説明

食品用固形押出製品

本発明は、水中油型エマルジョンと固体マトリックスとの押出成形可能な混合物を含む固形製品に関する。この固形製品は、例えば飲料添加物として又はインスタント飲料製品として食品に使用してもよい。さらに本発明は、このような固形製品の調製に必要な条件下で安定な水中油型エマルジョンを提供する。さらに本発明の固形製品は、従来の噴霧乾燥及び凍結乾燥された粉末をベースとする、クリーマー等の食品添加物とは異なり、水性媒体に添加すると自己分散する、すなわち、撹拌を必要としない。さらにこれは、起泡剤を使用しなくても泡を生じ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型エマルジョンと固体マトリックスとの押出成形可能な混合物を含む固形製品に関する。この固形製品は、例えば、飲料添加物として又はインスタント飲料製品として食品に使用してもよい。さらに本発明は、この種の固形製品を調製するために必要とされる条件下において安定な水中油型エマルジョンを提供する。さらに本発明の固形製品は、噴霧乾燥及び凍結乾燥された粉末をベースとする、クリーマーのような従来の食品添加物とは異なり、水性媒体に添加されると自己分散する(spontaneously disperse)、すなわち撹拌を必要としない。さらにこれは、起泡剤を一切使用しなくても泡を生じ得る。
【背景技術】
【0002】
クリーマー等のインスタント形態にある製品は、通常、噴霧乾燥によって製造される。しかしながら、噴霧乾燥によって製造された製品は乾燥形態で提供されており、消費者の需要の変化によって、例えば液体形態の製品や様々な形態に成形可能な製品等をより柔軟に提供することが必要になると予想されている。さらに、噴霧乾燥工程には比較的大型の製造設備が必要とされるうえに、微生物による汚染や同じ設備で製造されている他の製品との交差汚染を防ぐために特殊な予防措置を行うことが必要である。したがって、設備の清掃が簡単であり、かつ速やかな切替えが可能な噴霧乾燥に代替する方法の開発が必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
このように、より柔軟性な解決策の必要性が高まっていることに鑑み、本発明者らは、噴霧乾燥に代替する方法、すなわち押出成形を用いる方法を開発した。この方法によって、得られる製品に応じたより柔軟な解決策が得られるうえに、加工後にさらなる成分を添加することが不要になる場合もある。噴霧乾燥によって製品を得る場合、通常、噴霧乾燥工程で全成分を扱うわけではなく、後段で添加されるものもあるが、押出成形を用いる場合は、全成分を押出成形工程に供してもよい。すなわちこれは、より簡便で経済的な工程である。さらにこの方法では、酸化がより起こりにくく、これに関連する設備は微生物又は他の汚染を防ぐための清掃が簡単であり、その結果として、製造の安全性が高くなる。さらに、押出成形を含むこの方法により、粘稠性が改善された製品が得られる。
【0004】
本発明の目的は、食品用の自己分散可能な固形製品を提供することにある。本発明のさらなる目的は、水又は他の液体に添加すると、脂肪と他の成分との均質な混合物を与え、逆の場合も同様である固形製品を提供することにある。本発明のさらなる目的は、起泡剤も安定剤も使用することなく、白色化能(whitening power)に加えて安定な泡の層を与える固形製品を提供することにある。
【0005】
予期せぬことに、本発明者らは、水中油型エマルジョンを含む混合物を、エマルジョンの合一又は転相を引き起こすことなく押出成形することが可能であることを見出した。このことにより、この固形製品を水に加えると自己分散し(その逆も同様)、またその脂肪成分が製品に白色化能を与えることから、例えば栄養補給製品又は食品添加物として使用するのに好適な特性を有する固形製品を得ることが可能となる。さらにこの固形製品は、所望により、特別に起泡剤を添加しなくても泡の層を与えることができる。押出成形可能な混合物(すなわち水中油型エマルジョンと固体マトリックスとからなる)は、水中油型エマルジョン及び固体マトリックスの両方を変化させることによって幾つかの態様で配合することができ、これにより、例えば完全インスタント飲料又は飲料添加物となり得る製品が得られる。完全インスタント飲料の例としては、例えばクリーマー、砂糖、及びコーヒーを適切な比率で押出成形した3成分配合物(3 in 1 formulation)が挙げられる。固形製品全体は、全成分が含まれた状態で固定の形状に押出成形されているため、分離の問題が完全に回避される。
【0006】
本発明による固形製品は、周知の配合物(典型的には噴霧乾燥によって調製される)とは異なり、特に水性媒体に接した際の白色化能及び分散能力に関する特性が保たれている。この目的のためには、水中油型エマルジョンを固体マトリックスと一緒に押出成形して膨張させることにより、(水中油型エマルジョンの油相の)脂肪分が固形製品中に均一に分布し、かつ所望の白色化能が得られるように油性物質の粒径が十分に小さくなっている固形製品を得ることができるかどうかが極めて重要な課題となる。したがって、この固形製品の調製に用いるのに好適な水中油型エマルジョンが、例えば合一(すなわち、油性物質が一緒になって「流動」することや凝集すること)又はエマルジョンの転相(すなわち、油中水型エマルジョンが替わりに形成されることによって、油相に替わって水相が分散すること)を起こすことなく押出成形及び膨張条件に耐えられることが非常に重要である。
【0007】
一態様においては、本発明は、水分含有量が最大で約30%w/wである水中油型エマルジョンであって、
i)この水中油型エマルジョンと固体マトリックスとを1:0.5〜約1:5の重量比で合わせた混合物をこの混合物の融点以上の温度で加熱することにより押出成形することによって押出成形物を得るステップと、
ii)このようにして得られた押出成形物を真空中で膨張させることによって、水分含有量が最大で約10%である固形製品を得るステップと
を含む条件に付した場合に、合一及び転相に対して安定であるエマルジョンに関する。
【0008】
さらに本発明は、固体マトリックスと一緒に押出成形され、真空中で膨張された、上記の水中油型エマルジョンからなる食品用固形製品であって、この水中油型エマルジョンが、
i)1つ以上の脂肪成分を含む油相と、
ii)水相と
を含み、この固形製品が、水性媒体に添加されると自己分散する、固形製品に関する。油相は脂肪相と称することもでき、水中油型エマルジョン中においては、油相は連続水相中に分散している。
【0009】
さらなる態様においては、本発明は、
i)1つ以上の脂肪成分を含む油相と水相とを含む水中油型エマルジョンと固体マトリックスとを合わせた混合物を、この混合物の融点以上の温度で押出成形することによって、押出成形された材料を得るステップと、
ii)この押出成形された材料を真空中で膨張させるステップと、
iii)場合により、乾燥によって残留水分を除去するステップと
によって固形製品を得る、食品用固形製品を提供するための方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
上述したように、本発明の固形製品の調製に使用される水中油型エマルジョンの特性及び構成は、白色化能及び分散性に関し所望の結果を達成するために極めて重要である。
【0011】
したがって、本発明は、水分含有量が最大で約30%w/wである水中油型エマルジョンであって、
i)この水中油型エマルジョンと固体マトリックスとを1:0.5〜約1:5の重量比で合わせた混合物をこの混合物の融点以上の温度で加熱することにより押出成形することによって押出成形物を得るステップと、
ii)このようにして得られた押出成形物を真空中で膨張させることによって、水分含有量が最大で約10%である固形製品を得るステップと
を含む条件において、合一及び転相に対して安定であるエマルジョンを提供する。
【0012】
本発明の水中油型エマルジョンは、押出成形及び膨張に関し上述の要件を満たすことが必要である。任意の好適な押出成形機、例えば、単軸、二軸、多軸、リングスクリュー(ring screw)、遊星歯車押出機等又は溶融物(溶融混合物)を成形することができる他の任意の連続的若しくは不連続的混合系を使用してもよい。さらに、本明細書において使用される「真空」という用語は、0.01〜250mbar、好ましくは1〜50mbarの圧力を意味することを意図している。特に好ましい範囲は10〜25mbarである。上述した試験に使用するのに好適な固体マトリックスは、マルトデキストリンDE21若しくはマルトデキストリンDE29又はその混合物である。
【0013】
驚くべきことに、本発明者らは、このo/wエマルジョンが、押出機内において、高剪断、高温、高圧下にあり、水が最小量であっても安定なことを見出した。
【0014】
本発明者らは、比較的多量の脂肪粒子を含有させると同時に、押出成形及び膨張時の合一及び/又は転相を防ぐためには、水分含有量を比較的少なく、すなわち最大で約30%w/wとすることが重要であることを見出した。
【0015】
さらに本発明者らは、例えばカゼイン塩のような乳化剤が存在する場合、脂肪成分及び乳化剤の重量比がエマルジョンの安定性に影響することを見出した。本発明者らは、カゼイン塩に関しては、脂肪及びカゼイン塩比の最適な重量比が、使用された水の具体的な量に依存することを見出した。脂肪及びカゼイン塩の理想的な比率は、水が26%の場合は約14(理想的には、脂肪が69%、カゼイン塩が5%、水が26%)である。通常、脂肪及びカゼイン塩の重量比は、水が26%の場合は約10〜約18の範囲にある。この比率が低すぎると、エマルジョンが転相する危険性がある(例えば、水が26%で重量比が約10〜12以下である場合)。一方、この比率が高すぎる(例えば、16〜18以上)場合は、脂肪の小粒子を安定化させることがもはや不可能である。異なるタンパク質の場合は、他の好適な最適比率があるであろう。
【0016】
本発明によるエマルジョンは、水中油型エマルジョン、すなわち、1つ以上の脂肪成分を含む油相と水相とを含むものである。油相は分散相であり、これは、均質相(水相)中に1つ以上の脂肪成分が均一に分布していることを意味する。通常、脂肪小滴又は脂肪粒子の寸法は、脂肪粒子がより均一に分布するように、かつ、合一又は転相を回避するためにエマルジョンの安定性が最適になるように、非常に小さくなっている(すなわちミクロンサイズである)。上記2つの副反応は非常に望ましくないものである。合一とは、エマルジョンの脂肪小滴又は粒子が最初の段階で一緒に流動してより大きな小滴又は粒子を形成することを意味する。その次の段階では、油相がエマルジョンから分離することによって完全に分離した2相系となる場合がある。
【0017】
上述したように、本発明の水中油型エマルジョンは、脂肪成分の含有量が比較的高い。したがって、一実施態様においては、脂肪成分は、水中油型エマルジョンの約30〜約75%w/wを構成する。乾燥物基準で計算すると、脂肪成分は、最大でエマルジョンの乾燥物含有量の約95%w/wまで、例えば、少なくとも約50%w/w、少なくとも約60%w/w、少なくとも約70%w/w、少なくとも約80%w/w、又は少なくとも約90%w/wを構成する。
【0018】
本発明による水中油型エマルジョンは、食品用固形製品の調製に使用するのに好適である。この脂肪成分は、食品用として許容可能であることが重要である。本発明の一実施態様においては、脂肪成分は、杏仁油、アンズ油(abricot oil)、扁桃油、アボカド油、ヒマシ油、ヤシ脂、ヤシ油、カカオ脂、コーン油(corn oil)、綿実油、葡萄種子油、ホホバ油、亜麻仁油、トウモロコシ油(maize oil)、オリーブ油、パーム核油、パーム油、パームオレイン油、落花生油、パセリ油、ケシ油、菜種油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、アザミ種子油(thistle seed oil)、胡桃油、小麦胚芽油、牛脂、魚油、豚脂、乳脂肪、トール油、鯨油等の植物性又は動物性油脂;合成油脂;半合成油脂;硬化パーム核脂、カノーラ油等の硬化油脂;水添ヒマシ油、水添パーム核油等の水添油脂及び非水添油脂;或いはこれらの混合物からなる群から選択される。
【0019】
本明細書における実施例から明らかなように、好適な脂肪成分は、菜種油、コーン油、ヤシ油、又はパームオレインの混合物である。したがって、好ましい脂肪成分は、菜種油、コーン油、ヤシ油、及びパームオレイン、或いはこれらの混合物から選択されるものである。
【0020】
本発明による水中油型エマルジョンに使用するのに好適な他の脂肪成分には、1つ以上のLC PUFA(長鎖多価不飽和脂肪酸)及び/又は乳脂肪が含まれる。
【0021】
本発明による水中油型エマルジョンは、食品用として許容可能な1つ以上の添加物を含んでいてもよい。この添加物は、油相中及び/又は水相中に含まれていてもよい(通常、添加物の個々の相への溶解性に依存する)。油相に好適な添加物としては、例えば、乳化剤、安定剤、質感向上剤、増粘剤、起泡剤、抑泡剤、酸化防止剤、ビタミン類、香味料等が挙げられ、水相に好適な添加物としては、例えば、pH調整剤、緩衝剤、安定剤、キレート剤、可溶化剤、砂糖、甘味料、タンパク質、矯味剤、香味料、ビタミン類、塩等の栄養素、鉱物、着色剤等が挙げられる。
【0022】
[固形製品]
他の態様においては、本発明は、食品用固形製品に関する。この固形製品は、固体マトリックスと一緒に押出成形され、真空中で膨張された、上記の水中油型エマルジョンからなり、この水中油型エマルジョンは、
i)1つ以上の脂肪成分を含む油相と、
ii)水相と
を含み、この固形製品は、水性媒体に添加すると自己分散する。
【0023】
この水中油型エマルジョンは、固形製品に白色化能を付与する。得られた白色化能は許容可能なものである、すなわち、類似の組成の混合物を噴霧乾燥することによって得られる白色化能に匹敵するか又はそれを上回る。白色化能は様々な装置で測定してもよく、得られる値(例えばL及びh°値)は採用した具体的な方法に大きく依存する。しかしながら、本発明者らは、例えば類似の組成を有する噴霧乾燥及び押出成形による製品を同一条件を用いて比較した場合、押出成形/膨張工程により得られた固形製品は噴霧乾燥された材料に匹敵する白色化能を有することを見出した。
【0024】
白色化能は、主として脂肪の含有量、粒径、及び溶液中の粒子の濃度と関数にある。
【0025】
したがって、固形製品に含まれる脂肪の平均粒径D(0.5)は、約0.3μm〜約10μm、例えば、約0.5μm〜約7.5μm、約0.6μm〜約5μm、又は約0.6μm〜約4μm等である。
【0026】
固形製品中の脂肪の含有量に関して言えば、脂肪成分は、製品の約5〜約50%w/w、例えば、約10〜約45%w/w、約20〜約40%w/w、又は約25〜約35%w/wを構成する。
【0027】
固形製品の水分含有量は、最大で約7.5%w/w、例えば、最大で約5%w/w、最大で約3%w/w、最大で約2%、又は最大で約1.6%w/w等である。所望の最大水分含有量を達成することを目的として、固形製品を乾燥工程に付してもよい。
【0028】
上述したように、押出成形工程に関する重要な要素は、水中油型エマルジョンに固体マトリックスを添加することにある。好適な固体マトリックスは、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース等の単糖類;ラクトース、スクロース、マルトース等の二糖類;マルトデキストリン、raftiline(登録商標)、raftilose(登録商標)等の多糖類;ガラクトオリゴ糖;単糖類のエステル;二糖類のエステル;多糖類のエステル;及びデンプン等の1つ以上の炭水化物、並びにタンパク質、例えば、カゼイン塩、乳清タンパク質、乳清タンパク質分離物、乳清タンパク質濃縮物、ホエーパウダー、乳タンパク質濃縮物、全脂粉乳、脱脂粉乳、若しくはこれらの加水分解物等の乳タンパク質、大豆タンパク質、大豆分離物等、大豆タンパク質加水分解物、又はこれらの混合物を含有している。
【0029】
特定の実施態様においては、固体マトリックスは、マルトデキストリンDE21及びマルトデキストリンDE29を含む1つのマルトデキストリンDE6〜48等の1つのマルトデキストリン、又はこれらの混合物を含む。
【0030】
他の実施態様態様においては、固体マトリックスは、コーヒー、茶、カカオ、麦芽、植物抽出物、ハーブ、香料(aroma)、香味料(flavor)、砂糖、若しくは甘味料、又はこれらの混合物を含む。
【0031】
本発明の固形製品の調製に使用されるエマルジョンを押出成形できるようにするためには、押出成形が水中油型エマルジョンと固体マトリックスとを含む混合物の融点以上の温度で実施されることが重要である。本明細書における実施例に示すように、温度が低すぎると押出成形中にエマルジョンが不安定になり、それによって、固形製品に不十分な白色化能、オイルオフ、溶解性の低下、凝集、及び他の望ましくない作用(例えば相の完全分離)が生じる。
【0032】
上述の融点の問題とは別に、水中油型エマルジョンと固体マトリックスとの混合物の好適な組成は、水中油型エマルジョン及び固体マトリックスの重量比が製品の所望の種類に依存する組成である。通常、水中油型エマルジョン及び固体マトリックスの重量比は約1:0.5〜約1:5、例えば、約1:0.75〜約1:4、約1:1〜約1:3、約1:1〜約1:2、約1:1〜約1:1.5、又は約1:1から、約1:1.25、若しくは約1:1.5等である。
【0033】
得られた固形製品は、例えば、ペレット、粒子、ビーズ、コア、又はハート、星若しくは多角状等の所定形状等に形成してもよいし、微粉末状に粉砕してもよい。
【0034】
本発明による固形製品は、例えば噴霧乾燥された製品とは異なり、固形製品内部に空気が封入されており、閉じ込められた空気の形状を共焦点蛍光顕微鏡法で観察すると非円形を有している。これは、非円形の空気の泡を有する凍結された発泡体に匹敵し得る。本明細書における実施例から分かるように、噴霧乾燥された製品の内部には非常に少量の空気が封入されているか又はまったく封入されていない。
【0035】
本発明による固形製品は、水性媒体に接触することで自然に泡を形成するであろう。通常、この製品4.2g当たりに80℃の水又は1%コーヒー溶液100mlを接触させることにより、このような泡の層が形成される。形成された泡の層は、150mlのビーカーで試験を行った場合は、約0.2〜約3.5cm、例えば約0.5cm〜約2.5cm等になる。
【0036】
本発明は、
i)1つ以上の脂肪成分を含む油相と水相とを含む水中油型エマルジョンを固体マトリックスと合わせた混合物をこの混合物の融点以上の温度で押出成形することによって押出成形材料を得るステップと、
ii)この押出成形材料を真空中で膨張させるステップと、
iii)場合により、乾燥によって残留水分を除去するステップと
によって固形製品を得る、食品用固形製品を提供するための方法にも関する。
【0037】
本発明による固形製品は多くの異なる用途に用いることができる。特に興味深いのは、食品分野において、例えば飲料添加物として又は飲料製品中に用いる用途である。飲料製品の例としては、例えば、コーヒー、茶、カフェラテ、カプチーノ、カカオ飲料等インスタント飲料製品等が挙げられる。本発明による固形製品は、乳製品若しくは非乳製品クリーマー又は栄養補給用調合乳として使用することもできる。
【0038】
さらに、本発明の方法の実施に必要とされるスペースは、この種の製品の製造に従来用いられている噴霧乾燥技術よりも少なく、また、この方法は従来の方法よりも時間がかからないため、この方法全体の費用効率が著しく高くなる。
【0039】
得られた固形製品を、食品若しくは栄養補給製品、飲料添加物若しくは飲料製品が得られるようにさらに加工してもよい。
【0040】
上述した方法における、押出成形材料を真空中において膨張させるステップは、典型的には、0.01〜250mbar、好ましくは1〜50mbarの圧力で実施される。特に好ましい範囲は10〜25mbarである。
【0041】
工程ステップi)及び/又はii)が行われる間に、通常、水中油型エマルジョンに含まれる水分の少なくとも約50%w/wが除去される。しかしながら、特定の状況下においては、水分を除去するためにステップiii)が取り入れられ、次いで固形製品の残留水分は、通常、最大で約7.5%w/w、例えば、最大で約5%w/w、最大で約3%w/w、最大で約2%、又は最大で約1.6%w/w等になる。
【0042】
本明細書においては、以下に示す用語及び定義を使用する。
【0043】
「安定な」という用語が本発明のo/wエマルジョンに関して用いられる場合は、エマルジョンが合一に対して安定であり、及び/又は転相に対しても安定であること(いずれも目視で確認される)を意味する。
【0044】
本明細書において使用される「2成分配合物(2 in 1 formulation)」という用語は、2種の異なる成分(砂糖若しくは甘味料、又は非乳製品クリーマー若しくは乳製品クリーマー、又は質感向上剤等)を含む固形製品を意味することを意図している。2成分配合物は、成分が適切な量で混合され、1つの製品として押出成形されたものである。2成分配合物の用途の非限定的な例としては、コーヒー、茶等のインスタント飲料製品が挙げられる。
【0045】
本明細書において使用される「3成分配合物(3 in 1 formulation)」という用語は、3種の異なる成分を含む固形製品、例えば、コーヒー、カカオ、又は他の植物抽出物に2種の他の添加物、例えば、砂糖、甘味料、非乳製品クリーマー、乳製品クリーマー、又は質感向上剤を加えた飲料等を意味することを意図している。3成分配合物は、成分が適切な量で混合され、1つの製品として押出成形されたものである。3成分配合物の用途の非限定的な例としては、カフェラテ、カプチーノ等のようなインスタント飲料製品が挙げられる。
【0046】
本明細書において使用される「固体マトリックス」という用語は、液体が加えられていない固形成分の混合物を意味することを意図している。この種の固体成分の非限定的な例としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース等の単糖類;ラクトース、スクロース、マルトース等の二糖類;マルトデキストリンDE6〜48、raftiline(登録商標)、raftilose(登録商標)等の多糖類;ガラクトオリゴ糖;単糖類のエステル;二糖類のエステル;多糖類のエステル;デンプン;甘味料;乳タンパク質、大豆タンパク質等のタンパク質;コーヒー、茶、カカオ、麦芽、ハーブ等の植物抽出物;香味料;又はこれらの混合物が挙げられる。
【0047】
本明細書において使用される「自己分散する(spontaneously disperse)」という用語は、自然に(spontaneously)、すなわち撹拌を必要とすることなく分散し、それによって水性媒体と混ざり合うことを意味することを意図している。
【0048】
本明細書において使用される「白色化能(whitening power)」という用語は、製品に白色(whitening)又は乳白色(opalescence)を付与する作用を意味することを意図している。
【0049】
以下の非限定的な例において本発明をさらに例示する。
【実施例】
【0050】
(略語)
NDC−非乳製品クリーマー
LC PUFA−長鎖多価不飽和脂肪酸
【0051】
以下の実施例は、本発明により製造される食品用固形製品を例示するものである。実施例においては、本試験にクレクストラル(Clextral)BC45H型同方向回転噛合い二軸スクリュー押出機を使用したが、適切なスクリュー構成及び動作条件を有する他の任意の単軸又は多軸の一段又は多段押出系(例えば、単軸、二軸、多軸、リングスクリュー、遊星歯車押出機)も同様に好適であろう。
【0052】
(押出条件)
以下の工程条件は、上述した良好な製品特性を達成する試験の代表的なものである。
【0053】
プロセス構成、スクリュー及びダイ構成:
クレクストラル押出機: BC45H型
スクリューの有効長さ(Processing length):
800mm(L=14.4×D)、4バレル
ダイプレート: 32穴(直径1.5mm)
スクリュー構成:
【表1】

【0054】
(実施例1 非乳製品クリーマーとして好適な固形製品)
エマルジョンの配合:
脂肪相:
パーム核脂45〜46 340g
パノダン(Panodan)165 5.0g
水相:
水 120g
HPO 6.5g
クエン酸ナトリウム 6.5g
ヘキサメタリン酸ナトリウム 6.5g
マルトデキストリンDE−40 100g
乳タンパク質濃縮物 12.5g
【0055】
脂肪相の調製:パーム核脂45を溶融してパノダン165と一緒に65℃で混合する。
【0056】
水相の調製:水を65℃に加熱し、緩衝塩及びマルトデキストリンを溶解して10分間撹拌する。このやや黄色がかった溶液に乳タンパク質濃縮物を加えてさらに65℃で10分間撹拌する。
【0057】
エマルジョンの調製:全ての脂肪が取り込まれるまで激しく撹拌しながら脂肪相を水相に加える。粘度が増大する。この予備エマルジョンを、最終均質化ステップを行う前にさらに5分間撹拌する。エマルジョンをポンプでスープラトロン(Supratron)(ローターステーター原理)を通過させることによって最終粒径分布に到達させる。非常に粘性の高いエマルジョンが得られるので、すぐに押出成形に使用できるように65℃で保存する。乾燥物含有量は約80%であり、脂肪含有量は約75%である(乾燥物基準)。
【0058】
A)クリーマーの押出成形
エマルジョンすなわち35kg(乾燥物80%以下)及び固体マトリックスとしての35kgのマルトデキストリンDE−29を押出機で混合し、真空中で膨張させ、水分を5%まで除去して乾燥物を95%にすることによって構造を固定し、「ペレット」形態のクリーマーを得る。このクリーマーの組成は、市販品と類似している。ペレットは容易に溶解し、泡を形成し、対照にほぼ匹敵する白色化能を備えている。脂肪粒子の平均寸法は、D(0.5)=1.02μmである。
【0059】
B)無起泡クリーマーの押出成形:
エマルジョン40kg/hを、マルトデキストリンDE40を98.8%、リョート(Ryoto)糖エステルS−1570を0.90%、及びリョート糖エステルS−370を0.90%の組成を有する固体マトリックス31kg/hと一緒に押出機で混合すると同時に、ダイプレートで104°に加熱する。40mbarの真空中で膨張させることによって、水分含有量が4.5%の改良されたクリーマー成形物を得る。50℃で後乾燥することによって、残留水分を3%まで除去する。脂肪粒子の平均寸法は、D(0.5)=1.11μmである。加工のさらなる詳細については表2を参照されたい。
【0060】
C)2成分配合物(クリーマー及び砂糖)の押出成形:
エマルジョン40kg/hを、マルトデキストリンDE29を65.9%、リョート糖エステルP−1670を0.80%、及び砂糖を33.3%の組成を有する固体マトリックス48kg/hと一緒に押出機で混合すると同時に、ダイプレートで84°に加熱する。40mbarの真空中で膨張させることにより、水分含有量が2.8%の2成分配合物の成形物を得る。脂肪粒子の平均寸法は、D(0.5)=0.693μmである。加工のさらなる詳細については表2を参照されたい。
【0061】
D)3成分配合物(クリーマー、砂糖、及びコーヒー)の押出成形:
エマルジョン1を22kg/hを、マルトデキストリンDE29を21.0%、リョート糖エステルP−1670を1.2%、砂糖を64.8%、及びコーヒー粉末を13.0%の組成を有する固体マトリックス70kg/hと一緒に押出機で混合すると同時に、ダイプレートで107°に加熱する。23mbarの真空中で膨張させ、水分含有量が2.1%の3成分配合物の成形物を得た。加工のさらなる詳細については表2を参照されたい。
【0062】
脂肪粒子の平均寸法は、D(0.5)=0.832μmである。遊離した脂肪を脂肪の塊(fat eyes)の発生の指標とする(LI、低温抽出可能な脂肪)。3成分配合物の押出成形物の場合は約7.8%である。
【0063】
(実施例2 非乳製品クリーマーとして好適な固形製品)
エマルジョンの配合:
脂肪相:
パーム核脂45〜46 420g
パノダン 2g
ジモダン(Dimodan) 3g
カゼインナトリウム 30.8g
水相:
水 160g
クエン酸ナトリウム 6.5g
ヘキサメタリン酸ナトリウム 6.5g
【0064】
脂肪相の調製:パーム核脂45を溶融して、パノダン165及びジモダンと一緒に65℃で混合する。次いで、好ましくは1mmの篩で篩別したカゼインナトリウムを、撹拌操作を継続しながら脂肪相に加える。黄色の懸濁液が得られる。
【0065】
水相の調製:水を65℃に加熱し、緩衝塩を溶解して10分間撹拌する。
【0066】
エマルジョンの調製:全ての脂肪/カゼイン塩が取り込まれるまでゆっくりと撹拌しながら脂肪相を水相に加える。粘度が増大する。この予備エマルジョンを、最終均質化ステップを行う前にさらに5分間撹拌する。これを95℃に予熱し、85℃、全300barで多段均質化を行うことによって最終エマルジョンを得る。非常に粘性の高いエマルジョンが得られ、これを押出機に直接ポンプで注入する。
【0067】
クリーマー配合物の押出成形:エマルジョン37kg/hを、マルトデキストリンDE29を97.1%、リョート糖エステルP−1670を0.90%、及びリン酸水素カリウムを2.0%の組成を有する固体マトリックス49kg/hと一緒に押出機で混合すると同時に、ダイプレートで110°に加熱する。10mbarの真空中で膨張させることによって、水分含有量が5.5%の改良されたクリーマー成形物を得る。50℃で後乾燥することによって、残留水分を3%まで除去する。脂肪粒子の平均寸法は、D(0.5)=1.29μmである。加工のさらなる詳細については表2を参照されたい。
【0068】
(実施例3 乳製品クリーマーとして好適な固形製品)
エマルジョンの配合:
脂肪相:
パーム核脂45〜46 420g
パノダン 2g
ジモダン 3g
水相:
水 160g
クエン酸ナトリウム 6.5g
ヘキサメタリン酸ナトリウム 6.5g
スイートバターミルクパウダー 100g
【0069】
脂肪相の調製:パーム核脂を溶融し、パノダン165及びジモダンと一緒に65℃で混合する。黄色溶液を得る。
【0070】
水相の調製:水を65℃に加熱し、緩衝塩及びスイートバターミルクパウダーを溶解して15分間撹拌する。
【0071】
エマルジョンの調製:全ての脂肪が取り込まれるまで激しく撹拌しながら脂肪相を水相に加える。粘度が増大する。この予備エマルジョンを、最終均質化ステップを行う前にさらに5分間撹拌する。これを95℃に予熱し、85℃、全300barで多段均質化を行うことによって最終エマルジョンを得る。非常に粘性の高いエマルジョンが得られ、これを押出機に直接ポンプで注入する。
【0072】
最終製品の押出成形:エマルジョン37kg/hを、マルトデキストリンDE29を97.1%、リョート糖エステルP−1670を0.880%、及びKHPOを2.0%の組成を有する固体マトリックス40kg/hと一緒に押出機で混合すると同時に、ダイプレートで117°に加熱する。45mbarの真空中で膨張させることによって、水分含有量が6%の改良されたクリーマー成形物を得る。50℃で後乾燥することによって、残留水分を3%まで除去する。脂肪粒子の平均寸法は、D(0.5)=1.63μmである。
【0073】
【表2】

【0074】
本試験においては、大幅に異なる操作条件について試験し、その結果として相が完全に転相したものもあった。特に、バレルの温度プロファイルが重要であり、脂肪の融点以下の温度では必ず油の分離が生じた。これまでのところ、最良の製品が得られたのは、温度が100℃を十分に超えていた場合であった。
【0075】
(実施例4 本発明の空気を封入した固形押出製品の構造)
本発明による押出成形によって調製された非乳製品クリーマーを、共焦点顕微鏡で半侵襲的に調査した。平坦な面を得るために試料を研磨し、圧縮空気を使って汚れを取り除いた。この表面をナイルレッドのエタノール溶液の小滴で染色した。
【0076】
クリーマーの脂肪及び水分含有量は以下の通りである:
Ext.3:水6.55%、脂肪32.07%w/w。
【0077】
非乳製品クリーマーの押出成形物内部の空気の構造を図2に示す。共焦点顕微鏡は低倍率で操作される。
【0078】
(実施例5 比較例:非乳製品クリーマーとして使用するのに好適でない固形製品)
エマルジョンの配合:
脂肪相:
パーム核脂45〜46 340g
パノダン165 5.0g
水相:
水 120g
HPO 6.5g
クエン酸ナトリウム 6.5g
ヘキサメタリン酸ナトリウム 6.5g
【0079】
脂肪相の調製:パーム核脂45を溶融し、パノダン165と一緒に65℃で混合する。
【0080】
水相の調製:水を65℃に加熱し、緩衝塩を溶解して10分間撹拌する。
【0081】
エマルジョンの調製:全ての脂肪が取り込まれるまで激しく撹拌しながら脂肪相を水相に加える。粘度が増大する。この予備エマルジョンを、最終均質化ステップを行う前にさらに5分間撹拌する。エマルジョンをポンプでスープラトロン(ローターステーター原理)を通過させることによって最終粒径分布に到達させる。非常に粘性の高いエマルジョンが得られるので、すぐに押出成形に使用できるように65℃で保存する。乾燥物含有量は約80%であり、脂肪含有量は約75%(乾燥物基準)である。
【0082】
クリーマー配合物の押出成形:エマルジョン35kg/hを、マルトデキストリンDE40を98.8%及びパノダン165を1.2%の組成を有する固体マトリックス35kg/hと一緒に押出機で混合すると同時に、ダイプレートで77°に加熱した。バレル温度は、供給ゾーン側から15/40/85/85℃に設定した。クリーマーの押出成形物はホットコーヒーに可溶であったが、多量の油が分離して飲み物の表面に大きな油滴を形成した。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】工程の構成を示す略図である。
【図2】研磨及び染色したクリーマー押出成形物の共焦点顕微鏡検査を示す図である。
【図3】実施例1、2、及び3の非乳製品クリーマーを分散させた後の泡の形成を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分含有量が最大で約30%w/wである水中油型エマルジョンであって、
i)前記水中油型エマルジョンと固体マトリックスとを1:0.5〜約1:5の重量比で合わせた混合物を前記混合物の融点以上の温度で加熱することにより押出成形することによって押出成形物を得るステップと、
ii)このようにして得られた前記押出成形物を真空中で膨張させることによって、水分含有量が最大で約10%である固形製品を得るステップと
を含む条件に付した場合に、合一及び転相に対して安定であるエマルジョン。
【請求項2】
1つ以上の脂肪成分を含む油相と水相とを含む、請求項1に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項3】
前記脂肪成分が、前記水中油型エマルジョンの約30〜約75%w/wを構成する、請求項1又は2に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項4】
前記脂肪成分が、最大で前記エマルジョンの乾燥物含有量の約95%w/wまで、例えば、少なくとも約50%w/w、少なくとも約60%w/w、少なくとも約70%w/w、少なくとも約80%w/w、又は少なくとも約90%w/wを構成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項5】
前記脂肪成分が、食品用として許容可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項6】
前記脂肪成分が、杏仁油、アンズ油、扁桃油、アボカド油、ヒマシ油、ヤシ脂、ヤシ油、カカオ脂、コーン油、綿実油、葡萄種子油、ホホバ油、亜麻仁油、トウモロコシ油、オリーブ油、パーム核油、パーム油、パームオレイン油、落花生油、パセリ油、ケシ油、菜種油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、アザミ種子油、胡桃油、小麦胚芽油、牛脂、魚油、豚脂、乳脂肪、トール油、鯨油等の植物性又は動物性油脂;合成油脂;半合成油脂;硬化パーム核脂、カノーラ油等の硬化油脂;水添ヒマシ油、水添パーム核油等を含む水添油脂、及び非水添油脂;並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項7】
前記脂肪成分が、菜種油、コーン油、ヤシ油、及びパームオレイン並びにこれらの混合物から選択される、請求項6に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項8】
前記脂肪成分が、1つ以上のLC PUFA(長鎖多価不飽和脂肪酸)を含む、請求項6に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項9】
前記油相が、例えば、乳化剤、安定剤、質感向上剤、増粘剤、起泡剤、抑泡剤、酸化防止剤、ビタミン類、又は香味料等の、食品用として許容可能な1つ以上の添加物を含む、請求項2〜8のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項10】
前記水相が、pH調整剤、緩衝剤、安定剤、キレート剤、可溶化剤、砂糖、甘味料、タンパク質、矯味剤、香味料、ビタミン類、塩を含む栄養素、鉱物、又は着色剤等の、食品用として許容可能な1つ以上の添加物を含む、請求項2〜9のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項11】
前記固体マトリックスが、マルトデキストリンDE21若しくはマルトデキストリンDE29又はこれらの混合物である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項12】
固体マトリックスと一緒に押出成形され、真空中で膨張された請求項1〜11のいずれか一項に記載の水中油型エマルジョンからなる食品用固形製品であって、前記水中油型エマルジョンが、i)1つ以上の脂肪成分を含む油相と、ii)水相とを含み、前記固形製品が水性媒体に添加されると自己分散する、食品用固形製品。
【請求項13】
白色化能を有する、請求項12に記載の固形製品。
【請求項14】
脂肪含有量及び前記脂肪の粒径が、前記固形製品の前記白色化能に寄与するか又は前記白色化能をもたらす、請求項13に記載の固形製品。
【請求項15】
前記固形製品に含まれる前記脂肪の平均粒径D(0.5)が、約0.3μm〜約10μm、例えば、約0.5μm〜約7.5μm、約0.6μm〜約5μm、又は約0.6μm〜約4μm等である、請求項12〜14のいずれか一項に記載の固形製品。
【請求項16】
前記脂肪成分が、前記製品の約5〜約50%w/w、例えば、約10〜約45%w/w、約20〜約40%w/w、又は約25〜約35%w/wを構成する、請求項12〜15のいずれか一項に記載の固形製品。
【請求項17】
前記固形製品の水分含有量が、最大で約7.5%w/w、例えば、最大で約5%w/w、最大で約3%w/w、最大で約2%、又は最大で約1.6%w/w等である、請求項12〜16のいずれか一項に記載の固形製品。
【請求項18】
前記固体マトリックスが、1つ以上の、グルコース、フルクトース及びガラクトース等の単糖類;ラクトース、スクロース及びマルトース等の二糖類;マルトデキストリン、raftiline(登録商標)及びraftilose(登録商標)等の多糖類;ガラクトオリゴ糖;単糖類のエステル;二糖類のエステル;多糖類のエステル;デンプン;乳タンパク質及び大豆タンパク質等のタンパク質;或いはこれらの混合物を含む、請求項12〜17のいずれか一項に記載の固形製品。
【請求項19】
前記固体マトリックスが、マルトデキストリンDE21及びマルトデキストリンDE29を含む、1つのマルトデキストリンDE6〜48等の1つのマルトデキストリン、又はこれらの混合物を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の固形製品。
【請求項20】
前記固体マトリックスが、コーヒー、茶、カカオ、麦芽、植物抽出物、ハーブ、香料、香味料、砂糖、若しくは甘味料、又はこれらの混合物を含む、請求項12〜19のいずれか一項に記載の固形製品。
【請求項21】
ペレット、粒子、ビーズ、コア、又は、ハート、星若しくは多角状等の所定形状等の形状を有する、請求項12〜20のいずれか一項に記載の固形製品。
【請求項22】
空気が封入されており、前記空気は共焦点蛍光顕微鏡法で観察すると非円形形状を有している、請求項12〜21のいずれか一項に記載の固形製品。
【請求項23】
前記製品4.2g当たりに水100mlを接触させると泡の層を自然に形成する、請求項12〜22のいずれか一項に記載の固形製品。
【請求項24】
前記試験を150mlのビーカーで行った場合、前記泡の層の高さが約0.2〜約3.5cm、例えば約0.5cm〜約2.5cm等である、請求項23に記載の固形製品。
【請求項25】
飲料添加物として使用するための、請求項12〜24のいずれか一項に記載の固形製品。
【請求項26】
コーヒー、茶、カフェラテ、カプチーノ、カカオ飲料のようなインスタント飲料製品に使用するか、又は乳製品若しくは非乳製品クリーマーとして使用するための、請求項12〜25のいずれか一項に記載の固形製品。
【請求項27】
食品用の固形製品を提供するための方法であって、
i)1つ以上の脂肪成分を含む油相と水相とを含む水中油型エマルジョンと固体マトリックスとを合わせた混合物を、前記混合物の融点以上の温度で押出成形することによって、押出成形材料を得るステップと、
ii)前記押出成形材料を真空中で膨張させるステップと、
iii)場合により、乾燥によって残留水分を除去するステップと
によって固形製品を得る、方法。
【請求項28】
請求項12〜26のいずれか一項に記載の固形製品を提供するための方法。
【請求項29】
前記押出成形材料を真空中で膨張させるステップが、0.01〜250mbar、好ましくは1〜50mbar、より好ましくは10〜25mbarの圧力で実施される、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記水中油型エマルジョン中に含まれる水分の少なくとも約50%w/wが、ステップi)及び/又はステップii)によって除去される、請求項27〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ステップiii)を含み、前記固形製品の前記残留水分が最大で約7.5%w/w、例えば、最大で約5%w/w、最大で約3%w/w、最大で約2%、又は最大で約1.6%w/w等である、請求項27〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
固形製品を粉砕するステップをさらに含む、請求項27〜31のいずれか一項に記載の方法。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2008−532506(P2008−532506A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500197(P2008−500197)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【国際出願番号】PCT/EP2006/060568
【国際公開番号】WO2006/094999
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】