説明

食品残渣リサイクルシステム

【課題】 簡易かつ低コストな設備からなり、1つの処理系列で、食品残渣から多種類の飼肥料を、該飼肥料の需要変動にあわせて生産でき、食品残渣の循環利用による環境保全を促進できる食品残渣リサイクルシステムを提供する。
【解決手段】 食品残渣(E)を破砕して湿潤性原料(a)とする破砕機(A)と、上記湿潤性原料(a)を乾燥して乾燥性飼料(b1)または肥料(b2)とする乾燥機(B)と、上記乾燥性飼料(b1)または肥料(b2)を発酵させて堆肥(c)とする発酵装置(C)とからなる食品残渣リサイクルシステムを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品残渣のリサイクルシステムに関し、特に1つの処理系列で、食品残渣から複数の餌肥料等を生産する食品残渣リサイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品廃棄物の排出量は年間約2000万tといわれ、食品リサイクル法など循環型社会の形成促進に向けた法整備により発生抑制とともに再利用などの促進が求められている。
有機性資源の循環利用としては、堆肥化により農地還元されることが多く、食品廃棄物を主原料とする堆肥は成分含有量や施用効果が不安定で使い難いことに加えて、油分や塩分が高く作物や土壌への障害影響が懸念されるため、家畜ふんなど他の有機性廃棄物を原料とした堆肥に比べ優位性が低く、農地還元利用推進は困難と考えられる。
【0003】
従来、上記のような有機性資源の循環利用を図るリサイクルシステムとして、破砕機と乾燥機とを備え、食品廃棄物排出者が排出する食品廃棄物を原料として飼肥料を製造するとともに、上記食品廃棄物から製造された飼肥料を畜産業および農業に用い、上記畜産業および農業によって得られた畜産物および農産物を食材として食材の消費者でもある上記食品廃棄物排出者に供給する食品廃棄物のリサイクルシステム(特許文献1参照)などがある。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のリサイクルシステムを含め、食品廃棄物(食品残渣)を破砕して乾燥させる設備や食品廃棄物を発酵させる設備はすでに実用化され多く存在するものの、1つの処理系列で飼料、肥料、堆肥、湿潤性原料などの多種類の飼肥料を得ることができるものは存在しない。
飼料や肥料などは、その種類毎に時期などによって需要が変動するものであり、例えば、飼料は家畜の餌として通年必要となるが、肥料は該当作物の育成期間のみ必要となる。よって、従来のリサイクルシステムを用いた場合は、単独ではこのような需要変動に対応させることができず、複数の設備が必要となるため、設備の建設コストが高くなり、広い敷地面積も確保する必要があるなどの問題がある。
【0005】
また、リゾート地域などでは、数百軒のホテルや旅館が集中しており、該地域内では非常に多量の食品廃棄物が排出されている。一部のホテルなどにおいては、上記のようなリサイクルシステムを導入しているものの、上述のコストおよび敷地面積などの問題から導入していないホテルなどが多数あり、その地域全体としては十分な食品廃棄物の循環利用が図られていない場合が多い。
【特許文献1】特開2003−39057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような問題に対処するためになされたもので、簡易かつ低コストな設備からなり、1つの処理系列で、食品残渣から多種類の飼肥料などを、該飼肥料の需要変動にあわせて生産でき、食品残渣の循環利用による環境保全を促進できる食品残渣リサイクルシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る食品残渣リサイクルシステムは、食品残渣を破砕して湿潤性原料とする破砕機と、上記湿潤性原料を乾燥して乾燥性飼料または肥料とする乾燥機とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る食品残渣リサイクルシステムは、食品残渣を破砕して湿潤性原料とする破砕機と、上記湿潤性原料を乾燥して乾燥性飼料または肥料とする乾燥機と、上記乾燥性飼料または肥料を発酵させて堆肥とする発酵装置とを備えることを特徴とする。
【0009】
上記破砕機は、ハンマー型破砕機であることを特徴とする。
【0010】
上記湿潤性原料を充填する容器は、定型パレットであることを特徴とする。
【0011】
上記発酵装置は、温度調節器および攪拌機が設けられ、かつ脂質を分解する脂質分解細菌が存在することを特徴とする。
【0012】
上述のようにリゾート地域などでは、数百軒のホテルや旅館が集中しており、多量の食品廃棄物などが排出されている。一部のホテルにおいて、厨芥を主体とした食品廃棄物の堆肥化処理による取り組みなどのリサイクル活動があるものの、地域全体としての活動には至っていない場合が多く、新たな厨芥の利用方法について検討する必要があるとされていた。
【0013】
例えば三重県の伊勢志摩地域では、地域内のホテルや旅館から年間排出される厨芥物合計は、約10000tに及ぶと推定されている。厨芥物を細分化すると、ホテル等からの生ゴミの約60%が厨房から、残りが残飯として排出されている。厨房から排出される生ゴミ、いわゆる厨芥は、魚介類(50%)、伊勢えび等(20%)が主体であり、その化学性成分は粗たんぱく含量が高いことから、魚粉代替として養殖用飼料への利用が可能であると考えられる。
一方、残飯は、粗たんぱく含量が低く、徹底した分別が行なわれているにも関わらず、銀紙あるいは割箸などの異物が混入する場合が多いので、安全性などを勘案し、養殖用飼料等への利用は厨芥に限定される。しかし、二次的な分別をさらに行ない、残飯については地域の有機性廃棄物と混合することで肥料として水稲あるいは野菜への利用は可能であると考えられる。
【0014】
本発明は以上のような知見に基づくもので、未利用有機性資源として、上記のような厨房で調理により発生する「厨芥」と宿泊客が食べ残した「残飯」に着目し、これらの食品廃棄物を飼肥料として最大限活用し、ホテルや旅館を中核とした新たな地域内循環利用システムを構築したものであり、地域の事業系食品廃棄物の減量化を図れるとともに、衰退傾向にある観光産業の活性化にも寄与できるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の食品残渣リサイクルシステムは、1つの処理系列で最大で4種類の飼肥料などを得ることができる。1つの処理系列とすることにより、設備を兼用できる。その結果、従来の装置で4種類の飼肥料を製造する場合に比べて、建設コストを削減でき、また広い敷地を必要とせず、コンパクト化できる。コンパクトな装置であるため、煩雑な維持管理作業も軽減できる。
【0016】
また、食品残渣の排出量やその種類により、4種類の飼肥料の製造を適宜調整できる。逆に排出された食品残渣から、必要とする飼肥料を集中的に製造することもできる。該システム管理者の意思により製造する飼肥料の種類や量を簡易にコントロールでき、容易に運転調整できるので、需要の変動にも容易に対応できる。
【0017】
また、湿潤性原料を例えば、地域毎に定められた定型パレットに入れて冷凍保存することにより、備蓄が可能となり、大量に扱うことで、収集効率が高く、収集コストを軽減できるとともに、鮮度を維持できる。さらに、乾燥機において原料を一旦高温にさらして乾燥させることにより、堆肥を確実に滅菌でき、腐敗防止に役立つとともに、発酵装置で有用な細菌類の繁殖に有効である。
【0018】
また、油分分解菌の存在下で発酵させることにより、肥効が十分にあり生育障害を起こし難い高品質の堆肥を得ることができる。
特に観光地などでは、地域ごとでホテルから排出されるゴミの内容が類似(伊勢エビ、鯛、蟹など)するという地域の特性があるため、地域内循環などの合理化を行ないやすい。
以上のようにゴミとして排出していたものを有価物として、地域内で循環利用することにより、地域内のゴミの量が減少して地域環境保全を促進できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の食品残渣リサイクルシステムは、食品残渣を破砕して湿潤性原料とする破砕機と、上記湿潤性原料を乾燥して乾燥性飼料または肥料とする乾燥機とを備える(請求項1)。さらに必要に応じて上記乾燥性飼料または肥料を発酵させて堆肥とする発酵装置も備える(請求項2)。
該食品残渣リサイクルシステムを用いた食品残渣のリサイクルフローを図1を参照して説明する。図1は、該システムによる食品残渣リサイクル全工程のフロー概要図である。
(1)旅館およびホテル(F)から排出される厨芥および残飯のいずれかからなる食品残渣(E)を原料とする。
(2)食品残渣(E)から分別手段(G)によりリサイクル不適物を分離する。
(3)異物が分別された食品残渣(E1)を破砕機(A)にかけて、所定の平均粒径まで破砕しミンチ状とする。
(4)ミンチ状となった食品残渣(E2)の一部を湿潤性原料(a)とし、冷凍庫(D)に保管する。ここで用いる食品残渣(E2)は厨芥由来のものとする。
(5)食品残渣(E2)の一部を乾燥機(B)により、所定温度で十分に乾燥させて、乾燥性飼料(b1)または肥料(b2)とする。ここで用いる食品残渣(E2)は残飯由来のものとする。
(6)乾燥後の食品残渣(乾燥性飼料(b1)または肥料(b2))を、発酵装置(C)により発酵させ、堆肥(c)とする。
以上に示す本発明の食品残渣リサイクルシステムを用いた一連のフローにより、食品残渣から、湿潤性飼料、乾燥性飼料、肥料および堆肥の4種類の飼肥料を得ることができる。すなわち、一連のフローである1WAYにより、4種類の飼肥料が得られ、4WAYの食品残渣リサイクルができる。
【0020】
請求項1に係る食品残渣リサイクルシステムの概要図を図2に示す。図2に示すように、請求項1に係る食品残渣リサイクルシステムは、食品残渣を破砕して湿潤性原料とする破砕機(A)と、湿潤性原料(a)を乾燥して乾燥性飼料(b1)または肥料(b2)とする乾燥機(B)とを備える。ここで湿潤性原料(a)は、定型パレット(H)に入れた後、冷凍庫(D)に保管する。
該装置による食品残渣リサイクルのフローは、上記(1)〜(5)に従う。
【0021】
請求項2に係る食品残渣リサイクルシステムの概要図を図3に示す。図3に示すように、請求項2に係る食品残渣リサイクルシステムは、食品残渣を破砕して湿潤性原料とする破砕機(A)と、湿潤性原料(a)を乾燥して乾燥性飼料(b1)または肥料(b2)とする乾燥機(B)と、上記乾燥性飼料または肥料を発酵させて堆肥とする発酵装置(C)とを備えてなる。請求項1のシステムと同様に、湿潤性原料(a)は、定型パレット(H)に入れた後、冷凍庫(D)に保管する。
該装置による食品残渣リサイクルのフローは、上記(1)〜(6)に従う。
請求項1および請求項2に係る食品残渣リサイクルシステムの、上記各段階における詳細な内容を以下に説明する。
【0022】
[前処理および破砕処理]
旅館等(F)から発生した食品残渣(E)としては、厨房で調理などにより発生する厨芥と、宿泊客が食べ残した残飯との2種類がある。この分別は通常、旅館等の厨房で行なわれる。厨芥または残飯とに分けられた食品残渣(E)から、それぞれ分別手段(G)によりリサイクル不適物を分離する。リサイクル不適物としては、飼料取締法の通達にある哺乳類などの肉、銀紙、割箸などである。分別後の食品残渣(E1)は、厨芥または残飯であり、かつ、リサイクル不適物が取り除かれた状態である。
分別手段(G)は、旅館の従業員等による手動分別、または自動化した分別機を用いてもよい。
【0023】
厨芥は、魚介類などに限定分別することにより飼料資源となる。例えば、伊勢エビの殻は天然の赤色成分(アスタキサンチン)を含むため、粉砕した殻を養殖マダイの餌(飼料)に混入させることで、天然の赤色成分による色揚げ効果が期待できる。これは、元々、天然のマダイがアスタキサンチンを自己生産できないので天然エビを食し、赤色になるという知見に基づくものである。このように、厨芥は、適切に分別され、取り扱いが容易な形とすることで、再利用を促進させることができる。
残飯は、発生源別に正確に分別し、分別手段(G)により異物を除去した上で、それぞれの性状に適した処理を行なうことにより、利用価値のある製品(飼料または肥料)に生まれ変わる。
【0024】
分別された食品残渣は、すべて異物の分別および破砕を目的に破砕機(A)にかける。養魚用飼料として利用する場合などは、特に平均粒径を5mm以下になるまで破砕(粉砕)させる。
よって、破砕機(A)は頭部を含む魚のアラ、伊勢エビなどを平均粒径3mm以下に破砕する能力を持つことが好ましい。また、破砕機(A)の処理能力は300kg/時 以上の能力であることが好ましい。処理能力を高くすることでバッチ処理を円滑にできる。
【0025】
破砕機(A)は、ハンマー型破砕機(A1)が好ましい。ハンマー型破砕機(A1)を用いると、比重の小さい箸などの異物は浮上し、高比重のものは沈降するため、効率よく異物を分別できる。単純な構造なので洗浄が容易である。また、初期費用も市販破砕機と比較して安価であり、一般的なホテルや旅館などでも容易に設置できる。
ハンマー式破砕機(A1)の一実施例を図4に示す。破砕機(A1)は、破砕機の底部に、所定の回転速度で回転する回転板1備えている。回転板1は破砕機(A1)の内径よりも小径の円板であり、この回転板1上に回転ハンマー2が固定されている。食品残渣(E1)は、回転ハンマー2により破砕機壁面などに打ちつけられて破砕される。破砕されミンチ状となった食品残渣(E2)は回転板1の下から破砕機外部に排出される。また、回転板1の直径を調節することにより、異物分離が容易になる。
食品残渣を破砕するとともに異物が分離されることにより、異物の取り除かれた細かいミンチ状の破砕物が得られるので、該破砕物を湿潤性原料(a)として好適に利用できる。また、破砕することで原料の比表面積が増えるので、次工程の乾燥機(B)での乾燥効率が上がる。さらに、該破砕機により細かく粒の揃った形状となるので、そのままの形状で容易に乾燥性飼料(b1)、肥料(b2)、または堆肥(c)として製品化できる。
【0026】
[湿潤性原料(a)の製造工程]
厨芥からなる食品残渣(E)を原料とし、破砕機(A)にかけてミンチ状の湿潤性原料(a)を製造する。上述の破砕機(A)を用いるので、異物の取り除かれた細かいミンチ状の湿潤性原料が得られ、養殖魚の餌などに好適に利用できる。
製造した湿潤性原料(a)は保管箱に詰めて冷凍庫(D)で冷凍し、冷凍され固化した湿潤性原料を保管箱から取り出し、冷凍保存する。
冷凍庫での保存は、湿潤性原料の鮮度維持を目的とし、必要に応じて解凍して養殖魚などの生餌の代替飼料として活用する。
保管用パレットを用いることで、冷凍固化した湿潤性原料を効率的に製造することができる。
保管用パレットとして地域で規格化された定型パレット(H)を利用することで、ホテルなどの冷凍庫からパレットごと搬出し、船上で湿潤性原料を加工して、養殖魚の餌として与え、空になったパレットを再びホテルなどに戻すことで、地域内循環再利用が可能となる。
【0027】
[乾燥性飼料(b1)または肥料(b2)の製造工程]
乾燥機(B)は、好ましくは攪拌機(B1)、温度調節器(B2)、脱臭装置(B3)などを備えたものを使用する(図2および図3参照)。
残飯からなる食品残渣(E)を原料とし、上記湿潤性原料と同様に破砕してミンチ状にした原料を、乾燥機(B)に投入して、130℃以上の高温下で、攪拌機(B1)により十分に混合攪拌する。該処理により、ミンチ状原料が乾燥されるときに砕けて、粉末状の乾燥性飼料(b1)になる。
平成16年11月現在、飼料取締法で水産業の養殖には利用できないが、魚釣りなどの遊魚用の餌や、撒き餌としてなら利用が可能である。よって、ホテルの宿泊客の魚釣りの餌として、サービスで提供することなどが考えられる。
残飯に有機性廃棄物等が多く含まれている場合など、原料によっては同様の工程により肥料(b2)を生産できる。
【0028】
ミンチ状の原料を乾燥させるのは、含水率低下、減容化、滅菌および腐敗防止などを目的とするものであり、乾燥性飼料(b1)は取り扱い易く、また保存性も高い。なお、原料は乾燥機で粉末状になり易いため、撒き餌などのドライタイプの飼料としてより有効に活用することができる。
原料を乾燥させる過程で、初期温度が高くなるので、次工程の発酵装置(C)で、早期の発酵が可能となる。
乾燥機(B)において、温度調節器(B2)により乾燥機内温度を65℃程度にコントロールすることで発酵させることもできる。
【0029】
[堆肥(c)の製造工程]
発酵装置(C)は、好ましくは攪拌機(C1)を備えたものを使用する(図3参照)。
上記と同様に、残飯からなる食品残渣(E)を破砕してミンチ状にした原料を、乾燥機(B)で乾燥および破砕した原料を、発酵装置(C)で十分に発酵および熟成させることにより、乾燥した、または適度に水分を持つ堆肥(c)が得られる。原料としては主に、残飯からなる食品残渣(E)のうち、飼料または肥料とできないものを用いる。
原料は乾燥機内で130℃以上の高温にさらされるため確実に滅菌される。そこで、発酵装置に有用菌を添加(接種)すると、有用菌が活発に繁殖して、目的とする効果を十分に得ることができる。
例えば、原料の油分を減少させたい場合には、油分解菌(例えば、リパーゼ産生菌)を発酵装置に添加すればよい。なお、一度添加すれば発酵槽内で繁殖するため、投入された原料の油分分解を維持できる。
原料を発酵することで、タンパク質などの易分解性窒素成分は微生物分解を受け、窒素成分の一部はアンモニアガスとして揮散するため、緩効性の堆肥となる。なお、乾燥機で乾燥しただけの乾燥肥料は、窒素成分が高く、速効性の肥料として利用できる。
【実施例】
【0030】
破砕機(A)、乾燥機(B)、発酵装置(C)および冷凍庫(D)として下記表1に示すものを用いて本発明の食品残渣リサイクルシステムを構成した。該システムを用いて、以下に示す食品残渣の飼肥料化を行なった。
【表1】

【0031】
湿潤性飼料(a)化
魚の骨、伊勢えびの殻が主体の食品残渣(厨芥)約10kgを表1に示す破砕機に投入した。破砕機の排出口シャッターを閉じて、約1分破砕した。破砕完了後、シャッターを開放し、破砕物が排出された。
該破砕物を湿潤性飼料(a)とし、冷凍保管用パレットに移し、−20℃で冷凍・保管した。
【0032】
肥料(b2)化
バケツ1杯分(約10L)の食品残渣(残飯)を表1に示す破砕機に投入した。約10秒ですべて破砕され、破砕機の破砕物受け容器に破砕物が排出された。
該破砕物約70kgを表1に示す乾燥機(B)に投入し、約20時間乾燥させて肥料(b2)が得られた。また、該肥料(b2)は乾燥性飼料(b1)としても利用できる。
【0033】
堆肥(c)化
飼料化、肥料化できない生ゴミを、バケツ1杯分(約10L)を表1に示す破砕機に投入した。約10秒ですべて破砕され、破砕機の破砕物受け容器に破砕物が排出された。
該破砕物約70kgを表1に示す乾燥機(B)に投入し、約20時間乾燥させた後、発酵装置で、70℃で72時間発酵させて堆肥(c)を得た。
【産業上の利用可能性】
【0034】
装置全体が簡易、コンパクトかつ低コストであるので、旅館、ホテル毎に導入することが容易である。よって、地域内での食品残渣の循環利用を図り、地域環境保全を促進させるものとして好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の食品残渣リサイクルシステムによる食品残渣リサイクル全工程のフロー概要図である。
【図2】請求項1に係る食品残渣リサイクルシステムの概要図である。
【図3】請求項2に係る食品残渣リサイクルシステムの概要図である。
【図4】ハンマー式破砕機の一実施例を示す概要図である。
【符号の説明】
【0036】
A 破砕機
B 乾燥機
C 発酵装置
D 冷凍庫
E 食品残渣
E1 異物が分別された食品残渣
E2 ミンチ状となった食品残渣
F 旅館等
G 分別手段
H 定型パレット
a 湿潤性原料
b1 乾燥性飼料
b2 肥料
c 堆肥
1 回転板
2 回転ハンマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品残渣を破砕して湿潤性原料とする破砕機と、
前記湿潤性原料を乾燥して乾燥性飼料または肥料とする乾燥機とを備えることを特徴とする食品残渣リサイクルシステム。
【請求項2】
食品残渣を破砕して湿潤性原料とする破砕機と、
前記湿潤性原料を乾燥して乾燥性飼料または肥料とする乾燥機と、
前記乾燥性飼料または肥料を発酵させて堆肥とする発酵装置とを備えることを特徴とする食品残渣リサイクルシステム。
【請求項3】
前記破砕機は、ハンマー型破砕機であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の食品残渣リサイクルシステム。
【請求項4】
前記湿潤性原料を充填する容器は、定型パレットであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の食品残渣リサイクルシステム。
【請求項5】
前記発酵装置は、温度調節器および攪拌機が設けられ、かつ脂質を分解する脂質分解細菌が存在することを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の食品残渣リサイクルシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−262808(P2006−262808A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−87396(P2005−87396)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年11月1日 廃棄物学会発行の「第15回 廃棄物学会研究発表会講演論文集」に発表
【出願人】(594156880)三重県 (58)
【出願人】(000147408)株式会社西原環境テクノロジー (44)
【Fターム(参考)】