説明

非球状粒子を有する光学フィルム

【課題】非球状粒子を有する光学フィルムを提供すること。
【解決手段】主題発明は、可撓性基板と、凸凹微細構造体を含む第1の表面と、樹脂被覆を含む第2の表面とを含む光学フィルムに関し、樹脂被覆は非球状粒子を含み、非球状粒子は1μmから20μmまでの範囲の最長寸法および1.2から1.8までの範囲のアスペクト比を有する。樹脂被覆は優れた帯電防止特性および高い硬度を有し、その結果、主題発明の光学フィルムは輸送またはプロセス中に引掻き傷または損傷を受けることが防止され、あるいは塵埃の付着が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非球状粒子を含有する樹脂被覆を含む光学フィルムに関する。本発明の光学フィルムは光源デバイスにおいて有用であり、輝度を上昇させる効果を提供する。
【背景技術】
【0002】
輝度上昇は、広告ライトボックス、およびフラットパネル表示装置のバックライトモジュールなどの多くの光源デバイスにとって非常に重要である。多数の光源が使用される場合、過大なエネルギーが消費されることになり、グリーン基準が満たされないことがある。したがって、要素設計を変更せずにまたは追加のエネルギーを消費せずに輝度を上昇させ、効率を最大化するために、様々な光学フィルムが一般に光源デバイスにおいて使用される。この手法は最も経済的で最も好都合な解決策になっている。
【0003】
通常の光学フィルムは、少なくとも基板と、光の収束または均一性などの光学特性を向上させることができる光学層とを含む。光学フィルムと他のフィルムまたは要素との吸着が輸送または切断プロセスの間に生じるのを回避するために、および光学フィルムが引掻き傷または損傷を受けるのを防ぐために、通常、粒子を含有する樹脂被覆が、光学フィルムの他方の表面に塗布される。粒子を含有する樹脂被覆の塗布はまた、光拡散を増強する。球状粒子が、通常、樹脂被覆を調製するために当技術分野で使用される。しかし、球状粒子は互いに凝集または付着しやすく、その結果、光透過率および輝度の低下を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前述の欠点を克服するための光学フィルムを提供する。本発明の光学フィルムは、樹脂被覆を調製するために非球状粒子を従来の球状粒子の代わりに用いる。従来の光学フィルムと比較して、本発明の光学フィルムは光透過率を増大し、光の無駄を回避し、それによって、光学フィルムの輝度を上昇させる。さらに、非球状粒子は脱落しにくく、したがって、光拡散は低下した状態にならず、当初の光学特性は悪影響を受けないことになる。したがって、本発明の目的は達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、可撓性基板と、凸凹微細構造体を有する第1の表面と、樹脂被覆を含む第2の表面とを含む光学フィルムに関し、樹脂被覆は非球状粒子を含み、非球状粒子は1μmから20μmまでの範囲の最長寸法および1.2から1.8までの範囲のアスペクト比を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の好ましい一実施形態による非球状粒子の概略図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態による光学フィルムを示す図である。
【図3】本発明の好ましい一実施形態による光学フィルムを示す図である。
【図4】本発明の好ましい一実施形態による光学フィルムを示す図である。
【図5】本発明の好ましい一実施形態による光学フィルムを示す図である。
【図6】本発明の好ましい一実施形態による光学フィルムを示す図である。
【図7】本発明の好ましい一実施形態による光学フィルムを示す図である。
【図8】本発明の好ましい一実施形態による光学フィルムを示す図である。
【図9】本発明の好ましい一実施形態による光学フィルムを示す図である。
【図10】本発明の好ましい一実施形態による光学フィルムを示す図である。
【図11】本発明の好ましい一実施形態による光学フィルムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で使用される「アスペクト比」という用語は当業者にはよく知られている。それは非球状粒子の最長寸法と最短寸法の比を指す。例えば、非球状粒子が円板様粒子である場合、すべての寸法の中の最長寸法は粒子の直径を指し、アスペクト比は粒子の直径と粒子の厚さの比を指し、非球状粒子が米様(rice−like)粒子である場合、すべての寸法の中の最長寸法は粒子の長さを指し、アスペクト比は粒子の長さと粒子の最大断面の直径の比を指す。
【0008】
本明細書で使用される「可撓性基板」という用語は、巻くことができる基板を指し、巻かれる(例えば、1cmほどの小さい直径をもつ円筒形に巻かれる)とき、基板は表面上に識別可能な不連続点(例えば、キンク、断片(fragment)、または弓形(segment))を有していない。
【0009】
本発明による光学フィルムは可撓性基板を含む。基板の第1の表面は凸凹微細構造体を有し、基板の第2の表面は樹脂被覆を含み、樹脂被覆は非球状粒子を含み、非球状粒子は1μmから20μmまでの範囲の最長寸法および1.2から1.8までの範囲のアスペクト比を有する。
【0010】
本発明の光学フィルムで使用される可撓性基板は、可塑性基板などの当業者に周知の任意の可撓性基板とすることができる。可塑性基板は1つまたは複数のポリマー樹脂層から構成することができる。ポリマー樹脂層を形成するために使用される樹脂の種類は特に限定されず、例えば、限定はしないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのポリメタクリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、トリアセテートセルロース(TAC)、ポリ乳酸(PLA)、またはそれらの混合物とすることができる。ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリシクロオレフィン樹脂、またはトリアセテートセルロース、あるいはそれらの混合物が好ましく、ポリエチレンテレフタレートはより好ましい。本発明の基板の厚さは、好ましくは、通常、光学製品の所望の目的に応じて約16μmから約250μmまでの範囲である。
【0011】
基板の第1の表面上の凸凹微細構造体は、単層構造体または多層構造体とすることができる。本発明の凸凹微細構造体は、光学フィルムに所望の光学特性を付与するために使用される。凸凹微細構造体のタイプは特に限定されず、光を拡散するための拡散構造体または光を集めるための光収束構造体などの当業者に周知の任意のものとすることができる。本発明の凸凹微細構造体および基板は、例えば、エンボシングプロセスによって一体化して形成することができる。代替として、凸凹微細構造体は、任意の従来の方法による基板のさらなる処理によって、例えば、凸凹微細構造層を直接形成するように基板を被覆することによって、または基板上に被覆層を塗布し、次に所望の凸凹微細構造体を形成するように被覆層を刻むことによって形成することができる。凸凹微細構造体の厚さは特に限定されない。それは凸凹微細構造体のサイズによって決まり、一般に約1μmから約50μmまでの範囲であり、好ましくは約5μmから約30μmまでの範囲であり、より好ましくは約15μmから約25μmまでの範囲である。
【0012】
本発明の好ましい一実施形態によれば、凸凹微細構造体は、拡散効果を有する単層構造体(すなわち拡散層)である。前記凸凹微細構造体を形成する方法は、当業者によく知られている任意の方法とすることができ、例えば、限定はしないが、スクリーン印刷、コーティング、エンボシング、またはスプレーコーティングである。好ましくは、前記凸凹微細構造体は、拡散粒子およびバインダを含む被覆組成物を基板の一方の表面上に塗布することによって形成される。拡散粒子の種類は特に限定されず、例えば、限定はしないが、ガラスビーズ、金属酸化物の粒子、可塑性ビーズ、またはそれらの組合せとすることができる。バインダの種類は特に限定されず、当業者によく知られている任意のバインダとすることができる。さらに、拡散粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、ダイヤモンド形、卵形、米様、または両凸レンズ形とすることができるが、それらのうちの球状形状が好ましい。拡散粒子の平均粒径は、約1μmから約50μmまで、好ましくは約5μmから約30μmまで、より好ましくは約8μmから約20μmまでにわたる。
【0013】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、凸凹微細構造体は、光収束効果を有する単層構造体(すなわち光収束層)である。凸凹微細構造層は、当業者によく知られている任意の方法、例えば、スリットダイコーティング、ミクログラビアコーティング、またはローラコーティングによって、およびロールツーロール連続プロセスによって形成することができ、その結果、光収束効果をもたらすことができる複数の凸凹微細構造体が基板上に形成される。光収束効果をもたらすことができる凸凹微細構造体は当業者には周知であり、例えば、限定はしないが、規則的にまたは不規則に配置されたプリズム柱状構造体(すなわち三角柱)、円弧柱状構造体(すなわちアーチ状上面を有する柱状構造体)、円錐形柱状構造体、立体角構造体、オレンジセグメント様構造体、レンズ様構造体、またはカプセル様構造体、あるいはそれらの組合せとすることができる。さらに、プリズム柱状構造体および円弧柱状構造体は線形、ジグザグ、または蛇行するものとすることができ、2つの隣接する柱状構造体は平行にすることも非平行にすることもできる。
【0014】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、凸凹微細構造体は、拡散効果および光収束効果の両方をもたらす多層構造体である。そのような多層構造体は、当業者によく知られている任意の方法によって形成することができる。例えば、それは、拡散効果を有する凸凹微細構造層(拡散層)を基板上に被覆し、次に、ロールツーロール連続プロセスを介して光収束効果を有する凸凹微細構造層(光収束層)を拡散層上に被覆することによって製作することができる。本発明の好ましい実施形態によれば、拡散層は拡散粒子を含み、拡散層中の拡散粒子は光収束層の屈折率よりも大きい屈折率を有し、拡散層中の拡散粒子の屈折率と光収束層の屈折率との間の差は約0.05から約1.1までの範囲である。本発明によれば、拡散粒子の屈折率は、好ましくは約1.7から約2.5までであり、より好ましくは約1.9である。
【0015】
本発明の基板の第2の表面は樹脂被覆を含み、樹脂被覆は非球状粒子を含む。非球状粒子は、1μmから20μmまで、好ましくは2μmから12μmまで、より好ましくは3μmから8μmまでの範囲の最長寸法と、1.2から1.8まで、好ましくは1.4から1.6までの範囲のアスペクト比とを有する。一般に、非球状粒子が1μm未満の最長寸法を有する場合、樹脂被覆は十分な表面粗さを備えておらず、光拡散の効果を達成することができず、粒子は互いに付着しやすく、その結果、その分散性が不十分であり、そのために光学特性に影響を与える。非球状粒子が20μmを超える最長寸法を有する場合、樹脂被覆の耐引掻性が一層悪くなり、表面粗さが大きすぎ、その結果、はるかに多くの光が散乱され、そのためフィルムの輝度が減少することになる。本発明の基板の第2の表面上の樹脂被覆の厚さは特に限定されず、通常、光学製品の所望の目的によって決まる。本発明の基板の第2の表面上の樹脂被覆の厚さは約0.5μmから約10μmまで、好ましくは約1μmから約5μmまでの範囲である。本発明によれば、樹脂被覆は平滑にすることもそうしないこともでき、樹脂被覆中の非球状粒子は樹脂被覆の外側に一部の体積を有することができ、または樹脂被覆内に完全に包含することができる。
【0016】
本発明で使用される非球状粒子は、例えば、限定はしないが、円板様粒子、米様粒子、卵形粒子、カプセル様粒子、または両凸レンズ形粒子とすることができるが、それらのうちの両凸レンズ形粒子が好ましい。非球状粒子の種類は特に限定されず、有機粒子または無機粒子とすることができ、それらのうちの有機粒子が好ましい。有機粒子は、例えば、ポリアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、またはシリコーン樹脂、あるいはそれらの混合物とすることができ、それらのうちのポリアクリレート樹脂が好ましい。
【0017】
図1は、本発明の好ましい一実施形態による非球状粒子の概略図である。この好ましい実施形態では、非球状粒子は両凸レンズ形粒子であり、ここで、Xは両凸レンズ形粒子の最長寸法(すなわち最長軸の方向の直径)であり、Yは両凸レンズ形粒子の厚さであり、アスペクト比はX/Yに対応する。
【0018】
非球状粒子に加えて、本発明の樹脂被覆はバインダをさらに含む。本発明の樹脂被覆中の非球状粒子は、バインダの固形分の100重量部当たり約0.1重量部から約30重量部まで、好ましくは1重量部から5重量部までの量で存在する。本発明の樹脂被覆で使用されるバインダは好ましくは透明で無色である。本発明のバインダは、紫外線(UV)硬化樹脂、熱硬化性樹脂、および熱可塑性樹脂、ならびにそれらの混合物からなる群から選択することができ、本発明の樹脂被覆を形成するように、任意選択で熱硬化、UV硬化、または熱とUVの二重硬化によって処理される。本発明の一実施形態では、被覆の硬度を向上させ、フィルムが反らないようにするために、バインダは、UV硬化樹脂と、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂ならびにそれらの混合物からなる群から選択された樹脂とを含有し、熱とUVの二重硬化によって処理され、優れた耐熱特性および極めて低い体積収縮を備えた樹脂被覆が形成される。
【0019】
本発明に有用なUV硬化樹脂は、1つまたは複数の官能基を有する少なくとも1つのアクリルモノマーまたはアクリレートモノマーから形成され、それらのうちのアクリレートモノマーが好ましい。本発明に好適なアクリレートモノマーは、限定はしないが、メタクリレートモノマー、アクリレートモノマー、ウレタンアクリレートモノマー、ポリエステルアクリレートモノマー、またはエポキシアクリレートモノマーを含み、それらの中でアクリレートモノマーが好ましい。
【0020】
例えば、本発明で使用されるUV硬化樹脂に好適なアクリレートモノマーは、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化2−フェノキシエチルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、ステアリルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジアクリレート、エトキシ化1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、エトキシ化ジプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、2−メチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、エトキシ化2−メチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートフォスフェート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、トリプロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、アリル化シクロヘキシルジメタクリレート、イソシアヌレートジメタクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレート、プロポキシル化グリセロールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、およびそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、アクリレートモノマーは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、およびペンタエリスリトールトリアクリレートを含有する。
【0021】
樹脂被覆のフィルム形成特性を改善するために、本発明で使用されるUV硬化樹脂は、10から10までの範囲の分子量を有するオリゴマーを任意選択で含有することができる。そのようなオリゴマーは当業者によく知られており、例えばアクリレートオリゴマーであり、それは、例えば、限定はしないが、脂肪族ウレタンアクリレート、脂肪族ウレタンヘキサアクリレート、および芳香族ウレタンヘキサアクリレートなどのウレタンアクリレート、ビスフェノール−Aエポキシジアクリレート、ノボラックエポキシアクリレートなどのエポキシアクリレート、ポリエステルジアクリレートなどのポリエステルアクリレート、またはホモ−アクリレートを含む。
【0022】
本発明に好適な熱硬化性樹脂は、一般に、約10から約2×10まで、好ましくは約2×10から約3×10まで、より好ましくは約4×10から約10までの範囲の平均分子量を有する。本発明の熱硬化性樹脂は、カルボキシル(−COOH)基および/またはヒドロキシル(−OH)基を含有するポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、およびアルキド樹脂、ならびにそれらの混合物からなる群から選択することができ、それらのうち、カルボキシ(−COOH)基および/またはヒドロキシル(−OH)基を含有するポリメタクリレート樹脂またはポリアクリレート樹脂が好ましく、例えばポリメタクリルポリオール樹脂である。
【0023】
本発明で使用することができる熱可塑性樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのポリメタクリレート樹脂、およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0024】
非球状粒子およびバインダに加えて、本発明の樹脂被覆は当業者には周知の任意の添加物を任意選択で含有することができ、限定はしないが、帯電防止剤、硬化剤、光開始剤、蛍光増白剤、UV吸収剤、無機微粒子、湿潤剤、脱泡剤、均展材、流動化剤、スリップ剤、分散剤、または安定剤を含む。本発明の光学層も任意選択で上記の添加物のうちのいずれも含有することができる。
【0025】
光学フィルムの製造プロセス中、静電気が樹脂材料自体の摩擦または樹脂材料と他の材料との間の摩擦によって発生するであろう。したがって、静電気を防止するために帯電防止剤を添加することができる。必要に応じて、1つまたは複数の帯電防止剤を加えることができる。本発明に好適な帯電防止剤は特に限定されず、エトキシグリセリン脂肪酸エステル、第4級アミン化合物、脂肪族アミン誘導体、エポキシ樹脂(ポリエチレンオキシドなど)、シロキサン、またはポリ(エチレングリコール)エステル、ポリ(エチレングリコール)エーテルなどの他のアルコール誘導体などの当業者によく知られている任意の帯電防止剤とすることができる。
【0026】
本発明に好適な硬化剤は、当業者によく知られており、架橋を形成するために分子を互いに化学結合させることができる任意の硬化剤とすることができ、例えば、限定はしないが、ポリイソシアネートとすることができる。
【0027】
本発明に好適な蛍光増白剤は特に限定されず、当業者によく知られている任意の蛍光増白剤とすることができ、例えば、限定はしないが、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール、またはジフェニルエチレンビストリアジンを含む有機物、あるいは、例えば、限定はしないが、硫化亜鉛を含む無機物とすることができる。
【0028】
本発明に好適なUV吸収剤は、当業者によく知られている任意のUV吸収剤、例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアジン、ベンゾフェノン、またはサリチル酸誘導体とすることができる。
【0029】
本発明で使用される光開始剤は、照射された後フリーラジカルを発生し、フリーラジカルを供給することによって重合を開始する。本発明に好適な光開始剤は特に限定されないが、好ましい光開始剤はベンゾフェノンまたは1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。
【0030】
さらに、基板が可塑性基板である場合、可塑性基板が黄変しないように、UV光を吸収することができる無機微粒子を本発明の凸凹微細構造体または樹脂被覆に任意選択で添加することができる。無機微粒子は、例えば、限定はしないが、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、ジルコニア、アルミナ、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、または炭酸カルシウム、あるいはそれらの混合物とすることができ、それらのうちの二酸化チタン、ジルコニア、アルミナ、酸化亜鉛、またはそれらの混合物が好ましい。上述の無機微粒子の粒径は、一般に、約1ナノメートル(nm)から約1000nmまで、好ましくは約10nmから約500nmまで、より好ましくは約20nmから約200nmまでの範囲である。
【0031】
本発明の光学フィルムは、当業者によく知られている任意のプロセスによって製造することができ、凸凹微細構造体および樹脂被覆を調製するプロセスは上記で説明した通りである。凸凹微細構造体および樹脂被覆を調製するための順序は特に限定されない。例えば、非球状粒子を含有する樹脂被覆が基板の一方の表面に塗布され、次に、凸凹微細構造体が基板の反対側の表面に塗布されるが、逆の場合も同様である。
【0032】
図2から図11は、本発明による光学フィルムの好ましい実施形態をさらに示す。
【0033】
図2および図3は、本発明による光学フィルムの2つの好ましい実施形態を示し、基板1の第1の表面は凸凹微細構造体2を含み、基板の第2の表面は樹脂被覆3を含む。凸凹微細構造体2は、様々な幅および高さをもつ複数のプリズム柱状構造体および円弧柱状構造体から構成され、それらは光収束効果をもたらし、樹脂被覆3は複数の非球状粒子4を含有する。図2に示された実施形態では、樹脂被覆3は平滑であり、図3に示された実施形態では、樹脂被覆3は平滑でない。
【0034】
図4および図5は、本発明による光学フィルムの別の2つの好ましい実施形態を示し、基板1の第1の表面は凸凹微細構造体2を含み、基板の第2の表面は樹脂被覆3を含む。凸凹微細構造体2は複数の円弧柱状構造体から構成され、樹脂被覆3は複数の非球状粒子4を含有する。図4に示された実施形態では、樹脂被覆3は平滑であり、図5に示された実施形態では、樹脂被覆3は平滑でない。
【0035】
図6および図7は、本発明による光学フィルムの2つの他の好ましい実施形態を示し、基板1の第1の表面は凸凹微細構造体2を含み、基板の第2の表面は樹脂被覆3を含む。凸凹微細構造体2は複数の拡散粒子5を含有し、樹脂被覆3は複数の非球状粒子4を含有する。図6に示された実施形態では、樹脂被覆3は平滑であり、図7に示された実施形態では、樹脂被覆3は平滑でない。
【0036】
図8および図9は、本発明による光学フィルムの2つの他の好ましい実施形態を示し、基板1の第1の表面は凸凹微細構造体を含み、凸凹微細構造体は基板と一体化して形成され(図8および図9の記号6を参照)、基板の第2の表面は樹脂被覆3を含み、樹脂被覆3は複数の非球状粒子4を含有する。図8に示された実施形態では、樹脂被覆3は平滑であり、図9に示された実施形態では、樹脂被覆3は平滑でない。
【0037】
図10は、本発明による光学フィルムの別の好ましい実施形態を示し、基板1の第1の表面は凸凹微細構造体2を含み、凸凹微細構造体は光拡散効果および光収束効果の両方を有する光学層であり、凸凹微細構造体は、複数の拡散粒子5を含む拡散層21と、様々な幅および高さをもつ複数のプリズム柱状構造体および円弧柱状構造体から構成された光収束層22とを含み、基板の第2の表面は樹脂被覆3を含み、樹脂被覆3は複数の非球状粒子4を含有し、平滑である。
【0038】
図11は、本発明による光学フィルムの別の好ましい実施形態の立体視図を示し、基板1の第1の表面は凸凹微細構造体2を含み、凸凹微細構造体は光拡散効果および光収束効果の両方を有する光学層であり、凸凹微細構造体は、複数の拡散粒子5を含む拡散層21と、同じ幅および高さをもつ複数のプリズム柱状構造体から構成された光収束層22とを含み、基板の第2の表面は樹脂被覆3を含み、樹脂被覆3は複数の非球状粒子4を含有し、平滑でない。
【0039】
光学製品の光学特性は、ヘイズ(Hz)および全透過率(Tt)によって表わすことができる。ヘイズは光学製品の光散乱特性と関連し、全透過率は光学製品の光透過特性と関連する。本発明によれば、凸凹微細構造体がない状態でJIS K7136標準方法に従って測定されたとき、第2の表面上の樹脂被覆は、1%から90%まで、好ましくは5%から50%までの範囲のヘイズを有する。したがって、本発明の樹脂被覆は光を散乱することができる。本発明の光学フィルムの全透過率はJIS K7136標準方法に従って測定される。本発明の光学フィルムは、60%以上、好ましくは80%を超える、より好ましくは90%以上の全透過率を有する。さらに、本発明の樹脂被覆は、10から1013Ω/□(Ω/□はオーム/スクエアを表す)までの範囲の表面抵抗率、およびJIS K5400標準方法に従って測定されたとき3H以上の鉛筆硬度を有する。
【0040】
本発明の好ましい一実施形態によれば、本発明の光学フィルムは、基板の第1の表面上の凸凹微細構造体と、基板の第2の表面上の樹脂被覆とを含み、樹脂被覆は非球状粒子、バインダ、および帯電防止剤を含み、非球状粒子は3μmから8μmまでの範囲の最長寸法および1.2から1.8までの範囲のアスペクト比を有し、樹脂被覆は、1μmから5μmまでの厚さ、およびJIS K5400標準方法に従って測定されたとき3H以上の鉛筆硬度を有する。
【0041】
本発明の光学フィルムは、光源デバイス、例えば広告ライトボックスおよびフラットパネル表示装置で使用することができ、特に液晶表示装置用のバックライトモジュールで使用することができる。本発明の光学フィルムは、基板の第2の表面(第2の表面は、通常、光入射表面である)上に非球状粒子を含む樹脂被覆で被覆され、樹脂被膜は本発明の光学フィルムと他のフィルムまたは要素との吸着を回避する。本発明の樹脂被覆は良好な耐帯電性および高い硬度を有し、その結果、樹脂被覆は、光学フィルムが輸送または製造プロセス中に引掻き傷または損傷を受けることがないように、かつ塵埃付着されないようにすることができる。さらに、本発明の樹脂被覆は光を散乱することができ、光学フィルムの規則的な配置に起因するモアレ現象を改善し、明暗縞を除去し、光の均一性を達成することができる。球状粒子が使用される従来技術と比較して、本発明の樹脂被覆は非球状粒子を使用し、非球状粒子の構成のために、被覆の厚さおよび粒子の凝着または凝集を低減することができ、それにより、得られる光学フィルムはより良好な光透過率および輝度を有する。
【0042】
以下の実施例は本発明をさらに説明するために使用されるが、本発明の範囲を限定するものではない。当業者によって容易になし得るいかなる変更または改変も本明細書の開示および添付の特許請求の範囲の範囲内にある。
【0043】
(実施例)
UV硬化樹脂Aの調製
250mlのガラス瓶に、40gのトルエンの溶媒が加えられた。10gのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、2gのトリメチロールプロパントリアクリレート、および14gのペンタエリスリトールトリアクリレートを含むアクリレートモノマーと、オリゴマー(28gの脂肪族ウレタンヘキサアクリレート[Etercure 6145−100、Eternal Company])と、光開始剤(6gの1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)とが、高速で撹拌しながら連続して加えられ、最終的に、約60%の固形分をもつ約100gのUV硬化樹脂Aが調製された。
【0044】
被覆調合物Aの調製
250mlのガラス瓶に、34.1gのブタノンの溶媒が加えられた。6μmの最長寸法および1.2から1.8までのアスペクト比の平均粒径を有する0.59gの非球状アクリル樹脂粒子[LMXシリーズ、Japan Sekisui Plastics Company]、32.7gのUV硬化樹脂A、32.7gの熱硬化性樹脂、すなわち約30%の固形分をもつアクリル樹脂[Eterac(登録商標) 7365−S−30、Eternal Company]、および0.6gの帯電防止剤[GMB−36M−AS、丸菱油化工業株式会社](約20%の固形分をもつ)が高速で撹拌しながら連続して加えられ、最終的に、約30%の固形分をもつ約100gの被覆調合物Aが調製された。
【0045】
被覆調合物Bの調製
250mlのガラス瓶に、35.0gのブタノンの溶媒が加えられた。6μmの最長寸法および1.2から1.8までのアスペクト比の平均粒径を有する1.42gの非球状アクリル樹脂粒子[LMXシリーズ、Japan Sekisui Plastics Company]、31.7gのUV硬化樹脂A、31.7gの熱硬化性樹脂、すなわち約30%の固形分をもつアクリル樹脂[Eterac(登録商標) 7365−S−30、Eternal Company]、および0.6gの帯電防止剤[GMB−36M−AS、丸菱油化工業株式会社](約20%の固形分をもつ)が高速で撹拌しながら連続して加えられ、最終的に、約30%の固形分をもつ約100gの被覆調合物Bが調製された。
【0046】
被覆調合物Cの調製
250mlのガラス瓶に、34.1gのブタノンの溶媒が加えられた。5μmの平均粒径を有する0.59gの球状アクリル樹脂粒子[SSX−105、Japan Sekisui Plastics Company]、32.7gのUV硬化樹脂A、32.7gの熱硬化性樹脂、すなわち約30%の固形分をもつアクリル樹脂[Eterac(登録商標) 7365−S−30、Eternal Company]、および0.6gの帯電防止剤[GMB−36M−AS、丸菱油化工業株式会社](約20%の固形分をもつ)が高速で撹拌しながら連続して加えられ、最終的に、約30%の固形分をもつ約100gの被覆調合物Cが調製された。
【0047】
被覆調合物Dの調製
250mlのガラス瓶に、34.1gのブタノンの溶媒が加えられた。8μmの平均粒径を有する0.59gの球状アクリル樹脂粒子[SSX−108、Japan Sekisui Plastics Company]、32.7gのUV硬化樹脂A、32.7gの熱硬化性樹脂、すなわち約30%の固形分をもつアクリル樹脂[Eterac(登録商標) 7365−S−30、Eternal Company]、および0.6gの帯電防止剤[GMB−36M−AS、丸菱油化工業株式会社](約20%の固形分をもつ)が高速で撹拌しながら連続して加えられ、最終的に、約30%の固形分をもつ約100gの被覆調合物Dが調製された。
【0048】
(実施例1)
被覆調合物Aが188μmの厚さを有する透明なPET基板[U34、Toray Company]の一方の表面上にRDS Bar Coater #5によって塗布され、80℃で1分間乾燥され、UV露光機[Fusion UV、F600V、600W/インチ、H型ランプ源]に、100%に設定されたパワーで、15m/分の速度で、200mJ/cmの強力な光線を用いて露光され、樹脂被覆がもたらされた。厚さ試験の際、得られたフィルムは約190.2μmのフィルム全厚を有する。
【0049】
(実施例2)
被覆調合物Bが188μmの厚さを有する透明なPET基板[U34、Toray Company]の一方の表面上にRDS Bar Coater #5によって塗布され、次に、実施例1で説明したような条件下で乾燥および硬化され、基板上に樹脂被覆がもたらされた。厚さ試験の際、得られたフィルムは約190.2μmのフィルム全厚を有する。
【0050】
(比較実施例3)
被覆調合物Cが188μmの厚さを有する透明なPET基板[U34、Toray Company]の一方の表面上にRDS Bar Coater #5によって塗布され、次に、実施例1で説明したような条件下で乾燥および硬化され、基板上に樹脂被覆がもたらされた。厚さ試験の際、得られたフィルムは約190.7μmのフィルム全厚を有する。
【0051】
(比較実施例4)
被覆調合物Dが188μmの厚さを有する透明なPET基板[U34、Toray Company]の一方の表面上にRDS Bar Coater #5によって塗布され、次に、実施例1で説明したような条件下で乾燥および硬化され、基板上に樹脂被覆がもたらされた。厚さ試験の際、得られたフィルムは約190.3μmのフィルム全厚を有する。
【0052】
(実施例5)
被覆調合物Aが213μmの厚さを有する拡散フィルム[Eterac(登録商標) DI−780A、Eternal Company]の光入射表面上にRDS Bar Coater #5によって塗布され、次に、実施例1で説明したような条件下で乾燥および硬化され、基板上に樹脂被覆がもたらされた。厚さ試験の際、得られたフィルムは約215.2μmのフィルム全厚を有する。
【0053】
(比較実施例6)
被覆調合物Cが213μmの厚さを有する拡散フィルム[Eterac(登録商標) DI−780A、Eternal Company]の光入射表面上にRDS Bar Coater #5によって塗布され、次に、実施例1で説明したような条件下で乾燥および硬化され、基板上に樹脂被覆がもたらされた。厚さ試験の際、得られたフィルムは約215.7μmのフィルム全厚を有する。
【0054】
(比較実施例7)
被覆調合物Dが213μmの厚さを有する拡散フィルム[Eterac(登録商標) DI−780A、Eternal Company]の光入射表面上にRDS Bar Coater #5によって塗布され、次に、実施例1で説明したような条件下で乾燥および硬化され、基板上に樹脂被覆がもたらされた。厚さ試験の際、得られたフィルムは約215.3μmのフィルム全厚を有する。
【0055】
(実施例8)
被覆調合物Aが、213μmの厚さを有するプリズムフィルム[Eterac(登録商標) PF−962−188、Eternal Company]の光入射表面上にRDS Bar Coater #5によって塗布され、次に、実施例1で説明したような条件下で乾燥および硬化され、基板上に樹脂被覆がもたらされた。厚さ試験の際、得られたフィルムは約215.2μmのフィルム全厚を有する。
【0056】
(比較実施例9)
被覆調合物Cが213μmの厚さを有するプリズムフィルム[Eterac(登録商標) PF−962−188、Eternal Company]の光入射表面上にRDS Bar Coater #5によって塗布され、次に、実施例1で説明したような条件下で乾燥および硬化され、基板上に樹脂被覆がもたらされた。厚さ試験の際、得られたフィルムは約215.7μmのフィルム全厚を有する。
【0057】
(比較実施例10)
被覆調合物Dが213μmの厚さを有するプリズムフィルム[Eterac(登録商標) PF−962−188、Eternal Company]の光入射表面上にRDS Bar Coater #5によって塗布され、次に、実施例1で説明したような条件下で乾燥および硬化され、基板上に樹脂被覆がもたらされた。厚さ試験の際、得られたフィルムは約215.3μmのフィルム全厚を有する。
【0058】
試験方法A:
フィルム厚さ試験: サンプルのフィルム厚が1N加圧接触下で被覆厚さゲージ(PIM−100、TESA Corporation)で測定された。
【0059】
輝度試験: JIS K7136標準方法に従って、サンプルはNDH 5000Wヘイズメーター(日本電色工業株式会社)でヘイズ(Hz)および全透過率(Tt)に関して測定された。結果が以下の表1に示される。
【0060】
鉛筆硬度試験: JIS K−5400の方法に従って、サンプルは鉛筆硬度試験機[Elcometer 3086、SCRATCH BOY]で三菱鉛筆(2H、3H)を使用して試験された。結果が以下の表1に示される。
【0061】
表面抵抗率試験: サンプルの表面抵抗率が超絶縁計[EASTASIA TOADKK Co.,SM8220&SME−8310、500V]で測定された。試験条件は、23±2℃、55±5%RHであった。結果が以下の表1に示される。
【0062】
表面粗さ試験: サンプルの表面粗さ(Ra)および山対谷の最大距離(Rz)がJIS B−0601の方法に従って表面粗さ計[Mitsutoyo Company、Surftest SJ−201]で測定された。結果が以下の表1に示される。
【0063】
耐引掻性試験: リニア摩耗試験機(Linear Abraser)[TABER 5750]が使用され、試験されるフィルム(20mm長×20mm幅)が350gプラットフォーム(面積:20mm長×20mm幅)上に貼られた。拡散板[EMS−55G Entire Technology Co., Ltd]が、フィルムの樹脂被覆と拡散板との間の反圧縮能力および耐引掻性を試験するために使用された。試験は、2インチの試験経路および10サイクル/分の速度で10サイクル行われた。試験の結果が以下の表1に示される。
【0064】
【表1】

【0065】
実施例1および比較実施例3の樹脂被覆は同じ表面粗さを有することが、実施例1および比較実施例3の結果から分かるが、実施例1の樹脂被覆は非球状粒子を使用しており、より良好な耐引掻性を有し、拡散板に引掻き傷をつけない。
【0066】
粒子が同じ量だけ添加される場合、実施例1の被覆樹脂はより良好な耐引掻性および耐帯電性を有し、それによって、基板は塵埃吸着および引掻き傷が防止されることが実施例1ならびに比較実施例3および4の結果から分かる。
【0067】
樹脂被覆に含有される粒子の量を増やすことによって、フィルムのヘイズは3.74%から11.95%まで増大されるが、一方、フィルムの全透過率は90%を超えて維持されることが実施例1および2の結果から分かる。
【0068】
同様のレベルにフィルムのヘイズを制御する場合、実施例2のフィルムはより良好な耐引掻性を有し、拡散板に引掻き傷をつけず、実施例2のフィルムがより高い量の粒子を含有する場合でさえ、実施例2のフィルムの全透過率および耐帯電性は、比較実施例3および4のフィルムよりも良好であることが実施例2ならびに比較実施例3および4の結果から分かる。
【0069】
試験方法B:
輝度試験方法: フィルムがバックライトモジュール[19”W液晶表示装置、CMV937A、Chi Mei Optoelectronics]に組み合わせられ、次に、携帯輝度計[K−10、KLEIN company]を使用してフィルムの輝度が測定された。試験状態は、23±2℃、55±5%RHであった。モジュールのサイズ(L×W)は42cm×26cmであり、試験位置は(0.5L, 0.5W)であった。
【0070】
試験1: 実施例5ならびに比較実施例6および7で得られたフィルムがそれぞれバックライトモジュール[19”W液晶表示装置、CMV937A、Chi Mei Optoelectronics]の光ガイド上に組み合わせられ、次に、輝度測定が行われた。試験の結果が以下の表2に示される。
【0071】
【表2】

【0072】
比較実施例7のフィルムの被覆樹脂はより大きい球状粒子を含有するので、得られた輝度は実施例5および比較実施例6のフィルムの輝度ほど良好ではないことが実施例5ならびに比較実施例6および7の結果から分かる。実施例5および比較実施例6のフィルムで使用された粒子は同様の粒径を有する。しかし、実施例5のフィルムは非球状粒子を使用し、それによって、より高い輝度および輝度利得を達成している。
【0073】
試験2: 実施例8ならびに比較実施例9および10で得られたフィルムが、各々拡散フィルム[Eterac(登録商標) DI−780A、Eternal Company]と一緒に、それぞれバックライトモジュール[19”W液晶表示装置、CMV937A、Chi Mei Optoelectronics]の光ガイド上に組み合わせられ、次に、輝度測定が行われた。試験の結果が以下の表3に示される。
【0074】
【表3】

【0075】
球状粒子が使用されている比較実施例9および10と比較して、実施例8のフィルムは非球状粒子を使用しており、より高い輝度および輝度利得を達成している。
【0076】
結論:
表1から表3に示した結果によれば、本発明の樹脂被覆は非球状粒子を使用し、良好な耐引掻性および耐帯電性を提供している。
【符号の説明】
【0077】
1 基板
2 凸凹微細構造体
3 樹脂被覆
4 非球状粒子
5 拡散粒子
6 凸凹微細構造体
21 拡散層
22 光収束層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)可撓性基板と、
(b)凸凹微細構造体を含む第1の表面と、
(c)樹脂被覆を含む第2の表面と
を含む光学フィルムであって、
前記樹脂被覆が非球状粒子を含み、前記非球状粒子が1μmから20μmまでの範囲の最長寸法および1.2から1.8までの範囲のアスペクト比を有する光学フィルム。
【請求項2】
前記非球状粒子が2μmから12μmまでの範囲の最長寸法を有する、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記非球状粒子が3μmから8μmまでの範囲の最長寸法を有する、請求項2に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記樹脂被覆が0.5μmから10μmまでの厚さを有する、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記樹脂被覆が1μmから5μmまでの厚さを有する、請求項4に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記非球状粒子が、ポリアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、またはそれらの混合物である、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記非球状粒子がポリアクリレート樹脂である、請求項6に記載の光学フィルム。
【請求項8】
前記樹脂被覆が平滑である、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項9】
前記樹脂被覆が平滑でない、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項10】
前記樹脂被覆が非球状粒子およびバインダを含み、前記非球状粒子が前記バインダの固形分の100重量部当たり約0.1重量部から約30重量部までの量で存在する、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項11】
前記非球状粒子が前記バインダの固形分の100重量部当たり約1重量部から約5重量部までの量で存在する、請求項10に記載の光学フィルム。
【請求項12】
前記樹脂被覆が、帯電防止剤、硬化剤、光開始剤、蛍光増白剤、UV吸収剤、無機微粒子、湿潤剤、脱泡剤、均展材、流動化剤、スリップ剤、分散剤、および安定剤からなる群から選択された添加物をさらに含む、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項13】
前記樹脂被覆に含有される前記バインダが、紫外線(UV)硬化樹脂、熱硬化性樹脂、および熱可塑性樹脂、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項14】
前記UV硬化樹脂が、1つまたは複数の官能基を有する少なくとも1つのアクリルモノマーまたはアクリレートモノマーから形成される、請求項13に記載の光学フィルム。
【請求項15】
前記アクリレートモノマーが、メタクリレートモノマー、アクリレートモノマー、ウレタンアクリレートモノマー、ポリエステルアクリレートモノマー、およびエポキシアクリレートモノマーからなる群から選択される、請求項14に記載の光学フィルム。
【請求項16】
前記熱硬化性樹脂が、ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含有するポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の光学フィルム。
【請求項17】
前記熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリメタクリレート樹脂、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の光学フィルム。
【請求項18】
前記第1の表面が前記基板と一体化して形成される、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項19】
前記第1の表面が、被覆することによって前記基板上に形成される、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項20】
(a)可撓性基板と、
(b)凸凹微細構造体を含む第1の表面と、
(c)樹脂被覆を含む第2の表面と
を含む光学フィルムであって、
前記樹脂被覆が、非球状粒子、バインダ、および帯電防止剤を含み、
前記非球状粒子が3μmから8μmまでの範囲の最長寸法および1.2から1.8までの範囲のアスペクト比を有し、前記樹脂被覆が1μmから5μmまでの厚さ、およびJIS K5400標準方法に従って測定されたとき3H以上の鉛筆硬度を有する光学フィルム。
【請求項21】
前記非球状粒子が1.4から1.6までの範囲のアスペクト比を有する、請求項20に記載の光学フィルム。
【請求項22】
前記樹脂被覆が10Ω/□から1013Ω/□までの範囲の表面抵抗率を有する、請求項20に記載の光学フィルム。
【請求項23】
前記非球状粒子が、円板様粒子、米様粒子、卵形粒子、カプセル様粒子、または両凸レンズ形粒子である、請求項20に記載の光学フィルム。
【請求項24】
前記非球状粒子が両凸レンズ形粒子である、請求項20に記載の光学フィルム。
【請求項25】
JIS K7136標準方法に従って測定されたとき、前記樹脂被覆が1%から90%までの範囲のヘイズを有する、請求項20に記載の光学フィルム。
【請求項26】
JIS K7136標準方法に従って測定されたとき、前記樹脂被覆が5%から50%までの範囲のヘイズを有する、請求項25に記載の光学フィルム。
【請求項27】
前記光学フィルムが60%以上の全透過率を有する、請求項20に記載の光学フィルム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−9049(P2010−9049A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−152846(P2009−152846)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(500202322)長興化學工業股▲ふん▼有限公司 (30)
【Fターム(参考)】