説明

風味改良物質

本発明は、1又は2以上のフレーバー物質と、化学式(I)の物質、(I)CHOH−(CHOH)−CO−NH−CH−CH−X、(式中、Xは、−OH、−O(CO)R、−OPO、−PO、−OSOH、又は−SOHであり、Rは、少なくとも1つのカルボン酸基を含むC−C10基である)及びその食用塩からなる群から選択される、1又は2以上の風味改良物質とを含むフレーバー組成物であり、前記フレーバー組成物がN−グルコニルエタノールアミン又はその塩を含む場合の風味改良物質とフレーバー物質との質量比が50:1未満であることを特徴とするフレーバー組成物、に関する。本発明は、化学式(I)による物質(式中、Xは、−O(CO)R、−OPO、−PO、−OSOH、又は−SOHであり、Rは、少なくとも1つのカルボン酸基を含むC−C10基、である)、及びそれらの食用塩にさらに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食料品、飲料、医薬品(pharmaceutics)、タバコ製品、及びオーラルケア製品における風味(taste)の改良の分野に関する。さらにとりわけ本発明は、食料品、飲料、医薬品、タバコ製品、及びオーラルケア製品に、より濃厚で、よりこくのある風味を付与するために使用されることができるフレーバー(flavour)組成物を提供するものである。本発明によるフレーバー組成物は、他のフレーバーを付与する物質のインパクトを改良し、補完できる1又は2以上の物質が存在することを特徴とする。
【0002】
本発明は、食料品、飲料、医薬品、タバコ製品、及びオーラルケア製品の風味を改良するための前述の風味改良物質(taste improving substances)の使用と、該物質を含む食料品、飲料、医薬品、タバコ製品、及びオーラルケア製品とを包含する。
【背景技術】
【0003】
「旨み」は、L−グルタミン酸塩及び一定のヌクレオチドの風味のインパクトを表現するために、通常使用される用語である。旨みは、「だし」と呼ばれる日本のストック(stock)において、及びブイヨン若しくは他のストックにおいて、主要な風味である。グルタミン酸は、肉、鶏肉、魚介類、及び野菜などの食品に豊富に見い出される食用タンパク質(植物性及び動物性)の重要な構成要素である。旨みという風味に最も貢献する2つのヌクレオチドであるGMP(グアノシンモノホスフェート)とIMP(イノシンモノホスフェート)もまた、多くの食品に存在する。これらのヌクレオチドは、単独では、MSG(グルタミン酸ナトリウム)のような力強いフレーバー効果をもたらすことはないのが一般的である。しかしながら、これらのヌクレオチドをMSGと組み合わせて使用したときには、MSGとの相乗作用により、顕著な増強効果が観察される。
【0004】
旨みの風味は、他の風味とは異なる特徴的な性質を有する。旨みが、他の4つの基本的な風味である、甘み、酸味、塩味、及び苦味に追加される5つ目の風味を表現するものであることは、説得力をもって説明されてきた。旨みの風味を表現するのに使用される最も一般的な記述語(descriptor)は、「香ばしい(savory)」、「肉のような(meaty)」、及び「ブロスのような(broth-like)」を含む。旨みは、文字どおりに翻訳すると、「おいしい」(delicious)である。
【0005】
MSGと5´−ヌクレオチドの代替物として、他の分子が風味改変物質(taste modifying substances)として提案されてきた。
【0006】
酒石酸及びコハク酸などの有機酸は、風味を増強させる特性を示すと報告されてきた(Ney [1971]Z. Lebensm. Unters. Forsch. 146:141;Velisek et al.[1978]Nahrung 22:735)。風味を改変する特性は、ジペプチドからオクタペプチドまでの一定のペプチドによるものであるとされてきた(Yamasaki and Maekawa [1978] Agric. Biol. Chem.42:1761;Noguchi et al.[1975]J.Agric. Food Chem.23:49)。
【0007】
国際公開第97/04667号パンフレットは、疎水性アミノ酸残基と、少なくとも1つの酸性アミノ酸残基とN−ラクトイル−X物質(Xはアミノ酸残基である)とを含むトリペプチドを、香ばしい風味を付与し、食料品の口当たりの良さを増強するフレーバー成分として開示している。さらに、かかるペプチド及び誘導体が、MSGの官能特性が部分的に類似していることが開示されている。
【0008】
欧州特許出願第1252825号は、還元糖のカルボニル基と、アミノ酸、ペプチド又はタンパク質の第一級若しくは第二級のアミノ基との反応により形成された物質を含む、食品に旨みの風味を付与するフレーバー組成物を開示している。かかる特許出願によると、最も好まれる物質は、アミノ酸残基がグルタミン酸若しくはアスパラギン酸から選択され、糖残基がフルクトース、グルコース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、及びマンノースから選択される物質である。
【0009】
欧州特許出願第1356744号は、N−アセチルグリシンを含むフレーバー組成物と、食料品に旨みの風味を付与するための組成物の使用について開示している。
【0010】
上述したように、旨みの風味、及び旨みを付与する物質は、食料品のフレーバー、特に香ばしさに貢献するものである。
【0011】
甘みのある製品及び飲料製品において、食品のフレーバーの味覚の重要性がさらに報告されている。これらの例は、苦味、ヒリヒリする(tingling)味、及び清涼感のような味の特質を含むものである。
【0012】
苦味は、いくつかの食品フレーバー、中でもチョコレート風味の本質的特徴である。テオブロミン及びカフェインのようなプリンアルカロイドは、アミノ酸とペプチド同様、苦い物質であることが長い間知られてきた。英国特許番号第1420909号において、ココアの苦いフレーバーは、プリンアルカロイドと、アミノ酸若しくはオリゴペプチドとの組合せを使用して再現することができ、「これらの物質が単独で使用される場合よりも驚くほどより自然で、同時に苦くて渋みのあるフレーバーを作り出す」ことが開示されている。
【0013】
メントールは、ペパーミント油の重要な構成要素であるが、ミントの匂いだけでなく、清涼な味や新鮮味を付与するので、フレーバー付けされた製品に強いインパクトを与える。ミントフレーバー製品に続き、清涼な風味を付与するために、他のタイプのフレーバーにメントールを用いることが提案されてきた。米国特許出願番号第2005013846号は、いかにメントールとその誘導体が、新鮮で、清涼な味の印象を示す食卓用のスプレッドを得るために、水で連続的に伸ばすことができる酸性の食品において、フレーバーとして使用されることができることを、例えば開示している。
【0014】
同様に、桂皮アルデヒド及びオイゲノールは、シナモン油の構成要素であるが、菓子製品のためのフレーバー組成物において、これらの匂いのみならず、暖かみのある味、及びヒリヒリする味を付与するために使用されている。桂皮アルデヒドの口腔における辛味(pungency)は、燃えるような、及びヒリヒリするとしてCliff M and Heymann H [Journal of Sensory Studies 7 (1992)279-290]に記載されている。同じ研究者は、オイゲノールは、しびれるような効果を長く呈することを記載している。シナモン油は、風味改良物質として提案されてきた。国際公開第9006689号パンフレットは、他の香辛料エキスの中でもシナモン油は、ミントのフレーバー処方に添加して、チューイングガムの持続性フレーバーを改良するために使用できることを開示している。
【0015】
新しい刺激的な風味の特質を付与することができる、風味改良物質を見い出すことに焦点を当てた研究が多く行われてきたが、香ばしいアプリケーション、及び香ばしさに乏しいアプリケーションの両方に適している新しい風味改良物質が、依然として必要とされている。
【特許文献1】国際公開第97/04667号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願第1252825号
【特許文献3】欧州特許出願第1356744号
【特許文献4】英国特許番号1420909
【特許文献5】米国特許出願番号第2005/013846号
【特許文献6】国際公開第90/06689号パンフレット
【特許文献7】国際公開第92/06601号パンフレット
【非特許文献1】Ney [1971]Z. Lebensm. Unters. Forsch. 146:141
【非特許文献2】Velsek et al.[1978]Nahrung 22:735
【非特許文献3】Yamasaki and Maekawa [1978] Agric. Biol. Chem.42:1761
【非特許文献4】Noguchi et al.[1975]J.Agric. Food Chem.23:49
【非特許文献5】Cliff M and Heymann H,Journal of Sensory Studies 7 (1992)279-290
【発明の開示】
【発明の効果】
【0016】
〔発明の要旨〕
本発明の発明者は驚くべきことに、化学式(I)の物質、
(I)CHOH−(CHOH)−CO−NH−CH−CH−O−X
及びその食用塩が、食料品、飲料、医薬品、タバコ製品、及びオーラルケア製品の風味を改良するために有利に使用されることができるということを見い出した。
【0017】
これらの風味改良物質は、スープ及びソースなどの香ばしい食品、乳製品、飲料、及び菓子などの香ばしさに乏しい食品、並びに医薬品、タバコ製品、及びオーラルケア製品を含む、様々な用途に特に有用であることを見い出した。
【0018】
本発明による風味改良物質は、前述の製品に望ましい風味の特質を付与するために有利に適用することができる。加えて、本発明の風味改良物質は、これらの同じ製品の中に含まれる他のフレーバー成分の風味のインパクトを改変できるものであり、それゆえ、これらの製品の全体のフレーバーの質を改良するものである。
【0019】
国際公開第92/06601号パンフレットは、糖のカルボン酸基とアミノアルコール由来の、アミドを基礎としたノンカロリーのある種の砂糖代用品で、スクロースと同様の物理的流動特性、及び束一的特性を有するものを開示している。これらの物質は、スクロースの構造、質感、氷点降下、保湿、密度、水溶性、溶液粘度特性、安定性、非反応性、及び外観の特徴をシミュレートするために、菓子、飲料、パン製品のような加工食品(formulated food)に砂糖代用品として使用される。これらの砂糖代用品は、強力な(人工の)甘味料を、該砂糖代用品の100部当たり0.2から2.0部の甘味料の範囲の比率を典型として、組み合わせて任意に使用される。国際公開第92/06601号パンフレットは、28.3質量%の砂糖代用品を含む食料品(イエローケーキ)を開示している。
【0020】
本発明は、1又は2以上の化学式(I)の物質及びその食用塩を含む、フレーバー組成物、食料品、飲料、医薬品、タバコ製品、及びオーラルケア製品にもまた関するものでもある。
【0021】
本発明の別の態様は、食料品、飲料、医薬品、タバコ製品、及びオーラルケア製品を改良するこれらの物質の使用に関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
したがって、本発明の第一の態様は、
a.組成物の質量に対して0〜20%の糖質甘味料(saccharide sweetener)、及び/又は組成物の質量に対して0〜3%の人工甘味料を任意で含む、少なくとも0.1質量%の1又は2以上のフレーバー物質(flavouring substances)と、
b.化学式(I)の物質、
(I)CHOH−(CHOH)−CO−NH−CH−CH−X
(式中、Xは、−OH、−O(CO)R、−OPO、−PO、−OSOH、又は−SOHであり、Rは、少なくとも1つのカルボン酸基を含むC−C10基である)
及びその食用塩からなる群から選択される、0.001〜95質量%の1又は2以上の風味改良物質とを含むフレーバー組成物であり、
前記フレーバー組成物がN−グルコニルエタノールアミン又はその塩を含む場合の風味改良物質とフレーバー物質との質量比が50:1未満であることを特徴とする、フレーバー組成物、に関する。
【0023】
本明細書を通じて、「フレーバー物質(flavouring substance)」という用語は、糖質甘味料及び人工甘味料を含む甘味料のように、特に0.1質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満の濃度で検出できるフレーバーインパクトを付与することができる任意の物質を包含する。
【0024】
本明細書で使用される「糖質甘味料(saccharide sweetner)」という用語は、1又は2以上の糖質ユニットを含み、スクロースの甘味の強さと同程度の甘味の強さを示す甘味料に関する。そのような糖質甘味料の甘味の強さは、スクロースの甘味の強さの20%と500%の間であるのが典型である。
【0025】
本明細書で使用される「人工甘味料(artificial sweetener)」という用語は、スクロースよりも強力な甘味の強さ、特にスクロースの甘味の強さを少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍を超える甘味の強さを有する甘味料に関する。
【0026】
本明細書を通じて、「風味(taste)」と「フレーバー(flavour)」なる用語は、口、特に舌、及び鼻腔の嗅上皮で知覚する感覚のインパクトを表現するために相互的に使用される。本明細書で使用される「風味改変」という用語は、同じ製品に存在する他の、フレーバーを付与する物質の風味のインパクトを変化させる組成物又は物質の可能性に関するが、この風味のインパクトにおける変化は、前記組成物又は物質それ自体のフレーバーの貢献により起こされるものではなく、むしろ、一方では、風味改良組成物又は物質の、他方では、他のフレーバーを付与する物質が組み合わされた効果によって主として起こることを条件とする。本発明の物質は、他のフレーバー物質の風味を改変する能力と、物質自体の風味への寄与とを、組み合わせるものである。本発明の風味改良物質の好ましいインパクトは、これらの2つの効果の組合せにより起こる結果であると考えられている。
【0027】
本発明によるフレーバー組成物は、上記に定義された少なくとも0.1質量%の風味改良物質を含むことが好ましい。風味改良物質の量は、90質量%を超えず、好ましくは40質量%を超えず、さらにより好ましくは、フレーバー組成物は、風味改良物質を25質量%未満、最も好ましくは5質量%未満含む。
【0028】
好ましい実施形態では、本発明によるフレーバー組成物は、組成物の合計質量に対して、少なくとも0.5質量%、好ましくは少なくとも1質量%のフレーバー物質を含む。フレーバー物質の量は、95質量%を超えないことが好ましく、50質量%を超えないことがより好ましい。
【0029】
本発明のフレーバー組成物において、本明細書において上記に定義された風味改良物質とフレーバー物質は、50:1未満、好ましくは20:1未満の質量比で用いられる。好ましい実施形態では、前記質量比は、1:100から10:1の範囲内、より好ましくは1:50から5:1の範囲内である。風味改良物質とフレーバー物質は、1:1を超えない質量比において用いられるのが、最も好ましい。
【0030】
フレーバー組成物が、N−グルコニルエタノールアミンと人工甘味料を含む場合、N−グルコニルエタノールアミンと人工甘味料の質量比は、好ましくは50:1未満、より好ましくは20:1未満である。
【0031】
本発明によるフレーバー組成物は、液体、ペースト、若しくは粉末の形態で、適切に調製される。特に好まれる実施形態では、フレーバー組成物は、流動性粉末(free-flowing powder)である。
【0032】
好ましい実施形態では、本発明のフレーバー組成物は、乳製品フレーバー(例えば、バター及びミルクのフレーバー)、果物のフレーバー(例えば、柑橘系及び赤い果物のフレーバー)、香ばしいフレーバー(例えば、肉及びチーズのフレーバー)、及びパンのフレーバーからなる群から選択される。
【0033】
好ましくは、前述の化学式(I)において、Xは、水酸基(hydroxyl group)、リン酸基(phosphate group)、ホスホン酸基(phosphonate group)、硫酸基(sulfate group)、若しくはスルホン酸基(sulfonate group)である。さらにより好ましくは、Xは、水酸基、リン酸基、若しくはホスホン酸基である。最も好ましくは、Xは、水酸基若しくはリン酸基である。Xが水酸基であるときの本発明による風味改良物質は、これらの風味改良物質が、甘味を改良及び補完することに特に効果的であるので、乳製品フレーバーと果物のフレーバーに使用されるのに、特に適している。Xが、リン酸基であるときの本発明による風味改良物質は、香ばしいフレーバーとパンのフレーバーに使用されるのに特に適していることがわかっていた。
【0034】
化学式(I)において、CHOH−(CHOH)−CO−部分は、アロン酸(allonic acid)、アルトロン酸(altronic acid)、グルコン酸、マンノン酸(mannonic acid)、グロン酸(gulonic acid)、イドン酸(idonic acid)、ガラクトン酸、及びタロン酸(talonic acid)の群から選択されるアルドン酸残基であることが好ましい。前記部分は、グルコン酸若しくはマンノン酸の残基であることがさらにより好ましい。
【0035】
本発明の別の態様は、前述の化学式(I)(式中、Xは、−O(CO)R、−OPO、−PO、−OSOH、又は−SOHであり、Rは、少なくとも1つのカルボン酸基を含むC−C10基、より好ましくは1つのカルボン酸基を含むC−C基である)及びその食用塩に関する。
【0036】
一実施形態では、本発明は、化学式(I)による物質で、Xが水酸基であり、CHOH−(CHOH)−CO−部分が、アロン酸、アルトロン酸、マンノン酸、グロン酸、イドン酸、ガラクトン酸、及びタロン酸から選択されるアルドン酸の残基であることを特徴とする物質を包含する。本明細書で前述したように、この実施形態による風味改良物質は、乳製品フレーバーと果物のフレーバーに使用されるのに特に適している。
【0037】
別の実施形態では、Xが、リン酸基、ホスホン酸基、硫酸基、若しくはスルホン酸基であり、CHOH−(CHOH)−CO−部分が、グルコン酸及びマンノン酸から選択されるアルドン酸の残基であることが好ましい。この特定の実施形態による風味改良物質は、香ばしいフレーバーとパンのフレーバーにおいて有益に用いられる。
【0038】
とりわけ好まれる実施形態においては、化学式(I)による物質は、エタノールアミンホスフェートのグルコン酸誘導体であり、IUPA命名規則によれば、N−グルコニルエタノールアミンホスフェート若しくはその食用塩である。
【0039】
さらに、本発明の別の態様は、食料品、飲料、医薬品、タバコ製品、及びオーラルケア製品の風味を改良するための、化学式(I)による物質及びその食用塩からなる群から選択される1又は2以上の風味改良物質の使用に関する。特に好まれる実施形態において、本発明は、食料品、飲料、医薬品、タバコ製品、及びオーラルケア製品の風味を改良するための、N−グルコニルエタノールアミン、N−グルコニルエタノールアミンホスフェート、及びそれらの食用塩から選択される1又は2以上の物質の使用に関する。
【0040】
発明者は、本発明の風味改良物質は、他のフレーバー物質が存在する場合に、特に「丸み」、「濃厚さ」、「物質」、「連続性」、「生姜のような」、「ヒリヒリする」、「脂っぽい」、「金属的な」、「旨み」、及び/又は「苦い」等の非常に好まれる風味感を、組み込まれている製品に付与することができるとても有用な物質であることを見い出した。このため本発明の風味改良物質は、食料品、飲料、医薬品、タバコ製品、及びオーラルケア製品の風味を改良するために用いられる。本発明の風味改良物質は、非常に望ましい風味の特質を付与することができる。加えて、本発明による風味改良物質は、前述の製品において含まれるフレーバー物質の官能のインパクトを改変し、補完することができることがわかってきた。本発明の風味改良物質は、前記製品が、かなりの量の脂肪、例えば少なくとも0.1質量%の脂肪、若しくはさらには少なくとも1質量%の脂肪と、1又は2以上の他のフレーバー物質とを含む場合に、これらが組み込まれている製品の風味を改良するのに特に効果的である。
【0041】
本発明による風味改良物質は、特に揮発性というわけでないので、他のフレーバー物質の香り(aroma)のインパクトに作用することができるが、強い香りのインパクトをひきおこすことはない。本明細書では、「香り」という用語は、嗅上皮を通じて知覚される風味の一態様に関する。本発明の風味改良物質の揮発性の低さにより、これらの物質の有利な特性は、口の中に位置する感覚受容器(sensory receptor)に対してこれらの物質が有するインパクトと何らかの形で関連しているものと考えられている。
【0042】
さらにとりわけ、本発明の風味改良物質、特に誘導体化されていないエタノールアミン残基を含む物質は、飲料及び乳製品を含む甘みのある製品において、風味のインパクトを改良し、補完するために有用であることが見い出された。その適切な例としては、前記製品において、「苦味をマスキングする」ことが含まれる。本発明者らは、本発明の風味改良物質が、製品において、特にある一定の最小限の脂肪を含む甘みのある製品において、「クリーミーな」及び/又は「脂っぽい」として表現される風味感を付与し、補完するとても有用な成分であることをさらに見い出した。クリーミー及び/又は脂っぽいという風味感に対する本発明の使用による効果には、製品の粘性や構造などの関連する物理的パラメーターの有意な効果は付随しないことは注目すべきである。加えて、本発明の風味改良物質、特にリン酸残基を含む物質は、塩を含む製品に、塩味の風味のインパクトを付与し、補完するために特に有用であることがわかった。
【0043】
本明細書において前述したように、国際公開第92/06601号パンフレットは、菓子製品、パン製品、及び飲料などの甘みのある食品における構造を強化する(structuring)及び/又は質感を高める(texturizing)物質として、その物理的特性ゆえにスクロースを代替しうる成分について記載している。この文献に記載されている1つの物質は、N−グルコニルエタノールアミンである。この機能を果たすために、「構造強化物質」は、食品用途において多量に使用されなければならない。例えば、国際公開第92/06601号パンフレットは、28.3質量%の前記構造強化物質を含むイエローケーキについて記載している。風味の特徴に関しては、国際公開第92/06601号パンフレットは、開示されている構造強化物質が、スクロースの0〜100%に相当する甘味の強さを有し、加工食品においてスクロースと同様の最終効果を達成するためには、人工的な甘みの非常に強い甘味料の量が、構造強化物質の100部当たり0.2〜2.0部の範囲の比率で含まれることだけを言及している。
【0044】
本発明によるN−グリコニルエタノールアミンの使用は、風味改良効果を付与するために他の(揮発性の)フレーバー物質と組み合わせてほんの微量が使用される点で、前記開示とは異なる。前述のように、本発明のN−グルコニルエタノールアミンが食料品、飲料、医薬品、タバコ製品、及びオーラルケア製品に典型的に適用されるレベルでは、構造や質感、即ち物理的特性に対するその影響は本質的には重要ではない。
【0045】
さらに、本発明の別の一態様は、食料品、飲料、医薬品、タバコ製品、及びオーラルケア製品からなる群から選択される製品で、前記製品が、化学式(I)による物質、及びその食用塩からなる群から選択される、1又は2以上の風味改良物質を0.1〜10,000ppm(mg/kg)含む製品に関する。より好ましくは、製品は、少なくとも1ppm、最も好ましくは少なくとも5ppmの1又は2以上の風味改良物質を含む。前述の製品は、風味改良物質を5,000ppmを超えない、好ましくは2,000ppmを超えない濃度で含むことが典型である。本発明の製品は、典型的には、5〜20,000ppm、より好ましくは10〜10,000ppmの量の、1又は2以上の他のフレーバー物質をさらに含む。
【0046】
N−グルコニルエタノールアミン若しくはその塩を含む本発明の製品の、風味改良物質と他のフレーバー物質との質量比は50:1、好ましくは10:1未満と示される。
【0047】
一実施形態では、本発明の製品は、N−グルコニルエタノールアミン及び/又はその食用塩を含まない。
【0048】
別の実施形態では、本発明の製品は、添加された、糖質甘味料又は人工甘味料を含まない。
【0049】
さらに別の実施形態では、製品は、N−グルコニルエタノールアミン及び/又はその食用塩を、添加された甘味料と一緒に含み、前記製品は、風味改良物質と糖質甘味料との質量比が1:1を超えない、好ましくは1:2を超えない、という事実で特徴づけられ、且つ、風味改良物質と人工甘味料との質量比が50:1を超えない、好ましくは10:1を超えない、さらにより好ましくは1:1を超えない、という事実で特徴づけられる。
【0050】
本発明による食料品の典型的な例としては、ヨーグルト、アイスクリーム、デザート、菓子、パン製品、甘いスナック、調味料、ソース、スープストック、スープ、及びドレッシングを挙げることができる。本発明の有益な点は、飲料、歯磨とマウスウォッシュなどのオーラルケア製品、錠剤とエリキシル剤などの医薬品、並びに喫煙及び非喫煙用を含む全てのタバコ製品を含むタバコ製品において、実現可能なことである。タバコ様の製品は、喫煙及び非喫煙用途の両方において利用できることに留意すべきである。これらのタバコ代用品における本発明の風味改良物質の使用も、本発明において包含される。
【0051】
本明細書において前述の通り、本発明の風味改良物質の風味の効果は、ある程度の量の脂肪を含む製品において特に明白である。それゆえ、好ましい実施形態は、上述の通り、1又は2以上の本発明の風味改良物質、1又は2以上のフレーバー物質、及び加えて製品の合計質量に対して少なくとも0.1質量%の脂肪を含む製品に関する。製品は、少なくとも1質量%の脂肪を含むことが、さらにより好ましい。そのような製品の典型的な例としては、アイスクリーム、デザート、スプレッド、スナック、スープ、ソース、及びチーズ製品を挙げることができる。
【0052】
さらに、本発明の別の一態様は、化学式(I)による物質及びその食用塩からなる群から選択される1又は2以上の風味改良物質を前記製品に添加することを含む、食料品、飲料、医薬品、タバコ製品、又はオーラルケア製品の風味を改良する方法に関する。
【0053】
化学式(I)による物質は、エタノールアミン、若しくはその誘導体とアルドノラクトンとを反応させることにより適切に生成される。
【0054】
N−グルコニルエタノールアミンは、グルコン酸若しくはグルコノラクトン又はその塩をエタノールアミンで反応させることより適切に生成される。N−グルコニルエタノールアミンホスフェートは、グルコン酸若しくはグルコノラクトン又はその塩を2−アミノエチルモノホスフェートで反応させることにより適切に生成される。
【0055】
本明細書で上述された反応において、アルドン酸のポリエステルと共にエタノールアミン又はエタノールアミンホスフェートの誘導体もまた形成されうる。前記アルドン酸ポリエステルは、いくつかの、典型的には2〜5の、アルドン酸のユニットを含む。本発明の別の実施形態は、これらの物質と、風味改良物質としてのその物質の使用に関する。
【0056】
本発明を、以下の例を用いて、さらに説明する。
[実施例]
【実施例1】
【0057】
175gのグルコン酸(50%水溶液)を25gのエタノールアミンと混合した。最初に、水を除去し、ひき続いて混合液を120℃にて4時間反応させた。混合液を、イソプロピルアルコール(1×900mL、2×600mL)で洗浄した。残留物質を、200mLの水で希釈し、pHは、50%NaOHで5.5に調整した。400gのマルトデキストリンMD10、及び200gの塩を添加し、混合液のすべてをスプレードライした。スプレードライされた試料を、試食まで保存した。
【実施例2】
【0058】
40gのグルコノラクトンと13.6gのエタノールアミンを、500gのメタノールと混合し、混合液は5時間加熱還流した。混合液を、一晩室温にて放置した。混合液は、その後3時間で−20℃まで冷却した。形成された白い沈殿物を濾過により単離した。固形物を、60℃にて真空乾燥した。34.7gの生成物を得た(収率64%)。NMR分光法により、生成物が、90質量%を超えるN−グルコニルエタノールアミンを含むことが示された。
【実施例3】
【0059】
2−アミノエチルジハイドロジェンホスフェート(10g/0.07モル)、グルコノラクトン(13.4g/0.07モル)、及びトリエチルアミン(6.9g/0.07モル)を50gのグリセロールと混合した。混合液は、60℃にて約18時間攪拌した。混合液を、150mLのイソプロパノール(IPA)に注入し、攪拌した。最初に、ゲル状の沈殿物が形成され、IPAを150mL追加して攪拌すると、材料は、よりペースト状になった。ペーストを300mLのIPAで3回、300mLのエチルアセテートで1回、洗浄した。ペーストを、その後水に溶解し、すべての溶媒を、30℃にて、真空で除去した。25gの生成物を得た。NMR分光法により、生成物が、10質量%の所望の生成物であるN−グルコニルエタノールアミンホスフェートを含むことが示された。
【実施例4】
【0060】
4つのヨーグルトの試料を調製した。
A:ヨーグルト脂肪分0%+ストロベリーフレーバー+スクラロース(25%)300ppm
B:ヨーグルト脂肪分0%+ストロベリーフレーバー+スクラロース(25%)300ppm+10ppmN−グルコニルエタノールアミン(実施例2で調製されたもの)
C:ヨーグルト脂肪分0%+ストロベリーフレーバー+4%砂糖
D:ヨーグルト脂肪分0%+ストロベリーフレーバー+4%砂糖+10ppmN−グルコニルエタノールアミン(実施例2で調製されたもの)
【0061】
ヨーグルトは、プロのパネル(professional panel)により試食された。風味の評価については、グループの間で一般的な取決めがあった。
A:甘い、苦い、金属的な、後味がある
B:より濃厚な、より丸く自然な味、より砂糖の甘さがある、苦い金属的な後味は著しく少ない
C:酸っぱい(tart)、酸味がある(acidic)
D:より濃厚な、より丸く自然な味、より強烈に甘い
【実施例5】
【0062】
2つのヨーグルトの試料を調製した。
A:ヨーグルト脂肪分3%+ストロベリーフレーバー+4%砂糖
B:ヨーグルト脂肪分3%+ストロベリーフレーバー+4%砂糖+10ppmN−グルコニルエタノールアミン(実施例2で調製されたもの)
【0063】
ヨーグルトは、プロのパネルにより試食された。風味の評価については、グループの間で一般的な取決めがあった。
A:酸っぱい、酸味がある
B:非常に濃厚な、より脂っこい、より丸く自然な味、より強烈に甘い
【実施例6】
【0064】
2つのアイスクリーム(8%植物性脂肪)の試料を調製した。
A:アイスクリーム+ストロベリーフレーバー
B:アイスクリーム+ストロベリーフレーバー+10ppmN−グルコニルエタノールアミン(実施例2で調製されたもの)
【0065】
アイスクリームは、プロのパネルにより試食された。風味の評価については、グループの間で一般的な取決めがあった。
A:甘い、ストロベリー、クリーミーな後味
B:より濃厚な、より丸く自然な味、強化された甘さとクリーミーさ
【0066】
【表1】

【実施例7】
【0067】
3つの非炭酸飲料を調製した。
A:スクロース(7ブリックス)、及び1.5g/Lのクエン酸+レモンフレーバーを添加した水道水
B:スクロース(6.2ブリックス)、及び1.5g/Lのクエン酸+レモンフレーバーを添加した水道水
C:スクロース(6.2ブリックス)+レモンフレーバー+N−グルコニルエタノールアミン30ppm(実施例2で調製されたもの)を添加した水道水
【0068】
飲料は、プロのパネルにより試食された。風味の評価については、グループの間で一般的な取決めがあった。
A:甘い
B:空虚な、甘みの少ない
C:より濃厚な、より丸く自然な味、Bよりも強烈に甘い
【実施例8】
【0069】
標準的なチキンスープを調製した。分量を二等分し、半量には、実施例2で調製した7ppmのN−グルコニルエタノールアミンを添加した。スープは、プロのパネルにより試食された。
【0070】
N−グルコニルエタノールアミンを含むスープは、満場一致で、より風味があり、より完全で、よりボディがあり、より脂っぽいと評価された。
【実施例9】
【0071】
表2に示される成分を混合して、3つの異なるトマトスープ粉末組成物を調製した。
【0072】
【表2】

【0073】
各組成物それぞれ10gを、100mlの湯に混合してトマトスープを得た。それぞれのスープを、試食し、官能パネルにより評価した。N−グルコニルエタノールアミンホスフェートを含む製品Cは、製品B(50%脱塩)よりも明らかに好感を得た。製品Cは含有塩分が少ないにも関わらず、製品の塩味の感じ方は、製品Aと同程度であった。さらに、製品Cの風味は、「より風味がある」、「よりインパクトがある」、「より旨みがある」、「よりこく味がある」、「よだれが出そうになる」と評価された。
【実施例10】
【0074】
6%のスクロース、ストロベリーフレーバーでフレーバーづけされた6つの甘いミルクの試料が調製された。
・ 無脂肪のミルク飲料
・ 無脂肪のミルク飲料+10ppmのグルコニルエタノールアミン(実施例2で調製されたもの)
・ 1.5%脂肪ミルク
・ 1.5%脂肪ミルク+10ppmのグルコニルエタノールアミン(実施例2で調製されたもの)
・ 脂肪分の高いミルク
・ 脂肪分の高いミルク+10ppmのグルコニルエタノールアミン(実施例2で調製されたもの)
【0075】
すべての試料は、プロのパネルにより試食された。試料の間の風味の相違については、一般的な取決めがあった。試料2、4、及び6は、試料1、3、及び5と比較すると、それぞれより濃厚で、より丸く自然な風味で、よりクリーミーで、より甘かった。試料2及び3と、試料4及び5とを比較した場合、それらはとてもよく似た味であると結論づけられた。主な相違点は、試料2及び4が、試料3及び5と比較して、それぞれわずかに甘いということであった。
【実施例11】
【0076】
4つの標準的なインスタント野菜スープを調製した。
・ 2%脂肪を含むスープ
・ 2%脂肪を含むスープ+7ppmグルコニルエタノールアミン(実施例2で調製されたもの)
・ 4%脂肪を含むスープ
・ 4%脂肪を含むスープ+7ppmグルコニルエタノールアミン(実施例2で調製されたもの)
・ 6%脂肪を含むスープ
・ 6%脂肪を含むスープ+7ppmグルコニルエタノールアミン(実施例2でされたもの)
【0077】
すべての試料は、プロのパネルにより試食された。試料の間の風味の相違については、一般的な取決めがあった。試料2、4及び6と、試料1、3及び5とをそれぞれ比較した場合、前者は、より脂っぽく、より自然で、より丸く、より甘かった。試料2及び3と、試料4及び5とを比較した場合、それらはとてもよく似た味であり、主な相違点は、試料2及び4が、わずかにより甘いということであった。
【実施例12】
【0078】
タバコの風味を改良するためのケーシングとして、及び煙のボディを改良するために以下の混合物を使用した。
【0079】
A:
イナゴマメ(carob)エキス 20g
リコリスエキス 15g
プルーンエキス 10g
ココアエキス 10g
水 45g
この混合物の用量は、1g/kgタバコである。
【0080】
B:
イナゴマメエキス 20g
リコリスエキス 15g
プルーンエキス 10g
ココアエキス 10g
グルコニルエタノールアミン
(実施例2で調製されたもの) 2g
水 43g
この混合物の用量は、1g/kgタバコである。
【0081】
巻きタバコ(cigarettes)を、両方のタバコから調製し、プロのパネルにより評価された。ケーシングBで調製した巻きタバコは、煙に非常に「ボディ」があり、非常に「広がりのある」タバコの煙を呈するという点で、ケーシングAで調製した巻きタバコとは異なるものであった。
【実施例13】
【0082】
塩(0.7%)で味付けしたポテトチップの試料を1つ。
塩(0.7%)で味付けし、100ppmのN−グルコニルエタノールアミン(実施例2で調製されたもの)でフレーバーづけしたポテトチップの別個の試料。
チップスは、プロのパネルにより試食された。チップスについての言及は、塩味がする、わずかに鼻をつく、油っこく脂っぽい、ダンボールのような、として評価された。N−グルコニルエタノールアミンを含むチップスは、塩味がして、よりこってりした濃厚さを示し、対照のチップスの望ましくないノートをマスキングするとして評価された。
【実施例14】
【0083】
ケチャップは、506gの水、150gのトマトピューレ(28〜30ブリックス)、30gの加工デンプン(Colflo67、National Starch社製)、22gの塩、2gの安定剤(Deltagel CE 1364)、及び115gの酢(水に溶解した12%酢酸)を使用し、最初に乾燥材料を混合し、その後に水を加えて均質なペーストが得られるまで攪拌して調製した。トマトピューレと酢をその後添加し、混合物を再び攪拌して、95℃で1分間加熱した。加熱を停止し、混合物を冷却した。pHは、3.5に設定した。
【0084】
ケチャップの一部を、20ppmのN−グルコニルエタノールアミン(実施例2で調製されたもの)と混合した。
【0085】
2つのケチャップは、プロのパネルにより試食され、比較された。
【0086】
ケチャップベースは、非常に酸味がある、酢酸のような、潰れたトマトの特性を持つと評価された。20ppmのN−グルコニルエタノールアミンを含むケチャップは、マイルドな酸味、酢酸のようではないと評価され、太陽を浴びてより熟したトマトの特徴、及びより濃厚な感じを示していると評価された。
【実施例15】
【0087】
ビネグレットソースを、815.8gの水、100gのヒマワリ油、12gの塩、30gの砂糖、45gの酢(12%の酢酸)、4gのキサンタンガム、及び0.2gのターメリックパウダーを使用して調製し、すべての材料を激しく混合して均質なエマルジョンを得た。
【0088】
ビネグレットソースの一部に、30ppmのN−グルコニルエタノールアミン(実施例2で調製されたもの)を添加した。
【0089】
両方のビネグレットソースは、プロのパネルにより試食された。
【0090】
オリジナルのビネグレットは、非常に酸味がある、酢酸のような、薄い、とがったと評価された。N−グルコニルエタノールアミンを含むビネグレットは、酸味がある、より丸く、より完全で、より脂っぽい印象があり、より滑らかなと評価された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.組成物の質量に対して0〜20%の糖質甘味料、及び/又は組成物の質量に対して0〜3%の人工甘味料を任意で含む、少なくとも0.1質量%の1又は2以上のフレーバー物質と、
b.化学式(I)の物質、
(I)CHOH−(CHOH)−CO−NH−CH−CH−X
(式中、Xは、−OH、−O(CO)R、−OPO、−PO、−OSOH、又は−SOHであり、Rは、少なくとも1つのカルボン酸基を含むC−C10基である)
及びその食用塩からなる群から選択される、0.001〜95質量%の1又は2以上の風味改良物質、とを含むフレーバー組成物であり、
前記フレーバー組成物がN−グルコニルエタノールアミン又はその塩を含む場合の風味改良物質とフレーバー物質との質量比が50:1未満であることを特徴とする、フレーバー組成物。
【請求項2】
風味改良物質とフレーバー物質との質量比が1:100から10:1の範囲内であることを特徴とする、請求項1記載のフレーバー組成物。
【請求項3】
組成物が、N−グルコニルエタノールアミンと人工甘味料とを含む場合に、N−グルコニルエタノールアミンと人工甘味料との質量比が、50:1未満、好ましくは20:1未満であることを特徴とする、請求項1又は2記載のフレーバー組成物。
【請求項4】
風味改良物質を0.01〜90質量%、好ましくは0.1〜25質量%の量で含むことを特徴とする、請求項1〜3記載のフレーバー組成物。
【請求項5】
1〜95質量%のフレーバー物質を含むことを特徴とする、請求項1〜4記載のフレーバー組成物。
【請求項6】
Xが、−OH、−OPO、−PO、−OSOH、又は−SOHを表わすことを特徴とする、請求項1〜5記載のフレーバー組成物。
【請求項7】
化学式(I)で表される物質、
(I)CHOH−(CHOH)−CO−NH−CH−CH−X
(式中、Xは、−O(CO)R、−OPO、−PO、−OSOH、又は−SOHであり、Rは少なくとも1つのカルボン酸基を含むC−C10基である)、及びその食用塩。
【請求項8】
Xが、−OPO、−PO、−OSOH、又は−SOHを表わすことを特徴とする、請求項7記載の物質。
【請求項9】
物質が、N−グルコニルエタノールアミンリン酸又はその食用塩であることを特徴とする、請求項8記載の物質。
【請求項10】
食料品、飲料、医薬品、タバコ製品、及びオーラルケア製品の風味を改良するための、請求項1に定義される、1又は2以上の風味改良物質の使用。
【請求項11】
食料品、飲料、医薬品、タバコ製品、及びオーラルケア製品の風味を改良するための、請求項7に定義される、1又は2以上の風味改良物質の使用。
【請求項12】
食料品、飲料、医薬品、タバコ製品、及びオーラルケア製品の風味を改良するための方法で、化学式(I)で表される物質及びその食用塩からなる群より選択される1又は2以上の風味改良物質を、0.1〜10,000ppm、好ましくは1〜5,000ppmの間の量で前記製品に添加することを含む方法。
【請求項13】
1又は2以上の請求項1に定義される風味改良物質を、0.1〜10,000ppm、好ましくは1〜5,000ppmの間の量を含むことを特徴とする、食料品、飲料、医薬品、タバコ製品、及びオーラルケア製品からなる群より選択される製品。
【請求項14】
1又は2以上のフレーバー物質を、5〜20,000ppmの量でさらに含み、風味改良物質とフレーバー物質との質量比が50:1未満であることを特徴とする、請求項13記載の製品。
【請求項15】
製品が、N−グルコニルエタノールアミン又はその食用塩を含む場合に、風味改良物質と糖質甘味料との質量比が、1:1を超えることなく、風味改良物質と人工甘味料との質量比が、50:1未満であることを特徴とする、甘味料をさらに含む請求項13又は14記載の製品。

【公表番号】特表2008−507509(P2008−507509A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522444(P2007−522444)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000257
【国際公開番号】WO2006/009425
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(506330612)クエストインターナショナル サービシーズ ビー.ブイ. (5)
【Fターム(参考)】