説明

音声選択装置並びにそれを使用したメディア機器およびハンズフリー通話装置

【課題】定められた車種専用ではなくあらゆる車種に対し汎用で取り付け可能であり、エアコンの風の吹き出し口がどのように配置されていても、エアコンの風の吹き出し雑音等の影響を低減することができる音声選択装置並びにそれを使用したメディア機器およびハンズフリー通話装置を提供する。
【解決手段】車両の運転者が音声コマンドによりメディア機器102,108,111を操作する場合に音声コマンドを受け取る内蔵マイク104,105,109,110,114,115は、メディア機器102,108,111の左上および中央下の2箇所に設置されている。メディア機器102,108,111に内蔵マイク104,105,109,110,114,115を複数設けてエアコンの風の吹き出し口からの雑音の影響を最も受けていない内蔵マイクを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載製品においてエアコンの風の吹き出し口付近に設置された複数のマイクから自動で雑音の少ないマイクを選択する音声選択装置並びにそれを使用したメディア機器およびハンズフリー通話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来の車両のメディア機器、例えばカーナビゲーション装置とエアコンの風の吹き出口の位置関係、およびメディア機器に設置され、ユーザから音声コマンドを受信してメディア機器を操作するための内蔵マイクの搭載パターンを図示したものである。ここでは現存する車種で最も多く採用されている3パターンを記載する。
【0003】
図6(a)に示すパターンAは、メディア機器602の左右にエアコンの風の吹き出し口601,603がある場合であり、図6(b)に示すパターンBは、メディア機器607の上部にエアコンの風の吹き出し口605,606がある場合であり、図6(c)に示すパターンCは、メディア機器609の下部にエアコンの風の吹き出し口610,611がある場合である。
【0004】
内蔵マイク604,608,612は、車両の運転者が音声コマンドによりメディア機器602,607,609を操作する場合に音声コマンドを受け取るものであり、メディア機器602,607,609の左上の一箇所に設置されている。この場合、図6(a)および図6(b)に示すパターンA,Bにおいて、内蔵マイク604,608は、エアコンの風の吹き出し口601,605から雑音の影響を大きく受ける。
【0005】
このようにエアコンの風の吹き出し口付近に置かれたマイクではエアコンの風量や風向きによって雑音を多く含んでしまう為、外付けのマイクを雑音の影響が少ない箇所へ取り付けて音声コマンドを明瞭に受信するようにしていた。
【0006】
一方、家庭に設置される室内エアコンの運転中に生じる送風音等の運転騒音を低減するために、エアコンの風の吹き出し口付近に置かれたマイク(騒音検出手段)の近くにスピーカーを設けて、集音した雑音と逆位相の雑音を出力して運転騒音を低減する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、車載製品において、車両内で収音された音声信号等に含まれるノイズを除去する技術として、車両状態を監視する制御部が、あらかじめ打ち消したい雑音のサンプルを保管してある記憶装置から車両状態によって打ち消したい雑音を取り出し、それを逆位相にして出力することにより車両内の雑音を低減する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−201565号公報
【特許文献2】特開2008−236448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、外付けのマイクを使用してエアコンの風量や風向きによる雑音の影響を低減する方法では、取り付けのための部品が増加するとともに取り付けに手間がかかっていた。
【0010】
また、エアコンの風の吹き出し口付近に置かれたマイク(騒音検出手段)の近くにスピーカーを設けて、集音した雑音と逆位相の雑音を出力して雑音を低減する方法では、全ての音を低減する為、音声コマンドなどの本来必要とする音声も低減されてしまうので好ましくない。
【0011】
また、車両状態を監視する制御部が、あらかじめ打ち消したい雑音のサンプルを保管してある記憶装置から車両状態によって打ち消したい雑音を取り出し、逆位相にして出力する方法でも、音声コマンドなどの本来必要とする音声も低減されてしまうので好ましくない。
【0012】
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、定められた車種専用ではなくあらゆる車種に対し汎用で取り付け可能であり、エアコンの風の吹き出し口がどのように配置されていても、エアコンの風の吹き出し雑音等の影響を低減することができる音声選択装置並びにそれを使用したメディア機器およびハンズフリー通話装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の音声選択装置は、異なる位置に配置され、音声を電気信号に変換する複数のマイクと、前記複数のマイクから出力される複数の電気信号に含まれる雑音レベルを比較し、最も雑音レベルの低い電気信号を識別する識別情報を生成するレベル比較回路と、ユーザがマイクを使用する場合に前記レベル比較回路を起動するレベル比較機制御回路と、前記レベル比較回路から前記識別情報を受け取り、前記識別情報に対応する電気信号を選択するマイク選択回路と、を備える音声選択装置である。
【0014】
本発明の音声選択装置によれば、異なる位置に配置された複数のマイクから出力される複数の電気信号のうち、最も雑音レベルの低い電気信号を選択するので、定められた車種専用ではなくあらゆる車種に対し汎用で取り付け可能であり、エアコンの風の吹き出し口がどのように配置されていても、エアコンの風の吹き出し雑音等の影響を低減することができる。
【0015】
また、本発明の音声選択装置において、前記複数のマイクは、エアコンの風の吹き出し口に近い位置に設置された第1のマイクと、エアコンの風の吹き出し口から遠い位置に設置された第2のマイクとを含み、前記レベル比較回路は、前記第1および第2のマイクから出力される電気信号に含まれるエアコンの風の吹き出しに起因する雑音成分を比較し、前記第2のマイクに対応する識別情報を生成する。
【0016】
本発明の音声選択装置によれば、エアコンの風の吹き出しに起因する雑音成分を比較し、エアコンの風の吹き出し口から遠い位置に設置された第2のマイクを選択するので、エアコンの風の吹き出し口がどのように配置されていても、エアコンの風の吹き出し雑音等の影響を低減することができる。
【0017】
また、本発明の音声選択装置において、前記レベル比較機制御回路は、ユーザが通話を開始する場合に前記レベル比較回路を起動する。
【0018】
本発明の音声選択装置によれば、ユーザが通話を開始する場合にレベル比較回路を起動するので、煩雑な操作をすることなく、エアコンの風の吹き出し雑音等の影響を低減することができる。
【0019】
また、本発明の音声選択装置において、前記レベル比較機制御回路は、ユーザが通話を終了する場合に前記レベル比較回路を停止する。
【0020】
本発明の音声選択装置によれば、ユーザが通話を終了する場合にレベル比較回路を停止するので、煩雑な操作をすることなく、消費電力を低減することができる。
【0021】
また、本発明の音声選択装置において、前記レベル比較機制御回路は、前記レベル比較回路が雑音レベルを比較するタイミングを設定する。
【0022】
本発明の音声選択装置によれば、レベル比較回路が雑音レベルを比較するタイミングを設定可能なので、エアコンの風の吹き出しに起因する雑音の発生パターンに応じて、エアコンの風の吹き出し雑音等の影響を低減することができる。
【0023】
また、本発明の音声選択装置において、前記レベル比較機制御回路は、エアコンの風の吹き出し口付近における風向き及び風量を検出し、前記風向き及び風量が変化する場合に、前記レベル比較回路が雑音レベルを比較するように指令する。
【0024】
本発明の音声選択装置によれば、エアコンの風の吹き出し口付近における風向き及び風量が変化する場合に雑音レベルを比較するので、風向き及び風量が変化しても、最も雑音の少ないマイクを自動的に選択することができる。
【0025】
また、本発明の音声選択装置において、前記レベル比較回路は、ユーザの音声が発音されない無音期間を検出する無音期間検出部を備え、前記無音期間における雑音レベルを比較する。
【0026】
本発明の音声選択装置によれば、無音期間における雑音レベルを比較するので、最も雑音の少ないマイクを正確に検出することができる。
【0027】
また、本発明のメディア機器は、異なる位置に配置され、音声を電気信号に変換する複数のマイクと、前記複数のマイクから出力される複数の電気信号に含まれる雑音レベルを比較し、最も雑音レベルの低い電気信号を識別する識別情報を生成するレベル比較回路と、ユーザがマイクを使用する場合に前記レベル比較回路を起動するレベル比較機制御回路と、前記レベル比較回路から前記識別情報を受け取り、前記識別情報に対応する電気信号を選択するマイク選択回路と、前記マイク選択回路から出力される音声信号に対して音声認識を行ない、所定の音声に対応するコマンドを選択する音声認識部と、を備えるメディア機器である。
【0028】
本発明のメディア機器によれば、複数のマイクを配置することにより、エアコンの風の吹き出し口付近に配置された中でも最も雑音の少ないマイクを自動的に選択し、音声認識を正確に行なうことができる。
【0029】
また、本発明のハンズフリー通話装置は、携帯電話端末とハンズフリー通話を行なうハンズフリー通話装置であって、異なる位置に配置され、音声を電気信号に変換する複数のマイクと、前記複数のマイクから出力される複数の電気信号に含まれる雑音レベルを比較し、最も雑音レベルの低い電気信号を識別する識別情報を生成するレベル比較回路と、ユーザがマイクを使用する場合に前記レベル比較回路を起動するレベル比較機制御回路と、前記レベル比較回路から前記識別情報を受け取り、前記識別情報に対応する電気信号を選択するマイク選択回路と、所定の通信プロトコルに従い、前記マイク選択回路から出力される音声信号を前記携帯電話端末に送信するとともに、前記携帯電話端末から音声信号を受信する通信手段と、を備えるハンズフリー通話装置である。
【0030】
本発明のハンズフリー通話装置によれば、複数のマイクを配置することにより、エアコンの風の吹き出し口付近に配置された中でも最も雑音の少ないマイクを自動的に選択し、雑音の少ない音声でハンズフリー通話を行なうことができる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明にかかる音声選択装置並びにそれを使用したメディア機器およびハンズフリー通話装置によれば、異なる位置に配置された複数のマイクから出力される複数の電気信号のうち、最も雑音レベルの低い電気信号を選択するので、定められた車種専用ではなくあらゆる車種に対し汎用で取り付け可能であり、エアコンの風の吹き出し口がどのように配置されていても、エアコンの風の吹き出し雑音等の影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態にかかるメディア機器とエアコンの風の吹き出口の位置関係および内蔵マイクの搭載パターン
【図2】本発明の実施形態にかかる音声選択装置の概略構成を説明するためのブロック図
【図3】本発明の実施形態にかかるレベル比較回路206の概略構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施形態にかかるメディア機器の音量調整部分の概略構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施形態にかかるハンズフリー通話装置501の機能的構成を携帯電話機502と共に示すブロック図
【図6】従来のメディア機器とエアコンの風の吹き出口の位置関係および内蔵マイクの搭載パターン
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の実施形態にかかる車両のメディア機器、例えばカーナビゲーション装置とエアコンの風の吹き出口の位置関係、およびメディア機器に設置され、ユーザから音声コマンドを受信してメディア機器を操作するための内蔵マイクの搭載パターンを図示したものである。
【0034】
図1(a)に示すパターンAは、メディア機器102の左右にエアコンの風の吹き出し口101,103がある場合であり、図1(b)に示すパターンBは、メディア機器108の上部にエアコンの風の吹き出し口106,107がある場合であり、図1(c)に示すパターンCは、メディア機器111の下部にエアコンの風の吹き出し口112,113がある場合である。
【0035】
車両の運転者が音声コマンドによりメディア機器102,108,111を操作する場合に音声コマンドを受け取る内蔵マイク104,105,109,110,114,115は、メディア機器102,108,111の左上および中央下の2箇所に設置されている。
【0036】
本実施形態では、メディア機器102,108,111に内蔵マイク104,105,109,110,114,115を複数(本図では2箇所)設けてエアコンの風の吹き出し口からの雑音の影響を最も受けていない内蔵マイクを選択する。すなわち、図1(a)に示すパターンAでは内蔵マイク105を選択し、図1(b)に示すパターンBでは内蔵マイク110を選択し、図1(c)に示すパターンCでは内蔵マイク114を選択する。
【0037】
このように本実施形態のメディア機器102,108,111によれば、異なる位置に配置された複数の内蔵マイク104,105,109,110,114,115から、エアコンの風の吹き出し口からの雑音の影響を最も受けていない内蔵マイクが選択される。したがって、メディア機器102,108,111は定められた車種専用ではなくあらゆる車種に対し汎用で取り付け可能であり、エアコンの風の吹き出し口がどのように配置されていても、エアコンの風の吹き出し雑音等の影響を低減することができる。
【0038】
図2は、本発明の実施形態にかかる音声選択装置の概略構成を説明するためのブロック図である。メディア機器102,108,111に実装される本実施形態の音声選択装置は、異なる位置に配置され、音声を電気信号に変換する複数の内蔵マイク201,202,203と、複数の内蔵マイク201,202,203から出力される複数の電気信号に含まれる雑音レベルを比較し、最も雑音レベルの低い電気信号を識別する識別情報を生成するレベル比較回路206と、ユーザが内蔵マイク201,202,203を使用する場合にレベル比較回路206を起動するレベル比較機制御回路205と、レベル比較回路206から識別情報を受け取り、識別情報に対応する電気信号を選択するマイク選択回路204と、マイク選択回路204から出力される音声信号を増幅し出力する音声出力回路207とを備える。
【0039】
複数の内蔵マイク201,202,203がそれぞれ信号を取り込みマイク選択回路204、および雑音レベルを比較するレベル比較回路206へ信号を伝達する。レベル比較機制御回路205は、ユーザが内蔵マイク201,202,203を使用すると判断したらレベル比較回路206を起動する。例えば、ユーザが通話を開始する場合である。
【0040】
ユーザが内蔵マイク201,202,203を使用すると判断してからその使用の終了まで常にレベル比較機制御回路205およびレベル比較回路206は動作し続けている(レベル比較回路206の起動中の比較タイミングは任意で設定できるものとする)。
【0041】
レベル比較回路206は、複数の内蔵マイク201,202,203から集音された雑音レベルを比較して一番雑音レベルの低い内蔵マイクを識別してその情報をマイク選択回路204に伝達する。マイク選択回路204は、レベル比較回路206より伝達された情報により一番雑音の低い信号を音声出力回路207へと伝達する。
【0042】
また、レベル比較機制御回路205は、ユーザがマイクを使用している間は常にレベル比較回路206を起動させておき、レベル比較回路206は、風向き及び風量が変化する事により、雑音レベルが変わった際には常に雑音レベルが低い内蔵マイクを識別してマイク選択回路204に伝達する。マイク選択回路204はレベル比較回路206より伝達された情報により一番雑音の低い信号を音声出力回路207へと伝達する。
【0043】
このように本実施形態の音声選択装置によれば、異なる位置に配置された複数の内蔵マイク201,202,203から出力される複数の電気信号のうち、最も雑音レベルの低い電気信号を選択する。したがって、定められた車種専用ではなくあらゆる車種に対し汎用で取り付け可能であり、エアコンの風の吹き出し口がどのように配置されていても、エアコンの風の吹き出し雑音等の影響を低減することができる。
【0044】
図3は、本発明の実施形態にかかる図2のレベル比較回路206の概略構成を示すブロック図である。レベル比較回路206は、内蔵マイク201,202,203に対応する同様の構成のレベル検出部301,307,308があるため、レベル検出部301のみ内部構成を示し、レベル検出部307,308の内部構成の図示および説明を省略する。
【0045】
レベル検出部301において、内蔵マイク201から供給される入力音声信号は、無音期間検出部302に入力される。無音期間検出部302は、入力音声信号を予め定められた時間毎のフレームに区切り、各フレームの音声信号の平均エネルギーを算出し、その絶対値および隣接フレーム間での変化度合いを、予め定められた閾値と比較して無音期間を判定する。
【0046】
周囲雑音信号検出部303は、無音期間検出部302の検出結果に基づき、入力音声信号の無音が検出された時間区間においてのみ、内蔵マイク201が音響空間から検出した周囲音声信号を取り込み、周囲雑音信号として検出する。周囲雑音レベル変化検出部304は、入力された周囲雑音信号のレベル変化を検出し、周囲雑音レベル変化として出力する。
【0047】
背景雑音レベル検出部305は、周囲雑音レベル変化検出部304から供給される周囲雑音レベル変化に基づいて、周囲雑音信号のレベル変化が小さいと判定された定常区間においてのみ、周囲雑音信号を取り込み、背景雑音レベルとしてレベル比較部306に出力する。レベル比較部306は、内蔵マイク201,202,203のそれぞれの無音期間の定常区間に検出された背景雑音レベルを比較し、最も雑音レベルが低い内蔵マイクに対応する識別情報をマイク選択回路204に出力する。
【0048】
このように本実施形態の音声選択装置によれば、ユーザの音声が発音されない無音期間を検出する無音期間検出部302を備え、無音期間における雑音レベルを比較するので、最も雑音の少ない内蔵マイクを正確に検出することができる。
【0049】
図4は、本発明の実施形態にかかるメディア機器の音量調整部分の概略構成を示すブロック図である。このメディア機器は、車両に搭載され、ユーザが発声する音声を音声認識して制御可能である。例えば、ユーザが「ボリューム」と発声し、次に「大きく」と発声すると、メディア機器の音量を大きくすることができる。
【0050】
音源401は、CDプレーヤまたはラジオ受信機等であり音声信号を出力する。ボリューム402は、音源401から出力される音声信号の音量ゲインを調整する。ボリューム402によりゲイン調整された音声信号は、パワーアンプ403により電力増幅される。パワーアンプ403により電力増幅された音声信号は、スピーカ404により音声に変換される。
【0051】
複数の内蔵マイク201,202,203は、車両内の異なる位置に配置され、音声を電気信号に変換する。レベル比較回路206は、複数の内蔵マイク201,202,203から出力される複数の電気信号に含まれる雑音レベルを比較し、最も雑音レベルの低い電気信号を識別する識別情報を生成する。レベル比較機制御回路205は、ユーザが内蔵マイク201,202,203を使用する場合にレベル比較回路206を起動する。マイク選択回路204は、レベル比較回路206から識別情報を受け取り、識別情報に対応する電気信号を選択する。
【0052】
音声認識部407は、マイク選択回路204から出力される音声に対して音声認識を行い、音声コマンドを認識して制御部405に供給する。制御部405は、音声コマンドに基づいて、メモリ406に記憶されているゲイン調整データを呼び出し、ボリューム402に音声コマンドに対応する音量ゲインを設定する。
【0053】
このように本実施形態のメディア機器によれば、複数の内蔵マイク201,202,203を配置することにより、エアコンの風の吹き出し口付近に配置された中でも最も雑音の少ない内蔵マイクを自動的に選択し、音声認識部407による音声認識を正確に行なうことができる。
【0054】
図5は、本発明の実施形態にかかるハンズフリー通話装置501の機能的構成を、携帯電話機502と共に示すブロック図である。本実施形態のハンズフリー通話装置501は、自動車等の車両に搭載される車載機器として構成され、車両を運転する運転者や同乗者が所有する携帯電話機502と所定の通信プロトコルに従って通信を行い、これらの携帯電話機502に対してハンズフリー通話を可能にする装置である。
【0055】
ハンズフリー通話装置501と携帯電話機502との間は、例えば、近距離無線通信の一つであるBluetooth(登録商標)を用いて、無線通信により音声信号の送受信を行うことができる。なお、近距離無線通信として無線LANを用いる構成としても良く、また、無線通信に限らず、有線通信であっても良い。
【0056】
携帯電話機502は、図示しない移動通信網を介して携帯端末キャリアを受信或いは送信して、他の携帯端末や固定電話と通話通信するものであり、内蔵スピーカや内蔵マイク、電話通信のための通信部、音声通信やデータ通信のための通信端子といった一般的な携帯電話機が有する構成を備える。さらに携帯電話機502は、ハンズフリー通話装置501と所定のプロトコルに従って近距離無線通信するための近距離無線通信用の通信モジュール(例えば、Bluetoothモジュール)を備えている。
【0057】
一方、ハンズフリー通話装置501は、図2に示した音声選択装置の構成要素である内蔵マイク201,202,203、レベル比較機制御回路205、レベル比較回路206、マイク選択回路204を備える。また、ハンズフリー通話装置501は、携帯電話機502との間で音声信号の送受を行う近距離無線通信部504と、マイク選択回路204から供給される雑音レベルの低い音声信号の入力を受ける音声信号入力部503と、携帯電話機502から受信した音声信号をスピーカ507に出力する音声信号出力部508と、これらの音声信号に対して音質を調整すべく信号処理を施す信号処理部505と、制御部506とを備えている。
【0058】
近距離無線通信部504は、制御部506の制御の下、車両内の携帯電話機502と所定の通信プロトコルに従って近距離無線通信を行うものである。近距離無線通信部504は、携帯電話機502に着信があった場合に送信される着信トリガ信号を受信して、制御部506に出力し、携帯電話機502から送信された受話音声(音声信号)を受信して、信号処理部505に出力するとともに、内蔵マイク201,202,203、マイク選択回路204、音声信号入力部503、信号処理部505を介して送話音声(音声信号)の入力を受け、この送話音声を携帯電話機502に送信するものである。例えば、所定の通信プロトコルとしてBluetoothプロトコルに従う場合、Bluetoothモジュールを用いて構成することができる。
【0059】
内蔵マイク201,202,203は、車両内の異なる位置に配置される据置型のマイクロフォンであり、無指向性の小型マイクを用いて構成される。内蔵マイク201,202,203では、話者(運転者や搭乗者等)が発話した音声をアナログの音声信号に変換して、マイク選択回路204に供給する。マイク選択回路204は、レベル比較回路206からの識別情報に基づいて最も雑音レベルの低い音声信号を音声信号入力部503に出力する。
【0060】
信号処理部505は、制御部506の制御の下、内蔵マイク201,202,203およびマイク選択回路204から音声信号入力部503を介して入力される音声信号、または携帯電話機502から近距離無線通信部504を介して入力される音声信号に対して、音質を所定の状態に調整するための信号処理を施すものである。
【0061】
制御部506は、CPU等を用いて構成され、記憶部に記憶された各種制御プログラム等に従って、携帯電話機502をハンズフリーで通話可能となるように上記各部を制御するものである。制御部506は、近距離無線通信部504を介して携帯電話機502から着信トリガ信号を受け取ると、携帯電話機502をハンズフリー通話状態とすべく、各種制御コマンドを近距離無線通信部504を介して携帯電話機502に送信する。さらに制御部506は、携帯電話機502に対して、携帯電話機502に内蔵されるスピーカからの音声出力および携帯電話機502に内蔵されるマイクからの音声入力を禁止すると共に、受話音声を近距離無線通信部504を介して送信させて、携帯電話機502の動作モードをハンズフリー通話モードに移行させる。
【0062】
また、制御部506は、携帯電話機502の動作モードをハンズフリー通話モードから単独使用可能な通常動作モードに移行させる際には、近距離無線通信部504を介して携帯電話機502に対して各種制御コマンドを送信し、携帯電話機502に内蔵されるスピーカの音声出力および携帯電話機502に内蔵されるマイクからの音声入力を許可する。
【0063】
このように本実施形態のハンズフリー通話装置によれば、複数の内蔵マイク201,202,203を配置することにより、エアコンの風の吹き出し口付近に配置された中でも最も雑音の少ない内蔵マイクを自動的に選択し、雑音の少ない音声でハンズフリー通話を行なうことができる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態にかかる音声選択装置並びにそれを使用したメディア機器およびハンズフリー通話装置によれば、異なる位置に配置された複数の内蔵マイクから出力される複数の電気信号のうち、最も雑音レベルの低い電気信号を選択するので、定められた車種専用ではなくあらゆる車種に対し汎用で取り付け可能であり、エアコンの風の吹き出し口がどのように配置されていても、エアコンの風の吹き出し雑音等の影響を低減することができる。
【0065】
なお、本発明は、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が様々な変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、定められた車種専用ではなくあらゆる車種に対し汎用で取り付け可能であり、エアコンの風の吹き出し口がどのように配置されていても、エアコンの風の吹き出し雑音等の影響を低減することができる音声選択装置並びにそれを使用したメディア機器およびハンズフリー通話装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0067】
101,103,106,107,112,113,601,603,605,606,610,611 エアコンの風の吹き出し口
102,108,111,602,607,609 メディア機器
104,105,109,110,114,115,201,202,203,604,608,612 内蔵マイク
204 マイク選択回路
205 レベル比較機制御回路
206 レベル比較回路
207 音声出力回路
301,307,308 レベル検出部
302 無音期間検出部
303 周囲雑音信号検出部
304 周囲雑音レベル変化検出部
305 背景雑音レベル検出部
306 レベル比較部
401 音源
402 ボリューム
403 パワーアンプ
404,507 スピーカ
405,506 制御部
406 メモリ
407 音声認識部
501 ハンズフリー通話装置
502 携帯電話機
503 音声信号入力部
504 近距離無線通信部
505 信号処理部
508 音声信号出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる位置に配置され、音声を電気信号に変換する複数のマイクと、
前記複数のマイクから出力される複数の電気信号に含まれる雑音レベルを比較し、最も雑音レベルの低い電気信号を識別する識別情報を生成するレベル比較回路と、
ユーザがマイクを使用する場合に前記レベル比較回路を起動するレベル比較機制御回路と、
前記レベル比較回路から前記識別情報を受け取り、前記識別情報に対応する電気信号を選択するマイク選択回路と、を備える音声選択装置。
【請求項2】
請求項1記載の音声選択装置であって、
前記複数のマイクは、エアコンの風の吹き出し口に近い位置に設置された第1のマイクと、
エアコンの風の吹き出し口から遠い位置に設置された第2のマイクとを含み、
前記レベル比較回路は、前記第1および第2のマイクから出力される電気信号に含まれるエアコンの風の吹き出しに起因する雑音成分を比較し、前記第2のマイクに対応する識別情報を生成する音声選択装置。
【請求項3】
請求項1記載の音声選択装置であって、
前記レベル比較機制御回路は、ユーザが通話を開始する場合に前記レベル比較回路を起動する音声選択装置。
【請求項4】
請求項3記載の音声選択装置であって、
前記レベル比較機制御回路は、ユーザが通話を終了する場合に前記レベル比較回路を停止する音声選択装置。
【請求項5】
請求項1記載の音声選択装置であって、
前記レベル比較機制御回路は、前記レベル比較回路が雑音レベルを比較するタイミングを設定する音声選択装置。
【請求項6】
請求項5記載の音声選択装置であって、
前記レベル比較機制御回路は、エアコンの風の吹き出し口付近における風向き及び風量を検出し、前記風向き及び風量が変化する場合に、前記レベル比較回路が雑音レベルを比較するように指令する音声選択装置。
【請求項7】
請求項1記載の音声選択装置であって、
前記レベル比較回路は、ユーザの音声が発音されない無音期間を検出する無音期間検出部を備え、
前記無音期間における雑音レベルを比較する音声選択装置。
【請求項8】
異なる位置に配置され、音声を電気信号に変換する複数のマイクと、
前記複数のマイクから出力される複数の電気信号に含まれる雑音レベルを比較し、最も雑音レベルの低い電気信号を識別する識別情報を生成するレベル比較回路と、
ユーザがマイクを使用する場合に前記レベル比較回路を起動するレベル比較機制御回路と、
前記レベル比較回路から前記識別情報を受け取り、前記識別情報に対応する電気信号を選択するマイク選択回路と、
前記マイク選択回路から出力される音声信号に対して音声認識を行ない、所定の音声に対応するコマンドを選択する音声認識部と、を備えるメディア機器。
【請求項9】
携帯電話端末とハンズフリー通話を行なうハンズフリー通話装置であって、
異なる位置に配置され、音声を電気信号に変換する複数のマイクと、
前記複数のマイクから出力される複数の電気信号に含まれる雑音レベルを比較し、最も雑音レベルの低い電気信号を識別する識別情報を生成するレベル比較回路と、
ユーザがマイクを使用する場合に前記レベル比較回路を起動するレベル比較機制御回路と、
前記レベル比較回路から前記識別情報を受け取り、前記識別情報に対応する電気信号を選択するマイク選択回路と、
所定の通信プロトコルに従い、前記マイク選択回路から出力される音声信号を前記携帯電話端末に送信するとともに、前記携帯電話端末から音声信号を受信する通信部と、
を備えるハンズフリー通話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−203122(P2012−203122A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66288(P2011−66288)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】