説明

非粘着化組成物

【課題】粘着性(べとつき)、適用性、伸展性および付着特性が改善された化粧品用組成物の提供。
【解決手段】少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを、組成物の粘着性を低減させるのに十分な量で、組成物に配合することを含む、組成物を非粘着化するための方法、及びそのような組成物を含むキット、特に睫毛等のケラチン物質を手入れおよび/又はメークアップおよび/又はトリートメントするための組成物の提供。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを非粘着化(脱粘着化)に有効な量で含有する組成物、並びにこのような組成物の使用方法、及びこのような組成物を含むキットに関する。このような組成物は、例えば低減した粘着性、改善された感触、及び適用時の展伸性、及び適用時のケラチン物質(例えば睫毛)の塊の低減のような改善された性質と特性を有する。
【0002】
(発明の背景)
長時間にわたる付着性及び耐移り性を得るべく、多くの化粧品用組成物が開発されている。これは、通常は、適用後に皮膜を形成する成分を使用することにより達成されている。そのような組成物は、皮膚や睫毛と接触すると蒸発し、ロウ及び/又は樹脂、顔料、フィラー、及び活性剤を含む層を後に残す揮発性溶媒を一般的に含んでいる。しかしながら、これらの組成物は、組成物が脆いか又は柔軟性がない皮膜として皮膚や睫毛上に残るため、使用者に不快感を与えることがあった。さらに、そのような組成物は、しなやかさやソフトさがない場合があり、快適な適用感がない場合もあった。また、皮膚や睫毛への付着力が乏しいため、そのような組成物は剥がれ落ちる傾向があった。
【0003】
さらに、そのような組成物は、組成物中に粘着性成分(特に、粘着性の皮膜形成剤)が存在しているために、粘着性(つまりべとつき)になる傾向があり、適用性、展伸性及び付着特性が乏しくなっていた。
【0004】
よって、改善された化粧品用組成物、特に柔軟性、快適感及び低減した粘着性等の良好な化粧品特性もまた有する、ほとんど又は全く移らない長時間にわたって付着する化粧品用組成、すなわち「移りのない」又は耐移り性組成物が必要とされている。
【0005】
従って、本発明の一態様は、従来の組成物の上述した問題の少なくとも一つを解決又は克服可能な、睫毛等のケラチン物質を手入れ及び/又はメークアップ及び/又はトリートメントするための組成物にある。
【0006】
(発明の要約)
本発明は、非粘着化有効量の少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを含有する組成物に関する。
【0007】
また本発明は、非粘着化有効量の少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを含有する、マスカラ、トップコート及びベースコート等の睫毛用組成物に関する。
【0008】
本発明は、非粘着化有効量の少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを含有し、ロウ無添加か又は実質的にロウ無添加の組成物に関する。
【0009】
また本発明は、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを組成物に添加することを含む、例えば耐移り性、長時間にわたる付着性及び/又は耐水性等の組成物の性能を改善する方法に関する。
【0010】
さらに本発明は、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを、組成物の粘着性を低減させるのに十分な量で、組成物に添加することを含む、組成物を非粘着化するための方法に関する。
【0011】
また本発明は、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを含有する組成物を、睫毛のボリューム及び/又は長さを増長させるのに有効な量、睫毛に適用することを含む、睫毛のボリューム及び/又は長さを増長させるための方法に関する。
【0012】
さらに本発明は、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを含有する組成物を、睫毛をカールさせるのに十分な量、睫毛に適用することを含む、睫毛をカールさせるための方法に関する。
【0013】
またさらに本発明は、このようなメークアップが必要なケラチン物質に、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを含有する組成物を、メークアップに有効な量、ケラチン物質に適用することを含む、皮膚、唇又は睫毛等のケラチン物質をメークアップするための方法に関する。
【0014】
また本発明は、ケラチン物質のトリートメント及び/又は手入れに十分な量、ケラチン物質に本発明の組成物を適用することによる、皮膚、唇又は睫毛等のケラチン物質をトリートメント又は手入れするための方法に関する。
【0015】
さらに本発明は、ケラチン物質の外観を向上させるのに十分な量、ケラチン物質に本発明の組成物を適用することによる、皮膚、唇又は睫毛等のケラチン物質の外観を向上させるための方法に関する。
【0016】
また本発明は、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーと少なくとも一種の粘着化皮膜形成剤を含有する組成物の調製方法であって、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマー又は少なくとも一種の粘着化皮膜形成剤を組成物中に分散させ、ついで、他の成分を組成物に添加することを含む方法に関する。
【0017】
前述の一般的な説明と、以下の詳細な説明は、いずれも例示的で説明のためだけのものであって、発明を限定するものではないことが理解されなければならない。
【0018】
(発明の詳細な説明)
ここで使用される場合、「少なくとも一種」なる表現は、一又は複数であることを意味し、よって個々の成分、並びに混合物/組合せ物を含む。
【0019】
ここで使用される「耐移り性」とは、例えば飲食したときに、グラス、衣類又は皮膚等の他の物質と接触することで、容易に除去されない組成物により示される品質のことである。耐移り性は、その評価のための当該分野で知られている任意の方法により評価することができる。例えば、組成物の耐移り性は「キス」テストにより評価することができる。「キス」テストは、ヒトの唇、皮膚又は睫毛に組成物を適用し、適用後所定時間経過したところで、例えば適用2分後に、唇、皮膚又は睫毛と物質、例えばペーパーシート等とを摩擦させる又は「キスする」ことを含むものであってよい。同様に、組成物の耐移り性は、適用後所定時間経過したところで、任意の他の基体に着用者から移動した製品量、例えば個人の唇、皮膚又は睫毛から衣服に移動した製品量によって評価することができる。ついで、基体(例えば、衣類又は紙)に移った組成物の量を評価し、比較することができる。例えば、製品の大部分が唇、皮膚又は睫毛に残っているならば、組成物は耐移り性があるとされる。さらに、移った量は、市販の組成物のような他の組成物により移った量と比較することができる。
【0020】
ここで使用される「長時間にわたって帯着する」組成物とは、コンシステンシー、テクスチャー、及び色調から選択される少なくとも一の特性が、裸眼で見て、長時間、例えば1時間、2時間、さらには8時間後でも、適用時と同じまま維持されている組成物を意味する。長時間にわたる付着性は、そのような特性を評価するために当該分野で知られている任意の方法により評価することができる。例えば、長時間にわたる付着性は、睫毛に組成物を適用し、長時間経過後の組成物のコンシステンシー、テクスチャー及び色調を評価することを含むテストにより評価できる。例えば、マスカラ用組成物のコンシステンシー、テクスチャー及び色調を適用直後に評価し、個人が所定時間、マスカラ用組成物を着用した後に、これらの特徴を再評価して比較してもよい。さらにこれらの特徴は、市販の組成物のような他の組成物に対して評価してもよい。
【0021】
ここで使用される「耐水性」とは、撥水能力及び水に対する耐性を称する。耐水性は、そのような特性を評価するために当該分野で知られている任意の方法により評価することができる。例えば、マスカラ用組成物をつけ睫毛に適用し、ついで、所定時間、例えば20分水に配することができる。予め決められた時間の経過後、つけ睫毛を水から取り出し、例えばペーパーシート等の物質上に移す。物質上に残った残留物の程度を評価し、市販の組成物のような他の組成物と比較することができる。同様に、例えば組成物を皮膚に適用し、所定時間、皮膚を水に浸してもよい。ついで、予め決められた時間後、皮膚に残存する組成物の量を評価し、比較してもよい。例えば、製品の大部分が使用者、例えば睫毛に残っているならば、組成物は耐水性があるとされる。
【0022】
ここで使用される「粘着性」とは、2つの物質の間の付着性を意味する。例えば、2つの物質の間に粘着性があればある程、2つの物質の間にはより付着性がある。「粘着性」を数値で表すためには、2つの物質に関連してIUPACにより定義されている「付着仕事(work of adhesion)」を測定することが有用である。一般的に言えば、付着仕事は、2つの物質を離間させるのに必要な仕事量を測定するものである。よって、2つの物質に関する付着仕事が大きければ大きい程、物質間の付着性は大きく、2つの物質間の粘着性が大きいことを意味する。
【0023】
付着仕事、よって粘着性は、付着性の測定に一般的に使用される許容可能な技術及び方法を使用して、定量することができ、典型的には力時間の単位(例えばグラム秒(「gs」))で報告される。例えば、ステイブル・マイクロ・システムズ社(Stable Micro Systems, Ltd.)製のTA-XT2を、その全内容が出典明示によりここに援用される2000年1月改訂のTA-XT2アプリケーション・スタディ(参照:MATI/PO.25)に記載の手順に従い、付着性を測定するために使用することができる。この方法によれば、実質的に非粘着性の物質の付着仕事の所望値は、約0.5gs未満、約0.4gs未満、約0.3gs未満、及び約0.2gs未満を含む。従来から知られているように、他の類似した方法を、付着性を測定するための他の類似した分析装置で使用することができる。
【0024】
本発明の化粧品用組成物及び方法は、ここに記載された本発明の必須要素及び限定、並びにここに記載された付加的な又は任意の成分、要素又は限定、もしくはケラチン物質への適用を意図したパーソナルケア用組成物に見出される任意の有用な他の成分を含有するか、それらからなるか、又は本質的にそれらからなりうる。
【0025】
本発明の組成物は、ケラチン物質への使用に適した任意の形態、例えば非固形無水オイルフリー又はエマルション組成物(例えば油中水型エマルション(例えばシリコーン中水型)、水中油型エマルション(例えば水中シリコーン型))、多相エマルション(例えば、W/O/W又はO/W/O、ナノエマルション等)であってもよい。本発明の組成物は、睫毛用組成物(例えば、マスカラ、トップコート又はベースコート)、皮膚用組成物(例えば、ファンデーション、トップコート又はベースコート)、又は唇用組成物(例えば、リップスティック、液状の唇用組成物、トップコート又はベースコート)とすることができる。一般的に言えば、このような化粧品用組成物は、顔料等の着色料を含んでいる。さらに、本発明の組成物は、澄んでいるか又は透明であってよい:つまり、着色料をほとんど又は全く含有していなくてもよい。本発明の組成物、特に着色料をほとんど又は全く含有していないものは、ケラチン物質に適用される他の製品の下及び/又は上にベースコート及び/又はトップコートとして使用することができる。もちろん、有色の組成物を、ベースコート又はトップコートとして使用することもできると理解される。
【0026】
組成物は、水洗浄性又は耐水性のものとして処方されうる。ここで使用される水洗浄性なる用語は、一般的に水及び/又は石鹸で除去することができる組成物を意味する。これらの処方物は、典型的にはエマルション(例えば、水中ロウ)、例えばクリーム、又はある場合にはゲル及びケーキである。一方、耐水性組成物は、典型的には除去するためには油を使用する必要がある。このような組成物は、有機溶媒、例えばイソドデカン及び石油蒸留物中にロウを分散させた形態で供給される。
【0027】
ここで定義するところでは、安定性は、25℃で8週間、制御された環境のチャンバーに組成物を配することにより試験される。このテストにおいては、サンプルの物理的状態を、それをチャンバーに配した時点で検査する。次に、サンプルを24時間、3日、1週間、2週間、4週間及び8週間目に、再び検査する。各検査では、サンプルを、組成物の異常について、例えば組成物がエマルションの形態ならば相分離について調べる。また安定性は、4℃、37℃及び/又は45℃、及び/又は凍結解凍条件で、8週間のテストを繰り返すことによりさらに試験する。これらのテストのいずれかにおいて組成物の機能を害する異常が観察された場合、組成物は安定性を欠いているとみなされる。当業者であれば、意図される用途に基づき、組成物の機能を害する異常を容易に理解するであろう。
【0028】
ポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマー
本発明によれば、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを含有する組成物が提供される。適切なポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーには、限定されるものではないが、その全ての内容が出典明示によりここに援用される米国特許出願公開第2004-0136937号に開示されているものが含まれる。
【0029】
またポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーは、ポリウレタンとポリ(メタ)アクリラートの相互侵入ポリマー網目(IPN)とも呼ばれうる。ここで使用される「相互侵入ポリマー網目」なる表現は、2種類のモノマーを同時に重合及び/又は架橋させることにより得られる、2つの織交(インターレース)ポリマーの混成物を意味し、得られた混成物は単一のガラス転移温度を有する。
【0030】
好ましいIPNには、特にハイブリデュア(Hybridur)の名称でエアー・プロダクツ社(Air Products)から商業的に入手可能なものが含まれる。特に好ましいIPNは、例えば90〜110nmの重量平均径と、約80nmの数平均径を有する粒子の水性ディスパージョンの形態をしている。このIPNは、好ましくは約−60℃〜+100℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有している。この種のIPNはハイブリデュア875(INCI名:ポリウレタン-2(及び)ポリメチルメタクリラート)の商品名でエア・プロダクツ社から入手可能である。ハイブリデュアX-01602及びX18693-21の名称でエア・プロダクツ社から入手可能なポリウレタン/ポリ(メタ)アクリルも好ましい。
【0031】
好ましいIPN、例えば上述したものは、その全ての内容が出典明示によりここに援用される米国特許出願公開第2003/0215476号、同2004/0136937号、同2005/0249763に開示されている。
【0032】
好ましい実施態様では、IPNは、次の一般構造:
【化1】

[ここで、
【化2】

であり;
【化3】

であり;
【化4】

である]
を有するポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーである。式中、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立して脂肪族炭化水素を表し;mは0又は正の整数を表し;Rは水素又はメチルを表し;x、y及びzはそれぞれ独立して正の整数を表す。該グラフトコポリマーは水性ディスパージョンの形態で提供されうる。また、該グラフトコポリマーは、パウダー形態で、組成物の他の成分に添加されてもよい。
【0033】
好ましくは、ポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーは、組成物の粘着性を低減させるのに十分な量で存在している。組成物の粘着性を低減させるのに必要なポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーの量は、組成物中に存在する粘着性成分(例えば、粘着性皮膜形成剤)の量に依存すると理解されなければならない。例えば、存在している粘着性成分が多ければ多い程、組成物の粘着性を低減させるには、より多くのポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーが必要となる。特に好ましい実施態様では、組成物の粘着性を実質的になくするのに十分なポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーが組成物中に存在しており、すなわち、粘着性に関連する一又は複数の特徴(例えば、粘着性、塊形成性、展伸性の乏しさ等)が、組成物のケラチン物質への適用時に検出されないように十分なポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーが組成物中に存在している。
【0034】
一般的に言えば、組成物中におけるポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーの好ましい範囲は、組成物の全重量の約0.1重量%〜約75重量%、好ましくは組成物の全重量の約0.5重量%〜約70重量%、より好ましくは組成物の全重量の約0.75重量%〜約50重量%、さらに好ましくは組成物の全重量の約1重量%〜約30重量%、最も好ましくは約1重量%〜約15重量%であり、それらの間の全ての範囲及び小範囲を含む。
【0035】
粘着化皮膜形成剤
本発明の好ましい実施態様では、組成物は、少なくとも一種の粘着化皮膜形成剤をさらに含有する。ここで使用される「粘着化皮膜形成剤」とは、ケラチン物質への適用時に皮膜を形成可能で、粘着性及び/又は粘着性から生じる特徴を組成物に付与する薬剤を意味する。
【0036】
本発明での使用に適した粘着化皮膜形成剤には、限定されるものではないが、ポリシリコーンポリアミド類又はポリシリコーンポリウレタン類等のポリマーを含むポリオルガノシロキサン;シリコーン樹脂(好ましくはMK又はMQ樹脂)、シリコーン/(メタ)アクリラートのコポリマー、アクリラート/ジメチコーンのコポリマー、液状のシロキシシリケート類及びシリコーンエステル、例えばその開示が出典明示によりここに援用される米国特許第5334737号に開示されているもの、ビニルポリマー、メタクリル酸ポリマー、及びアクリル酸ポリマーから選択される骨格と、ペンダントシロキサン基及びペンダントフルオロケミカル基から選択される少なくとも一の鎖を有するシリコーンポリマー、例えばその開示の全てが出典明示によりここに援用される米国特許第5209924号及び同4972037号、及び国際公開第01/32737号に開示されているもの、ビニル-シリコーンのグラフトコポリマーから選択されるコポリマー、例えばその開示の全てが出典明示によりここに援用される米国特許第5468477号に記載されているポリマーが含まれる。
【0037】
適切な粘着化皮膜形成剤の特定の例には、限定されるものではないが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリラート、メタクリラート、アクリルアミド、及びそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーを含有するポリマー又はコポリマー、例えばアクリラートコポリマー(例えばワックハー社(Wackherr)のコバクリル(Covacryl)A15及びコバクリルE14)、アクリラート/アクリル酸エチルヘキシルのコポリマー(大東化成(Daito Kasei)のダイトソール(Daitosol)5000SJ)、アクリル酸ブチル/ヒドロキシプロピルジメチコーンアクリラートのコポリマー(グラント・インダストリーズ社(Grant Industries, Inc.)のグラナクリシル(Granacrysil)BAS)、アクリラート/C12-C22アルキルメタクリラートのコポリマー(ISP社のアリアンツ(Allianz)OPT)、イソドデカンとアクリラートのコポリマー(フェニックス社(Phoenix)のギオバレズ(Giovarez)AC-5099M)、アクリラート/オクチルアクリルアミドのコポリマー(ナショナル・スターチ&ケミカル社(National Starch & Chemical)のダーマクリル(Dermacryl)-79)、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(ナショナル・スターチ&ケミカル社のフレキサン(Flexan)130)、アクリルアミド/DMAPAアクリラート/メトキシPEGメタクリラートのコポリマー、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウムのコポリマー、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムのコポリマー、アクリラート/アクリルアミドのコポリマー、アクリラート/t-ブチルアクリルアミドのコポリマー、アクリラート/ジメチコーンのコポリマー;アクリラート/ジメチコーンメタクリラート/アクリル酸エチルヘキシルのコポリマー;アクリラート/ジメチルアミノエチルメタクリラートのコポリマー、アクリラート/アクリル酸エチルヘキシルのコポリマー、アクリラート/アクリル酸エチルヘキシル/HEMA/スチレンのコポリマー、アクリラート/アクリル酸ヒドロキシエステルのコポリマー、アクリラート/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/エチルアミンオキシドメタクリラートのコポリマー、アクリラート/オクチルアクリルアミドのコポリマー、アクリラート/プロピルトリメチコーンメタクリラートのコポリマー、アクリラート/アクリル酸ステアリル/ジメチコーンメタクリラートのコポリマー、アクリラート/VPのコポリマー、及びアクリラート/VP/ジメチルアミノエチルメタクリラート/ジアセトンアクリルアミド/ヒドロキシプロピルアクリラートのコポリマーが含まれる。
【0038】
他の適切な粘着化剤には、限定されるものではないが、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族変性脂肪族炭化水素樹脂、水素化ポリシクロペンタジエン樹脂、ポリシクロペンタジエン樹脂、ガムロジン、ガムロジンエステル、ウッドロジン、ウッドロジンエステル、トール油ロジン、トール油ロジンエステル、ポリテルペン類、芳香族変性ポリテルペン類、テルペンフェノール類、芳香族変性水素化ポリシクロペンタジエン樹脂、水素化脂肪族樹脂、水素化脂肪族芳香族樹脂、水素化テルペン類及び変性テルペン類、水素化ロジン酸、水素化ロジンエステル、ポリイソプレン、部分的又は完全に水素化したポリイソプレン、ポリブテンジエン、部分的又は完全に水素化したポリブテンジエン等が含まれる。
【0039】
いくつかの実施態様では、粘着化剤は、水素化炭化水素樹脂、例えば水素化スチレン/メチルスチレン/インデンのコポリマー、特に商品名レガライト(Regalite)(登録商標)としてイーストマン・ケミカル社(Eastman Chemical)から商業的に入手可能なR1090、R1100、R7100、S1100及びS5100を含むスチレン/メチルスチレン/インデンのコポリマーとすることができる。他の実施態様では、脂肪族又は芳香族の炭化水素ベースの粘着化樹脂、例えばハーキュレス社(Hercules)から「ピッコタック(Piccotac)」及び「ヘルコタック(Hercotac)」、又はエクソン社(Exxon)から「エスコレズ(Escorez)」の名称で販売されている樹脂を使用してもよい。
【0040】
他の実施態様では、粘着化剤は、少なくとも一のスチレンブロックを有するコポリマーでありうる。例えば、トリブロックコポリマー、特にポリスチレン/ポリイソプレン又はポリスチレン/ポリブタジエン型のもの、例えばBASF社から「ルビトール(Luvitol)HSB」の名称で製造又は販売されているもの、及びポリスチレン/コポリ(エチレン-プロピレン)型のもの、又はポリスチレン/コポリ(エチレン/ブチレン)型のもの、例えばシェル・ケミカル社(Shell Chemical Co.)から「クレイトン(kraton)」、又はペンレコ社(Penreco)からゲル化パーメチル99Aの商品名で製造又は販売されているものが使用され得る。スチレン-メタクリラートコポリマーも使用可能である。
【0041】
より詳細には、例えばルブリゾール社(Lubrizol)からの(スチレン-メタクリラートコポリマーである)OS84383、OS129881及びOS129880、ペンレコ社からの(イソドデカンにトリブロックポリマー及びスターバーストポリマーの混合物が入ったものである)ヴェルサゲル(Versagel)5960及びヴェルサゲル5970、(トリブロックポリマーとスターバーストポリマーとの混合物である)ゲル化パーメチル99A-753-59、(トリブロックポリマーとスターバーストブロックポリマーとの混合物である)ゲル化パーメチル99A-753-58、ゲル化パーメチル99A-750、クレイトンD-1107(SIS)、クレイトンD-1102(SBS)、クレイトンD-1101(SBS)、クレイトンG1765(EP)分枝型、クレイトンG1750X(EP)分枝型、クレイトンG1726X(SEB)、クレイトンG1702X(SEP)、クレイトンG1701X(SEP)、クレイトンG1657X(SEBS)、クレイトンG1652(SEBS)、クレイトンG1651(SEBS)、クレイトン(G1650(SEBS)を挙げることができる。
【0042】
ジ又はトリブロック、例えばポリスチレン-コポリ(エチレン/プロピレン)又はポリスチレン-コポリ(エチレン/ブチレン)、特にその開示が出典明示によりここに援用される国際公開第98/38981号及び米国特許第2002/0055562号に記載されているものを、本発明に係る粘着化剤とすることができる。
【0043】
本発明での使用に適した粘着化皮膜形成剤は、その全ての内容が出典明示によりここに援用される米国特許出願公開第2004/0170586号にも開示されている。
【0044】
好ましい実施態様では、粘着化皮膜形成剤(類)は、組成物の全重量に対して0.3重量%〜50重量%の範囲の量で、組成物に存在している。皮膜形成剤は、好ましくは組成物の全重量に対して1.0重量%〜40重量%、より好ましくは2重量%〜30重量%の範囲の量で存在している。当業者であれば、これらの重量パーセントが皮膜形成剤の乾燥重量に基づいており、本発明の皮膜形成剤が希釈液の形態で供給者から商業的に入手可能であると認識しているであろう。よって、ここに開示されている皮膜形成剤の量は、活性物質の重量パーセントとして表される。
【0045】
好ましい実施態様によれば、組成物中に存在するポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーに対する粘着化皮膜形成剤の比率は、約99.9:0.1〜約0.1:99.9、好ましくは約70:30〜約99:1、より好ましくは約13:87〜約87:13の範囲である。
【0046】
ポリマー粒子の水性ディスパージョン
好ましい実施態様によれば、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーに加えて、組成物は、ポリマー粒子の水性ディスパージョンをさらに含有することができる。ポリマー粒子の適切な水性ディスパージョンは、その全ての内容が出典明示によりここに援用される米国特許出願公開第2006/0093568号に開示されている。ポリマー粒子の好ましい水性ディスパージョンには、エチレン・スチレン/アクリラートのコポリマー、例えばインターポリマー社(Interpolymer)から入手可能なシントラン(Syntran)シリーズ、特にシントラン5760、及びプレスパース社(Presperse)から入手可能な商品名ウルトラソール(Ultrasol)2075Cのアクリラート/メタクリル酸アンモニウムのコポリマーが含まれる。
【0047】
実際、本発明の一実施態様によれば、ポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーは、エチレン・スチレン/アクリラートのコポリマー、及び/又はアクリラート/メタクリル酸アンモニウムのコポリマーの水性ディスパージョンに置き換えることができる。このようなポリマー粒子の好ましい水性ディスパージョンは、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーの不在下で、組成物を非粘着化することができる。
【0048】
水性ディスパージョンは、当業者であれば、自身の一般的知識に基づき、特に乳化重合又は前もって形成されたポリマーの分散により調製され得る。
【0049】
本発明の水性ディスパージョンに使用され得る皮膜形成ポリマーとしては、フリーラジカル型又は重縮合型の合成ポリマー、天然由来のポリマー、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0050】
重縮合物としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性のポリウレタン類、ポリウレタン-アクリル類、ポリウレタン-ポリ-ビニルピロリドン、ポリエステル-ポリウレタン類、ポリエーテル-ポリウレタン類、ポリ尿素類、ポリ尿素-ポリウレタン類、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0051】
ポリウレタン類は、単独で又は混合物として、
直鎖状又は分枝状で脂肪族及び/又は脂環式及び/又は芳香族ポリエステル由来の少なくとも一のブロック、及び/又は
脂肪族及び/又は脂環式及び/又は芳香族ポリエーテル由来の少なくとも一のブロック、及び/又は
少なくとも一の置換又は未置換で分枝状又は非分枝状のシリコーンブロック、例えばポリジメチルシロキサン又はポリメチルフェニルシロキサン、及び/又は
フルオロ基を有する少なくとも一のブロック、
を含む、例えば脂肪族、脂環式又は芳香族のポリウレタン、ポリ尿素/ポリウレタン、又はポリ尿素のコポリマーであってよい。
【0052】
本発明で定義されるポリウレタン類は、中和可能な第3級アミン基又は第4級アンモニウム基、又はスルホン酸又はスルホナート基、又はカルボン酸又はカルボキシラート基を含む、二官能性の有機共反応性化合物(例えばジヒドロ、ジアミノ又はヒドロキシアミノ)とジイソシアナートで重付加されることにより変性される、移動性水素(mobile hydrogen)を有するアルキッド類又はポリエステルで分枝状又は非分枝状のものからも得ることができる。
【0053】
また、ポリエステル、ポリエステルアミド類、脂肪鎖ポリエステル、ポリアミド類、及びエポキシエステル樹脂を挙げることもできる。
ポリエステルは、脂肪族又は芳香族の二酸と、脂肪族又は芳香族のジオール類、又はポリオールとの重縮合により、既知の方法で得ることができる。脂肪族の二酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸又はセバシン酸が使用され得る。芳香族の二酸としては、テレフタル酸又はイソフタル酸、又は無水フタル酸等の誘導体が使用され得る。脂肪族のジオール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール及び4,4-N-(1-メチルプロピリデン)ビスフェノールが使用され得る。ポリオールとしては、グリセロール、ペンタエリトリトール、ソルビトール及びトリメチロールプロパンが使用され得る。
【0054】
ポリエステルアミド類は、ジアミン類又はアミノアルコール類と二酸類を重縮合させることによって、ポリエステルと同様の方法で得ることができる。ジアミンとしてはエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン又はメタ-又はパラ-フェニレンジアミンが使用され得る。アミノアルコールとしては、モノエタノールアミンが使用され得る。
【0055】
重縮合中に使用され得るアニオン性基を担持するモノマーとしては、例えばジメチロールプロピオン酸、トリメリト酸、又は無水トリメリト酸等の誘導体、ペンタンジオール-3-スルホン酸のナトリウム塩、及び5-スルホ-1,3-ベンゼンジカルボン酸のナトリウム塩を挙げることができる。脂肪鎖ポリエステルは、重縮合中に脂肪鎖ジオール類を使用して得ることができる。エポキシエステル樹脂は、α,ω-ジエポキシ末端を有する縮合物と脂肪酸とを重縮合させることにより得ることができる。
【0056】
フリーラジカルポリマーは、特にアクリル及び/又はビニルのポリマー又はコポリマーであってよい。アニオン性のラジカルポリマーが好ましい。フリーラジカル重合中に使用され得るアニオン性基を担持するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、又は2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を挙げることができる。
【0057】
アクリルポリマーは、アクリル酸又はメタクリル酸のアミド類及び/又はエステルから選択されるモノマーの共重合から得ることができる。エステル型モノマーの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、2-エチルヘキシルメタクリラート及びメタクリル酸ラウリルを挙げることができる。アミド型モノマーの例としては、N-t-ブチルアクリルアミド及びN-t-オクチルアクリルアミドを挙げることができる。
【0058】
親水性基を有し、好ましくは非イオン性であるエチレン性不飽和を有するモノマー、例えばアクリル酸ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピルアクリラート、メタクリル酸ヒドロキシエチル及び2-ヒドロキシプロピルメタクリラートの共重合により得られるアクリルポリマーが好ましく使用される。
【0059】
ビニルポリマーは、ビニルエステル、スチレン又はブタジエンから選択されるモノマーの単独重合又は共重合により得ることができる。ビニルエステルの例としては、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル及びt-ブチル安息香酸ビニルを挙げることができる。
アクリル/シリコーンコポリマー又はニトロセルロース/アクリルコポリマーを使用してもよい。
変性していてもよい天然由来のポリマーは、シェラック、サンダラックガム、ダンマル樹脂、エレミガム、コーパル樹脂、セルロース誘導体、及びそれらの混合物から選択され得る。
【0060】
ポリウレタン類、ポリ尿素類、ポリエステル、ポリエステルアミド類及び/又はアルキッド類からなる群から選択される少なくとも一のポリマーの先在粒子の内部及び/又はその表面の一部において、一又は複数のフリーラジカルモノマーがフリーラジカル重合する結果として得られるポリマーを挙げることもできる。これらのポリマーは、一般的に「ハイブリッドポリマー」と称される。
【0061】
水性ディスパージョン中のポリマー粒子の大きさは、顕著な光沢の皮膜を生成できるよう、10〜500nm、好ましくは20〜150nmであってよい。しかしながら、1ミクロンまでの範囲の粒子サイズのものを使用することができる。
【0062】
ポリマー粒子の水性ディスパージョンは、好ましくは組成物の全重量の約0.1重量%〜約75重量%(活性物質)、より好ましくは組成物の全重量の約0.5重量%〜約70重量%、より好ましくは組成物の全重量の約0.75重量%〜約50重量%、より好ましくは組成物の全重量の約1重量%〜約30重量%、最も好ましくは約1重量%〜約15重量%の範囲で、それらの間の全ての範囲及び小範囲を含む量で組成物中に存在している。
【0063】
着色料
本発明の組成物は、少なくとも一種の着色料を場合によっては含有していてもよい。適切な着色料には、限定されるものではないが、顔料、染料、例えば脂溶性染料、真珠光沢顔料、及びパール剤が含まれる。典型的には、組成物が着色料を含む場合、それは有色の化粧品用組成物、例えばファンデーション、リップスティック又はマスカラである。組成物が着色料を含有しないか、又は着色料をほとんど含有しない場合、それは有色の化粧品用組成物の適用前(又は後)のベースコート(又はトップコート)として使用され得る澄んでいるか又は透明な組成物である。しかしながら、トップコート又はベースコートが着色料を含んでいてもよく、及び/又はマスカラ用組成物が着色料を全く又はほとんど含んでいなくともよい。
【0064】
本発明で使用され得る代表的な脂溶性染料には、スーダンレッド(Sudan Red)、DCレッド17、DCグリーン6、β-カロテン、大豆油、スーダンブラウン、DCイエロー11、DCバイオレット2、DCオレンジ5、アナトー及びキノリンイエローが含まれる。脂溶性染料は、存在する場合、一般的に組成物の全重量の20重量%まで、例えば0.0001%〜6%の範囲の濃度を有する。
【0065】
本発明で使用され得る真珠光沢顔料は、白色の真珠光沢顔料、例えば、チタン又はオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、有色の真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄を有するチタンマイカ、フェリックブルー又は酸化クロムを有するチタンマイカ、上述したものから選択される有機顔料を有するチタンマイカ、及びオキシ塩化ビスマスをベースとした真珠光沢顔料から選択され得る。また真珠光沢顔料は、存在するならば、組成物の全重量の50重量%まで、例えば0.1%〜20%、好ましくは0.1%〜15%の範囲の濃度で組成物中に存在する。
【0066】
本発明で使用され得る顔料は、白色、有色、無機、有機、ポリマー性、非ポリマー性で、被覆又は非被覆顔料から選択され得る。無機顔料の代表的な例には、表面処理されていてもよい二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物及びフェリックブルーが含まれる。有機顔料の代表的な例には、カーボンブラック、D&C型の顔料、アルミニウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、コチニールカルミンをベースとしたレーキ類が含まれる。
【0067】
顔料は、存在するならば、組成物の全重量の50重量%まで、例えば0.5重量%〜40重量%、さらには2重量%〜30重量%の範囲の濃度で、組成物中に存在し得る。ある種の製品の場合には、真珠光沢顔料を含む顔料は、例えば組成物の50重量%までを占めてもよい。
【0068】
特に好ましい実施態様によれば、本発明の組成物はエマルションの形態である。適切なエマルションの形態には、限定されるものではないが、水中油型、油中水型、油中水中油型、水中油中水型及びナノエマルション(その油球が非常に微細な粒子経である、すなわち約100ナノメートル(nm)未満の数平均径を有するエマルション)が含まれる。エマルションは、少なくとも一の油相と少なくとも一の水相を含む。典型的には、エマルションは、エマルションを安定化させ、エマルションの相分離を防止するために、界面活性剤又は界面活性剤様物質を含む。
【0069】
付加的成分
また本発明の組成物は、当該分野で通常使用される任意の添加剤をさらに含有することができる。例えば、皮膜形成剤、分散剤、酸化防止剤、精油、保存料、香料、媒体中に分散性である脂溶性ポリマー、フィラー、中和剤、化粧品用及び皮膚病用の活性剤、例えばエモリエント、保湿剤、ビタミン類、抗シワ剤、必須脂肪酸、サンスクリーン剤、及びそれらの混合物を添加することができる。このような成分の限定的列挙は、その全ての内容が出典明示によりここに援用される2003年12月12日に出願の米国特許出願第10/733467号に見出すことができる。適切な付加的な成分のさらなる例は、限定されるものではないが、この出願が優先権を主張している出願を含み、この出願に出典明示により援用されている他の文献に見出すことができる。このような付加的な成分のさらなる例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(第9版、2002)に見出される。
【0070】
当業者であれば、考慮される添加により、本発明の組成物の有利な特性が悪影響を受けないか、実質的に受けないように留意して、任意の付加的な添加剤及び/又はその量を選択するであろう。
これらの物質は、所望する特性、例えばコンシステンシー又はテクスチャを有する組成物を調製するために、当業者により様々に選択され得る。
これらの添加剤は、組成物の全重量に対して0%〜99%(例えば0.01%〜90%)、さらには0.1%〜50%(存在する場合)の割合で、組成物中に存在しうる。
【0071】
言うまでもなく、本発明の組成物は、化粧品的又は皮膚科学的に許容可能であり、すなわち無毒性の生理学的に許容可能な媒体を含んでいなければならず、ヒトの睫毛に適用可能なものでなければならない。本発明の目的において、「化粧品的に許容可能な」なる表現は、好ましい外観、匂い、感触及び/又は味覚のある組成物を意味する。
【0072】
特に組成物が無水組成物又はエマルションであるならば、付加的な成分の特定の例には油が含まれる。任意の油が本発明で使用可能である。油は、揮発性又は非揮発性で、シリコーンべース及び/又は炭化水素ベースであってよい。よって、例えば、外側の油相は、独立して又は組合せて、揮発性シリコーン油、、非揮発性シリコーン油、揮発性非シリコーン油及び非揮発性非シリコーン油を含んでいてもよい。
【0073】
一実施態様では、本発明の組成物は、シリコーン油を実質的に含有しない(すなわち、約1%未満のシリコーン油しか含有しない)。他の実施態様では、組成物は非シリコーン油を実質的に含有しない(すなわち、約1%未満の非シリコーン油しか含有しない)。他の実施態様では、組成物は非揮発性油を実質的に含有しない(すなわち、約1%未満の非揮発性油しか含有しない)。さらなる他の実施態様では、組成物は揮発性油を実質的に含有しない(すなわち、1%未満の非揮発性油しか含有しない)。
【0074】
一実施態様によれば、油相は一又は複数の揮発性シリコーン油を含んでいてもよい。このような揮発性シリコーン油の例には、室温で6cSt以下の粘度を有し、2〜7のケイ素原子を有する直鎖状又は環状のシリコーン油が含まれ、これらのシリコーン類は場合によっては1〜10の炭素原子のアルキル又はアルコキシ基で置換されていてもよい。本発明で使用され得る特定の油には、オクタメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン及びそれらの混合物が含まれる。使用され得る他の揮発性油には、94℃の引火点を有する信越製の市販品である6cStの粘度のKF96Aが含まれる。好ましくは、揮発性シリコーン油は少なくとも40℃の引火点を有する。
【0075】
揮発性シリコーン油の非限定的例を、次の表1に列挙する。
【表1】

【0076】
さらに、揮発性で直鎖状のシリコーン油を、本発明の組成物に使用してもよい。適切な揮発性で直鎖状のシリコーン油には、その内容が出典明示によりここに援用される米国特許第6338839号及び国際公開第03/042221号に記載されているものが含まれる。一実施態様では、揮発性で直鎖状のシリコーン油はデカメチルテトラシロキサンである。他の実施態様では、デカメチルテトラシロキサンは、デカメチルテトラシロキサンよりも揮発性の他の溶媒とさらに組合せてもよい。
【0077】
溶媒/油の揮発度は、米国特許第6338839号に記載されているように、蒸発速度を使用して測定することができる。
【0078】
本発明で使用され得る他のシリコーン油の例には、室温で液状である非揮発性の直鎖状ポリジメチルシロキサン類(PDMS);シリコーン鎖の末端に及び/又はペンダントして、アルキル、アルコキシ又はフェニル基を含み、これらの基がそれぞれ2〜24の炭素原子を有するポリジメチルシロキサン類;フェニルシリコーン類、例えばフェニルトリメチコーン類、フェニルジメチコーン類、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン類、ジフェニルジメチコーン類、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン類、及び2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート類が含まれる。
【0079】
他の好ましい実施態様によれば、油相は一又は複数の非シリコーン性の揮発性油を含んでいてもよく、揮発性の炭化水素油、アルコール、揮発性エステル及び揮発性エーテルから選択される。このような揮発性の非シリコーン油の例には、限定されるものではないが、8〜16の炭素原子を有する揮発性の炭化水素油、及びそれらの混合物、特に分枝状のCからC16アルカン類、例えばCからC16イソアルカン類(イソパラフィン類としても知られている)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、例えばアイソパー(Isopar)又はパーメチル(Permethyl)の商品名で販売されている油、分枝状のCからC16エステル、例えばイソヘキシル又はイソデシルのネオペンタノアート、及びそれらの混合物が含まれる。好ましくは、揮発性の非シリコーン油は少なくとも40℃の引火点を有する。
【表2】

【0080】
本発明の組成物に使用可能な他の非シリコーン油の例には、極性油、例えば:
− グリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリドが高含有量の炭化水素ベースの植物性油であって、その脂肪酸が多様な長さの鎖を有し、これらの鎖が直鎖状及び分枝状で、飽和及び不飽和であるもの;特に小麦胚芽油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、カリテバター、ヒマシ油、スイートアルモンド油、マカダミア油、アプリコット油、大豆油、菜種油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ種油、マロー油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、グレープシード油、クロフサスグリの種油、マツヨイグサ油、穀類油、大麦油、キノア油、オリブ油、ライ麦油、ベニバナ油、キャンドルナッツ油、トケイソウ油、又はマスクローズ油;又はカプリル/カプリン酸のトリグリセリド、例えばステアリネリーズ・デュボア社(Stearineries Dubois)から販売されているもの、又はダイナミットノーベル社(Dynamit Nobel)からミグリオール(Miglyol)810、812及び818の名称で販売されているもの;
− 式RCOORのエステル又は合成油、ここでRは1〜40の炭素原子、好ましくは7〜19の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の高級脂肪酸残基を表し、Rは、1〜40の炭素原子、好ましくは3〜20の炭素原子を有する分枝状の炭化水素ベース鎖を表し、R+R≧10であるもの、例えばプルセリン油(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、安息香酸C12〜C15アルキル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、及びオクタン酸、デカン酸又はリシノール酸のアルコール類又は多価アルコール類;ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、又はリンゴ酸ジイソステアリル;及びペンタエリトリトールエステル;
− 10〜40の炭素原子を有する合成エーテル;
− C〜C26脂肪アルコール、例えばオレイルアルコール;及び
− それらの混合物;
が含まれる。
【0081】
好ましくは、油は、存在する場合、組成物の全重量の約5重量%〜約80重量%、より好ましくは組成物の全重量の約10重量%〜約60重量%、最も好ましくは約15重量%〜約50重量%であり、それらの間の全ての範囲及び小範囲を含む。
【0082】
好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、少なくとも一種のロウをさらに含有していてもよい。本発明の目的に対して、「ロウ」なる用語は、室温(25℃)、大気圧(760mmHg、すなわち10Pa)で固形であり、可逆的な固/液状態変化を受け、30℃を超え、いくつかの実施態様では55℃〜120℃、又は200℃程の高い融点さえ有する親油性脂肪化合物を意味する。適切なロウには、化粧品及び皮膚科学において一般的に使用されているものが含まれる。様々なロウが有用であり、動物由来のロウ、植物由来のロウ、鉱物由来のロウ、及び合成由来のロウが含まれる。動物由来のロウの例には、ミツロウ、ラノリンロウ、及びイボタロウ(Chinese insect wax)が含まれる。植物由来のロウの例には、ライスワックス、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、及びオーリクリーロウ(ouricurry wax)、コルク繊維ロウ、サトウキビロウ、モクロウ、ハゼロウ(sumach wax)及び綿ロウが含まれる。鉱物由来のロウの例には、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、モンタンロウ、及びオゾケライトが含まれる。合成由来のロウの例には、ポリオレフィンロウ、例えばポリエチレンロウ、フィッシャー-トロプシュ合成法により得られたロウ、ロウ質コポリマー及びそれらのエステル、及びシリコーン及びフルオロワックスが含まれる。また、動物又は植物由来の水素化油を使用してもよい。具体例には、水素化ホホバロウ、及び直鎖状又は非直鎖状のC-C32脂肪鎖からなる脂肪の接触水素化により得られた水素化油、水素化ヒマワリロウ、硬化ヒマシ油、水素化コプラ油、水素化ラノリン、及び水素化パーム油が含まれる。いくつかの実施態様では、組成物は少なくとも二種のロウを含む。
【0083】
いくつかの実施態様では、ロウは、一般に約35−70℃の範囲の低い融点を有するが、そのような低MPのロウとは異なり、高融点を有するロウに付随する硬度(例えばASTM-D1321に準拠して測定して一般に約7−10mm/10)を有する。このようなロウは、ミネラル・アンド・ピグメント・ソリューションズ社(Mineral and Pigment Solutions, Inc.)又はコスター・クーネン社(Koster Keunen)から、BK、例えばBK-42(INCI名:テトラデシル-オクタデカニル-ベヘナート;CAS番号:231627-84-2;C54108)及びBK-60(INCI名:ヘキサデシル-コサニル-ヘカコサナート;C62124)の名称で商業的に入手可能である。
【0084】
ロウは、存在する場合、組成物の全重量に対して、一般的には約0.1重量%〜約50重量%、好ましくは約0.5重量%〜約20重量%、より好ましくは約1重量%〜約10重量%の範囲の量で組成物中に存在しうる。
【0085】
他の実施態様によれば、組成物はワックスフリー(ロウを含まない)又は実質的にワックスフリー(0.1%未満のロウを含む)であってもよい。
【0086】
水は、存在する場合、好ましくは組成物の全重量の約5重量%〜約90重量%、より好ましくは組成物の全重量の約6重量%〜約40重量%、より好ましくは組成物の全重量の約7重量%〜約70重量%、より好ましくは組成物の全重量の約8重量%〜約60重量%、最も好ましくは約10重量%〜約50重量%で、それらの間の全ての範囲及び小範囲を含む。
【0087】
もちろん、本発明の組成物は、実質的に無水(すなわち5%未満の水を含有可能)、本質的に無水(すなわち2%未満の水を含有可能)、無水(すなわち1%未満の水を含有可能、又はウォーターフリー(すなわち水を含まない)とすることができる。
【0088】
水に加えて、組成物の水相は、存在する場合、水と混和性のある溶媒(水との混和性が25℃で50重量%を超える)、例えば1〜5の炭素原子を有する低級モノ-アルコール類、特にエタノール又はイソプロパノール、2〜8の炭素原子を有するグリコール類、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール又はジプロピレングリコール、C3-C4ケトン類及びC2-C4アルデヒド類を含んでいてもよい。水相は、組成物の全重量に対して約1重量%〜約95重量%、いくつかの実施態様では約3重量%〜約70重量%、より好ましくは約5重量%〜約45重量%、50重量%、55重量%又は60重量%の範囲の含有量で存在していてもよい。
【0089】
本発明の組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。本発明の組成物に典型的に使用される界面活性剤には、アニオン性、非イオン性及びカチオン性界面活性剤が含まれる。例えば、界面活性剤の特性及び(乳化)機能の定義について、化学技術百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology), KIRK-OTHMER, 第22巻, 333-432頁, 第3版, 1979, Wileyを参照でき、特にアニオン性及び非イオン性界面活性剤に関するこの文献の347-377頁を参照のこと。本発明の組成物に有用な界面活性剤に例には、非イオン性界面活性剤として、脂肪酸、脂肪アルコール、ポリエトキシル化脂肪アルコール、又はポリグリセロール化脂肪アルコール、例えばポリエトキシル化ステアリルアルコール又はセチルステアリルアルコール、脂肪酸とスクロースのエステル、及びグルコースアルキルエステル、特にポリオキシエチレン化C-Cアルキルグルコース脂肪エステル、アニオン性界面活性剤として、アミン類、アンモニア又はそのアルカリ金属塩で中和されたC16-C30脂肪酸が含まれる。カチオン性界面活性剤の例には、第4級アミン類、アミンオキシド及びアミン類、例えばアルキルアミン類、アルキルイミダゾリン類、エトキシル化アミン類、第4級化合物、及び第4級エステルが含まれる。またカチオン性界面活性剤はコンディショニング効果も付与する。
【0090】
界面活性剤は、組成物の全重量に対して、一般には約1〜約30重量%、いくつかの他の実施態様では約3重量%〜約15重量%の範囲の量で存在している。
【0091】
本発明の組成物は繊維を含んでいてもよい。適切な繊維は、天然及び合成繊維から選択され得る。天然繊維には、限定されるものではないが、綿、絹、羊毛、及び他のケラチン繊維が含まれる。合成繊維には、限定されるものではないが、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、及び他のポリアミド繊維が含まれる。一実施態様では、本発明の繊維は、エラストマー繊維、特にその開示が出典明示によりここに援用される欧州特許出願公開第1172078A2号、特にパラグラフ16−24に記載されているものから選択される。
【0092】
繊維は、存在する場合、組成物の全重量に対して0.5重量%〜10重量%の範囲の量で組成物中に存在しうる。さらなる実施態様では、繊維は組成物の全重量に対して1%〜5%の範囲の量で存在している。一実施態様では、繊維は、例えば0.5mm〜4.0mm、特に1.5mm〜2.5mmの範囲の平均長を有し得る。
【0093】
本発明の組成物は、少なくとも一種の多糖類樹脂を含有していてもよい。適切な多糖類樹脂は多数のヒドロキシル基と疎水性基を有する。少なくとも一種の多糖類樹脂は、微細で、高度に変性した粒子、例えばデンプン粒子のコロイド状懸濁液の形態とすることができる。微細な粒子は大きさを変えることができ、例えば10ミクロン以下の直径を有する粒子が含まれる。
【0094】
少なくとも一種の多糖類樹脂の非限定的例には、KAMA,インターナショナル社(International Corp)(ジョージア州、ダルース(Duluth, GA))から入手可能な多糖類樹脂が含まれる。例えば、多糖類樹脂KM13は、10ミクロン未満の粒径を有する微細に分割されたデンプン粒子の、高度に変性したコロイド状の水性懸濁液である。KM13は、他の樹脂と水素結合を形成する共反応性樹脂である。この多糖類樹脂は、顔料が凝集又は浮遊することなく溶媒ベースの系に許容可能とさせる疎水性基と、水性系における顔料の湿潤に寄与する多くのヒドロキシル基を含んでいる。
【0095】
本発明の組成物の種類に応じて、粘度の調節は、均質なコーティングのみならず、組成物の素早く容易な適用の観点からも重要である。水洗浄性及び耐水性のマスカラの場合では、例えば水洗浄性マスカラの粘度は、一般に約5〜約80パスカル秒(Pa.s)、好ましくは約10〜約40Pa.sの範囲にあり、耐水性のマスカラの粘度は、一般的に約5〜約80Pa.s、好ましくは約10〜約40Pa.sの範囲にある。粘度は4号ローターが取付けられたレオマット(Rheomat)RM180粘度計を用い、25℃で測定され、ここで、測定は、200s−1の剪断速度で、10分間、ローターを回転させた後(粘度及びローターの回転速度の安定化が観察された時点の後)に実施する。
【0096】
粘度は、増粘剤を添加することにより調節することができる。代表的な例には、セルロースベースの増粘剤、例えば水溶性のセルロースベースの増粘剤、中でもヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びカルボキシメチルセルロースが含まれる。これらの増粘剤の中でも、特定の例には、アルギナート類、マルトデキストリン、多糖類樹脂、例えばデンプンとその誘導体、ヒアルロン酸とその塩、クレー類、特にモンモリロナイト類、ヘクトライト類及びラポナイト類(laponites)、架橋ポリアクリル酸、例えばグッドリッチ社(Goodrich)の製品「カルポポール(Carbopol)」、ヒスパノ・キミカ社(Hispano Quimica)又はガーディアン社(Guardian)から「ヒスパゲル(Hispagel)」又は「ルブラゲル(Lubragel)」の名称で販売されているポリグリセリル(メタ)アクリラートポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール、架橋アクリルアミドのポリマー及びコポリマー、例えばヘキスト社(Hoechst)から「ボゼポール(Bozepol)C」又は「PAS5161」、セピック社(SEPPIC)から「セピゲル(Sepigel)305」の名称で販売されているもの、アライド・コロイド社(Allied Colloid)から「サルケア(Salcare)SC95」の名称で販売されている架橋メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドのホモポリマー、及び会合性ポリマー、特に会合性ポリウレタン類が含まれる。脂溶性増粘剤が使用されてもよい。例えば、米国特許第2003/0215413号、同2005/0065046号及び同2002/0028226号を参照のこと。
【0097】
増粘剤は、存在する場合、一般に約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約0.5重量%〜約10重量%の範囲の量で存在している。
【0098】
本発明の好ましい実施態様によれば、ケラチン物質(例えば、皮膚、唇又は睫毛)に対する組成物の性能、例えば耐移り性、長時間にわたる付着性及び/又は耐水性等を改善する方法であって、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを組成物に添加することを含む方法が提供される。組成物は、必要に応じてケラチン物質に、好ましくは1日1回又は2回、さらに好ましくは1日1回適用され、ついで好ましくは衣類又は他の物質と接触する前に乾燥されうる。
【0099】
他の好ましい実施態様によれば、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを含有する組成物を、睫毛のボリューム及び/又は長さを増長させるのに有効な量、睫毛に適用することを含む、睫毛のボリューム及び/又は長さを増長させるための方法が提供される。
【0100】
他の好ましい実施態様によれば、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを含有する組成物を、睫毛をカールさせるのに有効な量、睫毛に適用することを含む、睫毛をカールさせるための方法が提供される。
【0101】
本発明さらなる実施態様によれば、メークアップが必要なケラチン物質に、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを含有する組成物を、メークアップに有効な量、ケラチン物質に適用することを含む、皮膚、唇又は睫毛等のケラチン物質をメークアップするための方法が提供される。
【0102】
本発明の好ましい実施態様によれば、ケラチン物質のトリートメント及び/又は手入れに十分な量、ケラチン物質に本発明の組成物を適用することによる、皮膚、唇又は睫毛等のケラチン物質をトリートメント又は手入れするための方法が提供される。
【0103】
他の好ましい実施態様によれば、ケラチン物質の外観を向上させるのに十分な量、ケラチン物質に本発明の組成物を適用することによる、皮膚、唇又は睫毛等のケラチン物質の外観を向上させるための方法が提供される。
【0104】
前記好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、ケラチン物質をトリートメント、手入れ及び/又はメークアップする、又はケラチン物質の外観を向上させるのに十分な量、ケラチン物質に局所適用される。組成物は、必要とされるケラチン物質に、好ましくは1日1回又は2回、さらに好ましくは1日1回適用され、ついで好ましくは衣類又は他の物質と接触する前に乾燥されうる。
【0105】
本発明の他の実施態様によれば、組成物の粘着性を低減させるのに十分な量、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを組成物に添加することを含む、組成物を非粘着化する方法が提供される。
【0106】
本発明のさらなる他の好ましい実施態様によれば、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマー又は少なくとも一種の粘着化皮膜形成剤を組成物に分散させ、ついで他の成分を組成物に添加することを含む、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーと少なくとも一種の粘着化皮膜形成剤を含有する組成物の調製方法が提供される。このような好ましい一実施態様によれば、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーが組成物に分散され、ついで少なくとも一種の粘着化皮膜形成剤が組成物に添加される。他のこのような好ましい実施態様によれば、少なくとも一種の粘着化皮膜形成剤が組成物に分散され、ついで少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーが組成物に添加される。
【0107】
また本発明は、ここに記載された一又は複数の組成物を収容し、消費者が使用するのに適したキット及び/又は包装物(例えば、(1)有色の化粧品、例えばファンデーション、唇用組成物又はマスカラ;及び(2)ベースコート及び/又はトップコートを含むキット)を考慮する。本発明のいずれかの主題に対する包装及び適用装置は、当業者自身の知識に基づき選択及び製造され、包装される組成物の種類に応じて適合化されうる。実際、使用される装置の種類は、組成物のコシステンシー、特にその粘度に関連しており;それはまた組成物中に存在する成分の種類、例えば揮発性化合物の存在に依存する場合がある。
【0108】
特に示さない限りは、明細書及び特許請求の範囲に使用されている成分の量、反応条件等々を表す全ての数値は、いずれの場合においても、「約」なる用語により修正されるものと理解される。しかしながら、任意の数値は、それらの各測定において見出される標準偏差から必然的に生じるある種の誤差を本質的に含む。従って、それとは反対のことが示されていない場合、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本発明により得ることが求められている所望の特性に応じて変わりうる近似値である。
【実施例】
【0109】
次の実施例は本発明を例証することを意図しており、結果として範囲を限定するものではない。パーセントは重量基準である。
実施例1−耐水性マスカラ
【表3】

手順
1.主ケトルにおいてイソドデカンを65〜75℃まで加熱した。混合下、レガライトR1100を添加し、溶解させた(約15分)。
2.固形物が完全に溶解した後に、クレイトンG1657Mを激しく混合しながら添加した。
温度は65〜75℃に維持した。
3.全ての固形物が溶解したところで、組成物の加熱を止めた。
4.ポリアクリル酸ステアリルを添加し、溶解するまでよく混合した。
5.ベントーンを添加し、溶解するまでよく混合した。
6.LAN相、ジーシリック(Jeesilc)IDD、トスパール(Tospearl)及びマイカを添加し、よく混合した。
7.ハイブリデュア875を添加し、よく混合した。
8.温度が55−60℃に達したところで、炭酸プロピレンを添加し、よく混合した。
9.よく混合されるまで、全ての成分を混合した。
【0110】
LAN相の組成
0.7% フェノキシエタノール
0.3% 二ナトリウムEDTA
15.0% グリコール酸ナトリウム
6.0% オクチルアクリルアミド/アクリラート/ブチルアミノエチルメタクリ ラートのコポリマー
0.5% 酢酸トコフェロール
5.0% レシチン
1.0% シメチコーン
20.0% イソセテス(isoceteth)-20
0.1% プロピルパラベン
0.1% メチルパラベン
51.3% 水
【表4】

【0111】
実施例2−耐水性のマスカラ
手順
1.主ケトルにおいてイソドデカンを65〜75℃まで加熱した。混合下、レガライトR1100を添加し、溶解させた(約15分)。
2.固形物を完全に溶解させた後、クレイトンG1657Mを激しい混合下で添加した。
温度は65〜75℃で維持した。
3.全ての固形物が溶解した後、組成物の加熱を止めた。
4.ピュアシン(Puresyn)150を添加し、混合し続けた。
5.アクリル酸ポリステアリルとベントーンを添加し、溶解するまでよく混合した。
6.LAN相、ハイブリデュア875、シントラン5760、及びシリカを添加し、よく混合した。
7.温度が55−60℃に達したところで、炭酸プロピレンを添加し、よく混合した。
【0112】
LAN相の組成
0.7% フェノキシエタノール
0.3% 二ナトリウムEDTA
15.0% グリコール酸ナトリウム
6.0% オクチルアクリルアミド/アクリラート/ブチルアミノエチルメタクリ ラートのコポリマー
0.5% 酢酸トコフェロール
5.0% レシチン
1.0% シメチコーン
20.0% イソセテス-20
0.1% プロピルパラベン
0.1% メチルパラベン
51.3% 水
【0113】
実施例3−4
次の一般的手順によって、実施例3−4の水洗浄性マスカラを調製した:
1.ミツロウとカルナウバロウ(A1相)を75−80℃で溶解させ、ホモジナイズを開始した(水浴は約85℃とすべきである)。
2.分別ビーカーにおいて水とカーボンブラック(B相)を組合せ、混合し、75−80℃まで加熱し始めた。
3.主ビーカーにメチルパラベン(A2相)を添加し、5分混合した。
4.主ビーカーにPMMA(A3相)を添加し、15分混合した。
5.A相にB相を添加し、15−20分ホモジナイズした。
6.ブチレングリコール(C相)を添加し、5分混合した。
7.なお加熱下、パドルに移した。
8.ポリメタクリル酸ナトリウム(D相)を添加し、10分混合した。
9.保存料混合物(E相)を添加し、10分混合した。
10.水酸化ナトリウム(F相)を添加し、10分混合した。
11.G相(室温でプロペラミキサーを使用し予め混合していた)を添加し、5分混合し、加熱を止めた。
12.55−60℃でダイトソールSJ(H1相)をゆっくりと添加し、10−15分混合した。
13.ハイブリデュア(H2相)をゆっくりと添加し、混合した。
14.室温でバッチで落とした。
【表5】

実施例3の着色料の組成
カーボンブラック=20%
水=74.4%
アカシア=5%
メチルパラベン=0.3
イミダゾリジニル尿素=0.3
【0114】
【表6】

【0115】
【表7】

実施例5の着色料の組成
カーボンブラック=20%
水=63.2%
プロピレングリコール=10.0%
PVP=5.0%
フェノキシエタノール=1.0%
メチルパラベン=0.8%
【0116】
【表8】

【0117】
実施例7−粘着性測定
次の2つのマスカラ用組成物を調製した。
【表9】

【表10】

【0118】
これら2つの組成物の粘着性を、以下のようにしてテストした。1.0gの各組成物を、U.S.コスメティクス・コーポレーション(U.S. Cosmetics Corporation)から得たバイオスキン(BioSkin)上の2.25''×6''領域に均一に展伸させた。
1.5''の丸く平坦なプローブを使用するテクスチャー分析器TZ-XT2を、切り出したバイオスキンで被覆した。この機器の設定を以下のようにした。
設定:
オプション:付着性テスト
テスト前速度:0.1mm/s
テスト速度:0.1mm/s
テスト後速度:10mm/s
力:100g
距離:0.5mm
トリガー値:0.5g
【0119】
室温にて、各皮膜に沿った10の任意の位置で測定し、信頼性のあるデータポイントを平均した。2000年1月に改訂されたTA-XT2アプリケーションスタディ(参照:MATI/PO.25)に記載されている手順を使用して、分析を実施した。
本発明の組成物は、比較組成物の23倍も粘着性が低いという結果が証明された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを、組成物の粘着性を低減させるのに十分な量で、組成物に配合することを含む、組成物を非粘着化するための方法。
【請求項2】
コポリマーが粒子の水性ディスパージョンとして存在する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粒子が、約90nm〜約110nmの重量平均径と、約80nmの数平均径と、約−60℃〜約+100℃の範囲のガラス転移温度を有する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
コポリマーが、組成物の全重量に対して約0.1重量%〜約75重量%の量で組成物に存在している請求項1に記載の方法。
【請求項5】
コポリマーが、組成物の全重量に対して約0.75重量%〜約50重量%の量で組成物に存在している請求項1に記載の方法。
【請求項6】
コポリマーが、組成物の全重量に対して約1重量%〜約30重量%の量で組成物に存在している請求項1に記載の方法。
【請求項7】
組成物が睫毛用組成物である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
組成物が少なくとも一種の粘着化皮膜形成剤を含有している請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも一種の粘着化皮膜形成剤が、アクリル酸、メタクリル酸、アクリラート、メタクリラート、及びそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーを含むポリマー又はコポリマーである請求項1に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも一種の粘着化皮膜形成剤が、アクリラート/アクリル酸エチルヘキシルのコポリマーである請求項1に記載の方法。
【請求項11】
組成物中に存在するポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーに対する粘着化皮膜形成剤の比率が、約70:30〜約99:1の範囲にある請求項8に記載の方法。
【請求項12】
組成物中に存在するポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーに対する粘着化皮膜形成剤の比率が、約13:87〜約87:13の範囲にある請求項8に記載の方法。
【請求項13】
組成物中に存在するポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーに対するアクリラート/アクリル酸エチルヘキシルのコポリマーの比率が、約70:30〜約99:1の範囲にある請求項10に記載の方法。
【請求項14】
組成物中に存在するポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーに対するアクリラート/アクリル酸エチルヘキシルのコポリマーの比率が、約13:87〜約87:13の範囲にある請求項10に記載の方法。
【請求項15】
組成物の付着仕事が約0.5gs未満である請求項1に記載の方法。
【請求項16】
組成物の付着仕事が約0.4gs未満である請求項1に記載の方法。
【請求項17】
組成物の付着仕事が約0.3gs未満である請求項1に記載の方法。
【請求項18】
組成物の付着仕事が約0.2gs未満である請求項1に記載の方法。
【請求項19】
組成物が、エチレン・スチレン/アクリラートのコポリマー、アクリラート/メタクリル酸アンモニウムのコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリマー粒子の水性ディスパージョンをさらに含有する請求項1に記載の方法。
【請求項20】
組成物が少なくとも一種の着色料をさらに含有する請求項1に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーと少なくとも一種の粘着化皮膜形成剤を含有する組成物であって、該ポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーが、組成物の粘着性を低減させるのに十分な量で存在している組成物。
【請求項22】
コポリマーが粒子の水性ディスパージョンとして存在する請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記粒子が、約90nm〜約110nmの重量平均径と、約80nmの数平均径と、約−60℃〜約+100℃の範囲のガラス転移温度を有する請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
コポリマーが、組成物の全重量に対して約0.75重量%〜約50重量%の量で組成物に存在している請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
組成物が睫毛用組成物である請求項21に記載の組成物。
【請求項26】
少なくとも一種の粘着化皮膜形成剤が、アクリラート/アクリル酸エチルヘキシルのコポリマーである請求項21に記載の組成物。
【請求項27】
組成物中に存在するポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーに対する粘着化皮膜形成剤の比率が、約70:30〜約99:1の範囲にある請求項21に記載の組成物。
【請求項28】
組成物中に存在するポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーに対する粘着化皮膜形成剤の比率が、約13:87〜約87:13の範囲にある請求項21に記載の組成物。
【請求項29】
組成物が、エチレン・スチレン/アクリラートのコポリマー、アクリラート/メタクリル酸アンモニウムのコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリマー粒子の水性ディスパージョンをさらに含有する請求項21に記載の組成物。
【請求項30】
エチレン・スチレン/アクリラートのコポリマー、アクリラート/メタクリル酸アンモニウムのコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリマー粒子の水性ディスパージョンと、少なくとも一種の粘着化皮膜形成剤を含有する組成物であって、該ポリマー粒子の水性ディスパージョンが、組成物の粘着性を低減させるのに十分な量で存在している組成物。
【請求項31】
ケラチン物質に対する組成物の耐移り性及び/又は長時間にわたる付着性を改善するための方法であって、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを、組成物の耐移り性及び/又は長時間にわたる付着性を改善するのに十分な量、組成物に添加することを含む方法。
【請求項32】
少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーと少なくとも一種の粘着化皮膜形成剤を含有する組成物の調製方法であって、少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマー又は少なくとも一種の粘着化皮膜形成剤を組成物中に分散させ、ついで他の成分を組成物に添加することを含む方法。
【請求項33】
少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを組成物に分散させ、ついで少なくとも一種の粘着化皮膜形成剤を組成物に添加する請求項32に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも一種の粘着化皮膜形成剤を組成物に分散させ、ついで少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマーを組成物に添加する請求項32に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも一種のポリウレタン/ポリ(メタ)アクリラートのグラフトコポリマー又は少なくとも一種の粘着化皮膜形成剤を組成物中に分散させ、ついで他の成分を組成物に添加することを含む請求項21に記載の組成物の製造方法。

【公開番号】特開2008−120805(P2008−120805A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−290336(P2007−290336)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】