説明

顕微鏡コントローラ及び顕微鏡コントローラを備える顕微鏡システム

【課題】タッチパネルの操作がブラインド操作により行われる場合に誤操作が行われるのを防止し、操作領域の配置に自由度を持たせつつ操作性を向上させる。
【解決手段】顕微鏡コントローラ13は、第1及び第2の認識部21a、21bを含むCPU21とタッチパネル27を有する。CPU21は、タッチパネル27の表示領域に、少なくとも第1及び第2の操作領域を含む複数の操作領域を設定する。第2の認識部21bは、第1の操作領域に対する入力が継続して行われていることが第1の認識部21aにより認識されている場合に限り、第2の操作領域に対する入力が継続して行われた場合に、該入力が最初に検出された入力開始位置と該入力が最後に検出された入力終了位置との差を認識する。その差が認識された場合に、CPU21は、その差に基づいて、対応する電動駆動機構の動作を制御するための制御指示信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡システムに含まれる複数の電動ユニットの各々の動作を制御するための操作が行われる顕微鏡コントローラに関し、特に、その操作がタッチパネルを介して行われる顕微鏡コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、顕微鏡装置を含む顕微鏡システムの各ユニットの駆動を電動により行うものが少なくなく、操作するユニットの数も増えてきている。すなわち、顕微鏡システムの各ユニットに対して多様なコントロールが必要になってきている。
【0003】
このような事情から、例えば特許文献1には、各電動ユニットの駆動指示をタッチパネルの操作によって行うようにした顕微鏡システムが提案されている。
また、例えば特許文献2には、モバイル機器の表示手段に表示されたコンテンツを表示制御する場合に、表示手段の外周辺に隣接して配置された操作手段に接触して操作を行うことにより、操作を分かりやすくした操作装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第WO96/18924号
【特許文献2】特開2008−234372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、顕微鏡システムの各ユニットの操作をタッチパネルのような入力手段の操作により行う場合、操作するユニットの種類によっては問題が生じ得る。
例えば対物レンズや光学フィルタの切り換えを行う場合、ユーザは、顕微鏡装置からタッチパネルに視線を移し、タッチパネルに表示されたボタンを押下することにより、所望の状態へ切り換えることができる。しかしながら、例えばフォーカシングを行う場合やステージを移動させる場合、ユーザは、顕微鏡装置の接眼レンズ又はモニターで標本像を見ながらタッチパネルの操作を行って所望の観察状態(ピント合わせやターゲット探し)に合わせ込まなければならない。すなわち、ユーザは、タッチパネルから視線を離した状態で、トライアンドエラーを繰り返しながら、細かな合わせ込み操作を行わなければならない。
【0006】
図13は、このような場合に生じ得る誤操作の一例を説明する図である。
なお、同図に示したタッチパネルを有する装置101は、タッチパネルの表示領域104に、ステージ操作領域102や対物レンズ選択領域103(103a、103b、103c、103d)等が設定されている。この装置101では、例えば、ユーザがステージ操作領域102上において指を接触させたまま移動させることにより、対応する方向(X方向及び又はY方向)へステージを移動させることが可能になっている。また、例えば、ユーザが対物レンズ選択領域103の何れかに指を接触させることにより、対応する対物レンズを光路に挿入させることが可能になっている。
【0007】
このような装置101を用いてユーザがステージを移動させる操作を行う場合、その操作は、上述のとおり、装置101(タッチパネルの表示領域104)から視線を離した状態でのブラインド操作となる。この場合、例えば、ユーザがステージ操作領域102上を指で反復操作しているつもりであっても、同図の軌跡105に示すように、その指がステージ操作領域102上から徐々に外れて、しまいには対物レンズ選択領域103に接触し、対物レンズの誤操作が行われてしまう虞がある。このように、ブラインド操作では、ユーザがステージ操作領域102上を操作しているつもりであっても、ステージ操作領域102以外の領域を誤操作してしまう虞がある。
【0008】
特許文献1には、提案されている顕微鏡システムにおいて、タッチパネルに構成されたスイッチに設定された属性を変更し、変更された属性に対応して電動ユニットが動作するように調整すること等が言及されている。しかしながら、フォーカシングやステージを移動させる場合の操作については言及されていない。すなわち、上述のような誤操作については考慮されていない。
【0009】
一方、特許文献2に提案されている操作装置では、表示手段の外周辺に隣接して操作手段(タッチセンサ)を配置し、操作を分かりやすくしている。しかしながら、これを顕微鏡システムに適用したとしても、例えばステージの移動は一方向だけでなくX方向及びY方向にも移動できるよう自在に操作する必要があることから、表示手段の外周辺に隣接して配置された操作手段だけでは十分ではない。また、ステージの移動のほか、フォーカシングやズーミング等の多岐にわたる操作を行うことを考慮すると、表示手段の外周辺のスペースには限りがあることから、操作手段の配置に自由度がなくなってしまう。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑み、タッチパネルの操作がブラインド操作により行われる場合に誤操作が行われるのを防止し、操作領域の配置に自由度を持たせつつ操作性を向上させる、顕微鏡コントローラ及びそれを備える顕微鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様に係る装置は、顕微鏡システムに含まれる複数の電動ユニットの各々の動作を制御するための操作が行われる顕微鏡コントローラであって、外部からの物理的接触による入力を受け付けると共に表示機能を有するタッチパネル部と、前記タッチパネル部の表示領域に、前記複数の電動ユニットの各々の動作を制御するための操作が行われる複数の操作領域として、少なくとも第1の操作領域と第2の操作領域を含む複数の操作領域を設定し、該複数の操作領域の一つ以上に対する外部からの物理的接触による入力が検出された場合に、対応する電動ユニットの動作を制御するための制御指示信号を生成する制御部と、前記制御部により生成された制御指示信号を、対応する電動ユニットの動作を制御する外部装置に対して、送信する通信制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の操作領域に対する外部からの物理的接触による入力が継続して行われていることを認識する第1の認識手段と、前記第1の操作領域に対する入力が継続して行われていることが前記第1の認識手段により認識されている場合に限り、前記第2の操作領域に対する外部からの物理的接触による入力が継続して行われた場合に、該入力が最初に検出された入力開始位置と該入力が最後に検出された入力終了位置との差を認識する第2の認識手段と、を含み、前記差が前記第2の認識手段により認識された場合に、前記差に基づいて、対応する電動ユニットの動作を制御するための制御指示信号を生成する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様に係る装置は、顕微鏡システムに含まれる複数の電動ユニットの各々の動作を制御するための操作が行われる顕微鏡コントローラであって、外部からの物理的接触による入力を受け付けると共に表示機能を有するタッチパネル部と、前記タッチパネル部の表示領域に、前記複数の電動ユニットの各々の動作を制御するための操作が行われる複数の操作領域として、少なくとも第1の操作領域を含む複数の操作領域を設定し、該複数の操作領域の一つ以上に対する外部からの物理的接触による入力が検出された場合に、対応する電動ユニットの動作を制御するための制御指示信号を生成する制御部と、前記制御部により生成された制御指示信号を、対応する電動ユニットの動作を制御する外部装置に対して、送信する通信制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の操作領域に対する外部からの物理的接触による入力が継続して行われていることを認識する第1の認識手段と、前記第1の操作領域に対する入力が継続して行われていることが前記第1の認識手段により認識されている場合に限り、前記タッチパネル部の表示領域内であって前記第1の操作領域以外の領域である第2の操作領域に対する外部からの物理的接触による入力が継続して行われた場合に、該入力が最初に検出された入力開始位置と該入力が最後に検出された入力終了位置との差を認識する第2の認識手段と、を含み、前記差が前記第2の認識手段により認識された場合に、前記差に基づいて、対応する電動ユニットの動作を制御するための制御指示信号を生成する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の態様に係る装置は、顕微鏡システムに含まれる複数の電動ユニットの各々の動作を制御するための操作が行われる顕微鏡コントローラであって、外部からの物理的接触による入力を受け付けると共に表示機能を有するタッチパネル部と、前記タッチパネル部の表示領域に、前記複数の電動ユニットの各々の動作を制御するための操作が行われる複数の操作領域として、少なくとも第1の操作領域を含む複数の操作領域を設定し、該複数の操作領域の一つ以上に対する外部からの物理的接触による入力が検出された場合に、対応する電動ユニットの動作を制御するための制御指示信号を生成する制御部と、前記制御部により生成された制御指示信号を、対応する電動ユニットの動作を制御する外部装置に対して、送信する通信制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の操作領域に対する外部からの物理的接触による入力が継続して行われていることを認識する第1の認識手段と、前記第1の操作領域に対する入力が継続して行われていることが前記第1の認識手段により認識されている場合に限り、前記タッチパネル部の表示領域内であって前記第1の操作領域以外の領域内に新たに設けられる第2の操作領域に対する外部からの物理的接触による入力が継続して行われた場合に、該入力が最初に検出された入力開始位置と該入力が最後に検出された入力終了位置との差を認識する第2の認識手段と、を含み、前記差が前記第2の認識手段により認識された場合に、前記差に基づいて、対応する電動ユニットの動作を制御するための制御指示信号を生成する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の態様に係る装置は、上記第1乃至3の何れか一つの態様において、前記第1の操作領域は、更に複数の操作領域を含み、前記制御部は、前記第2の認識手段により認識された差に基づいて、対応する電動ユニットの動作を制御するための制御指示信号を生成する場合に、前記第1の認識手段により認識されていた入力が前記第1の操作領域に含まれる前記複数の操作領域の何れに対するものであるかに応じて、前記電動ユニットの動作を制御するレベルが異なる制御指示信号を生成する、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の第5の態様に係る装置は、上記第1乃至3の何れか一つの態様において、前記タッチパネル部の表示領域内において、前記第1の操作領域の位置、大きさ、及び形状は、何れも可変である、ことを特徴とする。
【0016】
本発明の第6の態様に係る装置は、上記第1乃至5の何れか一つの顕微鏡コントローラを備える顕微鏡システムである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、タッチパネルの操作がブラインド操作により行われる場合に誤操作が行われるのを防止し、操作領域の配置に自由度を持たせつつ操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1に係る顕微鏡コントローラを含む顕微鏡システムの構成例を示す図である。
【図2】実施例1に係る顕微鏡コントローラの内部の構成例を示す図である。
【図3】実施例1において、タッチパネルの表示領域に設定された複数の操作領域の一例を示す図である。
【図4】(a),(b)は、操作領域に対してユーザが行う操作の一例を示す図である。
【図5】実施例1において、ステージをX方向及び又はY方向に移動させる操作の一例を示す図である。
【図6】実施例1において、ステージをZ方向に移動させる操作の一例を示す図である。
【図7】実施例1において、ズーム機構の動作を制御するための操作が行われる操作領域を追加した例を示す図である。
【図8】実施例1において、タッチパネルの表示領域に設定される複数の操作領域の変形例を示す図である。
【図9】実施例2において、タッチパネルの表示領域に設定された複数の操作領域の一例を示す図である。
【図10】実施例2において、ステージをX方向及び又はY方向に移動させる操作の一例を示す図である。
【図11】実施例2において、ステージをZ方向に移動させる操作の一例を示す図である。
【図12】実施例3において、ステージをX方向及び又はY方向に移動させる操作の一例を示す図である。
【図13】従来例において、ステージをX方向及び又はY方向に移動させる操作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の実施例1に係る顕微鏡コントローラを含む顕微鏡システムの構成例を示す図である。
同図に示した顕微鏡システムにおいて、顕微鏡本体(顕微鏡装置本体)1に支持されているステージ2の上には、観察対象である標本Sが載置されている。ステージ2は、図示をしない電動駆動機構(電動ユニット)により顕微鏡本体1に対して水平な2方向(同図紙面に対して左右方向及び垂直方向、以下「X方向」及び「Y方向」という)に移動できるように支持されている。また、ステージ2は、図示をしない電動駆動機構(電動ユニット)により顕微鏡本体1に対して上下方向(同図紙面に対して上下方向、以下「Z方向」という)に移動できるようにも支持されている。ランプ3は、標本Sを照明するためのものであり、その照明光が顕微鏡本体1内に配置されたミラー4により標本Sに導かれる。ランプ3と顕微鏡本体1との間には、図示をしない電動駆動機構(電動ユニット)により複数の減光フィルタの各々を光路に挿脱する減光ユニット5が配置されている。これにより、光路に挿入する減光フィルタを適宜切換え可能である。標本Sの上方には、標本Sを拡大観察するための複数の対物レンズ6(6a、6b、…)がレボルバ7により支持されている。レボルバ7は、光路に挿入する対物レンズ6を切り換える図示をしない電動駆動機構(電動ユニット)を有する。これにより、光路に挿入する対物レンズ6を適宜切換え可能であり、拡大倍率を適宜変更可能である。対物レンズ6の上方には、観察鏡筒8が顕微鏡本体1に対して保持されている。観察鏡筒8には、接眼レンズ9が取り付けられ、更に観察鏡筒8の上方には、撮影用のカメラ10が取り付けられている。そして、観察鏡筒8は、観察光路を適宜接眼レンズ9又はカメラ10の方へ導くことが可能なように構成されている。
【0021】
一方、顕微鏡本体1には、上述した各々の電動駆動機構を駆動するための信号およびカメラ10の信号を送受するパソコン(パーソナルコンピュータ)11が接続されている。パソコン11には、モニター12が接続されている。また、パソコン11には、上述した各々の電動駆動機構の動作を制御するための操作が行われるタッチパネルを有する顕微鏡コントローラ13が接続されている。
【0022】
このような構成を有する顕微鏡システムでは、ランプ3により照明された標本Sは対物レンズ6によって拡大され、ユーザは観察鏡筒8に取り付けられた接眼レンズ9を覗くことにより標本Sの拡大像を観察することができる。また、観察鏡筒8内の図示しない光路切換え機構により観察光路をカメラ10へ導くことにより、標本Sの観察像をモニター12に映し出すこともできる。さらに、詳しくは後述するように、ユーザは、顕微鏡コントローラ13に対する操作を行うことにより、パソコン11を介して、上述した各々の電動駆動機構の動作を制御することができる。
【0023】
図2は、顕微鏡コントローラ13の内部の構成例を示す図である。
同図に示したように、顕微鏡コントローラ13は、制御部の一例であるCPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、不揮発性メモリ24、通信制御部25、タッチパネル制御部26、及びタッチパネル部の一例であるタッチパネル27を備えている。これらの構成要素間では、CPU21の管理の下でバスを介して各種のデータを相互に授受することができる。
【0024】
CPU21は、顕微鏡コントローラ13全体の動作制御を行うものである。ROM22には、CPU21が顕微鏡コントローラ13の動作制御を行うための制御プログラムが予め格納されている。RAM23は、CPU21が制御プログラムを実行する際に作業用記憶領域として利用すると共に、各種のデータを一時的に記憶しておくメモリである。
【0025】
不揮発性メモリ24には、タッチパネル27の表示領域に上述した各々の電動駆動機構の動作を制御するための操作が行われる複数の操作領域を設定するための情報(以下単に「設定情報」という)が予め格納されている。この設定情報には、例えば、ステージ2をX方向及び又はY方向に移動させる電動駆動機構の動作を制御するための操作が行われる操作領域、ステージ2をZ方向に移動させる電動駆動機構の動作を制御するための操作が行われる操作領域、光路に挿入する減光フィルタを切り換える電動駆動機構の動作を制御するための操作が行われる操作領域、及び、光路に挿入する対物レンズ6を切り換える電動駆動機構の動作を制御するための操作が行われる操作領域等を設定するための情報が含まれる。
【0026】
通信制御部25は、パソコン11との間で行われるデータ通信(例えばシリアル通信)の管理を行い、各電動駆動機構の動作を制御する制御情報などのパソコン11への送信を行う。
【0027】
タッチパネル27は、外部からの物理的接触による入力を受け付けると共に表示機能を有する。すなわち、表示装置としての機能と入力操作用の操作子としての機能とを兼ね備えている。ここで、タッチパネル27は、膜抵抗方式、静電容量方式、赤外線方式、超音波方式等いずれの種類のタッチパネルでもよく、その種類に限定されない。また、タッチパネル制御部26は、タッチパネル27上においてユーザより入力された位置の座標(X座標及びY座標)を検出し、その検出した座標情報をCPU21へ送信する。
【0028】
本実施例では、このような構成を有する顕微鏡コントローラ13において、次のような処理が行われる。タッチパネル27の表示領域に、複数の電動駆動機構の各々の動作を制御するための操作が行われる複数の操作領域として、少なくとも第1の操作領域と第2の操作領域を含む複数の操作領域を設定し、該複数の操作領域の一つ以上に対する外部からの物理的接触による入力が検出された場合に、対応する電動駆動機構の動作を制御するための制御指示信号を生成する、という処理がCPU21によって行われる。また、CPU21により生成された制御指示信号を、対応する電動駆動機構の動作を制御するパソコン11に対して送信する、という処理が通信制御部25によって行われる。また、CPU21は、ハードウェア又はソフトウェアによって実現される第1の認識部21aと第2の認識部21bとを含む。そして、第1の操作領域に対する外部からの物理的接触による入力が継続して行われていることを認識する、という処理が第1の認識部21aによって行われる。また、第1の操作領域に対する入力が継続して行われていることが第1の認識部21aにより認識されている場合に限り、第2の操作領域に対する外部からの物理的接触による入力が継続して行われた場合に、該入力が最初に検出された入力開始位置と該入力が最後に検出された入力終了位置との差を認識する、という処理が第2の認識部21bによって行われる。第2の認識部21bにより差が認識された場合には、その差に基づいて、対応する電動駆動機構の動作を制御するための制御指示信号を生成する、という処理がCPU21によって行われる。
【0029】
図3は、顕微鏡コントローラ13の表示画面でもあるタッチパネル27の表示領域に設定された複数の操作領域の一例を示す図である。なお、同図に示した複数の操作領域は、不揮発性メモリ24に格納されている設定情報に基づいてCPU21により設定されたものである。
【0030】
同図に示したように、タッチパネル27の表示領域27aには、複数の操作領域が設定されている。操作領域31(31a、31b、31c、31d)は、光路に挿入する対物レンズ6を選択し切り換えるための領域であって、操作領域31a、31b、31c、31dは、それぞれ10x、20x、40x、100xの対物レンズ6に対応する。操作領域32(32a、32b、32c、32d)は、光路に挿入する減光フィルタを選択し切り換えるための領域であって、操作領域32a、32b、32c、32dは、それぞれ12%、25%、50%、100%の減光フィルタに対応する。操作領域33は、ステージ2をX方向及び又はY方向に移動させるための領域である。操作領域34は、操作領域33を有効にするための領域である。操作領域35は、ステージ2をZ方向に移動させるための領域であり、標本Sに対してフォーカシングを行うための領域でもある。操作領域36は、操作領域35を有効にするための領域である。なお、本実施例においては、上記の第1の操作領域を操作領域34とすると、上記の第2の操作領域は操作領域33となる。また、上記の第1の操作領域を操作領域36とすると、上記の第2の操作領域は操作領域35となる。
【0031】
ユーザは、このようなタッチパネル27の表示領域27aに設定された複数の操作領域に対して操作を行うことによって、各々の電動駆動機構の動作を制御することが可能である。
【0032】
なお、操作領域に対してユーザが行う操作としては、例えば図4に示すような操作が含まれる。図4(a)に示した操作は、指を操作領域に接触させてから指を移動させることなく指を操作領域から離す操作である。図4(b)に示した操作は、指を操作領域に接触させ、指を操作領域に接触させたまま移動させてから、指を操作領域から離す操作である。
【0033】
図3に示したタッチパネル27の表示領域27aに設定された複数の操作領域において、例えば、ユーザが操作領域31a、31b、31c、及び31dの何れかに対し指で押下する操作(図4(a)に示したような操作)を行うと、操作が行われた操作領域31に対応する対物レンズ6が光路に挿入され、倍率が変更される。この場合、10xの対物レンズ6に対応する操作領域31aに対して操作が行われた場合には、光路に挿入される対物レンズ6が10xの対物レンズ6に切り換えられる。残りの操作領域31b、31c、及び31dに対して操作が行われた場合にも同様にして対物レンズ6の切り換えが行われる。これにより、ユーザは標本Sを所望の大きさで観察することができる。
【0034】
また、例えば、ユーザが操作領域32a、32b、32c、及び32dの何れかに対し指で押下する操作(図4(a)に示したような操作)を行うと、操作が行われた操作領域32に対応する減光フィルタが光路に挿入され、標本Sを照明する照明光の強度が変更される。この場合、12%の減光フィルタに対応する操作領域32aに対して操作が行われた場合には、光路に挿入される減光フィルタが12%の減光フィルタに切り換えられる。残りの操作領域32b、32c、及び32dに対して操作が行われた場合にも同様にして減光フィルタの切り換えが行われる。これにより、ユーザは標本Sを所望の明るさで観察することができる。
【0035】
また、例えば、図5に示すように、ユーザが操作領域34に対して親指で触れる操作を続けながら、操作領域33に対して人差指でなぞる操作(図4(b)に示したような操作)を行うと、操作領域34に対する触れる操作が続く間に限り、操作領域33に対するなぞる操作に応じてステージ2がX方向及び又はY方向に移動する。なお、操作領域33は、操作領域34に対する触れる操作が続く間に限り、有効となる。また、有効となった操作領域33に対して1回のなぞる操作が行われると、そのなぞる操作の開始位置と終了位置との差に基づいて、対応する分だけステージ2がX方向及び又はY方向に移動する。これにより、ユーザは標本Sの観察位置を所望の位置へ移動させることができる。また、ユーザは、観察位置を所望の位置へ移動させるのに、操作領域34に対して親指で触れながら操作領域33に対して人差指でなぞる操作を行えばよいことから、人差指でなぞる操作を親指を固定したままの状態で行うことができる。従って、なぞる操作をブラインド操作により繰り返し行ったとしても、従来の人差指だけでなぞる操作を行った場合(図13参照)とは異なり、なぞる操作が操作領域33から外れるということはなく、誤操作が行われる虞もない。よって、ユーザは、標本Sの観察位置を探索する場合等に、接眼レンズ9又はモニター12の方を注視しながら、操作領域33に対するなぞる操作を行うことができる。
【0036】
また、例えば、図6に示すように、ユーザが操作領域36に対して親指で触れる操作を続けながら、操作領域35に対して人差指でなぞる操作(図4(b)に示したような操作)を行うと、操作領域36に対する触れる操作が続く間に限り、操作領域35に対するなぞる操作に応じてステージ2がZ方向に移動する。なお、操作領域35は、操作領域36に対する触れる操作が続く間に限り、有効となる。また、有効となった操作領域35に対して1回のなぞる操作が行われると、そのなぞる操作の開始位置と終了位置との差に基づいて、対応する分だけステージ2がZ方向に移動する。これにより、ユーザは標本Sに対してフォーカシング(ピント合わせ)を行うことができ、ボケのない像を観察することができる。また、ユーザは、フォーカシングを行うのに、操作領域36に対して親指で触れながら操作領域35に対して人差指でなぞる操作を行えばよいことから、人差指でなぞる操作を親指を固定したままの状態で行うことができる。従って、なぞる操作をブラインド操作により繰り返し行ったとしても、従来の人差指だけでなぞる操作を行った場合とは異なり、なぞる操作が操作領域35から外れるということはなく、誤操作が行われる虞もない。よって、ユーザは、標本Sに対するフォーカシングを行う場合に、接眼レンズ9又はモニター12の方を注視しながら、操作領域35に対するなぞる操作を行うことができる。
【0037】
以上のように、本実施例によれば、観察位置の探索やフォーカシングを行うための操作を行う場合等のようにタッチパネル27に対するブラインド操作が強いられる場合であっても、例えば親指を固定したままの状態で人差指のなぞる操作を行えばよいことから、なぞる操作がずれて他の操作領域に対して行われるということはなく、誤操作が行われる虞はない。また、このような操作を可能にする操作領域は、操作領域33と34や、操作領域35と36といった、一方の操作領域とそれを有効にするための他方の操作領域とが近くに配置されていれば良いだけなので、タッチパネル27の表示領域27a上において、場所を選ばず、配置に自由度がある。従って、同様の操作が行われるような操作領域を増やそうとした場合であっても、その配置を容易に行うことができる。
【0038】
図7は、そのような操作領域を増やした場合の配置例を示す図である。
同図に示した例は、本実施例に係る顕微鏡システムに含まれる顕微鏡装置にズーム機構が更に追加された場合に、そのズーム機構の動作を制御するための操作領域として操作領域41と42が更に追加された例である。本例では、フォーカシングを行う際の操作領域35と36に対する操作と同様に、例えば、ユーザが操作領域42に対して親指で触れる操作を続けながら、操作領域41に対して人差指でなぞる操作(図4(b)に示したような操作)を行うと、操作領域42に対する触れる操作が続く間に限り、操作領域41に対するなぞる操作に応じてズーム機構が動作する。なお、操作領域41は、操作領域42に対する触れる操作が続く間に限り、有効となる。このように、顕微鏡コントローラ13の表示画面の周辺に関係することなく、操作性を維持しながら自由に操作領域の追加が可能である。
【0039】
また、本実施例では、タッチパネル27の表示領域27aに設定される複数の操作領域を次のように変形することも可能である。
なお、この変形例では、上記の第1の操作領域が更に複数の操作領域を含む。そして、第2の認識部21bにより認識された差に基づいて、対応する電動駆動機構の動作を制御するための制御指示信号を生成する場合に、第1の認識部21aにより認識されていた入力が第1の操作領域に含まれる複数の操作領域の何れに対するものであるかに応じて、電動駆動機構の動作を制御するレベルが異なる制御指示信号を生成する、という処理がCPU21によって行われる。
【0040】
図8は、その変形例を示す図である。
同図に示した例は、ユーザがステージ2を移動させる操作を行う場合に、ステージ2の移動方法として粗動による移動又は微動による移動の何れかを選択することができるようにした例である。
【0041】
同図に示した例では、操作領域34として操作領域34a、34bが設けられ、操作領域36として操作領域36a、36bが設けられる。なお、操作領域34は操作領域34a、34bを含み、操作領域36は操作領域36a、36bを含むと言うこともできる。操作領域34a、34bは、いずれも操作領域33を有効にするための領域であって、操作領域34aはステージ2を粗動により移動させるための領域であり、操作領域34bはステージ2を微動により移動させるための領域である。同様に、操作領域36a、36bは、いずれも操作領域35を有効にするための領域であって、操作領域36aはステージ2を粗動により移動させるための領域であり、操作領域36bはステージ2を微動により移動させるための領域である。
【0042】
例えば、ユーザが操作領域34aに対して親指で触れる操作を続けながら、操作領域33に対して人差指でなぞる操作(図4(b)に示したような操作)を行うと、操作領域34aに対する触れる操作が続く間に限り、操作領域33に対するなぞる操作に応じてステージ2がX方向及び又はY方向に粗動の移動を行う。一方、ユーザが操作領域34bに対して親指で触れる操作を続けながら、操作領域33に対して人差指でなぞる操作(図4(b)に示したような操作)を行うと、操作領域34bに対する触れる操作が続く間に限り、操作領域33に対するなぞる操作に応じてステージ2がX方向及び又はY方向に微動の移動を行う。
【0043】
また、例えば、ユーザが操作領域36aに対して親指で触れる操作を続けながら、操作領域35に対して人差指でなぞる操作(図4(b)に示したような操作)を行うと、操作領域36aに対する触れる操作が続く間に限り、操作領域35に対するなぞる操作に応じてステージ2がZ方向に粗動の移動を行う。一方、ユーザが操作領域36bに対して親指で触れる操作を続けながら、操作領域35に対して人差指でなぞる操作(図4(b)に示したような操作)を行うと、操作領域36bに対する触れる操作が続く間に限り、操作領域35に対するなぞる操作に応じてステージ2がZ方向に微動の移動を行う。
【0044】
このように、図8に示した複数の操作領域をタッチパネル27の表示領域27aに設定することによって、状況に応じてステージ2の移動方法を変更することができる。従って、標本Sの観察位置やフォーカシングを微細に調整することができる等、操作性を向上させることができる。
【0045】
また、本実施例では、操作領域33と34や、操作領域35と36など、一方の操作領域が他方の操作領域を有効にするための領域となる関係にある2つの操作領域がある。本実施例では、このような関係にある2つの操作領域において、他方の操作領域を有効にするための操作領域を、その他方の操作領域の下側に設けるようにしたが、その位置関係はこれに限定されるものではない。例えば、他方の操作領域を有効にするための操作領域を、その他方の操作領域の上側又は左側若しくは右側に設けるようにすることも可能である。また、その位置関係をユーザが自由に設定することができるようにすることも可能である。このように、その位置関係を変更することにより、ユーザは、上述の図5や図6等を用いて説明したような他方の操作領域を有効にするための操作領域に触れられる親指の代わりに、他の指を用いることも可能となる。
【実施例2】
【0046】
本発明の実施例2に係る顕微鏡システムは、上述の実施例1に係る顕微鏡システムと構成は基本的に同じであるが動作が一部で異なっている。そこで、本実施例の説明では、その異なる一部の動作を中心に説明を行う。
【0047】
本実施例に係る顕微鏡システムでは、顕微鏡コントローラ13において、次のような処理が行われる。タッチパネル27の表示領域に、複数の電動駆動機構の各々の動作を制御するための操作が行われる複数の操作領域として、少なくとも第1の操作領域を含む複数の操作領域を設定し、該複数の操作領域の一つ以上に対する外部からの物理的接触による入力が検出された場合に、対応する電動駆動機構の動作を制御するための制御指示信号を生成する、という処理がCPU21によって行われる。また、CPU21により生成された制御指示信号を、対応する電動駆動機構の動作を制御するパソコン11に対して送信する、という処理が通信制御部25によって行われる。また、CPU21は、ハードウェア又はソフトウェアによって実現される第1の認識部21aと第2の認識部21bとを含む。そして、第1の操作領域に対する外部からの物理的接触による入力が継続して行われていることを認識する、という処理が第1の認識部21aによって行われる。また、第1の操作領域に対する入力が継続して行われていることが第1の認識部21aにより認識されている場合に限り、タッチパネル27の表示領域内であって第1の操作領域以外の領域である第2の操作領域に対する外部からの物理的接触による入力が継続して行われた場合に、該入力が最初に検出された入力開始位置と該入力が最後に検出された入力終了位置との差を認識する、という処理が第2の認識部21bによって行われる。第2の認識部21bにより差が認識された場合には、その差に基づいて、対応する電動駆動機構の動作を制御するための制御指示信号を生成する、という処理がCPU21によって行われる。
【0048】
図9は、本実施例において、顕微鏡コントローラ13の表示画面でもあるタッチパネル27の表示領域に設定された複数の操作領域の一例を示す図である。なお、同図に示した複数の操作領域は、実施例1と同様に、不揮発性メモリ24に格納されている設定情報に基づいてCPU21により設定されたものである。
【0049】
同図に示したように、タッチパネル27の表示領域27aには、複数の操作領域が設定されている。操作領域51(51a、51b、51c、51d、51e、51f、51g、51h)は、光路に挿入する対物レンズ6を選択し切り換えるための領域であって、操作領域51a、51b、51c、51d、51e、51f、51g、51hは、それぞれ1.25x、2x、4x、10x、20x、40x、60x、100xの対物レンズ6に対応する。操作領域52(52a、52b、52c、52d、52e、52f)は、光路に挿入する減光フィルタを選択し切り換えるための領域であって、操作領域52a、52b、52c、52d、52e、52fは、それぞれ3%、6%、12%、25%、50%、100%の減光フィルタに対応する。操作領域53は、タッチパネル27の表示領域27a内であって当該操作領域53以外の領域を、ステージ2をX方向及び又はY方向に移動させるための領域として有効にするための領域である。操作領域54は、タッチパネル27の表示領域27a内であって当該操作領域54以外の領域を、ステージ2をZ方向に移動させるための領域として有効にするための領域である。なお、本実施例においては、上記の第1の操作領域を操作領域53とすると、上記の第2の操作領域は、タッチパネル27の表示領域27a内であって操作領域53以外の領域となる。また、上記の第1の操作領域を操作領域54とすると、上記の第2の操作領域は、タッチパネル27の表示領域27a内であって操作領域54以外の領域となる。
【0050】
ユーザは、このようなタッチパネル27の表示領域27aに設定された複数の操作領域に対して操作を行うことによって、各々の電動駆動機構の動作を制御することが可能である。
【0051】
例えば、ユーザが操作領域51a、51b、51c、51d、51e、51f、51g、及び51hの何れかに対し指で押下する操作(図4(a)に示したような操作)を行うと、操作が行われた操作領域51に対応する対物レンズ6が光路に挿入され、倍率が変更される。この場合、1.25xの対物レンズ6に対応する操作領域51aに対して操作が行われた場合には、光路に挿入される対物レンズ6が1.25xの対物レンズ6に切り換えられる。残りの操作領域51b、51c、51d、51e、51f、51g、及び51hに対して操作が行われた場合にも同様にして対物レンズ6の切り換えが行われる。これにより、ユーザは標本Sを所望の大きさで観察することができる。
【0052】
また、例えば、ユーザが操作領域52a、52b、52c、52d、52e、及び52fの何れかに対し指で押下する操作(図4(a)に示したような操作)を行うと、操作が行われた操作領域52に対応する減光フィルタが光路に挿入され、標本Sを照明する照明光の強度が変更される。この場合、3%の減光フィルタに対応する操作領域52aに対して操作が行われた場合には、光路に挿入される減光フィルタが3%の減光フィルタに切り換えられる。残りの操作領域52b、52c、52d、52e、及び52fに対して操作が行われた場合にも同様にして減光フィルタの切り換えが行われる。これにより、ユーザは標本Sを所望の明るさで観察することができる。
【0053】
また、例えば、図10に示すように、ユーザが操作領域53に対して親指で触れる操作を続けながら、操作領域53以外の領域(タッチパネル27の表示領域27a内であって当該操作領域53以外の領域)に対して人差指でなぞる操作(図4(b)に示したような操作)を行うと、操作領域53に対する触れる操作が続く間に限り、操作領域53以外の領域に対するなぞる操作に応じてステージ2がX方向及び又はY方向に移動する。なお、操作領域53以外の領域は、操作領域53に対する触れる操作が続く間に限り、ステージ2をX方向及び又はY方向に移動させるための領域として有効となる。また、有効となった、操作領域53以外の領域に対して1回のなぞる操作が行われると、そのなぞる操作の開始位置と終了位置との差に基づいて、対応する分だけステージ2がX方向及び又はY方向に移動する。これにより、ユーザは標本Sの観察位置を所望の位置へ移動させることができる。また、ユーザは、観察位置を所望の位置へ移動させるのに、操作領域53に対して親指で触れながら操作領域53以外の領域に対して人差指でなぞる操作を行えばよいことから、なぞる操作をブラインド操作により繰り返し行ったとしても、誤操作が行われる虞はない。従って、ユーザは、標本Sの観察位置を探索する場合等に、接眼レンズ9又はモニター12の方を注視しながら、なぞる操作を行うことができる。
【0054】
また、例えば、図11に示すように、ユーザが操作領域54に対して親指で触れる操作を続けながら、操作領域54以外の領域(タッチパネル27の表示領域27a内であって当該操作領域54以外の領域)に対して人差指でなぞる操作(図4(b)に示したような操作)を行うと、操作領域54に対する触れる操作が続く間に限り、操作領域54以外の領域に対するなぞる操作に応じてステージ2がZ方向に移動する。なお、操作領域54以外の領域は、操作領域54に対する触れる操作が続く間に限り、ステージ2をZ方向に移動させるための領域として有効となる。また、有効となった、操作領域54以外の領域に対して1回のなぞる操作が行われると、そのなぞる操作の開始位置と終了位置との差に基づいて、対応する分だけステージ2がZ方向に移動する。これにより、ユーザは標本Sに対してフォーカシング(ピント合わせ)を行うことができ、ボケのない像を観察することができる。また、ユーザは、フォーカシングを行うのに、操作領域54に対して親指で触れながら操作領域54以外の領域に対して人差指でなぞる操作を行えばよいことから、なぞる操作をブラインド操作により繰り返し行ったとしても、誤操作が行われる虞はない。よって、ユーザは、標本Sに対するフォーカシングを行う場合に、接眼レンズ9又はモニター12の方を注視しながら、なぞる操作を行うことができる。
【0055】
以上のように、本実施例によれば、観察位置の探索やフォーカシングを行うための操作を行う場合等のようにタッチパネル27に対するブラインド操作が強いられる場合であっても、例えば親指を固定したままの状態で人差指のなぞる操作を行えばよいことと、親指を固定させた操作領域以外の領域という広い領域に対して人差指のなぞる操作を行えばよいことから、誤操作が行われる虞はない。また、ステージ2を移動させるための領域を有効にさせるための操作領域は、タッチパネル27の表示領域27a内であれば何れの位置にも配置することができるので、場所を選ばず、配置に自由度がある。従って、同様の操作が行われるような操作領域(例えば図7に示した操作領域42)を増やそうとした場合であっても、その配置を容易に行うことができる。
【0056】
また、本実施例では、実施例1で説明したようなステージ2をX方向及び又はY方向に移動させるための操作領域33やステージ2をZ方向に移動させるための操作領域35(図3参照)を予め配置しておく必要がない。従って、操作領域51や52のように、他の操作領域を大きくしたり多く配置したりすることができ、より操作性を向上させることができる、という特有の効果が得られる。
【実施例3】
【0057】
本発明の実施例3に係る顕微鏡システムは、上述の実施例2に係る顕微鏡システムと構成は同じであるが動作が一部で異なっている。そこで、本実施例の説明では、その異なる一部の動作を中心に説明を行う。
【0058】
本実施例に係る顕微鏡システムでは、顕微鏡コントローラ13において、次のような処理が行われる。タッチパネル27の表示領域に、複数の電動駆動機構の各々の動作を制御するための操作が行われる複数の操作領域として、少なくとも第1の操作領域を含む複数の操作領域を設定し、該複数の操作領域の一つ以上に対する外部からの物理的接触による入力が検出された場合に、対応する電動駆動機構の動作を制御するための制御指示信号を生成する、という処理がCPU21によって行われる。また、CPU21により生成された制御指示信号を、対応する電動駆動機構の動作を制御するパソコン11に対して送信する、という処理が通信制御部25によって行われる。また、CPU21は、ハードウェア又はソフトウェアによって実現される第1の認識部21aと第2の認識部21bとを含む。そして、第1の操作領域に対する外部からの物理的接触による入力が継続して行われていることを認識する、という処理が第1の認識部21aによって行われる。また、第1の操作領域に対する入力が継続して行われていることが第1の認識部21aにより認識されている場合に限り、タッチパネル27の表示領域内であって第1の操作領域以外の領域内に新たに設けられる第2の操作領域に対する外部からの物理的接触による入力が継続して行われた場合に、該入力が最初に検出された入力開始位置と該入力が最後に検出された入力終了位置との差を認識する、という処理が第2の認識部21bによって行われる。第2の認識部21bにより差が認識された場合には、その差に基づいて、対応する電動駆動機構の動作を制御するための制御指示信号を生成する、という処理がCPU21によって行われる。
【0059】
本実施例において、顕微鏡コントローラ13の表示画面でもあるタッチパネル27の表示領域に初めに設定される複数の操作領域は、実施例2で説明した図9に示したものと同じである。なお、本実施例において、上記の第1の操作領域は、図9に示した操作領域53又は領域54である。上記の第1の操作領域を操作領域53とすると、上記の第2の操作領域は後述の操作領域61となる。
【0060】
ユーザは、このようなタッチパネル27の表示領域に設定された複数の操作領域に対して操作を行うことによって、各々の電動駆動機構の動作を制御することが可能である。
例えば、ユーザが操作領域53(図9参照)に対して親指で触れる操作を行うと、図12に示すように、タッチパネル27の表示領域27a内であって操作領域53以外の領域内に操作領域61が新たに設けられる。このとき、操作領域61は、操作領域53に近接して設けられる。そして、ユーザが操作領域53に対して親指で触れる操作を続けながら、新たに設けられた操作領域61に対して人差指でなぞる操作(図4(b)に示したような操作)を行うと、操作領域53に対する触れる操作が続く間に限り、操作領域61に対するなぞる操作に応じてステージ2がX方向及び又はY方向に移動する。なお、操作領域61は操作領域53に対する触れる操作が続く間に限り設けられ、その触れる操作が行われなくなると(操作領域53から親指が離されると)図9に示した元の状態に戻る。また、操作領域61に対して1回のなぞる操作が行われると、そのなぞる操作の開始位置と終了位置との差に基づいて、対応する分だけステージ2がX方向及び又はY方向に移動する。これにより、ユーザは標本Sの観察位置を所望の位置へ移動させることができる。また、ユーザは、観察位置を所望の位置へ移動させるのに、操作領域53に対して親指で触れながら操作領域61に対して人差指でなぞる操作を行えばよいことから、人差指でなぞる操作を親指を固定したままの状態で行うことができる。従って、なぞる操作をブラインド操作により繰り返し行ったとしても、従来の人差指だけでなぞる操作を行った場合(図13参照)とは異なり、なぞる操作が操作領域61から外れるということはなく、誤操作が行われる虞もない。よって、ユーザは、標本Sの観察位置を探索する場合等に、接眼レンズ9又はモニター12の方を注視しながら、操作領域61に対するなぞる操作を行うことができる。
【0061】
また、例えば、ユーザが操作領域54(図9参照)に対して親指で触れる操作を行うと、図示はしないが、同様に、タッチパネル27の表示領域27a内であって操作領域54以外の領域内に新たな操作領域が設けられる。このとき、新たに設けられる操作領域は、操作領域54に近接して設けられる。そして、ユーザが操作領域54に対して親指で触れる操作を続けながら、新たに設けられた操作領域に対して人差指でなぞる操作(図4(b)に示したような操作)を行うと、操作領域54に対する触れる操作が続く間に限り、新たに設けられた操作領域に対するなぞる操作に応じてステージ2がZ方向に移動する。なお、新たに設けられた操作領域は操作領域54に対する触れる操作が続く間に限り設けられ、その触れる操作が行われなくなると(操作領域54から親指が離されると)図9に示した元の状態に戻る。また、新たに設けられた操作領域に対して1回のなぞる操作が行われると、そのなぞる操作の開始位置と終了位置との差に基づいて、対応する分だけステージ2がZ方向に移動する。これにより、ユーザは標本Sに対してフォーカシング(ピント合わせ)を行うことができ、ボケのない像を観察することができる。また、ユーザは、フォーカシングを行うのに、操作領域54に対して親指で触れながら、新たに設けられた操作領域に対して人差指でなぞる操作を行えばよいことから、人差指でなぞる操作を親指を固定したままの状態で行うことができる。従って、なぞる操作をブラインド操作により繰り返し行ったとしても、従来の人差指だけでなぞる操作を行った場合とは異なり、なぞる操作が、新たに設けられた操作領域から外れるということはなく、誤操作が行われる虞もない。よって、ユーザは、標本Sに対するフォーカシングを行う場合に、接眼レンズ9又はモニター12の方を注視しながら、新たに設けられた操作領域に対するなぞる操作を行うことができる。
【0062】
以上のように、本実施例によれば、基本的に実施例2と同様の効果が得られることに加え、必要に応じて操作領域が新たに設けられるようになることから、操作領域が明確となり、初心者や使用頻度の少ないユーザであっても操作が分かり易くなり、操作性を向上させることができる。
【0063】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は、上述した各実施例に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良・変更が可能である。
例えば、上述の各実施例において、他の実施例で説明した動作を組み合わせることも可能である。この場合、実施例1の中で図7を用いて説明したように、他の実施例においても、ズーム機構の動作を制御するための操作が可能なように構成することも可能である。但し、この場合には、その操作が、フォーカシングを行うときの操作と同様の操作により行うことができるように構成される。また、実施例1の中で図8を用いて説明したように、他の実施例においても、同様にして、ステージ2の移動方法として粗動による移動又は微動による移動の何れかを選択することができるように構成することも可能である。
【0064】
また、例えば、各実施例において、タッチパネル27の表示領域に設定される第1の操作領域(図3の操作領域34、36、図9の操作領域53、54等)の位置、大きさ、及び形状は、各実施例にて説明したものに限定されず、他の位置、大きさ、及び形状であってもよい。また、その位置、大きさ、及び形状を可変に構成することも可能である。この場合は、ユーザがそれを自由に変更可能なように構成することも可能である。
【0065】
また、例えば、各実施例において、タッチパネル27の表示領域に設定される第1の操作領域を、物理的操作手段として構成することも可能である。この場合、第1の操作手段は、例えば、顕微鏡コントローラ13の外装上であってタッチパネル27の表示領域の下側等に、物理的なボタン等として構成することが可能である。
【0066】
また、各実施例では、第1の操作領域に指を触れ続けている間に限り、第2の操作領域(図3の操作領域33、35、図9の操作領域53以外の領域、操作領域54以外の領域、図12の操作領域61等)が有効になるようにした。これを、例えば、第1の操作領域に指を触れる操作(図4(a)に示したような操作)を行う毎に、第2の操作領域を有効にする/しないが切り換わるように構成することも可能である。なお、これを実施例3に適用した場合には、第1の操作領域に指を触れる操作を行う毎に、第2の操作領域が設けられる/設けられないが切り換わるようにも構成される。また、これを各実施例に適用した場合に、第1の操作領域に指を触れる操作を行う毎に、第2の操作領域が有効であるか否かをユーザが視覚的に認識可能なように、第1の操作領域の色を反転するなどして、第1の操作領域の表示を変更するように構成することも可能である。
【0067】
また、各実施例においては、顕微鏡装置として正立型顕微鏡装置を採用したが、これに限定されず、例えば倒立型顕微鏡装置を採用することも可能である。
また、各実施例において、タッチパネルを介して操作可能な電動駆動機構は、上述した電動駆動機構に限定されず、その他の電動駆動機構を組み合わせて採用することも可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 顕微鏡装置本体
2 ステージ
3 標本
4 ミラー
5 減光ユニット
6 対物レンズ
7 レボルバ
8 観察鏡筒
9 接眼レンズ
10 カメラ
11 パーソナルコンピュータ
12 モニター
13 顕微鏡コントローラ
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 不揮発性メモリ
25 通信制御部
26 タッチパネル制御部
27 タッチパネル
31、32、33、34、35、36 操作領域
41、42 操作領域
51、52、53、54 操作領域
61 操作領域
101 装置
102、103 操作領域
104 表示領域
105 軌跡



【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡システムに含まれる複数の電動ユニットの各々の動作を制御するための操作が行われる顕微鏡コントローラであって、
外部からの物理的接触による入力を受け付けると共に表示機能を有するタッチパネル部と、
前記タッチパネル部の表示領域に、前記複数の電動ユニットの各々の動作を制御するための操作が行われる複数の操作領域として、少なくとも第1の操作領域と第2の操作領域を含む複数の操作領域を設定し、該複数の操作領域の一つ以上に対する外部からの物理的接触による入力が検出された場合に、対応する電動ユニットの動作を制御するための制御指示信号を生成する制御部と、
前記制御部により生成された制御指示信号を、対応する電動ユニットの動作を制御する外部装置に対して、送信する通信制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1の操作領域に対する外部からの物理的接触による入力が継続して行われていることを認識する第1の認識手段と、
前記第1の操作領域に対する入力が継続して行われていることが前記第1の認識手段により認識されている場合に限り、前記第2の操作領域に対する外部からの物理的接触による入力が継続して行われた場合に、該入力が最初に検出された入力開始位置と該入力が最後に検出された入力終了位置との差を認識する第2の認識手段と、
を含み、
前記差が前記第2の認識手段により認識された場合に、前記差に基づいて、対応する電動ユニットの動作を制御するための制御指示信号を生成する、
ことを特徴とする顕微鏡コントローラ。
【請求項2】
顕微鏡システムに含まれる複数の電動ユニットの各々の動作を制御するための操作が行われる顕微鏡コントローラであって、
外部からの物理的接触による入力を受け付けると共に表示機能を有するタッチパネル部と、
前記タッチパネル部の表示領域に、前記複数の電動ユニットの各々の動作を制御するための操作が行われる複数の操作領域として、少なくとも第1の操作領域を含む複数の操作領域を設定し、該複数の操作領域の一つ以上に対する外部からの物理的接触による入力が検出された場合に、対応する電動ユニットの動作を制御するための制御指示信号を生成する制御部と、
前記制御部により生成された制御指示信号を、対応する電動ユニットの動作を制御する外部装置に対して、送信する通信制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1の操作領域に対する外部からの物理的接触による入力が継続して行われていることを認識する第1の認識手段と、
前記第1の操作領域に対する入力が継続して行われていることが前記第1の認識手段により認識されている場合に限り、前記タッチパネル部の表示領域内であって前記第1の操作領域以外の領域である第2の操作領域に対する外部からの物理的接触による入力が継続して行われた場合に、該入力が最初に検出された入力開始位置と該入力が最後に検出された入力終了位置との差を認識する第2の認識手段と、
を含み、
前記差が前記第2の認識手段により認識された場合に、前記差に基づいて、対応する電動ユニットの動作を制御するための制御指示信号を生成する、
ことを特徴とする顕微鏡コントローラ。
【請求項3】
顕微鏡システムに含まれる複数の電動ユニットの各々の動作を制御するための操作が行われる顕微鏡コントローラであって、
外部からの物理的接触による入力を受け付けると共に表示機能を有するタッチパネル部と、
前記タッチパネル部の表示領域に、前記複数の電動ユニットの各々の動作を制御するための操作が行われる複数の操作領域として、少なくとも第1の操作領域を含む複数の操作領域を設定し、該複数の操作領域の一つ以上に対する外部からの物理的接触による入力が検出された場合に、対応する電動ユニットの動作を制御するための制御指示信号を生成する制御部と、
前記制御部により生成された制御指示信号を、対応する電動ユニットの動作を制御する外部装置に対して、送信する通信制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1の操作領域に対する外部からの物理的接触による入力が継続して行われていることを認識する第1の認識手段と、
前記第1の操作領域に対する入力が継続して行われていることが前記第1の認識手段により認識されている場合に限り、前記タッチパネル部の表示領域内であって前記第1の操作領域以外の領域内に新たに設けられる第2の操作領域に対する外部からの物理的接触による入力が継続して行われた場合に、該入力が最初に検出された入力開始位置と該入力が最後に検出された入力終了位置との差を認識する第2の認識手段と、
を含み、
前記差が前記第2の認識手段により認識された場合に、前記差に基づいて、対応する電動ユニットの動作を制御するための制御指示信号を生成する、
ことを特徴とする顕微鏡コントローラ。
【請求項4】
前記第1の操作領域は、更に複数の操作領域を含み、
前記制御部は、前記第2の認識手段により認識された差に基づいて、対応する電動ユニットの動作を制御するための制御指示信号を生成する場合に、前記第1の認識手段により認識されていた入力が前記第1の操作領域に含まれる前記複数の操作領域の何れに対するものであるかに応じて、前記電動ユニットの動作を制御するレベルが異なる制御指示信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の顕微鏡コントローラ。
【請求項5】
前記タッチパネル部の表示領域内において、前記第1の操作領域の位置、大きさ、及び形状は、何れも可変である、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の顕微鏡コントローラ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の顕微鏡コントローラを備える、
ことを特徴とする顕微鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−133579(P2011−133579A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291469(P2009−291469)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】