説明

風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物、ならびに風力発電機のブレードおよびその製造方法

【課題】本発明は、風力発電機のブレード表面に、耐候性に優れ、かつ滑雪氷性と汚染除去性に優れた塗膜を形成できる風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物、ならびに該ブレードおよびその製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】加水分解性シリル基を有するフッ素樹脂を必須成分とする、風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物。また、ブレード基体表面に、前記風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物から形成された塗膜を有する風力発電機のブレード。また、該ブレードの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物、ならびに風力発電機のブレードおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電機は、クリーンなエネルギーが得られることから各地に普及されてきている。このような風力発電機は、強い風が長時間吹く場所に設置されるのが一般的であり、特に周辺に高い建築物や木等がない海岸線に設置されることが多い。風力発電機としては、例えば、図2に示すように、塔体110と、塔体110上に設けられた塔頂回動部120と、塔頂回動部120に回動支持部を介して取り付けられたブレード130とを有する風力発電機101が挙げられる。塔頂回動部120は、風向きに応じて回動し、ブレード130を風が吹いている方に向けられるようになっている。ブレード130としては、例えば、木材からなる翼状の板片の表面が繊維強化プラスチック(FRP)により補強されたブレード等が用いられる。
【0003】
寒冷地に設置された風力発電機は、雪や氷が、ブレードに付着し、風の抵抗値の増加により風車効率や発電効率が低下する問題がある。
特に、雪氷が微量の水分を含んでいる場合には、水分に由来する水素結合力、ファンデルワールス力等により雪氷は相当に大きな重量まで成長し、風車効率や発電効率が大きく低下する。
着雪氷防止の対策として、ヒーター等の発熱体をブレードやタワーに組み込む手法が効果的であるが、設備の付加は決して安価なものとは言えず、電力等のエネルギーおよび設備の維持に要する費用や手間は極めて大きくなる。また、融解した雪氷により発生した水が発熱体から離れた箇所で再度氷結するといった問題も発生する。
物理的に、着雪氷を払拭する手法も考えられるが、強固に付着した雪氷を十分に払拭することはできず、また、最近の1500kW級の風力発電機では、風車ブレードの回転軸が70m上空にあり、風車ブレードの全長は30mを超えることから、クレーン作業を考慮しても、着雪氷の払拭作業は困難な作業となる。
【0004】
着雪、着氷を防止する方法として、撥水塗料により塗装された部材や屋外工作物が提案されている(特許文献1〜3)。これらは、雪および氷と被膜層外面との間に発生し、着雪氷の原因となっている水素結合やファンデルワールス力等をできる限り小さくすることで、着雪、着氷を防止しようとするものである。
しかしながら、これらの屋外工作物は、屋外に設置すると設置当初は良好な着雪氷防止効果が得られるものの、設置してから数年後には被膜層自体の劣化等によりその撥水性能が低下し、着雪氷防止効果は失われる。
【0005】
一方、被膜層の劣化を防止する目的で、ブレードの表面に、高耐候性のフッ素塗料を塗布する手法が提案されている(特許文献4)。しかしながら、塗料成分としては、水酸基含有含フッ素重合体とイソシアネート系硬化剤を主成分としており、被膜層の撥水性はそれほど高いものではなく、着雪氷防止効果は期待できない。また、塗膜中に汚れ(例えば、大気中の埃や虫の死骸など)が侵入しやすく、その除去は容易ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−370317号公報
【特許文献2】特開平10−310740号公報
【特許文献3】国際公開第02/092945号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0220795号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、風力発電機のブレード表面に設ける被膜層として、耐候性と滑雪氷性、汚染除去性に優れた塗膜を形成できる風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物の提供を目的とする。
また、本発明は、耐候性と滑雪氷性、汚染除去性に優れた塗膜を有する風力発電機のブレード、およびその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
[1]加水分解性シリル基を有する含フッ素重合体(A)を必須成分とする、風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物。
[2]前記加水分解性シリル基を有する含フッ素重合体(A)が、フルオロオレフィンに基づく繰り返し単位(A1)および加水分解性シリル基を有する繰り返し単位(A2)を有する含フッ素重合体である[1]に記載の風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物。
[3]前記加水分解性シリル基を有する繰り返し単位(A2)が、下式(1)で表される基を有する繰り返し単位(A2−1)である、[1]または[2]に記載の風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物。
−OC(O)NH(CHSiX3−n ・・・(1)
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜10の1価炭化水素基、Xは炭素数1〜5のアルコキシ基、nは1〜3の整数、mは1〜5の整数を示す。)
[4]前記フルオロオレフィンが、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンおよびフッ化ビニルからなる群から選ばれる1種以上である[1]〜[3]のいずれか一項に記載の風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物。
[5]加水分解性シリル基を含有する含フッ素重合体(A)を必須成分とするフッ素塗料が、下記硬化剤(B)、リン酸エステル系硬化触媒(C1)、および有機溶剤(D)を含むことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物。
硬化剤(B):下式(2)で表される化合物、および/またはその部分加水分解縮合物。
SiX4−a ・・・(2)
(式中、Rは炭素数1〜10の1価炭化水素基、Xは炭素数1〜10のアルコキシ基、aは2〜4の整数を示す。)
[6]さらに、酸化チタンを含有してなる[1]〜[5]のいずれか一項に記載の風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物。
[7]ブレード基体表面に、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物を塗布して塗布層を形成し、硬化させる風力発電機のブレードの製造方法。
[8]ブレード基体表面に、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物から形成された塗膜を有する風力発電機のブレード。
【発明の効果】
【0009】
本発明の風力発電機のブレード表面塗布用塗料組成物は、風力発電機のブレード表面に設ける被膜層として、耐候性と滑雪氷性、汚染除去性に優れた塗膜を形成できる。
また、本発明の風力発電機のブレードは、耐候性と滑雪氷性、汚染除去性に優れた塗膜を有する。さらに、本発明の製造方法によれば、耐候性と滑雪氷性、汚染除去性に優れた塗膜を有する風力発電機のブレードを簡便に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の風力発電機のブレードの実施形態の一例を示した部分断面図である。
【図2】風力発電機の一例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書においては、モノマーが重合することで直接形成される繰り返し単位と、モノマーの重合によって形成される繰り返し単位の一部を化学変換することで得られる繰り返し単位とを総称して「重合単位」または「単位」という。
また、(メタ)アクリル酸との記載は、アクリル酸およびメタクリル酸の総称である。
【0012】
<風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物>
本発明の風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物(以下、単に「塗料組成物」ともいう。)は、風力発電機のブレード表面に塗布して塗膜を形成する塗料組成物であって、加水分解性シリル基を有する含フッ素重合体を必須成分とする。加水分解性シリル基を有する含フッ素重合体を含有する塗料組成物によって塗膜を形成することにより、風力発電機のブレードの耐候性と滑雪氷性、汚染除去性が向上する。
【0013】
本発明の塗料組成物に含有される加水分解性シリル基を有する含フッ素重合体(A)(以下、「含フッ素重合体(A)」ともいう。)は、フルオロオレフィンに基づく重合単位を有する重合体であることが好ましい。
【0014】
[含フッ素重合体(A)]
本発明における含フッ素重合体(A)は、加水分解性シリル基を有する含フッ素重合体である。含フッ素重合体(A)は、フルオロオレフィンに基づく単位(A1)、および、アルコキシシリル基を有する単位(A2)を有する含フッ素重合体であることが好ましい。また、含フッ素重合体は、任意成分として、単位(A1)および単位(A2)以外のその他の単位(A3)を有していてもよい。
【0015】
[単位(A1)]
単位(A1)は、フルオロオレフィンに基づく単位である。フルオロオレフィンの炭素数は、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましい。フルオロオレフィンにおけるフッ素原子の数(以下、「フッ素付加数」という。)は、2以上が好ましく、3〜4がより好ましい。フッ素付加数が2以上であれば、塗膜の耐候性が向上し、滑雪氷性が長期に渡って持続できる。フルオロオレフィンにおいては、フッ素原子で置換されていない水素原子の1以上が塩素原子で置換されていてもよい。
【0016】
フルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンおよびフッ化ビニルからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンがより好ましい。
フルオロオレフィンは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
フルオロオレフィンに基づく単位(A1)としては、フルオロオレフィンを重合することで直接形成される重合単位が好ましい。
【0017】
[単位(A2)]
単位(A2)は、加水分解性シリル基を有する単位であり、該加水分解性シリル基は、アルコキシシリル基であることが好ましい。
単位(A2)は、アルコキシシリル基を有する単位であることが好ましく、単位(A2)としては、下記単位(A2−1)および単位(A2−2)が挙げられる。
単位(A2−1):水酸基を有するモノマーに基づく単位に、イソシアネート基と加水分解性シリル基とを有する化合物を反応させることで形成される単位。
単位(A2−2):加水分解性シリル基を有するモノマーに基づく単位。
【0018】
[単位(A2−1)]
単位(A2−1)は、水酸基を有するモノマーに基づく単位の水酸基と、イソシアネート基と加水分解性シリル基とを有する化合物との反応により得られる単位である。
【0019】
水酸基を有するモノマーは、水酸基と重合性反応基を有する化合物である。重合性反応基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和基が好ましい。水酸基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル等のエチレングリコールモノビニルエーテル類;ヒドロキシエチルアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル類;ヒドロキシエチルビニルエステル、ヒドロキシブチルビニルエステル等のヒドロキシアルキルビニルエステル類;ヒドロキシエチルアリルエステル、ヒドロキシブチルアリルエステル等のヒドロキシアルキルアリルエステル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類等が挙げられる。
水酸基とを有するモノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
イソシアネート基と加水分解性シリル基を有する化合物としては、下式(1a)で表される化合物(以下、「化合物(1a)」という。)が好ましい。
OCN(CHSiX3−n (1a)
(前記式(1a)中、Rは水素原子または炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、Xは炭素数1〜5のアルコキシ基、nは1〜3の整数、mは1〜5の整数を示す。)
【0021】
化合物(1a)におけるRは、水素原子または炭素数1〜10の1価炭化水素基である。Rにおける1価炭化水素基の炭素数が10以下であれば、化合物(1a)が嵩高くなりすぎることが抑制されるので、塗膜の硬化時におけるアルコキシ基(X)の縮合反応が立体障害によって進行し難くなることを抑制しやすい。そのため、塗膜の硬化性が良好になり、優れた耐候性、耐薬品性、滑雪氷性、汚染除去性、耐擦傷性および耐衝撃性が得られやすくなる。
は炭素数1〜10の1価炭化水素基が好ましく、炭素数1〜5の1価の炭化水素基が好ましく、メチル基またはエチル基が好ましい。
は炭素数1〜5のアルコキシ基であり、エトキシ基またはメトキシ基が好ましい。Xの炭素数が5以下であれば、後述の硬化剤(B)との架橋反応により生じるアルコール成分が揮発しやすくなる。そのため、硬化後の塗膜中にアルコール成分が残存して、耐候性、耐薬品性、滑雪氷性、汚染除去性、耐擦傷性および耐衝撃性が低下することを抑制しやすい。
nは1〜3の整数であり、3が好ましい。
mは1〜5の整数であり、2〜4がより好ましい。
【0022】
化合物(1a)の具体例としては、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(X=メトキシ基、n=3、m=3)、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(X=エトキシ基、n=3、m=3)、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン(X=メトキシ基、R=メチル基、n=2、m=3)、3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン(X=エトキシ基、R=メチル基、n=2、m=3)、3−イソシアネートプロピルジメチルメトキシシラン(X=メトキシ基、R=メチル基、n=1、m=3)、3−イソシアネートプロピルジメチルエトキシシラン(X=エトキシ基、R=メチル基、n=1、m=3)、4−イソシアネートブチルトリメトキシシラン(X=メトキシ基、n=3、m=4)、4−イソシアネートブチルトリエトキシシラン(X=エトキシ基、n=3、m=4)、2−イソシアネートエチルトリメトキシシラン(X=メトキシ基、n=3、m=2)、2−イソシアネートエチルトリエトキシシラン(X=エトキシ基、n=3、m=2)等が挙げられる。
化合物(1a)としては、入手性の点から、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランが好ましい。
化合物(1a)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
水酸基を有するモノマーに基づく単位の水酸基と、化合物(1a)のイソシアネート基との反応により、ウレタン結合(−NHC(=O)−)が形成され、下式(1)で表される基を有する単位(A2−1)が形成される。
−ONHC(=O)(CHSiX3−n ・・・(1)
(前記式(1)中、Rは水素原子または炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、Xは炭素数1〜5のアルコキシ基、nは1〜3の整数、mは1〜5の整数を示す。)
【0024】
水酸基を有するモノマーに基づく単位の水酸基と化合物(1a)のイソシアネート基との反応は、化合物(1a)のイソシアネート基と反応する活性水素を有していない溶剤(例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン、キシレン等。)中で行うことが好ましい。
水酸基を有するモノマーに基づく単位の水酸基に対する化合物(1a)の割合は、水酸基1モルに対して、化合物(1a)が0.1〜10モルであることが好ましく、0.5〜5モルであることがより好ましい。水酸基1モルに対して化合物(1a)が0.1モル以上であれば、アルコキシシリル基の量が増えることで塗膜形成時の硬化が進行しやすくなる。水酸基1モルに対して化合物(1)が10モル以下であれば、未反応の化合物(1)が塗膜中に多量に残存することを抑制しやすいため、塗膜の耐候性、耐薬品性、滑雪氷性、汚染除去性、耐擦傷性および耐衝撃性が向上する。
【0025】
水酸基を有するモノマーに基づく単位の水酸基と化合物(1a)のイソシアネート基との反応は、ほぼ100%の収率で実施できるが、より反応率を高めるために、化合物(1a)が過剰な状況で反応させてもよい。
【0026】
水酸基を有するモノマーに基づく単位の水酸基と化合物(1a)のイソシアネート基との反応の反応温度は、室温〜100℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。また、該反応は、窒素雰囲気等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。反応時間は、反応進行状況に応じて適宜変更でき、1〜24時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。該反応の系中には、反応を促進させる目的で、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、有機チタネート化合物等の有機金属触媒を存在させることが好ましい。
【0027】
[単位(A2−2)]
単位(A2−2)を形成するモノマーは、加水分解性シリル基を有するモノマーである。該加水分解性シリル基としてはアルコキシシリル基が好ましい。また、加水分解性シリル基を有するモノマー中の重合性反応基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和基が好ましい。
【0028】
単位(A2−2)を形成するモノマーとしては、CH=CHCO(CHSi(OCH、CH=CHCO(CHSi(OC、CH=C(CH)CO(CHSi(OCH、CH=C(CH)CO(CHSi(OC、CH=CHCO(CHSiCH(OC、CH=C(CH)CO(CHSiC(OCH、CH=C(CH)CO(CHSi(CH(OC)、CH=C(CH)CO(CHSi(CHOH、CH=CH(CHSi(OCOCH、CH=C(CH)CO(CHSiC(OCOCH、CH=C(CH)CO(CHSiCH(N(CH)COCH、CH=CHCO(CHSiCH[ON(CH)C、CH=C(CH)CO(CHSiC[ON(CH)C等のアクリル酸エステル類またはメタクリル酸エステル類;CH=CHSi[ON=C(CH)(C)]、CH=CHSi(OCH、CH=CHSi(OC、CH=CHSiCH(OCH、CH=CHSi(OCOCH、CH=CHSi(CH(OC)、CH=CHSi(CHSiCH(OCH、CH=CHSiC(OCOCH、CH=CHSiCH[ON(CH)C、ビニルトリクロロシランまたはこれらの部分加水分解物等のビニルシラン類;トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルブチルビニルエーテル、メチルジメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類等が挙げられる。
【0029】
また、単位(A2−2)を形成するモノマーとしては、水酸基を有するモノマーの水酸基と前記化合物(1a)のイソシアネート基とが反応して得られる、アルコキシシリル基を有するモノマー(a)も好ましい。
アルコキシシリル基を有するモノマー(a)を得るために用いる水酸基を有するモノマーとしては、単位(A2−1)を形成する際に使用する水酸基を有するモノマーと同じものを使用することができる。
また、化合物(1a)の好ましい態様についても、単位(A2−1)を形成する際の化合物(1a)の好ましい態様と同じである。
また、水酸基を有するモノマーの水酸基と前記化合物(1a)のイソシアネート基との反応条件は、単位(A2−1)を形成する際の、水酸基を有するモノマーに基づく単位の水酸基と化合物(1a)のイソシアネート基との反応と同じ条件で実施することができ、好ましい条件も同じである。
【0030】
単位(A2)は、フッ素原子を有していてもよい。すなわち、単位(A2)を構成する炭素原子に結合する水素原子の1以上がフッ素原子に置換されていてもよい。
含フッ素重合体(A)中に含まれる単位(A2)は1種でもよく、2種以上でもよい。
【0031】
単位(A2)中にウレタン結合が存在すると基材との密着性が向上することから、単位(A2)は、単位(A2−1)またはアルコキシシリル基を有するモノマー(a)から形成された単位(A2−2)であることが好ましい。さらに製造の容易さから、単位(A2)は、単位(A2−1)であることがより好ましい。
【0032】
[単位(A3)]
本発明における含フッ素重合体(A)は、任意成分として、単位(A1)および単位(A2)以外に、にその他の単位(A3)を有していてもよい。以下、重合によって単位(A3)を形成するモノマーを、他のモノマーという。
【0033】
風力発電機のブレードにおける塗膜と、該塗膜が形成されるブレード基体との密着性を向上させる作用を発現させることから、他のモノマーとしては、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、アリルエーテル類が好ましい。
具体的に好ましい他のモノマーとしては、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類等が挙げられる。
【0034】
また、溶媒への溶解性を向上させる等の観点から、他のモノマーとして、エチレン、イソブチレン等のオレフィン類を用いてもよい。
他のモノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
単位(A3)は任意成分であるので、含フッ素重合体(A)としては、単位(A1)および単位(A2)からなる重合体、または単位(A1)、単位(A2)および単位(A3)からなる重合体の少なくとも一方を使用することができる。
【0036】
含フッ素重合体(A)中の単位(A1)の含有量は、単位(A1)と単位(A2)の含有量の合計に対して、5〜95モル%が好ましく、10〜90モル%がより好ましい。単位(A1)の前記含有量が5モル%以上であれば、形成される塗膜の耐候性が向上する。単位(A1)の前記含有量が95モル%以下であれば、後述する硬化剤(B)との相溶性が良好となり、硬化の際に緻密な塗膜を形成でき、形成される塗膜の、耐候性、耐薬品性、滑雪氷性、汚染除去性、耐擦傷性および耐衝撃性が向上する。
含フッ素重合体(A)中の単位(A2)の含有量は、単位(A1)と単位(A2)の含有量の合計に対して、5〜95モル%が好ましく、10〜90モル%がより好ましい。単位(A2)の前記含有量が5モル%以上であれば、後述する硬化剤(B)との架橋密度が高くなり、硬化の際に緻密な塗膜を形成することができ、形成される塗膜の耐候性、耐薬品性、滑雪氷性、汚染除去性、耐擦傷性および耐衝撃性が向上する。また、含フッ素重合体(A)と後述する硬化剤(B)との相溶性がより良好になり、均一な塗膜を形成しやすくなる。単位(A2)の前記含有量が95モル%以下であれば、含フッ素重合体(A)の安定性が向上し、塗料組成物のポットライフが向上する。
含フッ素重合体(A)中の単位(A1)の含有量は、耐候性の観点から、含フッ素重合体(A)における全単位の合計に対して、5〜95モル%が好ましく、10〜90モル%がより好ましく、15〜85モル%が最も好ましい。
また、含フッ素重合体(A)中の単位(A2)の含有量は、架橋性を高くすることにより、硬化塗膜の耐候性、耐薬品性、滑雪氷性、汚染除去性、耐擦傷性および耐衝撃性を向上させる観点から、含フッ素重合体(A)における全単位の合計に対して、1〜80モル%が好ましく、3〜70モル%がより好ましく、5〜60モル%が最も好ましい。
【0037】
含フッ素重合体(A)中の単位(A3)の含有量は、含フッ素重合体(A)における全単位の合計に対して、0〜60モル%が好ましく、0〜50モル%がより好ましい。単位(A3)は任意成分であり、単位(A3)の含有量が0モル%であるとは、単位(A3)を含まないことを意味する。単位(A3)を有する場合の含有量の下限は0モル%超であり、0.5モル%が好ましい。単位(A3)の含有量が60モル%以下であれば、塗膜の耐候性を低下させることなく、ブレード基体との密着性を向上させることが容易になる。
含フッ素重合体(A)における各単位の含有量は、含フッ素重合体(A)を得るための重合反応における、各モノマーの仕込み量および反応条件により制御できる。
【0038】
[含フッ素重合体(A1)の製造方法]
含フッ素重合体(A1)の製造方法としては、下記方法(x1)および方法(x2)が好ましい。
方法(x1):水酸基を有するモノマー、フルオロオレフィンおよび必要に応じて用いるモノマーを共重合させた後、得られた重合体の水酸基に、化合物(1a)のイソシアネート基を反応させる方法。
方法(x2):フルオロオレフィン、アルコキシシリル基を有するモノマーおよび必要に応じて用いるモノマーを共重合させる方法。
方法(x1)が単位(A2−1)を有する含フッ素重合体(A)の製造方法であり、方法(x2)が単位(A2−2)を有する含フッ素重合体(A)の製造方法である。
【0039】
方法(x1):
方法(x1)は、下記工程(x1−1)および工程(x1−2)を有する。
工程(x1−1):水酸基を有するモノマーと、フルオロオレフィンと、必要に応じて前記他のモノマーとを共重合する工程。
工程(x1−2):工程(x1−1)で得られた重合体の水酸基に、化合物(1a)のイソシアネート基を反応させる工程。
以下、方法(x1)について、工程(x1−1)と工程(x1−2)の一例を説明する。
【0040】
工程(x1−1)におけるフルオロオレフィン、水酸基を有するモノマー、および必要に応じて用いる他のモノマーの共重合は、公知のラジカル重合法が採用でき、その重合形態としては、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が採用できる。
重合時の反応温度は、用いるラジカル重合開始剤によっても異なるが、0〜130℃が好ましい。反応時間は1〜50時間が好ましい。
溶媒としては、例えば、イオン交換水;エタノール、ブタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤;n−へキサン、n−ヘプタン等の飽和炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤等が使用できる。
【0041】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類;シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロへキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロへキサン等のパーオキシケタール類;t−ヘキシルパーオキシ−n−ブチルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−n−プロピルカーボネート等のパーオキシカーボネートエステル類;イソブチリルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類等が使用できる。
【0042】
乳化重合の場合には、水中で、かつアニオン系、ノニオン系の乳化剤の存在下で、水溶性過酸化物、過硫酸塩、水溶性アゾ化合物等の開始剤を用いて重合させることができる。
重合反応中に微量の塩酸またはフッ酸が生成する場合があるため、重合時にバッファーをあらかじめ添加しておくことが好ましい。
工程(x1−1)で用いる水酸基を有するモノマーは、前記単位(A2−1)の形成の際に使用する水酸基を有するモノマーと同じものを使用することができる。
【0043】
工程(x1−2)における、工程(x1−1)で得られた重合体の水酸基と、化合物(1a)のイソシアネート基との反応は、前記単位(A2−1)を形成する際の反応条件と同じ条件を採用することができ、好ましい態様も同じである。
【0044】
方法(x1)は反応の制御が容易であることから、含フッ素共重合体(A)は方法(x1)により製造することが好ましい。
【0045】
方法(x2):
方法(x2)における共重合は、工程(x1−1)と同様のラジカル重合法が採用できる。方法(x2)において使用するアルコキシシリル基を有するモノマーとしては、単位(A2−2)を形成するモノマーと同じものが好ましく、前記アルコキシシリル基を有するモノマー(a)がより好ましい。
アルコキシシリル基を有するモノマー(a)の製造については、単位(A2−2)の説明に記載したとおりである。前述のとおり、水酸基を有するモノマーに基づく単位の水酸基と化合物(1a)のイソシアネート基との反応を化合物(1a)が過剰な状況で反応させてもよい。その場合には、反応生成物から化合物(1a)を除去した後に、重合反応を行って含フッ素重合体(A)を製造してもよく、反応生成物が未反応の化合物(1a)を含んだままの状態で重合反応を行って含フッ素重合体(A)を製造してもよい。
【0046】
なお、含フッ素重合体(A)の製造方法は、前述した方法(x1)および(x2)には限定されない。例えば、商品名「ルミフロン」(旭硝子社製)、商品名「フルオネート」(大日本インキ化学工業社製)、商品名「セフラルコート」(セントラル硝子社製)、商品名「ザフロン」(東亜合成社製)、商品名「ゼッフル」(ダイキン工業社製)等の市販のフッ素樹脂に、化合物(1a)を反応させて、アルコキシシリル基を有する含フッ素重合体(A)を製造してもよい。
【0047】
[硬化剤(B)]
硬化剤(B)は、含フッ素重合体(A)の加水分解性シリル基と反応して架橋構造を形成することで、塗料組成物を塗布して形成した塗布層を硬化させて塗膜とする役割を果たす。
硬化剤(B)としては、下式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」という。)が好ましい。
SiX4−a (2)
(前記式(2)中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の1価炭化水素基、Xは炭素数1〜10のアルコキシ基、aは2〜4の整数を示す。)
【0048】
の1価炭化水素基は、置換基を有していてもよい。すなわち、Rの1価炭化水素基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていてもよい。該置換基はハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
は、メチル基、エチル基、ヘキシル基、デシル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましい。化合物(2)中にRが複数存在する場合、原料の供給性の点から、複数のRが互いに同じであることが好ましい。ただし、複数のRは互いに異なっていてもよい。
は、炭素数1〜10のアルコキシ基であり、メトキシ基またはエトキシ基が好ましく、メトキシ基が特に好ましい。化合物(2)中に複数存在するXは、アルコキシ基の反応性が同じになって塗膜を均一に形成しやすい点から、複数のXが互いに同じであることが好ましい。ただし、複数のXは互いに異なっていてもよい。
化合物(2)におけるaは2〜4の整数であり、3〜4が好ましい。
【0049】
化合物(2)の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等の4官能性アルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等の3官能性アルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等の2官能性アルコキシシラン等が挙げられる。なかでも、硬化速度、および得られる塗膜の物性の点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシランが好ましい。
化合物(2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
化合物(2)は、部分的に加水分解されて縮合した部分加水分解縮合物として使用してもよい。該部分加水分解縮合物は、前記化合物(2)を、分子中に2以上の加水分解性基(−OR基)が残るように、部分的に加水分解して縮合することで得られる化合物である。該部分加水分解縮合物の全体構造は明らかではないが、−Si−O−結合からなる骨格とアルコキシ基からなるポリ珪酸エステルであって、その骨格は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状構造であってもよい。
化合物(2)の部分加水分解縮合物は、縮合度が低いほど好ましい。部分加水分解縮合物の縮合度が低いほど、含フッ素重合体(A)との相溶性が向上する。また、形成される塗膜とブレード基体の熱膨張係数がより近くなり、熱による膨張、収縮に起因する塗膜のブレード基体からの剥離が起き難くなる。
【0051】
化合物(2)の部分加水分解縮合物を製造する方法は、特に限定されず、公知の部分加水分解縮合物の製造方法を採用できる。例えば、化合物(2)に、水、酸、および溶剤の少なくとも1種を加え、部分的に加水分解縮合させる方法が挙げられる。
【0052】
化合物(2)の部分加水分解縮合物としては、縮合度、構造、アルコキシ基の種類が異なるものが市販されており、例えば、商品名「MKCシリケートMS51」、「MKCシリケートMS56」(以上、三菱化学社製)、商品名「Mシリケート51」、「エチルシリケート40」、「エチルシリケート45」(以上、多摩化学工業社製)等の有効シリカ分が28〜52質量%程度である縮合物、または、該縮合物をエタノールもしくはイソプロパノールに溶解した商品名「HAS−1」、「HAS−6」、「HAS−10」(以上、コルコート社製)等が挙げられる。前記「有効シリカ分」とは、製品中に含まれるポリアルキルシリケートを100質量%としたときの、SiO換算としてのシリカの含有量を示す値である。
化合物(2)の部分加水分解縮合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
硬化剤(B)として、アルミニウムイソプロポキシド(Al[O−CH(CH)等のアルミニウムアルコキシドや、チタニウムブトキサイド(Ti(O−C)等のチタニウムアルコキシドを使用することもできる。
【0054】
本発明の塗料組成物は、含フッ素重合体(A)と硬化剤(B)を用いる場合、硬化剤(B)を含まない組成物とし、塗膜を形成する直前に硬化剤(B)を加える2液型の塗料組成物としてもよく、含フッ素重合体(A)と硬化剤(B)を共に含む1液型の塗料組成物としてもよい。さらに、含フッ素重合体(A)中のアルコキシシリル基同士は縮合反応を起こすため、その場合は必ずしも硬化剤(B)を含有しなくてもよい。
【0055】
本発明の塗料組成物は、含フッ素重合体(A)と硬化剤(B)を用いる場合、使用する際の含フッ素重合体(A)の含有量は、含フッ素重合体(A)と硬化剤(B)の含有量の合計に対して、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましい。
含フッ素重合体(A)の前記含有量が10質量%以上あれば、塗膜の耐候性および滑雪氷性、汚染除去性が向上する。含フッ素重合体(A)の前記含有量が90質量%以下であれば、塗膜にクラックが発生することを抑制しやすく、塗膜とブレード基体との密着性が向上する。
【0056】
[硬化触媒(C)]
また、本発明の塗料組成物は、含フッ素重合体(A)および硬化剤(B)を用いる場合、硬化反応を促進し、硬化物である塗膜に良好な化学性能および物理性能を付与させる目的で、硬化触媒(C)を含有させてもよい。特に、低温において短時間で硬化させる場合には、硬化触媒(C)を含有させることが好ましい。硬化触媒(C)としては、例えば、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル等の酸性リン酸エステル類(以下、「リン酸エステル系硬化触媒(C1)」という。)、ホウ酸モノエステル、ホウ酸ジエステル等の酸性ホウ酸エステル類;酸性リン酸エステルとアミンとの付加反応物、カルボン酸化合物とアミンとの付加反応物等のアミン付加物類;オクチル酸スズ、ジブチルチンジラウレート等の金属エステル類;トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム、テトラキス(アセチルアセトネート)ジルコニウム等の金属キレート類;アルミニウムイソプロポキサイド、チタニウムブトキサイド等の金属アルコキシド類等が挙げられる。なかでも、硬化性、形成される塗膜の平滑性の点から、リン酸エステル系硬化触媒(C1)が好ましく、硬化性、形成される塗膜の平滑性および耐水性等の点から、炭素数1〜8のモノアルキルホスフェート、炭素数1〜8のジアルキルホスフェート、またはその混合物がより好ましい。
硬化触媒(C)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
硬化触媒(C)の含有量は、使用時の塗料組成物(硬化剤(B)を含む)の固形分の総量に対して、0.00001〜10質量%が好ましい。硬化触媒(C)の含有量が0.00001質量%以上であれば、触媒効果が充分に得られやすい。硬化触媒(C)の含有量が10質量%以下であれば、残存する硬化触媒(C)が塗膜に影響することがなく、耐水性の低下がない。
【0058】
[有機溶剤(D)]
本発明の塗料組成物は、有機溶剤(D)を含有してもよい。有機溶剤(D)としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル等の従来からよく用いられている溶剤を使用することができるが、環境負荷低減の点から、弱溶剤が好ましい。
弱溶剤としては、含フッ素重合体(A)の重合または溶剤置換の際に使用可能な弱溶剤種が好ましく、ミネラルスピリット、ミネラルターペンがより好ましい。
塗料組成物中の有機溶剤(D)の含有量は、含フッ素重合体(A)の溶解性、塗料として塗装する際の適度な粘度、塗装方法等を考慮して適宜決定される。
【0059】
[顔料成分(E)]
本発明の塗料組成物には、防錆、着色、補強等を目的として、顔料成分(E)が含有されていることが好ましい。
顔料成分(E)としては、防錆顔料、着色顔料および体質顔料からなる群から選ばれる1種以上の顔料が好ましい。
防錆顔料は、金属反射基板の腐食や変質を防止するための顔料である。環境への負荷が少ない点から無鉛防錆顔料が好ましい。無鉛防錆顔料としては、シアナミド亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸カルシウムマグネシウム、モリブデン酸亜鉛、ホウ酸バリウム、シアナミド亜鉛カルシウム等が挙げられる。
着色顔料は、塗膜を着色するための顔料である。着色顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等が挙げられる。酸化チタン顔料を使用する場合には、塗膜の耐候性をさらに向上させる目的で、顔料表面に光触媒作用を抑制するための処理が施されたものが好ましい。D918(製品名、堺化学(株)製)やPFC105(製品名、石原産業(株)製)が、特に推奨できる。
体質顔料は、塗膜の硬度を向上させ、かつ、厚みを増すための顔料である。体質顔料としては、タルク、硫酸バリウム、マイカ、炭酸カルシウム等が挙げられる。
顔料成分(E)としては、耐候性に優れる点から、酸化チタンが特に好ましい。
【0060】
本発明の塗料組成物中の顔料成分(E)の含有量は、使用時の塗料組成物(硬化剤(B)を用いる場合は硬化剤(B)を含む)の固形分の総量に対して、50〜500質量%が好ましく、100〜400質量%がより好ましい。顔料成分(E)の含有量が50質量%以上であれば、顔料成分(E)の機能が得られやすい。顔料成分(E)の含有量が500質量%以下であれば、塗膜が虫や鳥の衝突等の衝撃で割れたり傷付いたりし難くなり、かつ、塗膜の耐候性が向上する。
【0061】
[他の樹脂(F)]
本発明の塗料組成物は、含フッ素重合体(A)以外の他の樹脂(F)を含んでいてもよい。
他の樹脂(F)としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル変成シリコーン樹脂、シリコーン変成アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂等の非フッ素系樹脂等が挙げられる。他の樹脂(F)は、架橋性基を有し、硬化剤(B)によって架橋されて硬化する樹脂であってもよい。
本発明の塗料組成物に他の樹脂(F)を配合する場合、他の樹脂(F)の含有量は、含フッ素重合体(A)の100質量部に対して1〜200質量部が好ましい。
【0062】
[その他の成分(G)]
本発明の塗料組成物には、前述した成分以外のその他の成分(G)が含まれていてもよい。
その他の成分(G)としては、塗膜の付着性向上のためのシランカップリング剤;ヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤;ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物等の有機系の紫外線吸収剤;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等の無機系の紫外線吸収剤;超微粉合成シリカ等のつや消し剤;ノニオン系、カチオン系、またはアニオン系の界面活性剤;レベリング剤;帯電防止剤等が挙げられる。
その他の成分(G)の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選定できる。
【0063】
帯電防止剤は、本発明の塗料組成物に配合されることで、ブレード表面に、導電性の塗膜を形成することができるので、風車ブレードの雷撃による破損を防止する効果がある。
具体的には、Li、Na、K等のカチオン成分と、Cl、Br、I、BF、PF、SCN、ClO、CFSO、(CFSO、(CFSO等のアニオン成分から構成されるアルカリ金属塩や、アンチモンドープ二酸化錫、アルミドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化チタン等の非酸化金属がドープされた金属酸化物が挙げられる。
【0064】
以上説明した本発明の塗料組成物を用いれば、風力発電機のブレードを保護する塗膜として、優れた耐候性を有する塗膜を簡便に形成できる。さらに、該塗膜は、撥水性が向上し、雪の付着によってブレードの回転が妨げられることを抑制しやすい。加えて、塗膜の汚染除去性も向上する。
【0065】
[風力発電機のブレード]
以下、本発明の風力発電機のブレードの実施形態の一例について説明する。
風力発電機のブレード1は、図1に示すように、ブレード基体11と、ブレード基体11上に形成された塗膜12とを有する。
【0066】
ブレード基体11としては、風力発電機に通常用いられるブレード基体を採用でき、例えば、木材からなる翼状の板片の表面が繊維強化プラスチック(FRP)により補強されたブレード基体等が挙げられる。
ブレード基体は、ポリエステル樹脂を使用したハンドレイアップ法やエポキシ樹脂を使用した真空含浸法等により製造される。
ブレード基体11の形状および大きさは、特に限定されない。
【0067】
塗膜12は、ブレード基体11の耐候性、滑雪氷性、汚染除去性向上のために形成される膜であり、前述した本発明の塗料組成物により形成される。
塗膜12の厚みは、50〜150μmが好ましい。
【0068】
ブレード基体11と塗膜12の間には、別の層が存在していてもよい。別の層としては、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂からなる樹脂層、塗膜の密着性を向上させるためのシランカップリング剤からなる層等が挙げられる。
【0069】
[製造方法]
本発明の風力発電機のブレードの製造方法の一例として、前述した含フッ素重合体(A)および硬化剤(B)を含む塗料組成物を用いたブレード1の製造方法について説明する。
ブレード1の製造方法としては、例えば、ブレード基体11の表面に、少なくとも含フッ素重合体(A)を含む塗料組成物を塗布して塗布層を形成し、硬化させることにより硬化塗膜からなる塗膜12を形成する方法が挙げられる。
【0070】
塗料組成物の塗布は、刷毛、ローラ、スプレー、フローコータ、アプリケータ等を用いて実施できる。塗料組成物の塗布量は、乾燥膜厚が前記範囲内となるように適宜選定すればよい。塗料組成物を熱硬化する際の温度は、常温〜250℃が好ましい。
塗料組成物が溶媒を含有している場合には、該溶媒は硬化を行う前もしくは硬化を行うと同時に加熱、減圧等により揮発させる等して除去することが好ましい。
【0071】
本発明の塗料用組成物によれば、風力発電機のブレードの耐候性と滑雪氷性、汚染除去性が向上する。
【実施例】
【0072】
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
<含フッ素重合体(A)の製造>
[例1]
内容積3000mLのステンレス製撹拌機付きオートクレーブに、キシレンの722gと、エタノールの189gと、水酸基を有するモノマーであるHBVEの90.7gと、他のモノマーであるCHVEの284.5gおよび2−エチルへキシルビニルエーテル(EHVE)の202.9gと、炭酸カリウムの9.5gとを一括で投入し、窒素により溶存酸素を除去した。
次に、フルオロオレフィンであるCTFEの505gをオートクレーブ中に導入して徐々に昇温し、温度65℃に達した後、t−ブチルパーオキシピバレートの50%キシレン溶液の7gを7時間かけてオートクレーブ中に導入し、その後さらに15時間撹拌した後に反応を停止した。その後、炭酸カリウムを濾過により除去し、水酸基含有含フッ素重合体のキシレン溶液(不揮発分60%、水酸基価36mgKOH/g)を得た。
1Lのナス型フラスコに、前記水酸基含有含フッ素重合体のキシレン溶液の600gと、ミネラルスピリットの210gを加え、エバポレーションしながらミネラルスピリットへの溶剤置換を行い、水酸基含有含フッ素重合体のミネラルスピリット溶液(不揮発分73.5%)を得た。
【0073】
温度計、還流冷却器、撹拌器を備えた容量500mLの4つ口フラスコに、前記水酸基含有含フッ素重合体のミネラルスピリット溶液の326.5gと、化合物(1a)である3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(IPTES)の38.1gと、2−エチルへキシル酸錫の0.05gとを加え、窒素雰囲気下、50℃で5時間反応を行った。
得られた重合体の組成をH−NMR(プロトンNMR)により測定したところ、CTFEに基づく単位/CHVEに基づく単位/EHVEに基づく単位/HBVEに基づく単位/HBVEに基づく単位の水酸基とIPTESのイソシアネート基とが反応した単位(モル%)=50/26/15/1/8であった。
反応後、オルトギ酸トリメチル(13.6g)、イソプロパノール(13.6g)をそれぞれ加え、アルコキシシリル基含有含フッ素重合体(含フッ素重合体(A))のミネラルスピリット溶液(不揮発分70.0%)を得た。
【0074】
<塗料組成物の製造>
[例2]
例1で得られた含フッ素重合体(A)のミネラルスピリット溶液(不揮発分70%)の214gに、顔料成分(E)である酸化チタン(堺化学社製、商品名「D−918」)の250g、ミネラルスピリットの100gを加え、さらに、直径1mmのガラスビーズの369gを加えて、ペイントシェーカーで2時間撹拌した。撹拌後、濾過を行ってガラスビーズを取り除き、顔料組成物を得た。
次に、該顔料組成物に、含フッ素重合体(A)のミネラルスピリット溶液(不揮発分70%)の126g、硬化剤(B)であるフェニルトリメトキシシランの119g、硬化触媒(C)であるリン酸触媒(大八化学工業社製、商品名「AP−8」)の2g、他の樹脂(F)である水酸基含有シリコーン変性アクリル樹脂(BYK−Chemie社製、商品名「BYK−Silclean3700」)の5g、レベリング剤(BYK−Chemie社製、商品名「BYK−300」)の1gをさらに加えて混合し、塗料組成物を得た。
【0075】
[例3]
ルミフロンLF200(製品名、AGC旭硝子(株)製の水酸基含有含フッ素重合体のキシレン溶液、不揮発分60%)の83gに、顔料成分(E)である酸化チタン(堺化学社製、商品名「D−918」)の200g、キシレンの43g、酢酸ブチルの43gを加え、さらに、直径1mmのガラスビーズの369gを加えて、ペイントシェーカーで2時間撹拌した。撹拌後、濾過を行ってガラスビーズを取り除き、顔料組成物を得た。
次に、該顔料組成物の100gに、ルミフロンLF200の150gと、硬化剤として、HDIヌレートタイプのポリイソシアネート樹脂(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートHX」)の18.5gと、硬化触媒として、ジブチルチンジラウレート(キシレンで4〜10倍に希釈して3gとしたもの。)とをさらに加えて混合し、塗料組成物を得た。
【0076】
<塗料組成物により形成した塗膜の評価>
[例4]
例2で得られた塗料組成物を、ガラスクロスをエポキシ樹脂に含浸させたガラスエポキシ基板の表面に、膜厚が50μmとなるように塗装し、25℃の恒温室中で、1週間養生させた。その後、80℃のオーブン中にて1時間乾燥させることで、塗膜付試験板(I−1)を作成した。こうして得られた塗膜付試験板(I−1)について、「塗膜の鏡面光沢度」、「下地への密着性」、「塗膜の接触角」、「塗膜のカーボン汚染性」、「塗膜の滑雪氷性」を下記の試験方法で評価した。また、基板をアルミ板に変更した以外は、同様の方法で塗膜付試験板(I−2)を作成し、「塗膜の耐候性」を下記の試験方法で評価した。
【0077】
[例5]
例3で得られた塗料組成物を、ガラスクロスをエポキシ樹脂に含浸させたガラスエポキシ基板の表面に、膜厚が50μmとなるように塗装し、25℃の恒温室中で、1週間養生させた。その後、80℃のオーブン中にて1時間乾燥させることで、塗膜付試験板(II−1)を作成した。こうして得られた塗膜付試験板(II−1)について、「被膜層の鏡面光沢度」、「塗膜の硬度」、「下地への密着性」、「塗膜の接触角」、「塗膜のカーボン汚染性」、「塗膜の滑雪氷性」を下記の試験方法で評価した。また、基板をアルミ板に変更した以外は、同様の方法で塗膜付試験板(II−2)を作成し、「塗膜の耐候性」を下記の試験方法で評価した。
【0078】
[試験方法]
1.塗膜の鏡面光沢度
JIS Z 5400−7−6に準拠し測定した。
2.塗膜の硬度
JIS K 5600−5−4に準拠し測定した。
3.下地への密着性
JIS Z 5600−5−6に準拠し測定した。
4.塗膜の接触角
FACE接触角計 CA−A型(協和界面化学社製)を使用して、イオン交換水を0.005ミリリットルに調整して、各試験板の接触角を測定した。
【0079】
5.塗膜の耐カーボン汚染性
カーボン懸濁水(デグサ・ヒュルス社製カーボンブラック Color Black FW200)の5部と脱イオン水の95部にガラスビーズを加え、ペイントシェーカーで2時間分散した分散液)をスポイトにて塗膜付試験板が隠蔽するまで滴下し、直ちに50℃で1時間乾燥させた。乾燥後、室温まで放冷し、試験片の表面を流水下にてガーゼを使用して、汚れ物質が落ちなくなるまで洗浄した。洗浄後、室温で3時間乾燥し、汚れの程度を色差計にて測定して、試験前後における塗膜の明度差(△L*)を求め、以下の3段階で評価した。なお、明度差が小さいものほど、耐汚染性に優れた塗料であることを示している。
明度差(△L*)=[試験後の塗膜明度(L*1)−試験前の塗膜明度(L*0)]
「○」:明度差が−5以上であった。
「△」:明度差が−10以上−5未満であった。
「×」:明度差が−10未満であった。
【0080】
6.塗膜の滑雪氷性
塗膜付試験板を、−20℃の冷凍庫中に入れ、一晩放置した。
この塗膜付試験板上にスポイトで50μLのイオン交換水を水滴がそれぞれ1滴となるように合計9個載せた。
更に、一晩放置し、−20℃に保つことで、水滴を氷結させた。
滑雪氷性の評価は、以下の基準で実施した。
「○」:塗膜付試験板を水平に保ったまま、該試験板を手で軽くたたくだけで氷が落ちた。
「△」:氷で手で触れることにより落ちた。
「×」:氷が除去できないか、または、氷が割れ、表面に氷の一部が残存した。
【0081】
7.塗膜の耐候性
沖縄県那覇市の屋外に、基板がアルミ板である塗膜付試験板を設置し、設置直前と、2年後における塗膜表面の光沢を、PG−1M(光沢計:日本電色工業社製)を用いて測定した。設置直前の光沢の値を100%としたときの、2年後の光沢の値の割合を光沢保持率(単位:%)として算出し、以下の基準に従って耐候性を評価した。
「○」:光沢保持率が80%以上であった。
「△」:光沢保持率が60%以上80%未満であった。
「×」:光沢保持率が60%未満であった。
評価結果を表1に示す。
【0082】
【表1】

【0083】
表1に示すように、本発明の塗料組成物により形成された塗膜を有する例4の塗膜付試験板は、従来品の塗膜を有する例5の塗膜付試験板と比較して、硬度および水接触角が高く、耐汚染性や滑雪氷性に優れていた。
【符号の説明】
【0084】
1 風力発電機のブレード 11 ブレード基体 12 塗膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加水分解性シリル基を有する含フッ素重合体(A)を必須成分とする、風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物。
【請求項2】
前記加水分解性シリル基を有する含フッ素重合体が、フルオロオレフィンに基づく繰り返し単位(A1)および加水分解性シリル基を有する繰り返し単位(A2)を有する含フッ素重合体である請求項1に記載の風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物。
【請求項3】
前記加水分解性シリル基を有する繰り返し単位(A2)が、下式(1)で表される基を有する繰り返し単位(A2−1)である、請求項1または2に記載の風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物。
−OC(O)NH(CHSiX3−n ・・・(1)
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜10の1価炭化水素基、Xは炭素数1〜5のアルコキシ基、nは1〜3の整数、mは1〜5の整数を示す。)
【請求項4】
前記フルオロオレフィンが、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンおよびフッ化ビニルからなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物。
【請求項5】
加水分解性シリル基を含有する含フッ素重合体(A)を必須成分とするフッ素塗料が、下記硬化剤(B)、リン酸エステル系硬化触媒(C1)、および有機溶剤(D)を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物。
硬化剤(B):下式(2)で表される化合物、および/またはその部分加水分解縮合物。
SiX4−a ・・・(2)
(式中、Rは炭素数1〜10の1価炭化水素基、Xは炭素数1〜10のアルコキシ基、aは2〜4の整数を示す。)
【請求項6】
さらに、酸化チタンを含有してなる請求項1〜5のいずれか一項に記載の風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物。
【請求項7】
ブレード基体表面に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物を塗布して塗布層を形成し、硬化させる風力発電機のブレードの製造方法。
【請求項8】
ブレード基体表面に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の風力発電機のブレードの表面塗布用塗料組成物から形成された塗膜を有する風力発電機のブレード。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−219653(P2011−219653A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91353(P2010−91353)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】