音叉型屈曲水晶振動子
【課題】 支持する部分への振動の伝搬を軽減する。
【解決手段】 基部と、この基部から延出する2本一対の振動腕部と、振動腕部に沿って基部より延出する二本一対の支持腕部と備えた音叉型屈曲水晶振動子で、振動腕部が二本一対で設けられる支持腕部よりも内側で基部から延出して構成され、支持腕部が、幅方向に全幅にわたって溝状の第一の凹部を有して構成されていることを特徴とし、支持腕部が、第一の凹部を振動腕部の両主面に有しつつ互いに向き合わずに所定の間隔をあけて設けても良い。
【解決手段】 基部と、この基部から延出する2本一対の振動腕部と、振動腕部に沿って基部より延出する二本一対の支持腕部と備えた音叉型屈曲水晶振動子で、振動腕部が二本一対で設けられる支持腕部よりも内側で基部から延出して構成され、支持腕部が、幅方向に全幅にわたって溝状の第一の凹部を有して構成されていることを特徴とし、支持腕部が、第一の凹部を振動腕部の両主面に有しつつ互いに向き合わずに所定の間隔をあけて設けても良い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に用いられる音叉型屈曲水晶振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータ,携帯電話又は小型情報機器等の電子機器には、電子部品の一つとして圧電振動子又は圧電発振器が搭載されている。この圧電振動子又は圧電発振器は、基準信号源やクロック信号源として用いられる。又、圧電振動子や圧電発振器は、その内部に水晶からなる音叉型屈曲水晶振動子が搭載されている。
以下、圧電材料に水晶を用いた音叉型屈曲水晶振動子について説明する。
【0003】
図11は、従来の音叉型屈曲水晶振動子の一例を示す斜視図である。図12は、従来の音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片の一例を示す斜視図である。
図11に示すように、音叉型屈曲水晶振動子400は、圧電片410(図12参照)と、その圧電片410の表面に設けられた励振用電極421a,421b,422a及び422bと、接続用電極423a及び423bと、周波数調整用金属膜424a及び424bと、導配線パターン425,426及び427とにより概略構成される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図12に示すように、圧電片410は、平面視略四角形の平板である基部411と、この基部411の一辺から同一方向に延出した振動腕部412と、さらにこの基部411から延出した支持腕部414とにより構成されている(例えば、特許文献1参照)。
以下、振動腕部412は、2本一対で構成されているため、第一の振動腕部412a、第二の振動腕部412bとして説明する。
支持腕部413は、第一の振動腕部412aと第二の振動腕部412bとの間に位置し、この位置から基部411より第一の振動腕部412a及び第二の振動腕部412bと同一の方向に延出している。
【0005】
圧電片410は、これら基部411、第一の振動腕部412a、第二の振動腕部412b、支持腕部413が一体で構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
図11に示すように、励振用電極421aは、圧電片410を構成する第一の振動腕部412aの対向する表裏主面に設けられている。なお、表裏主面とは、基部411の表面積の最も広く形成されている面であって、一方の面と他方の面とが平行になっている2つの面をいい、また、これら2つの面と同一の方向を向く面も含まれる。また、図11及び図12において、図面で現われている面を「表面」とし、隠れている面を「裏面」とする。
【0007】
励振用電極421bは、第一の振動腕部412aの対向する両側面に設けられている。また、励振用電極422aは、第二の振動腕部412bの対向する表裏主面に設けられている。さらに、励振用電極422bは、第二の振動腕部412bの対向する両側面に設けられている。
【0008】
なお、第一の振動腕部412aの両側面に設けられた励振用電極421bは、周波数調整金属膜424aにより電気的に接続している。
また、第二の振動腕部412bの両側面に設けられた励振用電極422bは、周波数調整金属膜424bにより電気的に接続している。
【0009】
接続用電極423aは、支持腕部413の表裏主面に一個ずつ一対で且つ主面間で対向する位置に設けられている。この接続用電極423aは、支持腕部413の他方の主面に設けられた部分と電気的に接続している。また、接続用電極423aは、励振用電極421bとも電気的に接続している。
また、接続用電極423aは、基部411主面に設けられた導配線パターン427により、第二の振動腕部412bの励振用電極422aと電気的に接続している。
【0010】
また、接続用電極423bは、支持腕部413の表裏主面全面に一個ずつ一対で且つ主面間で対向する位置に設けられている。この接続用電極423bは、支持腕部413の他方の主面に設けられた部分と電気的に接続している。また、接続用電極423bは、励振用電極422bとも電気的に接続している。
また、接続用電極423bは、基部411主面に設けられた導配線パターンにより、励振用電極421aと電気的に接続している。
【0011】
なお、接続用電極423aと423bは、支持腕部413の表裏主面上で、互いに導通しないように位置をずらして設けられている。
【0012】
周波数調整用金属膜424aは、第一の振動腕部412aの表主面及び側面の先端部に設けられており、第一の振動腕部412aの両側面に設けられた励振用電極421bと電気的に接続している。また、周波数調整用金属膜424bは、第二の振動腕部412bの表主面及び側面の先端部に設けられており、第二の振動腕部412bの両側面に設けられた励振用電極422bと電気的に接続している。
なお、圧電振動素子400は、この周波数調整用金属膜424a及び424bを構成する金属の量を増減させることにより、その振動周波数値を所望する値に調整することができる。
【0013】
ところで、音叉型屈曲水晶振動子は、振動腕部から漏れる振動を、基部の両脇から延出する2本一対の支持腕部で吸収する構造が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、この特許文献2で開示されている音叉型屈曲水晶振動子の応用形態としては、この支持腕部の厚み方向に切欠きを設け、この切欠きにより振動腕部から漏れる振動を減衰させて、振動が伝播するのを防いでいる(例えば、特許文献3参照)。
また、音叉型屈曲水晶振動子の構造としては、基部の主面に溝状の凹部を形成したものが提案されている。この音叉型振動素子は、振動腕部から漏れる振動を減衰させて、振動の伝播を防ぐように溝状の凹部を形成している(例えば、特許文献4参照)。
【0014】
なお、これら音叉型屈曲水晶振動子は、例えば、一方の主面に開口部を有する凹部を有する素子搭載部材の、凹部内底面に形成された素子接続用電極パッド上に搭載され、さらに凹部の開口部は蓋体により気密封止されて圧電振動子となる(例えば、特許文献5参照)。
また、これら音叉型屈曲水晶振動子は、例えば、一方の主面に開口部を有する凹部を有する素子搭載部材の、凹部内底面に形成された素子接続用電極パッド上に搭載され、さらに凹部の開口部は蓋体により気密封止されつつ、少なくとも発振回路を備えた集積回路素子を圧電振動素子と電気的に接続した構造とすると圧電発振器となる(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2006−345519号公報
【特許文献2】特開2005−094724号公報
【特許文献3】特開2006−148857号公報
【特許文献4】実開昭51−138076号公報
【特許文献5】特開2008−252800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、音叉型屈曲水晶振動子の小型化が進むにつれて素子の外形形状の形成を化学エッチングに頼ることとなるが、化学エッチングでは、音叉型屈曲水晶振動子の支持腕部に設けた厚み方向の切欠きに残渣が生じてしまうため、正確な形状に成形するのが困難である。このような残渣により切欠きで振動の減衰が十分になされずに、振動が支持される部分へ伝播してしまい、所定の温度における周波数偏差の値(以下、「温度特性」という。)を悪化させ、また、クリスタルインピーダンスの値(以下、「CI値」という場合がある。)を高く悪化させてしまう恐れがある。
また、支持腕部を構成要素の一部としない音叉型屈曲水晶振動子は、基部の幅方向、つまり、振動腕部が基部から延出する方向に対して直角となる方向に溝状の凹部を形成しても、振動腕部から漏れる振動を十分に減衰させることができず、温度特性やCI値を悪化させる恐れがある。
【0017】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、振動腕部からの振動を減衰させ、振動の伝播を軽減させる音叉型屈曲水晶振動子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するため、本発明は、基部と、この基部から延出する2本一対の振動腕部と、前記振動腕部に沿って前記基部より延出する一本の支持腕部と備え、前記支持腕部が幅方向に全幅にわたって溝状の第一の凹部を有し、前記支持腕部が二本一対で設けられる前記振動腕部の間に設けられて構成されていることを特徴とする音叉型屈曲水晶振動子である。
【0019】
また、本発明は、前記支持腕部が、前記第一の凹部を前記振動腕部の両主面に有しつつ互いに向き合わずに所定の間隔をあけて設けられて構成されていても良い。
【0020】
また、本発明は、前記支持腕部が、前記基部から延出する前記振動腕部とは反対方向に延出して構成されていても良い。
【0021】
また、本発明は、前記基部が、前記振動腕部の延出する方向に対して直角となる方向に溝状の第二の凹部を有して構成されていても良い。
【0022】
また、本発明は、前記基部が、前記第二の凹部を前記基部の両主面に有しつつ互いに向き合わずに所定の間隔をあけて設けられていても良い。
【0023】
また、本発明は、二本一対の前記振動腕部のそれぞれが、前記振動腕部よりも短い溝状の第三の凹部を有して構成されていても良い。
【0024】
また、本発明は、二本一対の前記振動腕部のそれぞれが、前記振動腕部よりも短い2つ以上並んだ溝状の第三の凹部を有して構成されていても良い。
【発明の効果】
【0025】
このような音叉型屈曲水晶振動子によれば、基部から延出した支持腕部が、その幅方向に溝状の第一の凹部を有しているので、化学エッチングを用いて第一の凹部を形成しても、残渣による形状の変化を少なくすることができる。また、基部から延出した支持腕部がその幅方向に溝状の第一の凹部を有しているので、振動腕部から漏れる振動も、この支持腕部の第一の凹部に達するまでに、基部や途中の支持腕部により減衰したのちに、第一の凹部でさらに振動が減衰されるので、支持する部分への振動の伝播を軽減し、温度特性やCI値の悪化を防ぐことができる。
【0026】
また、本発明は、前記支持腕部が、前記第一の凹部を前記振動腕部の表裏主面に有しつつ互いに向き合わずに所定の間隔をあけて設けられているため、表主面側を伝播する振動を減衰させつつ、裏主面側を伝播する振動を減衰させることができる。
【0027】
また、本発明は、支持腕部が基部から延出する前記振動腕部とは反対方向に延出して構成されており、振動腕部から漏れる振動を支持腕部が有する第一の凹部で減衰させることができる。
【0028】
また、本発明は、基部の幅方向に第二の凹部を設けたので、支持腕部が有する第一の凹部によって振動を減衰させ、基部が有する第二の凹部によって振動を減衰させるので、振動腕部から漏れる振動の減衰をさらに向上させることができる。
【0029】
また、本発明は、基部の表裏主面に有する第二の凹部が、互いに向き合わずに所定の間隔をあけて設けられているので、表主面側を伝播する振動を減衰させつつ、裏主面側を伝播する振動を減衰させることができる。
【0030】
また、本発明は、二本一対の前記振動腕のそれぞれが、振動腕部よりも短い溝状の第三の凹部を有する構造となっており、振動腕部から漏れる振動を支持腕部が有する第一の凹部で減衰させることができる。
【0031】
また、本発明は、二本一対の前記振動腕のそれぞれが、前記振動腕部よりも短い2つ以上並んだ溝状の第三の凹部を有する構造となっており、振動腕部から漏れる振動を支持腕部が有する第一の凹部で減衰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の第二の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子の一例を示す斜視図である。
【図4】第一の凹部の状態の一例を示す概念図である。
【図5】本発明の第三の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の第三の実施形態の変形例に係る音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片の一例を示す斜視図である。
【図7】本発明の第四の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片の一例を示す斜視図である。
【図8】本発明の第四の実施形態の変形例に係る音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片の一例を示す斜視図である。
【図9】本発明の第五の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片の一例を示す斜視図である。
【図10】本発明の第六の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片の一例を示す斜視図である。
【図11】従来の音叉型屈曲水晶振動子の一例を示す斜視図である。
【図12】従来の音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という。)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各構成要素について、状態をわかりやすくするために、誇張して図示している。
【0034】
(第一の実施形態)
図1に示すように、本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子100は、圧電片110a(図2参照)と、その圧電片110aの表面に設けられた励振用電極121a,121b,122a及び122bと、接続用電極123a及び123bと、周波数調整用金属膜124a及び124bと、導配線パターン125,126,127と、により概略構成される。
【0035】
図1及び図2に示すように、圧電片110aは、例えば水晶からなり、平板状となる基部111と、この基部111の一辺から同一方向に延出している2本一対の振動腕部112と、基部111から延出している支持腕部113とから構成されている。
なお、振動腕部112は、2本一対であることから、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bとして説明する。
【0036】
支持腕部113は、基部111の第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bの間であって、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bが延出する方向と同一の方向に基部111から延出している。
この支持腕部113に第一の凹部31が設けられている。
【0037】
支持腕部113が有する第一の凹部31は、溝状に形成されており、支持腕部113の全幅にわたって設けられている。このような第一の凹部31の外形形状は、周知のフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて形成することができる。
また、この第一の凹部31は、実装の際に用いられる導電性接着剤が付けられる位置から離れた位置に設けられている。例えば、支持腕部113の先端部分を導電性接着剤が付けられる部分とした場合、支持腕部113の中間部分から基部111側に離れた位置に設けられることとなる。
【0038】
なお、支持腕部113において、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bから延出した方向に対して直角となる方向を幅とし、延出した方向を長さ方向とする。
【0039】
この第一の凹部31の断面形状は、例えば、U字型、V字型、傾斜角度が異なるように壁面が形成された断面形状などの形に形成しても良い。
また、この第一の凹部31は、支持腕部113の厚さの中心を越えた深さで形成されている。
したがって、第一の凹部31は、振動腕部112から漏れた振動を減衰させて支持する部分へ伝播する振動を減衰させることがきる。
【0040】
図1に示すように、励振用電極121aは、第一の振動腕部112aの表裏主面に設けられている。また、励振用電極121bは、第一の振動腕部112aの対向する両側面に設けられている。
周波数調整用金属膜124aは、第一の振動腕部112aの表裏主面の先端部に設けられており、第一の振動腕部112aの両側面に設けられた励振用電極121bと電気的に接続している。
接続用電極123aは、第一の支持腕部113の先端部分であって、第一の振動腕部112a側の表裏主面に設けられている。
【0041】
また、励振用電極122aは、第二の振動腕部112bの表主面及び側面に設けられている。また、励振用電極122bは、第二の振動腕部112bの対向する両側面に設けられている。
周波数調整用金属膜124bは、第二の振動腕部112bの表主面及び側面の先端部に設けられており、第二の振動腕部112bの両側面に設けられた励振用電極122bと電気的に接続している。
また、接続用電極123bは、第一の支持腕部113の先端部分であって、第二の振動腕部112b側の表裏主面に設けられている。
【0042】
なお、音叉型屈曲水晶振動子100は、周波数調整用金属膜124a及び124bを構成する金属の量を増減させることにより、その振動周波数値を所望する値に調整することができる。
【0043】
図1に示すように、励振用電極121a及び122bと、周波数調整用金属膜124bと接続用電極123bとは、圧電片110a表面に設けられた、例えば導配線パターン126により電気的に接続している。
接続用電極123bは、導配線パターン126と電気的に接続している。この導配線パターン126は、基部111の表裏両主面に設けられている。また、この導配線パターン126は、励振用電極122b及び周波数調整用金属膜124bと電気的に接続している。また、基部111の裏主面に設けられた導配線パターン126は、励振用電極121aと電気的に接続している。
【0044】
また、励振用電極121b及び122aと、周波数調整用金属膜124aと接続用電極123aとは、圧電片110a表面に設けられた、例えば導配線パターン127により電気的に接続している。接続用電極123aは、支持腕部113の側面及び基部111の側面を用いて励振用電極121b及び周波数調整用金属膜124aと電気的に接続している。また、表主面に設けられた導配線パターン127は、励振用電極122aと電気的に接続している。第二の振動腕部112bの表裏主面に設けられた励振用電極122aは、基部111の側面を用いて電気的に接続している。
【0045】
なお、各励振用電極、接続用電極、周波数調整用金属膜、導配線パターンは、下地金属としてのCr層と、その下地金属の上に重ねて設けられたAu層とから構成されている。
【0046】
この音叉型屈曲水晶振動子100を振動させる場合、接続用電極123a及び123bに交番電圧を印加する。印加後のある電気的状態を瞬間的にとらえると、第一の振動腕部112bの励振用電極121bは+(プラス)電位となり、励振用電極121aは−(マイナス)電位となり、+から−に電界が生じる。一方、このときの第二の振動腕部112bの励振用電極122a,122bは、第一の振動腕部112aの励振用電極121a,121bに生じた極性とは反対の極性となる。これらの印加された電界により、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bに伸縮現象が生じ、各振動腕部112に設定した共振周波数の屈曲振動を得る。
【0047】
音叉型屈曲水晶振動子100は、圧電片110aの表面に、前記した励振用電極、接続用電極、導配線パターン及び周波数調整用金属膜をフォトリソグラフィ技術及び蒸着技術により形成することができる。また、音叉型屈曲水晶振動子100は、例えば、一方の主面に開口部を有する凹部を設けた容器体の、その凹部内底面に形成された素子接続用電極パッド上に搭載され、更に凹部の開口部が蓋体により気密封止されて圧電振動子となる。
【0048】
前記した音叉型屈曲水晶振動子100によれば、圧電片110aを構成する支持腕部113の全幅にわたって第一の凹部31を設けることにより、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bから漏れる振動が、支持腕部113の第一の凹部31に達するまでに、基部111や途中の支持腕部により減衰したのちに、第一の凹部31でさらに伝播する振動を減衰させることができる。これにより、第一の凹部31は、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bから漏れた振動の反射を軽減し、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bの振動を阻害するのを防ぐことができる。
また、支持腕部113の第一の凹部31エッチング残渣を考慮することがなく、容易に形成することができる。
【0049】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子は、図3に示すように、音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片110bが、支持腕部113に設けられる第一の凹部31を、支持腕部113の表裏主面に有している点で第一の実施形態と異なる。
以下、第一の実施形態と同一の構成要素については重複する説明を省略し、同一の符号を付す。
【0050】
まず、図3に示すように、支持腕部113に設けられる第一の凹部31は、支持腕部113の表裏主面に形成され、かつ、表主面側の第一の凹部31と裏主面側の第一の凹部31とは向かい合わずに、所定の間隔をあけて設けられている。
つまり、例えば裏主面に設けられた第一の凹部31は、表主面に設けられている第一の凹部31よりも基部111側に近い位置に設けられている。
【0051】
このような第一の凹部31について具体的に説明すると、第一の凹部31の深さは、基部111の厚さに対して50%より大きく90%以下で形成されている。
例えば、第一の凹部31の深さが50%以下の場合は、支持腕部113内を伝播する振動が第一の凹部31を通過してしまい、振動が漏れた状態となってCI値を向上させにくくなる。また、第一の凹部31の深さが90%以上の場合は、支持腕部113の強度を確保することができず、製造途中で破損する恐れがある。
したがって、第一の凹部31は、図4に示すように、表主面を伝播する振動Wを表主面側に設けられた第一の凹部31で減衰させ、裏主面を伝播する振動Wを裏主面側に設けられた第一の凹部31で減衰させる。また、それぞれの第一の凹部31が支持腕部113の厚みの中心CLを越える深さで形成されているので、支持腕部113の内部を伝播する振動も第一の凹部31で減衰させることができる。したがって、第一の凹部31により、振動腕部112から漏れた振動を減衰させて支持腕部113における支持する部分へ伝播する振動をさらに減衰させることがきる。
このように、支持腕部113の表裏主面の第一の凹部31が所定の間隔をあけて設けられているので、さらに振動の減衰をさせることができる。
【0052】
(第三の実施形態)
本発明の第三の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子は、例えば、図5に示すように、第一の実施形態に用いられる圧電片110aの支持腕部113を、振動腕部112である第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bとは反対の方向に基部111から延出させて構成されている。
その一例として、図5に示す圧電片110cについて説明する。
圧電片110cは、基部111と、この基部111から延出する第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bと、これら第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bとは反対の方向に基部から延出する第一の支持腕部113とを備えている。
また、支持腕部113は、全幅にわたって第一の凹部31が設けられている。
【0053】
支持腕部113が有する第一の凹部31は、前記の通り溝状に形成されており、支持腕部113の全幅にわたって設けられている。このような第一の凹部31の外形形状は、周知のフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて形成することができる。
また、この第一の凹部31は、実装の際に用いられる導電性接着剤が付けられる位置から離れた位置に設けられている。例えば、支持腕部113の先端部分導電性接着剤が付けられる部分とした場合、支持腕部113の中間部分から基部111側に離れた位置に設けられることとなる。
このように第三の実施形態を構成しても、第一の実施形態と同様の効果を奏する。
【0054】
(第三の実施形態の変形例)
第三の実施形態の変形例に係る音叉型屈曲水晶振動子は、図6に示すように、圧電片110dが、支持腕部113に設けられる第一の凹部31を表裏主面に有している点で第三の実施形態と異なる。
言い換えれば、第三の実施形態の変形例に係る音叉型屈曲水晶振動子は、支持腕部113を振動腕部112とは反対の方向に基部111から延出している点で第二の実施形態と異なる。
支持腕部113の第一の凹部31を、支持腕部113の表裏主面に向かい合わないように所定の間隔をあけて設けられている。
この表主面側に設けられる第一の凹部31は、裏主面側に設けられる第一の凹部31より基部111側に設けられる。
このように第三の実施形態の変形例を構成しても、第二の実施形態と同様の効果を奏する。
【0055】
(第四の実施形態)
本発明の第四の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子は、基部111が第二の凹部32を有している点で第三の実施形態と異なる。
図7に示すように、本発明の第四の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片110eは、基部111と、この基部111から延出する第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bと、これら第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bとは反対の方向に基部から延出する第一の支持腕部113とを備えている。
ここで、基部111は、幅方向に導配線パターンを設ける部分を残して全幅にわたって第二の凹部32が設けられている。
また、支持腕部113は、全幅にわたって第一の凹部31が設けられている。
このように、第四の実施形態を構成したので、支持腕部113が有する第一の凹部31による振動の減衰に加えて、基部111が有する第二の凹部32による振動の減衰が行えるので、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bから漏れる振動の伝播の軽減を向上させることができる。
【0056】
(第四の実施形態の変形例)
第四の実施形態の変形例に係る音叉型屈曲水晶振動子は、図8に示すように、圧電片110fが、基部111の表裏主面に幅方向に伸びる第二の凹部32を有している点で第四の実施形態と異なる。
支持腕部113の第一の凹部31は、表裏主面に向かい合わないように所定の間隔をあけて設けられている。
また、基部111の裏主面側に設けられる第二の凹部32は、表主面側に設けられる第一の凹部32より第一の励振腕部112a及び第二の励振腕部112bに近い側に設けられる。
このように第四の実施形態の変形例を構成しても、支持腕部113が有する表裏主面の第一の凹部31による振動の減衰に加えて、基部111が有する表裏主面の第二の凹部32による振動の減衰が行えるので、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bから漏れる振動の伝播の軽減を向上させることができる。
【0057】
(第五の実施形態)
本発明の第五の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子は、第一の実施形態〜第四の実施形態、および変形例に用いられる圧電片110a〜110fの振動腕部112である第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bが第三の凹部33を有して構成されている。
その一例として、図9に示す圧電片110gについて説明する。
圧電片110gは、基部111と、この基部111から延出する第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bと、これら第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bと同一の方向に基部から延出する支持腕部113とを備えている。
【0058】
第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bとには、溝状の第三の凹部33が設けられている。
これら第三の凹部33は、第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bとの基部から延出する延出方向と同一となっており、所定の深さで第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bとに形成されている。
また、第三の凹部33は、第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bよりも長さが短くなるように第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bに設けられる。
このような第三の凹部33は、振動の伝播を軽減させる役割はなく、第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bとの屈曲振動を安定させる役割を果たす。
第一の支持腕部113は、全幅にわたって第一の凹部31が設けられている。
なお、支持腕部113の第一の凹部31を、向かい合わないように表裏主面に所定の間隔をあけて設けられている。
このように、第五の実施形態を構成しても、振動腕部112から漏れる振動を減衰させることができる。
【0059】
(第六の実施形態)
本発明の第六の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子は、第一の実施形態〜第四の実施形態、および変形例に用いられる圧電片110a〜110fの振動腕部112である第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bがそれぞれ2本一対の第三の凹部33を有して構成されている。
その一例として、図10に示す圧電片110hについて説明する。
圧電片110hは、基部111と、この基部111から延出する第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bと、これら第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bと同一の方向に基部から延出する支持腕部113とを備えている。
【0060】
第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bとには、例えば、溝状の2本の第三の凹部33が設けられている。
これら第三の凹部33は、第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bとの基部から延出する延出方向と同一となっており、所定の深さで第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bとに形成されている。
また、第三の凹部33は、第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bよりも長さが短くなるように第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bに設けられる。
このような第三の凹部33は、振動の伝播を軽減させる役割はなく、第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bとの屈曲振動を安定させる役割を果たす。
【0061】
支持腕部113は、全幅にわたって第一の凹部31が設けられている。
なお、支持腕部113の第一の凹部31を、向かい合わないように表裏主面に所定の間隔をあけて設けられている。
このように、第六の実施形態を構成しても、振動腕部112から漏れる振動を減衰させることができる。
【0062】
なお、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、適宜、変更可能である。
例えば、第一の実施形態を基にして、第二の実施形態から第六の実施形態を種々組み合わせた構造の音叉型屈曲水晶振動子を構成しても本発明に含まれるのは言うまでもない。
また、第一の凹部31及び第二の凹部は、一方の主面又は両方の主面において、複数並べるように設けても良い。
これらのように音叉型屈曲水晶振動子を構成しても、振動腕部から漏れる振動を減衰させて、支持する部分への振動の伝播を軽減し、温度特性やCI値の悪化を軽減させることができる。
【符号の説明】
【0063】
100 音叉型屈曲水晶振動子
31 第一の凹部
32 第二の凹部
33 第三の凹部
110a〜110h 圧電片
111 基部
112 振動腕部
112a 第一の振動腕部
112b 第二の振動腕部
113 支持腕部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に用いられる音叉型屈曲水晶振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータ,携帯電話又は小型情報機器等の電子機器には、電子部品の一つとして圧電振動子又は圧電発振器が搭載されている。この圧電振動子又は圧電発振器は、基準信号源やクロック信号源として用いられる。又、圧電振動子や圧電発振器は、その内部に水晶からなる音叉型屈曲水晶振動子が搭載されている。
以下、圧電材料に水晶を用いた音叉型屈曲水晶振動子について説明する。
【0003】
図11は、従来の音叉型屈曲水晶振動子の一例を示す斜視図である。図12は、従来の音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片の一例を示す斜視図である。
図11に示すように、音叉型屈曲水晶振動子400は、圧電片410(図12参照)と、その圧電片410の表面に設けられた励振用電極421a,421b,422a及び422bと、接続用電極423a及び423bと、周波数調整用金属膜424a及び424bと、導配線パターン425,426及び427とにより概略構成される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図12に示すように、圧電片410は、平面視略四角形の平板である基部411と、この基部411の一辺から同一方向に延出した振動腕部412と、さらにこの基部411から延出した支持腕部414とにより構成されている(例えば、特許文献1参照)。
以下、振動腕部412は、2本一対で構成されているため、第一の振動腕部412a、第二の振動腕部412bとして説明する。
支持腕部413は、第一の振動腕部412aと第二の振動腕部412bとの間に位置し、この位置から基部411より第一の振動腕部412a及び第二の振動腕部412bと同一の方向に延出している。
【0005】
圧電片410は、これら基部411、第一の振動腕部412a、第二の振動腕部412b、支持腕部413が一体で構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
図11に示すように、励振用電極421aは、圧電片410を構成する第一の振動腕部412aの対向する表裏主面に設けられている。なお、表裏主面とは、基部411の表面積の最も広く形成されている面であって、一方の面と他方の面とが平行になっている2つの面をいい、また、これら2つの面と同一の方向を向く面も含まれる。また、図11及び図12において、図面で現われている面を「表面」とし、隠れている面を「裏面」とする。
【0007】
励振用電極421bは、第一の振動腕部412aの対向する両側面に設けられている。また、励振用電極422aは、第二の振動腕部412bの対向する表裏主面に設けられている。さらに、励振用電極422bは、第二の振動腕部412bの対向する両側面に設けられている。
【0008】
なお、第一の振動腕部412aの両側面に設けられた励振用電極421bは、周波数調整金属膜424aにより電気的に接続している。
また、第二の振動腕部412bの両側面に設けられた励振用電極422bは、周波数調整金属膜424bにより電気的に接続している。
【0009】
接続用電極423aは、支持腕部413の表裏主面に一個ずつ一対で且つ主面間で対向する位置に設けられている。この接続用電極423aは、支持腕部413の他方の主面に設けられた部分と電気的に接続している。また、接続用電極423aは、励振用電極421bとも電気的に接続している。
また、接続用電極423aは、基部411主面に設けられた導配線パターン427により、第二の振動腕部412bの励振用電極422aと電気的に接続している。
【0010】
また、接続用電極423bは、支持腕部413の表裏主面全面に一個ずつ一対で且つ主面間で対向する位置に設けられている。この接続用電極423bは、支持腕部413の他方の主面に設けられた部分と電気的に接続している。また、接続用電極423bは、励振用電極422bとも電気的に接続している。
また、接続用電極423bは、基部411主面に設けられた導配線パターンにより、励振用電極421aと電気的に接続している。
【0011】
なお、接続用電極423aと423bは、支持腕部413の表裏主面上で、互いに導通しないように位置をずらして設けられている。
【0012】
周波数調整用金属膜424aは、第一の振動腕部412aの表主面及び側面の先端部に設けられており、第一の振動腕部412aの両側面に設けられた励振用電極421bと電気的に接続している。また、周波数調整用金属膜424bは、第二の振動腕部412bの表主面及び側面の先端部に設けられており、第二の振動腕部412bの両側面に設けられた励振用電極422bと電気的に接続している。
なお、圧電振動素子400は、この周波数調整用金属膜424a及び424bを構成する金属の量を増減させることにより、その振動周波数値を所望する値に調整することができる。
【0013】
ところで、音叉型屈曲水晶振動子は、振動腕部から漏れる振動を、基部の両脇から延出する2本一対の支持腕部で吸収する構造が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、この特許文献2で開示されている音叉型屈曲水晶振動子の応用形態としては、この支持腕部の厚み方向に切欠きを設け、この切欠きにより振動腕部から漏れる振動を減衰させて、振動が伝播するのを防いでいる(例えば、特許文献3参照)。
また、音叉型屈曲水晶振動子の構造としては、基部の主面に溝状の凹部を形成したものが提案されている。この音叉型振動素子は、振動腕部から漏れる振動を減衰させて、振動の伝播を防ぐように溝状の凹部を形成している(例えば、特許文献4参照)。
【0014】
なお、これら音叉型屈曲水晶振動子は、例えば、一方の主面に開口部を有する凹部を有する素子搭載部材の、凹部内底面に形成された素子接続用電極パッド上に搭載され、さらに凹部の開口部は蓋体により気密封止されて圧電振動子となる(例えば、特許文献5参照)。
また、これら音叉型屈曲水晶振動子は、例えば、一方の主面に開口部を有する凹部を有する素子搭載部材の、凹部内底面に形成された素子接続用電極パッド上に搭載され、さらに凹部の開口部は蓋体により気密封止されつつ、少なくとも発振回路を備えた集積回路素子を圧電振動素子と電気的に接続した構造とすると圧電発振器となる(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2006−345519号公報
【特許文献2】特開2005−094724号公報
【特許文献3】特開2006−148857号公報
【特許文献4】実開昭51−138076号公報
【特許文献5】特開2008−252800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、音叉型屈曲水晶振動子の小型化が進むにつれて素子の外形形状の形成を化学エッチングに頼ることとなるが、化学エッチングでは、音叉型屈曲水晶振動子の支持腕部に設けた厚み方向の切欠きに残渣が生じてしまうため、正確な形状に成形するのが困難である。このような残渣により切欠きで振動の減衰が十分になされずに、振動が支持される部分へ伝播してしまい、所定の温度における周波数偏差の値(以下、「温度特性」という。)を悪化させ、また、クリスタルインピーダンスの値(以下、「CI値」という場合がある。)を高く悪化させてしまう恐れがある。
また、支持腕部を構成要素の一部としない音叉型屈曲水晶振動子は、基部の幅方向、つまり、振動腕部が基部から延出する方向に対して直角となる方向に溝状の凹部を形成しても、振動腕部から漏れる振動を十分に減衰させることができず、温度特性やCI値を悪化させる恐れがある。
【0017】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、振動腕部からの振動を減衰させ、振動の伝播を軽減させる音叉型屈曲水晶振動子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するため、本発明は、基部と、この基部から延出する2本一対の振動腕部と、前記振動腕部に沿って前記基部より延出する一本の支持腕部と備え、前記支持腕部が幅方向に全幅にわたって溝状の第一の凹部を有し、前記支持腕部が二本一対で設けられる前記振動腕部の間に設けられて構成されていることを特徴とする音叉型屈曲水晶振動子である。
【0019】
また、本発明は、前記支持腕部が、前記第一の凹部を前記振動腕部の両主面に有しつつ互いに向き合わずに所定の間隔をあけて設けられて構成されていても良い。
【0020】
また、本発明は、前記支持腕部が、前記基部から延出する前記振動腕部とは反対方向に延出して構成されていても良い。
【0021】
また、本発明は、前記基部が、前記振動腕部の延出する方向に対して直角となる方向に溝状の第二の凹部を有して構成されていても良い。
【0022】
また、本発明は、前記基部が、前記第二の凹部を前記基部の両主面に有しつつ互いに向き合わずに所定の間隔をあけて設けられていても良い。
【0023】
また、本発明は、二本一対の前記振動腕部のそれぞれが、前記振動腕部よりも短い溝状の第三の凹部を有して構成されていても良い。
【0024】
また、本発明は、二本一対の前記振動腕部のそれぞれが、前記振動腕部よりも短い2つ以上並んだ溝状の第三の凹部を有して構成されていても良い。
【発明の効果】
【0025】
このような音叉型屈曲水晶振動子によれば、基部から延出した支持腕部が、その幅方向に溝状の第一の凹部を有しているので、化学エッチングを用いて第一の凹部を形成しても、残渣による形状の変化を少なくすることができる。また、基部から延出した支持腕部がその幅方向に溝状の第一の凹部を有しているので、振動腕部から漏れる振動も、この支持腕部の第一の凹部に達するまでに、基部や途中の支持腕部により減衰したのちに、第一の凹部でさらに振動が減衰されるので、支持する部分への振動の伝播を軽減し、温度特性やCI値の悪化を防ぐことができる。
【0026】
また、本発明は、前記支持腕部が、前記第一の凹部を前記振動腕部の表裏主面に有しつつ互いに向き合わずに所定の間隔をあけて設けられているため、表主面側を伝播する振動を減衰させつつ、裏主面側を伝播する振動を減衰させることができる。
【0027】
また、本発明は、支持腕部が基部から延出する前記振動腕部とは反対方向に延出して構成されており、振動腕部から漏れる振動を支持腕部が有する第一の凹部で減衰させることができる。
【0028】
また、本発明は、基部の幅方向に第二の凹部を設けたので、支持腕部が有する第一の凹部によって振動を減衰させ、基部が有する第二の凹部によって振動を減衰させるので、振動腕部から漏れる振動の減衰をさらに向上させることができる。
【0029】
また、本発明は、基部の表裏主面に有する第二の凹部が、互いに向き合わずに所定の間隔をあけて設けられているので、表主面側を伝播する振動を減衰させつつ、裏主面側を伝播する振動を減衰させることができる。
【0030】
また、本発明は、二本一対の前記振動腕のそれぞれが、振動腕部よりも短い溝状の第三の凹部を有する構造となっており、振動腕部から漏れる振動を支持腕部が有する第一の凹部で減衰させることができる。
【0031】
また、本発明は、二本一対の前記振動腕のそれぞれが、前記振動腕部よりも短い2つ以上並んだ溝状の第三の凹部を有する構造となっており、振動腕部から漏れる振動を支持腕部が有する第一の凹部で減衰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の第二の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子の一例を示す斜視図である。
【図4】第一の凹部の状態の一例を示す概念図である。
【図5】本発明の第三の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の第三の実施形態の変形例に係る音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片の一例を示す斜視図である。
【図7】本発明の第四の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片の一例を示す斜視図である。
【図8】本発明の第四の実施形態の変形例に係る音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片の一例を示す斜視図である。
【図9】本発明の第五の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片の一例を示す斜視図である。
【図10】本発明の第六の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片の一例を示す斜視図である。
【図11】従来の音叉型屈曲水晶振動子の一例を示す斜視図である。
【図12】従来の音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という。)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各構成要素について、状態をわかりやすくするために、誇張して図示している。
【0034】
(第一の実施形態)
図1に示すように、本発明の第一の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子100は、圧電片110a(図2参照)と、その圧電片110aの表面に設けられた励振用電極121a,121b,122a及び122bと、接続用電極123a及び123bと、周波数調整用金属膜124a及び124bと、導配線パターン125,126,127と、により概略構成される。
【0035】
図1及び図2に示すように、圧電片110aは、例えば水晶からなり、平板状となる基部111と、この基部111の一辺から同一方向に延出している2本一対の振動腕部112と、基部111から延出している支持腕部113とから構成されている。
なお、振動腕部112は、2本一対であることから、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bとして説明する。
【0036】
支持腕部113は、基部111の第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bの間であって、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bが延出する方向と同一の方向に基部111から延出している。
この支持腕部113に第一の凹部31が設けられている。
【0037】
支持腕部113が有する第一の凹部31は、溝状に形成されており、支持腕部113の全幅にわたって設けられている。このような第一の凹部31の外形形状は、周知のフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて形成することができる。
また、この第一の凹部31は、実装の際に用いられる導電性接着剤が付けられる位置から離れた位置に設けられている。例えば、支持腕部113の先端部分を導電性接着剤が付けられる部分とした場合、支持腕部113の中間部分から基部111側に離れた位置に設けられることとなる。
【0038】
なお、支持腕部113において、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bから延出した方向に対して直角となる方向を幅とし、延出した方向を長さ方向とする。
【0039】
この第一の凹部31の断面形状は、例えば、U字型、V字型、傾斜角度が異なるように壁面が形成された断面形状などの形に形成しても良い。
また、この第一の凹部31は、支持腕部113の厚さの中心を越えた深さで形成されている。
したがって、第一の凹部31は、振動腕部112から漏れた振動を減衰させて支持する部分へ伝播する振動を減衰させることがきる。
【0040】
図1に示すように、励振用電極121aは、第一の振動腕部112aの表裏主面に設けられている。また、励振用電極121bは、第一の振動腕部112aの対向する両側面に設けられている。
周波数調整用金属膜124aは、第一の振動腕部112aの表裏主面の先端部に設けられており、第一の振動腕部112aの両側面に設けられた励振用電極121bと電気的に接続している。
接続用電極123aは、第一の支持腕部113の先端部分であって、第一の振動腕部112a側の表裏主面に設けられている。
【0041】
また、励振用電極122aは、第二の振動腕部112bの表主面及び側面に設けられている。また、励振用電極122bは、第二の振動腕部112bの対向する両側面に設けられている。
周波数調整用金属膜124bは、第二の振動腕部112bの表主面及び側面の先端部に設けられており、第二の振動腕部112bの両側面に設けられた励振用電極122bと電気的に接続している。
また、接続用電極123bは、第一の支持腕部113の先端部分であって、第二の振動腕部112b側の表裏主面に設けられている。
【0042】
なお、音叉型屈曲水晶振動子100は、周波数調整用金属膜124a及び124bを構成する金属の量を増減させることにより、その振動周波数値を所望する値に調整することができる。
【0043】
図1に示すように、励振用電極121a及び122bと、周波数調整用金属膜124bと接続用電極123bとは、圧電片110a表面に設けられた、例えば導配線パターン126により電気的に接続している。
接続用電極123bは、導配線パターン126と電気的に接続している。この導配線パターン126は、基部111の表裏両主面に設けられている。また、この導配線パターン126は、励振用電極122b及び周波数調整用金属膜124bと電気的に接続している。また、基部111の裏主面に設けられた導配線パターン126は、励振用電極121aと電気的に接続している。
【0044】
また、励振用電極121b及び122aと、周波数調整用金属膜124aと接続用電極123aとは、圧電片110a表面に設けられた、例えば導配線パターン127により電気的に接続している。接続用電極123aは、支持腕部113の側面及び基部111の側面を用いて励振用電極121b及び周波数調整用金属膜124aと電気的に接続している。また、表主面に設けられた導配線パターン127は、励振用電極122aと電気的に接続している。第二の振動腕部112bの表裏主面に設けられた励振用電極122aは、基部111の側面を用いて電気的に接続している。
【0045】
なお、各励振用電極、接続用電極、周波数調整用金属膜、導配線パターンは、下地金属としてのCr層と、その下地金属の上に重ねて設けられたAu層とから構成されている。
【0046】
この音叉型屈曲水晶振動子100を振動させる場合、接続用電極123a及び123bに交番電圧を印加する。印加後のある電気的状態を瞬間的にとらえると、第一の振動腕部112bの励振用電極121bは+(プラス)電位となり、励振用電極121aは−(マイナス)電位となり、+から−に電界が生じる。一方、このときの第二の振動腕部112bの励振用電極122a,122bは、第一の振動腕部112aの励振用電極121a,121bに生じた極性とは反対の極性となる。これらの印加された電界により、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bに伸縮現象が生じ、各振動腕部112に設定した共振周波数の屈曲振動を得る。
【0047】
音叉型屈曲水晶振動子100は、圧電片110aの表面に、前記した励振用電極、接続用電極、導配線パターン及び周波数調整用金属膜をフォトリソグラフィ技術及び蒸着技術により形成することができる。また、音叉型屈曲水晶振動子100は、例えば、一方の主面に開口部を有する凹部を設けた容器体の、その凹部内底面に形成された素子接続用電極パッド上に搭載され、更に凹部の開口部が蓋体により気密封止されて圧電振動子となる。
【0048】
前記した音叉型屈曲水晶振動子100によれば、圧電片110aを構成する支持腕部113の全幅にわたって第一の凹部31を設けることにより、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bから漏れる振動が、支持腕部113の第一の凹部31に達するまでに、基部111や途中の支持腕部により減衰したのちに、第一の凹部31でさらに伝播する振動を減衰させることができる。これにより、第一の凹部31は、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bから漏れた振動の反射を軽減し、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bの振動を阻害するのを防ぐことができる。
また、支持腕部113の第一の凹部31エッチング残渣を考慮することがなく、容易に形成することができる。
【0049】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子は、図3に示すように、音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片110bが、支持腕部113に設けられる第一の凹部31を、支持腕部113の表裏主面に有している点で第一の実施形態と異なる。
以下、第一の実施形態と同一の構成要素については重複する説明を省略し、同一の符号を付す。
【0050】
まず、図3に示すように、支持腕部113に設けられる第一の凹部31は、支持腕部113の表裏主面に形成され、かつ、表主面側の第一の凹部31と裏主面側の第一の凹部31とは向かい合わずに、所定の間隔をあけて設けられている。
つまり、例えば裏主面に設けられた第一の凹部31は、表主面に設けられている第一の凹部31よりも基部111側に近い位置に設けられている。
【0051】
このような第一の凹部31について具体的に説明すると、第一の凹部31の深さは、基部111の厚さに対して50%より大きく90%以下で形成されている。
例えば、第一の凹部31の深さが50%以下の場合は、支持腕部113内を伝播する振動が第一の凹部31を通過してしまい、振動が漏れた状態となってCI値を向上させにくくなる。また、第一の凹部31の深さが90%以上の場合は、支持腕部113の強度を確保することができず、製造途中で破損する恐れがある。
したがって、第一の凹部31は、図4に示すように、表主面を伝播する振動Wを表主面側に設けられた第一の凹部31で減衰させ、裏主面を伝播する振動Wを裏主面側に設けられた第一の凹部31で減衰させる。また、それぞれの第一の凹部31が支持腕部113の厚みの中心CLを越える深さで形成されているので、支持腕部113の内部を伝播する振動も第一の凹部31で減衰させることができる。したがって、第一の凹部31により、振動腕部112から漏れた振動を減衰させて支持腕部113における支持する部分へ伝播する振動をさらに減衰させることがきる。
このように、支持腕部113の表裏主面の第一の凹部31が所定の間隔をあけて設けられているので、さらに振動の減衰をさせることができる。
【0052】
(第三の実施形態)
本発明の第三の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子は、例えば、図5に示すように、第一の実施形態に用いられる圧電片110aの支持腕部113を、振動腕部112である第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bとは反対の方向に基部111から延出させて構成されている。
その一例として、図5に示す圧電片110cについて説明する。
圧電片110cは、基部111と、この基部111から延出する第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bと、これら第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bとは反対の方向に基部から延出する第一の支持腕部113とを備えている。
また、支持腕部113は、全幅にわたって第一の凹部31が設けられている。
【0053】
支持腕部113が有する第一の凹部31は、前記の通り溝状に形成されており、支持腕部113の全幅にわたって設けられている。このような第一の凹部31の外形形状は、周知のフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて形成することができる。
また、この第一の凹部31は、実装の際に用いられる導電性接着剤が付けられる位置から離れた位置に設けられている。例えば、支持腕部113の先端部分導電性接着剤が付けられる部分とした場合、支持腕部113の中間部分から基部111側に離れた位置に設けられることとなる。
このように第三の実施形態を構成しても、第一の実施形態と同様の効果を奏する。
【0054】
(第三の実施形態の変形例)
第三の実施形態の変形例に係る音叉型屈曲水晶振動子は、図6に示すように、圧電片110dが、支持腕部113に設けられる第一の凹部31を表裏主面に有している点で第三の実施形態と異なる。
言い換えれば、第三の実施形態の変形例に係る音叉型屈曲水晶振動子は、支持腕部113を振動腕部112とは反対の方向に基部111から延出している点で第二の実施形態と異なる。
支持腕部113の第一の凹部31を、支持腕部113の表裏主面に向かい合わないように所定の間隔をあけて設けられている。
この表主面側に設けられる第一の凹部31は、裏主面側に設けられる第一の凹部31より基部111側に設けられる。
このように第三の実施形態の変形例を構成しても、第二の実施形態と同様の効果を奏する。
【0055】
(第四の実施形態)
本発明の第四の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子は、基部111が第二の凹部32を有している点で第三の実施形態と異なる。
図7に示すように、本発明の第四の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子に用いられる圧電片110eは、基部111と、この基部111から延出する第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bと、これら第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bとは反対の方向に基部から延出する第一の支持腕部113とを備えている。
ここで、基部111は、幅方向に導配線パターンを設ける部分を残して全幅にわたって第二の凹部32が設けられている。
また、支持腕部113は、全幅にわたって第一の凹部31が設けられている。
このように、第四の実施形態を構成したので、支持腕部113が有する第一の凹部31による振動の減衰に加えて、基部111が有する第二の凹部32による振動の減衰が行えるので、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bから漏れる振動の伝播の軽減を向上させることができる。
【0056】
(第四の実施形態の変形例)
第四の実施形態の変形例に係る音叉型屈曲水晶振動子は、図8に示すように、圧電片110fが、基部111の表裏主面に幅方向に伸びる第二の凹部32を有している点で第四の実施形態と異なる。
支持腕部113の第一の凹部31は、表裏主面に向かい合わないように所定の間隔をあけて設けられている。
また、基部111の裏主面側に設けられる第二の凹部32は、表主面側に設けられる第一の凹部32より第一の励振腕部112a及び第二の励振腕部112bに近い側に設けられる。
このように第四の実施形態の変形例を構成しても、支持腕部113が有する表裏主面の第一の凹部31による振動の減衰に加えて、基部111が有する表裏主面の第二の凹部32による振動の減衰が行えるので、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bから漏れる振動の伝播の軽減を向上させることができる。
【0057】
(第五の実施形態)
本発明の第五の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子は、第一の実施形態〜第四の実施形態、および変形例に用いられる圧電片110a〜110fの振動腕部112である第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bが第三の凹部33を有して構成されている。
その一例として、図9に示す圧電片110gについて説明する。
圧電片110gは、基部111と、この基部111から延出する第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bと、これら第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bと同一の方向に基部から延出する支持腕部113とを備えている。
【0058】
第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bとには、溝状の第三の凹部33が設けられている。
これら第三の凹部33は、第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bとの基部から延出する延出方向と同一となっており、所定の深さで第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bとに形成されている。
また、第三の凹部33は、第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bよりも長さが短くなるように第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bに設けられる。
このような第三の凹部33は、振動の伝播を軽減させる役割はなく、第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bとの屈曲振動を安定させる役割を果たす。
第一の支持腕部113は、全幅にわたって第一の凹部31が設けられている。
なお、支持腕部113の第一の凹部31を、向かい合わないように表裏主面に所定の間隔をあけて設けられている。
このように、第五の実施形態を構成しても、振動腕部112から漏れる振動を減衰させることができる。
【0059】
(第六の実施形態)
本発明の第六の実施形態に係る音叉型屈曲水晶振動子は、第一の実施形態〜第四の実施形態、および変形例に用いられる圧電片110a〜110fの振動腕部112である第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bがそれぞれ2本一対の第三の凹部33を有して構成されている。
その一例として、図10に示す圧電片110hについて説明する。
圧電片110hは、基部111と、この基部111から延出する第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bと、これら第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bと同一の方向に基部から延出する支持腕部113とを備えている。
【0060】
第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bとには、例えば、溝状の2本の第三の凹部33が設けられている。
これら第三の凹部33は、第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bとの基部から延出する延出方向と同一となっており、所定の深さで第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bとに形成されている。
また、第三の凹部33は、第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bよりも長さが短くなるように第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bに設けられる。
このような第三の凹部33は、振動の伝播を軽減させる役割はなく、第一の振動腕部112aと第二の振動腕部112bとの屈曲振動を安定させる役割を果たす。
【0061】
支持腕部113は、全幅にわたって第一の凹部31が設けられている。
なお、支持腕部113の第一の凹部31を、向かい合わないように表裏主面に所定の間隔をあけて設けられている。
このように、第六の実施形態を構成しても、振動腕部112から漏れる振動を減衰させることができる。
【0062】
なお、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、適宜、変更可能である。
例えば、第一の実施形態を基にして、第二の実施形態から第六の実施形態を種々組み合わせた構造の音叉型屈曲水晶振動子を構成しても本発明に含まれるのは言うまでもない。
また、第一の凹部31及び第二の凹部は、一方の主面又は両方の主面において、複数並べるように設けても良い。
これらのように音叉型屈曲水晶振動子を構成しても、振動腕部から漏れる振動を減衰させて、支持する部分への振動の伝播を軽減し、温度特性やCI値の悪化を軽減させることができる。
【符号の説明】
【0063】
100 音叉型屈曲水晶振動子
31 第一の凹部
32 第二の凹部
33 第三の凹部
110a〜110h 圧電片
111 基部
112 振動腕部
112a 第一の振動腕部
112b 第二の振動腕部
113 支持腕部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、この基部から延出する2本一対の振動腕部と、前記振動腕部に沿って前記基部より延出する一本の支持腕部と備え、
前記支持腕部が幅方向に全幅にわたって溝状の第一の凹部を有し、
前記支持腕部が二本一対で設けられる前記振動腕部の間に設けられて構成されていることを特徴とする音叉型屈曲水晶振動子。
【請求項2】
前記支持腕部が、
前記第一の凹部を前記支持腕部の両主面に有しつつ互いに向き合わずに所定の間隔をあけて設けられていることを特徴とする請求項1に記載の音叉型屈曲水晶振動子。
【請求項3】
前記支持腕部が、前記基部から延出する前記振動腕部とは反対方向に延出して構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の音叉型屈曲水晶振動子。
【請求項4】
前記基部が、
前記振動腕部の延出する方向に対して直角となる方向に溝状の第二の凹部を有して構成されていることを特徴とする請求項3に記載の音叉型屈曲水晶振動子。
【請求項5】
前記基部が、
前記第二の凹部を前記基部の両主面に有しつつ互いに向き合わずに所定の間隔をあけて設けられていることを特徴とする請求項4に記載の音叉型屈曲水晶振動子。
【請求項6】
二本一対の前記振動腕部のそれぞれが、前記振動腕部よりも短い溝状の第三の凹部を有して構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の音叉型屈曲水晶振動子。
【請求項7】
二本一対の前記振動腕部のそれぞれが、前記振動腕部よりも短い2つ以上並んだ溝状の第三の凹部を有して構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の音叉型屈曲水晶振動子。
【請求項1】
基部と、この基部から延出する2本一対の振動腕部と、前記振動腕部に沿って前記基部より延出する一本の支持腕部と備え、
前記支持腕部が幅方向に全幅にわたって溝状の第一の凹部を有し、
前記支持腕部が二本一対で設けられる前記振動腕部の間に設けられて構成されていることを特徴とする音叉型屈曲水晶振動子。
【請求項2】
前記支持腕部が、
前記第一の凹部を前記支持腕部の両主面に有しつつ互いに向き合わずに所定の間隔をあけて設けられていることを特徴とする請求項1に記載の音叉型屈曲水晶振動子。
【請求項3】
前記支持腕部が、前記基部から延出する前記振動腕部とは反対方向に延出して構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の音叉型屈曲水晶振動子。
【請求項4】
前記基部が、
前記振動腕部の延出する方向に対して直角となる方向に溝状の第二の凹部を有して構成されていることを特徴とする請求項3に記載の音叉型屈曲水晶振動子。
【請求項5】
前記基部が、
前記第二の凹部を前記基部の両主面に有しつつ互いに向き合わずに所定の間隔をあけて設けられていることを特徴とする請求項4に記載の音叉型屈曲水晶振動子。
【請求項6】
二本一対の前記振動腕部のそれぞれが、前記振動腕部よりも短い溝状の第三の凹部を有して構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の音叉型屈曲水晶振動子。
【請求項7】
二本一対の前記振動腕部のそれぞれが、前記振動腕部よりも短い2つ以上並んだ溝状の第三の凹部を有して構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の音叉型屈曲水晶振動子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−15101(P2011−15101A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156390(P2009−156390)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】
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