説明

駆動伝達機構及び駆動伝達機構を備える画像形成装置

【課題】設計の自由度を低下させることなく、筐体の変形を抑制することができる駆動伝達機構を提供すること。
【解決手段】第1筐体111と、第1歯車211と、第1歯車211を回転可能に支持する第1軸部材311と、第1筐体111に積層配置される第2筐体121と、第2歯車205と、第2歯車205を回転可能に支持する第2軸部材305と、第1筐体111に形成される貫通孔状の軸受け部161であって、第1軸部材311の一端側の端部311aが嵌合されることで第1軸部材311の一端側を第1筐体111に連結させる第1軸受け部162と、第2軸部材305の他端側の端部305aが嵌合されることで第2軸部材305における他端側の端部305aと第1軸部材311における一端側の端部311aとが対向して配置された状態で、第2軸部材305の他端側を第1筐体111に連結させる第2軸受け部163と、を有する軸受け部161とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動伝達機構及び該駆動伝達機構を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被転写材としての用紙に画像を印刷(形成)するための装置として、プリンタ、コピー機又はこれらの複合機などの画像形成装置が知られている。一般的に、画像形成装置においては、用紙に画像を形成する画像形成部おける用紙の搬送方向の上流側には、用紙を画像形成部へ向けて搬送するレジストローラ対、用紙をレジストローラ対に送り出す搬送ローラ対などの用紙を搬送するためのローラが配置される。
【0003】
これらのローラは、回転駆動部からの回転駆動力が駆動伝達機構を介して伝達されることにより回転駆動される。回転駆動力をローラへ伝達する駆動伝達機構として、例えば、第1筐体と、第1筐体に積層配置される第2筐体と、回転駆動部からの回転駆動力を直接的又は間接的に伝達する複数の歯車と、複数の歯車を回転可能に支持する複数の軸部材と、を備える駆動伝達機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載される駆動伝達機構においては、第1筐体と第2筐体とにより複数の歯車等がケーシングされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−68487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような駆動伝達機構において、軸部材の一端側が第2筐体に固定され、軸部材における他端側を第1筐体に連結させる貫通孔状の軸受け部を備える場合がある。
軸受け部に軸部材を連結させる駆動伝達機構においては、回転駆動部からの回転駆動力を歯車から隣り合う歯車に伝達する際に、歯車同士の噛み合い力により発生する軸方向の荷重(スラスト荷重)が、筐体の軸受け部に集中的に作用してしまう。そのため、例えば、筐体それぞれが樹脂製であって機械的強度が低い場合には、第1筐体又は第2筐体には、軸受け部にスラスト荷重を受けることにより、スラスト荷重方向の撓み(たわみ)変形が生じる可能性があった。筐体の撓み変形は、歯車相互の噛み合いを悪化させ、回転伝達性能の低下や、騒音の増加といった不具合が生じる可能性がある。
【0006】
そこで、第1筐体又は第2筐体を樹脂よりも強度の高い板金で構成したり、第1筐体から第2筐体へ当てリブを設けることが行われる場合があった。しかし、第1筐体又は第2筐体を板金で構成する場合には、コストが上昇したり、重量の増加につながる虞があった。
【0007】
また、近年の画像形成装置の小型化や省スペース化の要請により、駆動伝達機構のコンパクト化が望まれている。そして、駆動伝達機構においては、コンパクト化のために、筐体の内部に配置される複数の歯車を互いに近接して配置することが望まれている。しかし、複数の歯車を互いに近接して配置すると、当てリブを配置するスペースの確保が難しくなる。そのため、当てリブを設ける場合には、複数の歯車の間にスペースを設ける等の配慮が必要になり、設計の自由度を低下させる虞があった。
【0008】
本発明は、設計の自由度を低下させることなく、筐体の変形を抑制することができる駆動伝達機構を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記駆動伝達機構を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第1筐体と、前記第1筐体における一方側の面である第1面側に配置される第1歯車と、前記第1筐体における前記1面側に配置され、一端側が該第1筐体に連結されると共に、前記第1歯車を回転可能に支持する第1軸部材と、前記第1筐体における前記第1面と反対側の面側に積層配置される第2筐体と、前記第2筐体における前記第1筐体側の面である第2面側に配置される第2歯車と、前記第2筐体における前記第2面側に配置され、一端側が該第2筐体に連結されると共に、前記第2歯車を回転可能に支持する第2軸部材と、前記第1筐体に形成される貫通孔状の軸受け部であって、前記第1軸部材における前記一端側の端部が嵌合されることで、前記第1軸部材の前記一端側を前記第1筐体に連結させる第1軸受け部と、前記第2軸部材における前記一端側と反対側の他端側の端部が嵌合されることで、前記第2軸部材における前記他端側の端部と前記第1軸部材における前記一端側の端部とが対向して配置された状態で、前記第2軸部材の前記他端側を前記第1筐体に連結させる第2軸受け部と、を有する軸受け部と、を備える駆動伝達機構に関する。
【0010】
また、前記第1軸部材は、前記第1歯車を第1回転軸を中心に回転可能に支持しており、前記第2軸部材は、前記第2歯車を第2回転軸を中心に回転可能に支持しており、前記第1回転軸と前記第2回転軸とは、同軸上になるように直線上に並んで配置されることが好ましい。
【0011】
また、前記第1軸部材の前記第2軸部材側への移動を規制する第1規制部と、前記第2軸部材の前記第1軸部材側への移動を規制する第2規制部と、を備えることが好ましい。
【0012】
また、前記第1軸部材と前記第2軸部材とは、前記第1軸部材と前記第2軸部材とにおける互いに対向する面同士が当接、又は、前記第1軸部材が前記第1筐体に連結されていない状態で前記第1筐体が前記第2筐体に積層配置される場合における前記第1筐体が最も撓み変形した撓み量である最大撓み量よりも小さい距離だけ離間することが好ましい。
【0013】
また、本発明は、シート状の被転写材に画像を形成する画像形成部と、前記駆動伝達機構と、前記第1歯車に直接的又は間接的に連結され、前記被転写材を前記画像形成部へ向けて搬送する第1ローラと、前記第2歯車に直接的又は間接的に連結され、前記被転写材を前記画像形成部へ向けて搬送する第2ローラと、を備える画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、設計の自由度を低下させることなく、筐体の変形を抑制することができる駆動伝達機構を提供することができる。
また、本発明によれば、前記駆動伝達機構を備える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の画像形成装置としてのプリンタ1の概略構成を示すプリンタ正面図である。
【図2】本発明のプリンタ1に搭載される駆動伝達機構41の斜視図である。
【図3】駆動伝達機構41を構成する第1筐体111と第2筐体121とを分離した状態を示す斜視図である。
【図4】図2のJ−J線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態を説明する。
図1により、本実施形態の画像形成装置としてのプリンタ1における全体構造を説明する。図1は、本発明の画像形成装置としてのプリンタ1の概略構成を示すプリンタ正面図である。
【0017】
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンタ1は、装置本体Mと、所定の画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tに所定のトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHとを有する。
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
【0018】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2a、2b、2c、2dと、帯電部10a、10b、10c、10dと、露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dと、現像器16a、16b、16c、16dと、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dと、トナー供給部6a、6b、6c、6dと、ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dと、除電器12a、12b、12c、12dと、中間転写ベルト7と、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dと、2次転写ローラ8と、対向ローラ18と、定着部9と、を備える。
【0019】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、複数のローラ又はローラ対と、排紙部50と、を備える。なお、搬送路Lは、後述するように、主搬送路としての第1搬送路L1と、第2搬送路L2と、第3搬送路L3と、副搬送路としての手差し搬送路Laと、戻し搬送路Lbとの集合体である。
【0020】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に沿って順に、上流側から下流側に順に、帯電部10a、10b、10c、10dによる帯電、レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dによる露光、現像器16a、16b、16c、16dによる現像、中間転写ベルト7及び1次転写ローラ37a、37b、37c、37dによる1次転写、除電器12a、12b、12c、12dによる除電、及びドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dによるクリーニングが行われる。
また、画像形成部GKにおいては、中間転写ベルト7、2次転写ローラ8及び対向ローラ18による2次転写、並びに定着部9による定着が行われる。
【0021】
感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、中間転写ベルト7の進行方向に対して直交する方向に延びる機軸を中心に矢印の方向に回転可能に配置される。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面には、静電潜像が形成され得る。
【0022】
帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
【0023】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dは、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面から離間して配置される。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成される。
【0024】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれにより走査露光されることで、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面の露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に静電潜像が形成される。
【0025】
現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dにそれぞれ対応して設けられ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置される。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成された静電潜像に各色のトナーを付着させて、カラーのトナー画像を感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの色に対応する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向配置された現像ローラ、トナー攪拌用の攪拌ローラ等を有して構成される。
【0026】
トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対応して設けられており、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、イエローのトナー、シアンのトナー、マゼンタのトナー、ブラックのトナーを収容する。
【0027】
トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれは、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5d及び現像器16a、16b、16c、16dにそれぞれ対応して設けられており、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれに収容された各色のトナーを、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給する。トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれと現像器16a、16b、16c、16dそれぞれとは、不図示のトナー供給路により結ばれている。
【0028】
中間転写ベルト7には、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに形成された各色のトナー画像が順次1次転写される。中間転写ベルト7は、従動ローラ35、駆動ローラからなる対向ローラ18、テンションローラ36等に掛け渡される。テンションローラ36が中間転写ベルト7を内側から外側に付勢するため、中間転写ベルト7には所定の張力が与えられる。
【0029】
中間転写ベルト7を挟んで感光体ドラム2a、2b、2c、2dと反対の側には、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれが対向して配置される。
【0030】
中間転写ベルト7における所定部分は、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれと、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれとにより挟み込まれる。この挟み込まれた所定部分は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面に押し当てられる。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれと1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれとの間で、それぞれ1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成される。1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dそれぞれにおいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに現像された各色のトナー画像が中間転写ベルト7に順次1次転写される。これにより、中間転写ベルト7には、フルカラーのトナー画像が形成される。
【0031】
1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれには、不図示の1次転写バイアス印加部により、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに形成された各色のトナー画像を中間転写ベルト7に転写させるための1次転写バイアスが印加される。
【0032】
除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に光を照射することにより、1次転写が行われた後の感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を除電する(電荷を除去する)。
【0033】
ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0034】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる。2次転写ローラ8には、不図示の2次転写バイアス印加部により、中間転写ベルト7に形成されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに転写させるための2次転写バイアスが印加される。
【0035】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に対して当接したり離間したりする。具体的には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に当接される当接位置と中間転写ベルト7から離間する離間位置とに移動可能に構成される。詳細には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7の表面に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる場合には当接位置に配置され、他の場合には離間位置に配置される。
【0036】
中間転写ベルト7における2次転写ローラ8とは反対側には、対向ローラ18が配置される。中間転写ベルト7における所定部分は、2次転写ローラ8と対向ローラ18とによって挟み込まれる。そして、用紙Tは中間転写ベルト7の外面(トナー画像が1次転写された面)に押し当てられる。中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間で2次転写ニップN2が形成される。2次転写ニップN2において、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像が用紙Tに2次転写される。
【0037】
定着部9は、用紙Tに2次転写されたトナー画像を構成する各色のトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒータにより加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟まれた状態で用紙Tが搬送されることによって、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧をされることで用紙Tに定着される。
【0038】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する主収容部としての給紙カセット52が配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの筐体から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容される。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されるカセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対81とからなる重送防止機構を備える。
【0039】
装置本体Mの左側面(図1において左側)には、用紙Tを収容する手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの左側面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端が給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置される。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0040】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から2次転写ニップN2までの第1搬送路L1と、2次転写ニップN2から定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から排紙部50までの第3搬送路L3と、給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻し搬送路Lbと、を備える。
【0041】
第1搬送路L1は、給紙カセット52に収容される用紙Tを画像形成部GKに向けて搬送する。手差し搬送路Laは、手差し給紙部64に収容される用紙Tを後述するレジストローラ対80に向けて搬送する。
【0042】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻し搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻し搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部である。
【0043】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と2次転写ローラ8との間)には、用紙Tを検出するための用紙検出センサ(図示せず)と、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とタイミングを合わせるためのレジストローラ対80とが配置される。前記用紙検出センサは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(搬送方向における上流側)に配置される。レジストローラ対80は、前記用紙検出センサからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0044】
第1搬送路L1における第1合流部P1と第2合流部P2との間には、第1ローラとしての第1搬送ローラ対82が配置される。第1搬送ローラ対82は、給紙ローラ対81の下流側に配置され、給紙ローラ対81により搬送される用紙Tを挟持して、第2ローラとしてのレジストローラ対80へ搬送する。
【0045】
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を中間転写ベルト7に対向させるために設けられる搬送路である。戻し搬送路Lbには、用紙Tを第2合流部P2に向けて搬送する複数の第2搬送ローラ対83が所定の間隔ごとに配置される。戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻して、2次転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、2次転写ニップN2において未印刷面に対して所定のトナー画像が転写される。
【0046】
第1分岐部Q1には、整流部材58が設けられている。整流部材58は、定着部9から搬出され第3搬送路L3を上流側から下流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、排紙部50に向かう方向に整流すると共に、排紙部50から第3搬送路L3を下流側から上流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、戻し搬送路Lbに向かう方向に整流する。
【0047】
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成される。排紙部50は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部50は、装置本体Mの左側面側(図1において左側)に向けて開口している。排紙部50は、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50は、排出ローラ対53を有している。排出ローラ対53によれば、第3搬送路L3を上流側から下流側に搬送される用紙Tを装置本体Mの外部に排紙すると共に、排紙部50において用紙Tの搬送方向を反転させて用紙Tを第3搬送路L3の上流側に向けて搬送することができる。
【0048】
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が形成され排紙部50から排紙された用紙Tが積層して集積される。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサが配置される。
【0049】
以上に説明した本実施形態のプリンタ1は、図1に示すように、レジストローラ対80や第1搬送ローラ対82や戻し搬送路Lbに配置される複数の第2搬送ローラ対83などの各種ローラを回転駆動するための駆動力を伝達する駆動伝達ユニット40を備えている。駆動伝達ユニット40は、プリンタ1の背面側に配置されている。
駆動伝達ユニット40の詳細については、後述する。
【0050】
次に、図1を参照して、本実施形態のプリンタ1の動作について、簡単に説明する。
まず、給紙カセット52に収容された用紙Tに片面印刷を行う場合について説明する。
給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ61及び給紙ローラ対81によって第1搬送路L1に送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、第1搬送ローラ対82により、レジストローラ対80に搬送される。
レジストローラ対80においては、用紙Tのスキュー補正や、画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とのタイミング調整が行われる。
【0051】
レジストローラ対80から排出された用紙Tは、第1搬送路L1を介して中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間(2次転写ニップN2)に導入される。そして、用紙Tには、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間において、トナー画像が転写される。
その後、用紙Tは、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間から排出され、第2搬送路L2を介して、定着部9における加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間の定着ニップに導入される。そして、定着ニップにおいてトナーが溶融し、トナーが用紙Tに定着される。
【0052】
次いで、用紙Tは、第3搬送路L3を通して排紙部50に搬送され、排出ローラ対53により排紙部50から排紙集積部M1に排出される。
このようにして、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷が完了する。
【0053】
手差しトレイ65に載置された用紙Tに片面印刷を行う場合には、手差しトレイ65に載置された用紙Tは、給紙コロ66によって手差し搬送路Laに送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、レジストローラ対80に搬送される。それ以降の動作は、前述した、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷の動作と同様であり、説明を省略する。
【0054】
次に、両面印刷を行う場合のプリンタ1の動作について説明する。
片面印刷の場合には、前述した通り、片面印刷がされた用紙Tが、排紙部50から排紙集積部M1に排出されて印刷動作が完了する。
これに対し、両面印刷を行う場合には、片面印刷がされた用紙Tが、戻し搬送路Lbを介して、片面印刷時とは表裏反転して、レジストローラ対80に再度搬送されることにより、用紙Tに両面印刷が施される。
【0055】
詳述すると、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラ対53により排紙部50から排出されるまでは、前述した片面印刷の動作と同様である。而して、両面印刷の場合には、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラ対53により保持されている状態において、排出ローラ対53の回転を停止させ、逆方向に回転させる。このように排出ローラ対53を逆方向に回転させると、排出ローラ対53に保持されている用紙Tは、第3搬送路L3を逆方向(排紙部50から第1分岐部Q1に向かう方向)に搬送される。
【0056】
前述したように、用紙Tが、第3搬送路L3を逆方向に搬送されると、整流部材58により、用紙Tは、戻し搬送路Lbへ整流され、その後、第2合流部P2を介して、第1搬送路L1に合流する。ここで、用紙Tは、片面印刷時とは表裏反転している。
【0057】
更に、用紙Tは、レジストローラ対80により前記補正又は前記調整が行われ、第1搬送路L1を介して、2次転写ニップN2に導入される。用紙Tは、戻し搬送路Lbを経由することにより、未印刷面が中間転写ベルト7に対向するので、未印刷面にトナー画像が転写され、その結果、両面印刷が施される。
【0058】
次に、図2から図4により、本発明の特徴部分である駆動伝達ユニット40及び駆動伝達機構41の詳細について説明する。図2は、本発明のプリンタ1に搭載される駆動伝達機構41の斜視図である。図3は、駆動伝達機構41を構成する第1筐体111と第2筐体121とを分離した状態を示す斜視図である。図4は、図2のJ−J線断面図である。なお、図4における図2のJ−J線断面図は、図3のJ1−J1線断面図及びJ2−J2線断面図に相当する。
【0059】
図2及び図3に示すように、駆動伝達ユニット40は、複数の歯車列に接続される複数のローラにモータ131からの駆動力を伝達する駆動伝達機構41を有する。
駆動伝達機構41は、第1筐体111と、第1筐体111に積層配置される第2筐体121と、駆動源としてのモータ131と、第1筐体111及び第2筐体121における所定の位置に配列される第1〜第11の伝達歯車202〜212と、これらの各伝達歯車を回転可能に支持する軸部材としての歯車軸部材と、を備える。
【0060】
本実施形態においては、第1筐体111及び第2筐体121は、いずれも樹脂製である。第1筐体111には、一方側(図2及び図3における矢印Pに示す上方側)を向いた面である第1面113側に、複数の伝達歯車が配列される。具体的には、第1筐体111の第1面113側には、第1〜第11の伝達歯車のうちの、第1伝達歯車202と、第2伝達歯車203と、第8伝達歯車209と、第10伝達歯車211と、第11伝達歯車212と、が配列される。
【0061】
第1筐体111に配置される第1伝達歯車202は、第1筐体111の第1面113に直立状態に配置された第1歯車軸部材302により、第1筐体111に回転可能に支持されている。同様に、第2伝達歯車203は第2歯車軸部材303により、第8伝達歯車209は第8歯車軸部材309により、第10伝達歯車211は第10歯車軸部材311により、第11伝達歯車212は第11歯車軸部材312により、第1筐体111に回転可能に支持されている。
【0062】
第2筐体121は、第1筐体111における第1面113と反対側の面側に積層配置される。第1筐体111と第2筐体121とは、第1筐体111の外周部に延設された弾性係止片114の係止突起115が、第2筐体121の外周部に形成された係合部125に係合することで、連結状態となる。
【0063】
第2筐体121には、図3に示すように、第1筐体111側の面である第2面123側に、複数の伝達歯車が配列される。具体的には、第2筐体121の第2面123側には、第1〜第11の伝達歯車のうちの、第3伝達歯車204と、第4伝達歯車205と、第5伝達歯車206と、第6伝達歯車207と、第7伝達歯車208と、第9伝達歯車210と、が配列される。
【0064】
第2筐体121に配置される第3伝達歯車204は、第1電磁クラッチ404の入力ギアである。第1電磁クラッチ404は、第3伝達歯車204に伝達された回転駆動力を第9伝達歯車210に伝達可能な連結状態、又は第9伝達歯車210に伝達しない非連結状態に状態を切り替え可能である。
【0065】
第2筐体121に配置される第6伝達歯車207は、第2電磁クラッチ408の入力ギアである。第2電磁クラッチ408は、第6伝達歯車207に伝達された回転駆動力を第7伝達歯車208に伝達可能な連結状態、又は第7伝達歯車208に伝達しない非連結状態に状態を切り替え可能である。
【0066】
第2筐体121に配置される第9伝達歯車210は、第1電磁クラッチ404の出力軸310に固定された歯車である。そのため、第9伝達歯車210は、第1電磁クラッチ404の状態が連結状態のときには、第3伝達歯車204に連結されて第3伝達歯車204と一体的に回転駆動される駆動状態になる。また、第9伝達歯車210は、第1電磁クラッチ404の状態が非連結状態のときには、第3伝達歯車204から切り離されて、回転駆動されない非駆動状態になる。
【0067】
第2筐体121に配置される第7伝達歯車208は、第2電磁クラッチ408の出力軸308に固定された歯車である。そのため、第7伝達歯車208は、第2電磁クラッチ408の状態が連結状態のときには、第6伝達歯車207に連結されて第6伝達歯車207と一体的に回転駆動される駆動状態になる。また、第7伝達歯車208は、第2電磁クラッチ408の状態が非連結状態のときには、第6伝達歯車207から切り離されて、回転駆動されない非駆動状態になる。
【0068】
第2筐体121に配置される第4伝達歯車205は、第2面123に直立状態に配置された第4歯車軸部材305により、第2筐体121に回転可能に支持されている。同様に、第5伝達歯車206は、第5歯車軸部材306により、第2筐体121に回転可能に支持されている。なお、第2筐体121の第2面123側には、図3に示すように、上記以外に、第12伝達歯車213、第13伝達歯車214、第14伝達歯車215、第15伝達歯車216、第16伝達歯車217なども配列されている。
【0069】
モータ131は、上記の各伝達歯車の駆動源であって、図3に示すように、第1筐体111における第1面113とは反対側の面に取り付けられる。モータ131は、回転駆動力を出力可能に構成される。モータ131の出力軸には、出力歯車200が固定装備されている。モータ131は、出力歯車200が第1筐体111に配置される第1伝達歯車202に噛み合うように、第1筐体111に取り付けられる。
【0070】
次に、図2及び図3により、第1筐体111及び第2筐体121に配置された歯車列による動力伝達経路を簡単に説明する。
モータ131の出力歯車200が噛み合っている第1筐体111に配置される第1伝達歯車202は、第1伝達歯車202の裏面側に一体形成された小歯車202aが第2伝達歯車203に噛み合っており、出力歯車200から受けた駆動力を、第2伝達歯車203に伝達する。第2伝達歯車203は、第2筐体121に配置される第3伝達歯車204に噛み合っており、第1伝達歯車202から受けた駆動力を第3伝達歯車204に伝達する。
【0071】
第2筐体121に配置される第3伝達歯車204は、図3に示すように、第2筐体121に配置される第4伝達歯車205に噛み合っており、第2伝達歯車203から入力された駆動力を第4伝達歯車205に伝達する。第4伝達歯車205は、第2筐体121に配置される第5伝達歯車206に噛み合っており、第3伝達歯車204から入力された駆動力を第5伝達歯車206に伝達する。第5伝達歯車206は、第2筐体121に配置される第6伝達歯車207に噛み合っており、第4伝達歯車205から受けた駆動力を第6伝達歯車207に伝達する。
【0072】
第2筐体121に配置される第6伝達歯車207は、第2電磁クラッチ408の入力ギアである。第2電磁クラッチ408の状態が連結状態のときは、第5伝達歯車206から入力された駆動力が、第2電磁クラッチ408の出力軸308に固定されている第7伝達歯車208に伝達される。第7伝達歯車208は、図2に示すように、第1筐体111に配置される第8伝達歯車209に噛み合っており、第6伝達歯車207から入力された駆動力を第8伝達歯車209に伝達する。第8伝達歯車209は、不図示の伝達機構を介して、第1搬送路L1に配置されるレジストローラ対80に駆動力を伝達する。
【0073】
即ち、本実施形態の駆動伝達機構41においては、モータ131から出力される回転駆動力を、出力歯車200、第1伝達歯車202、第2伝達歯車203、第3伝達歯車204、第4伝達歯車205、第5伝達歯車206、第6伝達歯車207、第7伝達歯車208、第8伝達歯車209を介して、レジストローラ対80に伝達する。また、レジストローラ対80への動力伝達は、伝達経路に介在している第2電磁クラッチ408の状態を連結状態又は非連結状態に切り替えることによって、断続することができる。
【0074】
また、第3伝達歯車204は、第2筐体121に配置される第1電磁クラッチ404の入力ギアである。第1電磁クラッチ404の状態が連結状態のときには、第3伝達歯車204に入力された駆動力が、第1電磁クラッチ404の出力軸310に固定されている第9伝達歯車210に伝達される。この第9伝達歯車210は、図2に示すように、第1筐体111に配置される第10伝達歯車211と第11伝達歯車212とに噛み合っており、第3伝達歯車204に入力された駆動力を、第10伝達歯車211と第11伝達歯車212とに伝達する。
第10伝達歯車211は、不図示の伝達機構を介して、第1搬送路L1に配置される第1搬送ローラ対82に駆動力を伝達する。また、第11伝達歯車212は、不図示の伝達機構を介して、戻し搬送路Lbに配置される複数の第2搬送ローラ対83に駆動力を伝達する。
【0075】
即ち、本実施形態の駆動伝達機構41においては、モータ131の出力を、出力歯車200、第1伝達歯車202、第2伝達歯車203、第3伝達歯車204、第9伝達歯車210を介して、第10伝達歯車211と第11伝達歯車212とに伝達する。そして、第10伝達歯車211に伝達された駆動力により、第1搬送ローラ対82が駆動される。また、第11伝達歯車212に伝達された駆動力により、複数の第2搬送ローラ対83が駆動される。
【0076】
本実施形態の駆動伝達機構41は、第1筐体111及び第2筐体121に配置した歯車列による動力伝達時に、歯車に作用する軸方向の荷重(スラスト荷重)を受けて第1筐体111や第2筐体121に過度の撓み(たわみ)変形が生じないように、歯車支持構造500により歯車を支持する。
【0077】
図4に示すように、駆動伝達機構41の歯車支持構造500は、第1筐体111と、第1筐体111の第1面113側に配置される第1歯車としての第10伝達歯車211と、第1筐体111の第1面113側に配置される第1軸部材としての第10歯車軸部材311と、第1筐体111の第1面113とは反対側の面側(図4における下面側)に積層配置される第2筐体121と、第2筐体121の第1筐体111側の面である第2面123側に配置される第2歯車としての第4伝達歯車205と、第2筐体121における第2面123側に配置される第2軸部材としての第4歯車軸部材305と、第1筐体111に形成される軸受け部161と、を備えている。
【0078】
第10歯車軸部材311は、第10伝達歯車211を回転可能に支持する筒状の軸部材である。第4歯車軸部材305は、第4伝達歯車205を回転可能に支持する筒状の軸部材である。第4歯車軸部材305は、第2筐体121の第2面123に一体形成されており、一端側(図4における下端側)が第2筐体121に連結されている。
【0079】
軸受け部161は、第1筐体111を貫通する貫通孔状に形成される。本実施形態においては、軸受け部161は、筒状の筒状部160の内周面により構成される。軸受け部161は、筒状部160の内周面で第10歯車軸部材311及び第4歯車軸部材305の荷重を受けて、第10歯車軸部材311及び第4歯車軸部材305を支持する。
【0080】
軸受け部161は、第1軸受け部162と、第2軸受け部163と、を有する。第1軸受け部162は、第10歯車軸部材311における一端側の端部である第10歯車軸部材一端部311aが嵌合されることで、第10歯車軸部材311の一端側を第1筐体111に連結させる。
【0081】
詳細には、第10歯車軸部材一端部311aの外周面には、係合溝311bが形成されている。また、筒状部160の内周面には、第10歯車軸部材一端部311aの係合溝311bに係合する突起部165が設けられている。第10歯車軸部材一端部311aの係合溝311bに筒状部160の突起部165が係合することで、第10歯車軸部材311の一端側が第1筐体111に連結される。
また、第10歯車軸部材311の他端側は、プリンタ1における装置本体Mのケースやその他の部材に設けられた不図示の軸受け部に連結される。
【0082】
第2軸受け部163は、第4歯車軸部材305における一端側と反対側の他端側の端部である第4歯車軸部材他端部305aが嵌合されることで、第4歯車軸部材他端部305aと第10歯車軸部材一端部311aとが対向して配置された状態で、第4歯車軸部材305の他端側を第1筐体111に連結させる。
【0083】
また、歯車支持構造500においては、第10歯車軸部材311は、第10伝達歯車211を、第1回転軸CL1を中心に回転可能に支持している。また、第4歯車軸部材305は、第4伝達歯車205を、第2回転軸CL2を中心に回転可能に支持している。そして、第1回転軸CL1と第2回転軸CL2とは、同軸上になるように直線上に並んで配置される。
【0084】
更に、歯車支持構造500は、第10歯車軸部材311の第4歯車軸部材305側への移動を規制する第1規制部501と、第4歯車軸部材305の第10歯車軸部材311側への移動を規制する第2規制部503と、を備える。
【0085】
本実施形態においては、第1規制部501は、筒状部160の内周面に突設された突起部165の上端面により構成される。第1規制部501は、第10歯車軸部材311の係合溝311bの上方側の外縁が当接されることで、第10歯車軸部材311の第4歯車軸部材305側への移動を規制する。
【0086】
本実施形態においては、第2規制部503は、筒状部160の下端面により構成される。第2規制部503は、第4歯車軸部材305の段差部305bの上面が当接されることで、第4歯車軸部材305の第10歯車軸部材311側への移動を規制する。第4歯車軸部材305の段差部305bは、第4歯車軸部材305における第4歯車軸部材他端部305aよりも下方側の外周面において、径が1段階だけ太くなる段差である。
なお、第1規制部501及び第2規制部503は、軸受け部及び軸部材のいずれの側に設けられていてもよい。
【0087】
また、本実施形態においては、第10歯車軸部材311と第4歯車軸部材305とは、第10歯車軸部材311と第4歯車軸部材305とにおける互いに対向する面同士が当接するか、又は、第1筐体111の最大撓み量よりも小さい距離だけ離間する。第1筐体111の最大撓み量とは、第10歯車軸部材311が第1筐体111に連結されていない状態で、第1筐体111が第2筐体121に積層配置される場合における第1筐体111が最も撓み変形した撓み量である。
【0088】
言い換えると、第10歯車軸部材311と第4歯車軸部材305との間の距離(クリアランス)Sは、第10歯車軸部材311と第4歯車軸部材305とにおける互いに対向する面同士が当接する距離か、又は、第4歯車軸部材305が第1筐体111に連結されていない状態で第1筐体111が第2筐体121に積層配置される場合において、第10伝達歯車211からの軸方向の荷重(スラスト荷重)によって撓み変形した第1筐体111の最大撓み量よりも小さく設定される。
【0089】
そのため、第10伝達歯車211からの軸方向への荷重によって第1筐体111に撓みが発生する場合に、第1筐体111の撓み量が最大撓み量に達する前に、軸部材の互いに対向した面が当接した状態となり、第1筐体111における撓みの増加が規制される。
【0090】
なお、第10歯車軸部材311と第4歯車軸部材305との間の距離(クリアランス)Sは、第10歯車軸部材311と第4歯車軸部材305とにおける互いに対向する面同士が当接することが好ましいが、第1筐体111やその他の部材の寸法公差を考慮して、第1筐体111の最大撓み量よりも小さく設定される。
【0091】
本実施形態の駆動伝達機構41によれば、例えば、次のような効果が奏される。
本実施形態の駆動伝達機構41においては、第1筐体111に形成される貫通孔状の軸受け部161であって、第10歯車軸部材311の第10歯車軸部材一端部311aが嵌合されることで第10歯車軸部材311の一端側を第1筐体111に連結させる第1軸受け部162と、第4歯車軸部材305の第4歯車軸部材他端部305aが嵌合されることで第4歯車軸部材他端部305aと第10歯車軸部材一端部311aとが対向して配置された状態で、第4歯車軸部材305の他端側を第1筐体111に連結させる第2軸受け部163と、を有する軸受け部161と、を備える。
【0092】
そのため、第10伝達歯車211から第10歯車軸部材311に作用する軸方向の荷重(スラスト荷重)によって第1筐体111が撓み変形する場合に、撓み量が許容限度を超える前に、第10歯車軸部材311と第4歯車軸部材305との互いに対向する面を当接させた状態とすることができる。この場合には、第4歯車軸部材305の第4歯車軸部材他端部305aは、第1筐体111に突き当たる当てリブのように機能する。そして、第1筐体111の撓み量の増加を抑制することができる。
【0093】
これにより、第1筐体111や第2筐体121を板金製にしたり、又は、第2筐体121に第1筐体111に突き当てる当てリブを設けることをせずに、第1筐体111の撓み変形を規制することができる。従って、コストアップや重量の増加せずに、設計の自由度を低下させることなく(コンパクト化を妨げることなく)、第1筐体111の変形を抑制することができる。
【0094】
また、本実施形態の駆動伝達機構41においては、第1筐体111に配置される第10歯車軸部材311と、第2筐体121に配置される第4歯車軸部材305とは、同軸上になるように直線上に並んで配置される。そのため、第1筐体111の撓み量が増加する場合において、第10歯車軸部材311と第4歯車軸部材305との互いに対向する面を確実に当接させることができる。これにより、第1筐体111の撓み量の増加を抑制することができる。また、第1筐体111の撓み量を安定させることができる。
【0095】
また、本実施形態の駆動伝達機構41においては、第10歯車軸部材311の第4歯車軸部材305側への移動を規制する第1規制部501と、第4歯車軸部材305の第10歯車軸部材311側への移動を規制する第2規制部503と、を備える。
そのため、例えば、第1筐体111と第2筐体121とを積層状態に組み立てる際に、対向する第10歯車軸部材311の第10歯車軸部材一端部311aと第4歯車軸部材305の第4歯車軸部材他端部305aとの間に、所定の離間距離を確保することが容易になる。
【0096】
また、本実施形態の駆動伝達機構41においては、本実施形態においては、第10歯車軸部材311と第4歯車軸部材305とは、第10歯車軸部材311と第4歯車軸部材305とにおける互いに対向する面同士が当接するか、又は、第10歯車軸部材311が第1筐体111に連結されていない状態で第1筐体111が第2筐体121に積層配置される場合における第1筐体111が最も撓み変形した撓み量である最大撓み量よりも小さい距離だけ離間する。
【0097】
そのため、第4歯車軸部材305が第1筐体111に連結されている状態において、第10伝達歯車211からの軸方向の荷重(スラスト荷重)によって第1筐体111に発生する撓み変形を、最大撓み量よりも小さく規制することができる。従って、第1筐体111の撓み変形による撓み量が過大になって歯車相互の噛み合いが悪化するといった不都合の発生を抑制することができる。
【0098】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、給排紙部KHのレジストローラ対80、第1搬送ローラ対82、第2搬送ローラ対83などのローラを回転駆動するための駆動力を伝達する駆動伝達機構41を備えたプリンタ1を提供することができる。そして、駆動伝達機構41による軽量化やコンパクト化等の効果によって、プリンタ1の小型化や省スペース化を促進することができる。
【0099】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、前記実施形態においては、第4歯車軸部材305の第4歯車軸部材他端部305aと、第10歯車軸部材311の第10歯車軸部材一端部311aとを対向して配置する構成を説明したが、これに制限されない。例えば、対向配置する歯車軸部材は、他の歯車軸部材同士の組であってもよいし、歯車軸部材同士の組が複数あってもよい。対向配置する歯車軸部材同士の組を増やした場合には、歯車の軸方向の荷重による第1筐体111の撓み変形を更に抑制することが可能である。
【0100】
また、本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合機などであってもよい。
シート状の被転写材は、用紙に制限されず、例えば、フィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0101】
1……プリンタ(画像形成装置)、41……駆動伝達機構、80……レジストローラ対(第2ローラ)、82……第1搬送ローラ対(第1ローラ)、83……第2搬送ローラ対、111……第1筐体、113……第1面、121……第2筐体、123……第2面、161……軸受け部、162……第1軸受け部、163……第2軸受け部、165……突起部、205……第4伝達歯車(第2歯車)、211……第10伝達歯車(第1歯車)、305……第4歯車軸部材(第2軸部材)、305a……第4歯車軸部材他端部(他端側の端部)、311……第10歯車軸部材(第1軸部材)、311a……第10歯車軸部材一端部(一端側の端部)、311b……係合溝、501……第1規制部、503……第2規制部、CL1……第1回転軸、CL2……第2回転軸、GK……画像形成部、T……用紙(被転写材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、
前記第1筐体における一方側の面である第1面側に配置される第1歯車と、
前記第1筐体における前記1面側に配置され、一端側が該第1筐体に連結されると共に、前記第1歯車を回転可能に支持する第1軸部材と、
前記第1筐体における前記第1面と反対側の面側に積層配置される第2筐体と、
前記第2筐体における前記第1筐体側の面である第2面側に配置される第2歯車と、
前記第2筐体における前記第2面側に配置され、一端側が該第2筐体に連結されると共に、前記第2歯車を回転可能に支持する第2軸部材と、
前記第1筐体に形成される貫通孔状の軸受け部であって、
前記第1軸部材における前記一端側の端部が嵌合されることで、前記第1軸部材の前記一端側を前記第1筐体に連結させる第1軸受け部と、
前記第2軸部材における前記一端側と反対側の他端側の端部が嵌合されることで、前記第2軸部材における前記他端側の端部と前記第1軸部材における前記一端側の端部とが対向して配置された状態で、前記第2軸部材の前記他端側を前記第1筐体に連結させる第2軸受け部と、を有する軸受け部と、を備える
駆動伝達機構。
【請求項2】
前記第1軸部材は、前記第1歯車を第1回転軸を中心に回転可能に支持しており、
前記第2軸部材は、前記第2歯車を第2回転軸を中心に回転可能に支持しており、
前記第1回転軸と前記第2回転軸とは、同軸上になるように直線上に並んで配置される
請求項1に記載の駆動伝達機構。
【請求項3】
前記第1軸部材の前記第2軸部材側への移動を規制する第1規制部と、
前記第2軸部材の前記第1軸部材側への移動を規制する第2規制部と、を備える
請求項1又は2に記載の駆動伝達機構。
【請求項4】
前記第1軸部材と前記第2軸部材とは、前記第1軸部材と前記第2軸部材とにおける互いに対向する面同士が当接、又は、前記第1軸部材が前記第1筐体に連結されていない状態で前記第1筐体が前記第2筐体に積層配置される場合における前記第1筐体が最も撓み変形した撓み量である最大撓み量よりも小さい距離だけ離間する
請求項1から3のいずれかに記載の駆動伝達機構。
【請求項5】
シート状の被転写材に画像を形成する画像形成部と、
請求項1から4のいずれかに記載の駆動伝達機構と、
前記第1歯車に直接的又は間接的に連結され、前記被転写材を前記画像形成部へ向けて搬送する第1ローラと、
前記第2歯車に直接的又は間接的に連結され、前記被転写材を前記画像形成部へ向けて搬送する第2ローラと、を備える
画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−248304(P2011−248304A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124355(P2010−124355)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】