説明

音響光学デバイス

【課題】 相互作用効率を改善し、SAWを発生させるための駆動電力を抑制させることができるようにする。
【解決手段】 音響光学効果を有する基板11と、基板11に形成され、光を伝搬させるための互いにほぼ平行な第1,第2の光導波路13a−1,13a−2と、基板11上に形成され第1,第2の光導波路13a−1,13a−2の方向に沿った伝搬方向で伝搬する弾性表面波を生成するためのトランスデューサ15と、をそなえ、かつ、トランスデューサ15からの弾性表面波の基板11上の伝搬方向に垂直な方向についての強度を、第1,第2の光導波路13a−1,13a−2の各位置に応じた2箇所を極大とすべく分布せしめる弾性表面波分布構造13bをそなえるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信システムにおいて用いて好適の、音響光学デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
音響光学デバイスは、超音波を印加することで誘起する物質内の屈折率分布で光が回折するという、音響光学効果を利用したデバイスであって、例えばAOTF(Acousto-Optic Tunable Filter;音響光学波長可変フィルタ)がある。このAOTFは、WDM(Wavelength Division Multiplexing;波長多重)光通信システムにおけるOADM(Optical Add-Drop Multiplexer;光分岐挿入装置)のほか、光クロスコネクト,光スイッチまたは光変調等の用途への適用も期待されている。
【0003】
AOTFは、LiNbO3(ニオブ酸リチウム)基板(以下、単にLN基板という場合がある)等の圧電材料に作製された導波路中の光と、その上に印加されたSAW(Surface Acoustic Wave;弾性表面波)との相互作用である、音響光学効果によるTE−TMモード変換を用いた波長フィルタである。
図25は、一般的なAOTFの構成例について示す模式的上視図であり、このAOTF100は、LN基板101に、相互作用領域の前後段にそれぞれ形成された偏光ビームスプリッタ102,104をそなえるとともに、2本の光導波路103a−1,103a−2とその上に薄膜が形成されたSAWの導波路であるSAWガイド103bとからなる、上述の相互作用領域としてのモード変換部103が形成されている。そして、超音波信号を印加することでSAWガイド103bを伝搬させるSAWを生成しうる櫛型電極(IDT:Inter Digit Transducer)105が形成されている。
【0004】
このような構成のAOTF100においては、入力された光について、入力側の偏光ビームスプリッタ102においてTE光とTM光とに分離するとともに、櫛形電極105からのSAWにより、モード変換部103をなす光導波路103a−1,103a−2においてそれぞれ別々に特定の波長の光のみTE/TMモード変換を行なって、出力側の偏光ビームスプリッタ104において合波する。これにより、デバイス特性の偏光無依存化を実現している。
【0005】
ここで、図25に示すAOTF100のモード変換は、偏光無依存化を実現するため偏光成分に応じて別々の導波路103a−1,103a−2で行なうが、モード変換のためには、これらの導波路103a−1,103a−2に対しては同一特性のSAWを用いる必要がある。上述の図25に示すAOTF100においては、光導波路103a−1,103a−2に印加するSAWとしては、トランスデューサ105に印加される超音波に起因したSAWを共用している。
【0006】
なお、本願発明に関連する公知技術としては、以下に示す特許文献1に記載されたものもある。この特許文献1には、音響導波路をギャップによって分かつことにより、2つの音響導波路を方向性結合器として動作させる技術について記載されている。
【特許文献1】米国特許第5218653号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の図25に示すAOTF100においては、SAW伝播方向に対しての垂直方向のSAWの強度分布は、図26に示すように、光導波路103a−1,103a−2に挟まれた領域に単一の極大点Pを持つ波形となる。従って、トランスデューサ105に印加される超音波信号によって生成されるSAWの強度は、光導波路103a−1,103a−2近傍では比較的弱い部分を使用しなければならず、相互作用効率が良好であるとはいえず、SAWを発生させるための駆動電力を増大させてしまう、という課題がある。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、相互作用効率を改善し、SAWを発生させるための駆動電力を抑制させることができるようにした、音響光学デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本発明の音響光学デバイスは、音響光学効果を有する基板と、該基板に形成され、光を伝搬させるための互いにほぼ平行な第1および第2の光導波路と、該基板上に形成され、上記の第1および第2の光導波路の方向に沿った伝搬方向で伝搬する弾性表面波を生成するためのトランスデューサと、をそなえ、かつ、該トランスデューサからの上記弾性表面波の該基板上の伝搬方向に垂直な方向についての強度を、上記の第1および第2の光導波路の各位置に応じた2箇所を極大とすべく分布せしめる弾性表面波分布構造をそなえて構成されたことを特徴としている。
【0010】
また、好ましくは、該弾性表面波分布構造として、上記弾性表面波について、上記の第1および第2の光導波路が形成されている領域をそれぞれ含んだ第1および第2領域を伝搬する速度が、上記の第1および第2領域に挟まれた第3領域を伝搬する速度よりも低速となるように構成し、かつ、上記弾性表面波について、上記の第1および第2領域を伝搬する速度が、上記の第1および第2領域の両側領域を伝搬する速度よりも低速となるように構成することができる。
【0011】
また、該弾性表面波分布構造として、該トランスデューサが、上記第1領域に第1弾性表面波を伝搬させるための第1櫛歯電極対と、上記第2領域に第2弾性表面波を伝搬させるための第2櫛歯電極対と、をそなえて構成することができる。
さらに、少なくとも一つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、上記の第1および第2の光導波路に上記分離した光を出力しうる第1の偏波分離素子と、上記の第1の光導波路および第2の光導波路からの光を入力され、上記の第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、をそなえて構成することとしてもよい。
【0012】
さらに、本発明の音響光学デバイスは、音響光学効果を有する基板と、該基板上に形成され、光を伝搬させるための互いにほぼ平行な複数の光導波路と、該基板上に形成され、上記複数の光導波路の方向に沿った伝搬方向で伝搬する弾性表面波を生成するためのトランスデューサと、をそなえ、かつ、該トランスデューサからの上記弾性表面波の該基板上の伝搬方向に垂直な方向についての強度を、上記複数の光導波路の各位置に応じた箇所を極大とすべく分布せしめる弾性表面波分布構造をそなえて構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
このように、弾性表面波分布構造により、上記弾性表面波の該基板上の伝搬方向に垂直な方向についての強度を、上記の第1および第2の光導波路の各位置に応じた2箇所を極大とすべく分布せしめることができるので、相互作用効率を改善し、SAWを発生させるための駆動電力を抑制させることができ、消費電力の低減を図ることができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照することにより、本発明の実施の形態について詳述する。
〔A1〕第1実施形態の説明
図1は本発明の第1実施形態にかかる音響光学デバイスを示す模式的上視図であり、この図1に示す音響光学デバイス10は、LN基板等の音響光学効果を有する基板11をそなえるとともに、この基板11面には偏光ビームスプリッタ12,14および光導波路13a−1,13a−2が形成されるとともに、基板11上に、SAWガイド13bとともにトランスデューサ15が形成されている。尚、19はトランスデューサ15に対して電気信号を供給する電気信号源である。
【0015】
ここで、偏光ビームスプリッタ12は、音響光学デバイス10に設けられた2つの入力ポート10−1,10−2のうちの少なくとも一つの入力ポート10−1からの光を2つの偏波(例えばTE光およびTM光)に分離し、光導波路13a−1,13a−2に分離した光を出力しうる第1の偏波分離素子として機能する。この場合においては、入力ポート10−1からの光は、偏光ビームスプリッタ12においてTE光およびTM光に分離され、TE光は光導波路13a−2へ、TM光は光導波路13a−1へ、それぞれ出力されるようになっている。
【0016】
また、光導波路13a−1,13a−2は、チタン等を拡散させることによって形成されたもので、互いにほぼ平行な直線導波路をなす。そして、偏光ビームスプリッタ12で偏光分離された光をそれぞれ伝搬して、偏光ビームスプリッタ14へ出力するようになっている。
さらに、偏光ビームスプリッタ14は、光導波路13a−1,13a−2からの光を入力され、上記の第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して(偏波ごとに規定される出力方向へ分離して)出力する第2の偏波分離素子として機能するものである。具体的には、偏光ビームスプリッタ14においては、光導波路13a−1から入力されるTE光を、音響光学デバイス10に設けられた2つの出力ポート10−3,10−4のうちの出力ポート10−4へ出力する一方、光導波路13a−2から入力されるTM光を、出力ポート10−4へ出力することができるようになっている。同様に、光導波路13a−2から入力されるTE光を出力ポート10−3へ出力する一方、光導波路13a−1から入力されるTM光を出力ポート10−3へ出力することができるようになっている。
【0017】
トランスデューサ15は、光導波路13a−1,13a−2の方向に沿った伝搬方向で、光導波路13a−1,13a−2をそれぞれ含む領域である第1および第2領域17−1,17−2を均等な強度で伝搬する弾性表面波(SAW)を生成するためのものであり、互いに対向してかみ合わされるように配置された歯電極15a−1,15b−1および歯電極15a−1,15b−1の根元をなす根電極15a−2,15b−2をそれぞれそなえてなる櫛歯電極部15a,15bをそなえて構成されている。
【0018】
そして、この櫛歯電極部15a,15bに電気信号源19からの超音波周波数を持つ電圧信号を印加すると、後述する第1実施形態における特徴的なSAWガイド13bを通じてSAWが伝搬するようになっている。上述のSAWガイド13bを伝搬するSAWによって、光導波路13a−1,13a−2の屈折率分布が変化することにより、この光導波路13a−1,13a−2を伝搬する光のモードを切り替えることができるようになっている。
【0019】
たとえば、トランスデューサ15に印加する電圧信号により生成されSAWガイド13bを伝搬するSAWにより、光導波路13a−1を伝搬するTM光はTE光に、TE光はTM光に、それぞれモードを切り替えられるようになっている。同様に、光導波路13a−2を伝搬するTE光はTM光に、TM光はTE光に、それぞれモードを切り替えられるようになっている。
【0020】
図2は、図1に示す音響光学デバイス10についてのAA´矢視断面とともに、トランスデューサ15からの弾性表面波の、基板11上の伝搬方向に垂直な方向についての強度分布を示す図である。SAWガイド13bは、例えば図2に示すような薄膜13b−1〜13b−3が基板11上に形成されることで構成される。薄膜13b−1,13b−2はそれぞれ、基板11上における光導波路13a−1,13a−2が形成されている領域をそれぞれ含んだ第1および第2領域17−1,17−2に形成されて、これら第1および第2領域17−1,17−2に挟まれた第3領域17−3よりも、弾性表面波が伝搬する速度を低速とすることができるようになっている。
【0021】
また、薄膜13b−3は、上述の第3領域17−3に形成され、第1および第2領域17−1,17−2に形成される薄膜13b−1,13b−2よりも厚さの薄い薄膜13b−3が形成されている。尚、上述の薄膜13b−1〜13b−3としては、いずれも同質のものを用いることができ、好ましくは、LNよりもSAWの伝搬速度が遅い二酸化珪素にインジウムまたはスズがドープされたものを用いることができるが、その他、SAWの伝搬速度がLN基板よりも遅い物質として公知のものを用いた薄膜とすることもできる。
【0022】
一般的に、SAWの伝搬速度を決める要素は、基板11上に設けたSAWガイドとなる部分の物質の硬さと重さに影響される。即ち、SAWガイドが基板11よりも硬ければSAWの伝搬速度は相対的に速くなり、SAWガイドが基板11よりも軟らかければ、SAWの伝搬速度は相対的に遅くなる。又、基板11上に設けたSAWガイドとなる部分が軽ければSAWの伝搬速度は相対的に速くなり、SAWガイドとなる部分が重ければSAWの伝搬速度は相対的に遅くなる。
【0023】
この場合においては、薄膜13b−3の膜厚は、薄膜13b−1,13b−2よりも薄くなるように形成されているので、この薄膜13b−3の部分は、薄膜13b−1,13b−2の部分よりも軽くなるので、相対的にSAWの伝搬速度は薄膜13b−1,13b−2よりも速くなるのである。
したがって、SAWについて、光導波路13a−1,13a−2が形成されている領域をそれぞれ含んだ第1および第2領域17−1,17−2を伝搬する速度が、第1および第2領域17−1,17−2に挟まれた第3領域17−3を伝搬する速度よりも低速となるように構成され、かつ、SAWについて、第1および第2領域17−1,17−2を伝搬する速度が、第1および第2領域17−1,17−2の両側領域18−1,18−2(薄膜13b−1〜13b−3のごとき薄膜が形成されていない領域)を伝搬する速度よりも低速となるように構成されているのである。
【0024】
また、薄膜13b−1〜13b−3により、第1,第2領域17−1,17−2をSAWが伝搬する伝搬速度を、第3領域17−3での伝搬速度よりも低速にすることができるので、SAWを伝搬速度が低速な領域17−1,17−2に閉じ込める効果を生ぜしめ、図2に示すように、弾性表面波の強度分布を、光導波路13a−1,13a−2の各位置に応じた2箇所を極大とするように分布させることができる。換言すれば、上述の薄膜13b−1〜13b−3により、弾性表面波分布構造を構成する。
【0025】
換言すれば、SAWについての伝搬速度について、基板11上の伝搬方向に垂直な方向について速度差(即ち音速差)を設け、第1および第2領域17−1,17−2を伝搬する速度を、その周囲の領域17−3,18−1,18−2を伝搬する速度よりも低速とすることで、SAWの基板11上の伝搬方向に垂直な方向での強度を、第1および第2領域17−1,17−2において極大点が得られるように分布させることができるのである。
【0026】
上述の構成により、本発明の第1実施形態にかかる音響光学デバイス10では、偏光ビームスプリッタ12においてTE光およびTM光に分離された光は、光導波路13a−1又は光導波路13a−2を伝搬する。このとき、トランスデューサ15に印加される超音波周波数を有する電圧信号を印加することによって、TE光をTM光に変換したり、TM光をTE光に変換したりすることができる。
【0027】
たとえば、音響光学デバイス10をOADMとして適用する場合には、入力ポート10−1から入力された波長多重光について、出力ポート10−4から取り出すべき波長チャンネルの光についてのみ上述のモード変換がされるように、トランスデューサ15で印加する電圧信号の周波数を可変する。これにより、モード変換されなかった波長チャンネルの光については、出力ポート10−3を通じて出力するとともに、モード変換された波長チャンネルの光は、出力ポート10−4を通じてドロップさせることができる。
【0028】
このとき、薄膜13b−1〜13b−3からなるSAWガイド13bにより、弾性表面波の強度分布を、光導波路13a−1,13a−2の各位置に応じた2箇所を極大とするように分布させることができるので、光導波路13a−1,13a−2でモード変換に必要なSAWを、従来よりも低電圧の電圧信号をトランスデューサ15に供給すれば得られる。
【0029】
このように、本発明の第1実施形態にかかる音響光学デバイス10によれば、弾性表面波分布構造として、薄膜13b−1〜13b−3からなるSAWガイド13bをそなえたことにより、相互作用効率を改善し、SAWを発生させるための駆動電力を抑制させることができ、消費電力の低減を図ることができる利点がある。
〔A2〕第1実施形態の変形例の説明
図3,図4は本発明の第1実施形態の変形例にかかる音響光学デバイス10´を示す図であり、図3はその模式的上視図、図4は図3に示す音響光学デバイス10´についてのAA´矢視断面とともに、トランスデューサ15からの弾性表面波の、基板11上の伝搬方向に垂直な方向についての強度分布を示す図であって、第1実施形態における図2に対応する。尚、図3,図4中、図1,図2と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
【0030】
第1実施形態にかかる音響光学デバイス10は、SAWガイド13bをなす薄膜13b−1,13b−2が、光導波路13a−1,13a−2の形成位置を中心軸としてそれぞれ形成されているが、この図3,図4に示すように、SAWガイド13bをなす薄膜13b´−1,13b´−2を、光導波路13a−1,13a−2の位置から内側又は外側(この場合においては外側)にずれた位置を中心軸C1,C2に置いて形成することとしてもよい。換言すれば、SAWが光導波路13a−1,13a−2に効率的に供給されるような位置であれば、光導波路13a−1,13a−2の形成位置を中心とせずに薄膜13b´−1,13b´−2を形成してもよい。
【0031】
このようにしても、図6に示すように、SAWの強度分布が光導波路13a−1,13a−2に対応した位置に2つの極大点を形成せしめることができるので、上述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができる。
〔B1〕第2実施形態の説明
図5,図6は本発明の第2実施形態にかかる音響光学デバイス20を示す図であり、図5はその模式的上視図、図6は図5に示す音響光学デバイス20についてのAA´矢視断面とともに、トランスデューサ15からの弾性表面波の、基板11上の伝搬方向に垂直な方向についての強度分布を示す図であって、第1実施形態における図2に対応する。尚、図5,図6中、図1,図2と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
【0032】
第2実施形態にかかる音響光学デバイス20は、前述の第1実施形態の場合に比べて、光導波路13a−1,13a−2が形成されている領域を含む第1,第2領域17−1,17−2でのSAWの伝搬速度を、領域17−3,18−1,18−2での伝搬速度よりも低速として音速差を持たせている点は共通するが、第3領域17−3における構成が異なっている。
【0033】
このため、第2実施形態にかかる音響光学デバイス20は、前述の第1実施形態における音響光学デバイス10と同様に、SAWガイド(弾性表面波分布構造)23bとして薄膜13b−1,13b−2は形成されているものの、第3領域17−3には薄膜13b−3が形成されていない点は音響光学デバイス10とは異なる。
この場合においては、第3領域17−3でのSAWの伝搬速度は、基板10(即ちLN)における伝搬速度となるので、第1,第2領域17−1,17−2に形成された薄膜13b−1,13b−2での伝搬速度に比べれば高速となる。尚、第1,第2領域17−1,17−2の外側領域18−1,18−2についても、薄膜は形成されていないので、これらの領域18−1,18−2をSAWが伝搬する速度は、第3領域17−3と同様である。
【0034】
換言すれば、第2実施形態にかかる音響光学デバイス20においても、弾性表面波について、光導波路13a−1,13a−2が形成されている領域をそれぞれ含んだ第1および第2領域17−1,17−2を伝搬する速度が、第1および第2領域17−1,17−2に挟まれた第3領域17−3を伝搬する速度よりも低速となるように構成され、かつ、弾性表面波について、第1および第2領域17−1,17−2を伝搬する速度が、第1および第2領域17−1,17−2の両側領域18−1,18−2を伝搬する速度よりも低速となる。
【0035】
したがって、第2実施形態にかかる音響光学デバイス20においても、弾性表面波分布構造として、薄膜13b−1,13b−2が形成されていることにより、SAWの強度分布が光導波路13a−1,13a−2に対応した位置に2つの極大点を形成せしめることができるので、上述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができる。
〔B2〕第2実施形態の変形例の説明
図7,図8は本発明の第2実施形態の変形例にかかる音響光学デバイス20´を示す図であり、図7はその模式的上視図、図8は図7に示す音響光学デバイス20´についてのAA´矢視断面とともに、トランスデューサ15からの弾性表面波の、基板11上の伝搬方向に垂直な方向についての強度分布を示す図であって、第2実施形態における図6に対応する。尚、図7,図8中、図5,図6と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
【0036】
第2実施形態にかかる音響光学デバイス20は、SAWガイド23bをなす薄膜13b−1,13b−2が、光導波路13a−1,13a−2の形成位置を中心軸としてそれぞれ形成されているが、この図7,図8に示すように、SAWガイド23b´をなす薄膜13b´−1,13b´−2を、光導波路13a−1,13a−2の位置から内側又は外側(この場合においては外側)にずれた位置を中心軸C1,C2に置いて形成することとしてもよい。換言すれば、SAWが光導波路13a−1,13a−2に効率的に供給されるような位置であれば、光導波路13a−1,13a−2の形成位置を中心とせずに薄膜13b´−1,13b´−2を形成してもよい。
【0037】
このようにしても、図8に示すように、SAWの強度分布が光導波路13a−1,13a−2に対応した位置に2つの極大点を形成せしめることができるので、上述の第2実施形態の場合と同様の利点を得ることができる。
〔C1〕第3実施形態の説明
図9,図10は本発明の第3実施形態にかかる音響光学デバイス30を示す図であり、図9はその模式的上視図、図10は図9に示す音響光学デバイス30についてのAA´矢視断面とともに、トランスデューサ15からの弾性表面波の、基板11上の伝搬方向に垂直な方向についての強度分布を示す図であって、第1,第2実施形態における図2,図6に対応する。尚、図9,図10中、図1,図2と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
【0038】
第3実施形態にかかる音響光学デバイス30においても、前述の第1,第2実施形態の場合と同様、光導波路13a−1,13a−2が形成されている領域を含む第1,第2領域17−1,17−2でのSAWの伝搬速度を、領域17−3,18−1,18−2での伝搬速度よりも低速として音速差を持たせているが、第3領域17−3における薄膜構成は、前述の各実施形態の場合と異なっている。
【0039】
このため、第3実施形態にかかる音響光学デバイス30は、前述の第1,第2実施形態における音響光学デバイス10,20と同様に、SAWガイド(弾性表面波分布構造)33bとして薄膜13b−1,13b−2は形成されているが、第3領域17−3には、薄膜13b−1,13b−2とは材質の異なる薄膜33b−3が形成されている点は、音響光学デバイス10,20とは異なっている。
【0040】
すなわち、第1,第2領域17−1,17−2に形成する薄膜13b−1,13b−2の材質としては、基板材料であるLNよりも、SAWの伝搬速度の遅い物質、例えば二酸化珪素にインジウム又はスズがドープされたものを用いるが、第3領域17−3に形成する薄膜33b−3の材質としては、基板材料であるLNよりもSAWの伝搬速度の速い物質、例えばアルミ酸化物、特にAl23などを用いることができる。尚、SAWの伝搬速度がLN基板よりも速い物質として公知のものを用いた薄膜とすることもできる。
【0041】
これにより、薄膜13b−1,13b−2が形成されている領域17−1,17−2におけるSAWの伝搬速度と、薄膜13b−1,13b−2が形成される領域17−1,17−2に挟まれた領域17−3に形成されている薄膜33b−3におけるSAWの伝搬速度と、の間には前述の各実施形態の場合よりも大きな伝搬速度差(音速差)を持たせることができる。
【0042】
すなわち、上述のごときSAWの伝搬速度差を持たせているので、基板11上の伝搬方向に垂直な方向についてのSAWの強度分布としては、光導波路13a−1,13a−2に対応した位置に2つの極大点を形成せしめることができるほか、光導波路13a−1,13a−2にの中間部分(領域17−3の中心部分参照)での強度分布を、前述の各実施形態の場合よりも小さくすることができるので、上述の2つの極大点部分における強度分布を急峻にさせることができる。
【0043】
したがって、第3実施形態にかかる音響光学デバイス30においても、弾性表面波分布構造として、薄膜13b−1,13b−2,33b−3が形成されていることにより、SAWの強度分布が光導波路13a−1,13a−2に対応した位置に2つの極大点を形成せしめることができるので、上述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができるほか、2つの極大点部分における強度分布を急峻にさせることができ、伝搬する光とSAWとの相互作用効率をより向上させて、SAW発生のための駆動電力の低消費電力化をより大きく図ることができる。
【0044】
〔C2〕第3実施形態の変形例の説明
図11,図12は本発明の第3実施形態の変形例にかかる音響光学デバイス30´を示す図であり、図11はその模式的上視図、図12は図11に示す音響光学デバイス30´についてのAA´矢視断面とともに、トランスデューサ15からの弾性表面波の、基板11上の伝搬方向に垂直な方向についての強度分布を示す図であって、第3実施形態における図10に対応する。尚、図11,図12中、図9,図10と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
【0045】
第3実施形態にかかる音響光学デバイス30は、SAWガイド33bをなす薄膜13b−1,13b−2が、光導波路13a−1,13a−2の形成位置を中心軸としてそれぞれ形成されているが、この図11,図12に示すように、SAWガイド33b´をなす薄膜13b´−1,13b´−2を、光導波路13a−1,13a−2の位置から内側又は外側(この場合においては内側)にずれた位置を中心軸C1,C2に置いて形成することとしてもよい。換言すれば、SAWが光導波路13a−1,13a−2に効率的に供給されるような位置であれば、光導波路13a−1,13a−2の形成位置を中心とせずに薄膜13b´−1,13b´−2を形成してもよい。
【0046】
このようにしても、図12に示すように、SAWの強度分布が光導波路13a−1,13a−2に対応した位置に2つの極大点を形成せしめることができるので、上述の第3実施形態の場合と同様の利点を得ることができる。
〔D〕第4実施形態の説明
図13,図14は本発明の第4実施形態にかかる音響光学デバイス40を示す図であり、図13はその模式的上視図、図14は図13に示す音響光学デバイス40についてのAA´矢視断面とともに、トランスデューサ15からの弾性表面波の、基板11上の伝搬方向に垂直な方向についての強度分布を示す図であって、第1〜第3実施形態における図2,図6,図10に対応する。尚、図13,図14中、図1,図2と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
【0047】
第4実施形態にかかる音響光学デバイス40においても、前述の第1〜第3実施形態の場合と同様、光導波路13a−1,13a−2が形成されている領域を含む第1,第2領域17−1,17−2でのSAWの伝搬速度を、領域17−3,18−1,18−2での伝搬速度よりも低速として音速差を持たせているが、第1〜第3領域17−1,17−2に薄膜を設けずに、領域18−1,18−2,17−3にそれぞれ薄膜41,43,42を設けている点は、前述の各実施形態の場合と異なっている。
【0048】
換言すれば、音響光学デバイス40においては、SAWガイドとしては薄膜が形成されていない領域17−1,17−2の部分となる。
すなわち、第4実施形態にかかる音響光学デバイス40においては、光導波路13a−1,13a−2が形成されていない領域17−3,18−1,18−2に、基板11の材質であるLNよりもSAWの伝搬速度が低速な物質からなる薄膜42,41,43が形成されており、これにより、SAWの伝搬速度について、光導波路13a−1,13a−2が形成されている領域を含む第1,第2領域17−1,17−2でのSAWの伝搬速度を、薄膜41〜43が形成された領域18−1,18−2,17−3での伝搬速度よりも低速として音速差を持たせているのである。尚、LNよりもSAWの伝搬速度が低速な物質として、薄膜41〜43を形成するために用いられる物質としては、例えばアルミ酸化物、好ましくはAl23がある。
【0049】
また、領域17−3に形成されている薄膜42については、薄膜41,43よりも膜厚を薄くしており、これにより、前述の第1実施形態(図2参照)とほぼ同様の、SAWの伝搬速度分布を得ることができる。これにより、基板11上の伝搬方向に垂直な方向についてのSAWの強度分布としては、図14に示すように、光導波路13a−1,13a−2に対応した位置に2つの極大点を形成せしめることができる。
【0050】
なお、上述の薄膜42の膜厚として、薄膜41,43とほぼ同一の膜厚とすることで、前述の第2実施形態(図6参照)とほぼ同様のSAWの伝搬速度分布を得ることもできる。
このように、第4実施形態にかかる音響光学デバイス40においても、弾性表面波分布構造として、薄膜41〜43が形成されていることにより、SAWの強度分布が光導波路13a−1,13a−2に対応した位置に2つの極大点を形成せしめることができるので、上述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができる。
【0051】
〔E〕第5実施形態の説明
図15,図16は本発明の第5実施形態にかかる音響光学デバイス50を示す図であり、図15はその模式的上視図、図16は図15に示す音響光学デバイス50についてのAA´矢視断面とともに、トランスデューサ15からの弾性表面波の、基板11上の伝搬方向に垂直な方向についての強度分布を示す図であって、第1〜第4実施形態における図2,図6,図10,図14に対応する。尚、図15,図16中、図1,図2と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
【0052】
第5実施形態にかかる音響光学デバイス50においても、前述の第1〜第4実施形態の場合と同様、光導波路13a−1,13a−2が形成されている領域を含む第1,第2領域17−1,17−2でのSAWの伝搬速度を、領域17−3,18−1,18−2での伝搬速度よりも低速として音速差を持たせているが、第1〜第3領域17−1,17−2に薄膜を設けずに、領域18−1,18−2,17−3にそれぞれ拡散領域51,53,52を設けている点は、前述の各実施形態の場合と異なっている。
【0053】
換言すれば、音響光学デバイス50においては、SAWガイドとしては薄膜が形成されていない領域17−1,17−2の部分となる。
すなわち、第5実施形態にかかる音響光学デバイス50においては、光導波路13a−1,13a−2が形成されていない領域17−3,18−1,18−2を、拡散領域52,51,53として基板11の材質であるLNよりもSAWの伝搬速度が低速となるように、拡散物質が拡散されるようになっており、これにより、SAWの伝搬速度について、光導波路13a−1,13a−2が形成されている領域を含む第1,第2領域17−1,17−2でのSAWの伝搬速度を、拡散領域51,53,52をなす領域18−1,18−2,17−3での伝搬速度よりも低速として音速差を持たせているのである。尚、LNよりもSAWの伝搬速度を低速とする拡散領域を形成する物質として、チタンがある。
【0054】
このように、第5実施形態にかかる音響光学デバイス50においても、弾性表面波分布構造として、拡散領域51〜53が形成されていることにより、SAWの強度分布が光導波路13a−1,13a−2に対応した位置に2つの極大点を形成せしめることができるので、上述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができる。
〔F〕第6実施形態の説明
図17,図18は本発明の第6実施形態にかかる音響光学デバイス60を示す図であり、図17はその模式的上視図、図18は図17に示す音響光学デバイス60についてのIDT電極63の構成に着目した模式的上視図である。
【0055】
第6実施形態にかかる音響光学デバイス60においても、前述の第1〜第5実施形態の場合と同様、基板11上の伝搬方向に垂直な方向についてのSAWの強度分布について、光導波路13a−1,13a−2が形成されている箇所に対応する2箇所を極大点とするように分布させるものであるが、トランスデューサとしてのIDT電極63の構成は、前述の各実施形態の場合と異なっている。
【0056】
なお、IDT電極63以外の構成としては、前述の第2実施形態におけるSAWガイド23bを有するものと同様の構成を有しているが、IDT電極63以外の構成については、その他の第1,第3〜第5実施形態と同様の構成を適用することもできる。第6実施形態にかかる音響光学デバイス60においては、第1,第2領域17−1,17−2に薄膜13b−1,13b−2がそれぞれ形成されるとともに、領域17−3,18−1,18−2には特にSAWの伝搬速度調整のための薄膜を設けていない。尚、図17,図18中、図5,図6と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
【0057】
ここで、IDT電極63は、光導波路13a−1,13a−2の両側を連絡するように一体に形成された根電極61とともに、光導波路13a−1,13a−2間に挟まれた箇所に形成された根電極62をそなえ、かつ、根電極61と、それぞれ光導波路13a−1,13a−2に掛かる櫛歯電極61a,61bとが一体に形成されるとともに、根電極62と、それぞれ光導波路13a−1,13a−2に掛かる櫛歯電極62a,62bとが一体に形成されている。
【0058】
また、光導波路13a−1に掛かる櫛歯電極61a,62aは、この光導波路13a−1を含む第1領域17−1を伝搬するSAWを生成するためのもので、光導波路13a−2に掛かる櫛歯電極61b,62bは、光導波路13a−2を含む第2領域17−2を伝搬するSAWを生成するためのものである。ここで、上述の櫛歯電極61a,62aの配列パターンと櫛歯電極61b、62bの配列パターンとを同一としているので、それぞれの領域17−1,17−2を伝搬するSAWの位相を同位相とすることができるようになっている。
【0059】
そして、上述の根電極61,62を通じて図示しない電気信号源からの超音波周波数を有する電気信号が供給され、これらの根電極61,62に接続された櫛歯電極61a,62aにより領域17−1を伝搬するSAW(第1弾性表面波)を生成するとともに、同様に根電極61,62に接続された櫛歯電極61b,62bにより領域17−2を伝搬するSAW(第2弾性表面波)を生成することができる。
【0060】
これにより、この図17,図18に示す、基板11上の伝搬方向に垂直な方向についてのSAW強度分布Bに示すように、櫛歯電極61a,62aに印加される電気信号によって光導波路13a−1の形成箇所に対応した箇所を極大点とすることができる一方、櫛歯電極61b,62bに印加される電気信号によって光導波路13a−2の形成箇所に対応した箇所を極大点とすることができる。
【0061】
換言すれば、上述の根電極61,62および櫛歯電極61a,62aにより、第1領域17−1に第1弾性表面波を伝搬させるための第1櫛歯電極対として構成されるとともに、根電極61,62および櫛歯電極61b,62bにより、第2領域17−2に第2弾性表面波を伝搬させるための第2櫛歯電極対として構成される。又、上述のIDT電極63の構成により、弾性表面波分布構造をなす。
【0062】
上述の構成により、第6実施形態にかかる音響光学デバイス60においては、偏光ビームスプリッタ12においてTE光およびTM光に分離された光は、光導波路13a−1又は光導波路13a−2を伝搬する。このとき、IDT電極63に印加される超音波周波数を有する電圧信号を印加することによって、TE光をTM光に変換したり、TM光をTE光に変換したりすることができる。
【0063】
このとき、IDT電極63の根電極61,62および櫛歯電極61a,62aに印加される電気信号により生成される弾性表面波の強度分布を、光導波路13a−1の位置に応じた箇所を極大とするように分布させることができる。又、IDT電極63の根電極61,62および櫛歯電極61b,62bに印加される電気信号により生成される弾性表面波の強度分布を、光導波路13a−2の位置に応じた箇所を極大とするように分布させることができる。従って、光導波路13a−1,13a−2でモード変換に必要なSAWを、従来よりも低電圧の電圧信号をIDT電極63に供給すれば得られる。
【0064】
このように、第6実施形態にかかる音響光学デバイス60においても、弾性表面波分布構造として、トランスデューサとしてのIDT電極63が形成されていることにより、SAWの強度分布が光導波路13a−1,13a−2に対応した位置に2つの極大点を形成せしめることができるので、上述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができるほか、前述の各実施形態におけるSAWガイドの構成との組み合わせにより、2つの極大点部分における強度分布をより急峻にさせて、伝搬する光とSAWとの相互作用効率をより向上させて、SAW発生のための駆動電力の低消費電力化をより大きく図ることが期待できる。
【0065】
〔G1〕第7実施形態の説明
図19〜図22は本発明の第7実施形態にかかる音響光学デバイス70を示す図であり、図19はその模式的上視図、図20は図19に示す音響光学デバイス70についてのAA´矢視断面とともに、IDT電極73からの弾性表面波の、基板11上の伝搬方向に垂直な方向についての強度分布を示す図であって、第1〜第5実施形態における図2,図6,図10,図14,図16に対応する。図21,図22は図19に示す音響光学デバイス70についてのIDT電極73の構成に着目した模式的上視図である。
【0066】
第7実施形態にかかる音響光学デバイス70においても、前述の第6実施形態の場合と同様、トランスデューサとしてのIDT電極63の構成により、基板11上の伝搬方向に垂直な方向についてのSAWの強度分布について、光導波路13a−1,13a−2が形成されている箇所に対応する2箇所を極大点とするように分布させるものである点は共通するが、IDT電極73の構成が第6実施形態の場合と異なっている。
【0067】
なお、IDT電極73以外の構成としては、前述の第2実施形態におけるSAWガイド23bを有するものと同様の構成を有しているが、IDT電極73以外の構成については、その他の第1,第3〜第5実施形態と同様の構成を適用することもできる。第6実施形態にかかる音響光学デバイス70においては、第1,第2領域17−1,17−2に薄膜13b−1,13b−2がそれぞれ形成されるとともに、領域17−3,18−1,18−2には特にSAWの伝搬速度調整のための薄膜を設けていない。尚、図19〜図22中、図5,図6と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
【0068】
ここで、IDT電極73は、光導波路13a−1,13a−2の両側を連絡するように一体に形成された根電極71とともに、光導波路13a−1,13a−2間に挟まれた箇所に形成された根電極72をそなえ、かつ、根電極71と、それぞれ光導波路13a−1,13a−2に掛かる櫛歯電極71a,71bとが一体に形成されるとともに、根電極72と、それぞれ光導波路13a−1,13a−2に掛かる櫛歯電極72a,72bとが一体に形成されている。
【0069】
また、光導波路13a−1に掛かる櫛歯電極71a,72aは、この光導波路13a−1を含む第1領域17−1を伝搬するSAWを生成するためのもので、光導波路13a−2に掛かる櫛歯電極71b,72bは、光導波路13a−2を含む第2領域17−2を伝搬するSAWを生成するためのものである。ここで、図21,図22に示すように、上述の櫛歯電極71a,72aの配列パターンと櫛歯電極71b、72bの配列パターンとを互いに逆配列パターンとしているので、それぞれの領域17−1,17−2を伝搬するSAWの位相を互いに逆相とすることができるようになっている。
【0070】
これにより、IDT電極73をなす根電極71を正電極とする一方、根電極72を負電極として電気信号を印加するとSAWが発生(励振)するが、このSAWについての基板11上の伝搬方向に垂直な方向の振幅DPは、図19〜図21に示すように高次モードの振幅形状となる。このとき、基板11上の伝搬方向に垂直な方向でのSAWの強度分布DIとしては、図20に示すように、櫛歯電極71a,72aに印加される電気信号によって光導波路13a−1の形成箇所に対応した箇所を極大点とすることができる一方、櫛歯電極71b,72bに印加される電気信号によって光導波路13a−2の形成箇所に対応した箇所を極大点とすることができる。
【0071】
換言すれば、上述の根電極71,72を通じて図示しない電気信号源からの超音波周波数を有する電気信号が供給され、これらの根電極71,72に接続された櫛歯電極71a,72aにより領域17−1を伝搬するSAW(第1弾性表面波)を生成するとともに、同様に根電極71,72に接続された櫛歯電極71b,72bにより領域17−2を伝搬するSAW(第2弾性表面波)を生成することができる。
【0072】
すなわち、上述の根電極71,72および櫛歯電極71a,72aにより、第1領域17−1に第1弾性表面波を伝搬させるための第1櫛歯電極対として構成されるとともに、根電極71,72および櫛歯電極71b,72bにより、第2領域17−2に第2弾性表面波を伝搬させるための第2櫛歯電極対として構成される。又、上述のIDT電極73の構成により、弾性表面波分布構造をなす。
【0073】
上述の構成により、第7実施形態にかかる音響光学デバイス70においては、偏光ビームスプリッタ12においてTE光およびTM光に分離された光は、光導波路13a−1又は光導波路13a−2を伝搬する。このとき、IDT電極73に印加される超音波周波数を有する電圧信号を印加することによって、TE光をTM光に変換したり、TM光をTE光に変換したりすることができる。
【0074】
このとき、IDT電極73の根電極71,72および櫛歯電極71a,72aに印加される電気信号により生成される弾性表面波の強度分布を、光導波路13a−1の位置に応じた箇所を極大とするように分布させることができる。又、IDT電極73の根電極71,72および櫛歯電極71b,72bに印加される電気信号により生成される弾性表面波の強度分布を、光導波路13a−2の位置に応じた箇所を極大とするように分布させることができる。従って、従来よりも低電圧の電圧信号をIDT電極73に供給したとしても、光導波路13a−1,13a−2でモード変換に必要なSAWを得ることができる。
【0075】
このように、第7実施形態にかかる音響光学デバイス70においても、弾性表面波分布構造として、トランスデューサとしてのIDT電極73が形成されていることにより、SAWの強度分布が光導波路13a−1,13a−2に対応した位置に2つの極大点を形成せしめることができるので、上述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができるほか、前述の各実施形態におけるSAWガイドの構成との組み合わせにより、2つの極大点部分における強度分布をより急峻にさせて、伝搬する光とSAWとの相互作用効率をより向上させて、SAW発生のための駆動電力の低消費電力化をより大きく図ることが期待できる。
【0076】
〔G2〕第7実施形態の変形例の説明
図23,図24は本発明の第7実施形態の変形例にかかる音響光学デバイス70´を示す図であり、図23はその要部に着目した模式的上視図、図24は図23に示す音響光学デバイス70´についてのIDT電極84の構成に着目した模式的上視図である。
第7実施形態にかかる音響光学デバイス70においては、櫛歯電極71a,72aおよび櫛歯電極71b,72bの配列パターンを互いに逆配列パターンとすることにより、発生するSAWを高次モードとしているが、例えば図23,図24に示すようなIDT電極84とともに、図23に示すような電気信号源85および位相シフタ86をそなえることにより、同様の高次モードのSAWを発生させることもできる。尚、図23,24中、図21,図22と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
【0077】
ここで、第7実施形態の変形例にかかる音響光学デバイス70´においては、光導波路13a−1,13a−2の基板11面の外側にそれぞれ形成された根電極81,83とともに、光導波路13a−1,13a−2間に挟まれた箇所に形成された根電極82をそなえ、かつ、根電極81,83には、それぞれ、光導波路13a−1,13a−2に掛かる櫛歯電極81a,83aが接続されるとともに、根電極82には、それぞれ光導波路13a−1,13a−2に掛かる櫛歯電極82a,82bが接続されている。
【0078】
また、光導波路13a−1に掛かる櫛歯電極81a,82aは、この光導波路13a−1を含む第1領域17−1を伝搬するSAW(第1弾性表面波)を生成するためのもので、光導波路13a−2に掛かる櫛歯電極82b,83aは、光導波路13a−2を含む第2領域17−2を伝搬するSAW(第2弾性表面波)を生成するためのものである。即ち、図24に示すように、根電極81,83を正電極とするとともに、根電極82を負電極として、後述の電気信号源85からの電気信号を印加することにより、光導波路13a−1,13a−2を伝搬する光に作用を及ぼすSAWを生成することができるようになっている。
【0079】
換言すれば、上述の根電極81,82および櫛歯電極81a,82aは、第1領域17−1に第1弾性表面波を伝搬させるための第1櫛歯電極対として構成され、根電極82,83および櫛歯電極82b,83aは、第2領域に第2弾性表面波を伝搬させるための第2櫛歯電極対として構成される。尚、図23,図24に示すように、櫛歯電極81a,82aの配列パターンと櫛歯電極82b、83aの配列パターンとは、同配列パターンとしている。
【0080】
また、電気信号源85は、トランスデューサとしてのIDT電極84に対して印加するための(超音波周波数を有する)電気信号を生成しうるものである。この電気信号源85で生成される電気信号は、根電極83を通じて櫛歯電極83aに供給されるとともに、位相シフタ86に供給されるようになっている。
位相シフタ86は、電気信号源85から第1および第2櫛歯電極対に印加される電気信号を互いに逆相とするためのものである。即ち、位相シフタ86は、電気信号源85からの超音波周波数を有する電気信号の位相を反転するもので、位相が反転された電気信号については根電極81を通じて櫛歯電極81aに供給されるようになっている。従って、根電極81,83を通じて、櫛歯電極81a,83aにそれぞれ供給される電気信号は、互いに逆相の関係を有することとなる。
【0081】
これにより、IDT電極84をなす根電極81,83に互いに逆相の電気信号を印加するとSAWが生成されるが、このSAWについての基板11上の伝搬方向に垂直な方向の振幅DPは、前述の図20と同様の高次モードの振幅形状となる。このとき、基板11上の伝搬方向に垂直な方向でのSAWの強度分布DIについても、櫛歯電極81a,82aに印加される電気信号によって光導波路13a−1の形成箇所に対応した箇所を極大点とすることができる一方、櫛歯電極82b,83aに印加される電気信号によって光導波路13a−2の形成箇所に対応した箇所を極大点とすることができる。
【0082】
すなわち、第7実施形態の変形例にかかる音響光学デバイス70´においては、弾性表面波分布構造として、同配列パターンの81a,82aおよび櫛歯電極82b,83aを有するIDT電極84をそなえるとともに、電気信号源85および位相シフタ86をそなえて構成されている。
したがって、第7実施形態の変形例にかかる音響光学デバイス70´においても、弾性表面波分布構造として、トランスデューサとしてのIDT電極84が形成されていることにより、SAWの強度分布が光導波路13a−1,13a−2に対応した位置に2つの極大点を形成せしめることができるので、上述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができるほか、前述の各実施形態におけるSAWガイドの構成との組み合わせにより、2つの極大点部分における強度分布をより急峻にさせて、伝搬する光とSAWとの相互作用効率をより向上させて、SAW発生のための駆動電力の低消費電力化をより大きく図ることが期待できる。
【0083】
〔H〕その他
上述した実施形態にかかわらず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
たとえば、上述の第1〜第5実施形態においては、光導波路13a−1,13a−2を伝搬する光に作用するSAWの伝搬速度を、領域17−1,17−2において周囲よりも相対的に遅くするために、基板11に薄膜を形成したり、拡散領域を形成したりしているが、本発明によればこれに限定されず、例えば薄膜や拡散領域を併用することとしてもよい。
【0084】
また、上述の第1〜第5実施形態においては、トランスデューサ15の代わりとして、第6、第7実施形態にかかる弾性表面波分布構造である、IDT電極63,73又は84をそなえて構成することとしてもよい。このようにすれば、SAW発生のために要する駆動電力の低消費電力化をより大きく図ることが期待できる。
さらに、上述の各実施形態においては、光導波路としては2本の光導波路が形成されているデバイスについて詳述しているが、本発明によればこれに限定されず、2本以上の光導波路が基板上に形成されている場合においても、弾性表面波分布構造として、トランスデューサからの弾性表面波の基板上の伝搬方向に垂直な方向についての強度を、光導波路の各位置に応じた箇所を極大とすべく分布せしめるようにすることが可能である。
【0085】
また、上述した実施形態により、本発明の装置を製造することは可能である。
〔I〕付記
(付記1) 音響光学効果を有する基板と、
該基板に形成され、光を伝搬させるための互いにほぼ平行な第1および第2の光導波路と、
該基板上に形成され、上記の第1および第2の光導波路の方向に沿った伝搬方向で伝搬する弾性表面波を生成するためのトランスデューサと、をそなえ、
かつ、上記弾性表面波の該基板上の伝搬方向に垂直な方向についての強度を、上記の第1および第2の光導波路の各位置に応じた2箇所を極大とすべく分布せしめる弾性表面波分布構造をそなえて構成されたことを特徴とする、音響光学デバイス。
【0086】
(付記2) 該弾性表面波分布構造として、
上記弾性表面波について、上記の第1および第2の光導波路が形成されている領域をそれぞれ含んだ第1および第2領域を伝搬する速度が、上記の第1および第2領域に挟まれた第3領域を伝搬する速度よりも低速となるように構成され、
かつ、上記弾性表面波について、上記の第1および第2領域を伝搬する速度が、上記の第1および第2領域の両側領域を伝搬する速度よりも低速となるように構成されたことを特徴とする、付記1記載の音響光学デバイス。
【0087】
(付記3) 上記の第1および第2領域に、上記第3領域よりも上記弾性表面波が伝搬する速度を低速とするための薄膜がそれぞれ形成されたことを特徴とする、付記2記載の音響光学デバイス。
(付記4) 上記の第1および第2領域に形成される薄膜が、二酸化珪素にインジウムまたはスズがドープされて構成されていることを特徴とする、付記3記載の音響光学デバイス。
【0088】
(付記5) 上記第3領域に、二酸化珪素にインジウム又はスズがドープされた薄膜であって、上記の第1および第2領域に形成される薄膜よりも厚さの薄い薄膜が形成されたことを特徴とする、付記4記載の音響光学デバイス。
(付記6) 上記の第1および第2領域に形成される薄膜が、二酸化珪素にインジウムまたはスズがドープされて構成されるとともに、上記第3領域に、アルミ酸化物の薄膜が形成されたことを特徴とする、付記3記載の音響光学デバイス。
【0089】
(付記7) 上記の第1および第2領域に対する該基板面の両側領域に、それぞれ薄膜が形成されるとともに、上記第3領域に、上記両側領域に形成される薄膜よりも厚さの薄い薄膜が形成され、
かつ、該基板面の両側領域および上記第3領域に形成される薄膜が、上記弾性表面波の伝搬速度について該基板よりも速くなるように構成されたことを特徴とする、付記2記載の音響光学デバイス。
【0090】
(付記8) 上記第3領域とともに、上記の第1および第2領域に対する該基板面の両側領域を、それぞれ拡散領域として構成され、
かつ、該基板面の両側領域および上記第3領域における拡散領域が、上記弾性表面波の伝搬速度について該基板よりも速くなるように構成されたことを特徴とする、付記2記載の音響光学デバイス。
【0091】
(付記9) 該トランスデューサが、上記の第1および第2領域に対して、上記弾性表面波が均等に伝搬しうる位置に形成された櫛歯電極対により構成されたことを特徴とする、付記1〜8のいずれか1項記載の音響光学デバイス。
(付記10) 該トランスデューサに対して電気信号を印加するための電気信号源をそなえて構成されたことを特徴とする、付記1〜9のいずれか1項記載の音響光学デバイス。
【0092】
(付記11) 該弾性表面波分布構造として、
該トランスデューサが、上記第1領域に第1弾性表面波を伝搬させるための第1櫛歯電極対と、上記第2領域に第2弾性表面波を伝搬させるための第2櫛歯電極対と、
をそなえて構成されたことを特徴とする、付記1〜8のいずれか1項記載の音響光学デバイス。
【0093】
(付記12) 上記の第1および第2櫛歯電極対の電極パターンが、上記の第1および第2弾性表面波が互いに逆相となるように構成されたことを特徴とする、付記11記載の音響光学デバイス。
(付記13) 該トランスデューサに対して印加するための電気信号を生成しうる電気信号源をそなえるとともに、
該電気信号源から上記の第1および第2櫛歯電極対に印加される電気信号を互いに逆相とする位相シフタをそなえて構成されたことを特徴とする、付記11記載の音響光学デバイス。
【0094】
(付記14) 少なくとも一つの入力ポートからの光を2つの偏波に分離し、上記の第1および第2の光導波路に上記分離した光を出力しうる第1の偏波分離素子と、
上記の第1の光導波路および第2の光導波路からの光を入力され、上記の第1および第2の光導波路からの光を2つの偏波に分離して出力する第2の偏波分離素子と、
をそなえて構成されたことを特徴とする、付記1〜13のいずれか1項記載の音響光学デバイス。
【0095】
(付記15) 音響光学効果を有する基板と、
該基板上に形成され、光を伝搬させるための互いにほぼ平行な複数の光導波路と、
該基板上に形成され、上記複数の光導波路の方向に沿った伝搬方向で伝搬する弾性表面波を生成するためのトランスデューサと、をそなえ、
かつ、該トランスデューサからの上記弾性表面波の該基板上の伝搬方向に垂直な方向についての強度を、上記複数の光導波路の各位置に応じた箇所を極大とすべく分布せしめる弾性表面波分布構造をそなえて構成されたことを特徴とする、音響光学デバイス。
【0096】
(付記16) 音響光学効果を有する基板と、
該基板上に形成され、光を伝搬させるための互いにほぼ平行な複数の光導波路と、
該基板上に形成され、上記複数の光導波路の方向に沿った伝搬方向で伝搬する弾性表面波を生成するためのトランスデューサと、をそなえ、
かつ、該トランスデューサからの上記弾性表面波の該基板上の伝搬方向に垂直な方向についての振幅を高次モードとし、上記の第1および第2の光導波路の各位置に応じた2箇所を振幅の極大又は極小のいずれかに設定したことを特徴とする、音響光学デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる音響光学デバイスを示す模式的上視図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる音響光学デバイスの作用効果を説明するための図である。
【図3】本発明の第1実施形態の変形例にかかる音響光学デバイスを示す模式的上視図である。
【図4】本発明の第1実施形態の変形例にかかる音響光学デバイスの作用効果を説明するための図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる音響光学デバイスを示す模式的上視図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる音響光学デバイスの作用効果を説明するための図である。
【図7】本発明の第2実施形態の変形例にかかる音響光学デバイスを示す模式的上視図である。
【図8】本発明の第2実施形態の変形例にかかる音響光学デバイスの作用効果を説明するための図である。
【図9】本発明の第3実施形態にかかる音響光学デバイスを示す模式的上視図である。
【図10】本発明の第3実施形態にかかる音響光学デバイスの作用効果を説明するための図である。
【図11】本発明の第3実施形態の変形例にかかる音響光学デバイスを示す模式的上視図である。
【図12】本発明の第3実施形態の変形例にかかる音響光学デバイスの作用効果を説明するための図である。
【図13】本発明の第4実施形態にかかる音響光学デバイスを示す模式的上視図である。
【図14】本発明の第4実施形態にかかる音響光学デバイスの作用効果を説明するための図である。
【図15】本発明の第5実施形態にかかる音響光学デバイスを示す模式的上視図である。
【図16】本発明の第5実施形態にかかる音響光学デバイスの作用効果を説明するための図である。
【図17】本発明の第6実施形態にかかる音響光学デバイスを示す模式的上視図である。
【図18】本発明の第6実施形態にかかる音響光学デバイスの要部を示す模式的上視図である。
【図19】本発明の第7実施形態にかかる音響光学デバイスを示す模式的上視図である。
【図20】本発明の第7実施形態にかかる音響光学デバイスの作用効果を説明するための図である。
【図21】本発明の第7実施形態にかかる音響光学デバイスの要部を示す模式的上視図である。
【図22】本発明の第7実施形態にかかる音響光学デバイスの要部を示す模式的上視図である。
【図23】本発明の第7実施形態の変形例にかかる音響光学デバイスを示す模式的上視図である。
【図24】本発明の第7実施形態の変形例にかかる音響光学デバイスの要部を示す模式的上視図である。
【図25】一般的なAOTFの構成例について示す模式的上視図である。
【図26】図25に示すAOTFにおけるSAW伝播方向に対しての垂直方向のSAWの強度分布を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
10,10´,20,20´,30,30´,40,50,60,70,70´ 音響光学デバイス
10−1〜10−4 ポート
11 基板
12,14 偏光ビームスプリッタ
13a−1,13a−2 光導波路
13b,13b´,23b,23b´,33b,33b´ SAWガイド
13b−1〜13b−3,13b´−1〜13b´−3,33b−3,41〜43 薄膜
15 トランスデューサ
15a,15b 櫛歯電極部
15a−1,15b−1 歯電極
15a−2,15b−2 根電極
17−1〜17−3,18−1,18−2 領域
51〜53 拡散領域
61,62,71,72,81〜83 根電極
61a,61b,62a,62b,71a,71b,72a,72b,81a,82a,82b,83a 櫛歯電極
63,73,84 IDT電極
85 電気信号源
86 位相シフタ
100 AOTF
101 基板
102,104 偏光ビームスプリッタ
103a−1,103a−2 光導波路
103b SAWガイド
105 トランスデューサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響光学効果を有する基板と、
該基板に形成され、光を伝搬させるための互いにほぼ平行な第1および第2の光導波路と、
該基板上に形成され、上記の第1および第2の光導波路の方向に沿った伝搬方向で伝搬する弾性表面波を生成するためのトランスデューサと、をそなえ、
かつ、該トランスデューサからの上記弾性表面波の該基板上の伝搬方向に垂直な方向についての強度を、上記の第1および第2の光導波路の各位置に応じた2箇所を極大とすべく分布せしめる弾性表面波分布構造をそなえて構成されたことを特徴とする、音響光学デバイス。
【請求項2】
該弾性表面波分布構造として、
上記弾性表面波について、上記の第1および第2の光導波路が形成されている領域をそれぞれ含んだ第1および第2領域を伝搬する速度が、上記の第1および第2領域に挟まれた第3領域を伝搬する速度よりも低速となるように構成され、
かつ、上記弾性表面波について、上記の第1および第2領域を伝搬する速度が、上記の第1および第2領域の両側領域を伝搬する速度よりも低速となるように構成されたことを特徴とする、請求項1記載の音響光学デバイス。
【請求項3】
該弾性表面波分布構造として、
該トランスデューサが、上記第1領域に第1弾性表面波を伝搬させるための第1櫛歯電極対と、上記第2領域に第2弾性表面波を伝搬させるための第2櫛歯電極対と、
をそなえて構成されたことを特徴とする、請求項1又は2記載の音響光学デバイス。
【請求項4】
音響光学効果を有する基板と、
該基板上に形成され、光を伝搬させるための互いにほぼ平行な複数の光導波路と、
該基板上に形成され、上記複数の光導波路の方向に沿った伝搬方向で伝搬する弾性表面波を生成するためのトランスデューサと、をそなえ、
かつ、該トランスデューサからの上記弾性表面波の該基板上の伝搬方向に垂直な方向についての強度を、上記複数の光導波路の各位置に応じた箇所を極大とすべく分布せしめる弾性表面波分布構造をそなえて構成されたことを特徴とする、音響光学デバイス。
【請求項5】
音響光学効果を有する基板と、
該基板に形成され、光を伝搬させるための互いにほぼ平行な第1および第2の光導波路と、
該基板上に形成され、上記の第1および第2の光導波路の方向に沿った伝搬方向で伝搬する弾性表面波を生成するためのトランスデューサと、をそなえ、
かつ、該トランスデューサからの上記弾性表面波の該基板上の伝搬方向に垂直な方向についての振幅を高次モードとし、上記の第1および第2の光導波路の各位置に応じた2箇所を振幅の極大又は極小のいずれかに設定した、ことを特徴とする、音響光学デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2006−11008(P2006−11008A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187511(P2004−187511)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度、独立行政法人情報通信研究機構、「フォトニックネットワークに関する光アクセス網高速広帯域通信技術の研究開発」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】