説明

食品のカロリー測定方法及び食品のカロリー測定装置

【課題】 近赤外線を利用して食品のカロリーを測定することができるようにし、食品のカロリーの測定を非破壊的で短時間に簡易に実現する。
【解決手段】 被検対象の食品Mが載置されるテーブル2を有した食品保持部1と、テーブル2上に載置された被検対象の食品Mに近赤外領域の光を照射する光源部20と、この食品Mからの反射光あるいは透過光を受光する受光部30と、受光部30が受光した光の吸光度に基づいて食品Mのカロリーを算出する制御部40とを備え、制御部40において、予め、カロリー既知の多種類のサンプル食品Mに照射されるとともにこれらのサンプル食品Mから反射あるいは透過された近赤外線の吸光度における二次微分スペクトルの重回帰分析により算出された回帰式と、受光部30が受光した光の吸光度とから食品Mのカロリーを演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品のカロリー測定方法及び食品のカロリー測定装置に係り、近赤外線を応用して非破壊的に食品のカロリーの測定を短時間に簡易に実現する食品のカロリー測定方法及び食品のカロリー測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品においては、食品の光学的特性に基づいた非破壊検査に着目し、短時間で多くの被検対象を検査して、食品の品質管理等の用に供することができるように、近赤外領域の波長の光を用いる検査方法が開発されている。
【0003】
この種の方法としては、例えば、特開2002−122538号公報に掲載されたものが知られている。これは、試験管内の液状試料に外部から700nm〜1100nmの波長の近赤外光を照射し、液状試料からの散乱反射光、散乱透過光あるいは透過反射光を光センサーで検出して液状試料の近赤外吸収スペクトルを測定し、この測定値を、同様の方法により測定したスペクトルから予め作成した検量線に代入することによって、液状試料の、例えば脂肪、タンパク質、デンプン(糖質)、ヨウ素価、酸価などの成分を測定するというものである。
【0004】
【特許文献1】特開2002−122538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来においては、近赤外領域の波長の光を用いて、脂肪、タンパク質、デンプン(糖質)、ヨウ素価、酸価などの成分を測定する技術は、上記の技術に限らず種々提案されており、枚挙に暇がない。例えば、近赤外線領域を用いた分析技術は、アメリカ穀物化学者協会の1997年例会にてロバート・D・ロゼンサル(Robert D.Rosenthal )により提供された「近赤外定量分析概論」等によっても、一般的な技術として良く知られている。
【0006】
しかしながら、カロリーを直接的に測定する技術は今まで見当たらない。一般に、食品(素材及び加工品を含む)のカロリー計算は、例えば、「五訂日本食品標準成分表」等の既存のデータベースを応用して、算出している。しかし、一般に食品においては、産地や採取・販売時期等によって、品質が変化するものであって、正確なカロリー値を示していない欠点がある。
【0007】
また、従来、カロリー量の測定は、サンプルを粉砕し、流動状態にして脂肪、タンパク質及び糖質の各成分量を化学的分析手法を行なって測定し、その成分量に対して例えばタンパク質及び糖質は係数4.00、脂質は9.00のそれぞれの係数を乗じて算出している。この方法は化学・物理的手段を組み合わせた抽出技術や化学反応を用いた分析技術を応用して、滴定や試薬の調整等の煩雑で複雑な操作等を必要とすると共に、遠心機や分光光度計等の多種多様な分析機器を用い、更にはこれらの抽出・分析には専門的技術を必要とするものである。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、近赤外線を利用してカロリーを測定することができるようにし、食品のカロリーの測定を非破壊的で短時間に簡易に実現する食品のカロリー測定方法及び食品のカロリー測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するための本発明の食品のカロリー測定方法は、被検対象の食品からの反射光あるいは透過光を受光し、近赤外領域の波長に対する吸光度を測定し、この測定値に基づいて食品のカロリーを測定する構成としている。
【0010】
本発明の食品のカロリー測定方法は、予め、カロリー既知のサンプル食品に近赤外線を照射し、該サンプル食品からの反射光あるいは透過光を受光し、受光した光の吸光度における二次微分スペクトルの重回帰分析により回帰式を算出しておき、
被検対象の食品に近赤外線を照射し、被検対象の食品からの反射光あるいは透過光を受光し、受光した光の吸光度を測定し、これらの吸光度と上記回帰式とから食品のカロリーを算出する食品のカロリー測定方法において、
上記回帰式を、互いに相関係数の高い第1〜n波長の吸光度を変数とする下記の一般式の関係を満たす式で構成している。
【0011】
【数2】

【0012】
(一般式において、Cはカロリー(Kcal/100g)、λは波長、A1(λ1)は第1波長(λ1)の吸光度、A2(λ2)は第2波長(λ2)の吸光度、・・・An(λn)は第n波長(λn)の吸光度、K0,K1,K2・・・Knは、充分に多い母集団において測定された吸光度及び実測カロリーを用いて最小二乗法で決定された係数である。)
【0013】
そして、上記一般式において、第1波長(λ1)乃至第n波長(λn)を選択するに当たり、
先ず、多種類の食品の被検体の化学分析による既知のカロリー値と当該各被検体の吸光度との重回帰分析によって求められた上記多種類の食品のカロリーに帰属する相関係数が0.800以上になる第1波長(λ1)の近赤外線の波長域を選択し、
次に、当該第1波長(λ1)の近赤外線の波長域と、1100nm〜2000nmの範囲の波長域との重回帰分析によって、上記多種類の食品のカロリーに帰属し当該第1波長(λ1)の近赤外線の波長域の相関係数以上の高い相関係数となる第2波長(λ2)の波長域を選択し、
次に、上記第1波長(λ1)及び第2波長(λ2)の近赤外線の波長域と、1100nm〜2000nmの範囲の波長域との重回帰分析によって、上記多種類の食品のカロリーに帰属し上記第1波長(λ1)の近赤外線の波長域の相関係数以上の相関係数となる第3波長(λ3)の波長域を選択し、
このように、第1波長(λ1)〜第(n−1)波長(λn−1)の近赤外線の波長域と、1100nm〜2000nmの範囲の波長域との重回帰分析によって、上記多種類の食品のカロリーに帰属し上記第1波長(λ1)の近赤外線の波長域の相関係数以上の相関係数となる第n波長(λn)の波長域を選択する。
【0014】
本発明による測定方法の特徴は、多種類の食品のカロリーに帰属する近赤外線の波長域を見出し、その波長域を用いてカロリーを測定する点である。即ち、既に化学分析によるカロリーが判っている多くの被検体との重回帰分析によって、先ず、相関係数の高い第1波長を求め、次に、相関係数の高い第2〜n波長を求める。各波長は、試料の吸光度と化学分析による既知のカロリー値による重回帰分析によって、例えば相関係数が0.800以上を示す領域でもって決定する。これらの波長領域は、単一波長として使用しても、カロリーの標準誤差の範囲を広く設定すれば、カロリーの測定が可能であると推定される。しかしながら、相関係数の高い第2〜n波長を求めることで、精度が向上させられる。
また、この場合、1100nmに満たない波長については、当該波長(1100nm〜2000nm)領域と比較すると、一般に水分の影響を受けることが少ないと言われている。しかしながら、食品のカロリー測定に必要な情報量、すなわち水溶性の食品のカロリーの情報量も、鋭敏に反映させることを考慮したことから、当該波長(1100nm〜2000nm)領域で、食品のカロリー測定波長を選択することとした。また、上記多種類の食品のカロリーを測定する手順として、近赤外線領域全てについて波長掃引することが必要であるが、本カロリー測定方法では1100nmに満たない波長領域を波長掃引しなくても良いことから、波長掃引時間を短縮し迅速に食品のカロリーを測定でき、分析効率が向上させられる。すなわち、多種類の食品のカロリー測定の精度の向上と分析作業効率の向上が図られる。
【0015】
具体的には、例えば、第1波長(λ1)乃至第n波長(λn)を、多種類の食品の被検体の化学分析による既知のカロリー値と当該各被検体の吸光度との重回帰分析によって求められた上記多種類の食品のカロリーに帰属する近赤外線の波長域でもって決定するとともに、1702nm〜1714nmの範囲から選択される波長、1398nm〜1414nmの範囲から選択される波長、1736nm〜1744nmの範囲から選択される波長、1180nm〜1212nmの範囲から選択される波長、1242nm〜1276nmの範囲から選択される波長、1574nm〜1606nmの範囲から選択される波長、1330nm〜1364nmの範囲から選択される波長の7つの波長のうち、2つ以上の波長にし、且つ、波長の組み合わせの相関係数が0.800以上になるようにした。
また、具体的には、上記回帰式を、互いに相関係数の高い第1波長の吸光度及び第2波長の吸光度を変数とする下記の数式1の関係を満たす式で構成している。
【0016】
【数3】

【0017】
数式1において、Cはカロリー(Kcal/100g)、λは波長、A1(λ1)は第1波長(λ1)の吸光度、A2(λ2)は第2波長(λ2)の吸光度、K0,K1,K2は、充分に多い母集団において測定された吸光度及び実測カロリーを用いて最小二乗法で決定された係数である。上記数式1において、第1波長(λ1)及び第2波長(λ2)を、多種類の食品の被検体の化学分析による既知のカロリー値と当該各被検体の吸光度との重回帰分析によって求められた上記多種類の食品のカロリーに帰属する近赤外線の波長域でもって決定する。
【0018】
本発明による測定方法の特徴は、上記もしたように、多種類の食品のカロリーに帰属する近赤外線の波長域を見出し、その波長域を用いてカロリーを測定する点である。即ち、既に化学分析によるカロリーが判っている多くの被検体との重回帰分析によって、先ず、相関係数の高い第1波長を求めた。その第1波長(λ1)は、試料の吸光度と化学分析による既知のカロリー値による重回帰分析によって、例えば相関係数が0.800以上を示す領域でもって決定する。これらの波長領域は、単一波長として使用しても、カロリーの標準誤差の範囲を広く設定すれば、カロリーの測定が可能であると推定される。しかしながら、より精度を上げるために、次に、相関係数の高い第2波長を求めた。第2波長(λ2)の決定は、先に選定した第1波長(λ1)の領域と所定の範囲を重回帰分析によって、相関係数が高い値を示した波長を以って行なった。これにより第1波長(λ1)と第2波長(λ2)の組み合わせで、例えば0.960以上の高い相関が得られ、精度の良いカロリーを測定し得る。以下に具体的波長を挙げる。
【0019】
1つの組み合わせとして、第1波長(λ1)を1270nm〜1308nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1188nm〜1222nm、1660nm〜1666nm、若しくは1714nm〜1726nmの範囲から選択するとともに、第1波長(λ1)及び第2波長(λ2)の組み合わせの相関係数が0.970以上になるようにしている。
好ましくは、第1波長(λ1)を1306±2nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1192±2nmの範囲から選択した。
【0020】
別の組み合わせとして、第1波長(λ1)を1352nm〜1388nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1210nm〜1222nm、1232nm〜1246nm、1642nm〜1684nm、1708nm〜1732nm、1746nm〜1752nm、若しくは1786nm〜1796nmの範囲から選択するとともに、第1波長(λ1)及び第2波長(λ2)の組み合わせの相関係数が0.970以上になるようにしている。好ましくは、第1波長(λ1)を1360±2nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1722±2nmの範囲から選択した。
【0021】
また別の組み合わせとして、第1波長(λ1)を1698nm〜1740nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1146nm〜1158nm、1398nm〜1416nm、1814nm〜1836nm、若しくは1886nm〜1888nmの範囲から選択するとともに、第1波長(λ1)及び第2波長(λ2)の組み合わせの相関係数が0.970以上になるようにしている。好ましくは、第1波長(λ1)を1726±2nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1404±2nmの範囲から選択した。
【0022】
更に異なる別の組み合わせとして、第1波長(λ1)を1806nm〜1848nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1210nm〜1222nm、1234nm〜1242nm、1336nm〜1352nm、1634nm〜1690nm、若しくは1744nm〜1752nmの範囲から選択するとともに、第1波長(λ1)及び第2波長(λ2)の組み合わせの相関係数が0.970以上になるようにしている。好ましくは、第1波長(λ1)を1818±2nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1346±2nmの範囲から選択した。
【0023】
そしてまた、必要に応じ、上記回帰式を、互いに相関係数の高い第1波長の吸光度,第2波長の吸光度及び第3波長の吸光度を変数とする下記の数式2の関係を満たす式で構成した。
【0024】
【数4】

【0025】
数式2において、Cはカロリー(Kcal/100g)、λは波長、A1(λ1)は第1波長(λ1)の吸光度、A2(λ2)は第2波長(λ2)の吸光度、A3(λ3)は第3波長(λ3)の吸光度、K0,K1,K2,K3は、充分に多い母集団において測定された吸光度及び実測カロリーを用いて最小二乗法で決定された係数である。
【0026】
そして、必要に応じ、本発明においては、より精度を上げるために、相関係数の高い第3波長を求めた。第3波長(λ3)の決定は、先に選定した第1波長(λ1)及び第2波長(λ2)の領域と所定の範囲を重回帰分析によって、相関係数が高い値を示した波長を以って行なった。これにより第1波長(λ1),第2波長(λ2)及び第3波長(λ3)の組み合わせで、例えば0.980以上の高い相関が得られ、より一層精度の良いカロリーを測定し得る。即ち、上記数式2において、第1波長(λ1),第2波長(λ2)及び第3波長(λ3)を、多種類の食品の被検体の化学分析による既知のカロリー値と当該各被検体の吸光度との重回帰分析によって求められた上記多種類の食品のカロリーに帰属する近赤外線の波長域でもって決定する。以下に具体的波長を挙げる。
【0027】
1つの組み合わせとして、第1波長(λ1)を1270nm〜1308nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1188nm〜1222nm、1660nm〜1666nm、若しくは1714nm〜1726nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1456nm〜1472nm、1574nm〜1580nm、1816nm〜1826nmの範囲から選択するとともに、第1波長(λ1),第2波長(λ2)及び第3波長(λ3)の組み合わせの相関係数が0.980以上になるようにした。好ましくは、第1波長(λ1)を1306±2nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1192±2nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1464±2nmの範囲から選択した。
【0028】
別の組み合わせとして、第1波長(λ1)を1352nm〜1388nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1210nm〜1222nm、1232nm〜1246nm、1642nm〜1684nm、1708nm〜1732nm、1746nm〜1752nm、若しくは1786nm〜1796nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1144nm〜1194nm、1252nm〜1320nm、1420nm〜1492nm、1504nm〜1524nm、1688nm〜1694nm、若しくは1828nm〜1934nmの範囲から選択するとともに、第1波長(λ1),第2波長(λ2)及び第3波長(λ3)の組み合わせの相関係数が0.980以上になるようにした。好ましくは、第1波長(λ1)を1360±2nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1722±2nmの範囲から選択し、、第3波長(λ3)を1272±2nmの範囲から選択した。
【0029】
また別の組み合わせとして、第1波長(λ1)を1698nm〜1740nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1146nm〜1158nm、1398nm〜1416nm、1814nm〜1836nm、若しくは1886nm〜1888nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1146nm〜1176nm、1256nm〜1304nm、1350nm〜1390nm、1406nm〜1426nm、1548nm〜1578nm、若しくは1810nm〜1966nmの範囲から選択するとともに、第1波長(λ1),第2波長(λ2)及び第3波長(λ3)の組み合わせの相関係数が0.980以上になるようにした。好ましくは、第1波長(λ1)を1726±2nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1404±2nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1832±2nmの範囲から選択した。
【0030】
更に異なる別の組み合わせとして、第1波長(λ1)を1806nm〜1848nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1210nm〜1222nm、1234nm〜1242nm、1336nm〜1352nm、1634nm〜1690nm、若しくは1744nm〜1752nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1146nm〜1188nm、1264nm〜1320nm、1384nm〜1394nm、若しくは1708nm〜1752nmの範囲から選択するとともに、第1波長(λ1),第2波長(λ2)及び第3波長(λ3)の組み合わせの相関係数が0.980以上になるようにした。好ましくは、第1波長(λ1)を1818±2nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1346±2nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1750±2nmの範囲から選択した。
【0031】
更にまた異なる別の組み合わせとして、第1波長(λ1)を1702nm〜1714nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1398nm〜1414nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1736nm〜1744nmの範囲から選択するとともに、第1波長(λ1),第2波長(λ2)及び第3波長(λ3)の組み合わせの相関係数が0.9777以上になるようにした。好ましくは、第1波長(λ1)を1704nm〜1710nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1400nm〜1404nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1736nm〜1740nmの範囲から選択した。
【0032】
また、必要に応じ、上記回帰式を、互いに相関係数の高い第1波長〜第7波長の吸光度を変数とする下記の数式3の関係を満たす式で構成した。
【0033】
【数5】

【0034】
数式3において、Cはカロリー(Kcal/100g)、λは波長、A1(λ1)は第1波長(λ1)の吸光度、A2(λ2)は第2波長(λ2)の吸光度、A3(λ3)は第3波長(λ3)の吸光度、A4(λ4)は第4波長(λ4)の吸光度、A5(λ5)は第5波長(λ5)の吸光度、A6(λ6)は第6波長(λ6)の吸光度、A7(λ7)は第7波長(λ7)の吸光度、K0,K1,K2,K3,K4,K5,K6,K7は、充分に多い母集団において測定された吸光度及び実測カロリーを用いて最小二乗法で決定された係数である。上記数式3において、第1波長(λ1)乃至第7波長(λ7)を、多種類の食品の被検体の化学分析による既知のカロリー値と当該各被検体の吸光度との重回帰分析によって求められた上記多種類の食品のカロリーに帰属する近赤外線の波長域でもって決定する。
【0035】
1つの組み合わせとして、第1波長(λ1)を1702nm〜1714nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1398nm〜1414nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1736nm〜1744nmの範囲から選択し、第4波長(λ4)を1180nm〜1212nmの範囲から選択し、第5波長(λ5)を1242nm〜1276nmの範囲から選択し、第6波長(λ6)を1574nm〜1606nmの範囲から選択し、第7波長(λ7)を1330nm〜1364nmの範囲から選択するとともに、第1波長(λ1)乃至第7波長(λ7)の組み合わせの相関係数が0.8418以上になるようにした。
【0036】
好ましくは、第1波長(λ1)を1704±2nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1400±2nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1738±2nmから選択し、第4波長(λ4)を1196±2nmの範囲から選択し、第5波長(λ5)を1260±2nmの範囲から選択し、第6波長(λ6)を1590±2nmから選択し、第7波長(λ7)を1348±2nmの範囲から選択した。
【0037】
また、上記課題を解決するため本発明の食品のカロリー測定装置は、被検対象の食品が載置されるテーブルを有した食品保持部と、テーブル上に載置された被検対象の食品に近赤外領域の光を照射する光源部と、この食品からの反射光あるいは透過光を受光する受光部と、該受光部が受光した光の吸光度に基づいて食品のカロリーを算出する制御部とを備え、
上記制御部を、予め、カロリー既知の多種類のサンプル食品に照射されると共に該サンプル食品から反射あるいは透過された近赤外線領域の波長に対する吸光度における二次微分スペクトルの重回帰分析により算出された回帰式を記憶する回帰式記憶機能と、上記受光部が受光した光の吸光度と上記回帰式とから食品のカロリーを演算するカロリー演算機能とを備えて構成し、
上記制御部における回帰式記憶機能が記憶する回帰式と選択される近赤外線の波長の組み合わせは、上記の回帰式と波長との組み合わせが用いられる。より精度良くカロリーが測定される。
【0038】
そして、必要に応じ、上記受光部を、食品からの反射光あるいは透過光を受光する複数の受光素子を備えて構成している。これにより、食品からの反射光あるいは透過光が拡散光となっても、その拡散光が各受光素子によって検出されるので、それだけ、検出精度が向上させられ、より精度良くカロリーが測定される。
【0039】
この場合、必要に応じ、上記光源部からの光が通過する筒状の本体を設け、上記受光素子を上記本体の食品側の面に等角度関係で設けた構成としている。受光素子が等角度関係で配置されるので、拡散光の各受光素子による検出が確実になり、また、装置への組立ても容易になる。
【0040】
また、必要に応じ、上記食品保持部を光源部に対して相対的に移動させて上記受光部に該食品の複数箇所の反射光あるいは透過光を受光可能にし、上記制御部を、上記受光部が受光した複数の箇所の光の吸光度に基づいて食品のカロリーを算出する機能を備えて構成している。複数箇所のカロリー値を平均することができるので、より精度の良い測定ができる。例えば、加工食品のように、食材の分布が測定箇所によって異なっている場合には、測定箇所でバラツキがあるが、これが平均化されるので、カロリー値の精度が向上する。
【0041】
更に、必要に応じ、上記食品保持部に、食品の重量を計測するための重量計測器を設け、上記制御部を、上記重量計測器により計測された食品の全重量についてのカロリーを算出する機能を備えて構成している。食品の重量を自動計測できるので、別途重量を測っておかなくても即座に食品全体のカロリーが算出される。
【0042】
更にまた、必要に応じ、上記光源部は、光を分光する音響光学素子を備えた構成としている。分光を確実にすることができ、所要の波長の近赤外線を確実に照射させることができる。
【0043】
また、必要に応じ、上記食品保持部は、食品からの水蒸気を除くファンを備えた構成としている。食品が例えば食品である場合に、調理したての食品であるとそこから蒸気が発生し、照射される近赤外線の通過を妨げるが、蒸気はファンにより飛ばされるので、照射される近赤外線が確実に食品に至りまた、受光部によっても確実に受光されるようになり、蒸気の出る条件の食品でも測定を確実に行なうことができるようになる。
【0044】
そしてまた、上記制御部は、該受光部が受光した光の吸光度に基づいて食品の糖質、タンパク質及び脂肪などの食品の各成分量を算出する成分量算出機能を備えた構成としている。各成分量も認知できるので、食品の把握を確実にすることができる。
【0045】
尚、上記制御部は、該受光部が受光した光の吸光度に基づいて食品の糖質、タンパク質及び脂肪などの食品の各成分量を算出する成分量算出機能と、該成分量算出機能が算出した食品の各成分量に基づいて食品のカロリーを算出するカロリー演算機能とを備えた構成にすることもできる。この場合でも即座に食品のカロリー測定ができるようになる。
【0046】
更に、必要に応じ、上記制御部は、カロリー測定に係る1つの食品に対応した使用者を識別する使用者識別機能と、該使用者識別機能が識別した使用者毎のカロリーの測定値を記憶する測定値記憶機能と、該測定値記憶機能が記憶するカロリーの測定値を使用者毎に積算する測定値積算機能とを備えた構成としている。これにより、例えば、食品が食品の場合には、例えば1食分の総カロリー等、使用者が摂取する種々の食品のカロリーの総合値を把握できるようになり、健康管理などに応用でき、極めて有用になる。
【発明の効果】
【0047】
本発明の食品のカロリー測定方法及び食品のカロリー測定装置によれば、被検対象の食品からの光を受光し、近赤外領域の波長に対する吸光度を測定し、この測定値に基づいて食品のカロリーを測定するので、食品のカロリーを良好な精度で非破壊で測定することができ、極めて有用になる。
特に、食品から直接的にカロリーを測定できるようになるので、従来のように化学・物理的手段を組合わせた抽出技術や化学反応を用いた分析技術を応用する方法に比較して、滴定や試薬の調整等の煩雑で複雑な専門技術や操作等が不要になり、簡易で即座にしかも正確なカロリー値を得ることができるようになる。そのため、一般の個人や家庭で食品のカロリーを測定することなどに利用できるようになり、極めて便利になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る食品のカロリー測定方法及び食品のカロリー測定装置について説明する。本発明の実施の形態に係る食品のカロリー測定方法は本発明の実施の形態に係る食品のカロリー測定装置を用いて実施されるので、この食品のカロリー測定装置の作用と共に説明する。
【0049】
本発明の実施の形態に係る食品のカロリー測定装置が測定する食品とは、食品素材そのもの,加工食品,調理品等食用に供されるものであればどのようなものも含む。
【0050】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る食品のカロリー測定装置は、被検対象の食品Mが載置される回転テーブル2を有した食品保持部1と、回転テーブル2上に載置された被検対象の食品Mに近赤外領域の波長の光を照射する光源部20と、この食品Mからの反射光あるいは透過光を受光する受光部30と、受光部30が受光した光の吸光度に基づいて食品Mのカロリーを算出する総合制御演算処理部43を備えた制御部40とを備えて構成されている。また、食品Mには光源部20からの近赤外線以外の光が照射されないように、主要部分は暗室(図示せず)内に収納されている。
【0051】
詳しくは、食品保持部1は、図1及び図2に示すように、扉(図示せず)で開閉可能な閉空間に設けられ食品Mが載置される回転テーブル2と、回転テーブル2をT方向に回転駆動する回転モータ3と、回転モータ3を溝4を介して一方向のX方向に移動可能に支持し支柱5に上下動可能に設けられる昇降テーブル6と、回転モータ3及び回転テーブル2をラック及びピニオンなどの機構によりX方向に移動させるX方向移動モータ7と、昇降テーブル6を昇降させる昇降駆動部8とを備えて構成されている。昇降駆動部8は昇降テーブル6が上下動可能に螺合するボールネジ8aとボールネジ8aをタイミングベルト8bを介して回転させて昇降テーブル6をZ方向に上下動させるZ方向駆動モータ9とを備えて構成されている。
【0052】
また、食品保持部1の回転モータ3には食品Mの重量を計測するための重量計測器10が付帯されている。食品Mが皿11に入れられる場合には、皿11の重量を予め計測しておき、その分を差し引いて補正する。この補正は、重量計測器10そのもので行なってもよく、後述の制御部40において行なっても良い。そのため、食品Mの正味の重量計算が正確になることから、そのカロリー測定(計算)の精度が高くなる。
この重量計測器10は昇降テーブル6と連結されており、Z方向駆動モータ9によりタイミングベルト8bを介してボールネジ8aを回転させることで、昇降テーブル6は矢印Z方向に動作可能で、支柱5のガイドを設けることで安定した動作が可能になる。
更に、食品保持部1には、食品Mからの水蒸気を除く吸引ファン12が備えられている。ファン12には、食品Mからの水蒸気をファン12に導くダクト13が設けられている。
【0053】
光源部20は、図1及び図3に示すように、支柱5上に設けられた支持板21に設置された光源としてのハロゲンランプ22と、ハロゲンランプ22からの光を支持板21上の連通口23に向けて導く絞り付鏡筒24と、絞り付鏡筒24の開口に設けられ駆動モータ25で回転させられるライトチョッパ26と、ライトチョッパ26の後位に設けられハロゲンランプ22からの光を単波長の光に分光する音響光学素子27と、連通口23に設けられ音響光学素子27からの近赤外線を連通口23を通して回転テーブル2上の食品Mに照射する赤外線反射ミラー28とを備えて構成されている。29はハロゲンランプ22を冷却する冷却ファンである。
【0054】
このため、光源部20においては、図3に示すように、ハロゲンランプ22より発せられた光が絞り付鏡筒24の内部を通り、駆動モータ25によりライトチョッパ26が回転することでパルス状の光となり、音響光学素子27を通過することで破線矢印に示す単波長の光に分光され、赤外線反射ミラー28により破線矢印に示す単波長の分光光のみが光軸と垂直下方に曲げられ、食品M上で焦点を結ぶ。実線矢印の分光されない光は直進し、食品Mには照射されることはない。
尚、ライトチョッパ26の形はどのようなものでも良いが、受光素子32の応答性や信号処理回路42に合わせて1.0msec〜1.6msecのパルスに変える機構を備えているものが良い。
【0055】
受光部30は、図1及び図4に示すように、連通口23に設けられた筒状の本体31と、本体31の食品M側の面に等角度関係で設けられ食品Mからの反射光を受光する複数の受光素子32(ディテクター)とを備えて構成されている。このため、光源部20から単波長に分光された光が食品Mに照射されると、食品M内部で散乱し破線に示す拡散反射光となる。その拡散反射光が各受光素子32によって検出される。
【0056】
受光素子32は直列又は並列に制御部40内の電気回路に接続され信号処理を行なう。全体の信号処理は以下のようにして行なわれる。各受光素子32によって拡散反射光が検出されその光の強さによる電気信号に変換される。
図5に示すように、受光素子32からの電気信号は、制御部40に伝達され制御部40に設けられた信号増幅回路41で信号を増幅し信号処理回路42で増幅された信号よりノイズ除去や増幅等の処理を行ない回帰式記憶機能やカロリー演算機能等を備えた総合制御演算処理部43にてカロリーを算出する。
【0057】
制御部40において、図5に示すように、総合制御演算処理部43は、CPU等の機能によって実現され、予め、カロリー既知のサンプル食品Mに照射されると共に該サンプル食品Mから反射あるいは透過された近赤外線領域の波長に対する吸光度における二次微分スペクトルの重回帰分析により算出された回帰式を記憶する回帰式記憶機能と、受光部30が受光した光の吸光度と回帰式記憶機能により記憶した所定の回帰式とにより食品Mのカロリーを演算するカロリー演算機能とを備えて構成されている。
図1中、44は制御部40に設けられたCRT等からなる表示部である。データは表示部44に表示される。表示部44の表示は画面操作部(図示せず)で操作され、入力画面、結果表示画面など、適宜に切り替わって表示可能になっている。計測中にアニメ等を表示しても良い。尚、測定結果をLCDパネルに表示してもよい。また、測定結果を音声出力するようにしても良い。更に、外部へのデータ出力インターフェースを設けてもよい。
また、制御部40は、図5に示すように、食品保持部1の各種モータや光源部20の駆動モータ25などを制御するモータ制御回路45、音響光学素子27を制御する分光制御回路46を備えている。
【0058】
制御部40の総合制御演算処理部43は、受光部30が受光した複数の箇所の光の吸光度に基づいて食品Mのカロリーを算出する機能を備えて構成されている。ここでは、複数箇所において、単位重量あたりのカロリーを算出し、これを平均した数値を算出する。
また、制御部40の総合制御演算処理部43は、重量計測器10により計測された食品Mの全重量についてのカロリーを算出する機能を備えて構成されている。ここでは、単位重量あたりのカロリーに全重量を乗じた値を算出する。
【0059】
更に、制御部40の総合制御演算処理部43は、図5に示すように、受光部30が受光した光の吸光度に基づいて食品Mの糖質、タンパク質及び脂肪などの食品Mの各成分量を算出する成分量算出機能を備えている。成分量算出機能は、上記従来と同様の手段により実現されている。即ち、これは、食品Mに近赤外光を照射し、食品Mからの反射光を受光部30で検出して食品Mの近赤外吸収スペクトルを測定し、この測定値を、同様の方法により測定したスペクトルから予め作成した検量線に代入することによって、食品Mの、例えば脂肪、タンパク質、デンプン(糖質)、ヨウ素価、酸価などの成分を測定するというものである。
具体的には、例えば、糖質、タンパク質及び脂肪についての波長選択方法は、吸光度を二次微分したスペクトル波形で負の方向への吸収が現れているポイントを絞り込み、そのときの相関関係がより高い波長範囲を選択し、また、第2波長についても同様にし、そして、第3,第4波長についてはその中で全体の相関係数が高くなるような波長を重回帰分析で変数増加法を用いて選択する。
【0060】
また、総合制御演算処理部43は、カロリー測定に係る1つの食品Mに対応した使用者を識別する使用者識別機能と、使用者識別機能が識別した使用者毎のカロリーの測定値を記憶する測定値記憶機能と、測定値記憶機能が記憶するカロリーの測定値を使用者毎に積算する測定値積算機能とを備えて構成されている。使用者識別機能は、キーボード等のデータ入力機能によって構成される指令手段47からの使用者指定指令によって機能させられる。また、測定値記憶機能は、指令手段47からの測定値加算指令によって機能させられる。
【0061】
制御部40の総合制御演算処理部43における回帰式記憶機能が記憶する回帰式と選択される近赤外線の波長の組み合わせは、以下のように決定される。
【0062】
詳しくは、上記の装置を用いて、予め、カロリー既知のサンプル食品Mに近赤外線を照射し、サンプル食品Mからの反射光あるいは透過光を受光し、近赤外領域の波長の吸光度における二次微分スペクトルの重回帰分析により回帰式を算出しておく。
回帰式は、互いに相関係数の高い第1波長の吸光度及び第2波長の吸光度を変数とする下記の数式1で構成されている。
【0063】
【数6】

【0064】
数式1において、Cはカロリー(Kcal/100g)、λは波長、A1(λ1)は第1波長(λ1)の吸光度、A2(λ2)は第2波長(λ2)の吸光度、K0,K1,K2は、充分に多い母集団において測定された吸光度及び実測カロリーを用いて最小二乗法で決定された係数である。
【0065】
具体的には、近赤外線による2波長を用いるカロリー測定波長に関して、既に化学分析によるカロリーが判っている85被検体との重回帰分析によって求めた。すなわち、その第1波長(λ1)は、試料の吸光度と化学分析による既知のカロリー値による重回帰分析によって、負の相関を示し、かつ相関係数が0.800以上を示す領域でもって決定した。二次微分処理によって単相関を求めた結果を、図6に示す。
第1波長(λ1)は1270nm〜1308nm(最大1284nm 、重相関係数−0.891)、1352nm〜1388nm(最大1370nm、重相関係数−0.928)、1562nm〜1614nm(最大1578nm、重相関係数−0.901)、1698nm〜1740nm(最大1700nm、重相関係数−0.818)、1806nm〜1848nm(最大1818nm、重相関係数−0.953)が選択できる。
これらの波長領域を単一波長として使用しても、カロリーの標準誤差の範囲を広く設定すれば、カロリーの測定が可能であると推定される。次に、第2波長(λ2)の決定は、上述で選定した第1波長(λ1)領域と1100nm〜2000nmの範囲を重回帰分析によって、相関係数が高い値を示した波長を以って行なった。それらの第1波長(λ1)と高い相関を示した波長域を図7,図8,図9,図10によって示した。以下に詳しく説明する。
【0066】
1つの組み合わせとして、第1波長(λ1)を1270nm〜1308nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1188nm〜1222nm、1660nm〜1666nm、若しくは1714nm〜1726nmの範囲から選択した。好ましくは、第1波長(λ1)を1306±2nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1192±2nmの範囲から選択した。
【0067】
図7に示すように、第1波長(λ1)の1270nm〜1308nmとの0.960以上の相関係数を示した第2波長(λ2)の波長域は、1188nm〜1222nm、1660nm〜1666nm、及び1714nm〜1726nmであった。相関係数0.940以下の範囲と0.9500〜0.9599、0.9600〜0.9699及び0.9700〜0.9799を区分して、比較検討したところ、0.970以上の相関が認められた第1波長(λ1)と第2波長(λ2)の組み合わせで、カロリーを測定し得る。これら第1波長(λ1)と第2波長(λ2)の組み合わせで、最も高い相関係数0.9775は第1波長(λ1)を1306nmで、第2波長(λ2)を1192nmにした場合に認められた。この第1波長(λ1)(1306nm)と第2波長(λ2)(1192nm)を用いて、本発明の方法及び装置による化学分析のカロリー値との回帰式としてはC=(383.594)+(−7979.322)・d2 A1(λ1)/dλ2 +(−5178.845)・d2 A2(λ2)/dλ2 の計算式が得られた。
【0068】
次に、別の組み合わせとして、第1波長(λ1)を1352nm〜1388nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1210nm〜1222nm、1232nm〜1246nm、1642nm〜1684nm、1708nm〜1732nm、1746nm〜1752nm、若しくは1786nm〜1796nmの範囲から選択した。好ましくは、第1波長(λ1)を1360±2nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1722±2nmの範囲から選択した。
【0069】
図8に示すように、第1波長(λ1)を1352nm〜1388nmとの0.970以上の相関係数を示した第2波長(λ2)の波長域は、1210nm〜1222nm、1232nm〜1246nm、1642nm〜1684nm、1708nm〜1732nm、1746nm〜1752nm、及び1786nm〜1796nmであった。相関係数0.940以下の範囲と0.9500〜0.9599、0.9600〜0.9699及び0.9700〜0.9799を区分して、比較検討したところ、0.970以上の相関が認められた第1波長(λ1)と第2波長(λ2)の組み合わせで、カロリーを測定し得る。これら第1波長(λ1)と第2波長(λ2)の組み合わせで、最も高い相関係数0.9797は第1波長(λ1)を1360nmで、第2波長(λ2)を1722nmにした場合に認められた。この第1波長(λ1)(1360nm)と第2波長(λ2)(1722nm)を用い、本発明の方法及び装置によるカロリー値と化学分析のカロリー値との回帰式としてはC=(366.467)+(−2103.557)・d2 A1(λ1)/dλ2 +(−1243.905)・d2 A2(λ2)/dλ2 の計算式が得られた。
【0070】
次に、また別の組み合わせとして、第1波長(λ1)を1698nm〜1740nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1146nm〜1158nm、1398nm〜1416nm、1814nm〜1836nm、若しくは1886nm〜1888nmの範囲から選択した。好ましくは、第1波長(λ1)を1726±2nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1404±2nmの範囲から選択した。
【0071】
図9に示すように、第1波長(λ1)を1698nm〜1740nmとの0.970以上の相関係数を示した第2波長(λ2)の波長域は、1146nm〜1158nm、1398nm〜1416nm、1814nm〜1736nm、及び1886nm〜1888nmであった。相関係数0.940以下の範囲と0.9500〜0.9599、0.9600〜0.9699及び0.9700〜0.9799を区分して、比較検討したところ、0.970以上の相関が認められた第1波長(λ1)と第2波長(λ2)の組み合わせで、カロリーを測定し得ると考察される。これら第1波長(λ1)と第2波長(λ2)の組み合わせで、最も高い相関係数0.9779は第1波長(λ1)を1726nmで、第2波長(λ2)を1404nmにした場合に認められた。この第1波長(λ1)(1726nm)と第2波長(λ2)(1404nm)を用い、本発明の方法及び装置によるカロリー値と化学分析のカロリー値との回帰式としてはC=(312.779)+(−1254.113)・d2 A1(λ1)/dλ2 +(993.492)・d2 A2(λ2)/dλ2 の計算式が得られた。
【0072】
更に異なる別の組み合わせとして、第1波長(λ1)を1806nm〜1848nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1210nm〜1222nm、1234nm〜1242nm、1336nm〜1352nm、1634nm〜1690nm、若しくは1744nm〜1752nmの範囲から選択した。好ましくは、第1波長(λ1)を1818±2nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1346±2nmの範囲から選択した。
【0073】
図10に示すように、第1波長(λ1)を1806nm〜1848nmとの0.970以上の相関係数を示した第2波長(λ2)の波長域は、1210nm〜1222nm、1234nm〜1242nm、1336nm〜1352nm、1634nm〜1690nm、及び1744nm〜1752nmであった。相関係数0.940以下の範囲と0.9500〜0.9599、0.9600〜0.9699及び0.9700〜0.9799を区分して、比較検討したところ、0.970以上の相関が認められた第1波長(λ1)と第2波長(λ2)の組み合わせで、カロリーを測定し得ると考察される。これら第1波長(λ1)と第2波長(λ2)の組み合わせで、最も高い相関係数0.9756は第1波長(λ1)を1818nmで、第2波長(λ2)を1748nmにした場合に認められた。この第1波長(λ1)(1818nm)と第2波長(λ2)(1748nm)を用い、本発明の方法及び装置によるカロリー値と化学分析のカロリー値との回帰式としてはC=(329.597)+(−8311.669)・d2 A1(λ1)/dλ2 +(4220.204)・d2 A2(λ2)/dλ2 が得られた。
【0074】
そしてまた、別の回帰式として、互いに相関係数の高い第1波長の吸光度,第2波長の吸光度及び第3波長の吸光度を変数とする下記の数式2を用いた。
【0075】
【数7】

【0076】
数式2において、Cはカロリー(Kcal/100g)、λは波長、A1(λ1)は第1波長(λ1)の吸光度、A2(λ2)は第2波長(λ2)の吸光度、A3(λ3)は第3波長(λ3)の吸光度、K0,K1,K2,K3は、充分に多い母集団において測定された吸光度及び実測カロリーを用いて最小二乗法で決定された係数である。
【0077】
そして、第1波長,第2波長及び第3波長は以下のようにして求めた。1つの組み合わせとして、第3波長(λ3)を重回帰分析によって相関係数の高い波長を求めた成績を図11に示す。上記のより好ましい第1波長(λ1)と第2波長(λ2)の条件の時、相関係数が0.9800以上となる波長を重回帰分析によって調べた結果、図11に示す第3波長(λ3)の波長が得られた。以下に具体的波長を挙げる。
【0078】
1つの組み合わせとして、第1波長(λ1)を1270nm〜1308nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1188nm〜1222nm、1660nm〜1666nm、若しくは1714nm〜1726nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1456nm〜1472nm、1574nm〜1580nm、1816nm〜1826nmの範囲から選択した。好ましくは、第1波長(λ1)を1306±2nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1192±2nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1464±2nmの範囲から選択した。
【0079】
別の組み合わせとして、第1波長(λ1)を1352nm〜1388nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1210nm〜1222nm、1232nm〜1246nm、1642nm〜1684nm、1708nm〜1732nm、1746nm〜1752nm、若しくは1786nm〜1796nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1144nm〜1194nm、1252nm〜1320nm、1420nm〜1492nm、1504nm〜1524nm、1688nm〜1694nm、若しくは1828nm〜1934nmの範囲から選択した。好ましくは、第1波長(λ1)を1360±2nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1722±2nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1272±2nmの範囲から選択した。
【0080】
また別の組み合わせとして、第1波長(λ1)を1698nm〜1740nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1146nm〜1158nm、1398nm〜1416nm、1814nm〜1836nm、若しくは1886nm〜1888nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1146nm〜1176nm、1256nm〜1304nm、1350nm〜1390nm、1406nm〜1426nm、1548nm〜1578nm、若しくは1810nm〜1966nmの範囲から選択した。好ましくは、第1波長(λ1)を1726±2nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1404±2nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1832±2nmの範囲から選択した。
【0081】
更に異なる別の組み合わせとして、第1波長(λ1)を1806nm〜1848nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1210nm〜1222nm、1234nm〜1242nm、1336nm〜1352nm、1634nm〜1690nm、若しくは1744nm〜1752nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1146nm〜1188nm、1264nm〜1320nm、1384nm〜1394nm、若しくは1708nm〜1752nmの範囲から選択した。好ましくは、第1波長(λ1)を1818±2nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1346±2nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1750±2nmの範囲から選択した。
【0082】
更にまた、図12に示す結果に基づいて、異なる別の組み合わせを選択した。これは、第1波長(λ1)を1702nm〜1714nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1398nm〜1414nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1736nm〜1744nmの範囲から選択した。好ましくは、第1波長(λ1)を1704nm〜1710nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1400nm〜1404nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1736nm〜1744nmの範囲から選択した。
【0083】
この場合、図12に示すように、第1波長(λ1)を1702nm〜1714nm、第2波長(λ2)を1398nm〜1414nm、第3波長(λ3)を1736nm〜1744nmでは、相関係数が0.9777〜0.9826で、本発明の装置でカロリーが測定可能で、好ましくは第1波長(λ1)を1704nm〜1710nm、第2波長(λ2)を1400nm〜1404nm、第3波長(λ3)を1736nm〜1740nmで使用すれば相関係数が0.9826付近を示した。よって、この3波長で測定すれば、よりカロリー測定精度を高めることが可能である。
【0084】
また、更に別の回帰式として、互いに相関係数の高い第1波長〜第7波長の吸光度を変数とする下記の数式3の関係を満たす式で構成した。
【0085】
【数8】

【0086】
数式3において、Cはカロリー(Kcal/100g)、λは波長、A1(λ1)は第1波長(λ1)の吸光度、A2(λ2)は第2波長(λ2)の吸光度、A3(λ3)は第3波長(λ3)の吸光度、A4(λ4)は第4波長(λ4)の吸光度、A5(λ5)は第5波長(λ5)の吸光度、A6(λ6)は第6波長(λ6)の吸光度、A7(λ7)は第7波長(λ7)の吸光度、K0,K1,K2,K3,K4,K5,K6,K7は、充分に多い母集団において測定された吸光度及び実測カロリーを用いて最小二乗法で決定された係数である。
【0087】
そして、第1波長〜第7波長は以下のようにして求めた。図13に示す結果に基づいて、1つの組み合わせとして、第1波長(λ1)を1702nm〜1714nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1398nm〜1414nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1736nm〜1744nmの範囲から選択し、第4波長(λ4)を1180nm〜1212nmの範囲から選択し、第5波長(λ5)を1242nm〜1276nmの範囲から選択し、第6波長(λ6)を1574nm〜1606nmの範囲から選択し、第7波長(λ7)を1330nm〜1364nmの範囲から選択した。
【0088】
好ましくは、第1波長(λ1)を1704±2nmの範囲から選択し、第2波長(λ2)を1400±2nmの範囲から選択し、第3波長(λ3)を1738±2nmから選択し、第4波長(λ4)を1196±2nmの範囲から選択し、第5波長(λ5)を1260±2nmの範囲から選択し、第6波長(λ6)を1590±2nmから選択し、第7波長(λ7)を1348±2nmの範囲から選択した。
【0089】
この際の波長の選び方としては、食品における糖質、タンパク質、脂質及び水分に関する帰属波長と吸光度の特徴を比較し、波長間隔を30nm以上として、カロリー値を満足するように選択した。係数については各々の選択波長の測定値がある一定のベクトルを満足させ、また、そのときの全体の相関係数が最大値になるような値を決定した。最後に補正式を算出し、検量式より得られた値を補正する。
【0090】
また、上記選択される第1波長〜第7波長の波長の7つの波長のうち、2つ以上の波長を選択して、上記の一般式の関係を満たす式で構成してよい。その理由は、この7つの波長の選択においては、本願発明が、先ず、予め相関係数の高い第1波長(λ1)の波長域と、1100nm〜2000nmの範囲の波長域(以下所定範囲の波長域という)との重回帰分析によって、第1波長以上の高い相関係数となる第2波長(λ2)の波長域を選択し、次に、第1波長(λ1)及び第2波長(λ2)の近赤外線の波長域と、所定範囲の波長域との重回帰分析によって、第1波長以上の相関係数となる第3波長(λ3)の波長域を選択し、次にまた、第1波長(λ1)〜第3波長(λ3)の近赤外線の波長域と、所定範囲の波長域との重回帰分析によって、第1波長(λ1)以上の相関係数となる第4波長(λ4)の波長域を選択し、それから、第1波長(λ1)〜第4波長(λ4)の近赤外線の波長域と、所定範囲の波長域との重回帰分析によって、第1波長(λ1)以上の相関係数となる第5波長(λ5)の波長域を選択し、それからまた、第1波長(λ1)〜第5波長(λ5)の近赤外線の波長域と、所定範囲の波長域との重回帰分析によって、第1波長(λ1)以上の相関係数となる第6波長(λ6)の波長域を選択し、最後に、第1波長(λ1)〜第6波長(λ6)の近赤外線の波長域と、所定範囲の波長域との重回帰分析によって、第1波長(λ1)以上の相関係数となる第7波長(λ7)の波長域を選択する手順をとるので、その選択過程においては、2つ以上の波長の組み合わせにおいては、どの組み合わせにおいても相関係数が高くなるからである。
【0091】
従って、実施の形態に係る食品Mのカロリー測定装置を用いて、食品Mのカロリーを測定するときは、以下のようになる。
制御部40の総合制御演算処理部43においては、回帰式記憶機能が記憶する回帰式と、選択される近赤外線の波長の組み合わせが設定されている。図14乃至図16に示すフローチャートを用いて説明する。
カロリーを測定する被検対象の食品である食品Mを、扉を開けて予め重量の分かった皿11に載置し、回転テーブル2に置く(1−1)。扉を閉めて指令手段から測定開始指令を発すると、識別ルーチンに入り、使用者の識別が行なわれる(1−2)。
識別ルーチンでは、図15に示すように、先ず、指令手段から、例えば名前などを入力する(2−1)。これにより、使用者が登録され記憶されるとともに、すでに登録があれば、該当する使用者のデータが呼び出され(2−2)、後述もする累積データが表示される(2−3)。データを消去すれば(2−4YES)、累積データを消去し(2−5)、ゼロ表示を行ない(2−6)、識別ルーチンを終了する。データを消去しなければ(2−4NO)、そのまま識別ルーチンを終了する。
【0092】
図14に戻り、識別ルーチン終了後は、扉が閉じるか否かを確認し(1−3,1−4)、閉じていれば(1−3YES)、測定ルーチンに入る(1−5)。
測定ルーチンでは、まず、重量計測器10により食品の重量が計測される。この場合、皿11の重量を予め計測しておき、その分を差し引いて補正する。この補正は、重量計測器10そのもので行なってもよく、後述の制御部40において行なっても良い。制御部40で行なう場合には、皿11を含む全重量を重量計測器10で計測し、制御部40において、全重量から皿11の重量を差し引く。これにより、食品Mの正味の重量が計測される。
【0093】
そして、図16に示すように、昇降テーブル6をZ方向駆動モータ9とボールネジ8aによって所定の位置まで上昇させる(3−1)。食品Mの高さ(大きさ)に合わせて調節する。上下の高さ方向へ可動しなくても測定は可能である。しかし、食品Mが例えば目玉焼き等の平板状のものであれば良いが、食品Mが例えば切ったスイカや果物等、高さ方向が異なる場合には、高さ方向への調整を行なうことができるので、測定精度の著しい向上が図られる。
【0094】
この状態で、回転テーブル2をT方向に回転駆動し(3−2)、走査する(3−3)。この走査では、波長を所定のタイミングで切換え(3−4)、受光線センサで受光する(3−5)。即ち、光源部20であるハロゲンランプ22から波長1300nm付近にピークを持つ光を照射すると、ライトチョッパ26が駆動モータ25により回転することでパルス状の光になって、音響光学素子27に入射する。音響光学素子27は、1100nm〜2000nmの近赤外線領域の波長を2nmの分解能で分光し、分光された光のみが赤外線反射ミラー28にて食品Mに照射される。
【0095】
また、この測定においては、食品Mの多点測定が行なわれる。この場合、X方向移動モータ7と回転モータ3の駆動の組み合わせにより、食品Mを移動させて多点の測定を行なう。
例えば、食品Mがカレーライス等の種々な材料で構成された食品の場合には、食品Mの一部にだけ、近赤外線を照射する方法だと一箇所のカロリー情報だけしか得られなくて、例えばカレーライスの場合だとニンジン、ジャガイモや肉類等が混在しており、その食品の真のカロリー情報が得られないこともあり、全面をスキャンするとすべての情報が得られ平均化することが可能である。そのため、食品の素材が単一な場合はスキャンが必ずしも必要ないが、混在している場合には極めて有用になる。
【0096】
この際、食品である食品Mから蒸気が出ているような場合には、ファン12を駆動して食品Mからの水蒸気を除く。そのため、照射される近赤外線の通過が蒸気によって妨げられることが防止され、照射される近赤外線が確実に食品Mに至り、また、受光部30によっても確実に受光されるようになり、蒸気の出る条件の食品Mでも測定を確実に行なうことができるようになる。
【0097】
そして、図4に示すように、食品Mからの拡散反射光は、受光素子32で検出され、制御用配線を経て制御部40内に伝達される(3−6)。このように(3−3〜3−6)を使用波長範囲、食品全体を走査するまで繰り返す。伝達された信号は制御部40でノイズが除去され、総合制御演算処理部43により、回帰式での演算処理が行なわれる(3−7,3−8)。即ち、食品Mの吸光度が求められ、得られた吸光度が二次微分され、所定のカロリー帰属波長による回帰式によりカロリーが算出される。また、重量計測器10との結果によって、食品Mの全重量についてのカロリー値が算出される。算出結果は、表示部44に表示される(図14,1−6)。
【0098】
この場合、受光部30が受光した複数の箇所の光の吸光度に基づいて食品Mのカロリーを算出するので、複数箇所のカロリー値を平均化することができ、より精度の良い測定ができる。例えば、加工食品のように、食材の分布が測定箇所によって異なっている場合には、測定箇所でバラツキがあるが、これが平均化されるので、カロリー値の精度が向上する。更に、重量計測器10が測定した食品Mの全重量についてのカロリーを算出するので、食品Mの重量を別途測っておかなくても即座に食品M全体のカロリーが算出される。
【0099】
また、制御部40においては、総合制御演算処理部43の成分量算出機能により、受光部30が受光した光の吸光度に基づいて食品Mの糖質、タンパク質及び脂肪などの食品Mの各成分量が算出される。この場合には、食品Mに成分量用の近赤外光を照射し、食品Mの近赤外吸収スペクトルを測定し、この測定値を予め作成した検量線に代入することによって算出する。
そして、図16に示すように、回転テーブル2の回転を停止し(3−9)、昇降テーブル6を下降させ(3−10)、測定ルーチンを終了する。
【0100】
測定ルーチンが終了すると、図14に戻り、算出結果は表示部44に表示される(1−6)。各成分量も認知できるので、食品Mの把握を確実にすることができる。カロリー計算のみならず、その他の摂取栄養計算をするときに便利になる。例えば調理の途中で、脂肪分を熱湯などで除去すればどのくらい脂肪分が除去できたかが判ることから、得ようとする目的のカロリーの調整を調理や配合の割合によって算出することができるなど、有用な機能となる。
【0101】
そして、次の食品があれば(1−7YES)、上記の算出結果を記憶させて(1−8)、上記と同様に繰り返しの作業を行なう(1−1〜1−7)。一方、次の食品がなければ、指令手段から測定値加算指令を送る(1−9YES)。これにより、測定値が加算され、結果が表示されるとともに(1−10)、一食分として記憶され(1−11,1−12)、終了する。また、測定値加算指令を送出しない場合(1−9NO)も、結果を記録して終了する。この場合、1食分の総カロリー等、使用者が摂取する種々の食品のカロリーの総合値を把握できるようになり、健康管理などに応用でき、極めて有用になる。
【0102】
次に実験例について説明する。
(実験例1)
先ず、上述したカロリー測定波長が食品Mのカロリーに特異的であることを確認した。上記の波長で測定したカロリー値と化学分析による糖,脂肪,タンパクの各含有量及びカロリーの分析値との相関係数を算出した。結果を、図17(糖質の相関)、図18(脂質の相関)、図19(たんぱく質の相関)、図20(カロリーの相関)に示す。これらの結果から以下のことが言える。本発明による帰属波長を用いたカロリー測定値は、化学分析によるカロリー値とは、相関係数0.979であり(図20)、糖とは0.830(図17)、脂肪とは0.780(図18)、タンパクとは0.029(図19)であった。すなわち、化学分析によるカロリー値と最も高い相関を示した。一般に食品や食品素材のカロリーは、糖、脂肪及びタンパクの各成分量と各々の換算係数を乗じて算出している。本発明による測定波長及び方法が、特定の成分を計測して、カロリーに換算しているのであれば、糖、脂肪及びタンパクの各成分の含有量に最も高い相関を示すものであるが、それらの含有量に対する相関よりもカロリー値に高い相関を示している。このことは本発明による測定波長は、一般に食品や食材のカロリーを算定する際の必要な糖や脂肪及びタンパクの各含有量を示すものでなく、カロリーを反映し得る官能基を検出しているものと判断される。
【0103】
(実験例2)
次に、上記の波長が、カロリーを測定するために優位な帰属波長であること、また、本装置によりカロリーを簡易で迅速に、精度高く測定できることを証明する実験(実験例2−1,実験例2−2)を行なった。本実験に用いたサンプルは、化学分析によってカロリー値が既知の食品である。そのサンプルと化学分析によるカロリー値を図21に示す。
【0104】
(実験例2−1)
この実験では、2波長を選択した。すなわち、第1波長(λ1)を1360nm、第2波長(λ2)を1722nmの2波長を用いてカロリーを測定した。本発明の方法及び装置によるカロリー値と化学分析のカロリー値との相関を図22に示した。回帰式としてはC=(366.467)+(−2103.557)・d2 A1(λ1)/dλ2 +(−1243.905)・d2 A2(λ2)/dλ2 の条件で行なった。既知のカロリー測定値のとの相関係数は0.976、標準誤差34.7であった。
【0105】
(実験例2−2)
この実験では、3波長を選択した。すなわち、第1波長(λ1)を1706nm、第2波長(λ2)を1402nm、第3波長(λ3)を1738nmの3波長を用いてカロリーを測定した。本発明の方法及び装置によるカロリー値と化学分析のカロリー値との相関を図23に示した。回帰式としてはC=(300.394)+(−1697.002)・d2 A1(λ1)/dλ2 +(796.210)・d2 A2(λ2)/dλ2 +(−3379.720)・d2 A3(λ3)/dλ2 の条件で行なった。既知のカロリー測定値との相関係数は0.983、標準誤差27.3であった。
【0106】
上記の実験から、第1波長(λ1)と第2波長(λ2)の2波長、及び、第1波長(λ1),第2波長(λ2)及び第3波長(λ3)の3波長を用いた場合、化学分析によるカロリー値との相関が高いことから、これらの波長がカロリー測定する場合の帰属波長と判断される。このように、本発明者はこのカロリーを測定するための波長域とカロリー値を得るための回帰式に関する研究を鋭意重ねて、カロリーを測定できる近赤外線の波長域とカロリー換算係数を得たものである。
【0107】
(実験例3)
次に、上記の7波長を選択した場合、食品などの食品のカロリーを測定するために優位な帰属波長であること、また、本装置によりカロリーを簡易で迅速に、精度高く測定できることを証明する実験を行なった。
【0108】
この実験に用いたサンプルは、一般に常食されている市販の菓子類、野菜類及び食品類である。それら食品のカロリー値を五訂日本食品標準成分表によって算出し、その算出したカロリー値と本装置を用い、上記記載の7波長を用いて測定した。結果を図24乃至図26示す。
【0109】
図24は上記記載の使用したサンプルの種類と、本発明による方法及び装置を用いて測定したカロリー値と、五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値を示す。
【0110】
図25は、図24に示した本発明の方法及び装置により測定したカロリー値と、五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値との相関図である。また、サンプル数、回帰式、標準誤差、相関係数、決定係数及びダーヴィンワトソン比を記載した。すなわち、このときの回帰式はY(C)=(−0.0004)・C2+(1.2873)・C+(−34.574)、C=(−49458.719)・d2 A1(λ1)/dλ2 +(956.952)・d2 A2(λ2)/dλ2 +(−9259.574)・d2 A3(λ3)/dλ2+(−40457.531)・d2 A4(λ4)/dλ2+(25443.748)・d2 A5(λ5)/dλ2+(−32854.071)・d2 A6(λ6)/dλ2+(27180.417)・d2 A7(λ7)/dλ2の条件で行った。本発明の方法及び装置により測定したカロリー値と、五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値との相関係数0.9864、標準誤差32.923、回帰式の決定係数0.9730、ダーヴィンワトソン比1.7828であった。
【0111】
また、図26は本発明の方法及び装置により測定したカロリー値と五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値の残差を示す。
【0112】
図24乃至図26に示めされた結果から、すなわち、本装置の方法及び装置で測定したカロリー値と五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値との相関係数0.9864、標準誤差32.923、決定係数0.9730、ダーヴィンワトソン比1.7828及び残差図の成績を考察すると、本発明による7波長を用いた方法及び装置でのカロリー値は、既存のカロリー算定方法(五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値)と比較して、その対応も良好で、且つ低濃度(0Kcal)から高濃度(940Kcal)の食品においてカロリー値を簡易で迅速に、精度高く測定できるということが判断できる。このように、本発明者はこのカロリーを測定するための波長域とカロリー値を得るための回帰式及び装置に関する研究を鋭意重ねて、一般食品のカロリーを測定できる近赤外線の波長域と回帰式を得たものである。
【0113】
(実験例4)
次に、化学分析によって食品のカロリーを算出する場合には、糖質とタンパク質と脂質の各成分量を得る必要がある。本実験例は、本装置により食品の糖質量を算出した場合、精度高く測定できることを証明するものである。
【0114】
図27には、この実験で使用したサンプルと五訂日本食品標準成分表による糖質量と、本発明による糖質を測定する方法と装置を用いて測定した糖質量を示す。
【0115】
また、図28には、五訂日本食品標準成分表による糖質量と本発明による糖質を測定する方法と装置を用いて測定した糖質量との相関図及び、この実験で使用した波長及び、回帰式(省略形)を図に示す。
【0116】
本発明による糖質を測定する方法と装置を用いて測定した糖質量をYdとしたとき次の回帰式、Yd=(52.531)+(−771.160)・d2 A1(λ1)/dλ2 +(−797.899)・d2 A2(λ2)/dλ2 +(−607.245)・d2 A3(λ3)/dλ2+(−165.849)・d2 A4(λ4)/dλ2で実験を行った結果、相関係数0.9780、標準誤差5.5639、決定係数0.9565、ダーヴィンワトソン比1.8520であった。
【0117】
上記の実験結果から、本発明による糖質を測定する方法と装置を用いて測定した糖質量と五訂日本食品標準成分表による糖質量とは密接に対応があることが判断できる。従って、本発明は糖質量を正確に、精度高く簡易に測定することが可能であることが言える。
【0118】
(実験例5)
次にまた、本実験例は、本装置により食品のタンパク質量を算出した場合、精度高く測定できることを証明する実験である。
【0119】
図29には、この実験で使用したサンプルと五訂日本食品標準成分表によるタンパク質量と、本発明によるタンパク質の測定値を示す。
【0120】
また、図30には、五訂日本食品標準成分表によるタンパク質量と本発明によるタンパク質の測定値の相関図と、この実験で使用した波長及び、回帰式(省略形)を図に示す。
【0121】
本発明によるタンパク質を測定する方法と装置を用いて測定したタンパク質量をYpとしたとき次の回帰式、Yp=(10.397)+(63.227)・d2 A1(λ1)/dλ2 +(774.067)・d2 A2(λ2)/dλ2 +(698.711)・d2 A3(λ3)/dλ2+(198.088)・d2 A4(λ4)/dλ2で実験を行った結果、相関係数0.9622、標準誤差1.6433、決定係数0.9259、ダーヴィンワトソン比1.8782であった。
【0122】
上記の実験結果から、本発明によるタンパク質を測定する方法と装置を用いて測定したタンパク質量と五訂日本食品標準成分表によるタンパク質量とは密接に対応があることが判断できる。従って、本発明はタンパク質量を正確に、精度高く簡易に測定することが可能であることが言える。
【0123】
(実験例6)
次にまた、本装置により食品の脂肪量を算出した場合、精度高く測定できることを証明する実験を行なった。
【0124】
図31には、この実験で使用したサンプルと五訂日本食品標準成分表による脂質量と、本発明による脂質の測定値を示す。
【0125】
また、図32は、五訂日本食品標準成分表による脂質量と本発明による脂質の測定値との相関図と、この実験で使用した波長及び、回帰式(省略形)を図に示す。
【0126】
本発明による脂質の測定値をYfとしたとき次の回帰式、Yf=(10.095)+(−164.710)・d2 A1(λ1)/dλ2 +(−140.457)・d2 A2(λ2)/dλ2 +(−122.555)・d2 A3(λ3)/dλ2+(122.393)・d2 A4(λ4)/dλ2で実験を行った結果、相関係数0.9452、標準誤差4.0135、決定係数0.8934、ダーヴィンワトソン比2.4508であった。
【0127】
上記の実験結果から、本発明による脂質を測定する方法と装置を用いて測定した脂質量と五訂日本食品標準成分表による脂質量とは密接に対応があることが判断できる。従って、本発明は脂質量を正確に、精度高く簡易に測定することが可能であることが言える。
【0128】
(実験例7)
次にまた、本装置により糖質、タンパク質、脂肪の各成分量を測定して、一般的なカロリー換算計数を乗じて算出したカロリー値と、本装置の方法及び装置で測定したカロリー値及び五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値との対応を比較した。
【0129】
この実験は、4波長を使用して測定した糖質、タンパク質、脂肪の3成分にカロリー換算係数を乗じて算出したカロリー値と、7波長を使用したときのカロリー値及び五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値との比較を行った結果である。その結果を図33乃至図37に示す。
【0130】
図33は、本実験に使用したサンプルと、糖質、タンパク質及び脂肪の各成分量を測定して、カロリー換算計数を乗じて算出したカロリー値と7波長を使用したときのカロリー値及び、五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値の対応を示す。
【0131】
図34は、本装置により糖質、タンパク質、脂肪の各成分量を測定して、カロリー換算計数を乗じて算出したカロリー値と7波長を使用したときのカロリー値の相関図である。このとき相関係数0.9902、標準誤差23.8468、決定係数23.8468、ダーヴィンワトソン比1.8277であった。このことから本装置に糖質、タンパク質、脂肪の各成分を測定しカロリー換算計数を乗じて算出したカロリー値と前述した本発明による カロリー測定値の対応は極めて良好であるということが言える。
【0132】
また、図35は、本装置により糖質、タンパク質、脂肪の各成分量を測定してカロリー換算計数を乗じて算出したカロリー値と五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値との相関図である。このとき相関係数0.9780、標準誤差35.5683、決定係数0.9565、ダーヴィンワトソン比1.6381であった。このことから本装置に糖質、タンパク質、脂肪の各成分量を測定しカロリー換算計数を乗じて算出したカロリー値と五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値の対応は極めて良好であるということが言える。
【0133】
また、図36及び図37には、本実験で得られた結果、即ち4波長を使用して測定した糖質、タンパク質、脂肪の各成分量にカロリー換算係数を乗じて算出したカロリー値と、7波長を使用したときのカロリー値、及び五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値との相対する相関係数及びダーヴィンワトソン比を示した。この結果から、各カロリー値の相関も良く、ダーヴィンワトソン比も程好くて、糖質、タンパク質及び脂質の各成分量を測定してカロリーを算出が可能なことを本実験例で示したものである。
【0134】
尚、上記実施の形態に係るカロリー測定装置において、光源部20の光源はハロゲンランプ22に限定されるものではなく、近赤外線波長を発するものであれば白色光源やレーザ光あるいはLED光でも良い。また、光の分光は、音響光学素子27でなくても、回折格子または近赤外線の特定波長を選択できるものであれば何でも良い。更に、X方向のみならずY方向にスキャンする機構(例えばミラー)があればより一層食品Mのカロリーを高い精度で測定ができる。この場合、回転機構はなくても良いが、回転機構があったほうがカロリーを高い精度で測定ができる。
【0135】
また、上記実施の形態に係るカロリー測定装置において、回転モータ3,X方向移動モータ7及びZ方向駆動モータ9は、食品Mの測定を常に平面で実施できるように連動して駆動できるようにすることが望ましい。それによって著しい測定精度の向上が図られる。例えばミクロン又は数センチ単位で、ワンスポットずつ上下に移動できるように制御できれば、測定は常に平面で実施する機構になり、それによって著しい測定精度の向上が図られる。
【0136】
また、上記実施の形態に係るカロリー測定装置において、重量計測器10を備えていなくても良いが、最終的にカロリーを算定するためには重量計算をしなければならないので、あった方が望ましい。また、受光部30の受光素子32は1個でも可能であるが、3個以上あれば、より高い精度でカロリーを測定できる。受光素子32は近赤外線波長領域に感度があるものを使用する。この場合、受光素子32は直列又は並列に制御部40内の信号増幅回路41に接続され信号処理をする。
【0137】
更に、上記実施の形態に係るカロリー測定においては食品からの反射光を測定しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、食品の性質によって、例えば食品が液体の場合などは、透過光を受光して測定してもよく適宜変更して差し支えない。個体の場合でも、透過光を受光して測定してもよいことは勿論である。
更にまた、上記実施の形態に係る回帰式において、カロリーCの単位はKcal/100gとしたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、要するに、提示した数式の関係を満たす式であれば、カロリーCの単位をどのように設定しても良い。
【0138】
更にまた、本発明にあっては、制御部において、受光部が受光した光の吸光度に基づいて食品の糖質、タンパク質及び脂肪などの食品の各成分量を算出する成分量算出機能を備え、成分量算出機能が算出した食品の各成分量に基づいて食品のカロリーを算出するカロリー算出機能を備えて構成してもよく適宜変更して差支えない。
【0139】
また、何点かの食品を計測する場合、ある特定のスイッチを押すことで測定結果を加算し、トータルの食品の測定値を計算表示させる。このことにより。1日あるいは1週間などの期間毎の摂取量も計測可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明は、食品のカロリーを測定するために、極めて重要な要素技術である近赤外線のカロリー帰属波長とカロリー算出係数を提供すると共に、これら帰属波長を用い、米、麦等の穀物類、菓子類、野菜類、魚貝類、肉類及び調理食品等の種々の食品におけるカロリーを精度高く、簡易にかつ迅速に測定する装置を提供するものである。
そして、食品に伴う肥満等のカロリー過多やカロリー不足に伴う健康管理分野、糖尿病などのカロリー依存に起因する疾病予防や疾病管理等、食品のカロリー成分検査、またはカロリー表示義務に伴う食品等のカロリー量を測定する分野等に利用ができる。
更には、食品に限らず、例えば、木材などの資材や、燃料などのカロリー計算にも適用でき、利用分野は多岐にわたり、産業上極めて有用になる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明の実施の形態に係る食品のカロリー測定装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る食品のカロリー測定装置における食品保持部を示す要部斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る食品のカロリー測定装置における光源部を示す要部斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る食品のカロリー測定装置における受光部を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は底面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る食品のカロリー測定装置における制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】第1波長選択時における近赤外線吸光度(二次微分)の相関係数を示すグラフ図である。
【図7】第2波長選択時における第2波長の第1波長と高い相関を示した波長域を示す図である。
【図8】第2波長選択時における第2波長の第1波長と高い相関を示した波長域を示す図である。
【図9】第2波長選択時における第2波長の第1波長と高い相関を示した波長域を示す図である。
【図10】第2波長選択時における第2波長の第1波長と高い相関を示した波長域を示す図である。
【図11】第3波長選択時における第3波長の第1波長及び第2波長と高い相関を示した波長域を示す表図である。
【図12】第3波長選択時における第3波長の第1波長及び第2波長と高い相関を示した波長域を示す表図である。
【図13】第7波長選択時における高い相関を示した波長域を示す表図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る食品のカロリー測定装置における制御フローを示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態に係る食品のカロリー測定装置における詳細な制御フローを示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態に係る食品のカロリー測定装置における別の詳細な制御フローを示すフローチャートである。
【図17】本発明のカロリー帰属波長で測定したカロリー値と化学分析による糖との相関を示すグラフ図である。
【図18】本発明のカロリー帰属波長で測定したカロリー値と化学分析による脂質との相関を示すグラフ図である。
【図19】本発明のカロリー帰属波長で測定したカロリー値と化学分析によるたんぱく質との相関を示すグラフ図である。
【図20】本発明のカロリー帰属波長で測定したカロリー値と化学分析によるカロリー値との相関を示すグラフ図である。
【図21】本発明が対象とする食品としての種々の食品の化学分析によるカロリー値を示す表図である。
【図22】本発明のカロリー帰属の2波長で測定したカロリー値と化学分析によるカロリー値との相関を示すグラフ図である。
【図23】本発明のカロリー帰属の3波長で測定したカロリー値と化学分析によるカロリー値との相関を示すグラフ図である。
【図24】本発明のカロリー帰属の7波長で測定したカロリー値と五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値との対応を示す表図である。
【図25】本発明のカロリー帰属の7波長で測定したカロリー値と五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値との相関を示すグラフ図である。
【図26】本発明のカロリー帰属の7波長で測定したカロリー値と五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値との残差を示すグラフ図である。
【図27】本発明の装置による糖質の測定値と五訂日本食品標準成分表によって算出した糖質量の対応を示す表図である。
【図28】本発明の装置による糖質の測定値と五訂日本食品標準成分表によって算出した糖質量の相関を示すグラフ図である。
【図29】本発明の装置によるタンパク質の測定値と五訂日本食品標準成分表によって算出したタンパク質量の対応を示す表図である。
【図30】本発明の装置によるタンパク質の測定値と五訂日本食品標準成分表によって算出したタンパク質量の相関を示すグラフ図である。
【図31】本発明の装置による脂肪の測定値と五訂日本食品標準成分表によって算出した脂肪量の対応を示す表図である。
【図32】本発明の装置による脂肪の測定値と五訂日本食品標準成分表によって算出した脂肪量の相関を示すグラフ図である。
【図33】本発明のカロリー帰属の7波長で測定したカロリー値と糖質、タンパク質、脂肪を個々に測定した値にカロリー換算係数を乗じてカロリー値を算出したものと、五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値との対応を示す表図である。
【図34】本発明のカロリー帰属の7波長で測定したカロリー値と糖質、タンパク質、脂肪を個々に測定した値にカロリー換算係数を乗じて算出したカロリー値との相関を示すグラフ図である。
【図35】本発明の装置で糖質、タンパク質、脂肪を個々に測定した値にカロリー換算係数を乗じてカロリー値を算出したものと五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値の相関を示すグラフ図である。
【図36】本発明のカロリー帰属の7波長で測定したカロリー値と糖質、タンパク質、脂肪を個々に測定した値にカロリー換算係数を乗じてカロリー値を算出したものと、五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値との相関係数を示す表図である。
【図37】本発明のカロリー帰属の7波長で測定したカロリー値と糖質、タンパク質、脂肪を個々に測定した値にカロリー換算係数を乗じてカロリー値を算出したものと、五訂日本食品標準成分表によって算出したカロリー値とのダーヴィンワトソン比を示す表図である。
【符号の説明】
【0142】
M 食品
1 食品保持部
2 回転テーブル
3 回転モータ
4 溝
5 支柱
6 昇降テーブル
7 X方向移動モータ
8 昇降駆動部
9 Z方向駆動モータ
10 重量計測器
11 皿
12 吸引ファン
13 ダクト
20 光源部
21 支持板
22 ハロゲンランプ
23 連通口
24 絞り付鏡筒
25 駆動モータ
26 ライトチョッパ
27 音響光学素子
28 赤外線反射ミラー
29 冷却ファン
30 受光部
31 本体
32 受光素子
40 制御部
41 信号増幅回路
42 信号処理回路
43 総合制御演算処理部
44 表示部
45 モータ制御回路
46 分光制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検対象の食品からの反射光あるいは透過光を受光し、近赤外領域の波長に対する吸光度を測定し、この測定値に基づいて食品のカロリーを測定する食品のカロリー測定方法であって、
予め、カロリー既知のサンプル食品に近赤外線を照射し、該サンプル食品からの反射光あるいは透過光を受光し、受光した光の吸光度における二次微分スペクトルの重回帰分析により回帰式を算出しておき、
被検対象の食品に近赤外線を照射し、被検対象の食品からの反射光あるいは透過光を受光し、受光した光の吸光度を測定し、これらの吸光度と上記回帰式とから食品のカロリーを算出する食品のカロリー測定方法において、
上記回帰式を、互いに相関係数の高い第1〜n波長の吸光度を変数とする下記の一般式
【数1】

(一般式において、Cはカロリー(Kcal/100g)、λは波長、A1(λ1)は第1波長(λ1)の吸光度、A2(λ2)は第2波長(λ2)の吸光度、・・・An(λn)は第n波長(λn)の吸光度、K0,K1,K2・・・Knは、充分に多い母集団において測定された吸光度及び実測カロリーを用いて最小二乗法で決定された係数である。)の関係を満たす式で構成し、
上記一般式において、第1波長(λ1)乃至第n波長(λn)を選択するに当たり、
先ず、多種類の食品の被検体の化学分析による既知のカロリー値と当該各被検体の吸光度との重回帰分析によって求められた上記多種類の食品のカロリーに帰属する相関係数が0.800以上になる第1波長(λ1)の近赤外線の波長域を選択し、
次に、当該第1波長(λ1)の近赤外線の波長域と、1100nm〜2000nmの範囲の波長域との重回帰分析によって、上記多種類の食品のカロリーに帰属し当該第1波長(λ1)の近赤外線の波長域の相関係数以上の高い相関係数となる第2波長(λ2)の波長域を選択し、
次に、上記第1波長(λ1)及び第2波長(λ2)の近赤外線の波長域と、1100nm〜2000nmの範囲の波長域との重回帰分析によって、上記多種類の食品のカロリーに帰属し上記第1波長(λ1)の近赤外線の波長域の相関係数以上の相関係数となる第3波長(λ3)の波長域を選択し、
このように、第1波長(λ1)〜第(n−1)波長(λn−1)の近赤外線の波長域と、1100nm〜2000nmの範囲の波長域との重回帰分析によって、上記多種類の食品のカロリーに帰属し上記第1波長(λ1)の近赤外線の波長域の相関係数以上の相関係数となる第n波長(λn)の波長域を選択することを特徴とする食品のカロリー測定方法。
【請求項2】
被検対象の食品が載置されるテーブルを有した食品保持部と、テーブル上に載置された被検対象の食品に近赤外領域の光を照射する光源部と、この食品からの反射光あるいは透過光を受光する受光部と、該受光部が受光した光の吸光度に基づいて食品のカロリーを算出する制御部とを備え、
上記制御部を、予め、カロリー既知の多種類のサンプル食品に照射されると共に該サンプル食品から反射あるいは透過された近赤外線領域の波長に対する吸光度における二次微分スペクトルの重回帰分析により算出された回帰式を記憶する回帰式記憶機能と、上記受光部が受光した光の吸光度と上記回帰式とから食品のカロリーを演算するカロリー演算機能とを備えて構成し、
上記制御部における回帰式記憶機能が記憶する回帰式と選択される近赤外線の波長の組み合わせは、上記請求項1記載の回帰式と波長との組み合わせであることを特徴とする食品のカロリー測定装置。
【請求項3】
上記受光部を、食品からの反射光あるいは透過光を受光する複数の受光素子を備えて構成したことを特徴とする請求項2記載の食品のカロリー測定装置。
【請求項4】
上記光源部からの光が通過する筒状の本体を設け、上記受光素子を上記本体の食品側の面に等角度関係で設けたことを特徴とする請求項3記載の食品のカロリー測定装置。
【請求項5】
上記食品保持部を光源部に対して相対的に移動させて上記受光部に該食品の複数箇所の反射光あるいは透過光を受光可能にし、上記制御部を、上記受光部が受光した複数の箇所の光の吸光度に基づいて食品のカロリーを算出する機能を備えて構成したことを特徴とする請求項3または4記載の食品のカロリー測定装置。
【請求項6】
上記食品保持部に、食品の重量を計測するための重量計測器を設け、上記制御部を、上記重量計測器により計測された食品の全重量についてのカロリーを算出する機能を備えて構成したことを特徴とする請求項3乃至5いずれかに記載の食品のカロリー測定装置。
【請求項7】
上記光源部は、光を分光する音響光学素子を備えたことを特徴とする請求項3乃至6いずれかに記載の食品のカロリー測定装置。
【請求項8】
上記食品保持部は、食品からの水蒸気を除くファンを備えたことを特徴とする請求項3乃至7いずれかに記載の食品のカロリー測定装置。
【請求項9】
上記制御部は、該受光部が受光した光の吸光度に基づいて食品の糖質、タンパク質及び脂肪などの食品の各成分量を算出する成分量算出機能を備えたことを特徴とする請求項3乃至8いずれかに記載の食品のカロリー測定装置。
【請求項10】
上記制御部は、カロリー測定に係る1つの食品に対応した使用者を識別する使用者識別機能と、該使用者識別機能が識別した使用者毎のカロリーの測定値を記憶する測定値記憶機能と、該測定値記憶機能が記憶するカロリーの測定値を使用者毎に積算する測定値積算機能とを備えたことを特徴とする請求項3乃至9いずれかに記載の食品のカロリー測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2008−122412(P2008−122412A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341516(P2007−341516)
【出願日】平成19年12月29日(2007.12.29)
【分割の表示】特願2005−67738(P2005−67738)の分割
【原出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(591005453)青森県 (52)
【出願人】(397030385)株式会社ジョイ・ワールド・パシフィック (6)
【Fターム(参考)】