説明

面内RFIDアンテナ

タイヤに組み込み可能なRFID装置及びその提供方法が開示される。プリント回路板(PCB)の互いに反対側の端部に切欠きが設けられ、これら切欠きは、これらの一部として案内部分を備え、これら案内部分は、整合シングル(単一)ピッチヘリカルアンテナの端部をPCBに適切に設けられたビア中に案内するねじ山として機能する。ヘリカルアンテナのねじ込みは、アンテナ案内チャネル及びPCB保持位置決め要素を備えた組立てジグの使用により助長される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに組み込み可能なRFID(Radio Frequency Identification:無線認証)に関する。特に、本発明は、RFID装置及びかかる装置のための改良されたアンテナ接続構成を提供する方法論的技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気回路が様々な環境で用いられており、かかる環境は、電気回路が耐久性を示すように保護されるか設計されるかのいずれかが行われなければならない対象としての特定の物理的、化学的及び電気的要因をもたらす場合がある。本発明は、主として、物理的要因、例えば疲労を招く機械的応力に関し、かかる機械的応力は、電気回路の特定の部分を物理的に壊し又は弱めることにより回路の誤動作を引き起こす場合がある。かかる誤動作に関する典型的な場所は、電気回路への電線、リード(導線)又は他の導体の接続箇所のところ又はその近くである。電線と接続回路が互いに対して動き又は回転する場合のある環境では、電線は、回路への接続箇所のところ又はその近くに機械的応力及び/又は疲労の集中を引き起こす場合がある。機械的応力、例えば繰り返し曲げ又は捩りにより、電線が弱められ、ついには破断が起こるようになる場合がある。
【0003】
タイヤ又は他の製品内に組み込まれたエレクトロニクス又は電子機器は、潜在的な利点、例えば、温度や圧力のような物理的パラメータの有用な追跡及び測定を提供する。本発明の開示の目的に関し、「タイヤ内に組み込まれた(又は一体化された)」という表現は、電子機器とタイヤとの何らかの関連を意味し、かかる関連としては、タイヤの任意の部分内又はこれへの全体的又は部分的な封入又は取付け或いはタイヤの内面又は外面への取付けが挙げられるが、これらには限定されない。
【0004】
大抵の場合、これらシステムの多くは、車両の外部に位置する情報システムとの通信するワイヤレスデータリンクを利用している。かかる情報システムとしては、非限定的な例を挙げると、車載型コンピュータシステム、ドライブバイ(drive-by)型質問機又は手持ち型質問機がある。加うるに、かかるワイヤレスデータリンクにより通信される種類のデータは、ワイドであり且つ変化し、かかるデータは、例えば上述の温度及び圧力だけでなく、他の物理的パラメータ、例えばタイヤ回転速度や製造データ及び他の情報のホストに対応したデータを含む。伝送されるデータの形式が何であれ、ワイヤレスデータリンクでは、アンテナをタイヤ中のエレクトロニクスに取り付ける必要がある。エレクトロニクス及び/又はアンテナをタイヤゴムにくっつけた場合、タイヤの成型プロセス又は通常の使用に起因したタイヤの曲げにより、アンテナは、亀裂、破断又は疲労に起因してエレクトロニクスから分離する場合がある。
【0005】
米国特許第7,196,616号明細書(発明者:シネット等(Sinnett et al.))は、累進的な剛性及び歪抵抗性の電気的接続を提供する装置及び方法論的技術を開示している。漸減可撓性又は累進的剛性の領域を作るための材料がリードの周り及び回路への接続箇所の近くに設けられる。タイヤエレクトロニクスシステムの別の例が米国特許第7,102,499号明細書(発明者:マイアット(Myatt))に見受けられ、この米国特許明細書は無線装置及びタイヤに取り付けられ又はこれに埋め込まれるべきタイヤを有するタイヤ用の電子通信装置に関する。
【0006】
米国特許出願公開第2007/0274030(A1)号明細書(発明者:ロバート(Robert))も又、タイヤエレクトロニクスに関し、特に、タイヤに組み込まれるよう設計された電子モジュールを開示しており、この電子モジュールは、機能装置、支持体、電線を電気的に接続する少なくとも1つの装置付きの支持体及び電気接続装置とは別体であり、電線を支持体に機械的に固定するために電線を機械的に固定する装置を有している。
【0007】
国際公開第2006/098710(A1)号パンフレット(出願人:シネット等(Sinnett et al.))として公開されたPCT出願は、アンテナ又は他の導電性リードを回路に結合する歪抵抗性の電気接続部に関する。この公開出願は、本願において図2A及び図2Bに示されていて本発明の内容と比較して後で説明する公知の装置に関連して説明する技術とほぼ同じ技術を記載している。
【0008】
他の同様な技術内容が、コイル状アンテナが集積回路チップに接続された状態の電子タグとして日本国特開2007‐049351(A)号公報(発明の名称:Electronic Tag For Tire And Pneumatic Tire)に記載されている。コイル状アンテナは、デュアルピッチ巻き部分を有し、ピッチの大きい巻線は、集積回路チップに結合されている。米国特許第6,836,253(B2)号明細書(発明者:ストラッチェ等(Strache et al.))は、タイヤを含む弾性構造体中に内蔵可能な送信機又は受信機ユニットを記載している。このユニットは、コイル状電線形態を含む幾つかの形態を取ったアンテナを有する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,196,616号明細書
【特許文献2】米国特許第7,102,499号明細書
【特許文献3】米国特許第7,102,499号明細書
【特許文献4】国際公開第2006/098710(A1)号パンフレット
【特許文献5】日本国特開2007‐049351(A)号公報
【特許文献6】米国特許第6,836,253(B2)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
タイヤ電子システム中でのタイヤエレクトロニクス装置、例えばRFID装置の種々の具体化が開発されると共に電気結合構造箇所のところの応力除去を行うよう種々の方法論が開発されたが、一般に、本発明の技術に従って以下に提供される所望の特性の全てを含む設計例は現れていない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
先行技術で見受けられると共に本発明のよって取り組まれる認識されている特徴に鑑みてRFID装置のための改良型アンテナ構成及びその電気的接続を提供する改良型装置及び方法論が提供される。例示の構成例では、タイヤに組み込み可能なRFID装置であって、互いに反対の端部及び互いに反対側の側部によって画定されている頂面及び底面を備えたプリント回路板(PCB)と、PCBの頂面に設けられた複数個の導電性トレースと、PCBの一端部に形成された切欠きと、頂面から底面までPCBを貫通したメッキスルービアとPCBの頂面のところでビアを包囲すると共に複数個の導電性トレースに電気的に結合された導電性トレース要素と、PCBの底面のところでビアを包囲すると共にPCBの側部の方向に所定の距離にわたって延びる導電性ソルダパッドと、切欠き内に且つPCBの頂面によって定められている平面内に位置決めされた端部を備えるアンテナ素子とを有し、端部の一部分は、頂面から底面までビアを通って、PCBの底面のところでビアを包囲している導電性トレース要素に電気的に接続されていることを特徴とするRFID装置が提供される。
【0012】
本発明の幾つかの実施形態の観点によれば、RFID装置を組み立てる方法であって、頂面、底面、互いに反対側の端部、及び互いに反対側の側部を備えたプリント回路板(PCB)を用意するステップと、シングルピッチヘリカルアンテナ素子を用意するステップと、互いに反対側の端部に切欠きを形成し、切欠きが部分的に、ヘリカルアンテナ素子のシングルピッチに対応したピッチを備える案内部分として構成されるようにするステップと、シングルピッチヘリカルアンテナ素子のピッチに対応するよう位置決めされたメッキスルービアをPCBに設けるステップと、PCBのための支持及び保持構造体を備えた組立てジグを用意するステップと、アンテナ支持チャネルを組立てジグの表面に設けるステップと、底面が露出された状態でPCBを組立てジグに取付け保持するステップと、アンテナ素子を支持チャネル内に配置するステップと、アンテナ素子を支持チャネル内で回転させると共に前進させることによりアンテナ素子の端部をPCBに設けられたビア中に通すステップと、アンテナの端部をPCBの底面のメッキスルービアの一部分にはんだ付けして組立て装置を生じさせるステップとを有することを特徴とする方法が提供される。
【0013】
本発明のその他の目的及び利点は、以下の詳細な説明において説明されると共に以下の詳細な説明から当業者には明らかになろう。さらに、以下に具体的に図示し参照しそして説明する本発明の特徴及び要素の改造例及び変形例は、本発明の技術思想の範囲から逸脱することなく本発明の種々の実施形態及び使用において実現可能であることは理解されるべきである。変形例として、図示し参照し検討した種々の手段、特徴、ステップに代わる均等例としての手段、特徴、ステップの使用並びに種々の部分、特徴、ステップの機能上、作用上又は位置上の逆転等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0014】
さらに、本発明の種々の実施形態並びに種々の現時点において好ましい実施形態は、ここに開示する特徴、ステップ若しくは要素又はこれらの均等例の種々の組み合わせ及び形態(明確に図示されていない又は図の詳細な説明に記載されていない特徴、部分若しくはステップ又は形態組み合わせを含む)を含むことは理解されるべきである。本明細書の「発明の概要」の項において必ずしも説明されていない本発明の追加の実施形態としては、本発明の「発明の概要」の項において言及した特徴、構成要素若しくはステップ及び/又は本明細書において違ったやり方で説明している他の特徴、構成要素若しくはステップの種々の組み合わせが挙げられる。当業者であれば、本明細書の残りの部分を読むと、かかる実施形態の特徴及び観点その他を一層良く理解できるであろう。
【0015】
当業者に向けられた本発明の(その最適実施形態を含む)完全且つ実行可能な開示は、添付の図を参照する本明細書において記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】タイヤに組み込み可能な本発明の技術としての例示のRFID装置の平面図である。
【図1B】図1Aの矢印1B‐1Bの観点で取ったRFID装置の拡大端面図である。
【図1C】図1Aの装置の底面図である。
【図1D】PCBのユニークな観点を示すために本発明の技術としてのプリント回路板(PCB)の拡大図である。
【図2A】本発明の技術と比較される公知のRFID装置を示す図である。
【図2B】図2Aの矢印2B‐2Bの観点で取った図2AのRFID装置の拡大端面図である。
【図3】位置合わせジグ組立体の使用方法を示す本発明の装置のための例示の組立て方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書及び添付の図面全体を通じた参照符号の繰り返し使用は、本発明の同一又は類似の特徴又は要素を示すことを意図している。
【0018】
本発明の概要の項目で説明したように、本発明は、特に、RFID装置のための改良型アンテナ構成及びその電気的接続を提供する装置及び方法論に関する。
【0019】
開示する技術の観点の選択された組み合わせは、本発明の複数の互いに異なる実施形態に対応している。注目されるべきこととして、本明細書において提供されて説明される例示の実施形態の各々は、本発明の限定を示唆するものではない。一実施形態の一部として示され又は説明される特徴又はステップは、更に別の実施形態を生むために別の実施形態の観点と組み合わせて使用できる。加うるに、或る特定の特徴は、上述していないが、同一又は類似の機能を実行する類似の装置又は特徴と交換可能である。
【0020】
次に本発明のRFID装置の現時点において好ましい実施形態について詳細に参照する。今図面を参照すると、図1は、タイヤに組み込み可能な本発明の技術に従って構成された例示のRFID装置100の平面図である。当業者であれば理解されるように、本明細書において説明する装置は、タイヤ技術と関連して利用されるが、このことは、装置それ自体の限定ではない。というのは、かかる装置は、誘起された応力の関数として損傷が装置又は電気接続部に生じる恐れがある場合、他の技術にも使用できるからである。RFID装置100により識別可能な物品を移動させる輸送パレット又はコンテナは、かかる例の1つである。
【0021】
図1Aから理解できるように、RFID装置100は、多数の導電性トレース104が設けられたプリント回路板(PCB)102を有している。集積回路(IC)デバイス120が従来の仕方でPCB102に実装されており、このICデバイスは、トレース104に電気的に接続されると共にトレース104の部分130A,130Bを介してアンテナ素子110,112に電気的に接続されている。理解されるべきこととして、図示のアンテナ素子110,112は、縮尺通りには記載されておらず、これらアンテナ素子は、少なくともRFIDシステムの共振周波数にほぼ等しい共振周波数に対応した長さまで図示の螺旋形体に従って伸長されるようになっている。
【0022】
トレース104の部分130A,130Bは、PCB102を貫通し、PCB102(図1C)の底面に設けられた一対のソルダパッド130C,130Dに結合されたメッキスルービア(バイア)134A,134Bを包囲している。図1Cに最も良く示されているように、ヘリカルアンテナ素子112の端部114は、切り目のないパターンをなしてビアホール134A,134Bを貫通してぐるりと続いており、ついには、これがPCB102の底部に設けられたPCB102の側部相互間に実質的に延びるソルダパッド130C,130Dに触れる(ソルダパッド130Cの符号116のところで)ようになっている。ヘリカルアンテナ素子112の端部114がソルダパッド130Cに触れると、これは、例えば符号118のところで例示的に示されているようにはんだ付けを行うことによりソルダパッドに結合されるのが良い。当然のことながら、最終の組立てに当たり、両方のアンテナは、例えばはんだ付けにより両方のソルダパッドに結合される。ソルダパッド130Cへの接続部が、はんだ付けに先立ってアンテナはソルダパッドに触れた状態を一層良く示すようはんだ付け前の状態で示されている。
【0023】
アンテナ部分110,112をこのようにPCB102に結合することは、電線のかかる結合がPCB102の表面上におけるトレース導体のデラミネーションを阻止するのに役立つという点において類似のデバイスと比較して顕著な技術的進歩を達成している。加うるに、ICチップ120と反対のPCB102の側でアンテナ素子110,112をはんだ付けすることにより、過剰のはんだ(ソルダ)が用いられる恐れ及びはんだが図2Aに示されているように類似した従来公知のアンテナ螺旋体210,214,212,216に沿って垂れ下がる恐れが著しく減少する。
【0024】
このようにアンテナ素子を取り付けることにより追加の利点が得られる。例えば、図2Aに示されているように従来用いられている取付け技術に関するコストの相当な節約及び利便性の相当な向上が得られる。図2Aに示されているように、今や、符号210のところに示されているデュアルピッチの個々に巻かれたアンテナ素子に変えて、組立て時に所定長さに切断可能な長いシングルピッチのコイルを用いることができる。
【0025】
図2A及び図2Bに示されている従来公知の設計例は、デュアルピッチアンテナ螺旋体構造を採用しており、この場合、ピッチの大きな部分214,216は、アンテナ素子を導電性トレース204にはんだ付けするのを助けるために設けられている。アンテナ螺旋体の外面がPCB202の上面と接触関係をなすと共にこれにはんだ付けされる従来公知のアンテナ素子のかかる配置により、アンテナとして用いられるばねの外径(OD)にPCB202の厚さT′を加えた厚さを持つ装置が作られていた。
【0026】
かかる厚みは、例示の公知の構成例では、アンテナ取付け箇所相互間に7mmの剛性ゾーンを生じさせていた。タイヤ環境では、これにより、PCBの端部から離れて対応しなければならない過剰の歪の発生が剛性ゾーンの長さに沿って生じる。過剰歪のかかる対応は、アンテナの疲労破壊の一因であると考えられている。これとは対照的に、本発明の技術によれば、アンテナ取付け箇所をPCB102の反対側に配置し直すことにより、アンテナ取付け箇所相互間の厳格な距離を約3mmだけ減少させることができ、その結果、57%の向上率が達成される。
【0027】
加うるに、従来用いられているデュアルピッチヘリカルアンテナ素子の取付け箇所のかかる配置により、回転中におけるヘリカルアンテナ素子の自由端部の中間場所を備えた装置が作られていた。この配置により、かかる端部がPCBから離れて位置し、有害な尖った箇所を作る恐れが生じていた。本発明の技術に従って、ヘリカルアンテナ素子の端部は、アンテナの端部がPCBに隣接して十分に制御された位置に位置し、尖った箇所を作ることができないようメッキスルーホール又ビア内に配置される。
【0028】
さらに、アンテナ素子110,112をPCB102の平面内に配置することができるようPCB102を設計することにより、多くの利点を実現することができる。第1に、装置は、アンテナコイルのODに等しく又はこれよりもほんの僅かに大きい全厚を備えることができる。第2に、螺旋ばねアンテナワイヤの配置を定める異形特徴部を備えるようPCB102を設計し直すことにより、容易な組立てが得られるホール134A,134Bとの位置合わせが達成される。第3に、アンテナ素子をPCB102の平面内に、より具体的に言えば、アーム部分108A〜108D相互間に配置することにより、電気接続部の累進的剛性がアーム、アンテナ素子及びアーム相互間の非導電性エラストマー材料150(図1A)の相乗的協働を行い、アンテナ素子を包囲すると共に組立て状態の装置の部品全てを埋め込むことによって達成される。例示の実施形態では、組立て装置の全ての部分は、組立て装置を非導電性エラストマー材料中に埋め込む前に結合剤、例えばロード・コーポレイション(LORD Corporation)から入手できるChemlok(登録商標)で被覆されるのが良い。第4に、アンテナをPCB102の平面内に配置することにより、PCB102の厚さT(図1B)を増大させるチャンスが得られ、それにより、例えば小さな厚さT′のPCB202を有する図2Bに示された従来公知の装置の強度よりも強い組立て状態の装置を提供することができる。
【0029】
さらに図1Dに着目すると、本発明の技術によるPCB102は、図2Aに示されたアーム部分に幾分類似しているアーム108A,108B相互間及びアーム108C,108D相互間にそれぞれ切欠き部分120A,120Bを備えていることが理解されよう。しかしながら、本発明の技術による切欠き部分120A,120Bは、PCB102の一端部の直線領域122A,122B相互間に湾曲した形状の部分124A,124Bを提供すると共にPCB102の他端部の直線領域126A,126B相互間に同様な湾曲した形状の部分128A,128Bを提供するよう構成され、これら湾曲部分は、螺旋ばねワイヤアンテナ素子110,112の配置場所を定める。具体的に説明すると、特に、異形切欠き部分120A,120Bは、ヘリカルアンテナ素子110,112のピッチに対応するよう設計されており、その結果、アンテナ螺旋体をPCB102のつがい関係をなすホール、即ちメッキスルービア134A,134B中に容易に通すことができるようになっている。かかる挿通は、特別に設計された組立てジグ300(図3)の使用により組み立ての際、更に容易に行われる。
【0030】
次に図3を参照すると、例示の組立てジグ300が示されると共に本発明のRFID装置の組立て方法が示されている。図3で理解できるように、組立てジグ300は、支持ブロック302に対応している。支持ブロック302は、機械加工可能であると共に物理的損傷なくはんだ作業に耐えることができる任意適当な材料に対応しているのが良い。例示の装置では、支持ブロック302は、アルミニウムで作られるのが良い。支持ブロック302は、支持ブロック302の中心線に沿って下方に延びる位置合わせ状態のチャネル304,306を機械加工により形成することができる上面を有する。
【0031】
チャネル304,306は、種々の断面を有して良いが、好ましい断面は、アンテナ素子110,112のODの直径にほぼ等しい直径の半円形断面である。
【0032】
支持ブロックには、PCB102を支持ブロック302に固定するための調節可能な位置決め装置320,322が更に設けられている。位置決め装置320,322を任意適当な材料で作ることができる。図3に例示的に示されているように、位置決め装置320,322には、例えば細長いスロットが設けられるのが良く、これら位置決め装置は、チャネル304,306に対して調節可能に位置決め可能であると共にねじ330,332,334,336又は任意他の適当な固定手段によって定位置に固定可能である。
【0033】
チャネル304,306相互間及び位置決め装置320,322相互間には、実装される場合、PCB102上のICデバイス120を収容するよう寸法決めされた凹部又はウェル308が設けられるのが良い。組立てのため、PCB102を上下逆さまにして、実装されている場合には、IC120をこれが凹部308に入るよう位置決めするのが良く、そしてPCB102を定位置に固定するよう位置決め装置320,322を調節する。PCB102を支持ブロック302に固定した後、アンテナ素子310,312をチャネル304,306内に配置する。アンテナ素子310,312及びPCB102は、図面を分かり易くするために図3では想像線で示されていることに注目されたい。
【0034】
チャネル304内へのアンテナ素子310の配置に続き、アンテナ素子310を矢印Cの方向に前進させながら最初に切欠き120Aに入っているアンテナ素子310の端部(PCB102の部分が図1Dに最も良く示されている)がPCB102の異形部分124A,124Bに当接する時点まで、矢印A,Bによって示されているように前後に揺らすのが良い。次に、異形部分124A,124Bは、異形部分124A,124B及びアンテナ素子310のピッチが合致していること及びメッキスルービア134Aの位置によりアンテナ螺旋体の端部をメッキスルービア134A中に案内する。アンテナ素子310の端部が上下逆さまに位置したPCB102のビア134Aに入った後、アンテナは、切り目のないパターンをなしてビアホールを貫通してぐるりと続いており、図1Cを参照して上述したように、ついには、これがソルダパッド130Cに触れ、次にここで定位置にはんだ付けされるのが良い。このプロセスは、アンテナ素子312が定位置でソルダパッド130Dにはんだ付けされるまでアンテナ素子312について繰り返される。
【0035】
アンテナ素子の両方を定位置にはんだ付けした後、組立て状態の装置を結合剤で被服すると共に図1Aに示されているように非導電性エラストマー材料皮膜150内に封入するのが良い。RFID装置をこのように組み立てることにより、エラストマー材料へのPCB及びアンテナの結合により全体が部分の輪よりも大きな装置が作られるという相乗効果が得られる。
【0036】
本発明をその特定の実施形態により詳細に説明したが、当業者であれば上述の理解を得たうえで、かかる実施形態の置換例、変形例及び均等例を容易に想到できることは理解されよう。したがって、本明細書の開示内容は、一例であって、本発明を限定するものではなく、本発明の範囲は、当業者であれば容易に想到できる本発明のかかる改造例、変形例及び/又は追加例を含むことを排除するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤに組み込み可能なRFID装置であって、
互いに反対の端部及び互いに反対側の側部によって画定されている頂面及び底面を備えたプリント回路板(PCB)を有し、
前記PCBの前記頂面に設けられた複数個の導電性トレースを有し、
前記PCBの一端部に形成された切欠きを有し、
前記頂面から前記底面まで前記PCBを貫通したメッキスルービアを有し、
前記PCBの前記頂面のところで前記ビアを包囲した導電性トレース要素を有し、前記トレース要素は、前記複数個の導電性トレースに電気的に結合され、
前記PCBの前記底面のところで前記ビアを包囲すると共に前記PCBの前記側部の方向に所定の距離にわたって延びる導電性ソルダパッドを有し、
前記切欠き内に且つ前記PCBの前記頂面によって定められている平面内に位置決めされた端部を備えるアンテナ素子を有し、前記端部の一部分は、前記頂面から前記底面まで前記ビアを通って、前記PCBの前記底面のところで前記ビアを包囲している前記導電性トレース要素に電気的に接続されている、RFID装置。
【請求項2】
前記PCBの前記頂面に実装されると共に前記複数個の導電性トレースのうちの選択された導電性トレースに電気的に結合された集積回路デバイスを更に有する、請求項1記載のRFID装置。
【請求項3】
前記アンテナ素子は、螺旋巻きの導体から成る、請求項1記載のRFID装置。
【請求項4】
前記螺旋巻き導体は、ターン相互間でシングルピッチで巻かれている、請求項3記載のRFID装置。
【請求項5】
前記切欠きは、前記螺旋巻き導体の前記ピッチにマッチした部分を備えている、請求項4記載のRFID装置。
【請求項6】
前記ビアは、前記整合切欠き部分からの前記螺旋巻き導体の前記ピッチの延長部に対応した場所で前記PCB内に位置決めされている、請求項5記載のRFID装置。
【請求項7】
前記PCB及び前記アンテナ素子の少なくとも一部分を包囲すると共に前記切欠きを埋めた非導電性エラストマー材料を更に有し、前記エラストマー材料と前記切欠き内における前記アンテナの位置決めと前記PCBの前記平面との相乗作用により、前記PCBへの前記アンテナの接続を可能にする制御された応力勾配が得られている、請求項1記載のRFID装置。
【請求項8】
前記非導電性エラストマー材料を前記アンテナ素子及び前記PCBに固定する結合剤を更に有する、請求項7記載のRFID装置。
【請求項9】
前記PCBの反対側の端部のところに位置決めされた第2の切欠きと、前記PCBを貫通した第2のメッキスルービアと、前記第2の切欠き内に且つ前記PCBの前記頂面により定められた前記平面内に位置決めされた第2のアンテナとを更に有する、請求項1記載のRFID装置。
【請求項10】
RFID装置を組み立てる方法であって、
頂面、底面、互いに反対側の端部、及び互いに反対側の側部を備えたプリント回路板(PCB)を用意するステップと、
シングルピッチヘリカルアンテナ素子を用意するステップと、
前記互いに反対側の端部に切欠きを形成し、前記切欠きが部分的に、前記ヘリカルアンテナ素子の前記シングルピッチに対応したピッチを備える案内部分として構成されるようにするステップと、
前記シングルピッチヘリカルアンテナ素子の前記ピッチに対応するよう位置決めされたメッキスルービアを前記PCBに設けるステップと、
前記PCBのための支持及び保持構造体を備えた組立てジグを用意するステップと、
アンテナ支持チャネルを前記組立てジグの表面に設けるステップと、
前記底面が露出された状態で前記PCBを前記組立てジグに取付け保持するステップと、
アンテナ素子を支持チャネル内に配置するステップと、
前記アンテナ素子を前記支持チャネル内で回転させると共に前進させることにより前記アンテナ素子の端部を前記PCBに設けられたビア中に通すステップと、
前記アンテナの前記端部を前記PCBの前記底面の前記メッキスルービアの一部分にはんだ付けして組立て装置を生じさせるステップとを有する、方法。
【請求項11】
集積回路を前記PCBの前記頂面に実装するステップと、
前記集積回路を受け入れる凹部を前記組立てジグの平面に設けるステップとを更に有する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記組立て装置を結合剤で被覆するステップと、
非導電性エラストマー材料を前記PCB及び前記アンテナ素子の少なくとも一部分に塗布するステップとを更に有する、請求項10記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−519247(P2011−519247A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507389(P2011−507389)
【出願日】平成20年4月29日(2008.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/061834
【国際公開番号】WO2009/134243
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【Fターム(参考)】