説明

飲料水系中に添加するためのフロルフェニコールの発泡性処方物

本発明は、フロルフェニコールまたは関連する構造の抗生物質を含有する発泡性処方物に関する。水へ導入されるとき、上記発泡性処方物は、撹拌無しまたは最低限の撹拌で溶解し、フロルフェニコールの溶液または均一な分散液を提供する。上記処方物は、代表的には、流動性粉末、顆粒、または錠剤の形態である。上記発泡性処方物は、細菌感染の処置に対して有用であり、そのような処置を必要とする動物の飲料水系中への、フロルフェニコールの迅速な分散および溶解を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロルフェニコール(FFC)の発泡性薬学的組成物、および、混合粉末、顆粒、または錠剤の形態である関連構造の抗生物質に関する。上記組成物は、動物における細菌感染の処置のために飲料水系へ添加するための迅速に可溶な添加剤を提供する。
【背景技術】
【0002】
フロルフェニコールは、広域抗生物質であり、構造的にはチアンフェニコールおよびクロラムフェニコールに関連する。フロルフェニコールは、動物(特に、畜牛、豚、家禽、および魚)における使用のために、獣医学的処置として開発されてきた。
【0003】
フロルフェニコールは、ブロイラーにおけるE.coli airsacculitisに起因する斃死率の抑制、および、Actinobacillus pleuropneumoniae、P.multocida、Mycoplasma、Salmonella cholera suis、およびStreptococcus suis II型が関係する豚の呼吸器疾患の処置および抑制に必要とされる。フロルフェニコールを含有する現在の獣医学的製品は、注射可能な(畜牛の呼吸器疾患の処置のための)粉末または顆粒(養殖において飼料へ添加する)の形態で、そして、(豚および家禽の飲料水系中への添加のために)濃縮非水性有機溶液として入手可能である。
【0004】
飲料水系へ添加するために設計される発泡性製品は、その投与の容易さに起因して、当該産業に対する際立った魅力を有する。現在市販される1つの製品は、Nuflor(登録商標)濃縮溶液(Schering−Plough)である。Nuflor(登録商標)濃縮溶液は、多量の有機溶媒を使用してフロルフェニコールの水中への即座の可溶化を提供し、そして、大量の水源において、400mg/ガロン(約0.1mg/mL)の有効濃度で使用され得るだけでなく、自動プロポーショナを用いる、約13.5mg/mLの濃度で混合(1オンス:1ガロンの混合比)するタンク系を用いてもまた使用され得る。しかし、可溶粉末処方物の使用と共に除去される有機濃縮溶液に関連するいくつかの欠点が存在する。例えば、濃縮溶液を分配するボトルが、処分および保管の問題(特に、同時に1つより多い飲料用送水管を扱うことが必要な大施設に対して)を生み出す。さらには、限られた有効期限がこの製品に対して認められてきた。可溶性粉末処方物は、濃縮有機溶液に関連する問題を克服できる。例えば、理想的には改良された粉末組成物は、延長された有効期間を有する安定な剤形であることが予想される。また、理想的には、それがより小さなパッケージに分配され、それゆえ、提起される処分に伴う問題はより少なくなる。さらには、改良された製品は、飲料用送水管中の細菌またはカビの成長についての起こり得るいずれの問題も防ぐために、任意の糖を基とした充填剤(例えば、ラクトースまたはスクロース)を含むこと無しに処方されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
飲料水系中への、可溶性粉末としてのフロルフェニコールの送達は、簡単な課題ではない。難問のうちの1つは、その比較的低い水溶解度(1.23mg/mL)である。フロルフェニコールを含有する可溶性粉末を開発することに伴う別の難問は、薬物の水中での限定された湿潤性である。水への添加の際、フロルフェニコールは表面に浮き、水全体にわたって均一に分散しない。数年にわたって、様々な技術がこれらの問題を克服するために提案されてきた。さまざまなプロドラッグ処方物および他の可溶化技術(例えば、表面活性化剤の使用およびカプセル化)が提案されてきた(米国特許第7,122,198号明細書)。最近、フロルフェニコールを含有する新規処方物を提供することに努力は向けられてきている。水に添加される場合、そのような処方物は、撹拌無しまたは最小限の撹拌でフロルフェニコールを迅速に分散し、溶解させる。また、現存するフロルフェニコールを基とする処理形態を超える利点を提供する。加えて、そのような生成物は、高いレベルの利用者受容性を有し得る。当該分野において有用であり、受容を獲得することを目的として、水溶液中でフロルフェニコールを提供することに付随する困難さに関する上記問題は、解決されなければならず、本発明はこれらの必要性に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本発明の発泡性処方物は、代表的には、流動性(free flowing)粉末、顆粒、または錠剤の形態である。それによると、本発明の1つの局面は、
a)約10重量%〜約65重量%のフロルフェニコール;
b)約20重量%〜約80重量%のアルカリ成分;および
c)約0重量%〜約60重量%の酸成分;
を含有する発泡性処方物を提供する。
【0007】
上記処方物は、湿気の存在下発泡可能であり、撹拌無しまたは最小限の撹拌で水中にフロルフェニコールを迅速に分散させ、溶解させ得る。
【0008】
本発明のいくつかの特定の局面において、アルカリ成分と酸性分の比は1:1より大きい。発泡性処方物中で使用される1つの特定アルカリ成分は、炭酸水素ナトリウムである。いくつかの特定酸成分としては、クエン酸、酒石酸、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0009】
本発明の他の局面において、発泡性処方物を調製する方法、発泡性処方物を用いて処置する方法、および、発泡性処方物を含有するキットが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明は、動物の飲料水系において使用するためのフロルフェニコールを含む発泡性処方物を提供する。本発明のいくつかの特定の局面において、発泡性処方物は、上記飲料水系へ直接添加され得、急速な溶解速度プロフィールで抗生物質治療用量に到達し得る安定な粉末、顆粒、または圧縮錠剤である。
【0011】
本発明の目的に対して、「発泡性ペア」は湿気または水の存在下での反応により、ガスを発生する酸成分およびアルカリ成分を含むことが理解されるものとする。
【0012】
本発明の目的に対して、「動物」は、限定はされないが、豚、畜牛、家禽、あるいは、農産物(例えば、食べ物もしくは繊維)を作るための農業環境において意図的に飼育される、またはその労働のために意図的に飼育される任意の家畜化された動物を含むことが理解されるものとする。
【0013】
本発明の発泡性処方物の鍵となる成分の1つは、薬物フロルフェニコールである。フロルフェニコールは、遊離塩基としての、またはその塩形態、ならびに任意のその誘導体形態(例えば、ホスフェート誘導体および任意のフロルフェニコールプロドラッグ)の発泡性処方物として調製され得る。フロルフェニコールは吸湿性ではなく、そのため、発泡性処方物中へのその組み込みは、水の吸収に起因する不安定性を引き起こさない。フロルフェニコールはまた、[R−(R,S)]−2,2−ジクロロ−N−[1−(フルオロメチル)−2−ヒドロキシ−2−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−エチル]アセトアミドとしても知られる。この好ましい抗生物質の製造プロセス、およびそのようなプロセスに有用な中間体は、米国特許第4,311,857号、同第4,582,918号、同第4,973,750号、同第4,876,352号、同第5,227,494号、同第4,743,700号、同第5,567,844号、同第5,105,009号、同第5,382,673号、同第5,352,832号、および同第5,663,361号明細書に記載される。別の好ましい抗生物質は、チアンフェニコールである。前出の薬学的に受容可能な塩はまた、本明細書中に記載される発泡性処方物への添加に対して企図される。
【0014】
本発明のいくつかの局面において、発泡性処方物中に含まれるフロルフェニコールの量は、約10重量%〜約65重量%の範囲であり得る。いくつかの特定の局面において、フロルフェニコールの量は、処方物の約20重量%〜約50重量%である一方、他の特定の局面において、その量は約40重量%〜約50重量%である。1つの特定の局面において、その量は約20重量%である。
【0015】
発泡性処方物は、好ましくは、水との接触により二酸化炭素を発生する酸とアルカリの混合物を含有する。あるいは、水との接触により活発にガスを放出する任意の発泡性物質が組み込まれ得る。上記ペアのアルカリ成分は、特に、酸成分に対し化学量論的当量で過剰に存在する(すなわち、アルカリ成分と酸成分の比が1:1より大きい)。本発明のいくつかの特定の局面において、アルカリ成分と酸成分の比は、約1.1:1〜約1.5:1である。別の特定の局面において、酸成分と塩基成分の比は、化学量論的に計算され、約1:1.44である。
【0016】
前出の比を念頭におきながら、発泡性処方物中に含まれるアルカリ成分の量は、処方物の約20重量%〜約80重量%であり、特に約20重量%〜約50重量%であり、特に約30重量%〜約45重量%である(実施例において、約30重量%〜45重量%)。別の特定の局面において、発泡性処方物中に含まれるアルカリ成分の量は、処方物の約41重量%である。本明細書中に記載される発泡性処方物中の酸成分の量は、約0重量%〜約60重量%の範囲であり得、特に約20重量%〜約40重量%の範囲であり得、特に約30重量%〜約40重量%の範囲であり得る(実施例において、約30重量%〜40重量%)。別の局面において、本明細書中に記載される発泡性処方物中の酸成分の量は、処方物の約36重量%である。
【0017】
アルカリ成分は、特に、炭酸塩または炭酸水素塩(例えば、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、またはこれらの混合物)である。本発明の1つの特定の局面において、アルカリ成分は炭酸水素ナトリウムである。当業者により理解されるように、代替物が使用され得る。代替物の非限定的なリストは、アルカリ金属塩を含む例示的実施形態において使用するのに適した塩(限定はされないが)を含む。炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、および炭酸水素カルシウム、これらの混合物など(例えば、アルカリ金属の炭酸塩または炭酸水素塩)、ならびに発泡性物質の分野で周知の物質は、すべて使用され得る。
【0018】
発泡性処方物の酸成分は、幅広い様々な薬学的に受容可能な酸の中から選択され得る。非限定的なリストは、限定はされないが、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、シュウ酸、スルファミン酸、および、これらの混合物などを含む。特に、含まれる酸としては、クエン酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、およびこれらの混合物などが挙げられる。当業者に理解されるように、前出のものは単なる例示である。前出のものの組み合わせ、および、本明細書中で特定して言及されていない他の酸との混合物もまた企図される。
【0019】
慣例的な賦形剤(例えば、着色剤、充填剤、希釈剤、界面活性剤、甘味剤、矯味矯臭剤(flavorant)、保存剤、抗酸化剤、安定剤、および、他の補助的な薬学的に受容可能な成分など、ならびにこれらの混合物)は、処方物に添加され得る。例えば、処方物は、追加の一般的賦形剤(例えば、結合剤、滑沢剤、希釈剤、界面活性剤、溶媒、および、これらの混合物)もまた含み得る。1つの特定の希釈剤は、無水ラクトースである。他の適した希釈剤としては、限定はされないが、微結晶性セルロース、ソルビトール、デンプン、およびリン酸カルシウムが挙げられる。希釈剤の量は、約0重量%〜約40重量%の範囲であり得る。1つの特定の滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムであるが、他の適した滑沢剤としては、限定はされないが、リン酸カルシウム、および/または、第二リン酸カルシウムが挙げられ得る。滑沢剤の量は、約0重量%〜約5重量%の範囲であり得る。1つの特定の界面活性剤は、Tween80であるが、他の適した界面活性剤としては、限定はされないが、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられ得る。界面活性剤の量は、約0重量%〜約10重量%の範囲であり得る。1つの特定の結合剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)30である。結合剤の量は、水溶液またはアルコール溶液中で約2重量%〜約20重量%の範囲であり得る。適した代替物の非限定的なリストは、ポリビニルピロリドン90、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリルアミド(polyacrilamide)、およびポリビニルアルコールを含み得る。
【0020】
所望される場合、他の任意の不活性成分が本組成物へ加えられ得る。そのような成分としては、保存剤、抗酸化剤、安定剤、着色剤、甘味剤、および矯味矯臭剤が挙げられる。例示的な保存剤としては、p−ヒドロキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)、およびp−ヒドロキシ安息香酸プロピル(プロピルパラベン)が挙げられる。例示的な抗酸化剤としては、ブチルヒドロキシアニソール、およびモノチオグリセロールナトリウムが挙げられる。本発明に使用するための例示的な安定剤としては、例えば、BHT、またはクエン酸が挙げられる。本発明の処方物中のいずれの活性成分の崩壊も防ぐための1つの特定の安定剤は、約0.01%(W/W)と約0.05%(W/W)の間の濃度のBHTである。他の適した安定剤としては、例えば、フマル酸、リンゴ酸、および酒石酸が挙げられる。安定な酸が保存剤として使用される場合、それは、発泡性処方物中の酸成分および塩基成分の間の化学量論の比に従って、酸成分に加えて添加され得るか、または酸成分の一部として添加され得る。
【0021】
例示的な甘味剤としては、マンニトール、ラクトース、スクロース、およびデキストロースが挙げられる。
【0022】
本発明のいくつかの特定の局面は、発泡性ペア(アルカリ成分および酸成分の組み合わせであって、一緒になって水溶液中で泡を形成する。)を含む。発泡性ペアは、好ましくは、クエン酸および炭酸水素ナトリウム、または、酒石酸および炭酸水素ナトリウムから構成される。しかし、他の固体の酸/炭酸塩のペアが代わりに用いられ得る。例えば、グリシン炭酸ナトリウム(sodium glycine carbonate)もしくはリンゴ酸、および、炭酸ナトリウムもしくは炭酸水素カリウム、またはこれらの酸成分およびアルカリ成分の任意の組み合わせが使用され得る。
【0023】
例示的な溶媒としては、限定はされないが、エタノールおよび水が挙げられる。エタノールが、湿式造粒化(wet granulation)プロセス中の発砲反応を防ぐために好ましい。
【0024】
なおも、本発明のさらなる局面において、発泡性処方物は、フロルフェニコールの効果に干渉しないか、さもなければ妨害しない第二薬学的活性組成物を含有し得る。他の活性成分は本発明の処方物と組み合され得ることが理解される。そのような成分としては、例えば、抗炎症剤(例えば、コルチコステロイド、NSAID(例えば、フルニキシン)、COX−インヒビター、および他の鎮痛剤)、抗寄生虫性化合物(例えば、アベルメクチン化合物(例えば、イベルメクチン、ドラメクチン(doramectin)、ミルベマイシン、セラメクチン(selamectin)、エマメクチン(emamectin)、エプリノメクチン(eprinomectin)、およびモキシデクチン)、ならびに/または、必要に応じて殺吸虫剤)が挙げられ得る。また、処方物中の第二抗生物質を使用することも好まれ得る。好ましい抗生物質としては、テトラサイクリンが挙げられ得る。特に好ましいのは、クロロテトラサイクリンおよびオキシテトラサイクリンである。他の好ましい追加の抗生物質としては、β−ラクタム(例えば、ペニシリン、セファロスパリン(例えば、ペニシリン、アモキシシリン、または、アモキシシリンとクラブラン酸との組み合わせ)、あるいは、他のβラクタマーゼインヒビター、セフチオフール、セフキノームなどが挙げられる。追加の好ましい抗生物質としては、フルオロキノロン(例えば、エンロフロキサシン、ダノフロキサシン、ジフロキサシン、オルビフロキサシン(orbifloxacin)、およびマルボフロキサシン(marbofloxacin))、ならびにマクロライド系抗生物質(例えば、チルミコシン、ツラスロマイシン(tulathromycin)、エリスロマイシン、アジスロマイシン、および、その薬学的に受容可能な塩)などが挙げられる。あるいは、本発明の処方物と組み合わせて、昆虫成長抑制剤(insect growth regulator)を含み得る。
【0025】
本発明の組成物を調製する目的で、発泡性混合物(すなわち、アルカリ成分および酸成分)は、アルカリ成分が酸成分に対して化学量論的に過剰に存在する、化学量論の比で調製される。フロルフェニコールおよびいずれの任意の活性物質も、その中に組み込まれ、乾式混合される。混合された粉末が最終生成物である場合、添加される場合には矯味矯臭剤、甘味剤、保存剤、および抗酸化剤がこの時点で組み込まれる。あるいは、湿式造粒化が実行される場合、選択される結合剤および溶媒を含む溶液が調製され、混合物に加えられる。上記調製物は、適した造粒が達成されるまで混合される。矯味矯臭剤、甘味剤、保存剤、および抗酸化剤が加えられる場合、上記結合剤/溶媒溶液中に組み込まれる。次いで、顆粒は、乾燥され、粉末にされ、所望されるサイズにふるい分けられる。本明細書中に記載される処方物はまた、直接打錠法を経て調製され得る。
【0026】
本発明の他の局面において、細菌感染およびフロルフェニコールに影響されやすい(florfenicol−susceptible)状態を処置する、または予防する方法が提供される。上記方法は、本明細書中に記載される発泡性処方物の十分な量を水へ導入する工程、および結果として生じる溶液を、動物により摂取される液体の一部分として、それを必要とする動物に投与する工程を包含する(例えば、上記処方物は、そのような処置の必要な動物へ、処置用量および治療用量を投与するために、その飲料水系に添加され得る)。
【0027】
投与される量は、発泡性処方物および水の導入から生じるフロルフェニコール溶液の治療または予防有効量である。この実施形態の多くの局面において、水に加えられる発泡性処方物の量は、飲料水系中のフロルフェニコールの濃度を約0.05mg/mL〜約25mg/mLにするのに十分な量である。特に、飲料水中のフロルフェニコール濃度は、0.01mg/mL〜約0.2mg/mLである。特に、上記濃度は、大量の飲料水において約0.1mg/mLであり、水溶液が代表的なプロポーショナによる混合比(1:128ガロン)で使用される場合、約13.5±0.1mg/mLの濃度である。処置される状態、および処置される動物のタイプ、サイズ、重量等に応じて、適した処置の期間が約1日〜約5日の範囲であること、または、上記の濃度で新規処方物を飲料水中で使用することが必要とされる場合には、5日より長い範囲であることが企図される。当業者によって理解されるように、動物は随意に処置された水を飲む。それにもかかわらず、十分な量のフロルフェニコールが、上記の期間に飲用可能であるとき、それを必要とする動物へ投与されることが企図される。
【0028】
本発明の発泡性処方物は、所望される場合、活性成分を含む圧縮錠剤、顆粒、または粉末の形態の発泡性処方物を含む1つ以上の単位剤形を含み得る、パックまたはディスペンサ(dispenser)装置(例えば、FDA承認キット)中に与えられ得る。例えば、パックは、金属箔またはプラスチック箔(例えば、ブリスターパック)を備え得る。パックはまた、金属プラスチック箔で密閉された、使用準備の出来ている溶解性生分解性容器からなり得る。パックまたはディスペンサ装置は、投与に対する指示が添えられ得る。パックまたはディスペンサ装置はまた、薬の製造、使用、または販売を規制する政府機関により規定される形態の容器に関連する通知を伴い得る。上記通知は、組成物の形状について、または、ヒトもしくは獣医学的投与についての上記機関による承認を反映している。そのような通知は、例えば、処方薬に対する米国食品医薬品局による認可される表示(labeling)について、または認可された製品の挿入物についてであり得る。共存可能な薬学的キャリアー中に処方される本発明の化合物を含む組成物はまた、調製され、適切な容器中に配置され、必要とされる状況の処置のためのラベルが貼られる。それゆえに、上記キットは、それを必要とする動物における細菌感染の処置または予防と組み合わせて使用され得、そして、本明細書記載される発泡性処方物の十分な量、および、それを必要とする動物に与えられる飲料水へ発泡性処方物を導入するための指示を含み得る。
【実施例】
【0029】
以下の実施例は、本発明の特定の実施例を例示するために提供され、いずれのどんな方法においてもその範囲を限定することは意図されず、そう解釈されるべきでもない。
【0030】
実施例1〜5において、発泡性処方物を、各表で提供される処方にしたがって作り、以下の工程に従って作った。
【0031】
クエン酸および酒石酸を適した容器中で混合し、炭酸水素ナトリウムを加えた。フロルフェニコールと発泡性混合物とを、均一になるまで乾式混合する。PVPの溶液をエタノール中で調製し、上記乾燥成分へゆっくりと加える。適した造粒点(granulation point)が達成されるまで、混合物を混合する。追加成分(例えば、界面活性剤、矯味矯臭剤、または抗酸化剤)が存在する場合、追加成分をPVP溶液へ加える。次いで、顆粒を乾燥し、粉末にし、ふるい分けする。
【0032】
【化1】

【0033】
【化2】

発泡性処方物の有効性を測定するために、溶解試験を、50rpmでパドル撹拌するUSP装置2を用いて実行した。溶出媒体は、25℃の温度に保持されたMilli−Q水であった。発泡性処方物は、フロルフェニコールの最終濃度が0.1mg/mLに達する正確な量の水に直接加えた。生じた溶液のアリコートを分取し(withdraw)、UV−VIS分光測光法またはHPLC(後者は、賦形剤の寄与またはフロルフェニコールの崩壊を排除するためである)のいずれかを用いて分析した。HPLC分析において、有機/水性移動層をC18の逆相カラムによる分離のために使用した。検知は、UV吸収分光分析により実行した。溶解したパーセントは、被検体の名目濃度で調製される外部参考標準に対して計算された。
【0034】
純粋なフロルフェニコールをコンパレーターとして分析し、発泡性処方物の有効性を評価した。ここで、以下の錠剤に言及すると、純粋なフロルフェニコールは、15分で25%だけが溶解し、60分以内に43%が溶解することを観察し得る。比較すると、実施例1に従って、発泡性混合物として処方されたフロルフェニコールは、5分で97%が溶解し、60分以内に100%が溶解した。したがって、発泡性処方物は、フロルフェニコールの溶解速度を増加させ、水への添加後5分以内に完全な溶解を可能にした。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

本発明のいくつかの現在の特定の実施形態は本明細書中に記載されてきたけれども、記載される実施形態の変更および改変が本発明の意図および範囲から逸脱すること無しになされ得ることは、本発明が属する分野の当業者には明らかである。
【0037】
よって、本発明は、添付される請求項および法律の適用規則により要求される範囲に対してのみ限定されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性処方物であって、
a)約10重量%〜約65重量%のフロルフェニコール;
b)約20重量%〜約80重量%のアルカリ成分;および
c)約0重量%〜約60重量%の酸成分
を含み、該処方物が湿気の存在下発泡可能である、処方物。
【請求項2】
前記フロルフェニコールが、前記処方物の約20重量%〜約50重量%である、請求項1に記載の発泡性処方物。
【請求項3】
前記フロルフェニコールが、前記処方物の約40重量%〜約50重量%である、請求項2に記載の発泡性処方物。
【請求項4】
前記アルカリ成分と酸成分の比が1:1より大きい、請求項1に記載の発泡性処方物。
【請求項5】
前記アルカリ成分と酸成分の比が約1.1:1〜約1.5:1である、請求項4に記載の発泡性処方物。
【請求項6】
前記アルカリ成分が、前記処方物の約20重量%〜約50重量%である、請求項1に記載の発泡性処方物。
【請求項7】
前記アルカリ成分が、前記処方物の約30重量%〜約45重量%である、請求項6に記載の発泡性処方物。
【請求項8】
前記酸成分が、前記処方物の約20重量%〜約40重量%である、請求項1に記載の発泡性処方物。
【請求項9】
前記酸成分が、前記処方物の約30重量%〜約40重量%である、請求項8に記載の発泡性処方物。
【請求項10】
前記アルカリ成分が、炭酸塩または炭酸水素塩である、請求項1に記載の発泡性処方物。
【請求項11】
前記アルカリ成分が、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の発泡性処方物。
【請求項12】
前記アルカリ成分が、炭酸水素ナトリウムである、請求項11に記載の発泡性処方物。
【請求項13】
前記酸成分が、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、シュウ酸、スルファミン酸、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の発泡性処方物。
【請求項14】
前記酸成分が、クエン酸、酒石酸、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の発泡性処方物。
【請求項15】
保存剤、抗酸化剤、安定剤、着色剤、甘味剤、矯味矯臭剤、結合剤、希釈剤、滑沢剤、界面活性剤、溶媒、充填剤、およびこれらの混合物からなる群の一部をさらに含む、請求項1に記載の発泡性処方物。
【請求項16】
前記結合剤がPVP30である、請求項15に記載の発泡性処方物。
【請求項17】
前記結合剤が約2重量%〜約20重量%の範囲の量で存在する、請求項15に記載の発泡性処方物。
【請求項18】
第二薬学的活性組成物をさらに含む、請求項1に記載の発泡性処方物。
【請求項19】
前記第二薬学的活性組成物がフルニキシンである、請求項18に記載の発泡性処方物。
【請求項20】
前記第二薬学的活性組成物がCOX−2インヒビターである、請求項18に記載の発泡性処方物。
【請求項21】
前記第二薬学的活性組成物がアベルメクチンである、請求項18に記載の発泡性処方物。
【請求項22】
細菌感染を処置または予防する方法であって、
請求項1に記載の発泡性処方物の十分量を水へ導入する工程、および、該発泡性処方物および水の導入から生じる生成物の治療または予防有効量を、該処置または予防を必要とする動物へ投与する工程、
を包含する方法。
【請求項23】
前記動物へ投与されるフロルフェニコールの濃度が、約0.01mg/mL〜約0.2mg/mLである、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
細菌感染の処置または予防を必要とする動物における細菌感染を処置または予防するためのキットであって、請求項1に記載の発泡性処方物の十分量、および、該処置または予防を必要とする動物に与えられる飲料水へ該発泡性処方物を導入するための指示を含む、キット。
【請求項25】
発泡性処方物であって、
a)約20重量%のフロルフェニコール;
b)約41重量%のアルカリ成分;および
c)約36重量%の酸成分
を含み、該処方物が湿気の存在下発泡可能である、処方物。

【公表番号】特表2010−513487(P2010−513487A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542824(P2009−542824)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/025669
【国際公開番号】WO2008/085310
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(503442097)シェーリング−プラウ・リミテッド (47)
【住所又は居所原語表記】Weystrasse20,Lucerne6,CH−6000,Switzerland
【Fターム(参考)】