説明

非環式スルファミド誘導体

【解決手段】本発明は、満腹誘導および摂食制御、体脂肪調節および脂質代謝調節のための医薬の製造、および糖尿病および心血管疾患の治療または予防のための医薬の製造に有用な、非環式スルファミド誘導体に関する。また、該非環式スルファミド誘導体は、美容用途にも有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥満および摂食障害の治療に有用な、非環式スルファミド誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満および摂食障害の治療のための活性化合物を提供する必要性が高まっている。近年、これらの状態を治療するための新たな薬理学的標的を発見する、多大な研究努力がなされてきた。
【0003】
発見された最も有望な標的の一つは、核ホルモン受容体に属するスーパーファミリーであるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)であり、これらは、脂質および糖質代謝の調節において中心的な役割を果たすリガンド活性化転写因子である。加えて、PPARは、満腹誘導および摂食制御および体脂肪調節おいて、また糖尿病および心血管疾患の治療および予防においても、中心的な役割を果たすことが発見されている。
【0004】
PPAR受容体の3つのサブタイプ:PPARα、PPARγおよびPPARδが記載されている(コタ(Kota), B.P.ら、Pharmacol. Res. 51巻(2005年):85頁)。PPARγサブタイプのリガンドによる活性化は、ヒトにおいてインスリンの作用を増強し、げっ歯類の糖尿病モデルにおいて血中グルコース値を低下させる。脂肪組織で発現されるPPARγ受容体は、インビトロで脂肪細胞分化の調節において中心的機能を果たす。PPARδサブタイプの生物学は殆ど知られていないが、高血糖および脂質異常症の制御において重要な役割を果たしていると思われる(バーガー(Berger), J.およびモラー(Moller), D.E.、Annu. Rev. Med. 53巻(2002年):409頁;バーガー, J.ら、J. Biol. Chem. 274巻(1999年):6718-6725頁)。
【0005】
PPARαサブタイプのその天然リガンドによる活性化は、血中脂質値の制御に関係する。中鎖および長鎖脂肪酸およびエイコサノイド(フォルマン(Forman), B.M.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94巻(1997年):4312頁)が記載されており、これらは血漿トリグリセリドの実質的低減、低比重リポタンパク質(LDL)に関連するコレステロールの緩やかな低減、および満腹効果を引き起こす。従って、この受容体ファミリーのαサブタイプは、脂質異常症、心血管疾患、糖尿病および肥満等の、代謝の変調に関連する疾病の治療のための、非常に興味深い治療標的として示される(チェン(Cheng), P.T.ら、Mini. Rev. Med. Chem. 5巻 (2005年):741頁;エヴァンス(Evans), R.M.ら、Nature Medicine 10巻 (2004年):1頁)。
【0006】
脂質異常症は、1種以上の脂質(例えばコレステロールおよびトリグリセリド)、および/またはアポリポタンパク質(例えばA、B、CおよびE型)、および/またはリポタンパク質(例えば低比重リポタンパク質(LDL)、超低比重リポタンパク質(VLDL)および中間比重リポタンパク質(IDL))の異常濃度を特徴とする、脂質代謝における疾患である。コレステロール分子は、通常、LDLリポタンパク質に結合して運ばれる。この組成物の値の上昇は、冠動脈疾患のリスクに直接的に関連する。より少ない割合のコレステロール分子がHDLリポタンパク質によって運ばれるが、この主要な機能は、動脈壁に沈着したコレステロールを引き出し、肝臓に運んで腸を通って排泄することである。HDLコレステロールの高値は、冠動脈疾患のリスクの低下に関係することが記載されている。従って、脂質異常症の治療において、LDLコレステロール値を下げることは、HDLコレステロール値を上げることと同じように重要である(ゴードン(Gordon), T.ら、Am. J. Med. 62巻 (1977年):707頁;スタンプファー(Stampfer), M.J.ら、N. England J. Med.、325巻 (1991年):373頁;カンネル(Kannel), W.B.ら、Ann. Internal Med. 90巻 (1979年):85-91頁)。現在、クロフィブラート(国際特許WO 02009682号)、ベザフィブラートおよびフェノフィブラート(phenofibrate)(国際特許WO 02015845号)等のフィブラート誘導体が臨床的に使用されているが、これら誘導体は、PPARαサブタイプに結合し、従って以前に記載された方法(リントン(Linton), M.F.およびファツィオ(Fazio), M.F.、Curr. Atherioscler. Rep. 2巻 (2000年):29頁)のいくつかに関わるある転写因子を制御することによって脂質異常症を制御する。
【0007】
PPARα/γの二重作動薬は、脂質異常症の治療と同様に、2型糖尿病の治療に使用できる可能性により利用される(ヘンケ(Henke), B.R.、J. Med. Chem. 47巻 (2004年):4118頁)。種々のグリタゾン類(ベンジル-2,4-チアゾリジンジオン誘導体)は糖尿病の治療において使用が認可されている。それらの中には、イサグリタゾン(isaglitazon)(国際特許WO 03018010号)、トログリタゾン、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾンが含まれる(フリン(Hulin), B.ら、Current Pharm. Design. 2巻 (1996年):85頁)。KRP-297(ムラカミ(Murakami), K.、Biochem. J. 353巻 (2001年): 231頁)、あるチアゾール類(国際特許WO 01021602号)およびプロピオン酸誘導体(国際特許WO 02069994号)等の、開発や臨床研究の種々の段階における新規分子が、PPARαおよびγサブタイプの活性化剤として二重活性を示している。
【0008】
最後に、種々の研究系列は、脂質プロフィールおよび体脂肪組成の障害に関連する疾病の可能性のある治療として、フェニルプロピオン酸誘導体(ノムブラ(Nombra)、M.ら、J. Med. Chem. 46巻 (2003年):3581頁)等の、PPARαサブタイプの選択剤またはトリアゾールおよびトリアゾロン誘導体LY518674(シュ(Xu), Y.ら、Med. Chem. 46巻 (2003年): 5121頁)の選択剤の開発に、重点的に取り組んでいる。
【0009】
米国特許US 2004/0176426号には、以下の式を有する化合物が記載されている:

式中、A2およびA3は、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、(ヘテロアリール)アルキル、アリール(ヘテロアルキル)、または(ヘテロアリール)ヘテロアルキルであってもよく;B3は、-水素、-アルキレン-C(O)R3、-C(O)R3、アルキレン-C(O)N(R3R4)、-C(O)N(R3R4)、アルキレン-S(O)nN(R3R4)、S(O)nN(R3R4)、アルキレン-N(R3R4)、アルキレン-OR3,および-C(O)OR3 (式中、R3およびR4は、とりわけ、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルであってもよく)より選択され;Xは、C、S、またはNであり;かつ、pは0〜2の整数である。
【0010】
米国特許US 2004/0176426号に記載されている化合物は、ファルネソイドX受容体(FXR)の調節に有用である。米国特許US 2004/0176426号によれば、FXRは、ある細胞型において、レチノイドX受容体(RXR)とヘテロダイマーを形成し、細胞におけるFXR活性値の調節は、RXRや、PPARγおよびPPARα等の他のRXR結合タンパク質によって媒介される、様々な生物学的プロセスに広範な影響を与える。
【0011】
しかしながら、米国特許US 2004/0176426号に記載された化合物の全ての可能なファミリーからは、非環式スルファミド誘導体について、または、満腹誘導および摂食制御、体脂肪調節および脂質代謝調節における、または糖尿病および心血管疾患の治療または予防のための、それら誘導体の活性について、何も言及がない。
【0012】
米国特許4,171,223号には、第1級芳香族アミノ発色物質の酸化産物と反応して、以下の式を有する拡散性のハロゲン化銀現像阻害化合物を放出する能力のある、非拡散性のチオエーテル化合物が記載されている。

【0013】
同書類には、上記の化合物合成の中間体として、N-ドデシル-スルファミドが開示されている。
【0014】
米国特許US 4,218,357号には、以下の式を有する化合物が記載されている:

式中、Rは、とりわけ、C1〜C30アルキル、炭素数4〜10のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリールおよび置換アリールまたはC1〜C30アルコキシよりなる群から選択され;かつ、R1およびR2は、独立して、水素、および、C1〜C30アルキル、炭素数4〜10のシクロアルキル、炭素数6〜14のアリール、および置換アリールよりなる群から選択される。
【0015】
米国特許US 4,218,357号に記載された化合物は、ポリマーの添加物として使用される樹脂加工剤(platifier)である。特に、米国特許US 4,218,357号は、好適な樹脂加工添加剤として、以下の化合物を開示している:

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
現在の薬剤は、上記疾患のいくつかの治療においては良好な結果を出しているが、なおも、治療可能性、より良い薬物動態特性および低毒性を有する代替化合物の探索を継続する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、驚くべきことに、満腹誘導および摂食制御、体脂肪調節および脂質代謝調節の能力があり、糖尿病および心血管疾患の治療および予防のための医薬の製造に有用な、新しい種類の分子を発見した。
【0018】
従って、本発明は、第一の様相では、式(I)の非環式スルファミド誘導体、および、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物に関する:

式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、
R1およびR2が異なる場合、
R1は、直鎖C12-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C12-C20アルケニルよりなる群から選択され;かつ
R2は、水素およびC1-C4アルキルよりなる群から選択され;
または
R1およびR2が同一である場合、
R1およびR2は、直鎖C14-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C14-C20アルケニルよりなる群から選択され;
ただし
R1がn-ドデシルの場合、R2は水素ではなく;かつ
R1およびR2が同一である場合、それらはC18アルキル基ではない。
【0019】
本発明は、第二の様相では、医薬としての使用のための、式(I)の該化合物に関する。
【0020】
本発明は、第三の様相では、満腹誘導および摂食制御、体脂肪調節および脂質代謝調節のため、および糖尿病および心血管疾患の治療または予防のための医薬を製造するための、式(I)の該化合物の使用、または、治療的有効量の式(I)の化合物を、そのような治療を要する患者に投与することを含む、満腹誘導および摂食制御、体脂肪調節および脂質代謝調節の方法および糖尿病および心血管疾患の治療または予防方法に関する。
【0021】
本発明は、第四の様相では、式(I)の化合物および1以上の薬学的に許容される添加剤を含む、医薬組成物に関する。
【0022】
本発明は、第五の様相では、皮下脂肪を減じるための、式(I)の化合物の美容のための使用に関する。
【0023】
式Iの化合物
上述の通り、本発明の第一の様相は、式(I)の非環式スルファミド誘導体、および、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物に関する:

式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、
R1およびR2が異なる場合、
R1は、直鎖C12-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C12-C20アルケニルよりなる群から選択され;かつ
R2は、水素およびC1-C4アルキルよりなる群から選択され;
または
R1およびR2が同一である場合、
R1およびR2は、直鎖C14-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C14-C20アルケニルよりなる群から選択され;
ただし
R1がn-ドデシルの場合、R2は水素ではなく;かつ
R1およびR2が同一である場合、それらはC18アルキル基ではない。
【0024】
「アルキル」は、炭素および水素原子からなり、不飽和を含まない、炭化水素鎖基を言い、単結合によって分子の残部に結合する。
【0025】
「アルケニル」という用語は、その中に1、2、3または4個の炭素−炭素二重結合を有する炭化水素鎖基を意味し、単結合によって分子の残部に結合する。アルケニル基の二重結合は、別の不飽和基に非共役または共役し得る。
【0026】
「C12-C20」は、続く基が12〜20個の炭素原子(即ち、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の炭素原子)を含むことを示す。同様に、「C14-C20」は、基が14〜20個の炭素原子(即ち、14、15、16、17、18、19または20個の炭素原子)を含むことを示し、「C16-C20」は、基が16〜20個の炭素原子(即ち、16、17、18、19または20個の炭素原子)を含むことを示し、「C1-C4」は、基が1〜4個の炭素原子(即ち、1、2、3または4個の炭素原子)を含むことを示し、「Cx」は、基が「x」個の炭素原子を含むことを示す。
【0027】
多様な変化および形態が可能であり、それらが、出発物質として選択された化合物、存在する官能基の相対的配置、キラル中心の存在または不存在、および適用される反応の組み合わせによって随意に得られることは、当業者には明らかである。本発明は、全てのこのような変化(鏡像体、ジアステレオ異性体または互変異性体)および可能性を包含する。
【0028】
本発明は、式(I)の化合物の、生物学的および薬理学的に許容される無機および有機酸との塩もまた提供するが、それらの制限されない例は、硫酸塩;ハロゲン化水素塩;リン酸塩;低級アルカンスルホン酸塩;アリールスルホン酸塩;1以上の二重結合、アリール核または、ヒドロキシ、アミノまたはケト等の他の官能基を含有していてもよい、C1-C20脂肪族モノ−、ジ−またはトリ塩基性酸の塩;芳香核が、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノスルホンアミド等の基で置換されても、置換されなくてもよい、芳香族酸の塩である。ハロゲン化低級アルキルまたは低級アルキル硫酸塩を有する第3窒素原子の第4級塩、およびN−オキシド等の第3窒素原子の酸化誘導体もまた、本発明の範囲に包含される。投与製剤の製造において、当業者は薬学的に許容される塩を選択するであろう。
【0029】
「薬学的に許容される塩」という用語は、服用者への投与に際し、本書に記載された通りの化合物を(直接的または間接的に)提供する能力のある、あらゆる塩を言う。しかし、非薬学的に許容される塩もまた、薬学的に許容される塩の製造に有用であり得ることから、本発明の範囲に含まれることが理解されるであろう。塩の製造は、当業界で知られている方法で実施され得る。
【0030】
例えば、本書で提供される化合物の薬学的に許容される塩は、酸付加塩、塩基付加塩または金属塩であってもよく、慣用の化学的方法によって、塩基性または酸性部分を含む親化合物から合成し得る。一般的に、このような塩は、例えば、遊離酸または塩基の形態のこれらの化合物を、水中または有機溶媒中またはこの2つの混合物中、化学量論量の適当な塩基または酸と反応させることによって製造される。一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水性媒質が好ましい。酸付加塩の例としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の鉱酸付加塩、および、例えば酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩およびp-トルエンスルホン酸塩等の有機酸付加塩が挙げられる。アルカリ付加塩の例としては、例えばアンモニウム等の無機塩、および、例えばエチレンジアミン、エタノールアミン、N,N-ジアルキレンエタノールアミン、トリエタノールアミン、グルカミンおよび塩基性アミノ酸塩等の有機アルカリ塩が挙げられる。金属塩の例としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムおよびリチウム塩が挙げられる。
【0031】
本発明は、式(I)の化合物の溶媒和物も提供する。本発明による「溶媒和物」という用語は、非共有結合で結合する別の分子(多くは極性溶媒)を有する、本発明による式(I)のあらゆる形態の化合物を意味すると理解され得る。溶媒和物の例としては、水和物、および、例えばメタノラート等のアルコラートが挙げられる。
【0032】
好ましい態様では、R1およびR2が異なる場合、R2はC1-C4アルキルである。
【0033】
好ましい態様では、R1およびR2が異なる場合、R2はプロピルである。
【0034】
好ましい態様では、R1およびR2が異なる場合、R2は水素である。
【0035】
別の好ましい態様では、R1およびR2が異なる場合、R1は直鎖C16-C20アルキルまたは1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C16-C20アルケニルである。
【0036】
別の好ましい態様では、R1およびR2が異なる場合、R1のアルケニル基は1個の二重結合を有する。
【0037】
別の好ましい態様では、式(I)の化合物は、以下の化合物およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物から選択される:
N-(シス-9-オクタデセニル)スルファミド;
N-オクタデシルスルファミド;
N-ヘキサデシルスルファミド;
N-テトラデシルスルファミド;
N-(シス-9-オクタデセニル)-N'-プロピルスルファミド;
N-オクタデシル-N'-プロピルスルファミド;
N-ヘキサデシル-N'-プロピルスルファミド;
N-プロピル-N'-テトラデシルスルファミド;
N,N'-ビス(9-シス-オクタデセニル)スルファミド;
N-(シス-9-シス-12-オクタデカジエニル)スルファミド;
N-(シス-5-シス-8-シス-11-シス-14-エイコサテトラエニル)スルファミド;
N-(シス-5-シス-8-シス-11-シス-14-エイコサテトラエニル)-N'-プロピルスルファミド;
N-(シス-5-シス-8-シス-11-シス-14-オクタデカジエニル)N'-プロピルスルファミド;
N-(トランス-9-オクタデセニル)スルファミド;および
N-(トランス-9-オクタデセニル)-N'-プロピルスルファミド。
【0038】
式(I)の化合物の合成
式(I)の化合物の製造は、スキーム1に記載された反応順序に従って実施され得る。
【0039】
スキーム1に記載された合成経路は、反応条件は変更して式(I)の化合物を提供したが、記載された方法(マクデルモット(Mc Dermott), S.D.およびスピレーン(Spillane), W.、J. Org. Prep. Proc. Int. 16巻 (1984年):49頁)により、式(II)のスルファミドと式(III)の対応するモノ置換アミンとの反応よりなる。
【0040】
式(IV)のN-アルキルスルファモイル誘導体であって、式中R1は上述の意味を有するものは、式(III)の対応するアミンと、クレーク(Kloek)およびレシンスキ(Leschinsky)が記載した方法(クレーク、J.A.;レシンスキ、K.L.、J. Org. Chem. 41巻(1976年):4028頁)によってその場で製造した式(IV)のN-アルキルスルファモイルとから、アトキンス(Atkins)およびバージェス(Burgess)の反応方法に従って製造した(アトキンス、G.M.Jr.;バージェス、E.M.、J. Am. Chem. Soc. 94巻(1972年):6135頁)。
【0041】

【0042】
式(I)の化合物の使用
本発明は、第二の様相では、医薬としての使用のための、式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物に関する:

式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、
R1およびR2が異なる場合、
R1は、直鎖C12-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C12-C20アルケニルよりなる群から選択され;かつ
R2は、水素およびC1-C4アルキルよりなる群から選択され;
または
R1およびR2が同一である場合、
R1およびR2は、直鎖C14-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C14-C20アルケニルよりなる群から選択される。
【0043】
本発明は、第三の様相では、満腹誘導および摂食制御、体脂肪調節および脂質代謝調節のため、および糖尿病および心血管疾患の治療または予防のための医薬を製造するための、式(I)の非環式スルファミド誘導体およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物の使用に関する:

式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、
R1およびR2が異なる場合、
R1は、直鎖C12-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C12-C20アルケニルよりなる群から選択され;かつ
R2は、水素およびC1-C4アルキルよりなる群から選択され;
または
R1およびR2が同一である場合、
R1およびR2は、直鎖C14-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C14-C20アルケニルよりなる群から選択される。
【0044】
好ましい態様では、該疾病または状態は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体のサブタイプαによって媒介される。
【0045】
この記載において使用される、「PPARαリガンド」は、ヒトPPARαおよびCO-活性化分子に結合して、GST結合アッセイにおいて後述の通りの転写過程を引き起こす、化合物である。
【0046】
好ましい態様では、該疾病または状態は、糖尿病および心血管疾患よりなる群から選択される。
【0047】
好ましい態様では、式(I)の化合物は、満腹誘導および摂食制御、体脂肪調節または脂質代謝調節のための医薬の製造に有用である。
【0048】
さらに好ましい態様では、本発明は、式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物の、肥満の予防および治療用医薬の製造のための使用に言及する。
【0049】
肥満は重篤な疾病の原因においてあり得る病状であるが、式(I)の化合物が審美的理由による体重の減少にも有用であり得ることを、当業者は容易に理解するであろう。
【0050】
好ましい態様では、式(I)の化合物は、リポジストロフィー低減のための医薬の製造に使用される。
【0051】
本発明において、リポジストロフィーは、体の脂肪組織の異常または変性状態を特徴とする病状と理解される。
【0052】
また、本発明は、満腹誘導および摂食制御、体脂肪調節および脂質代謝調節の方法、および糖尿病および心血管疾患の治療または予防方法であって、このような治療を要する患者に、治療的有効量の式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を投与することを含む方法も提供する:

式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、
R1およびR2が異なる場合、
R1は、直鎖C12-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C12-C20アルケニルよりなる群から選択され;かつ
R2は、水素およびC1-C4アルキルよりなる群から選択され;
または
R1およびR2が同一である場合、
R1およびR2は、直鎖C14-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C14-C20アルケニルよりなる群から選択される。
【0053】
本発明は、さらなる様相では、
a)式(I)の化合物:

式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、
R1およびR2が異なる場合、
R1は、直鎖C12-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C12-C20アルケニルよりなる群から選択され;かつ
R2は、水素およびC1-C4アルキルよりなる群から選択され;
または
R1およびR2が同一である場合、
R1およびR2は、直鎖C14-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C14-C20アルケニルよりなる群から選択される:
および
b)1以上の薬学的に許容される添加剤
を含む、医薬組成物に関する。
【0054】
「添加剤」という用語は、有効成分と共に投与される希釈剤、補助剤、担体、または賦形剤を言う。このような薬学的添加剤は、水または油等の無菌性液体であってもよく、落花生油、大豆油、鉱物油、胡麻油等の、石油、動物、野菜または合成起源のものが含まれる。担体、特に注射剤としては、水または水溶液、生理食塩水およびデキストロース水溶液およびグリセロール溶液が好ましく用いられる。好適な薬学的担体が、E.W.マーティン(Martin)による「レミントンの薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」に記載されている。
【0055】
本発明の医薬組成物の所望の投与医薬形態を製造するために必要な添加剤および補助物質は、他の要素の中でも、選択した投与医薬形態によって決まる。医薬組成物の該投与医薬形態は、当業者に知られている慣用の方法で製造されるであろう。種々の有効成分の投与方法、使用される添加剤およびそれらの製造方法の総説が、「トラタド・デ・ファルマチア・ガレニカ(Tratado de Farmacia Galenica)」、C.ファウリ(Fauli)およびトリッロ(Trillo)、Luzan 5、S.A. de Ediciones、1993年、に見出される。
【0056】
本明細書の文脈において「予防または治療」という用語は、糖尿病または心血管疾患を患うか患うリスクのある患者の健康を保つための、本発明の化合物または組成物の投与を意味する。また、該用語は、糖尿病または心血管疾患に関連する1以上の症状を予防、改善または解消するための本発明の化合物または組成物の投与も含む。
【0057】
例えばヒト等の哺乳類のような、治療が必要な対象者への投与のため、本発明の医薬組成物は、口腔内(例えば、経口、舌下等)、非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、筋肉内等)、膣内、直腸内、鼻腔内、局所、眼科用等の、あらゆる好適な経路(経由)によって投与され得る。
【0058】
本発明の医薬組成物は、種々の剤形で投与され得る。非制限的例は、経口投与製剤、即ち、錠剤、カプセル剤、シロップ剤または懸濁剤である。
【0059】
一般に、本発明で使用される化合物の有効投与量は、選択した化合物の相対的有効性、治療している疾病の重篤度、または年齢、体重、または投与方法によって決まるであろう。しかし、活性化合物は、典型的には、一日に1回以上、例えば1日1、2、3または4回、0.1〜500mg/kg/日の範囲内の典型的な一日総投与量を投与されるであろう。
【0060】
本発明で使用される化合物は、他の薬剤と共に投与して、併用療法を提供してもよい。他の薬剤は、同じ組成物の一部を形成してもよく、同時または異なる時に投与する、別の組成物として提供されてもよい。
【0061】
美容用途
式(I)の化合物の脂肪調節特性は、脂肪の望ましくない蓄積に関する美容的状態の美容的治療に有用である。
【0062】
従って、上述の、本発明の第5の様相は、式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物の、皮下脂肪を減じるための、美容のための使用に関する:

式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、
R1およびR2が異なる場合、
R1は、直鎖C12-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C12-C20アルケニルよりなる群から選択され;かつ
R2は、水素およびC1-C4アルキルよりなる群から選択され;
または
R1およびR2が同一である場合、
R1およびR2は、直鎖C14-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C14-C20アルケニルよりなる群から選択される。
【0063】
好ましい態様では、式(I)の化合物は、セルライトを減じるために使用される。
【0064】
本発明において、セルライトは、皮下脂肪が真皮中へ突出し、起伏する真皮−皮下脂肪結合部位の脂肪組織を形成することによって起こる、皮膚のえくぼ様のでこぼこと理解される。
【0065】
本発明の化合物は、同封の操作例で示される通り、通常の有機化学により製造され得る。以下の実施例は、本発明のいくつかの特定の化合物の合成を示し、それらの生物学的特性を例示するために表す。前述により、次の実施例の項は、本明細書で規定される本発明の範囲をいかなる方法でも制限するものではない。
【実施例】
【0066】
この記述において、使用される記号および表現法は、国際組織および、例えばジャーナル・オブ・メディカルケミストリー(the Journal of Medicinal Chemistry)等の現代科学文献において使用されるものと合致する。特に記載のない限り、出発物質は商業的供給業者より入手し、さらなる精製をせずに使用した。具体的には、実施例および全記述を通して、以下の略語を使用し得る:g(グラム);mg(ミリグラム);kg(キログラム);μg(マイクログラム);lまたはL(リットル);mlまたはmL(ミリリットル);μlまたはμL(マイクロリットル);mmol(ミリモル);mol(モル);mp(融点);MS(質量スペクトル);IP+(イオン粉末化);Anal.(元素分析);TEA(トリエチルアミン);MeOH(メタノール);THF(テトラヒドロフラン);EtOH(エタノール);CDCl3(重水素化クロロホルム);DMSO(ジメチルスルホキシド);GST(グルタチオン硫黄トランスフェラーゼ);PBS(リン酸緩衝生理食塩水);TIF2(中間転写因子2)。特に記載のない限り、温度は全て℃(摂氏)である。
【0067】
実施例1−N-オレイルスルファミドとしても知られる、N-(シス-9-オクタデセニル)スルファミド(1)の製造
還流下の0.20 gのスルファミド(2.1 mmol)の20 mlのH2O中の溶液に、攪拌下、10 mlのEtOH中の0.1 ml (2.1 mmol)のN-オレイルアミンを30分かけて滴下する。反応混合物を6時間攪拌および還流する。その後、溶媒を留去し、白色固体を、溶出液にCH2Cl2:MeOH/NH3 9.4:0.6を用いてカラムクロマトグラフィーで精製し;0.52 gの白色固体を得る。収率72%;mp=68-70℃.
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : 5.32 (m, 2H); 4.59 (br s, 2H); 4.38 (br s, 1H); 3.09 (q, J = 7.0 Hz, 2H); 1.97 (m, 4H); 1.55 (m, 2H); 1.24 (m, 22H); 0.85 (t, J = 6.7 Hz, 3H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) : 129.9; 129.7; 43.6; 31.8; 29.7-26.6; 27.1; 27.2; 22.6; 14.1.
MS (ES+) [M+H]+ 347 (100%). Anal. (C18H38N2SO2, 346.57): C, H, N, S.
【0068】
実施例2−N-オクタデシルスルファミド(2)の製造
50 mlのTHF (50 mL)中の、0.270 g (1.0 mmol)のN-オクタデシルアミンおよび0.100 g (1.0 mmol)のスルファミドを、51時間、攪拌および還流する。溶媒を留去し、粗生成物を、溶出液にCH2Cl2:MeOH/NH3=9:1を用いたカラムクロマトグラフィーで精製する。0.06 gの白色固体を得る。収率18%;mp=105-107℃.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) : 6.39 (br s, 2H); 6.33 (br s, 1H); 2.82 (m, 2H); 1.42 (m, 2H); 1.21 (bm, 30H); 0.83 (t, J = 6.8 Hz, 3H).
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) : 42.7; 31.4; 29.1; 26.5; 22.2; 14.1;
MS (ES+) [M+H]+ 349 (100%). Anal. (C18H40N2SO2, 348.64): C, H, N, S.
【0069】
実施例3−N-ヘキサデシルスルファミド(3)の製造
出発試薬として0.5 g (2.0 mmol)のN-ヘキサデシルアミンおよび0.195 g (2.0 mmol)のスルファミドを用いて、前に実施例1で記載した方法に従って、表題化合物を製造した。0.087 gの白色固体を得た。収率16%;mp=102-104℃.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ: 2.83 (c, 2H, (J( = 6.8 Hz CH2NHSO2); 1.43 (t, 2H, (J( = 6.8 Hz , CH2-CH2NHSO2); 1.23 (s, 20H, -CH2-); 0.85 (t, 3H, (J( = 6.8 Hz, CH2-CH3).
13C-NMR (125 MHz, DMSO-d6) δ: 42.5 (CH2NH); 31.3 (CH2-CH2NH); 29.0-28.7 (-CH2-); 26.4 (CH2-CH2-CH2NH); 22.1 (CH2-CH3); 13.9 (CH2-CH3).
Anal (C16H36N2SO2) %理論値(%実測値): C: 59.95 (59.68); H: 11.32 (11.04); N: 8.74 (8.65); S: 10.00 (9.91).
【0070】
実施例4−N-テトラデシルスルファミド(4)の製造
出発試薬として0.43 g (2.0 mmol)のN-テトラデシルアミンおよび0.2 g (2.0 mmol)のスルファミドを用いて、前に実施例1で記載した方法に従って、表題化合物を製造した。0.37 gの白色固体を得た。収率63%;mp=99-101℃.
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) (: 2.83(c, 2H, (J( = 6.7 Hz CH2NHSO2); 1.42 (t, 2H, (J( = 6.7 Hz , CH2-CH2NHSO2); 1.22 (s, 22H, -CH2-); 0.83 (t, 3H, (J( = 7.0 Hz, CH2-CH3).
13C-NMR (75 MHz, DMSO-d6) δ: 42.5 (CH2NH); 31.4 (CH2-CH2NH); 29.0-28.7 (-CH2-); 26.4 (CH2-CH2-CH2NH); 22.1 (CH2-CH3); 13.9 (CH2-CH3).
Anal (C14H32N2SO2) %理論値(%実測値): C: 57.49 (57.25); H: 11.03 (10.97); N: 9.58 (9.47); S: 10.96 (11.21).
【0071】
実施例5−N-ドデシルスルファミド(5)の製造
前に実施例1で記載した方法に従って、表題化合物を製造した。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ: 2.80 (c, 2H, |J| = 6.8 Hz CH2NHSO2); 1.41 (t, 2H, |J| = 6.7 Hz , CH2-CH2NHSO2); 1.22 (s, 20H, -CH2-); 0.83 (t, 3H, |J| = 6.8 Hz, CH2-CH3).
13C-NMR(125 MHz, DMSO-d6) δ: 42.6 (CH2NH); 31.3 (CH2-CH2NH); 29.1-28.7 (-CH2-); 26.4 (CH2-CH2-CH2NH); 22.1 (CH2-CH3); 13.9 (CH2-CH3).
Anal (C12H28N2SO2) %理論値(%実測値): C: 54.51 (54.80); H: 10.67 (10.57); N: 10.59 (10.80); S: 12.13 (11.94).
【0072】
実施例6−N-オレイル-N'-プロピルスルファミド(6)としても知られる、N-(シス-9-オクタデセニル)-N'-プロピルスルファミドの製造
0.20 g (1.2 mmol)の新たに蒸留した塩化N-プロピルスルファモイルを、窒素雰囲気下、0℃で、該アミンおよびTEAの乾燥トルエン溶液に滴下した。反応混合物を室温で攪拌し、白色固体(TEA・HCl)を濾過し、溶媒を蒸留乾固して、粗生成物を、CH2Cl2:MeOH/NH3=9:1を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製したところ、白色固体として所望の生成物(0.27g)を得た。収率58%;mp=82-83℃.
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 5.30 (m, 2H, CH=CH); 4.25 (br s, 2H, NH); 2.97 (m, 4H, CH2NHSO2NHCH2); 1.97 (m, 4H, CH2CH=CHCH2); 1.54 (sextet, 2H, J = 7.3 Hz, CH2-CH3 (Pr)); 1.51 (m, 2H, CH2CH2NHSO2); 1.21 (bm, 22H, -CH2-); 0.91 (t, 3H, J = 7.3 Hz, CH2-CH3 (Pr)); 0.84 (t, 3H, J = 6.6 Hz, CH2-CH3 (オレイル)).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 129.9, 129.7 (CH=CH); 44.9 (NHSO2NHCH2 (Pr)); 43.2 (オレイル-CH2NHSO2); 31.8 (CH2-CH2CH3); 29.8-28.9, 26.7 (-CH2-); 27.1, (CH2-CH=CH-CH2); 22.8 (CH2-CH3 (Pr)); 22.6 (CH2-CH3 (オレイル)); 14.1 (CH3 (オレイル)); 11.2 (CH3(Pr)). Anal (C21H44N2SO2) %理論値(%実測値): C: 64.86 (65.06); H: 11.32 (11.60); N: 7.20 (7.34); S: 8.23 (8.33).
【0073】
実施例7−N-オクタデシル-N'-プロピルスルファミド(7)の製造
実施例6に記載の方法に従って、表題化合物を製造した。出発反応物質は、0.54 g (2.0 mmol)のN-オクタデシルアミンおよび0.31 g (2.0 mmol)の塩化N-プロピルスルファモイルである。0.06 gの白色固体が得られた。収率31%;mp=110-112℃.
1H NMR (400 MHz, CDCl3) : 3.01 (m, 4H); 1.53 (m, 4H); 1.24 (bm, 30H); 0.94 (t, J = 7.6 Hz, 3H); 0.86 (t, J = 6.8 Hz, 3H)
13C NMR (100 MHz, CDCl3) : 45.0; 43.3; 31.9; 29.7-29.2, 26.7; 22.9; 22.6; 14.1; 11.2; MS (ES+) [M+H]+ 391 (100%). Anal. (C21H46N2SO2, 390.67): C, H, N, S.
【0074】
実施例8−N-ヘキサデシル-N'-プロピルスルファミド(8)の製造および取得
実施例6に記載の方法に従って、表題化合物を製造した。出発反応物質は、0.15 g (0.6 mmol)のN-ヘキサデシルアミンおよび0.10 g (0.6 mmol)の塩化N-プロピルスルファモイルである。0.15 gの白色固体が得られた。収率70%;mp=108-110℃.
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 4.06 (bm, 2H, NH); 3.0 (m, 4H, CH2NHSO2); 1.55 (m, 4H, CH2CH2NHSO2); 1.23 (bm, 26H, -CH2-); 0.93 (t, 3H, (J( = 7.3 Hz, CH3 (Pr)); 0.86 (t, 3H, (J( = 6.6 Hz, CH3 (ヘキサデシル)).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ: 44.9 (CH2NH (Pr)); 43.2 (CH2NHSO2 (ヘキサデシル)); 31.9 (CH2CH2CH3); 29.7-29.2, 26.7 (-CH2-); 22.9 (CH2-CH3 (Pr)); 22.6 (CH2CH3 (ヘキサデシル); 14.1 (CH3 (ヘキサデシル)); 11.2 (CH2-CH3 (Pr)).
Anal (C19H42N2SO2) %理論値(%実測値): C: 62.93 (62.71); H: 11.67 (11.90); N: 7.73 (7.49); S: 8.84 (9.12).
【0075】
実施例9−N-プロピル-N'-テトラデシルスルファミド(9)の製造
実施例6に記載の方法に従って、表題化合物を製造した。出発反応物質は、0.10 g (0.5 mmol)のN-テトラデシルアミンおよび0.076 g (0.5 mmol)の塩化N-プロピルスルファモイルである。0.092 gの白色固体が得られる。収率55%;mp=105-107℃.
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 4.08 (bm, 2H, NH); 3.0 (m, 4H, CH2NHSO2); 1.55 (m, 4H, CH2CH2NHSO2); 1.23 (bm, 22H, -CH2-); 0.93 (t, 3H, (J( = 7.3 Hz, CH3 (Pr)); 0.85 (t, 3H, (J( = 6.4 Hz, CH3 (テトラデシル)).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ: 44.9 (CH2NH (Pr)); 43.2 (CH2NHSO2 (テトラデシル)); 31.9 (CH2CH2CH3); 29.6-29.2, 26.7 (-CH2-); 22.9 (CH2-CH3 (Pr)); 22.7 (CH2CH3 (テトラデシル); 14.1 (CH3 (テトラデシル)); 11.2 (CH2-CH3 (Pr)).
Anal (C17H38N2SO2) %理論値(%実測値): C: 61.03 (60.87); H: 11.45 (11.68); N: 8.37 (8.09); S: 9.58 (9.86).
【0076】
実施例10−N-(1-アダマンチル)-N'-プロピルスルファミド(10)の製造
実施例6に記載の方法に従って、表題化合物を製造した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 4.05 (br s, 2H, NH); 3.02 (t, 2H, J = 7.1 Hz, CH2NHSO2); 2.10 (m, 3H, H-3 (アダマンチル)); 1.94 (m, 6H, H-2 (アダマンチル)); 1.66 (m, 6H, H-4 (アダマンチル)); 1.60 (sextet, 2H, J = 7.3 Hz, J = 7.1 Hz, CH2CH3 (Pr)); 0.96 (t, 3H, J = 7.3 Hz, CH3 (Pr)).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 54.3 (C-1 (アダマンチル)); 45.2 (CH2NHSO2 (Pr)); 42.7 (C-2 (アダマンチル)); 35.9 (C-4 (アダマンチル)); 29.4 (C-3 (アダマンチル)); 22.7 (CH2-CH3 (Pr)); 11.3 (CH2-CH3 (Pr)).
Anal (C13H24N2SO2) %理論値(%実測値): C: 57.32 (57.11); H: 8.88 (8.70); N: 10.28 (9.98); S: 11.77 (11.85).
【0077】
実施例11−N-(1-アダマンチル)-N'-プロピルスルファミド(11)の製造
実施例6に記載の方法に従って、表題化合物を製造した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 4.18 (m, 1H, NH); 4.04 (d, 1H, (J( = 9.6 Hz, NH); 3.02 (c, 2H, (J( = 7.1 Hz, CH2NHSO2); 2.94 (dc, 1H, (J(CH3 = 6.8 Hz, (J(NH = 9.6 Hz, H(1)); 2.00 (ma, 3H, H(3)); 1.68 (d, 3H, (J( = 12.0 Hz, H(4ec)); 1.59 (d, 6H, (J( = 12.0 Hz, H(2)ec y H(4)ax); 1.57 (sextet, 2H, (J( = 7.3 Hz, CH2-CH3(Pr)); 1.42 (d, 3H, (J( = 12.0 Hz, H(2)ax); 1.17 (d, 3H, (J( = 6.7 Hz, CH3 (アダマンチル)); 0.95 (t, 3H, (J( = 7.3 Hz, CH2-CH3 (Pr)).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 58.7 (C(1) (アダマンチル)); 45.0 (NHCH2SO2); 38.3 (C(4) (アダマンチル)); 36.9 (C(2) (アダマンチル)); 28.2 (C(3) (アダマンチル)); 22.9 (CH2-CH3 (Pr)); 11.3 (CH2-CH3 (Pr)); 15.4 (CH3 (アダマンチル)).
Anal (C15H28N2SO2) % theor. (% found): C: 60.00 (60.18); H: 9.33 (9.61); N: 9.33 (9.36); S: 10.66 (10.91).
【0078】
実施例12−N-プロピル-N'-アダマンチルスルファミド(12)の製造
実施例6に前述した方法に従って、表題化合物を製造した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 4.82 (d , 1H, |J| = 7.6 Hz, NH (アダマンチル)); 4.47 (t, 1H, |J| = 6.1 Hz, NH (Pr)); 3.48 (d, 1H, |J| = 7.6 Hz, H(2) (アダマンチル)); 2.99 (c, 2H, |J| = 6.1 Hz, |J| = 7.1 Hz, CH2NHSO2); 1.94 (ma, 2H, H(1) y H(3) (アダマンチル)); 1.83 (m, 2H, H(4)ax y H(10)ax(アダマンチル)); 1.81 (m, 2H, H(5) y H(7) (アダマンチル)); 1.85-1.74 (m, 6H, H(8) y H(9)(アダマンチル)); 1.69 (2H, m, H(6)); 1.58 (m, 2H, H(4)ec y H(10)ec (アダマンチル)); 1.57 (sextet, 2H, |J| = 7.3 Hz, |J| = 7.1 Hz, CH2-CH3 (Pr)); 0.94 (t, 3H, |J| = 7.3 Hz, CH2-CH3 (Pr)).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 57.7 (C(2) (アダマンチル)); 44.9 (CH2NHSO2); 37.3 (C(6), C(8) and C(9) (アダマンチル)); 32.8 (C(3) y C(1) (アダマンチル)); 31.3 (C(4) y C(10) (アダマンチル)); 26.9 (C(5) y C(7) (アダマンチル)); 22.8 (CH2-CH3 (Pr)); 11.2 (CH2-CH3 (Pr)).
Anal (C13H24N2SO2) %理論値(%実測値): C: 57.32 (57.60); H: 8.88 (9.02); N: 10.28 (10.44); S: 11.77 (12.01).
【0079】
実施例13−N,N'-ジオレイルスルファミド(13)としても知られる、N,N'-ビス(9-シス-オクタデセニル)スルファミドの製造
0.68 mlのN-オレイルアミン (1.4 mmol)を、室温で、2 mlの水中の0.20 gのN-プロピルスルファミド (1.4 mmol)に滴下する。無色の反応混合物を還流下で48時間攪拌すると、オレンジ色を呈する。溶媒を留去し、粗生成物を、溶出液としてCH2Cl2を用いたカラムクロマトグラフィーで精製する。0.12 gの白色固体(化合物1)および 0.26 gの白色固体(化合物13)を得た。収率(化合物13):22%;mp=85-88℃.
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 5.32 (m, 4H, CH=CH); 4.25 (bs, 2H, NH); 3.00 (m, 8H, CH2NHSO2); 1.99 (m, 8H, CH2-CH=CH-CH2); 1.53 (sextet, J = 7.3 Hz, 4H, CH2CH3); 1.26 (bm, 44H); 0.87 (t, 3H, J = 7.3 Hz, CH3).
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 129.9, 129.7 (CH=CH); 43.2 (CH2NHSO2); 31.9 (CH2-CH2CH3); 29.7, 29.6, 29.5, 29.4, 29.3, 29.2, 27.2, 26.7 (-CH2); 22.6 (CH2-CH3); 14.0 (CH3)
【0080】
実施例14−N-(シス-9-シス-12-オクタデカジエニル)スルファミド(14)の製造
0.044 g (0.16 mmol)のN-(シス-9-シス-12-オクタデカジエニル)アミンおよび0.016 g (0.16 mmol)のスルファミドを用いて、実施例1に前述した方法に従って、表題化合物を製造した。0.007 gの白色固体を得た。収率12%;mp=55-57℃.
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 5.33 (m, 4H, CH=CH); 4.59 (bs, 2H, NH2); 4.36 (bs, 1H, NH); 3.10 (m, 2H, CH2NHSO2); 2.76 (m, 2H, C=CH-CH2-CH=C); 2.03 (m, 4H, CH=CH-CH2CH2); 1.56 (m, 2H, CH2-CH2NHSO2); 1.29 (m, 16H, -CH2-); 0.87 (t, 3H, (J( = 7.0 Hz, CH2-CH3).
13C-NMR (100 MHz, CDCl3,) δ: 130.2, 130.0, 128.1, 127.9 (CH=CH); 43.6 (CH2NH); 31.5 (CH2-CH2CH3); 29.1 (CH2-CH2NHSO2); 27.2 (CH=CH-CH2CH2); 29.6-26.6 (-CH2-); 25.6 (C=CH-CH2-CH=C); 22.5 (CH2-CH3); 14.0 (CH2-CH3).
【0081】
実施例15−N-(シス-5-シス-8-シス-11-シス-14-エイコサテトラエニル)スルファミド(15)の製造
0.10 g (0.3 mmol)のN-(シス-5-シス-8-シス-11-シス-14-エイコサテトラエニル)アミンおよび0.03 g (0.3 mmol)のスルファミドを用いて、実施例1に前述した方法に従って、表題化合物を製造した。収率14%;mp=油状物質.
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 5.37 (m, 8H, CH=CH); 4.60 (bs, 2H, NH2); 4.37 (bs, 1H, NH); 3.13 (m, 2H, CH2NHSO2); 2.81 (m, 6H, C=CH-CH2-CH=C); 2.07 (m, 4H, CH=CH-CH2CH2); 1.60 (m, 2H, CH2-CH2NHSO2); 1.43 (m, 2H, CH2-CH2CH2NHSO2); 1.30 (m, 6H, -CH2-); 0.89 (t, 3H, (J( = 6.8 Hz, CH2-CH3).
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 130.7, 129.4, 128.6, 128.5, 128.2, 128.0, 127.8, 127.7 (CH=CH); 43.7 (CH2NH); 31.8 (CH2-CH2CH3); 29.8, 29.3 (CH2-CH2CH2CH3, CH2-CH2NHSO2); 27.4 (CH=CH-CH2CH2); 26.8 (CH2-CH2CH2NHSO2); 25.6 (C=CH-CH2-CH=C); 22.8 (CH2-CH3); 14.3 (CH2-CH3).
【0082】
実施例16−N-(シス-5-シス-8-シス-11-シス-14-エイコサテトラエニル)-N'-プロピルスルファミド(16)の製造
実施例6に記載の方法に従って、表題化合物を製造した。出発反応物質は、0.35 g (1.2 mmol)のN-(シス-5-シス-8-シス-11-シス-14-エイコサテトラエニル)アミンおよび0.19 g (1.2 mmol)の塩化N-プロピルスルファモイルである。0.09 gの黄色油状物質を得る。収率18%;mp=油状物質.
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 5.34 (m, 8H, CH=CH); 4.25 (bs, 1H, NH ((Pr)); 4.22 (bs, 1H, NH (アラキドニル)); 3.02 (m, 2H, CH2NHSO2); 2.81 (m, 6H, C=CH-CH2-CH=C); 2.07 (m, 4H, CH=CH-CH2CH2); 1.54 (m, 2H, CH2CH2NHSO2); 1.57 (sextet, 2H, (J( = 7.3 Hz, CH2CH3 (Pr)); 1.42 (m, 2H, CH2-CH2CH2NHSO2); 1.29 (ma, 6H, -CH2-); 0.95 (t, 3H, (J( = 7.3 Hz, CH3 (Pr)); 0.89 (t, 3H, (J( = 7.0 Hz, CH3 (アラキドニル)).
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 130.5, 129.4, 128.6, 128.5, 128.3, 128.1, 127.8, 127.5 (CH=CH); 44.9 (CH2NH (Pr)); 43.1 (CH2NHSO2 (アラキドニル)); 31.5 (CH2-CH2CH3); 27.1 (CH=CH-CH2CH2); 29.3 (CH2-CH2CH2CH3); 26.8 (CH2-CH2CH2NH SO2); 25.6 (C=CH-CH2-CH=C); 22.8 (CH2-CH3 (Pr)); 22.5 (CH2-CH3 (アラキドニル)); 14.3 (CH2-CH3 (アラキドニル)); 11.2 (CH2-CH3 (Pr)).
【0083】
実施例17−N-(シス-9-シス-12-オクタデカジエニル)N'-プロピルスルファミド (17)の製造
実施例6に記載の方法に従って、表題化合物を製造した。出発反応物質は、0.09 g (0.35 mmol)のN-(シス-9-シス-12-オクタデカジエニル)アミンおよび0.05 g (0.35 mmol)の塩化N-プロピルスルファモイルである。0.02 gの白色固体を得る。収率17%;mp=70-75℃.
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 5.34 (m, 4H, CH=CH); 4.27 (sa, 1H, NH, (Pr)); 4.25 (bs, 1H, NH (リノレイル)); 3.01 (m, 4H, CH2NHSO2); 2.77 (m, 2H, C=CH-CH2-CH=C); 2.05 (m, 4H, CH=CH-CH2CH2); 1.60 (m, 4H, CH2-CH2NH); 1.29 (m, 16H, -CH2-); 0.95 (t, 3H, (J( = 7,3 Hz, CH3 (Pr)); 0.87 (t, 3H, (J( = 6,7 Hz, CH3 (リノレイル)).
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 130.2, 130.0, 128.0, 127.9 (CH=CH); 44.9 (SO2NHCH2 (Pr)); 43.2 (リノレイル-CH2NH); 31.5 (CH2-CH2CH3);) 29.1 (CH2-CH2NHSO2); 27.2 (CH=CH-CH2CH2); 29.6-26.6 (-CH2-); 25.6 (C=CH-CH2-CH=C); 22.8 (CH2-CH3 (Pr)); 22.5 (CH2-CH3 (リノレイル)); 14.0 (CH3 (リノレイル)); 11.2 (CH3 (Pr)).
【0084】
実施例18−N-エライジルアミンとしても知られる、N-トランス-9-オクタデセニルアミンの製造
攪拌下のトランス-9-オクタデカン酸(1 mol) Et2O溶液に、窒素雰囲気下10℃で、LiAlH4 (6 mol)のEt2O中の懸濁液を滴下した。10℃で30分間、攪拌を継続した後、混合物を30分間還流し、その後反応混合物を室温まで冷却した。氷とH2SO4の混合物を慎重に加えた。有機相を分離し、Et2Oで抽出し、併せた有機相をNaHCO3溶液および飽和NaCl溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥した。混合物をセライトで濾過し、溶媒を留去して、トランス-9-オクタデカン-1-オールを得た。
【0085】
このアルコールをピリジンに溶解し、窒素雰囲気下0℃で塩化メシル(1.5 mol)を加えた。混合物を4時間攪拌した後、冷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機相を1N H2SO4および飽和NaHCO3溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥し、溶媒を留去した。
【0086】
得られたメシル酸誘導体を無水DMFに溶解し、室温でNaN3 (5 mol)を加えた。反応混合物を21時間加熱した後、室温まで冷却し、濾過した。濾液を100mlの冷水で洗浄した。混合物を酢酸エチルで抽出し、MgSO4で乾燥し、溶媒を留去した。粗生成物を、溶出液にヘキサン:酢酸エチル(6:1)を使用したカラムクロマトグラフィーで精製した。
【0087】
得られたアジドを、Et2Oに溶解し、Et2O中のLiAlH4 (3 mol)を室温で滴下した。反応混合物を4時間還流した後、微量の水を含むEt2Oを加えた。懸濁液を濾過し、6M HClで酸性化した後、Et2Oの存在下で10% NaOHで塩基性化した。併せた有機相をMgSO4で乾燥し、溶媒を留去し、生成物を、CH2Cl2:MeOH/NH3 (9:1)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製した。収率44%;mp=28-30℃.
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 5.37 (m, 2H, H(9) y H(10)); 2.94 (m, 2H, H(1)); 1.95 (m, 4H, H(8) y H(11)); 1.72 (m, 2H,H(2)); 1.26 (m, 22H, -CH2-); 0.88 (t, 3H, (J( = 6.4 Hz, CH2-CH3).
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 130.5, 130.1 (C(9) y C(10)); 40.1 (C(1)); 32.6 y 32.5 (C(8) y C(11)); 31.8 (C(16)); 29.7, 29.6, 29.5, 29.4, 29.3, 29.2, 29.1, 29.0, 28.9 (-CH2-); 26.5 (C(3)); 22.7 (CH2-CH3); 14.1 (CH2-CH3).
EM (ES+): [M+H]+ 268 (100%); (C20H37N, 267.49).
【0088】
実施例19−N-(トランス-9-オクタデセニル)スルファミド(19)の製造
出発試薬として0.112 g (1.1 mmol)のN-トランス-9-オクタデセニルアミンおよび0.312 g (1.1 mmol)のスルファミドを用いて、実施例1に前述した方法に従って、表題化合物を製造した。0.240 gの白色固体を得た。収率63%;mp=88-90℃.
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 5.39 (m, 2H, H(9) y H(10)); 4.53 (ma, 2H, NH2); 4.29 (ma, 1H, NH); 3.14 (m, 2H, H(1)); 2.03 (m, 4H, H(8) y H(11)); 1.53 (m, 2H, H(2)); 1.28 (m, 22H, -CH2-); 0.88 (t, 3H, (J( = 6.4 Hz, CH2-CH3).
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 130.5, 130.2 (C(9) y C(10)); 43.6 (C(1)); 32.6 y 32.5 (C(8) y C(11)); 31.8 (C(16)); 29.6, 29.5, 29.4, 29.3, 29.2, 29.1, 29.0 (-CH2-); 26.6 (C(3)); 22.7 (CH2-CH3); 14.1 (CH2-CH3).
EM (ES+): [M+H]+ 347 (100%).Anal. 計算値(C18H38N2SO2, 346.57): C: 62.38; H: 11.05; N: 8.08; S: 9.25; 実測値 C: 62.38; H: 11.35; N: 8.18; S: 8.95.
【0089】
実施例20−N-(トランス-9-オクタデセニル)-N '-プロピルスルファミド(20)の製造
実施例6に記載の方法に従って、表題化合物を製造した。出発反応物質は、0.102 g (0.38 mmol)のN-トランス-9-オクタデセニルアミンおよび0.021 g (0.38 mmol)の塩化N-プロピルスルファモイルおよび0.078 mlのTEA (0.57 mmol)である。0.07 gの白色固体を得る。収率48%;mp=91-93℃.
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 5.38 (m, 2H, H(9) y H(10)); 4.06 (bm, 2H, NH); 3.00 (m, 2H, H(1) y H(1')); 1.95 (m, 4H, H(8) y H(11)); 1.58 (sextet, 2H, H(2')); 1.55 (m, 2H, H(2)); 1.26 (m, 22H, -CH2-); 0.95 (t, 3H, (J( = 7.3 Hz, CH2-CH3 (Pr)); 0.87 (t, 3H, (J( = 6.4 Hz, CH2-CH3).
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 130.5, 130.2 (C(9) y C(10)); 44.9 (C(1')); 43.2 (C(1)); 32.6 y 32.5 (C(8) y C(11)); 31.9 (C(16)); 29.7, 29.6, 29.5, 29.4, 29.3, 29.2, 29.1, 29.0 (-CH2-); 26.7 (C(3)); 22.9 (CH2-CH3 (Pr)); 22.7 (CH2-CH3); 14.1 (CH2-CH3); 11.2 (CH3(Pr)).
EM (ES+): [M+H]+ 389 (100%). Anal. 計算値 (C21H44N2SO2, 388.65): C: 64.86; H: 11.32; N: 7.20; S: 8.23. 実測値 C: 64.58; H: 11.61; N: 7.50; S: 8.35.
【0090】
生物学的検定法
PPARαタンパク質のTIF2およびGST融合タンパク質とのインビトロの相互作用アッセイ(GSTプルダウンアッセイ)
GST(GSTプルダウンとしても知られる)による沈殿は、タンパク質間の物理的相互作用の存在を測定および評価するために使用される、インビトロの方法であり、PPAR-α転写因子とTIF2補助活性化因子とのリガンド誘導相互作用を確認する、我々の事例に有用である(マシャス−ゴンザレス(Macias-Gonzalez), Mら、J. Biol. Chem. 277巻 (2002年): 18501頁)。PBS中50%のGST単独またはGST-TIF2646-926を有する4Bセファロース−グルタチオン樹脂より、遠心分離を実施して上澄を除去し、ブロッキング緩衝液を沈殿相に加えてPBSおよびウシ血清アルブミン(アルドリッチ)との非特異的結合を回避し、再度遠心分離した。その後、免疫沈降緩衝液(50%)を沈殿相に加えた。免疫沈降緩衝液中のGSTまたはGST-TIF2646-926を有するセファロース−グルタチオン樹脂より50μLを取り、考え得るリガンド、100%DMSO中の8μLの同一のリガンドおよび22μLの免疫沈降緩衝液と共に30℃で20分そして室温で40分予めインキュベートした35[S]で標識した、20μLのPPAR-αを加えた。インキュベートの後、グルタチオンによってセファロースに結合するGST- TIF2646-926と融合しない標識したタンパク質を、免疫沈降緩衝液で洗浄し、その後、最高速度で遠心分離した。
【0091】
上澄を除去した時点で、セファロースに結合した標識複合体を有する沈殿相を、タンパク質ローダー緩衝液(容量比1:1)で再懸濁し、約95℃で5分間攪拌し、新たに最高速で5分間遠心分離した後35[S] PPAR-αとのGST-TIF2646-926複合体からセファロース樹脂を分離した。その後、上澄の別のサンプルをゲルに負荷し、100Vで約1時間、SDS-PAGE電気泳動を実施した。最後に、フジ・イメージ・ゲージ(Fuji Image Gauge)ソフトウェアを用いたリン光フジ(Fuji)FLA3000リーダーで、ゲルを定量化および視覚化した。
【0092】
図1に示す通り、本発明の化合物はPPARα活性を示す。
【0093】
細胞トランスフェクションおよびルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイ(RGA)
ヒト乳癌細胞MCF-7を、6穴培養板に播種し(105細胞/mL)、フェノールレッドを含まず、炭素処理した5%ウシ胎仔血清(FBS)を加えたダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で培養した(マシャス−ゴンザレス(Macias-Gonzalez), Mら、Mol End. 17巻(2003年):2028頁)。
【0094】
ルシフェラーゼを有する1μgのレポータープラスミドと、10μgのN-1-(2,3-ジオレイルオキシ)-プロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウム(DOTAP、ロシュ・ダイアグノスティクス(Roche Diagnostics))を有する野生型ヒト発現ベクターを、全容量100μL 中、室温で15分間インキュベートすることにより、DNAプラスミドを有するリポソームを得た。フェノールレッドを含まない900μLのDMEMで希釈した後、リポソームを細胞に加えた。細胞のトランスフェクションの4-5時間後、15%の炭素で処理した500μLのFBSを加えた、フェノールレッドを含まないDMEMを加えたが、この事例では、種々の濃度10-8、10-7、10-6および10-5 MのPPAR-αリガンド(OEA、AEAおよびスルファミド誘導体)または対照溶媒(DMSO)も加えた。
【0095】
レポーター遺伝子溶解緩衝液(ロシュ・ダイアグノスティクス(Roche Diagnostics))での刺激開始から16時間後、細胞は溶解し、一定の発光シグナルを有するルシフェラーゼのレポーター遺伝子アッセイまたはRGAを、製造元(ロシュ・ダイアグノスティクス)の推奨に従って実施した。ルシフェラーゼ活性は、タンパク質濃度に関して標準化し、インダクション係数は、リガンド刺激細胞のルシフェラーゼ活性の溶媒対照に関する比率として計算した(ヴァイサネン(Vaisanen), S.ら、Mol Pharmacol. 62巻(2002年):788頁)。
【0096】
プロピル置換基の取り込みにより、PPARRでの転写活性が増す(図2A)。
【0097】
WY14643は脂質低下フィブラートであり、選択的にPPARRを活性化するので、陽性対照として含んだ。内因性コレギュレーター値において、PPRE上のPPARRR(レーン1)の基礎レベルは、OEA、WY14643および化合物7により、ほぼ6倍に誘導されたが(レーン2、3および5)、一方、化合物2および12の適用では誘導されなかった(レーン4および6)。TIF2の過剰発現により、基礎レベルが大きく上昇し(レーン1)、続いてアゴニスト刺激値が高く顕著に上昇した(レーン7、8および10)。しかし、化合物2および12を適用した場合、有意に高くは誘導されなかった(レーン9および11)。
【0098】
摂食試験:急性処置
摂食挙動に対する種々の化合物の効果を、24時間断食したウィスター系雄ラットにおいて分析したが、その操作は慣用のものであった(ナヴァッロ(Navarro), Mら、1996 J. Neurochem. 67巻(1996年):1982頁。ロドリゲス・デ・フォンセカ(Rodriguez de Fonseca), F.ら、Nature 414巻(2001年):209頁。フ(Fu), Jら、Nature、425巻(2003年):90頁)。この目的のため、各アッセイの48時間前に、ラットを一匹用のケージに入れ、基材(砂またはおがくず)を除去し、小さな餌用容器をケージに4時間入れた。この初期段階の後、動物を、常に自由に水を飲めるようにして、24時間断食させた。24時間の断食後、種々の治療群を構築し(N=8-10各群)、各実験期間に対応する種々の投与量スルファミドを、1mL/kgの容量の賦形剤溶液中、腹腔内投与し、対照群は賦形剤のみで処置した:
1)賦形剤溶液中、投与量0.03 mg/kgのスルファミドでの処置群。
2)賦形剤中、投与量3 mg/kgのスルファミドでの処置群。
3)賦形剤中、投与量3 mg/kgの対応するスルファミドでの処置群。
4) 生理学的血清中5%の賦形剤ツイーン80で処置した対照群。
【0099】
投与15分後、既知量の食餌(通常30-40 g)を入れた容器および新鮮な水のボトルを置いた。これらの容器は、与えた後30、60、120および240分に秤量し、各動物が摂取する食餌をコントロールした。
【0100】
結果を図3に示す。絶食動物における腹腔内注射により、用量反応曲線が延長した。これらのスルファモイル誘導体がカンナビノイド様(cannabimetic)特性を示さず、脂肪酸アミドヒドロラーゼ活性に影響しなかった(データ示さず)という事実により、これら誘導体は、その摂食に対する効果を研究し、OEAの効果と比較する候補となった。この自然発生脂質は、核受容体PPARRの活性化によって摂食を低下させることが判った。しかし、このことは常にというわけではない。例として、化合物N-オクタデシルスルファミド(2)は、明らかに摂食を低下させたが、PPAR受容体媒介転写を活性化しなかった。
【0101】
摂食試験:長期処置
慣用の操作であるウィスター系雄ラットを用いて、化合物による長期処置を実施した。
【0102】
この目的のため、ラットを基材(砂またはおがくず)を入れた一匹用のケージに入れた。アッセイを実施する飼育状態への適応相の後、受ける治療によって異なる3群(各群N=8)を構築した:
1)用量1 mg/kgを含む賦形剤溶液中の実施例6での処置群。
2)生理学的血清中5%の賦形剤ツイーン80での処置群。
3)生理学的血清で処置する対照群。
【0103】
全試験期間は8日であり、種々の溶液を一日2回腹腔内投与し(注射容量1 mL/kg)、2回の注射の間は12時間間隔とした。毎日、8:00の投与前に各動物を秤量した。アッセイの全期間、各動物の単純重量および血清の生化学的パラメーターを毎日管理した。
【0104】
結果を図4に示す。PPAR受容体アゴニストを期待される通り、N-オクタデシル- N '-プロピルスルファミド(7)は、8日間の治療後、体重を減少させ(図4A)、血漿トリグリセリドを著しく低下させた(図4B)。さらにこの化合物の抗肥満特性を調査するため、我々は、さらなる肥満の動物モデルを使用した。遺伝性肥満のズッカー(fa/fa)ラットにおいて、類似の効果が観察され、化合物7を11日間、毎日投与(1 mg/kg、腹腔内)したところ、体重増加(図4C)および摂食が低下した。この新規化合物の効力は、OEA低リポタンパク効果が5mg/kgより大きい用量でのみ存在することが記載されているので、PPARRの天然のリガンドの効力より大きく、一方、N-オクタデシル- N '-プロピルスルファミド(7)はより低用量(1 mg/kg)で活性であることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1−1】図1は、溶液中、hPPARαの補助活性化因子(CoA)とのリガンド誘引相互作用プロフィールを示す。細菌で発現された補助活性化因子GST-CoAおよび全長がインビトロで翻訳された(35S)-標識ヒトPPARαを用い、それらそれぞれのリガンドの存在下および非存在下で、GSTプルダウンアッセイを実施した。GST単独(-)を対照として使用した。沈殿および洗浄後、サンプルを15%SDS-PAGEゲルで電気泳動し、投入量に対する沈殿NRのパーセンテージをフジ(Fuji) FLA3000リーダーを用いて定量化した。典型的なゲルを示す。カラムは、少なくとも3実験の平均値を表し、棒は標準偏差(SD)を示す。統計分析は、2つのテール、対のスチューデントt-検定を用いて実施し、p-値は賦形剤に関して計算した(*p< 0.05および**p< 0.01)。(A) 化合物1-5;(B)化合物6-9;(C)化合物10-12。
【図1−2】図1は、溶液中、hPPARαの補助活性化因子(CoA)とのリガンド誘引相互作用プロフィールを示す。細菌で発現された補助活性化因子GST-CoAおよび全長がインビトロで翻訳された(35S)-標識ヒトPPARαを用い、それらそれぞれのリガンドの存在下および非存在下で、GSTプルダウンアッセイを実施した。GST単独(-)を対照として使用した。沈殿および洗浄後、サンプルを15%SDS-PAGEゲルで電気泳動し、投入量に対する沈殿NRのパーセンテージをフジ(Fuji) FLA3000リーダーを用いて定量化した。典型的なゲルを示す。カラムは、少なくとも3実験の平均値を表し、棒は標準偏差(SD)を示す。統計分析は、2つのテール、対のスチューデントt-検定を用いて実施し、p-値は賦形剤に関して計算した(*p< 0.05および**p< 0.01)。(A) 化合物1-5;(B)化合物6-9;(C)化合物10-12。
【図1−3】図1は、溶液中、hPPARαの補助活性化因子(CoA)とのリガンド誘引相互作用プロフィールを示す。細菌で発現された補助活性化因子GST-CoAおよび全長がインビトロで翻訳された(35S)-標識ヒトPPARαを用い、それらそれぞれのリガンドの存在下および非存在下で、GSTプルダウンアッセイを実施した。GST単独(-)を対照として使用した。沈殿および洗浄後、サンプルを15%SDS-PAGEゲルで電気泳動し、投入量に対する沈殿NRのパーセンテージをフジ(Fuji) FLA3000リーダーを用いて定量化した。典型的なゲルを示す。カラムは、少なくとも3実験の平均値を表し、棒は標準偏差(SD)を示す。統計分析は、2つのテール、対のスチューデントt-検定を用いて実施し、p-値は賦形剤に関して計算した(*p< 0.05および**p< 0.01)。(A) 化合物1-5;(B)化合物6-9;(C)化合物10-12。
【図2】図2は、OEAおよび類似体の作動作用を示す。ルシフェラーゼ・レポーター遺伝子アッセイを、PPREのヒトACOの3つの複写を含むルシフェラーゼ・レポーター構造で一過性にトランスフェクトしたMCF-7細胞の抽出物を用いて実施した。(A)示した通り、野生型ヒトPPARα発現ベクターも共にトランスフェクトした。細胞を、溶媒(DMSO)、および種々の濃度((*10-8、*10-7、**10-6および**10-5 M)のOEA、化合物2、または*10-7、**10-6および**10-5 Mのアナンドアミド(AEA、陰性対照として使用)、化合物7(*10-8、*10-7、**10-6および**10-5 M)および化合物12(*10-7、**10-6および**10-5 M)で16時間処置した。(*p< 0.05、(**) p< 0.01対賦形剤、(p< 0.01対ACOを含まない賦形剤)(B)示した通り、野生型ヒトPPARα発現およびTIF2の全長をコードするプラスミドも共にトランスフェクトした。細胞を、溶媒(DMSO)、10μM WY14643、1μM OEAおよびその類似体2、7および12で16時間処置した。相対ルシフェラーゼ活性は、いずれのタンパク質も過剰発現をしていない溶媒誘導細胞に関して測定した。カラムは、少なくとも3実験の平均値を表し、棒は標準偏差(SD)を示す。(*p< 0.01対賦形剤、(p< 0.01対ACOを含まない賦形剤)。
【図3】図3は、摂食抑制剤としてのOEA類似体の活性を示す。絶食動物における摂食を、種々の合成化合物を種々の投与量、腹腔内注射の後、30、60、120および240分に試験した。化合物2(A)、7(B)、12(C)、19(D)および20(E)の結果をここに示す。化合物2は、PPAR(を活性化しないが摂食行動を減じる化合物であり;化合物7は、有効な摂食抑制剤かつ有効なPPAR(活性化剤であり、最後に、化合物12は、PPAR(の活性化も接触抑制もしない。結果は、各群少なくとも3回の測定の平均±SEMである。(*) p< 0.05、(**) p< 0.01、(***) p< 0.001、対賦形剤、ANOVA。
【図4−1】図4は、体重増加および血漿トリグリセリドに対する、化合物7(N-オクタデシル-N'-プロピルスルファミド)の長期処置効果を示す。N-オクタデシル-N'-プロピルスルファミドで長期処置(8日間、1mg/kg、腹腔内投与、毎日)により、賦形剤で処置した正常ラットと比較して、体重(A)および血漿トリグリセリド(B)が低下する。化合物7の中長期(11日間)投与(腹腔内投与)により、肥満のズッカーラットにおいて、累積相対体重増加(C)(g/ 1日目の体重kg)が低下する。結果は、各群少なくとも3回の測定の平均±SEMである。(*) p< 0.05、対賦形剤、ANOVA。
【図4−2】図4は、体重増加および血漿トリグリセリドに対する、化合物7(N-オクタデシル-N'-プロピルスルファミド)の長期処置効果を示す。N-オクタデシル-N'-プロピルスルファミドで長期処置(8日間、1mg/kg、腹腔内投与、毎日)により、賦形剤で処置した正常ラットと比較して、体重(A)および血漿トリグリセリド(B)が低下する。化合物7の中長期(11日間)投与(腹腔内投与)により、肥満のズッカーラットにおいて、累積相対体重増加(C)(g/ 1日目の体重kg)が低下する。結果は、各群少なくとも3回の測定の平均±SEMである。(*) p< 0.05、対賦形剤、ANOVA。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の非環式スルファミド誘導体、および、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物:

式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、
R1およびR2が異なる場合、
R1は、直鎖C12-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C12-C20アルケニルよりなる群から選択され;かつ
R2は、水素およびC1-C4アルキルよりなる群から選択され;
または
R1およびR2が同一である場合、
R1およびR2は、直鎖C14-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C14-C20アルケニルよりなる群から選択され;
ただし
R1がn-ドデシルの場合、R2は水素ではなく;かつ
R1およびR2が同一である場合、それらはC18アルキル基ではない。
【請求項2】
請求項1に記載の非環式スルファミド誘導体であって、R1およびR2が異なる場合、R2はC1-C4アルキルである、誘導体。
【請求項3】
請求項2に記載の非環式スルファミド誘導体であって、R2がプロピルである、誘導体。
【請求項4】
請求項1に記載の非環式スルファミド誘導体であって、R2が水素である、誘導体。
【請求項5】
請求項1、2、3または4のいずれかに記載の非環式スルファミド誘導体であって、R1およびR2が異なる場合、R1が直鎖C16-C20アルキルまたは1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C16-C20アルケニルである、誘導体。
【請求項6】
前項のいずれかに記載の非環式スルファミド誘導体であって、R1およびR2が異なる場合、R1のアルケニル基が1個の二重結合を有する、誘導体。
【請求項7】
請求項1に記載の非環式スルファミド誘導体であって、化学名:
N-(シス-9-オクタデセニル)スルファミド;
N-オクタデシルスルファミド;
N-ヘキサデシルスルファミド;
N-テトラデシルスルファミド;
N-(シス-9-オクタデセニル)-N'-プロピルスルファミド;
N-オクタデシル-N'-プロピルスルファミド;
N-ヘキサデシル-N'-プロピルスルファミド;
N-プロピル-N'-テトラデシルスルファミド;
N,N'-ビス(9-シス-オクタデセニル)スルファミド;
N-(シス-9-シス-12-オクタデカジエニル)スルファミド;
N-(シス-5-シス-8-シス-11-シス-14-エイコサテトラエニル)スルファミド;
N-(シス-5-シス-8-シス-11-シス-14-エイコサテトラエニル)-N'-プロピルスルファミド;
N-(シス-5-シス-8-シス-11-シス-14-オクタデカジエニル)N'-プロピルスルファミド;
N-(トランス-9-オクタデセニル)スルファミド;および
N-(トランス-9-オクタデセニル)-N'-プロピルスルファミド
を有する誘導体;
および、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物。
【請求項8】
医薬としての使用のための、式(I)の化合物、および、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物:

式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、
R1およびR2が異なる場合、
R1は、直鎖C12-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C12-C20アルケニルよりなる群から選択され;かつ
R2は、水素およびC1-C4アルキルよりなる群から選択され;
または
R1およびR2が同一である場合、
R1およびR2は、直鎖C14-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C14-C20アルケニルよりなる群から選択される。
【請求項9】
式(I)の非環式スルファミド誘導体、および、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物の使用であって;満腹誘導および摂食制御、体脂肪調節および脂質代謝調節のための医薬を製造するため、および糖尿病および心血管疾患の治療または予防のための医薬を製造するための、使用:

式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、
R1およびR2が異なる場合、
R1は、直鎖C12-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C12-C20アルケニルよりなる群から選択され;かつ
R2は、水素およびC1-C4アルキルよりなる群から選択され;
または
R1およびR2が同一である場合、
R1およびR2は、直鎖C14-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C14-C20アルケニルよりなる群から選択される。
【請求項10】
請求項9に記載の使用であって、該疾病または状態が、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体のαサブタイプによって媒介される、使用。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の使用であって、糖尿病および心血管疾患よりなる群から選択される疾病または状態の予防または治療のための医薬を製造するための、使用。
【請求項12】
請求項9に記載の使用であって、満腹誘導および摂食制御、体脂肪調節および脂質代謝調節のための医薬を製造するための、使用。
【請求項13】
請求項12に記載の使用であって、肥満の予防または治療のための医薬を製造するための、使用。
【請求項14】
請求項9に記載の使用であって、リポジストロフィー低減のための医薬を製造するための、使用。
【請求項15】
a)式(I)の化合物:

式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、
R1およびR2が異なる場合、
R1は、直鎖 C12-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖 C12-C20 アルケニルよりなる群から選択され;かつ
R2は、水素およびC1-C4アルキルよりなる群から選択され;
または
R1およびR2が同一である場合、
R1およびR2は、直鎖C14-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C14-C20アルケニルよりなる群から選択され;および
b)1以上の薬学的に許容される添加剤
を含む、医薬組成物。
【請求項16】
満腹誘導および摂食制御、体脂肪調節および脂質代謝調節のための方法、および糖尿病および心血管疾患の治療または予防方法であって、このような治療を要する患者に、治療的有効量の式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を投与することを含む、方法:

式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、
R1およびR2が異なる場合、
R1は、直鎖C12-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C12-C20アルケニルよりなる群から選択され;かつ
R2は、水素およびC1-C4アルキルよりなる群から選択され;
または
R1およびR2が同一である場合、
R1およびR2は、直鎖C14-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を有する直鎖C14-C20アルケニルよりなる群から選択される。
【請求項17】
皮下脂肪を減じるための、式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物の、美容のための使用:

式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、
R1およびR2が異なる場合、
R1は、直鎖C12-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を含む直鎖C12-C20アルケニルよりなる群から選択され;かつ
R2は、水素およびC1-C4アルキルよりなる群から選択され;
または
R1およびR2が同一である場合、
R1およびR2は、直鎖C14-C20アルキルおよび1、2、3または4個の二重結合を有する直鎖C14-C20アルケニルよりなる群から選択される。
【請求項18】
セルライトを減じるための、請求項17に記載の美容のための使用。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【公表番号】特表2009−524614(P2009−524614A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551729(P2008−551729)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000681
【国際公開番号】WO2007/085469
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(508225842)
【出願人】(504339734)
【Fターム(参考)】