説明

頭部以外の身体部位に適用する育毛効果粉末剤

【課題】本発明は本来液体である育毛効果剤の財形を粉末剤とし、頭部以外への適用を可能にし、効果成分の吸収や日常継続使用を容易にする。
【解決手段】頭髪薄毛化を改善する副腎皮質ホルモンの育毛効果剤への配合に代えて、副腎皮質機能を賦活し促進する人参葉茎部抽出物やチョウセンゴミシ抽出物を配合した粉末剤を作り、頭部以外の経皮吸収率が高い部位に適用できるようにし、使用における簡便さとより高い効果が得られるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部以外の身体部位に適用する育毛効果粉末剤に関する。
【背景技術】
【0002】
頭髪の薄毛化は成人男性の約40〜50%にみられ、兆しは20歳代後半にあらわれて加齢と共に進行する。原因は、遺伝と男性ホルモンにあるとされるため(参考文献1)対策が難しく、長い間多くの男性のストレス源となり続けている。そのため、現在唯一の対処法である育毛剤の利用も、多種多数の市場品の何れもが確かな効果をあげ得ないでいる。それは、現行育毛剤配合成分(頭皮の緊張緩和や血行促進成分)が、頭髪劣化原因に必ずしも結びついていないことにもよる。
【0003】
このような情勢の中、1979年、アメリカFDAの認可であるピペリジノピリミジン誘導体の血管拡張薬ミノキシジルが、その服用者の約80%に多毛、軟毛の硬毛化、毛髪径増大をもたらすことが見出され、育毛剤への応用がはかられた(参考文献2)。しかしこれは、医薬品としての承認であるため利用に制約があり、効果も6ヶ月間の使用で中等度改善が27.3%(プラセボで15.7%)と低減した(参考文献3)。これは、頭部への外用と内服の場合との違いによると考えられる。
【0004】
因みに前記参考文献2によれば、ミノキシジルと同様の医原性多毛をきたすものとして副腎皮質ホルモンが挙げられている。しかしこれは、医薬品としての利用以外は認められていない。
【0005】
頭髪薄毛化に対する現市場育毛剤の全ては、適用部位を頭皮頭髪等頭部とする液剤であるが、液剤にしたミノキシジルを頭部に塗布した場合での効果発現低下は、成分吸収の遅さにもよると考えられる。又、吸収の遅速は適用部位により差があって、例えば、副腎皮質ホルモンの場合、その経皮吸収率は前腕屈側部を1とした場合、頭部は3.5倍、腋下は3.6倍、陰のう部は42倍である(参考文献4)。
【0006】
頭部への液状育毛剤の塗布は、普通多量頻回が勧められている。しかし、一般的には、1回1mlを1日2回が標準とされる(参考文献3)。衣類の汚れ防止や整髪の必要もあり、頭部適用の手間も決して少なくないのである。
【参考文献1】
【0007】
「毛髪を科学する」岩波化学ライブラリー61、P…81
【参考文献2】
【0008】
「この薬のこの副作用」メディカル・ライフ、P…144
【参考文献3】
【0009】
「RiUP・リアップ解説書」〜大正製薬(株)
【参考文献4】
【0010】
「ステロイド軟膏の標準的な使い分け」日本薬剤師会雑誌59巻6号、P…103
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来、男性の頭髪薄毛化改善に利用されてきた頭皮頭髪適用の液剤は、頭皮の緊張緩和成分や血行促進成分配合で軌を一にする。しかし、毛生結果についてはほとんど不分明であったりするため、製品としての被利用期間もそれぞれ長続きするもではなかった。頭皮の緊張緩和については、薄毛化していない側頭部頭皮を薄毛化している前頭部等に移すと薄毛化がみられなくなることから、薄毛は頭皮の緊張によるものではないことが明らかになった(参考文献1、P…89)。血行促進については、経皮吸収薬物量の吸収過程での分解や辛うじて血管に到達したものも、忽ち血流で霧消することから毛生に寄与すべき血行促進成分による実質的効果は得難いとされている(参考文献5)。
【0012】
副腎皮質ホルモンは唯一、医薬品であるミノキシジルと同等の作用を薄毛改善においてみせるとされるが、その育毛効果剤への添加は認められていない。したがってそれに代わり得る成分は、利用に便利即ち液剤におけるような「衣類の汚れ」、「適用の度の整髪手間」を懸念しなくてすむ剤型での調整が課題となる。
本発明は、頭部以外の身体部位に適用し吸収率アップがはかり得る育毛効果粉末剤を以て、この課題を解決しようとするものである。
【参考文献5】
【0013】
「薬物の経皮デリバリーと経皮吸収の促進」薬学雑誌Vol120(2000)P…328
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明については従来、頭皮緊張緩和成分や血行促進成分等に置かれてきた育毛効果の期待を、副腎皮質機能を賦活、促進するウコギ科人参葉茎部抽出物又はモクレン科チョウセンゴミシ抽出物に置き、それを外用粉末剤に配合し、経皮吸収率が高い腋下部や陰のう部に汗臭防止を兼ね適用できるようにすることで課題を解決している。
【0015】
ウコギ科人参葉茎部は、副腎皮質ホルモンの血中値低下(慢性的副腎皮質機能低下による)…アジソン病…に用いられ有効であり(参考文献6)モクレン科チョウセンゴミシ果実は、そのエーテル等有機溶媒抽出物に副腎皮質機能促進の働きがあるとされている(参考文献7)。
【参考文献】
【0016】
「中薬与免疫」廣東科技術出版、P…123
【参考文献】
【0017】
「漢薬の臨床応用」医歯薬出版、P…381
【発明の効果】
【0018】
育毛効果剤の適用は、前記ミノキシジルのように、多毛、軟毛の硬毛化、毛髪径増大の結果を得るのに必ずしも頭部への外用を要さない(参考文献2)。しかも従来の育毛効果剤は、ほとんどが液剤であったため衣類等の汚れや、用後の整髪という不便さがあり、配合成分の経皮吸収率の低さと共に継続使用と効果発現を妨げてきた。
本発明は、副腎皮質ホルモン機能を賦活及び促進する植物由来成分を粉体に吸着させ、汗臭防止を兼ね頭部以外の身体部位に外用する。そのため従来技術品に比べ適用の時が自由に選べる。又液剤ではないので用後、衣類等の汚れはなく、整髪の手間も要らず、何よりも経皮吸収率が向上し育毛効果の好転に役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
ウコギ科人参葉茎部を約10倍の重量の水に、また別にモクレン科チョウセンゴミシ果実部を、薄く焦げ目がつく程度に焙じ、約10倍の重量のエーテル又はエタノール等有機溶媒にそれぞれ24時間浸漬、ろ過し、各公知の方法で蒸発乾固し、別々に粉砕微粒化する。これら抽出物を用い実施例の処方で粉末剤をつくる。これを起床時、就寝前、又は随時に腋下、陰のう部、着用の下着等に撒布し続けると、液状育毛効果剤の頭部塗布の場合のような煩わしさなく、所望の育毛効果を得ることができる。なお本発明における各抽出物配合量は、一種類の配合で0.5〜2.5重量%、二種類配合の場合は合計で1.0〜4.0重量%を好適とする。
【0020】
以下、それぞれ実施例処方に従って本発明の効果を説明する。但し本発明は以下の実施例に何ら限定を受けるものではない。
【実施例1】
粉末エアゾール剤…以下の処方の混合物30%にLPG70%を合してつくる

【実施例2】
【0021】
粉末シート剤…以下の処方のローションを不織布に含浸させ水分をきって適当な大きさ(例…1cm4方)に裁断し、頭部以外の部位を清拭する。


【0022】
対照…粉末エアゾール剤、粉末シート剤の処方から、人参葉茎部抽出物、チョウセンゴミシ抽出物を除いた粉末エアゾール剤、粉末シート剤を別につくり対照に用いる。
【0023】
本発明に関わる育毛効果粉末剤においては、実施例各配合原料の他に通常医薬部外品、化粧品、食品等に用いられる公知の各種原料、添加物、香料等を適宜任意に用いても差支えない。
【0024】
(試験例)
26〜39才の頭頂部頭髪疎少化(薄毛化)が視認される男性4人ずつ3グループを対象に、頭頂部に画定した半径0.8ミリの円内頭髪数を第三者が計数し、3ヶ月の試験前後のそれを比較した(各自、左右の耳を結ぶ線と鼻梁を頭頂にさかのぼる線の交点を中心とした円、半径0.8ミリの円を切り抜いた貼付シートを貼って位置を画定する。実施例対照例共適用部位は臍下、下腹部)結果を表に示す。
【0025】
試験前後で頭髪本数が5倍増以上となったものを「有効」、2〜4倍増となったものを「やや有効」、増加が認められなかったものを「無効」とした。
【表】

【産業上の利用可能性】
【0026】
試験例結果の表にみるように、本発明育毛効果粉末剤は従来の育毛効果液剤に比べ、適用部位を頭部以外に選ぶことが出来る。又衣類等を汚すおそれや、用後整髪の必要もなく、随時簡便に用いることができ育毛の効果もあきらかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部以外の身体部位に適用する育毛効果粉末剤
【請求項2】
育毛効果がウコギ科植物人参の葉茎部、モクレン科植物チョウセンゴミシの果実部からなる群から選ばれた一種以上の抽出物の配合によるものである請求項1の粉末剤

【公開番号】特開2009−215274(P2009−215274A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100840(P2008−100840)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(500374663)株式会社サンブレン (1)
【出願人】(598008293)
【Fターム(参考)】