説明

顧客認証装置

【課題】顧客認証の際に顧客に確実に生体情報を登録した方の手を生体情報取得部に置くように誘導するための手段を提供する。
【解決手段】表示操作部5とカードリードライタ部9、顧客に対して左右の一方の側に配置された生体情報取得部6とを有し、顧客認証を行う顧客認証装置を組み込んだ自動取引装置1において、取引カードに生体情報が左右どちらの手のものであるかを示す登録手情報を登録しておき、登録手情報をカードリードライタ部9で読み取り、顧客認証の結果が不一致であった場合に、登録手情報が示す手が生体情報取得部6の配置位置と反対側の手であれば、その手を生体情報取得部6に置くよう案内する案内画面を表示操作部5に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報を用いて顧客認証を行う顧客認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の顧客認証装置には自動取引装置に備えられたものがあり、顧客にICカードを挿入させ、そのICカードから顧客が予め登録してある生体情報を読み取っておき、次に生体情報読取部に置かれた顧客の手から生体情報を取得し、取得した生体情報と予め登録してある生体情報とを比較することによって顧客認証を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
なお、一般にこのような自動取引装置の生体情報取得部は、顧客から見てタッチパネル等の表示操作部の右隣に配置されている。
【特許文献1】特開2005−259089号公報(第25頁段落「0091」、第11図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、以下の問題がある。
すなわち、顧客認証のときに顧客は生体情報取得部に近い方の手を置く傾向にある。そのため顧客から見て右側に生体情報取得部が配置されていれば、顧客は登録してある生体情報が左手のものであっても生体情報取得部に右手を置いてしまうことが多く、そのまま顧客認証を行った場合、結果は不一致となって再度顧客認証を行うようになるが、顧客は左手の方で生体情報を登録したことに気が付いていないと再び右手を置いてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、顧客認証の際に顧客に確実に生体情報を登録した方の手を生体情報取得部に置くように誘導するための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、表示部と、顧客の取引カードの読み取りを行うカードリード部、顧客に対して左右の一方の側に配置された生体情報取得部とを有し、該生体情報取得部によって顧客の手から取得した生体情報と、前記カードリード部によって取引カードから読み取った生体情報とを比較して顧客認証を行う顧客認証装置において、前記取引カードに生体情報が左右どちらの手のものであるかを示す手情報を登録しておき、この手情報を前記生体情報と共に前記カードリード部で読み取り、顧客認証の結果が不一致であった場合に、前記手情報が示す手が前記生体情報取得部の配置位置と反対側の手であれば、その手を前記生体情報取得部に置くよう案内する案内画面を前記表示部に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明は、顧客認証で顧客に対して確実に生体情報取得部に生体情報を登録した方の手を置くように誘導することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、図面を参照して本発明による顧客認証装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は実施例1の顧客認証装置を組み込んだ自動取引装置を示す構成図、図2は実施例1の顧客認証装置を組み込んだ自動取引装置を示すブロック図である。
図1、図2において、1は銀行等の金融機関の営業店やコンビニエンスストア等の店舗に設置される自動取引装置であり、顧客との間で現金の入出金等の取引を自動で行う。
2は制御部であり、図2に示す磁気ディスク3を備えており、その磁気ディスク3に格納されている制御プログラムに基づいて、自動取引装置1の各部の動作を制御して各種の取引を遂行する機能を有する。
【0010】
4は記憶部であり、制御部2による処理結果等を記憶する機能を有する。
5は表示操作部であり、自動取引装置1正面の接客面に露出させて設けられており、表示面を上に向けたCRTディスプレイまたは液晶ディスプレイ等の表示部と、表示部上に配置したタッチパネル等の入力部により構成され、各種取引における顧客の操作を誘導するメッセージを配した画面やそのための入力キーを表示し、その入力キーをタッチパネル上から指で押下することにより、入力キーに定義された情報を入力できるものとなっており、入力された情報の表示等も行うようになっている。
【0011】
6は生体情報取得部であり、その上に置かれた顧客の手から掌静脈情報(生体情報)を取得する機能を有しており、前記接客面に設けられている。
なお、本発明において、生体情報取得部6は顧客から見て表示操作部5の右隣に配置されているものとする。但しコンビニエンスストアに設置される自動取引装置1のように表示操作部5が垂直面に配置されている場合には、顧客から見て右側に配置されているものとする。
【0012】
7は現金入出金部であり、取引に伴う現金の入出金処理を行うもので、紙幣を取扱う紙幣入出金機と硬貨を取扱う硬貨入出金機により構成され、その紙幣入出金口と硬貨出金口は前記接客面に設けられている。
8はスピーカであり、顧客との取引中の音声案内等を出力する機能を有する。
9はカードリードライタ部であり、顧客のICカード(取引カード)のICチップに記録されているカード情報の読取及び書込みを行う機能を有する他、顧客との取引結果を明細票に印刷する機能を有し、そのカード挿入返却口および明細票印刷口は前記接客面に設けられている。
【0013】
上記のICカードのカード情報には、顧客氏名と金融機関コード、支店コード、口座番号、顧客が口座開設の際に登録した登録掌静脈情報(登録生体情報)、登録掌静脈情報がどちらの手のものかを示す登録手情報、今までの取引履歴を記憶した取引履歴情報等が含まれる。
上述した自動取引装置1の構成において、顧客認証装置は制御部2と表示操作部5、生体情報取得部6、カードリードライタ部9とからなる。
【0014】
上述した構成の作用について説明する。
本実施例では、出金取引において顧客認証を行った場合について説明する。
また、顧客のICカードのカード情報に含まれる登録手情報は左手として記憶されているものとする。
ここで、図3はICカードの挿入を促す案内画面を示す説明図、図4は生体情報取得部に手を置くように促す案内画面を示す説明図、図5は実施例1の生体情報取得部に置く手を誘導する案内画面を示す説明図である。
【0015】
自動取引装置1の制御部2は、表示操作部5に出金取引や入金取引、振込取引等の取引選択ボタンを配した取引選択画面を表示して待機する。
顧客は取引選択画面で出金取引の取引選択ボタンを押下すると、制御部2はその押下を認識して、表示操作部5に図3に示すICカードの挿入を促す文言やイラスト等を配した画面を表示する。顧客はこれに従ってICカードをカードリードライタ部9のカード挿入返却口に挿入する。
【0016】
制御部2は、カードリードライタ部9によってICカードから登録手情報と登録掌静脈情報を読み取った後、表示操作部5に図4に示す「生体情報取得部に手を置いて下さい。」という文言と手を生体情報取得部6に近づけているイラストを配した案内画面を表示する。
この画面に従って、顧客が生体情報取得部6に手を置くと、制御部2は生体情報取得部6によってその掌静脈情報を取得し、上記ICカードから読み取った登録生体情報と比較して、一致するかどうかを判断する。
【0017】
この場合、顧客が生体情報取得部6においた手が左手で、制御部2は比較結果が一致したと判断した場合、出金取引に関する処理を顧客の口座残高等を管理している金融機関のセンタに設置された図示しないホストコンピュータとの間で通常通りに実行して、出金取引を終了する。
一方、顧客が生体情報取得部6においた手が右手であるとすると、上記ICカード登録されているのは顧客の左手の登録生体情報であるので制御部2は不一致と判断し、上記でICカードから読み取った登録手情報をもとに、表示操作部5に図5に示す「お客様は左手を登録しております。生体情報取得部に左手を置いてください。」という文言を配した案内画面を表示する。
【0018】
顧客は表示操作部5に表示された画面に従って生体情報取得部6に左手を置くと、制御部2はその手から掌静脈情報を取得し、またカードリードライタ部9によってICカードに記憶されている登録掌静脈情報を読み取って掌静脈情報と比較して、一致するかどうかを判断する。
制御部2は比較結果が一致したと判断した場合、出金取引に関する処理を顧客の口座残高等を管理している金融機関のセンタに設置された図示しないホストコンピュータとの間で通常通りに実行し、出金取引を終了する。
【0019】
不一致の場合は、顧客本人ではないと判断して処理を中止し、ICカードを返却して異状終了する。
以上説明したように、本実施例においては、顧客のICカードに顧客がどちらの手で掌静脈情報を登録しているかを記憶しておき、顧客認証の結果が不一致のときに登録手情報の手を示した画面を表示して顧客に生体情報取得部に置く手を誘導するため、顧客認証で登録してある方と逆の手を置いたことによって顧客認証結果が不一致となっても、次に登録してある方の手の生体情報を確実に取得できるので、無駄な認証を行うことによる業務効率の低下を防止することができる。
【実施例2】
【0020】
本実施例の自動取引装置1の構成は上記実施例1と同様であるが、上記実施例1では登録手情報が生体情報取得部6の配置位置と反対側の手のときに生体情報取得部6にどちらの手を置くかを誘導する案内画面を表示するのに対し、本実施例では顧客認証を行う際に生体情報取得部6にどちらの手を置くかを誘導する案内画面を表示するものとしている。
本実施例の自動取引装置の作用について説明する。
【0021】
図6は実施例2の生体情報取得部に置く手を誘導する案内画面を示す説明図であり、(a)は右手を誘導する案内画面、(b)は左手を誘導する案内画面である。
なお、自動取引装置1の制御部2が、表示操作部5に取引選択画面を表示し、顧客がそこから出金取引が選択したときに、表示操作部5にICカードをカード挿入返却口に挿入するように促す画面を表示するまでの動作は上記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0022】
自動取引装置1の制御部2は、カードリードライタ部9によって顧客のICカードから登録手情報と登録掌情報とを読み取っておき、表示操作部5にその登録手情報にもとづく方の手を生体情報取得部6に置くように促す画面を表示する。
例えば、登録手情報が右手の場合は表示操作部5に図6(a)に示す「生体情報取得部に右手を置いてください。」という文言とイラスト等を配した画面を表示し、登録手情報が左手の場合は図6(b)に示す「生体情報取得部に左手を置いてください。」という文言とイラスト等を配した画面を表示する。
【0023】
顧客は表示された画面に従って左手を生体情報取得部6に置くものとする。
制御部2は、生体情報取得部6によって顧客の左手の掌静脈情報を取得し、上記でICカードから読み取った登録掌静脈情報と比較して、一致するかどうかを判断する。
制御部2は比較結果が一致したと判断し、顧客が取引選択画面で入力した出金取引に関する処理を顧客の口座残高等を管理している金融機関のセンタに設置された図示しないホストコンピュータとの間で通常通りに実行し、出金取引を終了する。
【0024】
以上説明したように、本実施例は、顧客が生体情報取得部に手を置く前に、登録手情報にもとづいて表示操作部に生体情報取得部に置く手を誘導する案内画面を表示するため、顧客が登録した方の手を忘れてしまっても、どちらの手を生体情報取得部に置けばよいかを迷うことが無くなり、顧客に無駄な動作を行わせることなく、1度で登録した方の顧客の手から生体情報を取得することができて、より早く顧客を認証することができるので、さらに業務効率の低下を防止することができる。
【実施例3】
【0025】
上記各実施例では生体情報取得部6は前記接客面に固定されて設けられているのに対して、本実施例における生体情報取得部6は顧客の手の方に傾く構造となっている。
図7は実施例3の生体情報取得部を示す説明図である。
図7において、10は回転機構であり、生体情報取得部6に取り付けられてシャフト11と、シャフト11に設けたドライブギア12、ステッピングモータ13の回転軸に取り付けたモータギア14とによって構成される。
【0026】
ドライブギア12とモータギア14とはかみ合うように配置されており、ステッピングモータ13を駆動させてモータギア14を回転させることにより、その回転がドライブギア12、シャフト11を介して生体情報取得部6に伝わるようになっている。
シャフト11は、その軸方向が顧客に対して前後方向に傾くように取り付けられる。そのためステッピングモータ13を駆動してモータギア14を所定の方向に回転させることにより、ドライブギア12、シャフト11を介して生体情報取得部6を顧客から見て左右方向に回転する。
【0027】
なお、生体情報取得部6は基準状態として前記接客面と平行な状態で設置されており、ステッピングモータ13による回転で基準状態から顧客から見て所定の角度で左に傾き、傾いた状態からは右方向に回転して基準状態に戻るようになっている。
本実施例の自動取引装置1の動作について説明する。
図8は、実施例3の顧客認証時の生体情報取得部の位置を示す説明図であり、(a)は顧客が右手で置くときの位置であり、(b)は顧客が左手を置くときの位置である。
【0028】
ここで、図8(a)、(b)は自動取引装置1の背面側からの方向、つまり図7に示す矢印A方向から見た図である。
なお、自動取引装置1の制御部2が、表示操作部5に取引選択画面を表示し、顧客がそこから出金取引を選択したときに、表示操作部5にICカードをカード挿入返却口に挿入するように促す画面を表示するまでの動作は上記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0029】
制御部2は、カードリードライタ部9によって挿入されたICカードから登録掌静脈情報と登録手情報とを読み取り、登録手情報が生体情報取得部6の配置位置に近い右手である場合には、生体情報取得部6を基準状態のままで表示操作部5に「生体情報取得部に右手を置いてください。」等の文言やイラスト等を配した案内画面を表示する。
また、制御部2はICカードから読み取った登録手情報が、生体情報取得部6の反対側の左手である場合には、回転機構10によって生体情報取得部6を基準状態から所定の角度で左側に傾くように回転させ、表示操作部5に「生体情報取得部に左手を置いてください。」等の文言やイラスト等を配した案内画面を表示する。
【0030】
これによって、生体情報取得部6は、顧客が右手を置くときは図8(a)に示す基準状態となって、顧客が左手を置くときは図8(b)に示す基準状態から左の方に傾いた状態になる。そして顧客は表示された案内画面にもとづく方の手を生体情報取得部6に置く。
制御部2は、生体情報取得部6に置かれた手から掌静脈情報を取得し、上記でICカードから読み取った登録掌静脈情報と比較して、一致するかどうかを判断する。
【0031】
制御部2は比較結果が一致したと判断し、顧客が取引選択画面で入力した出金取引に関する処理を顧客の口座残高等を管理している金融機関のセンタに設置された図示しないホストコンピュータとの間で通常通りに実行し、出金取引を終了する。
そして、制御部2は回転機構10によって左側に傾いている生体情報取得部6を、基準状態までに戻すようにする。
【0032】
以上、説明したように、本実施例は上記各実施例の効果に加えて、顧客の登録生体情報が生体情報取得部の配置位置と反対側の手で登録されているときに、生体情報取得部をその反対側の手の方に傾けるため、顧客にとって生体情報取得部の配置位置と反対側の手を生体情報取得部に置くために腕を伸ばしたときに無理な体勢となってしまうのを緩和することができる。
【0033】
なお、上記実施例3においては、生体情報取得部6を傾くように回転させる構成として説明したが、生体情報取得部6を水平方向に回転させて顧客が登録生体情報を登録している手の方に近づけるようにしてもよく、その場合の生体情報取得部6の構成を図9の水平回転する生体情報取得部を示す構成図を用いて説明する。
図9において、20は水平回転機構であり、生体情報取得部6の端部に一端を固定している支柱21と、支柱21の他端に設けられたドライブギア22、ステッピングモータ23に取り付けたモータギア24とによって構成される。
【0034】
なお、上記の支柱21が固定されている生体情報取得部6の端部は、顧客が手を置いたときの指先側となる端部でもよく、手首側の端部としてもよい。
ドライブギア22とモータギア24とはかみ合うように配置されており、ステッピングモータ23を駆動させてモータギア24を回転させることにより、その回転がドライブギア22、支柱21を介して生体情報取得部6に伝わるようになっている。
【0035】
生体情報取得部6は、顧客が右手を置くときの位置を基準位置とし、顧客が左手を置く場合に水平回転機構20によって生体情報取得部6を水平方向(図9に示す矢印B方向)における時計回りに略45度回転して止まり、取引が終了した後は反時計回りに基準位置まで戻るように動作する。
【実施例4】
【0036】
上記実施例3では生体情報取得部6を顧客の手の方に傾くように回転する構成としたが、本実施例では上記の水平回転する構成の生体情報取得部6をさらに顧客の身長情報に合わせて前後方向(図10に示す矢印C方向)に回転するように構成したものである。
本実施例のICカードには、顧客の身長を示す身長情報が記憶されており、この身長情報は顧客が口座開設時に登録しているものとする。
【0037】
本実施例の記憶部4は、自動取引装置1を利用する顧客の身長情報に対応する生体情報取得部6の前方向への回転角度表を格納する。
図10は実施例4の生体情報取得部を示す説明図である。
図10において、30は可動支柱であり、上記水平回転機構20の支柱21の代わりに配置されるものであり、生体情報取得部6に固定されている上部支柱31と、ドライブギア22に固定されている下部支柱32とをシャフト33を介して回転可能に連結して構成する。なお上部支柱31はシャフト33に固定されており、これによってシャフト33が回転したときに上部支柱31も同時に回転する。
【0038】
34は前後傾け用モータであり、前記シャフト33に設けられた伝達ギア35とかみ合う前後傾け用モータギア36を回転軸に取り付け、前後傾け用モータギア36を回転させることにより、その回転を伝達ギア35に伝達してシャフト33を回転させる。
本実施例の生体情報取得部6は、その基準位置を顧客が右手を置くときの位置で、かつ水平になっている状態としており、顧客認証を行うときに前後傾け用モータ34によってその顧客の身長情報に応じた回転角度で図10に示す矢印Cの上向きの方向に回転して顧客の前方(前方向という)に傾け、顧客との取引が終了した後、前後傾け用モータ34によって基準位置まで戻るようになっている。
【0039】
図10における生体情報取得部6は、基準位置にある状態を示したものであって、顧客認証の際に顧客の登録生体情報が生体情報取得部6の配置位置と反対側の手である場合に、上記水平回転機構20によって略45度回転するようになる。
なお、上記の前後傾け用モータ34と前後回転モータギア36は、下部支柱32を支持している図示しないフレームに取り付けられており、水平回転機構20によって回転する下部支柱32に合わせて回転するようになっている。
【0040】
そのため、前後回転モータギア36はシャフト33に設けられた伝達ギア35とは常時かみ合った状態となる。
本実施例の自動取引装置1の動作について説明する。
自動取引装置1の制御部2が、表示操作部5に取引選択画面を表示して顧客によって出金取引が選択されたときに、表示操作部5にICカードをカード挿入返却口に挿入するように促す画面を表示するまでの動作は上記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0041】
顧客はこれに従ってカード挿入返却口にICカードを挿入する。
制御部2は、カードリードライタ部9によってICカードから登録手情報と顧客の身長情報、登録掌静脈情報を読み取る。
このとき、制御部2は登録手情報が右手、つまり顧客から見て生体情報取得部6の配置位置に近い方の手であることを認識した場合は、記憶部4に格納している回転角度表を読み出し、ICカードから読み取った身長情報をもとに回転角度表から回転角を検索し、該当する回転角で生体情報取得部6が前方向に回転するように前後傾け用モータ34を駆動する。
【0042】
これによって、前後傾け用モータ34に取り付けられた前後傾け用モータギア36が回転し、その回転が伝達ギア35、シャフト33を介して上部支柱31に伝達し、上部支柱31と共に生体情報取得部6は前方向に回転する。
また、制御部2は登録手情報が左手、つまり顧客から見て生体情報取得部6の配置位置と反対側の手であることを認識した場合は、先ず水平回転機構20によって生体情報取得部6を水平方向で時計回りに略45度回転させる。
【0043】
そして制御部2は、記憶部4に格納している回転角度表を読み出し、ICカードから読み取った顧客の身長情報をもとにその回転角度表から回転角を検索し、該当する回転角で生体情報取得部6が前方向に回転するように前後傾け用モータ34を駆動する。
生体情報取得部6を前方向に回転させた制御部2は、表示操作部5に上記で読み取った登録手情報に合わせた画面、つまり登録手情報が右手であれば「生体情報取得部に右手を置いて下さい。」等の文言やイラスト等を配した画面、また登録手情報が左手であれば「生体情報取得部に左手を置いてください。」等の文言やイラスト等を配した画面を表示し、顧客がその画面に従って生体情報取得部6に手を置く。
【0044】
なお、右手の場合には前後傾け用モータ34のみを回転させるのは言うまでもない。
制御部2は、生体情報取得部6に置かれた手から掌静脈情報を取得し、上記でICカードから読み取った登録掌静脈情報と比較して、一致するかどうかを判断する。
制御部2は比較結果が一致したと判断し、顧客が取引選択画面で入力した出金取引に関する処理を顧客の口座残高等を管理している金融機関のセンタに設置された図示しないホストコンピュータとの間で通常通りに実行し、出金取引を終了する。
【0045】
そして、制御部2は前後傾け用モータ34によって生体情報取得部6を下方向に回転させて水平な状態にし、また生体情報取得部6を水平方向に回転させていた場合は水平回転機構20によって基準位置まで戻すようにする。
なお、顧客認証を行うために生体情報取得部6を前方向に回転させている途中に、顧客が手を置いた場合は、その手の重さによる負荷によって前後傾け用モータ34が脱調し、生体情報取得部6の回転が止まるようになっている。
【0046】
以上説明したように、本実施例では、上記各実施例の効果に加えて、顧客の身長に合わせて生体情報取得部を前方向に回転させたことによって、背の高い顧客にとって生体情報取得部の高さが低いために手を置きづらくなってしまうことを緩和することができる。

なお、上記実施例4においては、可動支柱を生体情報取得部の顧客の指先側の端部に取り付けているとして説明したが、これに限らず顧客が生体情報取得部に手を置いたときの手首側の端部に設けるようにしてもよい。
【0047】
なお、上記各実施例においては、自動取引装置を用いた場合を例に説明したが、金融機関の無人店舗に設置されて顧客の操作によって金融機関と入金や出金等の取引や契約取引等を行う無人契約機に適用してもよく、また現在暗証番号によって顧客認証を行っている装置に生体情報取得部を設け、暗証番号の代わりに生体情報で顧客認証を行うようにして上記各実施例の動作を行わせるようにしてもよい。
【0048】
また、上記各実施例においては、生体情報として掌静脈情報を用いて顧客認証を行うとして説明したが、指静脈情報や指紋情報を生体情報として顧客認証を行うようにしてもよい。なお指静脈情報や指紋情報を生体情報とする場合は、ICカードに記憶する登録手情報にどの指の指紋を扱っているかを示す情報を含めるようにする。
また、上記各実施例においては、登録手情報を顧客のICカードに記憶するとして説明したが、金融機関のセンタに設置されて顧客の口座残高等を管理する図示しないホストコンピュータに登録手情報を記憶するようにしてもよく、その場合は顧客認証を行う前に自動取引装置の制御部がホストコンピュータから登録手情報を受け取るようにする。
【0049】
さらに、上記各実施例においては、ICカードに登録掌静脈情報を記憶するとして説明したが、登録掌静脈情報を記憶させることができれば、磁気カードに記憶するようにしてもよい。
加えて、取得した生体情報と登録掌静脈情報の比較を制御部が行うとして説明したが、ICカード側で比較し、結果を出力するものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例1の顧客認証装置を組み込んだ自動取引装置を示す構成図
【図2】実施例1の顧客認証装置を組み込んだ自動取引装置を示すブロック図
【図3】ICカードの挿入を促す案内画面を示す説明図
【図4】生体情報取得部に手を置くことを促す案内画面を示す説明図
【図5】実施例1の生体情報取得部に置く手を誘導する案内画面を示す説明図
【図6】実施例2の生体情報取得部に置く手を誘導する案内画面を示す説明図
【図7】実施例3の生体情報取得部を示す構成図
【図8】実施例3の生体情報取得部の位置を示す説明図
【図9】水平回転する生体情報取得部を示す構成図
【図10】実施例4の生体情報取得部を示す説明図
【符号の説明】
【0051】
1 自動取引装置
2 制御部
3 磁気ディスク
4 記憶部
5 表示操作部
6 生体情報取得部
7 現金入出金部
8 スピーカ
9 カードリードライタ部
10 回転機構
11、33 シャフト
12、22 ドライブギア
13、23 ステッピングモータ
14、24 モータギア
20 水平回転機構
21 支柱
30 可動支柱
31 上部支柱
32 下部支柱
34 前後傾け用モータ
35 伝達ギア
36 前後傾け用モータギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、顧客の取引カードの読み取りを行うカードリード部、顧客に対して左右の一方の側に配置された生体情報取得部とを有し、該生体情報取得部によって顧客の手から取得した生体情報と、前記カードリード部によって取引カードから読み取った生体情報とを比較して顧客認証を行う顧客認証装置において、
前記取引カードに生体情報が左右どちらの手のものであるかを示す手情報を登録しておき、
この手情報を前記生体情報と共に前記カードリード部で読み取り、
顧客認証の結果が不一致であった場合に、前記手情報が示す手が前記生体情報取得部の配置位置と反対側の手であれば、その手を前記生体情報取得部に置くよう案内する案内画面を前記表示部に表示することを特徴とする顧客認証装置。
【請求項2】
表示部と、顧客の取引カードの読み取りを行うカードリード部、顧客に対して左右の一方の側に配置された生体情報取得部とを有し、該生体情報取得部によって顧客の手から取得した生体情報と、前記カードリード部によって取引カードから読み取った生体情報とを比較して顧客認証を行う顧客認証装置において、
前記取引カードに生体情報が左右どちらの手のものであるかを示す手情報を登録しておき、
この手情報を前記カードリード部で読み取り、その手情報が示す手に基づいて前記生体情報取得部に置く方の手を誘導する案内画面を前記表示部に表示することを特徴とする顧客認証装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記手情報に示す手が、前記生体情報取得部の配置位置と反対側の手である場合に、該反対側の手の方に前記生体情報取得部を傾けることを特徴とする顧客認証装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、
前記手情報に示す手が、前記生体情報取得部の配置位置と反対側の手である場合に、前記生体情報取得部を水平方向に回転させることを特徴とする顧客認証装置。
【請求項5】
請求項4において、
顧客の身長情報に応じた前記生体情報取得部の前後方向の回転角度表を記憶する記憶手段を有し、
前記カードリード部によって、取引カードから顧客の身長情報を読み取り、その身長情報をもとに前記記憶手段の前記回転角度表から回転角度を読み出し、その回転角度で前記生体情報取得部を回転させることを特徴とする顧客認証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−249291(P2007−249291A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68213(P2006−68213)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】