説明

音響変換器を備えるセンサシステム

誘導方式で電力を供給され、音響テレメトリによりデータを送信する、医薬包装内の環境条件を判定するためのリモートセンサ。本発明は、さらに、センサからデータを受信するように構成することもできる電力供給装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、環境条件をセンシングするためのデバイスおよびシステムに関する。より具体的には、本発明は、密封医薬品包装の状態を判別し、中継するセンサシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末、錠剤、またはカプセルの形態の数回分の薬剤または医薬組成物用の密封ポケット、ブリスター・ストリップ、ディスク、およびパックなどの医薬包装は、当業界でよく知られている。乾燥粉末式吸入器技術において応用されているように、医薬包装(例えば、ブリスター・ストリップ)は、一般に、空洞、ポケット、または開いている「ブリスター」が医薬組成物(例えば、吸入可能乾燥粉末)を受け入れるように適合されているベースと、それぞれの空洞またはブリスターの開口部を囲む蓋と、および密封を行うために間に配置されている接着または結合層とを備える。さらに、吸入器などの医薬送達デバイスは、適切な回数分の乾燥粉末薬剤とともに予め包装されており、すぐに使用できる。
【0003】
さらに、医薬組成物、および特に、吸入式乾燥粉末は、高度の物理的安定性を維持するために密閉環境内に維持されなければならないことはよく知られている。空気動力学的直径サイズの特定の狭い範囲を有する粒子のみが、肺系統内の所望の場所に堆積する。例えば、喘息などの呼吸の病気の局所療法用の粒子は、2〜5μmの粒子サイズを有する。医薬包装内への湿気進入に関連している粒子間凝集は、粒径をこの範囲からずらす傾向を持ち、したがって、(複数の)粒子を肺の標的領域から離れた場所に堆積させる。
【0004】
本明細書で参照されている、空気力学または幾何学的尺度のいずれかでの粒子サイズは、粒子の有効粒径に関係する。有効粒径は、本体を構成するに至る個々の粒子の個数に関して区別せず本体の見かけの粒径を表す、つまり、所定の粒径の単一粒子とより細かい個々の粒子からなる同じ粒径の凝集体との区別はなされない。
【0005】
同様に、医薬組成物を高温に曝すと、医薬組成物の安定性、したがって効き目を損なう可能性があり、また多くの場合、そうなる。したがって、医薬組成物の物理的および化学的安定性が低下していないことを保証する為に、医薬組成物が曝される環境条件を詳しく監視することが重要である。
【0006】
医薬包装内部の環境条件の判定も、包装材料の性能を評価するうえで非常に重要である。多くの医薬品は、アルミニウム箔でオーバーラッピングされている。しかし、医薬品を保持する環境の安全性に対する、さまざまなオーバーラッピング材料の影響を評価する必要がある。
【0007】
医薬包装内部の環境条件を判定する最も直接的な手段は、単に材料に穴をあけ、所望のセンサを備えるプローブを挿入することである。当然ながら、この方法は、包装に小さな穴をあけると、内部条件が変わり、判定の精度が損なわれるため、特に望ましいわけではない。さらに、これは、包装を破壊し、環境条件を継続的に監視することを妨げる。
【0008】
これらの問題を解消するために、無傷の医薬包装内部の環境条件を監視する試みがなされてきた。さまざまな従来技術のリモートセンサが採用されている。しかし、後述のように、知られているセンサの大半は、医薬包装の「内部」で使用するのには適していない。例えば、米国特許第5,739,416号で開示されている湿度センサなどの表面弾性波デバイスは、センサとの直接的物理的接続を必要とする。医薬組成物を含むブリスター・パックは密封されているため、センサとの直接接続は実用的でない。
【0009】
他方、包装内に配置されていないセンサは、内部の条件を、特に湿度に関して、必ずしも正確に示さない。さらに、表面弾性波センサは、比較的高価であり、したがって、応用製品で使用しようにも費用効果がよくない。
【0010】
光ファイバーおよびレーザー・テレメトリセンサも、環境条件を監視するために採用されてきた。例示されているのは、米国特許第5,319,975号で開示されている光ファイバーベースの湿度センサである。しかし、この技術は、センサの正確な配向だけでなく、直接的な視覚によるやり取りを必要とする。
【0011】
1つまたは複数の環境条件の遠隔判定の他の方法は、磁気弾性ストリップまたはセンサの誘導共鳴振動を監視することである。この技術の基本的な実施例は、電子商品監視の分野にあり、磁場により磁気音響タグが励起され、次いで対応する機械的共鳴が検出される(例えば、米国特許第5,565,847号を参照)。
【0012】
この技術の外挿は、共鳴磁気弾性センサにより出力される音響または電磁信号を監視し、環境条件を判定することである。例えば、磁気弾性材料の共鳴周波数は、温度とともに変化することがよく知られている。また、質量変化湿度感知コーティングを磁気弾性材料に塗布することで、共鳴周波数が相対湿度とともに変化することもよく知られている。さまざまな従来のセンサシステムは、これらの知られている原理に大部分基づく。
【0013】
所望の1つまたは複数の条件に応じて変化する選択的コーティングを利用することにより、他の環境条件も判定することができる。例示されているのは、C. A. Grimes, A Remotely Interrogatable Magnetochemical pH Sensor, IEEE Transactions on Magnetics 33:5(1997), pp. 3412-3414において開示されているpHセンサである。より一般的なセンサは、米国特許第6,359,444号で説明されている。しかし、このようなデバイスは、それでも、変化に応答する適切なサイズの可変共鳴物品を環境条件にする必要があるため複雑なものとなる。例えば、12mm×24mmの磁気音響センサは、Jain, et al., Magnetoacoustic Remote Query Temperature and Humidity Sensors, Smart Mater. Struc. 9(2000), pp. 502-510で開示されている。
【0014】
当業者であれば理解するように、知られているセンサは、大きすぎて、ブリスター・パックおよび他の従来の医薬包装に入れることができない。さらに、このようなセンサは、サイズを縮小すると共鳴および交信周波数とともに生成された信号の振幅が実質的に変化するため、サイズの縮小は容易でない。さらに、Jain et al.により開示されている質量変化湿度感知材料は、小型のセンサ(つまり、磁気弾性ストリップ)とともに使用した場合に十分な質量変化を示さないため満足の行く結果が得られない。
【0015】
そのため、多くの場合、既存の医薬包装が備える制限された空間内に好適なセンサを組み込む際に著しい問題が存在する。実際、より小さい医薬包装では、内部空間が極めて制限されている。さらに大きな物品に関する場合も、包装内に余分な体積を組み込むことは望ましくない。さらに、包装材料自体も、外部とのセンサの通信を著しく複雑なものにする可能性がある。例えば、従来の無線周波数テレメトリを使用して、アルミメッキ包装の内側にあるセンサを読み取る試みが多数なされているが、包装による信号減衰のため、これまで失敗してきた。
【0016】
通信機能を持つリモートセンサの代替えは、後から取り出せるように単純に環境情報を格納しておく従来の電池式データロガーである。しかし、データロガーには、さまざまな欠点もある。従来のデータロガーは、大きすぎて、多くの種類の医薬包装に組み込むことができないことが著しい点である。例えば、吸入器のオーバーラッピング包装内には一般的に十分な余地がないため、データロガーを組み込むことができない。これは、データロガーを吸入器なしで包装内に入れなければならず、したがって、データロガーが標準的な吸入器生産ラインを通らないので吸入器の環境条件を正確に指示するのに依存できないことを意味する。さらに、データロガーを取り出すために破壊することなく包装内部の条件を監視することは可能でない。さらに、データロガーの故障は、数ヶ月を要することもある調査の終わりになるまで明らかでなく、適切な時期に対処することができない。データロガーは、さらに、動作のために電池を必要とし、データが取り出される前に故障している可能性のある他のコンポーネントを示し、電池自体の化学作用が環境条件に影響を及ぼしうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明の目的は、医薬包装内部の環境条件を判定する、効率が高く費用効果の高い手段を実現することである。
【0018】
本発明の他の目的は、医薬包装内部の少なくとも1つの、好ましくは複数の環境条件を判定するリモートセンサシステムおよび方法を実現することである。
【0019】
本発明の他の目的は、医薬包装内部の温度プロファイルを判定するリモートセンサシステムおよび方法を実現することである。
【0020】
本発明の他の目的は、医薬包装内部の湿度プロファイルを判定するリモートセンサシステムおよび方法を実現することである。
【0021】
本発明の他の目的は、環境条件を判定するためのリモートセンサシステムを実現し、少なくとも1つの環境条件を測定するように適合されたセンサデバイス、電力供給装置、受電装置、および音響変換器を備えるリモートセンサシステムを使用する方法を提示することである。
【0022】
本発明の他の目的は、変更されていない包装とともに使用することができるリモートセンサシステムおよび方法を実現することである。
【0023】
本発明の他の目的は、医薬送達デバイス内部に配置できるくらい十分に小さいリモートセンサシステムおよび方法を実現し、これにより、センスデータは、包装デバイスの環境条件を正確に表すことである。
【0024】
本発明の他の目的は、標準製造プロセスを調べるために標準包装ラインで使用することができるリモートセンサシステムおよび方法を実現することである。
【0025】
本発明の他の目的は、外部から電力の供給を受けることができるリモートセンサシステムおよび方法を実現することである。
【0026】
本発明の他の目的は、包装内の(複数の)環境条件に対する影響を最低限に抑えるリモートセンサシステムおよび方法を実現することである。
【0027】
本発明の他の目的は、監視中に包装の完全性を維持し、環境条件の正確な判定を継続的に行えるようにしつつ、データをやり取りするリモートセンサシステムおよび方法を実現することである。
【0028】
本発明の他の目的は、医薬包装を通してデータを効率的にやり取りするリモートセンサシステムおよび方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記の目的およびこれから述べ、以下で明らかになるであろう目的により、本発明は、医薬包装内部の環境条件をリモートセンシングするためのシステムおよび方法に関する。本発明の一実施形態では、本発明は、環境条件を測定することができるセンサ、誘導受電装置、および音響変換器を備え、センサは、誘導受電装置により電力を供給され、音響変換器と環境条件を表すデータをやり取りする。好ましくは、環境条件は、温度または湿度またはその両方を含む。また好ましくは、装置は、医薬包装内に組み込まれるか、または医薬送達デバイスに組み込まれるように構成される。
【0030】
本発明の他の実施形態では、環境条件を測定することができるセンサを有するリモートセンサ装置、誘導受電装置、音響変換器、送電装置を有する誘導電力供給装置、電流増幅器および信号発生器を備える、前記環境条件を判定するためのセンサシステムが実現される。送電装置は、受電装置と誘導結合するように構成される。センサは、誘導受電装置により電力を供給され、環境条件を表すデータを音響変換器とやり取りする。好ましくは、誘導電力供給装置は、約10〜20mmの範囲内の距離にわたってリモートセンサ装置と誘導結合するように構成される。
【0031】
好ましい一実施形態では、送電装置は、所定の動作距離において受電装置に少なくとも等しい直径を有する実質的に一様な電磁場を発生するテーパー付き部分を持つプラスチック製非導電形成器を備える。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態では、誘導電力供給装置は、電池式である。好ましくは、誘導電力供給装置は、例えば、約1℃よりも高くセンサ温度を上げることなくセンサを5回作動させることにより、センサの周囲の環境条件に著しい影響を及ぼさずリモートセンサ装置を動作させるように構成される。
【0033】
センサシステム実施形態では、リモートセンサ装置は、医薬包装内、または医薬送達デバイス内に配置されるように構成される。このような実施形態では、約1300mm3以下の体積を有するのが好ましい。
【0034】
他の態様では、本発明のセンサシステムは、さらに、音響変換器から入力を受け取るように構成されたマイクロホンも備える。センサシステムは、さらに、好ましくは、マイクロホンから出力を受け取り解釈するためのデータコントローラを備える携帯型読み取り装置を備える。より好ましくは、携帯型読み取り装置は、さらに、誘導電力供給装置も備える。
【0035】
本発明は、さらに、医薬包装内の環境条件を判定するための方法を含む。本発明の一実施形態では、この方法は、医薬包装内にリモートセンサ装置を密封する工程、電力供給装置を受電装置と誘導結合することによりリモートセンサ装置に電力を供給する工程と、センサで環境条件を測定する工程と、音声テレメトリによって環境データに対応するデータを送信する工程とを含む。好ましくは、この方法は、さらに、音声テレメトリを検出することにより送信データを受信する工程を含む。
【0036】
本発明は、さらに、環境条件を測定することができるセンサを持つセンサ装置と、誘導受電装置と、医薬包装内に密閉された音響変換器とを有する、前記医薬包装内の前記環境条件を判定するための包装アセンブリを備える。センサは、誘導受電装置により電力を供給され、環境条件を表すデータを音響変換器とやり取りする。好ましくは、センサは、温度または湿度またはその両方を測定することができる。
【0037】
本発明の他の態様では、包装アセンブリは、さらに、薬剤または医薬送達デバイスを備える。
【0038】
さらに他の特徴および利点は、付属の図面に例示されているように、本発明の好ましい実施形態の以下の、より具体的な説明から明らかになり、また同じの参照文字は、全般的に、図面全体を通して同じ部分または要素を指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明を詳しく説明する前に、本発明は、もちろん異なる場合もあるが、特に例示されているシステムまたはプロセスパラメータに限定されないことを理解されたい。本明細書で使用される用語は、本発明の特定の実施形態についてのみ説明するためのものであり、本発明の範囲をいかなる形でも制限することを意図していないことも理解されたい。
【0040】
上記または下記の本明細書で引用されているすべての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれの個別の刊行物、特許、または特許出願が特に、個別に、参照により組み込まれることを指示されているのと同じ範囲で参照により全体として組み込まれる。
【0041】
本明細書および付属の請求項で使用されているように、単数形「a」、「an」(1つの)、および「the」(その)は、文脈上他の選択を明確に示していない限り複数形の指示対象を含むことに留意されたい。そのため、例えば、「包装」という参照は、2つまたはそれ以上のこのような包装を含む。
【0042】
断りのない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明が関係している技術分野の当業者に通常理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で説明されているものと類似のまたは同等の多数の方法および材料が本発明を実施する際に使用することができるが、好ましい材料および方法が、本明細書で説明されている。
【0043】
本発明を説明する際に、以下の用語が使用され、後述のように定義されることが意図されている。
【0044】
本明細書で使用されているような「薬剤」という用語は、生命体(人または動物)に投与したときに、局所作用および/または全身作用による所望の薬理学的および/または生理学的効果を誘発する物質(つまり、化合物または組成物)を意味し、含むことが意図される。したがって、この用語は、活性剤、薬物、および生物活性剤とともに、典型的には疾病ならびに炎症および呼吸器疾患(例えば、喘息)を治療するために使用される生物医薬品(例えば、ペプチド、ホルモン、核酸、遺伝子構成物質など)として従来からみなされている物質を包含し、これらは、限定はしないが、鎮痛薬、例えば、コデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニール、またはモルヒネなど、狭心症製剤、例えば、ジルチアゼムなど、抗アレルギー薬、例えば、クロモグリク酸塩(例えば、ナトリウム塩として)、ケトチフェン、またはネドクロミル(例えば、ナトリウム塩として)など、抗感染薬、例えば、セファロスポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、サルファ剤、テトラサイクリン、およびペンタミジンなど、抗ヒスタミン剤、例えば、メタピリレンなど、抗炎症薬、例えば、ベクロメタゾン(例えば、二プロピオン酸エステルとして)、フルチカゾン(例えば、プロピオン酸エステルとして)、フルニソリド、ブデゾニド、ロフレポニド、モメタゾン(例えば、フロ酸エステルとして)、シクレソニド、トリアムシノロン(例えば、アセトニドとして)、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-チオカルボン酸S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3-イル)エステルまたは6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-チオカルボン酸S-フルオロメチルエステルなど、鎮咳薬、例えば、ノスカピンなど、気管支拡張薬、例えば、アルブテロール(例えば、遊離塩基または硫酸塩)、サルメテロール(例えば、キシナホ酸塩として)、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール(例えば、臭化水素酸塩として)、フォルモテロール(例えば、フマル酸塩として)、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール(例えば、酢酸塩として)、レプロテロール(例えば、塩酸塩として)、リミテロール、テルブタリン(例えば、硫酸塩として)、イソエタリン、ツロブテロール、または4-ヒドロキシ-7-[2-[[2-[[3-(2-フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル-2(3H)-ベンゾチアゾロンなど、PDE4阻害薬、例えば、シロミラストまたはロフルミラストなど、ロイコトリエン拮抗薬、例えば、モンテルカスト、プランルカスト、およびザフィルルカストなど、アデノシン2a作用薬、例えば、(2R,3R,4S,5R)-2-[6-アミノ-2-(1S-ヒドロキシメチル-2-フェニル-エチルアミノ)-プリン-9-イル]-5-(2-エチル-2H-テトラゾール-5-イル)-テトラヒドロ-フラン-3,4-ジオール(例えば、マレイン酸エステルとして)など、α4インテグリン阻害薬、例えば、(2S)-3-[4-({[4-(アミノカルボニル)-1-ピペリジニル]カルボニル}オキシ)フェニル]-2-[((2S)-4-メチル-2-{[2-(2-メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}ペンタノイル)アミノ]プロパン酸(例えば、遊離酸またはカリウム塩)]、利尿薬、例えば、アミロライドなど、抗コリン作用薬、例えば、イプラトロピウム(例えば、臭化物として)、チオトロピウム、アトロピン、またはオキシトロピウムなど、神経節興奮薬、例えば、ニコチンなど、ホルモン、例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロンなど、キサンチン、例えば、アミノフィリン、コリンテオフィリネート、リシンテオフィリネート、またはテオフィリンなど、治療用タンパク質およびペプチド、例えば、インスリンまたはグルカゴンなど、ワクチン、診断、および遺伝子療法を含む。知られている薬剤は、塩の形態で(例えば、アルカリ金属またはアミン塩として、または酸付加塩として)、またはエステル(例えば、低級アルキルエステル)として、または溶媒和物(例えば、水和物)として使用され、薬剤の活性および/または安定性を最適化することができる。
【0045】
「薬剤」という用語は、特に、アルブテロール、サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾン、およびジプロピオン酸ベクロメタゾン、およびそれらの塩または溶媒和物、例えば、アルブテロールの硫酸塩およびサルメテロールのキシナホ酸塩を含む。
【0046】
「薬剤」という用語は、さらに、限定はしないが、ベクロメタゾンエステル(例えば、二プロピオン酸塩)、フルチカゾンエステル(例えば、プロピオン酸塩)、フロ酸エステルまたはブデゾニドなどの抗炎症ステロイドと併用するサルブタモール(例えば、遊離塩基または硫酸塩として)またはサルメテロール(例えば、キシナホ酸塩として)またはフォルモテロール(例えば、フマル酸塩として)を含む、活性成分の組合せを含む製剤を含む。
【0047】
本明細書で使用されているような「薬物製剤」および「医薬組成物」という用語は、少なくとも1つの薬剤と「賦形剤」または「担体」などの1つまたは複数の付加的構成成分または要素の組合せを意味することが意図されている。当業者であれば理解するように、「賦形剤」および「担体」という用語は、一般に、非毒性であり、有害性をもたらす形で組成物の他の構成成分と相互作用しない実質的に不活性の物質を指す。通常使用される「賦形剤」の実施例は、単糖類、二糖類、シクロデキストリン、および多糖類(例えば、デキストロース、サッカロース、ラクトース、ラフィノース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、デキストリン、およびマルトデキストリン)、デンプン、セルロース、塩(例えば、リン酸ナトリウムまたはカルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム)、クエン酸、酒石酸、グリシン、ロイシン、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)、プルロニック類、界面活性剤、滑沢剤、ステアリン酸およびその塩またはエステル(例えば、ステアリン酸マグネシウム)、アミノ酸、脂肪酸、およびこれらの組合せを含む、医薬品グレードの炭水化物類を含む。
【0048】
知られている薬剤および賦形剤は、共沈もしくはコーティング、または当業界で知られている他の方法などにより、複合物質として調製することができるか、または薬剤および賦形剤粒子の粒子状混合物を形成するためにその後ブレンドされる別々に調製される個々の粒子のバッチから調製することができる。
【0049】
本明細書で使用されているような「医薬送達デバイス」という用語は、限定はしないが、米国特許第Des.342,994号、第5,590,654号、第5,860,419号、第5,837,630号、および第6,032,666号で開示されているDiskus(登録商標)デバイスを含む、患者に管理された量の組成物を投与するように適合されたデバイスを意味することが意図されている。「医薬送達デバイス」という用語は、さらに、米国特許第Des.299,066号、第4,627,432号、および第4,811,731号で開示されているDiskhaler(商標)デバイス、米国特許第4,778,054で開示されているRotahaler(商標)デバイス、NorvartisによるCyclohaler(商標)デバイス、Astra ZenecaによるTurbohaler(商標)デバイス、Schering PloughによるTwisthaler(商標)デバイス、Boehringer IngelheimによるHandihaler(商標)デバイス、Baker-NortonによるAirmax(商標)デバイス、およびDura and Inhaled Therapeutic活性送達システムを含む。知られている「医薬送達デバイス」はそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
本明細書で使用されているような「医薬包装」および「包装」という用語は、粉末、カプセル、または錠剤を含む、従来の形態の少なくとも1つの薬剤または医薬組成物を収めるように適合された少なくとも1つの密閉可能ポケット、空洞、またはブリスターを有する、従来の医薬封入システムおよび包装を意味することが意図されている。したがって、「医薬包装」および「包装」という用語は、限定はしないが、米国特許第6,032,666号、第6,155,423号、および第4,778,054号で開示されている医薬包装を含む、前述の「医薬送達デバイス」で使用される従来のブリスター・ストリップ、ディスク(例えば、Rotadisk(商標))、パック、シート、および個々の容器を含む。
【0051】
当業者であれば理解するように、本発明は、環境条件を監視するための従来のセンサシステムおよび方法に関連する不利点および欠点を実質的に低減または解消する。示されているように、本発明のセンサは、温度および湿度などの環境条件を測定するために電力を無線で受信し、次いで、環境条件を表すデータを医薬包装を通して無線で送信するように構成される。そのため、本発明のセンサおよび方法は、包装の完全性を損なわずに測定を実行することを可能にし、医薬包装または送達デバイス包装内に組み込めるほど十分に小さく、故障したり、または環境条件に影響を及ぼす可能性のある電池に依存せず、環境条件の継続的監視を可能にする。
【0052】
本発明の好ましい一実施形態では、誘導結合を使用して、医薬包装内の温度および湿度センサならびに関連する電子回路に電力を供給し、したがって電線または電池を接続する必要がない。誘導結合は、薬剤または医薬組成物、医薬送達デバイス、および包装特性に関して最適化される。センサは、誘導結合で電力を供給され、音波を使ってデータを送信することで包装完全性を維持し、包装の変更を避ける。音響データ送信は、さらに、信号干渉を最小限に抑える。
【0053】
次に、図1を参照すると、本発明により、センサ12およびコントローラ14がデバイス10の内部に取り付けられている医薬送達デバイス10が示されている。電線16および18は、誘導受電装置20と音響変換器22を接続するためのものである。デバイス10は、一般的に、所望の薬剤の吸入を容易にするためのマウスピース26およびサムホールド28を持つように構成されたハウジング24を備える。送達デバイス10の詳細は、米国特許第5,590,645号、第5,860,419号、第5,873,360号、第6,032,666号、第6,378,519号、および第6,536,427号で述べられており、参照により全体が本明細書に組み込まれている。
【0054】
次に図2を参照すると、センサシステムのいくつかのコンポーネントが示されている。図2に例示されているように、システムは、センサ12およびコントローラ14が配置されているプリント基板(PCB)30に接続された受電装置20および音響変換器22を備える。図3および4に例示されているように、受電装置20および音響変換器22は、好ましくは、標準のオーバーラップ包装と干渉せずにデバイス10の外側に貼り付けられる薄い平坦な部材を備える。
【0055】
それとは別に、図1に例示されているよう、PCB 30は、医薬送達デバイス10内に配置され、完全なブリスター・ストリップさえも備え、電線16および18が、ハウジング24を通り、受電装置20および音響変換器22まで伸びている。受電装置20および音響変換器22は、さらに、医薬送達デバイス10内に配置することもできる。図5の立面図に示されているように、誘導電力供給装置32は、センサ12、コントローラ14、および音響変換器22を動作させるために受電装置20に誘導結合されるように構成されている。
【0056】
図5を参照すると、電力供給装置32は、一般的に、電源34、スイッチ36、信号発生器38、電流増幅器40、および送電装置42を含む。この実施形態では、センサ12およびコントローラ14は、好ましくは、約20×13×5mm3(1300mm3)のサイズであり、これにより、センサ12およびコントローラ14をデバイス10内に入れることができる。
【0057】
次に、図6を参照すると、本発明のセンサシステムの好ましい回路を反映する回路図が示されており、ライン44は、医薬包装内に含まれる回路の部分の概略を表している。図6に明示されている好ましい電子コンポーネントの説明は、表Iに示されている。
【表1】

【0058】
図6を参照すると、U1は、好ましくはドロップアウト電圧が0.5v未満で、電流供給能力は少なくとも100mAである、電圧レギュレータを備えている。U2は、好ましくは容易に再プログラム可能で、サイズも小さいマイクロコントローラを備える。U3は、好ましくはドロップアウト電圧および零入力電流が非常に低く、コイルL1およびL2の最大距離間隔で動作させることができる別の電圧レギュレータを備える。U4は、電圧が低すぎてセンサが動作できない場合にマイクロコントローラが動作しないようにし、それにより、異常な結果が出ないようにするように適合されたリセットチップを備える。U5は、比較的大きなROMを持ちながら好ましくは小さなフォームファクタを有するマイクロコントローラを備える。U6は、本発明のセンサを備え、これは、温度および湿度などの所望の環境条件を測定することができる。センサは、好ましくは、低い電力要件を有し、サイズが小さく、高い精度を維持する。
【0059】
T1は、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を備え、VDSS≧90Vを示し、スイッチング時に消費電力を低減する非常に高速なスイッチングを行い、FETでスイッチオンしたときに消費電力および発熱を低減する非常に低いRDS(on)を有し、ロジックレベルで制御可能である。D2a/bおよびD3a/bは、好ましくは、極端に低いVFおよび高いVRを有し、最大コイル間隔で信頼性の高い動作をさせることができる。ツェナーダイオードD4は、好ましくは、コイル間隔が小さいときにU3の過負荷の発生を防止するように適合され、例えば、VIN(U3)MAX=10vである。
【0060】
L1およびL2は、送電装置42および受電装置20を備える。これらのコンポーネントの設計パラメータについて、以下で詳述する。
【0061】
C1は、給電を平滑化し、電池BAT1を逆電流から保護する蓄電コンデンサを備える。C2、C3、およびL1は、共振回路を備える。本発明によれば、T1がスイッチオフされると、C2、C3、およびL1において電流が回路の共振周波数で発振する。
【0062】
C4およびL2の共振周波数は、L1とL2との間の電力伝達を最大にするために、C2、C3、およびL1の共振周波数と同じか、またはほぼ同じになるように整えられる。C5は、電源電圧を調整する平滑コンデンサを備える。C5は、同様に、好ましくは、L1およびL2が非常に近いときにU3の過負荷を防止する。
【0063】
R4は、音響出力を信頼性の高いデータ通信に反しない最低レベルに制限し、さらに全体の電力要件を低減する電流制限抵抗器を備える。BAT1は、電源34を含む。
【0064】
好ましくは、CR123A型電池は、十分に高い容量を有し、比較的安価である。LS1は、適切な出力量を維持しつつ最小の厚さを好ましくは示す音響変換器22を備える。この実施形態では、円形形状により、図4に示されているように、デバイス10の側面に音響変換器を配置することができ、しかも医薬包装のオーバーラップと干渉しない。LS2は、音響変換器22から出力を受け取るように構成されたマイクロホンを備え、入力をPCまたは携帯型読み取り装置50に送る。
【0065】
この実施形態では、センサ12は、好ましくは、Sensirion SHTx5温度および相対湿度センサを備える。センサは、小型(〜〜7.5×5×2.5mm3)、高精度(±2%RH、±0.4℃)であり、シリアルおよびデータラインによるコントローラ14との比較的単純なインターフェイスを備え、すべての測定はセンサにより2値化される。
【0066】
相対湿度測定に影響を及ぼさないようにするために、発熱コンポーネントは、センサの近くに配置すべきではない。そのようなものとして、U3は、できる限りセンサ12から遠いところに配置され、センサの下の銅は、熱の良導体なので最小にすべきであり、センサの周りのPCB内にスロットを切り、主回路からの熱伝導を最小にしなければならない。
【0067】
PTFEベースのPCBは、標準(例えば、FR4)材料に比べてかなり低い吸湿率を有しているため、PCB 30は、好ましくは、デバイスの水分吸収率を下げるためにPTFEで作られる。本発明によれば、厚さ0.8mmのPCB基板を使用することができる。
【0068】
コントローラU5は、PIC12C672-04I/SMを備えることができ、これは、Arizona Microchip社製または好適な代替え品である。それぞれのセンサデバイスのU5は、さらに、それぞれのセンサ読み取り値とともに送信することができる一意的なシリアル番号を持つようにプログラムすることもできる。
【0069】
誘導電力供給装置は、接続線なしで電気回路に電力を供給するために一般的に使用される。しかし、本発明を実施するのに適している電力供給装置は、いくつかの特徴を有する。実施形態および医薬包装の種類に応じて、受電装置20と送電装置42との間の離間距離は、最大約12mmまでとすることができる。電力供給装置は、この距離にわたって、医薬包装材料を通して送信できる十分な堅牢さを有していなければならず、金属製であってよい。さらに、電力供給装置は、効率的でなければならず、発熱量が多すぎると、センサ読み取り値に影響が出る。好ましくは、この電力供給装置では、センサの温度を約1℃以上上昇させることなく読み取りを少なくとも5回、連続実行できなければならない。
【0070】
また、本発明のシステムおよび方法は、安全面の観点から、配線を使用するAC給電デバイスだと望ましくない高い湿度を持つ環境で使用できなければならない。電力供給装置は、さらに、モバイルアプリケーションで使用できなければならず、好ましくは、携帯型読み取り装置デバイスを組み込む必要がある。このようなデバイスは、センサに電力を供給し、データの受信および復号化を行い、データを格納するか、または中継してコンピュータに戻す。
【0071】
最後に、送電装置42は、医薬包装内の受電装置20と容易に結合できるように構成されなければならない。例えば、誘導磁場は、送電装置に関してデバイス10の配置を容易に行えるように送電装置42の面に平行な直径20mmの円内でほぼ均一でなければならない。したがって、電力供給装置の好ましい一実施形態は、低電圧電池式無線携帯型デバイスである。
【0072】
電力供給装置32は、一般的に、3つの個別の機能を持つ。これらの機能は、送電、電流増幅、および信号発生を含む。
【0073】
次に図7および8を参照すると、送電装置42は、約30回きつく巻いた直径約1.12mmのエナメル被覆銅線を使用して巻かれた、軽量のプラスチック製形成器46およびコイル48を備える。図7に例示されているように、コイル48は、好ましくは、プラスチック製形成器46の厚さ約2.5mmの直径一定部分と厚さ約5mmのテーパー付き部分の上に形成される。図8に示されている、上面図では、形成器46のテーパー付き部分は、約15mmから約25mmまでの範囲の半径を持つ。
【0074】
比較的太い電線と少ない巻き数を使用すると、コイルの抵抗が最低になることが判明している。この実施形態では、抵抗は、好ましくは約80mΩである。当業者であれば理解するように、インダクタンスは、コイルの幾何学的形状、電線の幾何学的形状、および使用される材料に依存する。
【0075】
例えば鉄心の代わりに非導電性非磁性プラスチック形成器を使用することは、インダクタンスを低く維持する際の主要な要因である。比較的大きな直径の使用にも、磁場を比較的均一に保ちながらある程度この効果がある。
【0076】
この実施形態では、巻き数を比較的少なくすると、約53μHのインダクタンスが得られる。インダクタを流れる電流を増やすと、磁場の強度が高まるが、抵抗が低い限り、大きな電流を伴うにもかかわらず消費電力は最低に保つことができる。
【0077】
次に図9を参照すると、送電装置42により発生する好ましい磁場の図が示されている。当業者であれば、図の中で強い磁場を示している領域から、磁場は、コイルから約10mmの動作距離のところで、直径30mmの円の上で均一であり、磁場は、コイルから15mmの距離のところで、直径20mmの円の上で均一であることを理解するであろう。このため、デバイス10の受電装置20とのインターフェイスが簡単になる。図は、さらに、磁場が、送電装置の下よりも送電装置の上で強く、非常に均一であることも例示している。これは、電力伝達効率が非常に高いことを示している。
【0078】
上述のように、送電装置42の電流増幅は、好ましくは、図6に示されている回路により駆動される。好適な回路の設計目標は、(i)都合のよい電池電力を得られるように最大12Vまでなどの低入力電圧、(ii)発熱を低減し、電池交換頻度を少なくする高い効率、(iii)組立てが容易で、長期間信頼性が高い回路設計、および(iv)磁場を最大にするように、インダクタを通るAC電流を最大にすることを含む。さらに、センサ12に影響を及ぼす可能性を最低限に抑えるために、電力供給装置32の発熱するコンポーネントを、できる限り送電装置42から遠ざけなければならない。特に、電力供給装置32は、送電装置42からある距離のところにBAT1、U1、T1、およびC1、C2、およびC3を位置決めするように設計されなければならない。
【0079】
好ましい一実施形態では、信号発生器は、30kHzなどの所望の送信周波数のT1への方形波入力を持つ。したがって、内部発振器および適切なファームウェアを備えるArizona Microchip製のPIC12F629マイクロコントローラが好適である。
【0080】
図6に例示されているように、負荷は容量性が非常に高いため、マイクロコントローラ出力線のうち3本は、好ましくは、T1の入力にいっしょに接続される。T1への入力は、さらに、4.7kΩなどの比較的大きな値の抵抗器によりグラウンドに接続され、マイクロコントローラが最初に起動するときに接続部が高レベルのフローティング状態にならないようにされる。このセットアップで、3本の端子が利用可能な状態に残され、必要ならば制御またはデータインターフェイスを追加するために使用することが可能である。
【0081】
当業者であれば、このマイクロコントローラにより実行される機能は、他のさまざまなデバイスで実装することが可能であることを理解するであろう。携帯型デバイスを含む実施形態においては、センサからデータを受信し表示することができるより強力なマイクロコントローラが好ましい。さらに、送電装置が使用されているときに電池電圧を測定することができるアナログ-デジタルコンバータを備えるマイクロコントローラを使って、充電レベルについてフィードバックを返す。
【0082】
受電装置20は、好ましくは、約79μHおよび直径約4cmの平たいプリント基板ベースのコイルを備える。この実施形態は、同じ向きでなければならない、回路基板のそれぞれの側で39巻きした銅螺旋を含む。この構成により、図3に示されているように、デバイス10の側面に容易に配置することができ、また電力供給装置42に関してデバイス10を容易に配置することができる。さらに、この構成により、受電装置20が比較的より広く磁場の大きな部分と結合し、送電装置42により近い位置に配置できるため、電力供給装置の要件を低くすることができる。この実施形態では、電源34は、上述のように6vとすることができる。好ましくは、受電装置20のプリント基板は、吸湿率が最小となるようにPTFEを使って作られる。本発明によれば、受電装置PCBの厚さは、必要に応じて0.4mmまたは0.8mmとすることができる。
【0083】
センサ12から集められたデータの通信は、音響変換器22により実行される。よく知られているように、音声符号化テレメトリは、通常、遠隔通信、例えば、コンピュータ通信用のモデムで使用される。したがって、本発明では、金属製医薬包装の電気的遮蔽特性を克服するために音響伝達を使用する。実際、音波は、医薬包装の影響を比較的受けず、そのため、無線周波数伝送に著しく勝る。
【0084】
本発明の好ましい実施形態では、約2kHzよりも低い音波は、センサ12からデータを送信する好ましい手段である。より好ましくは、データは、従来のRTTYプロトコルを使用して送信されるが、どのような種類の音声テレメトリも適している。よく知られているように、RTTYは、周波数変調(FSK)を使用しており、ランダムノイズ上の信号を容易に検出することができる。
【0085】
音響データがパーソナルコンピュータにより処理される実施形態では、既存のテレメトリまたは遠隔通信ソフトウェアの方法は、信号を解釈するように適合させることができる。或いは、電力供給装置32と、符号化データを解釈し次いでそのデータを表示、格納または中継するようにプログラムされたデータコントローラに入力を供給するマイクロホン(図6に示されているような)とを備える携帯型読み取り装置を使用することができる。
【0086】
好ましい実施形態では、所定のセンサにより監視されている環境条件に対する曲線当てはめアルゴリズムは、データの品質を改善するように最適化される。そのようなものとして、コントローラ14が、比較的大容量のROMを持つ、PIC12C672などのデバイスを備えることが望ましい場合がある。大きなアルゴリズム最適化を必要としない実施形態では、コントローラ14では、ROMの容量は少なくて済み、PIC12F629などのデバイスを備えることができる。
【0087】
一実施形態では、ボーコード(Baudot code)を使用することができ、データは、センサから得られるすべての測定結果毎に150ボーで2回送信されるようにできる。本発明を実施する際に適している例示的なフォーマットは、表IIに示されている。高い周波数は、約1300Hzであり、低い周波数は、約1130Hzである。
【表2】

【0088】
当業者であれば理解するように、本発明のセンサシステムおよび方法は、無修正の包装で機能し、医薬送達デバイスに収まるように十分に小さく、内部電池を必要とせず、医薬包装を通して環境条件に関する継続的データをやり取りする。実際、センサシステムは、誘導方式で電力を供給されるため、医薬包装内の環境条件をいつまでも正確に測定することができる。これにより、日数、週数、月数、または年数など所定の期間にわたって医薬包装の有効性を判定することができ、その期間の任意の時点において環境条件を監視することができる。
【0089】
当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明に対しさまざまな変更および修正を加えて、さまざまな用法および条件に適合させることができる。特に、本発明は、主に、医薬包装内の温度および湿度の判定に関して説明されている。しかし、本発明は、任意の包装、容器、または他の密閉空間内の任意の適当な環境条件を離れた場所から判定するために応用することができる。そのようなものとして、これらの変更および修正は、添付の請求項に相当するものの完全な範囲内にあることが適切であり、公平であり、また範囲内にあることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】医薬送達デバイス内に配置された本発明のセンサシステムの略図である。
【図2】図1に示されているセンサシステムの立面図であり、そのコンポーネントを例示する。
【図3−4】本発明による、医薬送達デバイスに固定された本発明のセンサシステムの立面図である。
【図5】本発明の電力供給装置の主要コンポーネントの立面図である。
【図6】本発明による、センサシステム回路図の一実施形態の図である。
【図7】本発明の特徴を具現化する送電装置の平面図である。
【図8】本発明の特徴を具現化する送電装置の略図である。
【図9】本発明の特徴を具現化する送電装置により発生する電磁場を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境条件を判定するセンサ装置であって、
前記環境条件を測定することができるセンサと、
誘導受電装置と、
音響変換器とを備え、
前記センサは、前記誘導受電装置により電力を供給され、前記環境条件を表すデータを前記音響変換器とやり取りするセンサ装置。
【請求項2】
さらに、前記センサ、前記受電装置、および前記音響変換器を動作するように適合されたコントローラを備える請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記環境条件は、温度を含む請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記環境条件は、湿度を含む請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記センサは、第2の環境条件に応答する請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記センサは、温度および湿度に応答する請求項5に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記装置は、医薬包装内に組み込まれるように構成される請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記装置は、医薬送達デバイスに組み込まれるように構成される請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項9】
環境条件を判定するセンサシステムであって、
前記環境条件を測定することができるセンサ、誘導受電装置、および音響変換器を有するリモートセンサ装置と、
送電装置、電流増幅器、および信号発生器を有する誘導電力供給装置とを備え、
前記送電装置は、前記受電装置と誘導結合するように構成され、前記センサは、前記誘導受電装置により電力を供給され、前記環境条件を表すデータを前記音響変換器とやり取りするセンサシステム。
【請求項10】
前記誘導電力供給装置は、約20mmの距離にわたって前記リモートセンサ装置と誘導結合するように構成される請求項9に記載のセンサシステム。
【請求項11】
前記誘導電力供給装置は、約15mmの距離にわたって前記リモートセンサ装置と誘導結合するように構成される請求項10に記載のセンサシステム。
【請求項12】
前記送電装置は、非導電性形成器を備える請求項9に記載のセンサシステム。
【請求項13】
前記形成器は、直径一定部分およびテーパー付き部分を含む請求項12に記載のセンサシステム。
【請求項14】
前記誘導電力供給装置は、直径が第1の動作距離のところで前記受電装置に少なくとも等しい実質的に一様な電磁場を発生するように構成される請求項13に記載のセンサシステム。
【請求項15】
前記誘導電力供給装置は、電池式である請求項9に記載のセンサシステム。
【請求項16】
前記誘導電力供給装置は、前記センサの周囲の環境条件に著しく影響を及ぼすことなく前記リモートセンサ装置を動作させるように構成される請求項9に記載のセンサシステム。
【請求項17】
前記環境条件は、温度を含み、前記誘導電力供給装置は、前記温度を約1℃以上上げることなく前記リモートセンサ装置を少なくとも約5回連続動作させるように構成される請求項16に記載のセンサシステム。
【請求項18】
前記リモートセンサ装置は、医薬包装内に配置されるように構成される請求項9に記載のセンサシステム。
【請求項19】
前記リモートセンサ装置の少なくとも一部は、医薬送達デバイス内に配置されるように構成される請求項18に記載のセンサシステム。
【請求項20】
前記センサは、体積が約1300mm3以下である請求項19に記載のセンサシステム。
【請求項21】
さらに、前記音響変換器から入力を受け取るように構成されたマイクロホンを備える請求項20に記載のセンサシステム。
【請求項22】
前記マイクロホンは、前記音響変換器からの出力を復号化するように構成されたデータコントローラに出力する請求項21に記載のセンサシステム。
【請求項23】
前記マイクロホンおよびデータコントローラは、携帯型読み取り装置に一体化される請求項22に記載のセンサシステム。
【請求項24】
前記携帯型読み取り装置は、さらに、前記誘導電力供給装置を備える請求項23に記載のセンサシステム。
【請求項25】
医薬包装内の環境条件を判定する方法であって、
前記環境条件を測定することができるセンサおよび誘導受電装置を備えるリモートセンサ装置を前記医薬包装内部に密封する工程と、
前記リモートセンサ装置に誘導方式で電力を供給する工程と、
前記センサにより前記環境条件を測定する工程と、
前記環境データに対応するデータを音声テレメトリにより送信する工程とを含む方法。
【請求項26】
さらに、前記音声テレメトリを検出することにより前記送信データを受信する工程を含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
データを送信する前記工程は、約2000Hzよりも低い周波数を有する音波を送信することを含む請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記リモートセンサ装置に誘導方式で電力を供給する前記工程は、前記環境条件を著しく変えることなく前記リモートセンサ装置に電力を供給することを含む請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記環境条件を測定する前記工程は、湿度を測定することを含む請求項25に記載の方法。
【請求項30】
さらに、追加の環境条件を測定する工程を含み、前記リモートセンサ装置は、前記追加の環境条件を測定することができる請求項25に記載の方法。
【請求項31】
温度および湿度を測定することを含む請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記工程は、前記医薬包装を変えない請求項25に記載の方法。
【請求項33】
誘導方式で電力を供給する前記工程および受電する前記工程は、誘導電力供給装置およびマイクロホンを備えるモバイル携帯型読み取り装置で実現される請求項26に記載の方法。
【請求項34】
測定の工程および送信の工程は、所定の期間にわたって複数回数実行される請求項25に記載の方法。
【請求項35】
前記医薬包装内に前記リモートセンサ装置を密封する工程は、前記医薬包装を変えない請求項25に記載の方法。
【請求項36】
医薬包装内の環境条件を判定する包装アセンブリであって、
前記環境条件を測定することができるセンサを備えるセンサ装置と、
誘導受電装置と、
前記包装内に密閉された音響変換器とを備え、前記センサは、前記誘導受電装置により電力を供給され、前記環境条件を表すデータを前記音響変換器とやり取りする包装アセンブリ。
【請求項37】
前記センサは、湿度を測定することができる請求項36に記載の包装アセンブリ。
【請求項38】
前記センサは、温度を測定することができる請求項36に記載の包装アセンブリ。
【請求項39】
前記センサ要素は、温度および湿度を測定することができる請求項36に記載の包装アセンブリ。
【請求項40】
前記医薬包装は、さらに、薬剤を格納する請求項36に記載の包装アセンブリ。
【請求項41】
前記医薬包装は、さらに、医薬送達デバイスを格納する請求項36に記載の包装アセンブリ。
【請求項42】
前記薬剤は、アルブテロール、サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾンおよび塩、溶媒和物、およびこれらの組合せからなる群から選択される請求項40に記載の包装アセンブリ。
【請求項43】
医薬包装内の環境条件を判定する方法であって、
前記環境条件を測定することができるセンサおよび誘導受電装置を備えるリモートセンサ装置を前記医薬包装内部に密封する工程と、
送電装置、電流増幅器、および信号発生器を有する電力供給装置を前記受電装置と誘導結合することにより前記リモートセンサ装置に電力を供給する工程と、
前記センサにより前記環境条件を測定する工程と、
前記環境データに対応するデータを音声テレメトリにより送信する工程とを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−519984(P2008−519984A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541295(P2007−541295)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/040620
【国際公開番号】WO2006/053059
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】