。フッ化黒鉛としては、化学式CFx(0.8≦x≦1.1)で表されるものが好ましい。フッ化黒鉛は、長期信頼性、安全性、高温安定性などの点で優れている。フッ化黒鉛は、石油コークス、人造黒鉛などをフッ素化して得られる。金属酸化物としては、二酸化マンガン、酸化銅などが挙げられる。正極活物質は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0017】
導電材としてもリチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、人造黒鉛などの黒鉛類などを使用できる。導電材は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
結着材としてもリチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、PVDFの変性体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体などのフッ素樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)、変性アクリロニトリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体などが挙げられる。結着材は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0018】
負極11は、リチウムまたはリチウム合金を含有し、セパレータ12を介して正極10に対向するように設けられる。リチウム合金としては、リチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、たとえば、Li−Al、Li−Sn、Li−NiSi、Li−Pbなどが挙げられる。
負極11のセパレータ12を介して正極10に対向する面11aには、厚さ100μm以下、好ましくは厚さ1μm〜100μmの図示しないカーボン層が設けられている。カーボン層は、厚み方向の一部が負極11中に埋め込まれ、他部が負極面11aから負極11の外方に突出するように設けられている。また、カーボン層全体を負極11中に埋め込み、カーボン層の表面と負極面11aとが1つの平面を形成するように、カーボン層を設けてもよい。
【0019】
このように、厚さ100μm以下のカーボン層を設けることによって、電気化学的に不活性なリチウム化合物の負極面11aへの析出または付着が防止され、非水電解液電池1の電池容量の低下を防止できる。また、カーボン層の厚さを100μm以下にすることによって、リチウムイオンの正極への移動を容易にし、非水電解液電池1の高出力化および特性安定化にも寄与する。なお、カーボン層の厚さは、カーボン層を形成した負極11の厚み方向の断面を5つ求め、各断面について任意の5点でカーボン層の厚さを測定し、得られた25の測定値の平均値として求めた。断面については集束イオンビーム(FIB:Focused ion beam)加工観察装置によって確認することができる。FIBは、加速されたGa(ガリウム)のイオンビームを静電レンズ系により集束し、試料表面を走査して、発生した二次電子や二次イオンを検出して画像(SIM:Scanning Ion Microscopy像)として観測できる装置である。
【0020】
また、カーボン層表面の面積の、負極面11aの面積に対する割合(被覆率)は、百分率としては、好ましくは80%〜100%、さらに好ましくは90%〜100%である。このように、負極面11aに対するカーボン層の被覆率が高いので、電気化学的に不活性なリチウム化合物の負極面11aへの析出または付着が一層抑制され、使用初期の電池容量が高水準で維持される。なお、負極面11aの面積は、負極面11aにおける正極10と対向する面の面積である。
なお、特許文献2の段落[0028]〜[0030]には、カーボン層面積の負極面11aの面積に対する割合(被覆率)が50%を超えると、高温保存後の非水電解液電池1において不具合が生じることが記載されている。すなわち、高温保存後の非水電解液電池1において、電解液の還元分解反応が過剰に進行するため、電池内部抵抗の変化は小さくなるが、放電反応における負極の分極が大きくなり、放電電圧および放電容量が低下すると記載されている。しかしながら、電解液の還元分解反応の程度は負極に形成されるカーボン層の表面積もしくは量に依存する。従来技術においてはカーボンの量をより少なく、より厚みの薄い層を形成することが不可能であったが、本発明においてはカーボン層の厚さが100μm以下と非常に薄くすることが可能であることから、カーボン表面での電解液の還元分解反応の過剰な進行を抑制できる。
【0021】
カーボン層は、たとえば、負極面11aにカーボンブラックを載置し、振動を付与しながら加圧することにより形成できる。振動を付与しながら加圧することにより、凝集により形成されるカーボンブラックの二次粒子を粉砕しながら圧接できる。このため、組織および膜厚が均一なカーボン層が形成される。したがって、この方法でカーボン層が形成された負極11を用いれば、電池性能にばらつきが少ない非水電解液電池1を効率よくかつ安定的に製造できる。また、非加熱下でかつ比較的低い圧力での加圧下に、カーボンブラックを負極面11aに圧接できるので、負極11の変形が防止されるという利点もある。この方法は、カーボンブラックの二次粒子径の大きさに依存することなく、安定した効果を発揮し、量産性に優れる。
図2は、カーボン層の形成工程の一例を模式的に示す側面図である。
図2(a)に示す工程では、まず、負極11を、負極ケース14に収容する。次に、負極面11aにカーボンブラック16を載置する。また、カーボン層の形成は、負極ケース14内で行わなくてもよい。
【0022】
カーボンブラック16としては公知のものを使用でき、たとえば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、コンタクトブラック、ファーネスブラック、ランプブラックなどが挙げられる。カーボンブラック16は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。カーボンブラック16の粒径も特に制限されないが、負極面11aへの均一分布性などの観点から、一次粒子の平均粒径(メディアン径)が好ましくは0.1μm以下、さらに好ましくは0.03μm〜0.1μmである。また、カーボンブラック16は、電解液との反応性などの観点から、窒素吸着によるBET比表面積が好ましくは20m2/g以上、さらに好ましくは50m2/g〜100m2/gである。また、カーボンブラック16は、負極面11aに圧接される前に、150℃〜250℃の熱風で乾燥または減圧乾燥を行うことが好ましい。乾燥により、カーボンブラック16に吸着している揮発性分、吸着水などが除去される。
【0023】
カーボンブラック16の負極面11aに対する載置量は特に制限されず、非水電解液電池1のサイズおよび設計性能、正極活物質、負極活物質およびセパレータ12の種類などに応じて適宜選択できる。その一例を示せば、直径15.0mmの円形負極11には、好ましくは0.3mg〜3.0mgのカーボンブラック16を載置すればよい。
また、カーボンブラック16の負極面11aへの載置には、カーボンブラック16を負極面11a上に置くことだけに限定されず、たとえば、ローラプレス機を用いてカーボンブラック16を負極面11aに引き伸ばす状態をも含む。この時、負極面11a上のカーボンブラック16にポリエチレンシートを被せ、その上からローラプレス機によりカーボンブラック16を負極面11aの全面に引き伸ばしてもよい。さらに、カーボンブラック16を含むペーストを調製し、このペーストを塗布して乾燥し、必要に応じてローラプレス機で適度に加圧した状態でも良い。
【0024】
図2(b)に示す工程では、まず、カーボンブラックが載置された負極面11aに、振動子20を当接させる。振動子20は、図示しない振動発生装置と図示しない加圧装置とを含み、図示しない支持手段により上下動可能に支持されている。振動子20の負極面11aおよびカーボンブラック16に接する面(以下単に「接触面」とする)は、平坦面であり、その面積が負極面11aと同じかまたはそれよりも大きいことが好ましい。すなわち、負極面11aの全面が振動子20の接触面によって覆われることが好ましい。振動子20は市販されており、たとえば、精電舎電子工業(株)製の超音波ウェルダなどが挙げられる。
【0025】
次に、振動子20の振動発生装置および加圧装置を起動し、振動の付与下に加圧を行う。この時付与される振動は、振幅が5μm〜100μmの微振動であることが好ましい。振幅は、さらに好ましくは5μm〜30μmである。振幅が5μm未満では、負極面へのカーボンブラックの圧接効果ならびにカーボンブラックの二次粒子を粉砕する効果が十分得られないため、大幅な電池特性の向上は期待できない。振幅が100μmを超えると、負極面11aが変形して凹凸が発生するといった不都合が生じるおそれがある。負極面11aの変形は、各種電池性能に悪影響を及ぼす。
また、振動を付与する方向は特に制限されず、たとえば、負極面11aに対して垂直な方向からの振動付与、負極面11aに対して平行な方向からの振動付与などが挙げられる。その中でも、組織および厚さが一層均一なカーボン層16aを形成することなどを考慮すると、負極面11aに対して垂直な方向からの振動付与が好ましい。
【0026】
また、加圧力は、好ましくは0.01kN〜5kN、さらに好ましくは0.02kN〜1.0kNである。0.01kN未満では、カーボンブラック16の負極11への食い込みが不足し、カーボン層16aと負極11との接合強度が低下し、放電電圧の低下、放電電圧のばらつきなどが発生するおそれがある。加圧力が5kNを超えると、負極面11aが変形して凹凸が発生するといった不都合が生じるおそれがある。
振動および圧力を付与する時間は、たとえば、振動数、加圧力、カーボンブラック16の載置量などの諸条件に応じて適宜選択できるが、好ましくは0.1秒〜10秒程度である。
【0027】
図2(b)に示す工程は、たとえば、真空度100Pa以下の雰囲気下またはアルゴンガス雰囲気下で行うことが好ましい。カーボンブラック16は、比表面積の大きな微粒子状の炭素材料であり、吸着酸素を有しているため、燃焼しやすく、一種の酸化剤として作用する。よって、強還元剤であるリチウムに強く接触すると、酸化還元反応が進行し、反応熱により、カーボンブラック16が燃焼する場合がある。なお、乾燥窒素雰囲気下においては、リチウムと窒素とが反応し、窒化リチウムが生成する可能性がある。
【0028】
図2(c)に示す工程では、振動子20による振動および圧力の付与が終了し、振動子20を負極面11aから離反する方向(負極11の鉛直方向上方)に移動させる。負極面11aには、厚み100μm以下のカーボン層16aが形成されている。カーボン層16aは、厚み方向の大部分が負極11中に食い込み、残りの部分が負極面11aから僅かに突出している。カーボン層16は、微振動による加圧によって、カーボンブラックの二次粒子を粉砕しながら圧接されているため、組織および厚さが均一である。
なお、図2(a)〜図2(c)に示す工程を利用すれば、組織および厚さが均一であり、厚さ100μmを超えるカーボン層をも容易に形成できる。
【0029】
ここで、図1に示す非水電解液電池1の説明に戻る。セパレータ12としては、リチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、正極と負極とが短絡することを防止できるのであれば特に制限される訳ではなく、さらに電解液の浸透性に優れ、イオンの移動抵抗とならないことが望ましい。代表的な素材としてはポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンなどが挙げられ、形状としては不織布、微多孔フィルムなどが挙げられる。
【0030】
有機電解液は、溶質および非水溶媒を含有する。
溶質としては、リチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、テトラフルオロ硼酸リチウム(LiBF4)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、リチウム・ビスペンタフルオロエチルスルホン酸イミド(LiN(SO2252)、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiN(CF3SO22)、リチウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド(LiC(CF3SO23)、過塩素酸リチウム(LiClO4)などが挙げられる。溶質は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0031】
非水溶媒としても、リチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、たとえば、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、γ−バレロラクトン(γ−VL)、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などの環状炭酸エステル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、1,3−ジオキソラン、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体などが挙げられる。非水溶媒は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0032】
非水電解液における溶質濃度は特に制限されないが、負極面11aに形成されたカーボン層により非水電解液の還元分解反応が起こり、溶質が消費されると推測されることを考慮すると、好ましくは、0.5〜1.5モル/Lである。溶質濃度が0.5モル/L未満では、室温での放電特性または長期保存後の放電特性が低下するおそれがある。溶質濃度が1.5モル/Lを超えると、−40℃程度の低温環境下では、非水電解液の粘度上昇およびイオン伝導度の低下が顕著になるおそれがある。
【0033】
正極ケース13は、正極集電体および正極端子を兼ねる。負極ケース14は、負極集電体および負極端子を兼ねる。絶縁パッキング15は、主に、正極ケース13と負極ケース14とを絶縁する。正極ケース13、負極ケース14および絶縁パッキング15は、リチウム一次電池の分野で常用されるものを使用できる。正極ケース13および負極ケース14には、たとえば、ステンレス鋼製のものを使用できる。絶縁パッキング15には、たとえば、ポリプロピレンなどの合成樹脂製のものを使用できる。
【0034】
非水電解液電池1は、負極として、負極面11aに厚さ100μm以下のカーボン層が形成された負極11を用いる以外は、従来の非水電解液電池と同様にして作製できる。
非水電解液電池1は、たとえば、次のようにして作製できる。まず、正極10が正極ケース13の内面に接触するように正極ケース13内に収容し、その上にセパレータ12を載置する。さらに、非水電解液を注液し、正極10およびセパレータ12に非水電解液を含浸させる。一方、負極ケース14のフラット部内面14aに負極11を圧着し、負極11の正極10との対向面11aにカーボン層を形成する。次いで、負極ケース14の周縁部に絶縁パッキング15を装着した状態で、正極ケース13と負極ケース14とを組み合わせる。この時、負極11のカーボン層が形成された負極面11aはセパレータ12と接触状態になる。さらに、正極ケース13の開口部を内側にかしめて封口することにより、非水電解液電池1が得られる。
【0035】
本実施の形態では、負極面11aに厚さ100μm以下のカーボン層が形成された負極11を含む非水電解液リチウム一次電池について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、厚さ100μm以下のカーボン層が形成された負極を含む非水電解液リチウム二次電池も本発明の範囲に包含される。非水電解液リチウム二次電池は、前記負極を含む以外は、従来の非水電解液リチウム二次電池と同様の構成を採ることができる。
【実施例】
【0036】
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
1)正極の作製
フッ化炭素(正極活物質)100重量部およびアセチレンブラック(導電材)10重量部を乾式混合し、得られた乾式混合物にメタノールを添加して混練した。この混練物に、スチレンブタジエンゴム(結着材)5重量部を添加してさらに混練し、得られた混練物を乾燥および粉砕して、粉末状の正極合剤を調製した。この正極合剤1.0gを、直径17.0mmの円柱状金型に充填し、加圧成形してディスク状の正極を作製した。
【0037】
2)負極の作製
負極活物質には、リチウム金属を用い、カーボンブラックには、電気化学工業(株)製のアセチレンブラック(AB)を用いた。アセチレンブラックの一次粒子の平均粒径は35nmであり、BET比表面積は60m2/gであった。アセチレンブラックは200℃で減圧乾燥を行った後、アルゴングローブボックス内に導入した。
【0038】
厚み1.0mmのリチウム金属のフープを打ち抜いてディスク状の負極とし、アルゴングローブボックス内に導入し、絶縁パッキングを装着した負極ケースのフラット部内面に圧着した。この負極表面にアセチレンブラック1.0mgを載せ、超音波ウェルダ(商品名:SONOPET302S、精電舎電子工業(株)製)用い、振幅5μmおよび圧力0.5kNで振動および圧力を同時に付与した。振動および圧力の付与時間は、1.0秒であった。このようにして、負極表面に、厚さ84μmおよび被覆率100%のカーボン層を形成した。なお、被覆率は、得られた負極をマイクロスコープにより観察してアセチレンブラックで遮蔽された部分の面積を求め、負極の正極との対向予定面の面積(=正極面積)に対する割合(百分率)として求めた。図3は、カーボン層が形成された負極面の顕微鏡写真である。図3から、負極面の全面に均一なカーボン層が形成されていることが判る。
【0039】
3)セパレータ
厚さ100μmのポリプロピレン製不織布を円形に打ち抜き、セパレータを作製した。
4)非水電解液の調製
γ−ブチロラクトンにホウフッ化リチウムを1mol/Lの比率で溶解させたものを用いた。
【0040】
5)電池の組み立て
正極ケースの内底面上に正極を載置し、その上にセパレータを被せた後、非水電解液0.9gを正極ケース内に注液し、正極とセパレータに電解液を含浸させた。次に、負極が圧着された負極ケースを、負極と正極とが対向するように正極ケースに装着し、正極ケースの周縁端部を負極ケースに装着された絶縁パッキングにかしめ、本発明のコイン形非水電解液電池(直径24.5mm、厚さ5.0mm)を作製した。電池のサイズは、直径24.5mm、高さ5.0mmで、設計容量550mAhとした。上記組立工程は、露点−50℃以下のドライエア中で行った。
【0041】
(実施例2)
振動の振幅を5μmから20μmに変更する以外は、実施例1と同様にして、本発明のコイン形非水電解液電池を作製した。なお、カーボン層は、厚さ61μmおよび被覆率100%である。
【0042】
(実施例3)
振動の振幅を5μmから50μmに変更する以外は、実施例1と同様にして、本発明のコイン形非水電解液電池を作製した。なお、カーボン層は、厚さ46μmおよび被覆率100%である。
【0043】
(実施例4)
振動の振幅を5μmから100μmに変更する以外は、実施例1と同様にして、本発明のコイン形非水電解液電池を作製した。なお、カーボン層は、厚さ33μmおよび被覆率100%である。
【0044】
(実施例5)
圧力を0.5kNから0.01kNに変更する以外は、実施例1と同様にして、本発明のコイン形非水電解液電池を作製した。なお、カーボン層は、厚さ98μmおよび被覆率100%である。
【0045】
(実施例6)
圧力を0.5kNから5kNに変更する以外は、実施例1と同様にして、本発明のコイン形非水電解液電池を作製した。なお、カーボン層は、厚さ47μmおよび被覆率100%である。
【0046】
(実施例7)
アセチレンブラックの添加量を0.3mgにする以外は、実施例1と同様にして、本発明のコイン形非水電解液電池を作製した。なお、カーボン層は、厚さ1μmおよび被覆率81%である。
【0047】
(実施例8)
アセチレンブラックの添加量を0.5mgにする以外は、実施例1と同様にして、本発明のコイン形非水電解液電池を作製した。なお、カーボン層は、厚さ15μmおよび被覆率95%である。
【0048】
(実施例9)
振動子による振動付与の位置を負極ケースのフラット部に変更する以外は、実施例1と同様にして、本発明のコイン形非水電解液電池を作製した。加圧する必要があるため、カーボン層表面には振動子と同形状のフラットピンを配置し、上下から挟み込む形で加圧を行った。なお、カーボン層は、厚さ89μmおよび被覆率100%である。
【0049】
(比較例1)
振動の振幅を5μmから2μmに変更する以外は、実施例1と同様にして、比較用のコイン形非水電解液電池を作製した。なお、カーボン層は、厚さ118μmおよび被覆率100%である。
【0050】
(比較例2)
振動の振幅を5μmから150μmに変更する以外は、実施例1と同様にして、比較用のコイン形非水電解液電池を作製した。なお、カーボン層は、厚さ25μmおよび被覆率100%である。
【0051】
(比較例3)
圧力を0.5kNから0.005kNに変更する以外は、実施例1と同様にして、比較用のコイン形非水電解液電池を作製した。なお、カーボン層は、厚さ102μmおよび被覆率100%である。
【0052】
(比較例4)
圧力を0.5kNから5.5kNに変更する以外は、実施例1と同様にして、比較用のコイン形非水電解液電池を作製した。なお、カーボン層は、厚さ39μmおよび被覆率100%である。
【0053】
(比較例5)
アセチレンブラックの添加量を0.2mgにする以外は、実施例1と同様にして、本発明のコイン形非水電解液電池を作製した。なお、カーボン層は、厚さ0.6μmおよび被覆率72%である。
【0054】
(比較例6)
カーボンブラックの圧接を行わない以外は、実施例1と同様にして、比較用の非水電解液電池を作製した。図4は、負極の正極対向面の顕微鏡写真である。図4から、比較例56の負極にはカーボン層が形成されていないことが明らかである。
【0055】
(比較例7)
厚み1.0mmのリチウム金属のフープに、0.5mg/cm2の割合でアセチレンブラックを載せ、ローラ(φ30mm)で0.5kNの加圧下に、アセチレンブラックをリチウムに圧接した。カーボン層が表面に形成されたリチウム金属のフープを、所定のサイズおよび円形状に打ち抜き、負極を作製した。この負極を用いる以外は、実施例1と同様にして、比較用の非水電解液電池を作製した。図5は、負極の正極対向面の顕微鏡写真である。図5から、比較例7の負極表面には、カーボン層が形成されていない部分が点在することが明らかである。
【0056】
(比較例8)
ローラに代えて油圧プレスを用い、圧力を5kNに変更する以外は、比較例7と同様にして、比較用の非水電解液電池を作製した。図6は、負極の正極対向面の顕微鏡写真である。図6から、比較例8の負極表面には、カーボン層が形成されていない部分が多く存在することが明らかである。
【0057】
(試験例1)
実施例1〜9および比較例1〜8で得られた非水電解液電池について、低温環境下での放電試験を行い、パルス電圧の平均値および標準偏差(σ)を求めた。平均値についてはより高い値が望ましく、標準偏差(σ)についてはカーボン層を形成することでばらつきが大きくならないこと、即ちカーボン層を形成していない比較例5と同程度のばらつきであることが望ましい。結果を表1に示す。
パルス電圧の平均値および標準偏差(σ)は、次の条件で測定した。
試験温度:−40℃
パルス負荷:3mA・1秒on/59秒off
サイクル数:20サイクル
試験個数:50個
【0058】
【表1】

【0059】
表1から、実施例1〜8の非水電解液電池は、比較例6〜8と比較して放電電圧が高く、放電電圧のばらつきが、カーボン層を形成していない比較例6と同程度まで小さくなっていることが明らかである。実施例9でも同様の効果が得られることから、微振動下での加圧が、直接カーボン層表面で行わない場合においても有効な手段であることを示している。また、比較例1〜5では、カーボン層を形成していない比較例6と比較して放電電圧は高くなっているが、ばらつきは大きくなっている。比較例1では、振幅幅が小さいため、カーボン二次粒子の粉砕効果及びカーボンの喰い込みが不足したものと推測される。比較例2では、カーボンの喰い込みは十分だが、振幅幅が大きすぎるために金属リチウムの変形・表面むらが発生した。比較例3では、加圧力が小さいことにより、カーボンの喰い込みが不足したものと考えられる。比較例4では、加圧力が高いことによるリチウムの変形・表面むらが発生した。比較例5では、非常に薄いカーボン層は得られるが、カーボン量が少なすぎることにより被覆率が低下したことが原因であると推測される。
【0060】
(試験例2)
実施例1〜9および比較例1〜8で得られた非水電解液電池を60℃45日間保存した後に試験例1と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
表2より、実施例1〜8の非水電解液電池は、比較例6〜8と比較して高温保存後の試験においてもパルス電圧の低下が小さく、放電電圧のばらつきが、カーボン層を形成していない比較例6と同程度の変化量であることが明らかである。さらに実施例1〜8の範囲においてはカーボン層の厚みが薄くなるほど高温保存時のパルス電圧の低下は小さくなるのに対して、カーボン層の厚みが100μm以上の比較例1、3および比較例7、8においてはカーボン層の厚みが増すごとに高温保存後のパルス電圧は大きく低下し、ばらつきも大きくなることから本発明の範囲であるカーボン層の厚みを100μm以下にすることで高温保存時の電解液の還元分解反応の過剰な進行を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の非水電解液電池は、従来の非水電解液電池と同様の用途に使用でき、たとえば、各種電子機器、輸送機器、産業機器などの主電源、メモリーバックアップ用電源などの用途が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態の一つである非水電解液電池の構成を模式的に示す縦断面図である。
【図2】カーボン層の形成工程の一例を模式的に示す側面図である。
【図3】実施例1の負極の顕微鏡写真である。
【図4】比較例6の負極の顕微鏡写真である。
【図5】比較例7の負極の顕微鏡写真である。
【図6】比較例8の負極の顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0065】
1 非水電解液電池
10 正極
11 負極
11a 負極の正極への対向面
12 セパレータ
13 正極ケース
14 負極ケース
14a フラット部
15 絶縁パッキング
16 カーボンブラック
16a カーボン層
20 振動子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質を含有する正極、リチウムまたはリチウム合金を負極活物質として含有する負極およびセパレータを含む非水電解液電池であって、
負極のセパレータを介して正極に対向する面に、厚さ100μm以下のカーボン層が形成されている非水電解液電池。
【請求項2】
カーボン層の厚さが1μm〜100μmである請求項1に記載の非水電解液電池。
【請求項3】
負極のセパレータを介して正極に対向する面の面積に対する、カーボン層表面の面積の割合が80%〜100%である請求項1または2記載の非水電解液電池。
【請求項4】
カーボン層が、負極のセパレータを介して正極に対向する面にカーボンブラックを載せ、振動の付与下に加圧することにより形成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の非水電解液電池。
【請求項5】
正極活物質を含有する正極、セパレータおよびリチウムまたはリチウム合金を負極活物質として含有しかつセパレータを介して正極に対向する面にカーボン層が形成される負極を含む電極群を備える非水電解液電池の製造方法であって、
負極のセパレータを介して正極に対向する面にカーボンブラックを載せ、振動の付与下に加圧して、カーボン層を形成する非水電解液電池の製造方法。
【請求項6】
振動および圧力が振動子により付与される請求項5に記載の非水電解液電池の製造方法。
【請求項7】
振動子は、カーボンブラックが載せられた負極面に振動および圧力を付与する接触面を有し、該接触面は平坦面でありかつ該接触面の面積が負極面の面積と同じかまたは負極面の面積よりも大きい請求項6記載の非水電解液電池の製造方法。
【請求項8】
振動が振幅5μm〜100μmの微振動である請求項5〜7のいずれか1つに記載の非水電解液電池の製造方法。
【請求項9】
加圧力が0.01kN〜5kNである請求項5〜8のいずれか1つに記載の非水電解液電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−99466(P2009−99466A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271581(P2007−271581)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】