説明

非開裂リンカーを介して連結した細胞結合物質メイタンシノイド複合体を用いて特定の細胞集団を標的とする方法、前記複合体、および前記複合体の製造法

【課題】細胞毒性のある薬剤メイタンシノイドを、選択された細胞集団を標的として向かわせるための方法の提供。
【解決手段】選択された細胞集団を含有すると推測される細胞集団または組織を、下式のメイタンシノイド複合体と接触させることを含み、ここで1つまたはそれより多くのメイタンシノイドは、非開裂リンカーを介して細胞結合物質に共有結合で連結され、そして当該細胞結合物質が選択された細胞集団の細胞に結合する方法。


[式中、nは3〜24の整数、Eはカルボニル基と共に活性なエステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルエステル、N−ヒドロキシフタルイミジルエステル等である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[01]本出願は、2003年10月10日に提出された米国仮特許出願第60/509,
901号の利益を主張し、その全開示を参照として援用する。
【0002】
発明の技術分野
[02]本発明に即した方法は、非開裂(non-cleavable)リンカーを介して連結した細胞結
合物質(cell-binding agent)メイタンシノイド複合体を用いて特定の細胞集団を標的とすることに関する。本発明に即したもう1つの方法は、複合体を製造する方法である。本発明に即した組成物は、メイタンシノイドが非開裂リンカーを介して細胞結合物質に連結される、新規の細胞結合物質メイタンシノイド複合体に関する。本発明に即したもう1つの組成物は、新規メイタンシノイドエステルに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
[03]メイタンシノイドは高い細胞毒性のある薬剤である。メイタンシンは、Kupchan らにより東部アフリカの低木、メイテナス セラタ(Maytenus serrata)より最初に単離され、メトトレキサート、ダウノルビシン、およびビンクリスチンのような従来の癌の化学療法薬より100倍から1000倍高い細胞毒性があることが示された(米国特許第3,869,111号)。その後、いくつかの微生物もまたメイタンシノイド、例えばメイタンシノール(maytansinol)およびメイタンシノールのC−3エステルを産生することが発見
された(米国特許第4,151,042号)。メイタンシノールの合成C−3エステルおよびメイタンシノールの類似体についても報告された(Kupchan et al., 21 J. Med. Chem. 31-37 (1978); Hiashide et al. 270 Nature 721-722 (1977); Kawai et al., 32 Chem. Pharm. Bull. 3441-3451 (1984))。C−3エステルが調製されたメイタンシノールの類似体の例は、芳香環上(例えばデクロロ)またはC−9、C−14(例えばヒドロキシル化したメチル基)、C−15、C−18、C−20およびC−4,5に修飾を伴うメイタンシノールを含む。
【0004】
[04]天然に生成されるC−3エステルおよび合成C−3エステルは以下の2つの群に分類することができる:
(a)シンプルなカルボン酸を用いてのC−3エステル(米国特許第4,248,870号;4,265,814号;4,308,268号;4,308,269号;4,309,428号;4,317,821号;4,322,348号;および4,331,598号)、ならびに
(b)N−メチル−L−アラニンの誘導体を用いてのC−3エステル(米国特許第4,137,230号および4,260,608号;およびKawai et al., 32 Chem. Pharm. Bull. 3441-3451 (1984))。
【0005】
[05](b)群のエステルは、(a)のエステルよりずっと強い細胞毒性があることが発見された。
[06]メイタンシンは有糸分裂の阻害薬である。in vivo でのL1210細胞のメイタンシンによる処置は、細胞の67%を有糸分裂状態に蓄積させることになることが報告された。未処置のコントロール細胞は3.2から5.8%の間の範囲の分裂係数を示すことが報告された(Sieber et al., 43 Bibl. Haematol. 495-500 (1976))。ウニの卵およびカイ類の卵による実験は、メイタンシンが微小管タンパク質であるチューブリンの重合を阻害することを通して微小管の形成を妨げることにより、有糸分裂を阻害することを示唆し
た(Remillard et al., 189 Science 1002-1005 (1975))。
【0006】
[07]in vitro では、P388、L1210、およびLY5178のネズミ白血病細胞
の懸濁液が、最も感受性の高いP388株にてメイタンシンにより10−3から10−1μg/mlの用量で阻害されることが発見された。メイタンシンはまた、ヒト鼻咽腔癌細
胞のin vitro での成長の活性な阻害薬であることも示され、またヒト急性リンパ芽球性
白血病株C.E.M.が、10−7μg/mlという低濃度により阻害されると報告され
た(Wolpert-DeFillippes et a., 24 Biochem. Pharmacol. 1735-1738 (1975))。
【0007】
[08]メイタンシンはまたin vivoで活性であることも示された。P388リンパ性白血
病系における腫瘍の成長が50から100倍の投与量の範囲にわたり阻害されることが示され、、このことは高い治療係数を示唆した;また有意な阻害活性を、L1210マウス白血病系、ヒトルイス肺癌系、およびヒトB−16黒色癌系にて示すことができた(Kupchan, 33 Ped. Proc 2288-2295 (1974))。
【0008】
[09]メイタンシノイドは高い細胞毒性があるため、多くの疾患、例えば癌の治療における使用が期待された。この期待にはなお証明がなされなければならない。メイタンシンを用いての臨床的試みは、いくつかの副作用のために好ましいとは言えなかった(Issel et
al., 5 Cancer Teat. Rev. 199-207 (1978))。中枢神経系および胃腸症状への副作用が、一部の患者のさらなる治療を断念する原因であり(Issel 204にて)、蓄積性であると思
われる末梢性ニューロパチーにメイタンシンが関与するようであった (Issel 207にて)。
【0009】
[10]そのため標的細胞に選択的に薬剤を送達する標的技術が利用された。開裂可能なリンカーおよび非開裂リンカーの双方が、数種の薬剤について調査されたが、メイタンシノイドの場合を含むほとんどの場合、in vitro の細胞毒性検査により、抗体−薬剤複合体
がフリーの複合体化していない薬剤と同程度の細胞毒性の効能をほとんど達成できないことが明らかになった。したがってメイタンシノイドの標的への送達が有効であるには、メイタンシノイドおよび細胞結合物質間の結合は開裂可能でなければならないことが、一般に受け入れられることとなった。
【0010】
[11]さらに免疫毒性の分野において、モノクローナル抗体および触媒的に活性なタンパク質の毒素間にジスルフィドの架橋によるリンカーを含有する複合体は、他のリンカーを含有する複合体に比してより細胞毒性があることが示された。Lambert et al., 260 J. Biol. Chem. 12035-12041 (1985); Lambert et al., Immunotoxins 175-209 (A. Frankel
編、1988)、およびGhetie et al., 48 Cancer Res. 2610-2617 (1988)を参照のこと。こ
のことは、抗体分子および毒素間のジスルフィド結合の効率的な開裂に寄与するグルタチオンの高い細胞内濃度によるものであった。より最近、非開裂リンカーSMCCを介して抗Her2乳癌抗体TA.1に連結したメイタンシノイドの複合体は、開裂可能なジスルフィド結合を有するリンカーを介してTA.1を連結したメイタンシノイドの複合体に比して200分の1の効能であることが示された(Chari et al., 52 Cancer Res. 127-133
(1992))。
【0011】
[12]したがってジスルフィドを含有する開裂可能なリンカーを介して連結した細胞毒性の複合体が探求されてきた。Shenらは、メトキサレートのメルカプトエチルアミド誘導体への変換に続いて、ジスルフィド結合を介してのポリ−D−リジンと複合体化させることについて記載した(260 J. Biol. Chem. 10905-10908 (1985))。トリスルフィドを含有
する毒性薬剤であるカリケアマイシンの、抗体との複合体の調製についても記載された(Menendez et al., Fourth International Conference on Monoclonal Antibody Immunoconjugates for Cancer, San Diego, Abstract 81 (1989))。
【0012】
[13]米国特許第5,208,020号および5,416,064号(その全開示を特に本明細書において参照として援用する)は、開裂可能なリンカー、例えばジスルフィド基を含有するリンカー、酸に不安定な基を含有するリンカー、光に不安定な基を含有するリンカー、ペプチダーゼに不安定な基を含有するリンカー、およびエステラーゼに不安定な基を含有するリンカーを介して特定のメイタンシノイド誘導体に連結した、細胞結合物質を包含する細胞毒性複合体を開示している。
【0013】
[14]米国特許第6,333,410 B1号(その全開示を特に本明細書において参照として援用する)は、細胞結合物質に連結するための、チオールを含有するメイタンシノイドを調製および精製するための方法を開示しており、米国特許第6,441,163 B1号(その全開示を特に本明細書において参照として援用する)は、リンカーがジスルフィドを含有する開裂可能なリンカーである、メイタンシノイドおよび細胞結合物質の細胞毒性複合体を調製するための1段階での方法を開示している。
【0014】
[15]さらに米国特許第5,208,020号は、リンカーがマレイミド基を包含する非開裂リンカーを用いての抗体−メイタンシノイド複合体について示している。しかし、この参考文献はそのような複合体が疾患の治療に有効であることを立証する実験データを含有していない。
【0015】
[16]今回意外にも、非開裂リンカーを介して連結したメイタンシノイドおよび細胞結合物質の細胞毒性複合体が極めて効能があり、多くの場合において、開裂可能なリンカーを用いたメイタンシノイドおよび細胞結合物質の複合体を上回る予想外の有利な点を有することを発見した。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の概要
[17]以下に記載する本発明の説明のための非限定的な態様は、上の不都合な点および上に記載していないその他の不都合な点を克服するものである。その上本発明は上に記載した不都合な点を克服する必要がなく、以下に記載する本発明の説明のための非限定的な態様は、上に記載したいずれの問題点も克服していなくてよい。
【0017】
[18]本発明の1つの側面は、選択された細胞集団由来の細胞を含有すると推測される細胞集団または組織を、細胞結合物質メイタンシノイド複合体と接触させることを包含する、前記の選択された細胞集団を標的としてメイタンシノイドを向かわせるための方法であり、その場合1つまたはそれより多くのメイタンシノイドが非開裂リンカーを介して細胞結合物質に連結されている。
【0018】
[19]本発明のもう1つの側面は、標的に向かう物質が細胞結合物質である標的療法により治療することのできる、腫瘍、自己免疫疾患、移植片拒絶、移植片対宿主病、ウイルス感染、寄生体感染、およびその他の疾患の治療のための方法であって、当該方法は1つまたはそれより多くのメイタンシノイドが細胞結合物質に連結されている細胞結合物質メイタンシノイド複合体、または医薬的に受容可能な前記複合体の製剤もしくは溶媒和物の有効量を、治療を必要とする被験者に投与することを包含する、前記方法である。
【0019】
[20]本発明のもう1つの側面は、1つまたはそれより多くのメイタンシノイドが非開裂リンカーを介して細胞結合物質に連結されている、細胞結合物質メイタンシノイド複合体である。
【0020】
[21]本発明のもう1つの側面は、上記記載の複合体を包含する組成物である。
[22]本発明のもう1つの側面は、上記記載の複合体を製造する方法である。
[23]本発明のもう1つの側面は、新規メイタンシノイドエステルである。
【0021】
発明の例としての態様の詳細な説明
[54]当該技術分野は、現存する薬剤をそれらの細胞毒性の効能を低下させずに修飾することが極めて困難であることを露呈している。しかし米国特許第6,441,163 B1号、6,333,410 B1号、5,416,064号および5,208,020号は、開裂可能なリンカー、特にジスルフィド基を含有する開裂可能なリンカーを介して、メイタンシノイドを適当な細胞結合物質に連結することにより、効能ある細胞毒性物質を生成することができることを立証している。細胞結合物質メイタンシノイド複合体は、望ましくない細胞のみ標的とする形で適用して、それにより標的ではない健康な細胞に損傷を与えることによる副作用を避けるための、メイタンシノイドの十分な細胞毒性の作用を可能にする。
【0022】
[55]本発明者らは非開裂リンカーを介して細胞結合物質に連結したメイタンシノイドが、いくつかの重要な点において開裂可能なリンカーを介して連結したメイタンシノイドより優れていることを、意外にも発見した。特に開裂可能なリンカーを含有する複合体と比較した場合、非開裂リンカーを用いた複合体は、in vitro およびin vivoの双方において等しい抗腫瘍活性を示すが、血漿クリアランスの速度および毒性においては著明な低減が立証されている。
【0023】
[56]このように本発明は、副作用を最小限に抑えながら、標的とする細胞、特に破壊すべき細胞、例えば腫瘍細胞(特に固形腫瘍細胞)、ウイルスに感染した細胞、微生物に感染した細胞、寄生体に感染した細胞、自己免疫細胞(自己抗体を産生する細胞)、活性化細胞(移植片拒絶または移植片対宿主病に伴うもの)、または他のあらゆるタイプの罹患した細胞または異常な細胞に関する、改善された方法を提供する。
【0024】
[57]本発明の方法において使用する複合体は、非開裂リンカーを介して細胞結合物質に連結した1つまたはそれより多くのメイタンシノイドを有する。複合体を製造する1つの方法において、細胞結合物質 例えば抗体を、細胞結合物質 例えばSMCCで初めに修飾する。第2のステップでチオール基を有する反応性のメイタンシノイド 例えばDM1を、修飾した抗体と反応させて、抗体−メイタンシノイド複合体を生成する。あるいはメイタンシノイドを架橋試薬で修飾した後、細胞結合物質と反応させることもできる。例えば米国特許第6,441,163 B1号を参照のこと。
【0025】
適切なメイタンシノイド
[58]本発明における使用に適するメイタンシノイドは当該技術分野で周知であり、公知の方法に従って天然素材から単離する、遺伝子工学技術を用いて産生する(Yu et al., 99 PNAS 7968-7973 (2002)を参照のこと)、または公知の方法に従って合成により調製す
ることができる。
【0026】
[59]適切なメイタンシノイドの例は、メイタンシノールおよびメイタンシノール類似体を含む。適切なメイタンシノール類似体の例は、修飾された芳香環を有するもの、および他の位置に修飾を有するものを含む。
【0027】
[60]修飾された芳香環を有する適切なメイタンシノール類似体の具体的な例は以下を含む:
(1)C−19−デクロロ(米国特許第4,256,746号)(アンサマイトシンP2のLAH還元により調製);
(2)C−20−ヒドロキシ(またはC−20−デメチル)+/−C−19−デクロロ
(米国特許第4,361,650号および4,307,016号)(ストレプトマイセス(Streptomyces)もしくはアクチノマイセス(Actinomyces)を用いての脱メチル化またはL
AHを用いての脱クロロ化により調製);ならびに
(3)C−20−デメトキシ、C−20−アシルオキシ(−OCOR)、+/−デクロ
ロ(米国特許第4,294,757号)(塩化アシルを用いてのアシル化により調製)。
【0028】
[61]他の位置の修飾を有する適切なメイタンシノール類似体の具体的な例は以下を含む:
(1)C−9−SH(米国特許第4,424,219号)(メイタンシノールのHSまたはPとの反応により調製);
(2)C−14−アルコキシメチル(デメトキシ/CHOR)(米国特許第4,33
1,598号);
(3)C−14−ヒドロキシメチルまたはアシルオキシメチル(CHOHまたはCHOAc)(米国特許第4,450,254号)(ノカディア(Nocardia)より調製);
(4)C−15−ヒドロキシ/アシルオキシ(米国特許第4,364,866号)(ス
トレプトマイセスによるメイタンシノールの変換により調製);
(5)C−15−メトキシ(米国特許第4,313,946号および4,315,929号)(トレウィアヌドルフローラ(Trewia nudlflora)より単離);
(6)C−18−N−デメチル(米国特許第4,362,663号および4,322,348号)(ストレプトマイセスによるメイタンシノールの脱メチル化により調製);ならびに
(7)4,5−デオキシ(米国特許第4,371,533号)(メイタンシノールの三塩化チタン/LAH還元により調製)。
【0029】
[62]連結のタイプに依存して、メイタンシノールの多くの位置が結合位置として有用であることが知られている。例えばエステル結合を形成するためには、ヒドロキシル基を有するC−3の位置、ヒドロキシメチルで修飾されたC−14の位置、ヒドロキシル基で修飾されたC−15の位置、およびヒドロキシル基を有するC−20の位置が、すべて適する。しかしC−3の位置が好ましく、メイタンシノールのC−3の位置が特に好ましい。
【0030】
[63]本発明に従って、好ましいメイタンシノイドはフリーのチオール基を有する。フリーのチオール基を包含する特に好ましいメイタンシノイドは、メイタンシノールのC−3エステルおよびその類似体である、メイタンシノールのN−メチル−アラニンを含有するエステル、N−メチル−システインを含有するエステルを含む。好ましいエステルは、メイタンシノールのN−メチル−アラニン−を含有するエステル、およびN−メチル−システイン−を含有するエステルを含む。フリーのチオール基を有するメイタンシノールのエステルの合成は、以前に、例えば米国特許第5,208,020号、Chari et al., 52 Cancer Res., 127-131 (1992)、およびLiu et al., 93 Proc Natl. Acad. Sci., 8618-8623 (1996)に記載されている。さらに米国特許第6,333,410、B1号(その全開示を本明細書により参照として援用する)は、細胞結合物質への連結に適するチオールを含有するメイタンシノイドの調製および精製に関する改善された方法を提供している。
【0031】
[64]以下に例示する本発明の複合体の多くは、化学式ではN2’−デアセチル−N2’−(3−メルカプト−1−オキソプロピル)−メイタンシンと表す、チオールを含有するメイタンシノイドDM1を利用する。DM1は以下の構造式:
【0032】
【化1】

【0033】
で表される。
[65]チオールを含有するメイタンシノイドDM1の合成は以前に記載されている(米国特許第5,208,020号)。
【0034】
[66]米国特許出願10/849,136(その全開示を本明細書により参照として援用
する)は、チオール官能基(funationality)を持つα−炭素上に1つまたは2つのアルキ
ル置換基を持つ、立体障害のチオールを含有するメイタンシノイドについて記載している。加えてスルフヒドリル基を持つメイタンシノイドのアシル化されたアミノ酸側鎖のアシル基は、アミドのカルボニル基とイオウ原子との間に少なくとも3つの炭素原子の直鎖を保有する。これらの新規メイタンシノイドは、本発明における使用に適する。
【0035】
[67]立体障害のチオール基を有するメイタンシノイドの合成は、米国特許出願10/8
49,136号、特に同文献の図3を参照として記載することができる。
[68]本発明の1つの側面において、メイタンシノイドは立体障害のチオール基を含有し、式(II’−L)、(II’−D)、または(II’−D,L):
【0036】
【化2】

【0037】
により表される。式(II’)において、
’は
【0038】
【化3】

【0039】
を表す。
A、B、およびDは各々独立して、3から10の炭素原子を有する環式アルキルもしくは環式アルケニル、シンプルなアリールもしくは置換されたアリール、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルである。
【0040】
からR12は各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからR12はHであることができる。
【0041】
l、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuは各々独立して、0または1から5の整数である、ただしl、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuの少なくとも2つが双方ともゼロではない。
【0042】
MayはC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す。
[69]本発明に有用なもう1つのメイタンシノイドは、式(II−L)、(II−D)、または(II−D,L):
【0043】
【化4】

【0044】
により表される。式(II)において、

【0045】
【化5】

【0046】
を表す。
からRは各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルまたはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖または環式のアルキルまたはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、複素環式芳香族またはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからRはHであることができる。
【0047】
l、m、およびnは各々独立して、1から5の整数であり、そして加えてnは0であることができる。
MayはC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルに側鎖を持つメイタンシノールを表す。
【0048】
[70]もう1つの有用なメイタンシノイドを式4’:
【0049】
【化6】

【0050】
により表す。式中、置換基は上の式(II’)について定義したとおりである。
[71]もう1つの有用なメイタンシノイドを式4
【0051】
【化7】

【0052】
により表す。式中、置換基は上の式(II)について定義したとおりである。
[72]好ましくは、式中RがHでありRがメチルである、またはRおよびRがメチルである、上に記載した化合物のいずれかである。
【0053】
[73]特に好ましくは、式中RがHであり、Rがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;ならびにRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、上に記載した化合物のいずれかである。
【0054】
[74]さらにL−アミノアシル立体異性体が好ましい。
[75]1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルまたはアルケニルの例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、プロペニル、ブテニルおよびヘキセニルを含むがこれに限定されない。
【0055】
[76]3から10の炭素原子を有する分枝鎖のアルキルまたはアルケニルの例は、イソプ
ロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、1−エチル−プロピル、イソブテニルおよびイソペンテニルを含むがこれに限定されない。
【0056】
[77]3から10の炭素原子を有する環式のアルキルまたはアルケニルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、およびシクロヘキセニルを含むがこれに限定されない。
【0057】
[78]シンプルなアリールは6から10の炭素原子を有するアリールを含み、置換されたアリールは、1から4の炭素原子を含有する少なくとも1つのアルキル置換基、またはアルコキシ置換基 例えばメトキシ、エトキシ、またはハロゲン置換基またはニトロ置換基を有する6から10の炭素原子を有するアリールを含む。
【0058】
[79]6から10の炭素原子を含有するシンプルなアリールの例は、フェニルおよびナフチルを含むがこれに限定されない。
[80]置換されたアリールの例はニトロフェニル、ジニトロフェニルを含むがこれに限定されない。
【0059】
[81]複素環式芳香族ラジカルは、N、OまたはSより選択される1つまたは2つのヘテロ原子を含有する3から10員環を有する基を含む。
[82]複素環式芳香族ラジカルの例は、ピリジル、ニトロ−ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、チエニル、チアゾリル、およびフリルを含むがこれに限定されない。
【0060】
[83]ヘテロシクロアルキルラジカルは、N、OまたはSより選択される1つまたは2つのヘテロ原子を含有する3から10員環系を包含する環式化合物を含む。
[84]ヘテロシクロアルキルラジカルの例は、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、およびモルホリノを含むがこれに限定されない。
【0061】
[85]立体障害のチオール結合を含有する側鎖を包含する特に好ましいメイタンシノイドは、以下のメイタンシノイド、すなわちN2’−デアセチル−N2’−(4−メルカプト
−1−オキソペンチル)−メイタンシン(DM3と呼ぶ)およびN2’−デアセチル−N
2’−(4−メチル−4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン(DM4と呼ぶ)である。DM3およびDM4は以下の構造式:
【0062】
【化8】

【0063】
により表される。
【0064】
細胞結合物質
[86]治療薬としての本発明の化合物の有効性は、適当な細胞結合物質の注意深い選択に依存する。細胞結合物質は、現在知られている、または知られるようになるあらゆる種類の物質でよく、ペプチドおよび非ペプチドを含む。一般にこれらは抗体(特にモノクローナル抗体)、リンホカイン、ホルモン、増殖因子、ビタミン、栄養素を輸送する分子(例えばトランスフェリン)、または標的に特異的に結合するあらゆるそれ以外の細胞に結合する分子もしくは物質であることができる。
【0065】
[87]使用することのできる細胞結合物質のより具体的な例は以下を含むことができる:
完全なヒトの抗体を含む、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体;
単鎖の抗体(ポリクローナルおよびモノクローナル);
抗体のフラグメント(ポリクローナルおよびモノクローナル)、例えばFab、Fab’、F(ab’)、およびFv(Parham, 131 J. Immunol. 2895-2902 (1983); Spring
et al., 113 J. Immunol. 470-478 (1974); Nisonoff et al., 89 Arch. Biochem. Biophys. 230-244 (1960));
キメラ抗体および抗原に結合するそのフラグメント;
ラクダの抗体を含む、ドメイン抗体(dAbs)および抗原に結合するそのフラグメント(Desmyter et al., 3 Nature Struct. Biol, 752, 1996);
新たな抗原受容体と言われるサメの抗体(IgNAR)(Greenberg et al., 374 Nature, 168, 1995; Stanfield et al. 305 Science 1770-1773, 2004);
インターフェロン(例えばアルファ、ベータ、ガンマ);
リンホカイン 例えばIL−2、IL−3、IL−4、IL−6;
ホルモン 例えばインスリン、TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)、MSH(メラノサイト刺激ホルモン)、ステロイドホルモン 例えばアンドロゲンおよびエストロゲン;
増殖因子およびコロニー刺激因子 例えばEGF、TGF−アルファ、FGF、VEGF、G−CSF、M−CSFおよびGM−CSF(Burgess, 5 Immunology Today 155-158 (1984));
トランスフェリン(O’Keefe et al., 260 J. Biol. Chem. 932-937 (1985));および
ビタミン、例えばフォレート。
【0066】
[88]モノクローナル抗体の技術により、特異的なモノクローナル抗体の形で極めて特異的な細胞結合物質を産生することができる。当該技術分野において特に周知なのは、対象の抗原 例えば標的細胞そのもの、標的細胞から単離した抗原、ウイルス全体、弱毒化ウイルス全体、およびウイルスのタンパク質 例えばウイルスのコートタンパク質を用いて、マウス、ラット、ハムスターまたはその他のあらゆる哺乳動物を免疫することにより産生されるモノクローナル抗体を作成するための技術である。感作されたヒトの細胞もまた使用することができる。モノクローナル抗体を作成するもう1つの方法は、scFv(一本鎖可変部断片)、具体的にはヒトscFvのファージライブラリ(例えばGriffiths et
al., 米国特許第5,885,793号および5,969,108号;McCafferty et al., WO 92/01047;Liming et al., WO 99/06587を参照のこと)を使用することである。加えて、米国特許第5,639,641号に開示された表面再修飾した(resurfaced)抗体もまた、ヒト化抗体として使用してよい。
【0067】
[89]適当な細胞結合物質の選択は、標的とすべき特定の細胞集団に依存する選択の問題であるが、一般的なヒトのモノクローナル抗体で、適当な1つが利用できれば好ましい。
[90]例えばモノクローナル抗体J5は、共通急性リンパ芽球性白血病抗原(Common Acute Lymphoblastic Leukemia Antigen)(CALLA)に対して特異的であるネズミIg
G2a抗体(Ritz et al, 283 Nature 583-585 (1980))であるが、標的細胞がCALL
Aを発現する場合、例えば急性リンパ芽球性白血病の疾患において使用することができる。
【0068】
[91]モノクローナル抗体MY9は、CD33抗原に特異的に結合するネズミIgG抗体(J.D. Griffin et al 8 Leukemia Res., 521 (1984))であるが、急性骨髄性白血病(AML)の疾患におけるように標的細胞がCD33を発現する場合に使用することができる。
【0069】
[92]同様に、互換性をもってB4とも言われるモノクローナル抗体抗B4は、B細胞上のCD19抗原に結合するネズミIgG(Nadler et al, 131 J. Immunol. 244-250 (1983))であるが、標的細胞がB細胞、またはこの抗原を発現する罹患した細胞である場合、例えば非ホジキンリンパ腫または慢性リンパ芽球性白血病において使用することができる。
【0070】
[93]加えてCanAg抗原に結合するモノクローナル抗体C242(米国特許第5,552,293号)を使用して、CanAgを発現する腫瘍、例えば結腸直腸癌、膵臓癌、非小細胞肺癌、および胃癌を治療することができる。huC242は、米国特許第5,552,293号に記載されているヒト化モノクローナル抗体C242であり、これに関してはハイブリドーマがECACC同定番号90012601にて保管されている。ヒト化は、CDRグラフティング法(米国特許第5,585,089号;5,693,761号;および5,693,762号)、または表面再修飾する(resurfacing)方法(米国特
許第5,639,641号)のいずれかを適用することにより調製することができる。huC242を使用してもまた、CanAgを発現する腫瘍、例えば結腸直腸癌、膵臓癌、非小細胞肺癌、および胃癌を治療することができる。
【0071】
[94]さらに抗体のトラスツツマブ(trastuzumab)を使用して、乳癌ならびにHer2抗
原を発現する前立腺癌および卵巣癌のようなその他の癌、を治療することができる。
[95]インスリン増殖因子受容体に結合する抗IGF−IR抗体もまた有用である。
【0072】
[96]卵巣癌および前立腺癌を、例えば各々抗MUC1抗体、例えば抗HMFG−2(Taylor-Papadimitriou et al., 28. Int. J. Cancer 17-21, 1981)またはhCTM01(56 Cancer Res. 5179-5185, 1996)、および抗PSMA(前立腺に特異的な膜抗原)、例
えばJ591(Liu et al. 57 Cancer Res. 3629-3634, 1997)を用いて、それぞれうま
く標的とすることができる。
【0073】
[97]抗体でない分子を使用してもまた特異的な細胞集団を標的とすることができる。例えば骨髄細胞に結合するGM−CSFを細胞結合物質として使用して、急性骨髄性白血病由来の罹患した細胞を標的とすることができる。加えて活性化T細胞に結合するIL−2を、移植片拒絶の予防、移植片対宿主病の治療および予防、および急性T細胞白血病の治療用に使用することができる。メラノサイトに結合するMSHは、黒色腫の治療用に使用することができる。葉酸を使用して、卵巣腫瘍およびその他の腫瘍上に発現される葉酸受容体を標的とすることができる。表皮増殖因子(EGF)を使用して、扁平上皮細胞癌、例えば肺癌ならびに頭部および頸部の癌を標的とすることができる。ソマトスタチンを使用して、神経芽腫およびその他の腫瘍のタイプを標的とすることができる。乳癌および精巣癌は、各々細胞結合物質としてエストロゲン(もしくはエストロゲン類似体)またはアンドロゲン(もしくはアンドロゲン類似体)を用いて、うまく標的とすることができる。
【0074】
(架橋試薬)
[98]メイタンシノイドは、反応させた時にメイタンシノイドおよび細胞結合物質の間に非開裂リンカーを形成する架橋試薬を使って、細胞結合物質に連結される。
【0075】
[99]本明細書において使用する場合“リンカー”は、細胞結合物質を共役結合によりメ
イタンシノイドに連結するあらゆる化学的部分である。一部の場合には、リンカー部分はメイタンシノイドにより提供される。例えばチオールを含有するメイタンシノイドであるDM1(図2)は、天然のメイタンシノイドであるメイタンシンの誘導体であるが、リンカー部分を提供する。メイタンシンのC−3ヒドロキシル基での側鎖は末端が−CO−CHであり、DM1の側鎖は末端が−CO−CH−CH−SHである。したがって最終的なリンカーは2つの部分、すなわち細胞結合物質に導入された架橋試薬およびDM1由来の側鎖から組み立てられる。
【0076】
[100]開裂可能なリンカーはマイルドな条件下、すなわちメイタンシノイド薬剤の活性
に影響を及ぼさない条件下、で開裂することのできるリンカーである。多くの公知のリンカーがこのカテゴリーに含まれ、そしてこれらを以下に記載する。
【0077】
[101]ジスルフィドを含有するリンカーは、生理学的条件下で起こり得るジスルフィド
交換を通して開裂可能なリンカーである。
[102]酸に不安定なリンカーは、酸性のpHで開裂可能なリンカーである。例えばある
種の細胞内の一区画、例えばエンドソームおよびリソソームは、酸性のpH(pH4−5)を有しており、酸に不安定なリンカーを開裂するのに適する条件を提供する。
【0078】
[103]光に不安定なリンカーは、体表面でおよび光の届き得る多くの体腔において有用
である。さらに赤外光は組織を透過することができる。
[104]いくつかのリンカーはペプチダーゼにより開裂することができる。ある種のペプ
チドのみしか細胞内部または外部で容易に開裂されない。例えばTrouet et al., 79 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 626-629 (1982)およびUmemoto et al. 43 Int. J. Cancer, 677-684 (1989)を参照のこと。さらにペプチドはα−アミノ酸およびペプチド結合から成り、ペプチド結合は化学的には1つのアミノ酸のカルボキシレートおよび第2のアミノ酸のα−アミノ基間のアミド結合である。その他のアミド結合、例えばカルボキシレートおよびリジンのε−アミノ基間の結合は、ペプチド結合ではないと理解されており、開裂可能でないと考えられている。
【0079】
[105]いくつかのリンカーはエステラーゼにより開裂することができる。やはりある種
のエステルのみしか、細胞内部または外部に存在するエステラーゼにより開裂することはできない。エステルはカルボン酸およびアルコールの縮合により形成される。シンプルなエステルは、シンプルなアルコール、例えば脂肪族アルコール、ならびに小さな環式アルコールおよび小さな芳香族アルコールにより生成されるエステルである。例えば本発明では、エステルのアルコール成分であるメイタンシノールが非常に大きく複雑であるため、メイタンシンのC−3のエステルを開裂するエステラーゼを発見することはできなかった。
【0080】
[106]非開裂リンカーは、安定な共有結合の様式でメイタンシノイドを細胞結合物質に
連結することができ、開裂可能なリンカーとして上に列記したカテゴリーに含まれないあらゆる化学的な部分である。したがって非開裂リンカーは、酸に誘発される開裂、光に誘発される開裂、ペプチダーゼに誘発される開裂、エステラーゼに誘発される開裂、およびジスルフィド結合の開裂に対して実質的に耐性がある。
【0081】
[107]開裂に対して“実質的に耐性がある”ことは、細胞結合物質メイタンシノイド複
合体母集団の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、なおより好ましくは少なくとも95%、そして最も好ましくは少なくとも99%のリンカーの化学的結合またはリンカーに隣接する化学的結合が、酸、光感受性(photolabile)開裂物質、ペプチダーゼ、エステラーゼ、または開裂可能なリンカーの化学的結
合(例えばジスルフィド結合)を開裂する化学的化合物もしくは生理学的化合物によって
、上に記載した物質のいずれかによる処理の数時間から数日間の範囲内で、非開裂を維持することを意味する。
【0082】
[108]さらに“非開裂”は、メイタンシノイドまたは細胞結合物質がその活性を失わな
い条件で、酸、光感受性開裂物質、ペプチダーゼ、エステラーゼ、またはジスルフィド結合を開裂する化学的化合物もしくは生理学的化合物により誘発される開裂に耐える、リンカーの化学的結合またはリンカーに隣接する化学的結合の能力を言う。
【0083】
[109]当業者は、開裂可能なリンカーから非開裂リンカーを容易に識別することだろう

[110]リンカーが開裂に対して実質的に耐性があるかどうかを検査するための適当なコ
ントロールの一例は、上に記載した物質のいずれかにより開裂されやすい化学的結合、例えばジスルフィド結合を含むリンカーである。リンカーが開裂に対して実質的に耐性があるかどうかは、ELISA、HPLC、またはその他の適切な手段により、数時間から数日間、典型的には4時間から5日間に及ぶ時間にわたり複合体の安定性を測定することにより、検査することができる。ELISAアッセイを使用して、血漿濃度における安定な複合体のレベルを測定することができる。
【0084】
[111]非開裂リンカーはまた、非開裂リンカーを包含する複合体のin vivoの半減期が開裂可能なリンカーを包含する複合体の値より、一般に約20%高いという特徴がある。マウスにおいて、非開裂リンカーを介して連結したIgG−メイタンシノイド複合体のin vivoの半減期は、少なくとも4日である。
【0085】
[112]メイタンシノイドおよび細胞結合物質の間に、非開裂リンカーを形成する適切な
架橋試薬は当業界において周知であり、イオウ原子を包含する(例えばSMCC)またはイオウ原子を含まない非開裂リンカーを形成することができる。
【0086】
[113]メイタンシノイドおよび細胞結合物質の間に非開裂リンカーを形成する好ましい
架橋試薬は、マレイミドまたはハロアセチルを基本とする部分を包含する。本発明に従って、そのような非開裂リンカーはマレイミドまたはハロアセチルを基本とする部分から誘導されると言う。マレイミドを基本とする部分を包含する架橋試薬は、N−スクシンイミジル4−(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC)、SMCCの“長鎖”類似体であるN−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシ−(6−アミドカプロエート) (LC−SMCC)、κ−マレイミ
ドウンデカン酸N−スクシンイミジルエステル(KMUA)、γ−マレイミド酪酸N−スクシンイミジルエステル(GMBS)、ε−マレイミドカプロン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、N−(α−マレイミドアセトキシ)−スクシンイミドエステル[
AMAS]、スクシンイミジル−6−(β−マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート
(SMPH)、N−スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)−ブチレート(SMPB)、およびN−(p−マレイミドフェニル)イソシアネート(PMPI)を含む(マレイミドを基本とする架橋試薬の代表的な構造については図15を参照のこと)。これらの架橋試薬はマレイミドを基本とする部分から誘導される非開裂リンカーを形成する。
【0087】
[114]ハロアセチルを基本とする部分を包含する架橋試薬は、N−スクシンイミジル−
4−(ヨードアセチル)−アミノベンゾエート(SIAB)、N−スクシンイミジルヨードアセテート(SIA)、N−スクシンイミジルブロモアセテート(SBA)およびN−スクシンイミジル3−(ブロモアセトアミド)プロピオネート(SBAP)を含む(ハロアセチルを基本とする架橋物質の代表的な構造については図16を参照のこと)。 これら
の架橋試薬はハロアセチルを基本とする部分から誘導される非開裂リンカーを形成する。
【0088】
[115]図15および図16に記載した活性なエステルは、N−ヒドロキシスクシンイミ
ジルおよびスルホスクシンイミジルのエステルから成るが、他の活性なエステル、例えばN−ヒドロキシフタルイミジルエステル、N−ヒドロキシスルホフタルイミジルエステル、オルト−ニトロフェニルエステル、パラ−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、3−スルホニル−4−ニトロフェニルエステル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、およびスルホニルテトラフルオロフェニルエステルもまた使用することができる。
【0089】
[116]特に好ましい架橋試薬は、イオウ原子を含有しない非開裂リンカーを形成する。
図21は、α、ω−ジカルボン酸(アルカンまたはアルケンが3−24の炭素原子を有するアルカン二酸またはアルケン二酸)から誘導される、架橋物質を用いて誘導体化したメイタンシノイド分子を示す。細胞結合物質と反応させると、架橋試薬はイオウを含まない非開裂リンカー(Sを含有しない非開裂リンカー)を形成することになる。
【0090】
[117]図21のメイタンシノイド分子は、以下のように製造する。最初にアジピン酸(
ヘキサン二酸または1,6−ヘキサンジカルボン酸としても知られる)のモノエステルを、ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下で、1当量の2−トリメチルシリルエタノールを用いて処理することにより調製する。イソブチルクロロホルメートを用いて残っているカルボン酸基を活性化し、続いてN−メチル−L−アラニンと反応させ、アシル化したN−メチル−L−アラニンを提供する。ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび塩化亜鉛の存在下でメイタンシノールと反応させ、続いてテトラブチルアンモニウムフルオリドを用いてトリメチルシリル保護基を除去し、フリーのカルボキシ基を持つメイタンシノイドエステルを提供する。ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下でのスルホN−ヒドロキシスクシンイミドとの反応による、カルボキシル基のエステル化により、細胞結合物質と反応することのできるメイタンシノールの活性なエステルを提供し、イオウ原子を含有しない非開裂複合体を得る。
【0091】
[118]イオウ原子を含有しない非開裂リンカーはまた、上に記載した方法を用いて他の
ジカルボン酸を基本とする部分から誘導することもできる。他の適切なジカルボン酸を基本とする部分として、一般式(IV)のα、ω−ジカルボン酸:
【0092】
【化9】

【0093】
を含むがこれに限定されない。
[119]式(IV)においてXは、2から20の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のア
ルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、Yは3から10の炭素原子を持つシクロアルキル基またはシクロアルケニル基であり、Zは6から10の炭素原子を持つ置換されたもしくは置換されていない芳香族の基、またはヘテロ原子がN、OもしくはSより選択される置換されたもしくは置換されていない複素環式の基であり、そして式中l、mおよびnは各々0または1であるが、ただしそれらすべてが同時に0ではない。
【0094】
[120]Sを含有しない非開裂リンカーを有する複合体を形成するために、細胞結合物質
と直接反応させることのできる活性なエステルを含有する誘導体化したメイタンシノイドは、式5:
【0095】
【化10】

【0096】
により表すことができ、
式中X、Y、Z、l、mおよびnはすべて上の式(IV)について定義したとおりであり、さらに式中Eはカルボニル基と共に活性なエステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルおよびスルホスクシンイミジルのエステル、N−ヒドロキシフタルイミジルエステル、N−ヒドロキシスルホフタルイミジルエステル、オルト−ニトロフェニルエステル、パラ−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、3−スルホニル−4−ニトロフェニルエステル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、およびスルホニルテトラフルオロフェニルエステルを形成する。
【0097】
[121]好ましくは式6により表される誘導体化したメイタンシノイド:
【0098】
【化11】

【0099】
であり、式中nは3から24の整数を表し、Eは式5のメイタンシノイドについてと同様の定義を有する。
[122]より好ましい態様は、式7により表される誘導体化したメイタンシノイド:
【0100】
【化12】

【0101】
であり、
式中RはHまたはSONaである。
[123]式5、6、および7の化合物は、新規メイタンシノイドである。
【0102】
[124]2から20の炭素原子を有する直鎖のアルキル基、アルケニル基、またはアルキ
ニル基の例は、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、プロペニル、ブテニルおよびヘキセニルを含むがこれに限定されない。
【0103】
[125]2から20の炭素原子を有する分枝鎖のアルキル基、アルケニル基、またはアル
キニル基の例は、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、1−エチル−プロピル、イソブテニル、イソペンテニル、エチニル、プロピニル(プロパルギル)、1−ブチニル、2−ブチニル、および1−ヘキシニルを含むがこれに限定されない。
【0104】
[126]3から10の炭素原子を有するシクロアルキル基またはシクロアルケニル基の例
は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、およびシクロヘプタジエニルを含むがこれに限定されない。
【0105】
[127]6から10の炭素原子を含有する芳香族の基の例は、フェニルおよびナフチルを
含むがこれに限定されない。
[128]置換された芳香族の基の例は、ニトロフェニルおよびジニトロフェニルを含むが
これに限定されない。
【0106】
[129]複素環式芳香族の基は、N、OまたはSより選択される1つまたは2つのヘテロ
原子を含有する、3から10員環を有する基を含むがこれに限定されない。
[130]置換されたおよび置換されていない複素環式芳香族の基の例は、ピリジル、ニト
ロ−ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、チエニル、チアゾリル、およびフリルを含むがこれに限定されない。
【0107】
[131]ヘテロシクロアルキルラジカルは、N、OまたはSより選択される1つまたは2
つのヘテロ原子を含有する、3から10員環系を包含する環式化合物を含むがこれに限定されない。
【0108】
[132]ヘテロシクロアルキルラジカルの例は、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、
テトラヒドロピロリル、ピペリジニル、ピペラジニル、およびモルホリノを含むがこれに限定されない。
【0109】
[133]一般式HOOC−X−Y−Z−COOHのα、ω−ジカルボン酸の例は、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、ヘキセン−1,6−二酸、ペンテン−1,5−二酸、シクロヘキサン−二酸、およびシクロヘキセン−二酸を含むがこれに限定されない。
【0110】
細胞毒性の複合体の合成
[134]細胞結合物質およびメイタンシノイドの複合体は、現在公知のまたは今後開発さ
れるあらゆる技術を用いて形成することができる。
【0111】
[135]細胞結合物質をメイタンシノイドと複合体化する方法は、一般に2段階の反応ス
テップを伴う。米国特許第5,208,020号に記載されている1つの方法において、細胞結合物質、例えば抗体を、架橋試薬を用いて修飾して、1つまたはそれより多く、通常1−10の反応基を導入することができる。次に修飾された細胞結合物質を1つまたはそれより多くのチオールを含有するメイタンシノイドと反応させて、複合体を生成する。
【0112】
[136]あるいは米国特許第6,441,163 B1号に開示されているように、チオ
ールを含有するメイタンシノイドを初めに架橋試薬で修飾し、続いて修飾されたメイタンシノイドを細胞結合物質と反応させることができる。例えばチオールを含有するメイタンシノイドを、図15に記載したマレイミド化合物と、または図16に記載したハロアセチル化合物と反応させ、活性なスクシンイミジルエステルまたはスルホスクシンイミジルエステルを持つメイタンシノイドチオエーテルを得ることができる。活性化されたリンカー部分を含有するこれらのメイタンシノイドを、細胞結合物質と反応させることにより、非開裂の細胞結合物質メイタンシノイド複合体を生成するもう1つの方法を提供する。
【0113】
[137]本発明のもう1つの側面において、上に開示したように、イオウ原子を含有しな
いメイタンシノイドを、ジカルボン酸を基本とする架橋試薬により初めに誘導体とし、続いて細胞結合物質と反応させて、Sを含有しない非開裂リンカーを介してメイタンシノイドが細胞結合物質に連結されている複合体を形成することができる。
【0114】
[138]典型的には1抗体当たり平均して1−10のメイタンシノイドが連結される。複
合体はSephadex G-25カラムを通して精製することができる。
[139]米国特許第5,208,020号および6,441,163 B1号の全開示を
特に本明細書において参照として援用する。
【0115】
[140]本発明の代表的な複合体は、抗体−メイタンシノイド誘導体、抗体フラグメント
−メイタンシノイド誘導体、増殖因子−メイタンシノイド複合体 例えば表皮増殖因子(EGE)−メイタンシノイド誘導体、ホルモン−メイタンシノイド複合体 例えばメラノサイト刺激ホルモン(MSH)−メイタンシノイド誘導体、甲状腺刺激ホルモン(TSH)−メイタンシノイド誘導体、エストロゲン−メイタンシノイド誘導体、エストロゲン類似体−メイタンシノイド誘導体、アンドロゲン−メイタンシノイド誘導体、アンドロゲン類似体メイタンシノイド誘導体、およびビタミン−メイタンシノイド複合体 例えば葉酸エステル(folate)メイタンシノイドである。
【0116】
[141]抗体、抗体フラグメント、タンパク質のホルモン、タンパク質の増殖因子および
その他のタンパク質のメイタンシノイド複合体も、同様の方法で作成する。例えばペプチドおよび抗体は、上述の非開裂架橋試薬で修飾することができる。文献に記載されているように、バッファー水溶液中の抗体の溶液を過剰モルの抗体を修飾する架橋試薬、例えばスクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、スルホ−SMCC、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、スルホ−MBS、スクシンイミジル−ヨードアセテート、またはN−スクシンイミジル−4−(ヨードアセチル)−アミノベンゾエート(SIAB
)、SMCCの“長鎖”類似体であるN−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチ
ル)−シクロヘキサン−1−カルボキシ−(6−アミドカプロエート) (LC−SMCC)、スルホ−LC−SMCC、κ−マレイミドウンデカン酸N−スクシンイミジルエステル(KMUA)、スルホ−KMUA、γ−マレイミド酪酸N−スクシンイミジルエステル(GMBS)、スルホ−GMBS、ε−マレイミドカプロン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)、スルホ−EMCS、N−(α−マレイミドアセトキシ)−スクシンイミドエステル(AMAS)、スルホ−AMAS、スクシンイミジル−6−(β−マレ
イミドプロピオンアミド)ヘキサノエート(SMPH)、スルホ−SMPH、N−スクシ
ンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)−ブチレート(SMPB)、スルホ−SMPH、N−(p−マレイミドフェニル)イソシアネート(PMPI)、N−スクシンイミジル−4−(ヨードアセチル)−アミノベンゾエート(SIAB)、N−スクシンイミジルヨードアセテート(SIA)、N−スクシンイミジルブロモアセテート(SBA)、およびN−スクシンイミジル3−(ブロモアセトアミド)プロピオネート(SBAP)と共にインキュベーションしてよい。Yoshitake et al., 101 Eur. J. Biochem. 395-399 (1979); Hashida et al., J. Applied Biochem. 56-63 (1984); およびLiu et al., 18 690-697 (1979); Uto et al., 138 J. Immunol. Meth. 87-94 (1991); Rich et al. 18 J. Med. Chem.
1004-1010 (1975); Kitagawa and Aikawa, 79 J. Biochem. (Tohyo) 233-236 (1976); Tanimori et al., 62 J. Immunol. Meth. 123-128 (1983); Higashida et al., 6 J. Appl. Biochem. 56-63 (1984); Thorpe et al., 140 Eur. J. Biochem. 63-71 (1984), Chrisey et al. 24 Nucl. Acid Res. 3031-3039 (1996), Annunziato et al., 4 Bioconjugate
Chem. 212-218 (1993), Rector et al., 24 J. Immunol. Meth. 321-336 (1978)、およ
びInman et al. 2 Bioconjugate. Chem. 458-463 (1991)を参照のこと。
【0117】
[142]次に修飾された抗体を、チオールを含有するメイタンシノイド(1.25モル等
量/マレイミド基またはヨードアセチル基)で処理して、複合体を生成する。混合液を一
晩、約4℃でインキュベーションする。抗体−メイタンシノイド複合体を、Sephadex G-25カラムを通してのゲル濾過により精製する。1抗体分子当たりに結合したメイタンシノ
イド分子の数は、分光光度計で252nmおよび280nmの吸光度の比率を測定することにより決定することができる。典型的には1抗体当たり平均して1−10のメイタンシノイドが連結される。
【0118】
[143]好ましい方法は、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサ
ン−1−カルボキシレート(SMCC)で抗体を修飾してマレイミド基を導入し、続いて修飾された抗体の、チオールを含有するメイタンシノイドとの反応により、チオエーテルで連結した複合体を得ることである。やはり1抗体分子当たり1から10の薬剤分子を伴う複合体が得られる。抗体−メイタンシノイド複合体の例を図17−20に示す。
【0119】
[144]同様に例えば、エストロゲンおよびアンドロゲンの細胞結合物質 例えばエスト
ラジオールおよびアンドロステンジオールは、適当に保護されたチオール基を含有するカルボン酸クロリド 例えば3−S−アセチルプロパノイルクロリドと反応させることにより、C−17ヒドロキシ基でエステル化することができる。エステル化のその他の方法についても、文献(Haslam, 36 Tetrahedron 2400-2433 (1980))に記載されている様に利
用することができる。次に保護されたまたはフリーのチオールを含有するアンドロゲンまたはエストロゲンを、チオールを含有するメイタンシノイドと反応させて、複合体を生成することができる。複合体はシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーまたはHPLCにより精製することができる。
【0120】
[145]特定の好ましい方法は、いかなるイオウ原子も含有しない結合を結果的に得られ
る架橋試薬でメイタンシノールを修飾し、続いて修飾されたメイタンシノイドを抗体と反応させることにより複合体を生成するものである。
【0121】
本発明の細胞毒性複合体の治療効能
[146]本発明の細胞結合物質メイタンシノイド複合体を、in vitro で多様な細胞株の増殖を抑制するそれらの能力について評価することができる。例えば、細胞株 例えばヒト結腸癌株COLO205、ヒト黒色腫細胞株A375、ヒト骨髄性白血病細胞株HL60、ヒト乳癌株SKBR3、またはヒト表皮癌細胞株KBを、これらの複合体の細胞毒性の評定のために使用することができる。評価する細胞を、24時間化合物に暴露させ、生存している細胞の分画を公知の方法による直接的なアッセイで測定することができる。(例えば、Goldmacher et al., 135 J. Immunol. 3648-3651 (1985)、およびGoldmacher et al., 102 J. Cell Biol. 1312-1319 (1986)を参照のこと。)次にIC50値をアッセイの結果から算出することができる。
【0122】
[147]高い細胞毒性は、in vitroでSKBR3細胞を用いて薬剤への24時間暴露で測
定したときに、約10−8Mまたはそれ未満のIC50(0.5の生存している分画が残る毒性物質の阻害濃度)を有する毒性を示すものとして定義することができる。
【0123】
[148]本発明の抗体−メイタンシノイド複合体のin vitroの効能および標的特異性を図
4に示す。架橋試薬SMCCを用いてのhuC242のDM1との複合体は、3.5×10−12MのIC50値を有する、抗原陽性のSKBR3細胞を破壊する高い効能がある。反対に抗原陰性のA375細胞には800分の1未満の感受性であり、本発明のメイタンシノイド複合体が高い効能および特異性があることを立証している。
【0124】
[149]huC242−SMCC−DM1複合体は、クローン原性アッセイ(図6A−C
)および間接的な細胞毒性アッセイ(図7)において、ジスルフィドを含有するリンカーを用いて調製した複合体と比較した場合、等しいかまたはそれより高い効能があった。SMCCを介してメイタンシノイドに複合体化した抗Her2抗体が特異的な活性を示さなかったことを立証する以前に公開されたデータ(Chari et al., 52 Cancer Res. 127-133
(1992))に基づけば、これらの結果は予想外であった。
【0125】
[150]SMCCという非開裂リンカーを用いて調製された複合体の活性は、huC24
2の複合体に限定されない。in vitroの特異的な活性はまた、抗Her2抗体のトラスツツマブ;抗CD33抗体のMy9−6;抗EGFR抗体のKS77;および抗CD56抗体のN901の、SMCC−DM1複合体でも観察された(図8A−Dおよび25)。
【0126】
[151]加えてin vitroで特異的な活性を示す非開裂リンカーを用いた複合体は、SMC
Cリンカーに限定されない。非開裂リンカーSIABを用いて合成したDM1のhuC242複合体は、in vitroのクローン原性アッセイにおいて効能および抗原特異的な細胞毒性を示した(図9)。さらにSIABを用いて合成したDM1のトラスツツマブ複合体もまた、クローン原性アッセイにおいて細胞毒性があった(図28)。さらにhuC242−Sを含有しない非開裂リンカー−DM1複合体もまた、in vitroのクローン原性アッセイにおいて効能および抗原特異的細胞毒性が立証された(図22)。
【0127】
[152]SMCCリンカーを用いてのDM1との抗体の複合体は、マウスにおいて、ヒト
腫瘍の異種移植片に対する抗腫瘍効能を示す(図10A−C)。SNU16胃腫瘍の異種移植片の、huC242−SMCC−DM1による治療での、腫瘍の成長の顕著な阻害が観察された(図10A)。この抗腫瘍活性は、薬剤の毒性の基準であるマウスの体重に影響を及ぼさない複合体の用量で観察されている。COLO205結腸癌腫瘍の異種移植片を有するマウスの、huC242−SMCC−DM1複合体による治療は、腫瘍の完全な緩解をもたらし、何頭かのマウスは治療後2ヶ月にわたり検出可能な腫瘍が認められないままであった(図10B)。やはりこの活性も、マウスの体重に影響を示さない複合体の
濃度で観察された。トラスツツマブ−SMCC−DM1複合体もまた、MCF−7乳癌細胞株を用いたマウスの腫瘍異種移植片モデルにおいて、有意な腫瘍の緩解を示した(図10C)。
【0128】
[153]非開裂リンカーSMCCを用いて合成した抗体−メイタンシノイド複合体の血漿
クリアランスは非常に遅く、抗体単独のクリアランスに匹敵する。このことは、相対的に変化しやすいジスルフィド結合を用いて調製した複合体、例えばhuC242−SPP−DM1の血漿クリアランスと明確な対比をなす。例えばSMCC複合体のクリアランスの半減期はおよそ320時間であり、一方SPP複合体の半減期は40−50時間の範囲内である(図11)。しかし各タイプの複合体に関する抗体成分のクリアランスは一致しており、測定された複合体のクリアランス速度の差異が、SPP−DM1複合体の場合、抗体複合体からのメイタンシノイドの喪失によるものであることを示唆する。したがって非開裂SMCCの結合はSPP−DM1複合体に比して、in vivo に存在するメイタンシノイド−リンカー開裂活性に対して、はるかに大きな耐性がある。さらにSPP−DM1複合体に比してSMCCで連結した複合体の低下したクリアランス速度は、薬物濃度曲線下面積(AUC)により測定した場合、動物のメイタンシノイドへの暴露全体においてほぼ5倍の増加をもたらすことになる。この増加された暴露が、一部の場合には薬剤の効能への実質的なインパクトを有することができるだろう。
【0129】
[154]非開裂リンカー 例えばSMCCを用いて調製したメイタンシノイド複合体は、
開裂可能なジスルフィドリンカーを用いて調製した複合体と比較して、マウスにおいて予想外の増加した許容性を示す。1回の静脈内投与による急性毒性検査を、メスCD−1マウスにて行った。huC242−SMCC−DM1複合体(非開裂)の、開裂可能なジスルフィド結合を含有するリンカーを用いて調製したhuC242複合体との許容性の比較を、各複合体の一連の4段階の用量増加にわたる、マウスの死亡(図12AおよびB)および毒性の兆候(図12CおよびD)をモニターすることにより行った。SMCC−DM1複合体に関する最大耐用量(MTD)は、検査した最大用量(150mg/kg)より
高かったが、ジスルフィドで連結した複合体であるSPP−DM1に関するMTDは、45−90mg/kgの範囲内であった。150mg/kgでSMCC−DM1治療群のすべてのマウスは生存していたが、SPP−DM1治療群のすべてのマウスに関しては治療後96時間までに致死的毒性であることが観察された。
【0130】
[155]メイタンシノイド複合体は、微小管の重合の阻害を通してそれらの細胞を破壊す
る活性を及ぼすと考えられている。この微小管の重合の阻害は、細胞周期を主としてG2/Mで停止させることになる。抗体−メイタンシノイド複合体による細胞の抗原依存性の
G2/M2での停止は、フローサイトメトリーの分析によりモニターすることができる(
図13)。huC242−SPP−DM1複合体またはhuC242−SMCC−DM1複合体によるCOLO205細胞の処理は、6−10時間までにG2/Mでの完全な停止
をもたらす。しかし処理後30時間までに、ジスルフィドで連結したhuC242−SPP−DM1複合体での処理により停止された細胞の一部は、細胞周期の停止から脱して細胞分裂を再開している。驚くことに非開裂複合体で処理した細胞は、この後者のタイムポイントで細胞周期の阻止から脱していない。これら2つの複合体の活性の持続性の差異はまた、トリパンブルーを用いての色素排除アッセイにより判定した場合の、30時間のタイムポイントで死滅した細胞の比率にも反映されている。これらの結果は、非開裂SMCCリンカー複合体での処理により導入される分子レベルの事象の予想外の持続性を立証している。
【0131】
[156]開裂可能なジスルフィドリンカーを有する複合体と比較しての、非開裂リンカー
を用いて調製した複合体の付加的な側面は、本明細書でバイスタンダー効果と言う、抗原陽性細胞に近接している場合に抗原陰性細胞に対する活性、を示さないことである。すな
わち非開裂リンカーを用いて調製した複合体は、最小のバイスタンダー活性を有する。huC242−SPP−DM1(開裂可能)複合体およびhuC242−SMCC−DM1(非開裂)複合体の双方とも、別々に培養した場合には、抗原陽性COLO205細胞株に対して効能のある細胞破壊活性を示し、抗原陰性細胞株であるNamalwaに対しては活性
を有していない。しかしCOLO205細胞およびNamalwa細胞の共培養での、huC2
42−SPP−DM1による処置は、抗原陰性Namalwa細胞に対してさえも複合体の劇的
な細胞破壊活性を現した。反対にhuC242−SMCC−DM1複合体は、これらの条件下でそのようないかなるバイスタンダー活性も示されていない。Namalwa細胞に対して
細胞破壊活性を示さないことが、抗原陽性COLO205細胞と共溶媒した場合でさえも、huC242−SMCC−DM1複合体で観察されている。このin vitroアッセイで測定した際の、非開裂複合体のこの最小のバイスタンダー活性が、急性毒性試験で観察された非開裂リンカーを用いた複合体の増加した許容性に寄与しているのかもしれない。
【0132】
[157]上の実験の結果は、本発明の非開裂リンカーを用いたメイタンシノイド複合体が
、以前に記載された細胞結合物質メイタンシノイド複合体と比較して、大幅に改善された抗腫瘍活性を保有することを立証している。
【0133】
(使用方法)
[158]上に記載した複合体は、選択された細胞集団を標的としてメイタンシノイドを向
かわせるための方法であって、当該方法は選択された細胞集団を含有すると推測される細胞集団または組織を、細胞結合物質メイタンシノイド複合体と接触させることを包含し、その場合1つまたはそれより多くのメイタンシノイドは、非開裂リンカーを介して細胞結合物質に共有結合で連結され、そして当該細胞結合物質が選択された細胞集団の細胞に結合する、前記方法において使用することができる。
【0134】
[159]上に記載した複合体はまた、細胞を破壊する方法であって、当該方法は細胞を、
細胞結合物質メイタンシノイド複合体と接触させることを包含し、その場合1つまたはそれより多くのメイタンシノイドは、非開裂リンカーを介して細胞結合物質に共有結合で連結され、そして当該細胞結合物質が細胞に結合する、前記方法において使用することができる。
【0135】
[160]上に記載した複合体はまた、悪性腫瘍、自己免疫疾患、移植片拒絶、移植片対宿
主病、ウイルス感染、微生物感染、および寄生体感染を含むがこれに限定されない病気の治療法であって、当該方法は治療を必要とする被験者に、細胞結合物質メイタンシノイド複合体の有効量を投与することを包含し、その場合1つまたはそれより多くのメイタンシノイドは、非開裂リンカーを介して細胞結合物質に共有結合で連結され、そして当該細胞結合物質が病気の罹患した細胞または感染した細胞に結合する、前記方法において使用することができる。
【0136】
[161]本発明の方法に従って治療することのできる医学的な状態の例は、例えば肺、乳
房、結腸、前立腺、腎臓、膵臓、卵巣、およびリンパ系器官の癌;自己免疫疾患、例えば全身性狼瘡、慢性関節リウマチ、および多発性硬化症;移植片拒絶、例えば腎移植拒絶、肝移植拒絶、肺移植拒絶、心移植拒絶、および骨髄移植拒絶;移植片対宿主病;ウイルス感染、例えばCMV感染、HIV感染、AIDS等;ならびに寄生体感染、例えばランブル鞭毛虫症、アメーバ症、住血吸虫症、および当業者により決定されるようなその他の疾患を含むあらゆるタイプの悪性疾患を含むがこれに限定されない。
【0137】
[162]本方法は、in vitroまたは in vivoで行うことができる。
[163]上に記載した複合体は、例えば自己由来骨髄細胞を同一患者への移植前に、罹患
した細胞もしくは悪性細胞を破壊する目的で処理する;骨髄細胞もしくはその他の組織を
移植前に、T細胞およびその他のリンパ細胞を破壊し、移植片対宿主病(GVHD)を予防する目的で処理する;標的抗原を発現しない、所望のバリアント以外のすべての細胞を破壊する目的で細胞培養物を処理する;または所望でない抗原を発現するバリアントの細胞を破壊する目的で細胞培養物を処理する;ためのin vitroで使用する方法であって、当該方法は細胞結合物質メイタンシノイド複合体の有効量で細胞を処置することを包含し、その場合1つまたはそれより多くのメイタンシノイドは、非開裂リンカーを介して細胞結合物質に共有結合で連結され、そして当該細胞結合物質が破壊すべき細胞に結合する、前記方法において使用することができる。
【0138】
[164]in vitroで臨床的および非臨床的に使用する状態は、当業者により容易に決定さ
れる。
[165]例えば処置は以下のように実行することができる。骨髄を患者または他の個体か
ら採取した後、本発明の細胞毒性物質を約10pMから1nMの濃度範囲で添加した血清を含有する培地中で、約30分から約48時間の間、約37℃でインキュベーションする。インキュベーションの濃度および時間の正確な条件、すなわち用量は、当業者により容易に決定することができる。インキュベーション後、骨髄細胞を血清を含有する培地で洗浄し、公知の方法に従って静脈より患者に戻すことができる。骨髄採取時および処置した細胞の再注入時の間に、患者が他の治療、例えば破壊的化学療法(ablative chemotherapy)または全身照射のコースを受ける状況では、処置した骨髄細胞を、標準的な医学装置
を用いて液体窒素中に凍結保存することができる。
【0139】
[166]臨床的なin vivoの使用のため、細胞毒性物質は、無菌性およびエンドドキシンレベルについて検査された溶液または凍結乾燥粉末として提供することができる。複合体の投与の適切なプロトコルの例は以下の通りである。複合体は、毎週の静脈内への一括投与として1週1回、4週の間与えることができる。一括投与の用量は、5から10mlのヒト血清アルブミンを添加することのできる50から500mlの通常の生理生理食塩水中にて与えることができる。投与量は、静脈内への1回の投与当たり10mgから2000mg(1日当たり100ngから20mg/kg)とする。4週の治療後、患者は1週に
1回を基本として治療を継続して受けることができる。
【0140】
[167]投与経路、賦形剤、希釈剤、投与量、時間などに関する具体的なin vivoの臨床プロトコルは、臨床的状況が許す範囲で当業者により決定することができる。
[168]所望であれば、他の活性物質、例えば他の抗腫瘍薬を複合体と共に併用してもよ
い。
【0141】
新規複合体、組成物および複合体の製造法
[169]非開裂リンカーにより連結された抗体およびメイタンシノイドのいくつかの複合
体は公知であるが、それ以外は新規である。したがって、非開裂リンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを有する細胞結合物質メイタンシノイド複合体を提供する、ただし細胞結合物質が抗体である場合、リンカーは以下から成る群:スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、スルホ−SMCC、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、スルホ−MBS、およびスクシンイミジル−ヨードアセテート、より選択される架橋物質から誘導される基を包含しない。
【0142】
[170]新規複合体は上に記載したように製造、使用することができる。
[171]組成物は、細胞結合物質メイタンシノイド複合体および担体を包含する。
[172]担体は、医薬的に受容可能な担体、希釈剤または賦形剤であってよい。
【0143】
[173]適切な医薬的に受容可能な担体、希釈剤、および賦形剤は周知であり、臨床的状
況が許す範囲で当業者により決定することができる。
[174]適切な担体、希釈剤および/または賦形剤の例は以下を含む:(1)約1mg/m
lから25mg/ml ヒト血清アルブミンを含有するまたは含有しない、ダルベッコリ
ン酸緩衝化生理食塩水、pH約7.4、(2)0.9% 生理食塩水(0.9%w/v
NaCl)、および(3)5%(w/v)デキストロース;そしてまた抗酸化剤 例えば
トリプタミン、および安定剤 例えばTween20を含有してもよい。
【0144】
[175]これらの新規複合体について、合成法もまた提供する。
[176]細胞結合物質メイタンシノイド複合体を製造する方法の1つは、以下を包含する

(a)細胞結合物質を提供する、
(b)細胞結合物質を架橋物質で修飾する、そして
(c)修飾された細胞結合物質を、メイタンシノイドまたはチオールを含有するメイタンシノイドと複合体化させ、それにより細胞結合物質、およびメイタンシノイドまたはチオールを含有するメイタンシノイドの間に非開裂リンカーを提供して、複合体を生成する。
【0145】
[177]細胞結合物質メイタンシノイド複合体を製造するもう1つの方法は、以下を包含
する:
(a)メイタンシノイドまたはチオールを含有するメイタンシノイドを提供する、
(b)メイタンシノイドまたはチオールを含有するメイタンシノイドを架橋物質で修飾し、それにより非開裂リンカーを形成する、そして
(c)修飾されたメイタンシノイドまたはチオールを含有するメイタンシノイドを、細胞結合物質と複合体化させ、それにより細胞結合物質、およびメイタンシノイドまたはチオールを含有するメイタンシノイドの間に非開裂リンカーを提供して、複合体を生成する。
【0146】
[178]細胞結合物質メイタンシノイド複合体を製造する付加的な方法は、以下を包含す
る:
(a)メイタンシノイドを提供する、
(b)メイタンシノイドを修飾して、活性なエステルを有する、イオウを含有しないメイタンシノールを提供する、そして
[179](c)修飾されたメイタンシノイドを細胞結合物質と複合体化させ、それにより
細胞結合物質およびメイタンシノールの間に、Sを含有しない非開裂リンカーを提供して、複合体を生成する。これらの方法は詳細に上にそして、本明細書に引用した米国特許に記載されており、同文献を特に本明細書において参照として援用する。
【実施例】
【0147】
実施例
[180]本発明を今度は非限定的な実施例を参照として説明することにする。他に記述が
なければ、すべてのパーセント、比率、部、等は重量による。
【0148】
[181]以下の実施例で使用するバッファーは以下の通りである:50mM リン酸カリ
ウム(KPi)/50mM 塩化ナトリウム(NaCl)/2mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、pH6.5(バッファーA);1×リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、pH6.5(バッファーB);および0.1M KPiバッファー/2mM EDTA
pH7.5(アッセイバッファー)。
【0149】
[182]SMCC(製品番号22360、M.W.334.33g/モル)およびSIAB(製品番号22329、M.W.402.15g/モル)をPierceより購入した。huC
242抗体は、米国特許第5,552,293号に記載されているヒト化モノクローナル抗体C242であるが、これに関してはハイブリドーマがECACC同定番号90012601にて保管されている。トラスツツマブ抗体はGenentechより入手した。DM1(フ
リーのチオールの形;M.W.737.5g/モル)は、米国特許第5,208,020
号および6,333,410 B1号に以前に記載されたように調製した。
【0150】
[183]クロマトグラフィーはAmersham Biosciencesより購入したクロマトグラフィーカ
ラム(Sephadex G25 NAP-25 プレパックカラム(Amersham 17-0852-02)); HiPrep 26/10 脱塩カラム、Sephadex G25微細樹脂(fine rein)、3本連結したもの (3connected in series) (Amersham1 17-5087-01))を用いて行った。 TSK-GEL G3000SWXLクロマトグラフィーカラム(TOSOH Bioscience,08541)もまた、TSK Colume Guard SWx1 (TOSOH Bioscience 08543)とともに使用した。
【0151】
[184]以下の実施例に使用した溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチル
アセトアミド(DMA)、エタノール(EtOH)、およびDMSO中の100mM エルマン試薬(DTNB、Cayman Chemicalより入手可能)であった。
【0152】
実施例1A
huC242−SMCC−DM1複合体の調製
a.huC242抗体の調製および測定
[185]抗体の濃度は、280nmの吸光係数 1.48(mg/mL)−1および分子量
147,000g/モルを用いて測定した。
【0153】
b.SMCCストック溶液の調製および測定
[186]SMCCの20mM溶液(6.69mg/mL)をジメチルスルホキシド(DMSO)中に調製した。この溶液をアッセイバッファー中に1/40希釈し、サンプルの吸光
度を302nmで測定した。ストック溶液の濃度は、吸光係数 602M−1cm−1を用いて算出した。
【0154】
c.DM1ストック溶液の調製および測定
[187]DM1(フリーのチオールの形)の10mM溶液をジメチルアセトアミド(DM
A)中に調製した(7.37mg/mL)(図2)。エタノール(EtOH)中でのスト
ック溶液の希釈溶液の吸光度を280nmで測定した。ストックDM1の濃度を、280nmの吸光係数 5700M−1を用いて算出した。ストックDM1調製液中のフリーのスルフヒドリル基またはチオール基(−SH)の濃度は、エルマン試薬(DTNB)を用いて測定した。ストック溶液の希釈液を、3%(v/v)DMAとしたアッセイバッファ
ー中に調製した後、DMSO中の100mM DTNB(1/100倍の容積)を加えた
。412nmの吸光度の増加を試薬のブランクに対して測定し、吸光係数 14150M−1cm−1を用いて算出した。エルマンアッセイから得られる−SHの濃度を使用して、複合状態に関する計算上のDM1ストック濃度を表した。
【0155】
d.SMCC架橋リンカーを用いてのhuC242の修飾
[188]抗体を2つのサンプルに分けた;一方は7.5倍モルの過剰のSMCC架橋リン
カーを用いて、他方は8.5倍モルの過剰のSMCC架橋リンカーを用いて修飾した。サンプルを8mg/mLの抗体濃度で反応させた。反応はDMSO(5%v/v)を含むバッファーA(95%v/v)中で、2時間室温で撹拌しながら行った。
【0156】
e.過剰のSMCCを除去するためのG25クロマトグラフィー
[189]huC242−SMCC反応混合液を、バッファーA中に平衡化したSephadex G25 樹脂の1.5×4.9cmプレパックカラムを通してゲル濾過した。カラムにかける容
量および溶出容量は、製品の説明書に従った。修飾された抗体の溶出液をアッセイして、上に記載した吸光係数を用いて抗体の濃度を決定した。修飾された抗体の収率は、7.5倍モルの過剰のSMCCの反応では74.6%、そして8.5倍モルの過剰のSMCCの反応では81.6%であった。
【0157】
f.huC242−SMCCのDM1との複合体化
[190]修飾された抗体サンプルを、リンカーに対して1.7倍の過剰のDM1と反応さ
せた(1抗体当たり5リンカーと仮定する)。反応は、DMA(3%v/v)を含むバッ
ファーA(97%v/v)中の2.5mg/mLの抗体濃度で行った。DM1の添加後、反応液を室温で約20時間撹拌しながらインキュベーションした。
【0158】
g.G25クロマトグラフィーによる複合体の精製
[191]複合反応混合液を、バッファーB中に平衡化したSephadex G25 樹脂の1.5×4.9cmプレパックカラムを通してゲル濾過した。カラムにかける容量および溶出容量は、製品の説明書に従った。huC242 1モル当たりに連結したDM1分子の数を、溶出された材料の吸光度を252nmおよび280nmの双方で測定することにより決定した。7.5倍モルの過剰のSMCCサンプルのDM1/抗体の比率は3.54であることが見出され、8.5倍モルの過剰のSMCCサンプルの比率は3.65であることが見出された。複合体化ステップの収率は、各々83.7%および75.4%であった。双方の複合体を合わせてプールし、滅菌濾過し、薬剤および抗体の濃度について再度アッセイした。プールしたサンプルは、Lot#1713−146Cと指定し、結合、細胞毒性、特異性、凝集の程度 (extent)およびフリーの薬剤の含有量について分析した。
【0159】
【表1】

【0160】
実施例1B
huC242−SMCC−DM1のin vitroの検査
a.結合
[192]huC242抗体およびhuC242−SMCC−DM1の結合のアフィニティ
ーをCOLO205細胞における間接的な方法を用いて比較した。結果を図3に示す。裸の抗体はKD 5.1×10−10Mで結合し、複合体化したバージョンはKD 5.52×10−10Mで結合した。したがってDM1との複合が、huC242の結合アフィニティーを変化させることはないようである。
【0161】
b.細胞毒性および特異性
[193]huC242−SMCC−DM1複合体のin vitroの細胞毒性および特異性を、
継続的暴露でのクローン原性アッセイを用いて評価した。結果を図4に示す。huC242−SMCC−DM1は、抗原陽性のSKBR3細胞を破壊する上で有効であった(IC50=3.5×10−12M)。特異性は、標的のSKBR3細胞のIC50値を、抗原陰性細胞株であるA375の値(A375において複合体のIC50値は3.0×10−9Mより高かった)と比較することにより示した。
【0162】
c.サイズ排除カラムクロマトグラフィーの分析
[194]複合体をTSK300サイズ排除カラムを用いて分析し、96.0%がモノマー
であることを見出した(図5)。
【0163】
d.フリーの薬剤
[195]フリーの薬剤の比率をELISAにより測定し、4.4%であることを見出した

【0164】
実施例2A
トラスツツマブ−SMCC−DM1複合体の調製
[196]トラスツツマブ抗体は、非開裂のヘテロの2官能基の架橋試薬SMCCを用いて
DM1と複合体化させるため、Genentechより入手した。この抗体は、50mM リン酸
カリウム/2mM EDTA,pH6.0から、50mM リン酸カリウム/50mM 塩化ナトリウム/2mM EDTA,pH6.5(バッファーA)にバッファーを交換した
。次に抗体を7.5倍モルの過剰のSMCCリンカーと反応させ、Sephadex G25 樹脂に
より精製し、DM1と複合体化させた。最終的な複合体をSephadex G25 樹脂により再度
精製した。得られる複合体は、抗体1モル当たり3.1モルのDM1を含有していた。
【0165】
a.トラスツツマブ抗体の調製および測定
[197]50mM リン酸カリウム/2mM EDTA,pH6.0バッファー中のトラスツツマブ抗体を、バッファーAで平衡化したSephadex G25カラムに通し、バッファーA中に溶出した。この実施例で使用するすべてのバッファーは、色素生産性リムルス変形細胞溶解物(LAL)試験法(Camgrex)を用いて、エンドトキシンを含まないことを検査した
。抗体の濃度は、280nmの吸光係数 1.45mLmg−1cm−1および分子量145.423gを用いて測定した。
【0166】
b.SMCCストック溶液の調製および測定
[198]SMCC 20mM溶液(6.69mg/mL)をDMSO中に調製した。この溶液をアッセイバッファー中で1/40に希釈し、サンプルの吸光度を302nmで測定し
た。ストック溶液の濃度は、モル吸光係数 602M−1cm−1を用いて算出した。
【0167】
c.DM1ストック溶液の調製および測定
[199]DM1(フリーのチオールの形)の10mM溶液をDMA中に調製した(7.3
7mg/mL)(図2)。EtOH中でのストック溶液の希釈液の吸光度を280nmで
測定した。ストックDM1の濃度を、280nmのモル吸光係数 5700M−1cm−1を用いて算出した。ストックDM1調製液中のフリーの−SHの濃度を、エルマン試薬(DTNB)を用いて測定した。ストック溶液の希釈液は、3%(v/v)DMAとした
アッセイバッファー中に調製した後、DMSO中の100mM DTNB(1/100倍
の容積)を加えた。412nmの吸光度の増加を試薬のブランクに対して測定し、吸光係数 14150M−1cm−1を用いて濃度を算出した。エルマンアッセイから得られる−SHの濃度を使用して、複合状態に関する計算上のDM1ストック濃度を表した。
【0168】
d.SMCC架橋リンカーを用いてのトラスツツマブの修飾
[200]抗体を、20mg/mLの抗体濃度で7.5倍モルの過剰のSMCCを用いて修飾した。反応はDMSO(5%v/v)を含むバッファーA(95%v/v)中で、2時間室温で撹拌しながら行った。
【0169】
e.過剰のSMCCを除去するためのG25クロマトグラフィー
[201]トラスツツマブ−SMCCの反応混合液を、バッファーA中に平衡化したSephadex G25 樹脂の1.5×4.9cmプレパックカラムを通してゲル濾過した。カラムにかけ
る容量および溶出容量は、製品の説明書(Amersham Biosciences)に従った。修飾された抗体溶液の濃度を、分光光度計の測定により上に記載した吸光係数を用いてアッセイした。修飾された抗体の収率は、タンパク質濃度に基づき88%であった。
【0170】
f.トラスツツマブ−SMCCのDM1との複合体化
[202]修飾された抗体は、リンカーに対して1.7倍の過剰のDM1と反応させた(1
抗体当たり5リンカーと仮定する)。反応は、DMA(6%v/v)を含むバッファーA
(94%v/v)中の10mg/mLの抗体濃度で行った。DM1の添加後、反応液を室温で約16.5時間撹拌しながらインキュベーションした。
【0171】
g.G25カラムクロマトグラフィーによる複合体の精製
[203]複合反応混合液を、バッファーB中に平衡化したSephadex G25 樹脂の1.5×4.9cmプレパックカラムを通してゲル濾過した。カラムにかける容量および溶出容量は、製品の説明書(Amersham Biosciences)に従った。トラスツツマブ 1モル当たりに連結したDM1分子の数を、溶出された材料の252nmおよび280nmの双方での吸光度測定することにより決定した。DM1/抗体の比率は3.13であることが見出され、複合ステップの収率は、95.7%であった。複合体化したトラスツツマブの全体の収率は出発時の抗体に基づき84%であった。得られる複合体を、結合、細胞毒性、特異性、凝集の程度およびフリーの薬剤の含有量について分析した。
【0172】
【表2】

【0173】
実施例2B
トラスツツマブ−SMCC−DM1のin vitroの検査
[204]結合の試験は、DM1への抗体の複合が見かけのKに影響を与えないことを示
した;裸のトラスツツマブ抗体およびトラスツツマブ−SMCC−DM1複合体の双方ともECDプレートへの同じ結合アフィニティー(5.5×10−11M)を有していた。サンプルのin vitroの細胞毒性の評価は、トラスツツマブ−SMCC−DM1複合体が、毒性(抗原陽性細胞株においてIC50 3.6×10−12M)および特異性(抗原陰性細胞株においてIC50 は3.0×10−9Mより高い)の双方とも高いことを示した。
【0174】
a.結合
[205]トラスツツマブ抗体およびトラスツツマブ−SMCC−DM1の結合アフィニテ
ィーを、Genentechにより提供されたHER2 ECDプレート結合アッセイを用いて比
較した。結果を図24に示す。裸の抗体および複合体化したバージョンの双方とも、5.5×10−11Mの見かけのKで結合する。したがってDM1との複合体化は、トラスツツマブの結合アフィニティーを変化させない。
【0175】
b.細胞毒性および特異性
[206]トラスツツマブ−SMCC−DM1複合体のin vitroの細胞毒性および特異性を
、継続的暴露でのクローン原性アッセイを用いて評価した。結果を図25に示す。トラスツツマブ−SMCC−DM1は、抗原陽性のSKBR3細胞を破壊する上で有効であった(IC50=3.6×10−12M)。特異性は、標的のSKBR3細胞のIC50値を、抗原陰性細胞株であるA375の値(この複合体においてIC50値は3.0×10−9Mより高かった)と比較することで示された。
【0176】
c.サイズ排除カラムクロマトグラフィーの分析
[207]複合体をTSKサイズ排除カラムを用いて分析し、95.3%がモノマーである
ことを見出した(図26)。
【0177】
d.フリーの薬剤の分析
[208]フリーの薬剤の比率をELISAにより測定し、3.4%であることを見出した

【0178】
e.エンドトキシンレベル
[209]複合体をクロマトグラフィーによるLAL検査を用いて検査し、0.03EU/mgを含有することを見出した。
【0179】
実施例3A
トラスツツマブ−SIAB−DM1複合体の調製
[210]トラスツツマブ抗体は、非開裂のヘテロの2官能基の架橋リンカーであるSIA
Bを用いてDM1と複合体化させるため、Genentechより入手した。この抗体を、7.0
倍モルの過剰のSIABリンカーとpH6.5で反応させ、Sephadex G25 樹脂により精
製した。抗体を含有する分画をプールし、DM1と一晩、pH6.5の標準的な複合条件で室温で、ただし暗所で反応させた。反応容器からアリコートを取り出し、DM1の組み込みを決定するため分析した。NAP5濾過後にアリコートを測定したところ、わずか1.4薬剤/抗体しか有していなかった。さらなる8倍の過剰のSIABを反応液に加えて
2時間の後、pHを8に上げ、直ちにさらなる1.5倍の過剰なDM1/SIABを添加
した。反応液を放置して反応を進行させ、Sephadex G25F 樹脂を用いて精製した。得られる複合体は、抗体1モル当たり3.42モルのDM1を含有していた。
【0180】
a.トラスツツマブ抗体の測定
[211]抗体の濃度は、280nmの吸光係数 1.45mLmg−1cm−1、および
分子量145.423gを用いて測定した。
【0181】
b.SMCCストック溶液の調製および測定
[212]SIAB 18mM溶液をDMSO中に調製した(7.2mg/mL)。pH4バッファー中に希釈したこの溶液の波長スキャンを情報目的用にのみ記録した。
【0182】
c.DM1ストック溶液の調製および測定
[213]DM1(フリーのチオールの形)の約30mM溶液をDMA中に調製した。スト
ックDM1調製液中のフリーの−SHの濃度を、エルマン試薬(DTNB)を用いて測定した。ストック溶液の希釈液は、3%(v/v)DMAとしたアッセイバッファー中に調
製した後、DMSO中の100mM DTNB(1/100倍の容積)を加えた。412
nmの吸光度の増加を試薬のブランクに対して測定し、モル吸光係数 14150M−1cm−1を用いて濃度を算出した。エルマンアッセイから得られる−SHの濃度を使用して、複合状態に関する計算上のDM1ストック濃度を表した。
【0183】
d.SIAB架橋リンカーを用いてのトラスツツマブの修飾
[214]抗体を、20mg/mLの抗体濃度で7.0倍モルの過剰のSIABを用いて修飾
した。反応はDMSO(5%v/v)を含むバッファーA(95%v/v)中で、2時間室温で暗所で撹拌しながら行った。
【0184】
e.過剰のSIABを除去するためのG25クロマトグラフィー
[215]トラスツツマブ−SIAB反応混合液を、バッファーA中に平衡化したHiPrep 26/10 脱塩カラムを通してゲル濾過した。280nmにSIAB試薬からの干渉があるようなので、修飾された抗体の収率を100%であると仮定し、複合反応におけるDM1の量の決定に関しては5リンカー/抗体の修飾と仮定した。
【0185】
f.トラスツツマブ−SIABのDM1との複合体化
[216]修飾された抗体を、上記のように100%収率および5架橋リンカー/抗体と仮定するリンカーに対して1.7倍の過剰のDM1と反応させた。反応における抗体の濃度を12.5mg/mLであると推定し、反応を、DMA(3%v/v)を含むバッファーA(97%v/v)中で行った。DM1を添加後、反応液を室温、暗所で、約16.5時間撹
拌しながらインキュベーションした。
【0186】
g.複合反応の分析
[217]反応混合液の0.25mLアリコートを取り出し、バッファーB中に平衡化したG25 Sephadexのプレパックカラムでゲル濾過した。トラスツツマブ 1モル当たりに連結
したDM1分子の数は、溶出された材料の252nmおよび280nmの双方の吸光度を測定することにより決定した。DM1/抗体の比率はわずか1.4であった。
【0187】
h.付加的な修飾/複合反応
[218]さらなる8倍モルの過剰のSIABを加え、2時間室温で放置してインキュベー
ションした。SIABに対して1.5倍モルの過剰のDM1を加え、1N NaOHを加えて反応液のpHを8に上げた。反応液を室温、暗所でインキュベーションし、バッファーB中に平衡化したG25F樹脂カラムでゲル濾過した。
【0188】
i.複合体のプールおよび特徴づけ
[219]タンパク質を含有する分画をプールし、濾過し、252および280nmの吸光
度により測定した。複合体のサンプルを、エンドトキシンレベル、結合、特異的および非特異的な細胞毒性、モノマーの%、およびフリーの薬剤のレベルについて検査した。
【0189】
【表3】

【0190】
実施例3B
トラスツツマブ−SIAB−DM1のin vitroの検査
[220]結合の試験は、DM1への抗体の複合が見かけのKに影響を与えないことを示
した;裸のトラスツツマブ抗体およびトラスツツマブ−SMCC−DM1複合体の双方とも類似する結合アフィニティー(見かけのK 抗体 1.2×10−10M、および複合体 1.9×10−10M)を有していた。サンプルのin vitroの細胞毒性の評価は、トラスツツマブ−SIAB−DM1複合体が、毒性(抗原陽性細胞株のSKBR3におい
てIC50 5×10−12M)および特異性(抗原陰性細胞株のA375においてIC50 は3.0×10−9Mより高い)の双方とも高いことを示した。
【0191】
a.結合
[221]トラスツツマブ抗体およびトラスツツマブ−SIAB−DM1の結合のアフィニ
ティーを、Genentechにより提供されたHER2 ECDプレート結合アッセイを用いて
比較した。結果を図27に示す。裸のトラスツツマブおよびトラスツツマブ−SIAB−DM1は、類似する結合アフィニティー(見かけのK 抗体は1.2×10−10M、および複合体は1.9×10−10M)を有していた。
【0192】
b.細胞毒性および特異性
[222]サンプルのin vitroの細胞毒性の評価は、トラスツツマブ−SIAB−DM1複
合体が、毒性(抗原陽性細胞株のSKBR3においてIC50=5×10−12M)および特異性(抗原陰性細胞株のA375においてIC50 は3.0×10−9Mより高い)の双方とも高いことを示した。図28を参照のこと。
【0193】
c.サイズ排除カラムクロマトグラフィーの分析
[223]複合体をTSKサイズ排除カラムを用いて分析し、96.4%がモノマーである
ことを見出した(図29)。
【0194】
d.フリーの薬剤
[224]フリーの薬剤の比率をELISAにより測定し、0.35%であることを見出し
た。
【0195】
e.エンドトキシンレベル
[225]複合体をクロマトグラフィーによるLAL検査を用いて検査し、<0.04EU/mgを含有することを見出した。
【0196】
実施例4
Sを含有しない非開裂リンカーを形成する架橋試薬によるhuC242の複合体化
a.合成
[226]架橋試薬(構造に関しては図21を参照のこと)のストック溶液をDMA中に作
成し、不溶性沈殿物を遠心して除き、残っている溶液の濃度を、280nmの波長でのDM1の吸光である吸光係数 ε280=5700M−1cm−1を用いて決定した。この材料に関する真の吸光係数は測定されていないため、この値は濃度の推定値に過ぎない。DM1に関するε252280比が4.7(EtOH中)であるのに対して、この架
橋試薬溶液(pH7.5バッファー中)に関するε252280は1.42と測定さ
れ、異なる吸光または不純物のいずれかであることを示唆するたことに注目しなければならない。
【0197】
[227]複合体化反応は、バッファーE、pH7.5(バッファーE=50mM リン酸
ナトリウム、150mM NaCl、10mM EDTA)中の16% DMAにおける2.8mg/mlのhuC242抗体を用いて、2mgのスケールで行った。ストック溶
液の推定される架橋試薬濃度に基づいて、30等量の架橋リンカー/抗体を使用した(1
0等量の架橋リンカー/抗体を使用した初期の実験では、わずか0.9 DM1/抗体のみを含む複合体しか生成できなかった)。反応液を放置して3時間反応を進行させた後、複合体をNap 10(G25)カラムに通すことにより精製した。濾過(Millex GV フィルター、0.2umポアサイズ)後、複合体は2.56 DM1/抗体を有していた(L
ot# 1749−119A、抗体回収率=78%)。複合体のアリコートをHPLC(HiPrep カラム)によりフリーのDM1について調べ、かなり大きなDM1のピークが1
2.09’に観察された。そのためサンプルをバッファーB中に透析してこのピークを除去した後、再度アッセイした。最終的な複合体サンプル(Lot# 1749−124A)はHPLCにより、フリーのDM1を含んでおらず、1.84 DM1/抗体を有して
いた。SEC HPLCをこの複合体について行い、97%がモノマーの抗体であることを示した。
【0198】
b.細胞毒性および結合
[228]本発明では、huC242−Sを含有しない非開裂リンカー−DM1複合体にお
ける細胞毒性および結合の試験を行った。この複合体は、フリーの抗体より約2倍高い見かけの解離定数(図23を参照のこと)、およびhuC242−SMCC−DM1に匹敵するin vitroの細胞毒性(Sを含有しない非開裂リンカーの複合体のIC50=7.0×10−12M )(図22を参照のこと)を有していた。
【0199】
[229]本発明を、詳細にそしてその具体的な態様を参照として記載してきたが、多様な
変更および修飾を、本発明の精神および領域から離れずにそれらにおいて行うことができることは、当業者には明らかであろう。
【0200】
[230]本明細書に引用したすべての特許、公開、およびその他の参考文献を、特にそれ
らの全内容において参照として援用する。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】図1は、SMCCの構造を示す。
【図2】図2は、DM1の構造を示す。
【図3】図3は、huC242抗体を、抗体−メイタンシノイド複合体であるhuC242−SMCC−DM1と比較する、FACS結合アッセイの結果をグラフで示す。
【図4】図4は、huC242−SMCC−DM1の細胞毒性をグラフで示す。
【図5】図5は、huC242−SMCC−DM1のサイズ排除クロマトグラフィーを示す。
【図6A】図6A−Cおよび図7は、huC242−SMCC−DM1の細胞毒性を、ジスルフィドを含有するリンカーを用いて調製した複合体と比較して、グラフで示す。
【図6B】図6A−Cおよび図7は、huC242−SMCC−DM1の細胞毒性を、ジスルフィドを含有するリンカーを用いて調製した複合体と比較して、グラフで示す。
【図6C】図6A−Cおよび図7は、huC242−SMCC−DM1の細胞毒性を、ジスルフィドを含有するリンカーを用いて調製した複合体と比較して、グラフで示す。
【図7】図6A−Cおよび図7は、huC242−SMCC−DM1の細胞毒性を、ジスルフィドを含有するリンカーを用いて調製した複合体と比較して、グラフで示す。
【図8A】図8A−Dは、様々な細胞結合物質に連結したSMCC−DM1複合体の細胞毒性をグラフで示す。
【図8B】図8A−Dは、様々な細胞結合物質に連結したSMCC−DM1複合体の細胞毒性をグラフで示す。
【図8C】図8A−Dは、様々な細胞結合物質に連結したSMCC−DM1複合体の細胞毒性をグラフで示す。
【図8D】図8A−Dは、様々な細胞結合物質に連結したSMCC−DM1複合体の細胞毒性をグラフで示す。
【図9】図9は、抗体−メイタンシノイド複合体であるhuC242−SIAB−DM1の細胞毒性をグラフで示す。
【図10A】図10Aは、SCIDマウスにおけるCOLO205ヒト結腸癌の異種移植片に対するhuC242−SMCC−DM1の抗腫瘍活性をグラフで示す。
【図10B】図10Bは、SCIDマウスにおけるSNU16ヒト胃腫瘍の異種移植片に対するhuC242−SMCC−DM1の抗腫瘍活性をグラフで示す。
【図10C】図10Cは、SCIDマウスにおけるヒトMCF7腫瘍の異種移植片に対するトラスツツマブ−SMCC−DM1の抗腫瘍活性をグラフで示す。
【図11】図11は、huC242−SMCC−DM1の血漿クリアランス速度を、ジスルフィドを含有するリンカーを用いて調製した複合体と比較して、グラフで示す。
【図12A】図12A−Dは、huC242−SMCC−DM1の急性毒性試験を、ジスルフィドを含有するリンカーを用いて調製した複合体と比較して、グラフで示す。
【図12B】図12A−Dは、huC242−SMCC−DM1の急性毒性試験を、ジスルフィドを含有するリンカーを用いて調製した複合体と比較して、グラフで示す。
【図12C】図12A−Dは、huC242−SMCC−DM1の急性毒性試験を、ジスルフィドを含有するリンカーを用いて調製した複合体と比較して、グラフで示す。
【図12D】図12A−Dは、huC242−SMCC−DM1の急性毒性試験を、ジスルフィドを含有するリンカーを用いて調製した複合体と比較して、グラフで示す。
【図13】図13は、huC242−SMCC−DM1により立証された細胞周期停止の持続性および細胞破壊活性を、ジスルフィドを含有するリンカーを用いて調製した複合体と比較して示す。
【図14A】図14A−Dは、huC242−SMCC−DM1の最小のバイスタンダー効果の活性を、ジスルフィドを含有するリンカーを用いて調製した複合体と比較して示す。
【図14B】図14A−Dは、huC242−SMCC−DM1の最小のバイスタンダー効果の活性を、ジスルフィドを含有するリンカーを用いて調製した複合体と比較して示す。
【図14C】図14A−Dは、huC242−SMCC−DM1の最小のバイスタンダー効果の活性を、ジスルフィドを含有するリンカーを用いて調製した複合体と比較して示す。
【図15】図15は、マレイミドを基本とする架橋物質の代表的な構造を示す。
【図16】図16は、ハロアセチルを基本とする架橋物質の代表的な構造を示す。
【図17】図17は、抗体−SMCC−DM1複合体の構造を示す。
【図18】図18は、抗体−SIAB−DM1複合体の構造を示す。
【図19】図19は、抗体−SMCC−DM4複合体の構造を示す。
【図20】図20は、抗体−SIAB−DM4複合体の構造を示す。
【図21】図21は、Sを含有しない非開裂リンカーを介して連結したメイタンシノイド細胞結合物質複合体の合成を示す。
【図22】図22は、huC242−Sを含有しない非開裂リンカー−DM1の細胞毒性を、グラフで示す。
【図23】図23は、huC242−Sを含有しない非開裂リンカー−DM1のFACS結合アッセイを、グラフで示す。
【図24】図24は、トラスツツマブ抗体を、抗体−メイタンシノイド複合体であるトラスツツマブ−SMCC−DM1と比較する、HER2 ECDプレート結合アッセイの結果をグラフで示す。
【図25】図25は、トラスツツマブ−SMCC−DM1の細胞毒性および特異性をグラフで示す。
【図26】図26は、トラスツツマブ−SMCC−DM1のサイズ排除クロマトグラフィーを示す。
【図27】図27は、トラスツツマブ抗体を、抗体−メイタンシノイド複合体であるトラスツツマブ−SIAB−DM1と比較する、HER2 ECDプレート結合アッセイの結果をグラフで示す。
【図28】図28は、トラスツツマブ−SIAB−DM1の細胞毒性および特異性をグラフで示す。
【図29】図29は、トラスツツマブ−SIAB−DM1のサイズ排除クロマトグラフィーを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択された細胞集団を標的としてメイタンシノイドを向かわせるための方法であって、当該方法は選択された細胞集団を含有すると推測される細胞集団または組織を、細胞結合物質メイタンシノイド複合体と接触させることを包含し、ここで1つまたはそれより多くのメイタンシノイドは、非開裂リンカーを介して細胞結合物質に共有結合で連結され、そして当該細胞結合物質が選択された細胞集団の細胞に結合する、前記方法。
【請求項2】
非開裂リンカーが、酸に誘発される開裂、光に誘発される開裂、ペプチダーゼに誘発される開裂、エステラーゼに誘発される開裂、またはジスルフィド結合の開裂に対して実質的に耐性がある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
非開裂リンカーがイオウ原子を有していない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
リンカーがジカルボン酸を基本とする部分から誘導される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
リンカーがα、ω−ジカルボン酸を基本とする部分から誘導され、ここで当該α、ω−ジカルボン酸は一般式HOOC−X−Y−Z−COOHを有しており、式中Xは、2から20の炭素原子を持つ直鎖または分枝鎖のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、Yは3から10の炭素原子を持つシクロアルキル基またはシクロアルケニル基であり、Zは6から10の炭素原子を持つ置換されたもしくは置換されていない芳香族の基、またはヘテロ原子がN、OもしくはSより選択される置換されたもしくは置換されていない複素環式の基であり、そしてl、mおよびnは各々0または1であるが、ただしそれらすべてが同時に0ではない、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
α、ω−ジカルボン酸が、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、ヘキセン−1,6−二酸、ペンテン−1,5−二酸、シクロヘキサン−二酸、またはシクロヘキセン−二酸である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
非開裂リンカーがイオウ原子を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
非開裂リンカーがマレイミドを基本とする部分から誘導される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
非開裂リンカーが、N−スクシンイミジル4−(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC)、N−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシ−(6−アミドカプロエート) (LC−SMCC)、κ−マ
レイミドウンデカン酸N−スクシンイミジルエステル(KMUA)、γ−マレイミド酪酸N−スクシンイミジルエステル(GMBS)、ε−マレイミドカプロン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、N−(α−マレイミドアセトキシ)−スクシンイミドエステル(AMAS)、スクシンイミジル−6−(β−マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート(SMPH)、N−スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)−ブチレート(SMPB)、およびN−(p−マレイミドフェニル)イソシアネート(PMPI)から成る群より選択される、マレイミドを基本とする部分から誘導される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
非開裂リンカーがSMCCから誘導される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
非開裂リンカーがハロアセチルを基本とする部分から誘導される、請求項7に記載の方
法。
【請求項12】
非開裂リンカーが、N−スクシンイミジル−4−(ヨードアセチル)−アミノベンゾエート(SIAB)、N−スクシンイミジルヨードアセテート(SIA)、N−スクシンイミジルブロモアセテート(SBA)、およびN−スクシンイミジル3−(ブロモアセトア
ミド)プロピオネート(SBAP)から成る群より選択される、ハロアセチルを基本とす
る部分から誘導される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
非開裂リンカーがSIABから誘導される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
リンカーが、少なくとも1つのメイタンシノイドのC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルの基のいずれか1つにある、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、メイタンシノールのN−メチル−アラニンを含有するエステルである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、メイタンシノールのN−メチル−システインを含有するエステルである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、式(II’−L)、(II’−D)または(II’−D,L):
【化1】

[式中:
’は
【化2】

を表し、
式中:
からR12は各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからR12はHであることができる;
A、B、およびDは各々独立して、3から10の炭素原子を有する環式アルキルもしくは環式アルケニル、シンプルなアリールもしくは置換されたアリール、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルである;
l、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuは各々独立して、0または1から5の整数である、ただしl、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuの少なくとも2つが
双方ともゼロではない;そして
MayはC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]
により表される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、式(II−L)、(II−D)、または(II−D,L):
【化3】

[式中:

【化4】

を表し、式中:
からRは各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからRはHであることができる;
l、m、およびnは各々独立して、1から5の整数であり、そして加えてnはゼロであることができる;そして
MayはC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]
により表される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つのメイタンシノイドが式4’:
【化5】

[式中:
’は
【化6】

を表し、
式中:
からR12は各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからR12はHであることができる;
A、B、およびDは各々独立して、3から10の炭素原子を有する環式アルキルもしくは環式アルケニル、シンプルなアリールもしくは置換されたアリール、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルである;そして
l、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuは各々独立して、0または1から5の整数である、ただしl、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuの少なくとも2つが双方ともゼロではない]
により表わされる請求項1に記載の方法。
【請求項24】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つのメイタンシノイドが式4
【化7】

[式中:

【化8】

を表し、式中:
からRは各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルまたはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからRはHであることができる;そして
l、m、およびnは各々独立して、1から5の整数であり、そして加えてnはゼロであることができる]
により表される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つのメイタンシノイドがDM1である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1つのメイタンシノイドがDM3である、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つのメイタンシノイドがDM4である、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
メイタンシノイドが、イオウを含有しない架橋物質で修飾され、式5の化合物:
【化9】

[式中Xは、2から20の炭素原子を持つ直鎖または分枝鎖のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、Yは3から10の炭素原子を持つシクロアルキル基またはシクロアルケニル基であり、Zは6から10の炭素原子を持つ置換されたもしくは置換されていない芳香族の基、またはヘテロ原子がN、OもしくはSより選択される置換されたもしくは置換されていない複素環式の基であり、そしてl、mおよびnは各々0または1であるが、ただしそれらすべてが同時に0ではない、そしてEはカルボニル基と共に活性なエステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルおよびスルホスクシンイミジルエステル、N−ヒドロキシフタルイミジルエステル、N−ヒドロキシスルホフタルイミジルエステル、オルト−ニトロフェニルエステル、パラ−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、3−スルホニル−4−ニトロフェニルエステル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ならびにスルホニルテトラフルオロフェニルエステルを形成する]
を与える、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
メイタンシノイドが、イオウを含有しない架橋物質で修飾され、式6の化合物:
【化10】

[式中、nは3から24の整数を表し、そしてEはカルボニル基と共に活性なエステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルおよびスルホスクシンイミジルエステル、N−ヒドロキシフタルイミジルエステル、N−ヒドロキシスルホフタルイミジルエステル、オルト−ニトロフェニルエステル、パラ−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、3−スルホニル−4−ニトロフェニルエステル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ならびにスルホニルテトラフルオロフェニルエステルを形成する]
を与える、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
メイタンシノイドが、イオウを含有しない架橋物質で修飾され、式7の化合物:
【化11】

[式中、RはHまたはSONaである]
を与える、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
細胞結合物質が、腫瘍細胞;ウイルスに感染した細胞、微生物に感染した細胞、寄生体に感染した細胞、自己免疫細胞、活性化細胞、骨髄細胞、活性化T細胞、B細胞、もしくはメラノサイト;CD33、CD19、CanAg、CALLA、もしくはHer−2抗原を発現する細胞;またはインスリン増殖因子受容体、表皮増殖因子受容体、もしくは葉酸受容体を発現する細胞に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
細胞結合物質が、乳癌細胞、前立腺癌細胞、卵巣癌細胞、結腸直腸癌細胞、胃癌細胞、扁平上皮癌細胞、小細胞肺癌細胞、精巣癌細胞、および神経芽腫細胞から成る群より選択される細胞に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合する抗体、単鎖抗体、抗体フラグメント、標的細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、もしくはモノクローナル抗体フラグメント、標的細胞に特異的に結合するキメラ抗体、キメラ抗体フラグメント、標的細胞に特異的に結合するドメイン抗体、ドメイン抗体フラグメント、リンホカイン、ホルモン、ビタミン、増殖因子、コロニー刺激因子、または栄養素を輸送する分子である、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
細胞結合物質が、インターフェロン、IL2、IL3、IL4、IL6、インスリン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、メラノサイト刺激ホルモン、ステロイドホルモン、ソマトスタチン、EGF、TGF−α、FGF、G−CSF、VEGF、MCSF、GM−CSF、葉酸、トランスフェリン、エストロゲン、エストロゲン類似体、アンドロゲン、またはアンドロゲン類似体である、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合する抗体、単鎖抗体、または抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合する表面再修飾した(resurfaced)抗体、表面再修飾した単鎖抗体、または表面再修飾した抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合するヒト化抗体、ヒト化単鎖抗体、またはヒト化抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体、単鎖モノクローナ
ル抗体、またはモノクローナル抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合する表面再修飾したモノクローナル抗体、表面再修飾した単鎖モノクローナル抗体、または表面再修飾したモノクローナル抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体、ヒト化単鎖モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合するキメラ抗体、キメラ抗体フラグメント、ドメイン抗体、またはドメイン抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
細胞結合物質が、腫瘍細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、またはモノクローナル抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
細胞結合物質が、腫瘍細胞に特異的に結合する表面再修飾したモノクローナル抗体、表面再修飾した単鎖モノクローナル抗体、または表面再修飾したモノクローナル抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
細胞結合物質が、腫瘍細胞に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体、ヒト化単鎖モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
細胞結合物質が、腫瘍細胞に特異的に結合するキメラ抗体、キメラ抗体フラグメント、ドメイン抗体、またはドメイン抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
細胞結合物質が、結腸直腸癌細胞または乳癌細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、またはモノクローナル抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
細胞結合物質が、結腸直腸癌細胞または乳癌細胞に特異的に結合する表面再修飾したモノクローナル抗体、表面再修飾した単鎖モノクローナル抗体、または表面再修飾したモノクローナル抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
細胞結合物質が、結腸直腸癌細胞または乳癌細胞に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体、ヒト化単鎖モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項53】
細胞結合物質が、乳癌細胞に特異的に結合する表面再修飾したモノクローナル抗体、表面再修飾した単鎖モノクローナル抗体、または表面再修飾したモノクローナル抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項54】
細胞結合物質が、乳癌細胞に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体、ヒト化単鎖モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項55】
細胞結合物質が、抗CanAg抗体、抗CD19抗体、抗CD33抗体、抗CALLA抗体、抗EGFR抗体、抗CD56抗体、抗IGF−IR抗体、または抗Her2抗体である、請求項1から34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
細胞結合物質が、表面再修飾した抗体であるMy9−6、KS77、またはN901である、請求項1から34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
細胞結合物質が、トラスツツマブ抗体、B4抗体、huC242抗体である、請求項1から34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
細胞結合物質がhuC242抗体である、請求項1から34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
細胞結合物質がトラスツツマブ抗体である、請求項1から34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体より毒性が低い、請求項1に記載の方法。
【請求項61】
細胞結合物質メイタンシノイド複合体が、抗体単独の血漿クリアランスとほぼ等しい値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項62】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の最大耐薬用量が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の値より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項63】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の生物学的活性の持続性が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の値より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項64】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の抗原陰性細胞に対する活性が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の値より低い、請求項1に記載の方法。
【請求項65】
細胞結合物質メイタンシノイド複合体が最小のバイスタンダー活性を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項66】
細胞を排除する方法であって、当該方法は細胞を、細胞結合物質メイタンシノイド複合体と接触させることを包含し、ここで、1つまたはそれより多くのメイタンシノイドは非開裂リンカーを介して細胞結合物質に共有結合で連結され、そして当該細胞結合物質が細胞に結合する、前記方法。
【請求項67】
非開裂リンカーが、酸に誘発される開裂、光に誘発される開裂、ペプチダーゼに誘発される開裂、エステラーゼに誘発される開裂、またはジスルフィド結合の開裂に対して実質的に耐性がある、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
非開裂リンカーがイオウ原子を有していない、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
リンカーがジカルボン酸を基本とする部分から誘導される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
リンカーがα、ω−ジカルボン酸を基本とする部分から誘導され、ここで当該α、ω−ジカルボン酸は一般式HOOC−X−Y−Z−COOHを有しており、式中Xは、2から20の炭素原子を持つ直鎖または分枝鎖のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、Yは3から10の炭素原子を持つシクロアルキル基またはシクロアルケニル基であり、Zは6から10の炭素原子を持つ置換されたもしくは置換されていない芳香族の基、またはヘテロ原子がN、OもしくはSより選択される置換されたもしくは置換されていない複素環式の基であり、そしてl、mおよびnは各々0または1であるが、ただしそれらすべてが同時に0ではない、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
α、ω−ジカルボン酸が、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、ヘキセン−1,6−二酸、ペンテン−1,5−二酸、シクロヘキサン−二酸、またはシクロヘキセン−二酸である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
非開裂リンカーがイオウ原子を有する、請求項66に記載の方法。
【請求項73】
非開裂リンカーがマレイミドを基本とする部分から誘導される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
非開裂リンカーが、N−スクシンイミジル4−(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC)、N−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシ−(6−アミドカプロエート) (LC−SMCC)、κ−マ
レイミドウンデカン酸N−スクシンイミジルエステル(KMUA)、γ−マレイミド酪酸N−スクシンイミジルエステル(GMBS)、ε−マレイミドカプロン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、N−(α−マレイミドアセトキシ)−スクシンイミドエステル(AMAS)、スクシンイミジル−6−(β−マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート(SMPH)、N−スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)−ブチレート(SMPB)、およびN−(p−マレイミドフェニル)イソシアネート(PMPI)から成る群より選択される、マレイミドを基本とする部分から誘導される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
非開裂リンカーがSMCCから誘導される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
非開裂リンカーがハロアセチルを基本とする部分から誘導される、請求項72に記載の方法。
【請求項77】
非開裂リンカーが、N−スクシンイミジル−4−(ヨードアセチル)−アミノベンゾエート(SIAB)、N−スクシンイミジルヨードアセテート(SIA)、N−スクシンイミジルブロモアセテート(SBA)、およびN−スクシンイミジル3−(ブロモアセトア
ミド)プロピオネート(SBAP)から成る群より選択される、ハロアセチルを基本とす
る部分から誘導される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
非開裂リンカーがSIABから誘導される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
リンカーが、少なくとも1つのメイタンシノイドのC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルの基のいずれか1つにある、請求項66に記載の方法。
【請求項80】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、メイタンシノールのN−メチル−アラニンを含有するエステルである、請求項66に記載の方法。
【請求項81】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、メイタンシノールのN−メチル−システインを含有するエステルである、請求項66に記載の方法。
【請求項82】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、式(II’−L)、(II’−D)または(II’−D,L):
【化12】

[式中:
’は
【化13】

を表し、
式中:
からR12は各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからR12はHであることができる;
A、B、およびDは各々独立して、3から10の炭素原子を有する環式アルキルもしくは環式アルケニル、シンプルなアリールもしくは置換されたアリール、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルである;
l、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuは各々独立して、0または1から5の整数である、ただしl、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuの少なくとも2つが双方ともゼロではない;そして
MayはC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]
により表される、請求項66に記載の方法。
【請求項83】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、式(II−L)、(II−D)、または(II−D,L):
【化14】

[式中:

【化15】

を表し、式中:
からRは各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからRはHであることができる;
l、m、およびnは各々独立して、1から5の整数であり、そして加えてnはゼロであることができる;そして
MayはC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]
により表される、請求項66に記載の方法。
【請求項86】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
少なくとも1つのメイタンシノイドが式4’:
【化16】

[式中:
’は
【化17】

を表し、
式中:
からR12は各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからR12はHであることができる;
A、B、およびDは各々独立して、3から10の炭素原子を有する環式アルキルもしくは環式アルケニル、シンプルなアリールもしくは置換されたアリール、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルである;そして
l、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuは各々独立して、0または1から5の整数である、ただしl、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuの少なくとも2つが双方ともゼロではない]
により表される、請求項66に記載の方法。
【請求項89】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
少なくとも1つのメイタンシノイドが式4
【化18】

[式中:

【化19】

を表し、式中:
からRは各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルまたはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからRはHであることができる;そして
l、m、およびnは各々独立して、1から5の整数であり、そして加えてnはゼロであることができる]
により表される、請求項66に記載の方法。
【請求項92】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
少なくとも1つのメイタンシノイドがDM1である、請求項66に記載の方法。
【請求項95】
少なくとも1つのメイタンシノイドがDM3である、請求項66に記載の方法。
【請求項96】
少なくとも1つのメイタンシノイドがDM4である、請求項66に記載の方法。
【請求項97】
メイタンシノイドが、イオウを含有しない架橋物質で修飾され、式5の化合物:
【化20】

[式中Xは、2から20の炭素原子を持つ直鎖または分枝鎖のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、Yは3から10の炭素原子を持つシクロアルキル基またはシクロアルケニル基であり、Zは6から10の炭素原子を持つ置換されたもしくは置換されていない芳香族の基、またはヘテロ原子がN、OもしくはSより選択される置換されたもしくは置換されていない複素環式の基であり、そしてl、mおよびnは各々0または1であるが、ただしそれらすべてが同時に0ではない、そしてEはカルボニル基と共に活性なエステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルおよびスルホスクシンイミジルエステル、N−ヒドロキシフタルイミジルエステル、N−ヒドロキシスルホフタルイミジルエステル、オルト−ニトロフェニルエステル、パラ−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、3−スルホニル−4−ニトロフェニルエステル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ならびにスルホニルテトラフルオロフェニルエステルを形成する]
を与える、請求項66に記載の方法。
【請求項98】
メイタンシノイドが、イオウを含有しない架橋物質で修飾され、式6の化合物:
【化21】

[式中、nは3から24の整数を表し、そしてEはカルボニル基と共に活性なエステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルおよびスルホスクシンイミジルエステル、N−ヒドロキシフタルイミジルエステル、N−ヒドロキシスルホフタルイミジルエステル、オルト−ニトロフェニルエステル、パラ−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、3−スルホニル−4−ニトロフェニルエステル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ならびにスルホニルテトラフルオロフェニルエステルを形成する]
を与える、請求項66に記載の方法。
【請求項99】
メイタンシノイドが、イオウを含有しない架橋物質で修飾され、式7の化合物:
【化22】

[式中、RはHまたはSONaである]を与える、請求項66に記載の方法。細胞結合物質が、腫瘍細胞;ウイルスに感染した細胞、微生物に感染した細胞、寄生体に感染した細胞、自己免疫細胞、活性化細胞、骨髄細胞、活性化T細胞、B細胞、もしくはメラノサイト;CD33、CD19、CanAg、CALLA、もしくはHer−2抗原を発現する細胞;またはインスリン増殖因子受容体、表皮増殖因子受容体、もしくは葉酸受容体を発現する細胞に結合する、請求項63に記載の方法。
【請求項100】
細胞結合物質が、乳癌細胞、前立腺癌細胞、卵巣癌細胞、結腸直腸癌細胞、胃癌細胞、扁平上皮癌細胞、小細胞肺癌細胞、精巣癌細胞、および神経芽腫細胞から成る群より選択される細胞に結合する、請求項66に記載の方法。
【請求項101】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合する抗体、単鎖抗体、抗体フラグメント、標的細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、モノクローナル抗体フラグメント、標的細胞に特異的に結合するキメラ抗体、キメラ抗体フラグメント、標的細胞に特異的に結合するドメイン抗体、もしくはドメイン抗体フラグメント、リンホカイン、ホルモン、ビタミン、増殖因子、コロニー刺激因子、または栄養素を輸送する分子である、請求項66に記載の方法。
【請求項102】
細胞結合物質が、インターフェロン、IL2、IL3、IL4、IL6、インスリン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、メラノサイト刺激ホルモン、ステロイドホルモン、ソマトスタチン、EGF、TGF−α、FGF、G−CSF、VEGF、MCSF、GM−CSF、葉酸、トランスフェリン、エストロゲン、エストロゲン類似体、アンドロゲン、またはアンドロゲン類似体である、請求項66に記載の方法。
【請求項103】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合する抗体、単鎖抗体、または抗体フラグメントである、請求項66に記載の方法。
【請求項104】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合する表面再修飾した抗体、表面再修飾した単鎖抗体、または表面再修飾した抗体フラグメントである、請求項66に記載の方法。
【請求項105】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合するヒト化抗体、ヒト化単鎖抗体、またはヒト化抗体フラグメントである、請求項66に記載の方法。
【請求項106】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、またはモノクローナル抗体フラグメントである、請求項66に記載の方法。
【請求項107】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合する表面再修飾したモノクローナル抗体、表
面再修飾した単鎖モノクローナル抗体、または表面再修飾したモノクローナル抗体フラグメントである、請求項66に記載の方法。
【請求項108】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体、ヒト化単鎖モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項66に記載の方法。
【請求項109】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合するキメラ抗体、キメラ抗体フラグメント、ドメイン抗体、またはドメイン抗体フラグメントである、請求項66に記載の方法。
【請求項110】
細胞結合物質が、腫瘍細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、またはモノクローナル抗体フラグメントである、請求項66に記載の方法。
【請求項111】
細胞結合物質が、腫瘍細胞に特異的に結合する表面再修飾したモノクローナル抗体、表面再修飾した単鎖モノクローナル抗体、または表面再修飾したモノクローナル抗体フラグメントである、請求項66に記載の方法。
【請求項112】
細胞結合物質が、腫瘍細胞に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体、ヒト化単鎖モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項66に記載の方法。
【請求項113】
細胞結合物質が、腫瘍細胞に特異的に結合するキメラ抗体、キメラ抗体フラグメント、ドメイン抗体、またはドメイン抗体フラグメントである、請求項66に記載の方法。
【請求項114】
細胞結合物質が、結腸直腸癌細胞または乳癌細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、またはモノクローナル抗体フラグメントである、請求項66に記載の方法。
【請求項115】
細胞結合物質が、結腸直腸癌細胞または乳癌細胞に特異的に結合する表面再修飾したモノクローナル抗体、表面再修飾した単鎖モノクローナル抗体、または表面再修飾したモノクローナル抗体フラグメントである、請求項66に記載の方法。
【請求項116】
細胞結合物質が、結腸直腸癌細胞または乳癌細胞に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体、ヒト化単鎖モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項66に記載の方法。
【請求項117】
細胞結合物質が、乳癌細胞に特異的に結合する表面再修飾したモノクローナル抗体、表面再修飾した単鎖モノクローナル抗体、または表面再修飾したモノクローナル抗体フラグメントである、請求項66に記載の方法。
【請求項118】
細胞結合物質が、乳癌細胞に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体、ヒト化単鎖モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項66に記載の方法。
【請求項119】
細胞結合物質が、抗CanAg抗体、抗CD19抗体、抗CD33抗体、抗CALLA抗体、抗EGFR抗体、抗CD56抗体、抗IGF−IR抗体、または抗Her2抗体である、請求項66から99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項120】
細胞結合物質が、表面再修飾した抗体であるMy9−6、KS77、またはN901である、請求項66から99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項121】
細胞結合物質が、トラスツツマブ抗体、B4抗体、huC242抗体である、請求項66から99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項122】
細胞結合物質がhuC242抗体である、請求項66から99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項123】
細胞結合物質が表面再修飾したC242抗体である、請求項66から99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項124】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体より毒性が低い、請求項66に記載の方法。
【請求項125】
細胞結合物質メイタンシノイド複合体が、抗体単独の血漿クリアランスとほぼ等しい値を有する、請求項66に記載の方法。
【請求項126】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の最大耐薬用量が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の値より大きい、請求項66に記載の方法。
【請求項127】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の生物学的活性の持続性が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の値より大きい、請求項66に記載の方法。
【請求項128】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の抗原陰性細胞に対する活性が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の値より低い、請求項66に記載の方法。
【請求項129】
細胞結合物質メイタンシノイド複合体が最小のバイスタンダー活性を示す、請求項66に記載の方法。
【請求項130】
腫瘍、自己免疫疾患、移植片拒絶、移植片対宿主病、ウイルス感染、および寄生体感染から成る群より選択される病気の治療法であって、当該方法は細胞結合物質メイタンシノイド複合体の有効量を、治療を必要とする被験者に投与することを包含し、ここで1つまたはそれより多くのメイタンシノイドは非開裂リンカーを介して細胞結合物質に共有結合で連結され、そして当該細胞結合物質が病気の罹患した細胞または感染した細胞に結合する、前記方法。
【請求項131】
腫瘍が、肺、乳房、結腸、前立腺、腎臓、膵臓、卵巣、およびリンパ系器官の癌から成る群より選択される、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
自己免疫疾患が、全身性狼瘡、慢性関節リウマチ、および多発性硬化症から成る群より選択される、請求項130に記載の方法。
【請求項133】
移植片拒絶が、腎移植拒絶、心移植拒絶、および骨髄移植拒絶から成る群より選択される、請求項130に記載の方法。
【請求項134】
ウイルス感染が、CMV、HIV、AIDSから成る群より選択される、請求項130に記載の方法。
【請求項135】
寄生体感染が、ランブル鞭毛虫症、アメーバ症、住血吸虫症から成る群より選択される、請求項130に記載の方法。
【請求項136】
非開裂リンカーが、酸に誘発される開裂、光に誘発される開裂、ペプチダーゼに誘発される開裂、エステラーゼに誘発される開裂、またはジスルフィド結合の開裂に対して実質的に耐性がある、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項137】
非開裂リンカーがイオウ原子を有していない、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項138】
リンカーがジカルボン酸を基本とする部分から誘導される、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
リンカーがα、ω−ジカルボン酸を基本とする部分から誘導され、ここで当該α、ω−ジカルボン酸は一般式HOOC−X−Y−Z−COOHを有しており、式中Xは、2から20の炭素原子を持つ直鎖または分枝鎖のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、Yは3から10の炭素原子を持つシクロアルキル基またはシクロアルケニル基であり、Zは6から10の炭素原子を持つ置換されたもしくは置換されていない芳香族の基、またはヘテロ原子がN、OもしくはSより選択される置換されたもしくは置換されていない複素環式の基であり、そしてl、mおよびnは各々0または1であるが、ただしそれらすべてが同時に0ではない、請求項138に記載の方法。
【請求項140】
α、ω−ジカルボン酸が、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、ヘキセン−1,6−二酸、ペンテン−1,5−二酸、シクロヘキサン−二酸、またはシクロヘキセン−二酸である、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
非開裂リンカーがイオウ原子を有する、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項142】
非開裂リンカーがマレイミドを基本とする部分から誘導される、請求項141に記載の方法。
【請求項143】
非開裂リンカーが、N−スクシンイミジル4−(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC)、N−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシ−(6−アミドカプロエート) (LC−SMCC)、κ−マ
レイミドウンデカン酸N−スクシンイミジルエステル(KMUA)、γ−マレイミド酪酸N−スクシンイミジルエステル(GMBS)、ε−マレイミドカプロン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、N−(α−マレイミドアセトキシ)−スクシンイミドエステル(AMAS)、スクシンイミジル−6−(β−マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート(SMPH)、N−スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)−ブチレート(SMPB)、およびN−(p−マレイミドフェニル)イソシアネート(PMPI)から成る群より選択される、マレイミドを基本とする部分から誘導される、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
非開裂リンカーがSMCCから誘導される、請求項143に記載の方法。
【請求項145】
非開裂リンカーがハロアセチルを基本とする部分から誘導される、請求項141に記載の方法。
【請求項146】
非開裂リンカーが、N−スクシンイミジル−4−(ヨードアセチル)−アミノベンゾエート(SIAB)、N−スクシンイミジルヨードアセテート(SIA)、N−スクシンイミジルブロモアセテート(SBA)、およびN−スクシンイミジル3−(ブロモアセトア
ミド)プロピオネート(SBAP)から成る群より選択される、ハロアセチルを基本とす
る部分から誘導される、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
非開裂リンカーがSIABから誘導される、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
リンカーが、少なくとも1つのメイタンシノイドのC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルの基のいずれか1つにある、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項149】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、メイタンシノールのN−メチル−アラニンを含有するエステルである、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項150】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、メイタンシノールのN−メチル−システインを含有するエステルである、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項151】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、式(II’−L)、(II’−D)または(II’−D,L):
【化23】

[式中:
’は
【化24】

を表し、
式中:
からR12は各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからR12はHであることができる;
A、B、およびDは各々独立して、3から10の炭素原子を有する環式アルキルもしくは環式アルケニル、シンプルなアリールもしくは置換されたアリール、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルである;
l、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuは各々独立して、0または1から5の整数である、ただしl、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuの少なくとも2つが双方ともゼロではない;そして
MayはC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]
により表される、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項152】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項151に記載の方法。
【請求項153】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項151に記載の方法。
【請求項154】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、式(II−L)、(II−D)、または(II−D,L):
【化25】

[式中:

【化26】

を表し、式中:
からRは各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからRはHであることができる;
l、m、およびnは各々独立して、1から5の整数であり、そして加えてnはゼロであることができる;そして
MayはC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]
により表される、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項155】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項154に記載の方法。
【請求項156】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり
、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項154に記載の方法。
【請求項157】
少なくとも1つのメイタンシノイドが式4’:
【化27】

[式中:
’は
【化28】

を表し、
式中:
からR12は各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからR12はHであることができる;
A、B、およびDは各々独立して、3から10の炭素原子を有する環式アルキルもしくは環式アルケニル、シンプルなアリールもしくは置換されたアリール、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルである;そして
l、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuは各々独立して、0または1から5の整数である、ただしl、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuの少なくとも2つが双方ともゼロではない]
により表される、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項158】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項157に記載の方法。
【請求項159】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項157に記載の方法。
【請求項160】
少なくとも1つのメイタンシノイドが式4
【化29】

[式中:

【化30】

を表し、式中:
からRは各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルまたはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからRはHであることができる;そして
l、m、およびnは各々独立して、1から5の整数であり、そして加えてnは0であることができる]
により表される、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項161】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項160に記載の方法。
【請求項162】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項160に記載の方法。
【請求項163】
少なくとも1つのメイタンシノイドがDM1である、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項164】
少なくとも1つのメイタンシノイドがDM3である、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項165】
少なくとも1つのメイタンシノイドがDM4である請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項166】
メイタンシノイドが、イオウを含有しない架橋物質で修飾され、式5の化合物:
【化31】

[式中Xは、2から20の炭素原子を持つ直鎖または分枝鎖のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、Yは3から10の炭素原子を持つシクロアルキル基またはシクロアルケニル基であり、Zは6から10の炭素原子を持つ置換されたもしくは置換されていない芳香族の基、またはヘテロ原子がN、OもしくはSより選択される置換されたもしくは置換されていない複素環式の基であり、そしてl、mおよびnは各々0または1であるが、ただしそれらすべてが同時に0ではない、そしてEはカルボニル基と共に活性なエステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルおよびスルホスクシンイミジルエステル、N−ヒドロキシフタルイミジルエステル、N−ヒドロキシスルホフタルイミジルエステル、オルト−ニトロフェニルエステル、パラ−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、3−スルホニル−4−ニトロフェニルエステル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ならびにスルホニルテトラフルオロフェニルエステルを形成する]
を与える、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項167】
メイタンシノイドが、イオウを含有しない架橋物質で修飾され、式6の化合物:
【化32】

[式中、nは3から24の整数を表し、そしてEはカルボニル基と共に活性なエステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルおよびスルホスクシンイミジルエステル、N−ヒドロキシフタルイミジルエステル、N−ヒドロキシスルホフタルイミジルエステル、オルト−ニトロフェニルエステル、パラ−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、3−スルホニル−4−ニトロフェニルエステル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ならびにスルホニルテトラフルオロフェニルエステルを形成する]
を与える、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項168】
メイタンシノイドが、イオウを含有しない架橋物質で修飾され、式7の化合物:
【化33】

[式中、RはHまたはSONaである]
を与える、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項169】
細胞結合物質が、罹患したまたは感染した病気の細胞に特異的に結合する抗体、単鎖抗体、または抗体フラグメントである、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項170】
細胞結合物質が、罹患したまたは感染した病気の細胞に特異的に結合する表面再修飾した抗体、表面再修飾した単鎖抗体、または表面再修飾した抗体フラグメントである、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項171】
細胞結合物質が、罹患したまたは感染した病気の細胞に特異的に結合するヒト化抗体、ヒト化単鎖抗体、またはヒト化抗体フラグメントである、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項172】
細胞結合物質が、罹患したまたは感染した病気の細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、またはモノクローナル抗体フラグメントである、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項173】
細胞結合物質が、罹患したまたは感染した病気の細胞に特異的に結合する表面再修飾したモノクローナル抗体、表面再修飾した単鎖モノクローナル抗体、または表面再修飾したモノクローナル抗体フラグメントである、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項174】
細胞結合物質が、罹患したまたは感染した病気の細胞に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体、ヒト化単鎖モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項130から135のいずれか1項に記載の方法。
【請求項175】
細胞結合物質が、抗CanAg抗体、抗CD19抗体、抗CD33抗体、抗CALLA抗体、抗EGFR抗体、抗CD56抗体、抗IGF−IR抗体、または抗Her2抗体である、請求項130に記載の方法。
【請求項176】
細胞結合物質が、表面再修飾した抗体であるMy9−6、KS77、またはN901である、請求項130に記載の方法。
【請求項177】
細胞結合物質が、トラスツツマブ抗体、B4抗体、huC242抗体である、請求項130に記載の方法。
【請求項178】
細胞結合物質がhuC242抗体である、請求項130に記載の方法。
【請求項179】
細胞結合物質が表面再修飾したhuC242抗体である、請求項130に記載の方法。
【請求項180】
自己由来骨髄細胞を同一患者への移植前に、罹患した細胞もしくは腫瘍細胞を排除する目的で処理する;骨髄細胞を移植前に、コンピテントT細胞を排除し、そして移植片対宿主病(GVHD)を予防する目的で処理する;標的抗原を発現しない所望のバリアント以外のすべての細胞を排除する目的で細胞培養物を処理する;または所望でない抗原を発現するバリアントの細胞を排除する目的で細胞培養物を処理する;ためのin vitroで使用する方法であって、当該方法は細胞結合物質メイタンシノイド複合体の有効量で細胞を処理することを包含し、ここで1つまたはそれより多くのメイタンシノイドは、非開裂リンカーを介して細胞結合物質に共有結合で連結され、そして当該細胞結合物質が排除すべき細胞に結合する、前記方法。
【請求項181】
非開裂リンカーが、酸に誘発される開裂、光に誘発される開裂、ペプチダーゼに誘発される開裂、エステラーゼに誘発される開裂、またはジスルフィド結合の開裂に対して実質的に耐性がある、請求項180に記載の方法。
【請求項182】
非開裂リンカーがイオウ原子を有していない、請求項180に記載の方法。
【請求項183】
リンカーがジカルボン酸を基本とする部分から誘導される、請求項182に記載の方法。
【請求項184】
リンカーがα、ω−ジカルボン酸を基本とする部分から誘導され、ここで当該α、ω−ジカルボン酸が一般式HOOC−X−Y−Z−COOHを有しており、式中Xは、2から20の炭素原子を持つ直鎖または分枝鎖のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、Yは3から10の炭素原子を持つシクロアルキル基またはシクロアルケニル基であり、Zは6から10の炭素原子を持つ置換されたもしくは置換されていない芳香族の基、またはヘテロ原子がN、OもしくはSより選択される置換されたもしくは置換されていない複素環式の基であり、そしてl、mおよびnは各々0または1であるが、ただしそれらすべてが同時に0ではない、請求項183に記載の方法。
【請求項185】
α、ω−ジカルボン酸が、アジピン酸、ピメリックグルタル酸(pimelicglutaric acid)、ピメリン酸、ヘキセン−1,6−二酸、ペンテン−1,5−二酸、シクロヘキサン−二酸、またはシクロヘキセン−二酸である、請求項184に記載の方法。
【請求項186】
非開裂リンカーがイオウ原子を有する、請求項180に記載の方法。
【請求項187】
非開裂リンカーがマレイミドを基本とする部分から誘導される、請求項186に記載の方法。
【請求項188】
非開裂リンカーが、N−スクシンイミジル4−(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC)、N−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシ−(6−アミドカプロエート) (LC−SMCC)、κ−マ
レイミドウンデカン酸N−スクシンイミジルエステル(KMUA)、γ−マレイミド酪酸N−スクシンイミジルエステル(GMBS)、ε−マレイミドカプロン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、N−(α−マレイミドアセトキシ)−スクシンイミドエステル(AMAS)、スクシンイミジル−6−(β−マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノ
エート(SMPH)、N−スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)−ブチレート(SMPB)、およびN−(p−マレイミドフェニル)イソシアネート(PMPI)から成る群より選択される、マレイミドを基本とする部分から誘導される、請求項187に記載の方法。
【請求項189】
非開裂リンカーがSMCCから誘導される、請求項180に記載の方法。
【請求項190】
非開裂リンカーがハロアセチルを基本とする部分から誘導される、請求項186に記載の方法。
【請求項191】
非開裂リンカーが、N−スクシンイミジル−4−(ヨードアセチル)−アミノベンゾエート(SIAB)、N−スクシンイミジルヨードアセテート(SIA)、N−スクシンイミジルブロモアセテート(SBA)、およびN−スクシンイミジル3−(ブロモアセトア
ミド)プロピオネート(SBAP)から成る群より選択される、ハロアセチルを基本とす
る部分から誘導される、請求項190に記載の方法。
【請求項192】
非開裂リンカーがSIABから誘導される、請求項191に記載の方法。
【請求項193】
リンカーが、少なくとも1つのメイタンシノイドのC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルの基のいずれか1つにある、請求項180に記載の方法。
【請求項194】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、メイタンシノールのN−メチル−アラニンを含有するエステルである、請求項180に記載の方法。
【請求項195】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、メイタンシノールのN−メチル−システインを含有するエステルである、請求項180に記載の方法。
【請求項196】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、式(II’−L)、(II’−D)または(II’−D,L):
【化34】

[式中:
’は
【化35】

を表し、
式中:
からR12は各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしく
はアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからR12はHであることができる;
A、B、およびDは各々独立して、3から10の炭素原子を有する環式アルキルもしくは環式アルケニル、シンプルなアリールもしくは置換されたアリール、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルである;
l、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuは各々独立して、0または1から5の整数である、ただしl、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuの少なくとも2つが双方ともゼロではない;そして
MayはC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]
により表される、請求項180に記載の方法。
【請求項197】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項196に記載の方法。
【請求項198】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項196に記載の方法。
【請求項199】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、式(II−L)、(II−D)、または(II−D,L):
【化36】

[式中:

【化37】

を表し、式中:
からRは各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからRはHであることができる;
l、m、およびnは各々独立して、1から5の整数であり、そして加えてnは0であることができる;そして
MayはC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]
により表される、請求項180に記載の方法。
【請求項200】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項199に記載の方法。
【請求項201】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項199に記載の方法。
【請求項202】
少なくとも1つのメイタンシノイドが式4’:
【化38】

[式中:
’は
【化39】

を表し、
式中:
からR12は各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからR12はHであることができる;
A、B、およびDは各々独立して、3から10の炭素原子を有する環式アルキルもしくは環式アルケニル、シンプルなアリールもしくは置換されたアリール、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルである;そして
l、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuは各々独立して、0または1から5の整数である、ただしl、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuの少なくとも2つが双方ともゼロではない]
により表される、請求項180に記載の方法。
【請求項203】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項202に記載の方法。
【請求項204】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項202に記載の方法。
【請求項205】
少なくとも1つのメイタンシノイドが式4
【化40】

[式中:

【化41】

を表し、式中:
からRは各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルまたはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからRはHであることができる;
l、m、およびnは各々独立して、1から5の整数であり、そして加えてnは0であることができる;そして
MayはC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]
により表される、請求項180に記載の方法。
【請求項206】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項205に記載の方法。
【請求項207】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項205に記載の方法。
【請求項208】
少なくとも1つのメイタンシノイドがDM1である、請求項180に記載の方法。
【請求項209】
少なくとも1つのメイタンシノイドがDM3である、請求項180に記載の方法。
【請求項210】
少なくとも1つのメイタンシノイドがDM4である、請求項180に記載の方法。
【請求項211】
メイタンシノイドが、イオウを含有しない架橋物質で修飾され、式5の化合物:
【化42】

[式中Xは、2から20の炭素原子を持つ直鎖または分枝鎖のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、Yは3から10の炭素原子を持つシクロアルキル基またはシクロアルケニル基であり、Zは6から10の炭素原子を持つ置換されたもしくは置換されていない芳香族の基、またはヘテロ原子がN、OもしくはSより選択される置換されたもしくは置換されていない複素環式の基であり、そしてl、mおよびnは各々0または1であるが、ただしそれらすべてが同時に0ではない、そしてEはカルボニル基と共に活性なエステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルおよびスルホスクシンイミジルエステル、N−ヒドロキシフタルイミジルエステル、N−ヒドロキシスルホフタルイミジルエステル、オルト−ニトロフェニルエステル、パラ−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、3−スルホニル−4−ニトロフェニルエステル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ならびにスルホニルテトラフルオロフェニルエステルを形成する]
を与える、請求項180に記載の方法。
【請求項212】
メイタンシノイドが、イオウを含有しない架橋物質で修飾され、式6の化合物:
【化43】

[式中、nは3から24の整数を表し、そしてEはカルボニル基と共に活性なエステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルおよびスルホスクシンイミジルエステル、N−ヒドロキシフタルイミジルエステル、N−ヒドロキシスルホフタルイミジルエステル、オルト−ニトロフェニルエステル、パラ−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、3−スルホニル−4−ニトロフェニルエステル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ならびにスルホニルテトラフルオロフェニルエステルを形成する]
を与える、請求項180に記載の方法。
【請求項213】
メイタンシノイドが、イオウを含有しない架橋物質で修飾され、式7の化合物:
【化44】

[式中、RはHまたはSONaである]
を与える、請求項180に記載の方法。
【請求項214】
細胞結合物質が、排除される細胞に特異的に結合する抗体、単鎖抗体、または抗体フラグメントである、請求項180に記載の方法。
【請求項215】
細胞結合物質が、排除される細胞に特異的に結合する表面再修飾した抗体、表面再修飾した単鎖抗体、または表面再修飾した抗体フラグメントである、請求項180に記載の方法。
【請求項216】
細胞結合物質が、排除される細胞に特異的に結合するヒト化抗体、ヒト化単鎖抗体、またはヒト化抗体フラグメントである、請求項180に記載の方法。
【請求項217】
細胞結合物質が、排除される細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、またはモノクローナル抗体フラグメントである、請求項180に記載の方法。
【請求項218】
細胞結合物質が、排除される細胞に特異的に結合する表面再修飾したモノクローナル抗体、表面再修飾した単鎖モノクローナル抗体、または表面再修飾したモノクローナル抗体フラグメントである、請求項180に記載の方法。
【請求項219】
細胞結合物質が、排除される細胞に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体、ヒト化単鎖モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項180に記載の方法。
【請求項220】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体より毒性が低い、請求項180に記載の方法。
【請求項221】
細胞結合物質メイタンシノイド複合体が、抗体単独の血漿クリアランスとほぼ等しい値を有する、請求項180に記載の方法。
【請求項222】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の最大耐薬用量が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の値より大きい、請求項180に記載の方法。
【請求項223】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の生物学的活性の持続性が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の値より大きい、請求項180に記載の方法。
【請求項224】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の抗原陰性細胞に対する活性が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の値より低い、請求項180に記載の方法。
【請求項225】
細胞結合物質メイタンシノイド複合体が最小のバイスタンダー活性を示す、請求項180に記載の方法。
【請求項226】
非開裂リンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを有する細胞結合物質メイタンシノイド複合体、ただし細胞結合物質が抗体である場合、リンカーは以下から成る群:スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、スルホ−SMCC、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、スルホ−MBS、およびN−スクシンイミジル−ヨードアセテート(SIA)より選択される架橋物質からは誘導されない、前記複合体。
【請求項227】
非開裂リンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを有する細胞結合物質メイタンシノイド複合体、ただし細胞結合物質が抗体ではない、前記複合体。
【請求項228】
非開裂リンカーが、酸に誘発される開裂、光に誘発される開裂、ペプチダーゼに誘発される開裂、エステラーゼに誘発される開裂、またはジスルフィド結合の開裂に対して実質的に耐性がある、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項229】
非開裂リンカーがイオウ原子を有していない、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項230】
リンカーがジカルボン酸を基本とする部分から誘導される、請求項229に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項231】
リンカーがα、ω−ジカルボン酸を基本とする部分から誘導され、ここで当該α、ω−ジカルボン酸は一般式HOOC−X−Y−Z−COOHを有しており、式中Xは、2から20の炭素原子を持つ直鎖または分枝鎖のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、Yは3から10の炭素原子を持つシクロアルキル基またはシクロアルケニル基であり、Zは6から10の炭素原子を持つ置換されたもしくは置換されていない芳香族の基、またはヘテロ原子がN、OもしくはSより選択される置換されたもしくは置換されていない複素環式の基であり、そしてl、mおよびnは各々0または1であるが、ただしそれらすべてが同時に0ではない、請求項230に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項232】
α、ω−ジカルボン酸が、アジピン酸、ピメリックグルタル酸、ピメリン酸、ヘキセン−1,6−二酸、ペンテン−1,5−二酸、シクロヘキサン−二酸、またはシクロヘキセン−二酸である、請求項231に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項233】
非開裂リンカーがイオウ原子を有する、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項234】
非開裂リンカーがマレイミドを基本とする部分から誘導される、請求項233に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項235】
非開裂リンカーが、N−スクシンイミジル4−(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC)、N−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシ−(6−アミドカプロエート) (LC−SMCC)、κ−マ
レイミドウンデカン酸N−スクシンイミジルエステル(KMUA)、γ−マレイミド酪酸N−スクシンイミジルエステル(GMBS)、ε−マレイミドカプロン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、N−(α−マレイミドアセトキシ)−スクシンイミドエステル(AMAS)、スクシンイミジル−6−(β−マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート(SMPH)、N−スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)−ブチレート(SMPB)、およびN−(p−マレイミドフェニル)イソシアネート(PMPI)から成る群より選択される、マレイミドを基本とする部分から誘導される、請求項234に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項236】
非開裂リンカーがSMCCから誘導される、請求項235に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項237】
非開裂リンカーがハロアセチルを基本とする部分から誘導される、請求項233に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項238】
非開裂リンカーが、N−スクシンイミジル−4−(ヨードアセチル)−アミノベンゾエート(SIAB)、N−スクシンイミジルヨードアセテート(SIA)、N−スクシンイミジルブロモアセテート(SBA)、およびN−スクシンイミジル3−(ブロモアセトア
ミド)プロピオネート(SBAP)から成る群より選択される、ハロアセチルを基本とす
る部分から誘導される、請求項237に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項239】
非開裂リンカーがSIABから誘導される、請求項238に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項240】
リンカーが、少なくとも1つのメイタンシノイドのC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルの基のいずれか1つにある、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項241】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、メイタンシノールのN−メチル−アラニンを含有するエステルである、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項242】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、メイタンシノールのN−メチル−システインを含有するエステルである、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項243】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、式(II’−L)、(II’−D)または(II’−D,L):
【化45】

[式中:
’は
【化46】

を表し、
式中:
からR12は各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからR12はHであることができる;
A、B、およびDは各々独立して、3から10の炭素原子を有する環式アルキルもしくは環式アルケニル、シンプルなアリールもしくは置換されたアリール、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルである;
l、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuは各々独立して、0または1から5の整数である、ただしl、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuの少なくとも2つが双方ともゼロではない;そして
MayはC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]
により表される、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項244】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項243に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項245】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項243に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項246】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、式(II−L)、(II−D)、または(II−D,L):
【化47】

[式中:

【化48】

を表し、式中:
からRは各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからRはHであることができる;
l、m、およびnは各々独立して、1から5の整数であり、そして加えてnはゼロであることができる;そして
MayはC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]
により表される、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項247】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項246に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項248】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項246に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項249】
少なくとも1つのメイタンシノイドが式4’:
【化49】

[式中:
’は
【化50】

を表し、
式中:
からR12は各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからR12はHであることができる;
A、B、およびDは各々独立して、3から10の炭素原子を有する環式アルキルもしくは環式アルケニル、シンプルなアリールもしくは置換されたアリール、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルである;
l、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuは各々独立して、0または1から5の整数である、ただしl、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuの少なくとも2つが双方ともゼロではない;そして
MayはC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]
により表される、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項250】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項249に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項251】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項249に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項252】
少なくとも1つのメイタンシノイドが式4
【化51】

[式中:

【化52】

を表し、式中:
からRは各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルまたはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからRはHであることができる;そして
l、m、およびnは各々独立して、1から5の整数であり、そして加えてnは0であることができる]
により表される、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項253】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項252に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項254】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項252に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項255】
少なくとも1つのメイタンシノイドがDM1である、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項256】
少なくとも1つのメイタンシノイドがDM3である、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項257】
少なくとも1つのメイタンシノイドがDM4である、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項258】
メイタンシノイドが、イオウを含有しない架橋物質で修飾され、式5の化合物:
【化53】

[式中Xは、2から20の炭素原子を持つ直鎖または分枝鎖のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、Yは3から10の炭素原子を持つシクロアルキル基またはシクロアルケニル基であり、Zは6から10の炭素原子を持つ置換されたもしくは置換されていない芳香族の基、またはヘテロ原子がN、OもしくはSより選択される置換されたもしくは置換されていない複素環式の基であり、そしてl、mおよびnは各々0または1であるが、ただしそれらすべてが同時に0ではない、そしてEはカルボニル基と共に活性なエステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルおよびスルホスクシンイミジルエステル、N−ヒドロキシフタルイミジルエステル、N−ヒドロキシスルホフタルイミジルエステル、オルト−ニトロフェニルエステル、パラ−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、3−スルホニル−4−ニトロフェニルエステル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ならびにスルホニルテトラフルオロフェニルエステルを形成する]
を与える、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項259】
メイタンシノイドが、イオウを含有しない架橋物質で修飾され、式6の化合物:
【化54】

[式中、nは3から24の整数を表し、そしてEはカルボニル基と共に活性なエステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルおよびスルホスクシンイミジルエステル、N−ヒドロキシフタルイミジルエステル、N−ヒドロキシスルホフタルイミジルエステル、オルト−ニトロフェニルエステル、パラ−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、3−スルホニル−4−ニトロフェニルエステル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ならびにスルホニルテトラフルオロフェニルエステルを形成する]
を与える、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項260】
メイタンシノイドが、イオウを含有しない架橋物質で修飾され、式7の化合物:
【化55】

[式中、RはHまたはSONaである]
を与える、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項261】
細胞結合物質が、腫瘍細胞;ウイルスに感染した細胞、微生物に感染した細胞、寄生体に感染した細胞、自己免疫細胞、活性化細胞、骨髄細胞、活性化T細胞、B細胞、もしくはメラノサイト;CD33、CD19、CanAg、CALLA、もしくはHer−2抗原を発現する細胞;またはインスリン増殖因子受容体、表皮増殖因子受容体、もしくは葉酸受容体を発現する細胞に結合する、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項262】
細胞結合物質が、乳癌細胞、前立腺癌細胞、卵巣癌細胞、結腸直腸癌細胞、胃癌細胞、扁平上皮癌細胞、小細胞肺癌細胞、精巣癌細胞、および神経芽腫細胞から成る群より選択される細胞に結合する、請求項261に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項263】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合する抗体、単鎖抗体、抗体フラグメント、標的細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、モノクローナル抗体フラグメント、標的細胞に特異的に結合するキメラ抗体、キメラ抗体フラグメント、標的細胞に特異的に結合するドメイン抗体、ドメイン抗体フラグメント、リンホカイン、ホルモン、ビタミン、増殖因子、コロニー刺激因子、または栄養素を輸送する分子である、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項264】
細胞結合物質が、リンホカイン、ホルモン、ビタミン、増殖因子、コロニー刺激因子、または栄養素を輸送する分子である、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項265】
細胞結合物質が、インターフェロン、IL2、IL3、IL4、IL6、インスリン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、メラノサイト刺激ホルモン、ステロイドホルモン、ソマトスタチン、EGF、TGF−α、FGF、G−CSF、VEGF、MCSF、GM−CSF、葉酸、トランスフェリン、エストロゲン、エストロゲン類似体、アンドロゲン、またはアンドロゲン類似体である、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項266】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合する抗体、単鎖抗体、または抗体フラグメントである、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項267】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合する表面再修飾した抗体、表面再修飾した単鎖抗体、または表面再修飾した抗体フラグメントである、請求項226に記載の細胞結合
物質メイタンシノイド複合体。
【請求項268】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合するヒト化抗体、ヒト化単鎖抗体、またはヒト化抗体フラグメントである、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項269】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、またはモノクローナル抗体フラグメントである、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項270】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合する表面再修飾したモノクローナル抗体、表面再修飾した単鎖モノクローナル抗体、または表面再修飾したモノクローナル抗体フラグメントである、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項271】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体、ヒト化単鎖モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体法。
【請求項272】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合するキメラ抗体、キメラ抗体フラグメント、ドメイン抗体、またはドメイン抗体フラグメントである、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項273】
細胞結合物質が、腫瘍細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、またはモノクローナル抗体フラグメントである、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項274】
細胞結合物質が、腫瘍細胞に特異的に結合する表面再修飾したモノクローナル抗体、表面再修飾した単鎖モノクローナル抗体、または表面再修飾したモノクローナル抗体フラグメントである、請求項226に記載の方法。
【請求項275】
細胞結合物質が、腫瘍細胞に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体、ヒト化単鎖モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項276】
細胞結合物質が、腫瘍細胞に特異的に結合するキメラ抗体、キメラ抗体フラグメント、ドメイン抗体、またはドメイン抗体フラグメントである、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項277】
細胞結合物質が、結腸直腸癌細胞または乳癌細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、またはモノクローナル抗体フラグメントである、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項278】
細胞結合物質が、結腸直腸癌細胞または乳癌細胞に特異的に結合する表面再修飾したモノクローナル抗体、表面再修飾した単鎖モノクローナル抗体、または表面再修飾したモノクローナル抗体フラグメントである、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項279】
細胞結合物質が、結腸直腸癌細胞または乳癌細胞に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体、ヒト化単鎖モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項280】
細胞結合物質が、結腸直腸癌細胞または乳癌細胞に特異的に結合する表面再修飾したモノクローナル抗体、表面再修飾した単鎖モノクローナル抗体、または表面再修飾したモノクローナル抗体フラグメントである、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項281】
細胞結合物質が、乳癌細胞に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体、ヒト化単鎖モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項282】
細胞結合物質が、抗CanAg抗体、抗CD19抗体、抗CD33抗体、抗CALLA抗体、抗EGFR抗体、抗CD56抗体、抗IGF−IR抗体、または抗Her2抗体である、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項283】
メイタンシノイドがDM1、DM2、またはDM3である、請求項282に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項284】
細胞結合物質が、表面再修飾した抗体であるMy9−6、KS77、またはN901である、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項285】
メイタンシノイドがDM1、DM2、またはDM3である、請求項284に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項286】
細胞結合物質が、トラスツツマブ抗体、B4抗体、huC242抗体である、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項287】
メイタンシノイドがDM1、DM2、またはDM3である、請求項286に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項288】
細胞結合物質がhuC242抗体である、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項289】
細胞結合物質が表面再修飾したC242抗体である、請求項226に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項290】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体より毒性が低い、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項291】
細胞結合物質メイタンシノイド複合体が、抗体単独の血漿クリアランスとほぼ等しい値を有する、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項292】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の最大耐薬用量が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の値より大きい、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項293】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の生物学的活性の持続性が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシ
ノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の値より大きい、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項294】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の抗原陰性細胞に対する活性が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の値より低い、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項295】
細胞結合物質メイタンシノイド複合体が最小のバイスタンダー活性を示す、請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項296】
請求項226の細胞結合物質メイタンシノイド複合体、および担体を包含する組成物。
【請求項297】
請求項227の細胞結合物質メイタンシノイド複合体、および担体を包含する組成物。
【請求項298】
非開裂リンカーが、酸に誘発される開裂、光に誘発される開裂、ペプチダーゼに誘発される開裂、エステラーゼに誘発される開裂、またはジスルフィド結合の開裂に対して実質的に耐性がある、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項299】
非開裂リンカーがイオウ原子を有していない、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項300】
リンカーがジカルボン酸を基本とする部分から誘導される、請求項299に記載の組成物。
【請求項301】
リンカーがα、ω−ジカルボン酸を基本とする部分から誘導され、ここで当該α、ω−ジカルボン酸は一般式HOOC−X−Y−Z−COOHを有しており、式中Xは、2から20の炭素原子を持つ直鎖または分枝鎖のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、Yは3から10の炭素原子を持つシクロアルキル基またはシクロアルケニル基であり、Zは6から10の炭素原子を持つ置換されたもしくは置換されていない芳香族の基、またはヘテロ原子がN、OもしくはSより選択される置換されたもしくは置換されていない複素環式の基であり、そしてl、mおよびnは各々0または1であるが、ただしそれらすべてが同時に0ではない、請求項300に記載の組成物。
【請求項302】
α、ω−ジカルボン酸が、アジピン酸、ピメリックグルタル酸、ピメリン酸、ヘキセン−1,6−二酸、ペンテン−1,5−二酸、シクロヘキサン−二酸、またはシクロヘキセン−二酸である、請求項301に記載の組成物。
【請求項303】
非開裂リンカーがイオウ原子を有する、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項304】
非開裂リンカーがマレイミドを基本とする部分から誘導される、請求項303に記載の組成物。
【請求項305】
非開裂リンカーが、N−スクシンイミジル4−(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC)、N−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシ−(6−アミドカプロエート) (LC−SMCC)、κ−マ
レイミドウンデカン酸N−スクシンイミジルエステル(KMUA)、γ−マレイミド酪酸N−スクシンイミジルエステル(GMBS)、ε−マレイミドカプロン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、N−(α−マレイミドアセトキシ)−スクシンイミドエス
テル(AMAS)、スクシンイミジル−6−(β−マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート(SMPH)、N−スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)−ブチレート(SMPB)、およびN−(p−マレイミドフェニル)イソシアネート(PMPI)から成る群より選択される、マレイミドを基本とする部分から誘導される、請求項304に記載の組成物。
【請求項306】
非開裂リンカーがSMCCから誘導される、請求項305に記載の組成物。
【請求項307】
非開裂リンカーがハロアセチルを基本とする部分から誘導される、請求項303に記載の組成物。
【請求項308】
非開裂リンカーが、N−スクシンイミジル−4−(ヨードアセチル)−アミノベンゾエート(SIAB)、N−スクシンイミジルヨードアセテート(SIA)、N−スクシンイミジルブロモアセテート(SBA)、およびN−スクシンイミジル3−(ブロモアセトア
ミド)プロピオネート(SBAP)から成る群より選択される、ハロアセチルを基本とす
る部分から誘導される、請求項307に記載の組成物。
【請求項309】
非開裂リンカーがSIABから誘導される、請求項308に記載の組成物。
【請求項310】
リンカーが、少なくとも1つのメイタンシノイドのC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルの基のいずれか1つにある、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項311】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、メイタンシノールのN−メチル−アラニンを含有するエステルである、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項312】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、メイタンシノールのN−メチル−システインを含有するエステルである、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項313】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、式(II’−L)、(II’−D)または(II’−D,L):
【化56】

[式中:
’は
【化57】

を表し、
式中:
からR12は各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからR12はHであることができる;
A、B、およびDは各々独立して、3から10の炭素原子を有する環式アルキルもしくは環式アルケニル、シンプルなアリールもしくは置換されたアリール、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルである;
l、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuは各々独立して、0または1から5の整数である、ただしl、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuの少なくとも2つが双方ともゼロではない;そして
MayはC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]
により表される、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項314】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項313に記載の組成物。
【請求項315】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項313に記載の組成物。
【請求項316】
少なくとも1つのメイタンシノイドが、式(II−L)、(II−D)、または(II−D,L):
【化58】

[式中:

【化59】

を表し、式中:
からRは各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからRはHであることができる;
l、m、およびnは各々独立して、1から5の整数であり、そして加えてnは0であることができる;そして
MayはC−3ヒドロキシル、C−14ヒドロキシメチル、C−15ヒドロキシルまたはC−20デスメチルに側鎖を持つメイタンシノイドを表す]
により表される、請求項296または299に記載の組成物。
【請求項317】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項316に記載の組成物。
【請求項318】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項316に記載の組成物。
【請求項319】
少なくとも1つのメイタンシノイドが式4’:
【化60】

[式中:
’は
【化61】

を表し、
式中:
からR12は各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルもしくはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからR12はHであることができる;
A、B、およびDは各々独立して、3から10の炭素原子を有する環式アルキルもしくは環式アルケニル、シンプルなアリールもしくは置換されたアリール、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルである;そして
l、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuは各々独立して、0または1から5の整数である、ただしl、m、n、o、p、q、r、s、t、およびuの少なくとも2つが双方ともゼロではない]
により表わされる請求項296または297に記載の組成物。
【請求項320】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項319に記載の組成物。
【請求項321】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0で
ある、請求項319に記載の組成物。
【請求項322】
少なくとも1つのメイタンシノイドが式4
【化62】

[式中:

【化63】

を表し、式中:
からRは各々独立して、1から10の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルケニル、3から10の炭素原子を有する分枝鎖もしくは環式のアルキルまたはアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、または複素環式芳香族もしくはヘテロシクロアルキルのラジカルであり、そして加えてRからRはHであることができる;そして
l、m、およびnは各々独立して、1から5の整数であり、そして加えてnは0であることができる]
により表される、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項323】
がメチルでありRがHである、またはRおよびRがメチルである、請求項323に記載の組成物。
【請求項324】
がメチルであり、RがHであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが各々1であり、そしてnが0である;またはRおよびRがメチルであり、R、R、RおよびRが各々Hであり、lおよびmが1であり、そしてnが0である、請求項323に記載の組成物。
【請求項325】
少なくとも1つのメイタンシノイドがDM1である、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項326】
少なくとも1つのメイタンシノイドがDM3である、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項327】
少なくとも1つのメイタンシノイドがDM4である、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項328】
メイタンシノイドが、イオウを含有しない架橋物質で修飾され、式5の化合物:
【化64】

[式中Xは、2から20の炭素原子を持つ直鎖または分枝鎖のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、Yは3から10の炭素原子を持つシクロアルキル基またはシクロアルケニル基であり、Zは6から10の炭素原子を持つ置換されたもしくは置換されていない芳香族の基、またはヘテロ原子がN、OもしくはSより選択される置換されたもしくは置換されていない複素環式の基であり、そしてl、mおよびnは各々0または1であるが、ただしそれらすべてが同時に0ではない、そしてEはカルボニル基と共に活性なエステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルおよびスルホスクシンイミジルエステル、N−ヒドロキシフタルイミジルエステル、N−ヒドロキシスルホフタルイミジルエステル、オルト−ニトロフェニルエステル、パラ−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、3−スルホニル−4−ニトロフェニルエステル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ならびにスルホニルテトラフルオロフェニルエステルを形成する]
を与える、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項329】
メイタンシノイドが、イオウを含有しない架橋物質で修飾され、式6の化合物:
【化65】

[式中、nは3から24の整数を表し、そしてEはカルボニル基と共に活性なエステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルおよびスルホスクシンイミジルエステル、N−ヒドロキシフタルイミジルエステル、N−ヒドロキシスルホフタルイミジルエステル、オルト−ニトロフェニルエステル、パラ−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、3−スルホニル−4−ニトロフェニルエステル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ならびにスルホニルテトラフルオロフェニルエステルを形成する]
を与える、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項330】
メイタンシノイドが、イオウを含有しない架橋物質で修飾され、式7の化合物:
【化66】

[式中、RはHまたはSONaである]
を与える、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項331】
細胞結合物質が、腫瘍細胞;ウイルスに感染した細胞、微生物に感染した細胞、寄生体に感染した細胞、自己免疫細胞、活性化細胞、骨髄細胞、活性化T細胞、B細胞、もしくはメラノサイト;CD33、CD19、CanAg、CALLA、もしくはHer−2抗原を発現する細胞;またはインスリン増殖因子受容体、表皮増殖因子受容体、もしくは葉酸受容体を発現する細胞に結合する、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項332】
細胞結合物質が、乳癌細胞、前立腺癌細胞、卵巣癌細胞、結腸直腸癌細胞、胃癌細胞、扁平上皮癌細胞、小細胞肺癌細胞、精巣癌細胞、および神経芽腫細胞から成る群より選択される細胞に結合する、請求項331に記載の組成物。
【請求項333】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合する抗体、単鎖抗体、抗体フラグメント、標的細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、モノクローナル抗体フラグメント、標的細胞に特異的に結合するキメラ抗体、キメラ抗体フラグメント、標的細胞に特異的に結合するドメイン抗体、ドメイン抗体フラグメント、リンホカイン、ホルモン、ビタミン、増殖因子、コロニー刺激因子、または栄養素を輸送する分子である、請求項296に記載の組成物。
【請求項334】
細胞結合物質が、リンホカイン、ホルモン、ビタミン、増殖因子、コロニー刺激因子、または栄養素を輸送する分子である、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項335】
細胞結合物質が、インターフェロン、IL2、IL3、IL4、IL6、インスリン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、メラノサイト刺激ホルモン、ステロイドホルモン、ソマトスタチン、EGF、TGF−α、FGF、G−CSF、VEGF、MCSF、GM−CSF、葉酸、トランスフェリン、エストロゲン、エストロゲン類似体、アンドロゲン、またはアンドロゲン類似体である、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項336】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合する抗体、単鎖抗体、または抗体フラグメントである、請求項296に記載の組成物。
【請求項337】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合する表面再修飾した抗体、表面再修飾した単鎖抗体、または表面再修飾した抗体フラグメントである、請求項296に記載の組成物。
【請求項338】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合するヒト化抗体、ヒト化単鎖抗体、またはヒト化抗体フラグメントである、請求項296に記載の組成物。
【請求項339】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、またはモノクローナル抗体フラグメントである、請求項296に記載の組成物。
【請求項340】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合する表面再修飾したモノクローナル抗体、表面再修飾した単鎖モノクローナル抗体、または表面再修飾したモノクローナル抗体フラグメントである、請求項296に記載の組成物。
【請求項341】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体、ヒト化単鎖モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項296に記載の組成物。
【請求項342】
細胞結合物質が、標的細胞に特異的に結合するキメラ抗体、キメラ抗体フラグメント、ドメイン抗体、またはドメイン抗体フラグメントである、請求項296に記載の組成物。
【請求項343】
細胞結合物質が、腫瘍細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、またはモノクローナル抗体フラグメントである、請求項296に記載の組成物。
【請求項344】
細胞結合物質が、腫瘍細胞に特異的に結合する表面再修飾したモノクローナル抗体、表面再修飾した単鎖モノクローナル抗体、または表面再修飾したモノクローナル抗体フラグメントである、請求項296に記載の組成物。
【請求項345】
細胞結合物質が、腫瘍細胞に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体、ヒト化単鎖モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項296に記載の組成物。
【請求項346】
細胞結合物質が、腫瘍細胞に特異的に結合するキメラ抗体、キメラ抗体フラグメント、ドメイン抗体、またはドメイン抗体フラグメントである、請求項296に記載の組成物。
【請求項347】
細胞結合物質が、結腸直腸癌細胞または乳癌細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、またはモノクローナル抗体フラグメントである、請求項296に記載の組成物。
【請求項348】
細胞結合物質が、結腸直腸癌細胞または乳癌細胞に特異的に結合する表面再修飾したモノクローナル抗体、表面再修飾した単鎖モノクローナル抗体、または表面再修飾したモノクローナル抗体フラグメントである、請求項296に記載の組成物。
【請求項349】
細胞結合物質が、結腸直腸癌細胞または乳癌細胞に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体、ヒト化単鎖モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項296に記載の組成物。
【請求項350】
細胞結合物質が、乳癌細胞に特異的に結合する表面再修飾したモノクローナル抗体、表面再修飾した単鎖モノクローナル抗体、または表面再修飾したモノクローナル抗体フラグメントである、請求項296に記載の組成物。
【請求項351】
細胞結合物質が、乳癌細胞に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体、ヒト化単鎖モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体フラグメントである、請求項296に記載の組成物。
【請求項352】
細胞結合物質が、抗CanAg抗体、抗CD19抗体、抗CD33抗体、抗CALLA
抗体、抗EGFR抗体、抗CD56抗体、抗IGF−IR抗体、または抗Her2抗体である、請求項296項に記載の組成物。
【請求項353】
メイタンシノイドがDM1、DM2、またはDM3である、請求項352に記載の組成物。
【請求項354】
細胞結合物質が、表面再修飾した抗体であるMy9−6、KS77、またはN901である、請求項296に記載の組成物。
【請求項355】
メイタンシノイドがDM1、DM2、またはDM3である、請求項354に記載の組成物。
【請求項356】
細胞結合物質が、トラスツツマブ抗体、B4抗体、huC242抗体である、請求項296に記載の組成物。
【請求項357】
メイタンシノイドがDM1、DM2、またはDM3である、請求項356に記載の組成物。
【請求項358】
細胞結合物質がhuC242抗体である、請求項296に記載の組成物。
【請求項359】
細胞結合物質が表面再修飾したhuC242抗体である、請求項296に記載の組成物。
【請求項360】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体より毒性が低い、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項361】
細胞結合物質メイタンシノイド複合体が、抗体単独の血漿クリアランスとほぼ等しい値を有する、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項362】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の最大耐薬用量が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の値より大きい、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項363】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の生物学的活性の持続性が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の値より大きい、請求項296または297に記載の組成物。
【請求項364】
非開裂リンカーを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の抗原陰性細胞に対する活性が、開裂可能なリンカーを介して細胞結合物質に連結した少なくとも1つのメイタンシノイドを包含する細胞結合物質メイタンシノイド複合体の値より低い、請求項296または297に記載の方法。
【請求項365】
細胞結合物質メイタンシノイド複合体が最小のバイスタンダー活性を示す、請求項296または297に記載の方法。
【請求項366】
請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体を製造する方
法であって、当該方法は以下:
(a)細胞結合物質を提供する
(b)細胞結合物質を架橋物質で修飾する、そして
(c)修飾された細胞結合物質を、メイタンシノイドまたはチオールを含有するメイタンシノイドと複合体化させ、それにより細胞結合物質、およびメイタンシノイドまたはチオールを含有するメイタンシノイドの間に非開裂リンカーを提供して、複合体を生成するを包含する前記方法。
【請求項367】
請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体を製造する方法であって、当該方法は以下:
(a)メイタンシノイドまたはチオールを含有するメイタンシノイドを提供する
(b)メイタンシノイドまたはチオールを含有するメイタンシノイドを架橋物質で修飾し、それにより非開裂リンカーを形成する、そして
(c)修飾されたメイタンシノイドまたはチオールを含有するメイタンシノイドを、細胞結合物質と複合体化させ、それにより細胞結合物質、およびメイタンシノイドまたはチオールを含有するメイタンシノイドの間に非開裂リンカーを提供して、複合体を生成するを包含する前記方法。
【請求項368】
請求項226または227に記載の細胞結合物質メイタンシノイド複合体を製造する方法であって、当該方法は以下:
(a)メイタンシノイドを提供する、
(b)メイタンシノイドを、イオウを含有しない架橋物質で修飾して、メイタンシノイドエステルを得る、そして
(c)メイタンシノイドエステルを細胞結合物質と複合体化させ、それにより細胞結合物質およびメイタンシノイド間に非開裂リンカーを提供して、複合体を生成する
を包含する前記方法。
【請求項369】
式5:
【化67】

の化合物であって、
式中Xは、2から20の炭素原子を持つ直鎖または分枝鎖のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、Yは3から10の炭素原子を持つシクロアルキル基またはシクロアルケニル基であり、Zは6から10の炭素原子を持つ置換されたもしくは置換されていない芳香族の基、またはヘテロ原子がN、OもしくはSより選択される置換されたもしくは置換されていない複素環式の基であり、そしてl、mおよびnは各々0または1であるが、ただしそれらすべてが同時に0ではない、そしてEはカルボニル基と共に活性なエステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルおよびスルホスクシンイミジルエステル、N−ヒドロキシフタルイミジルエステル、N−ヒドロキシスルホフタルイミジルエステル、オルト−ニトロフェニルエステル、パラ−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、3−スルホニル−4−ニトロフェニルエステル、3−カ
ルボキシ−4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ならびにスルホニルテトラフルオロフェニルエステルを形成する、前記化合物。
【請求項370】
式6:
【化68】

の化合物であって、
式中、nは3から24の整数を表し、そしてEはカルボニル基と共に活性なエステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルおよびスルホスクシンイミジルエステル、N−ヒドロキシフタルイミジルエステル、N−ヒドロキシスルホフタルイミジルエステル、オルト−ニトロフェニルエステル、パラ−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、3−スルホニル−4−ニトロフェニルエステル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ならびにスルホニルテトラフルオロフェニルエステルを形成する、前記化合物。
【請求項371】
式7の化合物:
【化69】

式中、RはHまたはSONaである、前記化合物。
【請求項372】
以下の式:
トラスツツマブ−SMCC−メイタンシノイド
の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項373】
以下の式:
トラスツツマブ−SMCC−DM1
の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項374】
以下の式:
huC242−SMCC−メイタンシノイド
の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。
【請求項375】
以下の式:
huC242−SMCC−DM1
の細胞結合物質メイタンシノイド複合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−6928(P2012−6928A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148625(P2011−148625)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【分割の表示】特願2006−533951(P2006−533951)の分割
【原出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(504039155)イミュノジェン・インコーポレーテッド (36)
【Fターム(参考)】