説明

風および風に吹き飛ばされる破片からの保護のための複合体

竜巻からなどの風に吹き飛ばされる破片からの保護を提供する建物の一体部分として好適な複合体は、順に、合板などの構造被覆材材料の層、接着剤の層、軽量材料、接着剤の層、樹脂接合された高強力繊維の布の層、接着剤の層、および構造被覆材材料の層を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厳しい暴風雨、特に竜巻によって発生するものなどの風および風で運ばれる破片による貫入に抵抗するための高強力複合被覆材の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
暴風シェルターおよび地下室は、竜巻またはハリケーン活動に襲われやすい地域での厳しい暴風雨からの保護のための安全な避難所を提供するために必要である。これらのシェルターは典型的には注入コンクリート、スチール強化石造、または重量シート材料で構築されてきた。暴風シェルターおよび地下室の適切なデザインの詳細は、非特許文献1および非特許文献2などの米連邦緊急事態管理局(Federal Emergency Management Agency)(FEMA)からの刊行物に詳述されている。現行デザインは、暴風雨で発生した風で運ばれる破片に対する耐性を提供するためにコンクリートおよびスチールなどの一般重量建設材料の使用に依存している。
【0003】
現行デザインは現行の建設慣行中へ容易には組み入れられず、壁構造物の著しい重量増加をもたらす。非特許文献1に記載されている木材骨組アプローチは、固体石造りでの壁セクションまたは14ゲージ鋼板での連続被覆材の充填(in−filling)を必要とする。これらのシェルターのドアは、必要とされる耐貫入性を提供するために最低14ゲージシート金属での強化を必要とした。これらのアプローチは面倒であり、設置するのが困難であり、そして適切なおおきさに現場作業するのが困難である。ドアに関して、現行解決策は、安全性問題および不満足な美学を導入する重量ドアをもたらす。
【0004】
クレムソン大学(Clemson University)によって米連邦緊急事態管理局に提出された2000年5月31日付け報告書(非特許文献3)は、風で運ばれる破片に対するシェルター壁の強化のための幾つかの追加アプローチを記載している。コンセプトは、ケブラー(Kevlar)(登録商標)クロスを使用する4つの壁(番号9、10、11および17)を含んだ。36ページの図12は、これらの柔軟なクロス・コンセプトが「竜巻シェルターについての国家性能クライテリア(National Performance Criteria for Tornado Shelters)」に適合するために必要とされる耐衝撃性の44%以下を提供したことを示す。この研究で提案されたコンセプトは要件の60%以上を全く提供しなかった。
【0005】
2003年5月1日に公開された特許文献1は、構造被覆材と組み合わせて樹脂で接合された高強力繊維の布を用いる繊維強化複合体被覆材を開示している。該複合体は161キロメートル(100マイル)毎時のスピードの15ポンド発射体に耐える能力を有する。
【0006】
特許文献2は、立方センチメートル当たり0.25グラム以下の密度を有する材料の層と組み合わせた特許文献1の複合体を記述している。
【0007】
竜巻およびハリケーンで発生するものなどの風および風で運ばれる破片からの保護を提供するための軽量の現場にやさしい材料を使用する複合体の形成方法の大きな必要性が存在する。しかしながら、竜巻で発生する風速は、ハリケーンで発生する風速を大きく上回る200マイル毎時を超えることができる。それ故、より高い竜巻風速で発生する風および風で運ばれる破片の両方に耐えるための軽量の現場で使用可能な被覆材の特別な必要性が存在する。
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003−0079430 A1号明細書
【特許文献2】米国特許出願第10/308,492号明細書
【非特許文献1】米連邦緊急事態管理局(FEMA)、「暴風からの魅力のあるシェルター(Taking Shelter from the Storm)」−刊行物320
【非特許文献2】米連邦緊急事態管理局(FEMA)、「地域社会シェルターについてのデザインおよび建設手引き(Design and Construction Guidance for Community Shelters)」−刊行物361
【非特許文献3】クレムソン大学著、「厳しい暴風に対する改善された保護(Enhanced Protection for Severe Wind Storms)」、2000年5月31日
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、順に、
(a)構造被覆材の層、
(b)接着剤の層、
(c)立方センチメートル当たり0.25グラム以下の密度を有する材料の層、
(d)接着剤の層、
(e)樹脂で接合された高強力繊維を含有する布の層、
(f)接着剤の層、
(g)構造被覆材の層
を含んでなる複合体であって、
該布層がASTM(米国材料試験協会)試験手順E1886−97に従って161キロメートル(100マイル)毎時のスピードで6.8キログラム(15ポンド)発射体によって衝打されたときに5.0〜17.5センチメートルの範囲でたわむであろう複合体に関する。
【0010】
接着剤接合された複合体は、上にリストされた規格に適合するように、そして発泡体充填構造物について利用可能な構造設計式に従った、コアおよび構造被覆材特性の選択によって風圧および風で運ばれる破片要件の両方に適合するようにデザインすることができる。これらの式は、ジョン ハートソック(John Hartsock)著、「発泡体充填構造物のデザイン(Design of Foam−Filled Structures)」、および米国合板協会(American Plywood Association)によって出版された「合板サンドイッチパネルのデザインおよび製造(Design and Fabrication of Plywood Sandwich Panels)」などの刊行物に見いだすことができる。
【0011】
本複合体は特に、ハリケーンによるだけでなく竜巻の実質的により高い風速からの風に吹き飛ばされる破片にさらされる世界の区域に設置される暴風シェルターおよび住宅の建設のために改造されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、発明の概要で明確にされたような高強力接合布層を用いる複合体の形成の改善である。構造被覆材と組み合わせた高強力接合布層は、風に吹き飛ばされる破片からの保護を提供するのに非常に有効であるが、独立の複合体で風のみの力からの保護の必要性が存在する。
【0013】
本発明は、複合体を適所に保持するための頑丈なおよび/または複雑な骨組構造の必要性を克服する。複合体の剛性、さらに同時に柔軟性のために、風それ自体および風に吹き飛ばされる破片の影響からの保護が得られる。
【0014】
複合体の剛性は、風速のために発生する空気圧の反対側で保護を得るために必要である。柔軟性は風に吹き飛ばされる破片の反対側の複合体中に存在し、ここで、破片は、ASTM試験手順E1886−97に従って161キロメートル(100マイル)毎時のスピードで6.8キログラム(15ポンド)発射体によって衝打されたときに5.0〜17.5センチメートルの範囲でたわむであろう高強力接合布を打つ前に外側被覆材に穴を開けることができる。
【0015】
それ故、200マイル毎時を超えた風速の竜巻によって発生するような、風に吹き飛ばされる破片からの保護のために必要な構成要素は高強力繊維を含有する布である。布は、織布が好ましいが、織布または不織布であってもよい。高強力繊維は周知であり、本明細書で用いられるところではデシテックス当たり少なくとも約10グラムのテナシティおよびデシテックス当たり少なくとも150gの引張弾性率を有する繊維を意味する。糸は、アラミド、ポリオレフィン、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ガラスなどのような繊維から製造することができ、かかる糸の混合物から製造されてもよい。
【0016】
布は100パーセント以下のアラミド繊維を含んでもよい。「アラミド」とは、アミド(−CO−NH−)結合の少なくとも85%が2つの芳香環に直結しているポリアミドを意味する。アラミド繊維の例は、W.ブラック(W.Black)ら著、「人造繊維−科学および技術1(Man−Made Fibers−Science and Technology1)」、第2巻、繊維形成芳香族ポリアミドという表題のセクション、インターサイエンス・パブリッシャーズ(Interscience Publishers)、1968年、297ページに記載されている。アラミド繊維は、また、米国特許第4,172,938号明細書、同第3,869,429号明細書、同第3,819,587号明細書、同第3,673,143号明細書、同第3,354,127号明細書、および同第3,094,511号明細書にも開示されている。
【0017】
パラ−アラミドはアラミド糸に共通のポリマーであり、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)(PPD−T)が普通のパラ−アラミドである。PPD−Tとは、p−フェニレンジアミンと塩化テレフタロイルとのモル−モル重合から生じるホモポリマーならびに、また、p−フェニレンジアミンと共に少量の他のジアミンのおよび塩化テレフタロイルと共に少量の他の二酸塩化物の組み入れから生じる共重合体を意味する。原則として、他のジアミンおよび他の二酸塩化物は、他のジアミンおよび二酸塩化物が重合反応を妨げる反応基を全く持たないことだけを条件として、p−フェニレンジアミンまたは塩化テレフタロイルの約10モルパーセントほどに多い、もしくはたぶんわずかにそれ以上までの量で使用することができる。PPD−Tはまた、例えば、塩化2,6−ナフタロイルまたは塩化クロロ−もしくはジクロロテレフタロイルまたは3,4−ジアミノジフェニルエーテルなどの他の芳香族ジアミンおよび他の芳香族二酸塩化物の組み入れから生じる共重合体を意味する。
【0018】
「ポリオレフィン」とはポリエチレンまたはポリプロピレンを意味する。ポリエチレンとは、100主鎖炭素原子当たり5つを超えない変性単位のマイナー量の鎖分岐またはコモノマーを含有してもよい、そしてまたそれと混合されたアルケン−1−ポリマー、特に低密度ポリエチレン、プロピレンなどのような、約50重量パーセント以下の1つもしくはそれ以上の高分子添加物、または一般に組み入れられる酸化防止剤、滑剤、紫外線遮断剤、着色剤などの低分子量添加剤を含有してもよい、好ましくは百万より大きい分子量の主として線状のポリエチレン材料を意味する。かかるものは延長鎖ポリエチレン(ECPE)として一般に公知である。同様に、ポリプロピレンは、好ましくは百万より大きい分子量の主として線状のポリプロピレン材料である。高分子量の線状ポリオレフィン繊維は商業的に入手可能である。
【0019】
ポリベンゾオキサゾールおよびポリベンゾチアゾールは好ましくは次の構造のポリマーでできている。
【0020】
【化1】

【0021】
窒素原子に結合して示される芳香族基は複素環であってもよいが、それらは好ましくは炭素環であり、そしてそれらは縮合または非縮合多環システムであってもよいが、それらは好ましくは単環6員環である。ビス−アゾールの主鎖中に示される基は好ましいパラ−フェニレン基であるが、当該基は、ポリマーの製造を妨げない任意の二価有機基で置き換えられても、または全く基なしであってもよい。例えば、当該基は12個以下の炭素原子の脂肪族、トリレン、ビフェニレン、ビス−フェニレンのどれかなどであってもよい。
【0022】
本発明におけるさらなる要件は、用いられる布中の高強力繊維の個々の繊維を接合するための樹脂の使用である。樹脂は、ポリエチレン、アイオノマー、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ビニルエステル、エポキシおよびフェノール系誘導体ならびに熱可塑性エラストマーなどの多種多様な成分から選択されてもよい。
【0023】
樹脂は、高強力繊維を含有する布に、圧力下でなど、コーティングまたは含浸によって付けることができる。
【0024】
従って、高強力布/樹脂組み合わせは、「ミサイルによって衝打される、そして周期的な圧力差にさらされる外窓、ある種の壁、ドアおよび暴風シャッターの性能についての標準試験方法(Standard Test Method for Performance of Exterior Window,Certain Walls,Doors and Storm Shutters Impacted by Missile(s) and Exposed to Cyclic Pressure Differentials)」という表題のASTM試験方法E1886−97を用いて竜巻シェルターについての国家性能クライテリア(National Performance Criteria for Tornado Shelters)、第一増補版、FEMA、1999年5月28日に従って試験されるときに層状複合体内にたわみ能力を持たなければならない。試験のハイライトには、試験検体を取り付けること、161キロメートル(100マイル)毎時のスピードで推進される6.8キログラム(15ポンド)2×4ミサイルを検体に衝打させること、および試験結果を観察するおよび測定することが含まれる。ASTM試験手順E1886−97は、2×4製材ミサイルの使用、ミサイル推進装置、スピード測定システムおよび高速ビデオまたは写真用カメラの使用などの様々な要件に特有のものである。本明細書では、本開示の目的のための試験手順は、実際の壁据え付けを代表するようなやり方で、任意の試験検体を好適な支持フレームに取り付けることを含むことが理解される。かかる検体は次に、パネルの中心でまたはその近くで合板面上に衝打される。2×4製材ミサイルは、発射体の貫入深さの追跡を可能にするために好適な索引マークで印を付けられるべきである。写真用またはビデオカメラは、発射体の貫入の深さを監視するために配置されるべきであり、かかるカメラは1000フレーム毎秒の最小フレーム率を有するべきである。
【0025】
記載された試験手順に従って、樹脂で接合された高強力繊維を含有する布は5.0〜17.5cmの範囲内でたわむであろう。より好ましくは、たわみは8.0〜16.0cm、最も好ましくは10.0〜15.0cmの範囲にあろう。布のたわみは典型的には、互いに接合されていない被覆材(合板などの)/布組み合わせに関して別個の試験手順で行われるであろうことが理解される。かかるケースで被覆材/布は試験手順で互いに分離する。
【0026】
たわみの程度は、建造物でのその最終用途によって測定されてもよい。例示的には、布/樹脂組み合わせの最大規定たわみは、クロス/樹脂組み合わせを含有する壁に隣接する居住者の近傍のために住宅では望ましくないかもしれない。しかしながら、上記範囲内の最小たわみは建設の高いコストをもたらす布の追加厚さを必要とし得る。本明細書で用いるところでは、布はクロスの2つ以上の層を含む。本明細書で用いるところでは、たわみは、構造被覆材からの高強力布/樹脂組み合わせの分離の最大測定距離(すなわち、衝打による分離)を意味する。前述のように、試験手順は、高強力布/樹脂組み合わせが被覆材に接合されていないときに行われる。測定が高速写真と連動して行われなければならないことは理解される。たわみ測定の例示目的で、発射体での試験手順中でも、構造被覆材の幾らかの反りがあるかもしれない。たわみについての測定値は距離、すなわち、被覆材の反った部分からの高強力布/樹脂組み合わせの分離である。それは、事象中の貫入の最大深さを測定し、そして構造被覆材の厚さを差し引いて、前述の試験中に集められた写真またはビデオ記録の精査から求めることができる。
【0027】
本発明で高強力繊維/樹脂を含有する布の組み合わせは、該組み合わせの追加目的が壁またはドアの構造的補強であるので、木材ベースのまたは他の構造被覆材材料と共に使用される。用語「構造被覆材」は、構造建物サポートを提供するいかなる材料も含む。好ましい材料は、建設業での広範囲に及ぶ使用のために、木材、特に合板である。しかしながら、他の材料が建物サポートとして役立つ構造被覆材として公知であり、典型的な例はセメントで強化された繊維板である。布/樹脂組み合わせは一般に柔軟であり、そして例示目的で少なくとも0.65cm(1/4インチ)、より好ましくはサポートの目的で少なくとも1.27cm(1/2インチ)であってもよい被覆材と共に用いられるであろう。構造被覆材のタイプは本発明の成功に決定的に重要であるわけではない。被覆材は、硬木または軟木製などの固体であってもよいし、または合板などの複合体もしくはセメントを含む繊維板プラスチック複合体および薄厚金属などの非木材被覆材の形態にあってもよい。実際問題として、本発明のほとんどの用途は、合板が壁構造物に使用される共通の材料であるので合板と一緒であろうと考えられる。布/樹脂の組み合わせが建物の内部、すなわち、例えば居住者を保護すべき部屋に面した状態で、建造物中で外壁であるかまたはそれに面するであろう構造被覆材に、最大厚さはない。
【0028】
本発明に従って、構造被覆材は、サンドイッチ構造物に残りの構成要素を保持する複合体の反対面上に存在するであろう。構造被覆材の層は特定される必要がないことが理解される。
【0029】
それ故、住宅での保護シェルターまたは1つもしくはそれ以上の部屋の建設で、構造被覆材は、破片がクロス/樹脂の組み合わせのたわみとの接触およびそれでの封じ込めの前に貫入付きで被覆材を打つように任意の風で運ばれる破片の方向を向くことが意図される。本発明は、通常の建築構造および技術が構造被覆材で用いられてもよいので、特に有利であることが理解される。
【0030】
本発明で改良は、順に存在する次の複合構造物
・構造被覆材
・接着剤
・接合されたより高い強度の繊維
・接着剤
・軽量材料接着剤
・接着剤
・構造被覆材
の使用によって耐衝撃性または耐打撃性だけでなく風に対しても存在する。
【0031】
軽量材料は、立方センチメートル当たり0.25グラム以下、好ましくは、立方センチメートル当たり0.10グラム以下、より好ましくは、立方センチメートル当たり0.05グラム以下の密度を有するであろう。
【0032】
軽量材料は柔軟であっても堅くてもよい。しかしながら、剛性が軽量材料の支持体または強化材によって提供されることは本発明の範囲内である。それ故、軽量材料は自己支持性でなくてもよいが、全体軽量材料層は、この特性を提供するために支持体または強化材の使用によって柔軟性または剛性を有するであろう。それ故、好ましい形態では、軽量材料を含有する層は自己支持性である、すなわち、それは崩壊しないであろう。この好ましい形態では、十分な剪断弾性率および剪断強度が耐風圧性を提供するために軽量材料に必要とされる。必要とされる剪断剛性および強度は、構造膜の組成、軽量コアの厚さ、および製造中の複合パネルの長さに依存して、以前の詳細な参考文献を用いる共通の設計式から計算することができる。例示的に、軽量材料には、例えば、ポリスチレンおよびポリウレタンが含まれ、それらは、例えば、クラフト紙、アラミド紙、アルミニウムシート材料およびプラスチックから製造された発泡体またはハニカム構造体として存在することができる。4インチのコア厚さを有する、公称4フィート幅×8フィート長さの複合パネルのためには、軽量材料は典型的には、250マイル毎時の風に対する耐性を提供するために、300ポンド/平方インチより大きい剪断弾性率および25ポンド/平方インチより大きい剪断強度を必要とするであろう。これらの特性は典型的には、1.0ポンド/立方フィートより大きい密度の発泡されたポリスチレン発泡体に存在する。軽量材料は同じく、米国特許第4,241,555号明細書に記載されているような軽量鉄骨部材またはワイヤで強化された発泡体構造物であることができる。しかしながら、かかる使用は、軽量材料の反対側での接着剤の使用のために必要ではない。
【0033】
軽量材料層の厚さは、5.0〜20.0センチメートルの範囲の例付きで、決定的に重要であるわけではない。より薄い軽量材料が使用されるとき、剪断強度および剪断弾性率は耐風性を提供するためにより高くなければならない。より厚い軽量材料が使用されるとき、剪断弾性率および剪断強度はより低いものであることができる。
【0034】
接合された高強力布の使用に加えて、接着剤の3つの層が、すなわち(a)構造被覆材と、立方センチメートル当たり0.25グラム以下の密度を有する材料との間、(b)立方センチメートル当たり0.25グラム以下の密度を有する材料と樹脂で接合された高強力繊維を含有する布との間、および(c)樹脂で接合された高強力繊維を含有する布と構造被覆材との間に用いられる。接着剤のタイプは決定的に重要であるとは考えられず、高強力繊維の接合について記載されたものと同じ樹脂であることができるが、接着剤は、複合体を衝突風によって生み出される圧力下に曲げに抵抗する単一ユニットとしての役割を果たさせるのに十分な接合強度を提供しなければならない。
【0035】
本発明をさらに例示するために、次の実施例が提供される。
【実施例】
【0036】
実施例1
48インチ×86インチ積層壁パネルを、次の材料を順に積み重ねることによって空気圧式プラテン・プレスで製造した。
1.合板、23/32インチ厚さ、APA格付け被覆材の1シート
2.20グラム/平方フィートのイソグリップ(ISOGRIP)(登録商標)3030ウレタン接着剤(Urethane Adhesive)の1層
3.1.0ポンド/立方フィートの密度の、4インチ厚さの、発泡したポリスチレン発泡体コアの1層
4.20グラム/平方フィートのイソグリップ(ISOGRIP)(登録商標)3030ウレタン接着剤の1層
5.ポリオレフィン接合樹脂で一緒に熱接合されたケブラー(Kevlar)(登録商標)スタイル(Style)745布(13オンス/平方ヤード重量)の3層
6.20グラム/平方フィートのイソグリップ(ISOGRIP)(登録商標)3030ウレタン接着剤の1層
7.合板、15/32インチ厚さの、APA格付け被覆材の1シート
【0037】
接着剤を工業用接着剤ロールコーターで上に詳述したように塗布した。組み立てたパネルを空気圧式プレスに入れ、7ポンド/平方インチの圧力下に1時間保持し、試験に送る前に、接着剤を24時間にわたって十分に硬化させた。
【0038】
パネルをASTM試験方法E72に従って真空装置で耐圧試験した。パネルは425ポンド/平方フィートの圧力で破損し、過度の変形および非線形の負荷たわみ曲線を示した。負荷たわみ曲線を図に示す。このパネルの究極的な破損負荷は、風よけの高負荷セクションでの使用に必要とされる安全範囲を提供しないであろうし、耐荷重性壁に対する典型的な建築基準に適合するために必要な壁の剛さを提供しないであろう。
【0039】
追加の48インチ×48インチ試験パネルを、風で運ばれる破片による貫入に抵抗する壁の能力を評価するために上記のように製造した。パネルをASTM試験手順E1886−87に従って161キロメートル(100マイル)毎時のスピードの15ポンド製材発射体で衝撃試験した。発射体は壁を貫入しなかった。
【0040】
実施例2
48インチ×86インチ積層壁パネルを、密度を2.5ポンド/立方フィートに上げた4インチ厚さの発泡したポリスチレン発泡体コアで実施例1に記載したような空気圧式プラテン・プレスで製造した。
【0041】
パネルをASTM試験方法E72に従って真空装置で耐圧試験した。パネルは673ポンド/平方フィートの圧力で破損し、低い変形および線形の負荷たわみ曲線を示した。負荷たわみ曲線を図に示す。このパネルの究極的な破損負荷は、風よけの高負荷セクションでの使用に必要とされる安全範囲を提供するだろうし、耐荷重性壁に対する典型的な建築基準に適合するために必要な壁の剛さを提供するであろう。
【0042】
追加の48インチ×48インチ試験パネルを、風で運ばれる破片による貫入に抵抗する壁の能力を評価するために上記のように製造した。パネルをASTM試験手順E1886−87に従って161キロメートル(100マイル)毎時のスピードの15ポンド製材発射体で衝撃試験した。発射体は壁を貫入しなかった。
【0043】
追加の48インチ×86インチ積層壁パネルを上記のような空気圧式プラテン(plated)・プレスで製造した。このパネルを、米国特許出願第KB 4640 US NA号明細書に詳述されているような柔軟性ジョイントで一緒に連結されたシェルター部屋アセンブリで衝撃試験した。衝撃試験をASTM試験手順E1886−87に従って161キロメートル(100マイル)毎時のスピードの15ポンド製材発射体で行った。発射体は壁パネルを貫入しなかった。
【0044】
実施例3
48インチ×86インチ積層壁パネルを、密度を3.0ポンド/立方フィートに上げた4インチ厚さの発泡したポリスチレン発泡体コアで実施例1に記載したような空気圧式プラテン・プレスで製造した。
【0045】
パネルをASTM試験方法E72に従って真空装置で耐圧試験した。パネルは673ポンド/平方フィートの圧力で破損し、低い変形および線形の負荷たわみ曲線を示した。負荷たわみ曲線を図に示す。このパネルの究極的な破損負荷は、風よけの高負荷セクションでの使用に必要とされる安全範囲を提供するだろうし、耐荷重性壁に対する典型的な建築基準に適合するために必要な壁の剛さを提供するであろう。
【0046】
追加の48インチ×48インチ試験パネルを、風で運ばれる破片による貫入に抵抗する壁の能力を評価するために上記のように製造した。パネルをASTM試験手順E1886−87に従って161キロメートル(100マイル)毎時のスピードの15ポンド製材発射体で衝撃試験した。発射体は壁を貫入しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】ASTM E72トラバース負荷試験(Traverse Load Test)に従って実施例1、2および3の86インチ長さのパネルについての負荷たわみ曲線を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に、
(a)構造被覆材の層、
(b)接着剤の層、
(c)立方センチメートル当たり0.25グラム以下の密度を有する材料の層、
(d)接着剤の層、
(e)樹脂で接合された高強力繊維を含有する布の層、
(f)接着剤の層、
(g)構造被覆材の層
を含んでなる複合体であって、
該布層が、ASTM試験手順E1886−97に従って161キロメートル(100マイル)毎時のスピードで6.8キログラム(15ポンド)発射体によって衝打されたときに5.0〜17.5センチメートルの範囲でたわむであろう複合体。
【請求項2】
前記たわみが8.0〜16.0センチメートルの範囲にある、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
前記高強力繊維がアラミド繊維、ガラス繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアリレート繊維、ポリベンズアゾール繊維、またはカーボン繊維よりなる群から選択される請求項1に記載の複合体。
【請求項4】
前記高強力繊維がアラミドを含んでなる請求項1に記載の複合体。
【請求項5】
前記高強力繊維がガラスである請求項1に記載の複合体。
【請求項6】
前記構造被覆材が合板を含んでなる請求項1に記載の複合体。
【請求項7】
層(c)が立方センチメートル当たり0.10グラム以下の密度を有する請求項1に記載の複合体。
【請求項8】
層(c)が発泡体である請求項1に記載の複合体。
【請求項9】
層(c)がハニカムまたはハニカム様構造を有する請求項1に記載の複合体。
【請求項10】
(a)構造被覆材の層、
(b)接着剤の層、
(c)立方センチメートル当たり0.25グラム以下の密度を有する材料の層、
(d)接着剤の層、
(e)樹脂で接合された高強力繊維を含有する布の層、
(f)接着剤の層、
を含んでなる構造物の一体部分を有する建造物であって、
該布層がASTM試験手順E1886−97に従って161キロメートル(100マイル)毎時のスピードで6.8キログラム(15ポンド)発射体によって衝打されたときに5.0〜17.5センチメートルの範囲でたわむであろう建造物。


【図1】
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【公表番号】特表2008−526572(P2008−526572A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551324(P2007−551324)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/000810
【国際公開番号】WO2006/076356
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】