説明

飲料ディスペンサ

【課題】飲料選択ボタンに対応する飲料の吐出ノズルの位置を容易に判断することを可能となると共に、装置全体の一体感の向上を図ることを可能とする飲料ディスペンサを提供する。
【解決手段】本発明の飲料ディスペンサは、本体前面の扉28に複数の飲料選択ボタン40A、41、40Bを備え、この飲料選択ボタンの操作に基づき、扉下方の飲料供給位置11A、10、11Bに配置されたカップに、ノズル6、7、12より飲料を供給するものであり、扉に設けられ、扉前面に透光性の装飾部材22を保持する扉側保持部23と、この扉側保持部に保持された装飾部材を後方から照らし出す扉照明49と、飲料選択ボタンに設けられ、この前面に透光性の銘柄フィルム43を着脱自在に保持するボタン側保持部42と、該フィルムを後方から照らし出すボタン照明44とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体前面の扉に複数の飲料選択ボタンを供え、当該飲料選択ボタンの操作に基づき、扉下方の飲料供給位置に配置されたカップに、ノズルより飲料を供給する飲料ディスペンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より用いられている飲料ディスペンサは、濃度の高い液体原料を収容した液体原料タンクが接続され、当該液体原料と、希釈水や炭酸水等の希釈液を適度の比率で混ぜ合わせながらカップに所定量供給するタンクユニットと、BIB(Bag In Box)から引き出された導出チューブをチューブポンプにて扱くことにより、BIBから飲料原料を押し出し、ノズルにて希釈水又は炭酸水等の希釈液と機械的に混合して供給するBIBユニットとを合わせ持つものがある(例えば、特許文献1参照)。タンクユニットから供給される飲料原料は、主に有糖飲料の原料であり、BIBユニットから供給される飲料原料は、主に茶類などの無糖飲料の原料である。
【0003】
タンクユニットは、それぞれの液体原料の供給ラインと、希釈液の供給ラインとがマルチノズルに接続されており、各供給ラインに設けられる開閉弁が制御されることにより、一つのマルチノズルから複数種類の飲料の供給を可能とする。そのため、これらタンクユニットとBIBユニットとを合わせ持つ飲料ディスペンサでは、省スペースにて各ユニットからの飲料の供給を実現するため、タンクユニットが装置の中央に、その両側にBIBユニットが配置されることが多い。
【0004】
そして、これらタンクユニットと、BIBユニットの前面に位置して開閉自在の扉が設けられており、当該扉にて各ユニットが隠蔽される。そして、この扉の前面には、各飲料の供給を操作する飲料選択ボタンが設けられている。扉の前面左右には、それぞれのBIBユニットから供給される飲料を選択するための飲料選択ボタンが設けられており、扉の中央には、タンクユニットから供給される飲料を選択するためのボタン(飲料選択ボタン)が設けられている。
【0005】
そして、各飲料選択ボタンが設けられている以外の扉前面の領域、例えば、前面上部は、空きスペースとなるため、例えば、当該装置により供給が可能となる飲料に関する広告等の貼付スペースとして用いられる。
【0006】
しかしながら、左右に設けられるBIBユニットに対応する飲料選択ボタンは、それぞれ一つずつであることが多いのに対し、中央に設けられるタンクユニットに対応する飲料選択ボタンは、当該タンクユニットに接続される飲料原料の数、更には、その組合せによるバリエーションによって、多数設けられることとなる。
【0007】
このとき、扉上部の広告貼付スペースを有効に確保するため、タンクユニットに対応する飲料選択ボタンは、左右方向に複数列、例えば二列に設けられ、上述したようにタンクユニットに対応する飲料選択ボタンの左右には、BIBユニットに対応する飲料選択ボタンが設けられる。これに対し、扉下方(又は扉下部)に位置して設けられる飲料の吐出ノズルは、左右に設けられるBIBユニット用の飲料供給ノズルと、中央に設けられるタンクユニット用のマルチノズルの3つとなる。
【0008】
しかし、不慣れな使用者にとって、特に、当該装置が飲食店等のフリードリンクサービスとして設けられている場合においては、所望とする飲料選択ボタンを操作した際に、いずれの位置から飲料が供給されるのかが分かりにくく、飲料選択ボタンの真下にカップを載置してしまうことがある。この場合、BIBユニットに対応する飲料の供給は適切に行われることとなるが、タンクユニットに対応する飲料の供給は殆ど誤った位置にカップが載置されることとなるため、適切に飲料をカップ内に供給することができないという問題がある。
【0009】
そこで、飲料の供給が行われるノズルの位置を使用者に想起させるため、従来では、飲料供給ノズルに対応する飲料選択ボタンの領域をパネルによって区画する方法や、カップの載置位置を連想させるような形状の枠等の部材を設ける方法などが採られている。
【特許文献1】特開平11−245997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した如くノズルの各位置を使用者に想起させる構造とした場合であっても、いずれのノズルから選択した飲料が供給されるかが分かりにくいという問題がある。そこで、各ノズルの上側にそれぞれの飲料選択ボタンを配設することが考えられる。しかし、上述したように、前面中央に設けられるマルチノズルから供給される飲料は、複数種類にも及び、すべてを縦一列に配置した場合には、装置全体の一体感や、装置の前面上部に設けられる広告などの一体感が損なわれるという問題がある。また、扉の上部に形成される飲料選択ボタンは、実際に吐出されるマルチノズルとは大きく離れた位置に設けられることとなり、ボタン操作に対する飲料供給動作の連動感が減少する問題がある。
【0011】
また、マルチノズルから供給される飲料は、飲料原料の種類によって用いられる希釈水が異なるため、飲料選択ボタンの配列が複雑化する。例えば、マルチノズルから供給される飲料が、オレンジの飲料原料である場合、希釈水によって希釈されるオレンジジュース(無炭酸系)と、炭酸水によって希釈されるオレンジソーダ(炭酸系)があるのに対し、希釈水による希釈のみが行われる飲料原料も存在することとなる。その場合、飲料選択ボタンの配列は、他の飲料との関係において決定されることから、該当する種類のない飲料についても操作が無効とされる飲料選択ボタンが割り当てられることとなる。しかし、実際には、当該飲料選択ボタンは不要のものであり、当該位置に割り当てられた領域の表示を適切に行うことができず、装置全体としての一体感が損なわれるという問題がある。これに限らず、現在提供可能とする飲料の種類が、扉に設けられた飲料選択ボタンの数よりも少ない場合には、使用されないボタンが存在することとなり、当該位置の表示を扉全体の表示とは別個独立した表示とされることで、装置全体としての一体感が損なわれることとなる。
【0012】
そこで、本発明は従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、飲料選択ボタンに対応する飲料の吐出ノズルの位置を容易に判断することを可能となると共に、装置全体の一体感の向上を図ることを可能とする飲料ディスペンサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の飲料ディスペンサは、本体前面の扉に複数の飲料選択ボタンを備え、この飲料選択ボタンの操作に基づき、扉下方の飲料供給位置に配置されたカップに、ノズルより飲料を供給するものであって、扉に設けられ、この扉の前面に透光性の装飾部材を着脱自在に保持する扉側保持部と、この扉側保持部に保持された装飾部材を後方から照らし出す扉照明手段と、飲料選択ボタンに設けられ、飲料選択ボタンの前面に透光性の装飾部材を着脱自在に保持するボタン側保持部と、このボタン側保持部に保持された装飾部材を後方から照らし出すボタン照明手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明の飲料ディスペンサは、本体前面の扉に設けられた複数の飲料選択ボタンと、扉下方に構成された複数の飲料供給位置上方に対応してそれぞれ設けられたノズルとを備え、飲料選択ボタンの操作に基づき、この飲料選択ボタンに対応するノズルよりカップに飲料を供給するものであって、各飲料選択ボタンに設けられたボタン照明手段と、各飲料供給位置におけるカップの有無をそれぞれ検出するカップ検出手段と、飲料選択ボタンの操作及びカップ検出手段の検出動作に基づき、ノズルからの飲料供給を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明の飲料ディスペンサは、上記発明において、制御手段は、飲料選択ボタンが操作された場合、この飲料選択ボタンに対応するノズル下方の飲料供給位置にカップが置かれたことをカップ検出手段が検出していることを条件として該ノズルより飲料を供給すると共に、カップ検出手段がカップを検出した場合、当該カップが置かれた飲料供給位置上方のノズルに対応する飲料選択ボタンのボタン照明手段の照度を、他の飲料選択ボタンのボタン照明手段よりも高くすることを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明の飲料ディスペンサは、上記請求項2又は請求項3の発明において、各飲料供給位置をそれぞれ照明する位置照明手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明の飲料ディスペンサは、上記発明において、制御手段は、飲料選択ボタンが操作された場合、この飲料選択ボタンに対応するノズル下方の飲料供給位置の位置照明手段のみを点灯し、或いは、この位置照明手段の照度を他の位置照明手段よりも高くすることを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明の飲料ディスペンサは、本体前面の扉に設けられた複数の飲料選択ボタンと、扉下方に構成された複数の飲料供給位置上方に対応してそれぞれ設けられたノズルとを備え、飲料選択ボタンの操作に基づき、当該飲料選択ボタンに対応するノズルよりカップに飲料を供給するものであって、各飲料供給位置をそれぞれ照明する位置照明手段と、飲料選択ボタンの操作に基づいてこの飲料選択ボタンに対応するノズルより飲料を供給する制御手段とを備え、この制御手段は、飲料選択ボタンが操作された場合、この飲料選択ボタンに対応するノズル下方の飲料供給位置の位置照明手段のみを点灯し、或いは、当該位置照明手段の照度を他の位置照明手段よりも高くすることを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明の飲料ディスペンサは、上記発明において、各飲料供給位置におけるカップの有無をそれぞれ検出するカップ検出手段を備え、制御手段は、飲料選択ボタンが操作された場合、当該飲料選択ボタンに対応するノズル下方の飲料供給位置にカップが置かれたことをカップ検出手段が検出していることを条件として当該ノズルより飲料を供給することを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明の飲料ディスペンサは、請求項4、請求項5又は請求項7の発明において、制御手段は、カップ検出手段がカップを検出している間、位置照明手段を点灯させ、或いは、他の位置照明手段よりも照度を高くすることを特徴とする。
【0021】
請求項9の発明の飲料ディスペンサは、請求項4、請求項5、請求項7又は請求項8の発明において、制御手段は、飲料選択ボタンが操作されたノズルに対応する飲料供給位置以外の飲料供給位置にカップが置かれたことをカップ検出手段が検出した場合、この飲料選択ボタンが操作されたノズルに対応する飲料供給位置の位置照明手段を点滅させ、或いは、当該位置照明手段の照度を周期的に変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、本体前面の扉に複数の飲料選択ボタンを備え、この飲料選択ボタンの操作に基づき、扉下方の飲料供給位置に配置されたカップに、ノズルより飲料を供給する飲料ディスペンサにおいて、扉に設けられ、この扉の前面に透光性の装飾部材を着脱自在に保持する扉側保持部と、この扉側保持部に保持された装飾部材を後方から照らし出す扉照明手段と、飲料選択ボタンに設けられ、飲料選択ボタンの前面に透光性の装飾部材を着脱自在に保持するボタン側保持部と、このボタン側保持部に保持された装飾部材を後方から照らし出すボタン照明手段とを備えたので、扉の前面全体から透光性の装飾部材を介して装置前方を照明することが可能となる。
【0023】
これにより、透光性の装飾部材を介した照明により、飲料ディスペンサ自体の美感の向上を図ることができ、顧客に装置自体を積極的にアピールすることが可能となる。
【0024】
また、扉側保持部に保持される装飾部材と、ボタン側保持部に保持される装飾部材は、容易に着脱自在とされているため、容易に装飾部材を入れ替えることができ、利便性が向上される。特に、ボタン側保持部に保持される装飾部材を交換することにより、容易にメニューの変更にも対応することが可能となる。また、飲料選択ボタンの配列によっては、実際に飲料の供給操作に供されないこととなったボタンには、扉側保持部に保持される装飾部材と一連の図柄等が表された装飾部材を当該ボタンのボタン側保持部に保持させることによって、装置全体の一体感の向上を図ることが可能となる。
【0025】
請求項2の発明によれば、本体前面の扉に設けられた複数の飲料選択ボタンと、扉下方に構成された複数の飲料供給位置上方に対応してそれぞれ設けられたノズルとを備え、飲料選択ボタンの操作に基づき、この飲料選択ボタンに対応するノズルよりカップに飲料を供給する飲料ディスペンサにおいて、各飲料選択ボタンに設けられたボタン照明手段と、各飲料供給位置におけるカップの有無をそれぞれ検出するカップ検出手段と、飲料選択ボタンの操作及びカップ検出手段の検出動作に基づき、ノズルからの飲料供給を制御する制御手段とを備えたので、請求項3の発明の如く制御手段により、飲料選択ボタンが操作された場合、この飲料選択ボタンに対応するノズル下方の飲料供給位置にカップが置かれたことをカップ検出手段が検出していることを条件として該ノズルより飲料を供給すると共に、カップ検出手段がカップを検出した場合、当該カップが置かれた飲料供給位置上方のノズルに対応する飲料選択ボタンのボタン照明手段の照度を、他の飲料選択ボタンのボタン照明手段よりも高くすることで、実際にカップが置かれた位置では、いずれの飲料選択ボタンから飲料の供給を操作することができるかを案内することが可能となる。
【0026】
これにより、カップが置かれた位置において、所望とする飲料の飲料選択を行うことができるかを、容易に使用者に報知することが可能となり、カップの置く場所を誤ってしまうことで、異なる位置から飲料が供給されてしまう不都合を解消することが可能となる。
【0027】
請求項4の発明によれば、上記請求項2又は請求項3の発明において、各飲料供給位置をそれぞれ照明する位置照明手段を備えたことにより、位置照明手段にて飲料供給位置を照明することにより、使用者にカップを置く位置を案内することが可能となる。
【0028】
特に、請求項5の発明の如く、飲料選択ボタンが操作された場合、制御手段により、この飲料選択ボタンに対応するノズル下方の飲料供給位置の位置照明手段のみを点灯し、或いは、この位置照明手段の照度を他の位置照明手段よりも高くすることにより、飲料選択ボタンにより操作されることにより、飲料の供給が行われる位置を的確に使用者に案内することが可能となる。これにより、適切にカップ内に飲料の供給を行うことが可能となる。
【0029】
請求項6の発明によれば、本体前面の扉に設けられた複数の飲料選択ボタンと、扉下方に構成された複数の飲料供給位置上方に対応してそれぞれ設けられたノズルとを備え、飲料選択ボタンの操作に基づき、当該飲料選択ボタンに対応するノズルよりカップに飲料を供給する飲料ディスペンサにおいて、各飲料供給位置をそれぞれ照明する位置照明手段と、飲料選択ボタンの操作に基づいてこの飲料選択ボタンに対応するノズルより飲料を供給する制御手段とを備え、この制御手段は、飲料選択ボタンが操作された場合、この飲料選択ボタンに対応するノズル下方の飲料供給位置の位置照明手段のみを点灯し、或いは、当該位置照明手段の照度を他の位置照明手段よりも高くするので、飲料選択ボタンが操作されることにより、飲料の供給が行われる位置を的確に使用者に案内することが可能となる。これにより、適切にカップ内に飲料の供給を行うことが可能となる。
【0030】
請求項7の発明によれば、上記発明において、各飲料供給位置におけるカップの有無をそれぞれ検出するカップ検出手段を備え、制御手段は、飲料選択ボタンが操作された場合、当該飲料選択ボタンに対応するノズル下方の飲料供給位置にカップが置かれたことをカップ検出手段が検出していることを条件として当該ノズルより飲料を供給することにより、上記位置照明手段により案内された飲料供給位置にカップが置かれた場合にのみ、飲料の供給を行うため、カップの置く場所を誤ってしまうことで、異なる位置から飲料が供給されてしまう不都合を解消することが可能となる。
【0031】
請求項8の発明によれば、請求項4、請求項5又は請求項7の発明において、制御手段は、カップ検出手段がカップを検出している間、位置照明手段を点灯させ、或いは、他の位置照明手段よりも照度を高くすることにより、ノズルから供給される飲料を照明することも可能となり、演出効果を向上させることが可能となる。また、飲料の供給後においてもカップが検出されている間は、位置照明手段にてカップが当該位置に置かれていることを示すことができ、使用者に当該カップを当該位置から移動させることを促すことが可能となる。
【0032】
請求項9の発明によれば、請求項4、請求項5、請求項7又は請求項8の発明において、制御手段は、飲料選択ボタンが操作されたノズルに対応する飲料供給位置以外の飲料供給位置にカップが置かれたことをカップ検出手段が検出した場合、この飲料選択ボタンが操作されたノズルに対応する飲料供給位置の位置照明手段を点滅させ、或いは、当該位置照明手段の照度を周期的に変更することにより、実際にカップが置かれた位置では、操作された飲料選択ボタンによる飲料の供給を行うことができないことを報知すると共に、正しいカップの載置位置、即ち、操作された飲料選択ボタンに対応する飲料供給位置を、当該位置に設けられる位置照明手段により使用者に案内することが可能となる。
【0033】
これにより、円滑に使用者に操作された飲料選択ボタンに対応する飲料供給位置を案内することができ、誤った位置にカップを置いてしまい、適切に飲料の供給が行えなくなる不都合を回避することが可能となる。従って、確実に、適切な位置において飲料の供給を実現することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明の飲料ディスペンサ1の正面図、図2は本発明の飲料ディスペンサ1の扉28を開いた状態の正面図、図3は飲料ディスペンサ1の内部構成を示す側面図を示している。
【0035】
本実施例の飲料ディスペンサ1は、レストランや喫茶店などにおいて、顧客等が自由に飲料の供給を行うことを可能とするものであり、ウーロン茶、コーヒー等の中性飲料を供給するBIBユニット32、32と、強弱無炭酸系の目的飲料を供給するタンクユニット31を本体2内に併せ持つ装置である。係る飲料ディスペンサ1の構造は、図2に示す如くタンクユニット31が中央に、その両側にBIBユニット32、32が配置されている。そして、これらタンクユニット31とBIBユニット32、32は前面に位置する開閉自在の扉28にて隠蔽されている。
【0036】
タンクユニット31は、図2、図3に示す如く、飲料原料を供給する飲料原料流路に電磁弁8とフローレギュレータ17を配設して構成している。更に、タンクユニット31には、飲料原料と他のチューブより供給される希釈水を混合して目的飲料を吐出するマルチノズル12が設けられている。このマルチノズル12は、複数の飲料原料タンクより供給される種類の異なった飲料原料によって種類の異なった目的飲料を利用者の選択に応じて吐出する複合ノズルである。
【0037】
次に、BIBユニット32を図2に基づき説明する。BIB3の不透明な導出チューブ4は、売切検知用のセンサ13を介して、ポンプ(ペリスタルティックポンプ)5のロータ5Aとアーム5Bに挟持されており、ポンプ5の下方に設けられたピンチソレノイド19を介して、飲料原料は、ノズル6に供給されるように構成されている。
【0038】
ポンプ5は、ロータ5Aに取り付けられた複数のローラによって導出チューブ4を順次扱きながら飲料原料を押し出すものである。更に、飲料原料のノズル6に隣接して希釈水のノズル7が設けられている。
【0039】
そして、このBIBユニット32のノズル6、7及びタンクユニット31のマルチノズル12の下方には、テーブル14が設けられ、テーブル14上にガイド15によってガイドされるカップを配置することができる。本実施例では、テーブル14の上には、中央のタンクユニット31のマルチノズル12の下方を飲料供給位置10とされると共に、タンクユニット31の左右に設けられるBIBユニット32、32からの飲料の供給が行われるノズル6、7のそれぞれの下方を飲料供給位置11A、11Bとされる。そのため、ガイド15は、それぞれの飲料供給位置10、11A、11Bに対応して載置されるカップのガイド位置に設けられる。
【0040】
また、これら飲料供給位置10、11A、11Bのそれぞれに対応して、各ノズル12、6、7の下方に位置する本体2の前面には、カップの有無を検出するためのカップセンサ20、21A、21Bが設けられている。本実施例におけるカップセンサは、光の発光部と受光部を備えた光学測距方式の光反射型センサ(光センサ)であり、発光部からの光がカップの側面に当たり反射すると、その反射した光を受光部が受け信号を出力するものである。尚、本実施例では、カップセンサは光センサを用いているが、カップの有無を検出することができるものであれば、これに限定されるものではない。
【0041】
尚、図3の33は希釈水などを冷却するための冷却装置を構成するコンプレッサ、34はコンデンサ、36は希釈水ポンプモータである。また、37は水槽である。
【0042】
次に、図1、図4乃至図6を参照して、扉28の前面の構成について詳述する。図4は、銘柄フィルム43、装飾部材22を取り除いた状態の飲料ディスペンサ1の正面図、図5は図4のA−A部分を上方から見た断面図、図6は図4のB−B部分を下方から見た断面図を示している。扉28の前面には、飲料が吐出される各ノズル12、6、7に対応する飲料の供給を指示する飲料選択ボタンが設けられる。この飲料選択ボタンは、飲料供給位置毎に対応して形成されるものである。本実施例では、BIBユニット32から供給される飲料の飲料選択ボタン40A、40Bは、左右の飲料供給位置11A、11Bの上方(扉28の左右側部)に位置して設けられ、タンクユニット31から供給される飲料の各飲料選択ボタン41・・・は、中央の飲料供給位置の上方(扉28の中央)に位置して設けられる。
【0043】
即ち、図1の例では、一方(正面から向かって左側)のBIBユニット32により供給される飲料はウーロン茶であり、他方のBIBユニット32により供給される飲料はコーヒーである。そのため、飲料供給位置11Aの上方に位置してウーロン茶の飲料選択ボタン40Aが設けられると共に、飲料供給位置11Bの上方に位置してコーヒーの飲料選択ボタン40Bが設けられる。また、タンクユニット31により供給される飲料は、オレンジソーダ、グレープソーダ、オレンジ、グレープ、レモン、メロンの各飲料であり、それぞれ飲料供給位置10の上方に位置して縦に一列に並べられた状態で、各種飲料選択ボタン41・・・が設けられる。本実施例では、各飲料供給位置と、各種飲料選択ボタンとの連動感を認識させやすくするため、各種飲料選択ボタンは、より各飲料供給位置に近くなる扉28の下部に設けられるものとする。
【0044】
各飲料選択ボタン40A、40B、41は、図4及び図5に示されるように、前面が所定曲率にて湾曲して形成された略半円筒状を呈するボタン側保持部42と、当該ボタン側保持部42に保持される銘柄フィルム43と、当該銘柄フィルム43を後方から照らし出すボタン照明(ボタン照明手段)44と、銘柄フィルム43の後方に位置する接触スイッチ45とから構成される。
【0045】
ボタン側保持部42は、内部を透視可能とすると共に、所定の可撓性を有する材料にて形成されており、当該ボタン側保持部42全体は、扉28の前面に対し着脱自在に嵌め込まれるものである。また、当該ボタン側保持部42に保持される銘柄フィルム43は、透光性の装飾部材、例えば、所定の透光度を有するシートにより形成されており、当該飲料選択ボタンの操作により供給が可能となる飲料の種類などが印刷等により現されているものとする。ボタン側保持部42を扉28前面から取り外した状態で、当該保持部42の上下端より銘柄フィルム43が挿脱可能とされると共に、当該保持部42の前面の湾曲形状に沿って保持される。
【0046】
銘柄フィルム43の後方に設けられるボタン照明44は、例えばLEDなどの照明手段により構成されており、本実施例では少なくとも二段階の照度(低・高)を制御可能とされている。また、同様に銘柄フィルム43の後方に設けられる接触スイッチ45は、本実施例では、ボタン照明44の左右に二つ設けられており、前方に設けられるボタン側保持部42が扉28方向に押されることにより通電され、対応する飲料の供給を指示することを可能とする。尚、当該ボタン照明44及び接触スイッチ45は、いずれもそれぞれの飲料選択ボタン毎に設けられるボタン基板46に設けられる。
【0047】
他方、当該扉28前面の上記各飲料選択ボタン40A、40B、41が設けられる以外の領域には、電照看板48が設けられる。この電照看板48は、上記各飲料選択ボタン40A、40B、41を回避したかたちで、扉28前面の全体に渡って形成されるものであり、扉側保持部23と、当該扉側保持部23に着脱自在に保持される透光性の装飾部材と、該装飾部材を後方から照らし出す扉照明(扉照明手段)49とから構成される。
【0048】
本実施例では、扉側保持部23は、上述した如き各ユニット31、32、32から飲料供給が行われる飲料供給位置10、11A、11Bのそれぞれに対応して(実際には、左右に並べられた各飲料選択ボタンの列に対応して)左右に三つに区画されており、いずれの区画23A、23B、23Cも、飲料選択ボタン40A、41、40Bを回避するかたちで、上下に延在すると共に、前面は所定曲率にて湾曲して形成された略半円筒状を呈している。そして、この扉側保持部23の少なくとも前面は、内部を透視可能な材料にて形成されている。また、各区画23A、23B、23Cが形成された扉側保持部23の上端は、蓋24にて開閉自在に閉塞される。
【0049】
また、当該扉側保持部23に保持される装飾部材22A乃至22Cは、例えば、所定の透光度を有するシートにより形成されており、当該飲料ディスペンサ1により供給される飲料の広告やイメージ図柄、メッセージなどが印刷等により現されているものとする。蓋24が開放された状態で、当該保持部23の各区画23A乃至23Cの上端より装飾部材22A乃至22Cが挿脱可能とされると共に、当該保持部23の前面の湾曲形状に沿って保持される。
【0050】
各装飾部材22A乃至22Cの後方に設けられる扉照明49は、前記ボタン照明44と同様に、例えばLEDなどの照明手段により構成されている。このとき、同一の区画23A乃至23Cに設けられる扉照明49は、同一の照明基板50に設けられるものとする。尚、本実施例では扉照明49による照度は、前記ボタン照明44の低照度と略同程度であるものとする。また、図4に示されるように、扉28中央に設けられる飲料選択ボタン41は、扉28左右に設けられる飲料選択ボタン40A及び40Bよりも上方に渡って設けられているため、当該電照看板48は、左右の区画23A及び23Cよりも中央の区画23Bが短く上方に偏って設けられ、中央上部に設けられる飲料選択ボタン41・・・は、左右が電照看板48に囲繞されるかたちで配置されることとなる。
【0051】
次に、図4及び図6を参照して、扉28の下部に設けられる位置照明(位置照明手段)の構成について説明する。扉28の下部は、上記各飲料供給位置10、11A、11Bの上方に位置すると共に、同時に、各飲料選択ボタン41、40A、40Bの下方にそれぞれ位置して、前面にノズル位置表示部53、54A、54Bが形成されると共に、下面に位置照明窓55、56A、56Bが形成される。そして、これらノズル位置表示部53及び位置照明窓55の内方に、位置照明57が設けられる。同様にノズル位置表示部54A、位置照明窓56Aの内方、ノズル位置表示部54B、位置照明56Bの内方に、位置照明58A、58Bがそれぞれ設けられる。
【0052】
各位置照明57、58A、58Bは、上記ボタン照明44と同様に例えばLEDにより構成されており、これらは、同一の照明基板59に設けられる。これにより、位置照明57が点灯されることにより、扉28の下部中央に形成されるノズル位置表示部53から前方に光が透過されると共に、位置照明窓55より下方に位置する飲料供給位置10が上方より照明される。同様に位置照明58A、58Bが点灯されることにより、扉28の下部左右に形成されるノズル位置表示部54A、54Bから前方に光が透過されることにより、下方に設けられる飲料供給位置を表示することが可能となると共に、位置照明窓56A、56Bより下方に位置する飲料供給位置11A、11Bが上方より照明される。
【0053】
尚、図5及び図6において、52は、扉28の後面外縁部に設けられ、当該扉28後面と本体2前縁部とを密着するパッキンである。
【0054】
次に、図7の電気ブロック図を参照して、本実施例における各種照明と飲料供給の制御を行う制御装置60について説明する。制御装置60は、汎用のマイクロコンピュータにより構成されており、所定の時限手段としてのタイマ61を内蔵している。この制御装置60の入力側には、飲料選択ボタン40A、40B、41・・の各接触スイッチ45と、カップセンサ20、21A、21Bと、販売可スイッチ63などが接続される。制御装置60の出力側には、タンクユニット31の各飲料原料の供給ラインに設けられる開閉弁8等と、BIBユニット32、32に設けられるポンプ5、5及び希釈水電磁弁(ノズル7に接続)64と、各ボタン照明44と、扉照明49と、位置照明57、58A、58Bなどが接続される。
【0055】
以上の構成にて、飲料ディスペンサ1の各種照明と飲料供給に関する制御について説明する。
【0056】
(販売待機状態)
営業時間等の待機時間帯は、先ず飲料ディスペンサ1の管理者等は、扉28の内方に設けられる販売可スイッチ63をONとし、販売待機状態とする。この販売待機状態では、制御装置60は、扉照明49を点灯すると共に、同程度の照度(低照度設定)にて各飲料選択ボタン40A、40B、41の各ボタン照明44も点灯する。更に、各位置照明57、58A、58Aも点灯する。これにより、販売待機状態では、扉28の前面全体を各照明49、44によりそれぞれ透光性材料にて構成される扉装飾部材22及び銘柄フィルム43が後方から照らし出され、飲料ディスペンサ1自体の美感の向上を図ることができ、顧客に装置自体を積極的にアピールすることが可能となる。また、この照明により、飲料ディスペンサ1前方をも照明することが可能となる。更に、各飲料供給位置11A、10、11Bもそれぞれの位置照明58A、57、58Bにより上方から照明されるため、全体としての照明効果を向上させることができる。
【0057】
(飲料供給制御)
上記販売待機状態において、使用者が飲料の供給を行う場合には、先ず、供給を行う飲料の選択を行い、当該飲料の銘柄フィルム43が取り付けられた飲料選択ボタンの下方に位置する飲料供給位置にカップを載置する。尚、ここでは、一方のBIBユニット32(正面から向かって左側)から飲料を供給する場合を例に挙げて説明する。
【0058】
図1に示される飲料ディスペンサ1において、例えば、ウーロン茶の供給を行う場合には、飲料選択ボタン40Aの下方であって、当該ウーロン茶の飲料原料の供給を行うノズル6及び希釈水の供給を行うノズル7の下方に位置する飲料供給位置11Aにカップを載置する。
【0059】
これにより、当該飲料供給位置11Aに設けられるカップセンサ21Aは、カップが当該飲料供給位置11Aに置かれたことを検出し、当該検出に基づき制御装置60は、飲料選択ボタン40Aのボタン照明44の照度を高設定とすると共に、当該ボタン40Aの操作を有効なものとする。更に、販売待機状態では、すべての飲料供給位置が位置照明57、58A、58Bにより照明されていたが、当該カップセンサ21Aのカップ検出により、制御装置60は、カップセンサ21Aに対応する位置の位置照明58Aのみを点灯し、他の位置照明57及び58Bは、消灯する。
【0060】
このとき、他の飲料選択ボタン41及び40Aのボタン照明44は、扉照明49と共に低設定の照度とされているため、ボタン操作が有効なものとされた飲料選択ボタン40Aの銘柄フィルム43のみが他よりも高い照度となり強調されたかたちで照明が行われることとなる。これにより、使用者には、実際にカップが置かれた位置が、飲料供給位置11Aである場合には、ウーロン茶の飲料選択ボタン40Aのみが操作可能であり、当該飲料の供給を操作することができることを容易に認識させ、案内することが可能となる。
【0061】
更に、当該飲料供給位置11Aのみが位置照明58Aにより照明されているため、位置照明58Aの点灯により前方のノズル位置表示部54Aに光が透過されると共に、当該飲料供給位置11Aのみが照明されることから、飲料ディスペンサ1の前方に立つ使用者からは、飲料選択ボタン40Aから飲料供給位置11Aに渡って、縦一列に照明が強調されたかたちとなる。
【0062】
そのため、実際にカップが置かれた位置が、飲料供給位置11Aである場合には、ウーロン茶の飲料選択ボタン40Aのみが操作可能であり、当該飲料の供給を操作することができることをより一層、容易に認識させ、案内することが可能となる。
【0063】
これにより、使用者がウーロン茶の飲料供給を所望しているにもかかわらず、カップが他の飲料供給位置、即ち中央の飲料供給位置10、コーヒー供給用の飲料供給位置11Bに置いてしまった場合には、ウーロン茶の飲料選択ボタン40Aの照度は低設定のままであり、対応する飲料供給位置11Aの位置照明58Aが消灯されているにもかかわらず、他の飲料選択ボタン41又は40Bの照度が高設定となり、これら飲料供給位置10、11Bの位置照明57又は58Bが点灯されていることで、容易に使用者にカップをおく位置を誤っていることを報知することが可能となる。また、飲料選択ボタンが高設定の照度でない場合には、ボタン操作は無効とされていることから異なる位置から飲料が供給されてしまう不都合を解消することが可能となる。
【0064】
尚、この場合に位置照明57、58A、58Bは、カップセンサ20、21A、21Bのカップ検出により、当該検出された飲料供給位置に対応する位置照明のみを点灯し、他の位置照明を消灯するものとしているが、これに限定されるものではなく、検出された飲料供給位置に対応する位置照明の照度を高設定とし、他の位置照明の照度を低設定としても良いものとする。
【0065】
また、係る場合において、所望している飲料供給に対し適切でない飲料供給位置、この場合飲料供給位置10又は11Aのみが位置照明57、58Bにより照明され、所望していない飲料選択ボタン41又は40Bのボタン照明44の照度が高設定とされ、強調されているにもかかわらず、所望している飲料選択ボタン40Aが操作された場合には、制御装置60は、操作された飲料選択ボタン40Aに対応する飲料供給位置11A以外の飲料供給位置10又は11Bにカップが置かれていると判断し、操作された飲料選択ボタン40Aに対応する飲料供給位置11Aの位置照明58Aを点滅させ、実際にカップが置かれた位置では、操作された飲料選択ボタン40Aによる飲料の供給を行うことができないことを報知し、正しいカップの載置位置、即ち、操作された飲料選択ボタン40Aに対応する飲料供給位置11Aを、当該位置に設けられる位置照明58Aにより使用者に案内する。
【0066】
尚、正しいカップの載置位置を誘導する位置照明58Aは、点滅するのみならず、当該位置照明58Aの照度を周期的に変更することにより、当該位置照明58Aにて照明される飲料供給位置11Aにカップを移動させることを促しても良いものとする。
【0067】
これにより、円滑に使用者に操作された飲料選択ボタンに対応する飲料供給位置を案内することができ、誤った位置にカップを置いてしまい、適切に飲料の供給が行えなくなる不都合を回避することが可能となる。従って、確実に、適切な位置において飲料の供給を実現することができるようになる。
【0068】
そして、ウーロン茶の供給に適切な飲料供給位置11Aにカップが置かれ、当該カップセンサ21Aがカップの検出を適切に行っている状態で、ウーロン茶の飲料選択ボタン40Aが操作されることにより、当該BIBユニット32のポンプ5が所定時間だけ運転されることで、BIB3からウーロン茶の飲料原料がノズル6からカップ内に供給されると共に、希釈水電磁弁64が所定時間だけ開放され、希釈水がノズル7からカップ内に供給される。このとき、カップ内には、飲料原料と希釈水とが混合され、所定の希釈割合にて希釈されたウーロン茶(飲料)が供給されることとなる。
【0069】
また、制御装置60は、カップセンサ21Aがカップを検出している間は、対応する位置照明58Aを点灯させ、或いは、他の位置照明57及び58Bよりも照度を高くする。これにより、ノズル6、7から供給される飲料を照明することも可能となり、演出効果を向上させることが可能となる。更に、飲料の供給後においてもカップがカップセンサ21Aにより検出されている間は、位置照明58Aにてカップが当該位置に置かれていることを示すことができ、使用者に当該カップを当該位置から移動させることを促すことが可能となる。
【0070】
尚、上記飲料供給制御において、いずれのカップセンサによってもカップが検出されていない状態、即ち、いずれの飲料供給位置10、11A、11Bにカップが載置されていない状態で、何れかの飲料選択ボタン、ここでは、飲料選択ボタン40Aが操作された場合には、制御装置60は、当該飲料選択ボタン40Aに基づく飲料の供給を行わずに、当該飲料選択ボタン40Aに対応する飲料の供給位置11Aの位置照明58Aのみを点灯、或いは、この位置照明58Aの照度を他の位置照明57及び58Bよりも高い照度にて点灯する。このとき、当該飲料供給位置11Aに対応する飲料選択ボタン40Aの照度を他の飲料選択ボタン41及び40Bの照度よりも高い照度で照明を行ってもよいものとする。これにより、飲料選択ボタン40Aにより操作されることにより、飲料の供給が行われる位置を的確に使用者に案内することが可能となる。
【0071】
その後、当該飲料供給位置(この場合飲料供給位置11A)に対応する位置に設けられるカップセンサ21Aがカップが置かれたことを検出した場合には、制御装置60は、再度、飲料選択ボタン40Aが操作されることを条件として、上述の如く飲料の供給を行う。これにより、確実に適切な飲料供給位置にカップが載置された状態で、カップ内に飲料の供給を行うことが可能となる。
【0072】
尚、本実施例では、飲料選択ボタン40Aの操作について説明しているが、これ以外にも、いずれのカップセンサによってもカップが検出されていない状態で、飲料選択ボタン41が操作された場合には、制御装置60は、当該飲料選択ボタン41に対応する飲料の供給位置10の位置照明57のみを点灯、或いは、この位置照明57の照度を他の位置照明58A及び58Bよりも高い照度にて点灯する。飲料選択ボタン40Bが操作された場合についても同様に位置照明58Bを点灯或いは、高設定の照度で点灯するものとする。
【0073】
尚、図1の飲料ディスペンサ1において、コーヒーの供給を行う場合には、飲料選択ボタン40Bの下方であって、当該コーヒーの飲料原料の供給を行うノズル6及び希釈水の供給を行うノズル7の下方に位置する飲料供給位置11Bに載置する。このときも同様に、当該検出に基づき制御装置60は、飲料選択ボタン40Bのボタン照明44の照度を高設定とすると共に、当該ボタン40Bの操作を有効なものとする。更に、制御装置60は、カップセンサ21Bに対応する位置の位置照明58Bのみを点灯し、他の位置照明57及び58Aは、消灯する。そして、この状態で、飲料選択ボタン40Bが操作されることにより、カップ内にコーヒーの飲料原料及び希釈水が供給されることとなる。
【0074】
他方、オレンジソーダ、グレープソーダ、オレンジ、グレープ、レモン、メロンの何れかの飲料の供給を行う場合には、これら飲料選択ボタン41の下方であって、これら飲料の飲料原料(希釈液を含む)の供給を行うマルチノズル12の下方に位置する飲料供給位置10にカップを載置する。このときも同様に、当該検出に基づき制御装置60は、飲料選択ボタン41のボタン照明44の照度を高設定とすると共に、当該ボタン41の操作を有効なものとする。更に、制御装置60は、カップセンサ20に対応する位置の位置照明57のみを点灯し、他の位置照明58A及び58Bは、消灯する。そして、この状態で、飲料選択ボタン41の何れかが操作されることにより、対応する飲料原料及び希釈液により提供される飲料がカップ内に供給されることとなる。
【0075】
また、上記飲料ディスペンサ1の制御装置60は、飲料選択ボタンの対応する飲料が売り切れとなったことを検出した場合には、当該飲料選択ボタンのボタン照明44は消灯し、使用者に、当該飲料選択ボタンによる飲料の供給が行えないことを報知する。尚、これに限定されるものではなく、各飲料選択ボタン毎に売り切れランプを別個独立に備え、飲料選択ボタンのボタン照明44の制御は、上記と同様とすると共に、売り切れ時には、当該売り切れランプを点灯し、使用者に当該飲料選択ボタンによる飲料の供給が行えないことを報知しても良い。
【0076】
更に、当該制御装置60は、販売可スイッチ63により、手動ですべての飲料選択ボタンのボタン照明44の点灯・消灯を可能とする。これにより、営業外時間帯などにおいて、使用者が販売可スイッチ63をOFFとし、すべてのボタン照明44を消灯することで、各飲料選択ボタンによる飲料供給を指示することができない状態とすることが可能となる。尚、当該販売可スイッチ63による営業外時間帯などにおける飲料選択ボタンのボタン照明の点灯・消灯は、制御装置60に内蔵されるタイマにより制御しても良いものとする。
【0077】
尚、上述した如き図1に示される飲料ディスペンサ1では、タンクユニット31から供給可能とされる飲料の種類を6種類(オレンジソーダ、グレープソーダ、オレンジ、グレープ、レモン、メロン)とし、それぞれ飲料選択ボタン41が設けられているが、図8に示されるようにタンクユニット31から供給可能とされる飲料の種類が4種類とされる場合には、6個すべての飲料選択ボタン41を使用する必要がない。
【0078】
そのため、例えば、当該飲料選択ボタン41の列の上部を使用不可の飲料選択ボタンとし、当該飲料選択ボタン41には、飲料の種類が現されている銘柄フィルム43に替わって、周囲に設けられる扉側保持部23に保持される扉装飾部材22に現される図柄等と連続的に現される図柄等が現された透光性の装飾部材65をそれぞれの飲料選択ボタン41のボタン側保持部43に取り付けてもよいものとする。尚、装飾部材65が取り付けられる飲料選択ボタンは、当該飲料選択ボタン41に限定されるものではなく、BIBユニット32、32のそれぞれに対応する飲料選択ボタン40A、40Bであっても良いものとする。
【0079】
これにより、飲料選択ボタンが操作無効ボタンとして用いられる場合(所謂ダミーボタン)には、表示される銘柄ラベルが存在しないこととなるが、扉装飾部材22と共に、一体的乃至、連続した図柄を構成する図柄が表された装飾部材65を取り付けることにより、当該ボタン部分も扉28前面の扉装飾部材22と共に一体的な図柄等をあらわすことが可能となり、装置全体の一体感を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の飲料ディスペンサの正面図である。
【図2】飲料ディスペンサの扉を開いた状態の正面図である。
【図3】飲料ディスペンサの内部構成を示す側面図である。
【図4】装飾部材を取り除いた状態の飲料ディスペンサの正面図である。
【図5】図4のA−A部分を上方から見た断面図である。
【図6】図4のB−B部分を下方から見た断面図である。
【図7】制御装置の電気ブロック図である。
【図8】飲料ディスペンサの正面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 飲料ディスペンサ
3 BIB
5 ポンプ
6 ノズル(BIB飲料原料吐出用)
7 ノズル(BIB希釈水吐出用)
8 電磁弁
10、11A、11B 飲料供給位置
12 マルチノズル
14 テーブル
15 ガイド
20、21A、21B カップセンサ(カップ検出手段)
22 扉装飾部材
23 扉側保持部
28 扉
31 タンクユニット
32 BIBユニット
33 コンプレッサ
34 コンデンサ
36 希釈水ポンプモータ
40A、40B、41 飲料選択ボタン
42 ボタン側保持部
43 銘柄フィルム
44 ボタン照明
45 接触スイッチ
46 ボタン基板
48 電照看板
49 扉照明(扉照明手段)
50 照明基板
53、54A、54B ノズル位置表示部
55、56A、56B 位置照明窓
57、58A、58B 位置照明(位置照明手段)
60 制御装置
65 装飾部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体前面の扉に複数の飲料選択ボタンを備え、該飲料選択ボタンの操作に基づき、前記扉下方の飲料供給位置に配置されたカップに、ノズルより飲料を供給する飲料ディスペンサにおいて、
前記扉に設けられ、当該扉の前面に透光性の装飾部材を着脱自在に保持する扉側保持部と、該扉側保持部に保持された前記装飾部材を後方から照らし出す扉照明手段と、前記飲料選択ボタンに設けられ、当該飲料選択ボタンの前面に透光性の装飾部材を着脱自在に保持するボタン側保持部と、該ボタン側保持部に保持された前記装飾部材を後方から照らし出すボタン照明手段とを備えたことを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項2】
本体前面の扉に設けられた複数の飲料選択ボタンと、前記扉下方に構成された複数の飲料供給位置上方に対応してそれぞれ設けられたノズルとを備え、前記飲料選択ボタンの操作に基づき、当該飲料選択ボタンに対応する前記ノズルよりカップに飲料を供給する飲料ディスペンサにおいて、
前記各飲料選択ボタンに設けられたボタン照明手段と、
前記各飲料供給位置における前記カップの有無をそれぞれ検出するカップ検出手段と、
前記飲料選択ボタンの操作及び前記カップ検出手段の検出動作に基づき、前記ノズルからの飲料供給を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項3】
前記制御手段は、前記飲料選択ボタンが操作された場合、当該飲料選択ボタンに対応する前記ノズル下方の前記飲料供給位置に前記カップが置かれたことを前記カップ検出手段が検出していることを条件として当該ノズルより飲料を供給すると共に、
前記カップ検出手段が前記カップを検出した場合、当該カップが置かれた前記飲料供給位置上方の前記ノズルに対応する前記飲料選択ボタンのボタン照明手段の照度を、他の飲料選択ボタンのボタン照明手段よりも高くすることを特徴とする請求項2に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項4】
前記各飲料供給位置をそれぞれ照明する位置照明手段を備えたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項5】
前記制御手段は、前記飲料選択ボタンが操作された場合、当該飲料選択ボタンに対応するノズル下方の前記飲料供給位置の前記位置照明手段のみを点灯し、或いは、当該位置照明手段の照度を他の位置照明手段よりも高くすることを特徴とする請求項4に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項6】
本体前面の扉に設けられた複数の飲料選択ボタンと、前記扉下方に構成された複数の飲料供給位置上方に対応してそれぞれ設けられたノズルとを備え、前記飲料選択ボタンの操作に基づき、当該飲料選択ボタンに対応する前記ノズルよりカップに飲料を供給する飲料ディスペンサにおいて、
前記各飲料供給位置をそれぞれ照明する位置照明手段と、
前記飲料選択ボタンの操作に基づいて当該飲料選択ボタンに対応する前記ノズルより飲料を供給する制御手段とを備え、
該制御手段は、前記飲料選択ボタンが操作された場合、当該飲料選択ボタンに対応するノズル下方の前記飲料供給位置の前記位置照明手段のみを点灯し、或いは、当該位置照明手段の照度を他の位置照明手段よりも高くすることを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項7】
前記各飲料供給位置における前記カップの有無をそれぞれ検出するカップ検出手段を備え、
前記制御手段は、前記飲料選択ボタンが操作された場合、当該飲料選択ボタンに対応する前記ノズル下方の前記飲料供給位置に前記カップが置かれたことを前記カップ検出手段が検出していることを条件として当該ノズルより飲料を供給することを特徴とする請求項6に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項8】
前記制御手段は、前記カップ検出手段が前記カップを検出している間、前記位置照明手段を点灯させ、或いは、他の位置照明手段よりも照度を高くすることを特徴とする請求項4、請求項5又は請求項7に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項9】
前記制御手段は、前記飲料選択ボタンが操作された前記ノズルに対応する前記飲料供給位置以外の飲料供給位置に前記カップが置かれたことを前記カップ検出手段が検出した場合、当該前記飲料選択ボタンが操作された前記ノズルに対応する前記飲料供給位置の前記位置照明手段を点滅させ、或いは、当該位置照明手段の照度を周期的に変更することを特徴とする請求項4、請求項5、請求項7又は請求項8の飲料ディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−123339(P2008−123339A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307840(P2006−307840)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】