説明

食品生地の整列方法及び装置

【課題】搬送コンベアによって搬送される食品生地を、整列部材に当接して整列する際の、食品生地の変形、粘着を抑制することのできる食品生地の整列方法及び装置を提供する。
【解決手段】搬送コンベア3Bによって下流方向へ搬送される複数列の食品生地1における先頭部分を、搬送方向に対して直交する直線L1,L2上に整列する食品生地の整列方法であって、前記各列に対応して食品生地1の当接整列を行う複数の整列部材27を、前記搬送コンベア3Bの搬送方向へ往復動自在かつ搬送コンベア3Bに対して上下動自在に備え、前記整列部材27が前記搬送コンベア3Bの搬送速度よりも小さな速度で下流方向へ移動しているときに、前記搬送コンベア3Bによって下流方向へ搬送される各列における食品生地1の先頭部を、各列に対応した前記各整列部材27に当接した後に前記整列部材27を上昇する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送コンベアによって下流方向へ搬送される複数列の食品生地の先頭部分を、搬送方向に対して直交する方向の直線上に整列する方法及び装置に係り、さらに詳細には、前記食品生地の先頭部分を当接し整列するための整列部材と前記食品生地との粘着を防止して、前記食品生地から前記整列部材を離反するときに、整列部材に粘着して食品生地が移動することのないように、また、整列部材に食品生地を当接整列したときの変形を抑制することのできる食品生地の整列方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、食品生地の一例としてのクロワッサン生地は、第1の搬送コンベアによって下流方向へ搬送される大きなシート状の生地から複数の三角形状の食品生地に切断分離している。上記複数の三角形状の食品生地は、搬送コンベアの搬送方向に対して直交する方向に整列した状態であって、三角形の頂点及び底辺が前記整列方向に位置するように切断分離される。そして、第1の搬送コンベアから第2の搬送コンベアに移載するときに、離間装置によって、前記食品生地はシート状の生地側から離間され、その後に千鳥足状に配列される。
【0003】
前記第2の搬送コンベアによる前記食品生地の搬送途中において、三角形状の前記食品生地における底辺部分が先頭部分となるように、食品生地の旋回が行われる。そして、上記食品生地を下流の巻上げ装置へ搬送することにより、三角形状の底辺側から次第に巻上げてクロワッサンを製造するものである(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2567296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、三角形状の食品生地の底辺側が先頭部分となるように旋回した後は、各食品生地の底辺が直線上に整列した状態ではなく、多少乱れた状態にあるので、前記巻上げ装置へ食品生地を搬入する前に、食品生地の底辺を、搬送方向に対して直交する方向の直線上に整列する必要がある。
【0006】
そこで、前記特許文献1の図2には、旋回した後の食品生地と搬送コンベアとの間に滑りを生じさせて食品生地の搬送を一時的に停止し、複数の食品維持を搬送方向に対して直交する方向に整列させるためのストッパ(符号なし)が上下に回動自在に備えられている。すなわち、上記ストッパが下方向に回動した状態にあるときに、搬送コンベアによって搬送される食品生地を当接し、前記ストッパを上方向へ回動することによって、前記食品生地からストッパを離反する構成である。
【0007】
したがって、前記構成においては、停止した状態のストッパに食品生地が搬送速度で当接するために変形し易いと共に、ストッパを上方向へ回動するときに、食品生地が粘着して引摺られ易いという問題がある。まして、生産性向上を図るために、前記搬送コンベアの搬送速度をより大きくすると、前記変形がより大きくなると共に前記粘着力がより大きくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、搬送コンベアによって下流方向へ搬送される複数列の食品生地における先頭部分を、搬送方向に対して直交する直線上に整列する食品生地の整列方法であって、前記各列に対応して食品生地の当接整列を行う複数の整列部材を、前記搬送コンベアの搬送方向へ往復動自在かつ搬送コンベアに対して上下動自在に備え、前記整列部材が前記搬送コンベアの搬送速度よりも小さな速度で下流方向へ移動しているときに、前記搬送コンベアによって下流方向へ搬送される各列における食品生地の先頭部を、各列に対応した前記各整列部材に当接した後に前記整列部材を上昇することを特徴とするものである。
【0009】
また、搬送コンベアによって下流方向へ搬送される複数列の食品生地における先頭部分を、搬送方向に対して直交する直線上に整列する食品生地整列装置であって、前記各列に対応して食品生地の当接整列を行う複数の整列部材を直線上に整列して備えた整列動作軸を、前記搬送コンベアの搬送方向へ往復動自在かつ軸心回りに回動自在又は上下動自在に備え、前記整列動作軸を前記下流方向へ移動するときには前記搬送コンベアの搬送速度よりも小さな速度で移動するための往復動作手段を備えると共に、前記整列動作軸を回動又は上下動するための軸作動手段を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
また、前記食品生地整列装置において、前記往復動作手段と前記軸作動手段は、当該往復動作手段と軸作動手段とを同期連動するための同期連動手段を介して連動連結してあることを特徴とするものである。
【0011】
また、前記食品生地整列装置において、前記往復動作手段は、回転軸に備えた偏心カムの回転によって往復動作されるコネクティングロッドを備え、このコネクティングロッドの先端部が前記整列動作軸に相対的に回動自在に連結した構成であり、前記軸作動手段は、前記回転軸と連動回転する連動回転軸に備えたカムによって上下に揺動される上下揺動レバーを備えると共に、この上下揺動レバーの上下動を前記整列動作軸の回動動作に変換するための動作変換機構を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、搬送コンベアの搬送速度よりも小さな速度でもって整列部材を下流方向へ移動しているときに、上記搬送コンベアによって搬送される各列の食品生地の先頭部分を整列部材に当接し整列するものであるから、整列部材に対する食品生地の当接時における相対的な速度を小さくすることができる。したがって、当接時における食品生地の変形、粘着を抑制することができると共に、搬送コンベアの搬送速度をより大きくして生産性の向上を図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】シート状生地から複数の食品生地を複数列、複数行に切断分離して整列するまでの食品生地の流れ動作を説明した平面説明図である。
【図2】上記流れ動作に対応した各種の手段の配置関係を概略的に示した説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る食品生地整列装置の全体的構成を概念的、概略的に示した平面説明図である。
【図4】回転軸と従動軸(連動回転軸)との連動機構部分を示した正面説明図である。
【図5】上下作動部材の上下動作を整列作動軸の回動動作に変換する動作変換機構部分の構成を示した側面説明図である。
【図6】上下作動部材を上下動する構成の部分を示した正面説明図である。
【図7】上下作動部材によって整列作動軸を回転する構成部の正断面説明図である。
【図8】整列部材の動作説明図である。
【図9】整列部材の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明するに、理解を容易にするために、食品生地としてクロワッサン生地を搬送方向に対して直交する方向の直線上に整列する場合について説明する。なお、食品生地としてはクロワッサン生地に限るものではなく、例えば、四角形や丸形などの適宜形状に予め成形加工された食品生地なども対象とし得るものである。
【0015】
図1,2を参照するに、三角形状に切断分離された複数の食品生地1をクロワッサンに巻上げるための巻上げ装置(図示省略)の上流側には、大きなシート状生地1Sを下流方向(搬送方向、矢印A方向)へ搬送する第1の搬送コンベア3Aが配置されており、この第1の搬送コンベア3Aの下流側には、第1の搬送コンベア3Aよりも僅かに搬送速度の大きな第2の搬送コンベア3Bが配置されている。前記第1の搬送コンベア3Aの上側には、搬送される前記シート状生地1Sを、複数列複数行の三角形状の前記食品生地1に順次切断分離するためのロータリーカッタ(図示省略)が備えられている。
【0016】
そして、前記第1の搬送コンベア3Aから第2の搬送コンベア3Bへ食品生地1を移載する位置には、搬送コンベアの搬送方向に対して直交した状態の1行に整列した状態の複数の食品生地1を、第2の搬送コンベア3B上に移載するときに、シート状生地1Sから大きく離間して配列するための離間装置5が備えられている。なお、この離隔装置5は既に知られている構成であるから、離間装置5の詳細な構成についての説明は省略する。
【0017】
上記離間装置5の下流側であって前記第2の搬送コンベア3Bの上側には、離間された第1行の食品生地1を、図1に示すように、千鳥足状に配列するための千鳥足配列手段7が備えられており、この千鳥足配列手段7の下流側には、図1に示すように、三角形状の前記食品生地1における底辺側が先頭部分となるように90°旋回するための食品生地旋回手段9が備えられている。なお、上記千鳥足配列手段7及び前記食品生地旋回手段9は、既に公知の構成のものでよいものであるから、千鳥足配列手段7及び生地旋回手段9についてのより詳細な説明は省略する。
【0018】
既に理解されるように、シート状生地1Sから、搬送コンベア3A,3Bの搬送方向に対して直交する方向の1行に切断分離された複数の食品生地1は千鳥足状に配列され、かつ底辺側が先頭部分となるように旋回されるものであるから、旋回した後の各食品生地1における先頭部分の底辺が搬送方向に対して直交する方向の直線L1,L2上に整列しているとは限らないものである。したがって、前記巻上げ装置に対して複数の食品生地1を送給するに際して、各食品生地1の先頭部分を、搬送方向に対して直交する方向の直線L1,L2上に整列するために、食品生地整列装置11が前記第2搬送コンベア3Bの上側に備えられている。
【0019】
より詳細には、図3に示すように、第2の搬送コンベア3B(以下、単に搬送コンベア3Bと称す)におけるコンベアフレーム13には左右の側枠体15L,15Rが備えられている。そして、前記左右の側枠体15L,15Rには、搬送コンベア3Bの搬送方向(矢印A方向、前後方向)に対して直交する左右方向に長い整列作動軸17の左右両端部が、前記搬送コンベア3Bの搬送方向へ往復動自在かつ軸心回りに回動自在又は上下動自在に支持されている。この整列作動軸17の両端側には、搬送コンベア3Bの搬送方向に突出した左右のブラケット19L,19Rの基端部がボルト等のごとき締結具21を締付けることによって一体的に固定してある。
【0020】
前記左右のブラケット19L,19Rの先端部には、左右方向に長い支持軸23の左右両端部が締付レバーなどのごとき締付固定具25を介して着脱可能に取付けてある。この支持軸23には、千鳥足状に配列されて下流方向へ搬送される前記各食品生地1を当接して前記直線L1,L2に整列するための複数の整列部材27が、支持軸23の長手方向へ位置調節可能かつ千鳥足状に配置して備えられている。より詳細には、前記支持軸23に直接取付けた整列部材27と搬送方向に突出したブラケット29に取付けた整列部材27とを、支持軸23の長手方向に交互に備えることによって、複数の前記整列部材27は、図3に示すように、千鳥足状に配列してある。
【0021】
なお、前記整列部材27を支持軸23の長手方向へ位置調節可能な構成としては、例えば、支持軸23に長手方向のスリット又はT溝などのごとき適宜形状の溝を備えた構成とし、上記スリットを貫通したボルト等のごとき固定具又は前記溝に位置調節可能に係合したTボルト又はTナットなどのごとき固定具を介して、前記整列部材27及び前記ブラケット29を支持軸23に固定する構成とすることができるものである。また、食品生地1の列数や配置間隔に対応して複数の整列部材27を予めセットした別個の支持軸23を、ブラケット19L,19Rに着脱交換することも可能であり、部材交換を短時間で効率よく行い得るものである。
【0022】
ところで、前記説明においては、前記整列作動軸17と支持軸23とを別体として説明したが、整列作動軸17と支持軸23は、左右のブラケット19L,19Rを介して一体化してあるから、一体物と見做すことも可能である。
【0023】
既に理解されるように、予め複数列に切断分離されて千鳥足状に配置され、搬送コンベア3Bによって下流方向へ搬送される食品生地1の先頭部分を、千鳥足状に配置してある複数の前記整列部材27に当接し整列することにより、前記各食品生地1を、搬送コンベア3Bの搬送方向に対して直交する左右方向の前記直線L1,L2に整列することができるものである。
【0024】
前記各整列部材27に食品生地1を当接して整列する際に、搬送コンベア3Bによって搬送される食品生地1の搬送方向と同方向へ前記整列部材27を移動しつつ当接するために、前記整列作動軸17を搬送方向へ往復動するための往復作動手段31が備えられていると共に、前記整列部材27を上下動するために、前記整列作動軸17を軸心回りに回動又は上下動するための軸作動手段33が備えられている。そして、前記往復作動手段31と前記軸作動手段33とを同期連動するための同期連動手段35が備えられている。すなわち、前記往復作動手段31と前記軸作動手段33は、同期連動手段35を介して常に連動して動作するように連動連結してあるものである。
【0025】
より詳細には、前記コンベアフレーム13における側枠体15Lに一体的に水平に固定した板状のベース部材37上には、軸受39を介して入力軸41の一端部が回転自在に支持されている。この入力軸41の他端部は、適宜の動力伝達機構(図示省略)を介して前記搬送コンベア3Bを走行駆動するためのモータ(図示省略)と連動連結してある。すなわち、前記入力軸41は、前記搬送コンベア3Bと連動連結してあって、連動して回転されるものである。したがって、搬送コンベア3Bの搬送速度が速くなれば、前記入力軸41は連動してより高速回転するものである。なお、前記入力軸41に、例えばサーボモータ等の適宜のモータを連動連結し、当該モータを前記搬送コンベア3Bを駆動するモータと同調して制御することも可能である。
【0026】
前記入力軸41には、回転伝達手段の一例としてのギア43が一体的に取付けてあり、このギア43には、従動軸45に備えた従動ギア47が噛合してある。上記従動軸45は、前記搬送コンベア3Bの搬送方向と平行に設けてあって、両端部付近は、前記ベース部材37上に備えた軸受49A,49Bに回転自在に支承されている。そして、この従動軸45の一端部に備えた回転伝達手段の一例としてのベベルギア51には、回転軸53の一端部に備えたベベルギア55と噛合してある。
【0027】
したがって、従動軸45と回転軸53は、ベベルギア51,55を介して連動回転するものであるから、従動軸45は、回転軸53と連動回転する連動回転軸を構成するものである。
【0028】
前記回転軸53は前記往復作動手段31の一部を構成するものであって、前記搬送コンベア3Bの搬送方向(前後方向)に対して直交する左右方向に長く設けてあり、この回転軸53の両端側は、前記コンベアフレーム13における左右の側枠体15L,15Rに備えた軸受57L,57Rに回転自在に支持されている。前記回転軸53の両端側であって前記側枠体15L,15Rの内側には、偏心カム59L,59Rがキー等を介して一体的に取付けてあると共に、上記偏心カム59L,59Rの偏心方向と逆方向の位置に重心を備えたバランサー61L,61Rが前記偏心カム59L,59Rに近接して備えられている。したがって、前記回転軸53、偏心カム59L,59Rを一体的に回転したときに生じる傾向にある振動は、バランサー61L,61Rが偏心回転することによって相殺されるものであり、偏心カム59L,59Rの偏心回転による振動は抑制されるものである。
【0029】
前記左右の偏心カム59L,59Rには、左右のコネクティングロッド63L,63Rの基端部が軸受け62L,62Rを介して回転可能に嵌合してあり、このコネクティングロッド63L,63Rの先端部は、前記整列作動軸17と回転可能に嵌合してある。したがって、回転軸53が回転されると、偏心カム59L,59Rを介して左右のコネクティングロッド63L,63Rが、図3において上下方向、すなわち前記搬送コンベア3Bの搬送方向に往復動されることになる。よって、前記整列作動軸17及び整列部材27は、コネクティングロッド63L,63Rによって同方向に往復動されるものである。
【0030】
前記側枠体15L,15Rには、前記整列作動軸17を搬送方向に移動可能なように大きな穴65L,65Rが形成されており、前記整列作動軸17の左右両端部が前記大きな穴65L,65Rに貫通している。また、前記側枠体15L,15Rには、上下一対のリニアガイド機構66L,66Rがそれぞれ備えられている。そして、スライダ67L,67Rが前記リニアガイド機構66L,66Rに取り付けられると共に、前記整列作動軸17の左右両端側を回動自在に支持している。前記整列作動軸17を軸心回りに回動するために、図5に示すように、前記整列作動軸17の左端部には回動レバー69が一体的に取付けてある。この回動レバー69は、上下動自在な上下作動部材71の上下動作を回動動作に変換するための動作変換機構73の一部を構成するものである。
【0031】
すなわち、前記回動レバー69には、長手方向の長孔75が形成してあり、この長孔75内には、前記上下作動部材71に備えたローラなどのごとき作動子77が係合してある。したがって、前記上下作動部材71が上下動することにより、前記整列作動軸17が軸心回りに回動されて、当該整列作動軸17に備えた複数の整列部材27が搬送コンベア3Bの上面に対して上下動されるものである。
【0032】
前記上下作動部材71を上下動するために、前記従動軸(連動回転軸)45にはカム溝79Gを備えた一対の面カム79が一体的に備えられている。前記一対の面カム79における各カム溝79Gには、各上下揺動レバー81の中間部に備えたカムフォロア83が係合してある(図6参照)。そして、前記各上下揺動レバー81の基端部側を、前記ベース部材37、前記側枠体15Lと一体的な支持ブラケット80に揺動自在に枢支し、前記各上下揺動レバー81の先端部には上下動自在な支持リンク85の下端部がそれぞれ枢支連結してある。
【0033】
この一対の支持リンク85の上端部には、搬送方向(前後方向)に長いガイドバー87が両端側が支持されている。前記ガイドバー87の両端部は、前記側枠体15Lに備えたガイドプレート89(図5,7参照)の上下方向のガイド孔89Hを上下動自在に貫通している。そして、前記ガイドバー87と前記側枠体15Lに取付けた吊具91との間には、バランススプリング93が張設してある。
【0034】
そして、前記上下作動部材71は、前記スライダ67Lに備えた上下方向のリニアガイド機構95(図7参照)を介して上下動自在に支持されており、この上下作動部材71の上部に一体的に備えたスライドブラケット97が前記ガイドバー87に相対的に移動自在に嵌合支持されている。
【0035】
したがって、前記連動回転軸45が回転されて面カム79が回転されると、上下揺動レバー81、支持リンク85を介してガイドバー87が上下動される。そしてガイドバー87の上下動に連動して上下作動部材71が上下動されるので、当該上下作動部材71に備えた作動子77を介して回動レバー69が上下に回動され、前記整列作動軸17が上下方向に回動されるものである。前記整列作動軸17がリニアガイド機構66L,66Rに案内されて搬送方向(前後方向)に移動するときには、前記上下作動部材71は、前記ガイドバー87に対して前後方向に移動するものである。
【0036】
以上のごとき構成において、図1に示すように、第1の搬送コンベア3Aによってシート状生地1Sが下流方向(矢印A方向)に搬送されて、ロータリーカッタ(図示省略)の位置に至ると、図1に示すように、複数行複数列の三角形状の食品生地1に切断分離される。そして、前記第1の搬送コンベア3Aから1行の食品生地1が第2の搬送コンベア3Bへ移載するときには、離間装置5の作用によって、前記1行の食品生地1はシート状生地1S側から離間するように移載される。
【0037】
そして、前記1行の食品生地1が千鳥足配列手段7の位置に搬送されると、千鳥足配列手段7によって千鳥足状に配置される。千鳥足状に配置された食品生地1は、次に、食品生地旋回手段9の位置において、三角形状の底辺側が先頭部分となるように旋回される。このように、千鳥足状に配置され、かつ底辺側が先頭部分となるように旋回された複数の食品生地1が食品生地整列装置11の位置へ搬送されると、各食品生地1は、搬送方向に対して直交する直線L1,L2上に先頭部分(底辺)が一致するように整列されるものである。
【0038】
すなわち、前記搬送コンベア3Bの回転と連動して入力軸41が回転されると、前述したように、回転軸53及び連動回転軸(従動軸)45が連動して回転される。前記回転軸53の初期状態は、図8(A)に示すように、当該回転軸53に備えた偏心カム59L,59Rの偏心位置が搬送方向(矢印A方向)の上流側に位置した状態にある。そして、前記上下作動部材71は下降した状態にあり、前記整列作動軸17は下方向(図8(A)においての時計回り方向)に回動した状態にある。したがって、前記搬送コンベア3Bの搬送動作と連動して回転軸53が、図8(A)において反時計回り方向に回転すると、前記整列作動軸17及び複数の整列部材27は、搬送方向の下流側(図8(A)において右方向)へ移動することになる。
【0039】
この際、前記整列作動軸17、整列部材27の下流側方向への移動速度は、前記搬送コンベア3Bの搬送速度より小さく、搬送コンベア3Bによって搬送される食品生地1が前記整列部材27に追い付き、当接するものである(図8(B)参照)。そして、整列部材27に当接した食品生地1は高速移動を規制され、搬送コンベア3との間に滑りを生じ、整列部材27と一体的に下流方向へ移動するものである。
【0040】
既に理解されるように、複数の整列部材27に対して複数の食品生地1の先頭部分がそれぞれ当接されると、複数の食品生地1における先頭部分は、搬送方向に対して直交する前記直線L1,L2上に整列されることになる。その後、前記回転軸53と連動回転している連動回転軸45の回転が進行すると、面カム79の作用によって上下揺動レバー81が上方向へ揺動され、ガイドバー87、上下作動部材71が下降位置から上昇されることになる。
【0041】
前記上下作動部材71が上昇されると、作動子77及び回動レバー69を介して、整列作動軸17が、図5において、反時計回り方向に回動されることになる。したがって、複数の整列部材27が搬送コンベア3の上面から上昇し(図9(A)参照)、複数の食品生地1は、先頭部分を直線L1,L2上に整列した状態において下流側へ高速で搬送されることとなる。そして、整列した食品生地1が前記整列部材27を下方を通過し、前記回転軸53及び連動回転軸45の回転がさら進行すると、初期状態に戻ることになる(図9(B)参照)。
【0042】
前述のごとく、搬送コンベア3Bによって高速搬送される食品生地1を、整列部材27に当接する際には、整列部材27は搬送コンベア3Bの搬送速度よりは遅い速度で同方向へ移動しているので、整列部材27に食品生地1が当接するときの相対速度は小さなものであり、整列部材27に対する食品生地1の当接時の食品生地1の変形や衝撃を小さく抑制でき、かつ整列部材27に対する食品生地1の粘着を防止できるものである。したがって、前述したごとき従来の問題を解消することができ、食品生地1の高速搬送による生産性の向上を図ることができるものである。
【0043】
なお、本発明は、前述したごとき実施形態に限ることなく、適宜の変更を行うことにより、その他の形態でもって実施可能である。例えば、上下作動部材71によって整列作動軸17を直接上下動する構成として整列部材27を上下動させることも可能である。また、前記整列作動軸17の前後方向(搬送方向)への往復動作を、サーボモータの回転動作又はリニアモータの動作によって行う構成とし、かつ前記整列作動軸17の回動を、前記往復動作に連動して回動制御されるサーボモータ等によって行う構成とすることも可能である。
【0044】
また、千鳥足状に配列された前記食品生地1を千鳥状に整列する、つまり、2行の食品生地1を同時に整列するよう説明したが、前記食品生地1の行数は1行や3行以上であってもよい。
【0045】
また、食品生地1は、予め複数列に切断分離されたものだけでなく、例えば、1列に並べられた複数の略半球状のピザ生地塊などを適宜の延展装置にて延展して成形した薄い略円盤状の食品生地などであってもよく、搬送方向に対して直交する直線上に整列する際に、整列部材との粘着を抑制できると共に生産性の向上を図ることができるものである。なお、円形の食品生地を整列させる際には、整列部材の食品生地への当接部分は、前記円形に沿うような円弧状や2点で食品生地に当接するような「く」の字のような屈曲状であればよい。
【符号の説明】
【0046】
1 食品生地
1S シート状生地
3A 第1の搬送コンベア
3B 第2の搬送コンベア
17 整列作動軸
27 整列部材
31 往復作動手段
33 軸作動手段
35 同期連動手段
37 ベース部材
41 入力軸
45 従動軸(連動回転軸)
53 回転軸
59L,59R 偏心カム
63L,63R コネクティングロッド
66L,66R リニアガイド機構
67L,67R スライダ
69 回動レバー
71 上下作動部材
73 動作変換機構
79 面カム
81 上下揺動レバー
83 カムフォロア
85 支持リンク
95 リニアガイド機構
97 スライドブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送コンベアによって下流方向へ搬送される複数列の食品生地における先頭部分を、搬送方向に対して直交する直線上に整列する食品生地の整列方法であって、前記各列に対応して食品生地の当接整列を行う複数の整列部材を、前記搬送コンベアの搬送方向へ往復動自在かつ搬送コンベアに対して上下動自在に備え、前記整列部材が前記搬送コンベアの搬送速度よりも小さな速度で下流方向へ移動しているときに、前記搬送コンベアによって下流方向へ搬送される各列における食品生地の先頭部を、各列に対応した前記各整列部材に当接した後に前記整列部材を上昇することを特徴とする食品生地の整列方法。
【請求項2】
搬送コンベアによって下流方向へ搬送される複数列の食品生地における先頭部分を、搬送方向に対して直交する直線上に整列する食品生地整列装置であって、前記各列に対応して食品生地の当接整列を行う複数の整列部材を直線上に整列して備えた整列動作軸を、前記搬送コンベアの搬送方向へ往復動自在かつ軸心回りに回動自在又は上下動自在に備え、前記整列動作軸を前記下流方向へ移動するときには前記搬送コンベアの搬送速度よりも小さな速度で移動するための往復動作手段を備えると共に、前記整列動作軸を回動又は上下動するための軸作動手段を備えていることを特徴とする食品生地整列装置。
【請求項3】
請求項2に記載の食品生地整列装置において、前記往復動作手段と前記軸作動手段は、当該往復動作手段と前記軸作動手段とを同期連動するための同期連動手段を介して連動連結してあることを特徴とする食品生地整列装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の食品生地整列装置において、前記往復動作手段は、回転軸に備えた偏心カムの回転によって往復動作されるコネクティングロッドを備え、このコネクティングロッドの先端部が前記整列動作軸に相対的に回動自在に連結した構成であり、前記軸作動手段は、前記回転軸と連動回転する連動回転軸に備えたカムによって上下に揺動される上下揺動レバーを備えると共に、この上下揺動レバーの上下動を前記整列動作軸の回動動作に変換するための動作変換機構を備えていることを特徴とする食品生地整列装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−229479(P2011−229479A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104140(P2010−104140)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000115924)レオン自動機株式会社 (98)
【Fターム(参考)】