説明

音声出力装置及び音声出力プログラム

【課題】例文中で用いられている語句の変則的な発音や強弱の変化した発音について学習効果を高める。
【解決手段】電子辞書装置1においては、ユーザ操作により例えば例文「You’re in good…」中の語句「autonomous」が登録語として指定され、この登録語「autonomous」と、当該登録語の指定を受けた登録語含有例文「You’re in good…」とが対応付けて記憶された後(図(a)〜図(c))、登録語含有例文「You’re in good…」が音声出力対象となる(図(d))。そして、ユーザ操作により登録語「autonomous」が再生対象語として指定されると、この登録語に対応付けて記憶された登録語含有例文「You’re in good…」が音声出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声を出力する音声出力装置及び音声出力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子辞書装置などの情報表示装置では、ユーザに発音の学習をさせる観点から、単語や例文の音声が出力可能となっている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
ところで、英語などの外国語における単語や成句等の語句の発音は、文中での用いられ方に応じて、語句そのものの標準的な発音ではなく、変則的な発音となるときがある。また、例文中の語句の重要度によりその語句をはっきり大きく発音したり、あいまいに小さく発音したりする場合もある。
【0004】
例えば、子音で終わる単語の直後に、母音で始まる単語が文中で連続する場合には、当該文中における後者の単語は、音の繋がり、いわゆるリエゾンにより先頭の母音部分の発音が変化して、変則的な発音となる。また、英語の冠詞「the」は、母音で始まる名詞が文中で後に続く場合には、標準的な発音(≒「ザ」)ではなく、変則的な発音(≒「ジ」)となる。更に、代名詞「it」は、文中での重要度に応じて発音の強弱が異なる。
【特許文献1】特開平11−296060号公報
【特許文献2】特開平11−338862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1,2に記載の電子辞書装置においては、音声出力対象の例文は、当該例文中で発音を学習すべき語句に必ずしも対応付けられてはいない。そのため、ユーザは個々の例文との関係において、語句の変則的な発音や強弱の変化する発音を学習できない場合がある。
【0006】
本発明の課題は、例文中で用いられている語句の変則的な発音や強弱の変化した発音について学習効果を高めることができる音声出力装置及び音声出力プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、音声出力装置(例えば、図1の電子辞書装置1)であって、
複数の例文を音声出力する音声出力手段(例えば、図2の音声出力部3;図7のステップS25,S27)と、
ユーザ操作により前記複数の例文中の何れかの語句を登録語として指定する登録語指定手段(例えば、図2の入力部5;図6のステップS16)と、
前記登録語と、前記複数の例文のうち、当該登録語の指定を受けた登録語含有例文とを対応付けて記憶する登録語例文記憶手段(例えば、図2の登録語例文記憶テーブル80;図6のステップS17)と、
前記登録語例文記憶手段に記憶された何れかの前記登録語をユーザ操作により再生対象語として指定する再生対象語指定手段(例えば、図2の入力部5;図7のステップS21)と、
前記再生対象語に対応付けされて前記登録語例文記憶手段に記憶された前記登録語含有例文を前記音声出力手段に音声出力させる音声出力制御手段(例えば、図2のCPU6及び音声出力プログラム83;図7のステップS27)と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
ここで、例文中の何れかの語句を指定するとは、1つの単語を指定しても良いし、成句や熟語を構成する複数の単語を指定しても良い。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の音声出力装置において、
前記音声出力制御手段は、
前記登録語含有例文中での前記再生対象語のみを前記音声出力手段に音声出力させる登録語音声出力制御手段(例えば、図2のCPU6及び音声出力プログラム83;図7のステップS25)を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の音声出力装置において、
前記音声出力制御手段は、
前記音声出力手段に前記再生対象語を音声出力させた後、この再生対象語に対応する前記登録語含有例文を音声出力させる出力順序制御手段(例えば、図2のCPU6及び音声出力プログラム83;図7のステップS25,S27)を有することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の音声出力装置において、
前記登録語指定手段は、
ユーザ操作された時点で前記音声出力手段により音声出力されている語句を前記登録語として指定する出力語句指定手段(例えば、図2の入力部5;図15(b)〜(d))を有することを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の音声出力装置において、
外部音声を録音する録音手段を備え、
前記登録語指定手段は、
ユーザ操作された時点で前記録音手段により録音されている語句を前記登録語として指定する録音語句指定手段(例えば、図2の入力部5;図13のステップT13)を有することを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の音声出力装置において、
各例文を表示する例文表示手段(例えば、図2の表示部2;図6のステップS15)を備え、
前記登録語指定手段は、
前記例文表示手段により表示された例文中の語句をユーザ操作により前記登録語として指定する表示語句指定手段(例えば、図2の入力部5;図6のステップS16)を有することを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の音声出力装置において、
前記例文表示手段は、
前記記憶例文音声出力手段による音声出力中に前記登録語含有例文を表示させるとともに、表示された当該登録語含有例文の各単語を、当該単語の音声出力タイミングで識別表示することを特徴とする。
【0015】
ここで、単語を識別表示するとは、単語を反転表示することしても良いし、点滅させて表示することとしても良いし、下線を付して表示することとしても良い。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項6または7記載の音声出力装置において、
前記例文表示手段は、
例文の音声データをテキストデータに変換するデータ変換手段(例えば、図2のCPU6及び音声認識プログラム82;図6のステップS12)と、
テキストデータに基づいて例文を表示するテキストデータ表示手段(例えば、図2の表示部2;図6のステップS15)と、
を有することを特徴とする。
【0017】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8の何れか一項に記載の音声出力装置において、
各見出語に説明情報を対応付けて記憶する辞書情報記憶手段(例えば、図2の辞書データベース84a)と、
前記再生対象語に対応する前記見出語の前記説明情報を表示する説明情報表示手段(例えば、図2の表示部2;図6のステップS18)と、
を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項10記載の発明は、音声出力プログラム(例えば、図2の音声出力プログラム83)であって、
コンピュータ(例えば、図1の電子辞書装置1)に、
複数の例文を音声出力する音声出力機能(例えば、図7のステップS25,S27)と、
ユーザ操作により前記複数の例文中の何れかの語句を登録語として指定する登録語指定機能(例えば、図6のステップS16)と、
前記登録語と、前記複数の例文のうち、当該登録語の指定を受けた登録語含有例文とを対応付けて記憶する登録語例文記憶機能(例えば、図6のステップS17)と、
前記登録語例文記憶機能によって記憶された何れかの前記登録語をユーザ操作により再生対象語として指定する再生対象語指定機能(例えば、図7のステップS21)と、
前記再生対象語に対応付けされて前記登録語例文記憶機能に記憶された前記登録語含有例文を前記音声出力機能に音声出力させる音声出力制御機能(例えば、図7のステップS27)と、
を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1,10記載の発明によれば、ユーザ操作により複数の例文中の何れかの語句が登録語として指定され、この登録語と、複数の例文のうち、当該登録語の指定を受けた登録語含有例文とが対応付けて記憶され、ユーザ操作により再生対象語として指定された登録語に対応付けて記憶された登録語含有例文が音声出力されるので、登録語に対応付けて登録語含有例文を記憶させ、音声出力対象とすることができる。従って、登録語が文中での用いられ方に応じて標準的な発音ではなく、変則的な発音や強弱の変化した発音となるときであっても、音声出力対象の例文が単語等の語句に対応付けられていない従来の場合と異なり、この登録語を例文と確実に対応付けて学習に用いることができるため、例文中で用いられている当該登録語の変則的な発音や強弱の変化した発音について、学習効果を高めることができる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、登録語含有例文が音声出力されるのに加え、登録語含有例文中での再生対象語のみが音声出力されるので、当該再生対象語としての登録語の変則的な発音や強弱の変化した発音について、学習効果をいっそう高めることができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、再生対象語が音声出力された後、登録語含有例文が音声出力されるので、当該再生対象語としての登録語の変則的な発音や強弱の変化した発音について、学習効果をいっそう高めることができる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、ユーザ操作された時点で音声出力手段により音声出力されている語句が登録語として指定されるので、登録語の指定を確実に行うことができる。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、ユーザ操作された時点で録音手段により録音されている語句が登録語として指定されるので、登録語の指定を確実に行うことができる。
【0024】
請求項6記載の発明によれば、例文表示手段により表示された例文中の語句がユーザ操作により登録語として指定されるので、登録語の指定を確実に行うことができる。
【0025】
請求項7記載の発明によれば、音声出力中に登録語含有例文が表示されるとともに、表示された登録語含有例文中の各単語が当該単語の音声出力タイミングで識別表示されるので、再生対象語としての登録語の変則的な発音や強弱の変化した発音について、学習効果をいっそう高めることができる。
【0026】
請求項8記載の発明によれば、例文の音声データがテキストデータに変換され、テキストデータに基づいて例文が表示されるので、例文が音声データとして存在する場合であっても、請求項6または7記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【0027】
請求項9記載の発明によれば、再生対象語に対応する見出語の説明情報が表示されるので、当該説明情報に見出語の発音記号が含まれる場合には、当該発音記号と変則的な発音,強弱の変化した発音とを比較することができるため、変則的な発音や強弱の変化した発音について、学習効果をいっそう高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明に係る音声出力装置を適用した電子辞書装置の第1実施形態について説明する。
【0029】
[外観構成]
図1(a)は本実施形態における電子辞書装置1の斜視外観図である。
この図に示すように、電子辞書装置1は、ディスプレイ10、スピーカ11、マイク12及びキー群13を備えている。
【0030】
ディスプレイ10は、ユーザによるキー群13の操作に応じた文字や符号等、各種データを表示する部分であり、LCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electronic Luminescent Display)等によって構成されている。
【0031】
スピーカ11は、ユーザによるキー群13の操作に応じた見出語や例文の音声を出力する部分である。
マイク12は、ユーザによる朗読音声や外部機器による出力音声などの外部音声を集音する部分であり、本実施の形態においてはスピーカ11と一体化されている。
【0032】
キー群13は、ユーザが電子辞書装置1を操作するための各種キーを有している。具体的には、図1(b)に示すように、キー群13は、訳/決定キー13bと、文字キー13cと、カーソルキー13eと、シフトキー13fと、戻るキー13gと、音声出力キー13hと、録音キー13i等とを有している。
【0033】
訳/決定キー13bは、検索の実行や、見出語の決定等に使用されるキーである。文字キー13cは、ユーザによる文字の入力等に使用されるキーであり、本実施の形態においては“A”〜“Z”キーを備えている。
【0034】
カーソルキー13eは、ディスプレイ10内で反転表示等により示されるカーソルの移動等に使用されるキーである。シフトキー13fは、日本語の語句を検索対象に設定するとき等に使用されるキーである。戻るキー13gは、前回表示した画面に戻るとき等に使用されるキーである。
【0035】
音声出力キー13hは、見出語や例文を音声出力させるとき等に使用されるキーである。録音キー13iは、外部音声を録音させるとき等に使用されるキーである。
【0036】
[内部構成]
図2は、電子辞書装置1の概略構成を示すブロック図である。
この図に示すように、電子辞書装置1は、表示部2、音声出力部3、録音部4、入力部5、CPU6、RAM7及びフラッシュROM8を備えている。
【0037】
表示部2は、上述のディスプレイ10を備えており、CPU6から入力される表示信号に基づいて各種情報をディスプレイ10に表示するようになっている。
【0038】
音声出力部3は、上述のスピーカ11を備えており、CPU6から入力される音声出力信号に基づいて音声データをスピーカ11に再生させるようになっている。
【0039】
録音部4は、上述のマイク12を備えており、CPU6から入力される録音信号に基づいて、マイク12で集音された音声を録音し、音声データを作成するようになっている。
【0040】
入力部5は、上述のキー群13を備えており、押下されたキーに対応する信号をCPU6に出力するようになっている。
【0041】
CPU6は、入力される指示に応じて所定のプログラムに基づいた処理を実行し、各機能部への指示やデータの転送等を行い、電子辞書装置1を統括的に制御するようになっている。具体的には、CPU6は、入力部5から入力される操作信号等に応じてフラッシュROM8に格納された各種プログラムを読み出し、当該プログラムに従って処理を実行する。そして、CPU6は、処理結果をRAM7に保存するとともに、当該処理結果を表示・音声出力するための信号を表示部2や音声出力部3に適宜出力して、対応した内容を表示・音声出力させる。
【0042】
フラッシュROM8は、電子辞書装置1の各種機能を実現するためのプログラムやデータを記憶するメモリである。本実施の形態においては、フラッシュROM8は、登録語例文記憶テーブル80と、辞書検索プログラム81と、音声認識プログラム82と、本発明に係る音声出力プログラム83と、辞書データベース群84等とを記憶している。
【0043】
登録語例文記憶テーブル80は、図3に示すように、後述の音声出力処理(図5〜図7参照)において設定された登録語と、当該登録語を含有する例文(以下、登録語含有例文とする)とを対応付けて記憶しており、より詳細には、登録語に対して、登録語含有例文全体の例文音声データと、例文音声データを音節毎に分割した複数の音区切り音声データと、これら音区切り音声データのうち、登録語に対応する部分の登録語音声データと、登録語含有例文全体のテキストデータとを対応付けている。
【0044】
辞書検索プログラム81は、従来より公知の辞書検索処理、即ち、ユーザ操作で指定された指定見出語に対応する説明情報を検索して表示する処理を、CPU6に実行させるためのプログラムである。
【0045】
音声認識プログラム82は、音声データの形式で表現された各単語を認識してテキスト化する処理を、CPU6に実行させるためのプログラムである。なお、このような処理としては、従来より公知の処理を用いることができる。
【0046】
音声出力プログラム83は、後述の音声出力処理(図5〜図7参照)をCPU6に実行させるためのプログラムである。
【0047】
辞書データベース群84は、少なくとも1種類の辞書データベースを有しており、本実施の形態においては、「ジー○アス英和辞典」の辞書データベース84aを有している。
【0048】
この辞書データベース84aは、例えば図4に1例を示すように、複数の見出語と、この見出語を詳細に説明する説明情報とを対応付けて格納している。ここで、説明情報には、見出語のアクセントや、見出語を含む例文が含まれる。また、この辞書データベース84aには、見出語の標準的な発音についての音声データや、少なくとも1部の例文に対応する圧縮音声データが格納されている。
【0049】
また、上述の図2に示すように、RAM7は、CPU6が実行する各種プログラムや、これらプログラムの実行に係るデータ等を一時的に保持するメモリであり、本実施の形態においては、検索対象見出語記憶領域71を備えている。
【0050】
この検索対象見出語記憶領域71には、辞書検索処理が実行された場合に辞書引きする対象としてユーザ操作によって指定された指定見出語が記憶されるようになっている。
【0051】
[音声出力処理]
続いて、電子辞書装置1の動作について説明する。図5〜図7は、CPU6がフラッシュROM8から音声出力プログラム83を読み出して実行する音声出力処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【0052】
まず、図5に示すように、ユーザにより録音キー13iが操作されると、CPU6は、例文登録処理を行う(ステップS1)。
【0053】
具体的には、図6に示すように、まず、CPU6は、ユーザによる朗読音声などの外部音声を録音して例文音声データを作成するとともに(ステップS11)、音声認識プログラム82を実行して例文のテキストデータを作成した後(ステップS12)、当該テキストデータに基づいて例文音声データを音節毎に分割することにより、音区切り音声データを作成する(ステップS13)。
【0054】
例えば、図8に示すように、外部音声により例文「You’re in good condition …」が入力されると、例文音声データ及びテキストデータが作成された後(ステップS11,S12)、音区切り音声データが作成される(ステップS13)。なお、例文音声データを音節毎に分割する手法としては、従来より公知の手法を用いることができる。
【0055】
次に、CPU6は、作成したテキストデータと、例文音声データと、音区切り音声データとを対応付けて登録語例文記憶テーブル80に記憶させるとともに(ステップS14)、テキストデータに基づいて例文をディスプレイ10に表示させる(ステップS15)。
【0056】
例えば、図8のテキストデータ等が登録語例文記憶テーブル80に記憶された場合には、図9(a)に示すように、当該テキストデータに基づいて例文「You’re in good condition …」がディスプレイ10に表示される。
【0057】
次に、表示された例文中の何れかの語句がカーソルキー13eや訳/決定キー13b等の操作により登録語として指定されると(ステップS16)、CPU6は、ステップS13で作成した音区切り音声データのうち、登録語に対応する登録語音声データを検出した後、これら登録語及び登録語音声データを、登録語例文記憶テーブル80中のテキストデータ、例文音声データ及び音区切り音声データと対応付けて登録語例文記憶テーブル80に記憶させる(ステップS17)。なお、登録語の指定の際には、シフトキー13fをカーソルキー13eと併せて操作することにより、複数の単語を指定することとしても良い。
【0058】
そして、CPU6は、辞書検索プログラム81を実行することにより、登録語に対応する見出語の説明情報を検索してディスプレイ10に表示させるとともに(ステップS18)、デフォルトではない例文についての音声出力マーク(以下、追加音声マークとする)M1(図9(d)参照)をディスプレイ10に表示させ(ステップS19)、例文登録処理を終了する。
【0059】
例えば、図9(a)に示した状態から、図9(b),(c)に示すように、例文「You’re in good condition …」中の単語「autonomous」が登録語として指定されると(ステップS16)、図9(d)に示すように、見出語「autonomous」の説明情報と追加音声マークM1とがディスプレイ10に表示される(ステップS18,S19)。
【0060】
次に、図5に示すように、CPU6は、再生処理を行う(ステップS2)。
具体的には、図7に示すように、登録語例文記憶テーブル80に記憶されている登録語が辞書引き対象の指定見出語としてユーザ操作により入力・選択されると(ステップS21)、CPU6は、辞書検索プログラム81を実行することにより当該指定見出語の説明情報をディスプレイ10に表示させるとともに(ステップS22)、登録語例文記憶テーブル80から見出語に対応する登録語を検索し、検索された登録語を再生対象語として設定した後、この再生対象語を含有する登録語含有例文と、追加音声マークM1とをディスプレイ10に併せて表示させる(ステップS23)。
【0061】
なお、本実施の形態における辞書検索処理においては、CPU6は、入力された指定見出語に前方一致する見出語を先頭にして、辞書データベース84aから順に見出語を読み出してディスプレイ10に一覧表示させる。また、CPU6は、見出語一覧内の先頭の見出語を反転表示させ、反転表示により指定された見出語の説明情報を、見出語一覧とは別領域でディスプレイ10にプレビュー表示させる。そして、カーソルキー13eや訳/決定キー13b等の操作により見出語一覧から何れかの見出語が指定されると、CPU6は、当該見出語の説明情報をディスプレイ10に全画面表示させる。
【0062】
これにより、例えば、図10(a)に示すように、登録語「get out of」が例文「get out of here.」と対応付けて登録語例文記憶テーブル80に記憶されている状態で、ユーザ操作により見出語「get」、「out」及び「of」が入力されると(ステップS21)、当該見出語「get」、「out」及び「of」に前方一致する見出語が一覧表示され、反転表示により指定された見出語「get out of O」の説明情報がプレビュー表示される。また、見出語に対応する登録語「get out of」が再生対象語として設定され、この再生対象語「get out of」を含有する登録語含有例文「get out of here.」がディスプレイ10の右上に表示される(ステップS23)。そして、図10(b)に示すように、見出語一覧から見出語「get out of O」が指定されると、当該見出語「get out of O」の説明情報が全画面表示される(ステップS22)。
【0063】
同様に、例えば、図11(a)に示すように、登録語「it」が例文「I see. I got it.」と対応付けて登録語例文記憶テーブル80に記憶されている状態で、ユーザ操作により見出語「it」が入力されると(ステップS21)、当該見出語「it」に前方一致する見出語が一覧表示され、反転表示により指定された見出語「it」の説明情報がプレビュー表示される。また、見出語に対応する登録語「it」が再生対象語として設定され、この再生対象語「it」を含有する登録語含有例文「I see. I got it.」がディスプレイ10の右上に表示される(ステップS23)。そして、図11(b)に示すように、見出語一覧から見出語「it」が指定されると、当該見出語「it」の説明情報が全画面表示される(ステップS22)。
【0064】
なお、図10、図11において、登録語含有例文中の「get out of」,「it」に付された下線は、「get out of」,「it」が登録語であることを示している。
【0065】
次に、追加音声マークM1にカーソルが位置した状態でユーザにより音声出力キー13hが操作されると(ステップS24)、CPU6は、登録語含有例文の全体をディスプレイ10に表示させた状態で、登録語含有例文中での再生対象語のみを登録語音声データに基いて音声出力する(ステップS25)。
【0066】
次に、ユーザにより音声出力キー13hが再度操作されると(ステップS26)、CPU6は、登録語含有例文の全体を例文音声データに基づいて音声出力するとともに(ステップS27)、ディスプレイ10に表示された登録語含有例文中の各単語を、その音声出力タイミングで識別表示させる。
【0067】
例えば、図10(b)に示した状態から音声出力キー13hが1回操作されると(ステップS24)、図10(c)示すように、登録語含有例文「get out of here.」における再生対象語「get out of」のみが音声出力される(ステップS25)。また、音声出力キー13hが再度操作されると(ステップS26)、図12に示すように、当該登録語含有例文の全体が音声出力されるとともに(ステップS27)、登録語含有例文中の各単語が当該単語の音声出力タイミングで反転表示により識別表示される。なお、図12では、スピーカ11から出力される音声を吹出しFで示している。
【0068】
同様に、図11(b)に示した状態から音声出力キー13hが1回操作されると(ステップS24)、図11(c)に示すように、登録語含有例文「I see. I got it.」における再生対象語「it」のみが音声出力され(ステップS25)、2回操作されると(ステップS26)、当該登録語含有例文の全体が音声出力されるとともに(ステップS27)、登録語含有例文中の各単語が当該単語の音声出力タイミングで反転表示により識別表示される。
【0069】
そして、CPU6は、再生処理を終了した後、図5に示すように、音声出力処理を終了する。
【0070】
以上の電子辞書装置1によれば、図6のステップS16,S17、図7のステップS21,S27、図9〜図12に示したように、ユーザ操作により複数の例文中の何れかの語句が登録語として指定され、この登録語と、複数の例文のうち、当該登録語の指定を受けた登録語含有例文とが対応付けて記憶され、ユーザ操作により再生対象語として指定された登録語に対応付けて記憶された登録語含有例文が音声出力されるので、登録語に対応付けて登録語含有例文を記憶させ、音声出力対象とすることができる。従って、登録語が文中での用いられ方に応じて標準的な発音ではなく、変則的な発音や強弱の変化した発音となるときであっても、音声出力対象の例文が単語等の語句に対応付けられていない従来の場合と異なり、この登録語を例文と確実に対応付けて学習に用いるすることができるため、例文中で用いられている当該登録語の変則的な発音や強弱の変化した発音について、学習効果を高めることができる。
【0071】
また、図7のステップS25,S27、図10、図11に示したように、再生対象語が音声出力された後、登録語含有例文が音声出力されるので、当該再生対象語としての登録語の変則的な発音や強弱の変化した発音について、学習効果をいっそう高めることができる。
【0072】
また、図7のステップS27、図12に示したように、音声出力中に登録語含有例文が表示されるとともに、表示された登録語含有例文中の各単語が当該単語の音声出力タイミングで識別表示されるので、再生対象語としての登録語の変則的な発音や強弱の変化した発音について、学習効果をいっそう高めることができる。
【0073】
また、図7のステップS22、図9〜図12に示したように、再生対象語に対応する見出語の説明情報が表示され、当該説明情報には見出語の発音記号が含まれるので、発音記号で示される標準的な発音と、変則的な発音や強弱の変化した発音とを比較することができる。同様に、図4に示したように、辞書データベース84aには、見出語の標準的な発音についての音声データが説明情報に対応付けて記憶されているので、標準的な発音と変則的な発音,強弱の変化した発音とを比較することができる。従って、変則的な発音や強弱の変化した発音について、学習効果をいっそう高めることができる。
【0074】
また、図6のステップS16、図9に示したように、ディスプレイ10に表示された例文中の語句がユーザ操作により登録語として指定されるので、登録語の指定を確実に行うことができる。
【0075】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態における電子辞書装置について説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
上述の図2に示すように、本実施形態における電子辞書装置1Aは、フラッシュROM8Aを備えており、このフラッシュROM8Aは、本発明に係る音声出力プログラム83Aを記憶している。
【0077】
この音声出力プログラム83Aは、後述の音声出力処理(図5,図13,図7参照)をCPU6に実行させるためのプログラムである。
【0078】
続いて、電子辞書装置1Aの動作について説明する。図5,図13,図7は、CPU6がフラッシュROM8Aから音声出力プログラム83Aを読み出して実行する音声出力処理の動作を説明するためのフローチャートである。なお、電子辞書装置1Aの動作は、上述の電子辞書装置1の動作と比較して例文登録処理(図5参照)のみが異なっているため、以下、この例文登録処理のみについて説明する。
【0079】
本実施の形態における例文登録処理においては、図13に示すように、まず、CPU6は、外部音声を録音して例文音声データの作成を開始するとともに(ステップT11)、訳/決定キー13bの操作により登録語の指定がされるか否かを判定し(ステップT12)、指定がされていないと判定した場合(ステップT12;No)には、後述のステップT14の処理に移行する。
【0080】
一方、ステップT12において登録語の指定がされていると判定した場合(ステップT12;Yes)には、CPU6は、訳/決定キー13bの操作による指定タイミングで録音されている語句を、登録語として設定する(ステップT13)。なお、登録語の指定の際には、訳/決定キー13bを押下し続けることにより、複数の単語を指定することとしても良い。
【0081】
次に、CPU6は、外部音声の録音が終了したか否かを判定し(ステップT14)、終了していないと判定した場合(ステップT14;No)には、上述のステップT12の処理に移行する。
【0082】
一方、ステップT14において外部音声の録音が終了したと判定した場合(ステップT14;Yes)には、CPU6は、当該外部音声を音声認識して例文のテキストデータを作成する(ステップT15)。
【0083】
次に、CPU6は、テキストデータに基づいて例文音声データを音節毎に分割することにより、音区切り音声データを作成した後(ステップT16)、作成した音区切り音声データのうち、登録語に対応する登録語音声データを検出し、登録語、登録語音声データ、テキストデータ、例文音声データ及び音区切り音声データと対応付けて登録語例文記憶テーブル80に記憶させる(ステップT17)。
【0084】
そして、CPU6は、テキストデータに基づいて例文をディスプレイ10に表示させ(ステップT18)、例文登録処理を終了する。
【0085】
以上の電子辞書装置1Aによれば、上記第1実施形態における電子辞書装置1と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、図13のステップT13に示したように、ユーザ操作された時点で録音されている語句が登録語として指定されるので、登録語の指定を確実に行うことができる。
【0086】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0087】
例えば、再生処理においては、辞書検索処理により指定見出語の説明情報が表示された状態で音声出力キー13hが操作されることにより音声出力が実行されることとして説明したが(図7参照)、図14(a)に示すように、ユーザ操作に基づいて登録語例文記憶テーブル80内の登録語をディスプレイ10に一覧表示させ、この登録語一覧から登録語を選択した状態で音声出力キー13hが操作されることにより、音声出力が実行されることとしても良い。また、この場合、図14(a),(b)に示すように、登録語一覧の各登録語に対し、説明情報の格納されている辞書データベース84aの名称をそれぞれ付記しておき、訳/決定キー13b等が操作された場合には、反転表示で指定された登録語の説明情報を当該辞書データベース84aから検索し、登録語一覧とは別領域でディスプレイ10にプレビュー表示させることが好ましい。
【0088】
また、音声データを登録語例文記憶テーブル80や辞書データベース84aに記憶されることとして説明したが、他の記憶領域に記憶されることとしても良い。この場合には、登録語例文記憶テーブル80及び辞書データベース84aには、音声データのアドレスのみが記憶されることとなる。
【0089】
また、録音された外部音声の音声データを登録語と対応付けて登録語例文記憶テーブル80に記憶させることとして説明したが、辞書データベース84a等にデフォルトで記憶されている音声データを登録語と対応付けて登録語例文記憶テーブル80に記憶させることとしても良い。
【0090】
また、第1実施形態においては、ディスプレイ10に表示されている例文中から登録語を設定することとして説明したが、図15に示すように、例文の再生中に訳/決定キー13b等を操作することにより、操作タイミングで再生されている語句を登録語として設定することとしても良い。この場合には、ユーザ操作された時点で音声出力されている語句が登録語として指定されるので、登録語の指定を確実に行うことができる。ここで、図15では、例文「get out of here.」のうち、「get out of」を登録語として設定した場合を図示しており、また、スピーカ11から出力される音声を吹出しFで示している。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明にかかる音声出力装置を適用した電子辞書装置の概略構成を示す図であり、(a)は概観図であり、(b)は部分平面図である。
【図2】本発明にかかる音声出力装置を適用した電子辞書装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】登録語例文記憶テーブルのデータ構造を示す図である。
【図4】辞書データベースのデータ構造を示す図である。
【図5】音声出力処理を示すフローチャートである。
【図6】例文登録処理を示すフローチャートである。
【図7】再生処理を示すフローチャートである。
【図8】外部音声から例文音声データ、テキストデータ、音区切り音声データを作成する処理を示す概念図である。
【図9】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図10】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図11】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図12】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図13】例文登録処理を示すフローチャートである。
【図14】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図15】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【符号の説明】
【0092】
1,1A 電子辞書装置(音声出力装置)
2 表示部(例文表示手段、テキストデータ表示手段、説明情報表示手段)
3 音声出力部(音声出力手段)
5 入力部(登録語指定手段、再生対象語指定手段、出力語句指定手段、
録音語句指定手段、表示語句指定手段)
6 CPU(音声出力制御手段、登録語音声出力制御手段、
出力順序制御手段、データ変換手段)
80 登録語例文記憶テーブル(登録語例文記憶手段)
82 音声認識プログラム(データ変換手段)
83,83A 音声出力プログラム
84a 辞書データベース(辞書情報記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の例文を音声出力する音声出力手段と、
ユーザ操作により前記複数の例文中の何れかの語句を登録語として指定する登録語指定手段と、
前記登録語と、前記複数の例文のうち、当該登録語の指定を受けた登録語含有例文とを対応付けて記憶する登録語例文記憶手段と、
前記登録語例文記憶手段に記憶された何れかの前記登録語をユーザ操作により再生対象語として指定する再生対象語指定手段と、
前記再生対象語に対応付けされて前記登録語例文記憶手段に記憶された前記登録語含有例文を前記音声出力手段に音声出力させる音声出力制御手段と、
を備えることを特徴とする音声出力装置。
【請求項2】
請求項1記載の音声出力装置において、
前記音声出力制御手段は、
前記登録語含有例文中での前記再生対象語のみを前記音声出力手段に音声出力させる登録語音声出力制御手段を有することを特徴とする音声出力装置。
【請求項3】
請求項2記載の音声出力装置において、
前記音声出力制御手段は、
前記音声出力手段に前記再生対象語を音声出力させた後、この再生対象語に対応する前記登録語含有例文を音声出力させる出力順序制御手段を有することを特徴とする音声出力装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の音声出力装置において、
前記登録語指定手段は、
ユーザ操作された時点で前記音声出力手段により音声出力されている語句を前記登録語として指定する出力語句指定手段を有することを特徴とする音声出力装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の音声出力装置において、
外部音声を録音する録音手段を備え、
前記登録語指定手段は、
ユーザ操作された時点で前記録音手段により録音されている語句を前記登録語として指定する録音語句指定手段を有することを特徴とする音声出力装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の音声出力装置において、
各例文を表示する例文表示手段を備え、
前記登録語指定手段は、
前記例文表示手段により表示された例文中の語句をユーザ操作により前記登録語として指定する表示語句指定手段を有することを特徴とする音声出力装置。
【請求項7】
請求項6記載の音声出力装置において、
前記例文表示手段は、
前記記憶例文音声出力手段による音声出力中に前記登録語含有例文を表示させるとともに、表示された当該登録語含有例文の各単語を、当該単語の音声出力タイミングで識別表示することを特徴とする音声出力装置。
【請求項8】
請求項6または7記載の音声出力装置において、
前記例文表示手段は、
例文の音声データをテキストデータに変換するデータ変換手段と、
テキストデータに基づいて例文を表示するテキストデータ表示手段と、
を有することを特徴とする音声出力装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の音声出力装置において、
各見出語に説明情報を対応付けて記憶する辞書情報記憶手段と、
前記再生対象語に対応する前記見出語の前記説明情報を表示する説明情報表示手段と、
を備えることを特徴とする音声出力装置。
【請求項10】
コンピュータに、
複数の例文を音声出力する音声出力機能と、
ユーザ操作により前記複数の例文中の何れかの語句を登録語として指定する登録語指定機能と、
前記登録語と、前記複数の例文のうち、当該登録語の指定を受けた登録語含有例文とを対応付けて記憶する登録語例文記憶機能と、
前記登録語例文記憶機能によって記憶された何れかの前記登録語をユーザ操作により再生対象語として指定する再生対象語指定機能と、
前記再生対象語に対応付けされて前記登録語例文記憶機能に記憶された前記登録語含有例文を前記音声出力機能に音声出力させる音声出力制御機能と、
を実現させることを特徴とする音声出力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−58678(P2008−58678A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−236284(P2006−236284)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】