説明

顔料水性分散物

【解決手段】 本発明は、(A)少なくとも1種類の有機顔料及び/又は無機顔料、(B)下記式(I)又は(II)で表される分散剤又は式(I)及び(II)で表される分散剤の混合物


(C)場合によっては湿潤剤、(D)場合によっては他の界面活性剤及び/又は 分散剤、(E)場合によっては1種類又は複数種の有機溶剤及び/又は1種類 又は複数種のヒドロトロピック物質、(F)場合によっては、顔料水性分散物 を製造するための別の種類の通常の添加物及び(G)水
を含有する顔料水性調製物によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散剤として新規の非イオン性ポリマーを含有する顔料水性調製物並びにそれの天然及び合成材料の着色への使用に関する。
【背景技術】
【0002】
水性媒体中で顔料を分散させるためには一般に分散剤が必要とされる。該分散剤はアニオン系、カチオン系、両性又は中性の構造であってもよい。これらは、重合したモノマーがランダム、交互、ブロック状、くし形又は星型の構造に配置されて形成された低分子量又は高分子量ポリマーでもよい。
【0003】
特に市場で重要なのは、例えば分散物の着色及びワニス着色剤、塗料、被覆剤及び印刷インクの着色に使用され並びに紙、厚紙及び繊維材料を着色するのに使用される顔料濃厚物を製造するときに顔料を分散させるための分散剤である。
【0004】
従来技術には、配列されたポリマー構造を有する顔料調製物も開示されている。それらの例には、ヨーロッパ特許出願公開第1,293,523号明細書、ドイツ特許出願公開第10 2005 012 315号明細書及びヨーロッパ特許出願公開第1,721,941号明細書がある。
【0005】
しかしながら従来、過去に使用されていた非イオン性ノボラック分散剤に、その性能において欠点を伴うことなしに代替することに成功していない。通例のノボラック分散剤はそれの製造プロセスの結果として残留するアルキルフェノール、しばしばノニルフェノール、及びそれのエトキシレート化物を含有している。アルキルフェノールエトキシレート或いはそれの分解生成物は環境において殆ど分解しないので、富化してしまう。このことは、これらが水性生物にホルモン効果を示すので問題である。それ故に多くの国においては、アルキルフェノール或いはそれのエトキシル化物を含有する物質を使用することを制限するか又は禁止する法律が導入されている(例えば2003/53/EC)。
【0006】
従来の研究では、非イオン性のノボラック系と同等の分散剤を合成することが依然として極めて困難であることが判っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って有機顔料を40%以上の高濃度で低粘度に分散されることができる新規の分散剤が要求されている。分散物は容易に製造できなければならない。すなわち、顔料を容易に湿潤することができそして水性媒体中に容易に混入できなければならない。分散物は数年の期間にわたって安定のままである高濃度で再現性のある色濃度を有していなければならない。同様に他のあらゆる色関連パラメータ、例えば色相角及び色度に再現性がありそして安定しているべきである。分散物は泡立たず或いは使用媒体中で泡を発生させず又は泡立ち速度を早めるべきでない。更に分散剤は種々の使用媒体中の分散物に広く相容性があるべきである。さらに、分散物は剪断安定性がなければならない。すなわち、剪断の下で色濃度又は色調が著しく変化しれはならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに本発明者は、ポリエチレン/ポリプロピレン−グリコール−モノ(メタ)アクリル酸エステルよりなる巨大モノマーから製造される特別な非イオンコポリマーが前記課題を解決しそして非イオンノボラック系に、分散剤としてのその性能において代わり得ることを見出した。
【0009】
本発明の対象は、
(A)少なくとも1種類の有機顔料及び/又は無機顔料、
(B)下記式(I)又は(II)で表される分散剤又は式(I)及び(II)で表される分散剤の混合物
【0010】
【化1】

[式中、指数a、b及びcはそれぞれのモノマーのモル分率を示しており、
aは0.01〜0.8で、
bは0.001〜0.8で、そして
cは0.001〜0.8であり、
a+b+cの合計は1であり、そして特に好ましくは
aは0.1〜0.7で、
bは0.1〜0.6で、そして
cは0.1〜0.6であり、
a+b+cの合計は1であり、
AはC2〜C4−アルキレン基であり、
BはAと異なるC2〜C4−アルキレン基であり、
Rは水素又はメチル基であり、
mは1〜500、特に1〜50の数であり;
nは1〜500、特に1〜50の数であり;
m+nの合計は2〜1000であり;
aは場合によっては1つ又は複数のヘテロ原子のN、O及びSを含有する炭素原子数3〜30の芳香族又は芳香脂肪族残基であり、
aはH又はC1〜C4−アルキル基であり、
bはH又はC1〜C4−アルキル基であり、
cはH又はC1〜C4−アルキル基であり、
1は水素又はメチル基であり、
bは場合によっては1つ又は複数のヘテロ原子のN、O及びSを含有する炭素 原子数3〜30の芳香族又は芳香脂肪族残基であり、
aは酸素原子又はNH基であり、
2は水素又はメチル基であり、
Yは直鎖状の又は分岐しているか又は環状でもよく、ヘテロ原子のN、O及び/ 又はSを含有していてもよく、かつ、不飽和でもよい炭素原子数1〜30、殊 に6〜30、特に9〜20の脂肪族炭化水素残基であり、
bは酸素原子又はNH基である。]
(C)場合によっては湿潤剤、
(D)場合によっては他の界面活性剤及び/又は分散剤、
(E)場合によっては1種類又は複数種の有機溶剤及び/又は1種類又は複数種 のヒドロトロピック物質、
(F)場合によっては、顔料水性分散物を製造するための別の種類の通常の添加 物及び
(G)水
を含有する顔料水性調製物に関する。
【0011】
特に有利な顔料調製物は5〜80重量%、例えば10〜70重量%の成分(A)を含有する。
【0012】
特に有利な顔料調製物は0.1〜30重量%、例えば2〜15重量%の成分(B)を含有する。
【0013】
特に有利な顔料調製物は、各成分をそれぞれ顔料調製物の総重量(100重量%)を基準として
(A)5〜80重量%、例えば10〜70重量%
(B)0.1〜30重量%、例えば2〜15重量%
(C)0〜10重量%、例えば0.1〜5重量%
(D)0〜20重量%、例えば1〜10重量%
(E)0〜30重量%、例えば5〜20重量%
(F)0〜20重量%、例えば0.1〜5重量%
(G)残量の水
含有する。
【0014】
成分(C)、(D)、(E)及び(F)の1種類又は複数種が存在する場合には、それらの最少濃度は互いに無関係に有利には顔料調製物の全重量を基準として少なくとも0.01重量%、特に有利には少なくとも0.1重量%である。
【0015】
本発明の顔料調製物の成分(A)は微粉化された有機又は無機顔料又は異なる有機及び/又は無機顔料の混合物である。成分(A)は、特定の溶剤に溶解しておりそして他の溶剤中では顔料特性を示す染料であってもよい。顔料は乾燥した粉末の状態でも水で湿ったプレスケーキ状物としても使用することができる。
【0016】
有機顔料としてはモノアゾ顔料、ジアゾ顔料、レーキ化アゾ顔料、β−ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジスアゾ縮合顔料、アゾ金属錯塩顔料及び、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンタントロン顔料、アントラキノン顔料、フラバントロン顔料、インダトロン顔料、イソバイオラントロン顔料、ピラントロン顔料、ジオキサジン顔料、キノフタロン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料及びジケトピロロピロール顔料の様な多環式顔料又はカーボンブラックがある。
【0017】
上記の有機顔料の内、調製物を製造するのにできるだけ微細であるものが特に適しており、特に顔料粒子の95%、中でも99%が≦500nmの粒度を有するのが有利である。
【0018】
個々では特に有利な有機顔料の選択例としてはカーボンブラック顔料、例えばランプ又はファーネスカーボンブラック;モノアゾ及びジアゾ顔料、特にカラーインデックス顔料ではピグメントイエロー1、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー81、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー87、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー111、ピグメントイエロー126、ピグメントイエロー127、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー174、ピグメントイエロー176、ピグメントイエロー191、ピグメントイエロー213、ピグメントイエロー214、 ピグメントイエロー219、ピグメントレッド38、ピグメントレッド144、ピグメントレッド214、ピグメントレッド242、ピグメントレッド262、ピグメントレッド266、ピグメントレッド269、ピグメントレッド274、ピグメントオレンジ13、ピグメントオレンジ34、ピグメントブラウン41;β−ナフトール顔料及びナフトールAS顔料、特にカラーインデックス顔料ではピグメントレッド2、ピグメントレッド3、ピグメントレッド4、ピグメントレッド5、ピグメントレッド9、ピグメントレッド12、ピグメントレッド14、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド122、ピグメントレッド146、ピグメントレッド147、ピグメントレッド170、ピグメントレッド184、ピグメントレッド187、ピグメントレッド188、ピグメントレッド210、ピグメントレッド247、ピグメントレッド253、ピグメントレッド256、ピグメントオレンジ5、ピグメントオレンジ38又はピグメントブラウン1;レーキ化アゾ顔料及び金属錯塩顔料、特にカラーインデックス顔料ではピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:3、ピグメントレッド48:4、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド257、ピグメントオレンジ68、ピグメントオレンジ70;ベンズイミダゾーリン顔料、特にカラーインデックス顔料ではピグメントイエロー120、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー175、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー181、ピグメントイエロー194、ピグメントレッド175、ピグメントレッド176、ピグメントレッド185、ピグメントレッド208、ピグメントバイオレット32、ピグメントオレンジ36、ピグメントオレンジ62、ピグメントオレンジ72又はピグメントブラウン25;イソインドリノン顔料及びイソインドリン顔料、特にカラーインデックス顔料ではピグメントイエロー139又はピグメントイエロー173;フタロシアニン顔料、特にカラーインデックス顔料ではピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、
ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー16、ピグメントグリーン7又はピグメントグリーン36;アンタントロン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インダトロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料及びチオインジゴ顔料、特にカラーインデックス顔料ではピグメントイエロー196、ピグメントレッド122、ピグメントレッド149、ピグメントレッド168、ピグメントレッド177、ピグメントレッド179、ピグメントレッド181、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209、ピグメントレッド263、ピグメントブルー60、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23又はピグメントオレンジ43;トリアリールカルボニウム顔料、特にカラーインデックス顔料ではピグメントレッド169、ピグメントブルー56又はピグメントブルー61;ジケトピロロピロール顔料、特にカラーインデックス顔料ではピグメントレッド254、ピグメントレッド255、ピグメントレッド264、ピグメントレッド270、ピグメントレッド272、ピグメントオレンジ71、ピグメントオレンジ73、ピグメントオレンジ81が挙げられる。
【0019】
さらにレーキ化染料、例えばスルホン酸基及び/又はカルボン酸基含有染料のCa、Mg、Al−レーキ化物も適している。
【0020】
適する無機顔料には例えば二酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛、鉄酸化物、マグネタイト、マグネシウム鉄酸化物、クロム酸化物、ウルトラマリンブルー、コバルト酸化物、ニッケル又はクロム−アンチモン−チタン酸化物、マグネシウム−チタン−ルチル、コバルト酸化物、コバルトとアルミニウムの混合酸化物、ルチル混合相顔料、希土類の硫化物、コバルトとニッケル及び亜鉛とのスピンネル、鉄及びクロムをベースとする、銅、亜鉛並びにマンガンとのスピンネル、ビスマス−バナジウム塩並びにブレンド顔料、特にカラーインデックス顔料ではピグメントイエロー184、ピグメントイエロー53、ピグメントイエロー42、ピグメントブラウン24、ピグメントレッド101、ピグメントブルー28、ピグメントブルー36、ピグメントグリーン50、ピグメントグリーン17、ピグメントブラック11、ピグメントブラック33並びにピグメントホワイト6が使用される。しばしば無機顔料の混合物も有利に使用される。有機顔料と無機顔料との混合物も同様にしばしば使用される。
【0021】
顔料分散物の代わりに、固体として例えば天然の微細鉱石、鉱物、難溶性又は不溶性塩、ワックス又は合成樹脂粒子、染料、作物保護剤、害虫駆除剤、紫外線吸収剤、明色化剤及び重合安定剤を含有する分散物も製造される。
【0022】
成分(B)として新しい種類の特別な非イオンコポリマーが分散剤として使用される。このコポリマーは103g/mol〜109g/mol、特に103g/mol〜107g/mol、中でも103g/mol〜105g/molの分子量を有している。
【0023】
このポリマーは、式(I)又は(II)中の[ ]c、[ ]b及び[ ]a内に記載の残基に相当するモノマーをラジカル重合することによって製造される。製造方法はドイツ特許出願公開第10 2007 021 868号明細書に記載されている。
【0024】
特に有利な一つの実施態様においては、(A−O)mがプロピレンオキサイド単位でありそして(B−O)nがエチレンオキサイド単位であるか又は(A−O)mがエチレンオキサイド単位でありそして(B−O)nがプロピレンオキサイド単位であり、エチレンオキサイド単位のモル分率がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位との合計を基準として50〜98%、殊に60〜95%、特に70〜95%である。
【0025】
アルキレンオキサイド単位の合計は原則としてn+m=2〜1,000、殊に2〜500、特に2〜100、中でも5〜100である。本発明のポリマーが示す本質的な性質は、ポリマーのポリアルキレングリコール側鎖が純粋のポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールでないことである。その代わりに該ポリアルキレングリコールはポリプロピレンオキサイド単位とエチレンオキサイド単位とよりなるランダムな又はブロック状のポリアルキレングリコールである。このEO/PO−比の微調整が、低粘度で高濃度の顔料分散物を製造するのに適するポリマー分散剤を初めて可能とした。芳香族及び脂肪族モノマー[ ]b及び[ ]cとの組合せにおけるモノマー[ ]aのEO/PO−分の最適な比によって、ノボラックの様な分散剤の性質を、非常に類似する性質プロフィールが得られるように生じさせることに成功した。[ ]b群のモノマーには例えばアクリル酸及びメタクリル酸の以下のエステル及びアミドが属する。すなわち、アクリル酸及びメタクリル酸のフェニル、ベンジル、トルイル、2−フェノキシエチル、フェネチルエステル及びアミド。他のモノマーにはビニル芳香族モノマー、例えばスチレン及びそれの誘導体、例えばビニルトルエン、α−メチルスチレンがある。芳香族単位にはヘテロ芳香族化合物、例えば1−ビニルイミダゾールも該当する。
【0026】
[ ]b群の特に有利なモノマーは、スチレン、1−ビニルイミダゾール、ベンジルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート及びフェネチルメタクリレートがある。
【0027】
[ ]c群のモノマーには例えばアクリル酸及びメタクリル酸の以下のエステル及びアミドが属する:アクリル酸及びメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第三ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、3,3−ジメチルブチル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、ラウリル、セチル、ステアリル、ベヘニル、シクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、第三ブチルシクロヘキシル、ボルニル、イソボルニル、アダマンチル、(2,2−ジメチル−1−メチル)プロピル、シクロペンチル、4−エチル−シクロヘキシル、2−エトキシエチル−テトラヒドロフルフリル及びテトラヒドロピラニルエステル又はアミド。
【0028】
[ ]c群の特に有利なモノマーには例えばアクリル酸及びメタクリル酸の以下のアルキルエステル及びアルキルアミドが属する:アクリル酸及びメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、2−エトキシエチル、ミリスチル、オクタデシル、特に2−エチルヘキシル及びラウリルエステル又はアミド。
【0029】
成分(C)としては顔料を湿潤させる例えばカチオン性、アニオン性、両性又は非イオン性化合物(湿潤剤)が使用される。
【0030】
本発明の顔料調製物の成分(D)としては、顔料水性分散物の製造に適する通例の分散剤及び界面活性剤又はこれらの物質の混合物が役立つ。一般にアニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性界面活性化合物がこの目的のために使用される。それらの中でも、1つ以上の中位の鎖長の又は長鎖の炭化水素鎖を持ち、その一部が芳香族環基を有している分散剤が特に有利であることが判っている。多くの化合物の内でもここに一つの選択例を記載するが、本発明の化合物の利用性はこの例に限定されない。例えばアルキルスルファート、例えばラウリルスルファート、ステアリルスルファート又はオクタデシルスルファート、第一アルキルスルホナート、例えばドデシルスルホナート及び第二アルキルスルホナート、特にC13〜C17−アルカンスルホン酸ナトリウム、アルキルホスホナート、アルキルベンゼンスルホナート、例えばドデシルベンゼンスルホン酸、並びにこれらの化合物のあらゆる塩がある。さらに大豆レシチンが適しており又は脂肪酸とタウリン又はヒドロキシエタンスルホン酸との縮合生成物も有用であり、アルキルフェノール、ひまし油−コロホニウムエステル、脂肪アルコール、脂肪アミン類、脂肪酸及び脂肪酸アミドのアルコキシル化生成物も有用であり、これらのアルコキシル化生成物はイオン性末端基を有していてもよく、例えばスルホコハク酸半エステル又はスルホン酸、硫酸及びリン酸エステル、並びにそれらの塩、スルホナート、スルファート又はホスファートでもよい。ポリエポキシドとアミン類又はビスフェノールA或いはビスフェノールA誘導体とアミン類との反応によって得られるオキシアルキル化付加化合物も尿素誘導体と同様に適している。
【0031】
場合によっては置換されたスチレンが場合によっては置換されたフェノール類に付加しそしてエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドと反応することによって得られる非イオン化アルコキシル化スチレン−フェノール縮合物もそれのイオン変性された誘導体、例えばスルホン酸エステル、硫酸エステル及びリン酸エステル並びにそれらの塩、スルホナート、スルファート又はホスファートも同様に適している。さらに、界面活性化合物としてリグニンスルホナート及びナフタリンスルホン酸とホルムアルデヒドとの重縮合物或いはアルキルアリールスルホン酸、ハロゲン化アリールスルホン酸、スルホン化フェノール類又はスルホン化ナフトールとホルムアルデヒドとの重縮合物も適する。
【0032】
成分(E)は有機溶剤又は水溶性ヒドロトロピック物質に相当する。場合によっては溶剤としても役立つか又はオリゴマー又はポリマーの性状であるヒドロトロピック化合物には、例えばホルムアミド、尿素、テトラメチル尿素、ε−カプロラクタム、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、α−メチル−ω−ヒドロキシポリエチレングリコールエーテル、ジメチルポリエチレングリコールエーテル、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジメチルポリプロピレングリコールエーテル、エチレングリコール及びプロピレングリコールよりなるコポリマー、ブチルグリコール、メチルセルロース、グリセリンジグリセリン、ポリグリセリン、N−メチルピロリドン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、チオジグリコール、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、クモールスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、ブチルモノグリコール硫酸ナトリウム、セルロース誘導体、ゼラチン誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルイミダゾール、及びビニルピロリドン、酢酸ビニル及びビニルイミダゾールのコポリマー及びターポリマーがあり、ビニルアセテート単位を持つこれらポリマーは次いでビニルアルコールに鹸化されてもよい。
【0033】
成分(F)としては例えば増粘剤、保存剤、粘度安定剤、粉砕助剤及び充填剤を使用する。他の通例の添加物には沈降防止剤、光安定剤、酸化防止剤、脱気剤/消泡剤、泡立ち低減剤、凝結防止剤並びに粘度及び流動性を改善する剤もある。粘度を調整するための剤としては例えばポリビニルアルコール及びセルロース誘導体が適する。水溶性の天然又は合成樹脂並びに造膜剤あるいはバインダーとしてのポリマーが接着性及び耐摩耗性を改善するために適している。pH調整剤としては有機又は無機塩基及び酸を使用する。特に有利な有機塩基はアミン、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタンノールアミン、ジイソプロピルアミン、アミノメチルプロパノール又はジメチルアミノメチルプロパノールである。特に有利な無機塩基は水酸化ナトリム、水酸化カリウム、水酸化リチウム又はアンモニアである。成分(F)には植物性及び動物性の脂肪及び油も相当し、例えば牛脂、パーム核脂肪、ココナッツ油脂、菜種油、ひまわり油、亜麻仁油、パーム油、大豆油、ピーナッツ油及び鯨油、綿実油、コーンオイル、ケシ油、オリーブ油、ヒマシ油、菜種油、べにばな油、大豆油、アザミ油、ひまわり油、ニシン油、鰯油がある。慣用の添加物には飽和及び不飽和の高級脂肪酸、例えばパルミチン酸、サイプリル酸(cyprylic acid)、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、カプロン酸、カプリル酸、アラキン酸、ベヘン酸、パルミトーレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸及びリシノール酸並びにこれらの塩もある。
【0034】
顔料調製物を製造するのに使用される成分(G)としての水には、有利には脱塩水又は蒸留水を使用する。飲料水(水道水)及び/又は天然の水も利用することができる。
【0035】
本発明の対象は、本発明の顔料調製物を製造する方法において、粉末、顆粒又は水性プレスケーキ状物の状態の成分(A)を水(G)並びに成分(B)及び場合によっては成分(C)及び(D)の存在下に分散させ、次いで場合によっては水(G)並びに場合によっては1種類又は複数種の成分(E)及び(F)を混入しそして場合によっては得られる顔料水性分散物を水(G)で希釈することを特徴とする、上記方法に関する。成分(B)及び1種類又は複数種の成分(C)、(D)、(E)及び(F)を最初に混入均一化し、次いで成分(A)を予め装填された混合物中に導入し、そのときに該成分(A)がペースト化し初めており、かつ、予め分散されているのが有利である。成分(A)の粒子のテクスチャー次第で次いで冷却下に粉砕又は分散装置によって細かく分散させるか又は細かく散らす。この目的のためには攪拌装置、ディソルバー(鋸刃付き攪拌機)、回転子―固定子付きミル、ボールミル、攪拌媒体式ミル、例えばサンドミル及びビーズミル、高速ミキサー、ニーダー、ロールスタンド又は高性能ビーズミルが利用される。成分(A)の微細分散或いは粉砕は所望の粒度分布まで行い、しかも0〜100℃の範囲内の温度で、有利には10〜70℃の温度で、中でも20〜60℃の温度で行うことができる。微細分散に続いて顔料調製物を水(G)、好ましくは脱塩水又は蒸留水でさらに希釈する。
【0036】
本発明の顔料調製物は、あらゆる種類の天然又は合成材料の着色のために適しており、特に水性塗料、分散物及びワニス着色剤(エマルジョンワニス)に適している。さらに本発明の顔料調製物はあらゆる種類の巨大分子材料、例えば天然及び合成繊維材料、特にセルロース繊維の着色、紙パルプの着色、積層体の着色にも適している。他の用途には、印刷インク、例えば繊維製品のプリント、フレキソ印刷、凹版印刷、壁紙着色、水希釈性被覆剤、木材防腐系、ビスコース原液着色剤、粉末塗料を含めたワニス、ソーセージケーシング、種子、肥料、ガラス、特にガラス瓶の製造及び屋根板の着色、漆喰、コンクリート、木材着色剤、有色鉛筆心、フェルトペン、ワックス、パラフィン、グラフィックインク、ボールペン用ペースト、チョーク、洗剤及び浄化剤、靴手入れ用剤、ラテックス製品、摩耗剤の着色及びプラスチック又はあらゆる種類の高分子材料の着色がある。高分子有機材料には例えばセルロースエーテル及び−エステル、例えばエチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート又はセルロースブチラート、天然樹脂又は合成樹脂、例えば重合樹脂又は縮合樹脂、例えばアミノプラスト、特に尿素−及びメラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、フェノールプラスト、ポリカーボネート、ポリオレフィン、例えばポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアミド、ポリウレタン又はポリエステル、ゴム、カゼイン、ラテックス、シリコーン、シリコーン樹脂のそれぞれ又は相互の混合物がある。
【0037】
さらに本発明の顔料調製物は、あらゆる慣用のインクジェットインク、特にバブルジェット又はピエゾ法をベースとするもので使用するための印刷インクを製造するのに適している。この印刷インクを用いて紙に印刷することができ、並びに天然又は合成繊維材料、フィルム及び合成樹脂にも印刷できる。さらに本発明の顔料調製物は色々な種類の塗工又は非塗工基体材料に印刷するために用いることができ、例えば板紙、厚紙、木材及び木製材料、金属材料、半導体材料、セラミック材料、ガラス、ガラス及びセラミック繊維、無機材料、コンクリート、皮革、食品、化粧料、皮膚及び髪にも使用することができる。これらの基体材料は二次元的に平らでも又は空間的に広がっていてもよい。すなわち、三次元の構造でもよく、全体的に又は部分的に印刷又は被覆されてもよい。
【0038】
本発明の顔料調製物は更に電子写真トナーの着色剤及び顕色剤として、例えば一成分又は二成分粉末トナー(一成分又は二成分顕色剤とも称する)、磁気トナー、液体トナー、ラテックストナー、重合トナー並びに特殊トナーとして適している。この場合、典型的なトナーバインダーは付加重合樹脂、重付加樹脂及び重縮合樹脂、例えばスチレン−、スチレン−アクリレート−、スチレン−ブタジエン−、アクリレート−、ポリエステル−、フェノール−エポキシ樹脂、ポリスルホン、ポリウレタンのそれぞれ又はそれらの組合せ、並びに別の内容物質、例えば電荷制御剤、ワックス又は流動性助剤を含有しているか又は後でこれらの添加物で変性されるポリエチレン及びポリプロピレンがある。
【0039】
さらに本発明の顔料調製物は着色剤として液状インク、殊にインクジェット用インク、例えば水性又は非水性ベース(溶剤ベース)のもの、マイクロエマルジョン、紫外線硬化性インク並びにホットメルト法に従って官能化されるインクでも適している。
【0040】
さらに本発明の顔料調製剤は“フラット・パネル・ディスプレー”のための、加色法だけでなく減色法のための“カラーフィルター”用着色剤として、更にフォトレジストのための並びに電子インク(“電子インク”或いは“e−インク”又は電子ペーパ(“電子ペーパー”或いは“e−ペーパー”)のための着色剤としても使用することができる。
【0041】
実施例:
分散剤(B)の製造:
合成例1:
攪拌機、還流冷却機、内部温度計及び窒素導入管を備えたフラスコ中で、258gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:750、EO/PO−モル比6.3)、136.4gの2−エチルヘキシルメタクリレート、71.6gのスチレン及び16.5gの1−ドデカンチオールを660mLの第三ブタノール中に窒素導入下に最初に装入する。 次いで攪拌下に80℃の温度に加熱する。この反応温度に達した後に16.5gの開始剤AMBNを、130mLのイソブタノールに溶解した状態で1時間の間に配量供給する。次いで更に5時間、この温度で攪拌する。室温に冷却した後に溶剤を減圧下に除去する。
【0042】
後記の合成例も合成例1と同様に以下の原料の使用下に実施する:
合成例2:
210gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:350、EO/PO−モル比1.7)、79.2gの2−エチルヘキシルメタクリレート、41.6gのスチレン。
【0043】
合成例3:
258gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:750、EO/PO−モル比6.3)、87.5gのラウリルメタクリレート、35.8gのスチレン。
【0044】
合成例4:
210gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:350、EO/PO−モル比1.7)、101.6gのラウリルメタクリレート、41.6gのスチレン。
【0045】
合成例5:
363gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:1,100、EO/PO−モル比10.2、第三ブタノール中70%濃度)、117.3gのラウリルメタクリレート、48.0gのスチレン。
【0046】
合成例6:
452gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:2,000、EO/PO−モル比20.5、第三ブタノール中70%濃度)、80.4gのラウリルメタクリレート、32.9gのスチレン。
【0047】
合成例7:
210gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:350、EO/PO−モル比1.7)、202.8gのステアリルメタクリレート、62.4gのスチレン。
【0048】
合成例8:
258gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:750、EO/PO−モル比6.3)、38.2gのイソボルニルメタクリレート、30.3gのベンジルメタクリレート。
【0049】
合成例9:
363gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:1,100、EO/PO−モル比10.2、第三ブタノール中70%濃度)、39.3gのテトラヒドロフルフリルメタクリレート、87.8gのフェニルエチルメタクリレート。
【0050】
合成例10:
452gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:2,000、EO/PO−モル比20.5、第三ブタノール中70%濃度)、25.0gの2−エトキシエチルメタクリレート、29.7gの1−ビニルイミダゾール。
【0051】
合成例11:
210gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:350、EO/PO−モル比1.7)、69.0gのラウリルアクリレート、52.8gのベンジルメタクリレート。
【0052】
合成例12:
258gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:750、EO/PO−モル比6.3)、38.2gの1−ビニル−2−ピロリドン、107.3gのスチレン。
【0053】
合成例13:
452gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:2,000、EO/PO−モル比20.5、第三ブタノール中70%濃度)、31.3gの2−エトキシエチルメタクリレート、27.8gのベンジルメタクリレート。
【0054】
合成例14:
363gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:1,100、EO/PO−モル比10.2、第三ブタノール中70%濃度)、58.7gのラウリルメタクリレート、43.9gのフェニルエチルメタクリレート。
【0055】
合成例15:
258gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:750、EO/PO−モル比6.3)、116.3gのステアリルメタクリレート、70.9gの2−フェノキシエチルメタクリレート。
【0056】
合成例16:
210gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:350、EO/PO−モル比0.43)、72.0gのラウリルアクリレート、52.8gのベンジルメタクリレート。
【0057】
合成例17:
258gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:750、EO/PO−モル比0.22)、87.5gのラウリルアクリレート、35.8gのスチレン。
【0058】
合成例18:
363gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:1,100、EO/PO−モル比0.30、第三ブタノール中70%濃度)、58.7gのラウリルメタクリレート、43.9gのフェニルエチルメタクリレート。
【0059】
合成例19:
388gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:750、EO/PO−モル比6.3)、68.2gの2−エチルヘキシルメタクリレート、35.8gのスチレン。
【0060】
合成例20:
517gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:750、EO/PO−モル比6.3)、68.2gの2−エチルヘキシルメタクリレート、35.8gのスチレン。
【0061】
合成例21:
280gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:350、EO/PO−モル比1.7)、79.2gの2−エチルヘキシルメタクリレート、41.6gのスチレン。
【0062】
合成例22:
387gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:750、EO/PO−モル比6.3)、87.5gのラウリルメタクリレート、35.8gのスチレン。
【0063】
合成例23:
267gのポリアルキレングリコールモノメタクリレート(分子量:350、EO/PO−モル比1.7)、101.6gのラウリルメタクリレート、41.6gのスチレン。
【0064】
比較合成例1:
ドイツ特許出願公開第10 2005 019 384号明細書、実施例1に従うコポリマー。
【0065】
温度計、窒素引き込み口並びに集中冷却器を備えた1Lの三口フラスコ中に291.8gのスチレン、603.3gのメタクリル酸並びに209.8gのメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(1,000g/mol)(MPEG 1000MA)(水中50%濃度)を攪拌下にテトラヒドロフランに溶解する。次いで30.2gのジベンゾイルペルオキシド(水 中75%濃度)を添加しそしてフラスコ内容物を弱い窒素流の下で65℃に加温する。この混合物を還流下に18時間加熱する。その後にほぼ室温に冷ます。強力な攪拌下に回分的に73.75gのNaOH並びに1.25Lの脱イオン水を添加する。フラスコ内容物が再び溶解した後に、テトラヒドロフラン、水並びに未反応スチレンを減圧下に留去する。この場合、圧力は、混合物の温度が40℃を越えないように選択する。濃縮されたポリマー溶液を約33重量%の固形分含有量に水で調整する。
【0066】
顔料調製物の製造:
顔料を、粉末、顆粒として又はプレスケーキ状物として分散剤及び他の添加物と一緒に脱イオン水中で混練し、次いでAE3-M1タイプのディソルバー(製造元:VMAGetzmann GmbH社)又は他の適当な装置を用いて均一化しそして予備分散させる。続く微細分散をビーズミル(例えばVMAGetzmann GmbH社のAE3-M1)又は他の適当な分散装置によって行う。そのときサイズd=1mmのシリクワルザイト(siliquartzite )ビーズ又はジルコニウム混合酸化物ビーズを用いて冷却下に所望の色濃度及び色調が得られるまで粉砕する。その後に分散物を脱イオン水で所望の顔料濃度に調整し、粉砕媒体を分離除去しそして顔料調製物を分離する。
【0067】
以下の実施例に記載の顔料調製物は、既に説明した方法に従って製造されるが、そのとき各成分は、100部の顔料調製物がそれぞれに生じるように各実施例に記載した量で使用される。以下の実施例において部は重量部を意味する。
【0068】
顔料調製物の評価:
色濃度及び色調の測定はDIN 55986に従って行った。“擦過試験”のために分散塗料又はワニスを顔料分散物との混合後にペイントカードに塗布する。次いでペイントカードの下部を指で擦る。擦った領域が後処理されていない隣接の領域よりも高濃度であるか又は輝いている場合には不適合である(“擦過試験”はドイツ特許出願公開第2,638,946号明細書に説明されている。)。色濃度及び着色するべき媒体との適合性を6つの異なる白色分散物を用いて測定した:
1.白色分散物A(屋外用塗料、水性ベース、20%TiO2濃度)
2.白色分散物B(屋外用塗料、水性ベース、13.4%TiO2濃度)
3.白色分散物C(屋外用塗料、水性ベース、22.6%TiO2濃度)
4.白色分散物D(屋外用塗料、水性ベース、バインダー:ポリシロキサンエマ ルジョン、TiO2、タルク、炭酸カルシウム)
5.白色分散物E(屋内用塗料、水性ベース、溶剤及び可塑剤不含のポリマー分 散物、低発光、TiO2、炭酸カルシウム)
白色分散物F(屋内用塗料、水性ベース、ポリアクリレート、TiO2、炭酸カ ルシウム)
粘度はHaake社の円錐平板粘度計(Roto Visco 1)を用いて20℃で測定した(チタン性円錐:(φ60mm、1°)。その際に粘度と剪断速度とが0〜200s-1の範囲内の関係において試験した。60s-1の剪断速度で粘度を測定した。
【0069】
分散物の緒総安定性を評価するために粘度を調製物の製造直後並びに50℃で4週間貯蔵した後に測定した。
【0070】
剪断安定性及び泡立ち挙動を、2%に希釈した調製物を市販の調理用混合機(Braun MX32)を用いて高速回転で攪拌した後観察した。調製物が剪断安定性であればあるほど、剪断処理分散物と剪断未処理分散物との比較で剪断後の色濃度の低下が僅かである。ミキサーのスイッチを切った後の泡挙動を観察した。
【0071】
以下の実施例に記載の顔料調製物は、既に説明した方法に従って製造されているが、そのとき以下の各成分は、100部の顔料調製物がそれぞれに生じるように各実施例に記載した量で使用される。以下の実施例において部は重量部を意味する。
【実施例1】
【0072】
50.0部の成分(A) C.I.ピグメントブルー15
7.0部の成分(B) 合成例19に相当する分散剤
2.0部の成分(C) 湿潤剤
8.0部の成分(E) エチレングリコール
0.2部の成分(F) 保存剤
残量の成分(G) 水
この顔料調製物は常に濃い色濃度を有しそして安定している。6つの白色分散物A〜F中に、容易に分散しながら非常に良好に導入できる。いずれの場合も擦過試験で、擦り領域と未擦り領域との比較で色濃度に相違が無かった。調製物は、28日間、50℃で貯蔵した後でも未だ良好な流動性があるので、良好な流動性で貯蔵安定性があることが判った。製造後の粘度は642mPa.sである。この調製物は剪断安定性がありそして泡立たない。
【実施例2】
【0073】
45.0部の成分(A) C.I.ピグメントレッド112
8.0部の成分(B) 合成例23に相当する分散剤
1.0部の成分(C) 湿潤剤
10.0部の成分(E) ポリプロピレングリコール
0.2部の成分(F) 保存剤
残量の成分(G) 水
この顔料調製物は常に濃い色濃度を有しそして安定している。6つの白色分散物中に、容易に分散しながら非常に良好に導入できる。6つの場合に、擦過試験で、擦り領域と未擦り領域との比較で色濃度に相違が無かった。調製物は、28日間、50℃で貯蔵した後でも未だ良好な流動性があるので、良好な流動性で貯蔵安定性があることが判った。製造後の粘度は278mPa.sである。この調製物は剪断安定性がありそして泡立たない。
【実施例3】
【0074】
65.0部の成分(A) C.I.ピグメントイエロー42
4.0部の成分(B) 合成例11に相当する分散剤
1.0部の成分(C) 湿潤剤
15.0部の成分(E) プロピレングリコール
0.2部の成分(F) 保存剤
残量の成分(G) 水
この顔料調製物は常に濃い色濃度を有しそして安定している。5つの白色分散物中に、容易に分散しながら非常に良好に導入できる。第6の白色分散物の場合には導入しに難かったが、均一にすることができた。擦過試験で、6つの場合に、擦り領域と未擦り領域との比較で色濃度に相違が無かった。調製物は、28日間、50℃で貯蔵した後でも未だ良好な流動性があるので、良好な流動性で貯蔵安定性があることが判った。製造後の粘度は1,765mPa.sである。この調製物は剪断安定性がありそして泡立たない。
【実施例4】
【0075】
40.0部の成分(A) C.I.ピグメントレッド168
12.0部の成分(B) 合成例18の式(II)に相当する分散剤
20.0部の成分(E) エチレングリコール
0.2部の成分(F) 保存剤
残量の成分(G) 水
この顔料調製物は常に濃い色濃度を有しそして安定している。6つの全ての白色分散物中に、容易に分散しながら非常に良好に導入できる。擦過試験で、6つの場合に、擦り領域と未擦り領域との比較で色濃度に相違が無かった。調製物は、28日間、50℃で貯蔵した後でも未だ良好な流動性があるので、良好な流動性で貯蔵安定性があることが判った。製造後の粘度は894mPa.sである。この調製物は剪断安定性がありそして泡立たない。
【実施例5】
【0076】
40.0部の成分(A) C.I.ピグメントブラック7
6.5部の成分(B) 合成例21に相当する分散剤
残量の成分(G) 水
この顔料調製物は常に濃い色濃度を有しそして安定している。6つの全ての白色分散物中に、容易に分散しながら非常に良好に導入できる。擦過試験で、6つの場合に、擦り領域と未擦り領域との比較で色濃度に相違が無かった。調製物は、28日間、50℃で貯蔵した後でも未だ良好な流動性があるので、良好な流動性で貯蔵安定性があることが判った。製造後の粘度は483mPa.sである。この調製物は剪断安定性がありそして泡立たない。
【実施例6】
【0077】
50.0部の成分(A) C.I.ピグメントグリーン7
7.5部の成分(B) 合成例2に相当する分散剤
15.0部の成分(E) プロピレングリコール
0.2部の成分(F) 保存剤
残量の成分(G) 水
この顔料調製物は常に濃い色濃度を有しそして凝集安定性がある。6つの全ての白色分散物中に、容易に分散しながら非常に良好に導入できる。擦過試験で、6つの場合に、擦り領域と未擦り領域との比較で色濃度に相違が無かった。調製物は、28日間、50℃で貯蔵した後でも未だ良好な流動性があるので、良好な流動性で貯蔵安定性があることが判った。製造後の粘度は669mPa.sである。この調製物は剪断安定性がありそして泡立たない。
【0078】
比較例:
45.0部の成分(A) C.I.ピグメントレッド112
8.0部の成分(B) 比較合成例1に基づく分散剤
1.3部の成分(C) 湿潤剤
10.0部の成分(E)プロピレングリコール
0.2部の成分(F) 保存剤
35.5部の成分(G)水
この顔料調製物は白色分散物A、B、C、Eにおいてのみ濃い色濃度を有している。白色分散物D及びFにおいては色濃度は85或いは90%である。分散物系D及びFは顕著な擦過を示し、Bでは僅かな擦過が確認できる。この分散物は50℃で28日の貯蔵の後に固化したので、十分な貯蔵安定性がない。
【0079】
顔料調製物に関する他の例を後記の表に示す。それぞれ40%濃度の顔料調製物を以下の処方でピグメントイエロー83をベースとして製造する。
40.0部の成分(A) C.I.ピグメントイエロー83
10.0部の成分(B) 表に記載するような合成例から式(I)又は(II) に相応する分散剤
1.0部の成分(C) 湿潤剤
10.0部の成分(E)プロピレングリコール
0.2部の成分(F) 保存剤
残量の成分(G) 水。
【0080】
表中の文字A〜Fは試験した白色分散物を示す記号である。FSは色濃度の略字である。
【0081】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1種類の有機顔料及び/又は無機顔料、
(B)下記式(I)又は(II)で表される分散剤又は式(I)及び(II)で表される分散剤の混合物
【化1】

[式中、指数a、b及びcはそれぞれのモノマーのモル分率を示しており、
aは0.01〜0.8で、
bは0.001〜0.8で、そして
cは0.001〜0.8であり、
a+b+cの合計は1であり、そして
AはC2〜C4−アルキレン基であり、
BはAと異なるC2〜C4−アルキレン基であり、
Rは水素又はメチル基であり、
mは1〜500の数であり;
nは1〜500の数であり;
m+nの合計は2〜1000であり;
aは場合によっては1つ又は複数のヘテロ原子のN、O及びSを含有する炭素原子数3〜30の芳香族又は芳香脂肪族残基であり、
aはH又はC1〜C4−アルキル基であり、
bはH又はC1〜C4−アルキル基であり、
cはH又はC1〜C4−アルキル基であり、
1は水素又はメチル基であり、
bは場合によっては1つ又は複数のヘテロ原子のN、O及びSを含有する炭素 原子数3〜30の芳香族又は芳香脂肪族残基であり、
aは酸素原子又はNH基であり、
2は水素又はメチル基であり、
Yは直鎖状の又は分岐しているか又は環状でもよく、ヘテロ原子のN、O及び/ 又はSを含有していてもよく、かつ、不飽和でもよい炭素原子数1〜30の脂 肪族炭化水素残基であり、
bは酸素原子又はNH基である。]
(C)場合によっては湿潤剤、
(D)場合によっては他の界面活性剤及び/又は分散剤、
(E)場合によっては1種類又は複数種の有機溶剤及び/又は1種類又は複数種 のヒドロトロピック物質、
(F)場合によっては、顔料水性分散物を製造するための別の種類の通常の添加 物及び
(G)水
を含有する顔料水性調製物。
【請求項2】
5〜80重量%の成分(A)を含有する、請求項1に記載の顔料調製物。
【請求項3】
0.1〜30重量%の成分(B)を含有する、請求項1又は2に記載の顔料調製物。
【請求項4】
成分(A)〜(G)がそれぞれ顔料調製物の総重量を基準として以下の組成であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の顔料調製物:
(A)5〜80重量%、
(B)0.1〜30重量%、
(C)0〜10重量%。
(D)0〜20重量%、
(E)0〜30重量%、
(F)0〜20重量%、
(G)残量の水
【請求項5】
成分(A)〜(G)がそれぞれ顔料調製物の総重量を基準として以下の組成であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の顔料調製物:
(A)10〜70重量%、
(B)2〜15重量%、
(C)0.1〜5重量%、
(D)1〜10重量%、
(E)5〜20重量%、
(F)0.1〜5重量%、
(G)残量の水
【請求項6】
成分(A)の有機顔料がモノアゾ顔料、ジアゾ顔料、レーキ化アゾ顔料、β−ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジスアゾ縮合顔料、アゾ金属錯塩顔料又は、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンタントロン顔料、アントラキノン顔料、フラバントロン顔料、インダトロン顔料、イソバイオラントロン顔料、ピラントロン顔料、ジオキサジン顔料、キノフタロン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料及びジケトピロロピロール顔料の群から選ばれた多環式顔料又はカーボンブラックである、請求項1〜5のいずれか一つに記載の顔料調製物。
【請求項7】
成分(B)中にアルキレンオキサイド単位(A−O)m及び(B−O)nがブロック状に配置されている、請求項1〜6のいずれか一つに記載の顔料調製物。
【請求項8】
成分(B)において(A−O)mがプロピレンオキサイド単位でありそして(B−O)nがエチレンオキサイド単位であるか又は(A−O)mがエチレンオキサイド単位でありそして(B−O)nがプロピレンオキサイド単位であり、エチレンオキサイド単位のモル分率がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位との合計を基準として50〜98%である、請求項1〜7のいずれか一つに記載の顔料調製物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の顔料調製物を製造する方法において、粉末、顆粒又は水性プレスケーキ状物の状態の成分(A)を水(G)並びに成分(B)及び場合によっては成分(C)及び(D)の存在下に分散させ、次いで場合によっては水(G)並びに場合によっては1種類又は複数種の成分(E)及び(F)を混入しそして場合によっては得られる顔料水性分散物を水(G)で希釈するか又は
成分(B)を予めに装填しそして場合によっては1種類又は複数種の成分(C)、(D)、(E)及び(F)を最初に混入均一化し、次いで成分(A)を予め装填された混合物中に導入し、そのときに該成分(A)がペースト化し初めており、かつ、予め分散されていることを特徴とする、上記方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の顔料調製物の、天然又は合成材料の着色のための使用。
【請求項11】
水性塗料、分散及びワニス着色剤、水希釈性ワニス、壁紙着色剤及び印刷インクの着色のための請求項10に記載の使用。
【請求項12】
天然及び合成繊維材料、セルロース繊維の着色、紙パルプの着色、積層体の着色及び印刷インク、インクジェットインク、電子写真トナー、粉末塗料、カラーフィルター、電子インク及び“電子ペーパー”、カラーフィルター、木材防腐系、ビスコース原液着色剤、ソーセージケーシング、種子製品、肥料、ガラス瓶の製造及び屋根板の着色、漆喰、コンクリート、木材着色剤、有色鉛筆心、フェルトペン、ワックス、パラフィン、グラフィックインク、ボールペン用ペースト、チョーク、洗剤及び浄化剤、靴手入れ用剤、ラテックス製品、摩耗剤の着色及びプラスチックの着色のための、請求項10に記載の使用。

【公表番号】特表2010−530008(P2010−530008A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506837(P2010−506837)
【出願日】平成20年4月29日(2008.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003457
【国際公開番号】WO2008/138487
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】