説明

顔料組成物、インクジェット記録用インク、カラーフィルター用着色組成物及びカラーフィルター

【課題】着色力、色相等の色彩的特性に優れ、かつ耐光性、耐オゾン性等の耐久性に優れ、また分散性、分散安定性、経時安定性に優れた顔料分散物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるアゾ顔料、及び親水性基を有する顔料誘導体を含有することを特徴とする顔料組成物。


(一般式(1)中、Gは水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基又はアリールスルホニル基を表し、Rは、アミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Rは置換基を表し、Aは芳香族5〜6員ヘテロ環基を表す。mは0〜5の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。一般式(1)がイオン性親水性基を有することはない。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料組成物、インクジェット記録用インク、カラーフィルター用着色組成物及びカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像記録材料としては、特にカラー画像を形成するための材料が主流であり、具体的には、インクジェット方式の記録材料、感熱転写方式の記録材料、電子写真方式の記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インキ、記録ペン等が盛んに利用されている。また、撮影機器ではCCDなどの撮像素子において、ディスプレーではLCDやPDPにおいてカラー画像を記録・再現するためにカラーフィルターが使用されている。これらのカラー画像記録材料やカラーフィルターでは、フルカラー画像を表示あるいは記録する為に、いわゆる加法混色法や減法混色法の3原色の色素(染料や顔料)が使用されているが、好ましい色再現域を実現できる吸収特性を有し、かつさまざまな使用条件、環境条件に耐えうる堅牢な色素がないのが実情であり、改善が強く望まれている。
【0003】
上記の各用途で使用する染料や顔料には、共通して次のような性質を具備している必要がある。即ち、色再現性上好ましい吸収特性を有すること、使用される環境条件下における堅牢性、例えば耐光性、耐熱性、オゾンなどの酸化性ガスに対する耐性が良好であること、等が挙げられる。加えて、色素が顔料の場合には更に、水や有機溶剤に実質的に不溶であり耐薬品堅牢性が良好であること、及び、粒子として使用しても分子分散状態における好ましい吸収特性を損なわないこと、等の性質をも具備している必要がある。上記要求特性は分子間相互作用の強弱でコントロールすることができるが、両者はトレードオフの関係となるため両立させるのが困難である。
また、顔料を使用するにあたっては、他にも、所望の透明性を発現させるために必要な粒子径及び粒子形を有すること、使用される環境条件下における堅牢性、例えば耐光性、耐熱性、オゾンなどの酸化性ガスに対する耐性、その他有機溶剤や亜硫酸ガスなどへの耐薬品堅牢性が良好であること、使用される媒体中において微小粒子まで分散し、かつ、その分散状態が安定であること、等の性質も必要となる。
【0004】
例えば、特許文献1には、有機顔料と、βナフトール基を有するアゾ顔料誘導体とを含有する顔料組成物が開示されており、この技術によれば、分散性、分散安定性、透明性及び鮮明性が優れるとされている。
また、特許文献2には、有機顔料と、縮合アゾ顔料誘導とを含有する顔料組成物が開示されており、この技術によれば、流動性及び非凝集性に優れた顔料組成物が得られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−202021号公報
【特許文献2】特開2008−208366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、画像記録材料やカラーフィルター用途の顔料組成物においては、分散性、分散安定性、透明性及び鮮明性や、流動性及び非凝集性に優れることに加え、更に良好な着色力、色相、耐候性などの堅牢性、顔料組成物自体の経時安定性などが求められている。
【0007】
本発明の目的は、着色力、色相等の色彩的特性に優れ、かつ耐光性、耐オゾン性等の耐久性に優れ、また分散性、分散安定性、経時安定性に優れた顔料組成物及びインクジェット記録用インクを提供することである。
本発明の別の目的は、良好な色相を有し、光、熱及びオゾンに対して良好な堅牢性を発揮し、かつ分散性が良好であり、透明性の高く分光特性、コントラスト、分散物経時安定性に優れたカラーフィルターを提供し得るカラーフィルター用着色組成物を提供することにある。
更に本発明の別の目的は、上記カラーフィルター用着色組成物を用いて得られる、透明性が高く、分光特性、コントラスト、分散物経時安定性に優れたカラーフィルターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、良好な色相を有し、かつ光、熱及びオゾンに対して良好な堅牢性を発揮する特定の含窒素ヘテロ環アゾ顔料と、該アゾ顔料に対する分散力に優れた顔料分散剤とを含有する顔料組成物とすることで、上記目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題は以下の手段により達成することができる。
以下に具体的手段を以下に示す。
【0009】
〔1〕
(A)下記一般式(1)で表されるアゾ顔料、及び(B)親水性基を有する下記一般式(B1)で表される顔料誘導体を含有することを特徴とする顔料組成物。
【0010】
【化1】

【0011】
(一般式(1)中、Gは水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基又はアリールスルホニル基を表し、Rは、アミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Rは置換基を表し、Aは芳香族5〜6員ヘテロ環基を表す。mは0〜5の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。n=2の場合は、R、R、A又はGを介した2量体を表す。n=3の場合はR、R、A又はGを介した3量体を表す。n=4の場合はR、R、A又はGを介した4量体を表す。一般式(1)がイオン性親水性基を有することはない。)
【0012】
【化2】

【0013】
(一般式(B1)中、Pはアンサンスロン系色素残基、アントラキノン系色素残基、アントラピリミジン系色素残基、アゾ系色素残基、キナクリドン系色素残基、キノフタロン系色素残基、ジケトピロロピロール系色素残基、ジオキサジン系色素残基、フラバンスロン系色素残基、インダンスロン系色素残基、イソインドリン系色素残基、イソインドリノン系色素残基、イソビオランスロン系色素残基、金属錯体系色素残基、ペリノン系色素残基、ペリレン系色素残基、フタロシアニン系色素残基、ピランスロン系色素残基、ピラゾロキナゾロン系色素残基、チオインジゴ系色素残基又はトリアリールカルボニウム系色素残基を表わす。Xは、−SO・M/m若しくは−COO・M/m(Mは水素イオン、1〜3価の金属イオン又はアンモニウムイオンより選択される対カチオンを表し、mはMの価数(1〜3の整数)を表す)又はアミノ基を示す。n1は1〜4の整数を表す。)
〔2〕
前記顔料誘導体が、ジケトピロロピロール系顔料誘導体、キナクリドン系顔料誘導体、アントラキノン系顔料誘導体及びアゾ系顔料誘導体からなる群より選択された少なくとも1つであることを特徴とする〔1〕に記載の顔料組成物。
〔3〕
前記顔料誘導体が、アゾ系顔料誘導体であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の顔料組成物。
〔4〕
前記アゾ系顔料誘導体が、下記一般式(B2)で表されるアゾ化合物、その互変異性体、それらの塩又は水和物であることを特徴とする〔3〕に記載の顔料組成物。
【0014】
【化3】

【0015】
一般式(B2)中、GB2は、水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基又は親水性基を表し、RB21は、アミノ基、脂肪族オキシ基、窒素原子で結合したヘテロ環基又は親水性基を表し、RB2からRB6はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表す。AB2は、アリール基、又はヘテロ環基を表す。RB21、RB2からRB6及びAB2の少なくとも1つは親水性基を有する。nは1〜4の整数を表す。n=2の場合は、RB21、RB2からRB6、AB2又はGB2を介した2量体を表す。n=3の場合はRB21、RB2からRB6、AB2又はGB2を介した3量体を表す。n=4の場合はRB21、RB2からRB6、AB2又はGB2を介した4量体を表す。
〔5〕
前記(A)一般式(1)で表されるアゾ顔料に対する前記(B)親水性基を有する一般式(B1)で表される顔料誘導体の含有量が、0.1〜30質量%であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の顔料組成物。
〔6〕
〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の顔料組成物を含むことを特徴とするインクジェット記録用インク。
〔7〕
〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の顔料組成物を含むことを特徴とするカラーフィルター用着色組成物。
〔8〕
〔7〕に記載のカラーフィルター用着色組成物を用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、着色力、色相等の色彩的特性に優れ、かつ耐光性、耐オゾン性等の耐久性に優れ、また分散性、分散安定性、経時安定性に優れた顔料分散物、着色組成物及びインクジェット記録用インクを提供することができる。
また、良好な色相を有し、光、熱及びオゾンに対して良好な堅牢性を発揮し、かつ分散性が良好であり、透明性の高く分光特性、コントラスト、分散物経時安定性に優れたカラーフィルターを提供し得るカラーフィルター用着色組成物を提供することができる。
更に、上記カラーフィルター用着色組成物を用いて得られる、透明性が高く、分光特性、コントラスト、分散物経時安定性に優れたカラーフィルターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】合成例1に従って合成された具体的化合物例D−1の赤外吸収スペクトルの図である。
【図2】合成例2に従って合成された具体的化合物例D−33の赤外吸収スペクトルの図である。
【図3】合成例3に従って合成された具体的化合物例D−20の赤外吸収スペクトルの図である。
【図4】合成例4に従って合成された具体的化合物例D−22の赤外吸収スペクトルの図である。
【図5】合成例5に従って合成された具体的化合物例D−222の赤外吸収スペクトルの図である。
【図6】合成例6に従って合成された具体的化合物例D−228の赤外吸収スペクトルの図である。
【図7】合成例7に従って合成された具体的化合物例D−8の赤外吸収スペクトルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、本発明における脂肪族基、アリール基、複素環基及び置換基について説明する。
本発明における脂肪族基において、その脂肪族部位は直鎖、分岐鎖及び環状のいずれであってもよい。また、飽和であっても不飽和であってもよい。具体的には例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等を挙げることができる。更に脂肪族基は無置換であっても置換基を有していてもよい。
【0019】
また、アリール基は、単環であっても縮合環であってもよい。また、無置換であっても置換基を有していてもよい。また、複素環基は、その複素環部位は環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子、酸素原子)を持つものであればよく、飽和環であっても、不飽和環であってもよい。また、単環であっても縮合環であってもよく、更に無置換であっても置換基を有していてもよい。
【0020】
また、本発明における置換基とは、置換可能な基であればよく、例えば脂肪族基、アリール基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、複素環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、複素環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、複素環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、脂肪族オキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシホスフィニル基、ジアリールオキシホスフィニル基等をあげることができる。
【0021】
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について若干説明する。
ハメット則はベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に含まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。本発明の一般式(1)、(2−1)、(2−2)、(2−3)、(3)、(3−1)〜(3−4)で表されるアゾ化合物はベンゼン誘導体ではないが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては今後、σp値をこのような意味で使用する。
【0022】
上記のように、本発明の顔料組成物は、(A)一般式(1)で表されるアゾ顔料と、(B)一般式(B1)で表される親水性基を有する顔料誘導体を含有する。
【0023】
[(A)アゾ顔料]
まず、本発明における(A)一般式(1)で表されるアゾ顔料(以下、「(A)アゾ顔料」又は「(A)アゾ化合物」と称する場合がある)について説明する。
一般に、顔料は、色素分子間の強力な相互作用による凝集エネルギーによって、分子同士がお互いに強固に結合しあっている状態を有する。この状態を作るには、分子間のファンデルワールス力、分子間水素結合が必要であることが、例えば、日本画像学会誌、43巻、10頁(2004年)等に記載されている。
分子間のファンデルワールス力を強めるには、分子へ芳香族基、極性基及び/又はヘテロ原子の導入等が考えられる。また、分子間水素結合を形成させるには、分子へヘテロ原子に結合した水素原子を含有する置換基の導入及び/又は電子供与性の置環基の導入等が考えられる。更に分子全体の極性が高い方が好ましいと考えられる。そのためには、例えば、アルキル基等鎖状の基は短い方が好ましく、分子量/アゾ基の値は小さい方が好ましいと考えられる。
これらの観点から、顔料分子は、アミド結合、スルホンアミド結合、エーテル結合、スルホ基、オキシカルボニル基、イミド基、カルバモイルアミノ基、ヘテロ環、ベンゼン環等を含有することが好ましい。
【0024】
本発明にかかるアゾ顔料は下記一般式(1)で表される特定の構造を有することにより、着色力、色相等の色彩的特性において優れた特性を示し、かつ耐光性、耐オゾン性等の耐久性にも優れた特性を示すことができる。
次に一般式(1)で表される顔料について説明する。
【0025】
【化4】

【0026】
(一般式(1)中、Gは水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基又はアリールスルホニル基を表す。Rは、アミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Rは置換基を表す。Aは芳香族5〜6員ヘテロ環基を表す。mは0〜5の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。n=2の場合は、R、R、A又はGを介した2量体を表す。n=3の場合はR、R、A又はGを介した3量体を表す。n=4の場合はR、R、A又はGを介した4量体を表す。一般式(1)がイオン性親水性基を有することはない。)
【0027】
Gで表される脂肪族基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Gで表される脂肪族基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキル基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜4のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、ビニル、シクロヘキシル、カルバモイルメチル等が挙げられる。
【0028】
Gで表されるアリール基としては、縮環していてもよく、置換基を有していてもよい。置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ニトロ基、ハロゲン原子、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Gで表されるアリール基として、好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、より好ましくは総炭素原子数6〜10のアリール基であり、例えばフェニル、4−ニトロフェニル、4−アセチルアミノフェニル、4−メタンスルホニルフェニル等が挙げられる。
【0029】
Gで表されるヘテロ環基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、縮環していてもよい。置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としてはハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Gで表されるヘテロ環基として、好ましくは総炭素原子数2〜12の炭素原子で結合したヘテロ環基であり、より好ましくは炭素原子で結合した総炭素原子数2〜10の5〜6員へテロ環であり、例えば2−テトラヒドロフリル、2−ピリミジル等が挙げられる。
【0030】
Gで表されるアシル基としては、脂肪族カルボニル基であっても、アリールカルボニル基であっても、ヘテロ環カルボニル基であってもよく、置換基を有していてもよい。置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アリール基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Gで表されるアシル基として、好ましくは総炭素原子数2〜8のアシル基であり、より好ましくは総炭素原子数2〜4のアシル基であり、例えばアセチル、プロパノイル、ベンゾイル、3−ピリジンカルボニル等が挙げられる。
【0031】
Gで表される脂肪族オキシカルボニル基としては、飽和であっても不飽和であってもよく、置換基を有していてもよい。置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Gで表される脂肪族オキシカルボニル基として、好ましくは総炭素原子数2〜8のアルコキシカルボニル基であり、より好ましくは総炭素原子数2〜4のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、(t)−ブトキシカルボニル等が挙げられる。
【0032】
Gで表されるカルバモイル基としては、置換基を有していてもよい。置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、脂肪族基、アリール基、へテロ環基等が好ましい。Gで表される置換基を有してもよいカルバモイル基として、好ましくは無置換のカルバモイル基、総炭素数2〜9のアルキルカルバモイル基、総炭素原子数7〜11であり、より好ましくは無置換のカルバモイル基、総炭素原子数2〜5のアルキルカルバモイル基であり、例えばN−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等が挙げられる。
【0033】
Gで表される脂肪族スルホニル基としては、飽和であっても不飽和であってもよく、置換基を有していてもよい。置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、アリール基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Gで表される脂肪族スルホニル基として、好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキルスルホニル基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜4のアルキルスルホニル基であり、例えばメタンスルホニル等が挙げられる。
【0034】
Gで表されるアリールスルホニル基としては、置換基を有していてもよい。置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、脂肪族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Gで表されるアリールスルホニル基として、好ましくは総炭素原子数6〜10のアリールスルホニル基であり、例えばベンゼンスルホニル等が挙げられる。
【0035】
Gとして好ましくは、水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基であり、より好ましくは水素原子である。分子内水素結合又は分子内交叉水素結合を形成しやすくなるためである。
【0036】
で表されるアミノ基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基であって、置換可能な基であればなんでもよく、置換基として好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等が挙げられる。
これらの置換基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、脂肪族基、ヒドロキシ基、アミド結合、エーテル結合、オキシカルボニル結合、チオエーテル結合等を有する置換基が好ましく、ヘテロ原子と水素原子の結合を有する置換基が、分子間水素結合等の分子間相互作用をし易くする観点でより好ましい。
で表される置換基を有してもよいアミノ基として、好ましくは無置換のアミノ基、総炭素原子数1〜10のアルキルアミノ基、総炭素原子数2〜10のジアルキルアミノ基、総炭素原子数6〜13のアリールアミノ基、総炭素原子数2〜12の飽和であっても、不飽和であってもよいヘテロ環アミノ基であり、より好ましくは、無置換のアミノ基、総炭素原子数1〜8のアルキルアミノ基、総炭素原子数6〜13のアリールアミノ基、総炭素原子数2〜12の飽和であっても、不飽和であってもよいヘテロ環アミノ基であり、例えばメチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N−フェニルアミノ、N−(2−ピリミジル)アミノ等が挙げられる。
更に好ましくは、置換基を有していても良い総炭素原子数6〜13のアリールアミノ基及び置換基を有していても良い総炭素原子数2〜12の飽和であっても、不飽和であってもよいヘテロ環アミノ基である。
【0037】
がアリールアミノ基の場合、アリール基上の置換基が、アミノ基との結合位置からパラ位に置換基を有する場合が好ましく、パラ位にのみ置換基を有する場合が最も好ましい。その置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で置換可能な基であればなんでも良く、好ましくは、総炭素原子数1〜7、より好ましくは総炭素原子数1〜4の置換基を有していても良い脂肪族基(例えばメチル、エチル、アリル、(i)−プロピル、(t)−ブチル等)、総炭素原子数1〜7、より好ましくは総炭素原子数1〜4の置換基を有していても良い脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、(i)−プロピルオキシ、アリルオキシ等)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素等)、総炭素原子数1〜7、より好ましくは総炭素原子数1〜4の置換基を有していても良いカルバモイル基(例えばカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−メチルカルバモイル等)、総炭素原子数1〜7、より好ましくは総炭素原子数1〜4の置換基を有していても良いウレイド基(例えばウレイド、N−メチルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N−4−ピリジルウレイド、N−フェニルウレイド等)、ニトロ基、総炭素原子数1〜7の該アリール基と縮環したヘテロ環(例えばイミダゾロン)、ヒドロキシ基、総炭素原子数1〜7、より好ましくは総炭素原子数1〜4の置換基を有していても良い脂肪族チオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、(i)−プロピルチオ、アリルチオ、(t)−ブチルチオ等)、総炭素原子数2〜7、より好ましくは総炭素原子数2〜4の置換基を有していても良いアシルアミノ基(例えばアセトアミノ、プロピオニルアミノ、ピバロイルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、総炭素原子数1〜7、より好ましくは総炭素原子数1〜4の置換基を有していても良い脂肪族オキシカルボニルアミノ基(例えばメトキシカルボニルアミノ、プロピルオキシカルボニルアミノ等)、総炭素原子数2〜7、より好ましくは総炭素原子数2〜4の置換基を有していても良い脂肪族オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、総炭素原子数2〜7、より好ましくは総炭素原子数2〜4の置換基を有していても良いアシル基(脂肪族カルボニル基であっても、アリールカルボニル基であっても、ヘテロ環カルボニル基であってもよく、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。好ましくは総炭素原子数2〜7のアシル基であり、より好ましくは総炭素原子数2〜4のアシル基であり、例えばアセチル、プロパノイル、ベンゾイル、3−ピリジンカルボニル等)が挙げられる。
アリール基上の置換基が、アミノ基との結合位置からパラ位に置換した場合、置換基が分子の末端にあるために、分子間水素結合等の分子間相互作用をし易く、そのために色相がシャープになる。該アリール基上の置換基が更に置換基を有する場合は、脂肪族基、ヒドロキシ基、アミド結合、エーテル結合、オキシカルボニル結合、チオエーテル結合等を有する置換基が好ましく、ヘテロ原子と水素原子の結合を有する置換基が、分子間水素結合等の分子間相互作用をし易くする観点でより好ましい。
がへテロ環アミノ基の場合、その置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で置換可能な基であればなんでも良く、好ましくは、前記アリールアミノ基の場合と同じ置換基が好ましい。該ヘテロ環基上の置換基が更に置換基を有する場合は、脂肪族基、ヒドロキシ基、アミド結合、エーテル結合、オキシカルボニル結合、チオエーテル結合等を有する置換基が好ましく、ヘテロ原子と水素原子の結合を有する置換基が、分子間水素結合等の分子間相互作用をし易くする観点でより好ましい。
【0038】
がアリールアミノ基、へテロ環アミノ基の場合のより好ましい置換基としては、脂肪族基、脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、カルバモイル基、該アリール基と縮環したへテロ環、脂肪族オキシカルボニル基である。置換基として更に好ましくは総炭素原子数1〜4の脂肪族基、総炭素原子数1〜4の脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、総炭素原子数1〜4のカルバモイル基、ニトロ基、総炭素原子数2〜4の脂肪族オキシカルボニル基である。
【0039】
で表される脂肪族オキシ基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。置換基としては、前述の置換基の項で述べた基であって、置換可能な基であればなんでもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Rの脂肪族オキシ基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルコキシ基であって、より好ましくは総炭素原子数1〜4のアルコキシ基であって、更に好ましくは総炭素数1〜2であり、例えば、メトキシ、エトキシ、(t)−ブトキシ、メトキシエトキシ、カルバモイルメトキシ等が挙げられる。
【0040】
で表される脂肪族基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。前述の置換基の項で述べた基であって、置換可能な基であればなんでもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Rの脂肪族基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキル基であって、より好ましくは総炭素数数1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、(s)−ブチル、メトキシエチル、カルバモイルメチル等が挙げられる。
【0041】
で表されるアリール基としては、置換基を有していてもよく、置換基としては、前述の置換基の項で述べた基であって、置換可能な基であればなんでもよい。好ましい置換基としては、脂肪族基、脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、カルバモイル基、該アリール基と縮環したへテロ環、脂肪族オキシカルボニル基である。Rのアリール基として、好ましくは総炭素原子数6〜12のアリール基であって、より好ましくは総炭素原子数6〜10のアリール基であり、例えば、フェニル、4−メチルフェニル、3−クロルフェニル等が挙げられる。
【0042】
で表されるヘテロ環基としては、飽和ヘテロ環であっても、不飽和ヘテロ環基であってもよく、置換基を有していてもよく、縮環していてもよい。置換基としては、前述の置換基の項で述べた基であって、置換可能な基であればなんでもよく、好ましい置換基としては、脂肪族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、該へテロ基と縮環したへテロ環、脂肪族オキシカルボニル基である。Rのヘテロ環基として、好ましくは総炭素原子数2〜10のヘテロ環基であって、より好ましくは総炭素原子数2〜8の窒素原子で結合した飽和ヘテロ環基であり、例えば、1−ピペリジル、4−モルホリニル、2−ピリミジル、4−ピリジル等が挙げられる。
【0043】
として好ましくは、置換基を有していてもよいアミノ基、脂肪族オキシ基、窒素原子で結合した飽和ヘテロ環基の場合であり、より好ましくは、置換基を有していてもよいアミノ基、脂肪族オキシ基、更に好ましくは置換基を有していてもよいアミノ基であり、特に好ましくはアルキルアミノ基又はアリールアミノ基である。アルキルアミノ基又はアリールアミノ基は更に置換基を有していてもよく、置換基を有する場合の置換基としては、アルコキシ基が好ましい。
【0044】
で表される置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であればなんでもよく、好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、置換基を有していてもよいカルバモイルアミノ基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基であり、より好ましくは、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、置換基を有していてもよいカルバモイルアミノ基、脂肪族オキシ基、ハロゲン原子であり、最も好ましくは、脂肪族オキシ基である。
これらの置換基が更に置換基を有する場合は、脂肪族基、ヒドロキシ基、アミド結合、エーテル結合、オキシカルボニル結合、チオエーテル結合等を有する置換基が好ましく、ヘテロ原子と水素原子の結合を有する置換基が、分子間水素結合等の分子間相互作用をし易くする観点でより好ましい。
【0045】
で表される脂肪族基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rの脂肪族基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキル基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、i−プロピル、シクロヘキシル、t−ブチル等が挙げられる。
【0046】
で表されるアリール基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rのアリール基として、好ましくは総炭素原子数6〜12のアリール基であり、より好ましくは総炭素原子数6〜10のアリール基であり、例えばフェニル、3−メトキシフェニル、4−カルバモイルフェニル等が挙げられる。
【0047】
で表されるヘテロ環基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、縮環していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rのヘテロ環基として、好ましくは総炭素原子数2〜16のヘテロ環基であり、より好ましくは総炭素原子数2〜12の5〜6員環のヘテロ環基であり、例えば1−ピロリジニル、4−モルホリニル、2−ピリジル、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ベンゾイミダゾリル等が挙げられる。
【0048】
で表される脂肪族オキシカルボニル基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rの脂肪族オキシカルボニル基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルコキシカルボニル基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル、i−プロピルオキシカルボニル、カルバモイルメトキシカルボニル等が挙げられる。
【0049】
で表されるカルバモイル基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等である。Rの置換基を有していてもよいカルバモイル基として、好ましくはカルバモイル基、総炭素原子数2〜9のアルキルカルバモイル基、総炭素原子数3〜10のジアルキルカルバモイル基、総炭素原子数7〜13のアリールカルバモイル基、総炭素原子数3〜12のヘテロ環カルバモイル基であり、より好ましくはカルバモイル基、総炭素原子数2〜7のアルキルカルバモイル基、総炭素原子数3〜6のジアルキルカルバモイル基、総炭素原子数7〜11のアリールカルバモイル基、総炭素原子数3〜10のヘテロ環カルバモイル基であり、例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、フェニルカルバモイル、4−ピリジンカルバモイル等が挙げられる。
【0050】
で表されるアシルアミノ基としては、置換基を有していてもよく、脂肪族であっても、芳香族であっても、ヘテロ環であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rのアシルアミノ基として、好ましくは総炭素原子数2〜12のアシルアミノ基であり、より好ましくは総炭素原子数2〜8のアシルアミノ基であり、更に好ましくは総炭素原子数2〜8のアルキルカルボニルアミノ基であって、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、2−ピリジンカルボニルアミノ、プロパノイルアミノ等が挙げられる。
【0051】
で表されるスルホンアミド基としては、置換基を有していてもよく、脂肪族であっても、芳香族であっても、ヘテロ環であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rのスルホンアミド基として、好ましくは総炭素原子数1〜12のスルホンアミド基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜8のスルホンアミド基であり、更に好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキルスルホンアミド基であって、例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、2−ピリジンスルホンアミド等が挙げられる。
【0052】
で表されるカルバモイルアミノ基としては置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等である。Rの置換基を有していてもよいカルバモイルアミノ基として、好ましくはカルバモイルアミノ基、総炭素原子数2〜9のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜10のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7〜13のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜12のヘテロ環カルバモイルアミノ基であり、より好ましくはカルバモイルアミノ基、総炭素原子数2〜7のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜6のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7〜11のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜10のヘテロ環カルバモイルアミノ基であり、例えば、カルバモイルアミノ、メチルカルバモイルアミノ、N,N−ジメチルカルバモイルアミノ、フェニルカルバモイルアミノ、4−ピリジンカルバモイルアミノ等が挙げられる。
【0053】
で表される置換基を有していてもよいスルファモイル基として、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等である。Rの置換基を有していてもよいスルファモイル基として、好ましくはスルファモイル基、総炭素原子数1〜9のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数2〜10のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数7〜13のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2〜12のヘテロ環スルファモイル基であり、より好ましくはスルファモイル基、総炭素原子数1〜7のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数3〜6のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数6〜11のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2〜10のヘテロ環スルファモイル基であり、例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル、4−ピリジンスルファモイル等が挙げられる。
【0054】
で表される脂肪族オキシ基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rの脂肪族オキシ基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルコキシ基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルコキシ基であり、例えばメトキシ、エトキシ、i−プロピルオキシ、シクロヘキシルオキシ、メトキシエトキシ等が挙げられる。
【0055】
で表される脂肪族チオ基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rの脂肪族チオ基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキルチオ基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキルチオ基であり、例えばメチルチオ、エチルチオ、カルバモイルメチルチオ、t−ブチルチオ等が挙げられる。
【0056】
で表されるハロゲン原子としては、好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子であり、より好ましくは塩素原子が挙げられる。
本発明の効果の点で、Rは、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基である場合が好ましく、脂肪族オキシ基である場合はより好ましい。
【0057】
Aで表される芳香族5〜6員ヘテロ環としては、縮環していてもよく、単環であってもよく、縮環は炭素環であってもよく、縮環は炭素環であっても、ヘテロ環であっても、芳香環であっても、非芳香環であってもよく、好ましくは、ヘテロ原子が1〜3個含有の芳香族の5〜6員環である。Aで表される縮環していてもよい芳香族5〜6員ヘテロ環として、好ましくは、総炭素原子数2〜15であって、好ましくは2〜10であって、例えばピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環等及びそれらとベンゼン環誘導体、ヘテロ環誘導体との縮環ヘテロ環基である。
mは、0〜3である場合が好ましく、0〜1である場合はより好ましく、0である場合は、更に好ましい。nは1又は2である場合が好ましい。
【0058】
一般式(1)で表されるアゾ顔料は、下記一般式(2−1)で表されるアゾ顔料である場合が好ましい。
【0059】
【化5】

【0060】
(一般式(2−1)中、Gは、水素原子、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。R21は、アミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。R22は置換基を表す。A’は、下記一般式(A−1)〜(A−18)、(A−20)〜(A−28)、又は(A−30)〜(A−32)を表す。m、及びnは一般式(1)で定義したものと同義である。n=2の場合は、R21、R22、G又はA’を介した2量体を表す。n=3の場合はR21、R22、G又はA’を介した3量体を表す。n=4の場合はR21、R22、G又はA’を介した4量体を表す。一般式(2−1)がイオン性親水性基を有することはない。)
【0061】
【化6】

【0062】
(一般式(A−1)〜(A−18)、(A−20)〜(A−28)、及び(A−30)〜(A−32)中、R51〜R59は水素原子、又は置換基を表し、隣接する置換基は互いに結合し、5〜6員環を形成していてもよい。*は一般式(2−1)のアゾ基との結合位置を表す。)
【0063】
で表される脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基としては、一般式(1)のGで説明したものと同じである。本発明の効果の点で、Gとして好ましくは水素原子である。
21で表されるアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基としては、一般式(1)のRで説明したものと同じである。本発明の効果の点で、R21として好ましくは、置換基を有していてもよいアミノ基、窒素原子で結合した飽和ヘテロ環基であり、より好ましくは、置換基を有していてもよいアミノ基の場合である。
22で表される置換基として好ましくは、一般式(1)で表されるRで説明したものと同じである。
【0064】
’で表される一般式(A−1)〜(A−18)、(A−20)〜(A−28)、(A−30)〜(A−32)について説明する。
【0065】
51〜R54で表される置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。R51〜R54の置換基として、好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等であり、より好ましくは脂肪族基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基、シアノ基等である。
【0066】
本発明の効果の点でR51〜R54は水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等である場合が好ましく、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基、シアノ基である場合はより好ましい。
【0067】
55で表される置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。R55の置換基として、好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等であり、より好ましくは脂肪族基、アリール基、窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基である。
【0068】
本発明の効果の点で、R55は脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基である場合が好ましく、脂肪族基、アリール基、該窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基である場合はより好ましく、該窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基である場合は更に好ましい。R55が該窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基であることにより、色素分子の分子間相互作用だけでなく、分子内相互作用を強固に形成しやすくなる。それにより安定な分子配列の顔料を構成しやすくなり、良好な色相、高い堅牢性(耐光性、耐ガス性、耐熱性、耐水性等)を示す点で好ましい。
【0069】
本発明の効果の点で、R55として好ましい、該窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基であり、飽和へテロ環であっても不飽和へテロ環であっても、縮環へテロ環であってもよく、好ましくは総炭素原子数2〜12の該窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基であり、より好ましくは総炭素原子数2〜10の該窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基である。例えば、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−オキサゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ピリジル基、2−ピラジニル基、3−ピリダジニル基、2−ピリミジニル基、4−ピリミジニル基、2−イミダゾリル基、2−ベンズイミダゾリル基、2−トリアジニル基等が挙げられ、これらのヘテロ環基は置換基と共に互変異性体構造であってもよい。
【0070】
本発明の効果の点で、R55として好ましいアリール基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、ニトロ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。R55のアリール基として、好ましくは総炭素原子数6〜12のアリール基であり、より好ましくは総炭素原子数6〜10のアリール基であり、例えばフェニル、3−メトキシフェニル、4−カルバモイルフェニル等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
【0071】
本発明の効果の点で、R55として好ましい脂肪族基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。R55で表される脂肪族基として、好ましくは総炭素原子数1〜8の脂肪族基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜4のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、ビニル基、シクロヘキシル基、カルバモイルメチル基等が挙げられる。
【0072】
一般式(2−1)中、R55としては、下記(Y−1)〜(Y−13)のいずれかである場合が好ましく、分子内水素結合構造をとり易い構造にするために6員環の下記(Y−1)〜(Y−6)のいずれかである場合はより好ましく、下記(Y−1)、(Y−3)、(Y−4)、(Y−6)のいずれかである場合は更に好ましく、下記(Y−1)、又は(Y−4)である場合は特に好ましい。一般式(Y−1)〜(Y−13)中の*は、ピラゾール環のN原子との結合部位を表す。Y〜Y11は水素原子又は置換基を表す。(Y−13)におけるG11は5〜6員ヘテロ環を構成する事ができる非金属原子群を表し、G11で表されるヘテロ環は無置換であっても、置換基を有していてもよく、ヘテロ環は単環であっても縮環していてもよい。式(Y−1)〜(Y−13)は置換基と共に互変異性体構造であってもよい。
11で表されるヘテロ環としては、例えば、総炭素原子数2〜15であって、好ましくは総炭素原子数2〜10であって、例えばピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環等を挙げることができる。好ましくはピリジン環、ピロール環、チオフェン環である。
【0073】
【化7】

【0074】
本発明の効果の点でY〜Y11は水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等である場合が好ましく、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基、シアノ基である場合はより好ましい。
【0075】
56、R57、R59で表される置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。R56、R57、R59の置換基として、好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等であり、より好ましくは脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等である。
【0076】
本発明の効果の点で、R56、R57、R59は、水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等である場合が好ましく、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基である場合はより好ましい。
【0077】
58で表される置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。本発明の効果の点で、R58として、好ましくは、ヘテロ環基、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の電子求引性基であり、σp値が0.3以上の電子求引性基であることが好ましい。上限としては1.0以下の電子求引性基である。R58はσp値がこの範囲であれば、同様な合成方法で合成可能であり、色相長波長化の点で同様の効果を得ることができる。
【0078】
σp値が0.2以上の電子求引性基であるR58の具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、σp値が0.2以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、又はセレノシアネート基が挙げられる。
【0079】
本発明の効果の点で、一般式(2−1)で表される顔料は、Gが水素原子であって、R21が置換基を有していてもよいアミノ基、窒素原子で結合した飽和ヘテロ環基であって、mが0又は1であって、mが1の場合は、R22が脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基であって、A’が、(A−1)、(A−10)〜(A−17)、(A−20)〜(A-23)、(A−27)、(A−28)、(A−30)〜(A−32)のいずれかであって、nが1又は2である場合が好ましく、Gが水素原子であって、R21が置換基を有していてもよいアミノ基、窒素原子で結合した飽和ヘテロ環基であって、mが0又は1であって、mが1の場合は、R22が脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基であって、A’が、(A−10)、(A−11)、(A−13)〜(A−17)、(A−20)、(A−22)〜(A-23)、(A−27)、(A−28)、(A−30)〜(A−32)のいずれかであって、nが1又は2である場合がより好ましく、Gが水素原子であって、R21が置換基を有していてもよいアミノ基、窒素原子で結合した飽和ヘテロ環基であって、mが0であって、A’が、(A−10)、(A−11)、(A−13)〜(A−17)、(A−20)、(A−22)〜(A−23)、(A−27)、(A−28)、(A−30)〜(A−32)のいずれかであって、nが1又は2である場合が更に好ましく、Gが水素原子であって、R21が置換基を有していてもよいアミノ基であって、mが0であって、A’が、(A−16)〜(A−17)、(A−20)、(A−28)、(A−32)のいずれかであって、nが1又は2である場合が特に好ましく、Gが水素原子であって、R21が置換基を有していてもよいアミノ基であって、mが0であって、A’が(A−16)であってnが1又は2である場合が最も好ましい。
【0080】
前記一般式(2−1)で表されるアゾ顔料は、一の態様においては、A’が(A−10)、(A−14)〜(A−16)、(A−25)又は(A−26)であることが好ましく、A’が(A−10)、(A−14)〜(A−16)、又は(A−26)であることがより好ましく、(A−16)であることがより好ましい。
【0081】
本発明の効果の点で、一般式(1)及び一般式(2−1)で表されるアゾ顔料は、下記一般式(3)で表されるアゾ顔料であることが好ましい。
【0082】
以下、一般式(3)により表されるアゾ顔料、その互変異性体、それらの塩又は水和物について詳細に説明する。
【0083】
【化8】

【0084】
(一般式(3)中、R21、R22、R55、R59、m、及びnは一般式(2−1)で定義したものと同じである。Zはハメットのσp値が0.2以上の電子求引性基を表す。n=2の場合は、R21、R22、R55、R59又はZを介した2量体を表す。n=3の場合はR21、R22、R55、R59又はZを介した3量体を表す。n=4の場合はR21、R22、R55、R59又はZを介した4量体を表す。一般式(3)がイオン性親水性基を有することはない。)
【0085】
Zで表されるハメットのσp値が0.2以上の置換基としては前述の一般式(2−1)のR58の説明で述べた基が挙げられる。
【0086】
一般式(3)で表される顔料のR21、R22、R55、R59、m、及びnの好ましい置換基、範囲は、一般式(2−1)と同じである。
本発明の効果の点で、Zとしては、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、スルファモイル基が好ましく、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基がより好ましく、シアノ基である場合が最も好ましい。
【0087】
本発明の効果の点で、一般式(3)で表される顔料は、R21が置換基を有していてもよいアミノ基、窒素原子で結合した飽和ヘテロ環基であって、mが0又は1であって、mが1の場合は、R22が脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基であって、R55が、窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基であって、R59が水素原子、脂肪族基であって、Zがアシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、スルファモイル基であって、nが1又は2である場合が好ましく、R21が置換基を有していてもよいアミノ基、窒素原子で結合した飽和ヘテロ環基であって、mが0であって、R55が、(Y−1)〜(Y−13)のいずれかであって、R59が水素原子、脂肪族基であって、Zがカルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基であって、nが1又は2である場合がより好ましく、R21が置換基を有していてもよいアミノ基であって、mが0であって、R55が、(Y−1)〜(Y−6)のいずれかであって、R59が水素原子、脂肪族基であって、Zがカルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基であって、nが1又は2である場合が更に好ましく、R21が置換基を有していてもよいアミノ基であって、mが0であって、R55が、(Y−1)、(Y−4)、(Y−6)のいずれかであって、R59が水素原子であって、Zがシアノ基であって、nが1又は2である場合が更に好ましい。
【0088】
本発明の効果の点で、一般式(1)で表されるアゾ顔料は、「総炭素数/アゾ基の数」が40以下であることが好ましく、30以下である場合はより好ましい。本発明の効果の点で、一般式(1)で表される顔料は、「分子量/アゾ基の数」が700以下であることが好ましい。本発明の効果の点で、一般式(1)で表される顔料は、スルホ基、カルボキシル基等、が置換していない。
【0089】
前記一般式(2−1)で表されるアゾ化合物は、他の態様においては、A’が(A−1)〜(A−9)、(A−11)〜(A−13)、(A−17)、(A−20)〜(A−23)、(A−27)、(A−28)、(A−30)〜(A−32)のいずれかであることが好ましく、(A−11)〜(A−13)、(A−17)、(A−20)〜(A−23)、(A−27)、(A−28)、(A−30)〜(A−32)のいずれかであることがより好ましく、(A−17)、(A−20)、(A−22)〜(A−23)、(A−27)、(A−28)、(A−31)、(A−32)のいずれかであることがより好ましく、(A−20)、(A−28)、(A−32)のいずれかであることが更に好ましく、(A−20)であることが最も好ましい。また、(A−20)のR56がR59であることが特に好ましい。
【0090】
一般式(1)で表されるアゾ顔料は、下記一般式(2−2)のアゾ顔料、その互変異性体、それらの塩又は水和物であることも好ましい。
【0091】
【化9】

【0092】
(一般式(2−2)中、Gは、水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル又はアリールスルホニル基を表す。Rは、アミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Rは置換基を表す。Aは下記一般式(A−17)、(A−18)、(A−20)、(A−22)〜(A−24)、(A−27)、(A−28)、(A−31)、(A−32)のいずれかを表す。mは0〜5の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。n=2の場合は、R、R、又はAを介した2量体を表す。n=3の場合はR、R、又はAを介した3量体を表す。n=4の場合はR、R、又はAを介した4量体を表す。一般式(2−2)がイオン性親水性基を有することはない。)
【0093】
【化10】

【0094】
(一般式(A−17)、(A−18)、(A−20)、(A−22)〜(A−24)、(A−27)、(A−28)、(A−31)、(A−32)中、R55〜R59は水素原子又は置換基を表す。隣接するR51とR52、R52とR53、R53とR54、R55とR56、R56とR57、R55とR58、R56とR58、R57とR58、R55とR59は互いに結合し、5〜6員環を形成していてもよい。*は一般式(2−2)のアゾ基との結合位置を表す。)
【0095】
一般式(2−2)で表される顔料のG、R、R、m、及びnの好ましい置換基、範囲は、一般式(1)のG、R、R、m、及びnと同じである。また、一般式(2−2)で表される顔料のA、及びR55〜R59の好ましい置換基、範囲は、一般式(2−1)のA’、及びR55〜R59と同じである。
【0096】
前記一般式(2−2)で表されるアゾ顔料が、下記一般式(2−3)で表わされることが好ましい。
【0097】
【化11】

【0098】
(一般式(2−3)中、Rはアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Rは置換基を表す。R56及びR58は水素原子又は置換基を表す。mは0〜5の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。R56とR58は互いに結合し、5〜6員環を形成していてもよい。n=2の場合は、R、R、R56及びR58を介した2量体を表す。n=3の場合は、R、R、R56及びR58を介した3量体を表す。n=4の場合はR、R、R56及びR58を介した4量体を表す。一般式(2−3)がイオン性親水性基を有することはない。)
【0099】
一般式(2−3)で表される顔料のR、R、A、R56、R58、m、及びnの好ましい置換基、範囲は、一般式(2−1)のR21、R22、A’、R56、R58、m、及びnと同じである。
【0100】
本発明にかかるアゾ顔料は、一般式(1)、一般式(2−1)、一般式(2−2)、一般式(2−3)、及び一般式(3)で表されるアゾ顔料の互変異性体もその範囲に含むものである。一般式(1)、一般式(2−1)、一般式(2−2)、一般式(2−3)、及び一般式(3)は、化学構造上取りうる数種の互変異性体の中から極限構造式の形で示しているが、記載された構造以外の互変異性体であってもよく、複数の互変異性体を含有した混合物として用いてもよい。
例えば、一般式(1)で表される顔料には、下記一般式(1’)で表されるアゾ−ヒドラゾンの互変異性体が考えられる。
本発明にかかる(A)アゾ顔料は、一般式(1)で表されるアゾ顔料の互変異性体である以下の一般式(1’)で表される化合物もその範囲に含むものである。
【0101】
【化12】

【0102】
一般式(1’)中、R、R、A、m、及びnは一般式(1)で定義したものと同じである。一般式(1’)中、G’は一般式(1)で定義したGに対応する基である。一般式(1’)がイオン性親水性基を有することはない。
【0103】
一般式(1)及び一般式(2−1)で表されるアゾ顔料のうち、前述したように特に好ましいアゾ顔料の一般式の例としては、下記一般式(3−1)〜一般式(3−4)で表されるアゾ顔料を挙げることができる。上記一般式(1)で表される顔料は、下記一般式(3−1)〜一般式(3−4)で表されるアゾ顔料であることが好ましい。
【0104】
以下、一般式(3−1)〜一般式(3−4)により表されるアゾ顔料、その互変異性体、それらの塩又は水和物について詳細に説明する。
【0105】
【化13】

【0106】
(一般式(3−1)〜一般式(3−4)中、R、R、m、及びnは一般式(1)及び一般式(2−1)で定義したものと同じである。Xは炭素原子又は窒素原子を表す。Ax、及びBxは、一般式(2−1)のA’で定義した(A−1)〜(A−18)、(A−20)〜(A−28)、及び(A−30)〜(A−32)の中で該当するものを表す。R23は一般式(2−1)で規定したR51、R54、R57、R58等の置換基の内、該当する置換基からカルボニル基を除いた置換基を表す。それぞれ形成されるヘテロ環基は、一般式(2−1)のA’で定義した基の中で該当するものを表す。Yxは該窒素原子及び炭素原子と共に一般式(2−1)のR55で定義したへテロ環基のうち該当するものを表す。R’は、一般式(1)で定義したRのアミノ基から−NH−を除いた相当する置換基を表す。一般式(3−1)〜一般式(3−4)がイオン性親水性基を有することはない。)
【0107】
上記一般式(1)、(2−1)、(2−2)、(2−3)、(3)、及び(3−1)〜(3−4)で表されるアゾ顔料において多数の互変異性体が考えられる。
また、本発明において、一般式(1)で表されるアゾ顔料は、分子内水素結合又は分子内交叉水素結合を形成する置換基を有することが好ましい。少なくとも1個以上の分子内水素結合を形成する置換基を有することがより好ましく、少なくとも1個以上の分子内交叉水素結合を形成する置換基を有することが特に好ましい。
【0108】
この構造が好ましい要因としては、一般式(3−1)〜(3−4)で示すようにアゾ顔料構造に含有するヘテロ環基を構成する窒素原子、ナフタレン置換基のヒドロキシ基の水素原子及び酸素原子、及びアゾ基又はその互変異性体であるヒドラゾン基の窒素原子、あるいはアゾ顔料構造に含有するアゾ成分に置換するカルボニル基、ナフタレン置換基のヒドロキシ基の水素原子及び酸素原子、及びアゾ基又はその互変異性体であるヒドラゾン基の窒素原子が分子内の交叉水素結合を容易に形成し易いことが挙げられる。
その結果、分子の平面性が上がり、更に分子内・分子間相互作用が向上し、一般式(3−1)〜一般式(3−4)で表されるアゾ顔料の結晶性が高くなり(高次構造を形成し易くなり)、顔料としての要求性能である、光堅牢性、熱安定性、湿熱安定性、耐水性、耐ガス性及び又は耐溶剤性が大幅に向上するため、更に好ましい例となる。
この観点からも、一般式(1)及び(2−1)で表される顔料は、一般式(3)、又は(3−1)〜(3−4)で表される顔料であることが好ましく、一般式(3)、(3−2)又は(3−4)で表される顔料がより好ましく、一般式(3)で表される顔料が特に好ましい。
【0109】
以下に前記(A)一般式(1)で表されるアゾ顔料の具体例を以下に示すが、本発明に用いられるアゾ顔料は、下記の例に限定されるものではない。また、以下の具体例の構造は化学構造上取りうる数種の互変異性体の中から極限構造式の形で示されるが、記載された構造以外の互変異性体構造であってもよいことは言うまでもない。
【0110】
【化14】

【0111】
【化15】

【0112】
【化16】

【0113】
【化17】

【0114】
【化18】

【0115】
【化19】

【0116】
【化20】

【0117】
【化21】

【0118】
【化22】

【0119】
【化23】

【0120】
【化24】

【0121】
【化25】

【0122】
【化26】

【0123】
【化27】

【0124】
【化28】

【0125】
【化29】

【0126】
【化30】

【0127】
【化31】

【0128】
【化32】

【0129】
【化33】

【0130】
【化34】

【0131】
【化35】

【0132】
(A)一般式(1)で表されるアゾ顔料は、化学構造式が一般式(1)又はその互変異性体であればよく、多形とも呼ばれるいかなる結晶形態の顔料であってもよい。
【0133】
結晶多形は、同じ化学組成を有するが、結晶中におけるビルディングブロック(分子又はイオン)の配置が異なることを言う。結晶構造によって化学的及び物理的性質が決定され、各多形は、レオロジー、色、及び他の色特性によってそれぞれ区別することができる。また、異なる多形は、X−Ray Diffraction(粉末X線回折測定結果)やX−Ray Analysis(X線結晶構造解析結果)によって確認することもできる。
【0134】
(A)一般式(1)で表されるアゾ顔料に結晶多形が存在する場合、どの多形であってもよく、また2種以上の多形の混合物であってもよいが、結晶型が単一のものを主成分とすることが好ましい。すなわち結晶多形が混入していないものが好ましく、単一の結晶型を有するアゾ顔料の含有量はアゾ顔料全体に対し70%〜100%、好ましくは80%〜100%、より好ましくは90%〜100%、更に好ましくは95%〜100、特に好ましくは100%である。単一の結晶型を有するアゾ顔料を主成分とすることで、色素分子の配列に対して規則性が向上し、分子内・分子間相互作用が強まり高次な3次元ネットワークを形成しやすくなる。その結果として色相の向上・光堅牢性・熱堅牢性・湿度堅牢性・酸化性ガス堅牢性及び耐溶剤性等、顔料に要求される性能の点で好ましい。
アゾ顔料における結晶多形の混合比は、単結晶X線結晶構造解析、粉末X線回折(XRD)、結晶の顕微鏡写真(TEM)、IR(KBr法)等の固体の物理化学的測定値から確認できる。
【0135】
上述した互変異性及び/又は結晶多形の制御は、カップリング反応の際の製造条件で制御することができる。
【0136】
また、本発明において一般式(1)で表されるアゾ顔料は、酸基のある場合には、酸基の一部あるいは全部が塩型のものであってもよく、塩型の顔料と遊離酸型の顔料が混在していてもよい。上記の塩型の例としてNa、Li、K等のアルカリ金属の塩、アルキル基若しくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムの塩、又は有機アミンの塩が挙げられる。有機アミンの例として、低級アルキルアミン、ヒドロキシ置換低級アルキルアミン、カルボキシ置換低級アルキルアミン及び炭素数2〜4のアルキレンイミン単位を2〜10個有するポリアミン等が挙げられる。これらの塩型の場合、その種類は1種類に限られず複数種混在していてもよい。
【0137】
更に、本発明で使用する顔料の構造において、その1分子中に酸基が複数個含まれる場合は、その複数の酸基は塩型あるいは酸型であり互いに異なるものであってもよい。
【0138】
本発明において、前記一般式(1)で表されるアゾ顔料は、結晶中に水分子を含む水和物であってもよい。
一般式(1)で表されるアゾ化合物はカップリング反応により製造することができる。
【0139】
例えば、下記一般式(4)で表されるヘテロ環アミンを非水系酸性でジアゾニウム化し、下記一般式(5)で表される化合物と酸性状態でカップリング反応を行い、常法による後処理を行って本発明の一般式(6)で表されるアゾ化合物を製造することができる。一般式(4)に代えて一般式(1)のAに対応するヘテロ環アミンを用い、同様の操作を行うことにより一般式(1)で表されるアゾ化合物を製造することができる。
【0140】
【化36】

【0141】
(式中、R55、R58及びR59は、前記一般式(2−1)で定義したものと同義である。)
【0142】
【化37】

【0143】
(式中、R、R及びmは、前記一般式(1)で定義したものと同義である。)
以下に反応スキームを示す。
【0144】
【化38】

【0145】
(式中G、R〜R、R55、R58、R59、n及びmは一般式(1)及び一般式(2−1)で定義したものと同義である。)
【0146】
上記一般式(4)及び(A−1)〜(A−32)のアミノ体に対応するヘテロ環アミンは、市販品で入手することができるものもあるが、一般的には公知慣用の方法、例えば特許第4022271号公報、に記載の方法で製造することができる。上記一般式(5)で表されるヘテロ環カプラ−は、市販品で入手することもできるが、特開2008−13472号公報に記載の方法及びそれに準じた方法で製造することができる。上記反応スキームで表されるヘテロ環アミンのジアゾニウム化反応は例えば、硫酸、リン酸、酢酸などの酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等の試薬と15℃以下の温度で10分〜6時間程度反応させることで行うことができる。カップリング反応は、上述の方法で得られたジアゾニウム塩と上記一般式(5)で表される化合物とを40℃以下、好ましくは25℃以下で10分〜12時間程度反応させることで行うことができる。
一般式(1)のnが2以上の場合の合成方法は、一般式(4)又は一般式(5)のR〜R、R55、R59、Z等において、置換可能な2価、3価あるいは4価の置換基を導入した原料を合成し、前記スキームと同様に合成することができる。
【0147】
[(B)顔料誘導体]
次に、本発明における、(B)親水性基を有する下記一般式(B1)で表される顔料誘導体(以下、「「顔料誘導体」、「親水性基を有する顔料誘導体」と称する場合がある」)について説明する。このような顔料誘導体を含有することにより、顔料の凝集による色分れをなくし、鮮明で優れた光沢を有する被膜を得ることができる。
すなわち、顔料組成物の製造時に、親水性基を有する顔料誘導体が水中などで顔料と混合されることにより良好に分散し、顔料表面に吸着される。その後、該顔料がインクや着色組成物に使用される際、疎水性の樹脂などに分散されると、親水性基を有する顔料誘導体は顔料から脱離しにくく長期にわたって静電効果などにより顔料の分散を安定化する。したがって、吐出安定性なども向上する。
【0148】
【化39】

【0149】
(一般式(B1)中、Pはアンサンスロン系色素残基、アントラキノン系色素残基、アントラピリミジン系色素残基、アゾ系色素残基、キナクリドン系色素残基、キノフタロン系色素残基、ジケトピロロピロール系色素残基、ジオキサジン系色素残基、フラバンスロン系色素残基、インダンスロン系色素残基、イソインドリン系色素残基、イソインドリノン系色素残基、イソビオランスロン系色素残基、金属錯体系色素残基、ペリノン系色素残基、ペリレン系色素残基、フタロシアニン系色素残基、ピランスロン系色素残基、ピラゾロキナゾロン系色素残基、チオインジゴ系色素残基又はトリアリールカルボニウム系色素残基を表わす。Xは、−SO・M/m若しくは−COO・M/m(Mは水素イオン、1〜3価の金属イオン又はアンモニウムイオンより選択される対カチオンを表し、mはMの価数(1〜3の整数)を表す)又はアミノ基を示す。n1は1〜4の整数を表す。)
【0150】
顔料誘導体は、ジケトピロロピロール系顔料誘導体、キナクリドン系顔料誘導体、アントラキノン系顔料誘導体及びアゾ系顔料誘導体からなる群より選択された少なくとも1つであることが好ましく、アゾ系顔料誘導体であることがより好ましい。
一般式(B1)において、Pが表わす色素残基については、特に、ジケトピロロピロール系顔料誘導体、キナクリドン系顔料誘導体、アントラキノン系顔料誘導体及びアゾ系顔料誘導体からなる群より選択された少なくとも1つであることが好ましく、アゾ系顔料誘導体が更に好ましく、アリールアゾナフトールであることがより好ましい。上記アゾ顔料の有する色素骨格と同様の色素骨格又は類似の色素骨格を有するアゾ系の顔料由来の色素残基が効果の観点から好ましい。またアゾ化合物は、分子内水素結合により平面構造を有しており、かつ電子豊富なナフトール骨格と、電子不足な芳香族5〜6員複素環骨格(例えば、ピラゾール環骨格、及び、ピリミジン環骨格)という電子状態の全く異なるπ平面を有するため、様々な電子状態の(A)有機顔料と、分子間で、強く相互作用すると推測される。したがって、上記アゾ顔料に対してπ―π相互作用で強固に吸着できるので、吸着された該顔料は、その表面が親水性基を有することになり、静電効果により分散性が向上する。
【0151】
例えば、更に具体的な例をカラーインデックスのジェネリックネームで示すと、ジケトピロロピロール系顔料としては赤色顔料C.I.ピグメント・レッド254、ピグメント・レッド255、ピグメント・レッド264、ピグメント・レッド272、橙色顔料ピグメント・オレンジ71、ピグメント・オレンジ773などが挙げられるが、色再現範囲を広げることができ、色調にも優れることから、特にピグメント・レッド254が好ましい。
【0152】
アントラキノン系顔料としてはC.I.ピグメント・レッド177などが挙げられる。
【0153】
キナクリドン系顔料としてはC.I.ピグメント・バイオレット19、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド202、C.I.ピグメント・レッド209などが挙げられる。
【0154】
アゾ顔料としてはC.I.ピグメントレッド7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、146、177、178、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、272を挙げることができ、好ましくは、C.I.ピグメントレッド7、14、41、146、178、184、185、187、200、208、210、246であり、特に好ましくはヘテリル基とナフトール基とがアゾ基を介して結合した顔料であり、最も好ましくは、本発明において、アゾ顔料として使用される上記一般式(1)で表されるアゾ化合物の骨格を有するものである。
【0155】
〔親水性基〕
一般式(B1)で表されるアゾ顔料誘導体は親水性基を有する。一般式(B1)で表されるアゾ顔料誘導は置換基として親水性基を少なくとも1つ有していることが好ましく、2つ以上有することがより好ましく、3つ以上有することが更に好ましい。
一般式(B1)で表されるアゾ顔料誘導体が親水性基を有することにより、色相・堅牢性の性能を損なうことなく、画像のブロンズ現象発生を顕著に抑制できる。
一般式(B1)において、Xが表わす顔料に導入される親水性基は、−SO・M/m若しくは−COO・M/m(Mは水素イオン、1〜3価の金属イオン又はアンモニウムイオンより選択される対カチオンを表し、mはMの価数(1〜3の整数)を表す)又はアミノ基であることが好ましい。親水性基が酸基の場合は−SO・M/mが好ましく、親水性基が塩基の場合、三級アミノ基が好ましい。これらは少なくとも1つは導入されるが、顔料組成物の堅牢性の面から親水基の数は、3以下が好ましく、1が最も好ましい。
Xで表される性親水性基は、一般式(B2)〜(B3)、の置換基のいずれが有していてもよいが、RB21、AB2、RB10、RB11、のいずれかが親水性基を有していることが好ましく、RB21、RB10のいずれかが親水性基を有していることがより好ましい。
また親水基の数は、3以下が好ましく、1が最も好ましい。
親水性基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対カチオンとしては、アルカリ金属イオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなど)、アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、4級アンモニウムイオン、4級ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、及び有機の対カチオン(例えば、ピリジニウム、テトラメチルアンモニウム、グアニジニウムなど)が挙げられる。なかでも、アルカリ金属イオンが好ましく、リチウムイオンがより好ましい。
【0156】
一般式(B1)で表されるアゾ顔料誘導体の有する親水性基の対カチオンはリチウムイオン主体であることが好ましい。
対カチオンはすべてリチウムイオンでなくてもよいが、実質的には最も存在比率が高い対カチオンがリチウムイオンであることが好ましい。このような存在比率の条件下において、水素イオン、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、4級アンモニウムイオン、4級ホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどを対カチオンとして含むことができる。
【0157】
上記アゾ顔料誘導体の対カチオンの種類及び比率については、日本化学会編“新実験化学講座9 分析化学”(1977年 丸善)及び日本化学会編“第4版 実験化学講座15 分析”(1991年 丸善)に、分析方法や元素についての各論が記載されているので、これを参考にして分析方法を選び、分析及び定量することができる。中でもイオンクロマトグラフィー、原子吸光法、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP)などの分析法によって決定することが容易である。
【0158】
上記アゾ顔料誘導体のリチウムイオンの量としては、対イオン全体に対して、50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であることが好ましく、上限としては100%が好ましい。
【0159】
対カチオンがリチウムイオンである本発明のアゾ顔料誘導体を得る方法としては、いずれの方法を使用してもよい。例えば、(1)イオン交換樹脂を用いて対カチオンを別のカチオンからリチウムイオンに変換する方法、(2)リチウムイオンを含む系から酸析又は塩析する方法、(3)対カチオンがリチウムイオンである原料及び合成中間体を用いてアゾ顔料誘導体を形成させる方法、(4)対カチオンがリチウムイオンである反応剤を用いて、アゾ化合物の官能基変換によって親水性基を導入する方法、(5)アゾ化合物上の親水性基の対カチオンが銀イオンである化合物を合成し、これをリチウムハロゲン化物溶液と反応させ析出したハロゲン化銀を除去することで対カチオンをリチウムイオンにする方法、などが挙げられる。
【0160】
前記一般式(B1)で表されるアゾ顔料誘導体として具体的には、特許番号4082818に記載の具体例に記載の化合物及び下記一般式(B2)で表されるアゾ顔料誘導体である場合が好ましい。
【0161】
【化40】

【0162】
一般式(B2)中、GB2は、水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基又は親水性基を表し、RB21は、アミノ基、脂肪族オキシ基、窒素原子で結合したヘテロ環基又は親水性基を表し、RB2からRB6はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表す。AB2は、アリール基、又はヘテロ環基を表す。RB21、RB2からRB6及びAB2の少なくとも1つは親水性基を有する。nは1〜4の整数を表す。n=2の場合は、RB21、RB2からRB6、AB2又はGB2を介した2量体を表す。n=3の場合はRB21、RB2からRB6、AB2又はGB2を介した3量体を表す。n=4の場合はRB21、RB2からRB6、AB2又はGB2を介した4量体を表す。
【0163】
B2で表される脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基としては、一般式(1)のGで説明したものと同じである。本発明の効果の点で、GB2として好ましくは水素原子である。
【0164】
B21で表されるアミノ基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基であって、置換可能な基であればなんでもよく、置換基として好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等が挙げられる。RB21で表される置換基を有してもよいアミノ基として、好ましくは無置換のアミノ基、総炭素原子数1〜10のアルキルアミノ基、総炭素原子数2〜10のジアルキルアミノ基、総炭素原子数6〜12のアリールアミノ基、総炭素原子数2〜12の飽和であっても、不飽和であってもよい複素環アミノ基であり、より好ましくは、無置換のアミノ基、総炭素原子数1〜8のアルキルアミノ基、総炭素原子数2〜8のジアルキルアミノ基、総炭素原子数6〜10のアリールアミノ基、総炭素原子数2〜12の飽和であっても、不飽和であってもよい複素環アミノ基であり、例えばメチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N−フェニルアミノ、N−(2−ピリミジル)アミノ等が挙げられる。
【0165】
B21で表される脂肪族オキシ基としては、置換基を有していてもよく、置換基としては、前述の置換基の項で述べた基であって、置換可能な基であればなんでもよい。RB21の脂肪族オキシ基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルコキシ基であって、より好ましくは総炭素原子数1〜4のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、(t)−ブトキシ、メトキシエトキシ、カルバモイルメトキシ等が挙げられる。
【0166】
B21で表される窒素原子で結合したヘテロ環基としては、飽和複素環であっても、不飽和ヘテロ環基であってもよく、置換基を有していてもよく、置換基としては、前述の置換基の項で述べた基であって、置換可能な基であればなんでもよい。RB21の窒素原子で結合したヘテロ環基として、好ましくは総炭素原子数2〜10の窒素原子で結合したヘテロ環基であって、より好ましくは総炭素原子数2〜8の窒素原子で結合した飽和ヘテロ環基であり、例えば、1−ピペリジル、4−モルホリニル、2−ピリミジル、4−ピリジル等が挙げられる。
【0167】
本発明の効果の点で、RB21として好ましくは、置換基を有していてもよいアミノ基、窒素原子で結合した飽和ヘテロ環基であり、より好ましくは、置換基を有していてもよいアミノ基の場合である。置換基を有する場合の置換基としては、アルキル基、アリール基が挙げられ、置換基を有するフェニル基であることが好ましい。
【0168】
B2からRB6で表される置換基として好ましくは、一般式(1)で表されるRからRで説明したもの、親水性基を挙げることができる。
本発明の効果の点で、RB2からRB6は、水素原子、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基である場合が好ましい。
B2で表される置換基として、好ましくは、フェニル基やナフチル基などのアリール基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。このアリール基には置換基を有していてもよく置換基を有する場合の置換基としては、水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキイル基、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等である場合が好ましく、水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、スルホ基、脂肪族基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基である場合はより好ましい。
B2として好ましくは親水性基、ニトロ基、ハロゲン基、脂肪族基、ヒドロキシル基、スルホ基から選択される置換基を有するフェニル基である。
【0169】
B2は、下記一般式(A−1)〜(A−18)、(A−20)〜(A−28)、(A−30)〜(A−32)を表すことも好ましい。
【化41】

【0170】
(一般式(A−1)〜(A−18)、(A−20)〜(A−28)、及び(A−30)〜(A−32)中、R51〜R59は水素原子、又は置換基を表し、隣接する置換基は互いに結合し、5〜6員環を形成していてもよい。*は一般式(B2)のアゾ基との結合位置を表す。)
【0171】
B2で表される一般式(A−1)〜(A−18)、(A−20)〜(A−28)、及び(A−30)〜(A−32)は、A’で表される一般式(A−1)〜(A−18)、(A−20)〜(A−28)、及び(A−30)〜(A−32)と同義であり、好ましいものも同様である。
【0172】
本発明の効果の点で、一般式(B2)で表される顔料誘導体は、GB2が水素原子であって、RB21が置換基を有していてもよいアミノ基、窒素原子で結合した飽和ヘテロ環基であって、RB2からRB6のうち4つ又は5つが水素原子であって、RB2からRB6のうち4つが水素原子であって、残り1つが水素原子、水素原子、スルホニル基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基であって、RB11が、水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、スルホ基、脂肪族基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基であって、AB2が、アリール基であって、nが1又は2である場合が好ましく、GB2が水素原子であって、RB21が置換基を有していてもよいアミノ基、窒素原子で結合した飽和ヘテロ環基であってRB2からRB6のうち5つが水素原子であって、AB2が、置換基を有するフェニル基(であって、nが1又は2である場合がより好ましく、GB2が水素原子であって、RB21が置換基を有していてもよいアミノ基であって、RB2からRB6のうち5つが水素原子であって、Aが、親水性基を有するフェニル基であって、nが1又は2である場合が更に好ましく、GB2が水素原子であって、RB21が置換基を有していてもよいアニリノ基であって、RB2からRB6のうち5つが水素原子であって、AB2が親水性基を有するフェニル基であってnが1である場合が最も好ましい。
【0173】
本発明の効果の点で、一般式(B2)で表されるアゾ顔料誘導体は、下記一般式(B3)で表されるアゾ顔料誘導体であることが好ましい。
【0174】
以下、一般式(B3)により表されるアゾ化合物、その互変異性体、それらの塩又は水和物について詳細に説明する。
【0175】
【化42】

【0176】
(一般式(B3)中、RB2からRB6、GB2、及びnは一般式(B2)で定義したものと同じである。RB10及びRB11は水素原子、又は置換基を表す。)
【0177】
B2からRB6が表す置換基としては、一般式(1)で表されるRからRで説明したもの、又は親水性基を挙げることができる。
本発明の効果の点で、RB2からRB6は、水素原子、スルホニル基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基である場合が好ましく、水素原子、置換基を有していてもよいカルバモイル基がより好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0178】
B10としては、水素原子、又は置換基を挙げることができる。
本発明の効果の点で、RB10は、水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキイル基、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等である場合が好ましく、水素原子、スルホ基、脂肪族基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基である場合はより好ましい。
【0179】
B11が表す置換基としては、水素原子、又は置換基を挙げることができる。
本発明の効果の点で、RB11は、水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキイル基、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等である場合が好ましく、水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、スルホ基、脂肪族基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基である場合はより好ましい。
【0180】
本発明の効果の点で、一般式(B3)で表される顔料は、GB2が水素原子であって、RB10が水素原子、スルホ基、脂肪族基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基であって、RB2からRB6のうち4つが水素原子であって、残り1つが水素原子、水素原子、スルホニル基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基であって、RB11が、水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、スルホ基、脂肪族基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基であって、nが1又は2である場合が好ましく、GB2が水素原子であって、RB10がスルホ基、脂肪族基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基であって、RB2からRB6のうち5つが水素原子であって、RB11が、水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、スルホ基、脂肪族基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基であって、nが1又は2である場合がより好ましく、GB2が水素原子であって、RB10がスルホ基、脂肪族基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基であって、RB2からRB6のうち5つが水素原子であって、RB11が、水素原子、スルホ基、脂肪族基、置換基を有していてもよいカルバモイル基であって、nが1又は2である場合が最も好ましい。
【0181】
本発明の効果の点で、一般式(B1)〜(B3)で表されるアゾ顔料誘導体は、「総炭素数/アゾ基の数」が40以下であることが好ましく、30以下である場合はより好ましい。本発明の効果の点で、一般式(B1)〜(B3)で表されるアゾ顔料誘導体は、「分子量/アゾ基の数」が700以下であることが好ましい。
【0182】
本発明は、一般式(B1)〜(B3)で表されるアゾ顔料誘導体の互変異性体もその範囲に含むものである。
一般式(B1)〜(B3)で表されるアゾ顔料誘導体は、化学構造上取りうる数種の互変異性体の中から極限構造式の形で示しているが、記載された構造以外の互変異性体であってもよく、複数の互変異性体を含有した混合物として用いてもよい。
【0183】
以下に前記一般式(B2)及び(B3)で表されるアゾ顔料誘導体の具体例を以下に示すが、本発明に用いられるアゾ化合物は、下記の例に限定されるものではない。また、以下の具体例の構造は化学構造上取りうる数種の互変異性体の中から極限構造式の形で示されるが、記載された構造以外の互変異性体構造であってもよいことは言うまでもない。なお、以下の化学式において、Meはメチル基、Etはエチル基、Buはn−ブチル基、Phはフェニル基を示す。
【0184】
【化43】

【0185】
【化44】

【0186】
【化45】

【0187】
一般式(B2)及び(B3)で表されるアゾ顔料誘導体は、化学構造式が一般式(B2)及び(B3)又はその互変異性体であればよい。
【0188】
本発明において、前記一般式(B2)及び(B3)で表されるアゾ顔料誘導体は、結晶中に水分子を含む水和物であってもよい。
【0189】
アゾ顔料誘導体の製造方法の一例について説明する。例えば、上記一般式(B2)で表されるアゾ顔料誘導体を製造する場合、前記一般式(1)で表される化合物の製造と同様に、対応する縮合環アミンを酸性でジアゾニウム化し、ナフトール誘導体と酸性状態でカップリング反応を行い、常法による後処理を行って一般式(B2)で表されるアゾ顔料誘導体を製造することができる。
【0190】
複素環アミンは、市販品で入手することができるものもあるが、一般的には公知慣用の方法、例えば特許第4022271号公報に記載の方法で製造することができる。ナフトール誘導体は、市販品で入手することもできるが、特開2008−13472号公報に記載の方法及びそれに準じた方法で製造することができる。上記反応スキームで表される複素環アミンのジアゾニウム化反応は例えば、硫酸、リン酸、酢酸などの酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等の試薬と15℃以下の温度で10分〜6時間程度反応させることで行うことができる。カップリング反応は、上述の方法で得られたジアゾニウム塩と上記ナフトール誘導体とを40℃以下、好ましくは25℃以下で10分〜12時間程度反応させることで行うことができる。
【0191】
[顔料組成物]
本発明の顔料組成物は、上述のように、(A)一般式(1)で表されるアゾ顔料と、(B)親水性基を有する一般式(B1)で表される顔料誘導体を含有する。該(A)アゾ顔料に対する(B)該顔料誘導体の含有量は、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.3〜20質量%であることがより好ましく、0.5〜10質量%であることが更に好ましい。この範囲とすることで、本発明の効果をより高く得ることができる。
【0192】
本発明において、上記(A)アゾ顔料の体積平均粒子径は10nm以上250nm以下であることが好ましい。なお、顔料粒子の体積平均粒子径とは、顔料そのものの粒子径、又は顔料に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒子径をいう。本発明において、顔料の体積平均粒子径の測定装置には、ナノトラックUPA粒度分析計(UPA−EX150;日機装社製)を用いた。その測定は、顔料分散物3mlを測定セルに入れ、所定の測定方法に従って行った。なお、測定時に入力するパラメーターとしては、粘度にはインク粘度を、分散粒子の密度には顔料の密度を用いた。
【0193】
より好ましい上記(A)アゾ顔料の体積平均粒子径は、10nm以上250nm以下であり、更に好ましくは20nm以上230nm以下である。顔料分散物中の粒子の数平均粒子径が10nm未満である場合には、保存安定性が確保できない場合が存在し、一方、250nmを超える場合には、光学濃度が低くなる場合が存在する。
【0194】
本発明の顔料組成物は、上記(A)アゾ顔料と上記(B)顔料誘導体と、水系又は非水系の媒体を、分散装置を用いて分散したものであってもよい。分散装置としては、簡単なスターラーやインペラー攪拌方式、インライン攪拌方式、ミル方式(例えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ペイントシェイカー、アジテーターミル等)、超音波方式、高圧乳化分散方式(高圧ホモジナイザー;具体的な市販装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、DeBEE2000等)を使用することができる。
【0195】
本発明の顔料組成物が水系又は非水系の媒体の分散物である場合、上記(A)アゾ顔料と上記(B)顔料誘導体の合計の濃度は、1〜35質量%の範囲であることが好ましく、2〜25質量%の範囲であることがより好ましい。濃度が1質量%に満たないと、インクとして顔料分散物を単独で用いるときに十分な画像濃度が得られない場合がある。濃度が35質量%を超えると、分散安定性が低下する場合がある。
【0196】
なお、本発明の顔料組成物における(A)アゾ顔料は、アスペクト比が1に近いほど好ましい。アスペクト比を1に近くすることで、その後の被着色媒体への分散性、その中での分散安定性がより良好となり、顔料粒子の再凝集が生じにくくなる。
【0197】
製造時においては、該(A)アゾ顔料と該(B)顔料誘導体は、任意の順序で混合すれば製造することが出来る。必要であれば、該(A)アゾ顔料と該(B)顔料誘導体を予め混合前に、混合しながら、又は混合後に、ボールミリングやアトライター等の公知慣用の手段により摩砕して、上述した好適な一次粒子の平均粒子径となる様にすることも出来る。また、より高い改良効果を発現させ、かつ前記好適な一次粒子の平均粒子径の顔料組成物を簡便に得るためには、媒体等の他成分との混合前に、該(A)アゾ顔料と該(B)顔料誘導体をソルベントソルトミリング処理する方法を挙げることもできる。ソルベントソルトミリング処理とは、顔料と誘導体との混合物に、無機塩と有機溶剤とを混練摩砕し、その後有機溶剤と無機塩とを除去し、残った固形物を洗浄、濾過、乾燥、粉砕等を行う方法である。
【0198】
上述のように、本発明の顔料組成物として、水系あるいは非水系の顔料分散物を挙げることができるが、水系の顔料分散物であることが好ましい。本発明の顔料組成物において顔料を分散する水性の液体は、水を主成分とし、所望により親水性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。
【0199】
前記親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールものブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートトリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコール誘導体、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン等のアミン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
【0200】
更に、本発明の顔料組成物には水性樹脂を含んでいてもよい。水性樹脂としては,水に溶解する水溶解性の樹脂、水に分散する水分散性の樹脂,コロイダルディスパーション樹脂、又はそれらの混合物が挙げられる。水性樹脂として具体的には,アクリル系,スチレン−アクリル系,ポリエステル系,ポリアミド系,ポリウレタン系,フッ素系等の樹脂が挙げられる。
【0201】
本発明における水系顔料分散物が水性樹脂を含有する場合、その含有率は特に制限はない。例えば、顔料に対して0〜100質量%とすることができる。
【0202】
更に、顔料の分散及び画像の品質を向上させるため、界面活性剤(分散剤)を用いてもよい。界面活性剤としては、アニオン性,ノニオン性,カチオン性,両イオン性の界面活性剤が挙げられ、いずれの界面活性剤を用いてもよいが、アニオン性、又は非イオン性の界面活性剤を用いるのが好ましい。
【0203】
本発明における顔料組成物が界面活性剤を含有する場合、その含有率は特に制限はない。例えば、顔料に対して0〜100質量%とすることができる。
【0204】
アニオン性界面活性剤としては,例えば、脂肪酸塩(例えば、オレイン酸ナトリウム等),アルキル硫酸エステル塩,アルキルベンゼンスルホン酸塩,アルキルナフタレンスルホン酸塩,ジアルキルスルホコハク酸塩,アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩,アルキルリン酸塩,ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩,ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩,ナフタレンスルホン酸フォルマリン縮合物,ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩,グリセロールボレイト脂肪酸エステル,ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル、臭化セチルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0205】
ノニオン界面活性剤としては,例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル,ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー,ソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル,グリセリン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンアルキルアミン,フッ素系,シリコン系等が挙げられる。
【0206】
本発明の非水系顔料組成物は、前記有機顔料を非水系ビヒクルに分散してなるものである。非水系ビヒクルに使用される樹脂は、例えば、石油樹脂、カゼイン、セラック、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、環化ゴム、塩化ゴム、酸化ゴム、塩酸ゴム、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、乾性油、合成乾性油、スチレン/マレイン酸樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂塩素化ポリプロピレン、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。非水系ビヒクルとして、光硬化性樹脂を用いてもよい。
【0207】
また、非水系ビヒクルに使用される溶剤としては、例えば、トルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物のようなカルバミン酸エステル等が挙げられる。
【0208】
本発明の顔料組成物の用途としては、画像、特にカラー画像を形成するための画像記録材料が挙げられ、具体的には、以下に詳述するインクジェット方式記録材料を始めとして、感熱記録材料、感圧記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等があり、好ましくはインクジェット方式記録材料、感熱記録材料、電子写真方式を用いる記録材料であり、更に好ましくはインクジェット方式記録材料である。
【0209】
また、CCDなどの固体撮像素子やLCD、PDP等のディスプレーで用いられるカラー画像を記録・再現するためのカラーフィルター、各種繊維の染色の為の染色液にも適用できる。
【0210】
[着色組成物]
着色組成物とは、本発明の顔料組成物を含有する組成物を意味し、媒体を含有させることができるが、媒体として溶媒を用いた場合は特にインクジェット記録用インクとして好適である。例えば、媒体として、親油性媒体や水性媒体を用いて、それらの中に、本発明の顔料組成物を分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。該着色組成物には、媒体を除いたインク用組成物も含まれる。また、該着色組成物は、必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有しうる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤(特開2003−306623号公報に記載)が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性インクの場合には、アゾ顔料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
【0211】
[インクジェット記録用インク]
次に、本発明のインクジェット記録用インクについて説明する。
本発明のインクジェット記録用インク(以下、「インク」という場合がある)は、上記で説明した顔料組成物を含む。好ましくは、水溶性溶媒、水等を混合して調製される。ただし、特に問題がない場合は、前記本発明の顔料組成物をそのまま用いてもよい。
【0212】
本発明のインク中の顔料組成物の含有割合は、記録媒体上に形成した画像の色相、色濃度、彩度、透明性等を考慮すると、1〜100質量%の範囲が好ましく、3〜20質量%の範囲が特に好ましく、その中でも3〜10質量%の範囲がもっとも好ましい。
【0213】
本発明のインク100質量部中には、上記アゾ顔料を0.1質量部以上20質量部以下含有するのが好ましく、0.2質量部以上10質量部以下含有するのがより好ましく、1〜10質量部含有するのが更に好ましい。また、本発明のインクには、上記アゾ顔料とともに、他の顔料を併用してもよい。2種類以上の顔料を併用する場合は、顔料の含有量の合計が前記範囲となっているのが好ましい。そのような場合は、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。
【0214】
本発明のインクジェット記録用インクに用いられる水溶性溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が使用される。
具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等が挙げられる。
【0215】
前記多価アルコール誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0216】
また、前記含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が、含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が各々挙げられる。その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を用いることもできる。
【0217】
本発明に使用される水溶性溶媒は、単独で使用しても、2種類以上混合して使用しても構わない。水溶性溶媒の含有量としては、インク全体の1質量%以上60質量%以下、好ましくは、5質量%以上40質量%以下で使用される。インク中の水溶性溶媒量が1質量%よりも少ない場合には、十分な光学濃度が得られない場合が存在し、逆に、60質量%よりも多い場合には、液体の粘度が大きくなり、インク液体の噴射特性が不安定になる場合が存在する。
【0218】
本発明のインクジェット記録用インクの好ましい物性は以下の通りである。
インクの表面張力は、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上35mN/m以下である。表面張力が20mN/m未満となると記録ヘッドのノズル面に液体が溢れ出し、正常に印字できない場合がある。一方、60mN/mを超えると、印字後の記録媒体への浸透性が遅くなり、乾燥時間が遅くなる場合がある。なお、上記表面張力は、前記同様ウイルヘルミー型表面張力計を用いて、23℃、55%RHの環境下で測定した。
【0219】
インクの粘度は、1.2mPa・s以上8.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは1.5mPa・s以上6.0mPa・s未満、更に好ましくは1.8mPa・s以上4.5mPa・s未満である。粘度が8.0mPa・sより大きい場合には、吐出性が低下する場合がある。一方、1.2mPa・sより小さい場合には、長期噴射性が悪化する場合がある。
なお、上記粘度(後述するものを含む)の測定は、回転粘度計レオマット115(Contraves社製)を用い、23℃でせん断速度を1400s−1として行った。
【0220】
インクには、前記各成分に加えて、上記の好ましい表面張力及び粘度となる範囲で、水が添加される。水の添加量は特に制限は無いが、好ましくは、インク全体に対して、10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは、30質量%以上80質量%以下である。
【0221】
更に必要に応じて、吐出性改善等の特性制御を目的とし、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、多糖類及びその誘導体、その他水溶性ポリマー、アクリル系ポリマーエマルション、ポリウレタン系エマルション、親水性ラテックス等のポリマーエマルション、親水性ポリマーゲル、シクロデキストリン、大環状アミン類、デンドリマー、クラウンエーテル類、尿素及びその誘導体、アセトアミド、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を用いることができる。
【0222】
また、導電率、pHを調整するため、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の含窒素化合物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属類の化合物、硫酸、塩酸、硝酸等の酸、硫酸アンモニウム等の強酸と弱アルカリの塩等を使用することができる。
その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等も添加することができる。
【0223】
[カラーフィルター用着色組成物]
本発明のカラーフィルター用着色組成物は、上記した本発明の顔料組成物を含有するが、更に重合性化合物及び溶剤を含むことが好ましい。
本発明のカラーフィルター用着色組成物における上記アゾ顔料の使用量は、重合性化合物1質量部に対し、0.01〜2質量部であるのが好ましく、0.1〜1質量部であるのが特に好ましい。
【0224】
〔重合性化合物〕
重合性化合物は、カラーフィルターの製造プロセスを考慮して適宜選択すれば良く、重合性化合物としては、感光性化合物及び/又は熱硬化性化合物などが挙げられるが、感光性化合物が特に好ましい。
【0225】
感光性化合物としては、光重合性樹脂、光重合性モノマー及び光重合性オリゴマーの少なくとも1種以上から選ばれ、エチレン性不飽和結合を有するものであることが好ましい。カラーフィルター用着色組成物には硬化した状態で樹脂となるものを含めば良く、未硬化の状態では樹脂化していない成分のみが含まれる場合を含む。
光重合性化合物、光重合性モノマー及び光重合性オリゴマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレン型エポキシジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。また、アクリル酸(共)重合体、(メタ)アクリル酸(共)重合体、マレイン酸(共)重合体等のビニル樹脂や、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル等の側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂類も挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。重合性化合物の配合量はカラーフィルター用組成物中の全固形分中20〜95質量%、好ましくは40〜80質量%の範囲がよい。
【0226】
重合性化合物の配合率は、カラーフィルター用組成物中の全固形分中40〜95質量%であることが好ましく、更には50〜90質量%であることが好ましい。組成物中には、必要に応じて他の樹脂類等を配合することができるが、この場合には、他の樹脂類を合わせた合計量が上記範囲に入ることが望ましい。なお、全固形分とは乾燥、硬化後に固形分として残る成分をいい、溶剤を含まず、単量体を含む。
【0227】
〔光重合開始剤〕
重合性化合物として感光性化合物を用いる場合には、感光性化合物の単量体及び/又はオリゴマーと共に光重合開始剤を用いる。光重合開始剤としては、オキシム誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンゾイン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、チオキサントン誘導体、アントラキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、及びトリアジン誘導体などの化合物から選択される1種以上が挙げられる。これらの光重合開始剤とともに、更に公知の光増感剤を使用してもよい。
【0228】
熱硬化性樹脂としては、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シクロペンタジエン樹脂などが挙げられる。
なお、本明細書及び請求の範囲において、「感光性樹脂」、及び「熱硬化性樹脂」は各々硬化後の樹脂のみではなく、重合性の単量体及び/又はオリゴマーも含むものとする。
【0229】
上記の感光性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂とともに、他の重合性化合物として、酸性基を有するバインダー樹脂、及び、アクリル樹脂、ウレタン樹脂など一般的にインクに使用される樹脂を使用してもよい。
【0230】
〔溶剤〕
顔料分散物は、水系であっても非水系であってもよいが、そのカラーフィルターの製造方法によって異なり、例えばフォトリソグラフィー法では、非水系が好ましく、インクジェット法では、どちらでもかまわない。
本発明の着色組成物に用いる溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの脂肪酸エステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコールなどのケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサントリオールなどのグリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテルなどのアルキレングリコールジアルキルエーテル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3―ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの含窒素極性有機溶媒;水などが挙げられる。
【0231】
これらの溶剤のうち水溶性であるものは、水と混合して水性媒体として用いてもよい。また、水を除く上記の溶剤から選ばれる二種以上を混合して油性媒体として用いてもよい。
【0232】
本発明におけるカラーフィルター用着色組成物には、更に、界面活性剤、シリコーン系添加剤、シラン系カップリング剤及びチタン系カップリング剤から選択される1種以上の分散剤を含むことが好ましい。これらの分散剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0233】
以下に前記の分散剤の具体例について説明する。
界面活性剤は界面活性作用を有するものであれば特に限定されないが、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性、又は両性などの界面活性剤を挙げることができ、その具体例としては、アルカンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルりん酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸塩、及び脂肪族モノカルボン酸塩などの陰イオン性界面活性剤;アルキルアミン塩、及び四級アミン塩などの陽イオン性界面活性剤;グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤;アルキルベタインなどの両性界面活性剤;陽イオン性、陰イオン性、非イオン性、両性のいずれであってもよい高分子系界面活性剤などが挙げられる。
【0234】
シリコーン系添加剤の具体例としては、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルフェニルシロキサン、ポリオルガノシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリオルガノシロキサンポリエーテルコポリマー、ポリフルオロシロキサン、オルガノシランなどが挙げられる。これらのシリコーン系添加剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0235】
シラン系カップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピリトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、及びn−オクタデシルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0236】
チタン系カップリング剤の具体例としては、イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート、及びジブトキシビストリエタノールアミンチタネートなどが挙げられる。
【0237】
上記の分散剤の使用量は、使用する分散剤の種類にもよるが、有機顔料100質量部に対して、0.1〜100質量部用いるのが好ましく、0.5〜80質量部用いるのが特に好ましい。
【0238】
分散剤の使用方法は特に制限されず、公知のフォトリソグラフィー法用の着色組成物の調製方法に従えばよい。
【0239】
[カラーフィルター]
本発明はまた、上記のカラーフィルター用着色組成物を用いて得られる、カラーフィルターを提供する。該カラーフィルターは、高いコントラスト及び良好な光透過性を示す。具体的には、650nmの波長において、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上の光透過性を示す。
【0240】
本発明のカラーフィルターを製造するには、公知のいずれの方法を用いてもよく、好適にはフォトリソグラフィー法及びインクジェット法が挙げられる。以下、フォトリソグラフィー法及びインクジェット法について、詳細に説明する。
【0241】
1)フォトリソグラフィー法
フォトリソグラフィー法によりカラーフィルターを形成する場合には、本発明のカラーフィルター用着色組成物の重合性化合物として、感光性樹脂を用いる。感光性樹脂は、単量体及び/又はオリゴマーとして光重合開始剤と共に着色組成物中に配合され、光照射により硬化し透明基板上に被膜を形成する。
【0242】
感光性樹脂としては、前述の分子中に一つ以上のエチレン性二重結合を有する重合性単量体の重合体又は共重合体が好適に用いられる。
【0243】
これらの感光性樹脂(重合性単量体)としては、特にアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルが好ましく、具体的にはメチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレートなどが挙げられる。
【0244】
フォトリソグラフィー法を用いる場合、本発明のカラーフィルター用着色組成物に、前述の感光性樹脂に加え、酸性基を有するバインダー樹脂を用いる。酸性基を有するバインダー樹脂としては、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基などを有する樹脂が挙げられ、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するバインダー樹脂が好ましい。
【0245】
上記の酸性基を有するバインダー樹脂としては、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、N−ビニルピロリドン及びアクリルアミドなどから選ばれるエチレン性二重結合を有する単量体と、アクリル酸、メタクリル酸、p−スチレンカルボン酸、p−スチレンスルホン酸、p−ヒドロキシスチレン及び無水マレイン酸などから選択される、酸性基を有するエチレン性二重結合を有する単量体との共重合体が好ましく使用される。
【0246】
酸性基を有するバインダー樹脂は、感光性樹脂(重合性単量体)1質量部に対して、0.5〜4質量部用いるのが好ましく、1〜3質量部用いるのが特に好ましい。
【0247】
フォトリソグラフィー法用の着色組成物に用いる溶剤としては、脂肪酸エステル類、ケトン類、芳香族類、アルコール類、グリコール類、グリセリン、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールジアルキルエーテル類、エーテル類、及び含窒素極性有機溶媒から選択される1種以上の油性媒体が挙げられる。
【0248】
これらの溶剤の使用量は、着色組成物中の溶剤以外の成分の総質量に対して3〜30倍質量であるのが好ましく、4〜15倍質量であるのが特に好ましい。
【0249】
また、本発明におけるフォトリソグラフィー法用の着色組成物に、前述の成分の他に必要に応じて、湿潤剤、褪色防止剤、乳化安定剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防カビ剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤などの公知の添加剤(特開2003−306623号公報に記載)が挙げられる。これらの各種添加剤は、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
【0250】
本発明のカラーフィルター用着色組成物は、上記した本発明の顔料組成物、重合性化合物、溶剤、及びその他各種添加剤を、例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、二本ロールミル、三本ロールミル、ホモジナイザー、ニーダー、振とう分散機などの機器を用い、均一に混合、分散させる工程、及び前記溶剤等を用いて粘度調整する工程を含む方法により調製することが出来る。
【0251】
本発明のカラーフィルター用着色組成物を用いてカラーフィルターをディスプレー基板上に形成させる方法は、公知のフォトリソグラフィー法を用いれば良い。例えば、本発明の着色組成物を印刷法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法などの公知の方法によりディスプレー基板上に均一に塗布する工程、加熱によりインク中の溶剤を除去する工程、ディスプレー基板上のカラーフィルターパターンを高圧水銀ランプなどを用い露光する工程、アルカリ現像工程、洗浄工程、及び、ベーキング工程を含む方法によりカラーフィルターが得られる。
【0252】
2)インクジェット法
カラーフィルターをインクジェット法を用いて形成する場合には、本発明のカラーフィルター用着色組成物の重合性化合物としては、インクジェット方式用インクに従来用いられているものであれば特に限定されず、いずれを用いてもよい。感光性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂の単量体が好適に用いられる。
【0253】
これらの感光性樹脂としては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂及びエポキシ樹脂などが挙げられ、アクリル樹脂、及びメタクリル樹脂が好適に使用される。アクリル樹脂及びメタクリル樹脂は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アルキルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート、アミノアルキルメタクリレートなどから選ばれる光重合性の単量体と、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンゾイン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、チオキサントン誘導体、アントラキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、及びトリアジン誘導体などの化合物から選ばれる光重合開始剤を組み合わせて用いたものが好ましい。また、上記の光重合性単量体の他に、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、酢酸ビニルなどの親水性基を有する光重合性単量体を加えてもよい。
【0254】
熱硬化性樹脂としては、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びシクロペンタジエン樹脂などが挙げられる。
【0255】
インクジェット法を用いる場合、着色組成物に用いる溶剤は、油性媒体でも水性媒体でもよいが、水性媒体がより好適に使用される。水性媒体は水又は、水及び水溶性有機溶媒の混合溶媒が用いられるが、水及び水溶性有機溶媒の混合溶媒が好ましい。また、脱イオン処理されたものを使用することが望ましい。
【0256】
上記の着色組成物において使用する油性媒体は特に限定されないが、例えばフォトリソグラフィー法に用いる着色組成物用の溶剤として挙げたものなどを使用することが出来る。
【0257】
水性媒体中に使用する溶剤としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、グリコール類、グリセリン、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールジアルキルエーテル類、アルカノールアミン類、及び含窒素極性有機溶媒などから選択され、水溶性を有するものが挙げられる。これらの水溶性有機溶媒は単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
【0258】
これらの溶剤の使用量は特に限定されないが、着色組成物の粘度が室温にて20mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下となるように使用量を適宜調節するのがよい。
【0259】
本発明の着色組成物は、フォトリソグラフィー法用の着色組成物と同様に成分を分散、混合させる工程を含む方法により調製することが出来る。分散時には必要に応じ、フォトリソグラフィー法の場合と同様に分散剤を配合してもよい。
【0260】
また、本発明における着色組成物に、前述の成分の他に必要に応じて、湿潤剤、褪色防止剤、乳化安定剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防カビ剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤などの公知の種々の添加剤を含めてもよい。
【0261】
上記のように得られた着色組成物を用いたカラーフィルターの形成方法は、公知のインクジェット方式によるカラーフィルターの形成方法であれば特に限定されない。例えば、ディスプレー基板上に液滴状で所定のカラーフィルターパターンを形成させる工程、これを乾燥させる工程、及び熱処理あるいは光照射あるいはこれらの双方を行って基板上のカラーフィルターパターンを硬化、皮膜化させる工程を含む方法によりカラーフィルターを形成することができる。
【0262】
以上、フォトリソグラフィー法とインクジェット法について説明したが、本発明のカラーフィルターは他の方法によって得られたものでもよい。
【0263】
上記以外のカラーフィルター形成方法(例えばオフセット印刷法などの種々の印刷法)を用いる場合であっても、着色組成物が前述の重合性化合物及び溶剤を含み、一般式(1)で表されるアゾ化合物を着色剤に使用するものであれば、カラーフィルター用着色組成物、得られたカラーフィルターの何れも本発明の範囲に含まれる。
例えば、重合性化合物、溶剤、添加剤などの成分、及びカラーフィルター形成時の処方については、慣用例に従って選択すればよく、上述のフォトリソグラフィー法及びインクジェット法の説明に挙げたものに限定されない。
【0264】
以上のようにして得られる、本発明のカラーフィルターは、公知の方法によりG(緑)、B(青)のカラーフィルターパターンとともに画素を形成する。かかるフィルターは、透明性が非常に高く、分光特性にすぐれ、消偏光作用の小さい、鮮明な画像を表示可能な液晶ディスプレーを与えることができる。
【0265】
また、カラーフィルターの形成方法としては、初めにフォトレジストによりパターンを形成し、次いで染色する方法、或いは特開平4−163552号、特開平4−128703号、特開平4−175753号公報で開示されているように色素を添加したフォトレジストによりパターンを形成する方法がある。本発明の顔料組成物をカラーフィルターに導入する場合に用いられる方法としては、これらのいずれの方法を用いても良いが、好ましい方法としては、特開平4−175753号や特開平6−35182号に記載されたところの、熱硬化性樹脂、キノンジアジド化合物、架橋剤、本発明の顔料組成物及び溶剤を含有してなるポジ型レジスト組成物、並びに、それを基体上に塗布後、マスクを通して露光し、該露光部を現像してポジ型レジストパターンを形成させ、上記ポジ型レジストパターンを全面露光し、次いで露光後のポジ型レジストパターンを硬化させることからなるカラーフィルターの形成方法を挙げる事ができる。又、常法に従いブラックマトリックスを形成させ、RGB原色系あるいはY、M、C補色系カラーフィルターを得ることができる。カラーフィルターの場合も本発明の顔料組成物におけるアゾ顔料の使用量の制限はないが0.1〜50質量%が好ましい。
【0266】
この際使用する熱硬化性樹脂、キノンジアジド化合物、架橋剤、及び溶剤とそれらの使用量については、前記特許文献に記載されているものを好ましく使用することができる。
【実施例】
【0267】
以下に本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下、部とあるのは質量部を意味する。
【0268】
〔合成例1〕
具体的化合物例D−1の合成
具体的化合物例D−1の合成は、以下のルートで合成した。
【0269】
【化46】

【0270】
D−1の合成
1.0gの化合物(1)を10mlのリン酸(和光純薬株式会社;試薬特級純度85%、以下同様)に加えて溶かした。この溶液を氷冷して−5〜0℃に保ち、亜硝酸ナトリウム0.38gを加えて1時間攪拌し、ジアゾニウム塩溶液を得た。別に化合物(0)1.30gにアセトニトリル25mlを添加し攪拌下に、前述のジアゾニウム塩溶液を8℃以下で加えた。添加終了と同時に氷浴をはずし、更に3時間攪拌した。反応液にアセトニトリル50mlを添加し、30分間攪拌し、析出している結晶を濾別し、アセトニトリル30mlでかけ洗いをした。結晶を乾燥せずに水100mlに加え、炭酸水素ナトリウム0.5gを水30mlに溶かした溶液を添加し、20〜25℃で30分間攪拌した。析出している結晶を濾別し、更に水で充分にかけ洗いした。得られた結晶を乾燥させずにジメチルアセトアミド50mlに加え、100℃で加熱攪拌を30分間行なった。室温で30分間攪拌し、析出している結晶を濾過し、ジメチルアセトアミド30mlでかけ洗いをした。得られた結晶を乾燥させずにジメチルアセトアミド50mlに加え、水25mlを徐々に滴下し、80℃で1時間攪拌し、更に室温下で30分間攪拌した。析出している結晶を濾過し、ジメチルアセトアミド/水=2/1の20ml及びメタノール20mlでかけ洗いした。得られた結晶を乾燥し、本発明の化合物D−1を1.2g得た。収率52%。
図1に赤外吸収チャートを示す。
【0271】
〔合成例2〕
具体的化合物例D−33の合成
具体的化合物例D−33の合成は、以下のルートで合成した。
【0272】
【化47】

【0273】
D−33の合成
1.0gの化合物(2)を10mlのリン酸(和光純薬株式会社;試薬特級純度85%、以下同様)に加えて30℃に加温し溶かした。この溶液を氷冷して0〜5℃に保ち、亜硝酸ナトリウム0.38gを加えて1.5時間攪拌し、ジアゾニウム塩溶液を得た。このジアゾニウム塩溶液を、化合物(0)1.4gをジメチルアセトアミド5mlに溶かした溶液に5〜10℃に保ちながら滴下し、その後5〜10℃に保ちながら1時間攪拌した。その後、氷浴をはずし、更に0.5時間攪拌した。反応液に酢酸エチル50mlを加え、80℃で加熱完溶した。そこにヘキサン50mlを加え、更に80℃で20分間、室温で40分間攪拌した。析出した結晶を濾別し、ヘキサン50mlでかけ洗いをした。結晶を乾燥せずに水200ml、飽和炭酸水素ナトリウムを0.1ml加えて中和した。結晶にアセトニトリル100mlを加え、80℃で3時間、室温で1時間攪拌し、析出している結晶を濾過し、アセトニトリル50mlでかけ洗いした。得られた結晶を乾燥し、本発明の化合物D−33を0.51g得た。収率21%。
λmax:504nm、ε:1.59×10(CHCl
図2に赤外吸収チャートを示す。
【0274】
〔合成例3〕
具体的化合物例D−20の合成
具体的化合物例D−20の合成は、以下のルートで合成した。
【0275】
【化48】

【0276】
1.0gの化合物(3)を10mlのリン酸に加えて30℃に加温し溶かした。この溶液を氷冷して0〜5℃に保ち、亜硝酸ナトリウム0.35gを加えて2時間攪拌し、ジアゾニウム塩溶液を得た。このジアゾニウム塩溶液を、化合物(0)1.3gをジメチルアセトアミド5mlに溶かした溶液に5〜10℃に保ちながら滴下し、その後5〜10℃に保ちながら20分間、その後、氷浴をはずし、更に20分間攪拌した。反応液にジメチルアセトアミド100mlを加え、40℃で20分間攪拌した。そこにアセトニトリル100mlを加え、室温で10分間攪拌した。析出した結晶を濾別し、アセトニトリル50mlでかけ洗いをした。結晶を乾燥せずに水200ml、飽和炭酸水素ナトリウムを0.1ml加えて中和し、得られた結晶を乾燥し、本発明の化合物D−20を0.49g得た。収率21%。
λmax:493nm、ε:1.93×10(CHCl
図3に赤外吸収チャートを示す。
【0277】
〔合成例4〕
具体的化合物例D−22の合成
具体的化合物例D−22の合成は、以下のルートで合成した。
【0278】
【化49】

【0279】
D−22の合成
4.5gの化合物(4)を45mlのリン酸に加えて30℃に加温し溶かした。この溶液を氷冷して0〜5℃に保ち、亜硝酸ナトリウム1.47gを加えて1時間攪拌し、ジアゾニウム塩溶液を得た。このジアゾニウム塩溶液を、化合物(0)4.5gをジメチルアセトアミド70mlに溶かした溶液に5〜10℃に保ちながら滴下し、その後5〜10℃に保ちながら30分間、その後、氷浴をはずし、更に1時間攪拌した。反応液に水200mlを加えて、析出した結晶を濾別し、水200mlでかけ洗いをした。結晶にアセトニトリル200mlを加え、80℃で2時間攪拌した。その後、室温で2時間攪拌したのちに析出した結晶を濾別した。結晶は飽和炭酸水素ナトリウムを0.1ml加えて中和し、得られた結晶を乾燥し、本発明の化合物D−22を6.9g得た。収率82%。
λmax:494nm、ε:1.91×10(CHCl
図4に赤外吸収チャートを示す。
【0280】
〔合成例5〕
具体的化合物例D−222の合成
具体的化合物例D−222の合成は、以下のルートで合成した。
【0281】
【化50】

【0282】
1.0gの化合物(1’)を10mlのリン酸(和光純薬株式会社;試薬特級純度85%、以下同様)に加えて溶かした。この溶液を氷冷して−5〜0℃に保ち、亜硝酸ナトリウム0.55gを加えて1時間攪拌し、ジアゾニウム塩溶液を得た。別に化合物(0)1.60gにNMP(N−メチルピロリドン)20mlを添加し攪拌下に、前述のジアゾニウム塩溶液を8℃以下で加えた。添加終了と同時に氷浴をはずし、更に3時間攪拌した。反応液にメタノール50mlを添加し、30分間攪拌し、析出している結晶を濾別し、メタノール30mlでかけ洗いをした。結晶を乾燥せずに水100mlに加え、炭酸水素ナトリウム0.5gを水30mlに溶かした溶液を添加し、20〜25℃で30分間攪拌した。析出している結晶を濾別し、更に水で充分にかけ洗いした。得られた結晶を乾燥させずにNMP20ml、水10mlに加え、100℃で加熱攪拌を30分間行なった。室温で30分間攪拌し、析出している結晶を濾過し、NMP/水=2/1の20ml及び水20mlでかけ洗いした。得られた結晶を乾燥し、本発明の化合物D−222を1.8g得た。収率72%。
図5に赤外吸収チャートを示す。
【0283】
〔合成例6〕
具体的化合物例D−228の合成
具体的化合物例D−228の合成は、以下のルートで合成した。
【0284】
【化51】

【0285】
1.0gの化合物(2’)を10mlのリン酸に加えて溶かした。この溶液を氷冷して−5〜0℃に保ち、亜硝酸ナトリウム0.54gを加えて1時間攪拌し、ジアゾニウム塩溶液を得た。別に化合物(3’)1.60gにNMP(N−メチルピロリドン)20mlを添加し攪拌下に、前述のジアゾニウム塩溶液を8℃以下で加えた。添加終了と同時に氷浴をはずし、更に1時間攪拌した。反応液にメタノール40mlを添加し、30分間攪拌し、析出している結晶を濾別し、メタノール30mlでかけ洗いをした。結晶を乾燥せずに水100mlに加え、20〜25℃で30分間攪拌した。析出している結晶を濾別し、更に水で充分にかけ洗いした。得られた結晶を乾燥させずにNMP20ml、水10mlに加え、100℃で加熱攪拌を30分間行なった。室温で30分間攪拌し、析出している結晶を濾過し、NMP/水=2/1の20ml及び水20mlでかけ洗いした。得られた結晶を乾燥し、本発明の化合物D−228を2.0g得た。収率80%。
図6に赤外吸収チャートを示す。
【0286】
〔合成例7〕
具体的化合物例D−8の合成
具体的化合物例D−8の合成は、以下のルートで合成した。
【0287】
【化52】

【0288】
20gの式(2)で表される化合物を200mlのリン酸に加えて室温下完溶させ、この溶液を氷冷して−5℃に保ち、亜硝酸ナトリウム8.0gを加えて40分攪拌し、その後、亜硝酸ナトリウムを3.3g追加して、更に20分攪拌した。この反応液に尿素1.5gを加えて、ジアゾニウム塩溶液を得た。このジアゾニウム塩溶液を、式(3)で表される化合物21gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(400ml)に溶かした溶液に、5〜10℃に保ちながら80分間かけて滴下した。得られた溶液を5〜10℃に保ちながら2h攪拌し、その後、メタノールを240ml追加し、更に10分間攪拌した。析出した結晶を濾別し、メタノール300mlでかけ洗いをした。結晶を乾燥せずに水500ml、飽和炭酸水素ナトリウムを50ml加えて中和した。送風乾燥機を用い、50℃で24時間乾燥させた。得られた結晶をDMAc400mLに懸濁させた後、80℃中30分間攪拌した後に、純水300ml追加し80℃中30分間攪拌した。その後、二時間かけて室温に冷却し、得られた結晶を濾別し、室温にて24時間、50℃の減圧デシケータで10時間乾燥させ、α型結晶形態アゾ顔料(D−8)を25.6g得た。収率73%。
図7に赤外吸収チャートを示す。
【0289】
上記の合成例と同様にして他の化合物を合成した。
【0290】
〔合成例8〕(顔料誘導体A−1)
【0291】
【化53】

【0292】
1.9gの化合物(d)に水15ml、濃塩酸2.2mlを加えて、−2℃〜2℃で攪拌した。この溶液に、亜硝酸ナトリウム0.72gを水5mlに溶かした溶液を10分間で滴下し、ジアゾニウム塩溶液を得た。別に化合物(b)2.6gに水40mlと炭酸ナトリウム2gを添加し攪拌下に、前述のジアゾニウム塩溶液を5℃〜10℃で加えた。添加終了と同時に氷浴をはずし、更に2時間攪拌した。反応液に飽和食塩水200mlに添加した。析出した結晶を濾別し、飽和食塩水30mlでかけ洗いをし、乾燥した。得られた結晶をメタノール100mlで加熱し、不溶物を濾過した。溶液をセファデックスカラムクロマトグラフィで精製し、水/メタノール溶液を濃縮し、析出した結晶を濾別し、メタノールでかけ洗いをし、顔料誘導体A−1を1.7g得た。収率35%。
【0293】
(顔料誘導体A−2)
特開2008−202021号公報に記載の酸基導入色素A(ジアゾ成分:2−アミノ−4−メチル−5−クロロベンゼンスルホン酸、カップラー成分:2−ヒドロキシ−3−フェニルカルボモイルナフタレン)(以下の化学式で表される色素)を顔料誘導体A−2とした。
【0294】
【化54】

【0295】
(顔料誘導体A−3)
特開平5−117541に記載の製造例4の顔料誘導体(以下の化学式で表される顔料誘導体)を顔料誘導体A−3とした。
【0296】
【化55】

【0297】
〔合成例9〕
(比較化合物1)
比較化合物1の合成は、以下のルートで合成した。
【0298】
【化56】

【0299】
2.1gの化合物(a)に水15ml、濃塩酸2.2mlを加えて、−2℃〜2℃で攪拌した。この溶液に、亜硝酸ナトリウム0.72gを水5mlに溶かした溶液を10分間で滴下し、ジアゾニウム塩溶液を得た。別に化合物(b)2.40gにDMAc10mlを添加し攪拌下に、前述のジアゾニウム塩溶液を5℃〜10℃で加えた。添加終了と同時に氷浴をはずし、更に2時間攪拌した。析出している結晶を濾別し、水50mlで洗浄した。得られた結晶をメタノール50mlで再結晶を行ない、25℃に冷却し、析出している結晶を濾別した。得られた結晶を乾燥し、比較化合物1を1.1g得た。収率24%。
【0300】
【表1】

【0301】
〔実施例1〕
具体的化合物例D−1の顔料2.5部、顔料誘導体A−3を0.25部、オレイン酸ナトリウム0.5部、グリセリン5部、水42部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ100部とともに遊星型ボールミルを用いて毎分300回転、8時間分散を行った。分散終了後、ジルコニアビーズを分離し、顔料分散物1を得た。
【0302】
〔実施例2〜7、比較例1〜9〕
実施例1において、顔料分散物の調製に使用した(A)有機顔料、(B)顔料誘導体を上記表1に示すようにそれぞれ代えたこと以外、実施例1と同様にして、実施例2〜7、比較例1〜9の顔料分散物を調製した。
〔実施例8〕
具体的化合物例D−8の顔料2.5部、顔料誘導体A−1を0.25部、臭化セチルトリメチルアンモニウム0.5部、グリセリン5部、水42部を混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズ100部とともに遊星型ボールミルを用いて毎分300回転、8時間分散を行った。分散終了後、ジルコニアビーズを分離し、顔料分散物8を得た。
【0303】
〔実施例9〕
実施例8において、顔料分散物の調製に使用した(A)有機顔料、(B)顔料誘導体を上記表1に示すようにそれぞれ代えたこと以外、実施例1と同様にして、実施例9の顔料分散物を調製した。
【0304】
(評価)
<分散性(平均粒子径)>
上記で得られた各顔料分散物を動的光散乱粒径測定装置(日機装(株)マイクロトラックUPA150)を用いて、常法により体積平均粒子径を測定した。顔料分散物を作製して室温で2時間後に測定した体積平均粒子径が、50nm以下のものを○、50nmより大きく100nm以下のものを△、100nmより大きいものを×とした。
【0305】
<分散安定性>
上記で得られた各顔料分散物の70℃で2日間保存後の体積平均粒子径を室温で2時間後の体積平均粒子径で割った値が1.2以下のものを○、1.2より大きく5以下のものを△、5より大きいものを×とした。
【0306】
<耐光性>
上記で得られた各顔料分散物をNo.3のバーコーターを用いてセイコーエプソン(株)社製フォトマット紙<顔料専用>に塗布した。得られた塗布物の画像濃度を反射濃度計(X−Rite社製X−Rite938)を用いて測定し、「着色力(OD:OpticalDensity)」が1.0の塗布物を、フェードメーターを用いてキセノン光(170000lux.;325nm以下カットフィルター存在下)を14日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を、反射濃度計を用いて測定し、色素残存率[(照射後濃度/照射前濃度)×100%]として評価した。
色素残存率が80%より大きいとき、○
色素残存率が60%より大きく80%以下のとき、△
色素残存率が60%以下のとき、×とした。
<着色力評価>
上記で得られた各顔料分散物をNo.3のバーコーターを用いてセイコーエプソン(株)社製フォトマット紙<顔料専用>に塗布した。得られた塗布物の画像濃度を反射濃度計(X−Rite社製X−Rite938)を用いて測定し、「着色力(OD:Optical Density)」を以下の基準で評価した。ODが1.6以上の場合を◎、1.4以上で1.6未満の場合を○、1.2以上で1.4未満の場合を△、1.2未満の場合を×とした。結果を表2に示す。
【0307】
評価結果を表2に示す。
【0308】
【表2】

【0309】
表2から明らかなように、実施例1〜9の分散物は、比較例1〜9の分散物と比較すると、分散性、分散安定性、耐光性、及び着色力の全てにおいて優れた性能を有することが示された。
【0310】
(インクジェット記録用インク)
〔実施例11〕
国際公開番号WO06/064193号パンフレットの22ページに記載されているDispersant 10で表される高分子分散剤を水酸化カリウム水溶液で中和した。得られた分散剤水溶液75質量部(固形分濃度20%)の中に、前記で合成したアゾ顔料(D−1)30質量部及び顔料誘導体(A−3)3質量部及びイオン交換水95質量部を加えて、ディスパー攪拌翼にて混合・粗分散した。混合・粗分散した液にジルコニア・ビーズを600質量部を入れて、これを分散機(サンドグラインダミル)で4時間分散した後、ビーズと分散液に分離した。得られた混合物を攪拌しながら、25℃でポリエチレングリコールジグリシジルエ−テル2質量部をゆっくり加え、50℃で6時間攪拌した。更に、分画分子量300,000の限外濾過膜を使って不純物を除去し、これをポアサイズ5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:25mm、富士フイルム(株)社製)を取り付けた容量20mlのシリンジで濾過し、粗大粒子を除去することにより固形分濃度10%の顔料分散物11(粒径40nm:日機装(株)社製Nanotrac150(UPA−EX150)を用いて測定)を得た。
【0311】
有機顔料D−1及び顔料誘導体A−3を表3に記載のものに変更した以外は、実施例11と同様にして、比較例顔料分散物11を作成した。
【0312】
【表3】

【0313】
実施例11で得られた顔料分散物11を固形分で5質量%、グリセリン10質量%、2−ピロリドン5質量%、1,2―ヘキサンジオール2質量%、トリエチレングリコールモノブチルエーテル2質量%、プロピレングリコール0.5質量%、イオン交換水75.5質量%になる様に各成分を加えて、得られた混合液をポアサイズ1μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:25mm、富士フイルム(株)社製)を取り付けた容量20mlのシリンジで濾過し、粗大粒子を除去することにより表4に示す本発明の顔料インク液11を得た。
【0314】
実施例11で得られた顔料分散物11の代わりに、比較例11で得られた比較顔料分散物11を用いた以外は実施例11と同様にして比較顔料インク液11を得た。
【0315】
なお、表4において、「吐出安定性」、「光堅牢性」、「熱堅牢性」、「オゾン堅牢性」、「金属光沢」、「インク液安定性」は、各インクをセイコーエプソン(株)社製インクジェットプリンターPX−V630のマゼンタインク液のカートリッジに装填し、その他の色のインクはPX−V630の顔料インク液を用い、受像シートはセイコーエプソン(株)社製写真用紙<光沢>、及びセイコーエプソン(株)社製写真用紙クリスピア<高光沢>に推奨モードきれいで階段状に濃度が変化した単色画像パターン並びにグリーン、レッド、グレーの画像パターンを印画させ、画像品質(金属光沢)並びにインクの吐出性と画像堅牢性の評価を行った。金属光沢以外の評価は単色で行った。
【0316】
上記顔料インク液11、比較顔料インク液11のインクジェット用インクについて、下記評価を行った。その結果を表4に示した。
【0317】
(評価実験)
1)吐出安定性については、カートリッジをプリンターにセットし全ノズルからのインクの突出を確認した後、A4サイズの受像シートを20枚出力し、以下の基準で評価した。
A:印刷開始から終了まで印字の乱れ無し
B:印字の乱れのある出力が発生する
C:印刷開始から終了まで印字の乱れあり
【0318】
2)画像保存性については、印画サンプルを用いて、以下の評価を行った。
[1] 光堅牢性は印画直後の画像濃度CiをX−rite310にて測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(10万ルックス)を14日照射した後、再び画像濃度Cfを測定し画像残存率Cf/Ci×100を求め評価を行った。
画像残像率について反射濃度が1、1.5、2の3点にて評価し、いずれの濃度でも画像残存率が80%以上の場合をA、2点が80%未満の場合をB、全ての濃度で80%未満の場合をCとした。
【0319】
[2] 熱堅牢性については、80℃60%RHの条件下に7日間、印字サンプルを保存する前後での濃度を、X−rite310にて測定し、画像残存率を求め評価した。画像残像率について反射濃度が1、1.5及び2の3点にて評価し、いずれの濃度でも画像残存率が95%以上の場合をA、2点が95%未満の場合をB、全ての濃度で95%未満の場合をCとした。
【0320】
[3] 耐オゾン性(オゾン堅牢性)については、オゾンガス濃度が5ppm(25℃;50%)に設定されたボックス内に14日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite社製PhotographicDensitometer310)を用いて測定し、画像残存率として評価した。なお、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
何れの濃度でも画像残存率が80%以上の場合をA、1又は2点が80%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
【0321】
3)金属光沢の発生有無:イエロー及びグリーン、レッドのベタ印画部を反射光により目視観察し評価した。
金属光沢の見えないものを「○」、金属光沢の見えるものを「×」として評価した。
【0322】
4)インク液安定性:実施例及び比較例の顔料インク液を60℃で10日間経時した後、顔料インク液中の粒径変化なしを「○」、粒径変化ありを「×」として評価した。下記表4に示した。
【0323】
【表4】

【0324】
表4の結果から、本発明の顔料組成物を使用した顔料インク液は吐出性、耐侯性に優れ、金属光沢の発生が押さえられ、顔料インク液安定性に優れることがわかった。
表4の結果から明らかなように、本発明の顔料インク液を使用した系ではすべての性能に優れていることがわかる。特に比較例に対して、吐出安定性、光堅牢性及びインク液安定性が優れている。
【0325】
〔実施例12〕
実施例11で作製した顔料インク液11を、エプソン(株)社製のPX−V630にて画像を富士フイルム(株)社製インクジェットペーパーフォト光沢紙「画彩」にプリントし、実施例11と同様な評価を行ったところ、同様な結果が得られた。
表4の結果から明らかなように、本発明の顔料を用いた顔料インク液は色調に優れ、高い着色力及び耐光性を示す。
従って、本発明の顔料を用いた顔料分散物は、例えば、インクジェットなどの印刷用のインク等に好適に使用することができる。
【0326】
(カラーフィルター)
〔実施例101〕
〔フォトリソグラフィー法によるカラーフィルターの作製〕
70ccのマヨネーズ瓶に、顔料D−1を0.6g、顔料誘導体A−3を0.06g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を5.0g、ジルコニアビーズ(φ0.3mm)を10gを投入し、これを振とう分散機(LAU社製DAS200)で6時間振盪して、顔料分散体101を得た。
【0327】
顔料分散体101に下表に示す材料を加え、上記振とう分散機にて更に30分振盪しフォトリソグラフィー法用のカラーフィルター用着色組成物101を調製した。
【0328】
【表5】

【0329】
得られたカラーフィルター用着色組成物101を、スライドグラスにバーコーター Rod No.10を用いて塗布した後、80℃のオーブンで5分間乾燥してインク塗膜を得た。
上記塗膜を、塗膜の一部を適当にマスキングした後、高圧水銀ランプを用い、200mJ/cmの条件で照射して露光した。その後0.5%炭酸ナトリウム水溶液を用い25℃で現像を行い、更に220℃のオーブンで20分間乾燥を行って、実施例101のカラーフィルターを作製した。
【0330】
〔実施例102〜109、比較例101〜109〕
有機顔料D−1及び顔料誘導体A−3を表6に記載のものに変更した以外は、実施例101と同様にしてカラーフィルター用着色組成物102〜109、カラーフィルター用比較着色組成物101〜109を調製し、実施例102〜109、比較例101〜109のカラーフィルターを作製した。
【0331】
【表6】

〔耐光性評価〕
実施例101〜109、及び比較例101〜109で得られたカラーフィルターを用いて、耐光性評価を行った。
【0332】
<耐光性評価>
各着色組成物をNo.3のバーコーターを用いてセイコーエプソン(株)社製フォトマット紙<顔料専用>に塗布することによって得られた画像濃度1.0(反射濃度計(X−Rite社製X−Rite938)を用いて測定)の塗布物に、フェードメーターを用いてキセノン光(170000lux.;325nm以下カットフィルター存在下、スガ試験機)を20日間照射し、その前後の色差(ΔEab)を分光光度計(サカタインクス社製Macbeth Coloreye―3000)で測定した。下記判定基準に従って評価しこれらの結果を表7に示した。
<判定基準>
○:ΔEab≦3.0
△:3.0<ΔEab≦6.0
×:6.0<ΔEab
【0333】
【表7】

【0334】
着色剤として(A)一般式(1)で表されるアゾ顔料、及び(B)親水性基を有する一般式(B1)で表される顔料誘導体を含有する本発明のカラーフィルター用着色組成物を用いて作成した実施例101〜109のカラーフィルターは、比較例101〜109の顔料を用いたものと比べて、同等以上の耐光性を示した。
【0335】
(コントラスト評価)
得られたカラーフィルターのコントラストを、壷坂電機株式会社製、コントラストテスター CT−1を用いて測定した。評価はコントラスト≧23000を○、23000>コントラスト≧18000を△、18000>コントラストを×とし、結果を表8に示す。
【0336】
【表8】

【0337】
着色剤として(A)一般式(1)で表されるアゾ顔料、及び(B)親水性基を有する一般式(B1)で表される顔料誘導体を含有する本発明のカラーフィルター用着色組成物を用いて作成した実施例101〜109のカラーフィルターは、比較例101〜109の顔料を用いたものと比べて、優れたコントラストを示した。
【0338】
(分散物経時安定性の評価)
実施例101〜109、比較例101〜109で作成した着色組成物101〜109、比較着色組成物101〜109を暗所室温で2週間保存した後、異物の析出度合いを目視により下記判定基準に従って評価した。結果を表9に示す。
<判定基準>
○:析出は認められなかった。
△:僅かに析出が認められた。
×:析出が認められた。
【0339】
【表9】

【0340】
着色剤として(A)一般式(1)で表されるアゾ顔料、及び(B)親水性基を有する一般式(B1)で表される顔料誘導体を含有する本発明のカラーフィルター用着色組成物を用いて作成した実施例101〜109のカラーフィルターは、比較例101〜109と比べて、経時による異物が認められず、分散物経時安定性に優れていた。
【0341】
(実施例201)
<Green顔料分散液の調製>
−Green顔料分散液P1の調製−
顔料としてC.I.ピグメント・グリーン36とC.I.ピグメント・イエロー139との100/55(質量比)混合物12.6部と、分散剤としてBYK2001(Disperbyk:ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.1質量%)5.2部と、分散樹脂としてベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(酸価134mgKOH/g、Mw=30,000)を2.7部と、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート78.3部とからなる混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、Green顔料分散液P1を調製した。
【0342】
<Red顔料分散液の調製>
−Red顔料分散液P2の調製−
顔料としてD−1と顔料誘導体A−3とC.I.ピグメント・イエロー139との91/9/45(質量比)混合物12.1部と、分散剤としてBYK2001(Disperbyk:ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.1質量%)10.4部と、分散樹脂としてベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(酸価134mgKOH/g、Mw=30,000)を3.8部と、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート73.7部とからなる混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、Red顔料分散液P2を調製した。
【0343】
<Blue顔料分散液の調製>
−Blue顔料分散液P3の調製−
顔料としてC.I.ピグメント・ブルー15:6とC.I.ピグメント・バイオレット23との100/25(質量比)混合物14部と、分散剤としてBYK2001(Disperbyk:ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.1質量%)4.7部と、分散樹脂としてベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(酸価134mgKOH/g、Mw=30,000)を3.5部と、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート77.8部とからなる混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、Blue顔料分散液P3を調製した。
【0344】
<Green着色感光性組成物(塗布液)A−1の調製>
上記のGreen顔料分散液P1を用い、下記組成となるように混合、撹拌して着色感光性組成物A−1を調製した。
【0345】
【表10】

【0346】
<Red着色感光性組成物(塗布液)B−1の調製>
上記のRed顔料分散液P2を用い、下記組成となるように混合、撹拌して着色感光性組成物B−1を調製した。
【0347】
【表11】

【0348】
<Blue着色感光性組成物(塗布液)C−1の調製>
上記のBlue顔料分散液P3を用い、下記組成となるように混合、撹拌して着色感光性組成物C−1を調製した。
【0349】
【表12】

【0350】
前記において調製されたGreen着色感光性組成物A−1を、あらかじめヘキサメチルジシラザンを噴霧した8インチのデバイス形成済みシリコンウエハの上に塗布し、光硬化性の塗布膜を形成した。そして、この塗布膜の乾燥膜厚が1.0μmになるように、100℃のホットプレートを用いて180秒間加熱処理(プリベーク)を行った。次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長で1.0μm四方のベイヤーパターンマスクを通して50〜1000mJ/cmにて照射した(50mJ/cmずつ露光量を変化)。その後、照射された塗布膜が形成されているシリコンウエハをスピン・シャワー現像機(DW−30型;(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の40%希釈液を用いて23℃で180秒間パドル現像を行ない、シリコンウエハに着色パターンを形成した。
【0351】
着色パターンが形成されたシリコンウエハを真空チャック方式で前記水平回転テーブルに固定し、回転装置によって該シリコンウエハを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後スプレー乾燥した。
次に、200℃のホットプレートにて5分間加熱し、パターンが形成されたカラーフィルタを得た。
【0352】
更に、上記Red着色感光性組成物B−1、Blue感光性組成物C−1を用い、露光パターンを1.0μm四方のアイランドパターンマスクを通して露光する以外はGreenと同様の工程を繰り返すことにより、RGBのパターンで形成されたカラーフィルタを形成した。
このカラーフィルタが形成されたデバイスを使用してカメラモジュールを作成すると、良好な分光特性を有することが確認できた。
【0353】
【化57】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で表されるアゾ顔料、及び(B)親水性基を有する下記一般式(B1)で表される顔料誘導体を含有することを特徴とする顔料組成物。
【化1】

(一般式(1)中、Gは水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基又はアリールスルホニル基を表し、Rは、アミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Rは置換基を表し、Aは芳香族5〜6員ヘテロ環基を表す。mは0〜5の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。n=2の場合は、R、R、A又はGを介した2量体を表す。n=3の場合はR、R、A又はGを介した3量体を表す。n=4の場合はR、R、A又はGを介した4量体を表す。一般式(1)がイオン性親水性基を有することはない。)
【化2】

(一般式(B1)中、Pはアンサンスロン系色素残基、アントラキノン系色素残基、アントラピリミジン系色素残基、アゾ系色素残基、キナクリドン系色素残基、キノフタロン系色素残基、ジケトピロロピロール系色素残基、ジオキサジン系色素残基、フラバンスロン系色素残基、インダンスロン系色素残基、イソインドリン系色素残基、イソインドリノン系色素残基、イソビオランスロン系色素残基、金属錯体系色素残基、ペリノン系色素残基、ペリレン系色素残基、フタロシアニン系色素残基、ピランスロン系色素残基、ピラゾロキナゾロン系色素残基、チオインジゴ系色素残基又はトリアリールカルボニウム系色素残基を表わす。Xは、−SO・M/m若しくは−COO・M/m(Mは水素イオン、1〜3価の金属イオン又はアンモニウムイオンより選択される対カチオンを表し、mはMの価数(1〜3の整数)を表す)又はアミノ基を示す。n1は1〜4の整数を表す)
【請求項2】
前記顔料誘導体が、ジケトピロロピロール系顔料誘導体、キナクリドン系顔料誘導体、アントラキノン系顔料誘導体及びアゾ系顔料誘導体からなる群より選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の顔料組成物。
【請求項3】
前記顔料誘導体が、アゾ系顔料誘導体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の顔料組成物。
【請求項4】
前記アゾ系顔料誘導体が、下記一般式(B2)で表されるアゾ化合物、その互変異性体、それらの塩又は水和物であることを特徴とする請求項3に記載の顔料組成物。
【化3】

一般式(B2)中、GB2は、水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基又は親水性基を表し、RB21は、アミノ基、脂肪族オキシ基、窒素原子で結合したヘテロ環基又は親水性基を表し、RB2からRB6はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表す。AB2は、アリール基、又はヘテロ環基を表す。RB21、RB2からRB6及びAB2の少なくとも1つは親水性基を有する。nは1〜4の整数を表す。n=2の場合は、RB21、RB2からRB6、AB2又はGB2を介した2量体を表す。n=3の場合はRB21、RB2からRB6、AB2又はGB2を介した3量体を表す。n=4の場合はRB21、RB2からRB6、AB2又はGB2を介した4量体を表す。
【請求項5】
前記(A)一般式(1)で表されるアゾ顔料に対する前記(B)親水性基を有する一般式(B1)で表される顔料誘導体の含有量が、0.1〜30質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の顔料組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の顔料組成物を含むことを特徴とするインクジェット記録用インク。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の顔料組成物を含むことを特徴とするカラーフィルター用着色組成物。
【請求項8】
請求項7に記載のカラーフィルター用着色組成物を用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−162781(P2011−162781A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6476(P2011−6476)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】