説明

香気放出性非揮発性ポリマー状シロキサン

【課題】加水分解時に香を放出し、長期に香気を呈するように香気分子の放出速度の遅い化学修飾されたポリマー状シロキサン。
【解決手段】式(RO)(RO)(RO)(R(RSiRの置換基を含んでなる香気放出性シロキサン。式中、Rは原子数2〜40の二価炭化水素基であり、RO、RO及びROは各々独立にアルコールROH、ROH及びROHから誘導される香気性アルコキシド部分であって、ROH、ROH及びROHは独立に香気性アルコールであり、R及びRは炭素原子数1〜40の一価炭化水素基及び炭素原子数1〜40の一価アルコキシ基からなる群から選択され、符号aは1〜3の範囲の値を有し、符号b、c、d及びeはa+b+c+d+e=3であることを条件として0〜2の範囲の値を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルケア処方物、家庭用製品、自動車用、織物用及び成形用材料を始めとする様々な用途に用いるのに好適な線状又は枝分れ又は架橋型の非揮発性オリゴマー状又はポリマー状シロキサンであって、加水分解時に香りを放出するように化学修飾された非揮発性ポリマー状シロキサンに関する。本発明は、さらに、このような分子であって、当該修飾ポリマー状非揮発性シロキサンの配合された製品が望ましい香気を長期にわたって呈するように香気分子の放出速度が十分に遅い分子に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのパーソナルケア製品において香気性分子の徐放性は極めて望ましい特質である。かかる目的を達成すべく幾多の手段が提案され、実行されている。そうした手段には、香気性化合物をパーソナルケアエマルジョン中に溶解もしくは懸濁させるもの(特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4)、香気性化合物をカプセル化するもの(特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8及び特許文献9)、香気性化合物をシリコーンのような疎水性相中に溶解させるもの(特許文献10、特許文献11及び特許文献12)、香気性化合物を架橋ポリマー中に組み込むもの(特許文献13及び特許文献14)、香気性化合物を透過性ラミネート中に組み込むもの(特許文献15及び特許文献16)、体温にて軟化するマトリックス中に香気性化合物を組み込むもの(特許文献17)、速度調節膜中に香気性化合物を組み込むもの(特許文献18)、及びシランを香気性アルコールで誘導体化してアルコキシシランを形成するもの(特許文献19及び特許文献20)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5525588号明細書
【特許文献2】米国特許第5525555号明細書
【特許文献3】米国特許第5490982号明細書
【特許文献4】米国特許第5372806号明細書
【特許文献5】米国特許第5500223号明細書
【特許文献6】米国特許第5324444号明細書
【特許文献7】米国特許第5185155号明細書
【特許文献8】米国特許第5176903号明細書
【特許文献9】米国特許第5130171号明細書
【特許文献10】米国特許第5449512号明細書
【特許文献11】米国特許第5160494号明細書
【特許文献12】米国特許第5234689号明細書
【特許文献13】米国特許第5387622号明細書
【特許文献14】米国特許第5387411号明細書
【特許文献15】米国特許第5071704号明細書
【特許文献16】米国特許第5008115号明細書
【特許文献17】米国特許第4908208号明細書
【特許文献18】米国特許第4445641号明細書
【特許文献19】米国特許第4524018号明細書
【特許文献20】米国特許第4500725号明細書
【0004】
これらのアプローチはいずれも次に挙げる問題の少なくともいずれかをもつ。1)当該材料がパーソナルケア製品中で安定でないこと、2)当該材料の製造が容易もしくは簡便でないこと、或いは3)当該材料からの香気化合物の放出が継続的でゆっくりとしたものではないこと。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、次式の香気放出性シロキサンを提供する。

式中、Mは式RSiO1/2を有し、Mは式RSiO1/2を有し、Dは式R1011SiO2/2を有し、Dは式R10SiO2/2を有し、Tは式R12SiO3/2を有し、Tは式RSiO3/2を有し、Qは式SiO4/2を有しており、R、R、R、R10、R11及びR12は、炭素原子数1〜40の一価アルキル又はアルコキシ基及び炭素原子数1〜40の一価アリール又はアリールオキシ基からなる群から、M、M、D、D、T及びTの各々について各々独立に選択され、符号g、i又はkの一は1以上であることを条件として、符号f又はgは正数であって符号h、i、j、k又はlの一又はそれ以上は正数であり、Rは式(RO)(RO)(RO)(R(RSiRを有しており、Rは原子数2〜40の二価炭化水素基であり、RO、RO及びROは各々独立にアルコールROH、ROH及びROHから誘導される香気性アルコキシド部分であって、ROH、ROH及びROHは独立に香気性アルコールであり、R及びRは炭素原子数1〜40の一価炭化水素基及び炭素原子数1〜40の一価アルコキシ基からなる群から選択され、符号aは1〜3の範囲の値を有し、符号b、c、d及びeはa+b+c+d+e=3であることを条件として0〜2の範囲の値を有する。本発明は、香気放出性シロキサンを含んでなる組成物も提供する。具体的用途には、香気放出性シロキサンを含んでなる化粧組成物がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の化合物はオレフィン性シラン分子のヒドロシリル化によって香気性部分を導入する。これらのシロキサン分子は各種のパーソナルケア組成物に有用である。本発明は新規組成物に関するが、当該組成物は加水分解に際して香気性アルコールを放出するシロキサンである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明で利用されるオレフィン性シランは次式で表される。
【0008】
(RO)(RO)(RO)(R(RSiR
式中、RO、RO及びROは香気性アルコキシド部分であり、ROH、ROH及びROHからなるアルコールの群から選択(又は誘導)されるが、ROH、ROH及びROHは独立に香気性アルコールであり、R及びRは炭素原子数1〜40の一価炭化水素基及び炭素原子数1〜40の一価アルコキシ基からなる群から選択され、符号aは1〜3の範囲の値を有し、符号b、c、d及びeはa+b+c+d+e=3であることを条件として0〜2の範囲の値を有する。本明細書中で用いる一価炭化水素基という用語は、脂肪族一価炭化水素基及び芳香族一価炭化水素基をいずれも包含し、酸素、窒素、イオウ及びハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)のようなヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0009】
以下に示す合成例は、本発明の化合物を製造するのにシリコーン化学の当業者が通例使用するであろう一般的な合成反応経路を例示するためのものである。従って、これらの反応経路は単なる例示にすぎず、本発明の化合物を製造し得る唯一の合成経路を表すものではない。
【0010】
出発物質がフェネタノールのような香気性アルコールの場合、オレフィン性ハロシラン又はオレフィン性ケイ素アルコキシドを出発物質として使用して香気性オレフィン性シランを介して本発明の香気放出性シロキサンを製造することができる。
反応経路I:
【0011】
【化1】

【0012】
反応経路II:
【0013】
【化2】

【0014】
反応経路III:
【0015】
【化3】

【0016】
ここで、反応IIIのR基はEt(C−)又は−CHCHとし得る。同様に、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オールはクロロメチルビニルシランと同様に次の反応経路IVで反応する。
【0017】
【化4】

【0018】
また、アリルジメチルクロロシランもシトロネロールと同様に次の反応経路Vで反応する。
【0019】
【化5】

【0020】
本発明のシランの前駆体である香気性アルコールは、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール、2−メチルブタノール、3−ペンタノール、n−ペンタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、1−デカノール、サンデラ(sandela)、ノナジル、ジメトール(dimetol)、チモール、1−ヘプタノール、メントール、オイゲノール、バニリン、o−バニリン、4−(p−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、シリンガアルデヒド、プレノール、cis−3−ヘキサノール、trans−3−ヘキサノール、cis−4−ヘプテノール、trans−2−オクテノール、trans−2−cis−6−ノナジエノール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、クロチルアルコール、オレイルアルコール、リナロール、α−テルピネオール、β−フェネチルアルコール、シンナミルアルコール、ベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、ノニルアルコール、1−オクタノール、3−オクタノール、サリチル酸フェネチル、ヒドロシンナミルアルコール、cis−6−ノネン−1−オール、trans−2−ノネン−1−オール、サリチル酸メチル、cis−3−オクテノール、アニシルアルコール、カルバクロール、ジヒドロカルベオール、サリチル酸ベンジル、テトラヒドロゲラニオール、サリチル酸エチル、エチルバニリン、イソオイゲノール、イソプレゴール、ラウリルアルコール、テトラヒドロリナロール及び2−フェノキシエタノールからなる群から選択される。
【0021】
本発明の香気放出性シロキサンは、香気オレフィン性シランをアルケニル源として利用する慣用ヒドロシリル化反応によってオルガノハイドロジェンシロキサンから製造される。そこで、オルガノハイドロジェンシロキサンは次式を有する。

式中、Mは式RSiO1/2を有し、MHは式RHSiO1/2を有し、Dは式R1011SiO2/2を有し、DHは式R10HSiO2/2を有し、Tは式R12SiO3/2を有し、THは式HSiO3/2を有し、Qは式SiO4/2を有しており、R、R、R、R10、R11及びR12は、炭素原子数1〜40の一価アルキル又はアルコキシ基及び炭素原子数1〜40の一価アリール又はアリールオキシ基からなる群から、M、M、D、D及びTの各々について各々独立に選択され、符号g、i又はkの一は1以上であることを条件として、符号f又はgは正数であって、符号h、i、j、k又はlの一又はそれ以上は正数である。
【0022】
このオルガノハイドロジェンシロキサンをヒドロシリル化条件下で反応させて、次式の香気放出性シロキサンを生じさせる。

式中の構成成分及び符号は上記の定義及び要件を満足するものであって、Mは式RRFSiO1/2を有し、DFは式R10SiO2/2を有し、Tは式RSiO3/2を有しており、Rは式(RO)(RO)(RO)(R(R)eSiRを有しており、Rは原子数2〜40の二価炭化水素基であって、符号及び構成成分は上記で定義した通りである。この非揮発性シリコーンはほとんどの使用条件下でゆっくりとした加水分解を受け、当該シリコーンはかくして加水分解により香気性アルコールを放出する。これにより、化粧品及び家庭用品のような数多くの有用な組成物に香りが賦与される。
【0023】
記ヒドロシリル化反応は、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム及び白金ヒドロシリル化触媒からなる群から選択されるヒドロシリル化触媒の存在下で慣用法により実施される。かかる触媒の具体例は、米国特許第2823218号、同第3159601号、同第3159662号及び同第3775452号に記載されている。
【0024】
本発明の組成物は、さらに、香気放出性シリコーンが1以上の置換基R、R及びRを有していて、各置換基が、2−メチルブタノール、3−ペンタノール、n−ペンタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、1−デカノール、サンデラ、ノナジル、ジメトール、チモール、1−ヘプタノール、メントール、オイゲノール、バニリン、o−バニリン、4−(p−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、シリンガアルデヒド、プレノール、cis−3−ヘキサノール、trans−3−ヘキサノール、cis−4−ヘプテノール、trans−2−オクテノール、trans−2−cis−6−ノナジエノール、ゲラニオール、ネロール、エバノール、シトロネロール、クロチルアルコール、オレイルアルコール、リナロール、α−テルピネオール、β−フェネチルアルコール、シンナミルアルコール、ベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、ノニルアルコール、1−オクタノール、3−オクタノール、サリチル酸フェネチル、ヒドロシンナミルアルコール、cis−6−ノネン−1−オール、trans−2−ノネン−1−オール、サリチル酸メチル、cis−3−オクテノール、アニシルアルコール、カルバクロール、ジヒドロカルベオール、サリチル酸ベンジル、テトラヒドロゲラニオール、サリチル酸エチル、エチルバニリン、イソオイゲノール、イソプレゴール、ラウリルアルコール、テトラヒドロリナロール及び2−フェノキシエタノールからなる香気性アルコールの群から独立に選択され、かくして当該シリコーンの加水分解によって生じる香気性アルコールが上記の香気性アルコールの群から選択される香気放出性シリコーンを提供する。
【0025】
本発明の香気放出性化合物は、パーソナルケア製品に配合して該製品に望ましい長期持続性の香気を賦与するのに特に適している。好適な用途には、特に限定されないが、デオドラント、制汗剤、スキンクリーム、フェイシャルクリーム、ヘアケア製品、例えばシャンプー、ムース、スタイリングジェル、保護クリーム、シェービングクリーム、アフターシェーブローション、オーデコロン、香水、カラーコスメチック、例えば口紅、ファンデーション、頬紅、メーキャップ及びマスカラのほか、別の含ケイ素成分が添加されていてかつ賦香が望まれる化粧品がある。シェービングローション、オーデコロン、化粧水及び香水等の賦香製品に本発明の組成物を少量配合すると、これらの製品に望ましい長期持続性の香気を賦与することができる。さらに、本発明のシランは、不快な臭いを快適な香りでマスクするのが望まれる他の製品、例えば、ワックスや磨き剤のような家庭用洗浄用品、ワックスや磨き剤のような自動車洗浄用品、洗浄剤、衣料用コーティング剤、ペイント、ワニス等にも配合し得る。ただし、本発明のシランが、該シランの配合される製品と相溶性であるか或いは相溶性とすることができることが条件となる。
【実施例】
【0026】
対応クロロシラン上でのフェネチルアルコール置換によってビニルシラン1〜2を調製した。ビニルシラン3は、トリエトキシビニルシランとフェネチルアルコールの1:1混合物の平衡によってできた、45%のジエトキシフェネチルオキシ単位と、39%のエトキシジフェネチルオキシ単位と8%のトリフェネチルオキシを含有する生成物であった。これらのビニルシランを次いで各種の含水素シロキサンに付加させて、本発明の組成物を合成した。1〜3をM25、MD20M及び1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンと反応させて、ポリマー4〜9とシロキサン10〜12を得た。
【0027】
【化6】

【0028】
【化7】

【0029】
【化8】

【0030】
加水分解実験
シロキサン10をNaOHと水の希塩基溶液で処理して、内部標準との相対的なフェネチルアルコールの放出をガスクロマトグラフィー(GC)でモニターした。表1は、香気成分の50%が放出されるのに約20時間かかったことを示している。同様に、シロキサン11及びポリマー4及び5を塩基水溶液で処理して、香気性アルコールの放出を行った。図1は、ケイ素上に2つのアルコキシ基を有する物質からの放出が格段に速かったことを示している。10と11並びに4と5を比較されたい。
【0031】
ポリマー7〜9も同様に希塩基で加水分解した。表2は、2つのフェネチルオキシ基をもつポリマー8がこれらの条件下で最も速く加水分解し、ポリマー7及び9は加水分解速度が遅く、アルコールの約50%しか放出されなかったことを示している。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
ジメチルビニルフェネチルオキシシラン1の製造
フェネチルアルコール(124.5ml、1.042モル)とトリエチルアミン(TEA、155ml、1.112モル)とトルエン(300ml)の溶液を攪拌しながら、ジメチルビニルクロロシラン(150ml、1.099モル)を1.5時間にわたって添加した。添加後、反応混合物を65℃に0.5時間加熱し、次いで室温に冷却し、濾過し、濾過ケークをトルエン(200ml)で洗浄し、濾液を減圧濃縮した後、減圧蒸留して(81〜85℃/4mmHg)、生成物を得た(180.5g、84%)。
【0035】
ビス(フェネチルオキシ)メチルビニルシラン2
フェネチルアルコール(140g、114モル)とトリエチルアミン(TEA、121g、1.2モル)とアイソパーC(Isopar C)(700ml)の溶液を攪拌しながら、ジクロロメチルビニルシラン(80g、0.567モル)を1時間にわたって添加し、この間反応混合物を70℃に加熱した。さらに1時間経過した後、反応混合物を室温に冷却し、濾過し、減圧濃縮した後、高真空下蒸留(110℃、4mmHg)でストリッピングして、生成物を得た(166g、94%)。
【0036】
フェネチルオキシジエトキシメチルビニルシラン3
トリエトキシビニルシラン(200g、1.05モル)とフェネチルアルコール(128g、1.05モル)とフィルトロール20(Filtrol−20)(5g)を一緒に加え、90℃に加熱した。生成するエタノール(EtOH)は蒸留によって除去し、フェネチルアルコールの大半が消費されたところで反応を止めた。反応混合物を次いで90℃/4mmHgでストリッピングして生成物の混合物を得たが、この生成物3の45%は両方のORがOEtのもので、3の39%は一方のORがOEtで一方のORがフェネチルオキシであるもので、3の8%が両方のORがフェネチルオキシであるものであった。
【0037】
末端置換ポリマー4
ポリマーM25(80g、0.044モル)をビニルシラン1(18.2g、0.088モル)と白金錯体(10mg)の溶液にゆっくりと添加した。添加が完了した時点で温度を80℃に上げて2時間後に冷却し、セライトで濾過して90.6gの無色透明の液体を得た。
【0038】
末端置換ポリマー5
ポリマーM25(60g、0.033モル)をビニルシラン2(20.6g、0.066モル)と白金錯体(10mg)の溶液に60℃でゆっくりと添加した。添加が完了したところで温度を60℃に4時間維持し、80℃に1時間上げた後冷却し、セライトで濾過して6
8.0gの生成物を得た。
【0039】
末端置換ポリマー6
ヒドリドポリマーM25に、ビニルシラン3(20.6g、0.066モル)と白金錯体(8mg)の溶液を80℃でゆっくりと添加した。添加が完了した時点で温度を80℃に8時間維持し、次いで冷却し、高真空でストリッピング(130℃/4mmHg)し、セライトで濾過して76.9gの生成物を得た。
【0040】
グラフトコポリマー7
ポリマーMD20M(80g、0.044モル)を、ビニルシラン1(27.2g、0.132モル)と白金錯体(10mg)の溶液に60℃でゆっくりと添加した。添加が完了した時点で反応をさらに2時間反応させ、次いで冷却し、セライトで濾過して無色透明の液体(98.8g)を得た。
【0041】
グラフトコポリマー8
ポリマーMD20M(100g、0.055モル)を、ビニルシラン2(51.5g、0.165モル)と白金錯体(10mg)の溶液に60℃でゆっくりと添加した。添加中に温度を90℃に上げた。添加が完了した時点で反応をさらに4時間反応させ、次いでさらに触媒を添加し(10mg)てさらに5時間加熱し、さらに等量の触媒を添加して(10mg)さらに7時間加熱した。混合物を高真空でストリッピング(90℃/4mmHg)し、セライトで濾過して133.3gの生成物を得た。
【0042】
グラフトコポリマー9
ビニルシラン3(30.9g、0.099モル)と白金錯体(10mg)の溶液に、ポリマーMD20M(60g、0.033モル)を90℃でゆっくりと添加して8時間反応させた。さらに16時間加熱する間に2度等量の触媒(各10mg)を添加した。混合物を高真空でストリッピング(100℃/4mmHg)し、セライトで濾過して75.0gの生成物を得た。
【0043】
シロキサン10
ヘプタメチルトリシロキサン(40g、0.18モル)を、ビニルシラン1(37g、0.18モル)と白金錯体(6mg)の溶液に60℃でゆっくりと添加した。添加が完了した時点で反応をさらに1時間反応させ、次いで蒸留(〜150℃/4mmHg)して53.4gの生成物を得た。
【0044】
シロキサン11
ヘプタメチルトリシロキサン(20g、0.09モル)を、ビニルシラン2(28.1g、0.09モル)と白金錯体(6mg)の溶液に60℃でゆっくりと添加した。添加が完了した時点で反応を80℃でさらに0.5時間反応させ、次いで冷却し、濾過して43.0gの生成物を得た。
【0045】
シロキサン12
ヘプタメチルトリシロキサン(40g、0.18モル)を、ビニルシラン3(56.1g、0.18モル)と白金錯体(10mg)の溶液に70℃でゆっくりと添加した。添加が完了した時点で反応を90℃でさらに12時間反応させ、その際1回触媒(10mg)を追加した。混合物を次いで冷却し、高真空下でストリッピング(100℃/4mg)し、濾過して89.2gの生成物を得た。
【0046】
シロキサン10の加水分解
シロキサン10(216mg、0.505ミリモル)及びジベンジル(68.3mg、0.375ミリモル)をTHF(2.0g)に溶解し、次いで1重量%NaOH水溶液(100ml)で処理した。GC分析のため時間間隔をおいてアリコートを採取した。
【0047】
シロキサン11の加水分解
シロキサン11(117.5mg、0.220ミリモル)及びジベンジル(33.1mg、0.182ミリモル)をTHF(2.0g)に溶解し、次いで1重量%NaOH水溶液(100ml)で処理した。GC分析のため時間間隔をおいてアリコートを採取した。
【0048】
ポリマー4の加水分解
ポリマー4(206.4mg、0.092ミリモル)及びジベンジル(25.8mg、0.141ミリモル)をTHF(2.0g)に溶解し、次いで1重量%NaOH水溶液(40ml)で処理した。GC分析のため時間間隔をおいてアリコートを採取した。
【0049】
ポリマー5の加水分解
ポリマー5(211.6mg、0.086ミリモル)及びジベンジル(50.6mg、0.278ミリモル)をTHF(2.0g)に溶解し、次いで1重量%NaOH水溶液(80ml)で処理した。GC分析のため時間間隔をおいてアリコートを採取した。
【0050】
ポリマー7の加水分解
ポリマー7(1368.9mg、0.083ミリモル)及びジベンジル(50.2mg、0.275ミリモル)をTHF(2.0g)に溶解し、次いで1重量%NaOH水溶液(55ml)で処理した。GC分析のため時間間隔をおいてアリコートを採取した。
【0051】
ポリマー8の加水分解
ポリマー8(187.8mg、0.068ミリモル)及びジベンジル(59.3mg、0.325ミリモル)をTHF(2.0g)に溶解し、次いで1重量%NaOH水溶液(90ml)で処理した。GC分析のため時間間隔をおいてアリコートを採取した。
【0052】
ポリマー9の加水分解
ポリマー9(117.1mg、0.042ミリモル)及びジベンジル(59.1mg、0.324ミリモル)をTHF(2.0g)に溶解し、次いで1重量%NaOH水溶液(45ml)で処理した。GC分析のため時間間隔をおいてアリコートを採取した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式の香気放出性シロキサン。

式中、Mは式RSiO1/2を有し、Mは式RSiO1/2を有し、Dは式R1011SiO2/2を有し、Dは式R10SiO2/2を有し、Tは式R12SiO3/2を有し、Tは式RSiO3/2を有し、Qは式SiO4/2を有しており、R、R、R、R10、R11及びR12は、M、M、D、D、T及びTの各々について各々独立に、炭素原子数1〜40の一価アルキル又はアルコキシ基及び炭素原子数1〜40の一価アリール又はアリールオキシ基からなる群から選択され、符号g、i又はkの一は1以上であることを条件として、符号f又はgは正数であって符号h、i、j、k又はlの一又はそれ以上は正数であり、Rは式(RO)a(RO)b(RO)c(R)d(R)eSiRを有しており、Rは原子数2〜40の二価炭化水素基であり、RO、RO及びROは各々独立にアルコールROH、ROH及びROHから誘導される香気性アルコキシド部分であって、ROH、ROH及びROHは独立に2−メチルブタノール、3−ペンタノール、n−ペンタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、1−デカノール、サンデラ、ノナジル、ジメトール、チモール、1−ヘプタノール、メントール、オイゲノール、バニリン、o−バニリン、4−(p−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、シリンガアルデヒド、プレノール、cis−3−ヘキサノール、trans−3−ヘキサノール、cis−4−ヘプテノール、trans−2−オクテノール、trans−2−cis−6−ノナジエノール、ゲラニオール、ネロール、エバノール、シトロネロール、クロチルアルコール、オレイルアルコール、リナロール、α−テルピネオール、β−フェネチルアルコール、シンナミルアルコール、ベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、ノニルアルコール、1−オクタノール、3−オクタノール、サリチル酸フェネチル、ヒドロシンナミルアルコール、cis−6−ノネン−1−オール、trans−2−ノネン−1−オール、サリチル酸メチル、cis−3−オクテノール、アニシルアルコール、カルバクロール、ジヒドロカルベオール、サリチル酸ベンジル、テトラヒドロゲラニオール、サリチル酸エチル、エチルバニリン、イソオイゲノール、イソプレゴール、ラウリルアルコール、テトラヒドロリナロール及び2−フェノキシエタノールからなる香気性アルコールの群から選択され、R及びRは炭素原子数1〜40の一価炭化水素基及び炭素原子数1〜40の一価アルコキシ基からなる群から選択され、符号aは1〜3の範囲の値を有し、符号b、c、d及びeはa+b+c+d+e=3であることを条件として0〜2の範囲の値を有する。
【請求項2】
符号aが2又は3の値を有する、請求項1記載の香気放出性シロキサン。
【請求項3】
符号lが0である、請求項1記載の香気放出性シロキサン。
【請求項4】
符号kが0である、請求項3記載の香気放出性シロキサン。
【請求項5】
符号jが0である、請求項4記載の香気放出性シロキサン。
【請求項6】
符号iが0である、請求項5記載の香気放出性シロキサン。
【請求項7】
符号gが0である、請求項6記載の香気放出性シロキサン。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の香気放出性シロキサンを含んでなる組成物。
【請求項9】
当該組成物が、デオドラント、制汗剤、スキンクリーム、フェイシャルクリーム、ヘアケア製品、保護クリーム、シェービングクリーム、アフターシェーブローション、オーデコロン、香水、及びメーキャップからなる群から選択される化粧組成物である、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
シャンプー、ムース、及びスタイリングジェルからなる群より選択されるヘアケア製品である、請求項9記載の化粧組成物。
【請求項11】
口紅、ファンデーション、頬紅、及びマスカラからなる群より選択されるメーキャップである、請求項9記載の化粧組成物。

【公開番号】特開2011−122165(P2011−122165A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17135(P2011−17135)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【分割の表示】特願平11−240691の分割
【原出願日】平成11年8月27日(1999.8.27)
【出願人】(506390498)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (85)
【Fターム(参考)】