説明

非腸溶性酸不安定性薬物の液体剤形

【課題】プロトンポンプ阻害剤(PPI)のような酸不安定性薬物の安定な組成物の提供。
【解決手段】PPI及び通常6.5以上のpHとPPIの均一懸濁を15分間維持するのに十分な粘度とを有する液体ビヒクル。さらに、(a)PPIを含めた乾燥成分を収容した第1容器、及び(b)液体成分を収容した第2容器を含み、前記第1及び第2容器は、混合するとPPI及び6.5以上のpHとPPIの均一懸濁を15分間維持するのに十分な粘度とを有する液体ビヒクルを含む組成物が得られるものである、キット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体剤形に関し、特に酸不安定性薬物の液体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プロトンポンプ阻害剤(PPI)は、胃の胃壁に見られる壁細胞中に存在する酵素であるH+/K+アデノシントリホスフェートを阻害することにより胃酸分泌を抑える医薬化合物類である。H+/K+アデノシントリホスフェートは“酸ポンプ”または“プロトンポンプ”と色々の名前で呼ばれている。PPIの例にはランソプラゾール(登録商標)、オメプラゾール(登録商標)及びパントプラゾール(登録商標)が含まれる。PPIは酸性環境で直ぐに分解し、よって胃pHが非常に酸性(通常pH約1.5〜1.9)であるので前記化合物の経口デリバリーは難しい。胃条件下では、PPIは保護されていないと通常分解し、摂取のために容易に利用され得ない。
【0003】
pH感受性のために、PPIは通常薬物を酸性の胃環境から保護する形態で投与されている。腸溶コーティングは恐らくPPIのような酸不安定性薬物を胃分解から保護するために最も広く使用されている方法である。腸溶コーティング法は通常、薬物粒子またはPPIを含有する薬剤全体の周りに胃環境の低pHに導入されたとき溶解しないコーティングを用いてバリアーを形成している。腸溶コーティングは上部小腸で見られるような6以上のpHでは通常溶解する。この場合、PPIは十分に分解せず、吸収され得る環境に遊離される。残念ながら、腸溶性組成物は液体として処方することが難しく、よって小児患者や燕下困難な患者に対しては投与しがたい。
【0004】
上記にもかかわらず、酸不安定性薬物の液体剤形を処方する試みがなされてきた。しかしながら、これらは処方したら即座に投与するために単回投与基準で処方されている。例えば、米国特許第5,840,737号明細書は、PPIの腸溶性ペレットを含有する市販カプセルの内容物を炭酸水素ナトリウム緩衝液の溶液中に溶解させることを推奨している。実際、この方法では医者がカプセルを開けて腸溶性PPIを緩衝液中に放出させなければならない。カプセルの内容物及び緩衝液を混合したら、緩衝液のpHが比較的に高いためにPPIの周りの腸溶コーティングが溶解するようにその混合物を約20〜30分間撹拌または混合する。上記したように、この組成物は腸溶組成物は即座に投与するためのものである。更に、前記組成物は通常病院内で調製し、投与されており、嚥下困難で病院環境外で長時間かけて投与しなければならない患者に対しては意図されていない。胃腸疾患を患っている小児患者はそのような集団の一部である。
【0005】
固体剤形を嚥下することは困難であり、病院環境外で長期間かけて服用しなければならない患者に対して適用されるPPIの液体組成物には幾つかの要件が要求されている。例えば、組成物は活性成分の完全性を長期間維持しなければならない。更に、組成物は全投与レジメを通して用量均一性を確保するために組成物全体にわたって薬物の分散を均質に維持できなければならない。具体的には、液体組成物が30回服用分を含んでいるならば、組成物の第1回服用分中の活性成分の濃度は組成物の最終回服用分中の活性成分の濃度と十分に近似していなければならない。しかしながら、上記要件を満たすPPIの液体組成物は製造が難しく、現在利用されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,840,737号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、活性成分の完全性(よって、効果)を長い使用期間中維持し、嚥下困難な患者に対して容易に投与され、味が良く、複数回服用分を均一に分配し得るバルク懸濁液として提供され得るPPIの液体組成物が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、PPI及び6.5以上のpHとPPIの均一懸濁を維持するのに十分な粘度とを有する液体ビヒクルを含む組成物もしくは処方物を提供する。前記組成物はPPIを含めた乾燥成分を収容した第1容器及び液体成分を収容した第2容器からなるキットとして提供され得る。第1及び第2容器を混合したとき、PPI及び6.5以上のpHとPPIの均一懸濁を維持するのに十分な粘度とを有する液体ビヒクルを含む組成物が得られる。PPIが液体ビヒクル中に均質に懸濁するようになるためにバルク組成物を余り混合しなくてよいことが有利である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、容易に投与され、PPIの完全性を維持し、均一用量が分配され得るバルク懸濁液の形態で提供され得るPPIの液体組成物を提供する。その結果、適量の活性成分が特定服用分中に含まれることを保証しながら、固体剤形を嚥下することが難しい患者はバルク組成物の1回服用分を分配し、服用する。更に、バルク組成物から1回分アリコートを服用するのに特別の経験を必要とせず、よって組成物は病院外での環境にとって理想的である。本発明の組成物は一般的にPPI及び6.5以上のpHを有する液体ビヒクルを含む。通常、液体ビヒクルはPPIを15分間均一に懸濁するのに十分な粘度を有する。
【0010】
PPIは通常置換ベンゾイミダソール化合物であり、当業界で公知であり、その中には公知の市販されているPPIが含まれる。例えば、ランソプラゾール(登録商標)、オメプラゾール(登録商標)、パントプラゾール(登録商標)、パリプラゾール(登録商標)及びレミノプラゾール(登録商標)のいずれもが組成物中に使用するのに適している。組成物中のPPIの量は主として所与投与のために望ましいPPIの量及び組成物の全容量に依存する。特定患者に対する特定の治療有効量レベルは、治療対象の疾患及びその疾患の重篤度;使用する特定化合物の活性;使用する特定組成物;患者の年齢、体重、全身健康状態、性別及び食事;投与時間及び使用する特定化合物の排泄率;治療期間;使用する特定化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物;及び医学界の当業者に公知の他の要因を含めた各種要因に依存する。例えば、化合物を所望治療効果を達成するのに必要な量よりも少ない用量投与することから始めて所望効果が達成するまで用量を漸増させることは当業者の技量の範囲内である。
【0011】
本発明の組成物は、各患者の臨床状態、投与の部位及び方法、投与スケジュール及び医者に公知の他の要因を考慮して健全な医学的慣例に従って投与、服用される。
【0012】
本発明の目的で「治療有効量」は、当業界で公知の要件により容易に決定され得る。その量は改善を達成するために有効でなければならない。前記改善には、胃pHの上昇、胃腸出血の減少、輸血の必要の低下、生存率の向上、より迅速な快復及び/または症状の改善/消失、並びに当業者が適切な尺度として選択するような他の指標が含まれるが、これらに限定されない。
【0013】
上記したように、本発明の組成物は6.5以上のpH、より好ましくは7.0以上のpH、最も好ましくは7.5以上のpHを有する液体ビヒクルをも含む。通常、液体ビヒクルのpHは11.5以下である。液体ビヒクルはもともと所望範囲のpHを有するものであり得る。しかしながら、液体が所望pHを有していない場合には、液体を医薬的に許容され得る酸、塩基、または所望pHを達成するために公知であって医薬的に許容され得る他の手段を用いて修飾してもよい。好ましくは、液体ビヒクルのpHは、液体を緩衝するために慣用されている公知の医薬的に許容され得る金属塩の緩衝塩を用いて達成される。本明細書中、「医薬的に許容され得る」には、健全な医学的判断の範囲で過度の毒性、刺激、アレルギー反応等を呈することなくヒト及び下等動物の組織に接触させて使用するのに適しており、妥当な損益比で釣り合う物質または化合物が含まれる。緩衝剤として通常使用される金属塩には、例えばマグネシウム、カリウム、ナトリウム、アルミニウ等のリン酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、水酸化物、酒石酸塩及びケイ酸塩が含まれるが、これらに限定されない。組成物中に使用するのに適した金属塩の例には、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、酒石酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グリセロリン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸ジヒドロキシアルミニウムナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、アミノ酢酸ジヒドロキシアルミニウム、酸化マグネシウム、トリケイ酸マグネシウム及び炭酸マグネシウムが含まれるが、これらに限定されない。メグラミンやトロメタミンのような他の医薬的に許容され得る緩衝剤も液体ビヒクル中に使用するのに適しており、勿論上記の組合せも好適である。
【0014】
液体ビヒクル中の緩衝剤の量は、バルク組成物中での分解からPPIを保護すべくpHを所望レベルに維持するのに十分な量を与えるならば広範囲で変更可能である。また、液体ビヒクルは、治療有効量のPPIが小腸の所期吸収部位に到達し得るようにPPIを胃環境においてうまく保護しなければならない。組成物中の緩衝剤の量は広範囲で変更可能であり、上記したような各種要因に依存するが、組成物中のPPIに対する緩衝剤の比率は通常2:1〜60:1、好ましくは5:1〜30:1、より好ましくは8:1〜20:1である。
【0015】
液体ビヒクルは、液体ビヒクルの粘度に大きく起因する組成物中のPPIの均質性を維持するのにも役立つ。通常、粘度は、バルク溶液を軽く混合した後組成物の均質用量を分配するのに十分な時間PPIが液体ビヒクル中に均質に分散されるような粘度である。所謂“軽く混合”には、組成物の内容物を少なくとも30秒間、好ましくは少なくとも60秒間、より好ましくは少なくとも90秒間回転、振とうまたは他の方法で撹拌することを含む。液体ビヒクルの粘度により該液体ビヒクルにおいてPPIの均質性が少なくとも5分間、好ましくは少なくとも10分間、最も好ましくは少なくとも15分間維持されることも好ましい。“組成物におけるPPIの均質性”、“組成物におけるPPIの均質分散”、“PPIの均一懸濁”及び本明細書中で使用されている類似の表現は、PPIの所期濃度の少なくとも90%、より好ましくは所期濃度の少なくとも95%が組成物全体にわたって存在していることを意味する。すなわち、例えば特定組成物中のPPIの濃度が100mg/mlであったならば容器中の特定場所で採取したバルク組成物1mlサンプルは少なくとも90mgのPPIを含有していなければならない。50cP以上、好ましくは60cP以上、より好ましくは70cP以上、最も好ましくは100cP以上の粘度を有する液体が上記目的に適している。この粘度は150rpmで回転する#2スピンドルを備えたブルックフィールド粘度計を用いて測定した値である。また、数種の市販液体制酸組成物が本明細書に記載の組成物中に使用するのに適した液体ビヒクルであることが判明した。例えば、Alternagel(登録商標)、Mylanta(登録商標)、Maalox(登録商標)、Riopan(登録商標)、Milk of Magnesia(登録商標)、Gaviscon(登録商標)等も好適な液体ビヒクルである。
【0016】
液体ビヒクルが適切な粘度を有していない場合には、液体の粘度を上昇させるために各種の医薬的に許容され得る添加剤を使用し得る。例えば、糖(例えば、グルコース、スクロース、マンニトール等)、増粘剤(例えば、キサンタンガム、グアーガム及びゼラチン)、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース)、カルボマー(例えば、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコール)及びクレー(例えば、ビーガム、ベントナイト及びヘクトライト)はいずれも液体の粘度を上昇させるために適した手段である。
【0017】
液体ビヒクル中のPPIの濃度は変更可能であり、主に1回服用分あたりの所望容量及び1回服用分あたりの所望濃度に依存する当業者の選択事項である。通常、液体ビヒクル中のPPIの濃度は0.1〜90mg/ml、より好ましくは0.5〜60mg/ml、最も好ましくは0.5〜30mg/mlである。
【0018】
本発明の組成物は各種の他の医薬的に許容され得る矯臭剤、賦形剤、甘味剤、保存剤及び酸化防止剤をも含み得る。
【0019】
組成物は、PPIが適応される疾患を患っている患者のようなPPI治療を必要とする患者に対して投与され得る。例えば、酸逆流症、胃食道逆流症、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、ゾリンジャー−エリソン症候群のような胃腸疾患を患っている患者に本発明の組成物を投与することにより前記疾患を緩解させるべく前記患者は治療され得る。上記した要因に依存して、投与レジメは通常1日あたり5〜300mgのPPIである。
【0020】
バルク組成物は、該バルク組成物から個々に分配され得る少なくとも2回服用分、通常2〜50回服用分の組成物を収容した単一容器の形態で提供され得る。組成物はまた、バルク組成物を作成すべく使用される成分を別々に収容した容器を有するキットとしても提供され得る。例えば、前記キットは各種形態のPPIのような乾燥成分を収容している容器及び組成物の液体成分を収容している容器を含み得る。使用前に各容器を混合して、完全な組成物を作成し得る。いずれの場合も、バルク組成物またはバルク組成物を形成するために使用されるキットの容器に服用及び混合のための使用説明書を添付してもよい。
【0021】
本発明を更に説明するために下記実施例を提示する。これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0022】
液体ビヒクル中でのPPI安定性
本実施例では、各種液体ビヒクル中でのランソプラゾールの安定性を分析した。
【0023】
薬物の3mg/ml懸濁液を形成するように、バルクランソプラゾール(日本国大阪に所在の武田薬品工業)(150mg)をMilk of Magnesia、Mylanta、Maalox及びAternagelの各液体(50ml)に添加した。この懸濁液を30秒未満振とうした後、最初のサンプルを各容器から採取した。最初のサンプル中のランソプラゾールの濃度をHPLCにより測定した。懸濁液を室温において遮光容器中に31日間保存した。各懸濁液を調製してから10、23及び31日目にサンプルを上記したように振とうした後採取し、サンプル中のランソプラゾールの濃度を上記したように測定した。この実験の結果を下表1に示す。
【0024】
【表1】

【0025】
表1に示すように、各種液体ビヒクル中で室温において31日間保存後でもランソプラゾールの損失は僅かであった。更に、薬物は最低の混合で均一に懸濁した。
【実施例2】
【0026】
各種液体ビヒクル中でのPPI安定性
実施例1と同様に、本実施例ではランソプラゾールの安定性を各種液体中で評価した。ランソプラゾールの2mg/ml及び6mg/ml懸濁液を形成するように、6個または18個のPrevacid(登録商標)(イリノイ州レークフォーレストに所在のTAP Pharmaceutical Products Inc.)カプセルの均等物からの腸溶性ペレットを以下の液体(90ml)中に添加した:Riopan Plus、Gaviscon、Mylanta Supreme、8.4% NaHCO、及び150mlの蒸留水中に18.75gの炭酸カルシウム,3.0gのクエン酸ナトリウム,6.0gのスクロース,0.5gのキサンタンガム,0.75gのピーチフレーバー及び0.015gのプロピルパラベンを含有するように調製した液体ビヒクル。すべての溶液を2つずつ調製した。腸溶コーティングがペレットから溶解したら、各懸濁液を30秒間振とうした後最初のサンプルを採取し、該サンプル中のランソプラゾールの所期濃度(mg/ml)の%をHPLCにより測定した。懸濁液の1方を2〜8℃で保存し、他方の懸濁液を室温において遮光容器中で保存した。28日間保存後、懸濁液を軽く(30秒未満)振とうした後、サンプルを採取し、ランソプラゾールの所期濃度(mg/ml)の%をHPLCにより測定した。この実験の結果を下表2に示す。
【0027】
【表2】


【0028】
表2に示すように、ランソプラゾールは試験した多くの液体中で非常に安定であった。各種条件下で28日間保存後ランソプラゾールの所期濃度の少なくとも90%ほどが測定された。
【実施例3】
【0029】
液体ビヒクル中でのPPIの用量均一性
本実施例では、ランソプラゾールを均一に分散させる液体ビヒクルの能力を分析した。10個の30mg Prevacidカプセル(イリノイ州レークフォーレストに所在のTAP Pharmaceutical Products Inc.)の内容物を250ml容量のメスシリンダーに収容されているMylanta(50ml)中に空けて、6mg/ml懸濁液を形成した。シリンダーに蓋を被せ、5分毎に40分間振とうした。同じPrevacid+Mylanta懸濁液を別の250ml容量のメスシリンダーにおいて形成し、蓋を被せた。この懸濁液を非定期的(5〜10分毎に)40分間振とうした。懸濁液を最後に振とうした後、5mlアリコート(すなわち、模擬用量)をシリンダーから注いだ。第1回、第5回及び第10回服用分をHPLCにより試験して、各服用分中のランソプラゾールの濃度を測定した。HPLC試験した各服用分中のランソブラゾールの所期6mg/ml濃度の%を下表3に示す。
【0030】
【表3】

【0031】
上記に示すように、PPIは均一に懸濁し、よってバルク組成物全体を通して均一の用量を与えた。
【実施例4】
【0032】
異なる粘度を有する液体中でのPPIの用量均一性
本実施例の目的は、液体ビヒクルの粘度とPPIの沈降速度に相関関係があるかどうかを調べることであった。Mylanta、Gaviscon及び8.4% NaHCO溶液中にランソプラゾール微粒子(Prevacid(登録商標)のサッシェ処方物)を崩壊させることにより各種懸濁液を調製した。これらの懸濁液の粘度をブルックフィールド粘度計を用いて測定した。また、懸濁液中でのランソプラゾールの沈降は、異なる時間経過後に懸濁液を収容しているメスシリンダーの上部、中間及び底部からサンプルを採取することにより調べた。次いで、サンプルをHPLCにより分析して、各サンプル中の所期濃度の%を測定した。
【0033】
Gaviscon、Mylanta及び8.4% NaHCO(それぞれ1200ml)を3個の2000ml容量のねじ蓋付き三角フラスコの各々に入れた。次いで、各フラスコにランソプラゾール微粒子(88.8g)を添加し、30分間振とうして微粒子を崩壊させた。次いで、各フラスコを激しく振とうした後各フラスコから5mlアリコートを抜き取った。次いで、このサンプルをHPLC用に作成し、フラスコからその後採取する各サンプルに対する対照として使用した。Mylanta中のランソプラゾールの対照濃度は5.21mg/ml、Gaviscon中のランソプラゾールの対照濃度は5.26mg/ml、NaHCO中のランソプラゾールの対照濃度は5.05mg/mlであった。
【0034】
次いで、各フラスコから4つの250mlサンプルが採取されるように各フラスコの250mlアリコートを4個の250ml容量のメスシリンダーの各々に入れた。次いで、メスシリンダー中のサンプルを用いて沈降時間を評価した。具体的には、シリンダーを静置してから5分、10分、15分及び30分後に各フラスコから1つのシリンダーの内容物を採取した。サンプル(5ml)をシリンダーの上部、中間及び底部から採取して、HPLC分析用に作成した。
【0035】
所与の時間にMylanta懸濁液から採取した各サンプルにおけるランソプラゾールの回収率を下表4に示す。
【0036】
【表4】

【0037】
所与の時間にGaviscon懸濁液から採取した各サンプルにおけるランソプラゾールの回収率を下表5に示す。
【0038】
【表5】

【0039】
所与の時間にNaHCO懸濁液から採取した各サンプルにおけるランソプラゾールの回収率を下表6に示す。
【0040】
【表6】

【0041】
各種懸濁液及びランソプラゾールを含有する懸濁液の粘度も測定した。粘度は、異なる速度に設定した#2スピンドルを備えたブルックフィールド粘度計を用いて測定した。粘度は室温において200ml容量のトールフラスコ中の各液体(150ml)を用いて測定した。一般的に、粘度測定値は%スケール読みが10を超えたときに最も正確である。上記のように記録した粘度を下表7に示す。
【0042】
【表7】


【0043】
上記データに基づいて、組成物の粘度が13.2以上のときにバルク液体剤形中でのPPIの均一性を維持する液体ビヒクルの能力が最良である。
【0044】
本発明を特定の実施態様を参照して詳細に説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく前記実施態様に各種の変化や修飾を加えることができることは当業者に自明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)PPI;及び(b)6.5以上のpHとPPIの均一懸濁を維持するのに十分な粘度とを有する液体ビヒクルを含む組成物。
【請求項2】
液体ビヒクルが金属塩緩衝液である請求の範囲第1項に記載の組成物。
【請求項3】
プロトンポンプ阻害剤がランソプラゾールである請求の範囲第1項に記載の組成物。
【請求項4】
組成物が少なくとも2回服用分のPPIを有する請求の範囲第1項に記載の組成物。
【請求項5】
組成物の粘度が50cp以上である請求の範囲第1項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物の粘度が70cp以上である請求の範囲第1項に記載の組成物。
【請求項7】
PPI及び6.5以上のpHとPPIの均一懸濁を維持するのに十分な粘度とを有する液体ビヒクルを含む組成物を胃腸疾患患者に投与することを含む胃腸疾患患者の治療方法。
【請求項8】
(a)PPIを含めた乾燥成分を収容した第1容器;及び(b)液体成分を収容した第2容器を含み、前記第1及び第2容器は、混合するとPPI及び6.5以上のpHとPPIの均一懸濁を15分間維持するのに十分な粘度とを有する液体ビヒクルを含む組成物が得られるものである、キット。

【公開番号】特開2011−144168(P2011−144168A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−280301(P2010−280301)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【分割の表示】特願2004−519789(P2004−519789)の分割
【原出願日】平成15年7月2日(2003.7.2)
【出願人】(509022185)タケダ・フアーマシユーテイカルズ・ノース・アメリカ・インコーポレイテツド (8)
【Fターム(参考)】