説明

非病原性細菌の胞子の組成物

【課題】水相、油相および非病原性細菌の胞子を含む液体状組成物の提供。
【解決手段】非病原性胞子形成性細菌、成分SP)、および以下の成分:O)0.001〜95重量%のC4〜C32の酸のエステル、C4〜C32から選択される、1つ以上の油、S)界面活性剤、溶解する液体中で凝集体、ミセル、液晶、小胞のような組織構造を形成するポリマーから選択される、0〜90重量%の1つ以上の両親媒性化合物、AD)水および/または油の極性の調節剤、成分S)の薄膜曲率の調節剤、補助界面活性剤、から選択される、0〜60重量%の1つ以上の添加化合物、:PA)栄養補助剤ならびに医薬用および/または動物薬用活性成分から選択される、0.001〜70%の1つ以上の化合物、W)任意に緩衝された、0.1〜99.9重量%の水または食塩水溶液、を含む液体状の医薬用および/または動物薬用および/または栄養補助食品用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水相、油相および非病原性細菌の胞子を含む液体状組成物に関する。
より具体的には、本発明は、水相、油相ならびにバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)およびバチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)のようなバチルス属の細菌の胞子を含む、医薬用、動物薬用または栄養補助食品用の液体状組成物である。
【背景技術】
【0002】
医薬用途、特に腸内細菌叢の不均衡に関連する疾患および障害の治療ならびに予防のためのバチルス属の細菌の胞子の使用は周知であり、この治療は、免疫系に有利な効果も有する。
GB 1,061,894には、バチルス・クロストリディウム(Bacillus Clostridium)およびバチルス・ビフィダス(Bacillus bifidus)のようなバチルス属の非病原性細菌の胞子、グルタミン酸またはそのアルカリ金属塩、ならびに4.0〜9.0に含まれるpH値で調製物を緩衝できる少なくとも1つの物質を含む治療用調製物が開示されている。
特許出願EP 1,405,641には、医薬用および/または栄養補助食品用のバチルス・ズブチリスおよび/またはバチルス・クラウシイの胞子と、乳酸杆菌のような非胞子形成性のプロバイオティック(probiotic)微生物との組み合わせが記載されている。
【0003】
前記胞子含有製剤は、腸内細菌叢の不均衡に関連する疾患および障害を治療するための栄養補助剤(food supplements)を含む他の調製物と共に一般に投与される。
腸内の細菌感染(dismicrobisms)、内因性のビタミン欠乏症(disvitaminosis)、腸内細菌叢の不均衡、特に下痢状態および/または抗生物質もしくは化学療法剤の投与に続くものの治療および予防のために用いられるバチルス属の細菌の胞子を含む液体医薬組成物は、Enterogermina(登録商標)またはEnterum(登録商標)の商品名で、水薬瓶に入れて商品化されている。これらの医薬組成物は、水およびバチルス・クラウシイの胞子(ブダペスト条約に従ってCNCM Instituto Pasteurに寄託された株番号I-273、I-274、I-275、I-276)のみを含む。該医薬組成物は、市販の水製品5ml中に20億の胞子を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】GB 1,061,894
【特許文献2】EP 1,405,641
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの液体医薬組成物の欠点は、胞子数がかなり限られていることである。
別の欠点は、これらの水性医薬組成物において、添加し得る他の活性成分を水溶性にしなければならないことである。
【0006】
特許出願WO 03/011,341には、バチルス・ズブチリスおよびバチルス・クラウシイのようなバチルス属の非病原性細菌の胞子の固体医薬調製物が記載されている。特に、上記の特許出願の医薬調製物は、固体の非水溶性マトリックス、例えばカオリンに吸着されたバチルス属の細菌の胞子、およびセルロース誘導体、例えばメチルセルロースまたは微晶質セルロースで形成されている。これら固体医薬調製物は、カプセルまたは錠剤の形態にあり、かなり多数の胞子を製剤化でき、胞子の濃縮物を与え、1グラムの最終組成物を参照すると、30〜300億を含む。このバチルス属の非病原性細菌の胞子の固体医薬調製物を、水中または別の適当な液体中の分散体としても投与し得る。
【0007】
この特許出願に記載される固体組成物は、述べたように、液体組成物が有する数よりも多い胞子を有する製剤を利用可能にする。しかしながら、固体組成物は飲み込みが困難であるので、短所は、それらが全ての服用者に完全には受け入れられないことである。
【0008】
述べたように、非病原性細菌の胞子を含む上記の医薬用および/または動物薬用および/または栄養補助食品用調製物の治療あるいは予防のための使用は、これらの調製物と栄養補助剤、例えばビタミンおよび無機塩類、および/または医薬用活性成分、例えば抗下痢活性を有するものとの組み合わせが一般的に求められる。欠点は、前記医薬用活性成分および補助剤が、水性液体胞子含有製剤中で一般に不溶性であることである
【0009】
一般に、流動性または粘性の両方である液体医薬製剤の経口での使用は、より簡単に飲み込むことができるので、固体の医薬製剤、例えば錠剤またはカプセルの服用者に好ましい。
【0010】
ヒトおよび/または哺乳動物における疾患および/または障害の予防あるいは治療のための、非病原性細菌の胞子および栄養補助剤、例えばビタミンおよび/または無機塩類、ならびに/または医薬用および/または動物薬用活性成分を含む、単一の液体状医薬製剤を利用可能にする必要性が感じられた。
より具体的には、ヒトおよび/または哺乳動物における胃腸管もしくは免疫系の疾患および/または障害の予防あるいは治療のための、バチルス・ズブチリスおよびバチルス・クラウシイのような、好ましくは複数の抗生物質に耐性である、バチルス属の非病原性細菌の胞子、栄養補助剤および/または医薬用および/または動物薬用活性成分を含む、単一の液体状医薬製剤を利用可能にする必要性が感じられた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願人により、上記の技術的課題を解決する医薬用および/または動物薬用および/または栄養補助食品用組成物が、驚くべきことに、そして予期せぬことに発見された。
【0012】
本発明の目的物は、バチルス属バチルス・ズブチリスおよびバチルス・クラウシイの非病原性細菌を含む1つ以上の非病原性胞子形成性細菌を含む成分SP)、ならびに医薬的および/または動物薬的および/または栄養補助食品的に許容できる以下の成分(重量%):
O)0.001〜95%、
S)以下の組から選択される、0〜90%の1つ以上の両親媒性化合物:
‐フッ素原子を任意に含む、非イオン性、アニオン性、カチオン性および両性界面活性剤から選択される界面活性剤、
‐溶解する液体中で凝集体、ミセル、液晶、小胞のような組織構造を形成するポリマー、
AD)以下の組から選択される、0〜60%の1つ以上の添加化合物:
水および/または油の極性の調節剤(modifiers)、
成分S)の薄膜の曲率の調節剤、
補助界面活性剤(co-surfactants)、
PA)栄養補助食品のための栄養補助剤、ならびに医薬用および/または動物薬用組成物のための医薬用および/または動物薬用活性成分から選択される、0.001〜70%の1つ以上の化合物、
W)任意に緩衝された、0.1〜99.9重量%の水または食塩水溶液、
を含み、
成分SP)を除いて、組成物A)の成分の重量パーセントの合計が100%であり、
‐成分SP)がバチルス・クラウシイである場合、
成分O)は、以下の化合物の組から選択される1つ以上の油であり:
‐1つ以上の不飽和、好ましくはエチレン型のものを任意に含む、直鎖または分岐鎖を有するC4〜C32の酸のエステル、
‐pHが3〜5に含まれるとき、液体組成物中に含められる、1つ以上の不飽和、好ましくはエチレン型のものを任意に含む、直鎖または分岐鎖を有するC4〜C32の酸、
‐成分SP)がバチルス・クラウシイとは異なる非病原性胞子形成性細菌である場合、
成分O)は、以下から選択される1つ以上の油であり:
‐直鎖または分岐鎖を有するC4〜C12およびC16の飽和酸のエステル、
‐pHが3〜5に含まれるとき、液体組成物中に含められる、直鎖または分岐鎖を有するC4〜C32の飽和酸、
この場合、好ましくは組成物は、食用乳、豆乳およびそれらの発酵製品を含まない、
液体状の医薬用および/または動物薬用および/または栄養補助食品用組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のさらなる目的物は、バチルス属バチルス・ズブチリスおよびバチルス・クラウシイの非病原性細菌を含む1つ以上の非病原性胞子形成生細菌を含む成分SP)、ならびに医薬的および/または動物薬的および/または栄養補助食品的に許容できる以下の成分を含む組成物(A')(重量%):
O)0.001〜95%、
S)以下の組から選択される、0〜90%の1つ以上の両親媒性化合物:
‐フッ素原子を任意に含む、非イオン性、アニオン性、カチオン性および両性界面活性剤から選択される界面活性剤、
‐溶解する液体中で凝集体、ミセル、液晶、小胞のような組織構造を形成するポリマー、
AD)以下の組から選択される、0〜60%の1つ以上の添加化合物:
水および/または油の極性の調節剤、
成分S)の薄膜の曲率の調節剤、
補助界面活性剤、
W)任意に緩衝された、0.1〜99.9重量%の水または食塩水溶液、
を含み、
成分SP)を除いて、成分の重量パーセントの合計が100%であり、
組成物中に成分PA)がゼロである、すなわち存在せず、
‐成分SP)がバチルス・クラウシイである場合、
成分O)は、以下の化合物の組から選択される1つ以上の油であり:
‐1つ以上の不飽和、好ましくはエチレン型のものを任意に含む、直鎖または分岐鎖を有するC4〜C32の酸のエステル、
‐pHが3〜5に含まれるとき、液体組成物中に含められる、1つ以上の不飽和、好ましくはエチレン型のものを任意に含む、直鎖または分岐鎖を有するC4〜C32の酸、
‐成分SP)がバチルス・クラウシイとは異なる非病原性胞子形成性細菌である場合、
成分O)は、以下から選択される1つ以上の油であり:
‐直鎖または分岐鎖を有するC4〜C12およびC16の飽和酸のエステル、
‐pHが3〜5に含まれるとき、液体組成物中に含められる、直鎖または分岐鎖を有するC4〜C32の飽和酸、
この場合、好ましくは組成物は、食用乳、豆乳およびそれらの発酵製品を含まない、
液体状の医薬用および/または動物薬用および/または栄養補助食品用組成物である。
【0014】
好ましくは、成分SP)は、本発明の組成物中に、該組成物の全重量の1000万〜300億個/gに含まれる濃度、より好ましくは該組成物の全重量の2000万〜150億個/gに含まれる濃度で存在する。より好ましくは、成分SP)は、バチルス属であり、さらにより好ましくは成分SP)は、複数の抗生物質に耐性のバチルスであり、特にバチルス・ズブチリス、好ましくはバチルス・クラウシイ(ブダペスト条約に従ってCNCM Instituto Pasteurに寄託された株番号I-273、I-274、I-275、I-276)である。
【0015】
成分SP)のさらなる例は、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、大腸菌株ニッスル(nissle)、プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)、およびそれらの混合物である。
【0016】
本発明の液体組成物は、市販されている液体製剤に相当する量よりもより多い、組成物のグラムあたりの胞子量を含み得る。
任意に、成分W)は、3〜9、より好ましくは4〜8に含まれるpHで緩衝される。
本発明の液体状組成物は、流動性および粘性の両方であり得る。後者は、周知の形態、例えば層状、立方体、六方晶形にあるゲルおよび/または液晶で任意に形成される。
【0017】
好ましくは、成分PA)は、次の組:ビタミン、無機塩類、酸化防止化合物、天然抽出物、医薬用または動物薬用活性成分から選択される。医薬用または動物薬用活性成分は、好ましくは、胃腸管もしくは免疫系の疾患および/または障害の予防あるいは治療のために用いられるものから選択される。
【0018】
食用乳は、一般にウシからのものであるが、ヤギ、ヒツジ、スイギュウ、ヤクまたはウマのような他の哺乳動物からのものであってよい。
食用乳の発酵製品は、例えばヨーグルトである。
好ましくは、非病原性胞子形成性細菌がバチルス・クラウシイである場合も、食用乳、豆乳およびそれらの発酵製品は、本発明の組成物から除外される。
【0019】
本発明の組成物に、成分NSP)、(例えばアシドフィルス(acidphilus)型の)乳酸桿菌、連鎖球菌(例えばストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus))、ビフィディ(bifidi)(例えばビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum))のような非胞子形成性のプロバイオティック微生物、またはそれらの混合物を任意に添加し得る。これらの微生物の例は、EP 1,405,641に報告されている。
成分NSP)は、存在する場合、組成物(成分NSP)を除く)中に1000万〜300億個/gの濃度である。
【0020】
本発明の製剤において、成分SP)および/またはNSP)は、動物薬的および/または医薬的および/または栄養補助食品的に許容できる非水溶性マトリックスの粒子に任意に吸着され得る。
【0021】
該非水溶性マトリックスは、例えば粘土、カオリン、炭酸カルシウム、コロイドシリカ、マグネシウムおよびアルミニウムのケイ酸塩、セルロース誘導体ならびにベントナイト誘導体で形成される。セルロース誘導体の中でも、例えば次の化合物が挙げられる:微結晶セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル-メチルセルロース。好ましくは、非水溶性マトリックスは、カオリンおよびセルロース誘導体の混合物、好ましくは微結晶セルロースで形成される。
【0022】
成分SP)および/またはNSP)/非水溶性マトリックスの重量比が、好ましくは90/10〜10/90、より好ましくは70/30〜30/70、さらにより好ましくは60/40〜40/60の範囲にあり、該比は50/50であることが特に好ましい。
【0023】
粒子は、大きい比表面積を有する。特に、該粒子は、粒子数の90%が、130マイクロメートル以下の平均径を有するようなサイズである。好ましくは、粒子数の60%が、60マイクロメートル以下の平均径を有する。
【0024】
ステアリン酸塩、例えばステアリン酸マグネシウムのような不活性滑沢剤、ゼラチンおよび二酸化チタンのような他の不活性添加物を、非水溶性マトリックスに吸着された成分SP)および/またはNSP)を有する本発明の製剤に加え得る。
【0025】
吸着された(adsorbed)なる用語は、成分SP)および/またはNSP)が、例えば化学的、物理的、生物学的結合などのいずれのタイプの結合で非水溶性マトリックスに結合していることを意味する。該結合は、胃腸管内、好ましくは消化管内で成分SP)を放出できるように不安定でなければならない。
【0026】
好ましくは本発明の組成物において、成分S)は、0.001〜80%、より好ましくは0.01〜50%(重量%)に含まれる。
本発明の組成物における成分O)およびW)は、2つの別個の相を形成し得るか、または、それらは、好ましくは成分S)が存在し、および任意にAD)も存在するとき、部分的にもしくは完全に互いに混合され得る。W)O)、S)および任意にAD)を含む前記混合物は、マイクロエマルジョン、エマルジョン、液晶またはゲルの形態にある。
【0027】
マイクロエマルジョンとは、互いに不混和性の2つ以上の相で形成される系を意味し、該系は、透明で等方性であり、少なくとも1つの水相および少なくとも1つの油相を含み、種々の相は、任意の1つ以上の成分AD)の存在下に、成分S)により安定化される。参考文献R.K. Mitra, 混合界面活性剤(AOT+ Brij-35)およびブタノールを用いるユーカリ油および水のマイクロエマルジョン化の物理化学的研究(Physicochemical investigations of microemulsification of eucalyptus oil and water using mixed surfactant (AOT+ Brij-35) and butanol), J. Colloid and Interface Science, 283 (2005) 565-577を参照されたい。
【0028】
エマルジョンとは、マイクロエマルジョンと同じ成分で形成されるが、オパールのような光彩を発するか、もしくは乳白色の外見を有するか、またはクリームの形状および濃度を有する系を意味する。
【0029】
エマルジョンおよびマイクロエマルジョンは、水/油、油/水、二連続(bicontinuous)または多重(multiple)であり得る。後者の例は、例えば油/水/油もしくは水/油/水のエマルジョンまたはマイクロエマルジョンである。
本発明のマイクロエマルジョンは、広い温度範囲、一般に0℃〜80℃、好ましくは4℃〜45℃で安定である。
【0030】
本発明のマイクロエマルジョンは、以下の工程を含む製法で製造できる:
(IP)任意に、成分PA)を成分O)中に可溶化して、成分PA)の油状溶液を得る、
(IIP)成分S)を成分O)または(IP)で得た対応する油状溶液に添加して、成分S)および任意にPA)を含む油相を得る、
(IIIP)任意に、成分AD)を(IIP)で得た油相に添加して、成分AD)、S)および任意にPA)を含む油相を得る、
(IVP)撹拌下に、水または食塩水溶液を(IIP)または任意の工程(IIIP)で得た油相に添加して、マイクロエマルジョンである脂質溶液を得る。
該製法の各工程は、0℃〜80℃の範囲の温度にて実行され得る。
【0031】
脂質溶液の形態にあるマイクロエマルジョンは、上記の工程の実行順序を変えることによってか、または、例えば以下のやり方によっても得ることができる:
(IP')任意に、成分PA)を成分O)中に可溶化して、成分PA)の油状溶液を得る、
(IIP')成分S)を水または食塩水溶液に添加して、成分S)を含む水相を得る、
(IIIP')任意に、成分AD)を該水相に添加して、成分S)およびAD)を含む水相を得る、
(IVP')撹拌下に成分O)または工程(IP')の油状溶液を、工程(IIP')または任意の工程(IIIP')の水相と混合して、マイクロエマルジョンを得る。
それらが行われる温度範囲は、上で示したことと同じである。
【0032】
本発明のエマルジョンは、以下の工程を含む製法により製造できる:
(IP'')任意に、成分PA)を成分O)中に、成分AD)の任意の存在下に可溶化する、
(IIP'')成分O)、または任意の工程(IP'')で得た油状溶液を、35℃〜80℃、より好ましくは45〜70℃の範囲の温度で加熱する、
(IIIP'')成分S)を、成分AD)を任意に含む水または食塩水溶液に添加する、
(IVP'')工程(IIIP'')の水相を、35℃〜80℃、より好ましくは45〜70℃の範囲の温度で加熱する、
(VP'')撹拌下に工程(IIP'')で得た油相を工程(IVP'')で得た水相に添加して、エマルジョンを得る、
(VIP'')該エマルジョンを0℃〜30℃に含まれる温度で冷却する。
【0033】
工程(VP'')は、好ましくはターボ乳化機を用いて実行される。
工程(VP'')および工程(IVP'')で得られた液体相(エマルジョン)は、高圧でのさらなる均質化工程に任意に付され得る。
【0034】
該エマルジョンは、水もしくは水溶液または成分O)でのマイクロエマルジョンの希釈によっても製造され得る。成分AD)は、次の液体相中のそれぞれに含められ得る:水、水溶液および成分O)。
【0035】
液晶または液晶性相とは、成分S)および成分O)もしくは成分W)、またはそれらの混合物で、成分AD)の任意の存在下に形成される相であって、その中で成分S)が該液体相に高い粘性を与える組織構造にある相を意味する。層状、六方晶形、立方体、液晶性相のような成分S)を含む高粘性の液晶性相は、従来技術において周知である。
【0036】
好ましい組成物は、成分SP)の胞子自体または非水溶性マトリックスに吸着されたものが、マイクロエマルジョン中または液晶中に分散されたものである。これらの組成物は、安定であるので、工業的観点からよく求められる。実際、相分離の場合においても、例えば単に撹拌することによって該組成物を常に元に戻すことができる。
【0037】
本発明の別の目的物は、本発明の組成物を含む医薬製剤である。
本発明の医薬製剤は、別々の区画に保存され、該製剤が使用されるべき時に互いに混合されるそれらの組成物で用時調製可能(ready-to-use)に製造され得る。
この場合、該医薬製剤は、例えば成分W)中に分散された成分SP)で形成され得、該分散体は成分O)とは別に保存される。この場合、その2つの相は使用時に混合される。
【0038】
あるいは、該医薬製剤は、例えば非水溶性マトリックスに任意に吸着され、成分W)および成分O)の両方とは別に保存される成分SP)で形成され得る。成分SP)は、使用時に成分W)および成分O)中に分散される。
【0039】
別の医薬製剤は、例えば成分W)の一部に分散された成分SP)で形成され得、該分散体は成分O)および残余部分の成分W)とも別に保存される。該成分SP)の分散体は、使用時に残余部分の成分W)および成分O)と混合される。
【0040】
医薬製剤は、例えば医薬的ディスペンサーの形態にもあり得、その中で成分SP)が成分O)およびW)とは別にある。使用時に、成分SP)、O)およびW)が互いに混合される。例えば、医薬的ディスペンサーにおいて、成分SP)は、ディスペンサーキャップに付属の区画中に保存され得る。
【0041】
別の実施形態において、成分SP)は成分W)の全体の一部に分散され、該分散体は他の成分とは別に保存される。成分SP)が非水溶性マトリックスに吸着される場合も同じである。
【0042】
成分SP)が別の区画に保存されている上記の医薬製剤において、成分W)およびO)は、任意に成分S)および任意にAD)と共に1つの区画に一緒に保存され得るか、または前記成分のそれぞれが別の区画にあるか、あるいは成分W)およびO)は別の区画に保存され得、該成分が使用時に混合される。
述べたように、互いに混合される2つの成分W)およびO)は、成分S)および任意の成分AD)の存在下に、マイクロエマルジョン、エマルジョン、または液晶を形成し得る。
【0043】
本発明の用時調製可能な組成物を調製できる上記の医薬製剤は、成分PA)および/または成分NSP)および/または、すでに存在していようがいまいが、成分S)および/または成分AD)も含み得る。
【0044】
本発明のさらなる目的物は、本発明の用時調製可能な組成物を調製するための医薬製剤用ディスペンサーである。
【0045】
成分S)において、フッ素原子を含む界面活性剤は、(パー)フルオロ化鎖、例えば(パー)フルオロポリエーテル鎖を有し得る。
成分S)のポリマーが溶解されて組織構造を形成している液体は、水および/または油である。用い得る油は後述され、天然および合成由来の両方であり得る。
【0046】
好ましい界面活性剤成分S)は、非イオン性およびアニオン性のものである。非イオン性界面活性剤の中でも、最も好ましいものは、ポリオキシアルキレン鎖、好ましくはポリオキシエチレン鎖を含むものである。例えば、以下のものが挙げられる:
例えばCremophor(登録商標)EL(BASF)の商標で商業的に周知であり、ヒマシ油のエトキシル化により製造される、ポリオキシル35ヒマシ油、
例えばCremophor(登録商標)RH40(BASF)の商標で商業的に周知であり、硬化ヒマシ油のエトキシル化により製造される、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、
例えばSolutol(登録商標)HS15(BASF)の商標で商業的に周知であり、15モルのエチレンオキシドと1モルの12-ヒドロキシステアリン酸との反応により調製される、ポリエチレングリコール15ヒドロキシステアレート、
【0047】
Tween(登録商標)80、Tween(登録商標)20、Tween(登録商標)60、Tween(登録商標)85のようなポリオキシエチレンポリソルベート、
例えばSpan(登録商標)20およびSpan(登録商標)60の商標でそれぞれ市販される、ソルビタンモノラウレートおよびソルビタンモノステアレートのような脂肪酸のソルビタンエステル、
ビタミンE/TPGS:トコフェリルプロピレングリコール1000スクシネート、
一連のBrij(登録商標)のもの、例えばBrij(登録商標)35、Brij(登録商標)76、Brij(登録商標)98のような脂肪酸のポリオキシエチレンエーテル、
PEG -12-アシルオキシ-ステアレート、例えばC.E. McNameeら、「PEG 1500-12-アシルオキシステアレートミセルおよび液晶性相の物理化学的特徴」("Physicochemical Characterization of PEG 1500-12-acyloxy-stearate micelles and liquid crystalline phases"), Langmuir, 2005, 21, 8146-8154を参照されたい、これらの中でも例えば以下のものが挙げられる:
‐PEG 1500モノ-12-カプリロイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C8
‐PEG 1500モノ-12-カプロイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C10
‐PEG 1500モノ-12-ラウロイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C12
‐PEG 1500モノ-12-ミリストイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C14
‐PEG 1500モノ-12-パルミトイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C16)。
【0048】
アニオン性界面活性剤の中でも、例えば次のものが挙げられる:例えばEpikuron(登録商標)200の商標で商業的に周知の大豆レシチン、ビス-2-エチルヘキシルスルホスクシネート(AOT)、タウロコール酸ナトリウム。
【0049】
カチオン性界面活性剤の中でも、例えばヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)およびジドデシルアンモニウムブロミド(DDAB)が挙げられる。
【0050】
成分S)として用い得るポリマーは、本発明の医薬組成物の水相および/または油相に溶解できなければならない。溶解できる(soluble)なる用語は、ポリマーが、それらが溶解している相中で、組織構造、例えば凝集体、ミセル、液晶および小胞を形成できる濃度と少なくとも等しい濃度に達しなければならないことを意味する。前記組織構造の存在は、分散系の物理化学の特定の技術、例えばレーザ光スキャッタリング(LLS)、ニュートロンスキャッタリング、顕微鏡により調べることができる。
【0051】
述べたように、ポリマー成分S)はまた、上記の界面活性剤と組み合わせて用い得る。この場合も、用いられる液体相に溶解するポリマーの濃度は、上述の組織構造の形成を導くような濃度でなければならない。
【0052】
ポリマー成分S)は、例えばポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、例えばKollidon(登録商標)の商標で商品化されるKollidon(登録商標)12PFおよびKollidon(登録商標)17PF(BASF)、およびポリオキシアルキレン鎖、より好ましくはポリオキシエチレン鎖(PEO)を有するブロックコポリマー、例えばPEO-PPO-PEO構造により特徴付けられるPEOとポリオキシプロピレン鎖(PPO)のブロックコポリマー、市販されるものとして、例えばPluronic(登録商標)もしくはPoloxamer(登録商標)またはLutrol(登録商標)の商標でBasfにより商品化されるLutrol(登録商標)F68およびLutrol(登録商標)F127である。
【0053】
成分O)において、酸エステルは、対応する酸、好ましくは脂肪族カルボン酸と、脂肪族の鎖、好ましくはC1〜C5鎖を有するか、もしくはポリオキシエチレン鎖を有するアルコール、またはグリセリンとのエステル化により、好ましくは得られる。後者の場合、モノ‐、ジ‐またはトリグリセリドが得られる。
【0054】
以下のエステルが、例えば挙げられる:
例えばLabrafil(登録商標)1944 CS(Gattefosse)の商標で商品化される、オレイルマクロゴール6グリセリド(不飽和ポリグリコシル化グリセリド)、
例えばLabrafac(登録商標)PG(Gattefosse)の商標で商業的に周知である、プロピレングリコールカプリレートカプレート、
例えばCapmul(登録商標)PG-8(Abitec)の商標で商品化される、カプリル酸のプロピレングリコールモノエステル、
グリセロールオレエート(例えばPeceol(登録商標)(Gattefosse))、
中鎖モノ‐およびジグリセリド、例えばカプリン酸およびカプリル酸のグリセリド(例えばCapmul(登録商標)MCM(Abitec)、Imwitor(登録商標)308(Sasol))、
ポリグリセロールオレエート(例えばPluro(登録商標)oleic(Gattefosse))、
カプリン/カプリル酸トリグリセリド(例えばMiglyol(登録商標)812およびMiglyol(登録商標)810(Sasol)、Labrafac(登録商標)CC CS(Gattefosse))、
エチルブチレート、エチルカプリレート、エチルオレエート、
例えばSasolによりDYNASAN(登録商標)116の商標で商品化される、トリパルミチン。
【0055】
1つ以上の上記のエステルを含む、医薬用等級の純度を有する植物油も用い得る。例えば、大豆油が挙げられる。
【0056】
酸成分O)の中でも、好ましいものは脂肪族カルボン酸および特に脂肪酸である。次の酸が挙げられる:ステアリン酸、オメガ3酸およびオメガ-6酸。
【0057】
成分AD)において、水および/または油の極性の調節剤は、例えばポリエチレングリコールであり得る。Lutrol(登録商標)E300およびLutrol(登録商標)E400(BASF)が挙げられる。脂肪族アルコール、例えばエタノールも用い得る。
成分AD)が、成分S)の薄膜曲率の調節剤である場合、成分AD)は、例えば脂肪族アルコール、好ましくはC2〜C5のものから選択される。
【0058】
成分AD)において、補助界面活性剤は、例えば上記で定義した界面活性剤化合物、または脂肪族アルコール、好ましくは少なくとも6つの炭素原子を有する鎖を有するものであり得る。例えば:
例えばCapmul(登録商標)PG12(Gattefosse)またはLauroglycol(登録商標)90(Gattefosse)の商標で商業的に周知である、プロピレングリコールモノラウレート、
例えばLabrasol(登録商標)、Gelucire 44-14(Gattefosse)の商標で商品化される、カプリロカプロイルマクロゴール8グリセリド(飽和エチルジグリコシル化グリセリド)、
例えばTranscutol(登録商標)(Gattefosse)の商標で商業的に周知である、ジエチレングリコールモノエチルエーテル
が挙げられる。
【0059】
成分PA)のビタミンは、従来技術において周知のものである。例えば、A、B、C、D、E、K、M、P、PP群のビタミンが挙げられる。例えば、ビタミンA群ではカロテノイド、ビタミンB群ではリボフラビン、ビタミンC群ではアスコルビン酸、ビタミンD群ではトコフェロール、ビタミンH群ではビオチン、ビタミンM群では葉酸、ビタミンP群ではビオフラボノイドが挙げられる。
【0060】
成分PA)の無機塩類は、クエン酸塩およびグルコン酸塩、例えばクエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸亜鉛、グルコン酸マンガン、グルコン酸鉄のような塩類の集積物(integrators)である。用い得る他の塩類の集積物は、例えばリン酸カリウムおよび塩化ナトリウムのようなアルカリ金属塩である。
【0061】
成分PA)の酸化防止剤は、酸化防止作用を有する天然もしくは合成の酸化防止剤、または他の化合物の酸化を遅らせるか、もしくは防止する副酸化防止剤(proantioxidant)である。酸化防止剤として、例えばビタミン、カロテノイド、ポリフェノール、ミネラル、グルタチオン、カタラーゼおよびスーパーオキサイドジスムターゼのような酵素が挙げられる。これらの中でも、A、B、C、E群のビタミン、カロテノイド、フラボノイド、アントシアニジン、フラバノール、タンニン、リコペン、コエンザイムQ10、亜鉛、セレン、ゲルマニウム、レスベラトロールが特に挙げられる。
【0062】
胃腸管の疾患および/または障害の予防ならびに治療用の特定の活性成分PA)は、例えば、抗生物質ニスタチン、ストレプトマイシン、アンホテリシンのような腸管の抗菌薬;ロペラミドのようなオピオイド、コルチコステロイドのような腸管の抗炎症薬およびクロモグリク酸のような抗アレルギー性物質である。
【0063】
成分PA)の天然抽出物は、薬用植物から得られるそのままの、または精製した抽出物である。特に、胃腸管の病変および/または障害の治療においては、止瀉および/または補助剤(coadjuvant)の性質を有する天然抽出物が好ましい。
【0064】
本発明の組成物はまた、従来の天然および/もしくは合成の添加物、またはそれらの混合物を含み得る。
該添加物は、上記の使用に適しなければならず、例えばグルタミン酸およびそれのアルカリ金属塩、着色料、保存料、香料などから選択される。
【0065】
本発明のさらなる目的物は、医薬品としての本発明の組成物の使用、特に上記の疾患および障害の治療のための使用である。
本発明のさらなる目的物は、哺乳動物およびヒトにおける疾患および障害の予防ならびに治療用薬剤の製造のための本発明の組成物の使用である。
好ましくは、本発明の組成物の使用は、哺乳動物およびヒトにおける胃腸管および免疫系の疾患および障害の予防ならびに治療に関する。
【0066】
本発明の医薬組成物で治療され得る胃腸管の疾患および障害は、例えば腸管の炎症、無機塩類の欠乏に関連する障害、腸管の細菌感染、内因性ビタミンの欠乏、腸内細菌叢の不均衡、特に下痢状態によって引き起こされるか、および/または抗生物質もしくは化学療法剤の投与に続いて引き起こされるものである。
【0067】
本発明の組成物は、特定の抗生物質と会合する場合、ヘリコバクター・ピロリの活動の阻害にも用い得る。
【0068】
様々な病変の治療用薬剤の製造のための本発明の組成物の使用は、前記治療に用いられる周知の方法により行われ得る。
特に、本発明の組成物の投与は、活性成分の量が特定の治療に有効となるように行われなければならない。服用量、投与経路および薬量(posologies)は、疾患の類型(typology)、病変の重症度、年齢、体重、活性成分に対する反応のような患者の身体状態および特徴、特定の治療のための活性成分の薬物動態ならびに毒性に依存して決定される。
成分SP)の好ましい1日服用量は、10億〜100億胞子/日、好ましくは20億〜80億である。
【0069】
本発明は、哺乳動物およびヒトにおける疾患および障害の予防ならびに治療用薬剤の製造のための本発明の組成物にさらに関する。好ましくは、本発明は、哺乳動物およびヒトにおける胃腸管および免疫系の疾患および障害の予防ならびに治療用薬剤の製造のための医薬組成物に関する。
【0070】
本発明のさらなる目的物は、本発明の組成物を含む栄養補助製品、ならびに上記の病変および障害の予防および治療における補助剤としてのそれらの使用により表わされる。それらは、本発明の医薬組成物と、または上記の治療に用いられる従来技術の薬剤と共に用いられ得る。
【0071】
以下の実施例は、本発明をより理解するために記載されるが、本発明の範囲を限定するものではない。
【0072】
実施例
実施例1
カオリンに吸着されたバチルス・クラウシイの胞子のマイクロエマルジョン中の分散体を含む本発明の組成物の製造
【0073】
5グラムのマイクロエマルジョンを、次の化合物を混合することにより調製した:市販のトリグリセリドMiglyol(登録商標)810N(0.20 g)、市販のモノグリセリドImwitor(登録商標)308(0.20 g)、非イオン性界面活性剤Solutol(登録商標)HS15(0.85 g)および生理的溶液(3.75 g)。
前記マイクロエマルジョンに、微晶質の存在下でカオリンに吸着されたバチルス・クラウシイ(I-273、I-274、I-275、I-276)の胞子40億で形成され、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、二酸化チタンを含むEnterogermina(登録商標)の2つの市販カプセルにプールされた内容物0.56 gを加えた。
マイクロエマルジョン中の、カオリンに吸着されたバチルス・クラウシイの胞子の分散体を得た。
このように得られた最終組成物は、調製から5分まで相分離を伴わずに均質である。より長期間では、該組成物の最初の性状は撹拌により元に戻り得ることが観察される。
最終組成物において、懸濁した固体の完全な沈殿は、調製から25分の時間で起こる。
【0074】
実施例1a(比較)
同様の組成物を有するが油のない製剤を調製した。3分後に沈殿が完了することが観察される。
【0075】
実施例2
カオリンに吸着されたバチルス・クラウシイの胞子のマイクロエマルジョン中の分散体を含む本発明の組成物の製造
【0076】
1.25グラムの油状溶液を、次の成分を混合することにより調製した:市販のトリグリセリドMiglyol(登録商標)810N(0.20 g)、市販のモノグリセリドImwitor(登録商標)308(0.20 g)、非イオン性界面活性剤Solutol(登録商標)HS15(0.85 g)。
前記油状溶液に、3.75gの蒸留水、およびカオリンに吸着されたバチルス・クラウシイ(I-273、I-274、I-275、I-276)の胞子40億に相当し、微晶質セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、二酸化チタンを含むEnterogermina(登録商標)の2つの市販カプセルにプールされた内容物0.56 gで形成された水性分散体を、撹拌下に加えた。
マイクロエマルジョン中の、カオリンに吸着されたバチルス・クラウシイの胞子の分散体を得た。
得られた最終組成物は、調製から5分まで相分離を伴わずに均質である。どのような場合でも、該組成物の最初の性状は撹拌により元に戻り得ることが注目される。
【0077】
実施例3
カオリンに吸着されたバチルス・クラウシイの胞子の液晶性相中の分散体を含む本発明の組成物の製造
【0078】
4.70グラムの層状液晶性相を、次の成分を混合することにより調製した:市販のトリグリセリドMiglyol(登録商標)810N(0.20 g)、非イオン性界面活性剤Solutol(登録商標)HS15(3.25 g)および1.25 gの蒸留水。
該層状液晶性相に、カオリンに吸着されたバチルス・クラウシイ(I-273、I-274、I-275、I-276)の胞子40億に相当し、微晶質セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、二酸化チタンを含むEnterogermina(登録商標)の2つの市販カプセルにプールされた内容物0.56 gを加えた。
層状液晶性相中の、カオリンに吸着されたバチルス・クラウシイの胞子の分散体を得た。
得られた最終組成物は、非常に粘性であり、調製から少なくとも2時間は相分離を伴わずに均質のままである。
【0079】
実施例4
バチルス・クラウシイの胞子のマイクロエマルジョン中の分散体を含む本発明の組成物の製造
【0080】
28.2グラムの油状溶液を、次の成分を混合することにより調製した:市販のトリグリセリドMiglyol(登録商標)810N(5.6 g)および非イオン性界面活性剤Solutol(登録商標)HS15(22.6 g)。
該油状溶液に、バチルス・クラウシイ(I-273、I-274、I-275、I-276)の胞子20億を含むEnterogermina(登録商標)の水性製剤の5mlの市販水薬瓶の内容物を加えた。
得られた最終組成物は、少なくとも20日間は相分離を伴わずに透明のままである。
【0081】
実施例5
バチルス・クラウシイの胞子のマイクロエマルジョン中の分散体を含む本発明の組成物の製造
【0082】
1.25グラムの油状溶液を、次の成分を混合することにより調製した:市販のトリグリセリドMiglyol(登録商標)810N(0.25 g)および非イオン性界面活性剤Solutol(登録商標)HS15(1.00 g)。
該油状溶液に、バチルス・クラウシイ(I-273、I-274、I-275、I-276)の胞子20億を含むEnterogermina(登録商標)の水性製剤の5mlの市販水薬瓶の内容物を加えた。
マイクロエマルジョン中のバチルス・クラウシイの胞子の分散体を得た。
得られた最終組成物は、調製から少なくとも2時間は相分離を伴わずに均質で、わずかにオパールのような光彩を発する。より長時間では、該組成物の最初の性状は撹拌により元に戻ることが観察される。
【0083】
実施例6
バチルス・クラウシイの胞子の液晶性相中の分散体を含む本発明の組成物の製造
【0084】
20.0グラムの油状溶液を、市販のトリグリセリドMiglyol(登録商標)810N(4.0 g)と非イオン性界面活性剤Solutol(登録商標)HS15(16.0 g)を混合することにより調製した。
該油状溶液に、バチルス・クラウシイ(I-273、I-274、I-275、I-276)の胞子20億を含むEnterogermina(登録商標)の水性製剤の5mlの市販水薬瓶の内容物を加えた。
得られた組成物は、非常に粘性であり、層状液晶性相で形成される。該組成物は、調製から少なくとも8時間は相分離を伴わずに均質である。
【0085】
実施例7
バチルス・クラウシイの胞子の液晶性相中の分散体を含む本発明の組成物の製造
【0086】
100.0グラムのマイクロエマルジョンを、市販のトリグリセリドMiglyol(登録商標)810N(17.0 g)、非イオン性界面活性剤Solutol(登録商標)HS15(65.0 g)および蒸留水(15.0 g)を混合することにより調製した。
95.0グラムの該マイクロエマルジョンを、バチルス・クラウシイ(I-273、I-274、I-275、I-276)の胞子20億を含むEnterogermina(登録商標)の水性製剤の5ml市販水薬瓶の内容物と混合した。
得られた最終組成物は、非常に粘性であり、層状液晶性相で形成される。該組成物は、調製から少なくとも8時間は相分離を伴わずに均質である。
【0087】
実施例8
トコフェロールを含むマイクロエマルジョン中の、カオリンに吸着されたバチルス・クラウシイの胞子の分散体を含む本発明の組成物の製造
【0088】
10グラムのマイクロエマルジョンを、市販のトリグリセリドMiglyol(登録商標)810N(1.53 g)、トコフェロール(0.17 g)、非イオン性界面活性剤Solutol(登録商標)HS15(6.80 g)および蒸留水(1.5 g)を混合することにより調製した。
カオリンに吸着されたバチルス・クラウシイ(I-273、I-274、I-275、I-276)の胞子40億に相当し、微晶質セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、二酸化チタンを含むEnterogermina(登録商標)の2つの市販カプセルにプールされた内容物0.56 gを、該マイクロエマルジョンに撹拌下に加えた。
親油性化合物トコフェロールを含むマイクロエマルジョン中の、カオリンに吸着されたバチルス・クラウシイの胞子の分散体を得た。
該組成物は、調製から5分まで相分離を伴わずに均質である。均質性は、撹拌により元に戻り得る。
【0089】
実施例9
トコフェロールおよび無機塩類を含むマイクロエマルジョン中の、カオリンに吸着されたバチルス・クラウシイの胞子の分散体を含む本発明の組成物の製造
【0090】
実施例8を繰り返すが、蒸留水の代わりに、同じ重量のクエン酸ナトリウム(0.1 M)および1リン酸カリウム(0.2 M)の水溶液を用いた。
無機塩類(クエン酸ナトリウムおよび1リン酸カリウム)、ならびに親油性化合物トコフェロールを含むマイクロエマルジョン中の、カオリンに吸着されたバチルス・クラウシイの胞子の分散体を得た。
得られた最終組成物は、調製から5分まで相分離を伴わずに均質である。均質性は、撹拌により元に戻り得る。
【0091】
実施例10
止瀉活性を有するカンナビノイド作動性(cannabinoidergic)化合物を含むエマルジョン中の、カオリンに吸着されたバチルス・クラウシイの胞子の分散体を含む本発明の組成物の製造
【0092】
エマルジョン(10 g)を、Tocrisにより販売される市販のエマルジョンTocrisolve(登録商標)9.8 gと、0.2 gの非水溶性アゴニストであるカンナビノイド作動性化合物WIN 55.212-2とを混合することにより調製した。
前記の後者の化合物は、他のアゴニストであるカンナビノイド誘導体として、止瀉活性を有することが周知である。実際、EP 1,602,658の実施例6に示されるように、それは胃腸内輸送を弱める。
カオリンに吸着されたバチルス・クラウシイ(I-273、I-274、I-275、I-276)の胞子40億に相当し、微晶質セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、二酸化チタンも含むEnterogermina(登録商標)の2つの市販カプセルにプールされた内容物0.56 gを、該エマルジョンに撹拌下に加えた。
アゴニストであるカンナビノイド作動性化合物WIN 55.212-2を含むエマルジョン中の、カオリンに吸着されたバチルス・クラウシイの胞子の分散体を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バチルス属バチルス・ズブチリスおよびバチルス・クラウシイの非病原性細菌を含む1つ以上の非病原性胞子形成性細菌を含む成分SP)、ならびに医薬的および/または動物薬的および/または栄養補助食品的に許容できる以下の成分(重量%):
O)0.001〜95%、
S)以下の組から選択される、0〜90%の1つ以上の両親媒性化合物:
‐フッ素原子を任意に含む、非イオン性、アニオン性、カチオン性および両性界面活性剤から選択される界面活性剤、
‐溶解する液体中で凝集体、ミセル、液晶、小胞のような組織構造を形成するポリマー、
AD)以下の組から選択される、0〜60%の1つ以上の添加化合物:
水および/または油の極性の調節剤、
成分S)の薄膜の曲率の調節剤、
補助界面活性剤、
PA)栄養補助食品のための栄養補助剤、ならびに医薬用および/または動物薬用組成物のための医薬用および/または動物薬用活性成分から選択される、0.001〜70%の1つ以上の化合物、
W)任意に緩衝された、0.1〜99.9重量%の水または食塩水溶液、
を含み、
成分の重量パーセントの合計が、成分SP)を除いて100%であり、
‐成分SP)がバチルス・クラウシイである場合、
成分O)は、以下の化合物の組から選択される1つ以上の油であり:
‐1つ以上の不飽和、好ましくはエチレン型のものを任意に含む、直鎖または分岐鎖を有するC4〜C32の酸のエステル、
‐pHが3〜5に含まれるとき、液体組成物中に含められる、1つ以上の不飽和、好ましくはエチレン型のものを任意に含む、直鎖または分岐鎖を有するC4〜C32の酸、
‐成分SP)がバチルス・クラウシイとは異なる非病原性胞子形成性細菌である場合、
成分O)は、以下から選択される1つ以上の油であり:
‐直鎖または分岐鎖を有するC4〜C12およびC16の飽和酸のエステル、
‐pHが3〜5に含まれるとき、液体組成物中に含められる、直鎖または分岐鎖を有するC4〜C32の飽和酸、
この場合、好ましくは組成物は、食用乳、豆乳およびそれらの発酵製品を含まない、
液体状の医薬用および/または動物薬用および/または栄養補助食品用組成物。
【請求項2】
バチルス属バチルス・ズブチリスおよびバチルス・クラウシイの非病原性細菌を含む1つ以上の非病原性胞子形成生細菌を含む成分SP)、ならびに医薬的および/または動物薬的および/または栄養補助食品的に許容できる以下の成分(重量%):
O)0.001〜95%、
S)以下の組から選択される、0〜90%の1つ以上の両親媒性化合物:
‐フッ素原子を任意に含む、非イオン性、アニオン性、カチオン性および両性界面活性剤から選択される界面活性剤、
‐溶解する液体中で凝集体、ミセル、液晶、小胞のような組織構造を形成するポリマー、
AD)以下の組から選択される、0〜60%の1つ以上の添加化合物:
水および/または油の極性の調節剤、
成分S)の薄膜の曲率の調節剤、
補助界面活性剤、
W)任意に緩衝された、0.1〜99.9重量%の水または食塩水溶液、
を含み、
成分の重量パーセントの合計が、成分SP)を除いて100%であり、
組成物中に成分PA)がゼロであり、
‐成分SP)がバチルス・クラウシイである場合、
成分O)は、以下の化合物の組から選択される1つ以上の油であり:
‐1つ以上の不飽和、好ましくはエチレン型を任意に含む、直鎖または分岐鎖を有するC4〜C32の酸のエステル、
‐pHが3〜5に含まれるとき、液体組成物中に含められる、1つ以上の不飽和、好ましくはエチレン型を任意に含む、直鎖または分岐鎖を有するC4〜C32の酸、
‐成分SP)がバチルス・クラウシイとは異なる非病原性胞子形成性細菌である場合、
成分O)は、以下から選択される1つ以上の油であり:
‐直鎖または分岐鎖を有するC4〜C12およびC16の飽和酸のエステル、
‐pHが3〜5に含まれるとき、液体組成物中に含められる、直鎖または分岐鎖を有するC4〜C32の飽和酸、
この場合、好ましくは組成物は、食用乳、豆乳およびそれらの発酵製品を含まない、
液体状の医薬用および/または動物薬用および/または栄養補助食品用組成物。
【請求項3】
成分SP)が、組成物の全重量中1000万〜300億個/gに含まれる濃度、より好ましくは組成物の全重量中2000万〜150億個/gに含まれる濃度で存在する、請求項1〜2に記載の組成物。
【請求項4】
成分SP)が、バチルス属に属し、好ましくは複数の抗生物質に耐性であり、より好ましくはバチルス・ズブチリスおよび/またはバチルス・クラウシイであり、さらにより好ましくはバチルス・クラウシイである、請求項1〜3に記載の組成物。
【請求項5】
成分W)が、3〜9、より好ましくは4〜8に含まれるpHで緩衝される、請求項1〜4に記載の組成物。
【請求項6】
成分PA)が、次の組:ビタミン、無機塩類、酸化防止化合物、天然抽出物、医薬用または動物薬用活性成分から選択される、請求項1〜5に記載の組成物。
【請求項7】
医薬用または動物薬用活性成分が、胃腸管もしくは免疫系の疾患および/または障害の予防あるいは治療のためのものから選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
非胞子形成性プロバイオティック微生物成分NSP)、またはそれらの混合物をさらに含む、請求項1〜7に記載の組成物。
【請求項9】
成分SP)および/またはNSP)が、非水溶性マトリックスの粒子に吸着される、請求項1〜8に記載の組成物。
【請求項10】
非水溶性マトリックスが、1つ以上の次の物質:粘土、カオリン、炭酸カルシウム、コロイドシリカ、マグネシウムおよびアルミニウムのケイ酸塩、セルロース誘導体またはベントナイト誘導体で形成される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
非水溶性マトリックスが、カオリンおよびセルロース誘導体の混合物で形成される、請求項9〜10に記載の組成物。
【請求項12】
成分SP)/非水溶性マトリックスの重量比が、90/10〜10/90、好ましくは70/30〜30/70、より好ましくは60/40〜40/60の範囲にあり、特に50/50である、請求項9〜11に記載の組成物。
【請求項13】
粒子数の90%が、130マイクロメートル以下の粒径を有し、好ましくは粒子数の60%が、60マイクロメートル以下の粒径を有する、請求項9〜12に記載の組成物。
【請求項14】
成分O)およびW)が2つの別個の相を形成するか、または、成分S)およびAD)が存在するとき、成分O)およびW)が部分的にもしくは完全に混合される、請求項1〜13に記載の組成物。
【請求項15】
成分S)および任意のAD)の存在下に、成分O)およびW)の混合物が、マイクロエマルジョン、エマルジョン、液晶またはゲルの形態にある、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
成分SP)の胞子自体または非水溶性マトリックスに吸着されたものが、マイクロエマルジョン中または液晶中に分散している、請求項1〜15に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1〜16の組成物を含む医薬製剤。
【請求項18】
請求項1〜16の組成物の成分が、別々の区画に保存されており、使用時に互いに混合される、用時調製可能な請求項17に記載の医薬製剤。
【請求項19】
成分W)中の成分SP)の分散体で形成され、成分O)とは別に保存される、請求項17〜18に記載の医薬製剤。
【請求項20】
非水溶性マトリックスに任意に吸着される成分SP)が、成分W)および成分O)の両方とは別に保存される、請求項17〜19に記載の医薬製剤。
【請求項21】
成分W)の一部に分散された成分SP)で形成され、その分散体が成分O)および残余部分の成分W)とは別にある、請求項17〜18に記載の医薬製剤。
【請求項22】
成分W)および成分O)が、2つの別個の相を形成し、1つの区画に保存されるか、または成分W)および成分O)のそれぞれが別の区画に保存される、請求項20〜21に記載の医薬製剤。
【請求項23】
成分W)、O)が、成分S)および任意に成分AD)と共に1つの区画に保存される、請求項20〜22に記載の医薬製剤。
【請求項24】
請求項17〜23に記載の医薬製剤のためのディスペンサー。
【請求項25】
医薬品としての請求項1〜16に記載の組成物の使用。
【請求項26】
哺乳動物、特にヒトにおける疾患および障害の予防ならびに治療用薬剤の製造のための請求項1〜16に記載の組成物の使用。
【請求項27】
疾患および障害が、胃腸管および免疫系のものである請求項26に記載の使用。
【請求項28】
哺乳動物、特にヒトにおける疾患および障害の予防ならびに治療用薬剤の製造のための請求項1〜16に記載の組成物。
【請求項29】
請求項1〜16の組成物を含む、栄養補助製品。
【請求項30】
胃腸管および免疫系の病変および障害の予防ならびに治療における補助剤としての請求項29に記載の製品の使用。

【公開番号】特開2010−195786(P2010−195786A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−40693(P2010−40693)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(509215651)ニューロサイエンス ファーマネス エス.シー. エー アール.エル. (7)
【氏名又は名称原語表記】NEUROSCIENZE PHARMANESS S.C. A R.L.
【住所又は居所原語表記】Loc. Piscinamanna, Edificio 5, 09010 Pula, Cagliari, ITALY
【Fターム(参考)】